(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】視野を光学的に検出するためのライダーセンサおよびライダーセンサを駆動制御するための方法
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20231102BHJP
G01S 17/931 20200101ALN20231102BHJP
【FI】
G01S7/481 A
G01S17/931
(21)【出願番号】P 2021559722
(86)(22)【出願日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 EP2020057613
(87)【国際公開番号】W WO2020207740
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-12-07
(31)【優先権主張番号】102019205243.6
(32)【優先日】2019-04-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100147991
【氏名又は名称】鳥居 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100201743
【氏名又は名称】井上 和真
(72)【発明者】
【氏名】ノイシュタット,アルフ
(72)【発明者】
【氏名】グライナー,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ボガトシャー,ジークバルト
【審査官】山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/210418(WO,A1)
【文献】特開2002-006040(JP,A)
【文献】特開平07-243809(JP,A)
【文献】特開2014-029317(JP,A)
【文献】特開平07-198845(JP,A)
【文献】特開2007-178727(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第109557551(CN,A)
【文献】特開昭47-016091(JP,A)
【文献】特開平07-244162(JP,A)
【文献】特開2020-046341(JP,A)
【文献】特表2019-520563(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51
G01S17/00-17/95
G01C 3/06- 3/08
G01B11/00-11/30
G02B26/10-26/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
視野を光学的に検出するためのライダーセンサ(100)であって、
一次光を生成して前記視野の第1の角度領域(111)に前記一次光を出力するための少なくとも1つの光源(101、101-1、101-2)を含む送信ユニットと、
偏向ユニット(105)に入射した一次光を前記視野の第2の角度領域(505)に偏向するための、回転軸(106)の周りに回転および/または旋回可能な偏向ユニット(105)と、
前記視野内で物体によって反射および/または散乱された二次光を受信するための少なくとも1つの検出器ユニット(204)を含む受信ユニット(110)と、
を備え、
前記第1の角度領域(111)は、前記偏向ユニット(105)の回転軸(106)と平行に配置された面に延びており、
前記送信ユニットは、前記一次光を、第1の周縁光線(103-1)と第2の周縁光線(103-2)を有する第1の送信光束(102-1)として、および、第1の周縁光線(104-1)と第2の周縁光線(104-2)を有する少なくとも1つの第2の送信光束(102-2)として、前記第1の角度領域(111)の少なくとも第1の部分領域(111-1)と第2の部分領域(111-2)に出力するように構成されており、
前記送信ユニットは、前記第1の送信光束(102-1)の第1の前記周縁光線(103-1)が前記偏向ユニット(105)の面の第1の周縁領域(112-1)に入射するように、前記第1の送信光束(102-1)を出力し、前記第2の送信光束(102-2)の前記第1の周縁光線(104-1)が前記偏向ユニット(105)の面の前記第1の周縁領域(112-1)に対向する第2の周縁領域(112-2)に入射するように、前記少なくとも1つの第2の送信光束(102-2)を出力するように構成されている、ライダーセンサ(100)において、
前記送信ユニットは、前記第1の送信光束(102-1)の前記第2の周縁光線(103-2)が前記偏向ユニット(105)の面の中央領域(113)に入射するように、前記第1の送信光束(102-1)を出力し、前記第2の送信光束(102-2)の前記第2の周縁光線(104-2)が前記偏向ユニット(105)の面の中央領域(113)に入射するように、前記少なくとも1つの第2の送信光束(102-2)を出力するようにさらに構成され、
前記第1の送信光束(102-1)の前記第1の周縁光線(103-1)と前記第2の送信光束(102-2)の前記第1の周縁光線(104-1)とが、回転軸(106)に対して直交して前記偏向ユニット(105)の面に入射
し、
前記第1の送信光束(102-1)の前記第2の周縁光線(103-2)と前記第2の送信光束(102-2)の前記第2の周縁光線(104-2)とが、回転軸(106)に対して90°とは異なる角度で前記偏向ユニット(105)の面に入射する、
ライダーセンサ(100)。
【請求項2】
前記送信ユニットから出力された一次光を前記偏向ユニット(105)に偏向させるための、および/または、前記偏向ユニット(105)に入射した二次光を少なくとも1つの検出器ユニット(204)に偏向させるための、少なくとも1つの第1の偏向ミラー(501、502)をさらに有する、請求項
1に記載のライダーセンサ(100)。
【請求項3】
前記少なくとも1つの光源(101)は、前記第1の角度領域(111)の第1の部分領域(111-1)に少なくとも1つの送信光束(102-2)として前記一次光の第1の部分を出力するように構成されており、前記送信ユニットは、少なくとも1つの部分透過ミラー(301)および少なくとも1つの第2の偏向ミラー(302)をさらに有し、前記部分透過ミラー(301)および前記第2の偏向ミラー(302)は、前記光源(101)によって出力された一次光の少なくとも1つの第2の部分を、前記第1の角度領域(111)の少なくとも1つの第2の部分領域(111-2)に出力するように構成されている、請求項1
または2に記載のライダーセンサ(100)。
【請求項4】
前記送信ユニットは少なくとも2つの光源(101-1、101-2)を有する、請求項1~
3のいずれか一項に記載のライダーセンサ(100)。
【請求項5】
前記送信ユニットの前記光源(101-1、101-2)の数が、前記第1の角度領域(111)の前記第1の部分領域(111-1)と前記第2の部分領域(111-2)の数に対応する、請求項
4に記載のライダーセンサ(100)。
【請求項6】
視野を光学的に検出するためのライダーセンサ(100)を駆動制御するための方法(600)であって、
送信ユニットを用いて一次光を生成して前記視野の第1の角度領域(111)に前記一次光を出力するステップ(602)と、
回転軸(106)の周りに回転および/または旋回可能な偏向ユニット(105)を用いて、前記偏向ユニット(105)に入射した一次光を前記視野の第2の角度領域(505)に偏向するステップ(603)と、
受信ユニット(110)を用いて、前記視野内で物体によって反射および/または散乱された二次光を受信するステップ(604)と、
を備え、
前記第1の角度領域(111)は、前記偏向ユニット(105)の回転軸(106)と平行に配置された面に延びており、
前記一次光は、前記送信ユニットによって、前記第1の角度領域(111)の少なくとも第1の部分領域(111-1)と第2の部分領域(111-2)に、第1の周縁光線(103-1)と第2の周縁光線(103-2)を有する第1の送信光束(102-1)として、および第1の周縁光線(104-1)と第2の周縁光線(104-2)を有する少なくとも1つの第2の送信光束(102-2)として出力され、 前記第1の送信光束(102-1)の前記第1の周縁光線(103-1)が前記偏向ユニット(105)の面の第1の周縁領域(112-1)に入射するように、前記送信ユニットによって前記第1の送信光束(102-1)が出力され、前記第2の送信光束(102-2)の前記第1の周縁光線(104-1)が前記偏向ユニット(105)の面の、前記第1の周縁領域(112-1)に対向する第2の周縁領域(112-2)に入射するように、少なくとも1つの第2の送信光束(102-2)が出力される、方法(600)において、
前記送信ユニットによって、さらに前記第1の送信光束(102-1)が、前記第1の送信光束(102-1)の前記第2の周縁光線(103-2)が前記偏向ユニット(105)の面の中央領域(113)に入射するように出力され、前記少なくとも1つの第2の送信光束(102-2)が、前記第2の送信光束(102-2)の前記第2の周縁光線(104-2)が前記偏向ユニット(105)の面の中央領域(113)に入射するように出力され、
前記第1の送信光束(102-1)の前記第1の周縁光線(103-1)と前記第2の送信光束(102-2)の前記第1の周縁光線(104-1)とが、回転軸(106)に対して直交して前記偏向ユニット(105)の面に入射
し、
前記第1の送信光束(102-1)の前記第2の周縁光線(103-2)と前記第2の送信光束(102-2)の前記第2の周縁光線(104-2)とが、回転軸(106)に対して90°とは異なる角度で前記偏向ユニット(105)の面に入射する、
方法(600)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視野を光学的に検出するためのライダー(LIDAR)センサおよびライダーセンサを駆動制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ライダーセンサは、特に、例えば先行する車両やその他の障害物・物体を位置特定するなど、交通環境を検出するための自動車の運転者支援システムにおいて使用される。
【0003】
既知のライダーセンサでは、出力された一次光と受信された二次光を一次元に偏向するために、例えばミラーなどの回転および/または旋回可能な偏向ユニットが頻繁に使用される。ここで、角度領域での視野の広さは、例えば、回転可能なミラーの走査方向によって設定することができる。ライダーセンサが自動車内部、または自動車外部に配置されている場合、例えば回転可能なミラーの走査方向によって、方位の角度領域を設定することができる。この角度領域と直交する角度領域、例えば解析時の角度領域での視野の広さは、ライダーセンサのハウジングの大きさ、ミラーの大きさ、および/または一次光の光線径の大きさに基づいて設定することができる。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、視野を光学的に検出するためのライダーセンサであって、一次光を生成して視野の第1の角度領域にこの一次光を出力するための少なくとも1つの光源を含む送信ユニットと、偏向ユニットに入射した一次光を視野の第2の角度領域に偏向するための、回転軸の周りに回転および/または旋回可能な偏向ユニットと、視野内で物体によって反射および/または散乱された二次光を受信するための少なくとも1つの検出器ユニットを含む受信ユニットとを備えたライダーセンサに関する。ここで、第1の角度領域は、偏向ユニットの回転軸と平行に配置された面に延びている。送信ユニットは、一次光を、2つの周縁光線を有する第1の送信光束として、および、2つの周縁光線を有する少なくとも1つの第2の送信光束として、第1の角度領域の少なくとも2つの部分領域に出力するように構成されている。さらに、送信ユニットは、第1の送信光束の第1の周縁光線が偏向ユニットの面の第1の周縁領域に入射するように第1の送信光束を出力し、この第2の送信光束の第1の周縁光線が偏向ユニットの面の第1の周縁領域に対向する第2の周縁領域に入射するように、少なくとも1つの第2の送信光束を出力するように構成されている。
【0005】
ライダーセンサを用いて、ライダーセンサとライダーセンサの視野内にある物体との間の距離を、信号伝搬時間(Time of Flight,TOF)に基づいて直接的または間接的に決定することができる。ライダーセンサを用いて、ライダーセンサとライダーセンサの視野内にある物体との間の距離を、例えば周波数変調連続波(Frequency Modulated Continuous Wave,FMCW)信号に基づいて決定することができる。
【0006】
送信ユニットの光源は、少なくとも1つのレーザーユニットとして構成されてもよい。ライダーセンサの視野は、出力された一次光によって走査することができる。ここで、視野の広さは、第1の角度領域と第2の角度領域、および一次光の到達範囲によって設定することができる。一次光は、視野の異なる走査角で出力し、再び受信することができる。続いて、これらの角度に依存した個々の測定値から、周辺像を導き出すことができる。第2の角度領域の異なる走査角度への一次光の出力は、回転および/または旋回可能な偏向ユニットを用いて行われる。
【0007】
ライダーセンサは、任意で少なくとも1つの解析ユニットを有する。解析ユニットにより、受信された二次光を解析することができる。解析結果は、例えば、車両の運転者支援機能に使用することができる。解析結果は、例えば、自律走行する車両の制御に使用することができる。ライダーセンサは、特に、少なくとも部分的に自律走行する車両で使用するように構成することができる。ライダーセンサによって、高速道路および/または都市部の通行路での車両の部分的な自律走行や自律走行を実現することができる。
【0008】
偏向ユニットは、回転軸の周りを回転および/または旋回可能なミラーとすることができる。偏向ユニットは、立体的な物体として構成されてもよい。第1の送信光束が入射する偏向ユニットの面は、偏向ユニットの側面として構成されてもよい。また、第2の送信光束が入射する偏向ユニットの面は、偏向ユニットの側面として形成することができる。偏向ユニットの面の第1の周縁領域は、偏向ユニットの側面の第1の周縁領域であってもよい。第1の周縁領域は、例えば、偏向ユニットの上面に近接して配置された面の領域に配置されていてもよい。また、偏向ユニットの面の第2の周縁領域は、偏向ユニットの側面の第2の周縁領域であってもよい。第2の周縁領域は、例えば、偏向ユニットの底面に近接して配置された面の領域に配置されていてもよい。
【0009】
本発明の利点は、ライダーセンサの視野を拡大できることである。特に、第1の角度領域に沿った視野を拡大することができる。第1の送信光束の第1の周縁光線が偏向ユニットの面の第1の周縁領域に入射し、第2の送信光束の第1の周縁光線が偏向ユニットの面の第1の周縁領域に対向する第2の周縁領域に入射することで、ケラレを低減または回避することができる。ここで、ケラレとは、ライダーセンサのハウジングの周縁によって、出力された一次光および/または受信された二次光が遮られることと理解することができる。生成された一次光は、ライダーセンサの出力窓の全長にわたって第1の角度領域に出力することができる。生成された一次光の光線径を、出力窓の全長まで拡大することができる。ハウジングの周縁における第1の角度領域に出力する際、生成された一次光はほとんど失われない。特に、視野の第1の角度領域の中心領域において、ライダーセンサの目の安全性を向上させることができる。一次光は、より強いパワーで視野の第1の角度領域の中心領域に出力してもよく、これにより到達範囲を増大することができる。
【0010】
第1の角度領域の少なくとも2つの部分領域に対する一次光の到達範囲は、特にそれぞれ個別に調整されてもよい。
【0011】
ライダーセンサの構造の大きさを小さくすることができる。これは、出力される一次光の光線径を拡大すると同時に、一次光の出力パワーを増大することで実現できる。
【0012】
本発明の有利な形態では、送信ユニットは、第1の送信光束の第2の周縁光線が偏向ユニットの面の中央領域に入射するように第1の送信光束を出力し、この第2の送信光束の第2の周縁光線が偏向ユニットの面の中央領域に入射するように少なくとも1つの第2の送信光束を出力するようにさらに構成されていることが企画される。
【0013】
この形態の利点は、生成された一次光をライダーセンサの出力窓の全長にわたって第1の角度領域に出力できることである。生成された一次光の光線径を、出力窓の全長まで拡大することができる。一次光は線形に出力されてもよい。この線は、ライダーセンサの出力窓の全長にわたって延びるように構成されてもよい。
【0014】
本発明の有利な形態では、第1の送信光束の第1の周縁光線と第2の送信光束の第1の周縁光線とが、回転軸に対して直交して偏向ユニットの面に入射することが企画される。
【0015】
この構成の利点は、ケラレをより確実に回避できることである。ハウジングの周縁における第1の角度領域に出力する際、生成された一次光は失われない。
【0016】
本発明の有利な形態では、ライダーセンサは、送信ユニットから出力された一次光を偏向ユニットに偏向させるための、および/または、偏向ユニットに入射した二次光を少なくとも1つの検出器ユニットに偏向させるための、少なくとも1つの第1の偏向ミラーをさらに有することが企画される。
【0017】
この形態の利点は、一次光の光路と二次光の光路とを1つの軸に置けることである。これにより、偏向ユニットのサイズを縮小することができる。
【0018】
本発明の有利な形態では、少なくとも1つの光源は、第1の角度領域の第1の部分領域に少なくとも1つの送信光束として一次光の第1の部分を出力するように構成されており、送信ユニットは、少なくとも1つの部分透過ミラーおよび少なくとも1つの第2の偏向ミラーをさらに有し、部分透過ミラーおよび第2の偏向ミラーは、光源によって出力された一次光の少なくとも1つの第2の部分を、第1の角度領域の少なくとも1つの第2の部分領域に出力するように構成されていることが企画される。
【0019】
この形態の利点は、第1の角度領域の少なくとも2つの部分領域に、少なくとも2つの送信光束を出力するために、1つの光源で十分であることである。これにより、ライダーセンサをより低コストで実現することができる。
【0020】
本発明のさらなる有利な形態では、送信ユニットは少なくとも2つの光源を有することが企画される。ここで、少なくとも2つの光源は、例えばレーザーバーとして構成されてもよい。
【0021】
この形態の利点は、例えば部分透過ミラーや第2の偏向ミラーなどの追加の光学素子を回避できることである。ライダーセンサの構造の大きさを縮小することができる。
【0022】
本発明のさらなる有利な実施形態では、送信ユニットの光源の数が、第1の角度領域の部分領域の数に対応することが企画される。ここで、光源は、例えばレーザーバーとして構成されてもよい。
【0023】
この形態の利点は、光源の数に対応する係数分だけ、光源の電圧をそのつど低減できることである。これにより、光源の消費電力を合計でこの係数分だけ低減することができる。あるいは、消費電力を維持したまま、光源の合計電力を第1の所定係数分だけ増加させることもできる。この第1の所定係数は、光源の数の平方根から生じるものであってもよい。これにより、一次光の到達範囲を第2の所定係数分だけ増加させることができる。第2の所定係数は、光源の数の平方根から生じるものであってもよい。
【0024】
本発明はさらに、視野を光学的に検出するためのライダーセンサを駆動制御するための方法に関する。この方法は、送信ユニットを用いて一次光を生成して視野の第1の角度領域にこの一次光を出力するステップと、回転軸の周りに回転および/または旋回可能な偏向ユニットを用いて、偏向ユニットに入射した一次光を視野の第2の角度領域に偏向するステップと、受信ユニットを用いて、視野内で物体によって反射および/または散乱された二次光を受信するステップと、を有する。ここで、第1の角度領域は、偏向ユニットの回転軸と平行に配置された面に延びている。一次光は、送信ユニットによって、第1の角度領域の少なくとも2つの部分領域に、2つの周縁光線を有する第1の送信光束として、および2つの周縁光線を有する少なくとも1つの第2の送信光束として出力される。第1の送信光束の第1の周縁光線が偏向ユニットの面の第1の周縁領域に入射するように、送信ユニットによって第1の送信光束が出力され、この第2の送信光束の第1の周縁光線が偏向ユニットの面の、第1の周縁領域に対向する第2の周縁領域に入射するように、少なくとも1つの第2の送信光束が出力される。
【0025】
本発明の有利な形態では、送信ユニットによって、さらに第1の送信光束が、この第1の送信光束の第2の周縁光線が偏向ユニットの面の中央領域に入射するように出力され、少なくとも1つの第2の送信光束が、この第2の送信光束の第2の周縁光線が偏向ユニットの面の中央領域に入射するように出力される。
【0026】
以下に、本発明の実施例を、添付の図面を参照して詳述する。図中の同一の参照符号は、同一または同様に作用する要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】ライダーセンサの第1の実施例の側面図である。
【
図2】ライダーセンサの第2の実施例の側面図である。
【
図3】ライダーセンサの第3の実施例の側面図である。
【
図4】ライダーセンサの第4の実施例の側面図である。
【
図6】本発明にかかる方法の一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1から
図4は、ライダー(LIDAR)センサ100の様々な実施例を示す。ここで、
図1から
図4は、第1の角度領域の2つの部分領域のそれぞれにおいて、2つの送信光束をそれぞれ出力する例を示す。ただし、第1の角度領域の2つ以上の部分領域に、2つ以上の送信光束を出力してもよい。さらに、本発明をよりよく理解するために、
図1から
図5はそれぞれ、平面に置かれた展開された光路を示す。
【0029】
図1は、視野を光学的に検出するためのライダーセンサ100の第1の実施例の側面図を例示的に示す。ライダーセンサ100は、一次光を生成して視野の第1の角度領域111にこの一次光を出力する光源101-1、101-2を備えた送信ユニットを有する。ライダーセンサ100は、偏向ユニット105に入射した一次光をライダーセンサ100の視野の第2の角度領域に偏向するための、回転軸106の周りに回転および/または旋回可能な偏向ユニット105をさらに有する。第1の角度領域111は、偏向ユニット105の回転軸106と平行な面に延びている。
【0030】
光源101-1は、一次光を生成し、第1の送信光束102-1として第1の角度領域111の第1の部分領域111-1にこの一次光を出力する。第1の送信光束102-1は、2つの周縁光線103-1、103-2を有する。送信ユニットは、第1の送信光束102-1の第1の周縁光線103-1が偏向ユニット105の面の第1の周縁領域112-1に入射するように、第1の送信光束102-1を出力するように構成されている。光源101-1は、第1の送信光束102-1の第1の周縁光線103-1が偏向ユニット105の面の第1の周縁領域112-1に入射するように、第1の送信光束102-1を出力するように構成されている。
図1に示すように、第1の送信光束102-1の第1の周縁光線103-1は、偏向ユニット105の面に、特に回転軸106に直交して入射する。送信ユニットはさらに、第1の送信光束102-1の第2の周縁光線103-2が、偏向ユニット105の面の中央領域113に入射するように、第1の送信光束102-1を出力するように構成されている。さらに、光源101-1は、第1の送信光束102-1の第2の周縁光線103-2が偏向ユニット105の面の中央領域113に入射するように、第1の送信光束102-1を出力するように構成されている。ここで特に、第2の周縁光線103-2は、回転軸106に対して90°とは異なる角度で偏向ユニット105に入射する。
【0031】
光源101-2は、一次光を生成し、第2の送信光束102-2として第1の角度領域111の第2の部分領域111-2にこの一次光を出力する。第2の送信光束102-2は、2つの周縁光線104-1、104-2を有する。送信ユニットは、第2の送信光束102-2の第1の周縁光線104-1が偏向ユニット105の面の第2の周縁領域112-2に入射するように、第2の送信光束102-2を出力するように構成されている。ここで、第2の周縁領域112-2は、偏向ユニット105の面において第1の周縁領域112-1と対向している。光源101-2は、第2の送信光束102-2の第1の周縁光線104-1が偏向ユニット105の面の第2の周縁領域112-2に入射するように、第2の送信光束102-2を出力するように構成されている。
図1に示すように、第2の送信光束102-2の第1の周縁光線104-1は、偏向ユニット105の面に、特に回転軸106に直交して入射する。送信ユニットはさらに、第2の送信光束102-2の第2の周縁光線104-2が偏向ユニット105の面の中央領域113に入射するように、第2の送信光束102-2を出力するように構成されている。光源101-2は、さらに、第2の送信光束102-2の第2の周縁光線104-2が偏向ユニット105の面の中央領域113に入射するように、第2の送信光束102-2を出力するように構成されている。ここで特に、第2の周縁光線104-2は、回転軸106に対して90°とは異なる角度で偏向ユニット105に入射する。
【0032】
図1に示したライダーセンサ100の光源の数は2つである。これは、第1の角度領域111の部分領域(111-1、111-2)の数に対応しており、これも同様に2つである。ただし、第1の角度領域の2つ以上の部分領域に、2つ以上の送信光束を出力することも可能である。このために、ライダーセンサ100は、例えば、1つまたは複数のさらなる光源を有していてもよい。このようなさらなる光源は、光源101-1および101-2の間に配置されてもよい。この場合、さらなる光源から出力された光束の周縁光線は、回転軸106に対して90°とは異なる角度で偏向ユニット105に入射することができる。
【0033】
生成された一次光は、ライダーセンサ100の出力窓107の全長にわたって、第1の角度領域111に出力されてもよい。出力窓107は、ハウジング114内に配置されている。生成された一次光は、線形で出力されてもよい。
【0034】
出力された一次光は、ライダーセンサ100の視野内で物体によって反射および/または散乱されることがある。反射および/または散乱した一次光は、ライダーセンサ100の受信ユニット110によって二次光として受信されてもよい。受信ユニット110は、光源101-1および101-2の間に配置されている。ここで、受信ユニット110は、
図1に示されていない少なくとも1つの検出器ユニットを有する。二次光は、受信光束109として受信できる。受信光束109は、周縁光線108-1、108-2を有する。受信ユニット110は、好ましくは、第1の角度領域111全体から二次光を受信するように構成されている。
【0035】
図2は、ライダーセンサ100の第2の実施例の側面図を例示的に示す。ここで、
図2のライダーセンサ100は、
図1のライダーセンサに略対応している。したがって、同一または同様に作用する要素には、同じ参照符号が付されている。しかし、
図2は、第1の光束、第2の光束、および受信光束の単一光線も示されている、より詳細な表現を示す。したがって、
図2においても、光源101-1によって一次光が生成され、これが第1の送信光束102-1として第1の角度領域111の第1の部分領域111-1に出力される。一次光は、まず、光学素子205-1を透過する。光学素子205-1は、光学レンズとして構成されてもよい。第1の送信光束102-1は、ここでも
図1で記載したような特徴を有する第1の周縁光線103-1を有する。第1の送信光束102-1は、ここでも、
図1で記載したような特徴を有する第2の周縁光線103-2を有する。さらに、第1の送信光束102-1の単一光線201-1、201-2が示されている。特に、単一光線201-1は、回転軸106に対して直交して偏向ユニット105の面に入射する。単一光線201-2は、特に、回転軸106に対して90°とは異なる角度で偏向ユニット105に入射する。
【0036】
光源101-2によっても一次光が生成され、これが第2の送信光束102-2として第1の角度領域111の第2の部分領域111-2に出力される。一次光は、まず、光学素子205-2を透過する。光学素子205-2は、光学レンズとして構成されてもよい。第2の送信光束102-2は、ここでも
図1で記載したような特徴を有する第1の周縁光線104-1を有する。
【0037】
第2の送信光束102-2は、ここでも
図1で記載したような特徴を有する第2の周縁光線104-2を有する。さらに、第2の送信光束102-2の単一光線202-1、202-2が示されている。単一光線202-1は、特に、回転軸106に対して直交して偏向ユニット105の面に入射する。単一光線202-2は、特に、回転軸106に対して90°とは異なる角度で偏向ユニット105に入射する。
【0038】
さらに、受信ユニット110をより詳細に示す。受信ユニット110の検出器ユニット204が示されている。受信光束109は、光学素子203によって検出器ユニット204へ偏向される。光学素子203は、光学レンズとして構成されてもよい。また、受信光束109に対して、追加的にさらなる個別光線206-1、206-2が示されている。
【0039】
図3は、ライダーセンサ100の第3の実施例の側面図を例示的に示す。ここで、このライダーセンサ100は、
図1に示すライダーセンサ100と類似している。同一または同様に作用する要素には、同一の参照符号が付されている。
図1のライダーセンサ100とは対照的に、
図3に示したライダーセンサ100の送信ユニットは、正確に1つの光源101を有する。光源101は、一次光の第1の部分を、少なくとも1つの送信光束102-1として、第1の角度領域111の第1の部分領域111-1に出力するように構成されている。送信ユニットは、部分透過ミラー301をさらに有する。光源101から出力された一次光の第2の部分は、部分透過ミラー301によって偏向ミラー302に偏向させられる。これは、周縁光線303-1と303-2によって示されている。偏向ミラー302からは、第1の角度領域111の第2の部分領域111-2に一次光の第2の部分が出力される。このように、部分透過ミラー301および第2の偏向ミラー302は、光源101から出力された一次光の第2の部分を、第1の角度領域111の第2の部分領域111-2に出力するように構成されている。
【0040】
図4は、ライダーセンサ100の第4の実施例の側面図を例示的に示す。ここで、
図4のライダーセンサ100は、
図3のライダーセンサに略対応している。したがって、同一のまたは同様に作用する要素には、同じ参照符号が付されている。しかし、
図4は、第1の光束、第2の光束、および受信光束の単一光線も示す、再び
図3よりも詳細な表現を示している。これらの単一光線の説明や、受信ユニット110のより詳細な表現については、
図2の説明を参照されたい。そこに記載されている特徴は、類似して
図4のライダーセンサ100に適用される。
【0041】
図5は、ライダーセンサ100の一実施例の上面図を例示的に示す。
図4および
図5の実施例と同様に、例示的に1つの光源101のみが示されている。ただし、ここで示した上面図は、
図1および
図2にかかるライダーセンサ100の実施例の上面図にも対応している。ここでは、
図5に示した光源101の代わりに、例えば、第1の光源101-1が見られる。そして、光源101-2は、光源101-1の背後の描画面に配置され、したがってそれによって隠されている。
【0042】
図5のライダーセンサ100は、2つの第1の偏向ミラー501、502をさらに有する。
図1~
図4のライダーセンサ100は、任意にそのような第1の偏向ミラーを有していてもよいが、
図1~
図4には示されていない。第1の偏向ミラー501、502は、
図3および
図4に示す送信ユニットの第2の偏向ミラー302とは異なる。1つの第1の偏向ミラー501は、送信ユニットから出力された一次光を偏向ユニット105に偏向させるように構成されている。偏向ユニット105は、入射した一次光を視野の第2の角度領域505に偏向するように構成されている。ここで、入射した一次光は、第2の角度領域505の異なる部分領域に偏向させることができる。例として部分領域503、504が記載されている。他方の第1の偏向ミラー502は、偏向ユニット105に入射した二次光を受信ユニット110の少なくとも1つの検出器ユニットに偏向させるように構成されている。第1の偏向ミラー501、502によって、一次光の光路と二次光の光路とを1つの軸に置くことができる。
【0043】
図6は、視野を光学的に検出するためのライダーセンサを駆動制御するための、本発明にかかる方法600の実施例を示す。方法600は、ステップ601で開始される。ステップ602では、送信ユニットによって一次光が生成され、視野の第1の角度領域にこの一次光が出力される。ここで、第1の角度領域は、回転軸の周りに回転および/または旋回可能な偏向ユニットの回転軸と平行に配置された平面に延びている。一次光は、送信ユニットによって、第1の角度領域の少なくとも2つの部分領域に、2つの周縁光線を有する第1の送信光束として、および2つの周縁光線を有する少なくとも1つの第2の送信光束として出力される。ここで、送信ユニットによって、第1の送信光束の第1の周縁光線が偏向ユニットの面の第1の周縁領域に入射するように、第1の送信光束が出力され、第2の送信光束の第1の周縁光線が偏向ユニットの面の第1の周縁領域に対向する第2の周縁領域に入射するように、少なくとも1つの第2の送信光束が出力される。ステップ603では、偏向ユニットに入射した一次光が、回転軸の周りに回転および/または旋回可能な偏向ユニットによって、視野の第2の角度領域に偏向される。ステップ604では、視野内で物体によって反射および/または散乱された二次光が、受信ユニットによって受信される。本方法は、ステップ605で終了する。
【0044】
有利な形態では、第1の送信光束の第2の周縁光線が偏向ユニットの面の中央領域に入射するように、第1の送信光束が送信ユニットによって出力され、この第2の送信光束の第2の周縁光線が偏向ユニットの面の中央領域に入射するように、少なくとも1つの第2の送信光束が出力される。