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▶ シャンハイ マイクロポート カーディオフロー メドテック シーオー., エルティーディー.の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】医療用インプラントの送達装置
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/24 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
A61F2/24
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022513880
(86)(22)【出願日】2020-08-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 CN2020110893
(87)【国際公開番号】W WO2021043022
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-04-05
(31)【優先権主張番号】201910829483.9
(32)【優先日】2019-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516127259
【氏名又は名称】シャンハイ マイクロポート カーディオフロー メドテック シーオー., エルティーディー.
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI MICROPORT CARDIOFLOW MEDTECH CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】501 Newton Road, Z.J. Hi-Tech Park, Shanghai 201203,China
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウー,シューウェン
(72)【発明者】
【氏名】メイ,ジエ
(72)【発明者】
【氏名】グイ,バオジュー
(72)【発明者】
【氏名】チェン,グオミン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ユー
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-513585(JP,A)
【文献】特表2010-527695(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0025621(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用インプラントの送達装置であって、
前記送達装置は分離可能な構造を有し、相互に分離されているハンドルとカテーテルアセンブリとを備え、
前記ハンドルおよび前記カテーテルアセンブリは、伝達シャフトによって接続されており、
前記カテーテルアセンブリは、内側チューブアセンブリと、前記内側チューブアセンブリに外嵌されている外側チューブアセンブリとを備え、
前記ハンドルは、前記伝達シャフトを回転するように駆動することによって、前記外側チューブアセンブリを前記内側チューブアセンブリに対して軸方向に動かすように構成されており、
前記カテーテルアセンブリは、伝達アセンブリをさらに備え、前記伝達アセンブリは、スクリュロッドと、スクリュナットとを備え、
前記スクリュロッドは、前記外側チューブアセンブリに固定的に接続されている前記スクリュナットに係合し、
前記伝達シャフトが前記カテーテルアセンブリに接続されている場合、前記伝達シャフトの回転による前記スクリュロッドの回転に起因して、前記スクリュナットおよび前記外側チューブアセンブリが軸方向に強制的に動かされるように、前記伝達シャフトは前記スクリュロッドに接続されており、
前記カテーテルアセンブリは、筐体をさらに備え、前記伝達アセンブリは、第1軸受をさらに備え、
前記第1軸受の外側リングは、前記筐体の近位端に嵌め込まれて固定的に接続されており、前記第1軸受の内側リングは、前記スクリュロッドの近位端に外嵌されて固定的に接続されており、
前記カテーテルアセンブリは、前記スクリュナットに固定的に接続されている周方向止め具をさらに備え、
前記周方向止め具は、前記外側チューブアセンブリおよび前記筐体が周方向にロックされ、軸方向に可動となるように、前記筐体と協働する、医療用インプラントの送達装置。
【請求項2】
前記伝達シャフトは、前記カテーテルアセンブリに分離可能に接続されている、請求項1に記載の医療用インプラントの送達装置。
【請求項3】
前記内側チューブアセンブリは、遠位端から近位端への方向に沿って、順次接続されているテーパー状の頭部と、遠位内側チューブと、固定メンバーと、近位内側チューブとを備える、請求項に記載の医療用インプラントの送達装置。
【請求項4】
前記外側チューブアセンブリは、シースチューブと、前記シースチューブの近位端に接続されている第1外側チューブとを備え、
前記第1外側チューブは、前記スクリュナットに固定的に接続されている近位端を有する、請求項に記載の医療用インプラントの送達装置。
【請求項5】
前記第1外側チューブは、周方向ストッパが設けられている内壁を有し、前記近位内側チューブの周方向への回転を規制するように、前記近位内側チューブの外壁は前記周方向ストッパと合致する、請求項に記載の医療用インプラントの送達装置。
【請求項6】
前記カテーテルアセンブリは、前記筐体の遠位端に固定的に接続されている近位端を有する第1安定チューブをさらに備え、
前記第1安定チューブは、前記第1外側チューブに外嵌されている、請求項に記載の医療用インプラントの送達装置。
【請求項7】
前記内側チューブアセンブリは、中間内側チューブと、突出端を有するルアーコネクタとをさらに備え、
前記テーパー状の頭部、前記遠位内側チューブ、前記固定メンバー、前記中間内側チューブ、前記ルアーコネクタ、および前記近位内側チューブは、遠位端から近位端への方向に沿って、順次接続されている、請求項に記載の医療用インプラントの送達装置。
【請求項8】
前記伝達アセンブリは、2つの第2軸受をさらに備え、
前記スクリュロッドにおいて軸方向に貫通孔が形成され、前記近位内側チューブは前記貫通孔を貫通して前記貫通孔に隙間嵌めされ、前記2つの第2軸受のそれぞれは、前記近位内側チューブの2つの端部の各1つに外嵌され、前記2つの第2軸受のそれぞれの外側リングは、前記スクリュロッドの端部の内壁に固定的に接続されており、前記第1軸受の内側リングは、前記スクリュロッドの近位外壁に外嵌されて固定的に接続されている、請求項またはに記載の医療用インプラントの送達装置。
【請求項9】
前記内側チューブアセンブリは、遠位端から近位端への方向に沿って、テーパー状の頭部と、遠位内側チューブと、固定メンバーと、中間内側チューブと、突出端を有するルアーコネクタとを備える、請求項に記載の医療用インプラントの送達装置。
【請求項10】
前記外側チューブアセンブリは、シースチューブと、前記シースチューブの近位端に接続されている第2外側チューブとを備え、
前記第2外側チューブの近位端は、前記スクリュナットに固定的に接続され、
前記第2外側チューブにおいて軸方向に第1短冊状開口部が画定され、前記ルアーコネクタの前記突出端は、前記第1短冊状開口部から突出する、請求項またはに記載の医療用インプラントの送達装置。
【請求項11】
前記カテーテルアセンブリは、前記筐体の遠位端に固定的に接続されている近位端を有する第2安定チューブをさらに備え、前記第2安定チューブは、前記第2外側チューブに外嵌され、前記第2安定チューブにおいて軸方向に第2短冊状開口部が画定され、前記第2短冊状開口部は、前記第1短冊状開口部と位置的に対応しており、前記ルアーコネクタの前記突出端は、前記第1短冊状開口部から突出し、さらに前記第2短冊状開口部から突出する、請求項10に記載の医療用インプラントの送達装置。
【請求項12】
前記伝達シャフトは、可撓性伝達シャフトを備える、請求項1からのいずれか一項に記載の医療用インプラントの送達装置。
【請求項13】
前記可撓性伝達シャフトは、2から4層のらせん構造を有し、前記らせん構造のそれぞれは、0.1mm以上の外径を有し、前記可撓性伝達シャフトは金属製である、請求項12に記載の医療用インプラントの送達装置。
【請求項14】
前記伝達シャフトは、コネクタと前記可撓性伝達シャフト用の外側チューブとをさらに備え、
前記可撓性伝達シャフト用の前記外側チューブは、前記可撓性伝達シャフトに外嵌され、前記可撓性伝達シャフトは、前記コネクタによって前記カテーテルアセンブリに接続されている、請求項12に記載の医療用インプラントの送達装置。
【請求項15】
前記伝達シャフトは、前記カテーテルアセンブリに固定的に接続されている、請求項1に記載の医療用インプラントの送達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療外科手術用装置の技術分野に関し、より具体的には、医療用インプラントの送達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
経心尖アプローチは、心臓手術の一般的なアプローチである。体表の切開は、対象の弁に非常に近くなる(すなわち、その間の距離は約10cm以下である)。切開、心臓穿刺のためのポイント及び弁輪の中心は、良好な同軸度を持っている。従って、送達装置は、多くの場合、術者がより繊細で直感的な方法で装置の角度および深度を調整できることを可能にするように全体的に剛体の直線チューブを有するように設計されている。
【0003】
TAVI(経カテーテル大動脈弁留置術)、TMVR(経カテーテル僧帽弁置換術)、およびその他の弁置換術では、経心尖アプローチが適用される。これらの置換術には、高いリリース精度が必要である。プロテーゼのリリース前、リリース中、回収中、および再リリース中にリアルタイムでの位置の維持および位置の微調整が必要となる。既存の送達装置はサイズが大きく、重量が重いため、送達装置全体は、人間の手で操作した場合、比較的煩雑で、安定性が良くない。従って、外科手術において一般的に使用される装置の位置決めおよび安定化方法では、保持システムが送達装置に追加されて、保持システムの一端は手術台に固定され、他端は送達装置のハンドルを挟んで保持し、手術中の送達装置の位置決めおよび安定性に関する要求事項を満たしている。
【0004】
しかしながら、保持システムに安定した支持力を提供し、複数の自由度を満たす必要がある。従って、保持システムは通常、重量があってかさばり、このことは、以下の理由から手術時間をある程度長引かせる。
1.ホルダ等の構築、調整、および固定に関して多くの操作ステップがあること。
2.手術において、ホルダ操作の複雑性もまた、手術時間に影響を与え得ること。
3.ホルダのサイズが一般的に大きく、他の操作の利便性に悪影響を与えること。
【0005】
上記の欠点を考慮して、リアルタイムで要求事項に従って、インプラントのリリースのためにインプラントの位置を調整できる送達装置が必要であり、これにより、プロテーゼを目標位置に正確にリリースできるようにするだけでなく、送達装置の位置調整に使用される時間を可能な限り短縮できるようにもするため、その結果、手術時間を短縮し、高い質での弁置換術を実現する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、医療用インプラントの位置決めおよび位置調整を促し、医療用インプラントの操作の正確性および操作の精度を向上させ、送達装置の安定性を向上させる、医療用インプラントの送達装置を提供することである。
【0007】
本発明は、医療用インプラントの送達装置を提供し、前記送達装置は分離可能な構造を有し、相互に分離されているハンドルとカテーテルアセンブリとを備え、前記ハンドルおよび前記カテーテルアセンブリは、伝達シャフトによって接続されている。
【0008】
さらに、前記伝達シャフトは、前記カテーテルアセンブリに分離可能に接続されている。
【0009】
さらに、前記カテーテルアセンブリは、内側チューブアセンブリと、前記内側チューブアセンブリに外嵌されている外側チューブアセンブリとを備え、前記ハンドルは、前記伝達シャフトを回転するように駆動することによって、前記外側チューブアセンブリを前記内側チューブアセンブリに対して軸方向に動かすように構成されている。
【0010】
さらに、前記カテーテルアセンブリは、伝達アセンブリをさらに備え、前記伝達アセンブリは、スクリュロッドと、スクリュナットとを備え、前記スクリュロッドは、前記外側チューブアセンブリに固定的に接続されている前記スクリュナットに係合し、前記伝達シャフトが前記カテーテルアセンブリに接続されている場合、前記伝達シャフトの回転による前記スクリュロッドの回転に起因して、前記スクリュナットおよび前記外側チューブアセンブリが軸方向に強制的に動かされるように、前記伝達シャフトは前記スクリュロッドに接続されている。
【0011】
さらに、前記カテーテルアセンブリは、筐体をさらに備え、前記伝達アセンブリは、第1軸受をさらに備え、前記第1軸受の外側リングは、前記筐体の近位端に嵌め込まれて固定的に接続されており、前記第1軸受の内側リングは、前記スクリュロッドの近位端に外嵌されて固定的に接続されている。
【0012】
さらに、前記内側チューブアセンブリは、遠位端から近位端への方向に沿って、順次接続されているテーパー状の頭部と、遠位内側チューブと、固定メンバーと、近位内側チューブとを備える。
【0013】
さらに、前記外側チューブアセンブリは、シースチューブと、前記シースチューブの近位端に接続されている第1外側チューブとを備え、前記第1外側チューブは、前記スクリュナットに固定的に接続されている近位端を有する。
【0014】
さらに、前記第1外側チューブは、周方向ストッパが設けられている内壁を有し、前記近位内側チューブの周方向への回転を規制するように、前記近位内側チューブの外壁は前記周方向ストッパと合致する。
【0015】
さらに、前記カテーテルアセンブリは、前記筐体の遠位端に固定的に接続されている近位端を有する第1安定チューブをさらに備え、前記第1安定チューブは、前記第1外側チューブに外嵌されている。
【0016】
さらに、前記内側チューブアセンブリは、中間内側チューブと、突出端を有するルアーコネクタとをさらに備え、前記テーパー状の頭部、前記遠位内側チューブ、前記固定メンバー、前記中間内側チューブ、前記ルアーコネクタ、および前記近位内側チューブは、遠位端から近位端への方向に沿って、順次接続されている。
【0017】
さらに、前記伝達アセンブリは、2つの第2軸受をさらに備え、前記スクリュロッドにおいて軸方向に貫通孔が形成され、前記近位内側チューブは前記貫通孔を貫通して前記貫通孔に隙間嵌めされ、前記2つの第2軸受のそれぞれは、前記近位内側チューブの2つの端部の各1つに外嵌され、前記2つの第2軸受のそれぞれの外側リングは、前記スクリュロッドの端部の内壁に固定的に接続されており、前記第1軸受の内側リングは、前記スクリュロッドの近位外壁に外嵌されて固定的に接続されている。
【0018】
さらに、前記内側チューブアセンブリは、遠位端から近位端への方向に沿って、テーパー状の頭部と、遠位内側チューブと、固定メンバーと、中間内側チューブと、突出端を有するルアーコネクタとを備える。
【0019】
さらに、前記外側チューブアセンブリは、シースチューブと、前記シースチューブの近位端に接続されている第2外側チューブとを備え、前記第2外側チューブの近位端は、前記スクリュナットに固定的に接続され、前記第2外側チューブにおいて軸方向に第1短冊状開口部が画定され、前記ルアーコネクタの前記突出端は、前記第1短冊状開口部から突出する。
【0020】
さらに、前記カテーテルアセンブリは、前記筐体の遠位端に固定的に接続されている近位端を有する第2安定チューブをさらに備え、前記第2安定チューブは、前記第2外側チューブに外嵌され、前記第2安定チューブにおいて軸方向に第2短冊状開口部が画定され、前記第2短冊状開口部は、前記第1短冊状開口部と位置的に対応しており、前記ルアーコネクタの前記突出端は、前記第1短冊状開口部から突出し、さらに前記第2短冊状開口部から突出する。
【0021】
さらに、前記カテーテルアセンブリは、前記スクリュナットに固定的に接続されている周方向止め具をさらに備え、前記周方向止め具は、前記外側チューブアセンブリおよび前記筐体が周方向にロックされ、軸方向に可動となるように、前記筐体と協働する。
【0022】
さらに、前記伝達シャフトは、可撓性伝達シャフトを備える。
【0023】
さらに、可撓性伝達シャフトは、2から4層のらせん構造を有し、前記らせん構造のそれぞれは、0.1mm以上の外径を有し、前記可撓性伝達シャフトは金属製である。
【0024】
さらに、前記伝達シャフトは、コネクタと前記可撓性伝達シャフト用の外側チューブとをさらに備え、前記可撓性伝達シャフト用の前記外側チューブは、前記可撓性伝達シャフトに外嵌され、前記可撓性伝達シャフトは、前記コネクタによって前記カテーテルアセンブリに接続されている。
【0025】
さらに、前記伝達シャフトは、前記カテーテルアセンブリに固定的に接続されている。
【0026】
従来技術と比較して、本発明によって下記の利点が提供される。医療用インプラントの送達装置は、分離可能な構造を有し、相互に分離されているハンドルとカテーテルアセンブリとを含む。従来の送達システムとは異なり、術者は、軽量で小型のカテーテルアセンブリを動かすことで、医療用インプラントを位置決めし、医療用インプラントの位置を調整できる。一体でのみ動かすことが可能な従来の送達システムと比較して、カテーテルアセンブリは重量がより軽く、サイズがより小さく、より都合よく柔軟に動かすことができる。このようにして、手術中に位置決めと位置の微調整をさらに促し、操作の安定性、正確性、および精度を向上させる。医療用インプラントの高品質な移植が実現できる。さらに、ハンドルの振動および/または動きによるカテーテルアセンブリへの影響が回避され、このことは、安定性をさらに向上させるので、操作の質が向上する。
【0027】
さらに、伝達シャフトとカテーテルアセンブリとは分離可能に接続されており、このことは医療用インプラントの装填、輸送、およびリリースの工程の利便性を向上させ、分離可能な接続は、パッケージングおよび輸送の利便性も向上させる。
【0028】
さらに、伝達シャフトは柔軟で、巻くことができるので、パッケージ化された送達装置の全体的なサイズを縮小でき、手術中に占領される空間も縮小できる。
【0029】
さらに、貫通孔がスクリュロッドにおいて軸方向に画定され、近位内側チューブが貫通孔を貫通している。従って、スクリュロッド内の空間を巧みに利用することにより、カテーテルアセンブリがよりコンパクトになり、これによって保持、移動、および位置決めにより適したものにするように、カテーテルアセンブリのサイズを縮小する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施形態に係る医療用インプラントの送達装置の構造を示す概略図である。
図2】本発明の実施形態に係る第1カテーテルアセンブリ例の断面図である。
図3】本発明の実施形態に係るカテーテルアセンブリの近位端の一部の拡大図である。
図4】本発明の実施形態に係る第1内側チューブアセンブリ例(ルアーコネクタを除く)の構造を示す概略図である。
図5】本発明の実施形態に係る第1カテーテルアセンブリ例の構造を示す概略図である。
図6図5の断面図である。
図7図6に示される周方向ストッパの断面図である。
図8】本発明の実施形態に係る第2内側チューブアセンブリ例(近位内側チューブおよびルアーコネクタを含む)の構造を示す概略図である。
図9図8の断面図である。
図10】本発明の実施形態に係る外側チューブアセンブリの正面図である。
図11図10の断面図である。
図12】本発明の実施形態に係る第3内側チューブアセンブリ例(近位内側チューブを除く)の構造を示す概略図である。
図13】本発明の実施形態に係る第3カテーテルアセンブリ例の断面図である。
図14】本発明の実施形態に係る第2カテーテルアセンブリ例の概略図である。
図15図14の断面図である。
図16】本発明の実施形態に係る伝達アセンブリの正面図である。
図17】本発明の実施形態に係る伝達アセンブリの断面図である。
図18】本発明の実施形態に係る安定チューブを有する筐体の組み立てを示す概略図である。
図19】本発明の実施形態に係る伝達シャフトを有するカテーテルアセンブリの組み立てを示す概略図である。
図20図19に示されるようなカテーテルアセンブリが伝達シャフトに接続されている構造の断面を部分的に示す斜視図である。
図21図19に示されるようなカテーテルアセンブリが伝達シャフトに接続されている構造の断面を部分的に示す平面図である。
図22】本発明の実施形態に係るハンドルを示す概略図である。
図23】本発明の実施形態に係るハンドルが伝達シャフトと組み立てられた構造の断面を部分的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本発明の実施形態は、医療用インプラントの送達装置を提供する。本発明は、添付の図面と併せて読まれる特定の実施形態を参照して、下記で詳細に説明されている。本発明の利点および特徴は、以下の説明から明らかとなるであろう。図面は、必ずしも原寸に比例して提示されているわけでない非常に簡略化された形態で提供されており、開示された実施形態を説明するにあたって利便性および明確性を容易にする意図のみであることに留意すべきである。
【0032】
図1は、本発明の実施形態に係る医療用インプラントの送達装置の構造を示す概略図である。図1に示されるように、本発明の実施形態は医療用インプラントの送達装置を提供する。送達装置は分離可能であり、相互に分離されているハンドル3とカテーテルアセンブリ1とを含み、ハンドル3とカテーテルアセンブリ1とは、伝達シャフト2によって接続されている。ハンドル3とカテーテルアセンブリ1とは相互に分離されているので、ハンドル3とカテーテルアセンブリ1とは同じ筐体内に配置されておらず、それらは相互に独立している。ハンドル3およびカテーテルアセンブリ1のそれぞれは、それ自体の筐体によって収容され、その中にそれ自体のコンポーネントを有する。伝達シャフト2は、カテーテルアセンブリ1と分離可能にまたは固定的に接続でき、ここでそれらの間の接続は、実際の必要性に応じて選択できる。具体的には、カテーテルアセンブリ1は、内側チューブアセンブリと、内側チューブアセンブリに外嵌された外側チューブアセンブリとを含む。ハンドル3は、外側チューブアセンブリがその軸方向に沿って内側チューブアセンブリに対して移動可能となるように伝達シャフト2を回転させるように駆動する。以下、「遠位」という用語は、カテーテルアセンブリ1により近い側を指し、一方、「近位」という用語は、ハンドル3により近い側を指す。外側チューブアセンブリと内側チューブアセンブリとは同軸である。本明細書における軸線方向とは、外側チューブアセンブリ(または内側チューブアセンブリ)の軸に平行な方向を指し、周方向とは、軸方向に垂直な平面の円周に沿った方向を指す。
【0033】
カテーテルアセンブリ1は、医療用インプラントの装填、輸送、およびリリースに使用される。伝達シャフト2は、医療用インプラントの装填、リリース、および回収段階の間に、ハンドル3からカテーテルアセンブリ1に動作信号を伝送するために使用される。ハンドル3は、医療用インプラントの装填、リリース、および回収段階の間にパワーを提供し、伝達シャフト2を通してカテーテルアセンブリ1を制御するために使用される。
【0034】
本実施形態では、医療用インプラントの送達装置は、分離可能な構造を有し、相互に分離されているハンドル3とカテーテルアセンブリ1とを含む。術者は、カテーテルアセンブリ1のみを動かすことで、医療用インプラントを位置決めして、医療用インプラントの位置を調整できる。一体でのみ動かすことが可能である従来の送達システムと比べて、カテーテルアセンブリは重量がより軽く、サイズがより小さく、より便利に柔軟に動かすことができる。このようにして、手術中に位置決めと位置の微調整をより促進し、操作の安定性、正確性、および精度を向上させる。医療用インプラントの高品質な移植が実現できる。さらに、ハンドルの振動および/または動きによるカテーテルアセンブリへの影響が回避され、このことは、安定性をさらに向上させるので、操作の質が向上する。
【0035】
伝達シャフト2とカテーテルアセンブリ1とは分離可能に接続され、伝達シャフト2とカテーテルアセンブリ1とは要求事項に応じて、相互に切り離されるまたは互いに接続されることができる。具体的には、医療用インプラントが体外で装填されると、伝達シャフト2とカテーテルアセンブリ1とは接続される。医療用インプラントが装填された後、罹患部に医療用インプラントがリリースされる直前に伝達シャフト2とカテーテルアセンブリ1とは切り離される。カテーテルアセンブリ1は単独で使用され、このことは位置決めと位置の微調整をより促し、その結果、精度および安定性を向上させる。医療用インプラントがリリースまたは回収されると、伝達シャフト2とカテーテルアセンブリ1とは再度接続され、医療用インプラントのリリースまたは回収は制御ハンドル3を操作することによって実現できる。さらに、伝達シャフト2とカテーテルアセンブリ1との分離可能な接続は、パッケージングおよび輸送の利便性を向上させる。加えて、伝達シャフト2およびハンドル3は、ヒトの組織に直接的に接触しないので、再度使用でき、その結果、リソースの節約ができる。
【0036】
図2は、本発明の実施形態に係る第1カテーテルアセンブリ例の断面図である。図1および図2に示されるように、カテーテルアセンブリ1は、外側チューブアセンブリ11、内側チューブアセンブリ12、筐体13、および伝達アセンブリ14を含む。外側チューブアセンブリ11は、内側チューブアセンブリ12に外嵌され、伝達アセンブリ14は、筐体13内に配置されている。本実施形態では、内側チューブアセンブリ12と筐体13とは相互に不動であり、外側チューブアセンブリ11はハンドル3によって駆動されて内側チューブアセンブリ12に対して軸方向に動く。
【0037】
図3は、本発明の実施形態に係るカテーテルアセンブリの近位端の一部の拡大図である。図1から図3に示されるように、伝達アセンブリ14は、スクリュロッド144、スクリュナット113、および第1軸受146を含む。第1軸受146の外側リングは、筐体13の近位端に嵌め込まれて固定されている。第1軸受146の内側リングは、スクリュロッド144の近位端に外嵌されて固定されている。スクリュロッド144は、スクリュナット113に係合されている。スクリュナット113は、外側チューブアセンブリ11に固定的に接続されている。伝達シャフトがカテーテルアセンブリに接続されていると、伝達シャフト2の回転がスクリュロッド144の回転を引き起すように伝達シャフト2がスクリュロッド144に固定的に接続され、このようにして、スクリュナット113と外側チューブアセンブリ11とはそれに従って軸方向に強制的に動かされる。
【0038】
図4は、本発明の実施形態に係る第1内側チューブアセンブリ例(ルアーコネクタを除く)の構造を示す概略図である。図5は、本発明の実施形態に係る第1カテーテルアセンブリ例の構造を示す概略図である。図6は、図5の断面図である。図7は、図6に示される周方向ストッパの断面図である。図4から図7に示されるように、遠位端から近位端への方向に沿って、内側チューブアセンブリ12は、順番に接続されているテーパー状の頭部121、遠位内側チューブ122、固定メンバー123、および近位内側チューブ126を含む。外側チューブアセンブリは、シースチューブおよびシースチューブの近位端に接続されている第1外側チューブ115を含む。第1外側チューブ115の近位端は、スクリュナットに固定的に接続されている。第1外側チューブ115の内壁には周方向ストッパ116が設けられ、近位内側チューブ126の外壁は、周方向ストッパ116に合致して、近位内側チューブ126の周方向の回転を防止する。カテーテルアセンブリ1は、筐体13の遠位端に固定的に接続されている近位端を有する第1安定チューブ16をさらに含み、第1安定チューブ16は第1外側チューブ115に外嵌される。本実施形態の内側チューブアセンブリは、一体的に形成されていてもよいし、別々に製造された後、溶接または接合によって接続されてもよい中実チューブでもよい。従って、加工および製造がより便利である。外側チューブを空にするためのデザインは、実際の必要性に応じて適用できる。
【0039】
図8は、本発明の実施形態に係る第2内側チューブアセンブリ例(近位内側チューブおよびルアーコネクタを含む)の構造を示す概略図である。図9は、図8の断面図である。図10は、本発明の実施形態に係る外側チューブアセンブリの正面図である。図11は、図10の断面図である。
【0040】
図8および図9に示すように、内側チューブアセンブリは、中間内側チューブ124とルアーコネクタ125とをさらに含む。ルアーコネクタ125は、突出端を有する。テーパー状の頭部121、遠位内側チューブ122、固定メンバー123、中間内側チューブ124、ルアーコネクタ125、および近位内側チューブ126は、遠位端から近位端への方向に沿って順番に固定的に接続されている。図9から図11に示されるように、外側チューブアセンブリは、シースチューブ111と、シースチューブ111の近位端に固定的に接続されている第2外側チューブ112とを含み、第2外側チューブ112の近位端は、スクリュナット113に固定に接続されている。第2外側チューブ112は、その軸方向に沿って第1短冊状開口部を有する。シースチューブ111は、遠位内側チューブ122に外嵌されている医療用インプラントを覆うために使用される。
【0041】
図3図4、および図9に示されるように、図4および図9に示される2つの内側チューブアセンブリ例の構造の両方において、近位内側チューブ126が含まれ、近位内側チューブ126の軸方向位置がスクリュロッド144の使用を通して制限でき、こうして、内側チューブアセンブリの軸方向位置が制限できるように、近位内側チューブ126をスクリュロッド144内に配置することができる。本実施形態によれば、スクリュロッド144内の空間を巧みに利用することで、カテーテルアセンブリ1がよりコンパクトになり、これによって保持、移動、および位置決めにより適したものになるように、カテーテルアセンブリ1のサイズを縮小する。
【0042】
図3に示されるように、伝達アセンブリ14は、スクリュロッド144、スクリュナット113、および第1軸受146を含むのみならず、第2軸受142も含む。貫通孔がスクリュロッド144内にその軸方向に画定されている。近位内側チューブ126が貫通孔を貫通し、貫通孔に隙間嵌めされることで近位内側チューブ126の外壁がスクリュロッド144の回転中にスクリュロッド144の内壁と干渉しないようになる。第2軸受142は、近位内側チューブ126の両端にそれぞれ外嵌されている。スクリュロッド144から離れた第2軸受142の側には、内側チューブの保持ナット141が設けられている。保持ナット141は、第2軸受142の軸方向の動きを制限するように、ねじ込み接続によって近位内側チューブ126に固定されている。第2軸受142の内側リングは、近位内側チューブ126に固定的に接続され、第2軸受142の外側リングは、スクリュロッド144の各端部の内壁に固定されている。第1軸受146の内側リングは、スクリュロッド144の近位外壁に外嵌されている。第2軸受142は、例えば深溝玉軸受であり、第1軸受146は、例えばアンギュラコンタクト軸受である。スクリュナット113は、外側チューブアセンブリに固定的に接続されている。具体的には、スクリュナット113は、外側チューブの近位端Aに固定的に接続されている。筐体13の遠位端は、安定チューブの近位端Bに固定的に接続されている。
【0043】
本実施形態では、第1軸受146の外側リングは、筐体13に固定的に接続され、第1軸受146の内側リングは、スクリュロッド144の近位端の外壁に固定的に接続され、第2軸受142の外側リングは、それぞれ、スクリュロッド144の近位内壁およびスクリュロッド144の遠位内壁に固定的に接続され、第2軸受142の内側リングは、近位内側チューブ126に固定的に接続されている。その結果、近位内側チューブ126は軸方向への動きが規制され、スクリュロッド144の軸方向位置が固定される。従って、スクリュロッド144は、周方向に回転してスクリュナット113を軸方向に動くように駆動でき、そうして、外側チューブアセンブリ11の全体が軸方向に動かされる。
【0044】
図12は、本発明の実施形態に係る、第3内側チューブアセンブリ例(近位内側チューブを除く)の構造を示す概略図である。図13は、本発明の実施形態に係る第3カテーテルアセンブリ例の断面図である。図4および図9に示される2つの内側チューブアセンブリ例の構造両方において、近位内側チューブ126が含まれている。本発明の実施形態の内側チューブアセンブリは、近位内側チューブ126を含まなくてもよいことに留意すべきである。図12および図13に示されるように、内側チューブアセンブリ12は、遠位端から近位端への方向に沿って、順次接続されているテーパー状の頭部121、遠位内側チューブ122、固定メンバー123、中間内側チューブ124、およびルアーコネクタ125を含む。ルアーコネクタ125は突出端を有する。ルアーコネクタ125の突出端は、筐体13または第2安定チューブ15に固定的に接続でき、こうして、内側チューブアセンブリ12は、ルアーコネクタ125によって固定的に配置できる。具体的には、ルアーコネクタ125の突出端は、溶接または接着によって、第2安定チューブ15の第2短冊状開口部の近位端に固定的に接続されている。代替的に、ルアーコネクタ125の突出端は、溶接または留め具によって筐体13に固定的に接続されている。これは、実際の状況に応じて当業者によって選択できる。
【0045】
図9および図12に示されている内側チューブアセンブリの両方は、ルアーコネクタ125を含み、ルアーコネクタ125と合致する外側チューブアセンブリを配置できる。詳細は図10および図11の外側チューブアセンブリの説明を参照し、一例として、第1短冊状開口部が、軸方向に沿って外側チューブアセンブリの第2外側チューブ112に画定され、ルアーコネクタの突出端が第1短冊状開口部から突出しているが、その詳細な説明はここでは省略されている。
【0046】
図14は、本発明の実施形態に係る第2カテーテルアセンブリ例の概略図である。図15は、図14の断面図である。図13および図15に示されるように、第2および第3カテーテルアセンブリ例の両方は、近位端が筐体13の遠位端に固定的に接続されている第2安定チューブ15を含む。第2安定チューブ15は、第2外側チューブ112に外嵌され、第1短冊状開口部と位置的に対応する第2短冊状開口部が、第2安定チューブ15に画定されている。ルアーコネクタ125の突出端は、第2短冊状開口部から突出している。第2安定チューブ15は、第2外側チューブ112を支持し、術者が外側チューブアセンブリに直接接触することも防止する。筐体13および第2安定チューブ15は、医療用インプラントの送達装置全体を支持し、このことは、送達装置による送達を容易にするだけでなく、医療用インプラント(例えば、弁)のリリース安定性も向上させる。
【0047】
図16は、本発明の実施形態に係る伝達アセンブリの正面図である。図17は、本発明の実施形態に係る伝達アセンブリの断面図である。図1図3、および図15から図17に示されるように、伝達アセンブリは、動きを伝達するように構成されている。特に、伝達アセンブリは、伝達シャフト2から周方向の動きを受け、それを外側チューブアセンブリ11の軸方向の動きに変換する。本実施形態によると、スクリュロッド144内の空間を巧みに利用することで、カテーテルアセンブリ1がよりコンパクトになり、これによって保持、移動、および位置決めにより適したものになるように、カテーテルアセンブリ1のサイズを縮小する。具体的には、スクリュロッド144は中央にねじ山が付けられており、スクリュロッド144の2つの端部(すなわち、近位端および遠位端)は、軸受と接続するためにねじ山が付けられていない。スクリュロッド144の両端のねじ山のない部分は、スクリュロッドの中央のねじ山が付けられた部分に一体的にまたは分離可能に形成できる。スクリュロッド144の両端のねじ山のない部分が、スクリュロッドの中央のねじ山の付けられた部分と分離可能に形成される場合、スクリュロッド144の両端(すなわち、近位端および遠位端)のねじ山のない部分は、例えば、スクリュロッドのシート143であり、シート143はスクリュロッド144に固定的に接続され、第2軸受142の外側リングはシート143の内壁に固定的に接続され、例えば溶接または接着によって、近位端のシート143は可撓性シャフトのシート145に固定的に接続されている。シート145のもう一方の端部は、伝達シャフト2と接続して、伝達シャフト2の動きを受けて、それをスクリュロッド144の自己回転運動に変換するために使用される。シート145およびシート143は、別々に作られることもできるし、一体構造として作られることもできる。シート145およびシート143はまた、スクリュロッド144の中央のねじ山が付けられた部分と一体的に作られることもできる。第1軸受146の内側リングは、スクリュロッド144の近位外壁(すなわち、シート145の外壁)に外嵌されて固定されている。
【0048】
具体的には、カテーテルアセンブリ1は、スクリュナット113に固定的に接続されている周方向止め具114をさらに含む。周方向止め具114は、筐体13と協働して、周方向位置を制限し、軸方向の動きを可能にする構造を形成する。カテーテルアセンブリ1において、遠位端から近位端への方向に沿って、シースチューブ111、第2外側チューブ112、スクリュナット113、および周方向止め具114が順番に固定的に接続され、スクリュナット113がスクリュロッド144と係合して、外側チューブアセンブリ11全体が軸方向に動くようにスクリュロッド144によって駆動されることができる。外側チューブアセンブリ11および筐体13は、円周方向にロックされるが、互いに軸方向に動くことが可能となるように、筐体13の内面と形状が合致する周方向止め具114は、外側チューブアセンブリ11の回転の自由を制限する。周方向止め具114およびスクリュナット113は、溶接または接合によって固定的に接続することができ、一体的に形成することができ、または別々に接続することができる。
【0049】
図18は、本発明の実施形態に係る安定チューブを有する筐体の組み立てを示す概略図である。図2から図7に示されるように、第1軸受146の外側リングは、筐体13に固定的に接続され、第1軸受146の内側リングは、スクリュロッド144の近位外壁に固定的に接続され、第2軸受142の外側リングは、スクリュロッド144の近位内壁および遠位内壁に固定的に接続され、第2軸受142の内側リングは、近位内側チューブ126に固定的に接続されている。従って、近位内側チューブ126は、軸方向への移動が規制される。近位内側チューブ126の遠位端は、ルアーコネクタ125の近位端に固定的に接続されている。ルアーコネクタ125の突出端は、第2外側チューブ112の第1短冊状開口部および第2安定チューブ15の第2短冊状開口部から突出し、円周方向に回転できないように近位内側チューブ126および中間内側チューブ124をロックする。結果として、近位内側チューブ126の軸方向および円周方向の両方が規制され、それにより、医療用インプラント(弁ステント等)を固定するための内側チューブアセンブリ12の6つの自由度を規制する。
【0050】
さらに、筐体13は、筐体13内に固定的に接続されている筐体内張133をさらに含む。筐体内張133は、第2外側チューブ112に外嵌されている。筐体内張133は、低摩擦材料からなることが好ましい。筐体内張133は、第2外側チューブ112の軸方向の動作中におけるの安定性および摩擦抵抗の軽減を確保するために有益である。一態様では、第2外側チューブ112は、筐体内張133と密接に接触しており、これによって、第2外側チューブ112の半径方向の動きをさらに制限し、別の態様では、第2外側チューブ112が摩耗することを防ぐこともできる。
【0051】
図19は、本発明の実施形態に係るカテーテルアセンブリの伝達シャフトとの組み立てを示す概略図である。図20は、図19に示すように、カテーテルアセンブリが伝達シャフトに接続されている構造の断面を部分的に示す斜視図である。図21は、図19に示されるように、カテーテルアセンブリが伝達シャフトに接続されている構造の断面を部分的に示す平面図である。図1図19から図21に示されるように、伝達シャフト2は、ハンドル3の駆動力を伝達するように構成され、ハンドル3から送信された動作信号をカテーテルアセンブリ1に伝達する。伝達シャフト2は、巻くことが可能な可撓性伝達シャフトを含み、このようにして、パッケージ化された送達装置の全体的なサイズが縮小でき、手術中に占領される空間の縮小も可能である。伝達シャフト2は、コネクタ22および可撓性伝達シャフト用の外側チューブ23をさらに含む。可撓性伝達シャフト21は、剛性が低く、伝達のために自由に曲げ可能な弾性シャフトである。可撓性伝達シャフト21は、回転運動およびトルクを伝達するように、軸が異なり、同じ方向でないまたは相対運動をする2つのシャフトを接続するために使用される。それは、回転運動およびトルクを柔軟に伝達できる。この実施形態では、可撓性伝達シャフト21の長さは、実際の必要性に応じて設計でき、その長さに関係なく、円周方向の動きを伝達できる。より好ましくは、可撓性伝達シャフト21は順方向および逆方向に回転できる。可撓性伝達シャフト21は中実または中空であることができる。例示的に、可撓性伝達シャフト21は、次の特徴を有する。2から4層のらせん構造、より好ましくは、反対のらせん方向を有し、ピッチのない2層らせん構造を有し、ここで単一のらせん材料はフィラメントまたはワイヤである。ステンレス鋼、ニッケルチタン合金等の金属材料でできている。らせん構造は、伝達アセンブリ14のサイズと合致するように、0.1mm以上、より好ましくは4mm以上の外径を有して、伝達工程中のエネルギー損失を可能な限り低減する。
【0052】
コネクタ22は、可撓性伝達シャフト21を伝達アセンブリ14のシート145に接続し、より好ましくは分離可能な方法で接続するために使用される。可撓性伝達シャフト21は、外側チューブ23が可撓性伝達シャフト21を保護でき、術者が握るために便利にするように、外側チューブ23の中に配置されている。
【0053】
引き続き図1および図19から図21を参照すると、伝達シャフト2およびカテーテルアセンブリ1は、分離可能に接続されている。例えば、コネクタ22およびシート145は、スナップフィット式で接続できる。この場合、コネクタ22の一端は可撓性伝達シャフト21に接続され、コネクタ22の他端はシート145に接続されている。コネクタ22と可撓性伝達シャフト21との間の接続は、スナップフィット、接合、または溶接のいずれか1つまたは2つ以上の組み合わせによって実現できる。例えば、加工や組み立てを容易にするため、スナップフィットで実現できる。この場合、可撓性伝達シャフト21はその遠位端に非円形の表面を有する構造を有し、コネクタ22は対応する形状の内面を有するので、両者はスナップフィットによって固定的に接続される。コネクタ22とシート145との間の接続は、好ましくは分離可能な方法であり、より好ましくはスナップフィット式である。この場合、コネクタ22の遠位端は、シート145の外面と形状で合致する内面を有して、それらの間にスナップフィットを形成するため、それらの間の接続が必要な場合、シート145をコネクタ22の遠位端にスナップできる。
【0054】
カテーテルアセンブリ1に対する伝達シャフト2の軸方向変位をさらに制限して、装置のロバスト性を向上させるために、伝達シャフト2は、外側チューブ23に接続されている第1固定部材241と、筐体132に接続されている第2固定部材242とを含む固定部材アセンブリも含む。第2固定部材242は、ねじ山、スナップイン溝等によって筐体132に接続されている。第2固定部材242、第1固定部材241、および外側チューブ23は、順番に接続され、可撓性伝達シャフト21の表面に外嵌される。
【0055】
図22は、本発明の実施形態に係るハンドルを示す概略図である。図23は、本発明の実施形態に係る、ハンドルが伝達シャフトと組み立てられる構造の断面を部分的に示す斜視図である。図1および図20から図23に示されるように、本発明の実施形態に係るハンドル3は、手動的に、電気的に、またはそれらの組み合わせで操作してもよい。電気的に操作されるハンドルを例に取ると、図22に示すように、駆動機構がハンドル3内に設けられている。駆動機構は、伝達シャフト2に接続されて、伝達シャフト2を円周方向に動かすように駆動し、伝達シャフト2は、回転トルクをカテーテルアセンブリ1内の伝達アセンブリ14に伝達するので、外側チューブアセンブリ11全体は医療用インプラントを装填およびリリースするために軸方向に動くように駆動される。本発明の実施形態では、ハンドル3を手動的または電気的に操作して円周方向の駆動力を発生させ、伝達シャフト2は、可撓性伝達シャフトの特定の長さで円周方向の回転角を1:1の比率で伝達し、回転トルクは、1:1の比率でカテーテルアセンブリ1に伝達される。円周方向の回転を軸方向の動きに変換するカテーテルアセンブリ1の能力は、動作部からの駆動力の分離を実現する。ハンドル3と伝達シャフト2とは、固定的に接続しても、分離可能に接続してもよい。
【0056】
本実施形態は、医療用インプラントの送達装置を開示する。送達装置は、医療用インプラント(介入弁等)の送達および位置決めが十分に柔軟でないという問題を解決し、医療用インプラント(介入弁等)を体内に効果的に位置付けることに役立ち、操作の精度を向上させ、手術時間を短縮して手術の質を向上させることもできる。ハンドルを手動的または電気的に操作して軸受を駆動して可撓性シャフトの可動部を強制的に回転させることで、下記のパートで説明される、スクリュロッドにより外側チューブおよびシースチューブが内側チューブアセンブリに対して軸方向に動くように駆動されて、医療用インプラント(弁ステント等)の処置(装填およびリリース等)が実現される。伝達シャフト2とハンドル3とは、下記段階では常に互いに接続されている。
【0057】
弁装填工程:伝達シャフト2をカテーテルアセンブリ1に接続し、具体的にはコネクタ22をシート145に接続し、ハンドル3を駆動することで、伝達シャフト2がスクリュロッド144を駆動し、第2外側チューブ112およびシースチューブ111が、固定メンバー123が溝から露出するまで近位端に向かって動く。そして、医療用インプラント(自己拡張型弁ステント等)の2つのラグが溝に引っ掛かり、補助装填ツールの補助によりステントが安定化され、第2外側チューブ112が遠位に動くように駆動されて、弁ステントが押されて保持される。シースチューブ111が弁ステントを完全に包むまでに、弁ステントの装填が完了し、その後、伝達シャフト2およびカテーテルアセンブリ1が分解されることで、カテーテルアセンブリ1が伝達シャフト2から分離される。
【0058】
弁送達工程:分離されているカテーテルアセンブリ1の遠位端を、ガイドワイヤに沿って穿刺点を通じて人体内へと動かす。その後、カテーテルアセンブリ1の遠位部分は、経心尖通路に沿って病変部位に送達され、適切な角度を有するように調整される。
【0059】
弁リリース工程:伝達シャフト2をカテーテルアセンブリ1に接続し、シースチューブ111の角度を再確認した後、伝達シャフト2がスクリュロッド144を駆動するようにハンドル3を駆動し、その結果、第2外側チューブ112およびシースチューブ111を近位に動かし、弁ステントが指定位置で完全にリリースされて送達システムから外れるまで、弁ステントのリリースを開始する。具体的には、シースチューブ111が近位に動くにつれて、シースチューブ111の遠位端が固定メンバー123に移動して固定メンバー123の存在する溝を露出するまで、弁ステントがゆっくりとリリースされ、こうして、弁ステントは完全にリリースされる。
【0060】
送達システム回収工程:伝達シャフト2とカテーテルアセンブリ1とはまだ接続されており、シースチューブ111とテーパー状の頭部121との間の間隙は閉じている。その後、ハンドル3を制御し、カテーテルアセンブリ1を引き出し、その穿刺点から経心尖通路を通じて人体から離れる。
【0061】
本発明の実施形態は、弁の送達およびリリース工程を説明する。本発明に開示されているリリースおよび回収装置は心臓弁の送達に使用されるだけでなく、他の弁の送達にも使用できるということが当業者には理解できる。本発明は、心臓弁を送達する1つの方法に限定されない。
【0062】
要約すると、医療用インプラントの送達装置は、分離可能な構造を有し、相互に分離されているハンドルおよびカテーテルアセンブリを含む。送達装置のカテーテルアセンブリは、従来の送達装置の重量よりも軽いため、術者は、カテーテルアセンブリのみを動かすことによって、医療用インプラントの位置付けおよび医療用インプラントの位置の調整ができる。一体でのみ動かすことが可能な従来の送達システムと比較すると、カテーテルアセンブリは重量がより軽く、サイズがより小さく、より都合よく柔軟に動かすことができる。このようにして、手術中の位置決めおよび位置の微調整をより促し、操作の安定性、正確性、および精度を向上させる。医療用インプラントの高質な移植が実現できる。さらに、ハンドルの振動および/または動きによるカテーテルアセンブリへの影響が回避され、このことは、安定性をさらに向上させるので、手術の質が向上する。
【0063】
伝達シャフトとカテーテルアセンブリは分離可能に接続されており、このことは医療用インプラントの装填、輸送、リリースの工程における利便性を向上させ、分離可能な接続によって、パッケージングと輸送の利便性も向上する。
【0064】
伝達シャフトは柔軟であり、巻くことができるので、パッケージ化された送達装置の全体的なサイズを縮小でき、また、手術中に占領される空間を縮小できる。貫通孔がスクリュロッドに軸方向に画定されて、近位内側チューブが貫通孔を貫通している。従って、スクリュロッド内の空間を巧みに利用することにより、カテーテルアセンブリがよりコンパクトになり、これによって保持、移動、および位置決めにより適したものにするように、カテーテルアセンブリのサイズを縮小する。
【0065】
剛性の直線チューブベースの送達装置(ホルダの有りのものでも無しのものでも)と比較して、本実施形態は、運搬装置の位置決め能力において繊細で効果的な調整を実現できる。本実施形態で提供された送達装置は、罹患部での医療用インプラント(例えば、人工弁)の正確なリリースを実現し、リリース工程の質を確保し、手術時間を短縮できる。
【0066】
本明細書に開示される実施形態は、他の実施形態との違いに焦点を合わせた各実施形態の説明をもって、進歩的な方法で説明されていることに留意すべきである。それらの同一または類似の部分に関しては実施形態間にわたって参照することが可能である。本発明の実施形態で提供される方法に関しては、それらは本発明の実施形態で説明されている装置に対応するため、簡単な方法で説明されている。従って、詳細については、装置の説明を参照できる。
【0067】
上記の説明は、本発明の好適な実施形態の説明のためのみであり、本発明の範囲を限定する意図はない。上記の開示に従って当業者によって行われるいかなる変更および改良も全て添付の請求項の保護範囲内にある。
【符号の説明】
【0068】
1 カテーテルアセンブリ
2 伝達シャフト
3 ハンドル
11 外側チューブアセンブリ
12 内側チューブアセンブリ
13 筐体
14 伝達アセンブリ
111 シースチューブ
112 第2外側チューブ
113 スクリュナット
114 周方向止め具
115 第1外側チューブ
121 テーパー状の頭部
122 遠位内側チューブ
123 固定メンバー
124 中間内側チューブ
125 ルアーコネクタ
126 近位内側チューブ
133 筐体内張
141 内側チューブ用保持ナット
142 第2軸受
143 スクリュロッドのシート
144 スクリュロッド
145 可撓性シャフトのシート
146 第1軸受
15 第2安定チューブ
21 可撓性伝達シャフト
22 コネクタ
23 可撓性伝達シャフトの外側チューブ
241 第1固定部材
242 第2固定部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23