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特許7378004薬局を活用したオンライン問診システム及び患者用端末
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-01
(45)【発行日】2023-11-10
(54)【発明の名称】薬局を活用したオンライン問診システム及び患者用端末
(51)【国際特許分類】
   G16H 10/20 20180101AFI20231102BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20231102BHJP
【FI】
G16H10/20
A61B5/00 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2023080246
(22)【出願日】2023-05-15
【審査請求日】2023-05-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】503219721
【氏名又は名称】株式会社Windy
(74)【代理人】
【識別番号】100094581
【弁理士】
【氏名又は名称】鯨田 雅信
(72)【発明者】
【氏名】中村 行延
【審査官】三橋 竜太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-102848(JP,A)
【文献】特開2021-140619(JP,A)
【文献】特開2008-234109(JP,A)
【文献】特開2003-141251(JP,A)
【文献】特開2006-023973(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者側が医療機関に対し医療機関の医師による診療又は診察の申込みをしたとき、その申込みを受け付ける受診申込受付部と、
前記受診申込受付部が前記患者からの診療又は診察の申込みを受け付けたとき、前記申込みを行った患者側に対し、前記医療機関の外部の複数の薬局に所属する複数の薬剤師であり且つ今から問診を行うことができる複数の者だけを、「前記申込みされた診療又は診察の一部となる問診を今から行える、複数の問診担当候補者」として提示し、前記患者側に前記複数の問診担当候補者中のいずれかを「前記申込みされた診療又は診察の一部となる問診を今から行う問診担当者」として選択させる問診担当選択提示部と、
前記問診担当選択提示部が提示した情報に対応して前記患者側が「前記申込みされた診療又は診察の一部となる問診を今から行う問診担当者」を選択したとき、前記選択された問診担当者に前記患者の問診をオンライン問診で行わせる問診提供部と、
前記診療又は診察の申込みに引き続き前記オンライン問診を受けた患者に対する診療又は診察を、前記医療機関の医師が前記オンライン問診により得られた問診結果を利用して行えるように、前記問診結果を前記医師による診療又は診察のために記録する問診結果記録部と、
を備え、医療機関に診療又は診察の申込みをした患者が、前記申込みに引き続き、前記医療機関の外部の複数の問診担当候補者中のいずれかを選択してその者に前記診療又は診察の一部となる問診を前記オンライン問診で行ってもらうようにし、前記医療機関の医師は前記問診の結果を利用して前記診療又は診察を行えるようにし、これにより、医療機関外部の前記問診担当者と医療機関内部の医師とが連携して前記患者の診療又は診察に対応できるようにしたことを特徴とする薬局を活用したオンライン問診システム。
【請求項2】
患者側が医療機関に対し医療機関の医師による診療又は診察の申込みをしたとき、その申込みを受け付ける受診申込受付部と、
前記受診申込受付部が前記患者からの診療又は診察の申込みを受け付けたとき、前記申込みを行った患者側に対し、前記医療機関の外部の複数の薬局又はそこに所属する複数の薬剤師を含むグループ中に含まれる複数の者であり且つ今から問診を行うことができる複数の者だけを、「前記申込みされた診療又は診察の一部となる問診を今から行える、複数の問診担当候補者」として提示し、前記患者側に前記複数の問診担当候補者中のいずれかを「前記申込みされた診療又は診察の一部となる問診を今から行う問診担当者」として選択させる問診担当選択提示部と、
前記問診担当選択提示部が提示した情報に対応して前記患者側が「前記申込みされた診療又は診察の一部となる問診を今から行う問診担当者」を選択したとき、前記選択された問診担当者に前記患者の問診をオンライン問診で行わせる問診提供部と、
前記診療又は診察の申込みに引き続き前記オンライン問診を受けた患者に対する診療又は診察を、前記医療機関の医師が前記オンライン問診により取得された問診結果を利用して行えるように、前記問診結果を前記医師による診療又は診察のために記録する問診結果記録部と、
を備え、医療機関に診療又は診察の申込みをした患者が、前記申込みに引き続き、前記医療機関の外部の複数の問診担当候補者中のいずれかを選択してその者に前記診療又は診察の一部となる問診を前記オンライン問診で行ってもらうようにし、前記医療機関の医師は前記問診の結果を利用して前記診療又は診察を行えるようにし、これにより、医療機関外部の前記問診担当者と医療機関内部の医師とが連携して前記患者の診療又は診察に対応できるようにしたことを特徴とする薬局を活用したオンライン問診システム。
【請求項3】
診療又は診察を申し込むために医療機関を訪問した患者に使用させるために医療機関側が設置し運用する患者用端末であって、
患者側が医療機関で医療機関の医師による診療又は診察の申込みをしたとき、その申込みを受け付ける受診申込受付機能と、
前記患者側からの診療又は診察の申込みが前記医療機関により受け付られたとき、サーバー側からの情報に基づいて、前記医療機関の外部の複数の薬局に所属する複数の薬剤師であり且つ今から問診を行うことができる複数の者だけを「前記申込みされた診療又は診察の一部となる問診を今から行える、複数の問診担当候補者」として提示し、前記患者側に前記複数の問診担当候補者中のいずれかを「前記申込みされた診療又は診察の一部となる問診を今から行う問診担当者」として選択させる問診担当者選択機能と、
前記問診担当者選択機能に対応して前記患者側が「前記申込みされた診療又は診察の一部となる問診を今から行う問診担当者」を選択したとき、前記サーバー側と連携して、前記選択された問診担当者に前記患者の問診をオンライン問診で行わせる問診提供機能と、
を備え、医療機関に診療又は診察の申込みをした患者が、前記申込みに引き続き、前記医療機関の外部の複数の問診担当候補者中のいずれかを選択してその者に前記診療又は診察の一部となる問診を前記オンライン問診で行ってもらうようにし、これにより、医療機関外部の前記問診担当者と医療機関内部の医師とが連携して前記患者の診療又は診察に対応できるようにしたことを特徴とする、医療機関内において設置運用される患者用端末。
【請求項4】
前記問診担当選択提示部は、患者の属性及び患者の居住地域又は住所地を含む患者に関する情報に基づいて、複数の薬局又は薬剤師の中から、当該患者の問診担当者として望ましい複数の薬局又は薬剤師を選び、その選んだ複数の薬局又は薬剤師を、患者が選択することができる複数の問診担当候補者として推奨的に提示するものである、請求項1又は2に記載の薬局を活用したオンライン問診システム。
【請求項5】
医療機関側が取得した当該患者のバイタルサインの少なくとも一部を、前記患者が問診担当者として選択した薬局側又は同薬剤師側に対し、前記オンラインでの問診が行われる前に送信するバイタルサイン送信部を備えた、請求項1又は2に記載の薬局を活用したオンライン問診システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオンライン問診システムに関する。
【背景技術】
【0002】
2020年9月から施行された改正薬剤師法並びに薬機法により、薬剤師には薬剤交付後の服薬フォローアップが義務化され(そのためには薬剤師は各患者の情報を収集しなければならない)、フォローアップする中で得た患者情報を処方した医師等にフィードバックし連携を推進することが努力義務とされた。また2021年8月1日、特定の機能を有する薬局として地域連携薬局及び専門医療機関連携薬局の認定制度が施行された。地域連携薬局は、外来受診時だけではなく、在宅医療への対応や入退院時を含め、他の医療提供施設との服薬情報の一元的・継続的な情報連携に対応をしなければならないとされた。一方、総務省では医療費・介護費の増大や医療資源の偏在といった課題を解決するため、医療機関や調剤薬局で管理・蓄積されている個人の診療・健康情報を連携し、疾病の予防改善への活用を目的とした医療情報連携ネットワーク(EHR)化を進めている。EHR連携により「処方箋情報」「問診」「検査結果」「病名」の付帯情報連携も行われている。このように現在、医療機関と薬局とが互いに情報交換を行い、患者により良い医療を提供するための「医薬連携」の取り組みが進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5599600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、現状は、例えば図4に示すように、患者は、医療機関を訪れたときは問診表に氏名、住所を記入した後、患者が自分で問診表の各質問に対する回答を記入するか又はスタッフから質問等されて口頭で回答してスタッフがそれを記入し、その後、スタッフがその記入内容を電子カルテに入力するようにしている。そして診療後、患者は調剤薬局を訪れて薬剤師から同様の問診を受けている。
【0005】
このように現状では、医師は処方通リに薬剤師が薬を出してくれればそれでよく、薬剤師も指示どおり薬を渡せばそれでいいとされている。しかし、薬剤師が患者から相談相手とみなされるためには、薬を渡しているだけでは限界がある。薬剤師は大学で6年も薬学医学の研修をして知識も豊富であるにもかかわらず、薬局では調剤室のなかで仕事していることが多いため、薬剤師の専門性が活かされていない。
【0006】
前述のように、薬剤師は服薬指導や薬剤交付後の服薬フォローアップのため患者の情報を収集することが薬剤師法上義務付けられている。そのため、現状では患者は、医療機関において診察前に担当医師からの問診に答えるだけでなく、医師の診察と処方が終わった後に調剤薬局を訪れたときも薬剤師からの問診に答える必要があり、医療機関と調剤薬局との双方で医療専門家からの重複した問診を受け答えなければならず、患者に対し問診の負担を二重に与える結果となっている。
【0007】
また従来より、医療機関においては、患者への問診の手間を軽減させるため、例えば医療機関の受付・待合室等に設置された自動問診装置端末の画面にプログラムにより複数の問診事項を次々に表示させて患者にボタン操作等で回答入力させることにより当該患者の問診結果情報を取得し、この取得した問診結果情報を電子カルテ等に反映させたり受診時に医師側端末に表示させることも試みられている(例えば特許文献1参照)。しかし、このような試みは、確かに医師側の負担は減らせるとしても、医療専門家による問診ではなくプログラムにより一律に無機質な質問事項が自動的に次々と表示されていく問診であるため、患者側は体調が悪いのに自分で考えながら次々と回答しなければならないストレスを与えられる結果、問診の品質が低下し(場合によりそのような問診結果情報に依拠して行われるその後の診療の品質も低下し)、また問診時における患者満足度も大きく低下してしまう恐れがあり、また患者側においては、医療機関での診療の後にさらに調剤薬局で重ねて同様の問診を受けるという負担は同じままであった。
【0008】
本発明は以上のような従来技術の問題点に着目してなされたものであって、問診時における患者満足度を大きく向上させることができると共に薬剤師の専門性を生かして問診の品質を向上させることができ、医療機関と調剤薬局との双方で重複した問診が行われることによる患者側の負担や非効率さを回避して患者の薬局での待ち時間を短縮することができ、薬剤師側に患者への問診の機会(すなわち服薬指導や薬剤交付後の服薬フォローアップのための患者情報の収集の機会)を確保させることができ、さらに薬局と医療機関との間で「医療機関で行っていた問診を薬局が行って医療機関に報告するという医療タスクシフトを伴う医薬連携」を実現し、以って患者に対する調剤薬局のコミュニケーション機会やビジネス機会を増加させて薬局の事業を活性化させることができる、薬局等を活用したオンライン問診システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の課題を解決するための本発明による薬局を活用したオンライン問診システムは、患者側が医療機関に対し医療機関の医師による診療又は診察の申込みをしたとき、その申込みを受け付ける受診申込受付部と、前記受診申込受付部が前記患者からの診療又は診察の申込みを受け付けたとき、前記申込みを行った患者側に対し、前記医療機関の外部の複数の薬局に所属する複数の薬剤師であり且つ今から問診を行うことができる複数の者だけを、「前記申込みされた診療又は診察の一部となる問診を今から行える、複数の問診担当候補者」として提示し、前記患者側に前記複数の問診担当候補者中のいずれかを「前記申込みされた診療又は診察の一部となる問診を今から行う問診担当者」として選択させる問診担当選択提示部と、前記問診担当選択提示部が提示した情報に対応して前記患者側が「前記申込みされた診療又は診察の一部となる問診を今から行う問診担当者」を選択したとき、前記選択された問診担当者に前記患者の問診をオンライン問診で行わせる問診提供部と、前記診療又は診察の申込みに引き続き前記オンライン問診を受けた患者に対する診療又は診察を、前記医療機関の医師が前記オンライン問診により得られた問診結果を利用して行えるように、前記問診結果を前記医師による診療又は診察のために記録する問診結果記録部とを備え、医療機関に診療又は診察の申込みをした患者が、前記申込みに引き続き、前記医療機関の外部の複数の問診担当候補者中のいずれかを選択してその者に前記診療又は診察の一部となる問診を前記オンライン問診で行ってもらうようにし、前記医療機関の医師は前記問診の結果を利用して前記診療又は診察を行えるようにし、これにより、医療機関外部の前記問診担当者と医療機関内部の医師とが連携して前記患者の診療又は診察に対応できるようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明による薬局を活用したオンライン問診システムは、患者側が医療機関に対し医療機関の医師による診療又は診察の申込みをしたとき、その申込みを受け付ける受診申込受付部と、前記受診申込受付部が前記患者からの診療又は診察の申込みを受け付けたとき、前記申込みを行った患者側に対し、前記医療機関の外部の複数の薬局又はそこに所属する複数の薬剤師を含むグループ中に含まれる複数の者であり且つ今から問診を行うことができる複数の者だけを、「前記申込みされた診療又は診察の一部となる問診を今から行える、複数の問診担当候補者」として提示し、前記患者側に前記複数の問診担当候補者中のいずれかを「前記申込みされた診療又は診察の一部となる問診を今から行う問診担当者」として選択させる問診担当選択提示部と、前記問診担当選択提示部が提示した情報に対応して前記患者側が「前記申込みされた診療又は診察の一部となる問診を今から行う問診担当者」を選択したとき、前記選択された問診担当者に前記患者の問診をオンライン問診で行わせる問診提供部と、前記診療又は診察の申込みに引き続き前記オンライン問診を受けた患者に対する診療又は診察を、前記医療機関の医師が前記オンライン問診により取得された問診結果を利用して行えるように、前記問診結果を前記医師による診療又は診察のために記録する問診結果記録部を備え、医療機関に診療又は診察の申込みをした患者が、前記申込みに引き続き、前記医療機関の外部の複数の問診担当候補者中のいずれかを選択してその者に前記診療又は診察の一部となる問診を前記オンライン問診で行ってもらうようにし、前記医療機関の医師は前記問診の結果を利用して前記診療又は診察を行えるようにし、これにより、医療機関外部の前記問診担当者と医療機関内部の医師とが連携して前記患者の診療又は診察に対応できるようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
また、本発明による患者用端末は、診療又は診察を申し込むために医療機関を訪問した患者に使用させるために医療機関側が設置し運用する患者用端末であって、患者側が医療機関で医療機関の医師による診療又は診察の申込みをしたとき、その申込みを受け付ける受診申込受付機能と、前記患者側からの診療又は診察の申込みが前記医療機関により受け付られたとき、サーバー側からの情報に基づいて、前記医療機関の外部の複数の薬局に所属する複数の薬剤師であり且つ今から問診を行うことができる複数の者だけを「前記申込みされた診療又は診察の一部となる問診を今から行える、複数の問診担当候補者」として提示し、前記患者側に前記複数の問診担当候補者中のいずれかを「前記申込みされた診療又は診察の一部となる問診を今から行う問診担当者」として選択させる問診担当者選択機能と、前記問診担当者選択機能に対応して前記患者側が「前記申込みされた診療又は診察の一部となる問診を今から行う問診担当者」を選択したとき、前記サーバー側と連携して、前記選択された問診担当者に前記患者の問診をオンライン問診で行わせる問診提供機能とを備え、医療機関に診療又は診察の申込みをした患者が、前記申込みに引き続き、前記医療機関の外部の複数の問診担当候補者中のいずれかを選択してその者に前記診療又は診察の一部となる問診を前記オンライン問診で行ってもらうようにし、これにより、医療機関外部の前記問診担当者と医療機関内部の医師とが連携して前記患者の診療又は診察に対応できるようにしたことを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明のオンライン問診システムにおいて、前記問診担当選択提示部は、患者の属性及び患者の居住地域又は住所地を含む患者に関する情報に基づいて、複数の薬局又は薬剤師の中から、当該患者の問診担当者として望ましい複数の薬局又は薬剤師を選び、その選んだ複数の薬局又は薬剤師を、患者が選択することができる複数の問診担当候補者として推奨的に提示するものであってもよい。
【0013】
さらに、本発明のオンライン問診システムは、前記医療機関側が取得した当該患者のバイタルサインの少なくとも一部を、前記患者が問診担当者として選択した薬局側又は同薬剤師側に対し、前記オンラインでの問診が行われる前に送信するバイタルサイン送信部を備えたものであってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、或る医療機関に対して受診の受付をした患者は、今から問診できる複数の候補者として提示(端末の画面などに表示)された複数の薬局(原則的には当該医療機関の外部に在る薬局)もしくは当該各薬局で勤務する複数の薬剤師を含むグループ(問診担当候補者のグループ)の中から、又は今から問診できる複数の候補者として提示された複数の薬局又は薬剤師の中から、いずれかの薬局又は薬剤師を、今から問診をしてもらう問診担当者として選択し、その選択した担当者と今からオンライン問診をしてもらうことができるようにしている。よって、本発明によれば、患者は、医療専門性の高い複数の薬局又はその薬剤師の中からいずれかの薬局又はその薬剤師を自分の希望又は判断により選択し、その患者が自分で選択した問診担当者としての薬局又は薬剤師に、今からオンライン問診をしてもらい、患者はその薬剤師による問診の後に引き続き「当該問診の結果を利用した医師の診察・診療」へと進むことができるので、問診時(及び診察・診療時)の患者満足度を大きく向上させることができると共に、診療前に「薬剤師による問診」が行われるので、診療後に問診してくれたのと同じ薬剤師の薬局で薬剤を受け取る場合は薬局での薬剤師の問診を受ける手間を避けることができる。すなわち、この場合、患者が選択した問診担当者は医療専門性の高い薬剤師であるから、そのような薬剤師が担当した問診結果は高い品質を有するものとなり、その後の医師の診療中で有効に活用されることで医療全体の品質も高めることができると共に、患者側は、医師による診療前に「薬剤師による問診」が既に行われているため、医師による問診と診療が終わった後に薬局に行って処方箋による調剤を依頼するときに薬剤師からまた同じ問診を受けるという無駄を無くすことができ、薬局での待ち時間を短縮することができる。
【0015】
また、本発明においては、前述のように、医療機関での医師による診察の前に、薬局の薬剤師が患者の問診を行い、その問診結果情報を医療機関側が利用できるようにして、患者の問診に関する医療機関から薬局へのタスクシフトを実現した。そのため、本発明によれば、このような薬剤師の専門的な問診結果を見ることにより医師には患者の状況がよく分かるようになり、医師による診療を高品質のものとすることができると共に、薬局側でも、患者本位の「かかりつけ薬局」となることが要請される中で、患者の問診を担当することにより、患者の疾患や既往歴、食生活や健康食品などの摂取状況、喫煙の有無などを多角的に収集して医師に報告することができ、薬局が調剤中心の業務から脱却する機会を得ることができる。
【0016】
このように、本発明によれば、前記問診担当選択提示部などを備えたことにより、医療機関と薬局から計2回の問診を事実上強制されていた患者側の負担や非効率を回避することができ、薬剤師に患者への問診の機会(すなわち服薬指導や薬剤交付後の服薬フォローアップのための患者情報の収集の機会)を確保させることができ、さらに、調剤薬局と医療機関との連携を強化させると共に、患者に対する調剤薬局のコミュニケーション機会やビジネス機会を増加させて薬局の事業を活性化させることができる。
【0017】
また、本発明において、前記問診担当選択提示部が、複数の薬局又は薬剤師側からそれぞれ送信された「今から問診を行うことができる状態にあることを示す情報」に基づいて、今から問診を行うことができる状態にある複数の薬局(又は複数の薬剤師)だけを、患者が選択できる複数の問診担当候補者として患者側に提示するようにしたときは、患者が選択した担当者がいずれであっても、ほぼ確実に今から問診を行うことができるようになる(よって、患者が選択した担当者がたまたまその選択の時点で例えば離席中であったために問診のためのビデオ通話等が直ちにはできなかったなどの不都合を回避することができる)。
【0018】
また本発明において、前記問診担当選択提示部が、患者の年齢や性別等の属性及び患者の居住地域又は住所地を含む患者に関する情報に基づいて、複数の薬局又は薬剤師の中から、当該患者の問診担当者として望ましい複数の薬局又は薬剤師を選び、その選んだ複数の薬局又は薬剤師を、患者が選択することができる複数の問診担当候補者として推奨的に提示するようにしたときは、患者が自分に適合しない薬剤師を問診担当者として選択してしまったために問診時の患者満足度が低下してしまうなどの不都合を回避することができる。
【0019】
さらに本発明において、医療機関側が取得した当該患者のバイタルサインの全部又は一部を、問診前に、患者が問診担当者として選択した薬局又は薬剤師側に送信するようにしたときは、薬局又は薬剤師はそのバイタルサインをも参照しながら、より充実した問診を行うことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本実施形態の電気的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図2】本実施形態に係るオンライン問診システムの動作及びその全体の流れを示す概略図である。
図3】本実施形態によるオンライン問診システムにおける患者側端末の構成及び動作の一例を示す概略図である。
図4図4は従来の医療機関における問診の流れ等を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は本実施形態の電気的構成の一例を示す機能ブロック図、図2は本実施形態に係るオンライン問診システムの動作及びその全体の流れを示す概略図、図3は本実施形態によるオンライン問診システムにおける患者側端末の構成及び動作の一例を示す概略図である。
【0022】
図1において、1は医療機関の受付等に設置された患者用端末であって各患者のマイナンバーカード、診察券などのIDカードの情報を読み取るカードリーダー、各患者が閲覧できるディスプレイ、各患者が操作できる入力用ボタン、カメラ、マイク、及びスピーカなどを備えた患者用端末(例えばパソコンなどで構成される)、2は医療機関側に備えられた管理サーバー(クラウド上に備えられていてもよい)、3a,3b,3c・・・はそれぞれインターネットなどのネットワーク4を介して前記管理サーバー2と接続された複数の薬局側の端末(A薬局側端末、B薬局側端末、C薬局側端末・・・。例えばパソコンなどで構成される)である。
【0023】
また図1において、11は前記患者用端末1のカードリーダーなどを介して患者側から入力された氏名、住所、年齢、性別等の患者情報を取得する患者情報取得部、12は前記患者情報取得部11が取得した患者情報などを記録しておく患者データベース、13は当該医療機関の近隣地域(又は全国)の薬局の名称、住所、勤務する薬剤師などの情報を記録しておく薬局データベースである。
【0024】
また図1において、15は、複数の各薬局側に設置された薬局端末3a、3b、3c・・・(又は同各薬局にそれぞれ所属する複数の各薬剤師側の端末でもよい)からの「(当該薬局の薬剤師が)今から問診を行うことが可能な状態」にあるか否かの問診可能状態情報(例えば、今は在席中なので今から問診を行うことは可能である、又は今は離席中なので今から問診を行うことはできない、などの情報)を、前記ネットワーク4及び前記管理サーバー2中の送受信部14を介して受信し取得する問診可能状態取得部である。前記問診可能状態取得部15は、例えば管理サーバー2が管理するサイトに接続しログインした各薬局端末3a-3c(各薬剤師側の端末を含む)側からそれぞれ送信された「今から問診を行うことが可能な状態」にあるか否かの情報を、前記送受信部14を介して受信し、後述する薬局選択情報生成部16に送信する。
【0025】
また図1において、16は、前記患者情報取得部11、前記患者データベース12、前記薬局データベース13及び前記問診可能状態取得部15からの各情報に基づいて、患者が複数の薬局(又は薬剤師)の中から希望する問診担当者を選択できる選択画面情報を生成しそれを患者側端末1に送信する薬局選択情報生成部である。この薬局選択情報生成部16は、例えば、前記患者情報取得部11及び/又は前記患者データベース12からの患者の住所、年齢、性別及び受診する(又はその可能性の高い)診療科、前記薬局データベース13からの各薬局の住所や所属する各薬剤師の得意分野及び性別、並びに前記問診可能状態取得部15からの各薬局の薬剤師が「今から問診を行うことが可能な状態」にあるかどうかの情報に基づいて、患者が複数の薬局(又は薬剤師)の中から希望する問診担当者を選択できるのに適した選択画面情報(例えば数人の各薬局の名称と各薬剤師の氏名や画像とを並べて問診担当候補者として表示すると共にそれらの中のいずれの者を問診担当者とするかを選択できる入力操作用ボタン等を表示する画面情報)を生成し、その情報を患者側端末1に送信してそのディスプレイに表示させる。
【0026】
また図1において、17は、患者が前記患者側端末1の画面で問診担当候補者としての複数の薬局(又は薬剤師)の中からいずれを問診担当者として選択するかの入力をしたとき、その選択結果を示す情報を受信し取得する選択結果取得部である。また18は、前記選択結果取得部17からの情報に基づいて前記患者が選択した薬局又はその薬剤師(ここでは仮に、B薬局又はその薬剤師を選択したとする)に対し、当該患者への問診を依頼する依頼文(又は当該患者への問診を受諾できるか否かを問い合わせる問合せ文)を前記送受信部14を介して送信する問診依頼部である。
【0027】
また図1において、19は前記問診依頼部18が依頼文を送信した例えばB薬局側の端末3bから問診を受諾する受諾文が送信されたときそれを受信し取得する問診受諾取得部、20は前記問診受諾取得部19からの出力に基づいて予め当該医療機関において測定し取得しておいた当該患者のバイタルサイン(体温、血圧、心拍・脈拍数、呼吸数、酸素濃度などのデータ)を、例えば電子カルテなどを含む医療データベース21から取り出して、問診前に当該B薬局の端末3b側に送信するバイタルサイン送信部、22は前記問診受諾取得部19からの出力に基づいて前記患者側端末1(ディスプレイ、マイク、ビデオカメラなどを備えている)と問診担当者である前記B薬局側端末3bとの間で問診のためのビデオ通話接続を行うビデオ通話接続部である。なお、前記患者のバイタルサインの測定・取得は、例えば前記患者用端末1に備えられたサーモグラフィカメラで患者の体温データを自動的に取得し、また前記患者用端末1に備えられた血圧計兼心拍計で患者の血圧及び心拍データを取得することなどにより行われてもよい。
【0028】
前記ビデオ通話による問診が行われ終了したら、前記B薬局の薬剤師は、このビデオ通話での問診内容に基づいて、問診票(主としてテキストデータ)と画像(静止画、動画)などから成る問診結果情報を作成し、それを前記B薬局側端末3bから管理サーバー2側に送信する。管理サーバー2側では、前記B薬局側端末3bから送信された問診結果を前記問診結果取得部23が受信、取得し、これを前記医療データベース21の電子カルテに記録する。
【0029】
次に本実施形態に係るオンライン問診システムの動作及びその全体の流れを図2を参照して説明する。まず、患者が医療機関を訪問し受付で受診を希望すると、医療機関において(例えば前記患者側端末1に備えられたサーモグラフィカメラ、血圧計、心拍計などにより)その患者のバイタルサインを測定し医療データベース21(図1参照)などに記録する。そして患者は医療機関の受付や待合室又は個室ブースなどに設置された患者側端末1を使用して、これから(今から)オンラインで問診を行ってもらう薬局(又は薬剤師)を選択する。このとき、前記患者側端末1は、まず図3の左上の画像に示すような画面をディスプレイに表示して、患者に対し当病院を「初めてご利用の方」か「2回目以降のご利用の方」かを回答するように促す。
【0030】
もし図3の図示左上に示す画面中の前記質問に対する当該患者の回答が「(当病院を)初めてご利用の方」であった場合は、前記患者側端末1は患者に対し、例えば図3の右上の画像に示すような画面をディスプレイに表示して、今から問診を行う複数の担当候補者を提示するための方法として、「病院の近くから探す」、「地域や市区から探す」、「地図を使って探す」、「電話番号で探す」、「住所から探す」などの中からどの方法で複数の担当候補者を提示するかを選択することを促す。もし患者が前記「病院の近くから探す」を希望・選択したときは、前記患者側端末1は、この患者の前記「病院の近くから探す」という希望・選択情報と、前記患者情報取得部11、前記患者データベース12、前記薬局データベース13、及び前記問診可能状態取得部15からの各情報とに基づき、前記薬局選択情報生成部16(図1参照)が、複数の薬局(又は薬剤師)の中から、今から問診を担当する候補者として推奨できる複数の薬局(又は薬剤師)を抽出してディスプレイに表示、提示し、患者に対し、それらの複数の候補者の中から一人を選択するように画面で促す。また、前記患者側端末1は、もし前記の患者からの回答が「地域や市区から探す」、「地図を使って探す」、「電話番号で探す」、又は「住所から探す」などであった場合は、患者に対し、画面上で地域・市区の入力、地図の操作、電話番号の入力、住所の入力を促すなどして、問診担当者となる薬局(薬剤師)を選択させる。
【0031】
他方、図3の図示左上に示す画面中の前記質問に対する当該患者の回答が「(当病院を)2回目以降のご利用の方」であった場合は、前記患者側端末1は、原則として当該患者の前回の問診を行った薬局(薬剤師)を今回の問診担当者として選択するように画面で促す。しかし、前記患者側端末1は、この場合でも患者が希望する場合は前記「(当病院を)初めてご利用の方」と回答した場合と同じ方法により選択させるようにしてもよい。
【0032】
このようにして患者が問診担当者となる薬局(薬剤師)を選択した後は、管理サーバー2側から当該選択された薬局(薬剤師)への問診依頼の送信(図1の問診依頼部18参照)、当該薬局(薬剤師)からの問診受諾の受信(図1の問診受諾取得部19参照)、当該薬局(薬剤師)への患者のバイタルサインの送信(図1のバイタルサイン送信部20参照)などの手順・操作を経てから、当該薬局(薬剤師)側の端末と患者側端末1との間でビデオ通話接続を行って、薬剤師が例えば生成AIなどをも活用しながら(図2の右下の画像参照)オンライン問診を行う。なお、このオンライン問診に際しては、もし当該薬局と病院がオンライン資格確認等システム(マイナンバーカードのICチップ又は健康保険証の記号番号等によりオンラインで資格情報の確認ができる仕組み)を導入しているときは、当該薬局(又は薬剤師)は、当該患者への問診の前に、当該患者の服薬履歴等の薬剤情報や特定検診情報を閲覧することも可能である。
【0033】
オンライン問診が終了した後は、当該薬局(又は薬剤師)が問診表などを含む問診結果情報(例えば患者のバイタル値、患者からヒアリングするアレルギー歴、服薬による副作用歴、体調変化、服薬確認、症状確認、飲酒・喫煙習慣の有無などの情報を含む)を例えば生成AIなどをも活用しながら(図2の右下の画像参照)作成して管理サーバー2側に送信し、管理サーバー2側では、これを前記問診結果取得部23(図1参照)が受信、取得して前記医療データベース21中の電子カルテなどに記録する。
【0034】
なお、前記患者側端末1(医療機関の受付、待合室又は個室ブースなどに設置されている)にはプリンタも備えられているから、患者は、前記薬剤師によるオンライン問診を受けた後に、当該薬局(又は薬剤師)が管理サーバー2側に送信した問診表データを印刷し、それを持って医師への受診に臨むこともできる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態においては、或る医療機関に対して受診の受付などをした患者が、今から問診を担当できる複数の候補者として患者側端末1の画面などに表示、提示された複数の薬局又は薬剤師を含むグループ(問診担当候補者のグループ)の中のいずれかの薬局又は薬剤師を、今から問診をしてもらう問診担当者として選択し、その選択した担当者と今からオンライン問診をしてもらう、ことができる。よって、本実施形態によれば、患者は、医療専門性の高い複数の薬局又はその薬剤師の中からいずれかの薬局又はその薬剤師を自分の希望又は判断により選択し、その患者が自分で選択した問診担当者としての薬局又は薬剤師に、(将来の予約した日時又は時刻からではなく)今からオンライン問診をしてもらい、患者はその薬剤師による問診の後に引き続き「当該問診の結果を利用した医師の診察・診療」へと進むことができるので、問診時(及び診察・診療時)の患者満足度を大きく向上させることができると共に、診療前に「薬剤師による問診」が行われるので、診療後に問診してくれたのと同じ薬剤師の薬局で薬剤を受け取る場合は薬局での薬剤師の問診を受ける手間を避けることができる。すなわち、この場合、患者が選択した問診担当者は医療専門性の高い薬剤師であるから、そのような薬剤師が担当した問診結果は高い品質を有するものとなり、その後の医師の診療中で有効に活用されることで医療全体の品質も高めることができると共に、患者側は、医師による診療前に「薬剤師による問診」が既に行われているため、医師による問診と診療が終わった後に薬局に行って処方箋による調剤を依頼するときに薬剤師からまた同じ問診を受けるという無駄を無くすことができ、薬局での待ち時間を短縮することができる。
【0036】
また、本実施形態においては、前述のように、医療機関での医師による診察の前に、薬局の薬剤師が患者の問診を行い、その問診結果を医療機関側に送信し電子カルテ等に取り込めるようにしている。これは、患者の問診に関する医療機関から薬局へのタスクシフトとなるが、その結果、医療機関での患者の待ち時間短縮となるだけでなく、医師による受診の前に行われる薬剤師の専門的な問診結果を見ることで医師には患者の状況がよく分かるので、医師は診療に十分な時間を充てられるようになる。薬局でも、患者本位の「かかりつけ薬局」となることが要請される中で、患者の疾患や既往歴、食生活や健康食品などの摂取状況、喫煙の有無などを多角的に収集して医師に報告することができ、患者は薬剤師に相談することで医療機関を安心して受診できるなど、薬局側も調剤中心の業務から脱却することができる。このように、本実施形態によれば、問診担当者選択用画面を患者側端末1に表示して患者が選択した薬局(薬剤師)に問診を行ってもらうようにしたので、問診時の患者満足度を向上させるだけでなく、医療機関と調剤薬局との双方でほぼ重複した問診を行う患者側の負担や非効率を回避することができ、薬剤師に患者への問診の機会(すなわち服薬指導や薬剤交付後の服薬フォローアップのための患者情報の収集の機会)を確実に与えることができ、さらに、調剤薬局と医療機関との連携を強化させると共に、患者に対する調剤薬局のコミュニケーション機会やビジネス機会を増加させて薬局の事業を活性化させることができる。
【0037】
また、本実施形態においては、前記薬局選択情報生成部16が、各薬局(薬剤師)から送信された「今から問診を行うことができる状態にあることを示す情報」に基づいて、「今から問診を行うことができる、複数の薬局(薬剤師)」だけを患者が選択できる問診担当候補者として選び、その選んだ複数の問診担当候補者を患者側端末1の問診担当者選択用画面中に表示させるようにしたので、患者が選択した問診担当者がいずれであっても、ほぼ確実に今から問診を行うことができるようになる(よって、患者が選択した問診担当者がたまたまその選択の時点で例えば離席中であったために問診のためのビデオ通話等が直ちにはできなかったなどの不都合を回避することができる)。
【0038】
また本実施形態においては、前記薬局選択情報生成部16が、患者の年齢や性別等の属性及び患者の居住地域又は住所地を含む患者に関する情報に基づいて、「当該患者の属性や居住地域などに適合する、複数の薬局(薬剤師)」を患者が選択できる問診担当候補者として選んだ上で、それらを患者側端末1の問診担当者選択用画面に表示するようにしたので、例えば患者が自分に適合しない薬剤師を選択してしまったために問診時の患者満足度が低下してしまうなどの事態を有効に回避することができる。
【0039】
さらに本実施形態おいては、医療機関側が測定又は取得した当該患者のバイタルサインの全部又は一部を、問診前に、患者が選択した問診担当者としての薬局又は薬剤師に送信するようにしたので、薬剤師はそのバイタルサインをも参照しながら、より充実した問診を行えるようになる。
【0040】
以上、本実施形態について説明したが、本発明はこれに限られるものではなく様々な変更が可能である。例えば前記実施形態では、患者側端末1を医療機関内の受付・待合室又は個室ブース等の場所に設置された端末としたが、本発明では前記患者側端末1は例えば患者が携帯するスマートフォン、タブレット、患者宅内のパソコンなどとし、前記管理サーバー2側とインターネットなどのネットワーク4を介して情報を送受信するものなどとしてもよい。また前記管理サーバー2もネットワーク4のクラウド上に備えられたものであってもよい。また前記実施形態では、前記薬局選択情報生成部16は、各薬局(薬剤師)からの「今から問診を行うことができる状態にあることを示す情報」を受信・取得した問診可能状態取得部15(図1参照)からの情報に基づいて、「今から問診を行うことができる、複数の薬局(薬剤師)」だけを、患者が選択できる問診担当候補者として、患者側端末1に送信して患者側に表示・提示するようにしたが、本発明では、例えば、前記管理サーバー2が運営するサイトには「今から問診を行うことができる、複数の薬局(薬剤師)」だけがログインできるというルールを事前に設定するようにしておけば、前記問診依頼部18(図1参照)がオンライン問診を依頼できる薬局又は薬剤師(すなわち、前記サイトにログインしている薬局又は薬剤師)は全て「今から問診を行うことができる=前記ログインしている、複数の薬局(薬剤師)」となるから、前記問診可能状態取得部15(図1参照)からの情報がなくても、前記薬局選択情報生成部16は、前記ログインしている薬局又は薬剤師の中から選んだ「今から問診を行うことができる、複数の薬局(薬剤師)」だけを、患者が選択できる問診担当候補者として、患者側端末1に送信して患者側に表示・提示することができる。また前記実施形態では、前記患者側端末1は、前記薬局選択情報生成部16からの画面情報に基づいて、今から問診を行うことができる複数の薬局(又は薬剤師)だけ(ここでは前記問診可能状態取得部15が受信した前記「今から問診を行うことができる状態にあることを示す情報」を送信してきた複数の薬局だけ)を、患者が選択できる問診担当候補者として患者側に画面で表示・提示するようにしたが、本発明では、前記患者側端末1の画面に、「今から問診を行うことができる状態にある」かどうかを問わず複数の問診担当候補者としての複数の薬局(又は薬剤師)を表示するようにし、その上で、その複数の薬局(又は薬剤師)中の前記「今から問診を行うことができる状態にあることを示す情報」を送信してきた複数の薬局(又は薬剤師)だけに前記「今から問診を行うことができる状態にあること」が分かるように何らかの印・マークを画面表示するようにしてもよい。
【0041】
また前記実施形態では、前記ビデオ通話接続部22(図1参照)によりビデオ通話による動画でのオンライン問診を行うようにしたが、本発明では音声だけでオンライン問診を行うようにしてもよい。また前記実施形態では、患者が問診担当者を選択するために前記患者側端末1に表示させる問診担当者選択用画面(図1の薬局選択情報生成部16が生成する画面の情報)として、複数の薬局(又は複数の薬剤師)を問診担当候補者として表示する画面を例示したが、本発明における「患者が問診担当者を選択するために患者側端末1に表示される画面」としては、例えば複数の薬局(又は複数の薬剤師)と一人又は複数の研修医や医学生を問診担当候補者とする画面などのように、薬局(又は薬剤師)以外の者(例えば研修医や医学生など)をも問診担当候補者の一部として当該画面中に表示するようにしてもよい。さらに前記実施形態では薬局(薬剤師)によるオンライン問診の前に医療機関から薬局(又は薬剤師)側に当該患者のバイタルサインを送信するようにしたが(図1のバイタルサイン送信部20参照)、本発明ではこのような送信を省略してもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 患者用端末
2 管理サーバー
3a,3b,3c 薬局側端末
4 ネットワーク
11 患者情報取得部
12 患者データベース
13 薬局データベース
14 送受信部
15 問診可能状態取得部
16 薬局選択情報生成部
17 選択結果取得部
18 問診依頼部
19 問診受諾取得部
20 バイタルサイン送信部
21 医療データベース
22 ビデオ通話接続部
23 問診結果取得部
【要約】
【目的】問診時における患者満足度を向上させることができると共に薬剤師の専門性を生かして問診の品質を向上させることができ、
医療機関と調剤薬局との双方で重複した問診が行われることによる患者側の負担や非効率さを回避して患者の薬局での待ち時間を短縮することができ、薬剤師側に患者情報の収集の機会を確保させることができ、医療機関で行っていた問診を薬局が行って医療機関に報告するという医療タスクシフトを実現できる、薬局等を活用したオンライン問診システムを提供する。
【構成】或る医療機関に対して受診の受付等をした患者がこれから問診を担当できる者として端末画面に表示された複数の薬局・薬剤師等のいずれかを自分の問診担当者として選択できるようにしたシステムである。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4