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特許7377928トラッキング装置、プログラム、及びトラッキング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】トラッキング装置、プログラム、及びトラッキング方法
(51)【国際特許分類】
   G03B 17/56 20210101AFI20231102BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20231102BHJP
   H04N 23/50 20230101ALI20231102BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20231102BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20231102BHJP
【FI】
G03B17/56 A
H04N5/222 100
H04N23/50
H04N23/60
G03B15/00 Q
G03B15/00 P
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022135022
(22)【出願日】2022-08-26
【審査請求日】2022-12-13
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 英誉
【審査官】門田 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-211676(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0019665(US,A1)
【文献】特開2009-044856(JP,A)
【文献】特開2013-019810(JP,A)
【文献】特開2015-159398(JP,A)
【文献】特開2020-010231(JP,A)
【文献】特開2008-058391(JP,A)
【文献】特開2020-176664(JP,A)
【文献】特開2021-041522(JP,A)
【文献】特開2019-083488(JP,A)
【文献】国際公開第2012/004952(WO,A1)
【文献】特開2014-175774(JP,A)
【文献】特開2020-022052(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/56
G03B 15/00
H04N 5/222 - 5/257
H04N 23/00
H04N 23/40 -23/76
H04N 23/90 -23/959
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
球形状を有するカメラと、
前記カメラを回転可能に支持する支持部と、
伸縮部及びスリングによって構成され、前記スリングの一端が前記カメラの上部に結合され、前記スリングの他端が前記伸縮部の一端に結合され、前記伸縮部が収縮することによって前記スリングを介して前記カメラの上部を後方に引っ張ることによって、前記カメラのピッチ軸を中心に前記カメラを上転させるピッチ上転部と、
伸縮部及びスリングによって構成され、前記スリングの一端が前記カメラの下部に結合され、前記スリングの他端が前記伸縮部の一端に結合され、前記伸縮部が収縮することによって前記スリングを介して前記カメラの下部を後方に引っ張ることによって、前記ピッチ軸を中心に前記カメラを下転させるピッチ下転部と、
伸縮部及びスリングによって構成され、前記スリングの一端が前記カメラの右部に結合され、前記スリングの他端が前記伸縮部の一端に結合され、前記伸縮部が収縮することによって前記スリングを介して前記カメラの右部を後方に引っ張ることによって、前記カメラのヨー軸を中心に前記カメラを右転させるヨー右転部と、
伸縮部及びスリングによって構成され、前記スリングの一端が前記カメラの左部に結合され、前記スリングの他端が前記伸縮部の一端に結合され、前記伸縮部が収縮することによって前記スリングを介して前記カメラの左部を後方に引っ張ることによって、前記ヨー軸を中心に前記カメラを左転させるヨー左転部と、
前記カメラによって撮像されたトラッキング対象をトラッキングするように、前記ピッチ上転部、前記ピッチ下転部、前記ヨー右転部、及び前記ヨー左転部を制御することによって前記カメラの前記ピッチ軸及び前記ヨー軸の回転を制御する回転制御部と
を備えるトラッキング装置。
【請求項2】
前記ピッチ上転部の前記伸縮部、前記ピッチ下転部の前記伸縮部、前記ヨー右転部の前記伸縮部、及び前記ヨー左転部の前記伸縮部のそれぞれは、空気圧によって収縮する弾性部材を有し、
前記回転制御部は、前記ピッチ上転部の前記伸縮部、前記ピッチ下転部の前記伸縮部、前記ヨー右転部の前記伸縮部、及び前記ヨー左転部の前記伸縮部のそれぞれに加わる空気圧を制御することによって、前記カメラの前記ピッチ軸及び前記ヨー軸の回転を制御する、請求項1に記載のトラッキング装置。
【請求項3】
前記カメラによって撮像された撮像画像に基づいて特定した前記撮像画像における前記撮像画像の中心と前記トラッキング対象との位置関係に基づいて、前記カメラの前記ピッチ軸及び前記ヨー軸の回転量を決定する画像解析部
を備え、
前記回転制御部は、前記画像解析部によって決定された前記カメラの回転量に従って、前記カメラの前記ピッチ軸及び前記ヨー軸の回転を制御する、請求項1に記載のトラッキング装置。
【請求項4】
一端が前記カメラの右部に結合されて前記カメラの右部を左下方に引くことによって、又は、一端が前記カメラの左部に結合されて前記カメラの左部を右上方に引くことによって、前記カメラのロール軸を中心に前記カメラを右転させるロール右転部と、
一端が前記カメラの右部に結合されて前記カメラの右部を左上方に引くことによって、又は、一端が前記カメラの左部に結合されて前記カメラの左部を右下方に引くことによって、前記ロール軸を中心に前記カメラを左転させるロール左転部と
を更に備え、
前記回転制御部は、前記ロール左転部及び前記ロール右転部を制御することによって、前記カメラの前記ロール軸の回転を制御する、請求項1に記載のトラッキング装置。
【請求項5】
前記ロール右転部は、伸縮部及びスリングによって構成され、
前記スリングの一端が前記カメラの右部に結合され、前記スリングの他端が前記伸縮部の一端に結合され、前記伸縮部が収縮することによって前記スリングを介して前記カメラの右部を左下方に引っ張り、又は、
前記スリングの一端が前記カメラの左部に結合され、前記スリングの他端が前記伸縮部の一端に結合され、前記伸縮部が収縮することによって、前記スリングを介して前記カメラの左部を右上方に引っ張り、
前記ロール左転部は、伸縮部及びスリングによって構成され、
前記スリングの一端が前記カメラの右部に結合され、前記スリングの他端が前記伸縮部の一端に結合され、前記伸縮部が収縮することによって前記スリングを介して前記カメラの右部を左上方に引っ張り、又は、
前記スリングの一端が前記カメラの左部に結合され、前記スリングの他端が前記伸縮部の一端に結合され、前記伸縮部が収縮することによって、前記スリングを介して前記カメラの左部を右下方に引っ張る、
請求項4に記載のトラッキング装置。
【請求項6】
前記ロール右転部の前記伸縮部及び前記ロール左転部の前記伸縮部のそれぞれは、空気圧によって収縮する弾性部材を有し、
前記回転制御部は、前記ロール右転部の前記伸縮部及び前記ロール左転部の前記伸縮部のそれぞれに加わる空気圧を制御することによって、前記カメラの前記ロール軸の回転を制御する、請求項5に記載のトラッキング装置。
【請求項7】
前記カメラによって撮像された撮像画像に基づいて特定した前記撮像画像における前記トラッキング対象の角度に基づいて、前記カメラの前記ロール軸の回転量を決定する画像解析部
を備え、
前記回転制御部は、前記画像解析部によって決定された前記カメラの回転量に従って、前記カメラの前記ロール軸の回転を制御する、請求項4に記載のトラッキング装置。
【請求項8】
前記支持部を回転可能に支持するジンバル
を更に備え、
前記回転制御部は、前記カメラによって撮像されたトラッキング対象をトラッキングするように、前記カメラの回転と前記ジンバルによる前記支持部の回転とを制御する、請求項1に記載のトラッキング装置。
【請求項9】
前記回転制御部は、前記トラッキング対象をトラッキングするように前記カメラの回転を制御し、前記トラッキング対象が前記カメラの画角から外れると推定したことに応じて、前記ジンバルによる前記支持部の回転を制御する、請求項8に記載のトラッキング装置。
【請求項10】
球形状を有する他のカメラと、
前記他のカメラを支持する他の支持部と
を更に備え、
前記回転制御部は、前記他のカメラによって撮像されたトラッキング対象をトラッキングするように前記他のカメラの回転を制御する、請求項1に記載のトラッキング装置。
【請求項11】
支持部によって回転可能に支持された球形状のカメラを有するトラッキング装置によって実行されるトラッキング方法であって、
前記カメラによって撮像された撮像画像を取得する取得段階と、
前記撮像画像に含まれるトラッキング対象をトラッキングするように、
伸縮部及びスリングによって構成され、前記スリングの一端が前記カメラの上部に結合され、前記スリングの他端が前記伸縮部の一端に結合され、前記伸縮部が収縮することによって前記スリングを介して前記カメラの上部を後方に引っ張ることによって、前記カメラのピッチ軸を中心に前記カメラを上転させるピッチ上転部と、伸縮部及びスリングによって構成され、前記スリングの一端が前記カメラの下部に結合され、前記スリングの他端が前記伸縮部の一端に結合され、前記伸縮部が収縮することによって前記スリングを介して前記カメラの下部を後方に引っ張ることによって、前記ピッチ軸を中心に前記カメラを下転させるピッチ下転部と、伸縮部及びスリングによって構成され、前記スリングの一端が前記カメラの右部に結合され、前記スリングの他端が前記伸縮部の一端に結合され、前記伸縮部が収縮することによって前記スリングを介して前記カメラの右部を後方に引っ張ることによって、前記カメラのヨー軸を中心に前記カメラを右転させるヨー右転部と、伸縮部及びスリングによって構成され、前記スリングの一端が前記カメラの左部に結合され、前記スリングの他端が前記伸縮部の一端に結合され、前記伸縮部が収縮することによって前記スリングを介して前記カメラの左部を後方に引っ張ることによって、前記ヨー軸を中心に前記カメラを左転させるヨー左転部とを制御することによって、前記カメラの前記ピッチ軸及び前記ヨー軸の回転を制御する回転制御段階と
を備えるトラッキング方法。
【請求項12】
前記トラッキング装置に、請求項11に記載のトラッキング方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラッキング装置、プログラム、及びトラッキング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ジンバルによって通信相手や受給電相手をトラッキングする技術が記載されている。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1]特開2020-161931号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一実施態様によれば、トラッキング装置が提供される。前記トラッキング装置は、球形状を有するカメラを備えてよい。前記トラッキング装置は、前記カメラを回転可能に支持する支持部を備えてよい。前記トラッキング装置は、前記カメラによって撮像されたトラッキング対象をトラッキングするように前記カメラの回転を制御する回転制御部を備えてよい。
【0004】
前記トラッキング装置は、前記カメラの上部を後方に引くことによって、前記カメラのピッチ軸を中心に前記カメラを上転させるピッチ上転部を備えてよい。前記トラッキング装置は、前記カメラの下部を後方に引くことによって、前記ピッチ軸を中心に前記カメラを下転させるピッチ下転部を備えてよい。前記トラッキング装置は、前記カメラの右部を後方に引くことによって、前記カメラのヨー軸を中心に前記カメラを右転させるヨー右転部を備えてよい。前記トラッキング装置は、前記カメラの左部を後方に引くことによって、前記ヨー軸を中心に前記カメラを左転させるヨー左転部を備えてよい。前記回転制御部は、前記上転部、前記下転部、前記右転部、及び前記左転部を制御することによって、前記カメラの前記ピッチ軸及び前記ヨー軸の回転を制御してよい。前記ピッチ上転部、前記ピッチ下転部、前記ヨー右転部、及び前記ヨー左転部のそれぞれは、空気圧によって収縮する弾性部材を有してよく、前記回転制御部は、前記ピッチ上転部、前記ピッチ下転部、前記ヨー右転部、及び前記ヨー左転部のそれぞれに加わる空気圧を制御することによって、前記カメラの前記ピッチ軸及び前記ヨー軸の回転を制してよい。
【0005】
前記いずれかのトラッキング装置は、前記カメラによって撮像された撮像画像に基づいて特定した前記撮像画像における前記撮像画像の中心と前記トラッキング対象との位置関係に基づいて、前記カメラの前記ピッチ軸及び前記ヨー軸の回転量を決定する画像解析部を備えてよく、前記回転制御部は、前記画像解析部によって決定された前記カメラの回転量に従って、前記カメラの前記ピッチ軸及び前記ヨー軸の回転を制御する、回転を制御してよい。
【0006】
前記いずれかのトラッキング装置は、前記カメラの右部を左下方に引くことによって、又は、前記カメラの左部を右上方に引くことによって、前記カメラのロール軸を中心に前記カメラを右転させるロール右転部と、前記カメラの右部を左上方に引くことによって、又は、前記カメラの左部を右下方に引くことによって、前記ロール軸を中心に前記カメラを左転させるロール左転部とを更に備えてよく、前記回転制御部は、前記ロール左転部及び前記ロール右転部を制御することによって、前記カメラの前記ロール軸の回転を制御してよい。
【0007】
前記ロール右転部及び前記ロール左転部のそれぞれは、空気圧によって収縮する弾性部材を有してよく、前記回転制御部は、前記ロール右転部及び前記ロール左転部のそれぞれに加わる空気圧を制御することによって、前記カメラの前記ロール軸の回転を制御してよい。
【0008】
前記いずれかのトラッキング装置は、前記カメラによって撮像された撮像画像に基づいて特定した前記撮像画像における前記トラッキング対象の角度に基づいて、前記カメラの前記ロール軸の回転量を決定する画像解析部を備えてよく、前記回転制御部は、前記画像解析部によって決定された前記カメラの回転量に従って、前記カメラの前記ロール軸の回転を制御してよい。
【0009】
前記いずれかのトラッキング装置は、前記支持部を回転可能に支持するジンバルを更に備えてよく、前記回転制御部は、前記カメラによって撮像されたトラッキング対象をトラッキングするように、前記カメラの回転と前記ジンバルによる前記支持部の回転とを制御してよい。前記回転制御部は、前記トラッキング対象をトラッキングするように前記カメラの回転を制御し、前記トラッキング対象が前記カメラの画角から外れると推定したことに応じて、前記ジンバルによる前記支持部の回転を制御してよい。
【0010】
前記いずれかのトラッキング装置は、球形状を有する他のカメラと、前記他のカメラを支持する他の支持部とを更に備えてよく、前記回転制御部は、前記他のカメラによって撮像されたトラッキング対象をトラッキングするように前記他のカメラの回転を制御してよい。
【0011】
本発明の一実施態様によれば、トラッキング装置が提供される。前記トラッキング装置は、カメラを備えてよい。前記トラッキング装置は、球形状を有し、指向性の無線通信を実行する無線通信部を備えてよい。前記トラッキング装置は、前記無線通信部を回転可能に支持する支持部を備えてよい。前記トラッキング装置は、前記カメラによって撮像されたトラッキング対象をトラッキングするように前記無線通信部の回転を制御する回転制御部を備えてよい。
【0012】
本発明の一実施態様によれば、トラッキング装置が提供される。前記トラッキング装置は、カメラを備えてよい。前記トラッキング装置は、球形状を有し、指向性の無線送電を実行する無線送電部を備えてよい。前記トラッキング装置は、前記無線送電部を回転可能に支持する支持部を備えてよい。前記トラッキング装置は、前記カメラによって撮像されたトラッキング対象をトラッキングするように前記無線送電部の回転を制御する回転制御部を備えてよい。
【0013】
本発明の一実施態様によれば、支持部によって回転可能に支持された球形状のカメラを有するトラッキング装置によって実行されるトラッキング方法が提供される。前記トラッキング方法は、前記カメラによって撮像された撮像画像を取得する取得段階を備えてよい。前記トラッキング方法は、前記撮像画像に含まれるトラッキング対象をトラッキングするように前記カメラの回転を制御する回転制御段階を備えてよい。
【0014】
本発明の一実施態様によれば、カメラと、支持部によって回転可能に支持された球形状の指向性の無線通信部を有するトラッキング装置によって実行されるトラッキング方法が提供される。前記トラッキング方法は、前記カメラによって撮像された撮像画像を取得する取得段階を備えてよい。前記トラッキング方法は、前記撮像画像に含まれるトラッキング対象をトラッキングするように前記無線通信部の回転を制御する回転制御段階を備えてよい。
【0015】
本発明の一実施態様によれば、カメラと、支持部によって回転可能に支持された球形状の指向性の無線送電部を有するトラッキング装置によって実行されるトラッキング方法が提供される。前記トラッキング方法は、前記カメラによって撮像された撮像画像を取得する取得段階を備えてよい。前記トラッキング方法は、前記撮像画像に含まれるトラッキング対象をトラッキングするように前記無線送電部の回転を制御する回転制御段階を備えてよい。
【0016】
本発明の一実施態様によれば、前記トラッキング装置に、前記トラッキング方法を実行させるためのプログラムが提供される。
【0017】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】トラッキング装置100の一例を概略的に示す。
図2】カメラ200の回転制御について説明するための説明図である。
図3】カメラ200の回転制御について説明するための説明図である。
図4】カメラ200の回転制御について説明するための説明図である。
図5】カメラ200の回転制御について説明するための説明図である。
図6】カメラ200の回転制御について説明するための説明図である。
図7】カメラ200の回転制御について説明するための説明図である。
図8】カメラ200の回転制御について説明するための説明図である。
図9】カメラ200の回転制御について説明するための説明図である。
図10】トラッキング装置100の一例を概略的に示す。
図11】トラッキング装置100による処理の流れの一例を概略的に示す。
図12】トラッキング装置100の一例を概略的に示す。
図13】トラッキング装置100の一例を概略的に示す。
図14】トラッキング装置100として機能するコンピュータ1200の機能構成の一例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0019】
カメラや光無線通信装置等の光ビーム制御の主な方式として、ジンバル等による直接駆動型と、ミラー制御による可動ミラー型が知られている。直接駆動型には、追尾範囲が広いが追尾速度が遅いという特徴がある。可動ミラー型には、追尾速度が速いが追尾範囲が狭いという特徴がある。本実施形態に係るトラッキング装置100では、「人の目」に注目し、眼球運動を模した光ビーム制御の手法を提供する。具体例として、システム10では、眼筋をマッキベン型人工筋肉(空気圧で伸び縮みするゴム)で代用することにより、カメラや光無線通信、給電装置を高速に制御することを可能とする。
【0020】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0021】
図1は、トラッキング装置100の一例を概略的に示す。トラッキング装置100は、球形状を有するカメラ200と、カメラ200を回転可能に支持する支持部210と、制御装置300とを備えてよい。
【0022】
トラッキング装置100は、カメラ200の上部を後方に引くことによって、カメラ200のピッチ軸を中心にカメラ200を上転させるピッチ上転部410を備えてよい。ピッチ上転部410は、伸縮部411及びスリング412によって構成されてよい。スリング412の一端がカメラ200の上部に結合され、スリング412の他端が伸縮部411の一端に結合されていてよい。制御装置300による制御のもと伸縮部411が収縮することによって、スリング412を介してカメラ200の上部が後方に引っ張られる。
【0023】
トラッキング装置100は、カメラ200の下部を後方に引くことによって、カメラ200のピッチ軸を中心にカメラ200を下転させるピッチ下転部420を備えてよい。ピッチ下転部420は、伸縮部421及びスリング422によって構成されてよい。スリング422の一端がカメラ200の下部に結合され、スリング422の他端が伸縮部421の一端に結合されていてよい。制御装置300による制御のもと伸縮部421が収縮することによって、スリング422を介してカメラ200の下部が後方に引っ張られる。
【0024】
トラッキング装置100は、カメラ200の右部を後方に引くことによって、カメラ200のヨー軸を中心にカメラ200を右転させるヨー右転部430を備えてよい。ヨー右転部430は、伸縮部431及びスリング432によって構成されてよい。スリング432の一端がカメラ200の右部に結合され、スリング432の他端が伸縮部431の一端に結合されていてよい。制御装置300による制御のもと伸縮部431が収縮することによって、スリング432を介してカメラ200の右部が後方に引っ張られる。
【0025】
トラッキング装置100は、カメラ200の左部を後方に引くことによって、カメラ200のヨー軸を中心にカメラ200を左転させるヨー左転部440を備えてよい。ヨー左転部440は、伸縮部441及びスリング442によって構成されてよい。スリング442の一端がカメラ200の左部に結合され、スリング442の他端が伸縮部441の一端に結合されていてよい。制御装置300による制御のもと伸縮部441が収縮することによって、スリング442を介してカメラ200の左部が後方に引っ張られる。
【0026】
トラッキング装置100は、カメラ200の右部を左下方に引くことによって、又は、カメラ200の左部を右上方に引くことによって、カメラ200のロール軸を中心にカメラ200を右転させるロール右転部450を更に備えてもよい。ロール右転部450は、伸縮部451及びスリング452によって構成されてよい。スリング452の一端がカメラ200の右部に結合され、スリング452の他端が伸縮部451の一端に結合されていてよく、伸縮部451が収縮することによって、スリング452を介してカメラ200の右部が左下方に引っ張られてよい。また、スリング452の一端がカメラ200の左部に結合され、スリング452の他端が伸縮部451の一端に結合されていてよく、伸縮部451が収縮することによって、スリング452を介してカメラ200の左部が右上方に引っ張られてよい。
【0027】
トラッキング装置100は、カメラ200の右部を左上方に引くことによって、又は、カメラ200の左部を右下方に引くことによって、カメラ200のロール軸を中心にカメラ200を左転させるロール左転部460を更に備えてもよい。ロール左転部460は、伸縮部461及びスリング462によって構成されてよい。スリング462の一端がカメラ200の右部に結合され、スリング462の他端が伸縮部461の一端に結合されていてよく、伸縮部461が収縮することによって、スリング462を介してカメラ200の右部が左上方に引っ張られてよい。また、スリング462の一端がカメラ200の左部に結合され、スリング462の他端が伸縮部461の一端に結合されていてよく、伸縮部461が収縮することによって、スリング462を介してカメラ200の左部が右下方に引っ張られてよい。
【0028】
トラッキング装置100は、ロール右転部450及びロール左転部460を備えなくてもよい。
【0029】
制御装置300は、カメラ200によって撮像されたトラッキング対象をトラッキングするようにカメラ200の回転を制御する。制御装置300は、画像解析部310及び回転制御部320を備えてよい。
【0030】
画像解析部310は、カメラ200によって撮像された撮像画像を解析する。画像解析部310は、撮像画像を解析することによって、撮像画像内のトラッキング対象を特定してよい。
【0031】
回転制御部320は、画像解析部310による解析結果に基づいてカメラ200の回転を制御する。回転制御部320は、画像解析部310によって特定されたトラッキング対象をトラッキングするようにカメラ200の回転を制御する。
【0032】
回転制御部320は、ピッチ上転部410、ピッチ下転部420、ヨー右転部430、及びヨー左転部440を制御することによって、カメラ200のピッチ軸及びヨー軸を中心としたカメラ200の回転を制御してよい。回転制御部320は、ロール右転部450、及びロール左転部460を制御することによって、カメラ200のロール軸の回転を制御してよい。
【0033】
トラッキング装置100は、支持部210を回転可能に支持するジンバル500を更に備えてよい。制御装置300は、カメラ200によって撮像されたトラッキング対象をトラッキングするように、カメラ200の回転と、ジンバル500による支持部210の回転とを制御してよい。すなわち、回転制御部320は、画像解析部310によって特定されたトラッキング対象をトラッキングするように、ピッチ上転部410、ピッチ下転部420、ヨー右転部430、ヨー左転部440、ロール右転部450、及びロール左転部460によるカメラ200の回転に加えて、ジンバル500による支持部210の回転を制御する。
【0034】
回転制御部320は、例えば、トラッキング対象をトラッキングするようにカメラ200の回転を制御し、トラッキング対象がカメラ200の画角から外れると推定したことに応じて、ジンバル500による支持部210の回転を制御する。これにより、基本的には、ピッチ上転部410、ピッチ下転部420、ヨー右転部430、ヨー左転部440、ロール右転部450、及びロール左転部460によるカメラ200の回転制御によって、トラッキング対象をトラッキングすることによって、高速な追尾を実現しつつ、ジンバル500による支持部210の回転制御によって、追尾範囲を広げることができる。
【0035】
トラッキング装置100は、ジンバル500を備えなくてもよい。
【0036】
カメラ200は、指向性の無線通信部を更に備えてもよい。無線通信部は、例えば、光無線通信を実行する。無線通信部は、例えば、ミリ波無線通信を実行する。カメラ200のレンズと、無線通信部の通信ポートとは、並列に配置されてよい。スプリッタを備えることによって、1つのレンズが、カメラ200と無線通信部によって共用されてもよい。カメラ200が無線通信部を備えることによって、指向性の無線通信のトラッキングを実現することができる。
【0037】
カメラ200は、指向性の給電部を更に備えてもよい。カメラ200のレンズと、給電部の給電ポートとは、並列に配置されてよい。スプリッタを備えることによって、1つのレンズが、カメラ200と給電部によって共用されてもよい。カメラ200が給電部を備えることによって、指向性の給電のトラッキングを実現することができる。
【0038】
トラッキング装置100は、カメラ200を複数備えてもよい。例えば、トラッキング装置100は、カメラ200及び支持部210と、球形状を有する他のカメラと、当該他のカメラを指示する他の支持部とを更に備える。トラッキング装置100は、他のカメラについても、ピッチ上転部410、ピッチ下転部420、ヨー右転部430、ヨー左転部440、ロール右転部450、及びロール左転部460と、ジンバル500とを備えてよい。回転制御部320は、当該他のカメラによって撮像されたトラッキング対象をトラッキングするように、当該他のカメラの回転を制御する。
【0039】
制御装置300は、カメラ200及び他のカメラを独立して制御してよく、カメラ200及び他のカメラを強調して制御してもよい。カメラ200及び他のカメラを独立して制御することによって、視野範囲を広げることができる。カメラ200及び他のカメラを強調して制御することにより、例えば、ステレオカメラのような、視差による深度推定を合わせて実行することができる。トラッキング装置100は、3つ以上のカメラ200を備えてもよい。
【0040】
図2から図7は、カメラ200の回転制御について説明するための説明図である。図2から図7は、カメラ200を正面から見た状態を示す。
【0041】
図2は、ピッチ上転部410によるカメラ200のピッチ軸を中心としたカメラ200の上転について説明するための説明図である。ピッチ上転部410のスリング412の一端は、カメラ200の上部202に結合されている。回転制御部320の制御のもと、伸縮部411が収縮することによって、スリング412を介してカメラ200の上部202が後方に引っ張られる。カメラ200は、支持部210によって回転可能に支持されており、上部202が後方に引っ張られることによって、図2に例示するように上転する。回転制御部320は、伸縮部411の収縮量とカメラ200の回転量との関係を予め記憶しておくことによって、カメラ200の回転量に対応する伸縮部411の収縮量を特定可能にしておく。
【0042】
図3は、ピッチ下転部420によるカメラ200のピッチ軸を中心としたカメラ200の下転について説明するための説明図である。ピッチ下転部420のスリング422の一端は、カメラ200の下部204に結合されている。回転制御部320の制御のもと、伸縮部421が収縮することによって、スリング422を介してカメラ200の下部204が後方に引っ張られる。カメラ200は、支持部210によって回転可能に支持されており、下部204が後方に引っ張られることによって、図3に例示するように下転する。回転制御部320は、伸縮部421の収縮量とカメラ200の回転量との関係を予め記憶しておくことによって、カメラ200の回転量に対応する伸縮部421の収縮量を特定可能にしておく。
【0043】
図4は、ヨー右転部430によるカメラ200のヨー軸を中心としたカメラ200の右転について説明するための説明図である。ヨー右転部430のスリング432の一端は、カメラ200の右部206に結合されている。回転制御部320の制御のもと、伸縮部431が収縮することによって、スリング432を介してカメラ200の右部206が後方に引っ張られる。カメラ200は、支持部210によって回転可能に支持されており、右部206が後方に引っ張られることによって、図4に例示するように右転する。回転制御部320は、伸縮部431の収縮量とカメラ200の回転量との関係を予め記憶しておくことによって、カメラ200の回転量に対応する伸縮部431の収縮量を特定可能にしておく。
【0044】
図5は、ヨー左転部440によるカメラ200のヨー軸を中心としたカメラ200の左転について説明するための説明図である。ヨー左転部440のスリング442の一端は、カメラ200の左部208に結合されている。回転制御部320の制御のもと、伸縮部441が収縮することによって、スリング442を介してカメラ200の左部208が後方に引っ張られる。カメラ200は、支持部210によって回転可能に支持されており、左部208が後方に引っ張られることによって、図5に例示するように左転する。回転制御部320は、伸縮部441の収縮量とカメラ200の回転量との関係を予め記憶しておくことによって、カメラ200の回転量に対応する伸縮部441の収縮量を特定可能にしておく。
【0045】
図6は、ロール右転部450によるカメラ200のロール軸を中心としたカメラ200の右転について説明するための説明図である。ここでは、ロール右転部450のスリング452の一端が、カメラ200の右部206に結合されている場合を例に挙げて説明する。回転制御部320の制御のもと、伸縮部451が収縮することによって、スリング452を介してカメラ200の右部206が左上方に引っ張られる。カメラ200は、支持部210によって回転可能に支持されており、右部206が左上方に引っ張られることによって、図6に例示するようにロール軸を中心に右転する。回転制御部320は、伸縮部451の収縮量とカメラ200の回転量との関係を予め記憶しておくことによって、カメラ200の回転量に対応する伸縮部451の収縮量を特定可能にしておく。
【0046】
図7は、ロール左転部460によるカメラ200のロール軸を中心としたカメラ200の左転について説明するための説明図である。ここでは、ロール左転部460のスリング462の一端が、カメラ200の右部206に結合されている場合を例に挙げて説明する。回転制御部320の制御のもと、伸縮部461が収縮することによって、スリング462を介してカメラ200の右部206が左下方に引っ張られる。カメラ200は、支持部210によって回転可能に支持されており、右部206が左下方に引っ張られることによって、図7に例示するようにロール軸を中心に左転する。回転制御部320は、伸縮部461の収縮量とカメラ200の回転量との関係を予め記憶しておくことによって、カメラ200の回転量に対応する伸縮部461の収縮量を特定可能にしておく。
【0047】
図8は、カメラ200のピッチ軸及びヨー軸の回転制御について説明するための説明図である。画像解析部310は、カメラ200によって撮像された撮像画像に対して画像認識処理を実行することによって、撮像画像におけるトラッキング対象224の座標を検出する。画像解析部310は、検出したトラッキング対象224の座標と、撮像画像の画像中心222の座標とから、カメラ200のピッチ軸方向の回転方向及び回転量(yの移動量)と、ヨー軸方向の回転方向及び回転量(xの移動量)とを決定する。
【0048】
回転制御部320は、画像解析部310による決定結果に従って、ピッチ上転部410、ピッチ下転部420、ヨー右転部430、及びヨー左転部440のうちの可動対象を決定して、決定された回転量を実現すべく、伸縮部411、伸縮部421、伸縮部431、及び伸縮部441のうちの対象を収縮させる。図8に示す例において、回転制御部320は、ピッチ上転部410及びヨー左転部440を可動対象と決定し、yの移動量に合わせて伸縮部411を収縮させ、xの移動量に合わせて伸縮部441を収縮させる。
【0049】
図9は、カメラ200のロール軸の回転制御について説明するための説明図である。画像解析部310は、カメラ200によって撮像された撮像画像に対して画像認識処理を実行することによって、撮像画像におけるトラッキング対象224の回転角を推定する。画像解析部310は、推定した回転角から、カメラ200のロール軸方向の回転方向及び回転量を決定する。
【0050】
回転制御部320は、画像解析部310による決定結果に従って、ロール右転部450又はロール左転部460を可動対象として決定して、画像解析部310によって決定された回転量を実現すべく、伸縮部451又はスリング452を収縮させる。図9に示す例において、回転制御部320は、ロール右転部450を可動対象として決定し、画像解析部310によって決定された回転量に合わせて伸縮部451を収縮させる。
【0051】
トラッキング装置100は、眼筋を模倣した構成を備えてよい。トラッキング装置100は、例えば、マッキベン型人工筋肉を用いて、球形状のカメラ200の回転を制御する。
【0052】
図10は、トラッキング装置100の一例を概略的に示す。図10に示すトラッキング装置100は、ピッチ上転部410、ピッチ下転部420、ヨー右転部430、ヨー左転部440、ロール右転部450、及びロール左転部460として、マッキベン型人工筋肉を用いる。
【0053】
ピッチ上転部410は、空気圧によって収縮するゴム等の弾性部材を含む伸縮部411と、スリング412とを有してよい。ピッチ下転部420は、空気圧によって収縮するゴム等の弾性部材を含む伸縮部421と、スリング422とを有してよい。ヨー右転部430は、空気圧によって収縮する、ゴム等の弾性部材を含む伸縮部431と、スリング432とを有してよい。ヨー左転部440は、空気圧によって収縮する、ゴム等の弾性部材を含む伸縮部441と、スリング442とを有してよい。ロール右転部450は、空気圧によって収縮する、ゴム等の弾性部材を含む伸縮部451と、スリング452とを有してよい。ロール左転部460は、空気圧によって収縮する、ゴム等の弾性部材を含む伸縮部461と、スリング462とを有してよい。
【0054】
図10に示す例において、制御装置300の回転制御部320は、制御部322、筋肉コントローラ324、空気圧源326、及びジンバルコントローラ328を有する。トラッキング装置100がジンバル500を備えない場合、回転制御部320は、ジンバルコントローラ328を有さなくてよい。
【0055】
筋肉コントローラ324は、空気圧源326から供給される空気を伸縮部411、伸縮部421、伸縮部431、伸縮部441、伸縮部451、及び伸縮部461に対して供給することによって、これらを収縮させて、カメラ200を回転させる。制御部322は、伸縮部411、伸縮部421、伸縮部431、及び伸縮部441のそれぞれに加わる空気圧を筋肉コントローラ324によって制御することによって、カメラ200のピッチ軸及びヨー軸を中心としたカメラ200の回転を制御してよい。制御部322は、伸縮部451、及び伸縮部461のそれぞれに加わる空気圧を筋肉コントローラ324によって制御することによって、カメラ200のロール軸を中心と下カメラ200の回転を制御してよい。
【0056】
ジンバルコントローラ328は、ジンバル500を制御する。ジンバルコントローラ328は、PWM(Pulse Width Modulation)によって、ジンバル500を制御してよい。
【0057】
制御部322は、画像解析部310による解析結果に従って、筋肉コントローラ324を制御する。制御部322は、画像解析部310による解析結果に基づいて筋肉コントローラ324に対して制御命令を送信することによって、カメラ200の回転を制御する。制御部322は、画像解析部310によって特定されたトラッキング対象をトラッキングするように、筋肉コントローラ324に対して制御命令を送信する。
【0058】
例えば、画像解析部310は、カメラ200によって撮像された撮像画像に基づいて特定した撮像画像の中心とトラッキング対象との位置関係に基づいて、カメラ200のピッチ軸及びヨー軸の回転量を決定する。制御部322は、画像解析部310によって決定されたカメラ200の回転量に従って、カメラ200のピッチ軸及びヨー軸の回転を制御してよい。
【0059】
例えば、画像解析部310は、カメラ200によって撮像された撮像画像に基づいて特定した撮像画像におけるトラッキング対象の角度に基づいて、カメラ200のロール軸の回転量を決定する。制御部322は、画像解析部310によって決定されたカメラ200の回転量に従って、カメラ200のロール軸の回転を制御する。
【0060】
制御部322は、画像解析部310による解析結果に基づいてジンバルコントローラ328に対して制御命令を送信することによって、支持部210の回転を制御する。制御部322は、画像解析部310によって特定されたトラッキング対象をトラッキングするように、ピッチ上転部410、ピッチ下転部420、ヨー右転部430、ヨー左転部440、ロール右転部450、及びロール左転部460によるカメラ200の回転に加えて、ジンバル500による支持部210の回転を制御すべく、筋肉コントローラ324及びジンバルコントローラ328に対して制御命令を送信してよい。制御部322は、例えば、トラッキング対象をトラッキングするようにカメラ200の回転を制御し、トラッキング対象がカメラ200の画角から外れると推定したことに応じて、ジンバル500による支持部210の回転を制御する。
【0061】
図11は、トラッキング装置100による処理の流れの一例を概略的に示す。ここでは、トラッキング対象がカメラ200の画角に含まれている状態を開始状態として説明する。
【0062】
ステップ(ステップをSと省略して記載する場合がある。)102では、画像解析部310が、カメラ200から撮像画像を受信する。S104では、画像解析部310が、S102において受信した撮像画像に対する画像認識により、撮像画像内における、トラッキング対象の座標を取得する。
【0063】
S106では、制御部322が、トラッキング対象がカメラ200の画角から外れそうであるか否かを判定する。制御部322は、例えば、トラッキング対象の座標が、撮像画像の外周として定められた範囲内に含まれる場合に、トラッキング対象がカメラ200の画角から外れそうであると推定する。なお、制御部322は、直前の撮像画像におけるトラッキング対象の座標との差分から、トラッキング対象の移動方向を判定して、移動方向にさらに基づいてトラッキング対象がカメラ200の画角から外れそうであるか否かを判定してもよい。ここでは、制御部322が、トラッキング対象がカメラ200の画角から外れそうであると判定したものとして説明を続ける。制御部322は、トラッキング対象の座標に基づいて、ジンバル500の回転ステップを決定する。
【0064】
S108では、制御部322が、S106において決定した回転ステップを実現すべく、制御命令をジンバルコントローラ328に送信する。S110では、ジンバルコントローラ328が、S326において受信した制御命令に従って、ジンバル500を回転させる。
【0065】
S112では、制御部322が、トラッキング対象の座標を元に、収縮させる人工筋肉及び空気圧を決定する。制御部322は、S104において画像解析部310が取得したトラッキング対象の座標と、ジンバルコントローラ328によるジンバル500の回転量とから、現在のトラッキング対象の座標を特定して、特定したトラッキング対象の座標に基づいて、収縮させる人工筋肉及び空気圧を決定してよい。また、制御部322は、S110においてジンバルコントローラ328がジンバル500を回転させた後に、カメラ200によって撮像された撮像画像から画像解析部310が取得したトラッキング対象の座標に基づいて、収縮させる人工筋肉及び空気圧を決定してもよい。
【0066】
S114では、制御部322が、S112において収縮させると決定した人工筋肉に対して、決定した空気圧を供給するように、筋肉コントローラ324に対して制御命令を送信する。S116では、筋肉コントローラ324が、S114において受信した制御命令に従って、伸縮部411、伸縮部421、伸縮部431、伸縮部441、伸縮部451、及び伸縮部461のうちの収縮対象に対して、空気を供給する。
【0067】
図12は、トラッキング装置100の一例を概略的に示す。図12に示すトラッキング装置100は、カメラ200に代えて、指向性の無線通信を実行する無線通信部600を備える点で、図1に示すトラッキング装置100と異なる。ここでは、図1に示すトラッキング装置100とは異なる点を主に説明する。
【0068】
図12に示すトラッキング装置100は、無線通信部600を回転可能に支持する支持部610と、カメラ800とを備える。画像解析部310は、カメラ800によって撮像された撮像画像を解析する。画像解析部310は、撮像画像を解析することによって、撮像画像内のトラッキング対象を特定してよい。
【0069】
回転制御部320は、画像解析部310による解析結果に基づいて無線通信部600の回転を制御する。回転制御部320は、指向性無線通信のために、画像解析部310によって特定されたトラッキング対象をトラッキングするように、無線通信部600の回転を制御する。回転制御部320は、画像解析部310によって特定されたトラッキング対象をトラッキングするように、ピッチ上転部410、ピッチ下転部420、ヨー右転部430、ヨー左転部440、ロール右転部450、及びロール左転部460によるカメラ200の回転に加えて、ジンバル500による支持部610の回転を制御してよい。
【0070】
図13は、トラッキング装置100の一例を概略的に示す。図13に示すトラッキング装置100は、カメラ200に代えて、指向性の無線送電を実行する無線送電部700を備える点で、図1に示すトラッキング装置100と異なる。ここでは、図1に示すトラッキング装置100とは異なる点を主に説明する。
【0071】
図13に示すトラッキング装置100は、無線送電部700を回転可能に支持する支持部710と、カメラ800とを備える。画像解析部310は、カメラ800によって撮像された撮像画像を解析する。画像解析部310は、撮像画像を解析することによって、撮像画像内のトラッキング対象を特定してよい。
【0072】
回転制御部320は、画像解析部310による解析結果に基づいて無線送電部700の回転を制御する。回転制御部320は、指向性無線給電のために、画像解析部310によって特定されたトラッキング対象をトラッキングするように、無線送電部700の回転を制御する。回転制御部320は、画像解析部310によって特定されたトラッキング対象をトラッキングするように、ピッチ上転部410、ピッチ下転部420、ヨー右転部430、ヨー左転部440、ロール右転部450、及びロール左転部460によるカメラ200の回転に加えて、ジンバル500による支持部710の回転を制御してよい。
【0073】
図14は、トラッキング装置100として機能するコンピュータ1200のハードウェア構成の一例を概略的に示す。コンピュータ1200にインストールされたプログラムは、コンピュータ1200を、本実施形態に係る装置の1又は複数の「部」として機能させ、又はコンピュータ1200に、本実施形態に係る装置に関連付けられるオペレーション又は当該1又は複数の「部」を実行させることができ、及び/又はコンピュータ1200に、本実施形態に係るプロセス又は当該プロセスの段階を実行させることができる。そのようなプログラムは、コンピュータ1200に、本明細書に記載のフローチャート及びブロック図のブロックのうちのいくつか又はすべてに関連付けられた特定のオペレーションを実行させるべく、CPU1212によって実行されてよい。
【0074】
本実施形態によるコンピュータ1200は、CPU1212、RAM1214、及びグラフィックコントローラ1216を含み、それらはホストコントローラ1210によって相互に接続されている。コンピュータ1200はまた、通信インタフェース1222、記憶装置1224、DVDドライブ、及びICカードドライブのような入出力ユニットを含み、それらは入出力コントローラ1220を介してホストコントローラ1210に接続されている。DVDドライブは、DVD-ROMドライブ及びDVD-RAMドライブ等であってよい。記憶装置1224は、ハードディスクドライブ及びソリッドステートドライブ等であってよい。コンピュータ1200はまた、ROM1230及びキーボードのようなレガシの入出力ユニットを含み、それらは入出力チップ1240を介して入出力コントローラ1220に接続されている。
【0075】
CPU1212は、ROM1230及びRAM1214内に格納されたプログラムに従い動作し、それにより各ユニットを制御する。グラフィックコントローラ1216は、RAM1214内に提供されるフレームバッファ等又はそれ自体の中に、CPU1212によって生成されるイメージデータを取得し、イメージデータがディスプレイデバイス1218上に表示されるようにする。
【0076】
通信インタフェース1222は、ネットワークを介して他の電子デバイスと通信する。記憶装置1224は、コンピュータ1200内のCPU1212によって使用されるプログラム及びデータを格納する。DVDドライブは、プログラム又はデータをDVD-ROM等から読み取り、記憶装置1224に提供する。ICカードドライブは、プログラム及びデータをICカードから読み取り、及び/又はプログラム及びデータをICカードに書き込む。
【0077】
ROM1230はその中に、アクティブ化時にコンピュータ1200によって実行されるブートプログラム等、及び/又はコンピュータ1200のハードウェアに依存するプログラムを格納する。入出力チップ1240はまた、様々な入出力ユニットをUSBポート、パラレルポート、シリアルポート、キーボードポート、マウスポート等を介して、入出力コントローラ1220に接続してよい。
【0078】
プログラムは、DVD-ROM又はICカードのようなコンピュータ可読記憶媒体によって提供される。プログラムは、コンピュータ可読記憶媒体から読み取られ、コンピュータ可読記憶媒体の例でもある記憶装置1224、RAM1214、又はROM1230にインストールされ、CPU1212によって実行される。これらのプログラム内に記述される情報処理は、コンピュータ1200に読み取られ、プログラムと、上記様々なタイプのハードウェアリソースとの間の連携をもたらす。装置又は方法が、コンピュータ1200の使用に従い情報のオペレーション又は処理を実現することによって構成されてよい。
【0079】
例えば、通信がコンピュータ1200及び外部デバイス間で実行される場合、CPU1212は、RAM1214にロードされた通信プログラムを実行し、通信プログラムに記述された処理に基づいて、通信インタフェース1222に対し、通信処理を命令してよい。通信インタフェース1222は、CPU1212の制御の下、RAM1214、記憶装置1224、DVD-ROM、又はICカードのような記録媒体内に提供される送信バッファ領域に格納された送信データを読み取り、読み取られた送信データをネットワークに送信し、又はネットワークから受信した受信データを記録媒体上に提供される受信バッファ領域等に書き込む。
【0080】
また、CPU1212は、記憶装置1224、DVDドライブ(DVD-ROM)、ICカード等のような外部記録媒体に格納されたファイル又はデータベースの全部又は必要な部分がRAM1214に読み取られるようにし、RAM1214上のデータに対し様々なタイプの処理を実行してよい。CPU1212は次に、処理されたデータを外部記録媒体にライトバックしてよい。
【0081】
様々なタイプのプログラム、データ、テーブル、及びデータベースのような様々なタイプの情報が記録媒体に格納され、情報処理を受けてよい。CPU1212は、RAM1214から読み取られたデータに対し、本開示の随所に記載され、プログラムの命令シーケンスによって指定される様々なタイプのオペレーション、情報処理、条件判断、条件分岐、無条件分岐、情報の検索/置換等を含む、様々なタイプの処理を実行してよく、結果をRAM1214に対しライトバックする。また、CPU1212は、記録媒体内のファイル、データベース等における情報を検索してよい。例えば、各々が第2の属性の属性値に関連付けられた第1の属性の属性値を有する複数のエントリが記録媒体内に格納される場合、CPU1212は、当該複数のエントリの中から、第1の属性の属性値が指定されている条件に一致するエントリを検索し、当該エントリ内に格納された第2の属性の属性値を読み取り、それにより予め定められた条件を満たす第1の属性に関連付けられた第2の属性の属性値を取得してよい。
【0082】
上で説明したプログラム又はソフトウエアモジュールは、コンピュータ1200上又はコンピュータ1200近傍のコンピュータ可読記憶媒体に格納されてよい。また、専用通信ネットワーク又はインターネットに接続されたサーバシステム内に提供されるハードディスク又はRAMのような記録媒体が、コンピュータ可読記憶媒体として使用可能であり、それによりプログラムを、ネットワークを介してコンピュータ1200に提供する。
【0083】
本実施形態におけるフローチャート及びブロック図におけるブロックは、オペレーションが実行されるプロセスの段階又はオペレーションを実行する役割を持つ装置の「部」を表わしてよい。特定の段階及び「部」が、専用回路、コンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプログラマブル回路、及び/又はコンピュータ可読記憶媒体上に格納されるコンピュータ可読命令と共に供給されるプロセッサによって実装されてよい。専用回路は、デジタル及び/又はアナログハードウェア回路を含んでよく、集積回路(IC)及び/又はディスクリート回路を含んでよい。プログラマブル回路は、例えば、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、及びプログラマブルロジックアレイ(PLA)等のような、論理積、論理和、排他的論理和、否定論理積、否定論理和、及び他の論理演算、フリップフロップ、レジスタ、並びにメモリエレメントを含む、再構成可能なハードウェア回路を含んでよい。
【0084】
コンピュータ可読記憶媒体は、適切なデバイスによって実行される命令を格納可能な任意の有形なデバイスを含んでよく、その結果、そこに格納される命令を有するコンピュータ可読記憶媒体は、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を作成すべく実行され得る命令を含む、製品を備えることになる。コンピュータ可読記憶媒体の例としては、電子記憶媒体、磁気記憶媒体、光記憶媒体、電磁記憶媒体、半導体記憶媒体等が含まれてよい。コンピュータ可読記憶媒体のより具体的な例としては、フロッピー(登録商標)ディスク、ディスケット、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EPROM又はフラッシュメモリ)、電気的消去可能プログラマブルリードオンリメモリ(EEPROM)、静的ランダムアクセスメモリ(SRAM)、コンパクトディスクリードオンリメモリ(CD-ROM)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、メモリスティック、集積回路カード等が含まれてよい。
【0085】
コンピュータ可読命令は、アセンブラ命令、命令セットアーキテクチャ(ISA)命令、マシン命令、マシン依存命令、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、又はSmalltalk(登録商標)、JAVA(登録商標)、C++等のようなオブジェクト指向プログラミング言語、及び「C」プログラミング言語又は同様のプログラミング言語のような従来の手続型プログラミング言語を含む、1又は複数のプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されたソースコード又はオブジェクトコードのいずれかを含んでよい。
【0086】
コンピュータ可読命令は、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路が、フローチャート又はブロック図で指定されたオペレーションを実行するための手段を生成するために当該コンピュータ可読命令を実行すべく、ローカルに又はローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット等のようなワイドエリアネットワーク(WAN)を介して、汎用コンピュータ、特殊目的のコンピュータ、若しくは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサ、又はプログラマブル回路に提供されてよい。プロセッサの例としては、コンピュータプロセッサ、処理ユニット、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ等を含む。
【0087】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0088】
特許請求の範囲、明細書、及び図面中において示した装置、システム、プログラム、及び方法における動作、手順、ステップ、及び段階などの各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」などと明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。特許請求の範囲、明細書、及び図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」などを用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0089】
100 トラッキング装置、200 カメラ、202 上部、204 下部、206 右部、208 左部、210 支持部、222 画像中心、224 トラッキング対象、300 制御装置、310 画像解析部、320 回転制御部、322 制御部、324 筋肉コントローラ、326 空気圧源、328 ジンバルコントローラ、410 ピッチ上転部、411 伸縮部、412 スリング、420 ピッチ下転部、421 伸縮部、422 スリング、430 ヨー右転部、431 伸縮部、432 スリング、440 ヨー左転部、441 伸縮部、442 スリング、450 ロール右転部、451 伸縮部、452 スリング、460 ロール左転部、461 伸縮部、462 スリング、500 ジンバル、600 無線通信部、610 支持部、700 無線送電部、710 支持部、800 カメラ、1200 コンピュータ、1210 ホストコントローラ、1212 CPU、1214 RAM、1216 グラフィックコントローラ、1218 ディスプレイデバイス、1220 入出力コントローラ、1222 通信インタフェース、1224 記憶装置、1230 ROM、1240 入出力チップ
【要約】      (修正有)
【課題】トラッキング装置、プログラム、及びトラッキング方法に関する。
【解決手段】球形状を有するカメラと、前記カメラを回転可能に支持する支持部と、前記カメラによって撮像されたトラッキング対象をトラッキングするように前記カメラの回転を制御する回転制御部とを備えるトラッキング装置を提供する。支持部によって回転可能に支持された球形状のカメラを有するトラッキング装置によって実行されるトラッキング方法であって、前記カメラによって撮像された撮像画像を取得する取得段階と、前記撮像画像に含まれるトラッキング対象をトラッキングするように前記カメラの回転を制御する回転制御段階とを備えトラッキング方法を提供する。
【選択図】図1
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