(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】加熱テキスタイル、加熱テキスタイルの製造方法、ならびに加熱テキスタイルの使用
(51)【国際特許分類】
H05B 3/20 20060101AFI20231102BHJP
D04B 1/14 20060101ALI20231102BHJP
D04B 21/00 20060101ALI20231102BHJP
D04B 1/00 20060101ALI20231102BHJP
D04B 21/14 20060101ALI20231102BHJP
A41D 13/005 20060101ALI20231102BHJP
A41D 31/00 20190101ALI20231102BHJP
A41D 31/06 20190101ALI20231102BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20231102BHJP
A01G 9/24 20060101ALI20231102BHJP
A63B 6/00 20060101ALI20231102BHJP
E04B 1/74 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
H05B3/20 335
D04B1/14
D04B21/00 B
D04B1/00 B
D04B21/14 Z
A41D13/005 101
A41D31/00 502C
A41D31/06 100
A41D31/00 503P
A41D31/00 503Q
A41D31/00 503N
B60N2/90
A01G9/24 Z
A63B6/00
E04B1/74
(21)【出願番号】P 2021514479
(86)(22)【出願日】2019-05-15
(86)【国際出願番号】 EP2019062488
(87)【国際公開番号】W WO2019219751
(87)【国際公開日】2019-11-21
【審査請求日】2022-05-13
(31)【優先権主張番号】102018111861.9
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102018111893.7
(32)【優先日】2018-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518298485
【氏名又は名称】マリオ ブローヴァ
【氏名又は名称原語表記】Mario Browa
【住所又は居所原語表記】Am Huegel 2, 95179 Geroldsgruen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マリオ ブローヴァ
【審査官】河内 誠
(56)【参考文献】
【文献】仏国特許出願公開第2922405(FR,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0119534(KR,A)
【文献】特開2000-8257(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/00~3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱を周囲に伝達するための加熱テキスタイル
(1)であって、少なくとも:
a.電気エネルギを導くための導電性の繊維ストランド(6a;6b)、
b.周囲を加熱するためのエネルギ放出繊維ストランド(2)、
c.少なくとも1つの閉じた回路を形成するためのコンタクト手段(10a;10b)、および
d.前記エネルギ放出繊維ストランド(2)を前記導電性の繊維ストランド(6a;6b)にコンタクト接続するための、かつ/または前記コンタクト手段(10a;10b)を前記導電性の繊維ストランド(6a;6b)にコンタクト接続するための少なくとも1つの連結繊維ストランド(8)、
を有しており、
前記導電性の繊維ストランド(6a;6b)および/または前記コンタクト
手段(10a;10b)および/または前記エネルギ放出繊維ストランド(2)が、経糸ストランドおよび/または緯糸ストランドとして形成されており、
少なくとも1つの
前記連結繊維ストランド(8)が、前記経糸ストランドおよび緯糸ストランドを互いに接続するために、前記経糸ストランドおよび緯糸ストランドに、直接的にまたは間接的に編み目を形成するように経編みされている、かつ/またはノンクリンプ加工されている、かつ/または緯編みされて
おり、
前記コンタクト手段(10a;10b)と前記導電性の繊維ストランド(6a;6b)との間には少なくとも1つの絶縁エレメント(12)が配置されており、前記コンタクト手段(10a;10b)は前記連結繊維ストランド(8)を介して少なくとも1つの前記絶縁エレメント(12)に接続されている、
加熱テキスタイル
(1)。
【請求項2】
前記加熱テキスタイル
(1)を安定化させるために支持繊維ストランド(4)をさらに有している、請求項1記載の加熱テキスタイル
(1)。
【請求項3】
前記加熱テキスタイル(1)は、ノンクリンプファブリック、緯編みファブリック、または経編みファブリックとして形成されている、請求項1記載の加熱テキスタイル
(1)。
【請求項4】
前記加熱テキスタイル(1)は、繊維なしに形成されている少なくとも1つの第1の開口部(14)を有している、請求項1記載の加熱テキスタイル
(1)。
【請求項5】
前記経糸ストランドと緯糸ストランドとは互いに30°~150°の角度を有している、請求項1記載の加熱テキスタイル
(1)。
【請求項6】
前記エネルギ放出繊維ストランド(2)および/または前記導電性の繊維ストランド(6a;6b)および/または前記支持繊維ストランド(4)および/または前記コンタクト手段(10a;10b)は、絶縁性ではない導電性の材
料、有機材
料、無機材料
、かつ/またはこれらの混合物から形成されている、請求項
2記載の加熱テキスタイル
(1)。
【請求項7】
2次元的または3次元的に形成されている、請求項1記載の加熱テキスタイル
(1)。
【請求項8】
請求項1から
7までの
いずれか1項記載の加熱テキスタイル
(1)を製造するための方法であって、少なくとも:
a.経糸ストランドを供給するための少なくとも1つの経糸ストランド供給部(22)を設けるステップ、
b.互いに離間されて配置された複数の緯糸ストランドを供給するための少なくとも1つの緯糸ストランド供給部を設けるステップ、
c.編み目状の結合を形成しながら、少なくとも1つの連結繊維ストランド(8)を同時に経編みする、または緯編みする、またはノンクリンプ加工することにより、経糸ストランドと緯糸ストランドとを互いに連結するステップ、
を有している、方法。
【請求項9】
前記ステップb)と前記ステップc)との間で、前記経糸ストランドと前記緯糸ストランドとの間に少なくとも1つの絶縁エレメント(12)を設ける別のステップを実施する、請求項
8記載の方法。
【請求項10】
編まれた前記加熱テキスタイル(1)を平坦にかつ/または傾けて引き出す、請求項
8記載の方法。
【請求項11】
請求項1から
7までの
いずれか1項記載
の加熱テキスタイル
(1)を製造するための、かつ/または請求項
8または9のいずれか1項記載の方法を実施するためのシステムSであって、少なくとも:
a.加工平面の第2の側の上方でまたは第2の側で、経糸ストランドを供給するための経糸ストランド供給部(22)
、
b.
緯糸ストランドを配置するための少なくとも1つの緯糸ストランド提供部、スライダエレメント(30)、および引下げエレメント(28)が、加工平面(B)の第1の側の下方にまたは第1の側に配置されている、
少なくとも1つの前記緯糸ストランド提供部と少なくとも1つのスライダエレメント(30)と少なくとも1つの引下げエレメント(28)、
c.少なくとも1つの連結繊維ストランド(8)を、好適には複数の連結繊維束を、互いに結合すべき繊維ストランドの周りの編み目の形態で、経編みするための、またはノンクリンプ加工するための、または緯編みするためのニードル(26)、
を有しているシステムS。
【請求項12】
緯糸ストランドと経糸ストランドとの間に少なくとも1つの絶縁エレメント(12)を供給するための少なくとも1つのフィード装置(32)が設けられており、前記経糸ストランド供給部(22)の少なくとも1つの自由端部に、編成工程中に前記絶縁エレメントを保持するための少なくとも1つの突出部が配置されている、請求項
11記載のシステムS。
【請求項13】
内装トリム
および/または車両シートを加熱するために自動車室内での、プランターを直接温度管理するために温室での、
当該プランターにより成長した植物を温度管理するために屋外での
、シートクッション、敷物、またはマットとしての、屋根および/または壁のような建物部分の加熱のために建築分野での、かつ/または繊維補強エレメントとしての、請求項1から
7までの
いずれか1項記載の加熱テキスタイル(1)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の形式の熱を周囲に伝達するための加熱テキスタイルに関する。
【0002】
従来技術により公知の加熱テキスタイルは、加熱導体の他に、加熱導体を加熱するために電流の流れを可能にするコンタクト導体も常に有している。例えば、独国特許出願公開第10112405号明細書には、テキスタイル母材を含む面状の加熱エレメントが開示されている。コンタクト導体は、完成したテキスタイル母材に予め接着される。これとは完全に分離した別の方法ステップで初めて、加熱導体が別個に供給される。したがって、面状の加熱エレメントの製作には時間とコストがかかる。さらなる欠点は、製造中に必要な多数の作業ステップである。さらに、接着個所は望ましくない所定の破断個所となり、ここでは、コンタクト(導電)接続が破断される恐れがあり、面状の加熱エレメント全体の機能が著しく減じられる場合がある。
【0003】
さらに、コンタクト導体は主として不織布にアイロン固定され、もしくは接着され、これにより望ましくない短絡のような電流の流れを回避している。特にアイロン固定されたコンタクト導体は、時間の経過において、もしくは湾曲表面における加熱テキスタイルが相応に曲げられる際に、アイロン固定された接合が破損される恐れがあり、コンタクトはもはや保証されないので、実際には望ましくないことがわかっている。完成した加熱テキスタイルに接着される電流を供給する接点でも同様であり、したがって腐食および剥離の可能性が高い点が生じる。
【0004】
したがって本発明の課題は、メンテナンスの手間が少なく、かつ耐用寿命が長く形成されている加熱テキスタイルを提供することである。さらに、本発明の課題は、均一で、信頼性の高い温度出力を提供し、過熱を回避し、さらには製造コストを安価にすることである。
【0005】
この課題は、請求項1の特徴により解決される。
【0006】
本明細書で説明される加熱テキスタイルは、少なくとも1つの繊維ストランド層を形成する経糸ストランドと緯糸ストランドとから形成されている。一方では安定的な、他方では機能的な加熱テキスタイルを形成するために、経糸ストランドおよび/または緯糸ストランド自体が機能的に形成されている。機能的とは、各繊維ストランドが所定の特性を有していることであると理解されたい。
【0007】
したがって、加熱テキスタイルは、例えば導電性に形成されている緯糸ストランドを有することができる。さらに、加熱テキスタイルは、電気エネルギ供給により加熱され、この熱を周囲に放出することができる経糸ストランドを有することができる。最後に、本明細書で説明される加熱テキスタイルは、それぞれプラス極とマイナス極とを成すコンタクト手段をさらに有することができる。したがって、これら全ての上記繊維ストランドは所定の機能を有しているので、経編みおよび/またはノンクリンプ加工および/または緯編みとしての共通の加工において、目的に応じて熱を周囲に放出することができる1つの機能的な加熱テキスタイルが形成される。
【0008】
本発明の核となる思想は、コンタクト手段の他に、エネルギ放出繊維ストランドと、導電性の繊維ストランドと、さらに、すなわち付加的に、エネルギ放出繊維ストランドを導電性の繊維ストランドに少なくともコンタクト接続(導電接続)するための、かつ/またはコンタクト手段を導電性の繊維ストランドに少なくともコンタクト接続するための少なくとも1つの連結繊維ストランドとが設けられており、導電性の繊維ストランドおよび/またはコンタクト手段および/またはエネルギ放出繊維ストランドが、経糸ストランドおよび/または緯糸ストランドとして形成されており、少なくとも1つの連結繊維ストランドが、経糸ストランドおよび緯糸ストランドを互いに接続するために、経糸ストランドおよび緯糸ストランドに、直接的にまたは間接的に編み目を形成するように、経編みされている、かつ/または緯編みされている、かつ/またはノンクリンプ加工されている、ことにある。
【0009】
繊維ストランドの互いのここに記載した全ての組み合わせのバリエーションは、直接的にかつ/または間接的に形成されてよい。直接的にとは好適には、連結すべき繊維ストランドが、少なくとも1つの共通の接触面を共に形成している直接の連結であると理解されたい。間接的な連結とは好適には、連結すべき繊維ストランド間に、直接的な共通の接触面が形成されていない接続であると理解されたい。間接的な連結では、例えば、連結すべき繊維ストランドの間に付加的な材料が設けられてよく、これにより、連結すべき繊維ストランドは、これらの間に位置するこの材料と共にそれぞれ1つの共通の接触面を形成する。最も単純には、連結は、経糸ストランドと緯糸ストランドとの交点に形成されている。
【0010】
導電性のエレメントとは、好適には繊維ストランド、不織布構造体、面状のテキスタイル、またはフィルム構造体であると理解されてよく、特に好適には導電性のエレメントは、導電性の繊維ストランドまたは繊維束として形成されている。この場合、繊維束とは、互いに平行に巻き付けることができる、またはその他の方法で配置することができる複数の繊維ストランドであると理解されてよい。
【0011】
導電性のエレメント、エネルギ放出繊維ストランド、およびコンタクト手段の他、本明細書で説明するフレキシブルな加熱テキスタイルは、付加的に、少なくとも1つの連結繊維ストランドを、好適には複数の連結繊維ストランドを有している。連結繊維ストランドは、接続すべき別の繊維ストランドの直接的かつ/または間接的な接続のために、すなわち連結のために働く。このために、少なくとも1つの、好適には複数の連結繊維ストランドが、加熱テキスタイルの製造時に直接設けられる。実施例に応じて、連結繊維ストランドは、経編み、ノンクリンプ加工、または緯編みされてよい。本明細書に記載する3つの加工形式に関わらず、連結繊維ストランドを設けるもしくは加工するとは、互いに接続すべき繊維ストランドの固定を意味する。特に好適なものとして、連結繊維ストランドの経編みが挙げられる。何故ならばこれにより特に安定的で堅固な編み目が、連結すべき繊維ストランドの周りに形成されるからである。さらに、連結繊維ストランドは、連結すべき繊維ストランドと共に、通常交点で、大面積の接触面を形成する。最も単純には、連結繊維ストランドの編み目は、接続すべき繊維ストランドの交点を取り囲んで編み目を形成し、共通の接触面が存在していない隙間はごく僅かにしか形成されない。
【0012】
驚くべきことに、複数の連結繊維ストランドが、エネルギ放出繊維ストランドと導電性のエレメントとの間に、かつ/またはコンタクト手段と導電性のエレメントとの間に、特に安定的で信頼性のあるコンタクト接続を形成することが初めて示された。このために、好適には複数の連結繊維ストランドが編み目を形成するように経編みされ、これにより連結繊維ストランドが、経糸ストランドおよび緯糸ストランドをその交点で直接的にかつ/または間接的に互いに堅固に接続する。
【0013】
この場合好適には、堅固な接続とは、好適には複数の連結繊維ストランドが、経糸ストランドと緯糸ストランドとの交点を、編み目を形成するように取り囲み、したがって互いに接続されるべき経糸ストランドおよび/または緯糸ストランドと共に、できるだけ大きい共通の接触面を形成し、これによりコンタクト接続が耐久性をもって保証されていることを意味する。連結繊維ストランドと経糸ストランドおよび/または緯糸ストランドとの間のできるだけ大きい共通の接触面とは、好適には、1つの個別の経糸ストランドおよび/または緯糸ストランドの全周の好適には25%~80%であると理解されたい。
【0014】
この場合使用される経糸ストランドおよび/または緯糸ストランドは、好適にはほぼ円形のもしくは完全に円形の横断面を形成する。連結繊維ストランドが経糸ストランドと緯糸ストランドとの交点の周りに巻き付けられると、相応のこの連結繊維ストランドが両ストランドの周りに編み目を形成し、両ストランドを連結させる。
【0015】
加熱テキスタイルは、その全てが互いに離間されて形成されている多数の経糸ストランドおよび多数の緯糸ストランドを有しているので、本明細書で説明される加熱テキスタイルは加熱テキスタイル格子エレメントとも記載される。
【0016】
連結繊維ストランドのガイドは、最も単純な実施例では、下方から上方に向かって経糸ストランドおよび/または緯糸ストランドの周りを通るように行われる。したがって、特に密でかつ堅固な編み目形成が可能であり、したがって、連結繊維ストランドと経糸ストランドおよび/または緯糸ストランドとの間の隙間はできるだけ僅かであるように保持されることが保証され得る。これは、フレキシブルな加熱テキスタイルが、製造後に可能な方法ステップでコーティングされる場合に特に有利である。連結繊維ストランドと経糸ストランドおよび/または緯糸ストランドとの間の隙間が減じられていることにより、今や、不透過性の構築物を形成することなく特に効果的なコーティングが初めて可能となる。したがって、連結繊維ストランドの編み目状の配置によって、特に効果的にコーティングすることができ、さらにはコーティング後、その格子エレメントの特性が維持される、熱を周囲に伝達するためのフレキシブルな格子エレメントの形態のフレキシブルな加熱テキスタイルを初めて提供することができる。
【0017】
本明細書で初めて説明されるフレキシブルな加熱テキスタイルは、格子エレメントとして、例えばノンクリンプファブリック、緯編みファブリック、または経編みファブリックとして、形成されていて、少なくとも経糸ストランドおよび緯糸ストランドを有している。経糸ストランドは、加熱テキスタイルの縦方向で延在する0°繊維ストランドとしても既知である。好適には、加熱テキスタイルの縦方向は、同時に、製造方法中の搬送方向に相当する。さらに設けられる緯糸ストランドは、90°繊維ストランドとも呼ばれ、最も単純には経糸ストランドに対して直交方向に延在している。
【0018】
最初に、本明細書で説明される加熱テキスタイルが有する全ての機能性は、繊維ストランドおよび/または繊維束の形態で設けられ、形成されていてよい。繊維ストランドとは好適には、個々の繊維および/またはフィラメントであると理解されてよく、1つの繊維ストランドは少なくとも1つの繊維および/またはフィラメントを有している。しかしながら好適には、1つの繊維ストランドはマルチフィラメントとしてかつ/またはマルチ繊維として形成されてもよく、モノフィラメントとしては、tdex10 f2-3~96000tdexおよび90000kの特徴を有していてよい。可能な繊維および/またはフィラメントとしては、天然材料、合成材料、無機材料、または有機材料、もしくはこれらの混合物が考えられる。
【0019】
さらに驚くべきことに、導電性のエレメントを緯糸ストランドとして形成することが好適であると示された。最も単純には、導電性のエレメントは90°繊維として設けられる。これにより、最も単純には、電流のための導体路が生じる。
【0020】
さらに、周囲を加熱するためのエネルギ放出繊維ストランドは、0°繊維ストランドとも呼ばれる経糸ストランドとして構成することができる。経糸ストランドは、加熱テキスタイルの製造方法中、製作すべき加熱テキスタイルの縦方向で延在している。好適には、0°繊維ストランドは互いに平行に、かつ互いに離間されて配置されている。同じことは緯糸ストランドにも当てはまり、これにより、経糸ストランドおよび緯糸ストランドを配置した場合、フレキシブルな加熱テキスタイルの格子構造が形成される。
【0021】
さらに、例えば少なくとも1つの閉じられた回路を形成するためのコンタクト手段は、エネルギ放出繊維ストランドに対して平行に配置されていてよい。このために、コンタクト手段は2つのグループに分けられる。第1のグループはプラス極を形成し、第2のグループはマイナス極を形成する。
【0022】
最も単純には、エネルギ放出繊維ストランドとコンタクト手段とは、互いに離間された0°繊維ストランドとして、エネルギ放出繊維ストランドとコンタクト手段とが互いに隣接して配置されている1つの平面を形成している。
【0023】
さらに好適には、コンタクト手段は、例えば2つのグループにグループ分けされて配置されている。少なくとも1つのコンタクト手段が少なくとも1つの繊維および/または少なくとも1つのフィラメントを有していることが考えられる。繊維は、長さが限定的である点でのみフィラメントとは異なる。
【0024】
したがって、コンタクト手段の材料は、テキスタイル繊維、ガラス繊維、炭素繊維等に限定されず、金属繊維も使用することができる。さらに、不織布、導電性の面状のテキスタイル、または導電性のプラスチックフィルムもコンタクト手段として使用することができる。
【0025】
エネルギ伝達を、この場合、特に電気の流れを保証するために、本明細書で説明されるフレキシブルな加熱テキスタイルは、連結繊維ストランドをさらに有している。驚嘆すべきことに、このような連結繊維ストランドを介して、この連結繊維ストランドに接続される別の繊維ストランドのコンタクト接続を形成するために、フレキシブルな加熱テキスタイルの特に簡単かつ安価な製造が初めて可能となることが発見された。この加熱テキスタイル格子エレメントは、それ自体が過熱されることなく、効率的かつ一定の熱を周囲に放出することができる。この場合、加熱テキスタイルは、フレキシブルかつ可撓的に形成される。
【0026】
さらに、高い耐熱性と高い熱伝導性とを、長期的に保証することができる。
【0027】
公知の加熱テキスタイルにおいて接着またはろう接により生じる、従来技術による上述した所定の破断個所は、本発明では使用されない。本明細書で説明される連結繊維ストランドは、これに接続される繊維ストランドとの強力な連結を形成し、これにより例えば発熱および電力ラインもコンタクト接続により相応に形成される。このために、連結繊維ストランドは、編み目を形成するように経編み、緯編み、またはノンクリンプ加工されて形成される。
【0028】
最も単純には、連結繊維ストランドは、効率的なコンタクト接続のために、導電性のエレメント、エネルギ放出繊維ストランド、および/またはコンタクト手段と、かつ/またはこれらの周りに、編み目を形成するように構成されていてよい。特に、フリンジ編、トリコット編、プレーンコード編(Tuch-Maschen)、サテン編、アトラス編、または開き目編み、もしくはビロード編みが好適であることが示されている。ここに挙げた全ての編み目形状によって、特に堅固で耐久性のある安定的で確実なコンタクト接続を形成することができ、同時に製造およびメンテナンスにおいて時間とコストが節約される。
【0029】
さらに、本明細書で説明される加熱テキスタイルが例えばノンクリンプファブリックとして形成されているならば、連結繊維ストランドが、接続すべき繊維ストランドの交点に直接的にかつ/または間接的にフリンジ編、トリコット編、サテン編、アトラス編、開き目編、ビロード編の形態で、編まれるかつ/またはループ形成されるまたは撚られることも考えられる。したがって、経糸ストランドと緯糸ストランドとの間の交点を、すなわち製造中の1つの作業ステップで、互いに堅固に接続することができる。
【0030】
コンタクト接続とは好適には、緯糸ストランドが経糸ストランドに、およびその逆に経糸ストランドが緯糸ストランドに、各交点において、これらを取り囲む編み目によって、コンタクト接続(導電接続)を形成し、これにより例えばエネルギの伝達を、好適には電気的にかつ/または熱の形態で、持続的に行うことができることを意味する。さらに、編み目形成は、可撓的な加熱テキスタイルの付加的な安定化をもたらす。
【0031】
これは勿論限定的に理解されるべきではなく、経糸ストランドおよび緯糸ストランドの別の組み合わせも可能である。
【0032】
さらに、エネルギ放出繊維ストランド、導電性のエレメントおよびコンタクト手段、および/または連結繊維ストランドのような、本明細書で説明される機能的な繊維ストランドが、加熱テキスタイル全体を固定していることも考えられる。
【0033】
さらなる構成は、従属請求項に記載されている。
【0034】
さらなる好適な実施形態では、加熱テキスタイルが、機能的な繊維ストランドの他に、経糸ストランドとしてかつ/または緯糸ストランドとして形成されている付加的な支持繊維ストランドを有していることが考えられる。このことは、互いに離間された導電性のエレメントの間に大きな自由平面が配置されていて、加熱テキスタイルの安定性が減じられている場合に特に好適である。この場合、さらなる支持繊維ストランドを緯糸ストランドとして設けると有利であることが示された。この支持繊維ストランドは、本明細書で説明される加熱テキスタイルを安定化させ、上記に挙げた材料から形成されていてよい。
【0035】
さらに支持繊維ストランドは、本明細書で説明される加熱テキスタイルの柔軟性を、同時に形状を保持しながら形成するために用いられる。好適には、支持繊維ストランドは、その都度の使用例に応じて、例えば湾曲形成される構成部分のために、加熱テキスタイルの曲げおよびドレープ形成を可能にする。支持繊維ストランドとも呼ぶことができるこのような形式の支持エレメントを、繊維ストランドの代わりにまたは繊維ストランドに対して補足的に、その後の加工において材料との接続を良好にするために役立つ補助糸から形成することも考えられる。
【0036】
さらなる好適な実施形態では、加熱テキスタイルは、ノンクリンプファブリック、織物、または編物として形成されている。編物またはノンクリンプファブリックとしての構成が製造において特に好適かつ簡単であることが示された。特に、加熱テキスタイルが編物として形成されていて、この場合、連結繊維ストランドが、別の繊維ストランドを互いに接続させる編み目として形成されている場合に、初めて格子構造を有する加熱テキスタイルを提供することができる。同時に、格子構造は、連結繊維ストランドを編むことにより特に堅固にかつ安定的に形成されている。さらに、連結繊維ストランドの編み目は、これに接続している繊維ストランドを少なくとも部分的に取り囲み、これにより個々の連結繊維ストランドと、これに接続する別の繊維ストランドとの間に殆ど隙間を有さない比較的コンパクトな結合が保証される。これにより初めて、例えばプラスチックによる加熱テキスタイルの可能なコーティング法の後でも、開放格子構造のさらなる保持が、ならびに連結繊維ストランドと、これに接続される別の繊維ストランドとの間のコーティング材料の削減が可能である。したがって、所定の破断個所、および個々の繊維ストランド間の余剰なプラスチックコーティング面が回避される。これにより、本明細書で初めて説明される加熱テキスタイルの品質の著しい向上が得られる。
【0037】
さらなる好適な実施形態では、コンタクト手段と導電性の繊維ストランドとの間には少なくとも1つの絶縁エレメントが配置されており、コンタクト手段は連結繊維ストランドを介して少なくとも1つの絶縁エレメントに直接的にかつ/または間接的に接続されている、もしくはコンタクト手段は連結繊維ストランドを介してかつ少なくとも1つの絶縁エレメントを介して、絶縁エレメントの下方に配置された導電性の繊維ストランドに直接的にかつ/または間接的に接続されている。
【0038】
絶縁エレメントは好適には、交点における短絡を回避するために、コンタクト手段と導電性のエレメントとの間を分離するために機能する。したがってさらに、連結繊維ストランドを、非導電性の材料から形成することが重要である。最も単純には、連結繊維ストランドと絶縁エレメントとは同じ材料から形成されていてよい。
【0039】
少なくとも1つの絶縁エレメントは、非導電性に形成されている少なくとも1種の、好適には複数種の絶縁材料を有している。連結繊維ストランドおよび/または絶縁エレメントのための材料は、例えばPES、その他のポリマ、例えばポリエチレンまたはポリプロピレン、天然繊維、例えば麻、亜麻、ケナフ、および/またはそれらの混合物が特に有利であることが示されている。
【0040】
これらの電気絶縁性材料では、加熱テキスタイルにおける絶縁エレメントの加工を特に簡単に実施することができる。少なくとも1つの絶縁エレメントをちょうどコンタクト手段と導電性の繊維ストランドとの間に挿入し配置することにより、コンタクト手段と導電性の繊維ストランドとは互いに効果的に分離される。簡単な固定のためには、コンタクト手段は、連結繊維ストランドによって、少なくとも1つの絶縁エレメントに直接固定される。さらに、少なくとも1つの絶縁エレメントを通してコンタクト手段の編み目形成を行い、その下に位置する導電性の繊維ストランドも編まれることも考えられる。これによりさらに良好な固定と安定性とが形成される。固定は、好適には経編み、緯編み、またはノンクリンプ加工により行うことができる。このために、絶縁エレメントは好適には平面状に、例えば不織材料として、またはプラスチックフィルムとしても形成されている。
【0041】
最も単純には、少なくとも1つの絶縁エレメントとのコンタクト手段の固定は、製造中に、経編みプロセス、緯編みプロセス、またはノンクリンプ加工プロセスにおける編み目形成を介して行われる。
【0042】
少なくとも1つの絶縁エレメントは、1つの実施例では、加熱テキスタイルの縦方向で一貫して形成されていてよい。
【0043】
しかしながらこれは限定的に理解されるべきではなく、したがって、少なくとも1つの絶縁エレメントを、導電性の繊維ストランドとコンタクト手段との交点にのみかつ/または交点において部分的に配置することも考えられる。絶縁エレメントがその機能を果たし、コンタクト手段と導電性の繊維ストランドとの間の望ましくない短絡またはコンタクトが回避されることが常に保証されていることが重要である。
【0044】
好適には、本明細書で説明される加熱テキスタイルのプラス極およびマイナス極を形成するコンタクト手段の両グループが互いに隣接して配置されていると特に好適であることが示されている。互いに隣接して配置されている、とは、互いの間隔がセンチメートル範囲であり、例えば0.2~10cmの間隔であると理解されてよい。このような隣接した配置により初めて、フレキシブルな加熱テキスタイルを、加熱機能を破壊することなく、その面積サイズにおいて個別に裁断することが可能となる。従来技術により、公知の加熱テキスタイルにおいて、プラス極とマイナス極とがそれぞれ、互いに大きく離間して、外側に位置する縁部に配置されていることが公知である。これにより、加熱テキスタイルの仕立てが大幅に制限され、個別の加熱テキスタイルサイズを製造するためには高い生産コストを要する。この問題は、プラス極とマイナス極とを初めて互いに隣接して配置すると同時に互いに分離して配置することにより、本明細書で説明される加熱テキスタイルにより初めて解決される。加熱テキスタイルの、プラス極およびマイナス極を越えて延在する側方の面は、自由に仕立てられてよい。例えば、プラス極およびマイナス極が、加熱テキスタイルの左側の縁部領域に配置されていることが考えられる。加熱テキスタイルの残りの面は、エネルギ放出繊維ストランドと導電性の繊維ストランドとによってのみ、オプションとしては支持繊維ストランドによっても形成されている。したがって、上記3種の繊維ストランドは全て、実際的な加熱機能を失うことなく容易に分離することができるので、維持されている残りの面は自由に仕立て可能である。
【0045】
さらに、プラス極およびマイナス極を中央の真ん中に配置することも考えられ、これにより、加熱テキスタイルの、プラス極およびマイナス極を越えて左側および右側に延在する側方の面を相応に仕立てることができる。
【0046】
代替的に、加熱テキスタイルの両縁部領域に、コンタクト手段のそれぞれ1つのグループを設けることも考えられる。これにより、グループ間の簡単な分離を行うことができ、両加熱テキスタイルは完全に機能する。
【0047】
さらなる好適な実施形態では、加熱テキスタイルは、繊維なしに形成されている少なくとも1つの第1の開口部を有している。この少なくとも第1の開口部は、絶縁エレメントが設けられていない場合には、好適には、プラス極とマイナス極との間に配置されている。好適には、開口部は、上述した絶縁エレメントの代替とみなされてよい。開口部は短絡の形成を阻止する。特に好適には、開口部は、プラス極とマイナス極との間の導電性の繊維ストランドを中断している。製造方法において、導電性の繊維ストランドが一貫して加熱テキスタイルに設けられているので、このことが必要である。さもないとすなわち繊維ストランドは、プラス極とマイナス極とに同時に接触することになる。短絡が生じることになる。これを回避するために、少なくとも1つの第1の開口部が設けられている。この開口部は、製造方法中に特に良好かつ迅速に設けることができる。
【0048】
最も単純には、開口部の製作は打抜きにより行われる。したがって、加熱テキスタイルで使用される全ての繊維ストランドは、経糸ストランドおよび緯糸ストランドとして設けられてよく、これにより製作は加速されると同時にコストが減じられる。
【0049】
さらに、コンタクト手段を導電性の繊維ストランドにコンタクトさせるために、加熱テキスタイルが付加的な第2の開口部を有していることが考えられる。この実施例では、導電性の繊維ストランドとコンタクト手段との間に絶縁エレメントが設けられている。絶縁エレメント自体が、この第2の開口部を有しているので、この開口部の制御された所定の位置で、コンタクト手段が、導電性の繊維ストランドと直接的なコンタクトを形成する。持続的な接続は、導電性の繊維ストランドとコンタクト手段との連結繊維ストランドによる密な編み目の形成により保証される。
【0050】
別の好適な実施形態では、経糸ストランドおよび緯糸ストランドは互いに30°~150°の角度を有している。これにより、好適には経糸ストランドおよび緯糸ストランドも互いに間隔を有しているので、相応の格子構造が形成されている。
【0051】
緯糸ストランドが互いに0.01mm~5cmの間隔を置いて配置されていると特に好適であることが示された。経糸ストランドは、好適にはE1~E50を目標とする精度で提供されてよい。これにより、開かれた貫通孔/貫通開口を備えた格子構造が生じ、この格子構造は、緯糸ストランドに対する経糸ストランドの離間により、もしくは経糸ストランドの相互の離間および緯糸ストランドの相互の離間により形成される。この格子構造は、加熱テキスタイルが後から、コーティング材料で、例えば水性のプラスチック溶剤でコーティングされるべき場合に、特に格子構造により、プラスチック溶剤が相応に液滴化され得るので、かつコーティング硬化後に格子構造も維持されるので、特に有利である。格子構造は、力を導出するために、かつ可能な材料にフレキシブルに埋め込むために有利である。格子構造は、本明細書で説明される加熱テキスタイルを特に良好に、かつ堅固に別の材料内に埋め込むことができることを保証する。
【0052】
さらなる好適な実施形態では、エネルギ放出繊維ストランドおよび/または導電性の繊維ストランドおよび/または支持繊維ストランドおよび/またはコンタクト手段は、絶縁性ではない導電性の材料、例えば金属または金属複合体、合金および合金複合体、有機材料、例えば炭素含有材料、導電性ポリマ、金属化された繊維ストランド、または無機材料、例えばガラス繊維、および/またはこれらの混合物から形成されている。エネルギ放出繊維ストランドでは、効果的な熱エネルギを発生させるために、エネルギ放出繊維ストランドが高い電気抵抗を有していると好適であることが示された。電流を供給する、すなわち導電性の繊維ストランドでは、特に銅、特殊鋼、銅合金、金、亜鉛、または銀被覆された銅のような材料が好適であることが示された。さらに、炭素含有材料、導電性ポリマとしてのPTC糸、および/または金属化されたテキスタイル繊維が考えられる。ここに挙げた材料も、面状の加熱テキスタイルとして好適には編まれて使用され得る。連結繊維ストランドは導電性には形成されていないことが常に考慮されることが重要である。
【0053】
さらに、本明細書で説明される加熱テキスタイルは、高オームの繊維および/または電源電圧により安全な低電圧で作動することを特徴とする。これは特に、過熱保護および電力消費のためにも極めて有利である。
【0054】
さらなる好適な実施形態では、加熱テキスタイルは、2次元的にかつ/または3次元的に形成されている。これにより、加熱テキスタイルの使用領域で高い柔軟性が形成されるので、特に好適である。
【0055】
加熱テキスタイルが、殆ど材料塗布が行われていない薄い構成部品に挿入されるべき場合には、平面状の2次元的な構成が有利である。格子エレメントとしての加熱テキスタイルの構成により、材料塗布が薄い場合でも、高い安定性と組込み安全性とが保証され得る。
【0056】
3次元的な加熱テキスタイルとしての構成は、これにより湾曲表面および構造が再現され、例えばシートクッションまたは敷物(マットレス等)での使用は付加的な利用分野を形成するので特に好適である。3次元的とは有利には、少なくとも1つのカバー面と少なくとも1つの底面とを備えた多層の加熱テキスタイルであると理解されてよい。両面は、同じかつ/または材料が異なる経糸ストランドおよび緯糸ストランドから、例えば緯編みファブリック、ノンクリンプファブリック、または経編みファブリックとして形成されている。
【0057】
さらに両面は、スペーサエレメントを介して互いに堅固に接続され、同時に互いに離間されている。使用可能なスペーサエレメントは、好適にはループパイルであってよく、これは例えば、経糸ストランドと緯糸ストランドとの各交点で、各面の一方に配置されている。ループパイルは両面を互いに接続する。その他に、ループ体、交絡体、ニット体、ノンクリンプファブリック等が考えられる。
【0058】
加熱テキスタイルとして形成されたこのような格子エレメントで、本明細書で説明される加熱テキスタイルが、カバー面および/または底面に組み込まれていると、加熱テキスタイルの3次元的構成では特に好適であることが示された。したがって、本明細書で説明される加熱テキスタイルは、3次元構成のカバー面および/または底面を、直接形成している。このような組込みは、製造中に既に行われ、特に簡単かつ安価に実施することができる。したがって、上述した加熱テキスタイルは、多層加熱テキスタイルのカバー面および/または底面を形成することができる。例えばエンドレススペーサ糸としての、スペーサエレメントの好適な構成により、複数のスペーサエレメントが形成されている。スペーサエレメントはその構成により、例えばばね機能を形成することができ、したがって3次元的な加熱テキスタイルに付加的な柔軟性および減衰機能を与えることができる。
【0059】
さらに相応の材料補強または単純に、底面とカバー面との間のスペーサも考えられる。テキスタイルヒータを3次元的な加熱テキスタイルに組み込むためには、個々の繊維ストランドを、上述したように、カバー面および/または底面に加工することが重要である。この場合、経編み法以外にも、ノンクリンプ加工法または緯編み法が特に好適であることが示されている。
【0060】
特に好適には、3次元的な加熱テキスタイルは、変化されていない初期形状において、すなわち何ら外的力の負荷をかけられていない状態で、全体で0.5~700mmの材料厚さを有している。1~50mmの範囲の材料厚さが特に好適であることが示されている。特に好適には、材料厚さ、すなわち底面とカバー面との間の互いの間隔は8mmである。このような特別な材料厚さにより初めて、加熱テキスタイルの十分な柔軟性が得られると同時に、経編み結合、ノンクリンプ結合、もしくは緯編み結合の安定性が維持される。さらに、交絡点、すなわち底面とカバー面との接続部が互いに合同に配置されていると有利である。これにより、特にスペーサエレメントが三日月形に延在している場合に、力を負荷した後、目標形状に、すなわち力が負荷されていない初期位置へと戻ることを可能とする高い戻し力が生じる。
【0061】
三日月形の延在以外に、底面とカバー面との間のスペーサエレメントの延在のジグザグ形状または鋸歯形状が設けられることも考えられる。さらに、六角形の中断部も形成されている。中断部の六角形状の配置および六角形状の構成の組み合わせにより、最大の耐荷重性と押込み強度、ならびに上方のカバー面の面積全体にわたる剪断安定性が提供される。
【0062】
特に好適には、1~3cm2の面積範囲に、互いに六角形状に配置された、六角形の6個の中断部が設けられており、中断部の寸法は、幅が1~4mmの範囲で、長さは1~10mmの範囲で形成されている。これは勿論、限定的に理解されるべきではなく、特にカバーの基礎では、より大きな中断部の寸法を設けることも考えられ、したがって中断部は、25~50cm2の面積範囲に、幅5~50mmの範囲および長さ10~80mmの範囲にある寸法を有することができる。
【0063】
勿論、中断部は、幅と長さとが同じ延在を有していてもよい。この場合も、上記の寸法は当てはまる。六角形状の構成は勿論、限定的に理解されるべきではないので、中断部が多角形であってもよく、例えば円形、方形、楕円形、菱形、正方形、三角形、またはその他の多角形の形状で形成されていてもよい。
【0064】
加熱テキスタイルの代替的な有利な構成では、連結繊維ストランドは部分的にエネルギ放出繊維ストランドに置き換えられ、この場合、もともとのエネルギ放出繊維ストランドは、支持繊維ストランドに置き換えられる。同時に、エネルギ放出繊維ストランドは、編み目を形成し、これにより、緯糸ストランドと経糸ストランドとがその交点で互いに密に結合されるように、緯糸ストランドが経糸ストランドに編まれるもしくは周囲に巻き付いて編み目を形成する。
【0065】
エネルギ放出繊維ストランドの編み目形成により、エネルギ放出繊維ストランドと導電性の繊維ストランドとの間に、緯糸ストランドと経糸ストランドとから成るノンクリンプファブリックの場合よりも、より多くのコンタクト点が形成される。これにより、エネルギ放出繊維ストランドと導電性の繊維ストランドとの間の電気的な接点抵抗が減じられ、このことは全体として、加熱テキスタイルの効率を向上させる。
【0066】
さらに本発明は、上述したような加熱テキスタイルの他に、このような加熱テキスタイルを製造する方法に関する。この方法は少なくとも、
a)経糸ストランドを供給するための少なくとも1つの経糸ストランド供給部を設けるステップ、
b)互いに離間されて配置された複数の緯糸ストランドを供給するための少なくとも1つの緯糸ストランド供給部を設けるステップ、
c)編み目状の結合を形成しながら、少なくとも1つの連結繊維ストランドを同時に経編みする、または緯編みする、またはノンクリンプ加工することにより、経糸ストランドと緯糸ストランドとを互いに連結するステップ、
を有している。
【0067】
本明細書で説明される方法は、格子エレメントの形態の技術的な加熱テキスタイルの製造を初めて記載しており、この場合、上述したように、緯糸ストランドと経糸ストランドとが互いに離間して、もしくは緯糸ストランドと経糸ストランドとが互いに離間して配置されていて、これにより貫通開口を有する格子構造が形成される。上記説明したように加熱テキスタイルとも呼ぶことができるこのような技術的な加熱テキスタイル格子は、経糸ストランドを緯糸ストランドに、または逆に緯糸ストランドを経糸ストランドに経編みする、緯編みする、またはノンクリンプ加工することにより形成され、この場合、これらストランドをその交点で互いに、少なくとも1つの連結繊維ストランドによって取り囲んで編み目を形成する、または編み込む。
【0068】
特に安定的な経編み結合は、少なくとも1つの連結繊維ストランドを、好適には束ねられて使用される/加工される複数の連結繊維ストランドを設けることにより形成される。好適には、連結繊維束は、経糸列ごとにそれぞれ1つのアイニードルを介してガイドされる。経糸ストランドと緯糸ストランドとの交点は、これにより互いに巻き付いて編み目を形成し、したがって互いに固定される。特に好適には、このような編み目の形成は、改善された糸の張力により制御され、これにより、加熱テキスタイルをその面でまずは張設するために、緯糸ストランドと経糸ストランドとは互いに接触して配置される。
【0069】
特別な場合、加熱テキスタイルの製造は、緯糸ストランドが支持繊維ストランドとして、かつ/または導電性の繊維ストランドとして形成され得るように行われる。経糸ストランドはこの場合、エネルギ放出繊維ストランドとしてならびにコンタクト手段として形成されていてよい。
【0070】
さらに、本明細書で説明される方法は、ステップb)とc)との間に実施される別の方法ステップを含んでいることが考えられる。さらなる好適な実施形態で記載されるようにこの別の方法ステップでは、経糸ストランドと緯糸ストランドとの間に少なくとも1つの絶縁エレメントを供給する。このステップは、少なくとも1つの絶縁エレメントの供給が、製造プロセス中に、すなわち後続の経編みと同時に実施されるので特に好適である。少なくとも1つの絶縁エレメントはこのために、好適には平面状に形成されていて、例えばフィード装置を介して相応に供給される。したがって、少なくとも1つの絶縁エレメントは、経糸ストランドの下方かつ緯糸ストランドの上方で加工プロセスに供給される。
【0071】
少なくとも1つの絶縁エレメントの供給と共に、次のステップでは、編み目形成が行われる。好適には複数の繊維ストランドを備えた連結繊維束として形成されている少なくとも1つの連結繊維ストランドが、下方から上方へとガイドされるニードルによって把持され、相応に編まれる。したがって、経糸ストランドおよび緯糸ストランドと、これらの間に位置する少なくとも1つの絶縁エレメントとの編み目形成が持続的かつ確実に実施されることが保証され得る。
【0072】
特に好適には、少なくとも1つの連結繊維ストランドを把持するために、アイニードルが下方から上方へと加工平面を貫通してガイドされる。この例では、経糸ストランド供給部も、供給される少なくとも1つの絶縁エレメントの上方に配置されていて、緯糸ストランド供給部は供給される少なくとも1つの絶縁エレメントの下方に配置されている。
【0073】
代替的な有利な方法では、連結繊維ストランドは部分的にエネルギ放出繊維ストランドに置き換えられ、この場合、もともとのエネルギ放出繊維ストランドは、支持繊維ストランドに置き換えられる。この場合、経糸ストランドと緯糸ストランドとは交点で互いに編まれるもしくは周囲に巻き付いて編み目を形成し、これにより、経糸ストランドと緯糸ストランドとがその交点で互いに密に結合される。エネルギ放出繊維ストランドは、それぞれ1つのアイニードルを介してガイドされ、これにより経糸ストランドと緯糸ストランドとの編み目形成は、予め規定可能な糸張力により制御されて行われる。
【0074】
さらに、この方法は、経編みされた、またはノンクリンプ加工された、または緯編みされた加熱テキスタイルを、製造方法のオプションとしてのステップで、平坦にかつ/または傾けて引き出すことを特徴とする。後からさらに別の処理ステップ、例えばコーティングを行うことができる加熱テキスタイルの物品引出しは、編み目強度にとって重要である。したがって、製造プロセス直後に傾けて行われる物品引出しは、この製造プロセスが経編みプロセスとして行われる場合には特に、比較的平坦な物品引出しの場合よりも著しく強固な編み目形成を提供する。
【0075】
それ以外に、例えばコーティングまたは仕立てのようなさらなる加工ステップも続くことができる。
【0076】
さらに、本発明は、上述したようなフレキシブルな加熱テキスタイルを製造するためのシステムおよび/または同じく上述したような製造方法を実施するためのシステムの権利も請求している。このために、システムは少なくとも以下の構成部分を有している:
a)加工平面の第2の側の上方でまたは第2の側で、経糸ストランドを供給するための経糸ストランド供給部、
b)加工平面の第1の側の下方にまたは第1の側に配置されている、緯糸ストランドを配置するための緯糸ストランド提供部と、少なくとも1つのスライダエレメントと、少なくとも1つの引下げエレメント、
c)少なくとも1つの連結繊維ストランドを、好適には複数の連結繊維束を、互いに結合すべき繊維ストランドの周囲の編み目の形態で、経編みするための、またはノンクリンプ加工するための、または緯編みするための少なくとも1つのニードル。
【0077】
本明細書で初めて説明されるシステムは、特に技術的なテキスタイル、特に本明細書で説明される機能的かつ技術的な加熱テキスタイルを製造するために開発されている。今や、技術的なテキスタイルを、緯編みプロセス、または経編みプロセス、またはノンクリンプ加工プロセスによって迅速かつ高品質で、時間を節約しながら製作することができる。本明細書に記載される例えばガラス繊維ストランド、導電性の繊維ストランド等のような技術的な繊維ストランドの加工は、これまで公知のテキスタイルシステムでは実施できなかった。公知のテキスタイルシステムはとりわけ、例えば木綿のような従来の繊維は、例えばPTC繊維のような完全に異なる特性を有しているので、とりわけ必要な繊維張力を維持することができなかった。
【0078】
さらなる好適な実施形態では、このシステムは、緯糸ストランドと経糸ストランドとの間に少なくとも1つの絶縁エレメントを供給するための少なくとも1つの供給装置を有しており、経糸ストランド供給部の少なくとも1つの自由端部に、製造プロセス中に絶縁エレメントを保持するための少なくとも1つの突出部が配置されている。
【0079】
このシステムは、上述した絶縁エレメントを使用する場合のシステムの特別な構成である。本明細書で初めて説明される、加熱テキスタイルを製造するためのシステムの構造により初めて、加工平面内でのコンパクトなプロセスで、確実かつ迅速な製品製造を行うことができる。特にこの場合、経糸ストランド供給部の少なくとも1つの端部に、好適には突起の形態の少なくとも1つの突出部が、少なくとも1つの絶縁エレメントを保持するために設けられていると好適である。すなわち連結繊維ストランド、緯糸ストランド、および経糸ストランドが、少なくとも1つの絶縁エレメントを通して編まれる間に、この突出部は、少なくとも1つの絶縁エレメントを、実質的に平坦に製造プロセス中に保持する。
【0080】
これにより、緯糸ストランドと絶縁エレメントとの間に1つの共通のコンタクト面が形成される。加工平面で、したがって製造過程中でも、特に経編みプロセス中に、少なくとも1つの絶縁エレメントを保持することにより、この絶縁エレメント上方に配置される経糸ストランド、およびこの絶縁エレメント下方に配置される緯糸ストランドを、特に確実に、大きな力をかけることなく互いに編むことができる。したがって、絶縁エレメントの望ましくない波打ちの形成は阻止される。
【0081】
さらなる好適なシステムの構成では、同上記c)の項目と同様に、少なくとも1つのエネルギ放出繊維ストランドを、好適には複数のエネルギ放出繊維束を、互いに結合すべき繊維ストランドの周囲の編み目の形態で、経編みするための、またはノンクリンプ加工するための、または緯編みするための少なくとも1つのニードルを有している。
【0082】
これは、本明細書で説明される機械もしくは本明細書で説明されるシステムによって初めて可能である。したがって要するに、相応の加熱テキスタイルを製造するための加工時間が著しく減じられ、個別化可能な仕立てを可能とする、特に効率的なシステムを提供することができる。本明細書で説明されるシステムにより初めて、平面において、および3次元的な空間においても互いに上下に、任意のサイズ比を、コンパクトな製造形式で、特に効率的に製造することができ実施することができる。
【0083】
最後に、本発明は、内装トリム、車両シートを加熱するために自動車室内での、プランターを直接温度管理するために温室での、これにより成長した植物を温度管理するために屋外での、例えばマットレス構成部分、スポーツマット構成部分、ヨガマット構成部分、またはリラクゼーションマット構成部分の形態の、シートクッション、敷物、またはマットとしての、本明細書で説明される加熱テキスタイルの使用にも関する。さらに本発明は、屋根および/または壁のような建物部分の加熱のために建築分野での、かつ/または繊維補強エレメントとしての、上述した加熱テキスタイルの使用にも関する。この場合、フレキシブルな加熱テキスタイルは、除氷のために働く、または型または構成部分の温度調節のためにも使用される加熱マットの機能を有することができる。特に好適には、組み込まれた加熱テキスタイルを備えた3次元的な格子エレメントを、コンクリート構成部分における補強エレメントとして付加的に設けることができる。これは、例えば橋の除氷の際に極めて有利である。
【0084】
可撓的とはこの場合、加熱テキスタイルが、最初の平坦な水平方向の平面から機能性または品質を損なうことなく、変位することができることを意味する。特にこの場合、水平から5°を超える変位であると理解されてよい。
【0085】
利点と有効性について、以下に図面につき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【
図1】本発明による加熱テキスタイルの第1の実施形態を示す概略的な平面図である。
【
図2】本発明による加熱テキスタイルの別の実施形態を示す概略的な平面図である。
【
図3】本発明による加熱テキスタイルの別の実施形態を示す概略的な平面図である。
【
図4】
図1~
図3の加熱テキスタイルを示す概略的な断面図である。
【
図5】組み込まれた本発明による加熱テキスタイルを含む3次元的な格子エレメント示す概略的な図である。
【
図6】加熱テキスタイルを製造するためのシステムを示す概略的な断面図である。
【
図7】加熱テキスタイルを製造するためのシステムを示す別の概略的な断面図である。
【
図8】3次元的な加熱テキスタイルを製造するためのシステムを示す別の図である。
【
図9】加熱テキスタイルを製造するための別のシステムを示す別の断面図である。
【
図10】組み込まれた加熱テキスタイルを含む別の3次元的な格子エレメントを形成するためのシステム示す断面図である。
【0087】
図1には、加熱テキスタイル1の第1の実施形態の概略的な平面図が示されており、この場合、Lは縦方向、すなわち搬送方向に相当し、Aは作業幅に相当する。補足的に、
図1~
図3に示した全ての図は、縦方向の最小繰り返しユニットのみを示していることに注意されたい。好適には、複数のこのユニットが加熱テキスタイル1の縦方向Lに沿って設けられている。縦方向Lでは、経糸ストランドが設けられており、作業幅Aの方向では緯糸ストランドが設けられている。
【0088】
加熱テキスタイル1は、縦方向Lに延在する0°繊維ストランドと、作業幅方向Aに延在する90°繊維ストランドとから形成されている。
【0089】
緯糸ストランドは、図示したように、最も単純な場合、経糸ストランドに対して角度αを成して延在している。緯糸ストランドは、加熱テキスタイル1を支持するために働き、かつ/または相応の導電性の繊維ストランド6a,6bを介して電気エネルギを供給するために働く。導電性の繊維ストランド6aはこの例ではマイナス極を形成している。マイナス極は、1つ以上の導電性の繊維ストランド6aまたは繊維ストランド束から形成される。これらは互いに離間して形成されている。導電性の繊維ストランド6bはプラス極を形成している。プラス極も、互いに離間して配置されている1つ以上の繊維ストランドまたは繊維ストランド束から形成されていてよい。
【0090】
さらに、2つのグループのコンタクト手段10a,10bが設けられている。
【0091】
経糸ストランドと緯糸ストランドとを互いに固定するために、連結繊維ストランド8が設けられている。固定は、図示したように好適には、編み目形成として、フリンジ、トリコット、プレーンコード、サテン、ビロード、アトラス、および開き目のグループから編み目の形態について選択され、形成されてよい。しかしながらこれは限定的に理解されるものではなく、固定は、巻き付け、ループ等を介して形成されてもよい。
【0092】
さらに、少なくとも1つの絶縁エレメント12が配置されている。絶縁エレメントは、導電性の繊維ストランド6a,6bとコンタクト手段10bとの間に配置されていて、これらを互いに分離している。コンタクト手段10a,10bは、好適には、コンタクト繊維ストランドとして形成されている。コンタクト手段10bも、連結繊維ストランド8を介して、絶縁エレメント12に接続されていて、例えば編み目形成されている、または経編みされている。補足的に、絶縁エレメント12の下側に配置された、導電性の繊維ストランド6a,6bは、編み目により把持されていてよく、これにより、絶縁エレメント12は堅固に、滑脱しないように、互いに分離すべき繊維ストランド10a,10bと6a,6bとの間に配置されている。したがって短絡の発生は効果的に阻止されている。
【0093】
プラス極とマイナス極との間の短絡を回避するために、繊維ストランドがない第1の開口部14が、導電性の繊維ストランド6bの高さに配置されている。同様にこのような開口部14は、コンタクト繊維ストランド10a,10bの両グループの間に位置している。最も単純には、開口部14は打抜き部として形成されている。付加的に加熱テキスタイル1の実施形態は、さらに別の開口部16を有している。この開口部は、コンタクト繊維ストランドグループ10bの下側に、導電性の繊維ストランド6bの高さで絶縁エレメント12に配置されている。この第2の開口部16も、打ち抜かれた穴として形成されている。この開口部は、導電性の繊維ストランド6bとのコンタクト手段10bのコンタクトのために機能する。しかしながら、このコンタクトは、開口部16の大きさおよび寸法のみで行われる。導電性の繊維ストランド6aは引き続き絶縁されたままである。
【0094】
最も単純には、コンタクト手段10a,10bは、リッツ線および/または複数の繊維ストランドをグループ化するテープとして形成されていてもよい。電源への接続は、市販のプラグを取り付けるために十分な数センチメートルの露出後に行われる。とりわけ、スプライシング、ろう接、または接着による給電ケーブルとのコンタクトも可能である。
【0095】
さらに、加熱テキスタイル1は、経糸ストランドとして、互いに離間されて設けられている、エネルギ放出繊維ストランド2を有していてよい。
【0096】
図2には、加熱テキスタイル1の別の実施例が示されている。これまでのものと同じ符号は、同じ構成部分に相当し、ここでは再度説明しない。
【0097】
図1とは異なり、
図2の加熱テキスタイル1は、両コンタクト手段グループ10a,10bの下側で面状に一貫して延在する拡大された絶縁エレメント12を示している。この実施例では、
図1の開口部16に加えて、さらに別の開口部16が形成されている。この開口部は、絶縁エレメント12において、導電性の繊維ストランド6aの高さでコンタクト手段10aの下方に形成されている。両開口部16のこの配置も、望ましくない短絡を阻止する。
【0098】
図1および
図2では、コンタクト手段10a,10bが互いに隣接して配置されている。これには、コンタクト手段10a,10bがその位置で固定されているという利点がある。経糸ストランドと、平面図で見てコンタクト手段10bの右側方で任意にさらに延在する緯糸ストランドとから成る加熱テキスタイルは、その作業幅Aで完全に個別に製造され、仕立てることができる。したがって、コンタクト手段10a,10bの隣接している配置により、加熱テキスタイルジオメトリの、従来技術において可能であるよりも著しく高度な柔軟性が提供される。
【0099】
図3には、加熱テキスタイル1の第3の実施例が示されている。この場合も、これまでのものと同じ構成部分は、同じ符号に相当し、ここでは再度説明しない。
【0100】
この加熱テキスタイル1も、経糸ストランドと緯糸ストランドとを有している。この実施例では、コンタクト手段10a,10bは、互いに大きく間隔を置いて、好適には加熱テキスタイル1の各縁部領域上にかつ/または各縁部領域内に、互いに対向して配置されている。この構成は絶縁エレメントなしで形成されている。短絡を阻止するために、この加熱テキスタイル1は、繊維ストランドのない2つの開口部14を有している。両開口部14はそれぞれ、導電性の繊維ストランド6a,6bを中断している。
【0101】
図4には、
図1の側面図(上)と、
図2の側面図(中)と、
図3の側面図(下)とが示されている。この図から、絶縁エレメント12は、異なるように配置されているか、全く設けられていないことがわかる。さらに、コンタクト手段10a,10bは、互いに様々な間隔を置いて配置されている。さらにこの図には、少なくとも1つの連結繊維ストランド8の、経編みのかつ/または緯編みのかつ/またはノンクリンプの編み目が示されている。経糸ストランドおよび緯糸ストランドの編み目はその交点で交差しており、したがって固定されていることが明らかである。絶縁エレメント12が設けられている場合、編み目は絶縁エレメント12を通って延在しており、したがって絶縁エレメント12は、経糸ストランド2と緯糸ストランド4との間に加工されている。
【0102】
特に、経糸ストランド2および緯糸ストランド4のみによって、すなわち絶縁エレメント12なしで、交点の編み目が形成される場合、各交点の周りにおける密な編み目ガイドが明らかである。少なくとも1つの連結繊維ストランド8の編み目のこのような密な配置により、繊維ストランドと編み目との間のほぼ全ての隙間は回避される。これは、このように製作された技術的なテキスタイル格子エレメントが、腐食防止として後からプラスチックで被覆される場合には特に、効果的であることが示されている。この被覆は、密な編み目形成により特に効果的に行われる。隙間に余剰な被覆材料が集積することは阻止され、これにより技術的な加熱テキスタイルの加工可能性および長期の耐久性が著しく高められる。望ましくない被覆材料の応力および破損も回避される。
【0103】
図5には、3次元的なテキスタイル20が示されていて、このテキスタイルは、スペーサ繊維ストランド40を含むカバー面44としてかつ/または底面46として組み込まれた、本明細書に記載した少なくとも1つの加熱テキスタイル1を有している。これまでのものと同じ符号は、同じ構成部分に相当し、再度説明しない。これによりまず、加熱機能を有した3次元的な技術的なテキスタイル20が形成されている。このテキスタイルは、道路建設において橋の除氷のために、テキスタイル保護を含む加熱エレメント、シートクッション、敷物またはマット、例えば、マットレス/スポーツマット、ヨガマットもしくはリラクゼーションマットのために、プランターまたは地面の植物の直接温度制御のために、または地上工事または地下工事における補強要素として、使用することができる。スペーサ繊維ストランド40は、離間エレメントとして理解され、例えば上述したように極繊維として形成されてよい。
【0104】
次に
図6には、加熱テキスタイル1を製造するために必要なシステムSの概略的な側面図が示されている。システムSは特に、緯糸ストランドを設けるための緯糸ストランド供給部(図示せず)を有している。緯糸ストランドとしてはこの場合、導電性の繊維ストランド6a,6bまたは支持繊維ストランド4であると理解されてよい。
【0105】
緯糸ストランドの上方には、少なくとも1つの経糸ストランド供給部22が配置されている。経糸ストランド供給部は、加工平面Bに経糸ストランドを供給する。この実施例では、コンタクト手段10a,10bならびにエネルギ放出繊維ストランド2が、経糸ストランド供給部を介して加工平面に供給される。
【0106】
さらに、加工平面Bの上方には、連結繊維ストランド8を提供する複数のアイニードル24が配置されている。
【0107】
編み目形成もしくは経編みまたはノンクリンプ加工または緯編みが行われる加工平面Bの下方には、ニードル26、引下げエレメント28、ならびにスライダエレメント30が配置されている。ニードル26はまず、下方から上方に向かって加工平面Bを貫通してガイドされ、これによりニードル26は加工平面Bの上側で、供給された連結繊維ストランド8を把持することができる。次いでニードル26は再び加工平面Bを貫通して下方へとガイドされ、ここで今度は、連結繊維ストランド8はスライダエレメント30を介して編まれる。
【0108】
オプションとして、この実施例ではさらに、少なくとも1つの絶縁エレメント12が導入される。供給は、ちょうど経糸ストランド層の下方かつ緯糸ストランド層の上方で行われる。したがって、絶縁エレメント12は、緯糸ストランドと経糸ストランドとの間に配置されている。最も単純には、少なくとも1つの絶縁エレメント12がフィード装置32を介して加工プロセスに供給される。フィード装置はこのために例えば、フィード張力を調節可能な複数の変向ローラを有していてよい。したがって、絶縁エレメント12が適切な速度で加工プロセスに供給されることが保証される。したがって、絶縁エレメント12の張力または波打ちの形成は阻止される。
【0109】
加工プロセスまたは製造プロセスの最後に、形成された加熱テキスタイルが引き抜かれる。これは、
図6に示したように、平坦に、例えば、この実施例では水平の加工平面Bに対して5~30°の角度で行うことができる。
【0110】
図7には、
図6と同様の構造が再度示されている。この場合も、同じ符号は同じ構成部分に相当する。しかしながら
図7では、加熱テキスタイル1の引出しが異なっている。引出しは、著しく大きく傾斜して行われ、例えば、水平の加工平面Bに対して35~75°の範囲で行われる。これにより、特に経編みプロセスが行われる場合には、連結繊維ストランド8により形成される編み目は、特に堅固に、接続すべき繊維ストランドの周りに引きつけられる。
【0111】
図8にはさらに、システムSの概略的な側面図が示されている。この場合も、同じ符号は、上述したものと同じ構成部分に該当する。
図1との相違点は、この場合、3次元的なテキスタイル20が製作されることにある。したがって緯糸ストランドの複数の層34が設けられ、これらの層は次いで、上述したように編み目形成され、連結繊維ストランド8によって経編みまたは緯編みまたはノンクリンプ加工される。3次元的なテキスタイル20の強度、すなわち厚さは任意に選択可能である。
【0112】
図9には、本明細書で説明する加熱テキスタイル1の別の実施形態を製造することができるシステムSの別の概略的な図が示されている。既に説明した構成部分に加えて、この実施例では、緯糸ストランドの下方にファイバーチップ36が供給される。ファイバーチップは、ファイバーチップ保持エレメント38によって位置決めされる。最も単純には、ファイバーチップ保持エレメント38は、ニードルホルダとして形成されていてよく、ファイバーチップ36を制御し、例えば平坦に加工平面Bに供給することができる。ファイバーチップとしては、天然ファイバーチップと、車両製造、風力発電、航空機製造および造船等で使用される繊維強化プラスチックのような合成ファイバーチップが考慮される。
【0113】
最後に、
図10には、加熱テキスタイル1の別の代替的な実施形態を形成することができるシステムSの別の概略的な図が示されている。この場合、加工平面Bは90°傾けられているので、実際の経編みプロセスまたは緯編みプロセスまたはノンクリンプ加工プロセスは鉛直方向で行われる。この実施例は、加工が水平の向きで行われる上述した例とは異なる。
【0114】
90°の緯糸導入を行う二重バー式編み機のここに図示した横断面では、以下の独自性を持った加熱テキスタイル1が製作される。経糸ストランド供給部22は、この場合、ガイドバーとして形成されていてよく、かつ経糸ストランド供給を行うように形成されてよい(
図6~
図9に類似)。経糸ストランド供給部により、エネルギ放出繊維ストランド2および/または連結繊維ストランド8が設けられる。テキスタイルを互いに結合させる、編み目形成のための繊維供給では、特にコンタクト手段10a,10bが、導電性の繊維ストランド6a,6bおよび/または支持繊維ストランド4に堅固に接触させられる。
【0115】
編み目形成のために、連結繊維ストランド8は、アイニードル24によって作業される。75mm2までのコンタクト手段10a,10bが15mm幅で、エネルギ放出繊維ストランド2の単一引込みと同時に行われる多重引込みによって加工されることが強調される。
【0116】
最も単純には打ち抜きにより形成されて、コンタクトのために使用される可変に設けられた開口部14または16を備えた絶縁エレメント12は、フィード装置32を介して供給される。この供給は、ボビンを備えた軸上に配置されていてよい、製品に応じた個々のリボンを介して行われる。
【0117】
導電性の繊維ストランド6a,6bは、場合によっては支持繊維ストランド4と交互に、アイニードル24に対して90°の角度をなして供給される。編み機および/またはノンクリンプ加工機では、緯糸導入は90°から±60°の範囲であってよい。
【0118】
エネルギ放出繊維ストランド2は、経糸ストランド供給部22によって供給される。コンタクト手段10a,10bを有する個所では、より高い方形を達成するために、糸供給において多重の引込みが行われる(E3~E44)。これらは、ニードルバーの直前に配置されている。経糸ストランド供給部22では、
図6~
図9に示されたものに類似のガイドバーによって、コンタクト手段10a,10bが平行に、エネルギ放出繊維ストランド2と共にバーで引き込まれる。エネルギ放出繊維ストランド2を、付加的にまたは同時に、ガイドバー24を介して加工プロセスへと供給することができる。
【0119】
スペーサ繊維ストランド40は、経編み法で、テキスタイル平面と編み目形成する。経糸ストランドは、スペーサ繊維ストランドが編み込まれているそれぞれ1つのテキスタイル面を形成する。
【0120】
本発明を、本明細書に記載した好適な実施例により詳しく図示し、説明したが、本発明は開示された例に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく、当業者により別の変化実施形態も導き出すことができる。特に本発明は、以下の特徴の組み合わせに限定されるものではなく、当業者には自明の実施可能な、示された特徴の別の組み合わせおよび部分組み合わせも形成され得る。
【符号の説明】
【0121】
1 加熱テキスタイル
2 エネルギ放出繊維ストランド
4 支持繊維ストランド
6a,6b 導電性の繊維ストランド
8 連結繊維ストランド
10a,10b コンタクト手段
12 絶縁エレメント
14,16 開口部
20 3次元のテキスタイル
22 経糸ストランド供給部
24 アイニードル
26 ニードル
28 引下げエレメント
30 スライダエレメント
32 フィード装置
34 層
36 ファイバーチップ
38 ファイバーチップ保持エレメント
40 スペーサ繊維ストランド
42 緯糸供給体
44 カバー面
46 底面
B 加工平面
S システム
L 縦方向
A 作業幅