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特許7377967極小ピッチプラグ、コネクタ、電子機器及びプラグの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】極小ピッチプラグ、コネクタ、電子機器及びプラグの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20231102BHJP
   H01R 13/41 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R13/41
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022520421
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-02
(86)【国際出願番号】 CN2021087558
(87)【国際公開番号】W WO2022205513
(87)【国際公開日】2022-10-06
【審査請求日】2022-03-31
(31)【優先権主張番号】202110334717.X
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522129890
【氏名又は名称】深▲せん▼市亜奇科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】SHENZHEN YAQI TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Room 12B, Building B, Zhongyin Garden Office Building, Intersection Of Hongli Road, Caitian Road, Futian District shenzhen, Guangdong 518028, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】張 永恒
【審査官】高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-121121(JP,A)
【文献】特開2019-135726(JP,A)
【文献】特開2016-085994(JP,A)
【文献】特開2004-247121(JP,A)
【文献】特開2004-273277(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/71-12/73
H01R 13/41
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグ絶縁体と、複数の第1プラグ信号端子と、複数の第2プラグ信号端子とを含む極小ピッチプラグであって、
前記プラグ絶縁体は、筐体状であり、対向して設けられる2つのプラグ凸リブを含み、
前記第1プラグ信号端子は、2つの前記プラグ凸リブの互いに対向する側に設けられ、
前記第2プラグ信号端子は、2つの前記プラグ凸リブの互いに離間する側に設けられ、
それぞれのプラグ凸リブ上の第1プラグ信号端子と、第2プラグ信号端子とは、交互に配列され、前記プラグ凸リブのソケットと背向する側には、それぞれの前記第1プラグ信号端子に対応する係止溝が設けられ、前記第1プラグ信号端子は、前記係止溝に係止され、
前記極小ピッチプラグは、プラグの長さ方向に沿って隣り合う前記第2プラグ信号端子と前記第1プラグ信号端子とのプラグ長さ方向における距離が0.15mm以下のプラグであり、
前記係止溝内には、係止アームが設けられ、前記係止アームは、前記係止溝の中部に位置し、
前記第1プラグ信号端子には、前記係止アームに対応する係止口が設けられ、前記第1プラグ信号端子は、前記係止口より前記係止溝に挿入されることを特徴とする、極小ピッチプラグ。
【請求項2】
それぞれの前記第1プラグ信号端子は、アーム体と、接触弾性アームと、接続アームとをさらに含み、
前記アーム体の一端は、前記接続アームを介して前記接触弾性アームに接続され、
前記アーム体の前記接続アームから離間する端と前記接触弾性アームとの間には、前記係止口が形成されることを特徴とする、請求項に記載の極小ピッチプラグ。
【請求項3】
前記アーム体には、突起が設けられ、前記係止アームの前記アーム体に向かう側には、係止部が設けられ、前記第1プラグ信号端子は、前記突起が前記係止部に係止されるまで前記係止溝に嵌入されることを特徴とする、請求項に記載の極小ピッチプラグ。
【請求項4】
前記接触弾性アームは、弾性を有し、
前記接触弾性アームは、前記アーム体に向かって突出した弧状に設けられることを特徴とする、請求項に記載の極小ピッチプラグ。
【請求項5】
接続アームと前記接触弾性アームとの接続箇所には、変形空間が形成され、
前記変形空間は、前記係止口に連通することを特徴とする、請求項に記載の極小ピッチプラグ。
【請求項6】
前記第1プラグ信号端子には、第1プラグ溶接脚が設けられ、
前記第2プラグ信号端子には、第2プラグ溶接脚が設けられ、
それぞれの前記プラグ凸リブ上の前記第1プラグ溶接脚と、前記第2プラグ溶接脚とは、交互に配列されることを特徴とする、請求項に記載の極小ピッチプラグ。
【請求項7】
請求項1からのいずれか1項に記載の極小ピッチプラグの製造方法であって、
第2プラグ信号端子及びプラグ固定具に対して射出成形を行い、それぞれ第2プラグ信号端子、プラグ固定具に接続されるプラグ絶縁体を取得するステップと、
第1プラグ信号端子をプラグ絶縁体の係止溝内に収容し、プラグを得るステップと、
を含むことを特徴とする、プラグの製造方法。
【請求項8】
請求項1からのいずれか1項に記載の極小ピッチプラグを含むことを特徴とする、コネクタ。
【請求項9】
請求項1からのいずれか1項に記載の極小ピッチプラグを含むことを特徴とする、電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号伝送技術分野に属し、具体的には、極小ピッチプラグ、コネクタ、電子機器及びプラグの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板において、通常、コネクタにより他の回路に接続されることにより、基板と他の回路との電気的接続を実現する。従来のコネクタにおけるプラグでは、両辺の凸部間の距離が比較的小さいため、成形のために通常二次鋳造が必要とされる。そうすると、生産プロセスが比較的煩雑となる。そこで、従来のコネクタにおけるプラグには、生産プロセスが煩雑で、効率が低いという技術的問題が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のような事情に鑑み、本発明が解決しようとする課題は、生産効率を向上できる極小ピッチプラグ、このプラグを用いたコネクタ、このプラグ又はコネクタを用いた電子機器、及びこのプラグの製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の技術的手段は以下の通りである。
第1態様において、本発明によれば、プラグ絶縁体と、複数の第1プラグ信号端子と、複数の第2プラグ信号端子とを含む極小ピッチプラグであって、前記プラグ絶縁体は、筐体状であり、対向して設けられる2つのプラグ凸リブを含み、前記第1プラグ信号端子は、2つの前記プラグ凸リブの互いに対向する側に設けられ、前記第2プラグ信号端子は、2つの前記プラグ凸リブの互いに離間する側に設けられ、それぞれのプラグ凸リブ上の第1プラグ信号端子と、第2プラグ信号端子とは、交互に配列され、前記プラグ凸リブのソケットと背向する側には、それぞれの前記第1プラグ信号端子に対応する係止溝が設けられ、前記第1プラグ信号端子は、前記係止溝に係止される極小ピッチプラグが提供される。
【0005】
さらに、前記係止溝内には、係止アームが設けられ、前記係止アームは、前記係止溝の中部に位置し、前記第1プラグ信号端子には、前記係止アームに対応する係止口が設けられ、前記第1プラグ信号端子は、前記係止口より前記係止溝に挿入される。
【0006】
さらに、それぞれの前記第1プラグ信号端子は、アーム体と、接触弾性アームと、接続アームとをさらに含み、前記アーム体の一端は、前記接続アームを介して前記接触弾性アームに接続され、前記アーム体の前記接続アームから離間する端と前記接触弾性アームとの間には、前記係止口が形成される。
【0007】
さらに、前記アーム体には、突起が設けられ、前記係止アームの前記アーム体に向かう側には、係止部が設けられ、前記第1プラグ信号端子は、前記突起が前記係止部に係止されるまで前記係止溝に嵌入される。
【0008】
さらに、前記接触弾性アームは、弾性を有し、前記接触弾性アームは、前記アーム体に向かって突出した弧状に設けられる。
【0009】
さらに、接続アームと前記接触弾性アームとの接続箇所には、変形空間が形成され、前記変形空間は、前記係止口に連通する。
【0010】
さらに、前記第1プラグ信号端子には、第1プラグ溶接脚が設けられ、前記第2プラグ信号端子には、第2プラグ溶接脚が設けられ、それぞれの前記プラグ凸リブ上の前記第1プラグ溶接脚と、前記第2プラグ溶接脚とは、交互に配列される。
【0011】
第2態様において、本発明によれば、上述したいずれか1つの極小ピッチプラグの製造方法であって、第2プラグ信号端子及びプラグ固定具に対して射出成形を行い、それぞれ第2プラグ信号端子、プラグ固定具に接続されるプラグ絶縁体を取得するステップと、第1プラグ信号端子をプラグ絶縁体の係止溝内に収容し、プラグを得るステップと、を含むことを特徴とする、プラグの製造方法が提供される。
【0012】
第3態様において、本発明によれば、上述したいずれか1つの極小ピッチプラグを含むコネクタが提供される。
【0013】
第4態様において、本発明によれば、上述したいずれか1つの極小ピッチプラグを含む電子機器が提供される。
【発明の効果】
【0014】
以上より、本発明の有益な効果は以下の通りである。本発明において、第1プラグ信号端子がプラグ絶縁体における係止溝に係止されるため、二次鋳造を行う必要がなく、プラグ絶縁体を金型に従って鋳造成形し、さらに第1プラグ信号端子を係止溝に挿入すればよい。操作が簡単で、生産速度が速くなり、生産効率が高くなる。また、プラグ絶縁体に対する型作りにも便利で、生産コストが低減する。極小ピッチプラグにおけるプラグの生産プロセスが煩雑で、効率が低いとの従来技術の問題が解決される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の具体実施例1におけるコネクタの分解模式図である。
図2図1のプラグを180°回転させた後の構造模式図である。
図3】本発明の具体実施例1におけるプラグの分解模式図である。
図4】本発明の具体実施例1におけるプラグの分解断面図である。
図5】本発明の具体実施例1におけるプラグの断面図である。
図6】本発明の具体実施例1におけるプラグの構造模式図である。
図7】本発明の具体実施例1におけるソケットの分解模式図である。
図8】本発明の具体実施例1におけるプラグの構造模式図である。
図9】本発明の具体実施例1におけるプラグの分解断面図である。
図10】本発明の具体実施例1におけるプラグの断面図である。
図11】本発明の具体実施例3におけるコネクタの分解模式図である。
図12】本発明の具体実施例3におけるプラグの構造模式図である。
図13】本発明の具体実施例3におけるプラグの分解構造模式図である。
図14図11におけるA-Aに沿う断面図である。
図15】本発明の具体実施例3におけるソケットの分解構造模式図である。
図16】本発明の具体実施例4におけるコネクタの分解模式図である。
図17】本発明の具体実施例4におけるプラグの構造模式図である。
図18】本発明の具体実施例4におけるプラグの分解構造模式図である。
図19図16におけるB-Bに沿う断面図である。
図20】本発明の具体実施例4におけるソケットの分解構造模式図である。
図21】本発明の具体実施例6におけるプラグの製造方法のフローチャートである。
図22】本発明の具体実施例6におけるステップS1のプラグの構造模式図である。
図23】本発明の具体実施例6におけるステップS2のプラグの構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の各態様の特徴及び例示的な実施例を詳しく説明する。本発明の目的、技術的手段及び利点をより明確にするために、以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。以下の具体実施例は本発明を解釈するためのものに過ぎず、本発明を制限するものではないことが理解されるべきである。本発明がこれらの特定の詳細のいくつかが無くても実施され得ることは当業者には明らかである。以下の実施例の説明は、本発明の例を説明することによって、本発明のより良い理解を提供することのみを意図している。
【0017】
なお、本明細書において、「第1」、「第2」といった関係用語は、ある実体又は操作を別の実体又は操作と区分するためのものに過ぎず、これらの実体又は操作の間にはこのような実質的な関係又は順序が存在することを要求又は示唆するものではない。また、用語「含む」、「含有」又は他の変形は、非排他的な包含をカバーすることで、一連の要素を含む過程、方法、物品又は設備は、これらの要素のみならず、明確に挙げられていない他の要素、又はこのような過程、方法、物品若しくは設備が固有する要素も含むことを意図している。さらなる制限がない場合、「含む」との用語によって定義される要素は、その要素を含む過程、方法、物品又は設備における他の同一要素の存在を排除するものではない。
【0018】
以下、図1から図10を参照しながら本発明をさらに詳しく説明する。
【0019】
本発明の実施例1によれば、極小ピッチコネクタが提供される。図1から図3及び図8に示すように、前記極小ピッチコネクタは、ソケット2とプラグ1とを含む。プラグ1は、筐体状のプラグ絶縁体11と、複数の第2プラグ信号端子13と、複数の第1プラグ信号端子12とを含む。プラグ絶縁体11は、対向して設けられる2つのプラグ凸リブ111を含む。第2プラグ信号端子13は、2つのプラグ凸リブ111の互いに離間する側に設けられる。第1プラグ信号端子12は、2つのプラグ凸リブ111の互いに接近する側に設けられる。プラグ凸リブ111のソケット2と背向する側には、それぞれの第1プラグ信号端子12に対応する係止溝113が設けられる。第1プラグ信号端子12は、係止溝113に収容される。それぞれのプラグ凸リブ111上の第1プラグ信号端子12と第2プラグ信号端子13とは交互に配列される。それぞれのプラグ凸リブ111には、第1スズブロッキング部14が設けられる。第1スズブロッキング部14は、プラグ絶縁体11の内部と反対方向に向かってプラグ凸リブ111から突出するように設けられる。第2プラグ信号端子には、第2プラグ溶接脚が設けられる。第2プラグ信号端子13の第2プラグ溶接脚は、第1スズブロッキング部14から突出してプラグの外部へ延在する。本実施例において、コネクタは、極小ピッチコネクタである。ここで、極小ピッチとは、コネクタにおけるプラグ上にプラグの長さ方向に沿って隣り合う第2プラグ信号端子と第1プラグ信号端子とのプラグ長さ方向における距離が0.15mm以下であることを意味する。本実施例において、第1プラグ信号端子には第1プラグ溶接脚が設けられる。第1プラグ信号端子の第1プラグ溶接脚は、2つのプラグ凸リブの間まで延在する。本実施例において、それぞれのプラグ凸リブ上の前記第1プラグ溶接脚と前記第2プラグ溶接脚とは交互に配列され、即ち、第2プラグ信号端子13の第2プラグ溶接脚は、第1スズブロッキング部14から突出してプラグの外部へ延在する。第1プラグ信号端子の第1プラグ溶接脚は、2つのプラグ凸リブの間まで延在する。このように設けることによって、第1プラグ溶接脚と第2プラグ溶接脚との間の距離が大きくなり、溶接時における第1プラグ溶接脚上のスズボールと第2プラグ溶接脚上のスズボールとの接続による第1プラグ信号端子と第2プラグ信号端子との短絡が回避される。
【0020】
本実施例において、第1スズブロッキング部14が設けられ、第2プラグ信号端子13の第2プラグ溶接脚が第1スズブロッキング部14から突出して外部へ延在する。第2プラグ信号端子13を溶接する際に、第2プラグ信号端子13の溶接脚で溶接する。この場合、溶接部位に形成されたスズボールは、第1スズブロッキング部14によってブロックされるため、上に逸脱して第2プラグ信号端子13の外壁に接触して接触不良を引き起こすことがない。これによって、極小ピッチコネクタに接触不良が発生しやすいという従来技術の問題が解決され、スズボールが上に転がって端子の外側に接触することを防止する効果を有する。
【0021】
好ましくは、それぞれの第2プラグ信号端子13は、1つの第1スズブロッキング部14に対応する。
【0022】
本実施例において、プラグ凸リブ111の両側のいずれにも複数の第2プラグ信号端子13が等間隔をあけて設けられる。隣り合う2つの第1スズブロッキング部14の間には隙間が形成されることにより、全ての端子が第1スズブロッキング部14によって保護されるとともに、第1スズブロッキング部14が熱によって膨脹し、2つの第1スズブロッキング部14の間に形成された隙間が第1スズブロッキング部14に必要な膨脹空間を提供することで、極小ピッチコネクタがソケット2の方向へ変形しすぎることが防止され、極小ピッチコネクタ全体の安全性が保証される。
【0023】
好ましくは、図9に示すように、第1スズブロッキング部14は、プラグ凸リブ111に露設される第1部141と、プラグ凸リブ111に埋設される第2部142とを含む。第2プラグ信号端子13は、第2部142の第1プラグ信号端子12に向かう側に巻き付けて設けられる。
【0024】
本実施例において、第2プラグ信号端子13は第2部142に巻きつけて設けられる。これによって、第2プラグ信号端子13は、第1スズブロッキング部14とプラグ凸リブ111との間に埋設され、第1スズブロッキング部14は、第2プラグ信号端子13の外への運動を制限し、第2プラグ信号端子13を固定する作用を奏する。一方、第1スズブロッキング部14の第2部142は、プラグ凸リブ111の内部に向かって延在し、第1部141が熱で融解した場合、第2部142はその代わりにスズボールが上へ転がることを阻止する作用を奏することで、第1スズブロッキング部14全体の長さを増加させることに相当し、優れたスズボールの阻止作用を奏する。
【0025】
好ましくは、第2部142は、第1プラグ信号端子12の側に向かって突出する円弧状に設けられる。
【0026】
本実施例において、第2プラグ信号端子13も対応して円弧状に設けられる。第2プラグ信号端子13は、プラグ凸リブ111に密着することにより、第2プラグ信号端子13全体の形状構造はより安定して変形しにくくなる。円弧状に設けられる第2部142は、第2プラグ信号端子13全体による作用力を分散させ、第2部142が外力によって変形する可能性を減少させる。
【0027】
好ましくは、第2プラグ信号端子13のソケット2と背向する面は、第1スズブロッキング部14から露出し、第1スズブロッキング部14のソケット2と背向する面と面一である。
【0028】
本実施例において、第2プラグ信号端子13のソケット2と背向する面は、第1スズブロッキング部14から露出することにより、第2プラグ信号端子13全体の溶接可能な面積が増大するため、後の第2プラグ信号端子13の溶接は容易になる。
【0029】
好ましくは、プラグ凸リブ111と第1スズブロッキング部14とは一体に成形される。
【0030】
本実施例において、プラグ凸リブ111及び第1スズブロッキング部14は、金型を用いて射出成形により形成され、加工プロセスが簡単で、生産効率が向上する。
【0031】
図10に示すように、プラグ固定具112のソケット2と背向する側には、第5プラグ溶接脚1121が設けられる。第5プラグ溶接脚1121は、プラグ1全体の端部に位置する。プラグ固定具112には、第3溶接脚1121に対応して第2スズブロッキング部15が設けられる。第2スズブロッキング部15には、プラグ1の内部に向かう弧面が形成される。第2スズブロッキング部15を設けることにより、第3溶接脚1121を溶接する際にスズボールが他の部品に干渉することが回避される。
【0032】
具体実施例2
具体実施例2は、具体実施例1をもとに改良したものである。具体的には、図2及び図3に示すように、第1プラグ信号端子12は、接触弾性アーム121を含む。それぞれのプラグ凸リブ111上の第1プラグ信号端子12と第2プラグ信号端子13とは交互に配列される。プラグ凸リブ111のソケット2と背向する側には、それぞれの第1プラグ信号端子12に対応して係止溝113が設けられる。第1プラグ信号端子12は、係止溝113に係止される。
【0033】
本実施例において、第2プラグ信号端子13と第1プラグ信号端子12とは交互に配列されることにより、第1プラグ信号端子12及び第2プラグ信号端子13に、他の部品との接続に十分な溶接空間を提供し、極小ピッチコネクタ全体のサイズを減少させる。プラグ絶縁体11は、一体に射出成形され、かつ2つのプラグ凸リブ111は平行に設けられ、構造が一致する。極小ピッチコネクタ、即ち2群の端子間の距離が小さいコネクタは、本実施例において、2群の第1プラグ信号端子12の間の距離、つまり2群のプラグ凸リブ111の間の距離が小さい。2群の第1プラグ信号端子12の間の距離が比較的小さいため、射出する際に、第1プラグ信号端子12とプラグ絶縁体11を射出成形するのに不便である。第2プラグ信号端子13が外側に位置するため、スペースに制限がないことから、プラグ絶縁体11を射出成形するときに第2プラグ信号端子13を射出成形用のプラスチックに埋設することができ、これによって、第2プラグ信号端子13の取付速度が速くなる。他の実施例において、プラグ凸リブ111には、第2プラグ信号端子13に対応する挿着溝を設け、第2プラグ信号端子13を挿着溝に挿着してもよい。また、第2プラグ信号端子13は、プレス曲げ成形され、第1プラグ信号端子12は、一体プレス成形される。
【0034】
本発明では、第1プラグ信号端子12は、プラグ絶縁体11における係止溝113に係止される。これによって、二次射出を行う必要がなく、プラグ絶縁体11を金型に従って射出成形を行い、そして第1プラグ信号端子12を係止溝113に挿入すればよい。また、二次射出を行う必要がないため、極小ピッチコネクタにおけるプラグ1の生産プロセスが煩雑で、効率が低いとの従来技術の技術的問題が解決される。したがって、本発明は、操作が簡単で、生産速度が速く、生産効率が向上する利点を有するとともに、プラグ絶縁体11に対する型作りが便利で、生産コストを低減させる。
【0035】
好ましくは、図2図4図5及び図6に示すように、係止溝113内には、係止アーム114が設けられる。係止アーム114は、係止溝113の中部に位置する。第1プラグ信号端子12には、係止アーム114に対応する係止口が設けられる。第1プラグ信号端子12は、係止口より係止溝113に挿入される。
【0036】
本実施例において、係止アーム114によって係止溝113は1つの内溝と1つの外溝に分けられ、外溝は、プラグ絶縁体11の内側に連通する。係止口の開口は、プラグ1に向かい、第1プラグ信号端子12は、係止口の開口よりソケット2の方向に向かって係止溝113に係止される。この場合、接触弾性アーム121は外溝に位置し、ソケット2の端子に電気的に接続することができる。第1プラグ信号端子12には、係止口が形成される。第1プラグ信号端子12の係止口が係止溝113に挿入された後、係止アーム114と係止口の内壁とは互いに当接して位置決めを形成し、これによって第1プラグ信号端子12の過剰挿着が回避される。全ての係止アーム114の端面は同一の水平面に位置することで、全ての第1プラグ信号端子12が係止溝113に係止された後に同一の平面に位置するため、構造が整然とする。
【0037】
好ましくは、それぞれの第1プラグ信号端子12は、アーム体122と、接続アーム123とをさらに含む。アーム体122の一端は、接続アーム123を介して接触弾性アーム121に接続され、アーム体122の接続アーム123から遠い端と接触弾性アーム121との間には係止口が形成される。
【0038】
本実施例において、接触弾性アーム121は、ソケット2の端子に接触して電気的接続を形成するために用いられる。接続アーム123の係止口に向かう面は、係止アーム114に係止されための部位となり、第1プラグ信号端子12の運動経路を制限し、構造が巧妙で、操作が簡単である。
【0039】
好ましくは、図4図5に示すように、アーム体122には突起124が設けられる。係止アーム114のアーム体122に向かう側には係止部が設けられる。第1プラグ信号端子12は、突起124が係止部に係止されるまで係止溝113に嵌入される。
【0040】
本実施例において、突起124は、接触弾性アーム121に向かって突出して設けられる。係止部は、凹溝状に設けられる。突起124が係止部に係止されると、第1プラグ信号端子12全体のソケット2に対する接近又は離間運動が制限されるとともに、第1プラグ信号端子12のプラグ凸リブ111の長さ方向における運動が制限される。第1プラグ信号端子12が係止溝113に挿入されると、第1プラグ信号端子12は係止溝113の側壁に密着する。最終的に、第1プラグ信号端子12全体は係止溝113内に安定して位置する。
【0041】
好ましくは、接触弾性アーム121は、弾性を有し、アーム体122に向かって突出した弧状に設けられる。
【0042】
本実施例において、接触弾性アーム121は、アーム体122に対して接近又は離間する方向へ変形可能な弾力を有する。接触弾性アーム121がソケット絶縁体21の内部に向かう力を受ける場合、接触弾性アーム121はアーム体122から離間して曲がることができる。突起124が一定の空間を占めるため、アーム体122を挿入するために内溝には比較的大きな幅が必要である。そうすると、第1端子を係止溝113に挿入する過程において、接触弾性アーム121が係止アーム114によって押されて変形することで、接触弾性アーム121はアーム体122から離間して曲がる。この場合、接触弾性アーム121とアーム体122との間の隙間は大きくなり、係止溝113への挿入が容易になる。突起124が係止部に挿入された後に、第1プラグ信号端子12全体はプラグ絶縁体11の内部へ移動し、この場合、接続アーム123は接触弾性アーム121に当接しなくなり、接触弾性アーム121は原状に回復する。したがって、接触弾性アーム121をアーム体122に向かって突出した弧状に設けることにより、第1プラグ信号端子12の係止溝113への係止は容易になる。
【0043】
さらに、図4に示すように、接触弾性アーム121の端部には、有接触部125が設けられる。接触部125は、プラグ絶縁体11に向かって突出して設けられる。接触弾性アーム121がアーム体122に向かう力を受けると、接触弾性アーム121はアーム体122に向かって変形するため、プラグ1全体をソケット2に挿入する際に、接触弾性アーム121はアーム体122に向かって変形する。第1ソケット信号端子22には下凹部が対応して設けられ、接触弾性アーム121上の接触部125がソケット2に係止された後に、下凹部と接触部125は互いに係止され、接触弾性アーム121は復位して締め付けられる。本発明では、構造が簡単で、設計が巧妙で、第1プラグ信号端子12の係止溝113への挿入の問題が解決されるとともに、プラグ1とソケット2との挿着の問題が解決される。
【0044】
好ましくは、接続アーム123と接触弾性アーム121との接続箇所には変形空間が形成される。変形空間は、係止口に連通する。
【0045】
本実施例において、接続アーム123には、触弾性アーム121に変形に必要な空間を提供するための面取り形状の凹口が設けられる。これによって、接触弾性アーム121が力を受けることで変形して断裂することが回避され、第1プラグ信号端子12を強化させる作用を奏し、第1プラグ信号端子12の構造安定性が向上し、極小ピッチコネクタ全体の品質が保証される。
【0046】
好ましくは、接触弾性アーム121及びアーム体122の係止溝113に向かう端にはいずれもガイド部が設けられる。
【0047】
本実施例において、ガイド部は、三角形状に設けられる。ガイド部の両側は、導入円弧状に設けられ、これによって、接触弾性アーム121及びアーム体122を係止溝113に容易に挿入することができる。
【0048】
好ましくは、2つのプラグ凸リブ111上の第1プラグ信号端子12は、交互に配列される。
【0049】
本実施例において、プラグ凸リブ111にある対向する2つの第1プラグ信号端子12を空間的には互いに干渉しないようにすることにより、プラグ1全体の構造サイズはより小さくなり、極小ピッチコネクタの第1端子の間隔の最小化がさらに実現される。
【0050】
好ましくは、図2及び図5に示すように、プラグ絶縁体11は、2つのプラグ固定具112をさらに含む。プラグ固定具112は凹字状である。2つのプラグ固定具112は、それぞれ2つのプラグ凸リブ111の両端に接続される。
【0051】
本実施例において、プラグ固定具112の両側は、それぞれ1つのプラグ凸リブ111に接続されることにより、プラグ絶縁体11全体は筐体状となる。プラグ固定具112のソケット2と背向する側には、第5プラグ溶接脚1121が設けられる。第5プラグ溶接脚1121は、プラグ1全体の端部に位置する。プラグ固定具112のソケット2から離間する側には、他の電気器具と溶接するための第3プラグ溶接脚1122及び第4プラグ溶接脚1123が設けられる。プラグ固定具112のソケット2に向かう側には、接続案内部126が設けられる。接続案内部126は、プラグ固定具112を包む外側を案内し、プラグ1のソケット2への挿入を案内する作用を奏する。
【0052】
図2図3に示すように、ソケット2とプラグ1とは構造が相補的である。プラグ1におけるプラグ凸リブ111はソケット2に挿入されてソケット2に接続される。図7図15に示すように、ソケット2は、ソケット絶縁体21と、第2ソケット信号端子23と、第1ソケット信号端子22とを含む。ソケット絶縁体21は、2つのソケット凸リブ211と、2つのソケット固定具212と、1つのソケット2中部凸リブとを含む。ソケット固定具212は凹字状であり、2つのソケット固定具212はそれぞれ2つのソケット凸リブ211の両端に接続される。ソケット2中部凸リブの両側のそれぞれと2つのソケット凸リブ211との間にはプラグ凸リブ111が挿入するための空間が形成される。第1ソケット信号端子22は、ソケット2中部凸リブの両側に設けられ、ソケット2中部凸リブの両側の第1ソケット信号端子22は交互に配列される。第2ソケット信号端子23は、ソケット凸リブ211の互いに対向する側に設けられ、第2ソケット信号端子23は弾性を有する。
【0053】
プラグ1をソケット2に容易に挿入するために、プラグ凸リブ111の両側にはそれぞれ導入円弧が設けられる。プラグ凸リブ111の上端面は平面であるため、プラグ凸リブ111とソケット2の密着に有利である。導入円弧は、平面の両側縁からプラグ凸リブ111の両側へ延在する。
【0054】
ソケット凸リブ211には、第2ソケット信号端子23の溝が対応して設けられる。第2ソケット信号端子23及び第1ソケット信号端子22を金型において射出成形することによりソケット2を形成する。第1ソケット信号端子22及び第2ソケット信号端子23はいずれも曲げプレス成形により形成される。第2ソケット信号端子23は弾性を有する。第2ソケット信号端子23の互いに対向する面には係合部が設けられる。係合部はソケット2中部凸リブに向かって突出する。第2プラグ信号端子13の外側には、プレス成形により凹口が対応して形成される。プラグ1をソケット2に挿入する過程において、ソケット2中部凸リブが第1プラグ信号端子12を押し付けることで第1プラグ信号端子12は変形するとともに、プラグ凸リブ111が第2ソケット信号端子23を押し付けることで第2ソケット信号端子23は変形する。プラグ1が特定の部位に運動した後、第2プラグ信号端子13の凹口は第2ソケット信号端子23の係合部に係合し、第1プラグ信号端子12は第1ソケット信号端子22に係合することにより、プラグ1とソケット2の固定が実現される。
【0055】
ソケット固定具212には、固定部2121が対応して設けられる。固定部2121は接続案内部126に適合する。固定部2121の対向する両側には弾性具2122が設けられる。2つの弾性具2122は互いに協力して接続案内部126を固定することにより、ソケット2全体はプラグ1全体を固定する。ソケット2固定部2121のプラグ1と背向する側には、他の電気部品と固定するための第1ソケット溶接脚2123及び第2ソケット溶接脚が設けられる。
【0056】
具体実施例3
図11から図15に示すように、具体実施例3は、前記具体実施例1又は具体実施例2をもとに改良したものである。本実施例は、第2プラグ信号端子13の第2プラグ溶接脚131が2つのプラグ凸リブの間まで延在するとともに、第1プラグ信号端子12の第1プラグ溶接脚127がプラグの外側まで延在する以外、前記具体実施例1又は具体実施例2と同様である。
【0057】
具体実施例4
図16から図20に示すように、具体実施例4は、前記具体実施例1又は具体実施例2をもとに改良したものである。本実施例は、第2プラグ信号端子13の構造が第1プラグ信号端子12の構造と同じ、第2ソケット信号端子23の構造が第2プラグ信号端子22の構造と同じである以外、前記具体実施例1又は具体実施例2と同様である。第2プラグ信号端子13の第2プラグ溶接脚131は、2つのプラグ凸リブの間まで延在する。第1プラグ信号端子12の第1プラグ溶接脚127は、プラグの外側まで延在する。第2プラグ信号端子13と第2ソケット信号端子23の接続構造は、第1プラグ信号端子12と第1ソケット信号端子22の接続構造と同じである。
【0058】
具体実施例5
本発明の実施例5によれば、上述したいずれかの極小ピッチコネクタを含む電子機器が提供される。
【0059】
具体実施例6
本発明の実施例6によれば、プラグの製造方法が提供される。このプラグは、前記実施例1から実施例3のいずれか1つに記載のプラグである。図21に示すように、このソケットの製造方法は、以下のステップを含む。S1:第2プラグ信号端子及びプラグ固定具に対して射出成形を行い、それぞれ第2プラグ信号端子、プラグ固定具に接続されるプラグ絶縁体を得る。この場合、プラグの形状は図22に示されるものである。S2:第1プラグ信号端子をプラグ絶縁体の係止溝内に収容し、プラグを得る。この場合、プラグの形状は図23に示されるものである。図23における破線は第1プラグ信号端子がプラグ絶縁体に収容される前の状態を示す。第1プラグ信号端子は、プラグ絶縁体のソケットと背向する側から係止溝内に挿入される。
【0060】
本実施例において、第1プラグ信号端子がプラグ絶縁体における係止溝に係止されるため、二次鋳造を行う必要がなく、プラグ絶縁体を金型に従って鋳造成形し、さらに第1プラグ信号端子を係止溝に挿入すればよい。操作が簡単で、生産速度が速くなり、生産効率が高くなる。また、プラグ絶縁体に対する型作りにも便利で、生産コストが低減する。極小ピッチプラグにおけるプラグの生産プロセスが煩雑で、効率が低いとの従来技術の問題が解決される。
【0061】
本実施例において、前記プラグの製造方法は、ステップS1の前には、以下のステップを更に含む。S1’:基材から所定形状の第1基材具及び第2基材具を取得する。本実施例において、基材具の取得は、切り出しにより達成することができる。第1基材具の所定形状は第2プラグ信号端子に適合し、第2基材具の所定形状はプラグ固定具に適合する。この基材の材料は、様々な材料から選択することができ、例えば、銅、アルミニウム、銀、金などであってもよい。S1’’:第1基材具を曲げて第2プラグ信号端子を形成する。S1’’’:第2基材具を曲げてプラグ固定具を形成する。
【0062】
本実施例において、前記プラグの製造方法は、ステップS1の前には、以下のステップをさらに含む。S1’’’’:基材から第1プラグ信号端子を取得する。
【産業上の利用可能性】
【0063】
以上、本発明に係るマルチチャネル信号伝送装置及び電子機器を詳しく説明した。本明細書において具体的な実施例により本発明の原理及び実施形態を述べた。以上の実施例は、本発明の方法及びその思想を理解するのを助けるためにのみ使用される。当業者が本発明の思想に基づいて具体的な実施形態及び応用範囲において変更することができる。以上より、本明細書の内容は本発明の実施形態に過ぎず、本発明の保護範囲を制限するものではなく、本発明の明細書に記載の内容に基づいて行われる同等構造若しくは同等プロセスの変換、又は他の関連技術分野での直接若しくは間接の使用は、いずれも本発明の特許請求の範囲内に含まれ、本発明を制限するものではない。
【符号の説明】
【0064】
1、プラグ;11、プラグ絶縁体;111、プラグ凸リブ;112、プラグ固定具;1121、第5プラグ溶接脚;1122、第3プラグ溶接脚;1123、第4プラグ溶接脚;113、係止溝;114、係止アーム;12、第1プラグ信号端子;121、接触弾性アーム;122、アーム体;123、接続アーム;124、突起;125、接触部;126、接続案内部;127、第1プラグ溶接脚;13、第2プラグ信号端子;131、第2プラグ溶接脚;14、第1スズブロッキング部;141、第1部;142、第2部;15、第2スズブロッキング部;2、ソケット;21、ソケット絶縁体;211、ソケット凸リブ;212、ソケット固定具;2121、固定部;2122、弾性具;2123、第1ソケット溶接脚;213、ソケット中部凸リブ;22、第1ソケット信号端子;23、第2ソケット信号端子
図1
図2
図3
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