IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オーシーアイ カンパニー リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-窒化珪素基板の製造方法 図1
  • 特許-窒化珪素基板の製造方法 図2
  • 特許-窒化珪素基板の製造方法 図3A
  • 特許-窒化珪素基板の製造方法 図3B
  • 特許-窒化珪素基板の製造方法 図3C
  • 特許-窒化珪素基板の製造方法 図3D
  • 特許-窒化珪素基板の製造方法 図3E
  • 特許-窒化珪素基板の製造方法 図4
  • 特許-窒化珪素基板の製造方法 図5
  • 特許-窒化珪素基板の製造方法 図6
  • 特許-窒化珪素基板の製造方法 図7
  • 特許-窒化珪素基板の製造方法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】窒化珪素基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/587 20060101AFI20231102BHJP
   C04B 35/64 20060101ALI20231102BHJP
   C04B 35/638 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
C04B35/587
C04B35/64
C04B35/638
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2022517842
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-05
(86)【国際出願番号】 KR2020012666
(87)【国際公開番号】W WO2021054788
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-03-18
(31)【優先権主張番号】10-2019-0116131
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513280854
【氏名又は名称】オーシーアイ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】OCI Company Ltd.
【住所又は居所原語表記】94,Sogong-ro,Jung-gu,Seoul,100-718(KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イ,スン ヨン
(72)【発明者】
【氏名】イ,スングァン
(72)【発明者】
【氏名】ジ,ウン オク
【審査官】大西 美和
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0032966(KR,A)
【文献】特開2006-029611(JP,A)
【文献】特開2009-218322(JP,A)
【文献】特開2016-038194(JP,A)
【文献】特開2013-178053(JP,A)
【文献】国際公開第2016/094863(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/584
C04B 35/638
C04B 35/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒化珪素粉末、セラミック添加剤、及び溶媒を混合してスラリーを形成する段階と、
前記スラリーを成形してシートを形成する段階と、
下部プレート及び上部プレートの間に少なくとも1つの前記シートをサンドイッチして 、積層構造体を形成する段階と、
前記積層構造体に脱脂工程を遂行する段階と、
前記積層構造体に焼結工程を遂行する段階と、を含み、
前記下部プレートは、その面上に提供された複数の第1突出部を含み、
前記上部プレートは、その下面上に提供された複数の第2突出部を含み、
前記第1及び第2突出部は、一方向に互いに平行に延長され
互いに隣接する前記第1突出部の間に第1リセスが定義され、
互いに隣接する前記第2突出部の間に第2リセスが定義され、
前記積層構造体は、前記互いに隣接する第1突出部、前記第1リセス及び前記シートの底面によって定義される第1ギャップ、および前記互いに隣接する第2突出部、前記第2リセス及び前記シートの上面によって定義される第2ギャップを含み、
前記焼結工程は、脱脂工程が行われた積層構造体をベッディング粉末内に埋めることを含み、
前記のベッディング粉末は、ボロン窒化物粉末及び窒化珪素粉末を含み、
前記のベッディング粉末は、前記第1ギャップ及び前記第2ギャップを通じて前記シートと接触することを特徴とする窒化珪素基板の製造方法。
【請求項2】
前記セラミック添加剤は、イットリウム酸化物(Y)、マグネシウム酸化物(MgO)、及びジルコニウム酸化物(ZrO)を含み、
前記セラミック添加剤に対する前記イットリウム酸化物の質量比は、0.5乃至0.8であり、
前記セラミック添加剤に対する前記マグネシウム酸化物の質量比は、0.1乃至0.4であり、
前記セラミック添加剤に対する前記ジルコニウム酸化物の質量比は、0.3以下であることを特徴とする請求項1に記載の窒化珪素基板の製造方法。
【請求項3】
前記スラリーを形成する段階は、バインダー及び可塑剤をさらに添加して混合することを含むことを特徴とする請求項1に記載の窒化珪素基板の製造方法。
【請求項4】
前記スラリーを形成する段階は、
前記溶媒に前記窒化珪素粉末、前記セラミック添加剤及び分散剤を添加して第1混合物を形成することと、
前記第1混合物に第1ボールミリング工程を遂行することと、
前記第1ボールミリング工程が完了された前記第1混合物にバインダー及び可塑剤を添加して第2混合物を形成することと、
前記第2混合物に第2ボールミリング工程を遂行することと、を含むことを特徴とする請求項1に記載の窒化珪素基板の製造方法。
【請求項5】
前記スラリーを成形することは、テープキャスティング工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の窒化珪素基板の製造方法。
【請求項6】
前記積層構造体を形成する前に、前記シートを複数積層し、ラミネーション工程を遂行して積層シートを形成する段階をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の窒化珪素基板の製造方法。
【請求項7】
前記下部プレート及び前記上部プレートの各々の密度は、1.4g/cm乃至1.7 g/cmであることを特徴とする請求項1に記載の窒化珪素基板の製造方法。
【請求項8】
前記下部プレート及び前記上部プレートの各々の面積は、前記シートの面積の1.00 倍乃至1.02倍であることを特徴とする請求項1に記載の窒化珪素基板の製造方法。
【請求項9】
前記第1及び第2突出部の各々は、第1幅を有し、前記第1及び第2リセスの各々は、第2幅を有し、
前記第1幅は、mm乃至15mmであり、
前記第2幅は、mm乃至15mmであることを特徴とする請求項に記載の窒化珪素基板の製造方法。
【請求項10】
前記脱脂工程の間に、加熱された気体が前記第1及び第2ギャップを通じて前記シートの前記上面及び下面と接触することを特徴とする請求項に記載の窒化珪素基板の製造方法。
【請求項11】
前記第1及び第2突出部は、一定のピッチで配列されることを特徴とする請求項1に記載の窒化珪素基板の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は窒化珪素基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高い電気絶縁性及び熱伝導率を有するセラミック素材は、素子の発生熱を速く伝達する熱媒体としての使用されることができる。セラミック素材は輸送機器用素子の基板、高集積電子回路用基板、レーザー発振部の放熱部品、半導体製造装置の反応容器部品、及び精密機械部品として使用される。
特に、高出力用パワー素子として使用されるセラミック基板は、高い絶縁性、高い耐電圧性、高い熱伝導率、高い強度、及び低い誘電率が要求される。このような要求に適合なセラミック基板としては、窒化アルミニウム基板、アルミナ基板、窒化珪素基板等がある。
窒化珪素Si基板は高強度(500MPa乃至800MPa)、高粘り強さ(5MPa・m乃至8MPa・m)、及びシリコン(Si)との熱膨張係数整合性が優秀である。さらに窒化珪素(Si)基板は高い熱伝導率(70W/mK乃至170W/mK)を有する。即ち、窒化珪素(Si)基板は次世代高出力パワー素子の素材で適合である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、高品質の窒化珪素基板を製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明による窒化珪素基板の製造方法は、窒化珪素粉末、セラミック添加剤及び溶媒を混合してスラリーを形成する段階と、前記スラリーを成形してシートを形成する段階と、下部プレート及び上部プレートの間に少なくとも1つの前記シートをサンドイッチして、積層構造体を形成する段階と、前記積層構造体に脱脂工程を遂行する段階と、前記積層構造体に焼結工程を遂行する段階と、を含むことができる。前記下部プレート及び前記上部プレートの中で少なくとも1つは、その一面上に提供された複数の突出部を含み、前記突出部は一方向に互いに平行に延長されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明による窒化珪素基板の製造方法は、パターニングされた面を有する下部プレート及び上部プレートを利用して窒化珪素シートをサンドイッチすることができる。このように構成された積層構造体に脱脂工程及び焼結工程を遂行することによって、脱脂工程及び焼結工程をより効率的かつ円滑に遂行することができる。結果的に、高品質の窒化珪素基板を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の実施形態による窒化珪素基板の製造方法のフローチャートである。
図2図1の第1段階を説明するための概略図である。
図3A図1の第2段階を説明するための概略図である。
図3B図1の第2段階を説明するための概略図である。
図3C図1の第2段階を説明するための概略図である。
図3D図1の第2段階を説明するための概略図である。
図3E図1の第2段階を説明するための概略図である。
図4図1の第3段階を説明するための概略図である。
図5図1の第4段階を説明するための概略図である。
図6図1の第5段階を説明するための概略図である。
図7図1の第6段階を説明するための概略図である。
図8図1の第7段階を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の構成及び効果を十分に理解するために、添付した図面を参照して本発明の望ましい実施形態を説明する。しかし、本発明は以下で開示される実施形態に限定されることではなく、様々な形態に具現されることができ、多様な変更を加えることができる。単なる、本実施形態の説明を通じて本発明の開示が完全になるようにし、本発明が属する技術分野の通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されているものである。
本明細書の多様な実施形態で第1、第2、第3等の用語が多様な構成要素を技術するために使用されたが、これらの構成要素がこのような用語によって限定されてはならない。これらの用語は単なる一構成要素を他の構成要素と区別させるために使用されただけである。ここに説明され、例示される実施形態はそれの相補的な実施形態も含む。
本明細書で使用された用語は実施形態を説明するためのものであり、本発明を制限しようとすることではない。本明細書で、単数形は文句で特別に言及しない限り、複数形も含む。明細書で使用される‘含む(comprises)’及び/又は‘包含する(comprising)’は言及された構成要素は1つ以上の他の構成要素の存在又は追加を排除しない。
【0008】
図1は本発明の実施形態による窒化珪素基板の製造方法のフローチャートである。図1に示すように、本発明の実施形態による窒化珪素基板の製造方法は、セラミック添加剤を用意する第1段階(S110)、窒化珪素粉末、セラミック添加剤、及び溶媒を混合してスラリーを形成する第2段階(S120)、スラリーをテープキャスティング工程で成形してシートを形成する第3段階(S130)、シートを積層し、ラミネーション工程を遂行して積層シートを形成する第4段階(S140)、下部プレート及び上部プレートの間に積層シートSSHをサンドイッチして積層構造体SSを形成する第5段階(S150)、積層構造体に脱脂工程を遂行する第6段階(S160)、及び積層構造体に焼結工程を遂行する第7段階(S170)を含むことができる。
【0009】
図2は、図1の第1段階を説明するための概略図である。図1及び図2に示すように、第1容器CON1内に第1ボールBA1及び第1混合物MI1が提供されることができる。第1混合物MI1は、セラミック粉末及び溶媒を含むことができる。具体的に、第1容器CON1内に第1ボールBA1及び溶媒を入れることができる。溶媒にセラミック粉末を入れることができる。第1ボールBA1は、ジルコニアのようなセラミックを含むことができる。前記溶媒は有機溶媒として、例えばエタノールを含むことができる。前記セラミック粉末は、イットリウム酸化物(Y)、マグネシウム酸化物(MgO)、及びジルコニウム酸化物(ZrO)を含むことができる。本発明の他の実施形態として、前記セラミック粉末内でジルコニウム酸化物(ZrO)が省略されてもよい。
【0010】
第1混合物MI1を混合装置に混合して、第1混合物MI1内で前記セラミック粉末が均一に混合されることができる。第1ボールBA1は物理的に前記セラミック粉末が均一に混合されることを助けることができる。具体的に、第1混合物MI1内でイットリウム酸化物粉末、マグネシウム酸化物粉末、及びジルコニウム酸化物粉末が均一に混合されることができる。
混合が完了された後、第1ボールBA1を除去することができる。第1混合物MI1を乾燥して、溶媒を全て蒸発させることができる。結果的に、粉末形態のセラミック添加剤SAを得ることができる(S110)。セラミック添加剤SAはイットリウム酸化物(Y)、マグネシウム酸化物(MgO)、及びジルコニウム酸化物(ZrO)を含むことができる。本発明の他の実施形態として、セラミック添加剤SAは内でジルコニウム酸化物(ZrO)が省略されてもよい。
【0011】
セラミック添加剤SAに対する前記イットリウム酸化物の質量比は0.5乃至0.8である。セラミック添加剤SAに対する前記マグネシウム酸化物の質量比は0.1乃至0.4である。セラミック添加剤SAに対する前記ジルコニウム酸化物の質量比は0乃至0.3(即ち、0.3以下)である。セラミック添加剤SAが前記ジルコニウム酸化物を含有しない場合、前記ジルコニウム酸化物の質量比は0である。本発明の一実施形態として、セラミック添加剤SAに対する前記ジルコニウム酸化物の質量比は0.1乃至0.3である。一例として、セラミック添加剤SA内で前記イットリウム酸化物は約56wt%、前記マグネシウム酸化物は約22wt%、及び前記ジルコニウム酸化物は約22wt%を有することができる。
【0012】
図3A乃至図3Eは、図1の第2段階を説明するための概略図である。図1及び図3Aに示すように、第2容器CON2内に溶媒SV及び第2ボールBA2が提供されることができる。溶媒SVは有機溶媒として、例えばイソプロピルアルコール及びトルエンを含むことができる。イソプロピルアルコール及びトルエンは4:6の体積比で混合されることができる。第2ボールBA2は窒化珪素を含むことができる。
第2容器CON2の溶媒SVに、窒化珪素(Si)粉末SNP、セラミック添加剤SA、及び分散剤DISを入れて第2混合物MI2が用意されることができる。セラミック添加剤SAは先に第1段階(S110)を通じて用意される。分散剤DISは商用の分散剤DISを使用することができ、例えばBYK-111を使用することができる。
【0013】
溶媒SVは、第2混合物MI2の全体体積に対して40Vol%乃至60Vol%を有することができる。窒化珪素粉末SNPは、第2混合物MI2の全体体積に対して15Vol%乃至25Vol%を有することができる。セラミック添加剤SAは、第2混合物MI2の質量に対して5wt%乃至10wt%を有することができる。
【0014】
図1及び図3Bに示すように、第2混合物MI2に対して第1ボールミリング(ballmilling)工程を遂行して、第2混合物MI2を均一に混合することができる。第2ボールBA2は物理的に第2混合物MI2が均一に混合されることを助けることができる。具体的に、第1ボールミリング工程は、第2混合物MI2が含まれた第2容器CON2をボールミリング機(ball milling machine)を利用して一定速度に回転させることを含むことができる。第2容器CON2が回転しながら、第2容器CON2内の第2ボールBA2によって機械的粉砕及び均一混合が遂行されることができる。ボールミリング機の回転速度は100rpm乃至500rpmである。
【0015】
図1及び図3Cに示すように、第1ボールミリング工程の後、第2混合物MI2にバインダーBI、及び可塑剤PLを添加して第3混合物MI3が用意されることができる。バインダーBIはエチルセルロース、メチルセルロース、ニトロセルロース、カルボキシセルロースのようなセルロース誘導体、ポリビニルアルコール、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリビニルブチラールのような樹脂、及び前記誘導体と前記樹脂の混合物の中で少なくとも1つを含むことができる。例えば、バインダーBIはポリビニルブチラール(polyvinyl butyral、PVB)を含むことができる。可塑剤PLはジブチルフタレート(Dibutyl phthalate)又はジオクチルフタレート(Deoctyl phthalate)を含むことができる。添加される可塑剤PLの質量は、添加されるバインダーBIの質量の約50%である。追加的に、第2混合物MI2に溶媒をさらに添加することができる。
【0016】
図1及び図3Dに示すように、第3混合物MI3に対して第2ボールミリング工程を遂行して、第3混合物MI3を均一に混合することができる。第2ボールミリング工程を通じて第3混合物MI3が均一に混合されることによって、スラリーSLが形成されることができる(S120)。第2ボールミリング工程は先に説明した第1ボールミリング工程と実質的に同一であるか、或いは類似であることができる。その後、第2ボールBA2は除去されることができる。
【0017】
図1及び図3Eに示すように、第2ボールミリング工程で形成されたスラリーSLをエージングして、スラリーSLから揮発性気体を除去することができる。スラリーSLをエージングする間に、攪拌器SITを利用してスラリーSLを撹拌させることができる。エージングは約24時間の間に遂行されることができる。
【0018】
図4図1の第3段階を説明するための概略図である。図1及び図4に示すように、第2段階(S120)で用意されたスラリーSLをテープキャスティング工程で成形して、シートSHを形成することができる(S130)。具体的にテープキャスティング工程は、一定のダム高さにセッティングされたブレードにスラリーSLを注ぎ、移動する基板フィルム上にスラリーSLが塗布されるようにすることができる。基板フィルム上に塗布されたスラリーSLから溶媒を揮発させ、これを剥がしてシートSH成形体を得ることができる。前記基板フィルムはステンレススチールテープ、油紙テープ、又はポリエステルのような高分子テープが使用されることができる。例えば、約0.3mmのダム高さにセッティングされたドクターブレードにスラリーSLを注ぎ、所定の速度(例えば、0.1m/min乃至1m/min)に移動する基板フィルムを上にスラリーSLが塗布されることができる。その後、乾燥工程と基板フィルムを剥がす工程を遂行してシートSHを得ることができる。テープキャスティング工程は30℃乃至80℃で遂行されることができる。テープキャスティング工程で形成されたシートSHを適切なサイズにカッティングすることができる。シートSHの厚さは0.1mm乃至0.16mmである。
【0019】
図5図1の第4段階を説明するための概略図である。図1及び図5に示すように、第3段階(S130)で用意された複数のシートSHを積層することができる。積層されたシートSH上にラミネーション工程を遂行して、積層シートSSHが形成されることができる(S140)。一例として、3つ乃至5つのシートSHが積層されて、積層シートSSHを構成することができる。ラミネーション工程は約10MPaの圧力及び約60℃の温度で遂行されることができる。
積層シートSSHを加圧することができる。前記加圧工程は、温間静水圧プレス(Warm Isostatic Press、WIP)を利用することができる。前記加圧工程は約30MPaの圧力及び約70℃の温度で遂行される。最終的に、積層シートSSHの厚さTHは0.3mm乃至4mmである。
【0020】
図6図1の第5段階を説明するための概略図である。図1及び図6に示すように、積層構造体SSが用意されることができる。積層構造体SSは、下部プレートPLT1、上部プレートPLT2、及びこれらの間に介在された積層シートSSHを含むことができる。積層構造体SSを用意することは、下部プレートPLT1及び上部プレートPLT2の間に第4段階(S140)で用意された積層シートSSHをサンドイッチすることを含むことができる(S150)。図6では下部プレートPLT1及び上部プレートPLT2の間に1つの積層シートSSHが介在されることを例示したが、本発明はここに制限されない。例えば、下部プレートPLT1及び上部プレートPLT2の間に2つ以上の積層シートSSHが介在されてもよい。
【0021】
積層構造体SSを用意する前に、ボロン窒化物(BN)を積層シートSSHに均一に塗布することができる。下部プレートPLT1及び上部プレートPLT2はボロン窒化物を含むことができる。下部プレートPLT1及び上部プレートPLT2の各々の密度は1.4g/cm乃至1.7g/cmであり得る。下部プレートPLT1及び上部プレートPLT2の各々の面積は、積層シートSSHの面積の1.00倍乃至1.02倍である。
【0022】
下部プレートPLT1及び上部プレートPLT2の中で少なくとも1つは、その一面上に提供された複数の突出部PPを含むことができる。積層シートSSHの一面は突出部PPと接することができる、突出部PPは互いに平行に一方向に延長されることができる。互いに隣接する突出部PPの間にリセスRSが定義されることができる。再び言えば、下部プレートPLT1及び上部プレートPLT2の中で少なくとも1つは、パターニングされた面を有することができる。本発明の他の実施形態として、突出部PPは省略されてもよい。
【0023】
突出部PPは第1幅W1を有することができる。リセスRSは第2幅W2を有することができる。第1幅W1は第2幅W2と同一であるか、或いは異なることができる。第1幅W1は0mm乃至15mm、好ましくは0.1mm乃至15mm、より好ましくは4mm乃至15mmである。第2幅W2は0mm乃至15mm、好ましくは0.1mm乃至15mm、より好ましくは4mm乃至15mmである。突出部PPは一定のピッチPIで配列されることができる。突出部PPのピッチPIは第1幅W1と第2幅W2の和である。突出部PPの断面の形状は、図示されたようにラウンド形状であり得る。他の例として、突出部PPの断面の形状は、多角形(三角形又は方形)である。
【0024】
積層構造体SSは、下部プレートPLT1と積層シートSSHとの間の第1ギャップGA1及び上部プレートPLT2と積層シートSSHとの間の第2ギャップGA2を含むことができる。下部プレートPLT1の互いに隣接する突出部PP及びこれらの間のリセスRSによって第1ギャップGA1が定義されることができる。上部プレートPLT2の互いに隣接する突出部PP及びこれらの間のリセスRSによって第2ギャップGA2が定義されることができる。
【0025】
図7図1の第6段階を説明するための概略図である。図1及び図7に示すように、第5段階(S150)で用意された積層構造体SS上に脱脂工程(Binder Burn Out、B.B.O.)が遂行されることができる(S160)。したがって、積層シートSSH内のバインダー、分散剤、及び可塑剤のような有機物が全て焼却されて除去されることができる。脱脂工程は大気炉(atmospheric furnace、AF)内で約600℃の温度で約12時間の間に遂行されることができる。即ち、脱脂工程は大気(空気)下で遂行されることができる。
【0026】
先に説明したように、積層シートSSHの底面上に第1ギャップGA1及び積層シートSSHの上面上に第2ギャップGA2が確保されることができる。積層シートSSHが下部プレートPLT1と上部プレートPLT2によってサンドイッチされても、第1ギャップGA1及び第2ギャップGA2を通じて脱脂工程が円滑に遂行されることができる。例えば、加熱された気体(即ち、空気)が第1ギャップGA1及び第2ギャップGA2を通過することができる。第1ギャップGA1及び第2ギャップGA2を通じて加熱された気体が積層シートSSHの底面及び上面と接することができる。
【0027】
図8図1の第7段階を説明するための概略図である。図1及び図8に示すように、第6段階(S160)の後、るつぼCRU内に積層構造体SSが提供されることができる。るつぼCRU内にベッディング粉末BNPを入れて、積層構造体SSがベッディング粉末BNP内に埋めることができる。ベッディング粉末BNPはボロン窒化物粉末、窒化珪素粉末、又はこれらの混合物を含むことができる。ベッディング粉末BNPがボロン窒化物粉末と窒化珪素粉末の混合物を含む場合、ボロン窒化物粉末と窒化珪素粉末は1:1で混合されることができる。
るつぼCRUを加熱して、積層構造体SSに焼結工程が遂行されることができる(S170)。したがって、積層シートSSHが焼結されて、窒化珪素基板が形成されることができる。前記焼結工程は約1900℃の温度で約6時間の間に遂行されることができる。前記焼結工程は窒素雰囲気で遂行されることができる。先に説明したように、積層シートSSHの底面上に第1ギャップGA1及び積層シートSSHの上面上に第2ギャップGA2が確保されることができる。積層シートSSHが下部プレートPLT1と上部プレートPLT2によってサンドイッチされても、第1ギャップGA1及び第2ギャップGA2を通じて焼結工程が円滑に遂行されることができる。
【0028】
以上、添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明した。本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更しないで他の実施形態を実施することができる。したがって、上記の実施形態はすべての面で例示的なものである。
【符号の説明】
【0029】
AF 大気炉
BA1 第1ボール
BA2 第2ボール
BI バインダー
BNP ベッディング粉末
CON1 第1容器
CON2 第2容器
CRU るつぼ
DIS 分散剤
GA1 第1ギャップ
GA2 第2ギャップ
MI1 第1混合物
MI2 第2混合物
MI3 第3混合物
PI ピッチ
PL 可塑剤
PLT1 下部プレート
PLT2 上部プレート
PP 突出部
RS リセス
SA セラミック添加剤
SH シート
SIT 攪拌器
SL スラリー
SNP 窒化珪素粉末
SS 積層構造体
SSH 積層シート
SV 溶媒
TH 厚さ
W1 第1幅
W2 第2幅
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5
図6
図7
図8