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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】パンチプレス
(51)【国際特許分類】
   B30B 1/26 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
B30B1/26 D
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021561691
(86)(22)【出願日】2019-04-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-15
(86)【国際出願番号】 EP2019059833
(87)【国際公開番号】W WO2020211931
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】591119554
【氏名又は名称】ブルーデラー アーゲー
【氏名又は名称原語表記】BRUDERER AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100108143
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】デ サンティス,ウゴ
(72)【発明者】
【氏名】ハフネル,ヨセフ トーマス
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開昭48-042472(JP,A)
【文献】特開平02-303700(JP,A)
【文献】特公昭44-023853(JP,B1)
【文献】特開平02-258200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B30B 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クランクシャフト又は偏心シャフト(1a,1b)と、プレスラム(13)の持ち上げ運動を生成するための能動連接棒(9a,9b)と、を含むクランク駆動装置又は偏心駆動装置と、
垂直方向及び水平方向の慣性力をバランスさせるためのバランスウェイト(2a,2b)と、
を備え、
水平方向の質量バランスのために必要とされる水平方向の駆動運動が、前記クランクシャフト又は偏心シャフト(1a,1b)の側方で受け取られるように構成されており、
垂直方向の質量バランスのために必要とされる駆動運動が、前記クランクシャフト又は偏心シャフト(1a,1b)の上方で受け取られるように構成されており、
前記バランスウェイト(2a,2b)のそれぞれが、水平方向の慣性力のバランス及び垂直方向の慣性力のバランスの両方に寄与するように構成されている
パンチプレス。
【請求項2】
水平方向の質量バランスのために必要とされる駆動運動が、前記クランクシャフト又は偏心シャフト(1a,1b)に付属する部材(5a,5b;6a,6b;7a,7b;8a,8b)を介して受け取られ、ラム駆動に寄与する部材(9a,9b;10a,10b;12a,12b)とは別個に形成された前記バランスウェイト(2a,2b)に伝達されるように構成されている、請求項に記載のパンチプレス。
【請求項3】
質量バランスのために必要とされる駆動運動の全てが、前記クランクシャフト又は偏心シャフト(1a,1b)に付属する部材(3a,3b,4a,4b,5a,5b;6a,6b;7a,7b;8a,8b)を介して受け取られ、ラム駆動に寄与する部材(9a,9b;10a,10b;12a,12b)とは別個に形成された前記バランスウェイト(2a,2b)に伝達されるように構成されている、請求項1又は2に記載のパンチプレス。
【請求項4】
水平方向の質量バランスのために必要とされる駆動運動が、前記クランクシャフト又は偏心シャフトに係合する補助連接棒(5a,5b,5c,5d)を介して受け取られるように構成されている、請求項1~のいずれか1項に記載のパンチプレス。
【請求項5】
前記補助連接棒(5a,5b,5c,5d)が、前記クランクシャフト又は偏心シャフト(1a,1b)を起点として、前記プレスラム(13)の意図された運動方向(S)に対して横方向に延びるように構成されている、請求項に記載のパンチプレス。
【請求項6】
前記補助連接棒(5a,5b,5c,5d)の、前記クランクシャフト又は偏心シャフト(1a,1b)とは反対側の端部は、それぞれ、旋回可能に支持された二重レバー(6a,6b)の端部と連結、特にヒンジ連結されており、前記二重レバー(6a,6b)の第2の端部は、直接的に又は別の連結具(7a,7b)を介して、水平方向の質量バランスのためのバランスウェイト(2a,2b)と連結、特にヒンジ連結されている、請求項に記載のパンチプレス。
【請求項7】
前記補助連接棒(5a,5b,5c,5d)の、前記クランクシャフト又は偏心シャフト(1a,1b)とは反対側の端部は、それぞれリンク(8a,8b)を介して、それぞれの前記旋回可能に支持された二重レバー(6a,6b)の前記端部と連結されている、請求項に記載のパンチプレス。
【請求項8】
それぞれの前記旋回可能に支持された前記二重レバー(6a,6b)の前記第2の端部は、それぞれリンク(7a,7b)を介して、水平方向の質量バランスのためのそれぞれの前記バランスウェイト(2a,2b)と連結されている、請求項又はに記載のパンチプレス。
【請求項9】
前記補助連接棒(5a,5b)及び前記能動連接棒(9a,9b)は別個の部材から形成されている、請求項のいずれか1項に記載のパンチプレス。
【請求項10】
前記補助連接棒(5c,5d)及び前記能動連接棒(9a,9b)は共通の部材から形成されている、請求項のいずれか1項に記載のパンチプレス。
【請求項11】
垂直方向の質量バランスのために必要とされる駆動運動が、前記クランクシャフト又は偏心シャフト(1a,1b)に係合する受動連接棒(3a,3b)を介して受け取られるように構成されている、請求項1~10のいずれか1項に記載のパンチプレス。
【請求項12】
前記受動連接棒(3a,3b)が、前記クランクシャフト又は偏心シャフト(1a,1b)を起点として、前記プレスラム(13)から離れる方向に延びる、請求項11に記載のパンチプレス。
【請求項13】
前記受動連接棒(3a,3b)の、前記クランクシャフト又は偏心シャフト(1a,1b)とは反対側の端部は、それぞれ、旋回可能に支持された二重レバー(4a,4b)の端部にヒンジ連結されており、前記二重レバー(4a,4b)の第2の端部は、直接的に又は別の連結具を介して、垂直方向の質量バランスのためのバランスウェイト(2a,2b)にヒンジ連結されている、請求項12に記載のパンチプレス。
【請求項14】
鉛直方向の質量バランスのためのそれぞれの前記バランスウェイト(2a,2b)は、それぞれの前記二重レバー(4a,4b)のそれぞれの前記端部によって支持されている、請求項13に記載のパンチプレス。
【請求項15】
前記補助連接棒(5a,5b)及び前記受動連接棒(3a,3b)は共通の部材から形成されている、請求項4を引用する請求項11~14のいずれか1項に記載のパンチプレス。
【請求項16】
前記補助連接棒(5c,5d)及び前記受動連接棒(3a,3b)は別個の部材から形成されている、請求項4を引用する請求項11~14のいずれか1項に記載のパンチプレス。
【請求項17】
前記補助連接棒(5a,5b,5c,5d)、前記受動連接棒(3a,3b)及び/又は前記能動連接棒(9a,9b)は、前記クランクシャフトの共通のクランクピンの上に、又は、前記偏心シャフト(1a,1b)の共通の偏心器の上に、支持されている、請求項4を引用する請求項11~16のいずれか1項に記載のパンチプレス。
【請求項18】
水平方向の質量バランスのための前記バランスウェイト(2a,2b)は、前記クランクシャフト又は偏心シャフト(1a,1b)の両側に配置されている、請求項1~17のいずれか1項に記載のパンチプレス。
【請求項19】
前記能動連接棒(9a,9b)が、前記クランクシャフト又は偏心シャフト(1a,1b)を起点として、前記プレスラム(13)の方向へ延び、前記能動連接棒(9a,9b)の、前記クランクシャフト又は偏心シャフト(1a,1b)とは反対側の端部が、それぞれ片側レバー(10a,10b)の一方の端部にヒンジ連結されており、前記片側レバー(10a,10b)の他方の端部が、直接的に又は別の連結具を介して、前記パンチプレスのハウジング(11)にヒンジを介して支持され、前記片側レバー(10a,10b)には、それぞれ、それらの両方の端部の間の領域に、前記プレスラム(13)と接続された圧力リンク(12a,12b)がヒンジ連結されるように構成されている、請求項1~18のいずれか1項に記載のパンチプレス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念によるパンチプレスに関する。
【背景技術】
【0002】
帯状金属薄板から打ち抜き部品を工業的に製造するために、今日、クランク駆動装置又は偏心駆動装置を備え高速で作動する自動パンチプレスが使用されており、当該自動パンチプレスでは、上部工具部品が下部工具部品の上へ移動され、その際、帯状金属薄板において切断及び成形が実施される。
【0003】
運転中のパンチプレスの振動を可能な限り小さく保ち、良好な加工結果を可能とするために、ラム駆動装置及びラムの運動によって生成される慣性力は、プレス構造の内部で可能な限り完全に補償されなければならない。このために、現代のパンチプレスはバランスウェイトを備え、当該バランスウェイトは、プレスのハウジング構造の内部に支持されており、運転中、プレスラムに向かって及びラム駆動装置の部材に向かって逆方向に移動され、その結果、バランスウェイトは、それらによって生成される慣性力の大部分を、プレスの内部でバランスさせる。
【0004】
特許文献1から、パンチプレスが公知であり、当該パンチプレスにおいて、垂直方向の質量バランスのためのバランスウェイトのための駆動運動は、ラム駆動装置の圧力リンクで受け取られ、一方、水平方向の質量バランスのための駆動運動は、偏心シャフトの直ぐ上方の連接棒で受け取られる。
【0005】
特許文献2から別のパンチプレスが公知であり、当該パンチプレスにおいて、垂直方向の質量バランスのためのバランスウェイトのための駆動運動は、別個の受動連接棒によって直接的に偏心シャフトで受け取られ、一方、水平方向の質量バランスのための駆動運動は、偏心シャフトの下方で、能動連接棒の下部自由端で受け取られる。
【0006】
両方のタイプのプレスが非常に成功した製品であったとしても、両者は、質量バランスに寄与する部材の、場合によっては運転中に生じ得る振動が、プレスラムに伝わる可能性があり、それにより、切断プロセス又はエンボス加工プロセスに悪影響を及ぼす可能性がある、という欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】スイス国特許発明第581281号明細書
【文献】欧州特許第0395964号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、課題は、先行技術の上述した欠点を有さないか又は少なくとも部分的に回避する、技術的な解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、請求項1によるパンチプレスによって解決される。
【0010】
この請求項は、クランク駆動装置又は偏心駆動装置を備えるパンチプレスに関し、当該駆動装置は、クランクシャフト又は偏心シャフトと、プレスラムの持ち上げ運動を生成するための、関連付けられ要求にかなった能動連接棒と、を備える。更に、パンチプレスは、運転中にラム駆動装置及びラムの運動によって生成される垂直方向及び水平方向の慣性力をバランスさせるための、バランスウェイトを備える。
【0011】
本発明によれば、パンチプレスは、水平方向の質量バランスのために必要とされる水平方向の駆動運動が、クランクシャフト又は偏心シャフトで直接的に、好ましくはクランクシャフト又は偏心シャフトの側方で受け取られるように構成されている。「クランクシャフト又は偏心シャフトの側方で」は、クランクシャフト又は偏心シャフトのクランクピン又は偏心器の水平方向の運動が、上方から及び下方からクランクシャフト又は偏心シャフトに隣接する2つの水平な平面の間の領域において、直接的に、クランクピン又は偏心器で受け取られることを意味する。
【0012】
本発明による構造様式により、場合によっては運転中に生じ得る、水平方向の質量バランスに寄与する部材の振動が、プレスラムに伝わり、それにより、切断プロセス又はエンボス加工プロセスに悪影響を及ぼすことを、防止することができる。
【0013】
好ましい実施形態では、パンチプレスは、垂直方向の質量バランスのために必要とされる駆動運動が、クランクシャフト又は偏心シャフトで直接的に、しかも好ましくはクランクシャフト又は偏心シャフトの上方で受け取られるように構成されている。「クランクシャフト又は偏心シャフトの上方で」は、クランクシャフト又は偏心シャフトのクランクピン又は偏心器の垂直方向の運動が、両方の側面からクランクシャフト又は偏心シャフトに隣接する2つの垂直な平面の間の領域において、直接的に、クランクシャフト又は偏心シャフトの上方で、クランクピン又は偏心器で受け取られることを意味する。
【0014】
好ましくは、水平方向の質量バランスのために必要とされる駆動運動が、クランクシャフト又は偏心シャフトに付属する部材を介して受け取られ、ラム駆動に寄与する部材とは別個に形成されたバランスウェイトに伝達されるように構成されている。これにより、場合によっては運転中に生じ得る、水平方向の質量バランスに寄与する部材の振動の、プレスラムからの、したがって切断プロセス又はエンボス加工プロセスからの最大限の分離を達成することができる。
【0015】
有利には、更に、質量バランスのために必要とされる駆動運動の全て、すなわち、水平方向の及び垂直方向の両方の質量バランスのために必要とされる駆動運動が、クランクシャフト又は偏心シャフトに付属する部材を介して受け取られ、ラム駆動に寄与する部材とは別個に形成されたバランスウェイトに伝達される。これにより、場合によっては運転中に生じ得る、質量バランスに寄与する部材の振動の、プレスラムからの、したがって切断プロセス又はエンボス加工プロセスからの最大限の分離を達成することができる。
【0016】
水平方向の質量バランスのために必要とされる駆動運動は、好ましくは、クランクシャフト又は偏心シャフトのクランクピン又は偏心器に係合する要求にかなった補助連接棒を介して受け取られ、当該補助連接棒は、完全に独立して、又は、能動連接棒若しくは垂直方向の質量バランスのための駆動運動を受け取るための何らかの連接棒(要求にかなった受動連接棒)と共に、形成することができる。
【0017】
その際、補助連接棒が、クランクシャフト又は偏心シャフトを起点として、プレスラムの意図された運動方向に対して横方向に、すなわち実質的に水平な方向に、クランクシャフト又は偏心シャフトから離れるように延びることが有利である。
【0018】
補助連接棒の、クランクシャフト又は偏心シャフトとは反対側の端部は、有利には、それぞれ、旋回可能に支持された二重レバーの端部と連結、特に好ましくはそこにヒンジ連結されている。この二重レバーの第2の端部は、直接的に又は別の連結具を介して、水平方向の質量バランスのためのバランスウェイトと連結、有利にはそれにヒンジ連結されている。
【0019】
その際、補助連接棒の、クランクシャフト又は偏心シャフトとは反対側の端部が、それぞれリンクを介して、それぞれ旋回可能に支持された二重レバーの端部と連結されていることが、更に好ましい。
【0020】
この二重レバーの第2の端部は、好ましくは、それぞれリンクを介して、水平方向の質量バランスのためのそれぞれのバランスウェイトと連結されている。
【0021】
これらの上述した構成は、水平方向の質量バランスのために必要とされる駆動運動を受け取り伝達するのに、特に適していることが判明した。
【0022】
水平方向の質量バランスのために必要とされる駆動運動が、クランクシャフト又は偏心シャフトのクランクピン又は偏心器に係合する要求にかなった補助連接棒を介して受け取られる、パンチプレスの特に好ましい実施形態では、これらの補助連接棒は、プレスラムの持ち上げ運動の生成に寄与する要求にかなった能動連接棒とは別個に形成されている。
【0023】
これにより、場合によっては運転中に生じ得る、水平方向の質量バランスに寄与する部材の振動の、プレスラムからの、したがって切断プロセス又はエンボス加工プロセスからの最大限の分離を達成することができる。
【0024】
別の好ましい実施形態では、これらの補助連接棒は、それぞれ、プレスラムの持ち上げ運動の生成に寄与する能動連接棒と共に形成されている。これは、実用的には、例えば、能動連接棒のクランクシャフト又は偏心シャフト側のアイが、同時に補助連接棒のクランクシャフト又は偏心シャフト側のアイも形成し、このアイの側方に、補助連接棒の、クランクシャフト又は偏心シャフトとは反対側のアイを形成する補助アイが形成されるような態様で、それぞれ1つの能動連接棒と1つの補助連接棒を、それぞれ一体的に共に形成することにより、行うことができる。これにより、場合によっては運転中に生じ得る、水平方向の質量バランスに寄与する部材の振動の、プレスラムからの、したがって切断プロセス又はエンボス加工プロセスからの良好な分離を達成することができ、同時に、部材が殆ど分離されていないコンパクトな設計を実現することができる。
【0025】
他の更に好ましい実施形態では、本発明によるパンチプレスは、垂直方向の質量バランスのために必要とされる駆動運動が、クランクシャフト又は偏心シャフトのクランクピン又は偏心器に係合する要求にかなった受動連接棒を介して受け取られ、当該受動連接棒は、完全に独立して、又は、能動連接棒若しくは水平方向の質量バランスのための駆動運動を受け取るための何らかの連接棒(要求にかなった補助連接棒)と共に、形成することができる。
【0026】
その際、受動連接棒が、クランクシャフト又は偏心シャフトを起点として、実質的に垂直な方向に、プレスラムから離れるように延びることが有利である。
【0027】
受動連接棒の、クランクシャフト又は偏心シャフトとは反対側の端部は、有利には、それぞれ、旋回可能に支持された二重レバーの端部にヒンジ連結されており、当該二重レバーの第2の端部は、直接的に又は別の連結具を介して、垂直方向の質量バランスのためのバランスウェイトにヒンジ連結されている。
【0028】
その際、垂直方向の質量バランスのためのそれぞれのバランスウェイトが、それぞれの二重レバーのそれぞれの端部によって支持されていることが、更に好ましい。
【0029】
これらの上述した構成は、垂直方向の質量バランスのために必要とされる駆動運動を受け取り伝達するのに、特に適していることが判明した。
【0030】
水平方向の質量バランスのために必要とされる駆動運動が、クランクシャフト又は偏心シャフトのクランクピン又は偏心器に係合する要求にかなった補助連接棒を介して受け取られ、垂直方向の質量バランスのために必要とされる駆動運動が、クランクシャフト又は偏心シャフトのクランクピン又は偏心器に係合する要求にかなった受動連接棒を介して受け取られる、パンチプレスの更なる好ましい実施形態では、この補助連接棒は、それぞれ受動連接棒と共に形成されている。これは、実用的には、例えば、受動連接棒のクランクシャフト又は偏心シャフト側のアイが、同時に補助連接棒のクランクシャフト又は偏心シャフト側のアイも形成し、このアイの側方に、補助連接棒の、クランクシャフト又は偏心シャフトとは反対側のアイを形成する補助アイが形成されるような態様で、それぞれ1つの受動連接棒と1つの補助連接棒を、それぞれ一体的に共に形成することにより、行うことができる。これにより、特に能動連接棒とは別個に形成されている場合、場合によっては運転中に生じ得る、質量バランスに寄与する部材の振動の、プレスラムからの、したがって切断プロセス及び/又はエンボス加工プロセスからの非常に良好な分離を達成することができ、同時に、部材が殆ど分離されていないコンパクトな設計を実現することができる。
【0031】
別の好ましい実施形態では、補助連接棒と受動連接棒は、別個の部材から形成されている。これにより、場合によっては運転中に生じ得る、水平方向の質量バランスに寄与する部材及び垂直方向の質量バランスに寄与する部材の振動の、最大限の分離を達成することができる。
【0032】
有利には、水平方向の質量バランスのために必要とされる駆動運動が、クランクシャフト又は偏心シャフトのクランクピン又は偏心器に係合する要求にかなった補助連接棒を介して受け取られ、垂直方向の質量バランスのために必要とされる駆動運動が、クランクシャフト又は偏心シャフトのクランクピン又は偏心器に係合する要求にかなった受動連接棒を介して受け取られる、本発明によるパンチプレスの実施形態では、補助連接棒、受動連接棒及び能動連接棒の少なくとも一部が、クランクシャフトの共通のクランクピンの上に、又は、偏心シャフトの共通の偏心器の上に、支持されている。これにより、コンパクトな設計が容易となる。
【0033】
水平方向の質量バランスのためのバランスウェイトは、本発明によるパンチプレスにおいて、有利には、クランクシャフト又は偏心シャフトの両側に配置されている。このコンセプトは、特に適切であることが判明した。
【0034】
また、バランスウェイトのそれぞれが、水平方向の慣性力のバランス及び垂直方向の慣性力のバランスの両方に寄与するように、プレスが構成されていることが好ましい。これにより、可能な限り部材が少ないコンパクトな設計が容易となる。
【0035】
他の更に好ましい実施形態では、本発明によるパンチプレスは、能動連接棒が、クランクシャフト又は偏心シャフトを起点としてプレスラムの方向へ延び、能動連接棒の、クランクシャフト又は偏心シャフトとは反対側の端部が、それぞれ、片側レバーの端部にヒンジ連結されているように構成されている。それぞれの片側レバーの他方の端部は、直接的に又は別の連結具を介して、パンチプレスのハウジングにヒンジを介して支持されている。その際、片側レバーには、それぞれ、それらの両方の端部の間の領域に、プレスラムと接続されたそれぞれ1つの圧力リンクがヒンジ連結されている。
【0036】
これらの上述した構成は、プレスラムの持ち上げ運動の生成に特に適していることが判明した。
【0037】
本発明の更なる好ましい実施形態は、従属請求項及び図面を参照した以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明によるパンチプレスの垂直断面を示している。
図2図1の線X-Xに沿った断面を示している。
図3図1の線Y-Yに沿った断面を示している。
図4】本発明によるパンチプレスの変形例の、図2と同様の図示である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、本発明によるパンチプレスの垂直断面を示しており、意図された運転において、プレス構造11の上部に配置された偏心駆動装置によって駆動されるプレスラム13は、上方から、プレスの固定プレート14に対して作用する。
【0040】
図1の線X-Xに沿ったプレスの水平断面を示す図2を共に参照して認識し得るように、ラム13の駆動は、偏心率を調整可能とする目的で偏心ブッシュ1bを備える偏心シャフト1aを介して行われる。
【0041】
偏心ブッシュ1b上には、2対の能動連接棒9a,9bが配置されており、それらは、偏心シャフト1a,1bを起点としてプレスラム13の方向へ延びている。能動連接棒9a,9bの、偏心シャフト1a,1bとは反対側の端部は、対になって、それぞれ、実質的に水平に延びる片側レバー10a,10bの一端にヒンジ連結されており、その他端はパンチプレスのハウジング11にヒンジを介して支持されている。
【0042】
片側レバー10a,10bには、それぞれ、両方の端部の間の領域に圧力リンク12a,12bがヒンジ連結されており、それらは、プレスラム13と接続されていると共に、意図された動作においてプレスラム13を上下に移動させる。
【0043】
運転中のパンチプレスの振動を可能な限り小さく保ち、良好な加工結果を可能とするために、プレスは、偏心シャフト1a,1bの両側に配置された2つのバランスウェイト2a,2bを備え、当該バランスウェイトは、プレスのハウジング構造11の内部に支持され、運転中、プレスラム13に向かって、及び、ラム駆動装置の部材9a,9b;10a,10b;12a,12bに向かって、逆方向に移動され、その結果、バランスウェイトは、それらの部材によって生成される垂直方向及び水平方向の慣性力の大部分を、プレスの内部でバランスさせる。
【0044】
図1の線Y-Yに沿った実質的に水平な断面を示す図3を共に参照して認識し得るように、バランスウェイト2a,2bの駆動装置は、水平方向及び垂直方向の質量バランスのために必要とされる駆動運動が、直接的に偏心シャフト1a,1bで受け取られるように構成されている。
【0045】
水平方向の質量バランスのために必要とされる駆動運動は、偏心ブッシュ1b上に配置されると共に偏心シャフト1a,1bを起点としてプレスラム13の意図された運動方向Sに対して横方向に延びる補助連接棒5a,5bを介して、両側において偏心シャフト1a,1bの側方で受け取られる。
【0046】
垂直方向の質量バランスのために必要とされる駆動運動は、偏心ブッシュ1b上に配置されると共に偏心シャフト1a,1bを起点としてプレスラム13から離れる方向に延びる受動連接棒3a,3bを介して、クランクシャフト又は偏心シャフト1a,1bの上方で受け取られる。
【0047】
図2及び3から認識され得るように、補助連接棒5a,5b及び受動連接棒3a,3bは、共通の部材から形成されている。すなわち、受動連接棒3a又は3b、及び、補助連接棒5a又は5bは、それぞれ、共通の一体部材へと統合されている。これは、それぞれの受動連接棒3a,3bの偏心シャフト側のアイ16a,16bが、同時に、関連付けられた補助連接棒5a,5bの偏心シャフト側のアイをも形成し、このアイ16a,16bの側方に、それぞれの補助連接棒5a,5bの偏心シャフトとは反対側のアイを形成する補助アイ15a,15bが形成されるように、実現される。能動連接棒9a,9bは、補助連接棒5a,5b及び受動連接棒3a,3bとは別個に形成されている。
【0048】
補助アイ15a,15bによって形成された、補助連接棒5a,5bの偏心シャフト1a,1bとは反対側の端部は、それぞれ、リンク8a,8bを介して、旋回可能に支持された二重レバー6a,6bの端部に連結されており、その第2の端部は、別のリンク7a,7bを介して、バランスウェイト2a,2bのうちの一方の下端に連結されている。その際、リンク及びレバー7a,8a,6a又は7b,8b,6bの配置は、それぞれの補助連接棒5a,5bの補助アイ15a,15bの水平運動が、それぞれ関連付けられたバランスウェイト2a又は2bの逆方向の水平運動を引き起こすように選択されている。
【0049】
したがって、パンチプレスは、水平方向の質量バランスのために必要とされる駆動運動が、偏心シャフト1a,1bに付属する部材5a,5b;6a,6b;7a,7b;8a,8bを介して受け取られ、ラム駆動に寄与する部材9a,9b;10a,10b;12a,12bとは別個に形成されたバランスウェイト2a,2bに伝達されるよう、構成されている。
【0050】
それぞれアイ17a,17bによって形成された、受動連接棒3a,3bの偏心シャフト1a,1bとは反対側の端部は、それぞれ、旋回可能に支持された二重レバー4a,4bの端部にヒンジ連結されており、フォーク状に形成されたその第2の端部は、バランスウェイト2a,2bのうちの一方の上端にヒンジ連結され、これを支持している。その際、配置は、それぞれの受動連接棒3a,3bのアイ17a,17bの垂直方向の運動が、それぞれ関連付けられたバランスウェイト2a又は2bの逆方向の垂直方向の運動を引き起こすように選択されている。
【0051】
したがって、パンチプレスは、更に、垂直方向の質量バランスのために必要とされる駆動運動が偏心シャフト1a,1bに付属する部材3a,3b;4a,4bを介して受け取られ、ラム駆動に寄与する部材9a,9b;10a,10b;12a,12bとは別個に形成されたバランスウェイト2a,2bに伝達されるよう、構成されている。
【0052】
図4は、本発明によるパンチプレスの変形例における、図1の線X-Xに沿った断面を示している。この変形例は、補助連接棒5c,5d及び受動連接棒3a,3bが別個の部材から形成されている点で、図2及び図3による変形例とは異なっている。
【0053】
ここでは、補助連接棒5c,5d及び能動連接棒9a,9bは、共通の部材から形成されている。すなわち、能動連接棒9a又は9b、及び、補助連接棒5c又は5dは、それぞれ、共通の一体部材へと統合されている。これは、それぞれの受動連接棒9a,9bの偏心シャフト側のアイ16が、同時に、関連付けられた補助連接棒5c,5dの偏心シャフト側のアイをも形成し、このアイ16の側方に、それぞれの補助連接棒5c、5dの偏心シャフト1a,1bとは反対側のアイを形成する補助アイ15c、15dが形成されるように、実現される。能動連接棒9a,9b及び補助連接棒5c,5dは、ここでは、それぞれ連接棒対として形成されている。受動連接棒3a,3bは、能動連接棒9a,9bとは別個に形成されている。
【0054】
本願では、本発明の好ましい実施形態が記載されているが、本発明はこれらに限定されず、以下の請求項の範囲内で、他の方法でも実施され得ることを、明確に指摘しておく。
図1
図2
図3
図4