IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社三菱総合研究所の特許一覧

特許7377910情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
<>
  • 特許-情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図1
  • 特許-情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図2
  • 特許-情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図3
  • 特許-情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図4
  • 特許-情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図5
  • 特許-情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/30 20180101AFI20231102BHJP
   G06Q 50/22 20180101ALI20231102BHJP
   A61B 5/11 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G16H50/30
G06Q50/22
A61B5/11 200
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022068690
(22)【出願日】2022-04-19
(65)【公開番号】P2023158734
(43)【公開日】2023-10-31
【審査請求日】2022-04-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ▲1▼公開日 :2022年1月31日 公開場所:株式会社日本ケアサプライ(東京都港区芝大門1丁目1番30号 芝NBFタワー9階) ▲2▼公開日 :2022年3月4日 公開場所:綜合警備保障株式会社(東京都港区元赤坂1丁目6番6号) ▲3▼公開日 :2022年3月31日 公開場所:エヌ・デーソフトウェア株式会社(山形県南陽市和田3369) ▲4▼公開日 :2022年4月15日 公開場所:綜合警備保障株式会社(東京都港区元赤坂1丁目6番6号)
(73)【特許権者】
【識別番号】591115475
【氏名又は名称】株式会社三菱総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(72)【発明者】
【氏名】川邊 万希子
(72)【発明者】
【氏名】魚住 剛一郎
(72)【発明者】
【氏名】松下 知己
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 顕是
(72)【発明者】
【氏名】大島 嘉文
(72)【発明者】
【氏名】岡田 圭太
(72)【発明者】
【氏名】福田 健
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 靖英
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-204419(JP,A)
【文献】特開2001-250004(JP,A)
【文献】国際公開第2021/044696(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
G06Q 50/22
A61B 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者が食べた食事の量を重量によって取得する計量部、又は対象者が食べた食事の量を静止画もしくは動画で取得する第一撮像部を有する取得部と、
複数のテスト対象者の食べた食事の量と、前記複数のテスト対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価結果とを学習データとして機械学習によって生成された評価モデルに、前記計量部又は前記第一撮像部によって取得された、対象者の食べた食事の量に関する情報を適用することで、対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価を行う評価部と、
評価部での評価結果を出力する出力部と、
を備える、情報処理システム。
【請求項2】
前記取得部は対象者を入力によって特定できる端末を有し、
前記評価部での評価結果と前記端末によって特定される対象者とを関連付けて記憶する記憶部が設けられる、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記取得部は対象者の動作を動画で取得する第二撮像部を有し、
前記評価部は、複数のテスト対象者の食べた食事の量及び複数のテスト対象者の動作に関する情報と、複数のテスト対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価結果とを学習データとして機械学習によって生成された評価モデルに、対象者の食べた食事の量に関する情報に加え、前記第二撮像部で取得された対象者の動作に関する情報を適用することで、対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価を行う、請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記取得部は対象者の動作を動画で取得する第二撮像部を有し、
対象者が所持する又は対象者に取り付けられた位置特定部材から対象者の位置情報を特定することで、前記第二撮像部で撮影されている対象者を特定する特定部を備える、請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
特定部による特定結果を担当者が承認することで対象者の特定が正式に行われる、請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記評価部は、複数のテスト対象者の食べた食事の量及び複数のテスト対象者の位置情報、移動距離又は歩行速度と、複数のテスト対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価結果とを学習データとして機械学習によって生成された評価モデルに、対象者の食べた食事の量に関する情報に加え、前記位置特定部材を用いて前記特定部によって得られる対象者の位置情報、移動距離又は歩行速度を適用することで当該対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価を行う、請求項に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記取得部は、対象者の体重を測定する重量計又は対象者の身長を測定する身長計を有し、
前記評価部は、複数のテスト対象者の食べた食事の量及び複数のテスト対象者の体重又は身長と、複数のテスト対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価結果とを学習データとして機械学習によって生成された評価モデルに、対象者の食べた食事の量に関する情報に加え、対象者の体重又は身長に関する情報を適用することで、対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価を行う、請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記評価部は、センサから得られた数字情報又は手入力された情報を前記評価モデルに適用することで、対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価を行う、請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項9】
出力部は、評価部による評価結果を用いて科学的介護情報システムであるLIFEのデータベースに自動で登録する、請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項10】
計量部によって対象者が食べた食事の量を重量によって取得する、又は第一撮像部によって対象者が食べた食事の量を静止画もしくは動画で取得する工程と、
複数のテスト対象者の食べた食事の量と、前記複数のテスト対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価結果とを学習データとして機械学習によって生成された評価モデルに、前記計量部又は前記第一撮像部によって取得された、対象者の食べた食事の量に関する情報を適用することで対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価を行う工程と、
出力部が評価部による評価結果を出力する工程と、
を備える、情報処理方法。
【請求項11】
情報処理装置にインストールされるプログラムであって、
前記プログラムがインストールされた情報処理装置に、
複数のテスト対象者の食べた食事の量と、前記複数のテスト対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価結果とを学習データとして機械学習によって生成された評価モデルに、計量部によって取得された対象者が食べた食事の量、又は第一撮像部によって静止画もしくは動画で取得された対象者の食べた食事の量に関する情報を適用することで対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価を行う評価機能と、
評価機能による評価結果を出力する出力機能と、
を実現させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、介護に関連した情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
高齢化社会が進むにつれて、介護対象者の情報を効率よく管理することが望まれるようになってきている。昨今では、科学的介護情報システムであるLIFEが導入され、介護対象者の情報の電子化は益々進む傾向にある。
【0003】
介護対象者の介護に関する情報を自動で評価するという観点からは、例えば特許文献1では排泄に特化した介護支援装置が提案されており、第1センサの検出値を用いて被介護者による排泄を検知する検知処理と、第2センサの検出値を用いて被介護者の睡眠状態を特定する特定処理と、被介護者の排泄を検知し、かつ、被介護者の睡眠状態が深い状態でないと特定した場合、排泄が行われた旨を示す出力情報を出力する出力処理と、を実行することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-124961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
科学的介護情報システムであるLIFEが導入され、介護対象者の介護状況に関する情報を評価する機会が増えたことに伴い、本発明は、介護対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価を自動で行う情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[概念1]
本発明による情報処理システムは、
対象者に関する情報を取得する取得部と、
取得部によって取得された対象者に関する情報を評価モデルに適用することで、対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価を行う評価部と、
評価部での評価結果を出力する出力部と、
を備えてもよい。
【0007】
[概念2]
概念1に記載の情報処理システムにおいて、
取得部は対象者を入力によって特定できる端末を有し、
評価部は、前記端末によって撮影される動画又は静止画を評価モデルに適用することで、対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価を行い、
評価部での評価結果と前記端末によって特定される対象者とを関連付けて記憶する記憶部が設けられてもよい。
【0008】
[概念3]
概念1又は2に記載の情報処理システムにおいて、
取得部は対象者の動作を動画で取得する撮像部を有し、
評価部は対象者の動作に関する情報を評価モデルに適用することで、対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価を行ってもよい。
【0009】
[概念4]
概念1乃至3のいずれか1つに記載の情報処理システムにおいて、
取得部は、対象者が食べた食事の量を重量によって取得する計量部、又は対象者が食べた食事の量を静止画もしくは動画で取得する撮像部を有し、
評価部は対象者の食べた食事に関する情報を評価モデルに適用することで、対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価を行ってもよい。
【0010】
[概念5]
概念1乃至4のいずれか1つに記載の情報処理システムにおいて、
対象者が所持する又は対象者に取り付けられた位置特定部材から対象者の位置情報を特定することで、取得部による取得された情報の対象者を特定する特定部を備え、
評価部は、特定部で特定された対象者に関して取得部によって取得された情報を評価モデルに適用することで当該対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価を行ってもよい。
【0011】
[概念6]
概念5に記載の情報処理システムにおいて、
特定部による特定結果を担当者が承認することで対象者の特定が正式に行われてもよい。
【0012】
[概念7]
概念1乃至6のいずれか1つに記載の情報処理システムにおいて、
対象者が所持する又は対象者に取り付けられた位置特定部材から対象者の位置情報を特定することで、取得部による取得された情報の対象者を特定する特定部を備え、
評価部は、特定部によって得られる対象者の位置情報、移動距離又は歩行速度を評価モデルに適用することで当該対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価を行ってもよい。
【0013】
[概念8]
概念1乃至7のいずれか1つに記載の情報処理システムにおいて、
取得部は、対象者の体重を測定する重量計又は対象者の身長を測定する身長計を有し、
評価部は対象者の体重又は身長に関する情報を評価モデルに適用することで、対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価を行ってもよい。
【0014】
[概念9]
概念1乃至8のいずれか1つに記載の情報処理システムにおいて、
センサから得られた数字情報又は手入力された情報を評価モデルに適用することで、対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価を行ってもよい。
【0015】
[概念10]
概念1乃至9のいずれか1つに記載の情報処理システムにおいて、
出力部は、評価部による評価結果を用いてLIFEのデータベースに自動で登録してもよい。
【0016】
[概念11]
本発明による情報処理方法は、
取得部によって、対象者に関する情報を取得する工程と、
取得部によって取得された対象者に関する情報を、評価部が評価モデルに適用することで対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価を行う工程と、
出力部が評価部による評価結果を出力する工程と、
を備えてもよい。
【0017】
[概念12]
本発明によるプログラムは、
情報処理装置にインストールされるプログラムであって、
前記プログラムがインストールされた情報処理装置に、
取得部によって取得された対象者に関する情報を、評価モデルに適用することで対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価を行う評価機能と、
評価機能による評価結果を出力する出力機能と、
を実現させてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、介護対象者に対する介護の必要性又は心身の状態に関する評価を自動で行う情報処理装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態による情報処理装置の概略ブロック図。
図2】撮像部の一例であるスマートフォン等の端末によって、介護対象者の食事の量の減り具合を取得する態様を説明した図。
図3】トレーに乗せられた食前の食事の重量と食後の重量を、取得部を構成する計量部によって計量する態様を説明した図。
図4】介護対象者の体重がベッドのマットに組み込まれた重量計によって取得される態様を説明した図。
図5】身長計による測定結果を静止画や動画によって撮像部が取得する態様を説明した図。
図6】評価部での評価結果を、介護ソフトを用いてLIFEのデータベースに自動で登録する態様を説明した図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態
本実施の形態の情処理システム及び情報処理装置の各々は、一つの装置から構成されてもよいし複数の装置から構成されてもよい。本実施の形態では、本実施の形態の情報処理装置を用いた情報処理方法、情報処理装置を生成するためにインストールされるプログラムや、当該プログラムを記憶したUSB、DVD等からなる記憶媒体も提供される。また、本願の「又は」は「及び」を含む概念であり、「A又はB」という用語は、「A」、「B」、並びに「A及びB」の両方を含む概念である。情報処理装置は典型的にはサーバであり、クラウド環境に置かれてもよい。情報処理装置では事業者毎に管理が行われており、事業者が識別情報及びパスワード等を用いてログインすることで、事象者識別情報に紐づいた当該事象者に関連する情報が読み出されて、端末200で確認できるようにしてもよい。
【0021】
図1に示すように、情報処理装置は、複数の対象者の情報を取得する1又は複数の取得部300と、取得部300によって取得された対象者に関する情報を、評価モデルに適用することで対象者の介護に関する所定の項目についての評価を行う評価部10と、評価部10での評価結果を出力する出力部70と、を有する。対象者に関する情報とは、後述するように、対象者の動作状況、対象者の身長・体重、対象者のバイタル情報、対象者の食事量等である。評価部10が対象者の介護に関する所定の項目及び/又は心身の状態に関する所定の項目についての評価を行うことで、個々の対象者に対する介護の必要性及び/又は心身の状態に関する評価が可能となる。
【0022】
評価部10は人工知能機能を有しており、評価モデルを生成してもよい。人工知能機能の一例として、機械学習の手法を用いた分類器を用いてもよい。分類器は、例えば機械学習技術によって、利用する採用変数(要素)と、その係数(重み)を定めてもよい。人工知能機能は、回帰分析、決定木分析等を行ってもよい。機械学習技術に関しては、様々なモデルを採用することができ、例えば、ロジスティクス回帰モデル、ランダムフォレストモデル、ツリーモデル等を採用することができる。
【0023】
評価部10は、介護対象者の状況について取得部300から情報を取得し、当該介護対象者に対する看護職員、介護職員、リハビリテーション専門職員等の担当者による実際の評価結果を学習データとして機械学習するようにしてもよい。取得部300から取得された介護対象者の状況についての情報と、当該介護対象者に対する担当者による実際の評価結果を、学習データとテストデータに分けて、機械学習を行わせてもよい。一例としては、複数の介護対象者に関して取得部300で取得された情報と、当該複数の介護対象者に対する看護職員、介護職員、リハビリテーション専門職員等の担当者による介護に関する項目又は心身の状態に関する項目についての評価結果を学習データとして、評価部10が機械学習を行うようにしてもよい。そして、当該機械学習によって生成された評価モデルに対して、別の複数の介護対象者に関して取得部300で取得された情報と、当該複数の介護対象者に対する看護職員、介護職員、リハビリテーション専門職員等の担当者による介護に関する項目又は心身の状態に関する項目についての評価結果をテストデータとして用いて、検証するようにしてもよい。そして、ある程度の確からしさを持ったモデルを評価モデルとして利用し、以降は、毎月又は3か月に一回といった適宜なタイミングで評価モデルを更新するようにしてもよい。
【0024】
評価モデルは、評価部10で生成される必要はなく、予め準備されて記憶部60で記憶されてもよいし、1週間、毎月又は3か月に一回といった適宜なタイミングで更新されたモデルが記憶部60で評価モデルとして記憶されるようにしてもよい。
【0025】
本実施の形態によれば、評価部10が客観的に判断することで、現状のような主観的な判断と比較して信頼性の高い情報によって、全自立、部分自立、大部分介助、全介助等(図6参照)の介護対象者に対する介護の必要性や、認知機能の状態等の心身の状態に関する評価を行うことができるようになる。
【0026】
評価部10での評価結果は出力部70から出力されて、端末200の表示画面等の表示部210で表示されてもよい。そして、担当者が承認をすることで、評価部10での評価結果が記憶部60で記憶されるようにしてもよい。このような態様を採用することで、担当者による確認も経た上で情報が記録されることから、情報の正確性を高めることができる。端末200は、スマートフォン、タブレット、パソコン等からなり、表示部210及び入力部220を有してもよい。スマートフォン及びタブレットでは、タッチパネルとなっており、表示部210及び入力部220の機能をタッチパネルが果たすこととなる。
【0027】
評価部10での評価には一例としてバーセルインデックスを用いてもよい。この場合には、一例として、食事、移乗、整容、トイレ、入浴、歩行(移動)、階段昇降、更衣、排便及び排尿の10項目が介護に関する項目となり、評価部10がこれらの項目についての評価を自動で行うことになる。この場合には、各項目を自立度に応じて15点、10点、5点及び0点で評価し、100点満点で全自立、100点未満60点以上で部分自立、60点未満40点以上で大部分介助、0点で全介助と評価部10が評価するようにしてもよい。介護に関する項目は、上記10項目に限られることはなく、項目内容は適宜設定又は変更されるようにしてもよい。また、上記10項目が大項目となり、各項目に中項目及び/又は小項目が設定されてもよい。
【0028】
介護対象者の情報は介護職員、リハビリ職員、医師、歯科医師、歯科衛生士等の担当者が所持するスマートフォン、タブレット、パソコン等の担当者端末等の端末200を介して入力されてもよく、当該端末200が取得部300の一部となってもよい。その際には、食事摂取表、バイタルチェック表、排せつチェック表、栄養記録等が端末200から入力され、これらの情報が記憶部60で記録されてもよい。
【0029】
また、対象者の動作を動画又は静止画で取得する撮像部310が設けられ、当該撮像部310が取得部300の一部となってもよい。この場合には、介護対象者が一人で寝起きできているか、一人で歩行できているか、また介護対象者が調理している様子や調理の片づけをしている様子等(図6参照)を動画として撮像部310が取得してもよい。撮像部310で取得された対象者の動作に関する情報を評価モデルに適用することで、評価部10が介護対象者の介護に関する項目又は心身の状態に関する項目についての評価を行うことになる。このような態様を採用した場合には、各介護対象者の日ごろの動作や試験的に行われる調理動作等を用いて、評価部10が介護対象者の介護に関する項目又は心身の状態に関する項目についての評価を自動で行うことができる。
【0030】
また食事を下げた際に、介護対象者が完食しているか、食事を残しているか等の食事後の状態を静止画又は動画として撮像部310が取得してもよい(図2参照)。またトレーに乗せられた食前の食事の重量と食後の重量を取得部300を構成する計量部320によって計量できるようになっており、その結果を用いて、食事の量を取得するようにしてもよい(図3参照)。この場合には、評価部10が、介護対象者の食べた食事に関する情報を評価モデルに適用することで、対象者の介護に関する項目又は心身の状態に関する項目についての評価を行うことになる。このような態様を採用した場合には、各介護対象者の食事量をもとに、評価部10が介護対象者の介護に関する項目又は心身の状態に関する項目についての評価を自動で行うことができる。
【0031】
また各種センサによって取得される数字情報、例えばバイタル情報(体温、脈拍、呼吸、意識、血圧)やマットセンサーから得られる呼吸数や心拍数等を評価部10が、評価モデルに適用することで、対象者の介護に関する項目又は心身の状態に関する項目についての評価を行うようにしてもよい。また、食事形態、食事量、排泄・排便の有無や量等の生活情報や既往歴等の医療情報が手入力で端末200から入力され、これらの情報を評価部10が、評価モデルに適用することで、対象者の介護に関する項目又は心身の状態に関する項目についての評価を行うようにしてもよい。
【0032】
介護対象者の動作としては日常生活動作(ADL)を取得し、評価するようにしてもよい。日常生活動作(ADL)とはActivities of Daily Livingのことを意味し、移動、排泄、食事等の最低限の日常生活動作であり、介護対象者自身が行う必要がある動作である。評価部10は、入力される情報から、食事、椅子とベッド間の移乗、整容、トイレ動作、入浴、平地歩行、階段昇降、更衣、排便コントロール、排尿コントロールといった項目の各々に対して自立、一部介助、全介助といった評価(0点、5点、10点、15点等の評価)を行うようにしてもよい。
【0033】
介護対象者の情報と動画又は静止画との紐づけは、介護対象者の位置情報や介護対象者の顔認識によって行われてもよい。介護対象者はRFタグやGPS端末等の位置特定部材を所持したり、位置特定部材がバンドとしてつけられたりしており、このような位置特定部材の位置情報から撮像部310に移っている人物や撮像部310で撮影された食後の様子がどの介護対象者であるのかを識別して紐づけてもよい。RFタグ等の位置特定部材は衣服に取り付けられてもよいし、靴に取り付けられてもよく、介護対象者の位置が特定できるのであれば、いずれの箇所に取り付けられてもよい。このように対象者が所持する又は対象者に取り付けられた位置特定部材から対象者の位置情報を特定することで、取得部300で取得された情報の介護対象者を特定する場合には、評価部10は、特定された各介護対象者に関して取得部300によって取得された情報を評価モデルに適用することで当該対象者の介護に関する項目又は心身の状態に関する項目についての評価を行うようにしてもよい。このような態様を採用した場合には、誰の情報を評価しているかを自動で行うことができることから、担当者による情報収集の手間をさらに減らすことができる点で有益である。
【0034】
また、食事を受けとるとき及び食後の食器を返還するときにはIDカード等の認証媒体を読取部330にかざすようにしてもよく(図3参照)、その場合には、IDカード等の認証媒体からの情報に基づいて介護対象者を識別することになる。
【0035】
位置特定部材による対象者の位置情報の特定、顔認識による特定、読取部330を用いた特定等は情報処理装置の特定部50(図1参照)によって行われることになる。
【0036】
本実施の形態の撮像部310等を含む取得部300は高齢者施設や介護施設に設置されていたり、介護職員等の担当者が所持していたりするスマートフォンやタブレット等の端末200であることが典型的ではあるが、そのような態様に限られることはなく、自宅での介護にも本実施の形態を適用することはできる。
【0037】
また唾がのみ込めるかどうか、食事を問題なくのみ込めるかどうか等の口腔系の機能についての情報、自分で寝返りが打てるかどうか等も撮像部310からの情報によって取得してもよい。
【0038】
また撮像部310での撮像対象が誰であるのかは介護職員等の担当者が指定するようにしてもよく、その場合には、担当者によって指定された情報に基づいて、誰の情報であるかが取得部300で取得されることになる。担当者によって指定された情報は記憶部60で記憶され、次回以降に介護対象者を特定する際に利用されてもよい。また介護対象者の正式な特定は、特定部50による特定結果を担当者が承認することで行われてもよい。例えば「〇〇さん」というような表示が端末200の表示部210でなされ、担当者が画面をタップして承認の選択を行うことで、介護対象者が正式に特定されるようにしてもよい。このような態様を採用する場合には、介護対象者と評価対象との紐づけをより確実に行うことができる点で有益である。なお、「〇〇さん」という表示内容が誤っている場合には、画面をタップした後で、当該人物名を入力するようにしてもよい。特定部50も人工知能機能を有しており、このように情報の修正が行われた場合には、人物を特定する際に用いられる特定モデルを修正するようにしてもよい。当該特定モデルも記憶部60で記憶されることになる。
【0039】
撮像部310は介護職員やリハビリ職員等の担当者が所持するスマートフォン等の端末200であってもよく、担当者が撮影対象者を指定した上で動画や静止画の撮影を行うようにしてもよい。この場合には、介護対象者を担当者が指定した上で動画や静止画の情報が取得されることになるので、導入コストを抑えつつ、動画や静止画の情報を用いた評価部10での評価が可能となる点で非常に有益である。例えば、スマートフォン等の端末200にインストールされる専用アプリケーションを用いることで人物名を入力できるようになっており、人物名や識別情報を入力部220によって手(手動)又は音声で入力した上で、スマートフォン等の端末200の静止画や動画によって、当該人物に関する情報を取得するようにしてもよい。この場合には、介護対象者の特定情報は端末200で撮影された動画又は静止画と紐づけられた上で記憶部60によって記憶され、当該動画又は静止画を評価モデルに適用することで得られる評価部10での評価結果は介護対象者の特定情報と紐づけられた上で記憶部60によって記憶されてもよい。撮影対象は、一例として、介護対象者の動きであってもよいし、食後の様子であってもよい(図2参照)。
【0040】
端末200からの入力は情報処理装置の記憶部60に直接入力される形式で行われてもよいし、端末200から情報が送信されることで、情報処理装置の記憶部60で記憶されるようにしてもよい。
【0041】
評価部10での介護対象者毎の評価は1日、1週間、1か月といった所定の期間に1回といった所定のタイミングで行われ、評価が行われる度に記憶部60で記憶されてもよい。記憶部60での評価の変化は履歴情報として端末200で確認できるようにしてもよい。この場合には、対象となる介護対象者の識別情報(識別IDや、氏名及び年齢等)を入れることで、介護対象者の評価部10での最新の評価結果と、評価結果の変化を確認できるようにしてもよい。
【0042】
全てが自動で取得される必要はなく医師や介護対象者が判断した結果がタブレットやパソコン等の端末200から入力され、評価部10での評価に利用されてもよい。例えば唾がのみ込めるかどうか、認知症の症状があるか、排せつが適切に行えているか等の一部の情報については、医師や介護対象者等の担当者が判断した結果を端末200に入力するようにしてもよい。このような態様を採用した場合には、必要な部分の評価を評価部10によって自動で行いつつ、自動で評価を行うことが難しい内容に関しても適切に評価を行うことができるようになるので、コストを抑えつつ、介護現場での担当者の負担を軽減することができる。
【0043】
介護対象者のRFタグ等の位置特定部材から位置情報を取得することで俳諧の問題がないかや日中の移動距離や歩行速度を取得し、このような情報も用いて評価部10が評価するようにしてもよい。このような態様を採用した場合には、位置情報、移動距離、歩行速度等の各種情報を用いて、各介護対象者の介護に関する項目又は心身の状態に関する項目の評価を行うことができる。
【0044】
また介護対象者の体重がベッド420のマットに組み込まれた重量計340によって取得されてもよい(図4参照)。この場合には、重量計340が取得部300の一部となる。また、介護対象者が身長計410に乗った際に、位置特定部材の情報から介護対象者を識別した上で、身長計410による測定結果を静止画や動画によって撮像部310が取得するようにしてもよい(図5参照)。この場合には、評価部10は介護対象者の体重又は身長に関する情報を評価モデルに適用することで、対象者の介護に関する項目又は心身の状態に関する項目についての評価を行うようにしてもよい。このような態様を採用した場合には、体重や身長の変化を用いて、各介護対象者の介護に関する項目又は心身の状態に関する項目の評価を自動で行うことができる。
【0045】
脈拍もしくは心拍数、呼吸、血圧、体温等を含む介護対象者のバイタルデータが取得部300によって取得されてもよい。この場合には、バイタルデータを評価モデルに適用することで、評価部10が評価を行うようにしてもよい。
【0046】
出力部70は評価部10での評価結果を、介護ソフト(専用ソフト)を用いてLIFE(科学的介護情報システム)のデータベース150に自動で登録するようにしてもよい(図6参照)。LIFEのデータベース150には全国の介護事業者から提供される情報が蓄積されることになるが、本実施の形態によれば、LIFEのデータベース150への登録を自動で行うことができる。LIFEへの登録に用いられる情報は匿名情報となっている。
【0047】
評価部10、特定部50、記憶部60、出力部70等は一つのユニット(制御ユニット)によって実現されてもよいし、異なるユニットによって実現されてもよい。複数の「部」による機能が統合されてもよく、例えば評価部10及び特定部50の機能が一つのユニットによって実現されてもよい。また、評価部10、特定部50、記憶部60、出力部70等は回路構成によって実現されてもよい。
【0048】
上述した実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。また出願当初の請求項を適宜拡張することもできる。
【符号の説明】
【0049】
10 評価部
70 出力部
200 端末
300 取得部
340 重量計
410 身長計
図1
図2
図3
図4
図5
図6