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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】操作つまみ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 25/06 20060101AFI20231102BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20231102BHJP
   G06F 3/0362 20130101ALI20231102BHJP
   G06F 3/041 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
H01H25/06 E
G06F3/044 Z
G06F3/0362 461
G06F3/041
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022511651
(86)(22)【出願日】2021-02-18
(86)【国際出願番号】 JP2021006138
(87)【国際公開番号】W WO2021199766
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-09-02
(31)【優先権主張番号】P 2020059301
(32)【優先日】2020-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健二
(72)【発明者】
【氏名】名越 朗
【審査官】関 信之
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-182718(JP,A)
【文献】国際公開第2019/087608(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 25/06
G06F 3/041
G06F 3/044
G06F 3/0362
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルと対向する第1面と、前記第1面に対して前記表示パネルとは反対側に位置する第2面とを有するベースと、
前記ベースの前記第1面側に配置された導電性を有する伝達部材と、
前記ベースに対して前記第1面と交差する方向への相対移動が許容されるように前記第2面側に配置され、前記表示パネルに対して前記伝達部材を接近及び離間させる操作部材と、
前記ベースと前記操作部材の間に配置されたスタビライザと
を備え、
前記スタビライザは、本体と、前記本体の両端にそれぞれ連なり、前記本体から同じ向きに突出する一対の腕部と、前記腕部にそれぞれ連なり、前記腕部から互いに離れる向きに突出する一対の基部とを有し、
前記ベース及び前記操作部材のうちの一方は、前記本体を回転可能の保持する保持部を有し、
前記ベース及び前記操作部材のうちの他方は、前記基部を前記第2面に沿ってスライド可能かつ回転可能にそれぞれ保持する一対の保持溝を有する、
操作つまみ装置。
【請求項2】
前記スタビライザは、前記本体が前記第2面に沿って第1方向に延び、前記第1方向に対して交差する第2方向に間隔をあけて配置された第1スタビライザと第2スタビライザを含み、
前記第1スタビライザの前記本体は、前記第1方向の一方側に位置する第1端と、前記第1方向の他方側に位置する第2端とを有し、
前記第2スタビライザの前記本体は、前記第1スタビライザの前記第2端よりも前記第1方向の前記他方側に位置する第1端と、前記第1スタビライザの前記第1端と前記第2端の間に位置する第2端とを有する、
請求項1に記載の操作つまみ装置。
【請求項3】
前記保持部は、前記第1スタビライザを保持する第1保持部と、前記第2スタビライザを保持する第2保持部とを含み、
前記第1保持部は、前記第1スタビライザの前記第1端側を保持する第1部分と、前記第1スタビライザの前記第2端側を保持する第2部分とを有し、
前記第2保持部は、前記第2スタビライザの前記第1端側を保持する第1部分と、前記第2スタビライザの前記第2端側を保持する第2部分とを有し、
前記第1保持部の前記第1部分から前記第2保持部の前記第1部分までの前記第1方向の距離は、前記第1保持部の前記第1部分から前記第2部分までの距離、及び前記第2保持部の前記第1部分から前記第2部分までの距離よりも長い、
請求項2に記載の操作つまみ装置。
【請求項4】
前記スタビライザは、前記本体が前記第2方向に延び、前記第1方向に間隔をあけて配置された第3スタビライザと第4スタビライザを含み、
前記第3スタビライザの前記本体は、前記第2スタビライザ側に位置する第1端と、前記第1スタビライザ側に位置する第2端とを有し、
前記第4スタビライザの前記本体は、前記第3スタビライザの前記第2端よりも前記第1スタビライザ側に位置する第1端と、前記第3スタビライザの前記第1端と前記第2端の間に位置する第2端とを有する、
請求項2又は3に記載の操作つまみ装置。
【請求項5】
前記保持部は、前記第3スタビライザを保持する第3保持部と、前記第4スタビライザを保持する第4保持部とを含み、
前記第3保持部は、前記第3スタビライザの前記第1端側を保持する第1部分と、前記第3スタビライザの前記第2端側を保持する第2部分とを有し、
前記第4保持部は、前記第4スタビライザの前記第1端側を保持する第1部分と、前記第4スタビライザの前記第2端側を保持する第2部分とを有し、
前記第3保持部の前記第1部分から前記第4保持部の前記第1部分までの前記第2方向の距離は、前記第3保持部の前記第1部分から前記第2部分までの距離、及び前記第4保持部の前記第1部分から前記第2部分までの距離よりも長い、
請求項4に記載の操作つまみ装置。
【請求項6】
前記第3スタビライザは前記第1方向の前記一方側に配置され、前記第4スタビライザは前記第1方向の前記他方側に配置されており、
前記第1スタビライザの前記第1端と前記第3スタビライザの前記第2端とは、前記第2方向に間隔をあけて隣接し、
前記第3スタビライザの前記第1端と前記第2スタビライザの前記第2端とは、前記第1方向に間隔をあけて隣接し、
前記第2スタビライザの前記第1端と前記第4スタビライザの前記第2端とは、前記第2方向に間隔をあけて隣接し、
前記第4スタビライザの前記第1端と前記第1スタビライザの前記第2端とは、前記第1方向に間隔をあけて隣接している、
請求項4又は5に記載の操作つまみ装置。
【請求項7】
前記第1スタビライザ、前記第2スタビライザ、前記第3スタビライザ、及び前記第4スタビライザは、全て同一形状である、
請求項4から6のいずれか1項に記載の操作つまみ装置。
【請求項8】
前記ベースは、開口部を有する環状体であり、
前記操作部材は、前記開口部の内側に位置する筒状の内壁部と、前記ベースの外周を取り囲む筒状の外壁部とを有する環状体である、
請求項1から7のいずれか1項に記載の操作つまみ装置。
【請求項9】
前記ベースは、前記第1面と前記第2面を有するロータと、前記ロータを回転可能に保持する環状のホルダとを有し、
前記ロータの前記第1面に、前記ロータと一体に回転するように、前記伝達部材とは異なる伝達部材を備える、
請求項1から8のいずれか1項に記載の操作つまみ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作つまみ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置又はセンターディスプレイ等の車載製品には、静電容量方式のタッチ検出機能を備えた表示パネルが搭載されている。車載製品を操作する場合、凹凸がない表示パネルの定められた操作領域に指を当てる必要があるため、ユーザは操作領域の位置を目で確認する必要がある。
【0003】
特許文献1には、表示パネルの表面に配置する操作つまみ装置が開示されている。操作つまみ装置は、表示パネルに固着されるベース、プッシュ式のボタン、及び回転式のノブを備える。ボタン内の伝達部材の接近によって表示パネルの静電容量が変化することで、表示パネルはボタンのプッシュ操作を検出できる。ノブ内の伝達部材によって静電容量が変化する位置が移動することで、表示パネルはノブの回転操作を検出できる。操作つまみ装置が表示パネルから突出しているため、ユーザは表示パネルを見ることなく車載製品を操作できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2015/174092号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の操作つまみ装置では、操作部材の姿勢の安定性に関して何も考慮されていないため、ボタンの外周の偏った位置をユーザが押すと、ベースに対してボタンが傾く。この場合、表示パネルに対して伝達部材が面接触しないため、操作の伝達性が悪く、表示パネルがボタンのプッシュ操作を検出できない虞がある。
【0006】
本発明は、操作部材の姿勢安定性を向上でき、それによって表示パネルへの操作の伝達性を向上できる操作つまみ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、表示パネルと対向する第1面と、前記第1面に対して前記表示パネルとは反対側に位置する第2面とを有するベースと、前記ベースの前記第1面側に配置された導電性を有する伝達部材と、前記ベースに対して前記第1面と交差する方向への相対移動が許容されるように前記第2面側に配置され、前記表示パネルに対して前記伝達部材を接近及び離間させる操作部材と、前記ベースと前記操作部材の間に配置されたスタビライザとを備え、前記スタビライザは、本体と、前記本体の両端にそれぞれ連なり、前記本体から同じ向きに突出する一対の腕部と、前記腕部にそれぞれ連なり、前記腕部から互いに離れる向きに突出する一対の基部とを有し、前記ベース及び前記操作部材のうちの一方は、前記本体を回転可能の保持する保持部を有し、前記ベース及び前記操作部材のうちの他方は、前記基部を前記第2面に沿ってスライド可能かつ回転可能にそれぞれ保持する一対の保持溝を有する、操作つまみ装置を提供する。
【0008】
本態様では、ベースと操作部材の間にスタビライザが配置されているため、プッシュ操作時にベースに対する操作部材の傾きを抑制でき、操作部材の姿勢安定性を向上できる。よって、ユーザによる操作部材の操作感を向上できる。また、操作部材の移動に連動して移動する伝達部材を、表示パネルに対して面接触させることができる。よって、操作部材の操作を表示パネルに確実に伝達できるため、表示パネルの検出性を向上できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の操作つまみ装置では、操作部材の姿勢安定性を向上でき、それによって表示パネルへの操作の伝達性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に係る操作つまみ装置を表示パネルに配置した斜視図。
図2A図1の操作つまみ装置の断面図。
図2B】プッシュ操作した操作つまみ装置の断面図。
図3】操作つまみ装置の分解斜視図。
図4図3のホルダ、リング部材、及びフィルムの分解斜視図。
図5図3のロータ、伝達部材、及びノブの分解斜視図。
図6】ロータ、付勢部材、及びスタビライザの分解斜視図。
図7】ロータ、第1伝達部材、及び第2伝達部材を表示パネル側から見た分解斜視図。
図8A】ノブに対するスタビライザの配置を示す正面図。
図8B】ロータに対するスタビライザの配置を示す正面図。
図9】第2伝達部材の配置構造を示す断面図。
図10A図7の第1伝達部材、第2伝達部材、及び保持部材の前方分解斜視図。
図10B図7の第1伝達部材、第2伝達部材、及び保持部材を後方分解斜視図。
図11】ロータの斜視図。
図12A】ロータにスタビライザを組み付ける工程を示す斜視図。
図12B】ロータにスタビライザを組み付ける他の工程を示す斜視図。
図12C】ロータにスタビライザを組み付ける他の工程を示す斜視図。
図12D】ロータにスタビライザを組み付ける他の工程を示す斜視図。
図13】ロータの変形例を示す正面図。
図14】操作つまみ装置の変形例を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0012】
図1及び図2Aは、本発明の実施形態に係る操作つまみ装置10を示す。操作つまみ装置10が配置されている表示パネル1は、静電容量の変化によってユーザの操作を検出するタッチ検出機能を備え、ナビゲーション装置又はセンターディスプレイ等の車載製品に搭載されている。
【0013】
図1に示すように、操作つまみ装置10は、表示パネル1の定められた操作領域に配置され、表示パネル1から車内側へ突出している。操作つまみ装置10は、全体として円環形状であり、鉛直方向に延びるように配置される表示パネル1に対して、軸線Aが直交方向に延びるように配置されている。操作つまみ装置10は、1個のノブ(操作部材)30を備え、このノブ30のプッシュ操作及び回転操作を表示パネル1に伝達する。
【0014】
図2A及び図3に示すように、操作つまみ装置10は、ホルダ20、ロータ25、ノブ30、付勢部材33、伝達部材35、リング部材45、及びフィルム50を備える。そのうち、ホルダ20とロータ25が、操作つまみ装置10の基礎となるベースである。接着層52aを備えるフィルム50によって、操作つまみ装置10は表示パネル1の表面に固着されている。本実施形態の伝達部材35は、ノブ30のプッシュ操作を伝達する第1伝達部材36と、ノブ30の回転操作を伝達する第2伝達部材37とを備える。
【0015】
ホルダ20とリング部材45は、表示パネル1に隣接するようにフィルム50に固着されている。ロータ25は、軸線A周りの回転が許容されるようにホルダ20に配置されている。ノブ30は、軸線Aに沿った方向の直動が許容されるようにロータ25に取り付けられ、軸線Aを中心としてロータ25を一体に回転させる。付勢部材33は、ロータ25とノブ30の間に配置され、ノブ30を表示パネル1から離れる向きへ付勢する。第1伝達部材36は、ノブ30に取り付けられ、ノブ30の直動に連動して軸線Aに沿って移動する。第2伝達部材37は、ロータ25に取り付けられ、ロータ25と一体に回転する。
【0016】
図2Bに示すように、ノブ30を表示パネル1に向けてプッシュ操作すると、第1伝達部材36がフィルム50に向けて一体に直動する。表示パネル1は、導電性を有する第1伝達部材36の接近によって静電容量が変化することで、ノブ30のプッシュ操作を検出できる。ノブ30から手を離すと、ノブ30と第1伝達部材36は、付勢部材33によって表示パネル1から離れる向きへ移動(離間)する。表示パネル1は、第1伝達部材36による静電容量の変化が無くなることで、プッシュ操作の解除を検出できる。ノブ30のプッシュ操作では、第2伝達部材37は表示パネル1に接近した状態を維持し、表示パネル1において第2伝達部材37によって静電容量が変化する領域は変化(移動)しない。
【0017】
図2Aの状態でノブ30を回転操作すると、ロータ25と第2伝達部材37がノブ30と同じ向きへ一体に回転する。表示パネル1は、導電性を有する第2伝達部材37の回転によって静電容量が変化する位置が移動(回転)することで、ノブ30の回転操作を検出できる。回転操作が止められると、ロータ25と第2伝達部材37の回転も停止する。表示パネル1は、静電容量が変化する位置が止まることで、回転操作の停止を検出できる。表示パネル1は、静電容量の変化停止位置を検出することで、ユーザが希望する機能の実行、停止、或いは調整量を検出できる。ノブ30の回転操作では、第1伝達部材36は一体に回転するが、表示パネル1から離れた状態を維持するため、第1伝達部材36によって表示パネル1の静電容量は変化しない。
【0018】
このような操作つまみ装置10において、本実施形態では、ロータ25とノブ30の間に複数(本実施形態では4本)のスタビライザ55を配置することで、ロータ25に対するノブ30の傾きを抑制する。つまり、スタビライザ55によってノブ30の姿勢安定性を向上することで、表示パネル1への操作の伝達性、つまり表示パネル1の検出性を向上する。
【0019】
次に、操作つまみ装置10の構成部品について具体的に説明する。なお、以下の説明では、表示パネル1に最も近いフィルム50側を車外側といい、表示パネル1から最も離れたノブ30の端壁部30c側を車内側ということがある。
【0020】
図3及び図4に示すように、ホルダ20は、フィルム50の外周部に固着され、表示パネル1に対して他の構成部品を保持する。ホルダ20は、絶縁性を有する(つまり導電性がない)樹脂(例えばABS)からなる。ホルダ20は、表示パネル1の一部を露出させる開口部(内部空間)21を画定する円筒状の本体20aを備える。本体20aの軸線Aが表示パネル1に対して直交方向に延びるように、ホルダ20が表示パネル1に配置される。
【0021】
図2A及び図3を参照すると、本体20aの内周面側には、ロータ25を保持するための保持部20b,20cが設けられている。第1保持部20bは本体20aにおいて車外側に設けられ、第2保持部20cは本体20aにおいて車内側の端部近傍に設けられている。第1保持部20bは、円環状をなすように本体20aから径方向内向きに突出し、ロータ25の外周部を回転可能に保持するとともに、軸線Aに沿った車外側へのロータ25の移動を規制する。第2保持部20cは、本体20aの内周面の一部からなり、ロータ25の後述する摺接部25cを回転可能に保持するとともに、ロータ25の径方向の移動を規制する。
【0022】
第1保持部20bと第2保持部20cの間に位置するように、ホルダ20の内周部には、径方向内向きに突出する三角柱状の突起20dが周方向へ複数並設されている。周方向に隣り合う突起20d間は、後述する係合部材28を係合する係合溝20eを構成する。突起20dの車内側の端は、ホルダ20の車内側の端よりも車外側に位置し、これらによって当接部20fが形成されている。
【0023】
図3及び図5に示すように、ロータ25は、開口部21に連通する開口部(内部空間)26を備える。ロータ25は、軸線Aを中心としてホルダ20の内部に配置(内嵌め)される円環状の板体であり、絶縁性を有する樹脂(例えばPBT)からなる。図2Aを参照すると、ロータ25は、車外側に配置されてフィルム50(表示パネル1)と対向する第1面25aと、車内側に配置されてフィルム50とは反対側に位置する第2面25bとを備える。ロータ25がホルダ20に配置されることで、第1面25aが第1保持部20bに当接し、第2面25bがホルダ20の車内側端部と面一に位置する。図3を参照すると、ロータ25の外周部には、第1保持部20bにおける車外側の面に係止する係止片25pが設けられている。
【0024】
ロータ25の外径は、第1保持部20bの内径よりも大きく、複数の突起20dの先端を結ぶ仮想円(図示せず)の直径よりも小さい。ロータ25の第2面25b側の端部には、径方向外向きに突出し、ホルダ20の当接部20fに配置されるとともに、第2保持部20cに摺接する摺接部25cが設けられている。摺接部25cは、周方向に間隔をあけて突出する複数の円弧状の突部からなり、これらの外端を結ぶ仮想円(図示せず)の直径は、複数の突起20dの先端を結ぶ仮想円の直径よりも大きく、第2保持部20cの内径よりも小さい。これによりロータ25は、ホルダ20の内側で軸線Aを中心として回転できる。
【0025】
図3に示すように、ロータ25の外周には、径方向内向きに窪む断面円形状の空間からなる取付穴25dが設けられている。取付穴25d内には、スプリング27と球状の係合部材28とが配置されている。係合部材28の直径は、取付穴25dの直径よりも小さく、係合溝20eの径方向の溝深さよりも大きい。ホルダ20に対してロータ25が回転されると、突起20dの傾斜面によって係合部材28が取付穴25d内へ移動し、スプリング27を収縮させる。スプリング27によって外向きに付勢された係合部材28が係合溝20eに係合することで、ロータ25がホルダ20に対して所定の回転角度位置に保持される。
【0026】
図2Aを参照すると、ロータ25には、軸線Aに沿ったノブ30の移動を許容するための挿通孔25eが設けられている。図6を参照すると、ロータ25の第2面25b側には、付勢部材33を配置する配置部25f、及び後述するスタビライザ55を配置するための凹部25lが設けられている。図7を参照すると、ロータ25の第1面25a側には、保持部材42を支持するガイドリブ25h、及び保持部材42(第2伝達部材37)を取り付ける取付部25iが設けられている。これらについては後で詳述する。
【0027】
図3及び図5に示すように、ノブ30は、開口部21に連通して表示パネル1の一部を視認可能な開口部31を備える環状体である。ノブ30は、軸線Aを中心とする円環状のカバーであり、絶縁性を有する樹脂(例えばPC/ABS)からなる。ノブ30は、ロータ25に対して軸線Aに沿った方向、つまり第1面25aに対して直交する方向の相対移動が許容され、ロータ25に対して軸線Aを中心とする周方向の相対移動が規制されるように、ロータ25の第2面25b側に配置されている。
【0028】
具体的には、図2A及び図5に示すように、ノブ30は、開口部31を画定する円錐筒状の内壁部30aと、内壁部30aの外側を取り囲む円錐筒状の外壁部30bとを備える。内壁部30aは、最も内側に位置するように、リング部材45の内側に配置されている。外壁部30bは、最も外側に位置するように、ホルダ20の外側に配置されている。これらは軸線Aを中心とする同心円筒状である。外壁部30bの外面には、回転操作時の滑止を図るための滑止部30iが設けられている。滑止部30iは、表面加工を施すことによって形成された多数の凹凸からなる。
【0029】
内壁部30a及び外壁部30bそれぞれの車内側の端は、これらに連なる端壁部30cによって塞がれている。内壁部30a及び外壁部30bそれぞれの車外側の端は、開放された開放部30dである。つまり、外壁部30bに連なる端壁部30cには、開口部21を通して表示パネル1の一部を視認可能な開口部31が形成され、この開口部31の縁に内壁部30aが連なって設けられている。本実施形態では、端壁部30cの外面側に、円環状の装飾板32が配置されている。
【0030】
内壁部30aと外壁部30bは、端壁部30cから開放部30dに向かうに従って、互いに離反するように傾斜している。開放部30d側に位置する内壁部30aの外端の直径はリング部材45の内径よりも小さく、内壁部30aの外端はロータ25よりも車外側に突出している。開放部30d側に位置する外壁部30bの外端の直径はホルダ20の外径よりも大きく、外壁部30bの外端はロータ25よりも車外側に突出している。内壁部30a、外壁部30b、及び端壁部30cの内部には、ホルダ20の大部分とロータ25とが収容されている。
【0031】
引き続いて図2A及び図5を参照すると、端壁部30cには、ロータ25を貫通して開放部30d側(車外側)へ突出する円筒状のボス(連結部)30eが設けられている。ボス30eは、端壁部30cに対して周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では3個)設けられている。端壁部30c側の端から開放部30d側の端にかけたボス30eの全長は、第2面25bから第1面25aまでのロータ25の厚みよりも長く、内壁部30aの全長よりも短い。
【0032】
図2A及び図7に示すように、ロータ25には、複数のボス30eにそれぞれ対応する挿通孔25eが設けられている。図6を参照すると、挿通孔25eの車内側は、スタビライザ55を配置する凹部25lと空間的に連通している。挿通孔25eは、ボス30eの外径よりも大きく、ボス30eが挿通され、軸線Aに沿った方向のボス30eの移動を許容する。これにより、軸線Aに沿った方向において、ロータ25に対するノブ30の相対的な移動が許容される。
【0033】
図5及び図8Aを参照すると、ノブ30には、ロータ25に対する軸線Aに沿った方向への移動ガイド、及びロータ25に対する軸線Aを中心とした周方向への移動規制の機能を兼ね備える規制部30hが更に設けられている。規制部30hは、90度間隔をあけて4箇所に設けられるとともに、それぞれ一対設けられている。一対の規制部30hはそれぞれ、互いに対向する向きに突出する概ね三角柱状のリブからなり、これらの間に図6に示す配置部25fを有するブロック25oが挟み込まれる。
【0034】
図2A及び図2Bに示すように、付勢部材33は、ロータ25とノブ30の間に配置され、軸線Aに沿ってロータ25から離れる向きへノブ30を付勢する。付勢部材33は、弾性を有するゴム(例えばシリコーンゴム)製であり、概ね円錐筒状に形成されている。但し、付勢部材33は、コイルスプリング又は板バネであってもよいし、ロータ25に設けた切起構造の樹脂バネであってもよい。
【0035】
具体的には、図5及び図6に示すように、付勢部材33は、ロータ25の第2面25b側に周方向へ等間隔で複数(本実施形態では4個)配置されている。個々の付勢部材33は、円環状の基部33aと、基部33aから円錐筒状に突出する突出部33bと、突出部33bの先端に設けられた円柱状の頭部33cとを備える。
【0036】
ロータ25の第2面25bには、付勢部材33を配置する配置部25fが設けられている。配置部25fは、基部33aを配置可能な断面円形状の窪みからなり、挿通孔25eとは異なる角度位置に設けられている。軸線Aが延びる方向における配置部25fの深さは、付勢部材33の全高よりも浅く、付勢部材33の頭部33cは第2面25bからノブ30側へ突出している。配置部25fの底には、第1面25aにかけて貫通する貫通孔25gが設けられている。貫通孔25gは、図2A及び図2Bに示す付勢部材33の弾性変形に伴う空気の流動を許容する。図5を参照すると、ノブ30の端壁部30cの内面には、円形状の窪みからなり、付勢部材33の頭部33cを保持する保持部30fが設けられている。
【0037】
図5及び図7に示すように、伝達部材35を構成する第1伝達部材(第1導電部)36と第2伝達部材(第2導電部)37は、可撓性及び導電性を有する接続部38によって導通可能に接続されている。これらは、ホルダ20とリング部材45の間、かつロータ25の第1面25aとフィルム50との間に配置されている。
【0038】
第1伝達部材36はノブ30に取り付けられ、第2伝達部材37はロータ25に取り付けられている。ノブ30のプッシュ操作によって、第1伝達部材36はノブ30の移動に連動して軸線Aに沿って移動するが、第2伝達部材37は移動しない。ノブ30の回転操作によって、第1伝達部材36は一体に回転し、第2伝達部材37はロータ25を介して一体に回転する。つまり、第2伝達部材37に対して第1伝達部材36は、軸線Aに沿って相対移動するが、軸線Aを中心とした周方向には相対移動しない。
【0039】
第1伝達部材36は、導電性を有するゴムからなるC字状の板体であり、ホルダ20、ロータ25及びノブ30よりも可撓性を有する軟質材料からなる。但し、第1伝達部材36は、導電性を有する材料であれば、金属(例えば真鍮)製又は樹脂製であってもよい。第1伝達部材36の第1端36aから第2端36bまでの周方向の角度は、概ね270度である。第1伝達部材36の径方向の幅は、後述する取付部材40の径方向の幅よりも狭い。第1伝達部材36の厚みは、静電容量を大きくするために可能な限り大きくすることが好ましい。本実施形態では生産性を考慮して、幅を5mm、厚みを1mmとしている。
【0040】
第1伝達部材36は、絶縁性を有する樹脂(例えばナイロン)からなる取付部材40を介してノブ30に取り付けられている。第1伝達部材36の内周部には、径方向内向きに突出し、取付部材40の定位置に配置するための位置決め突起36cが設けられている。取付部材40については後で詳述する。
【0041】
図7及び図9に示すように、第2伝達部材37は、第1伝達部材36とは別体に形成され、接続部38を介して第1伝達部材36に一体化されている。第2伝達部材37は、導電性を有する金属(例えば真鍮)からなる概ね扇型状の板体である。但し、第2伝達部材37は、導電性を有する材料であればゴム製又は樹脂製であってもよい。
【0042】
第2伝達部材37は、第1伝達部材36と同心円上に位置するように両端36a,36b間に配置され、保持部材42を介して接続部38に接続されている。保持部材42に配置するために、第2伝達部材37には、矩形状をなすように切り欠いた切欠部37aと、ネジ44を貫通させる貫通部37bとが設けられている。なお、保持部材42については後で詳述する。
【0043】
引き続いて図7及び図9を参照すると、接続部38は、第1伝達部材36に一体に設けられ、第1端36a及び第2端36bから突出している。接続部38及び第2伝達部材37を重ね合わせた状態で保持部材42に配置することで、第1伝達部材36と第2伝達部材37が導通可能に接続される。但し、接続部38は、導電性ゴムによって構成した第2伝達部材37に一体に設けられてもよいし、電気的な導通が可能な材料によって第1伝達部材36及び第2伝達部材37とは別体で設けられてもよい。
【0044】
接続部38は、第1伝達部材36と同心円上に延びる曲率の円弧状に形成されている。径方向における接続部38の幅は、径方向における第1伝達部材36の幅よりも狭い。これにより、第1伝達部材36の弾性的な変形は抑制する一方、第1伝達部材36に連なる接続部38の弾性的な変形を許容している。本実施形態では、軸線Aに沿った方向における接続部38の厚みは、第1伝達部材36の厚みと同一にしているが、接続部38の弾性的な変形を促進するために、第1伝達部材36の厚みよりも薄くしてもよい。
【0045】
一対の接続部38の先端にはそれぞれ、第2伝達部材37に導通可能に接続するための接続端38aが設けられている。接続端38aは、軸線Aが延びる方向から見て円形状であり、その直径は接続部38の幅よりも大きい。接続端38aの中心には、厚さ方向に貫通した貫通孔38bが設けられている。
【0046】
第1伝達部材36の端36a,36bから接続端38aまでの長さは、ノブ30の非操作状態で、第1伝達部材36と第2伝達部材37の間に余剰(ゆとり)部分を確保できる寸法設定である。この余剰部分によって接続部38は、第2伝達部材37に対する第1伝達部材36の相対移動を許容する。
【0047】
図2A及び図7に示すように、取付部材40は、第1伝達部材36を覆い隠すことが可能な大きさの板体である。取付部材40の径方向の幅は、ロータ25の径方向の幅よりも狭い。
【0048】
取付部材40のうちの表示パネル1と対向する面には、第1伝達部材36を配置する凹溝40aが設けられている。凹溝40aは、外側壁40b、内側壁40c、一対の端壁40dによって画定されている。外側壁40bは、第1伝達部材36よりも僅かに大きいC字状であり、第1伝達部材36の位置決め突起36cと対応する部分には位置決め溝40eが設けられている。内側壁40cは連続した無端状のリングである。一対の端壁40dにはそれぞれ、接続部38を挿通する挿通溝40fが設けられている。
【0049】
凹溝40aの深さは、軸線Aが延びる方向の第1伝達部材36の厚みよりも浅く、壁40b~40dの先端から第1伝達部材36が突出する。凹溝40aに第1伝達部材36を取り付ける取付手段には、両面テープ及び接着剤等の接着部材による方式、圧入及び固定片等の機械的構造による方式を用いることができる。
【0050】
図2A及び図5に示すように、取付部材40には、ネジ(連結部材)41を貫通させる貫通部40gが設けられている。取付部材40には、ロータ25に向けて突出し、貫通孔25nを貫通した規制部30h間に配置されて、ノブ30に対する取付部材40の周方向の相対移動(回転を含む)を規制する位置決め凸部40hが設けられている。取付部材40の外周面には、径方向外向きに突出し、ノブ30の非操作状態で第1保持部20bに当接する当接部40iが設けられている。第1保持部20bへの当接部40iの当接によって、それ以上の車内側へのノブ30の移動、及び第1伝達部材36を含む取付部材40の移動が規制される。
【0051】
図2Aに示すように、貫通部40gを貫通させたネジ41をボス30eに締め付けることで、取付部材40を介して第1伝達部材36がノブ30に連結され、ロータ25に対するこれらの取付状態が維持される。ノブ30の非操作状態で第1伝達部材36は、付勢部材33の付勢によって当接部40iが第1保持部20bに当接することで、ロータ25の第1面25aに近接した位置に後退している。図2Bに示すように、ノブ30のプッシュ操作によって第1伝達部材36は、軸線Aに沿ってフィルム50に接触する位置まで進出する。
【0052】
図7及び図9を参照すると、保持部材42は、第2伝達部材37の形状に対応する扇型状の板体である。保持部材42は、ロータ25の第1面25aに配置され、スプリング43によって車外側へ付勢されている。
【0053】
図10A及び図10Bを参照すると、保持部材42の車外側の面には、一対の接続部38の先端をそれぞれ配置する一対の窪み42aが設けられている。窪み42aは、接続端38aを配置する円形状部分と、円形状部分から保持部材42の両側面にかけて延びる矩形状部分とを備える。窪み42aの深さは、接続部38の厚みよりも浅く、保持部材42から接続部38が突出するように構成されている。窪み42aの円形状部分には、貫通孔38bを貫通する円柱状の突出部42bが設けられている。突出部42bの突出寸法は窪み42aの深さよりも小さい。
【0054】
保持部材42の車外側には更に、切欠部37aに位置する位置決め凸部42cがそれぞれ設けられている。位置決め凸部42cの突出寸法は第2伝達部材37の厚みよりも小さく、第2伝達部材37は保持部材42から突出している。保持部材42の中央には、第2伝達部材37をネジ止めするためのネジ孔42dが設けられている。
【0055】
窪み42aに接続端38aを配置した後、その車外側に第2伝達部材37を配置し、貫通部37bを貫通させたネジ44をネジ孔42dに締め付ける。これにより、第2伝達部材37と保持部材42の間に接続部38が圧接状態で挟み込まれることで、接続部38(第1伝達部材36)と第2伝達部材37の導通が確保される。
【0056】
保持部材42の車内側には、スプリング43の一端を配置する円筒状の凸部42eが設けられている。凸部42eは、ネジ孔42dの軸線と同軸に設けられている。保持部材42の周方向の両端には、ロータ25に向けて突出する一対の係止片42fが設けられている。係止片42fは、ロータ25に係止して、ロータ25からの離脱を防ぐための爪部42gを備える。
【0057】
図7を参照すると、ロータ25の第1面25aには、保持部材42の周方向の両端をそれぞれ規制するガイドリブ25hが設けられている。一対のガイドリブ25hはそれぞれ、周方向に延びるように設けられている。一対のガイドリブ25hの間には、保持部材42を取り付ける取付部25iが設けられている。
【0058】
取付部25iは、複数の配置部25fのうちの1つの車外側に隣接して設けられている。図9を参照すると、取付部25iは、係止片42fが貫通される一対の貫通孔25jと、スプリング43を配置する凹部25kとを備える。貫通孔25jの車内側は、スタビライザ55を配置する凹部25lと空間的に連通している。凹部25kは、車外側から車内側へ窪むように、一対の貫通孔25j間に設けられている。第2面25b側に位置する貫通孔25jの縁と爪部42gとの間には、ロータ25に対する保持部材42の軸線Aに沿った方向の移動を許容する隙間が確保されている。
【0059】
図3及び図4に示すように、リング部材45は、内壁部30aの外側に隣接して配置され、軸線Aを中心とする円環状の筒体である。リング部材45は、絶縁性を有する樹脂(例えばABS)からなる。
【0060】
リング部材45は、フィルム50の内周部に固着された基部45aと、基部45aの外周部からノブ30内へ突出する突出部45bとを備える。リング部材45の軸線方向の寸法は、ホルダ20の軸線方向の寸法よりも小さい。ノブ30の非操作状態で、リング部材45の先端は、開放部30dを構成する内壁部30aの縁に対して、表示パネル1とは反対側に位置している。つまり、車内側に位置する突出部45bの先端は、図2Aに示すノブ30の非操作状態で、ノブ30の開放部30dよりも端壁部30c側へ位置している。
【0061】
引き続いて図3及び図4を参照すると、フィルム50は、表示パネル1の一部を露出させる開口部51を備え、軸線Aを中心とする円環状の部材である。フィルム50は、絶縁性、耐水性、及び耐熱性に優れた樹脂(例えばPET)からなる。フィルム50は、射出成形によって製造可能な樹脂成形品の壁の最小厚みよりも薄い厚みである。具体的には、フィルム50の厚みは、0.05mm以上0.2mm以下であることが好ましく、本実施形態では0.1mmである。フィルム50は、ホルダ20及びリング部材45の車外側端面に固着され、第1伝達部材36及び第2伝達部材37の表示パネル1側を覆う。
【0062】
フィルム50の外径はホルダ20の最大部分の外径と同一であり、フィルム50の内径はリング部材45の最小部分の内径と同一である。本実施形態のリング部材45の基部45aは、接着面積を確保するために突出部45bから径方向内向きに突設されているため、この基部45aの内径と同じ寸法にフィルム50の内径が設定されている。
【0063】
図2Aを参照すると、フィルム50のうち、表示パネル1と対向する車外側の面には接着層52aが設けられている。フィルム50の車内側の面には、外周部にホルダ20を固着する接着層52bが設けられ、内周部にリング部材45を固着する接着層52cが設けられている。
【0064】
図6図8A及び図8Bに示すように、操作つまみ装置10は、プッシュ操作時にロータ25に対するノブ30の傾きを抑制するスタビライザ55を備える。スタビライザ55は、ロータ25の第2面25bとノブ30の端壁部30cとの間に複数配置されている。本実施形態では、第2面25bに対して平行に延びるように、4本のスタビライザ55が軸線Aを中心として周方向へ90度間隔で配置されている。
【0065】
個々のスタビライザ55は、線材からなり、真っ直ぐな棒状の本体55aと、本体55aの両端に連なる一対の腕部55bと、個々の腕部55bにそれぞれ連なる基部55c,55dとを備える。
【0066】
本体55aは、ノブ30の内壁部30aの径方向外側に隣接して配置されている。ロータ25及びノブ30の径方向に対向するスタビライザ55の本体55aは平行に延び、隣り合うスタビライザ55の本体55aは直交方向に延びている。
【0067】
一対の腕部55bはそれぞれ、本体55aの外端から同じ向きに突出するように、本体55aに対して屈曲されている。本体55aに対して腕部55bは、所定曲率の湾曲部を介してそれぞれ連続している。本実施形態では、本体55aと腕部55bとがなす角は90度であり、本体55aに対して腕部55bが直交方向に延びている。
【0068】
基部55c,55dはそれぞれ、腕部55bから互いに離れる向きに突出するように、腕部55bに対して屈曲されている。腕部55bに対して基部55c,55dは、所定曲率の湾曲部を介してそれぞれ連続している。本実施形態では、腕部55bと基部55cとがなす角、及び腕部55bと基部55dとがなす角は、それぞれ90度であり、基部55c,55dが本体55aに対してそれぞれ平行に位置する。但し、本体55aに対して基部55c,55dがそれぞれ平行に位置すれば、本体55aと腕部55bとがなす角、及び腕部55bと基部55c,55dとがなす角は、それぞれ90度以外であってもよい。
【0069】
2個の基部55c,55dのうち、第1基部55cの全長は第2基部55dの全長よりも短い。つまり、腕部55bから第1基部55cの先端までの寸法は、腕部55bから第1基部55dの先端までの寸法よりも小さい。第2基部55dは、隣接したスタビライザ55の本体55aに対して交差するように配置される。
【0070】
以下、個々のスタビライザ55の取付構造をより具体的に説明する。
【0071】
図8Aを参照すると、本体55aはノブ30に形成された保持部30gに回転可能に保持され、図8Bを参照すると、基部55c,55dはロータ25に形成された保持溝25mにスライド可能かつ回転可能に保持されている。これにより、腕部55bはロータ25に対して傾斜し、この傾斜によって隣り合うスタビライザ55が干渉することなく三次元的に配置されている(図5参照)。但し、本体55aがロータ25に回転可能に保持され、基部55c,55dがノブ30にスライド可能かつ回転可能に保持されてもよい。
【0072】
以下の説明では、4つのスタビライザ55のうち、図8Aでは左側に位置して図8Bでは右側に位置する1つをスタビライザ(第1スタビライザ)55A、図8Aでは右側に位置して図8Bでは左側に位置する1つをスタビライザ(第2スタビライザ)55B、図8A及び図8Bでは下側に位置する1つをスタビライザ(第3スタビライザ)55C、図8A及び図8Bでは上側に位置する1つをスタビライザ(第4スタビライザ)55Dと言うことがある。これらのスタビライザ55A~55Dは、全て同一形状である。
【0073】
図6図8A及び図8Bに示すように、ノブ30に対してスタビライザ55A,55Bそれぞれの本体55aは、ロータ25の第2面25b及びノブ30の端壁部30cに対して平行なX方向(第1方向)に延び、X方向に対して直交するY方向(第2方向)に間隔をあけて配置されている。ノブ30に対してスタビライザ55C,55Dそれぞれの本体55aは、Y方向に延び、X方向に間隔をあけて配置されている。
【0074】
スタビライザ55A,55Bは、X方向にずらして配置されている。詳しくは、スタビライザ55Aの本体55aは、X方向の下側(一方側)に位置する第1端55a1と、X方向の上側(他方側)に位置する第2端55a2とを有する。スタビライザ55Bの本体55aは、X方向の上側に位置する第1端55a1と、X方向の下側に位置する第2端55a2とを有する。スタビライザ55Bの第1端55a1は、スタビライザ55Aの第1端55a1及び第2端55a2よりもX方向上側に位置する。スタビライザ55Bの第2端55a2は、X方向においてスタビライザ55Aの第1端55a1と第2端55a2の間に位置する。
【0075】
スタビライザ55C,55Dは、Y方向にずらして配置されている。詳しくは、スタビライザ55Cの本体55aは、スタビライザ55B側、つまり図8AにおいてY方向の右側(一方側)に位置する第1端55a1と、スタビライザ55A側、つまり図8AにおいてY方向の左側(他方側)に位置する第2端55a2とを有する。スタビライザ55Dの本体55aは、スタビライザ55A側、つまり図8AにおいてY方向の左側に位置する第1端55a1と、スタビライザ55B側、つまり図8AにおいてY方向の右側に位置する第2端55a2とを有する。スタビライザ55Dの第1端55a1は、スタビライザ55Cの第1端55a1及び第2端55a2よりもスタビライザ55A側、つまり図8AにおいてY方向左側に位置する。スタビライザ55Dの第2端55a2は、Y方向においてスタビライザ55Cの第1端55a1と第2端55a2の間に位置する。
【0076】
図5及び図8Aに示すように、ノブ30の保持部30gは、スタビライザ55Aの本体55aを保持する第1保持部30g1、スタビライザ55Bの本体55aを保持する第2保持部30g2、スタビライザ55Cの本体55aを保持する第3保持部30g3、及びスタビライザ55Dの本体55aを保持する第4保持部30g4を備える。
【0077】
第1保持部30g1は、スタビライザ55Aにおいて、第1端55a1の近傍を保持する第1部分30g1-1と、第2端55a2の近傍を保持する第2部分30g1-2とを備える。第2保持部30g2は、スタビライザ55Bにおいて、第1端55a1の近傍を保持する第1部分30g2-1と、第2端55a2の近傍を保持する第2部分30g2-2とを備える。第3保持部30g3は、スタビライザ55Cにおいて、第1端55a1の近傍を保持する第1部分30g3-1と、第2端55a2の近傍を保持する第2部分30g3-2とを備える。第4保持部30g4は、スタビライザ55Dにおいて、第1端55a1の近傍を保持する第1部分30g4-1と、第2端55a2の近傍を保持する第2部分30g4-2とを備える。
【0078】
個々の第1部分30g1-1~30g4-1、及び個々の第2部分30g1-2~30g4-2は、いずれも同一の構造である。これらは、ノブ30の端壁部30cから開放部30dに向けて突出する一対の突出部と、これらの突出部から互いに近づく向きに突出する爪部とを備える。
【0079】
個々の保持部30g1~30g4において、第1部分30g1-1~30g4-1から第2部分30g1-2~30g4-2までの距離は、全て同じである。第1保持部30g1の第1部分30g1-1の外端から、第2保持部30g2の第1部分30g2-1の外端までのX方向の距離D1は、第1保持部30g1の第1部分30g1-1の外端から、第1保持部30g1の第2部分30g2-2の外端までのX方向の距離L1よりも長い。第3保持部30g3の第1部分30g3-1の外端から、第4保持部30g4の第1部分30g4-1の外端までのY方向の距離D2は、第4保持部30g4の第1部分30g4-1の外端から、第4保持部30g4の第2部分30g4-2の外端までのX方向の距離L2よりも長い。距離L1,L2(L1=L2)に対して距離D1,D2(D1=D2)は、130%未満に設定されている(1<D/L<1.3)。
【0080】
ノブ30に対してスタビライザ55A~55Dは、1つのスタビライザ55の第1端55a1と、隣接した他のスタビライザ55の第2端55a2とがX方向又はY方向に隣接し、全体として本体55aが正方形状をなすように配置されている。詳しくは、スタビライザ55Aの第1端55a1とスタビライザ55Cの第2端55a2とは、Y方向に間隔をあけて隣接している。スタビライザ55Cの第1端55a1とスタビライザ55Bの第2端55a2とは、X方向に間隔をあけて隣接している。スタビライザ55Bの第1端55a1とスタビライザ55Dの第2端55a2とは、Y方向に間隔をあけて隣接している。スタビライザ55Dの第1端55a1とスタビライザ55Aの第2端55a2とは、X方向に間隔をあけて隣接している。個々のスタビライザ55の第2基部55dは、隣接したスタビライザ55の本体55aと交差している。
【0081】
図6及び図8Bに示すように、基部55c,55dは、ロータ25の第2面25bに形成された凹部25lに配置され、ロータ25の外周部に形成された保持溝25mに保持されている。
【0082】
図11を参照すると、凹部25lは、挿通孔25e及び配置部25fとは異なる角度位置の4カ所に設けられている。凹部25lは、車内側から車外側へ窪んでおり、基部55c,55dの移動を許容する底面を備える。これらの凹部25lには、個々の基部55c,55dに連続した腕部55bを支持するガイド25qが突設されている。凹部25lの形成領域、挿通孔25eの形成領域、及び貫通孔25jの形成領域は、空間的に連通している。
【0083】
詳しくは、図8Bにおいて右下に位置する凹部25l1には、スタビライザ55Aの第1基部55cと、スタビライザ55Cの第2基部55dとが配置される。図8Bにおいて左下に位置する凹部25l2には、スタビライザ55Cの第1基部55cと、スタビライザ55Bの第2基部55dとが配置される。図8Bにおいて左上に位置する凹部25l3には、スタビライザ55Bの第1基部55cと、スタビライザ55Dの第2基部55dとが配置される。図8Bにおいて右上に位置する凹部25l4には、スタビライザ55Dの第1基部55cと、スタビライザ55Aの第2基部55dとが配置される。
【0084】
保持溝25mは、凹部25l内と空間的に連通し、凹部25lからロータ25の外周面にかけて貫通した長穴からなる。保持溝25mは、1カ所の凹部25lに2個、合計で8個設けられている。凹部25l1~25l4に形成される一対の保持溝25mは直交方向に延びており、それぞれ異なるスタビライザ55の基部55c,55dが配置される。基部55c,55dの先端を保持溝25m内に配置することで、第2面25bに沿った基部55c,55dの移動が許容されている。
【0085】
詳しくは、凹部25l1には、スタビライザ55Aの第1基部55cを配置する保持溝25mがX方向に貫通して設けられ、スタビライザ55Cの第2基部55dを配置する保持溝25mがY方向に貫通して設けられている。凹部25l2には、スタビライザ55Cの第1基部55cを配置する保持溝25mがY方向に貫通して設けられ、スタビライザ55Bの第2基部55dを配置する保持溝25mがX方向に貫通して設けられている。凹部25l3には、スタビライザ55Bの第1基部55cを配置する保持溝25mがX方向に貫通して設けられ、スタビライザ55Dの第2基部55dを配置する保持溝25mがY方向に貫通して設けられている。凹部25l4には、スタビライザ55Dの第1基部55cを配置する保持溝25mがY方向に貫通して設けられ、スタビライザ55Aの第2基部55dを配置する保持溝25mがX方向に貫通して設けられている。
【0086】
複数の保持溝25mのうち、スタビライザ55Dの第1基部55cを配置する保持溝25mには、保持溝25m内と外部とを連通させる連通溝25rが設けられている。連通溝25rは、スタビライザ55Dの第1基部55cを組み付ける際の差込位置である保持溝25mの先端に設けられている。連通溝25rは、凹部25l4の底面から第2面25bにかけて貫通するとともに、凹部25l4からロータ25の外周面にかけてY方向に貫通している。
【0087】
次に、スタビライザ55の組付作業について説明する。
【0088】
複数のスタビライザ55は、ノブ30に組み付けていない状態で、スタビライザ55A、スタビライザ55C、スタビライザ55B、及びスタビライザ55Dの順で、ロータ25に組み付けられる。
【0089】
まず、図12Aに示すように、スタビライザ55Aをロータ25の第2面25b側に位置させ、第1基部55cを凹部25l1に配置し、第2基部55dを凹部25l4に配置する。その後、スタビライザ55Aをロータ25の径方向外向き(図12AにおいてY方向右向き)にスライドさせることで、基部55c,55dをそれぞれ保持溝25mに挿通させる。
【0090】
次に、図12Bに示すように、スタビライザ55Aを回転させ、ロータ25の径方向外側に倒す。続いて、スタビライザ55Cをロータ25の第2面25b側に位置させ、第1基部55cを凹部25l2に配置し、第2基部55dを凹部25l1に配置する。この際、スタビライザ55Cの第2基部55dは、先に配置したスタビライザ55Aの本体55aと凹部25l1の底面との間に差し込む。その後、スタビライザ55Cをロータ25の径方向外向き(図12BにおいてX方向下向き)にスライドさせることで、基部55c,55dをそれぞれ保持溝25mに挿通させる。
【0091】
次に、図12Cに示すように、スタビライザ55Cを回転させ、ロータ25の径方向外側に倒す。続いて、スタビライザ55Bをロータ25の第2面25b側に位置させ、第1基部55cを凹部25l3に配置し、第2基部55dを凹部25l2に配置する。この際、スタビライザ55Bの第2基部55dは、先に配置したスタビライザ55Cの本体55aと凹部25l2の底面との間に差し込む。その後、スタビライザ55Bをロータ25の径方向外向き(図12CにおいてY方向左向き)にスライドさせることで、基部55c,55dをそれぞれ保持溝25mに挿通させる。
【0092】
次に、図12Dに示すように、スタビライザ55Bを回転させ、ロータ25の径方向外側に倒す。続いて、スタビライザ55Dをロータ25の第2面25b側に位置させ、第1基部55cを凹部25l4に配置し、第2基部55dを凹部25l3に配置する。この際、スタビライザ55Dの第2基部55dは、先に配置したスタビライザ55Bの本体55aと凹部25l3の底面との間に差し込む。また、先に組み付けたスタビライザ55A,55B,55Cとは異なり、凹部25l4には、先に組み付けたスタビライザ55Aの本体55aが存在するので、スタビライザ55Dの第1基部55cを軸線A方向から凹部25l4に配置することはできない。しかし、第1基部55cを配置する保持溝25mには連通溝25rが設けられているため、スタビライザ55DはY方向の移動によって、第1基部55cを凹部25l4に配置でき、第2基部55dを凹部25l3に配置できる。そして、配置後には、図8Bに示すように、スタビライザ55Dを回転させ、ロータ25の径方向外側に倒す。
【0093】
ロータ25へのスタビライザ55A~55Dの取り付けが全て完了すると、ロータ25に対して付勢部材33を配置した後、個々のスタビライザ55の本体55aをノブ30の保持部30gに差し込んで保持させる。これにより、スタビライザ55を介してロータ25へのノブ30の取り付けが完了する。
【0094】
次に、操作つまみ装置10の動作について説明する。
【0095】
図2Aに示すように、ノブ30の非操作状態では、付勢部材33の付勢によってノブ30がロータ25から離反した位置に保持されている。これにより、ボス30eに連結された第1伝達部材36がフィルム50から離れて位置する。また、第2伝達部材37は、スプリング43の付勢によってフィルム50に当接した位置に保持されている。
【0096】
この非操作状態では、表示パネル1のうち、第1伝達部材36と対向する部分の静電容量は変化せず、第2伝達部材37と対向する部分の静電容量だけが変化する。但し、第2伝達部材37によって静電容量が変化する位置は、所定位置に維持されている。よって、表示パネル1は、ノブ30が操作されていないことを検出できる。
【0097】
ノブ30をプッシュ操作すると、付勢部材33の付勢力に抗してロータ25にノブ30が接近する。この際、ユーザが、環状体からなるノブ30において外周側の偏った位置を操作すると、スタビライザ55を採用していない場合にはノブ30がロータ25に対して傾く。しかし、本実施形態ではスタビライザ55を採用しているため、ノブ30の操作によってスタビライザ55の本体55aが押圧され、基部55c,55dが凹部25lの底面及び保持溝25mに沿って移動する。これにより、ロータ25に対してノブ30の傾きが抑制される。また、ノブ30の直動によってボス30eを介して第1伝達部材36がフィルム50に平行に接近又は面接触する。
【0098】
プッシュ操作によって表示パネル1の静電容量は、第2伝達部材37の対向部分に加え、第1伝達部材36と対向する部分も変化する。よって、表示パネル1の静電容量が変化する領域は、非操作状態と比較して広範囲になる。この静電容量の変化領域の増大によって、表示パネル1はノブ30のプッシュ操作を検出できる。
【0099】
プッシュ操作が止められると、付勢部材33の付勢力によって、ロータ25に対してノブ30と第1伝達部材36が車内側へ移動する。これにより、表示パネル1において、第1伝達部材36と対向する部分の静電容量の変化が無くなるため、静電容量が変化する領域はプッシュ操作状態と比較して局所的になる。この静電容量の変化領域の減少によって、表示パネル1はノブ30のプッシュ操作の解除を検出できる。
【0100】
ノブ30を回転操作すると、ロータ25を介して第2伝達部材37が一緒に回転する。この際、付勢部材33によってノブ30は、ロータ25から離れた状態に保持されているため、第1伝達部材36もフィルム50から離れた状態に維持される。
【0101】
回転操作によって表示パネル1では、第1伝達部材36と対向する部分の静電容量は変化せず、第2伝達部材37と対向する部分の静電容量だけが変化するが、変化する位置が軸線Aを中心として回転する。よって、表示パネル1は、ノブ30が回転する向き(時計回りか反時計回りか)を含めて、ノブ30の回転操作を検出できる。
【0102】
回転操作が止められると、ロータ25及び第2伝達部材37の回転も停止する。これにより、表示パネル1では、静電容量が変化する位置の移動が停止する。よって、表示パネル1は、ノブ30の回転操作の停止を検出できる。
【0103】
以上のように構成した操作つまみ装置10は、以下の特徴を有する。
【0104】
ロータ(ベース)25とノブ(操作部材)30の間にスタビライザ55が配置されているため、プッシュ操作時にロータ25に対するノブ30の傾きを抑制でき、ノブ30の姿勢安定性を向上できる。よって、ユーザによるノブ30の操作感を向上できる。また、ノブ30の移動に連動して移動する第1伝達部材36を、表示パネル1に対して面接触させることができる。よって、ノブ30の操作を表示パネル1に確実に伝達できるため、表示パネル1の検出性を向上できる。
【0105】
しかも、本実施形態の第1伝達部材36は軟質材料からなるため、ノブ30が強く押されてノブ30が過度に移動した場合、第1伝達部材36が弾性的に変形可能である。よって、スタビライザ55によるノブ30の姿勢安定と、第1伝達部材36の弾性変形との相乗効果によって、第1伝達部材36を表示パネル1に面接触できる。そのため、操作つまみ装置10の操作伝達性を確実に向上でき、それによって表示パネル1の検出性を確実に向上できる。
【0106】
スタビライザ55は、本体55aがX方向(第1方向)に延びる第1スタビライザ55Aと第2スタビライザ55Bを含み、これらの第1端55a1がX方向において離れる向きにずらして配置されている。よって、第1スタビライザ55Aの第1端55a1及び第2スタビライザ55Bの第1端55a1を、ノブ30の外周部近傍にそれぞれ配置できる。これにより、一対のスタビライザ55の端を揃えて配置した場合と比較して、一対のスタビライザ55A,55Bによってノブ30を支持可能な距離が長くなる。その結果、ロータ25に対するノブ30の傾きを広い範囲で抑制できる。
【0107】
保持部30gは、第1スタビライザ55Aの両端を保持する第1保持部30g1と、第2スタビライザ55Bの両端を保持する第2保持部30g2とを含み、これらの第1部分30g1-1,30g2-1間の距離D1は、第1部分30g1-1と第2部分30g1-2の間の距離L1よりも長い。よって、スタビライザ55A,55Bを支持する部分をノブ30の外周部近傍にそれぞれ配置できる。これにより、保持部30gを揃えて配置した場合と比較して、一対のスタビライザ55A,55Bを保持可能な距離が長くなる。その結果、ロータ25に対するノブ30の傾きを広い範囲で抑制できる。
【0108】
スタビライザ55は、本体55aがY方向(第2方向)に延びる第3スタビライザ55Cと第4スタビライザ55Dを含み、これらの第1端55a1がY方向において離れる向きにずらして配置されている。よって、スタビライザ55C,55Dの第1端55a1をノブ30の外周部近傍にそれぞれ配置できる。その結果、ロータ25に対するノブ30の傾きをより確実に抑制できる。
【0109】
保持部30gは、第3スタビライザ55Cの両端を保持する第3保持部30g3と、第4スタビライザ55Dの両端を保持する第4保持部30g4とを含み、これらの第1部分30g3-1,30g4-1間の距離D2は、第1部分30g4-1と第2部分30g4-2の間の距離L2よりも長い。よって、スタビライザ55C,55Dを支持する部分をノブ30の外周部近傍にそれぞれ配置できる。その結果、ロータ25に対するノブ30の傾きを広い範囲で抑制できる。
【0110】
スタビライザ55A~55Dのうち、1つのスタビライザ55の第1端55a1とそれ以外の隣接したスタビライザ55の第2端55a2とがX方向又はY方向に隣接して(ずらして)配置されている。よって、ノブ30の外周部近傍に個々のスタビライザ55の第1端55a1を確実に配置できるため、ロータ25に対するノブ30の傾きを効果的に抑制できる。
【0111】
スタビライザ55A~55Dは全て同一形状である。よって、誤装着の虞がないため、組付作業性を向上できるうえ、ノブ30の姿勢安定性を確実に向上できる。
【0112】
ロータ25は開口部26を有する環状体であり、ノブ30は開口部26の内側に位置する内壁部30aとロータ25を取り囲む外壁部30bとを有する環状体である。よって、ロータ25及びノブ30の内部空間を通して表示パネル1の一部を視認できるため、表示パネル1の表示領域を確保できる。
【0113】
ベースは、第1面25aと第2面25bを有するロータ25と、ロータ25を回転可能に保持する環状のホルダ20とを有し、ロータ25の第1面25aには第2伝達部材37を備える。よって、ノブ30のプッシュ操作だけでなく、ノブ30の回転操作を表示パネル1に伝達でき、この回転操作を表示パネル1が検出できるため、利便性を向上できる。
【0114】
ノブ30の内壁部30aと外壁部30bの間に第1伝達部材36と第2伝達部材37が集約して配置されているため、操作つまみ装置10を小型化できる。
【0115】
なお、本発明の操作つまみ装置10は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0116】
例えば、図13に示すように、ロータ25には、第1基部55cを配置する全ての保持溝25mに連通溝25rを設けてもよい。このようにすれば、全てのスタビライザ55A~55Dをスライド移動によって配置でき、スタビライザ55A~55Dの組み付けの順番に制約がなくなるため、組付作業性を向上できる。
【0117】
図14に示すように、ロータ25の内周にホルダ20を配置し、ロータ25の外周にリング部材45を配置してもよい。この場合、ホルダ20の内側にロータ25を配置する場合と比較して、意図せずに内部に入り込んだ液体を容易に外部へ排出できる。よって、内部に液体が溜まることを防止でき、伝達部材36,37の導電性が損なわれることを防止できる。
【0118】
具体的には、ホルダ20は、ノブ30、第1伝達部材36及び第2伝達部材37が取り付けられたロータ25を保持するため、軸方向の寸法が大きくなることは不可避である。このようなホルダが外周部に位置する場合、ホルダが障壁になって自重で液体が外部へ流出することを妨げる。これに対して、図14の変形例では、ホルダ20が内周部に位置しているため、自重で液体が外部へ流出することをホルダ20が妨げることはない。よって、液体の排出性を向上できる。しかも、リング部材45の下端に位置するように貫通孔60を設けることで、液体の排出性をより向上できる。
【0119】
しかも、ホルダ20の外側にロータ25が配置されるため、設計の自由度が高くなり、ロータ25の径方向の寸法を大きく成形することができる。この場合、操作性を確保するためのスタビライザ55や付勢部材33も大きくできるうえ、スタビライザ55を可能な限り外側に配置できるため、プッシュ操作時にノブ30の面方向の傾きをより抑制できる。よって、ノブ30の操作感及び操作の安定性を向上できる。
【0120】
スタビライザ55の数は、4本に限られず、対向する2本のみとしてもよいし、特に1本のみで構成してもよいし、必要に応じて変更が可能である。
【0121】
操作つまみ装置10は円環状に限られず、軸線Aが延びる方向から見て、開口部が無い円形状であってもよい。また、操作つまみ装置10の外形は多角形状であってもよい。
【0122】
本発明の操作つまみ装置10は、タッチ検出機能を備える表示パネル1を搭載した製品であれば、車載製品以外にも用いることができる。
【0123】
1 表示パネル
10 操作つまみ装置
20 ホルダ(ベース)
20a 本体
20b 第1保持部
20c 第2保持部
20d 突起
20e 係合溝
20f 当接部
21 開口部
25 ロータ(ベース)
25a 第1面
25b 第2面
25c 摺接部
25d 取付穴
25e 挿通孔
25f 配置部
25g 貫通孔
25h ガイドリブ
25i 取付部
25j 貫通孔
25k 凹部
25l,25l1~25l4 凹部
25m 保持溝
25n 貫通孔
25o ブロック
25p 係止片
25q ガイド
25r 連通溝
26 開口部
27 スプリング
28 係合部材
30 ノブ(操作部材)
30a 内壁部
30b 外壁部
30c 端壁部
30d 開放部
30e ボス
30f 保持部
30g 保持部
30g1 第1保持部
30g1-1 第1部分
30g1-2 第2部分
30g2 第2保持部
30g2-1 第1部分
30g2-2 第2部分
30g3 第3保持部
30g3-1 第1部分
30g3-2 第2部分
30g4 第4保持部
30g4-1 第1部分
30g4-2 第2部分
30h 規制部
30i 滑止部
31 開口部
32 装飾板
33 付勢部材
33a 基部
33b 突出部
33c 頭部
35 伝達部材
36 第1伝達部材
36a 第1端
36b 第2端
36c 位置決め突起
37 第2伝達部材
37a 切欠部
37b 貫通部
38 接続部
38a 接続端
38b 貫通孔
40 取付部材
40a 凹溝
40b 外側壁
40c 内側壁
40d 端壁
40e 位置決め溝
40f 挿通溝
40g 貫通部
40h 位置決め凸部
40i 当接部
41 ネジ
42 保持部材
42a 窪み
42b 突出部
42c 位置決め凸部
42d ネジ孔
42e 凸部
42f 係止片
42g 爪部
43 スプリング
44 ネジ
45 リング部材
45a 基部
45b 突出部
50 フィルム
51 開口部
52a~52c 接着層
55 スタビライザ
55A 第1スタビライザ
55B 第2スタビライザ
55C 第3スタビライザ
55D 第4スタビライザ
55a 本体
55a1 第1端
55a2 第2端
55b 腕部
55c 第1基部
55d 第2基部
60 貫通孔
A 軸線
X 第1方向
Y 第2方向
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13
図14