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特許7377862プラスチック容器をブロー成形するための装置
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  • 特許-プラスチック容器をブロー成形するための装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】プラスチック容器をブロー成形するための装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/48 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
B29C49/48
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021523459
(86)(22)【出願日】2019-10-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-17
(86)【国際出願番号】 IB2019059289
(87)【国際公開番号】W WO2020089801
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2022-07-22
(31)【優先権主張番号】102018000009880
(32)【優先日】2018-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】516023722
【氏名又は名称】サクミ・イモラ・ソシエタ・コーペラティバ
【氏名又は名称原語表記】SACMI IMOLA S.C.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パッリネッロ,フィオレンツォ
(72)【発明者】
【氏名】ロッソ,アレッサンドロ
(72)【発明者】
【氏名】カルパナ,アンドレア
【審査官】▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-523082(JP,A)
【文献】特開2007-290772(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03348374(EP,A1)
【文献】特開平04-276424(JP,A)
【文献】特表2008-534323(JP,A)
【文献】特表2019-506316(JP,A)
【文献】国際公開第2017/144615(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0165285(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 49/00-49/80
B29C 33/00-33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック容器をブロー成形するための装置であって、主延在軸(100)の周りに延在する少なくとも1つの成形キャビティ(10)を規定する少なくとも1つのブロー成形ステーション(1)を備え、前記ブロー成形ステーション(1)は、前記ブロー成形ステーション(1)によって規定される成形キャビティ(10)ごとに、少なくとも2つの側方体(2a、2b)と、それぞれの底部(20)とを備え、前記ブロー成形ステーション(1)が、1つまたは複数のプリフォームの供給およびブロー成形された容器のアンロードが可能な開状態から、前記容器を得るために前記プリフォームのブロー成形が行われる閉状態に移行することができるように、前記少なくとも2つの側方体(2a、2b)のうちの一方および前記底部(20)は周期的な開閉手段によって命令に従って可動であり、前記底部(20)は、前記主延在軸(100)の周りに配置されている凹んだ中央部(21)と、側方収容部(22)とを規定し、前記底部(20)は、前記成形キャビティ(10)の内部に配置されている頭部(31)を規定する中央当接体(30)を備え、前記中央当接体(30)は、前記中央当接体(30)の前記頭部(31)と前記底部(20)のそれぞれの前記凹んだ中央部(21)との間の距離を変えることができるように、前記主延在軸(100)に実質的に平行な調整方向に沿って、調整手段(40)によって位置が調整可能であることを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記中央当接体(30)の前記頭部(31)は側方収容体(31a)を備え、前記側方収容体の内部に、前記成形キャビティ(10)に向けられた凹部を有する座部(31b)があることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記調整方向は前記主延在軸(100)に実質的に一致していることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記底部(20)の前記側方収容部(22)は、実質的に放射状の延在部を有する複数の花弁状領域(23)を備えることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記底部(20)は周方向の通気溝(24)を備え、前記周方向の通気溝は、前記底部(20)の前記側方収容部(22)において規定され、前記主延在軸(100)の周りに延在することを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記調整手段(40)には調整部(41)が設けられ、前記調整部(41)は、前記底部(20)に関連付けられ、前記成形キャビティ(10)に対して反対側に配置された前記底部(20)の外面に配置されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記底部(20)の前記外面と前記中央当接体(30)との間に配置される封止手段(32)を備えることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記中央当接体(30)は長尺体を有し、前記長尺体は、第1の長手方向端において前記頭部(31)を規定し、反対側の長手方向端において前記調整部(41)を規定することを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項9】
前記調整手段(40)は、前記中央当接体(30)と前記底部(20)との間にねじ-ナット結合を備えることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項10】
前記底部(20)は冷却回路と機能的に関連付けられることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記ブロー成形ステーション(1)は、25バール未満の圧力で前記容器のブロー成形を行うように適合されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチック容器をブロー成形するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
典型的に、プラスチック容器をブロー成形するためのそのような装置は、容器を形成するための1つ以上の成形キャビティを規定するブロー成形ステーションを備える。
【0003】
特に、ブロー成形ステーションは、ブロー成形ステーションによって規定される各キャビティを形成するための、2つの側方体と、それぞれの底部とを備える。
【0004】
成形ステーションが、1つまたは複数のプリフォームの供給およびブロー成形された容器の排出が可能な開状態から、容器を得るためにプリフォームのブロー成形が行われる閉状態に移行することができるように、側方体のうちの少なくとも一方は、底部と同様に、周期的な開閉手段によって命令に従って可動である。
【0005】
ブロー成形作業中は、空気が容器の適切な形成を妨げるため、金型から空気を排気する必要がある。
【0006】
そのような排気は通常、金型の内部と外部とを接続する排気ダクトを設けることによって達成される。
【0007】
多くの場合、容器をブロー成形するための装置は、たとえば、ブロー成形の圧力、プリフォームの重量、プリフォームの材料、およびプリフォームの温度などの多くの要因に依存する、非常にばらつきがある作業条件下で動作する。
【0008】
上述の作業条件にばらつきがあるため、多くの場合、成形容器に一定のばらつきが生じ、これらの容器は場合によっては不適合であり、いずれの場合も、必要な公差の限界にある。
【0009】
特に、底部の反転に関連した問題に遭遇する場合もあり、この問題は、過度に高くない(たとえば、約20バールに等しい)圧力でブロー成形を行うことが望まれる場合に顕著になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目標は、上述の態様の1つ以上において公知の技術を改善することができる、プラスチック容器をブロー成形するための装置を提供することである。
【0011】
この目標の中で、本発明の目的は、運転作業条件のばらつきおよび使用するプリフォームの特性のばらつきがあっても必要な要件を満たす容器を得ることができる、プラスチック容器をブロー成形するための装置を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、高信頼性の、実現が容易な、低コストの、プラスチック容器をブロー成形するための装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以下でより明らかになるであろうこの目標ならびにこれらのおよび他の目的は、従属請求項の特徴のうちの1つ以上を任意に備える、請求項1に記載のプラスチック容器をブロー成形するための装置によって達成される。
【0014】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面において非限定的な例として示されている、本発明に係るプラスチック容器をブロー成形するための装置の好ましいが排他的ではない実施形態の以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るプラスチック容器をブロー成形するための装置のブロー成形ステーションの全体斜視図である。
図2】中央当接体が第1の位置にある、対称面に沿った断面斜視図である。
図3】中央当接体が第2の位置にある、対称面に沿った断面斜視図である。
図4】底部を上から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面を参照して、本発明に係るプラスチック容器をブロー成形するための装置は、それぞれの主延在軸100の周りに延在する少なくとも1つの成形キャビティ10を規定する、全体が参照番号1で示されている少なくとも1つのブロー成形ステーションを備える。
【0017】
典型的に、ブロー成形ステーション10は、カルーセルの回転軸の周りを回転可能なカルーセルの周辺領域において支持され、ブロー成形ステーション1の長手方向の主軸100はカルーセルの回転軸と実質的に平行に配置される。
【0018】
この成形ステーション1または各成形ステーション1は、ブロー成形ステーション1によって規定される各キャビティ10を形成するための、少なくとも2つの側方体2a、2bと、それぞれの底部20とを備える。
【0019】
特に、成形ステーション1が、1つまたは複数のプリフォームの供給およびブロー成形された容器の排出が可能な開状態から、容器を得るためにプリフォームのブロー成形が行われる閉状態に移行することができるように、側方体2a、2bのうちの少なくとも一方および底部20は周期的な開閉手段によって命令に従って可動である。
【0020】
底部20は、主延在軸100の周りに配置されている凹んだ中央部21と、側方収容部22とを規定する。
【0021】
有利なことに、側方収容部22は、実質的に放射状の延在部を有する複数の花弁状領域23を備える。
【0022】
本発明によれば、底部20は、キャビティ10の内部に配置されている頭部31を規定する中央当接体30を備える。
【0023】
中央当接体30は、特に、当接頭部31と底部20のそれぞれの凹んだ中央部21との間の距離を変えることができるように、主延在軸100に実質的に平行な調整方向に沿って、調整手段40によって位置が調整可能である。
【0024】
実際には、調整手段40に作用することによって、ベースクリアランスBDを変えることができる。
【0025】
好都合なことに、当接頭部31は側方収容体31aを備え、側方収容体31aの内部に、キャビティ10に向けられた凹部を有する座部31bがある。
【0026】
好都合なことに、調整軸は主延在軸100に実質的に対応する。
好ましい実施形態によれば、底部20は周方向の通気溝24を備え、周方向の通気溝24は、上述の底部20の側方収容部22において規定され、主延在軸100の周りに延在する。
【0027】
当然のことながら、一体成形された底部、およびさらに高い圧力での成形に適合された底部など、従来の底部を使用してもよい。
【0028】
好都合なことに、調整手段40には調整部41が設けられ、調整部41は、底部20に関連付けられ、キャビティ10に対して反対側に配置された底部20の外面に配置される。
【0029】
有利なことに、底部20の外面と中央当接体30との間に封止手段32が配置される。
好ましくは、中央当接体30は長尺体を有し、長尺体は、第1の長手方向端において当接頭部31を規定し、第1の長手方向端と反対側の第2の長手方向端において調整部41を規定する。
【0030】
調整手段41は、たとえば、中央当接体30と底部20との間にねじ-ナット結合を備える。
【0031】
したがって底部は、長尺体の側面上に規定される雄ねじと係合可能なねじ穴を、実質的に調整軸において規定する。
【0032】
長尺体は第2の長手方向端に操作部を有し、ユーザはこの操作部において介入して長尺体を調整軸に沿ってずらすことにより、当接頭部31と底部20のそれぞれの凹んだ中央部21との間の距離を変えることができる。
【0033】
底部20は冷却回路と機能的に関連付けられる。
有利なことに、ブロー成形ステーションは、25バール未満の圧力、さらに好ましくは20バールの圧力で容器のブロー成形を行うように適合される。
【0034】
好都合なことに、ブロー成形ステーションは、15バール未満の圧力で容器のブロー成形を行うように適合される。
【0035】
本発明に係る装置の使用は以下の通りである。
ブロー成形による成形作業を開始する前に、当接頭部31が処理および製品の動作特性に理想的と考えられるベースクリアランスBCを規定するように位置決めされるように、中央当接体30が位置決めされる。
【0036】
ブロー成形ステーションによって製造された容器の分析によって問題または欠陥(たとえば、容器の底部の不適切な製造、または反転の問題)が明らかになった場合は、調整手段を介して当接頭部31の位置で介入することにより、特定の要件を満たすことができる容器が得られるまでベースクリアランスBCを拡大および/または縮小することができる。
【0037】
このように、ブロー成形の平均圧力をさらに大幅に低下させることにより、製造コストを削減することができる。
【0038】
実際には、本発明は、処理パラメータのばらつきがあっても、容器の成形処理を極めて実用的にすることができる装置を提供することによって、意図された目標および目的を完全に達成することが見出された。
【0039】
このように考案された本発明は多数の修正および変形が可能であり、それらはすべて、以下の特許請求の範囲内にある。さらに、すべての詳細は技術的に同等の他の要素に置き換えられてもよい。
【0040】
実際には、使用する材料(それらが特定用途に適合しているという条件で)、ならびに付随する寸法および形状は、要件および現行技術に従ったいずれかのものであり得る。
【0041】
本出願が優先権を主張するイタリア特許出願第102018000009880号の開示内容は、参照により本明細書に援用される。
【0042】
任意の請求項に記載の技術的特徴に参照符号がついている場合、それらの参照符号は、請求項を理解しやすくすることのみを目的として含まれており、したがって、そのような参照符号には、そのような参照符号によって一例として識別される各要素の解釈を限定する効果はない。
図1
図2
図3
図4