(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】圧縮成形して成形体を製造する方法
(51)【国際特許分類】
B29C 43/36 20060101AFI20231102BHJP
B29C 33/42 20060101ALI20231102BHJP
B29C 43/20 20060101ALI20231102BHJP
B29C 70/46 20060101ALI20231102BHJP
B32B 5/28 20060101ALI20231102BHJP
B32B 5/02 20060101ALI20231102BHJP
B32B 3/28 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
B29C43/36
B29C33/42
B29C43/20
B29C70/46
B32B5/28 A
B32B5/02 B
B32B3/28 A
(21)【出願番号】P 2022560691
(86)(22)【出願日】2021-10-13
(86)【国際出願番号】 JP2021037967
(87)【国際公開番号】W WO2022097438
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】P 2020184217
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】中本 大志朗
(72)【発明者】
【氏名】能登 大輔
(72)【発明者】
【氏名】小永井 祐平
(72)【発明者】
【氏名】北野 一朗
【審査官】北澤 健一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/026031(WO,A1)
【文献】特開2017-065181(JP,A)
【文献】国際公開第2017/056683(WO,A1)
【文献】特開2008-246981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 43/00-43/58
B29C 70/00-70/88
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
雌雄一対の成形型である成形型MAと成形型MBとを用いて、成形型MAに材料Aを、成形型MBに材料Bをそれぞれ接触させて圧縮成形し、成形体を製造する方法であって、
材料Aは炭素繊維と熱可塑性樹脂M1を含み、材料Bはガラス繊維と熱可塑性樹脂M2を含み、
成形体は一対の側壁と、当該側壁を連結する連結壁とを備え、
成形体の断面は波打ち形状を有し、
以下の手順1~手順5で定義される成形体の平面度Faは12mm以下であり、
成形体の平面度Faと側壁の高さhとの関係が0≦Fa/h<1.3である、
成形体の製造方法。
(手順1)表層に存在する材料Bが下側となるように成形体を静置する。
(手順2)断面が波打ち形状に見えるように成形体の断面を観察し、波打ち方向の長さLyが40cmとなるように成形体の観察範囲を切り取る。
(手順3)連結壁で形成された下壁の底面に注目する。
(手順4)下壁の底面を全て含むように、必要最小限の幅で2本の平行な理想直線を描く。
(手順5)理想直線間の距離を平面度Faと定義する。
【請求項2】
成形体の断面は複数の波打ち形状を有し、波打ち方向の長さが1m以上である、請求項1に記載の成形体の製造方法。
【請求項3】
成形体は一対の側壁と、当該側壁を連結する連結壁とを備え、
材料Bが表層に存在する側における、側壁と連結壁とのなす角θ1が、90度≦θ1<160度である、請求項1乃至2のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
【請求項4】
成形型MBは、連結壁を形成するための成形型面S1と、側壁を形成するための成形型面S2を備え、S1とS2とのなす角θ2が、θ1<θ2を満たす、請求項3に記載の成形体の製造方法。
【請求項5】
材料Aの線膨張係数Xaと、材料Bの線膨張係数Xbとしたとき、Xa、Xb、θ1、及びθ2が、下記式(1)及び(2)を満たす、請求項4に記載の成形体の製造方法。
式(1) 0.01≦ Xa/Xb < 1
式(2) 0 ≦(θ2-θ1) ÷ (Xa/Xb) < 1.0×10
3
ただし、
材料Aの線膨張係数Xaとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
材料Bの線膨張係数Xbとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
【請求項6】
圧縮成形に用いる成形型キャビティの
以下の手順1’~手順5’で定義される平面度Fcは、Fa≦Fcを満たす、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
(手順1’)材料Bと接触する成形型が下型になるように成形型キャビティを観察する。
(手順2’)波打ち形状の成形型キャビティ断面を観察し、波打ち方向の長さLycが40cmとなるように成形型キャビティの観察範囲を切り取る。
(手順3’)下壁を形成するための成形型面に注目する。
(手順4’)下壁を形成するための成形型面を全て含むように、必要最小限の幅で2本の平行な理想直線を描く。
(手順5’)理想直線間の距離を平面度Fcと定義する。
【請求項7】
材料Aの線膨張係数Xaと、材料Bの線膨張係数Xbとしたとき、下記式(1)及び(3)を満たす、請求項6に記載の成形体の製造方法。
式(1) 0.01≦ Xa/Xb < 1
式(3) 0 ≦ (Fc-Fa)/h ÷ (Xa/Xb) < 1.0×10
3
ただし、
材料Aの線膨張係数Xaとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
材料Bの線膨張係数Xbとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
【請求項8】
材料Aの線膨張係数Xaと、材料Bの線膨張係数Xbとしたとき、下記式(1)及び(4)を満たす、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
式(1) 0.01≦ Xa/Xb < 1
式(4) 0 < |ta-tb|÷ (Xa/Xb) < 5000
Xa:材料Aの線膨張係数
Xb:材料Bの線膨張係数
ta:成形型MAの温度
tb:成形型MBの温度
ただし、
材料Aの線膨張係数Xaとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
材料Bの線膨張係数Xbとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
【請求項9】
成形型MAが上型であって、成形型MBが下型である、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
【請求項10】
成形体は、耐衝撃吸収体であって、材料Aが衝撃を受ける側となる、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
【請求項11】
材料Aの厚みlaが0.5mm以上5.0mm未満、材料Bの厚みlbが0.5mm以上3.0mm以下であって、
1<la/lb<0.6、又は0.1<lb/la<0.6である、
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
【請求項12】
材料Aの線膨張係数Xaと、材料Bの線膨張係数Xbとしたとき、材料Aの繊維体積割合VfAと、材料Bの繊維体積割合VfBとの関係が、下記式(1)及び(5)を満たす、請求項1乃至11のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
式(1) 0.01≦ Xa/Xb < 1
式(5) 0.3 ≦ VfA/VfB ≦ 3.0
ただし、
材料Aの線膨張係数Xaとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
材料Bの線膨張係数Xbとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
【請求項13】
連結壁と側壁の間に、リブを有する請求項1乃至12のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
【請求項14】
材料Aと材料Bの間に材料Cを有し、
材料Aの線膨張係数Xa、材料Bの線膨張係数Xb、及び材料Cの線膨張係数Xcの関係が、Xa<Xc<Xbを満たす、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
ただし、
材料Aの線膨張係数Xaとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
材料Bの線膨張係数Xbとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
材料Cの線膨張係数Xcとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
【請求項15】
材料Aの線膨張係数Xaと、材料Bの線膨張係数Xbとしたとき、0.8≦Xa/Xb≦1となるように、線膨張緩和剤を混入させた請求項1乃至14のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
ただし、
材料Aの線膨張係数Xaとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
材料Bの線膨張係数Xbとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
【請求項16】
熱可塑性樹脂M1に比べて、線膨張係数が小さい熱可塑性樹脂M2を用いることで、材料Aの線膨張係数Xaと、材料Bの線膨張係数Xbとしたとき、0.8≦Xa/Xb≦1に調整した、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
ただし、
材料Aの線膨張係数Xaとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
材料Bの線膨張係数Xbとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
【請求項17】
成形型MAの温度ta及び成形型MBの温度tbは室温+10℃以下である、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれか1項に記載の製造方法により製造された成形体であり、一対の側壁と、当該側壁を連結する連結壁とを備え、材料Bが表層に存在する側における、側壁と連結壁とのなす角θ1が、90度≦θ1<160度である、成形体の角θ1を応力変形させて小さくし、応力変形後の成形体の平面度Fa’と側壁の高さhとの関係が0≦Fa’/h<0.1とした状態で、成形体を接合し、接合体を製造する方法。
【請求項19】
材料Aと材料Bを積層させた後、圧縮成形する、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
【請求項20】
材料A、及び材料Bは平板形状である、請求項19に記載の成形体の製造方法。
【請求項21】
材料Aと材料Bは成形体となったとき、それぞれ材料層Aと材料層Bを形成する、請求項19又は請求項20のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素繊維と熱可塑性樹脂M1を含む材料Aと、ガラス繊維と熱可塑性樹脂M2を含む材料Bとを積層して圧縮成形して成形体を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、成形体は、機械物性に優れており、自動車等の構造部材として注目されている。
特許文献1、2では、ガラス繊維で強化された熱可塑性樹脂層と、炭素繊維で強化された熱可塑性樹脂を積層させて成形した成形体が記載されている。特許文献3、4には、炭素繊維で強化された熱可塑性樹脂を用いた、波打ち形状の衝撃吸収部材が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-43412号公報
【文献】国際公開第2018/052080号パンフレット
【文献】米国特許公報第9650003号
【文献】米国特許公報第9592853号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら特許文献1に記載の材料は、ガラス繊維複合材料を炭素繊維複合材料でサンドイッチさせた積層構造であるため、炭素繊維複合材料が両表層に配置されている。この場合、両表層にある炭素繊維複合材料の破断伸度が小さいため、例えば自動車の主な要求性能である剛性を満たさず、衝撃を受けたときに衝撃を受けた側の反対側の層が破断しやすい。中央層に存在するガラス繊維複合材料は、大きな破断伸度を持つものの、成形体の内部に存在するため、衝撃を受けたときのクラック防止には寄与しない。
【0005】
特許文献2に記載の成形体は、ガラス繊維複合材料と炭素繊維複合材料を2層で積層しているものの、互いの線膨張係数差による反りの問題が起こる。反りが生じた場合、他部品と組み合わせて、例えば自動車を組み立てすることが難しい。
【0006】
特許文献3、4に記載の発明は、炭素繊維複合材料のみで作成されているため、反りの課題について認識されていない。
【0007】
そこで本発明の目的は、高い耐衝撃性と成形体の「反り」の問題を解決させた成形体の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提供する。
【0009】
1.雌雄一対の成形型である成形型MAと成形型MBとを用いて、成形型MAに材料Aを、成形型MBに材料Bをそれぞれ接触させて圧縮成形し、成形体を製造する方法であって、
材料Aは炭素繊維と熱可塑性樹脂M1を含み、材料Bはガラス繊維と熱可塑性樹脂M2を含み、
成形体は一対の側壁と、当該側壁を連結する連結壁とを備え、
成形体の断面は波打ち形状を有し、
成形体の平面度Faと側壁の高さhとの関係が0≦Fa/h<1.3である、
成形体の製造方法。
【0010】
2.成形体の断面は複数の波打ち形状を有し、波打ち方向の長さが1m以上である、前記1に記載の成形体の製造方法。
3.成形体は一対の側壁と、当該側壁を連結する連結壁とを備え、
材料Bが表層に存在する側における、側壁と連結壁とのなす角θ1が、90度≦θ1<160度である、前記1乃至2のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
4.成形型MBは、連結壁を形成するための成形型面S1と、側壁を形成するための成形型面S2を備え、S1とS2とのなす角θ2が、θ1<θ2を満たす、前記3に記載の成形体の製造方法。
【0011】
5.材料Aの線膨張係数Xaと、材料Bの線膨張係数Xbとしたとき、Xa、Xb、θ1、及びθ2が、下記式(1)及び(2)を満たす、前記4に記載の成形体の製造方法。
式(1) 0.01≦ Xa/Xb < 1
式(2) 0 ≦(θ2-θ1) ÷ (Xa/Xb) < 1.0×103
ただし、
材料Aの線膨張係数Xaとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
材料Bの線膨張係数Xbとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
【0012】
6.圧縮成形に用いる成形型キャビティの平面度Fcは、Fa≦Fcを満たす、前記1乃至5のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
【0013】
7.材料Aの線膨張係数Xaと、材料Bの線膨張係数Xbとしたとき、下記式(1)及び(3)を満たす、前記6に記載の成形体の製造方法。
式(1) 0.01≦ Xa/Xb < 1
式(3) 0 ≦ (Fc-Fa)/h ÷ (Xa/Xb) < 1.0×103
ただし、
材料Aの線膨張係数Xaとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
材料Bの線膨張係数Xbとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
【0014】
8.材料Aの線膨張係数Xaと、材料Bの線膨張係数Xbとしたとき、下記式(1)及び(4)を満たす、前記1乃至7のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
式(1) 0.01≦ Xa/Xb < 1
式(4) 0 < |ta-tb|÷ (Xa/Xb) < 5000
Xa:材料Aの線膨張係数
Xb:材料Bの線膨張係数
ta:成形型MAの温度
tb:成形型MBの温度
ただし、
材料Aの線膨張係数Xaとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
材料Bの線膨張係数Xbとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
【0015】
9.成形型MAが上型であって、成形型MBが下型である、前記1乃至8のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
10.成形体は、耐衝撃吸収体であって、材料Aが衝撃を受ける側となる、前記1乃至9のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
【0016】
11.材料Aの厚みlaが0.5mm以上5.0mm未満、材料Bの厚みlbが0.5mm以上3.0mm以下であって、
1<la/lb<0.6、又は0.1<lb/la<0.6である、
前記1乃至10のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
【0017】
12.材料Aの線膨張係数Xaと、材料Bの線膨張係数Xbとしたとき、材料Aの繊維体積割合VfAと、材料Bの繊維体積割合VfBとの関係が、下記式(1)及び(5)を満たす、前記1乃至11のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
式(1) 0.01≦ Xa/Xb < 1
式(5) 0.3 ≦ VfA/VfB ≦ 3.0
ただし、
材料Aの線膨張係数Xaとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
材料Bの線膨張係数Xbとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
【0018】
13.連結壁と側壁の間に、リブを有する前記1乃至12のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
【0019】
14.材料Aと材料Bの間に材料Cを有し、
材料Aの線膨張係数Xa、材料Bの線膨張係数Xb、及び材料Cの線膨張係数Xcの関係が、Xa<Xc<Xbを満たす、前記1乃至13のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
ただし、
材料Aの線膨張係数Xaとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
材料Bの線膨張係数Xbとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
材料Cの線膨張係数Xcとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
【0020】
15.材料Aの線膨張係数Xaと、材料Bの線膨張係数Xbとしたとき、0.8≦Xa/Xb≦1となるように、線膨張緩和剤を混入させた前記1乃至14のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
ただし、
材料Aの線膨張係数Xaとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
材料Bの線膨張係数Xbとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
【0021】
16.熱可塑性樹脂M1に比べて、線膨張係数が小さい熱可塑性樹脂M2を用いることで、材料Aの線膨張係数Xaと、材料Bの線膨張係数Xbとしたとき、0.8≦Xa/Xb≦1に調整した、前記1乃至15のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
ただし、
材料Aの線膨張係数Xaとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
材料Bの線膨張係数Xbとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
【0022】
17.成形型MAの温度ta及び成形型MBの温度tbは室温+10℃以下である、前記1乃至16のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
18.前記1乃至17のいずれか1項に記載の製造方法により製造された成形体であり、一対の側壁と、当該側壁を連結する連結壁とを備え、材料Bが表層に存在する側における、側壁と連結壁とのなす角θ1が、90度≦θ1<160度である、成形体の角θ1を応力変形させて小さくし、応力変形後の成形体の平面度Fa’と側壁の高さhとの関係が0≦Fa’/h<0.1とした状態で、成形体を接合し、接合体を製造する方法。
19.材料Aと材料Bを積層させた後、圧縮成形する、前記1乃至17のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
20.材料A、及び材料Bは平板形状である、前記19に記載の成形体の製造方法。
21.材料Aと材料Bは成形体となったとき、それぞれ材料層Aと材料層Bを形成する、前記19又は前記20のいずれか1項に記載の成形体の製造方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明の製造方法により製造される成形体では、剛性のある炭素繊維を含む材料Aを表層(好ましくは意匠面)として剛性を持たせ、反対の表層をガラス繊維を含む材料Bとすることで、成形体における材料A側に衝撃を受けたとき、反対側に存在する材料Bの破断伸度が大きいため、材料Bにクラックが入りにくい。また、本発明の製造方法により製造される成形体は、耐衝撃に加えて、反りの問題を解決できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の製造方法により製造される成形体の一例を示す模式図。
【
図2】(a)雌雄一対の成形型の開いた状態を示す模式図。(b)雌雄一対の成形型の閉じた状態を示す模式図。
【
図3】(a)材料(A)と材料(B)を積層させて、成形型で圧縮成形している状態を示す模式図。(b)成形型から取り出した成形体を示す模式図。
【
図4】本発明の製造方法により製造される成形体の一例を示す模式図。
【
図5】(a)雌雄一対の成形型の開いた状態を示す模式図。(b)雌雄一対の成形型の閉じた状態を示す模式図。
【
図6】(a)材料(A)と材料(B)を積層させて、成形型で圧縮成形している状態を示す模式図。(b)成形型から取り出した成形体を示す模式図。
【
図7】(a)(b)連結壁と側壁の間に、リブを有する成形体を示す模式図。
【
図8】(a)(b)角θ1を応力変形させ、角θ3とした状態で成形体を別部品と接合し、接合体を製造するのを示す模式図。
【
図9】(a)波打ち方向の長さLyが40cmとなるように成形体の観察範囲を切り取り、波打ち形状の断面を観察した模式図であり、平面度の測定方法を例示する。(b)下壁を示す模式図。(c)下壁の下面を示す模式図。
【
図11】本発明の製造方法により製造される成形体の一例を示す模式図。
【
図12】成形型キャビティの平面度Fcの測定方法を例示する模式図。
【
図13】成形体作成直後から、時間経過によって反る現象を例示する模式図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[材料]
本明細書において、材料A、材料B、又は材料Cを総じて単に「材料」ということがある。「材料」とは、材料A、材料B、又は材料Cであったり、複数をあわせた材料A/材料Bなどの積層体を含む概念である。
【0026】
材料Aと材料Bは平板形状であることが好ましく、平板形状の材料Aと材料Bを積層させて圧縮成形した後、成形体となったときに材料層A、材料層Bをそれぞれ形成していることが好ましい。平板形状の材料は、成形体となったときには単一層を形成する。
【0027】
[材料Aと材料B]
材料Aは炭素繊維と熱可塑性樹脂M1を含み、材料Bはガラス繊維と熱可塑性樹脂M2を含む。
本発明における成形体の製造は、雌雄一対の成形型である成形型MAと成形型MBとを用いて、成形型MAに材料Aを、成形型MBに材料Bをそれぞれ接触させて圧縮成形する。言い換えると、作成された成形体の一方の表面は材料Aであり、反対側の表面は材料Bである。材料の積層構成に特に限定は無く、A/Bであっても良いし、A/B/A/Bの4層構成であっても良いし、A/B/A/B/A/Bの6層構成であっても良い。ここで、単に「A」、「B」と記載しているのは、各層を意味する。
【0028】
成形体の一方の表面は材料Aであり、反対側の表面は材料Bであることで、特に材料Aの面へ衝撃を受けた場合に、反対側の表層にある材料Bは破断伸度が大きいため、材料Bにクラックが入りにくいという点で好ましい。ただし、材料Bのみであると成形体の剛性が不足するため、炭素繊維を含んだ材料Aを一方の表層に配置させる必要がある。言い換えると、本発明の製造方法により製造される成形体は、耐衝撃吸収体であって、材料Aが衝撃を受ける面となる成形体であることが好ましい。成形体は剛性及び耐衝撃性の両方が求められる自動車部品用であることが好ましい。
【0029】
一方、例えば特開2018-43412号公報に記載のように、炭素繊維を含んだ材料Aで、ガラス繊維を含んだ材料Bを挟み込んだA/B/Aの構成や、B/A/Bのような線対称の層構成の場合、線膨張係数の差は打ち消されるため、成形体の反りは抑制しやすいものの、以下の課題がある。
【0030】
A/B/Aの場合は、衝撃を受けた際に、衝撃を受ける側とは反対側の表層が炭素繊維複合材料であるため、クラックが発生しやすい。B/A/Bの場合は、剛性に寄与する表層に炭素繊維が含まれていないため、成形体は十分な剛性を持たない。材料Aが中央層に存在すると、成形体の剛性確保にほとんど寄与しない。
【0031】
[材料Aと材料Bの厚み]
材料Aと材料Bの厚みに特に限定は無いが、材料Aの厚みlaが0.5mm以上5.0mm未満、材料Bの厚みlbが0.5mm以上3.0mm以下であることが好ましく、0.1<la/lb<0.6、又は0.1<lb/la<0.6であることが好ましい。より好ましくは、0.1<la/lb<0.2、又は0.1<lb/la<0.2である。この範囲であれば、互いの材料に線膨張係数の差があっても、その差が反りとして表れにくい。
【0032】
材料Aの厚みlaの上限は4.0mm以下であればより好ましく、3.0mm以下であれば更に好ましい。
材料Bの厚みlbの上限は2.0mm以下であればより好ましく、1.5mm以下であれば更に好ましく、1.0mm以下であればより一層好ましい。
【0033】
各層の材料の厚みは、圧縮成形後の成形体内部で均一であっても良い。言い換えると、本発明の圧縮成形は非流動成形であって、チャージ率100%以上で材料を成形型にチャージして圧縮成形しても良い。
ただし、チャージ率(%)=100×材料Aと材料Bを積層させた後の投影面積(mm2)/成形型キャビティ面積(mm2)である。
材料Aと材料Bが平板形状であれば、容易に投影面積を測定できる。
【0034】
[材料C]
本発明の成形体を製造する際の材料として、材料Aと材料Bの間に材料Cを有していても良い。このとき、材料Aの線膨張係数Xaと、材料Bの線膨張係数Xb、材料Cの線膨張係数Xcとの関係が、Xa<Xc<Xbを満たすと好ましい。Xa<Xb<Xc、又はXc<Xa<Xbであっても良い。このときの層構成はA/C/Bの三層構成だけでなく、A/C/A/Bや、A/B/C/Bなどの四層構成や、A/C/B/A/Bや、A/B/A/C/Bなどの五層構成であっても良い。ここで、単に「A」、「B」、「C」と記載してるのは、各層を意味する。
【0035】
ただし、本発明における成形体の製造は、雌雄一対の成形型である成形型MAと成形型MBとを用いて、成形型MAに材料Aを、成形型MBに材料Bをそれぞれ接触させて圧縮成形する。そのため、材料Cを有していても、成形体の一方の表面は材料Aであり、反対側の表面は材料Bであることに変わりはない。
言うまでも無く、成形体は材料C以外の材料Dなどを有していても良い。
【0036】
[炭素繊維]
材料Aは炭素繊維を含む。炭素繊維としては、一般的にポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維、石油・石炭ピッチ系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、セルロース系炭素繊維、リグニン系炭素繊維、フェノール系炭素繊維、などが知られているが、本発明においてはこれらのいずれの炭素繊維であっても好適に用いることができる。なかでも、本発明においては引張強度に優れる点でポリアクリロニトリル(PAN)系炭素繊維を用いることが好ましい。
【0037】
[炭素繊維の繊維直径]
本発明に用いられる炭素繊維の単糸(一般的に、単糸はフィラメントと呼ぶ場合がある)の繊維直径は、炭素繊維の種類に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではない。平均繊維直径は、通常、3μm~50μmの範囲内であることが好ましく、4μm~12μmの範囲内であることがより好ましく、5μm~8μmの範囲内であることがさらに好ましい。炭素繊維が繊維束状である場合は、繊維束の径ではなく、繊維束を構成する炭素繊維(単糸)の直径を指す。炭素繊維の平均繊維直径は、例えば、JISR-7607:2000に記載された方法によって測定することができる。
【0038】
[ガラス繊維]
材料Bはガラス繊維を含む。ガラス繊維の種類に特に限定は無く、Eガラス、AガラスまたはCガラスからなるガラス繊維のいずれをも使用することができ、また、これらを混合して使用することもできる。本発明におけるガラス繊維に特に限定は無いが、ガラス繊維の平均繊維直径は、1μm~50μmが好ましく、5μm~20μmがより好ましい。
【0039】
[サイジング剤]
本発明に用いられる炭素繊維又はガラス繊維は、表面にサイジング剤が付着しているものであってもよい。サイジング剤が付着している強化繊維を用いる場合、当該サイジング剤の種類は、強化繊維及びマトリクス樹脂の種類に応じて適宜選択することができるものであり、特に限定されるものではない。
【0040】
[重量平均繊維長]
炭素繊維は不連続繊維であって、その重量平均繊維長は1mm以上100mm以下であることが好ましい。同様に、ガラス繊維は不連続繊維であって、その重量平均繊維長は1mm以上100mm以下であることが好ましい。反りの問題を解消するには連続繊維であることが好ましいものの、成形性を向上させる観点では、上記重量平均繊維長の範囲が好ましい。
【0041】
以下、ガラス繊維及び又は炭素繊維を総称して、「強化繊維」と記述する。言い換えると、強化繊維はガラス繊維、又は炭素繊維の少なくともいずれか一方である。
【0042】
強化繊維の重量平均繊維長は、5mm以上100mm以下であることがより好ましく、5mm以上80mm以下であることが更に好ましく、10mm以上60mm以下であることがより一層好ましい。強化繊維の重量平均繊維長が100mm以下の場合、材料A及び又は材料Bの流動性が向上し、圧縮成形する際に、所望の成形体形状を得やすい。一方、重量平均繊維長が1mm以上の場合、成形体の機械強度が向上しやすい。
【0043】
本発明においては繊維長が互いに異なる強化繊維を併用してもよい。換言すると、強化繊維は、重量平均繊維長に単一のピークを有するものであってもよく、あるいは複数のピークを有するものであってもよい。
【0044】
強化繊維の平均繊維長は、例えば、成形体から無作為に抽出した100本の繊維の繊維長を、ノギス等を用いて1mm単位まで測定し、下記式(a)に基づいて求めることができる。平均繊維長の測定は、重量平均繊維長(Lw)で測定する。
【0045】
個々の強化繊維の繊維長をLi、測定本数をjとすると、数平均繊維長(Ln)と重量平均繊維長(Lw)とは、以下の式(a)、(b)により求められる。
Ln=ΣLi/j・・・式(a)
Lw=(ΣLi2)/(ΣLi)・・・式(b)
なお、繊維長が一定長の場合は数平均繊維長と重量平均繊維長は同じ値になる。
【0046】
成形体から強化繊維の抽出は、例えば、成形体に対し、500℃×1時間程度の加熱処理を施し、炉内にて樹脂を除去することによって行うことができる。
【0047】
[材料Aの繊維体積割合VfAと、材料Bの繊維体積割合VfB]
本発明において、材料A、又は材料Bに含まれる繊維体積割合に特に限定は無いが、式(1)及び(5)を満たすことが好ましい。
式(1) 0.01≦ Xa/Xb < 1
式(5) 0.3 ≦ VfA/VfB ≦ 3.0
【0048】
式(5)の上限は、VfA/VfB≦1.6がより好ましく、VfA/VfB≦1.0が更に好ましく、VfA/VfB≦0.8がより一層好ましい。
式(5)の下限は、0.4≦VfA/VfBがより好ましく、0.5≦VfA/VfBが更に好ましく、0.6≦VfA/VfBがより一層好ましい。
式(5)を満たすことで反りの問題をより解消できる。
なお、繊維体積割合は下記式(c)、(d)で定義される。本明細書において材料A、又は材料Bの繊維体積割合をVfA、又はVfBとそれぞれ呼ぶことがある。
【0049】
繊維体積割合(VfA)=100×炭素繊維体積/(炭素繊維体積+材料Aの熱可塑性樹脂体積) ・・・ 式(c)
繊維体積割合(VfB)=100×ガラス繊維体積/(ガラス繊維体積+材料Bの熱可塑性樹脂体積) ・・・ 式(d)
より具体的には、繊維体積割合(VfA)は10Vol%以上60Vol%以下であることが好ましく、20Vol%以上50Vol%以下であることがより好ましく、25Vol%以上45Vol%以下であればさらに好ましい。
【0050】
繊維体積割合(VfB)は、10Vol%以上60Vol%以下であることが好ましく、20Vol%以上50Vol%以下であることがより好ましく、25Vol%以上45Vol%以下であればさらに好ましい。
【0051】
材料A、又は材料Bにおける強化繊維体積割合(VfA、VfB)が10Vol%以上の場合、所望の機械特性が得られやすい。一方で、強化繊維体積割合(VfA、VfB)が60Vol%を超えない場合、プレス成形等に使用する際の流動性が良好で、所望の成形体形状を得られやすい。
【0052】
[材料Aの繊維形態]
1.束形態
炭素繊維は繊維長が5mm以上の不連続繊維であって、繊維束0.3mm未満の炭素繊維a1と、束幅0.3mm以上3.0mm以下の炭素繊維束a2とを含んでいることが好ましい。材料Aに含まれる炭素繊維に対する炭素繊維束a2の体積割合は、5Vol%以上95Vol%未満が好ましく、10Vol%以上90Vol%未満がより好ましい。
【0053】
2.分散
材料Aにおいて、炭素繊維は面内方向に分散していることが好ましい。面内方向とは、成形体の板厚方向に直交する方向であり、板厚方向に直交する平行な面の不定の方向を意味している。
【0054】
更に、炭素繊維は面内方向に2次元方向にランダムに分散していることが好ましい。材料Aを流動させずに圧縮成形した場合、成形前後で炭素繊維の形態はほぼ維持されるため、材料Aを成形した成形体に含まれる炭素繊維も同様に、成形体の面内方向に2次元ランダムに分散していることが好ましい。
【0055】
ここで、2次元ランダムに分散しているとは、炭素繊維が、成形体の面内方向において一方向のような特定方向ではなく無秩序に配向しており、全体的には特定の方向性を示すことなくシート面内に配置されている状態を言う。この2次元ランダムに分散している不連続繊維を用いて得られる材料A(又は成形体)は、面内に異方性を有しない、実質的に等方性の材料A(又は成形体)である。
【0056】
なお、2次元ランダムの配向度は、互いに直交する二方向の引張弾性率の比を求めることで評価する。成形体の任意の方向、及びこれと直交する方向について、それぞれ測定した引張弾性率の値のうち大きいものを小さいもので割った(Eδ)比が5以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1.5以下であれば、炭素繊維が2次元ランダムに分散していると評価できる。成形体は形状を有しているため、面内方向への2次元ランダム分散の評価方法としては、軟化温度以上に加熱して平板形状に戻して固化すると良い。その後、試験片を切り出して引張弾性率を求めると、2次元方向のランダム分散状態を確認できる。
【0057】
[材料Bの繊維形態]
材料Bにおいて、ガラス繊維は面内方向に分散していることが好ましい。面内方向とは、成形体の板厚方向に直交する方向であり、板厚方向に直交する平行な面の不定の方向を意味している。
【0058】
更に、ガラス繊維は面内方向に2次元方向にランダムに分散していることが好ましい。材料Bを流動させずに圧縮成形した場合、成形前後でガラス繊維の形態はほぼ維持されるため、材料Bを成形した成形体に含まれるガラス繊維も同様に、成形体の面内方向に2次元ランダムに分散していることが好ましい。
【0059】
ここで、2次元ランダムに分散しているとは、ガラス繊維が、成形体の面内方向において一方向のような特定方向ではなく無秩序に配向しており、全体的には特定の方向性を示すことなくシート面内に配置されている状態を言う。この2次元ランダムに分散している不連続繊維を用いて得られる材料B(又は成形体)は、面内に異方性を有しない、実質的に等方性の材料B(又は成形体)である。
【0060】
なお、2次元ランダムの配向度は、互いに直交する二方向の引張弾性率の比を求めることで評価する。成形体の任意の方向、及びこれと直交する方向について、それぞれ測定した引張弾性率の値のうち大きいものを小さいもので割った(Eδ)比が5以下、より好ましくは2以下、更に好ましくは1.5以下であれば、ガラス繊維が2次元ランダムに分散していると評価できる。成形体は形状を有しているため、面内方向への2次元ランダム分散の評価方法としては、軟化温度以上に加熱して平板形状に戻して固化すると良い。その後、試験片を切り出して引張弾性率を求めると、2次元方向のランダム分散状態を確認できる。
【0061】
[熱可塑性樹脂M1]
本発明における熱可塑性樹脂M1の種類は特に限定されるものではなく、所望の軟化点又は融点を有するものを適宜選択して用いることができる。上記熱可塑性のマトリクス樹脂としては、通常、軟化点が180℃~350℃の範囲内のものが用いられるが、これに限定されるものではない。
【0062】
熱可塑性樹脂M1の種類としては、例えば、塩化ビニル系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル-スチレン系樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン系樹脂(ABS樹脂)、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、各種の熱可塑性ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレンナフタレート系樹脂、ポリブチレンナフタレート系樹脂、ボリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリフェニレンエーテ系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリ乳酸系樹脂などが挙げられる。
【0063】
本発明における熱可塑性樹脂は、結晶性樹脂であっても、非晶性樹脂であっても良い。結晶性樹脂の場合、好ましい結晶性樹脂は、具体的にはナイロン6などのポリアミド系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂などを挙げる事ができる。中でも、ポリアミド系樹脂、ポリブチレンテレフタレート系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂は、耐熱性や機械的強度に優れるなど好適に用いられる。
【0064】
ポリアミド系樹脂の一つであるナイロン(以下「PA」と略記することがある)としては、PA6(ポリカプロアミド、ポリカプロラクタム、ポリε-カプロラクタムとも称される)、PA26(ポリエチレンアジパミド)、PA46(ポリテトラメチレンアジパミド)、PA66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、PA69(ポリヘキサメチレンアゼパミド)、PA610(ポリヘキサメチレンセバカミド)、PA611(ポリヘキサメチレンウンデカミド)、PA612(ポリヘキサメチレンドデカミド)、PA11(ポリウンデカンアミド)、PA12(ポリドデカンアミド)、PA1212(ポリドデカメチレンドデカミド)、PA6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、PA6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、PA912(ポリノナメチレンドデカミド)、PA1012(ポリデカメチレンドデカミド)、PA9T(ポリノナメチレンテレフタラミド)、PA9I(ポリノナメチレンイソフタルアミド)、PA10T(ポリデカメチレンテレフタラミド)、PA10I(ポリデカメチレンイソフタルアミド)、PA11T(ポリウンデカメチレンテレフタルアミド)、PA11I(ポリウンデカメチレンイソフタルアミド)、PA12T(ポリドデカメチレンテレフタラミド)、PA12I(ポリドデカメチレンイソフタルアミド)、ポリアミドMXD6(ポリメタキシリレンアジパミド)からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0065】
[熱可塑性樹脂M2]
本発明における熱可塑性樹脂M2は、熱可塑性樹脂と同様に、その種類は特に限定されるものではなく、所望の軟化点又は融点を有するものを適宜選択して用いることができる。上記熱可塑性のマトリクス樹脂としては、通常、軟化点が180℃~350℃の範囲内のものが用いられるが、これに限定されるものではない。
【0066】
熱可塑性樹脂M2は熱可塑性樹脂M1と同じ種類であっても良いし、熱可塑性樹脂M1に比べて、線膨張係数が小さい熱可塑性樹脂M2を用いることで、材料Aの線膨張係数Xaと、材料Bの線膨張係数Xbとしたとき、0.8≦Xa/Xb≦1に調整した熱可塑性樹脂M2であっても良い。
【0067】
[線膨張緩和剤]
材料Aの線膨張係数Xaと、材料Bの線膨張係数Xbとしたとき、0.8≦Xa/Xb≦1となるように、材料A及び又は材料Bへ、線膨張緩和剤を混入させても良い。
【0068】
[その他の剤]
本発明で用いる材料A又は材料Bには、本発明の目的を損なわない範囲で、有機繊維または無機繊維の各種繊維状または非繊維状のフィラー、難燃剤、耐UV剤、安定剤、離型剤、顔料、軟化剤、可塑剤、界面活性剤、中空ガラスビーズ等の添加剤を含んでいてもよい。
【0069】
[線膨張係数の測定方向]
圧縮成形した際の成形体の「反り」は、圧縮成形の完了直後から、時間が経過して成形体の温度が低下した場合に成形体が変形する現象であり、典型的には、成形体作成直後から、時間経過とともに線膨張係数の大きい材料B側に引っ張られることによる現象である。例えば、
図13の上の作成直後の成形体のように、コールゲート方向(波打ち方向)の成形体端部がZ軸下向きに変形する現象である。これは、波打ち方向(一対の側壁における一方の側壁と他方の側壁とが対向する方向であり、例えば、
図13の下の成形体の波打ち方向はY軸方向)の線膨張係数が材料Aと材料Bで異なるためである。したがって、線膨張係数は以下の定義である。
【0070】
材料Aの線膨張係数Xaとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
【0071】
材料Bの線膨張係数Xbとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
【0072】
材料Cの線膨張係数Xcとは、成形体となった時に、波打ち方向となる方向における材料の線膨張係数である。
【0073】
なお、(特に非流動成形をした場合に)材料であったときの線膨張係数と成形体となった後の材料の線膨張係数はほぼ一致するため、材料の線膨張係数を測定しても良いし、成形体からサンプリングして線膨張係数を測定しても良い。成形体の連結壁からサンプリングする場合は
図13の波打ち方向(
図13のY軸方向)であるが、立壁(側壁)からサンプリングする際は、波打ち方向(
図13のY軸)というよりは、行路方向(
図13のZ軸方向)となる。
【0074】
[材料と成形体の関係]
本発明において、材料とは成形体を作成するための材料であり、材料A、材料B(又は材料Cなどのその他の層)は、圧縮成形されて成形体となる。したがって、本発明における材料A、材料Bは平板形状が好ましい。一方、成形体は賦形されて3次元形状となる。
【0075】
熱可塑性樹脂を用いて圧縮成形(特にコールドプレス)した場合、成形前後で強化繊維の形態はほぼ維持されるため、成形体に含まれる炭素繊維やガラス繊維の形態を分析すれば、材料A、材料Bの炭素繊維やガラス繊維の形態がどのようなものであったか分かる。コールドプレスする際に、材料を流動させずに成形した場合(非流動成形)、繊維形態はほぼ変わらない。
【0076】
[成形体]
1.側壁と連結壁
本発明における成形体は一対の側壁と、当該側壁と連結する連結壁とを備える。
側壁とは、例えば
図1、
図4でいう101、401である。連結壁とは、例えば
図1、
図4でいう102、402、403である。
図1、
図4に描かれているように、連結壁は一対の側壁を連結している。
【0077】
連結壁は、
図4で描かれているように、上壁の連結壁(402)と、下壁の連結壁(403)を含む概念である。上壁(
図4の402)とは、表層に存在する材料Bが下側となるように成形体を静置したとき、上側にある連結壁をさす。下壁(
図4の403)とは、表層に存在する材料Bが下側となるように成形体を静置したとき、下側にある連結壁をさす。
【0078】
2.波打ち形状
本発明における成形体の断面は波打ち形状を有する。ここで、波打ち形状の断面とは
図1の断面図に例示するように、波打ちが一つであっても良い。成形体の断面は複数の波打ち形状を有することが好ましい(例えば
図4)。波打ち方向の長さが1m以上であることが好ましく、成形体の断面は複数の波打ち形状を有し、波打ち方向の長さが1m以上であることが更に好ましい。ここでいう波打ち方向とは、例えば
図4のY軸方向である。断面が波打ち形状を有する成形体とは、断面観察したときに波打ちが観察できる成形体をいう。面内方向(厚み方向に対して垂直な方向)で観察するのが一般的である。
【0079】
3.平面度Faと側壁の高さh
本発明の成形体の平面度Faと側壁の高さhとの関係は、0≦Fa/h<1.3である。
【0080】
3.1
本発明の平面度Faは、以下の手順1~手順5で定義される。
(手順1)表層に存在する材料Bが下側となるように成形体を静置する。
(手順2)断面が波打ち形状に見えるように成形体の断面を観察し、波打ち方向の長さLyが40cmとなるように成形体の観察範囲を切り取る。
(手順3)連結壁で形成された下壁の底面に注目する。
(手順4)下壁の底面を全て含むように、必要最小限の幅で2本の平行な理想直線を描く。
(手順5)理想直線間の距離を平面度Faと定義する。
手順1~手順5を
図9を用いて説明する。
【0081】
図9は、表層に存在する材料Bが下側になるように静置した成形体を示す。紙面下側の成形体の表層は材料Bで覆われている。
図9のY軸方向が波打ち方向であり、
図9(a)では、長さLyが40cmとなるように成形体の観察範囲を切り取り、波打ち形状の断面を観察した図である(手順2)。連結壁の下壁とは、
図9の902に示す領域である。また、下壁の底面とは
図9の903で示す面である(手順3)。2本の平行な理想直線とは、
図9の901で例示される。2本の平行な理想直線(901)は両者の間隔が最小になるように描かれている(必要最小限の幅で2本の平行な理想直線が描かれている)。
【0082】
なお、
図9の成形体の天地を逆転させ、紙面下側の成形体表面が材料Aで覆われている状態で(材料Aが机上に接触している状態で)観察して測定する方法は、本発明においては採用しない。
波打ち方向の長さLyの切り取り場所によってFaが変わる場合、1か所でも0≦Fa/h<1.3を満たすようにFaを設計すれば良い。
【0083】
3.2
本発明の側壁の高さhは、
図10のhで例示され、波打ち形状の断面を観察したときの上壁と下壁との距離を指す。より具体的には、一つの側壁と直結する上壁と下壁を観察したときに、該上壁と該下壁を全て含むように、必要最小限の幅で2本の平行な理想直線を描いたときの、理想直線間の距離が高さhである。
図10に描かれている2本の点線は、両者の間隔が最小になるように描かれている。
成形体が複数の高さhを持つとき、少なくとも一つのhが、0≦Fa/h<1.3を満たせば良い。
【0084】
3.3
Fa/h=0の場合、成形体の下壁は理想平面になっている。Fa/h<1.3であれば、他部品と組み合わせて、例えば自動車を組み立てすることが容易である。好ましくは0≦Fa/h≦1.0であり、より好ましくは0≦Fa/h≦0.7であり、更に好ましくは0≦Fa/h≦0.4であり、より一層好ましくは0≦Fa/h≦0.1である。
【0085】
4.角度θ1
成形体は、材料Bが表層に存在する側における側壁と連結壁とのなす角θ1が、90度≦θ1<160度であると好ましい。材料Bが表層に存在する側における側壁と連結壁とのなす角θ1は、例えば
図1、
図4のθ1で示される。すなわち、波打ち形状の断面を観察したときに角θ1は測定できる。
【0086】
また、
図1、
図4の成形体は複数の同じ角度のθ1を備えている。角θ1が複数存在し、それぞれが異なる角度である場合は、材料Bが表層に存在する側における側壁と連結壁とのなす角のうち、最小の角度のものを角θ1とする。
より好ましい角θ1の範囲は95度≦θ1<135度であり、更に好ましくは95度≦θ1<125度であり、より一層好ましくは98度≦θ1<120度である。
【0087】
5.線膨張係数差によるアングルチェンジ
本発明の材料Aと材料Bはそれぞれ炭素繊維とガラス繊維を含んでいるため、材料Aと材料Bの線膨張係数には差がでる。材料Aの線膨張係数Xaと、材料Bの線膨張係数Xbとし、繊維種類以外の条件を同一にしたときは(VfA=VfB、熱可塑性樹脂M1とM2の種類が同一など)、Xa/Xb<1である。
【0088】
材料Aと材料Bの線膨張係数に差があるとき、材料Aと材料Bを積層して波打ち形状に成形体を常温より高い温度で作成した場合、線膨張係数の大きな層は、線膨張係数の小さい層を引っ張る。具体的には、Xa/Xb<1のとき、材料Bは材料Aを引っ張るため、例えば
図3、
図6では圧縮成形が終了した直後から、時間経過とともに紙面下方向に、成形体の(波打ち方向の)両端部が反っていく。この結果、材料Bが表層に存在する側における側壁と連結壁とのなす角が、成形体直後と、暫く時間が経過した後では角度が変化する(アングルチェンジと呼ぶ場合がある)。成形体の角度θ1を目的の角度にするためには、どの程度角度が変化するのかを予め予測しておく必要がある。
【0089】
成形直後と暫く時間が経過した後での角度の変化(アングルチェンジ)は、波打ち方向の長さが長くなるほど(具体的には波打ち方向の長さが1m以上になると)、角θ1の数が増えるほど、成形体全体の反りの課題は顕著になる。本発明の好ましい製造方法を用いれば、このような顕著な課題を持っていても、Fa/hの値が小さい成形体を製造できる。
【0090】
6.リブ
本発明における成形体は、連結壁と側壁の間に、リブを有することが好ましい。リブは、例えば
図7(a)、(b)の701で例示される。リブを配置することにより、線膨張係数に差のある材料Aと材料Bを圧縮成形しても、反りにくくなる。
【0091】
[接合体]
角θ1を応力変形させて小さくし、応力変形後の成形体の平面度Fa’と側壁の高さhとの関係が0≦Fa’/h<0.1とした状態で、別部品と接合して接合体を製造しても良い。例えば
図8(a)のように、僅かに反った成形体を
図8(a)の矢印801のように応力を加えた上で、別部品(
図8の802)と接合しても良い。ここで、平面度Fa’とは、接合した状態での成形体の平面度を意味する。接合は
図8(b)のようにボルト締結しても良いし、接着剤で接着しても良い。
【0092】
[圧縮成形]
本発明は、雌雄一対の成形型である成形型MAと成形型MBとを用いて、成形型MAに材料Aを、成形型MBに材料Bをそれぞれ接触させて圧縮成形し、成形体を製造する方法である。
図3(a)と
図6(a)に、材料Aが成形型MAに接触し、材料Bが成形型MBに接触している様子を示す。ここで、雌雄一対の成形型である成形型MAと成形型MBとは、それぞれが雌雄一対の両型の成形型ではなく、成形型MAと成形型MBは片型であって、成形型MAと成形型MBとが雌雄一対をなす意味である。また、例えば
図2に示している通り、どちらか一方の片型が雄部分、もう一方の片型が雌部分を有していれば良い。両方の成形型に雄雌(凹凸又は凸凹)がそれぞれあっても良い。
【0093】
1.成形型の上下
成形型MAと成形型MBの上下に特に限定は無いが、成形型MAが上型であり、成形型MBが下型であることが好ましい。圧縮成形がコールドプレスであって、成形型MAが上型であり、成形型MBが下型であることが更に好ましい。理由を次に記す。
【0094】
(理由1)
コールドプレスする場合、材料A、材料Bに比べて上下の成形型の温度は低いため、材料が成形型に接触した瞬間に材料に含まれる熱可塑性樹脂は固化する。材料Aは炭素繊維を含む層であるため熱伝導性が高く、ガラス繊維を含んだ材料Bよりも、同じ条件(樹脂、添加剤、Vfなどが同じ)であれば冷えやすいために流動性が劣る。したがってコールドプレスする場合は、如何に材料Aの温度低下を防止するかが課題となっている。
【0095】
材料Aと材料Bを積層させた材料をコールドプレスする際、流動性を担保するには、材料Aを圧縮開始直前まで成形型MAに接触させないように担保すると好ましく、そのためには材料Bを下型の成形型MBに接触させて配置し、材料Aを上型に接触させて圧縮成形すると良い。この場合、材料Aは圧縮成形直前まで成形型に触れないので、温度低下を防止しやすい。
【0096】
(理由2)
材料Aは炭素繊維を含んでいるため、外観が美しく、表面にあると顧客への訴求力が高い。特に、材料Aにシボを有すると、その意匠性は格別である。材料Aにシボを形成するためには、材料Aを成形型MAに接触させた直後に圧縮成形する必要がある。このとき、成形型MAは上型となる。
【0097】
2.圧縮成形
圧縮成形はホットプレス成形やコールドプレス成形などの成形方法を利用できるが、とりわけコールドプレス成形を用いた圧縮成形が好ましい。コールドプレス成形は、例えば、第1の所定温度に加熱した成形体を第2の所定温度に設定された成形型内に投入した後、加圧・冷却を行う。
【0098】
具体的には、材料Aと材料B(場合によっては材料Cなど)を構成する熱可塑性樹脂が同じ種類であって、それが結晶性である場合、第1の所定温度は融点以上であり、第2の所定温度は融点未満である。熱可塑性樹脂が同じ種類であって、それが非晶性である場合、第1の所定温度はガラス転移温度以上であり、第2の所定温度はガラス転移温度未満である。
【0099】
熱可塑性樹脂が異なる樹脂である場合は、樹脂の融点又はガラス転移温度の高い方を基準に、第1の所定温度を定め、樹脂の融点又はガラス転移温度の低い方を基準に、第2の所定温度を決定する。
【0100】
すなわち、コールドプレス法は、少なくとも以下の工程A2)~A1)を含んでいる。
工程A1)材料を、第1の所定温度に加温する工程。
工程A2)上記工程A1)で加温された材料を、第2の所定温度に調節された成形型に配置し、加圧する工程。
これらの工程を行うことで、成形体の成形を完結させることができる。
【0101】
上記の各工程は、上記の順番で行う必要があるが、各工程間に他の工程を含んでもよい。他の工程とは、例えば、工程A2)の前に、工程A2)で利用される成形型と別の賦形型を利用して、成形型のキャビティの形状に予め賦形する賦形工程等がある。また、工程A2)は、材料へ圧力を加えて所望形状の成形体を得る工程であるが、このときの成形圧力については特に限定はしないが、成形型キャビティ投影面積に対して20MPa未満が好ましく、10MPa以下であるとより好ましい。
また、当然のことであるが、圧縮成形時に種々の工程を上記の工程間に入れてもよく、例えば真空にしながら圧縮成形する真空プレス成形を用いてもよい。
【0102】
3.成形型の好ましい温度
成形型MAの温度ta及び成形型MBの温度tbは室温+10℃以下であっても良く、室温以上室温+10℃以下であっても良い。この場合、成形完了と同時に成形体は室温に近い温度になっており、成形体と室温との温度差による各層の収縮がないため、材料Aと材料Bの間に線膨張係数の差があっても、反りの課題は発生しにくい。
【0103】
[圧縮成形に用いる成形型]
1.角θ2
成形型MBは、連結壁を形成するための成形型面S1と、側壁を形成するための成形型面S2を備え、S1とS2とのなす角θ2が、θ1<θ2を満たすことが好ましい。
角θ2は、S1とS2のなす角のうち、鈍角部を測定する。例えば
図3、
図6では、材料Bが接触する成形下型(成形型MB)の鈍角部を測定している。
成形型キャビティは、断面が波打ち形状を有していることが好ましく、成形体キャビティを波打ち形状に断面観察したときに角θ2は測定できる。
また、
図3、
図6の成形体キャビティは複数の同じ角度のθ2を備えている。角θ2が複数存在し、それぞれが異なる角度である場合は、成形面S1と成形面S2とのなす角のうち、最小の角度のものを角θ2とする。
より好ましいθ2の範囲は0度≦θ2-θ1<10度であり、更に好ましくは0度≦θ2-θ1<5度であり、より一層好ましくはθ2-θ1=0度である。
【0104】
2.線膨張係数差によるアングルチェンジ
本発明の材料Aと材料Bはそれぞれ炭素繊維とガラス繊維を含んでいるため、材料Aと材料Bの線膨張係数には差がでる。材料Aの線膨張係数Xaと、材料Bの線膨張係数Xbとし、繊維種類以外の条件を同一にしたときは(VfA=VfB、熱可塑性樹脂M1とM2の種類が同一など)、Xa/Xb<1である。
【0105】
材料Aと材料Bの線膨張係数に差があるとき、材料Aと材料Bを積層して波打ち形状に成形体を作成した場合、線膨張係数の大きな層は、線膨張係数の小さい層を引っ張る。具体的には、Xa/Xb<1のとき、材料Bは材料Aを引っ張るため、例えば
図3、
図6では成形体を作成直後から、時間経過とともに紙面下方向に、波打ち方向の成形体の端部が反っていく。この結果、材料Bが表層に存在する側における側壁と連結壁とのなす角が、成形体直後と、暫く時間が経過した後では角度が変化する(アングルチェンジと呼ぶ場合がある)。成形体の角度θ1を目的の角度にするためには、どの程度角度が変化するのかを予め予測し、予めアングルチェンジする分をθ2-θ1の角度として曲げておき、プレス成形すると好ましい。
【0106】
3.角θ1、θ2と、線膨張係数Xa、Xb
本発明者らは、材料Aの線膨張係数Xaと、材料Bの線膨張係数Xbとしたとき、アングルチェンジする分の角度θ2-θ1を予測することに成功した。すなわち、Xa、Xb、θ1、及びθ2が、下記式(1)及び(2)を満たすことが好ましい。
式(1) 0.01≦ Xa/Xb < 1
式(2) 0 ≦(θ2-θ1) ÷ (Xa/Xb) < 1.0×103
式(2)のより好ましい上限は65未満であり、更に好ましくは15未満であり、より一層好ましくは10未満である。
【0107】
4.成形型キャビティの平面度Fc
4.1
本発明の平面度Fcは、以下の手順1’~手順5’で定義される。
(手順1’)材料Bと接触する成形型が下型になるように成形型キャビティを観察する。
(手順2’)波打ち形状の成形型キャビティ断面を観察し、波打ち方向の長さLycが4
0cmとなるように成形型キャビティの観察範囲を切り取る。
(手順3’)下壁を形成するための成形型面に注目する。
(手順4’)下壁を形成するための成形型面を全て含むように、必要最小限の幅で2本の平行な理想直線を描く。
(手順5’)理想直線間の距離を平面度Fcと定義する。
手順1’~手順5’を
図12を用いて説明する。
【0108】
図12は、材料Bと接触する成形型MBが下型になるように成形型キャビティを観察している。
図12のY軸方向が波打ち方向であり、波打ち形状の成形型キャビティ断面を観察し、波打ち方向の長さLycが40cmとなるように成形型キャビティの観察範囲を切り取る。下壁を形成するための成形型面とは、
図12の1201である。2本の平行な理想直線とは、
図12の1202で例示される。2本の平行な理想直線(1202)は両者の間隔が最小になるように描かれている。
波打ち方向の長さLycの切り取り場所によって、Fcが変わる場合、1か所でもFa<Fcや、式(3)を満たすようにFcを設計すれば好ましい。
【0109】
4.2
圧縮成形に用いる成形型キャビティの平面度Fcは、Fa<Fcを満たすことが好ましい。Fa<Fcは、成形型キャビティに比べて成形体がより平面に近いことを意味している。
【0110】
材料Aと材料Bの線膨張係数に差があるとき、材料Aと材料Bを積層して波打ち形状に成形体を作成した場合、線膨張係数の大きな層は、線膨張係数の小さい層を引っ張る。具体的には、Xa/Xb<1のとき、材料Bは材料Aを引っ張るため、例えば
図3、
図6では成形体を作成直後から、時間経過とともに紙面下方向に(波打ち方向の成形体の端部が)反っていく。この結果、材料Bが表層に存在する側における側壁と連結壁とのなす角が、成形体直後と、暫く時間が経過した後では角度が変化し、アングルチェンジを引き起こす。成形体の平面度Faを目的の範囲にするためには、どの程度平面度が変化するのかを予め予測し、予め平面度が変化する分を(Fc-Fa)、曲げておいて、プレス成形すると好ましい。より具体的には、下記式(1)及び(3)を満たすことが更に好ましい。
【0111】
式(1) 0.01≦ Xa/Xb < 1
式(3) 0 ≦ |Fc-Fa|/h ÷ (Xa/Xb) < 1.0×103
式(3)のより好ましい上限は5未満であり、更に好ましくは4未満であり、より一層好ましくは3未満であり、最も好ましくは2未満である。
【0112】
5.成形型MAの温度ta、成形型MBの温度tb、と線膨張係数Xa、Xb
材料Aの線膨張係数Xaと、材料Bの線膨張係数Xbとしたとき、成形型MAの温度taと、成形型MBの温度tbとの関係が、下記式(1)及び(4)を満たすことが好ましい。
式(1) 0.01≦ Xa/Xb < 1
式(4) 0 < |ta-tb|÷ (Xa/Xb) < 5000
式(4)の好ましい上限は200以下であり、更に好ましくは100以下であり、より一層好ましくは50以下である。一方、式(4)の好ましい下限は30以上である。
【実施例】
【0113】
以下、本発明について実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0114】
1.材料
・炭素繊維
帝人株式会社製の炭素繊維“テナックス”(登録商標)STS40-24K(EP)(平均繊維径7μm、繊度1600tex、密度1.78g/cm3)
・ガラス繊維
日本電気硝子社製のガラス繊維EX 2500(平均繊維径15μm、繊維幅9mm)
・熱可塑性樹脂MA
ポリアミド6(ユニチカ株式会社製A1030、PA6と略する場合がある)。
・熱可塑性樹脂MB
ポリアミド6(ユニチカ株式会社製A1030、PA6と略する場合がある)。
【0115】
2.材料の測定
本実施例における各値は、以下の方法に従って求めた。
(1)材料に含まれる繊維体積割合(VfA、VfB)の測定
材料A(又は材料B)から100mm×100mmのサンプルを切り出し、サンプルを500℃に加熱した電気炉(ヤマト科学株式会社製FP410)の中で窒素雰囲気下で、1時間加熱してマトリクス樹脂等の有機物を焼き飛ばした。
焼き飛ばし前後のサンプルの重量を秤量することによって強化繊維と熱可塑性樹脂の重量を算出した。次に、各成分の比重を用いて、強化繊維の体積割合を算出した。
繊維体積割合(VfA)=100×炭素繊維体積/(炭素繊維体積+材料Aの熱可塑性樹脂体積) ・・・ 式(c)
繊維体積割合(VfB)=100×ガラス繊維体積/(ガラス繊維体積+材料Bの熱可塑性樹脂体積) ・・・ 式(d)
【0116】
(2)材料の線膨張係数
材料A及び材料Bの試験片を前処理として110℃×24時間、真空乾燥したのち、以下の測定条件で、成形体となったときに波打ち方向となる方向の線膨張係数をランダムに10点測定して平均した。
試験片形状:2.5mm×5mm×5mm
試験機種:TMA/SS7100(セイコーインスツルメンツ株式会社製)
昇温速度:5℃/min
試験荷重:圧縮荷重 49mN
プローブ直径:2.9mm
測定雰囲気:窒素雰囲気下(100ml/min)
試験温度範囲:25~200℃
【0117】
3.断面観察
成形体及び成形型キャビティの断面は、波打ち形状が観察できる方向から観察した。より具体的には波打ち方向(
図1、
図4のY軸方向)に対して垂直な方向(
図1、
図4のX軸方向)であって、波打ち形状が観察できる方向から観察した。これは、板厚方向(
図1、
図4のZ軸方向)に対して垂直な方向でもある。言い換えると、波打ち形状の観察は、波打ち方向、及び板厚方向に対して垂直な方向である。
【0118】
(1)成形体の平面度Fa
以下の手順で平面度Faを測定した。
(手順1)表層に存在する材料Bが下側となるように成形体を静置した。
(手順2)断面が波打ち形状に見えるように成形体の断面を観察し、波打ち方向の長さLyが40cmとなるように成形体の観察範囲を切り取った。
(手順3)連結壁で形成された下壁の底面に注目した。
(手順4)下壁の底面を全て含むように、必要最小限の幅で2本の平行な理想直線を描いた。
(手順5)理想直線間の距離を平面度Faとした。
【0119】
(2)成形型キャビティの平面度Fc
以下の手順で平面度Fcを測定した。
(手順1’)材料Bと接触する成形型MBが下型になるように成形型キャビティを観察した。
(手順2’)波打ち形状の成形型キャビティ断面を観察し、波打ち方向の長さLycが40cmとなるように成形型キャビティの観察範囲を切り取った。
(手順3’)下壁を形成するための成形型面に注目した。
(手順4’)下壁を形成するための成形型面を全て含むように、必要最小限の幅で2本の平行な理想直線を描いた。
(手順5’)理想直線間の距離を平面度Fcとした。
【0120】
(3)角度θ1
波打ち形状の成形体の断面を観察し、材料Bが表層に存在する側における側壁と連結壁とのなす角を全て測定し、最小の角度のものを角θ1とした。
【0121】
(4)角度θ2
成形型MBを断面観察したときにおける、連結壁を形成するための成形型面S1と、側壁を形成するための成形型面S2とのなす角θ2は、各実施例、比較例に応じて設計した。
【0122】
[実施例1]
1.材料Aの準備
炭素繊維として、繊維長20mmにカットした東邦テナックス社製の炭素繊維“テナックス”(登録商標)STS40-24K(平均繊維径7μm、単繊維数24,000本)を使用し、樹脂として、ユニチカ社製のナイロン6樹脂A1030を用いて、米国特許第8946342号に記載された方法に基づき二次元ランダムに炭素繊維が配向した炭素繊維およびナイロン6樹脂の複合材料を作成した。得られた複合材料を260℃に加熱したプレス装置にて、2.0MPaにて5分間加熱し、平均厚み2.5mm、475mm×350mmの平板板状の材料を得た。
平板板状の材料に含まれる炭素繊維の解析を行ったところ、炭素繊維体積割合(Vf)は35%、炭素繊維の繊維長は一定長であり、重量平均繊維長は20mmであった。
【0123】
1.2 材料Bの準備
ガラス繊維として、日本電気硝子社製のガラス繊維EX 2500(平均繊維径15μm、繊維幅9mm)を使用し、樹脂としてユニチカ社製のナイロン6樹脂A1030を用いて、米国特許第8946342号に記載された方法に基づき二次元ランダムにガラス繊維が配向したガラス繊維およびナイロン6樹脂の複合材料を作成した。得られた複合材料を260℃に加熱したプレス装置にて、2.0MPaにて5分間加熱し、平均厚み0.7mm、475mm×350mmの平板板状の材料を得た。材料に含まれるガラス繊維の解析を行ったところ、ガラス繊維体積割合(Vf)は45%、ガラス繊維の繊維長は一定長であり、重量平均繊維長は20mmであった。
【0124】
材料BのMD方向(Machine Direction)の線膨張係数は1.1×10-5であり、TD方向(Transvese Direction)の線膨張係数は1.8×10-5であったが、波打ち方向となる方向にTD方向を合わせて配置したため、実施例1での線膨張係数Xbは1.8×10-5とした。
【0125】
2.成形型の準備
図11に示す成形体を作成するための成形型を準備した。Y軸方向の成形体長さは40cmであり、これをLyとした。
ここで、平面度Fcは11mm、角θ2は103度(S1とS2とのなす角は、全て同じ角度)、成形型MA(上型)の温度taは150℃、成形型MB(下型)の温度tbは150℃に設定した。
【0126】
3.コールドプレス
材料Aと材料Bを120℃の熱風乾燥機で4時間乾燥した後、材料A/材料Bの順で積層して、赤外線加熱機により290℃まで昇温させた。
その後、材料Bを成形型MBに接触させるように材料を載置した。このとき、475mm×350mmの材料(平板形状)のうち、475mmある方向を、波打ち方向として載置した。
【0127】
上型を下降させ、プレス圧力20MPa(加圧開始から、20MPaに達するまでの時間1秒)、で1分間加圧して、材料Aと材料Bを同時にプレスし、コールドプレス成形体(400mm×350mm:波打ち方向(
図11のY軸方向)×波打ち方向と直交方向(
図11のX軸方向))を製造した。
【0128】
コールドプレス完了後、1時間後の成形体は、
図11に示す形状の波打ち形状の成形体であった。成形体は、側壁の高さhが12mm、上壁の長さ23mm、下壁の長さ25mmであった。上壁、下壁はともに連結壁であり、材料Bを下側になるように観察して上壁、下壁を定義して長さを測定した。
【0129】
結果を表1に示す。成形体の平面度Faは0.1mmと極めて高く、成形体の反りは少なかった。なお、反りの状況(反りの方向)は材料Bを机に接するように机上に静置したとき、下に凸であった。(例えば
図10は下に凸のように描かれている)。
なお、成形体の波打ち方向の長さが長くなるほど、反りの課題が顕著になる。
【0130】
[実施例2]
材料Bの材料の配置方向を実施例1に対して90度回転させ、MD方向を波打ち方向として積層した。従って、実施例2での線膨張係数Xbは1.1×10-5としたこと以外は、実施例1と同様にして成形体を作成した。結果を表1に示す。
【0131】
[実施例3~5]
材料Bの厚みlbを1.4mm、1.6mm、又は2.0mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして成形体を作成した。結果を表1に示す。反りの状況(反りの方向)は材料Bを机に接するように机上に静置したとき、上に凸であった(図示せず)。
【0132】
[実施例6~8]
成形型キャビティの平面度Fcを0mm、角θ2を100度とし、成形型温度を表1、及び表2のように設定したこと以外は、実施例5と同様にして成形体を作成した。結果を表1、及び表2に示す。
【0133】
なお、実施例6、7は成形型温差を維持して量産することが難しく、2~3個の成形体は製造できたが、100個以上の成形体を製造するには更なる検討が必要である。また、実施例8の成形型は型温が低いため、やや成形体が目的形状に賦形できず、成形体の表面の一部に欠けが見られた。また、材料が急冷するために、成形型の転写性が低下する。
【0134】
[実施例9]
成形型キャビティの形状、及び成形型温を表2のように設計したこと以外は、実施例5と同様に成形体を作成した。結果を表2に示す。
【0135】
[実施例10、11]
材料Bのガラス繊維の繊維体積割合を表1のように変更したこと以外は、実施例1と同様にして成形体を作成した。結果を表2に示す。
【0136】
[比較例1]
成形型キャビティの角度θ2を100度、平面度を0(mm)としたこと以外は、実施例5と同様にして成形体を作成した。結果を表2に示す。
【0137】
[実施例12]
材料Aの厚さを3.6mmとし、材料Bを用いずに材料Aのみを用いたこと以外は、実施例1と同様にして成形体を作成し、参考成形体P1を準備した。
材料Aの厚みlaを2.6mm、材料Bの厚みlbを1.0mmとしたこと以外は、実施例1と同様にして成形体P2を作成した。
【0138】
2つの成形体を用いて落錘試験を行った。試験条件は錘体質量を16kgとし、135J、145J、155J、165Jの衝撃が加わるように高さ調整をして、以下の評価を行った。結果を表3に示す。
Perfect:錘体が当たった面の反対側の表面にクラック(面内方向の亀裂)が見られなかった。
Excellent:錘体が当たった面の反対側の表面に10mm未満のクラック(面内方向の亀裂)が発生した。
Good:錘体が当たった面の反対側の表面に10mm以上のクラック(面内方向の亀裂)が発生。割れ(板厚方向の亀裂)は板厚の半分未満に収まった。
Poor:錐が当たった面の反対側の表面に10mm以上のクラック(面内方向の亀裂)が発生且つ、割れ(板厚方向の亀裂)は板厚の半分以上が割れている。
【0139】
【0140】
【0141】
【0142】
[比較例2]
材料Bとして、シートモールディングコンパウンド(SMC)を使用したこと以外は、実施例1と同様に成形体を作成した。結果を表4に示す。
SMCとしては、マトリクスであるビニルエステル樹脂(熱硬化性樹脂)にガラス繊維が含まれているものを用いた。
【0143】
[比較例3]
材料Bとして、鉄を使用したこと以外は、実施例1と同様に成形体を作成した。結果を表4に示す。
【0144】
【0145】
比較例2及び3の成形体は反りが少なかった。ただし、比較例3では、成形後に鉄と材料層Aが剥がれたり、鉄が割れたりする問題が発生した。
【産業上の利用可能性】
【0146】
本発明の成形体及びこれを成形して得られた成形体は、各種構成部材、例えば自動車の構造部材、また各種電気製品、機械のフレームや筐体等、衝撃吸収が望まれるあらゆる部位に用いられる。特に好ましくは、自動車部品として利用できる。
【0147】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2020年11月4日出願の日本特許出願(特願2020-184217)に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【符号の説明】
【0148】
A:材料A
B:材料B
101、401:側壁
102:連結壁
402:上壁の連結壁(材料Bを下側に配置して観察する)
403:下壁の連結壁(材料Bを下側に配置して観察する)
X:X軸方向
Y:Y軸方向
Z:Z軸方向
θ1:側壁と連結壁とのなす角
θ2:成形型MBにおける、連結壁を形成するための成形型面S1と、側壁を形成するための成形型面S2、とのなす角
θ3:角θ1を応力変形させ、成形体を接合した状態での、側壁と連結壁とのなす角
MA:材料Aを接触させる型
MB:材料Bを接触させる型
701:リブ
801:応力変形させるための力
802:接合用の別部品
901:2本の平行な理想直線
902:連結壁の下壁
903:下壁の底面
Ly波打ち方向の長さ(40cm)
h:側壁の高さ
Lyc:波打ち方向の長さ(40cm)
1201:下壁を形成するための成形型面
1202:2本の平行な理想直線
T1、T2:成形体