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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】実装装置及び実装装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/00 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021534486
(86)(22)【出願日】2019-07-24
(86)【国際出願番号】 JP2019029050
(87)【国際公開番号】W WO2021014615
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2021-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 光孝
(72)【発明者】
【氏名】大山 茂人
(72)【発明者】
【氏名】成田 春菜
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-209300(JP,A)
【文献】国際公開第2016/098184(WO,A1)
【文献】特開2014-041857(JP,A)
【文献】特開2005-005290(JP,A)
【文献】特開2011-009605(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品を保持する供給部から前記部品を採取し実装対象物に複数の前記部品を実装処理する実装部と、
前記実装対象物を撮像する撮像部又は前記実装対象物に実装された状態の部品の機能を測定する測定部を含み前記実装対象物に配置された複数の前記部品に対して検査処理する検査部と、
前記実装処理と前記検査処理とを繰り返し実行し、前記検査処理を行った検査結果が定まったのちに実装可能となる検査結果実装部品を実装する前のタイミングで不良である前記検査結果をまとめて作業者へ報知する制御部と、
を備えた実装装置。
【請求項2】
前記検査結果実装部品は、他の部品の配置領域に重複して配置される重複部品、希少性を有する希少部品、他の部品の配置位置に依存して実装される位置依存部品及び他の部品の実装状態での機能に依存して実装される機能依存部品のうち1以上である、請求項1に記載の実装装置。
【請求項3】
前記実装対象物は、複数の部品を配置する基板を複数内包したボードであり、前記ボードは、前記基板のそれぞれに同種の前記検査結果実装部品を実装するものであり、
前記制御部は、前記複数の基板へ前記検査結果実装部品をまとめて実装する前のタイミングで不良の前記検査結果をまとめて報知するか、または、前記基板ごとに前記検査結果実装部品を実装する前のタイミングで不良の前記検査結果をまとめて報知する、請求項1又は2に記載の実装装置。
【請求項4】
前記検査処理は、前記部品の配置の有無を検査する欠品検査、前記部品の位置ずれを検査する位置ずれ検査、前記部品の実装状態での機能を検査する機能検査のうち1以上を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の実装装置。
【請求項5】
前記制御部は、不良である前記検査結果をまとめて報知した後に作業完了の入力がある
まで待機する、請求項1~4のいずれか1項に記載の実装装置。
【請求項6】
複数の部品を保持する供給部から前記部品を採取し実装対象物に複数の前記部品を実装処理する実装部と、前記実装対象物を撮像する撮像部又は前記実装対象物に実装された状態の部品の機能を測定する測定部を含む検査部と、を備えた実装装置の制御方法であって、
(a)前記実装対象物に複数の前記部品を実装処理するステップと、
(b)前記実装対象物を撮像した撮像画像又は前記実装対象物に実装された状態の部品の機能を測定した測定結果を用いて検査処理を行った前記実装対象物の検査結果を取得するステップと、
(c)前記検査結果が定まったのちに実装可能となる検査結果実装部品を実装する前のタイミングで不良である前記検査結果をまとめて作業者へ報知するステップと、
を含み、
前記(a)~(c)の各ステップを繰り返し実行する、
実装装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、実装装置及び実装装置の制御方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、実装装置としては、搭載ヘッドが部品供給部より部品をピックアップしている間に、搭載ヘッドとは独立して移動自在に設けられた認識カメラによって部品搭載位置の認識を行うものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この実装装置では、部品搭載位置の検査(前検査又は後検査)を行いながら部品の搭載を実行できるようにして生産効率を向上させることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-206133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1の実装装置では、検査結果が不良であると判定されたあと、検査結果を報知するタイミングについては検討されていなかった。このため、この実装装置では、不良の検査結果が出るたびに、作業者が対処しなければならず、生産効率が低下する問題があった。また、実装装置では、検査結果が定まったのちに実装可能となる部品を実装処理することがある。このような部品を実装処理する際には、検査結果を報知するタイミングを検討する必要があった。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、より効率よく生産を実行することができる実装装置及び実装装置の制御方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示では、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の実装装置は、
部品を保持する供給部から前記部品を採取し実装対象物に実装処理する実装部と、
前記実装対象物に配置された前記部品に対して検査処理を行った検査結果を取得し、前記検査結果が定まったのちに実装可能となる検査結果実装部品を実装する前のタイミングで不良である前記検査結果を作業者へ報知する制御部と、
を備えたものである。
【0008】
この実装装置では、実装対象物に配置された部品に対して検査処理を行った検査結果を取得し、検査結果が定まったのちに実装可能となる検査結果実装部品を実装する前のタイミングで不良である検査結果を作業者へ報知する。一般的に、検査結果実装部品を実装する際には、不良の検査結果が出るたびに、作業者がその不良の検査結果の対処を行うことがある。これに対して、本開示の実装装置では、検査結果実装部品を実装する前のタイミングで不良である検査結果を作業者へ報知する、即ち、複数の不良検査結果がある場合でも、その実装前のタイミングでこれをまとめて作業者へ報知するため、作業者は、まとめてそれらの不良に対処することができる。したがって、この実装装置では、作業者の作業効率を高めることにより、より効率よく生産を実行することができる。ここで、「不良である検査結果」とは、実装位置のずれ量が許容範囲を超えた実装エラーの検査結果や、部品自体の機能が適切でないとの不良部品の検査結果を含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実装システム10及び実装装置15の一例を示す概略説明図。
図2】ボードDS及び基板Sの一例を示す説明図。
図3】実装検査報知処理ルーチンの一例を示すフローチャート。
図4】実装検査報知処理を説明する具体例としての基板S1~S3の説明図。
図5】実装処理と検査処理とを交互に実行する処理順リストの一例を示す説明図。
図6】実装処理後に検査処理を交互に実行する処理順リストの一例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本実施形態を図面を参照しながら以下に説明する。図1は、本開示である実装システム10及び実装装置15の一例を示す概略説明図である。図2は、ボードDS及び基板Sの一例を示す説明図である。なお、本実施形態において、左右方向(X軸)、前後方向(Y軸)及び上下方向(Z軸)は、図1に示した通りとする。
【0011】
実装システム10は、例えば、実装対象物としての基板Sに部品Pを実装処理する実装装置15が基板Sの搬送方向に配列された生産ラインとして構成されている。ここでは、実装対象物を基板Sとして説明するが、部品Pを実装するものであれば特に限定されず、3次元形状の基材としてもよい。この実装システム10は、図1に示すように、印刷装置11と、印刷検査装置12と、保管部13と、管理PC14と、実装装置15と、自動搬送車16と、ローダ18と、ホストPC60などを含んで構成されている。印刷装置11は、基板Sにはんだペーストなどを印刷する装置である。印刷検査装置12は、印刷されたはんだの状態を検査する装置である。
【0012】
ボードDSは、複数の基板Sを含む実装対象物である。このボードDSは、図2に示すように、部品Pa~Pdを同じ位置に配置した複数の基板S1~S3を含むものである。なお、ここでは、部品Pa~Pdを部品Pと総称し、基板S1~S3を基板Sと総称する。このボードDSは、実装処理、リフロー処理後に、表面に形成された溝で分割することにより、複数の基板Sを得ることができるものである。このボードDSにおいて、部品Pcは、部品Pa,Pbの上部に配設されるカバー部材である。この部品Pcは、部品Pa,Pbが正規の位置に配置されているとの検査結果が定まったのちに実装可能となる検査結果実装部品である。検査結果実装部品としては、例えば、他の部品Pの配置領域に重複して配置される重複部品、不良基板と共に廃棄されるのを避けたい高価な部品など希少性を有する希少部品、他の部品の配置位置に依存して実装される位置依存部品及び他の部品Pの実装状態での機能に依存して実装される機能依存部品などが挙げられる。なお、重複部品としては、他の部品を覆う部品や、他の部品上に配置される部品などが挙げられる。希少部品としては、例えば、汎用部品ではない特殊部品などがあげられる。位置依存部品としては、例えば、隣接する部品がずれると配置できなくなる部品などが挙げられる。機能依存部品としては、例えば、他の部品の抵抗値に合わせて装着される抵抗部品などが挙げられる。部品Pcは、他の部品Pa,Pbの配置領域に重複して配置される重複部品である。
【0013】
実装装置15は、部品Pを採取して基板Sへ実装させる装置である。また、この実装装置15は、基板Sの欠品や基板Sに配置された部品の状態を検査する実装検査処理を実行する機能を備えている。実装装置15は、基板処理部22と、部品供給部24と、採取撮像部25と、操作パネル27と、実装部30と、実装制御部40とを備える。実装制御部40は、CPU41を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、装置全体の制御を司る。実装制御部40は、記憶部42や検査部45を有している。記憶部42には、実装条件情報43や検査結果情報44などが記憶されている。実装条件情報43は、生産ジョブであり、部品Pの情報や部品Pを基板Sへ実装する配置順、配置位置、部品Pを採取するフィーダ25の装着位置などの情報が含まれている。また、実装条件情報43には、検査処理を行う基板Sの領域の規定や順番、検査処理を行う部品Pの順番などの情報が含まれている。検査処理としては、例えば、部品Pの配置の有無を検査する欠品検査、部品Pの位置ずれを検査する位置ずれ検査、部品Pの実装状態での機能(たとえば、抵抗値)を検査する機能検査などが挙げられる。ここでは、欠品検査及び位置ずれ検査を主として説明する。検査結果情報44は、基板Sに配置された部品Pの検査結果などを基板Sに対応づけて記憶される情報である。この検査結果情報44は、部品Pの実装処理時に作成され、検査処理後に更新される。この検査結果情報44は、ホストPC60へ送信され、生産管理用の基板情報データベースとして保存される。検査部45は、例えば、基板Sを撮像した画像と、予め用意された基準画像との差に基づいて基板Sや配置された部品Pの状態を検査する機能ブロックである。この実装制御部40は基板処理部22や部品供給部24、実装部30へ制御信号を出力する一方、基板処理部22や部品供給部24、実装部30からの信号を入力する。
【0014】
基板処理部22は、ボードDS(基板S)の搬入、搬送、実装位置での固定、搬出を行うユニットである。基板処理部22は、図2の前後に間隔を開けて設けられ左右方向に架け渡された1対のコンベアベルトによりボードDSを搬送する。基板処理部22は、このコンベアベルトを2対備えており、同時に2つの基板Sを搬送、固定することができる。部品供給部24は、実装部30へ部品Pを供給するユニットである。この部品供給部24は、部品Pを保持した保持部材としてのテープを巻き付けたリールを含むフィーダを1以上の装着部に装着している。また、部品供給部24は部品Pを複数配列して載置する保持部材としてのトレイを有するトレイユニットを備えている。トレイユニットでは、カバー部材である大型の部品Pcや、一般的な部品Pよりも高価であり希少性を有する希少部品など、特殊部品を供給する。
【0015】
採取撮像部25は、実装ヘッド32に採取され保持された状態の1以上の部品Pの画像を撮像する装置である。この採取撮像部25は、基板処理部22と部品供給部24との間に配置されている。この採取撮像部25の撮像範囲は、採取撮像部25の上方である。採取撮像部25は、部品Pを保持した実装ヘッド32が採取撮像部25の上方を通過する際、部品Pの画像を撮像し、撮像画像を実装制御部40へ出力する。実装制御部40は、この撮像画像によって、部品Pの形状及び部位が正常であるか否かの検査や、部品Pの採取時の位置や回転などのずれ量の検出などを実行することができる。
【0016】
実装部30は、部品Pを部品供給部24から採取し、基板処理部22に固定された基板Sへ配置するユニットである。実装部30は、ヘッド移動部31と、実装ヘッド32と、ノズル33と、検査撮像部34と、ノズル保管部35とを備えている。ヘッド移動部31は、ガイドレールに導かれてXY方向へ移動するスライダと、スライダを駆動するモータとを備えている。実装ヘッド32は、1以上の部品Pを採取してヘッド移動部31によりXY方向へ移動するものである。この実装ヘッド32は、スライダに取り外し可能に装着されている。実装ヘッド32の下面には、1以上のノズル33が取り外し可能に装着されている。ノズル33は、負圧を利用して部品Pを採取するものである。なお、部品Pを採取する採取部材は、ノズル33のほか部品Pを機械的に保持するメカニカルチャックなどとしてもよい。検査撮像部34は、実装ヘッド32の下方を撮像するカメラであり、例えば、基板Sに配置された部品Pを撮像するほか、基板Sに形成された基準マークや2Dコードなどを撮像する。この検査撮像部34は、実装ヘッド32が装着されるスライダの下面側に配設されており、実装ヘッド32の移動に伴い、XY方向に移動する。検査撮像部34は、部品Pが配置されたボードDSに含まれる複数の基板S(図2参照)のうち1以上の画像データを実装制御部40へ出力する。実装制御部40は、検査部45により、この画像データを解析し、検査結果を出力する。また、検査撮像部34は、基板Sの上面に形成されたコードを撮像する。実装制御部40は、この撮像画像に含まれるコードに基づいて基板Sを特定することができる。
【0017】
保管部13は、実装システム10で用いられる部材を一時的に保管する保管場所である。保管部13に保管される部材は、例えば、フィーダや、実装ヘッド32、ノズル33、はんだカートリッジ、スクリーンマスク、基板支持用のバックアップピンなどが挙げられる。保管部13は、印刷検査装置12と実装装置15との間の搬送装置の下部に設けられている。なお、保管部13では、自動搬送車16により部材が運ばれるほか、作業者により部材が運ばれてもよい。管理PC14は、保管部13にある部材の管理を行う装置である。自動搬送車16は、実装システム10で用いられる部材を図示しない倉庫と保管部13との間で自動搬送するものである。倉庫には、フィーダや他の部材などが保管されている。ローダ18は、移動型作業装置であり、実装システム10の正面の移動領域内(図1の点線参照)でX軸レール19に沿って移動し、実装装置15のフィーダ25など、実装処理に必要な部材などを自動で回収及び補給する装置である。
【0018】
ホストPC60(図1参照)は、実装システム10の各装置が用いる情報、例えば、実装条件情報43を複数含む生産計画データベースや、検査結果情報44を複数含む基板情報データベースなどを記憶、管理するサーバとして構成されている。
【0019】
次に、こうして構成された本実施形態の実装システム10の動作、まず実装装置15が部品Pを基板Sへ実装する処理について説明する。ここでは、説明の便宜のため、ボードDSへの部品Pの実装処理を基板Sへの部品Pの実装処理と同等なものとして説明する。図3は、実装装置15の実装制御部40のCPU41により実行される実装検査報知処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、実装装置15の記憶部42に記憶され、作業者による開始指示により実行される。このルーチンを開始すると、まず、CPU41は、今回生産する基板Sの実装条件情報を読み出して取得する(S100)。CPU41は、ホストPC60から取得して記憶部42に記憶された実装条件情報43を読み出すものとする。次に、CPU41は、基板処理部22にボードDSを実装位置まで搬送させ、固定処理させる(S110)。次に、CPU41は、採取する対象の部品を実装条件情報43に基づいて設定し(S120)、予め設定された位置のフィーダやトレイユニット5から部品Pを実装ヘッド32に採取させ、ボードDSに含まれる基板Sの配置位置に配置させる(S130)。
【0020】
次に、CPU41は、検査タイミングであるか否かを実装条件情報43に予め設定された処理順に基づいて判定する(S140)。検査タイミングであるときには、CPU41は、検査処理を実行し(S150)、検査結果を検査結果情報44に記憶する(S160)。検査処理では、CPU41は、検査する部品Pが配置された領域へ実装ヘッド32を移動させ、検査撮像部34にその領域を撮像させる。その撮像画像と、基準画像とを検査部45が比較することにより、部品Pの欠品や、部品Pの位置ずれ量、部品Pの回転ずれ量などを検出する。その後のリフロー処理などのあと、部品Pが適正な位置に固定される許容値を予め経験的に定めておき、CPU41は、位置ずれ量や回転ずれ量がこの許容値を超えているときには、この部品Pを不良部品(NG)に判定する。CPU41は、この判定結果を検査結果として検査結果情報44に記憶する。検査撮像部34の撮像領域に検査処理すべき部品Pが複数ある場合は、CPU41は、この処理を繰り返し実行する。
【0021】
次に、CPU41は、検査処理が終了したか否かを実装条件情報43の情報に基づいて判定し(S170)、検査処理が終了していないときにはS150以降の処理を実行する。一方、検査処理が終了したあと、または、S140で検査タイミングでないときには、CPU41は、検査結果実装部品の実装処理前のタイミングであるか否かを判定する(S180)。検査結果実装部品は、例えば、部品Pcのように、他の部品Pの検査結果が定まったのちに実装可能となる部品をいう。CPU41は、実装条件情報43に基づき、次が検査結果実装部品であるか否かによって、この判定を実行する。検査結果実装部品の実装処理前のタイミングでないときは、CPU41は、現基板S(ボードDS)の実装処理が終了したか否かを判定し(S220)、実装処理が終了していないときには、S120以降の処理を実行する。即ち、CPU41は、次に実装する部品Pを設定し、実装部30に採取、移動、配置させ、必要に応じて検査撮像部34及び検査部45に検査処理を実行させる。
【0022】
一方、S180で、検査結果実装部品の実装処理前のタイミングであるときには、CPU41は、検査結果情報44を読み出し、前回の検査結果実装部品の実装処理前のタイミングから現在までの間に検査結果が不良(NG)である部品Pがあるか否かを判定する(S190)。不良である部品Pがないときには、CPU41は、特に作業者に報知せずS220以降の処理を実行する。一方、不良である部品Pがあるときには、CPU41は、該当する部品Pの検査結果の情報をまとめて作業者へ報知し(S200)、その状態で待機する。CPU41は、検査結果の情報を操作パネル27に表示処理するものとする。なお、CPU41は、表示処理のほか、音や警告ランプの点灯などにより作業者へ報知してもよい。作業者は、操作パネル27の表示内容に基づいて、基板Sの不良である部品Pの位置などを修正し、操作部29を操作して、作業完了の入力を行う。CPU41は、作業完了した旨の情報を操作パネル27から取得したか否かを判定し(S210)、作業完了の情報を取得していないときには、そのまま待機する。一方、S210で作業完了の情報を取得すると、S150以降の処理を実行する。即ち、CPU41は、修正された部品Pに対して検査処理を行い、検査結果を更新させ、検査結果が許容値以内であれば、次の検査結果実装部品の実装処理を実行する。
【0023】
一方、S220で現基板Sの実装処理が終了したときには、CPU41は、実装終了した基板S(ボードDS)を基板処理部22によって排出させ(S230)、実装条件情報43に設定されているすべての基板Sの生産が完了したか否かを判定する(S240)。すべての基板Sの生産が完了していないときには、CPU41は、S110以降の処理を実行する一方、すべての基板Sの生産が完了したときには、このルーチンを終了する。
【0024】
ここで、上述した実装検査報知処理の具体例について説明する。図4は、実装検査報知処理を説明する具体例としての基板S1~S3の説明図である。図5は、実装処理と検査処理とを交互に実行する処理順リストの一例を示す説明図である。また、図6は、実装処理後に検査処理を交互に実行する処理順リストの一例を示す説明図である。図4は、基板S1~S3のそれぞれに同種の検査結果実装部品Pcを実装する一例である。図5は、複数の基板S1~S3へ検査結果実装部品Pcをまとめて実装する前のタイミングで不良の検査結果を報知する一例である。また、図6は、基板S1~S3ごとに検査結果実装部品Pcを実装する前のタイミングで不良の検査結果を報知する一例である。図4に示すように、CPU41は、部品Pa~Pdに付された番号の順に実装処理や検査処理を行うものとする。また、図5、6では、実装ヘッド32は、1度の採取配置において、部品Paを4つ採取可能であり、部品Pb,Pdを2つ採取可能であり、部品Pcを1つ採取可能であるものとした。なお、説明の便宜のため、図5,6では、部品Pdの検査処理は省略した。
【0025】
図5に示すように、CPU41は、部品Pa1~4を採取配置したのち、部品Pa1~4の検査処理を実行し、検査結果を検査結果情報44に記憶する。同様に、CPU41は、部品Pa5~8を採取配置したのち、この検査処理を実行し、部品Pa9~12を採取配置したのち、この検査処理を実行し、検査結果を検査結果情報44に記憶する。また、CPU41は、部品Pb1~2を採取配置したのち、この検査処理を実行し、部品Pb3~4を採取配置したのち、この検査処理を実行し、部品Pb5~6を採取配置したのち、この検査処理を実行し、検査結果を検査結果情報44に記憶する。更に、CPU41は、部品Pd1~6を採取配置する。そして、シーケンス番号M24のあと、CPU41は、検査結果実装部品Pcの実装処理前のタイミングであるため(S180)、不良の部品Pをまとめて作業者へ報知する(S200)。例えば、不良部品の発生のたびにその情報を作業者へ報知するものとすると、作業者は、図5のシーケンス番号C1,C12,C13,C15で作業が生じることになり、何度も該当する実装装置15へ出向くことになる。また、実装装置15においても、シーケンス番号C1,C12,C13,C15で処理が中断される。一方、図5の例では、作業者は、シーケンス番号M24のときにまとめて情報が報知されるので、すべての不良部品に対してまとめて作業することができ、極めて効率がよい。また、図5の例では、実装装置15においても、不良である部品Pが検出されても連続して実装処理を継続することができ、シーケンス番号M24においてのみ処理が中断するので、極めて効率がよい。更に、図5の例では、検査処理後に実装処理へ切り替える前に不良報知する場合に比しても、不良報知する頻度が低く、極めて効率がよい。
【0026】
図6に示すように、CPU41は、部品Pa1~12を採取配置したのち、部品Pb1~6を採取配置し、部品Pd1~6を採取配置する。次に、CPU41は、基板S1の部品Pa1~4、Pb1~2について検査処理し、シーケンス番号C6のあと、検査結果を作業者へ報知し(S200)、部品Pc1を採取配置する。続いて、CPU41は、基板S2の部品Pa5~8、Pb3~4について検査処理し、シーケンス番号C12のあと、検査結果を作業者へ報知し(S200)、部品Pc2を採取配置する。そして、基板S3の部品Pa9~12、Pb5~6について検査処理し、シーケンス番号C18のあと、検査結果を作業者へ報知し(S200)、部品Pc3を採取配置する。例えば、不良部品の発生のたびにその情報を作業者へ報知するものとすると、作業者は、図6のシーケンス番号C1,C5,C11,C16で作業が生じることになり、何度も該当する実装装置15へ出向くことになる。また、実装装置15においても、シーケンス番号C1,C5,C11,C16で処理が中断される。一方、図6の例では、作業者は、シーケンス番号C6,C12,C18のときにまとめて情報が報知されるので、不良部品に対してまとめて作業することができ、効率がよい。また、図6の例では、実装装置15においても、不良である部品Pが検出されても連続して実装処理を継続し、シーケンス番号C6,C12,C18において比較的まとめて処理が中断するので、効率がよい。
【0027】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の実装部30が実装部に相当し、実装制御部40が制御部に相当し、検査撮像部34が検査撮像部に相当し、検査部45が検査部に相当し、部品Pcが検査結果実装部品に相当する。なお、本実施形態では、実装装置15の動作を説明することにより本開示の実装装置の制御方法の一例も明らかにしている。
【0028】
以上説明した本実施形態の実装装置15では、実装対象物としての基板Sを撮像した撮像画像を用いて検査処理を行った検査結果を取得し、検査結果が定まったのちに実装可能となる検査結果実装部品Pcを実装する前のタイミングで、部品Pの配置不良である検査結果を作業者へ報知する。一般的に、検査結果実装部品を実装する際には、不良の検査結果が出るたびに、作業者がその不良の検査結果の対処を行うことがある。これに対して、この実装装置15では、検査結果実装部品を実装する前のタイミングで不良である検査結果をまとめて作業者へ報知するため、作業者は、まとめてそれらの不良に対処することができる。したがって、この実装装置15では、作業者の作業効率を高めることにより、より効率よく基板Sの生産を実行することができる。また、実装装置15では、実装装置15の一時的な停止もより抑制することができるため、より効率よく基板Sの生産を実行することができる。
【0029】
また、実装装置15は、基板Sを撮像する検査撮像部34を備え、実装制御部40は、検査撮像部34の撮像画像を用いて実装対象物の検査処理を実行するものとしてもよい。この実装装置では、検査機能を備えており、検査処理を行いつつ実装処理を実行することができるため、より効率よく生産を実行することができる。更に、検査結果実装部品は、他の部品の配置領域に重複して配置される重複部品であり、検査結果に依存して実装可能になるものであり、実装する前のタイミングで不良である検査結果を作業者へ報知することによって、より効率よく生産を実行することができる。更にまた、実装対象物は、内包される複数の基板Sのそれぞれに同種の検査結果実装部品Pcを実装するボードDSであり、実装制御部40は、複数の基板Sへ検査結果実装部品Pcをまとめて実装する前のタイミングで不良の検査結果を報知するか、または、基板Sごとに検査結果実装部品Pcを実装する前のタイミングで不良の検査結果を報知する。この実装装置15では、複数の基板Sへ検査結果実装部品Pcをまとめて実装する前のタイミングで検査結果を報知するときには、ボードDSでまとめて不良の検査結果を報知することができ、より効率がよい。また、基板Sごとに検査結果実装部品Pcを実装する前のタイミングで検査結果を報知するときには、基板Sごとにまとめて不良の検査結果を報知することができる。そしてまた、実装装置15では、検査処理は、部品Pの配置の有無を検査する欠品検査、部品Pの位置ずれを検査する位置ずれ検査、部品Pの実装状態での機能を検査する機能検査のうち1以上であり、これらの検査を行ったのち実装可能となる部品において、より効率よく生産を実行することができる。
【0030】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0031】
例えば、上述した実施形態では、実装装置15は、検査撮像部34を備え、撮像画像に基づいて検査機能を有するものとしたが、特にこれに限定されず、部品Pの検査を行うものがあればよい。例えば、実装装置15は、部品Pの機能値を測定する測定部とし、機能値を用いて検査処理を行うものとしてもよい。この実装装置15でも、より効率よく基板Sの生産を実行することができる。また、上述した実施形態では、検査処理を、欠品検査及び位置ずれ検査としたが、機能検査としてもよい。
【0032】
上述した実施形態では、検査結果実装部品は、他の部品Pと重複した領域へ実装されるものを一例として説明したが、特にこれに限定されず、希少部品や位置依存部品、機能依存部品などとしてもよい。
【0033】
上述した実施形態では、複数の基板Sを含むボードDSを実装対象物として説明したが、基板Sを実装対象物としてもよい。なお、ボードDSでは、検査結果実装部品を複数含むため、より効率よく基板Sの生産を実行する効果をより多く受けられる。
【0034】
上述した実施形態では、本開示を実装装置15として説明したが、実装装置の制御方法や、この制御方法を実現するプログラムとしてもよい。
【0035】
ここで、本開示の実装装置、情報処理装置及び実装方法は、以下のように構成してもよい。例えば、本開示の実装装置は、前記実装対象物を撮像する撮像部を備え、前記制御部は、前記撮像部の撮像画像を用いて前記実装対象物の検査処理を実行するか、又は、前記実装対象物に実装された状態の部品の機能を測定する測定部を備え、前記制御部は、前記測定部の測定結果を用いて前記実装対象物の検査処理を実行するものとしてもよい。この実装装置では、検査機能を備えており、検査処理を行いつつ実装処理を実行することができるため、より効率よく生産を実行することができる。
【0036】
本開示の実装装置において、前記検査結果実装部品は、他の部品の配置領域に重複して配置される重複部品、希少性を有する希少部品、他の部品の配置位置に依存して実装される位置依存部品及び他の部品の実装状態での機能に依存して実装される機能依存部品のうち1以上であるものとしてもよい。重複部品や、希少部品、位置依存部品、機能依存部品は検査結果に依存して実装可能になるものであり、実装する前のタイミングで不良である検査結果を作業者へ報知することによって、より効率よく生産を実行することができる。
【0037】
本開示の実装装置において、前記実装対象物は、部品を配置する基板を複数内包したボードであり、前記ボードは、前記基板のそれぞれに同種の前記検査結果実装部品を実装するものであり、前記制御部は、前記複数の基板へ前記検査結果実装部品をまとめて実装する前のタイミングで不良の前記検査結果を報知するか、または、前記基板ごとに前記検査結果実装部品を実装する前のタイミングで不良の前記検査結果を報知するものとしてもよい。この実装装置では、複数の基板へ検査結果実装部品をまとめて実装する前のタイミングで検査結果を報知するときには、ボードでまとめて不良の検査結果を報知することができ、より効率がよい。また、基板ごとに検査結果実装部品を実装する前のタイミングで検査結果を報知するときには基板ごとにまとめて不良の検査結果を報知することができる。
【0038】
本開示の実装装置において、前記検査処理は、前記部品の配置の有無を検査する欠品検査、前記部品の位置ずれを検査する位置ずれ検査、前記部品の実装状態での機能を検査する機能検査のうち1以上を含むものとしてもよい。この実装装置では、欠品検査、位置ずれ検査及び機能検査を行ったのち実装可能となる部品において、より効率よく生産を実行することができる。
【0039】
本開示の実装装置の制御方法は、
部品を保持する供給部から前記部品を採取し実装対象物に実装処理する実装部を備えた実装装置の制御方法であって、
(a)前記実装対象物を撮像した撮像画像を用いて検査処理を行った前記実装対象物の検査結果を取得するステップと、
(b)前記検査結果が定まったのちに実装可能となる検査結果実装部品を実装する前のタイミングで不良である前記検査結果を作業者へ報知するステップと、
を含むものである。
【0040】
この実装装置の制御方法では、上述した実装装置と同様に、作業者は、複数の不良検査結果をまとめて対処することができるため、作業者の作業効率を高めることにより、より効率よく生産を実行することができる。なお、この実装装置の制御方法において、上述した実装装置の態様を採用してもよいし、上述した実装装置の機能を発現するステップを含むものとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本開示の実装装置及び実装装置の制御方法は、電子部品の実装分野に利用可能である。
【符号の説明】
【0042】
10 実装システム、11 印刷装置、12 印刷検査装置、13 保管部、14 管理PC、15 実装装置、16 自動搬送車、18 ローダ、19 X軸レール、22 基板処理部、24 部品供給部、25 採取撮像部、27 操作パネル、28 表示部、29 操作部、30 実装部、31 ヘッド移動部、32 実装ヘッド、33 ノズル、34 検査撮像部、35 ノズル保管部、40 実装制御部、41 CPU、42 記憶部、43 実装条件情報、44 検査結果情報、45 検査部、60 ホストPC、DS ボード、P,Pa~Pd 部品、S 基板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6