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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】流体加工材料を出力するための装置
(51)【国際特許分類】
   E04G 21/04 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
E04G21/04
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021557493
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-14
(86)【国際出願番号】 EP2020058290
(87)【国際公開番号】W WO2020193601
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-09-09
(31)【優先権主張番号】102019107833.4
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510312961
【氏名又は名称】プッツマイスター エンジニアリング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】フート トビアス
(72)【発明者】
【氏名】リーガー トラウゴット
【審査官】櫻井 茂樹
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第104929661(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0117219(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1439028(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第106639324(CN,A)
【文献】特開2001-012079(JP,A)
【文献】実開昭59-109861(JP,U)
【文献】特開2003-253684(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C64/00-64/40
67/00-67/08
67/24-69/02
73/00-73/34
B29D 1/00-29/10
33/00
99/00
B33Y10/00-99/00
E04G21/00-21/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体加工材料、特にコンクリート、モルタル、石膏、又は石英砂と混合された接着剤の形態の加工材料を出力するためのトラック搭載型コンクリートポンプであって、
関節式ブームとして設計され、継手(20、20’、20’’、20’’’)で互いに接続された複数のブームアーム(22、22’、22’’、22’’’)を含む分配ブーム(18)であって、パイプベンド(27)及び回転カップリング(66)によって互いに継手接続され、個々の前記ブームアーム(22、22’、22’’、22’’’)に沿って案内され、それに固定されている複数のパイプセグメント(25)からなる加工材料供給ライン(26)を有する分配ブーム(18)と、
ピストンポンプ又はロータホースポンプとして設計され、材料供給容器(31)から前記加工材料供給ライン(26)への前記加工材料の供給と、前記加工材料供給ライン(26)内の前記加工材料を搬送するために用いられる加工材料コンベヤポンプ(30)と、
前記分配ブーム(18)に受けられ、前記加工材料を出力するための装置を有するツール(32)と、を備えるトラック搭載型コンクリートポンプにおいて、
前記ツール(32)は、前記加工材料供給ライン(26)から前記加工材料を流入でき、前記加工材料供給ライン(26)を介してパルス方式で供給される加工材料の緩衝のための受容容積を具備する緩衝容器(34)と、
前記緩衝容器(34)から供給される加工材料を出力位置にて出力するための出力要素(36)と、
前記緩衝容器(34)から前記出力要素(36)への前記加工材料の連続供給のための搬送装置(38)と、を有し、
前記搬送装置(38)は、前記緩衝容器(34)の底部の開口部を介して前記緩衝容器(34)の前記受容容積に接続され、前記出力要素(36)と連絡する空洞(44)を具備するケーシング(42)を有し、
前記出力要素(36)への前記加工材料の連続供給のための少なくとも1つのスクリューコンベヤ(46)が、前記空洞(44)内に配置され、
前記ツール(32)は、前記分配ブーム(18)上の回転継手(50)に回転可能に取り付けられ、前記回転継手(50)に接続された保持アーム(54)と、前記保持アーム(54)上の前記加工材料を出力するための装置を、回転軸(52)の周りに移動するための駆動手段とを有し、
前記駆動手段は、ブームアーム(22)に接続された油圧シリンダ(56)を有し、
前記油圧シリンダ(56)はまた、前記保持アーム(54)に接続された偏向レバー配列(58)にて、前記ブームアームに対して前記保持アーム(54)を回転するための駆動部に作用し、
前記偏向レバー配列(58)は、前記ブームアーム(22)に、さらなる水平回転軸(65)を中心に回転可能に取り付けられたリンク配列(64)上の第1水平回転軸(60)を含む回転継手(62)に受けられており、
前記偏向レバー配列(58)は、前記油圧シリンダ(56)から導入された前記第1水平回転軸(60)周りのトルクを前記保持アーム(54)に伝達することを特徴とするトラック搭載型コンクリートポンプ。
【請求項2】
前記搬送装置(38)は、圧縮空気コンベヤとして設計されることを特徴とする請求項1に記載のトラック搭載型コンクリートポンプ。
【請求項3】
前記出力要素(36)は、前記加工材料を形成するノズルとして設計されることを特徴とする請求項1又は2に記載のトラック搭載型コンクリートポンプ。
【請求項4】
前記緩衝容器(34)に対して前記ノズルの加工材料出口開口部を移動するための制御手段を備えることを特徴とする請求項3に記載のトラック搭載型コンクリートポンプ。
【請求項5】
前記緩衝容器(34)及び前記出力要素(36)を備える前記ツール(32)の一部分に、前記保持アーム(54)を取り外し可能に接続するためのクイックヒッチを備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のトラック搭載型コンクリートポンプ。
【請求項6】
前記加工材料供給ライン(26)は、前記加工材料を出力するための装置を有する前記ツール(32)を受ける前記回転継手(50)の前記回転軸(52)に関して同軸である回転軸(52)を具備する回転カップリング(66)を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載のトラック搭載型コンクリートポンプ。
【請求項7】
前記回転軸(52)の周りに動かすことで、前記加工材料を出力する前記ツール(32)の位置及び向きを開ループ及び/又は閉ループ制御するシステムを備えることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載のトラック搭載型コンクリートポンプ。
【請求項8】
前記ツール(32)の位置及び向きを開ループ及び/又は閉ループ制御する前記システムは、前記出力要素(36)の位置及び向きを検出するための位置及び方位センサ、及び/又は、前記加工材料を出力するための装置を有する前記ツール(32)を前記回転継手(50)で受ける前記ブームアーム(22)に対し、前記保持アーム(54)の回転角を検出するための角度センサを有することを特徴とする請求項7に記載のトラック搭載型コンクリートポンプ。
【請求項9】
前記ツール(32)は、前記加工材料供給ライン(26)を通して運ばれる前記加工材料をさらに処理するための手段を含み、特に加工材料添加物を前記緩衝容器に供給するための手段を含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載のトラック搭載型コンクリートポンプ。
【請求項10】
前記緩衝容器(34)は、漏斗状であることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のトラック搭載型コンクリートポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体加工材料、特にコンクリート、モルタル、石膏、又は石英砂と混合された接着剤の形態の加工材料を出力するための装置であって、関節式ブームとして設計され、継手で互いに接続された複数のブームアームを含む分配ブームであり、パイプベンド及び回転カップリングによって互いに継手接続され、個々の前記ブームアームに沿って案内され、それに固定されている複数のパイプセグメントからなる加工材料供給ラインを有する分配ブームと、ピストンポンプ又はロータホースポンプとして設計され、前記加工材料供給ラインへ前記加工材料を供給するために用いられる加工材料コンベヤポンプと、前記分配ブームに受けられ、前記加工材料を出力するための装置を有するツールと、を備える装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような装置は、特許文献1から知られている。そこには、加工材料としてコンクリートを出力するために設計された、分配ブームを有するトラック搭載型コンクリートポンプが記載されている。トラック搭載型コンクリートポンプは、複数のブームアームから構成される関節式ブームを有する分配ブームを備え、それのブームアームは、駆動ユニットによってそれぞれ水平及び平行な関節軸の周りに限られた範囲で旋回可能である。トラック搭載型コンクリートポンプの関節式ブームは、加工材料供給ラインを持ち運び、このラインは、加工材料を出力するための装置を有するツールである、分配ブームのブーム先端に取り付けられたエンドホースに通じている。
【0003】
コンクリート構造物の製造には、従来からコンクリートを充填した型枠が用いられている。これらの型枠は複雑で製造にコストが掛かり、コンクリートが硬化した後、かなりの労力をかけて取り除く必要がある。加工材の工業生産と同様に、いわゆる3Dプリンティングも構造物の製造に進出してきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】EP 1 319 110 B1
【文献】EP 2 867 531 B1
【文献】WO 2013/12624 A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、いわゆるジェネレーティブ製造工程による構造体の製造に使用できる装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、請求項1に特定された装置で達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項に特定されている。
【0007】
本発明は、加工材料、例えば、好ましくは、急速硬化するコンクリート、モルタル、又は接着剤を分配ブームに受けられた(支持された)ツールで連続的に塗布することで、ツールを動かして層状の構造を構築することが可能になるという考えに基づいている。本発明者らは、パルス方式よりむしろ一定の質量流量で加工材料を構造体に供給することにより、その構造を高精度で層状に適用できることを認識した。したがって、本発明は、加工材料を出力するための装置を具備するツールが、加工材料供給ラインから加工材料を流入でき、加工材料供給ラインを介してパルス方式で供給される加工材料の緩衝のための受容容積を具備する緩衝容器を有し、緩衝容器から供給される加工材料を出力位置にて出力するための出力要素を含むことを提供する。
【0008】
構造体上の正確に規定された位置に加工材料を供給することにより、複雑な固定型枠なしで、及び、建設作業員が手動作業を行う固定式か可動式の足場、又は昇降式プラットホームなしで構造体を製造することが可能である。
【0009】
特に、加工材料を出力するための装置を有するツールは、緩衝容器から出力要素への加工材料の連続供給のための搬送装置を含むので、構造体への加工材料の質量流量出力の正確な計量が保証される。
【0010】
本発明の1つのアイデアは、搬送装置が、緩衝容器の底部の開口部を介して緩衝容器の受容容積に接続され、出力要素と連絡する空洞を具備するケーシングを有することである。加工材料を出力要素に連続供給するための少なくとも1つのスクリューコンベヤが、ケーシングの空洞内に配置されることも本発明のアイデアである。搬送装置は、圧縮空気コンベヤとして設計することができる。特に本発明は、出力要素が加工材料を形成するノズルとして設計されることを提供する。この場合、構造体への加工材料の質量流量を変化できるように、搬送装置の設定を変更するための制御手段が設けられると有利である。
【0011】
緩衝容器に対してノズルの加工材料出口開口部を移動するための手段を設けることにより、構造体に適用される加工材料質量流量の位置は、この目的のために大きな塊(質量)を移動する必要なく変更できる。
【0012】
本発明の好ましい実施形態は、ツールが分配ブーム上の回転継手に回転可能に取り付けられることを提供する。回転継手は、水平回転軸を有することができる。特に、ツールは、回転継手に接続された保持アームを有することができる。保持アーム上に加工材料を出力するための装置を有するツールを、回転軸周りに移動するために、有利には駆動手段がある。その駆動手段は、例えば、ブームアームに接続され、保持アームに接続された第1偏向レバー配列に作用する油圧シリンダを有することができる。この偏向レバー配列は、ブームアームに、さらなる水平回転軸を中心に回転可能に取り付けられたリンク配列上の第1水平回転軸を含む回転継手に受けられ、偏向レバー配列は、油圧シリンダから導入された第1水平回転軸周りのトルクを保持アームに伝達する。クイックヒッチは、緩衝容器及び出力要素を備えるツールの一部分への保持アームの迅速かつ容易な取り外し可能な接続に対して有利である。この手段により、緩衝容器及びツールの出力要素を迅速に交換可能である。この手段はまた、緩衝容器及び出力要素の代わりに、のこぎりや荷役手段、又はコンクリート供給ライン及びホース端部を有する接続アームといった様々な機能を備える様々なツール部分を保持アームで持ち上げることもできる。
【0013】
加工材料供給ラインが、加工材料を出力するための装置を有するツールを受ける回転継手の回転軸に関して同軸である回転軸を具備する回転カップリングを有することも可能である。
【0014】
流体加工材料の出力のための本発明による装置は、回転軸周りに動かすことで、加工材料を出力するツールの位置及び向きを開ループ及び/又は閉ループ制御するシステムを含むことができる。ツールの位置及び向きを開ループ及び/又は閉ループ制御するシステムは、特に、出力要素の位置及び向きを検出するための位置及び方位センサ、及び/又は、加工材料を出力するための装置を有するツールを回転継手で受けるブームアーム対し、保持アームの回転角を検出するための角度センサを含むことができる。
【0015】
ツールは、加工材料供給ラインに接続可能である。ツールが、加工材料供給ラインを通して運ばれる加工材料をさらに処理するための手段を含み、特に加工材料添加物を緩衝容器に供給するための手段を含む場合、有利である。緩衝容器は、好ましくは漏斗状である。
【0016】
加工材料を出力するための装置を有するツールは、分配ブームのブーム先端、又は分配ブームのブーム先端領域に有利に配置されることに留意されたい。
【0017】
以下、本発明は、図面に概略的に示されている実施形態を参照してより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】分配ブーム及び加工材料を出力するための装置を有するトラック搭載型ポンプの側面図である。
図2】分配ブームの第1部分図である。
図3】分配ブームの第2部分図である。
図4】分配ブームの第3部分図である。
図5】分配ブームに取り付けられたツールの保持アームに接続された工具部分を交換するためのクイックヒッチを有するさらなる分配ブームの部分図(その1)である。
図6】分配ブームに取り付けられたツールの保持アームに接続された工具部分を交換するためのクイックヒッチを有するさらなる分配ブームの部分図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1のトラック搭載型コンクリートポンプ10は、大容量のロボットである。トラック搭載型コンクリートポンプは、流動性加工材料の出力に使用され、例えば生コンクリート又はモルタルだけでなく、石膏又は流動性接着剤、特にフィラー材料(例えば石英砂)と混合される接着剤の出力に使用される。トラック搭載型コンクリートポンプは、例えば60mの長さに折り畳み可能な分配ブーム18を運ぶ下部構造14を具備するシャーシ12を有する。分配ブーム18は関節式ブームである。それは、ブーム台座16上の下部構造14で支持され、いずれも水平回転軸である継手20、20’、20’’、及び20’’’を有し、ブームアーム22、22’、22’’、及び22’’’が油圧シリンダとして設計された駆動ユニット24によって移動可能である。ブーム台座16上で、分配ブーム18は油圧駆動装置(図示せず)を使用して、垂直回転軸17を中心に回転させることができる。分配ブーム18は、回転カップリング66及びパイプベンド27を介して接続されたパイプセグメント25を有する加工材料供給ライン26を含む。加工材料供給ライン26は、油圧式加工材料コンベヤポンプ30と通じている。加工材料コンベヤポンプ30は、加工材料を受け入れるための材料供給容器31を有する。加工材料コンベヤポンプ30は、ピストンポンプであり、例えば特許文献2の段落0014と図3aから図3dを参照して、2気筒濃厚物質ポンプとして記載されているピストンポンプである。そのようなピストンポンプは、2つの対向する供給ピストンが移動する2つの供給シリンダを含み、これらは交互に、加工材料を材料供給容器からパイプスイッチを通して加工材料供給ライン26に移動する。しかし、加工材料コンベヤポンプ30は、原則として、濃厚物質を圧送するのに適した別のポンプ、例えば、特許文献3の3頁から10頁と図1から図7を参照して記載されているロータホースポンプであってもよい。
【0020】
分配ブーム18は、加工材料を出力するための装置を有するツール32を運ぶ。分配ブーム18上で、ツール32は、油圧シリンダ56として設計された油圧駆動手段によって、水平回転軸を中心に旋回させることができる。
【0021】
ツール32内の加工材料を出力するための装置は、漏斗状の緩衝容器34を有する。加工材料供給ライン26は、その緩衝容器34に通じている。したがって、緩衝容器34は、加工材料供給ライン26を介して供給される加工材料によって作用され得る。緩衝容器34は、加工材料供給ライン26を介してパルス方式で供給される加工材料を緩衝できる受容容積を有する。ツール32内の加工材料を出力するための装置は、ノズルとして設計された出力要素36を有し、緩衝容器34内で緩衝された加工材料を緩衝容器34から出力要素36に連続的に供給するための搬送装置38を含む。
【0022】
トラック搭載型コンクリートポンプ10は、コントローラ40を使用して、ブームアーム22、22’、22’’、及び22’’’を移動するための分配ブーム18内の駆動ユニット24だけでなく、加工材料コンベヤポンプ30及びツール32を制御し、また、分配ブーム18を垂直回転軸17の周りに動かすための油圧駆動を制御するシステムを有する。したがって、コントローラ40は、ツール32の出力要素36の動きと、異なる分配ブームの姿勢とともに、分配ブームに対するツール32の異なる位置を設定できる。
【0023】
図2は、分配ブーム18の部分図である。図3及び図4では、分配ブーム18のさらなる描写を、異なる視点で見ることができる。
【0024】
搬送装置38はスクリュー搬送装置である。搬送装置38は、緩衝容器34に接続され、出力要素36と通じる空洞44を具備するケーシング42を有する。ケーシング42の空洞44は、緩衝容器34の底部の開口部を介して緩衝容器34の受容容積に接続されている。加工材料を出力要素36に連続的に供給するための少なくとも1つのスクリューコンベヤ46が、ケーシング42の空洞44内に配置されている。スクリューコンベヤ46は、油圧駆動モータ47によって駆動される。特に、スクリューコンベヤ46の駆動装置として電気駆動モータを設けることもできることに留意されたい。代替の実施形態では、搬送装置38はまた、緩衝容器34から空洞44に供給されたペースト状媒体を移動するために、従来の方法で操作される2つのスクリューコンベヤを含むことができる。さらに、代替の実施形態では、搬送装置38はまた一方で、例えば圧縮空気コンベヤとして設計することもできる。
【0025】
ノズルとして設計された出力要素36は、加工材料を成形するために使用される。出力要素36は、加工材料が搬送装置38によって緩衝容器34から連続的に供給される際に、その搬送装置38によって緩衝容器34から供給された加工材料を、加工材料ビードに形成する。したがって、出力要素36の出力位置48において、緩衝容器34からの加工材料は、3Dプリンターのように材料を層状に正確に塗布できるように、位置及び時間に関して正確に限定された体積流量を備えることができる。
【0026】
ツール32内の加工材料を出力するための装置は、分配ブーム18に設けられた回転継手50内の回転軸52の周りに回転可能に取り付けられている。回転継手50の回転軸52は、水平回転軸である。ツール32内の加工材料を出力するための装置は、回転継手50に接続された保持アーム54を有し、かつ、保持アーム54上の加工材料を出力するための装置を回転軸52の周りに移動するための駆動手段として、ブームアーム22に接続された油圧シリンダ56を有する。油圧シリンダ56は、保持アーム54に接続された第1偏向レバー配列58で連結器に作用し、その偏向レバー配列58は、ブームアーム22に回転可能に取り付けられたリンク配列64の第1水平回転軸60を含む回転継手62に、更なる水平回転軸65を中心とする更なる回転継手63を介して支持されている。偏向レバー配列58は、油圧シリンダ56から導入されたトルクを第1水平回転軸60周りに保持アーム54へ伝達する。油圧シリンダ56を適切に調整することにより、分配ブーム18の向きが変更された場合でも、緩衝容器34を常に水平位置に保持できる。
【0027】
加工材料供給ライン26は、加工材料を出力するための装置を受ける回転継手50の回転軸52と同軸である回転軸を有する回転カップリング66を有する。
【0028】
トラック搭載型コンクリートポンプ10のコントローラ40内のシステムは、好ましくは、加工材料を出力するための装置を受ける回転継手50の回転軸52の周りに移動させることによって、加工材料を出力するための装置を有するツール32の水平位置及び姿勢の開ループ及び/又は閉ループ制御を可能にする。コントローラ40内のツール32の位置及び姿勢の開ループ及び/又は閉ループ制御のためのシステムはまた、出力要素の位置及び姿勢を検出するための位置及び方位センサ、及び/又は、回転継手50における、加工材料を出力するための装置と、その加工材料を出力するための装置を受けるブームアーム22との間の角度を検出するための角度センサに、操作可能に接続され得る。
【0029】
本発明のさらに変更された実施形態では、出力位置でノズルから出てくる加工材料ビードの幾何学的形状が調整可能であること、例えば、そのノズルが、形状を変更可能な出口開口部を具備し、制御手段による調整可能なノズル口を有することが提供され得ることに留意されたい。特に、ツール32のさらなる変更された実施形態では、代替的又は追加的に、緩衝容器34に対してノズルの加工材料出口開口部を移動させるための手段があることが提供できる。ツール32は、加工材料供給ライン26を介して搬送される加工材料をさらに処理するための手段、特に、加工材料添加物を供給するための搬送装置38のケーシング42に直接接続されたラインによって加工材料添加物を緩衝容器34に供給するための手段を含み得ることに留意されたい。その搬送装置38のケーシング42は、スクリューコンベヤ46を有する空洞44に通じるか、又は、加工材料添加物(例えば、空気又は気体、液体又は固体の化学物質など)の供給のためのラインを介して通じ、加工材料用のノズルとして設計された出力要素36のノズルチャンバと連絡し、そして加工材料供給ライン26のように、分配ブーム18のブームアーム22、22’、22’’及び22’’’に支持される。
【0030】
上記の実施形態から変更された本発明の実施形態において、ツール32がまた、クイックヒッチによって分配ブーム18に接続され得ると有利である。
【0031】
図5及び図6は、分配ブーム18に支持されるツール32の保持アーム54に接続されたツール部分を交換するためのクイックヒッチ68を有するさらなる分配ブーム18の部分図である。
【0032】
図5に示されるツール32は、クイックヒッチ68によって保持アーム54に取り外し可能に接続されたツール部分として、加工材料供給ライン26及びエンドホース72を具備する接続アーム70を有する。
【0033】
図6は、クイックヒッチ68によって保持アーム54に接続する可能な異なるツール部分として、プリントヘッド及び/又はスプレー装置74、第1及び第2荷役手段76、78、及び、のこぎり80を示す。プリントヘッド及び/又はスプレー装置74は、緩衝容器34を含み、分配ブーム18の加工材料供給ラインを通して供給される加工材料を出力のための出力要素36を有する。
【0034】
要約すると、以下に注意すべきである:流体加工材料、特にコンクリート、モルタル、又は接着剤の形態の加工材料を出力するための装置であって、継手20、20’、20’’、20’’’で互いに接続された複数のブームアーム22、22’、22’’、22’’’を含む分配ブーム18であって、好ましくはパイプベンド27及び回転カップリング66によって互いに継手接続され、個々の前記ブームアーム22、22’、22’’、22’’’に沿って案内され、それに固定されている複数のパイプセグメント25からなる加工材料供給ライン26を有する分配ブーム18と、分配ブーム18に受けられ、加工材料を出力するための装置を有するツール32と、を有する装置である。加工材料を出力するための装置は、加工材料供給ライン26から加工材料を流入できる緩衝容器34を有し、緩衝容器34から供給される加工材料を出力位置にて出力するための出力要素36を含む。
【0035】
特に、本発明は以下の態様を有することができる。
【0036】
態様1
流体加工材料、特にコンクリート、モルタル、又は接着剤の形態の加工材料を出力するための装置であって、
継手(20、20’、20’’、20’’’)で互いに接続された複数のブームアーム(22、22’、22’’、22’’’)を含む分配ブーム(18)であって、好ましくはパイプベンド(27)及び回転カップリング(66)によって互いに継手接続され、個々の前記ブームアーム(22、22’、22’’、22’’’)に沿って案内され、それに固定されている複数のパイプセグメント(25)からなる加工材料供給ライン(26)を有する分配ブーム(18)と、
前記分配ブーム(18)に受けられ、前記加工材料を出力するための装置を有するツール(32)と、を備える装置において、
前記ツール(32)は、前記加工材料供給ライン(26)から前記加工材料を流入できる緩衝容器(34)を有し、
前記緩衝容器(34)から供給される加工材料を出力位置にて出力するための出力要素(36)を含むことを特徴とする装置。
【0037】
態様2
前記ツール(32)が、前記緩衝容器(34)から前記出力要素(36)への加工材料の連続供給のための搬送装置(38)を含むことを特徴とする態様1に記載の装置。
【0038】
態様3
前記搬送装置(38)は、前記緩衝容器(34)に接続され、前記出力要素(36)と連絡する空洞(44)を具備するケーシング(42)を有することを特徴とする態様2に記載の装置。
【0039】
態様4
少なくとも1つのスクリューコンベヤ(46)が、前記出力要素(36)への前記加工材料の連続供給のために前記ケーシング(42)の前記空洞(44)内に配置されることを特徴とする態様3に記載の装置。
【0040】
態様5
前記搬送装置(38)は、圧縮空気コンベヤとして設計されることを特徴とする態様2に記載の装置。
【0041】
態様6
前記出力要素(36)は、前記加工材料を形成するノズルとして設計されることを特徴とする態様1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【0042】
態様7
前記緩衝容器(34)に対して前記ノズルの加工材料出口開口部を移動するための制御手段を備えることを特徴とする態様6に記載の装置。
【0043】
態様8
前記ツール(32)は、前記分配ブーム(18)上の回転継手(50)に回転可能に取り付けられることを特徴とする態様1乃至7のいずれか一項に記載の装置。
【0044】
態様9
前記回転継手(50)は、水平回転軸(52)を有することを特徴とする態様8に記載の装置。
【0045】
態様10
前記ツール(32)は、前記回転継手(50)に接続された保持アーム(54)を有することを特徴とする態様8又は9に記載の装置。
【0046】
態様11
前記保持アーム(54)上の前記加工材料を出力するための装置を、前記回転軸(52)の周りに移動するための駆動手段を備えることを特徴とする態様8乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【0047】
態様12
前記駆動手段は、ブームアーム(22)に接続された油圧シリンダ(56)を有し、
前記油圧シリンダ(56)はまた、前記保持アーム(54)に接続された第1偏向レバー配列(58)にて、前記ブームアームに対して前記保持アームを含む前記アームを回転するための駆動部に作用し、
前記偏向レバー配列(58)は、前記ブームアーム(22)に、さらなる水平回転軸(65)を中心に回転可能に取り付けられたリンク配列(64)上の第1水平回転軸(60)を含む回転継手(62)に受けられており、
前記偏向レバー配列(58)は、前記油圧シリンダ(56)から導入された前記第1水平回転軸(60)周りのトルクを前記保持アーム(54)に伝達することを特徴とする態様11に記載の装置。
【0048】
態様13
前記緩衝容器(34)及び前記出力要素(36)を備える前記ツール(32)の一部分に、前記保持アーム(54)を取り外し可能に接続するためのクイックヒッチを備えることを特徴とする態様12に記載の装置。
【0049】
態様14
前記加工材料供給ライン(26)は、前記加工材料を出力するための装置を有する前記ツール(32)を受ける前記回転継手(50)の前記回転軸(52)に関して同軸である回転軸(52)を具備する回転カップリング(66)を有することを特徴とする態様11乃至13のいずれか一項に記載の装置。
【0050】
態様15
前記回転軸(52)の周りに動かすことで、前記加工材料を出力する前記ツール(32)の位置及び向きを開ループ及び/又は閉ループ制御するためのシステムを備えることを特徴とする態様11乃至14のいずれか一項に記載の装置。
【0051】
態様16
前記ツール(32)の位置及び向きを開ループ及び/又は閉ループ制御するための前記システムは、前記出力要素(36)の位置及び向きを検出するための位置及び方位センサを有し、及び/又は、前記加工材料を出力するための装置を有する前記ツール(32)を前記回転継手(50)で支持する前記ブームアーム(22)に関し、前記保持アーム(54)の回転角を検出するための角度センサを有することを特徴とする態様15に記載の装置。
【0052】
態様17
前記ツール(32)は、前記加工材料供給ライン(26)を通して運ばれる前記加工材料をさらに処理するための手段を含み、特に加工材料添加物を前記緩衝容器に供給するための手段を含むことを特徴とする態様1乃至16のいずれか一項に記載の装置。
【符号の説明】
【0053】
10 トラック搭載型コンクリートポンプ
12 シャーシ
14 下部構造
16 ブーム台座
17 垂直回転軸
18 分配ブーム
20、20’、20’’、20’’’ 継手
22、22’、22’’、22’’’ ブームアーム
24 駆動ユニット
25 パイプセグメント
26 加工材料供給ライン
27 パイプベンド
30 加工材料コンベヤポンプ
31 材料供給容器
32 ツール
34 緩衝容器
36 出力要素
38 搬送装置
40 コントローラ
42 ケーシング
44 空洞
46 スクリューコンベヤ
47 油圧駆動モータ
48 出力位置
50 回転継手
52 回転軸
54 保持アーム
56 油圧シリンダ
58 第1偏向レバー配列
60 第1水平回転軸
62 回転継手
63 (更なる)回転継手
64 リンク配列
65 (更なる)水平回転軸
66 回転カップリング
68 クイックヒッチ
70 接続アーム
72 エンドホース
74 プリントヘッド及び/又はスプレー装置
76、78 荷役手段
80 のこぎり
図1
図2
図3
図4
図5
図6