(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】複合計測統合ビューアおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
G01N 30/86 20060101AFI20231102BHJP
【FI】
G01N30/86 D
(21)【出願番号】P 2022524298
(86)(22)【出願日】2021-03-26
(86)【国際出願番号】 JP2021012826
(87)【国際公開番号】W WO2021235090
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-10-28
(31)【優先権主張番号】P 2020089675
(32)【優先日】2020-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成30年度、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「省エネ製品開発の加速化に向けた複合計測分析技術システム研究開発事業」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川瀬 智裕
(72)【発明者】
【氏名】張 栩生
(72)【発明者】
【氏名】永井 詩織
(72)【発明者】
【氏名】山本 聡
(72)【発明者】
【氏名】山田 宏明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和加奈
(72)【発明者】
【氏名】福地 将志
(72)【発明者】
【氏名】海野 祐馬
【審査官】小澤 理
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-232480(JP,A)
【文献】特開2012-021815(JP,A)
【文献】特開2001-221788(JP,A)
【文献】特開平03-105248(JP,A)
【文献】特開昭64-080860(JP,A)
【文献】特開2017-194360(JP,A)
【文献】特開2006-275830(JP,A)
【文献】特開2012-237635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/86
G01N 35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Scopus
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の分析機器の各々について、当該分析機器の測定結果から得られ
、機械学習に用いられる特徴量の種別を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶される特徴量の種別を、表示画面に選択可能に表示する表示制御手段と、
前記特徴量の種別のうち、操作者により選択された特徴量の種別のセットを、名称を付けて登録する登録手段とを備え、
前記表示制御手段は、前記特徴量の種別を前記分析機器の種類ごとにタブ表示する第1表示領域と、前記操作者により選択された前記特徴量の種別のセットを表示する第2表示領域とを前記表示画面に並べて表示する、複合計測統合ビューア。
【請求項2】
前記第1表示領域の各タブ内には、分析機器の測定結果を含むデータファイルを識別するための識別子が表示されており、
前記表示制御手段は、前記第1表示領域のタブごとに、ファイル名に前記識別子を含むデータファイルから取得可能な特徴量の種別を表示する、請求項1に記載の複合計測統合ビューア。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記第2表示領域に、前記操作者により選択された特徴量の種別の名称をリストの形式で表示する、請求項1または2に記載の複合計測統合ビューア。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記第2表示領域に、前記リストに表示された特徴量の種別の各々に対して、前記表示画面への表示および非表示を設定するためのアイコンをさらに表示する、請求項3に記載の複合計測統合ビューア。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記第2表示領域に表示された複数の特徴量の種別をグルーピング可能にする、請求項3に記載の複合計測統合ビューア。
【請求項6】
前記表示制御手段は、前記第2表示領域に表示された複数の特徴量の種別の並び順を変更可能に構成される。請求項3に記載の複合計測統合ビューア。
【請求項7】
前記表示制御手段は、前記第1表示領域に、測定結果以外の情報から得られるサンプルの物性値の種別を設定するためのタブをさらに表示する、請求項1から6のいずれか1項に記載の複合計測統合ビューア。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記第1表示領域に、1または複数の特徴量を用いて算出される演算値を設定するためのタブをさらに表示する、請求項1から7のいずれか1項に記載の複合計測統合ビューア。
【請求項9】
前記複数種類の分析機器は、液体クロマトグラフ、ガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフ質量分析装置およびガスクロマトグラフ質量分析装置の少なくとも1つを含み、
前記記憶手段に記憶される特徴量の種別には、保持時間およびクロマトグラムのピーク面積の少なくとも一方が含まれる、請求項1から8のいずれか1項に記載の複合計測統合ビューア。
【請求項10】
コンピュータに請求項1から9のいずれか1項に記載の複合計測統合ビューアとして動作させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合計測統合ビューアおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数種類の分析機器でそれぞれ得られた複数の測定結果を横断的に解析するための解析システム(以下、「複数分析装置横断解析システム」とも称する)が提案されている。この種の解析システムとして、例えば、特開2017-194360号公報(特許文献1)には、蛍光X線分析装置、原子吸光光度計および誘導結合プラズマ発光分析装置のうちの少なくとも1つと、赤外分光光度計およびラマン分光光度計のうちの少なくとも1つとを含む複数種類の分析機器を用いて、対象試料の測定データを取得し、取得した測定データに基づいて対象試料を特定する試料解析システムが開示されている。特許文献1では、無機物の分析に適した装置の測定データと、有機物の分析に適した装置の測定データとを併用することにより、対象試料の特定精度を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した解析システムに用いられる複合計測統合ビューアにおいては、複数の測定結果からそれぞれ取得される複数の特徴量の中から、特定の解析の目的または用途に合致した特徴量を選択して表示するとともに、この選択した特徴量を使用して機械学習などの解析を実行できることが求められる。
【0005】
一方、特徴量の組み合わせは多種多様に存在するため、特定の解析目的または用途に合致した特徴量を選択する作業が複雑となり、解析作業を行なうユーザの利便性を低下させてしまうことが懸念される。
【0006】
この発明はこのような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、複数種類の分析機器による測定結果の横断的な解析を容易にするユーザインターフェイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る複合計測統合ビューアは、複数種類の分析機器の各々について、当該分析機器の測定結果から得られる特徴量の種別を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶される特徴量の種別を、表示画面に選択可能に表示する表示制御手段と、特徴量の種別のうち、操作者により選択された特徴量の種別のセットを、名称を付けて登録する登録手段とを備える。表示制御手段は、特徴量の種別を分析機器の種類ごとにタブ表示する第1表示領域と、操作者により選択された特徴量の種別のセットを表示する第2表示領域とを表示画面に並べて表示する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数種類の分析機器による測定結果の横断的な解析を容易にするユーザインターフェイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係る複合計測統合ビューアが適用される複合分析機器横断解析システムの構成例を説明する概略図である。
【
図2】情報処理装置、サーバおよびビューアのハードウェア構成例を模式的に示す図である。
【
図3】情報処理装置、サーバおよびビューアの機能構成を概略的に示す図である。
【
図4】ビューアにおけるテンプレート作成処理を説明するためのフローチャートである。
【
図5】テンプレート作成画面の一例を示す図である。
【
図6】テンプレート作成画面の一例を示す図である。
【
図7】テンプレート作成画面の一例を示す図である。
【
図8】ビューアにおける表示処理を説明するためのフローチャートである。
【
図11】ビューアの表示画面例を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、図中の同一または相当部分について同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
【0011】
[複合分析機器横断解析システムの全体構成]
図1は、本実施の形態に係る複合計測統合ビューアが適用される複合分析装置横断解析システムの構成例を説明する概略図である。複合分析装置横断解析システム(以下、単に「解析システム」とも称する)は、複数種類の分析機器において取得された複数の測定結果を横断的に解析するためのシステムである。本実施の形態に係る複合計測統合ビューア(以下、単に「ビューア」とも称する)は、複数の測定結果のうち操作者により選択された測定結果および、当該測定結果から得られる特徴量を表示するように構成される。
【0012】
図1を参照して、解析システム100は、複数種類の分析機器4と、サーバ2と、データベース3と、少なくとも1台のビューア1とを備える。
【0013】
複数種類の分析機器4は、サンプルの測定を行なう。複数種類の分析機器4は、例えば、液体クロマトグラフ装置(LC)、ガスクロマトグラフ装置(GC)、液体クロマトグラフ質量分析装置(LC-MS)、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS)、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過電子顕微鏡(TEM)、エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX)、波長分散型蛍光X線分析装置(WDX)および、フーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)などを含む。分析機器4はさらに、フォトダイオードアレイ検出器(LC-PDA)、液体クロマトグラフィータンデム質量分析装置(LC/MS/MS)、ガスクロマトグラフィータンデム質量分析装置(GC/MS/MS)、液体クロマトグラフ質量分析計(LC/MS-IT-TOF)、近赤外分光装置、引張試験機および、圧縮試験機などを含んでもよい。解析システム100は、互いに種類が異なる測定結果を出力する複数種類の分析機器4を有することによって、1つのサンプルを複数種類の測定結果を用いて多面的に分析することを可能とする。
【0014】
分析機器4は、装置本体5および情報処理装置6により構成される。装置本体5は、測定対象となるサンプルを測定する。情報処理装置6には、サンプルの識別情報およびサンプルの測定条件が入力される。
【0015】
情報処理装置6は、入力された測定条件に従って、装置本体5における測定を制御する。これにより、装置本体5では、サンプルの測定結果を示す測定データが取得される。情報処理装置6は、装置本体5にて取得された測定データを含むデータファイルを作成する。また、情報処理装置6は、測定データを専用のデータ解析ソフトウェアを用いて解析することにより、サンプルの「特徴量」を抽出する。この特徴量は機械学習などに用いることができる。なお、特徴量には、測定データから得られる特徴量以外に、測定データで得られた特徴量に演算処理を施すことによって得られる演算値、測定条件、サンプルの物性値、サンプルの構成材料の配合情報および製造プロセスなどを含めることができる。
【0016】
情報処理装置6は、取得した特徴量を、当該サンプルの測定条件および識別情報とともにデータファイルに格納し、内蔵するメモリにこのデータファイルを保存する。具体的には、情報処理装置は、サンプルごとに、測定条件、サンプル識別情報、測定データおよび特徴量が集約されたデータファイルをメモリに格納する。
【0017】
このとき、情報処理装置6は、データファイルのファイル名に、文字列からなる「識別子」を含ませることができる。この識別子は、分析機器4による測定に直接関与しない情報を識別するために用いられる。例えば、識別子は、サンプルの前処理条件を識別するために用いることができる。あるいは、識別子は、サンプル作製日時などを識別するために用いることができる。これによると、同じ分析機器4にて取得された測定データを、サンプルの前処理条件などによって識別することが可能となる。
【0018】
情報処理装置6は、サーバ2と相互に通信可能に接続される。情報処理装置6およびサーバ2間の接続は有線であっても無線であってもよい。例えば、情報処理装置6とサーバ2とを繋ぐ通信網として、インターネットを利用することができる。これにより、各分析機器4の情報処理装置6は、サンプルごとのデータファイルをサーバ2に送信することができる。
【0019】
サーバ2は、主として、複数の分析機器4にて取得される測定データを管理するためのサーバである。サーバ2には、各分析機器4からサンプルごとのデータファイルが入力される。サーバ2にはさらに、サーバ2の外部からサンプルの「物性値」を入力することができる。サンプルの物性値とは、分析機器4による測定以外で得られる、サンプルの属性を示す値である。
【0020】
図1の例では、サーバ2にサンプルの物性値が入力される構成を示したが、分析機器4にサンプルの物性値が入力される構成としてもよい。この場合、分析機器4は、サーバ2に対して、サンプルごとに、データファイルとともに物性値を送信することになる。あるいは、後述するビューア1にサンプルの物性値が入力される構成としてもよい。
【0021】
サーバ2には、データベース3が接続されている。データベース3は、サーバ2と複数の分析機器4との間で遣り取りされるデータおよび、サーバ2の外部から入力されるデータを保存するための記憶部である。
図1の例では、データベース3をサーバ2に外付けされた記憶部で構成しているが、サーバ2にデータベース3を内蔵する構成としてもよい。サーバ2は、サンプルのデータファイルおよび物性値を取得すると、サンプルごとに、データファイルと物性値とを紐付けてデータベース3に格納する。
【0022】
サーバ2は、インターネット7に接続されている。さらにインターネット7には、少なくとも1台のビューア1が接続されている。これにより、ビューア1は、インターネット7を経由して、サーバ2との間で双方向にデータを送受信することができる。なお、サーバ2およびビューア1を繋ぐ通信網は、インターネット7に限定されるものではない。
【0023】
ビューア1は、ユーザ(例えば、操作者)により表示対象に選択されたサンプルの測定結果および特徴量を表示可能に構成される。具体的には、ビューア1は、ユーザによる表示対象の選択を受け付けると、インターネット7を経由してサーバ2にアクセスすることにより、データベース3に格納されている、表示対象に選択されたサンプルのデータファイルを取得する。ビューア1は、取得したデータファイルに格納されている測定結果および特徴量を表示画面に表示する。
【0024】
なお、複数のサンプルが表示対象に選択された場合には、ビューア1は、複数のサンプルの測定結果および特徴量を表示画面に並べて表示することができる。ビューア1における表示例については後述する。
【0025】
[解析システムのハードウェア構成例]
図2は、情報処理装置6、サーバ2およびビューア1のハードウェア構成例を模式的に示す図である。
【0026】
(情報処理装置のハードウェア構成)
図2を参照して、情報処理装置6は、分析機器4全体を制御するためのCPU(Central Processing Unit)60と、プログラムおよびデータを格納する記憶部とを備えており、プログラムに従って動作するように構成される。
【0027】
記憶部は、ROM(Read Only Memory)61と、RAM(Random Access Memory)62と、HDD(Hard Disk Drive)65とを含む。ROM61は、CPU60にて実行されるプログラムを格納することができる。RAM62は、CPU60におけるプログラムの実行中に利用されるデータを一時的に格納することができ、作業領域として利用される一時的なデータメモリとして機能することができる。HDD65は、不揮発性の記憶装置であり、サンプルごとのデータファイルなど情報処理装置6で生成された情報を格納することができる。HDD65に加えて、あるいは、HDD65に代えて、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置を採用してもよい。
【0028】
情報処理装置6は、さらに、通信インターフェイス(I/F)66、入力部63および表示部64を含む。通信I/F66は、情報処理装置6が装置本体5およびサーバ2を含む外部機器と通信するためのインターフェイスである。
【0029】
入力部63は、ユーザ(例えば、分析者)からの情報処理装置6に対する指示を含む入力を受け付ける。入力部63は、キーボード、マウスおよび、表示部64の表示画面と一体的に構成されたタッチパネルなどを含み、サンプルの測定条件および識別情報などを受け付ける。
【0030】
表示部64は、測定条件を設定する際に、例えば測定条件の入力画面およびサンプルの識別情報などを表示することができる。測定中、表示部64は、装置本体5で検出された測定データおよび情報処理装置6によるデータ解析結果を表示することができる。
【0031】
分析機器4における処理は、各ハードウェアおよびCPU60により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアはROM61またはHDD65に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、図示しない記憶媒体に格納されて、プログラムプロダクトとして流通している場合もある。そして、ソフトウェアは、CPU60によってHDD65から読み出され、CPU60により実行可能な形式でRAM62に格納される。CPU60は、このプログラムを実行する。
【0032】
(サーバのハードウェア構成)
サーバ2は、装置全体を制御するためのCPU20と、プログラムおよびデータを格納する記憶部とを備えており、プログラムに従って動作するように構成される。記憶部は、ROM21、RAM22およびHDD25を含む。
【0033】
ROM21は、CPU20にて実行されるプログラムを格納することができる。RAM22は、CPU20におけるプログラムの実行中に利用されるデータを一時的に格納することができ、作業領域として利用される一時的なデータメモリとして機能することができる。HDD25は、不揮発性の記憶装置であり、情報処理装置6から送信された情報を格納することができる。
【0034】
サーバ2は、さらに、通信I/F26、入出力インターフェイス(I/O)24、入力部23を含む。通信I/F26は、サーバ2が情報処理装置6およびビューア1を含む外部機器と通信するためのインターフェイスである。
【0035】
I/O24は、サーバ2への入力またはサーバ2からの出力のインターフェイスである。I/O24はデータベース3に接続される。データベース3は、サーバ2および情報処理装置6の間で送受信されるデータを蓄積するためのメモリである。
【0036】
入力部23は、ユーザ(例えば、解析システム100の管理者)の指示を含む入力を受け付ける。入力部23は、キーボードおよびマウスなどを含み、サンプルの物性値に関する情報などを受け付ける。
【0037】
(ビューアのハードウェア構成)
ビューア1は、装置全体を制御するためのCPU10と、プログラムおよびデータを格納する記憶部とを備えており、プログラムに従って動作するように構成される。記憶部は、ROM11、RAM12およびHDD15を含む。
【0038】
ROM11は、CPU10にて実行されるプログラムを格納することができる。RAM12は、CPU10におけるプログラムの実行中に利用されるデータを一時的に格納することができ、作業領域として利用される一時的なデータメモリとして機能することができる。HDD15は、不揮発性の記憶装置であり、サーバ2から送信された情報を格納することができる。
【0039】
ビューア1は、さらに、通信I/F16、入力部13および表示部14を含む。通信I/F16は、ビューア1がサーバ2を含む外部機器と通信するためのインターフェイスである。
【0040】
入力部13は、ユーザ(例えば、操作者)からのビューア1に対する指示を含む入力を受け付ける。入力部13は、キーボード、マウスおよび、表示部14の表示画面と一体的に構成されたタッチパネルなどを含み、表示対象の選択などを受け付ける。
【0041】
表示部14は、表示対象を選択する際に、例えば表示対象を選択するための操作画面などのユーザインターフェイスを表示することができる。表示部14はさらに、生成したサンプル画像といった測定データなどを表示することができる。
【0042】
ビューア1における処理は、各ハードウェアおよびCPU10により実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアはROM11またはHDD15に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、図示しない記憶媒体に格納されて、プログラムプロダクトとして流通している場合もある。そして、ソフトウェアは、CPU10によってHDD15から読み出され、CPU10により実行可能な形式でRAM12に格納される。CPU10は、このプログラムを実行する。
【0043】
[解析システムの機能構成]
図3は、情報処理装置6、サーバ2およびビューア1の機能構成を概略的に示す図である。
【0044】
(情報処理装置の機能構成)
図3を参照して、情報処理装置6は、データ取得部67と、特徴量抽出部68と、情報取得部69とを有する。これらの機能構成は、
図2に示す情報処理装置6において、CPU60が所定のプログラムを実行することで実現される。
【0045】
データ取得部67は、装置本体5から、サンプルの測定結果を示す測定データを取得する。例えば、分析機器4がクロマトグラフ質量分析装置である場合、測定データには、クロマトグラムおよびマススペクトルが含まれる。分析機器4が走査型電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡である場合、測定データにはサンプルの顕微鏡像を示す画像データが含まれる。データ取得部67は、取得した測定データを特徴量抽出部68へ転送する。
【0046】
特徴量抽出部68は、データ取得部67から転送された測定データを専用のデータ解析ソフトウェアを用いて解析することにより、サンプルの特徴量を抽出する。サンプルの特徴量には例えば、サンプルに含まれる成分、当該成分を有する粒子の粒子径、スペクトルのピーク強度およびピーク面積、吸光度、反射率、ヤング率、引張強度、変形量、歪み量ならびに破断時間などが含まれる。例えば、測定データがクロマトグラムである場合、特徴量にはピーク強度、ピーク面積および保持時間(リテンションタイム)が含まれる。
【0047】
情報取得部69は、入力部63が受け付けた情報を取得する。具体的には、情報取得部69は、サンプル識別情報およびサンプルの測定条件を示す情報を取得する。サンプル識別情報には、例えば、サンプル名、サンプルとなる製品の名称、型番およびシリアル番号などが含まれる。サンプルの測定条件には、使用する分析機器の名称および型番などを含む装置パラメータと、電圧および/または電流の印加条件または温度条件などの測定条件を示す測定パラメータとが含まれる。
【0048】
通信I/F66は、取得した測定データ、測定条件およびサンプル識別情報ならびに、抽出した特徴量を、データファイルとしてサーバ2へ送信する。
【0049】
(サーバの機能構成)
サーバ2は、データ取得部27と、物性値取得部28と、合成部29とを有する。これらの機能構成は、
図2に示すサーバ2において、CPU20が所定のプログラムを実行することで実現される。
【0050】
データ取得部27は、通信I/F26を介して、各分析機器4の情報処理装置6から送信されるデータファイルを取得する。
【0051】
物性値取得部28は、入力部23が受け付けたサンプルの物性値を示す情報を取得する。サンプルの物性値とは、分析機器4による測定以外で得られる、サンプルの属性を示す値であり、例えば、サンプルの性能を示す値、またはサンプルの劣化度合いを示す値(使用年数など)などが含まれる。
【0052】
合成部29は、サンプルごとに、各分析機器4によるデータファイル(サンプル識別情報、測定条件、測定データおよび特徴量)と物性値とを紐付ける。合成部29は、サンプルごとに紐付けられたこれらのデータファイルを、I/O24を経由してデータベース3に格納する。1つのサンプルに対して複数種類の分析機器4による複数のデータファイルが存在する場合、サーバ2は、これらの複数のデータファイルを一括したものを物性値と紐付けてデータベース3に格納する。これにより、データベース3には、サンプル単位で、少なくとも1つのデータファイルおよび物性値が蓄積されることになる。
【0053】
(ビューアの制御構成)
ビューア1は、記憶部17と、表示制御部18とを有する。これらの機能構成は、
図2に示すビューア1において、CPU10が所定のプログラムを実行することで実現される。
【0054】
記憶部17は、複数種類の分析機器4の各々について、分析機器4の測定データから取得される特徴量の種別を記憶するように構成される。例えば、分析機器4がクロマトグラフ質量分析装置であって、測定データがクロマトグラムである場合、特徴量の種別には、ピーク強度、ピーク面積および保持時間が含まれる。あるいは、分析機器4が透過電子顕微鏡(TEM)であって、測定データがサンプルの顕微鏡像を示す画像データである場合、特徴量の種別には、サンプルに含まれる粒子の粒子径が含まれる。記憶部17は「記憶手段」の一実施例に対応する。
【0055】
表示制御部18は、入力部13が受け付けたユーザ指示に従って表示部14に表示する対象を選択し、選択した表示対象に基づいて表示部14の表示画面上に表示可能な表示形式の表示データを生成する。表示制御部18はさらに、ユーザが表示対象を選択する操作を行なうためのユーザインターフェイスを生成する。具体的には、表示制御部18は、テンプレート作成部18A、選択部18Bおよび、表示データ生成部18Cを有する。
【0056】
テンプレート作成部18Aは、ユーザインターフェイスとして、テンプレートの作成を支援するための画面(以下、「テンプレート作成画面」とも称する)を作成する。本明細書において、「テンプレート」とは、機械学習などに用いられる特徴量の種別のセットを規定するものである。後述するように、ユーザは、テンプレート作成画面上で特徴量の種別を選択することにより、選択された特徴量の種別が規定されたテンプレートを作成することができる。
【0057】
機械学習などに用いられる特徴量の種別は、解析の目的および用途によって異なる。本実施の形態では、テンプレート作成画面を用いて、解析の目的および用途ごとに特徴量の種別のセットを規定したテンプレートを作成することができる。これによると、解析を行なう場面において、ユーザは、複数のテンプレートの中から解析の目的および用途に合ったテンプレートを選択することにより、解析の目的および用途に応じた特徴量を容易に取得することができる。
【0058】
選択部18Bは、入力部13が受け付けたユーザ指示に従って、表示部14の表示画面に表示する対象を選択する。この表示対象の選択には、サンプルの選択およびテンプレートの選択が含まれる。選択部18Bは、ユーザインターフェイスとして、表示対象を選択するための操作画面を表示部14の表示画面に表示する。この操作画面には、データベース3に蓄積されているデータの内容を示す情報が表示される。ユーザは、操作画面上で入力部13を用いて選択操作を行なうことができる。
【0059】
具体的には、選択部18Bは、複数種類の分析機器4(
図1参照)の少なくとも1つの分析機器4によって分析された複数のサンプルの中から、ユーザの選択操作に従って、少なくとも2つ以上のサンプルを選択する。選択部18Bはさらに、ユーザの選択操作に従って、複数のテンプレートの中からテンプレートを選択する。
【0060】
表示データ生成部18Cは、インターネット7を経由してサーバ2にアクセスすることにより、データベース3から、表示対象に選択されたサンプルのデータファイルを取得する。上述したように、データファイルは、各分析機器4によるサンプルの測定データおよびその測定条件、サンプル識別情報ならびに、測定データから抽出されたサンプルの特徴量を含んでいる。また、データファイルには、サンプルの物性値が紐付けられている。
【0061】
表示データ生成部18Cは、データベース3から取得したデータファイルから、分析機器4の測定データを抽出する。また、表示データ生成部18Cは、選択部18Bにより選択されたテンプレートに規定されているサンプルの特徴量および物性値を抽出する。表示データ生成部18Cは、抽出した測定データおよびサンプルの特徴量および物性値を用いて、表示画面上に表示可能な表示形式の表示データを生成する。
【0062】
表示制御部18は、表示データ生成部18Cにより生成された表示データを表示部14の表示画面に表示する。表示制御部18は、表示形式に対するユーザ指示を入力部13が受け付けた場合には、当該ユーザ指示に従って表示形式を変更することができる。表示制御部18は「表示制御手段」および「登録手段」の一実施例に対応する。
【0063】
[解析システムの動作]
次に、解析システム100の動作について説明する。以下の説明では、主に、ビューア1にて実施されるテンプレート作成処理および表示処理を説明する。
【0064】
(1)テンプレート作成処理
図4は、ビューア1におけるテンプレート作成処理を説明するためのフローチャートである。
図4のフローチャートに従うプログラムは予めビューア1のROM11に格納されている。CPU10が当該プログラムを実行することで処理が実現される。
【0065】
ビューア1は、入力部13においてテンプレートの作成を開始する指示を受け付けると、
図4に示す処理を開始する。ビューア1は、最初にステップS10により、表示部14にテンプレート作成画面を表示する。
図5から
図7は、テンプレート作成画面の一例を示す図である。テンプレート作成画面は、データベース3に蓄積されているデータに基づいて作成することができる。
【0066】
図5を参照して、テンプレート作成画面は、第1表示領域RGN1と、第2表示領域RGN2とを有する。第1表示領域RGN1は、複数のタブを切り替えて表示可能に構成されている。テンプレート作成画面の初期状態において、第1表示領域RGN1には、タブ101およびタブ102のみが存在している。タブ101は、サンプルの物性値を設定するためのタブ(以下、「プロパティタブ」とも称する)である。タブ102は、1つまたは複数の特徴量に演算処理を施すことによって得られる演算値を設定するためのタブ(以下、「演算値タブ」とも称する)である。
【0067】
ユーザは、第1表示領域RGN1において、新たにタブを作成して追加することができる。タブの作成は以下の手順で行なうことができる。最初に、第1表示領域RGN1に示されているボタン107をユーザがクリックすると、第1表示領域RGN1内にはタブ作成用の画面が表示される。この画面上で、ユーザは、分析機器4の装置名と、データファイルの識別子と、作成されるタブに付される名称とを設定することができる。
【0068】
データファイルの識別子とは、データファイルのファイル名に含まれる識別子である。上述したように、識別子は、分析機器4による測定に直接関与しない情報を識別するために用いることができる。
【0069】
タブの名称は、ユーザが任意に設定することができる。なお、タブの名称は1つのテンプレートファイルでユニークな識別情報であり、1つのテンプレートファイルに同じ名称が付された複数のタブは存在しない。
【0070】
タブ作成用画面上で分析機器4の装置名、識別子およびタブの名称が設定されると、第1表示領域RGN1には、タブが追加される。タブには、タブ作成時に設定されたタブの名称が付される。
図5の例では、複数のタブ103~106が追加されており、各タブには、タブ作成時に設定された分析機器4の装置名が付されている。
【0071】
複数のタブ103~106の各々は、対応する分析機器4の測定データから取得可能な特徴量の種別を表示するように構成される。具体的には、タブ103は、ガスクロマトグラフ装置(GC)の測定データから得られる特徴量の種別を表示する。タブ104は、液体クロマトグラフ装置(LC)の測定データから得られる特徴量の種別を表示する。タブ105は、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS)の測定データから得られる特徴量の種別を表示する。タブ106は、核磁気共鳴装置(NMR)の測定データから得られる特徴量の種別を表示する。
【0072】
タブ103~106のうちのいずれか1つのタブをユーザがクリックすると、クリックされたタブの内容が第1表示領域RGN1に表示される。
図5の例では、第1表示領域RGN1にはタブ105の内容が表示されている。
【0073】
タブ105には、分析機器4を指定するためのテキストボックス108、データファイルの識別子を指定するためのテキストボックス109および、出力項目を指定するためのテキストボックス110が表示される。タブ105にはさらに、化合物名を指定するためのテキストボックス111,114およびボタン112,113が表示される。
【0074】
テキストボックス108には、分析機器4の装置名“GCMS”が示されており、テキストボックス109には、識別子“AE”が示されている。これらの情報は、タブ105を作成する際、タブ作成画面上でユーザが設定したものである。
【0075】
出力項目とは、設定された分析機器4にて得られる複数の分析結果のうち、特徴量の抽出に使用される測定結果を特定するものである。ユーザは、テキストボックス110に測定結果の種別を入力することができる。
図5の例では、テキストボックス110には“同定結果テーブル”が入力されている。なお、テキストボックス110への測定結果の種別の入力に代えて、またはこれに加えて、複数の分析結果の中からユーザが所望の測定結果を選択することができる構成としてもよい。
【0076】
タブ105には、これら3つの情報(分析機器、識別子、出力項目)に基づいて特定されるデータファイルから取得可能な特徴量の種別が表示される。ただし、上記3つの情報のうち、識別子については必須ではなく、その指定を省略することもできる。この場合、1つのタブには、分析機器および出力項目に基づいて特定されるデータファイルから取得可能な特徴量の種別が表示される。
【0077】
図5の例では、ガスクロマトグラフ質量分析装置(GC-MS)の測定データが格納された複数のデータファイルのうち、ファイル名に識別子“AE”を含むデータファイルが抽出される。そして、この抽出されたデータファイルに格納されている同定結果テーブルから取得可能な特徴量の種別が、タブ105内に表示されることになる。
【0078】
タブ105内では、同定結果テーブルから取得可能な特徴量の種別を表示させるために、特徴量の化合物名が指定される。テキストボックス114は、同定結果テーブルから取得可能な特徴量の化合物名を指定するためのユーザインターフェイスである。ユーザは、テキストボックス111に所望の特徴量の化合物名を入力し、ボタン112をクリックすることにより、テキストボックス114に当該化合物名を書き込むことができる。
図5の例では、テキストボックス111に“スチレン”が入力されている状態でボタン112がクリックされると、テキストボックス114には“スチレン”が書き込まれる。
【0079】
なお、上記構成に加えて、“一括設定”のボタン113がクリックされると、CSV(Comma Separated Values)データファイル等から化合物リストを取得し、当該化合物リストに含まれる全ての化合物名を一括してテキストボックス114に追加するように構成することができる。
【0080】
あるいは、“一括設定”のボタン113がクリックされると、予め分析データファイル等に保存されている同定結果テーブルの化合物リストを取得し、当該化合物リストに含まれる全ての化合物名を一括してテキストボックス114に追加する構成とすることができる。
【0081】
なお、これらのいずれの構成においても、取得した化合物リストを第1表示領域RGN1内に表示し、表示された化合物リストの中からユーザが化合物名を選択すると、選択された化合物名をテキストボックス114に追加する構成としてもよい。これによると、化合物名の表記ゆれを防ぐことができる。
【0082】
テキストボックス114に表示されている複数の化合物名のうち、ユーザは、入力部13を用いて所望の化合物名をクリックすることにより、所望の化合物名を選択することができる。テキストボックス114内で複数の化合物名の中から1つの化合物名が選択されると、テキストボックス115には、当該1つの化合物名の特徴量の種別116が表示される。この特徴量の種別116は、同定結果テーブルから取得可能な、当該1つの化合物名の特徴量の種別に相当する。例えば、テキストボックス114において“スチレン”が選択された場合、テキストボックス11
5には、同定結果テーブルから取得可能な、スチレンの特徴量の種別116が表示される。
図5の例では、テキストボックス115には、スチレンの特徴量の種別116として、m/z(質量電荷比)、保持時間、ピーク面積、濃度、ピーク高さ、類似度、S/Nおよびしきい値が示されている。
【0083】
各特徴量の種別116には、チェックボックス117が並べて配置されている。ユーザは、入力部13を用いて第1表示領域RGN1を操作することにより、特徴量の種別を選択することができる。具体的には、ユーザは、テキストボックス115に表示される特徴量の種別116に並べて配置されたチェックボックス117にチェック(
図5ではレ点)を入れることにより、特徴量の種別を選択することができる。選択された特徴量の種別は、第2表示領域RGN2に表示される。
【0084】
図5の例では、テキストボックス115において、“m/z”および“ピーク面積”にチェックが入力されている。この場合、“スチレンのm/z”および“スチレンのピーク面積”が選択されて、第2表示領域RGN2に表示されることになる。
【0085】
第2表示領域RGN2には、第1表示領域RGN1において選択された特徴量の種別がリスト123の形式で表示される。
図5の例では、リスト123には、“GCMS_スチレンm/z”および“GCMS_スチレンピーク面積”の2種類の特徴量が表示されている。各特徴量の名称には、特徴量の選択に用いたタブ105の情報を含ませることができる。例えば、各特徴量の名称に、タブ105の名称“GCMS”を含ませることができる。あるいは、各特徴量の名称に、タブ105に対応する分析機器4の装置名および識別子を含ませることができる。
【0086】
リスト123に示される各特徴量の種別には、チェックボックス124が並べて配置されている。ユーザは、チェックボックス124にチェック(
図5ではレ点)を入れることにより、対応する特徴量を表示するか非表示とするかを設定することができる。これによると、機械学習などに用いられる特徴量のうちの一部の特徴量については、表示部14に表示させないようにすることができる。例えば、後述する演算値タブ102において演算値を算出するために使用されるが、それ自体が機械学習で使用する必要がなく、表示の必要もない特徴量については、非表示に設定することができる。
【0087】
第2表示領域RGN2において作成された特徴量の種別のリスト123は、テンプレートとして記憶部17に登録することができる。このとき、ユーザは、作成したテンプレートに固有の名称を付けることができる。具体的には、ユーザは、第2表示領域RGN2のテキストボックス120に、テンプレートを識別するための名称を入力することができる。テンプレートには、例えば、当該テンプレートを用いる解析の目的または用途など、ユーザがテンプレートの内容を容易に識別することが可能な名称を付けることができる。
図5の例では、サンプルであるタイヤの強度を解析するために用いるテンプレートであることを示すために、“タイヤ強度テンプレート”という名称が付されている。ユーザは、第2表示領域RGN2に示されるボタン121をクリックすることにより、“タイヤ強度テンプレート”を記憶部17に登録することができる。
【0088】
以上に説明したテンプレート作成処理は、
図4のフローチャートにまとめることができる。
図4に戻って、ビューア1は、テンプレート作成画面上でのユーザの入力操作を受け付けると、ステップS11~S17により、入力操作に従ってテンプレートを作成し、作成したテンプレートを名称とともに記憶部17に登録する。
【0089】
具体的には、テンプレート作成画面の第1表示領域RGN1に示されているボタン107をユーザがクリックすると、表示制御部18(テンプレート作成部18A)は、ステップS11により、タブ作成用画面を第1表示領域RGN1に表示する。タブ作成用画面において分析機器4の装置名、識別子およびタブの名称が設定されると、表示制御部18は、設定された名称が付されたタブを作成し、第1表示領域RGN1に追加する。
【0090】
次に、追加された複数のタブ103~106のいずれか1つをユーザがクリックすると、表示制御部18(テンプレート作成部18A)は、ステップS12により、クリックされたタブを選択して第1表示領域RGN1に表示する。
【0091】
表示制御部18は、ステップS13に進み、このタブ内に、分析機器4、識別子および出力項目に基づいて特定されるデータファイルから取得可能な特徴量の種別116をテキストボックス115に表示する。ステップS13では、表示制御部18は、取得可能な特徴量の種別116の各々にチェックボックス117を付すことにより、各特徴量の種別を選択可能に表示する。
【0092】
次に、ユーザによって各特徴量の種別116に付されたチェックボックス117にチェックが入力されると、表示制御部18は、ステップS14により、チェックが入力された特徴量の種別を選択する。ステップS15に進み、表示制御部18は、選択した特徴量の種別を第2表示領域RGN2にリスト123の形式で表示する。ステップS15では、表示制御部18は、リスト123に示される各特徴量の種別にチェックボックス124を付すことにより、各特徴量の種別について表示/非表示を設定可能とする。
【0093】
ユーザによってリスト123に示されている各特徴量の種別に付されたチェックボックス124にチェックが入力されると、表示制御部18は、ステップS16に進み、入力に従って、各特徴量の種別の表示/非表示を設定する。
【0094】
ステップS12~S16の処理は、タブ103~106のいずれか1つをユーザがクリックするたびに実行される。最終的にリスト123には、タブごとに選択された特徴量の種別の一覧が表示される。
【0095】
表示制御部18は、ステップS17では、ユーザによりボタン121がクリックされると、第2表示領域RGN2内に作成された特徴量の種別のリスト123を、テキストボックス120に入力された名称とともに、記憶部17に登録する。
【0096】
以上説明したように、テンプレート作成画面には、特徴量の種別を分析機器4の種類ごとにタブ表示する第1表示領域RGN1と、ユーザにより選択された特徴量の種別のセットを表示する第2表示領域RGN2とが並べて表示される。これによると、ユーザは、第2表示領域RGN2の表示内容を確認しながら、第1表示領域RGN1において特徴量を選択できるため、テンプレートを容易に作成することができる。
【0097】
なお、分析機器4の種類によって測定データから取得可能な特徴量の種別が異なるため、分析機器4間で第1表示領域RGN1に表示すべき情報が異なる。第1表示領域RGN1では、分析機器4ごとにタブを設けたことにより、ユーザは、解析の目的または用途に合致したタブを開くことによって特徴量を選択することができる。
【0098】
さらに、1つのタブを分析機器4、識別子および出力項目(または、分析機器4および出力項目)に基づいて設定する構成としたことにより、1種類の分析機器4の測定データから得られる特徴量の種別を細分化して表示することができる。これにより、特徴量の種別をより容易に選択することができるため、テンプレートの作成の容易化を促進することができる。
【0099】
ここで、
図5に示すように、テンプレート
作成画面の第1表示領域RGN1には、対応する分析機器4の測定データから取得可能な特徴量の種別を表示するためのタブ103~106に加えて、サンプルの物性値を設定するためプロパティタブ101と、1つまたは複数の特徴量に演算処理を施すことによって得られる演算値を設定するための演算値タブ102とが表示されている。ユーザは、これらのタブ101,102を操作することによって、所望のサンプルの物性値および演算値を、特徴量の種別としてテンプレートに含めることができる。これにより、サンプルの物性値および演算値を機械学習などの解析に用いることができる。
【0100】
図6には、プロパティタブ101を選択したときのテンプレート作成画面が示されている。
図6に示すように、プロパティタブ101には、サンプルの物性値を設定するためのテキストボックス130,131およびボタン132が表示される。テキストボックス131は、サンプルの物性値名を指定するためのユーザインターフェイスである。テキストボックス130は、テキストボックス131に物性値名を書き込むためのユーザインターフェイスである。
【0101】
ユーザは、入力部13を用いて、テキストボックス130に物性値名を入力することができる。
図6の例では、物性値名のテキストボックス130に“高温tanδ”(高温(60℃付近)での力学的損失係数)が入力されている。この状態でボタン132をクリックすると、入力された物性値名がテキストボックス131に書き込まれる。
【0102】
なお、上記構成に加えて、“一括設定”のボタン133がクリックされると、CSVデータファイル等から物性値リストを取得し、当該リストに含まれる全ての物性値名を一括してテキストボックス131に追加するように構成することができる。
【0103】
あるいは、“一括設定”のボタン133がクリックされると、予め物性値測定データファイル等に保存されている物性値リストを取得し、当該リストに含まれる全ての化合物名を一括してテキストボックス131に追加する構成とすることができる。
【0104】
上記処理によってテキストボックス131に書き込まれたサンプルの物性値名は、同時に、第2表示領域RGN2に示される特徴量の種別のリスト123に追加される。
図6の例では、テキストボックス131に“高温tanδ”、“レジン配合量”および“Tg(タイヤのガラス転移温度)”
が入力されている。これにより、第2表示領域RGN2のリスト123には、“プロパティ_高温tanδ”、“プロパティ_レジン配合量”および“プロパティ_Tg”が追加されている。なお、各物性値の名称には、サンプルの物性値であることを示す情報(例えばプロパティ)を含ませることができる。
【0105】
リスト123では、特徴量の種別と同様に、物性値ごとにチェックボックス124が並べて配置されている。ユーザは、チェックボックス124にチェック(
図6ではレ点)を入れることにより、対応する物性値を表示するか非表示とするかを設定することができる。
【0106】
図7には、演算値タブ102を選択したときのテンプレート作成画面が示されている。
図7に示すように、演算値タブ102には、演算値を設定するためのテキストボックス140~142、ボタン143および設定ツール144が表示される。テキストボックス140は演算値の名称を設定するためのテキストボックスであり、テキストボックス141は、演算値を導出するための計算式を設定するためのテキストボックスである。
【0107】
ユーザは、設定ツール144を用いて計算式を設定することができる。設定ツール144には、第2表示領域RGN2のリスト123に表示される特徴量の種別(物性値を含む)と、演算記号(例えば、+,-,/,×など)を示すアイコン145とが含まれている。ユーザは、入力部13を用いて特徴量の種別および演算記号を選択することにより、計算式を作成することができる。
図7の例では、演算値“割合X”が、“スチレンピーク面積”を“BR(ブタジエン)ピーク面積”で除した値(=(スチレンピーク面積)/(BRピーク面積))で定義されている。この状態でボタン143をクリックすることにより、作成された演算値“割合X”がテキストボックス142に書き込まれる。
【0108】
テキストボックス142に書き込まれた演算値“割合X”は、同時に、第2表示領域RGN2の特徴量の種別のリスト123に追加される。
図7の例では、リスト123には、“演算値_割合X”が追加されている。演算値の名称には、演算値であることを示す情報(例えば演算値)を含ませることができる。
【0109】
[その他の構成例]
(1-1)特徴量の並べ替え機能
テンプレート作成画面(
図5から
図7参照)の第2表示領域RGN2に表示されるリスト123は、特徴量の種別の並び順を変更することが可能に構成される。具体的には、ユーザは、入力部13を用いて1つの特徴量の種別を選択した状態で移動操作(ドラッグアンドドロップ)を行なうことにより、解析の目的または用途に適した並び順に変更することができる。
【0110】
(1-2)特徴量のグルーピング機能
さらに、リスト123は、複数の特徴量の種別をグルーピングすることが可能に構成される。ユーザは、入力部13を用いて各特徴量の種別の移動操作(ドラッグアンドドロップ)を行なうことによりグルーピングすることができる。あるいは、ビューア1のCPU10が予め定められたルールに従ってグルーピングする構成としてもよい。
【0111】
例えば、リスト123に入力される複数の特徴量の種別を、機械学習おける説明変数と目的変数とに分類することができる。あるいは、複数の特徴量の種別を、測定条件に基づく特徴量、測定結果に基づく特徴量および物性値に基づく特徴量に分類することができる。
【0112】
(2)表示処理
次に、ビューア1にて実施される表示処理を説明する。
【0113】
図8は、ビューア1における表示処理を説明するためのフローチャートである。
図8のフローチャートに従うプログラムは予めビューア1のROM11に格納される。CPU10が当該プログラムを実行することで処理が実現される。
【0114】
ビューア1は、入力部13において表示動作を開始する指示を受け付けると、
図8に示す表示処理を開始する。ビューア1は、最初に、ステップS20により、ユーザインターフェイスとして、表示対象を選択するための操作画面を表示部14に表示する。
図9および
図10は、操作画面の一例を示す図である。操作画面は、データベース3に蓄積されているデータに基づいて生成することができる。
【0115】
操作画面の表示領域151には、選択操作のためのアイコン152,154および表示操作のためのアイコン155が表示される。サンプル選択用のアイコン152をユーザがクリックすると、
図9に示すサンプル選択用の操作画面が表示される。サンプル選択用の操作画面の表示領域160には、複数種類の分析機器4(
図1参照)のいずれかにより分析されたサンプルの一覧が表の形式で表示される。
図9の例では、4個のサンプルのサンプル名(Sample01~Sample04)が表示されている。サンプルの識別情報には、サンプル名以外に、サンプルの製品名またはロット番号などを表示してもよい。以下の説明では、4個のサンプルがタイヤである場合を想定する。
【0116】
なお、表示領域160に表示されるサンプル数が多い場合には、ユーザは、
図9の操作画面を入力部13を用いて操作することにより、表示領域160に表示されるサンプル数を絞り込むことができる。
図9の例では、ユーザは、分析機器の種類を手がかりにサンプル数を絞り込むことができる。具体的には、操作画面の表示領域162には、サンプル数の絞り込み用のアイコン163が配置されている。アイコン163には、複数種類の分析機器4の種別の一覧が示されている。ユーザは、表示させたい測定データに対応する分析機器4をクリックすることで、分析機器4を選択することができる。このとき、ユーザは、2以上の分析機器4を同時に選択することができる。また、アイコン163中の「全て」をクリックすることにより、複数種類の分析機器4を全て選択することができる。アイコン163にて分析機器4が選択されると、表示領域160には、選択された分析機器4により測定されたサンプルが抽出され、抽出されたサンプルの一覧が表の形式で表示されることになる。
【0117】
操作画面の表示領域162には、各サンプルについて、測定に使用された少なくとも1つの分析機器4の種別が合わせて表示される。例えば、サンプル名「Sample01」のサンプルについては、測定に使用された分析機器4として、LC、GC-MS、TEMが示されている。サンプル名「Sample02」のサンプルについては、GC-MS、TEMが示されている。
【0118】
操作画面の表示領域164には、サンプルごとの属性値が表示される。サンプルの属性値は、サンプルの物性値を含む。
図9の例では、サンプルの物性値として、タイヤのTgおよび高温tanδが表示されている。なお、物性値は、解析システム100の外部から与えられる属性値であるため、サンプルによっては物性値を持たない場合がある。また、サンプル間で物性値の種類が異なる場合がある。
【0119】
ユーザは、
図9の操作画面を入力部13を用いて操作することにより、表示対象となるサンプルを選択することができる。
図9の例では、各サンプル名に並べて配置されたチェックボックスにチェック(
図9ではレ点)を入れることにより、サンプルを選択することができる。
【0120】
次に、操作画面の領域151に表示されている特徴量選択用のアイコン154をユーザがクリックすると、表示部14には
図10に示す特徴量選択用の操作画面が表示される。
図10を参照して、特徴量選択用の操作画面の領域166には、上記のテンプレート作成処理で作成された複数のテンプレートの一覧が表示される。
図10の例では、合計5個のテンプレートがアイコンの形式で表示されている。各アイコンには、対応するテンプレートの名称が示されている。
【0121】
例えば、「タイヤ強度テンプレート」を示すアイコン170をクリックすると、タイヤ強度テンプレートの内容を示す画像172が操作画面に表示される。タイヤ強度テンプレートの画像172には、テンプレート作成画面(
図5から
図7参照)を用いて作成された特徴量の種別のリスト123が表示されている。
【0122】
図8に戻って、ビューア1は、操作画面上でのユーザの選択操作を受け付けると、ステップS21~S23により、選択操作に従って、表示対象となるサンプル(
図9参照)およびテンプレート(
図10参照)を選択する。
【0123】
ビューア1は、ステップS24に進み、表示データを生成する。具体的には、ビューア1は、インターネット7を経由してサーバ2にアクセスすることにより、データベース3から、ステップS23で選択されたサンプルのデータファイルを取得する。
【0124】
次に、ビューア1は、サンプルごとに、取得したデータファイルから、ステップS23にて選択されたテンプレートに規定されている特徴量および物性値を抽出する。ビューア1は、ステップS25により、これらの抽出したデータに基づいて表示データを生成する。
【0125】
次に、操作画面の領域151に表示されている表示操作用のアイコン155をユーザがクリックすると、ビューア1は、ステップS25に進み、生成された表示データを表示部14の表示画面に表示する。
図11は、ビューア1の表示画面例を模式的に示す図である。なお、ビューア1は、ユーザ指示に従って、表示データの表示形式を切り替え可能に構成される。
【0126】
図11の表示画面例では、表示対象に選択されたサンプルごとに表示領域が設定される。具体的には、サンプル名「Sample01」のサンプルに対して表示領域181が設定され、サンプル名「Sample02」のサンプルに対して表示領域182が設定され、サンプル
名「Sample03」のサンプルに対して表示領域183が設定されている。表示画面例では、複数のサンプルSample01~Sample03にそれぞれ対応する複数の表示領域181,182,183がリスト表示されている。複数の表示領域181~183は全体として、サンプルごとの表示領域をリスト表示するための「リスト表示領域」を構成する。なお、ユーザは、入力部13を操作することにより、リスト表示領域に表示される複数の表示領域181~183を上下方向(紙面垂直方向に相当)にスクロール表示することができる。
【0127】
各サンプルの表示領域には、サンプル識別情報、分析機器4の測定データおよび、サンプルの属性値(特徴量および物性値)がまとめて表示される。
図11の例では、表示領域181には、サンプル識別情報であるサンプル名「Sample01」と、測定データであるクロマトグラム190と、特徴量および物性値をまとめたリスト186とが表示される。
【0128】
クロマトグラム190の上下方向の両端部に配置されたカーソル192をクリックすることで、複数のクロマトグラム190を上下方向にスクロール表示することができる。各クロマトグラムには、強度(Intensity)および時間(Time)などの測定条件を併記することができる。なお、表示領域181内のカーソル192をクリックしてクロマトグラム190をスクロール表示させた場合、他の表示領域182,183内に表示されるクロマトグラムも、表示領域161内のクロマトグラム190に追従するようにスクロール表示させる構成とすることができる。
【0129】
リスト186は、
図10の操作画面で選択されたテンプレート内のリスト123に、サンプルの特徴量および物性値を記入したものである。なお、リスト186では、特徴量と物性値とを分類して表示することができる。ユーザは、1つのサンプルについて、分析機器4による測定データと、属性値(特徴量および物性値)とを同時に参照することができる。ただし、タイヤ強度テンプレートのリスト123において非表示に設定されている特徴量および物性値(
図10の例では、スチレンm/zおよび割合X)については、リスト186では表示されない。
【0130】
表示領域181の上方には、各表示領域に表示される測定データを切り替えるためのアイコン201~204が配置されている。アイコン201~204は、それぞれ、SEM画像、TEM画像、マススペクトル(MS)、クロマトグラムに対応している。
図11の例では、ユーザがアイコン204をクリックしたことに応答して、各表示領域にはクロマトグラムが表示されている場合を想定している。
【0131】
なお、アイコン201~204の表示はこれに限定されるものではなく、表示対象に選択された分析機器4の分析データに対応するように、適宜変更することができる。例えば、表示対象に選択された分析機器4にSEMが含まれていない場合には、アイコン201の表示を省略することができる。
【0132】
表示領域181の上方にはさらに、各表示領域に表示される測定データを選抜するためのフィルタ用のアイコン205が配置されている。アイコン205は、測定データが複数の測定結果を含んでいるときに、表示領域に表示させる測定結果を選抜するために用いることができる。
【0133】
図11の表示画面例において、表示領域182および表示領域183は、表示領域18
1と同様の構成を有している。すなわち、表示画面には、表示対象である複数のサンプルについて、同一種類の測定データ、同一種類の特徴量および物性値が並べてリスト表示される。これによると、ユーザは、複数のサンプル間で、同一種類の測定データを比較参照することができる。また、ユーザは、複数のサンプル間で、同一種類の特徴量および物性値を比較参照することができる。
【0134】
図8に戻って、ビューア1は、ステップS25により表示データを表示部14の表示画面に表示した後、ステップS26に進み、表示形式を変更するためのユーザ指示を入力部13が受け付けたか否かを判定する。
図11の表示画面例で説明したように、表示画面には表示形式を変更するためのアイコン(アイコン201~205など)が表示されている。ユーザは、これらのアイコンをクリックすることにより、表示形式を切り替えることができる。
【0135】
表示形式を変更するためのユーザ指示を入力部13が受け付けた場合(S26にてYES)、ビューア1は、ステップS24の処理に戻り、ユーザ指示に従って、表示データを変更する。ビューア1は、ステップS26により、変更した表示データを表示部14の表示画面に表示する。
【0136】
ビューア1は、また、ステップS27により、表示対象を変更するためのユーザ指示を入力部13が受け付けたか否かを判定する。
図11の表示画面例で説明したように、表示画面には表示対象を選択するためのアイコン152および特徴量を選択するためのアイコン154が表示されている。例えば、
図11に示す表示画面例において、アイコン152をユーザがクリックすると、表示部14が
図11の表示画面から
図9に示すサンプル選択用の操作画面に切り替わる。ユーザは、操作画面上で、表示対象となるサンプルを変更するための選択操作を行なうことができる。また、
図11の表示画面例において、アイコン154をユーザがクリックすると、
図11の表示画面から
図10に示す特徴量選択用の操作画面に切り替わる。ユーザは、操作画面上で、テンプレートを変更するための選択操作を行なうことにより、表示対象となる特徴量および物性値を変更することができる。
【0137】
表示対象を変更するためのユーザ指示(アイコン152,154のクリック)を入力部13が受け付けた場合(S28にてYES)、ビューア1は、ステップS20の処理に戻り、表示部14に
図9または
図10の操作画面を表示する。ビューア1は、ユーザの選択操作を受け付けると、ステップS22~S24の処理を再び実行することにより、変更後の表示対象となるサンプル、特徴量および物性値を選択する。ビューア1は、ステップS24にて表示データを生成すると、ステップS25により、生成された表示データを表示部14の表示画面に表示する。
【0138】
以上説明したように、本実施の形態に係るビューア1によれば、1つのサンプルに紐付いた複数の測定結果を表示することができる。また、サンプルごとに、測定結果とともにサンプルの特徴量を表示することができる。これにより、ユーザは、個々のサンプルについて、測定結果と特徴量とを同時に参照することができる。また、複数のサンプル間で特徴量を比較することが可能となる。
【0139】
さらに、本実施の形態に係るビューア1によれば、特徴量の種別のセットがテンプレートとして登録されているため、ユーザは、使用するテンプレートを変更することにより、機械学習等の解析に用いる特徴量を自在に変更することができる。
【0140】
これらの利点に基づき、本実施の形態に係るビューア1は、複数種類の分析機器4による測定結果の解析作業を行なうユーザの利便性を向上させることができる。これにより、複数種類の分析機器4による測定結果の横断的な解析を容易にすることができるため、効率的かつ精度の高い解析の実現に寄与することができる。
【0141】
[態様]
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0142】
(第1項)一態様に係る複合計測統合ビューアは、複数種類の分析機器の各々について、当該分析機器の測定結果から得られる特徴量の種別を記憶する記憶手段と、記憶手段に記憶される特徴量の種別を、表示画面に選択可能に表示する表示制御手段と、特徴量の種別のうち、操作者により選択された特徴量の種別のセットを、名称を付けて登録する登録手段とを備える。表示制御手段は、特徴量の種別を分析機器の種類ごとにタブ表示する第1表示領域と、操作者により選択された特徴量の種別のセットを表示する第2表示領域とを表示画面に並べて表示する。
【0143】
第1項に記載の複合計測統合ビューアによれば、表示画面には、特徴量の種別を分析機器の種類ごとにタブ表示する第1表示領域と、操作者により選択された特徴量の種別のセットを表示する第2表示領域とが並べて表示されるため、操作者は、第2表示領域の内容を確認しながら、第1表示領域において特徴量を選択できる。また、第1表示領域において、分析機器ごとにタブを設けたことにより、操作者は、解析の目的または用途に合致したタブを開いて特徴量を選択することができる。この結果、操作者は特徴量の種別のセットであるテンプレートを容易に作成することが可能となる。
【0144】
(第2項)第1項に記載の複合計測統合ビューアにおいて、第1表示領域の各タブ内には、分析機器の測定結果を含むデータファイルを識別するための識別子が表示される。表示制御手段は、第1表示領域のタブごとに、ファイル名に識別子を含むデータファイルから取得可能な特徴量の種別を表示する。
【0145】
これによると、1つのタブを分析機器の種類およびデータファイルの識別子に基づいて設定する構成としたことにより、1種類の分析機器の測定結果から得られる特徴量の種別を細分化してタブ内に表示することができる。これにより、操作者は特徴量の種別をより容易に選択できるため、テンプレートの作成の容易化を促進することができる。
【0146】
(第3項)第1項または第2項に記載の複合計測統合ビューアにおいて、表示制御手段は、第2表示領域に、操作者により選択された特徴量の種別の名称をリストの形式で表示する。
【0147】
これによると、操作者は、第2表示領域に表示されたリストから、選択した特徴量の種別を容易に確認することができるため、特徴量の種別の選択作業をスムーズに進めることができる。
【0148】
(第4項)第3項に記載の複合計測統合ビューアにおいて、表示制御手段は、第2表示領域に、リストに表示された特徴量の種別の各々に対して、表示画面への表示および非表示を設定するためのアイコンをさらに表示する。
【0149】
これによると、操作者は、例えば、選択した特徴量の種別のうち、演算値を算出するために使用されるが、それ自体が機械学習で使用する必要がなく、表示の必要もない特徴量については、非表示に設定することができる。
【0150】
(第5項)第3項に記載の複合計測統合ビューアにおいて、表示制御手段は、第2表示領域に表示された複数の特徴量の種別をグルーピングする。
【0151】
これによると、解析の目的または用途に応じて複数の特徴量を分類できるため、解析作業の効率化を図ることができる。
【0152】
(第6項)第3項に記載の複合計測統合ビューアにおいて、表示制御手段は、第2表示領域に表示された複数の特徴量の種別の並び順を変更可能に構成される。
【0153】
これによると、ユーザは、解析の目的または用途に応じた優先順位で複数の特徴量を表示させることができる。
【0154】
(第7項)第1項から第6項に記載の複合計測統合ビューアにおいて、表示制御手段は、第1表示領域に、測定結果以外の情報から得られるサンプルの物性値の種別を設定するためのタブをさらに表示する。
【0155】
これによると、所望のサンプルの物性値を特徴量の種別としてテンプレートに含めることができるため、当該物性値を表示させるとともに、機械学習に用いることができる。
【0156】
(第8項)第1項から第7項に記載の複合計測統合ビューアにおいて、表示制御手段は、第1表示領域に、1または複数の特徴量を用いて算出される演算値を設定するためのタブをさらに表示する。
【0157】
これによると、所望の演算値を特徴量の種別としてテンプレートに含めることができるため、当該演算値を表示させるとともに、機械学習に用いることができる。
【0158】
(第9項)第1項から第8項に記載の複合計測統合ビューアにおいて、複数種類の分析機器は、液体クロマトグラフ、ガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフ質量分析装置およびガスクロマトグラフ質量分析装置の少なくとも1つを含む。記憶手段に記憶される特徴量の種別には、保持時間およびクロマトグラムのピーク面積の少なくとも一方が含まれる。
【0159】
(第10項)一態様に係るプログラムは、コンピュータに第1項から9に記載の複合計測統合ビューアとして動作させる。
【0160】
これによると、コンピュータは、複数種類の分析機器による測定結果の横断的な解析を容易にするユーザインターフェイスを提供することができる。
【0161】
なお、上述した実施の形態および変更例について、明細書内で言及されていない組み合わせを含めて、不都合または矛盾が生じない範囲内で、実施の形態で説明された構成を適宜組み合わせることは出願当初から予定されている。
【0162】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0163】
1 複合計測統合ビューア、2 サーバ、3 データベース、4 分析機器、5 装置本体、6 情報処理装置、7 インターネット、11,21,61 ROM、12,22,62 RAM、13,23,63 入力部、14,64 表示部、16,26,66 通信I/F、17 記憶部、18 表示制御部、18A テンプレート作成部、18B 選択部、18C 表示データ生成部、27,67 データ取得部、28 物性値取得部、29 合成部、68 特徴量抽出部、69 情報取得部、100 複合分析装置横断解析システム、101~106 タブ、107,112,113,121,132,133,143 ボタン、108~111,114,115,120,130,131,140~142 テキストボックス、116 特徴量の種別、117,124 チェックボックス、123,186 リスト、144 設定ツール、145,152~155,163,170,201~205 アイコン、RGN1 第1表示領域、RGN2 第2表示領域。