(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】自転車の駐輪装置
(51)【国際特許分類】
B62H 3/08 20060101AFI20231106BHJP
【FI】
B62H3/08
(21)【出願番号】P 2022070406
(22)【出願日】2022-04-04
【審査請求日】2022-04-04
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-08
【早期審理対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510275482
【氏名又は名称】小林 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100082094
【氏名又は名称】橋爪 英彌
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠一郎
【合議体】
【審判長】中村 則夫
【審判官】筑波 茂樹
【審判官】八木 誠
(56)【参考文献】
【文献】実開平2-57791(JP,U)
【文献】特開2019-129647(JP,A)
【文献】特開2006-62517(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62H 3/00 - 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スタンドを立てる自転車の駐輪装置であって、地面に固定され前輪のみの下方であって後輪の下方にまで延びない固定ガイド体と、自転車の前輪が駐輪時に挿入されて該前輪を支持する前輪支持アームと、該前輪支持アームとそれが固定される前輪支持フレーム本体が一体として前記固定ガイド体にガイドされた状態でスタンドを地面上に立てる際に自転車前後の方向に移動可能にされた自転車の駐輪装置において、前記前輪支持フレーム本体は地面上を転がる車輪を有して底のない箱状にされ、その上面に自転車の前輪が嵌入される長孔が設けられ、該長孔の上方に前記前輪支持アームが前記前輪支持フレーム本体の上面に固定され、前記固定ガイド体は前記前輪支持フレーム本体の箱状の内部に収納され、前記前輪支持フレーム本体は前記固定ガイド体に前後方向にガイドされて移動可能にされた自転車の駐輪装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自転車を駐輪する場合に、前輪を駐輪装置の前輪支持フレームに位置決めした状態でスタンドを立てる際に、そのスタンドを容易に立てて自転車を駐輪装置に駐輪させることが可能になる自転車の駐輪装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来において自転車を駐輪する場合に、前輪を駐輪装置の前輪支持フレームに位置決めした状態でスタンドを立てる際に前輪が前輪支持フレームでその前後の動きが拘束される場合または後ろに動かすと前輪支持アームから外れてしまう場合は、自転車を後ろに動かすことが困難であるから自転車の後輪を持ち上げなければならず、特に電動アシスト自転車の様に車体重量が重い場合に、その持ち上げ操作が容易ではなくスタンド立て操作を含む駐輪操作が使用者の負担になっていた。
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は前輪を駐輪装置の前輪支持フレームに位置決めした状態でスタンドを立てる際に、そのスタンドを容易に立てて自転車を駐輪装置に駐輪させることが可能になる自転車の駐輪装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は以上の目的達成のために:
地面に固定され前輪のみの下方であって後輪の下方にまで延びない固定
ガイド体と、自転車の前輪が駐輪時に挿入されて該前輪を支持する前輪支持アームと、該前輪支持アームとそれが固定される前輪支持フレーム本体が一体として前記固定ガイド体にガイドされた状態で自転車前後の方向に移動可能にされた自転車の駐輪装置
以上の自転車の駐輪装置を提案するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0005】
以下本発明の自転車の駐輪装置を図面に示す実施例に従って説明する。
図1Aは本発明の自転車の駐輪装置を示し、該自転車の駐輪装置(2)は自転車(1)の前輪(1a)が駐輪時に挿入されて、それを支持する前輪支持アーム(21)を有する。
該前輪支持アーム(21)は前輪支持フレーム本体(22)に固定され、前輪支持アーム(21)と前輪支持フレーム本体(22)は一体として前輪支持フレーム本体(22)に設けられ車輪(24)(25)により地面に固定された固定ガイド体(29)にガイドされた状態で自転車(1)前後の方向に移動可能にされる。
この固定ガイド体(29)は前輪(1a)のみの下方であって後輪(1b)の下方にまで延びないものである。
その前後の方向に移動可能にすることにより以下の効果がある:
すなわち
図1Aに示す様に使用者が駐輪のために、まず最初の操作として前輪(1a)を前輪支持アーム(21)に挿入するが、その状態である実線の状態から後輪(1b)近くに設けられたスタンド(1c)を降ろしていくことになる。
【0006】
そしてスタンド(1c)の下端が地面に接点(M)で接触するが、その状態から該接点(M)を中心に自転車(1)全体を後ろに(引いて)移動させる操作を使用者はすればよい。
何故ならばスタンド(1c)を立てるために自転車(1)を持ち上げる操作は自転車(1)の重さを持ち上げなければならないから楽ではない、他方で自転車(1)全体を後ろに(引いて)移動させる操作は前後に引っぱるという操作であるから持ち上げる操作よりも“楽”で安全だからである。
この自転車全体を後ろに(引いて)移動させる操作が可能になっているのは前輪支持アーム(21)と前輪支持フレーム本体(22)が一体として自転車(1)前後の方向に移動可能にしたことの効果である。
以上の通り前後の方向に移動可能にすることによる効果を説明した。
前述の通り固定ガイド体(29)は前輪(1a)のみの下方であって後輪(1b)の下方にまで延びないものであるが故に、スタンド(1c)を立てる操作は固定ガイド体(29)により邪魔されない(後輪(1b)の下方にまで延びていると仮定すれば、該固定ガイド体(29)が足元に走っているため使用者が固定ガイド体(29)をよけて横か後ろに立たなければならないし、横か後ろに立ってからスタンド(1c)を操作する際も足元の固定ガイド体(29)が操作の直接間接に障害となる、すなわち一言でいえば邪魔されることになる)。
【0007】
次に
図2は本発明の自転車の駐輪装置を示し、該自転車の駐輪装置(3)は自転車(1)の前輪(1a)が駐輪時に挿入されて、それを支持する前輪支持アーム(31)を有する。
該前輪支持アーム(31)は前輪支持フレーム本体(32)に固定され、前輪支持アーム(31)と前輪支持フレーム本体(32)は一体として前輪支持フレーム本体(32)に設けられ車輪(34)により地面に固定された固定ガイド体(39)にガイドされた状態で自転車(1)前後の方向に移動可能にされる。
その前後の方向に移動可能にする構造により、
図1Aと
図1Bの実施例で説明したのと同様の効果があり、同様であるから説明を省略する。
図2の固定ガイド体(39)も前輪(1a)のみの下方であって後輪(1b)の下方にまで延びないものである。
【0008】
次に
図3は本発明の自転車の駐輪装置を示し、該自転車の駐輪装置(4)は自転車(1)の前輪(1a)が駐輪時に挿入されて、それを支持する前輪支持アーム(41)を有する。
該前輪支持アーム(41)は前輪支持フレーム本体(42)に固定され、前輪支持アーム(41)と前輪支持フレーム本体(42)は一体として地面に固定された固定ガイド体(49)に設けられ車輪(43)により該固定ガイド体(49)にガイドされた状態で自転車(1)前後の方向に移動可能にされる。
その前後の方向に移動可能にする構造により、
図1Aと
図1Bの実施例で説明したのと同様の効果があり、同様であるから説明を省略する。
図3の固定ガイド体(49)も前輪(1a)のみの下方であって後輪(1b)の下方にまで延びないものである。
【0009】
次に
図4A及び
図4Bは本発明の自転車の駐輪装置を示し、該自転車の駐輪装置(5)は自転車(1)の前輪(1a)が駐輪時に挿入されて、それを支持する前輪支持アーム(51)を有する。
該前輪支持アーム(51)は前輪支持フレーム本体(52)に固定され、前輪支持アーム(21)と前輪支持フレーム本体(52)は一体として前輪支持フレーム本体(52)に設けられ車輪(54)により地面に固定された固定ガイド体(59)にガイドされた状態で自転車(1)前後の方向に移動可能にされる。
また図示の電磁ロックのかぎ(53)が作動した後には、前輪(1a)は前輪支持フレーム本体(52)と一体固定状態となる。
その前後の方向に移動可能にする構造により、
図1Aと
図1Bの実施例で説明したのと同様の効果があり、同様であるから説明を省略する。
図4A及び図4Bの固定ガイド体(59)も、特に図4Bから明らかな通り、前輪(1a)のみの下方であって後輪(1b)の下方にまで延びないものである。
【0010】
次に
図5は本発明の自転車の駐輪装置を示し、該自転車の駐輪装置(6)は自転車(1)の前輪(1a)が駐輪時に挿入されて、それを支持する前輪支持アーム(61)を有する。
該前輪支持アーム(61)は前輪支持フレーム本体(62)に固定され、前輪支持アーム(61)と前輪支持フレーム本体(62)は一体として地面に固定された固定ガイド体(69)に設けられ車輪(63)により該固定ガイド体(69)にガイドされた状態で自転車(1)前後の方向に移動可能にされる。
その前後の方向に移動可能にする構造により、
図1Aと
図1Bの実施例で説明したのと同様の効果があり、同様であるから説明を省略する。
図5の固定ガイド体(69)も前輪(1a)のみの下方であって後輪(1b)の下方にまで延びないものである。
【0011】
次に
図6は本発明の自転車の駐輪装置を示し、該自転車の駐輪装置(8)は自転車(1)の前輪(1a)が駐輪時に挿入されて、それを支持する前輪支持アーム(81)を有する。
該前輪支持アーム(81)は前輪支持フレーム本体(82)に固定され、前輪支持アーム(81)と前輪支持フレーム本体(82)は一体として地面に固定された固定体(89)の軸(83)で自転車(1)前後の方向に回転により移動可能にされる。
その前後の方向に移動可能にする構造により、
図1Aと
図1Bの実施例で説明したのと同様の効果があり、同様であるから説明を省略する。
図6の固定体(89)も前輪(1a)のみの下方であって後輪(1b)の下方にまで延びないものである。
【0012】
次に
図7は本発明の自転車の駐輪装置を示し、該自転車の駐輪装置(9)は自転車(1)の前輪(1a)が駐輪時に挿入されて、それを支持する前輪支持アーム(91)を有する。
該前輪支持アーム(91)は前輪支持フレーム本体(92)に固定され、前輪支持アーム(91)と前輪支持フレーム本体(92)は一体として前輪支持フレーム本体(92)に設けられ車輪(94)により地面に固定された固定ガイド体(99)にガイドされた状態で自転車(1)前後の方向に移動可能にされる。
その前後の方向に移動可能にする構造により、
図1Aと
図1Bの実施例で説明したのと同様の効果があり、同様であるから説明を省略する。
図7の固定ガイド体(99)も前輪(1a)のみの下方であって後輪(1b)の下方にまで延びないものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の効果を次に述べる:
スタンドを立てるために自転車を持ち上げる操作は自転車の重さを持ち上げなければならないから楽ではない、他方で自転車全体を後ろに(引いて)移動させる操作は前後に引っぱるという操作であるから持ち上げる操作よりも“楽”で安全である。
本発明の駐輪装置においては、この自転車全体を後ろに(引いて)移動させる操作が可能になっている、その理由は、本発明の自転車の駐輪装置が前輪支持アームと前輪支持フレーム本体が一体として自転車前後の方向に移動可能にされているからである。
【0014】
本発明の駐輪装置においては、固定ガイド体は前輪のみの下方であって後輪の下方にまで延びないものであるが故に、スタンドを立てる操作は固定ガイド体により邪魔されない(後輪の下方にまで延びていると仮定すれば、該固定ガイド体が足元に走っているため使用者が固定ガイド体をよけて横か後ろに立たなければならないし、横か後ろに立ってからスタンドを操作する際も足元の固定ガイド体が操作の直接間接に障害となる、すなわち一言でいえば邪魔されることになる)。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1A】本発明の自転車の駐輪装置を自転車と共に示す側面図
【符号の説明】
【0016】
1 自転車
1a 前輪
1b 後輪
1c スタンド
2 駐輪装置
21 前輪支持アーム
22 前輪支持フレーム本体
24 車輪
25 車輪
29 固定ガイド体
3 駐輪装置
31 前輪支持アーム
32 前輪支持フレーム本体
33 長孔
34 車輪
39 固定ガイド体
4 駐輪装置
41 前輪支持アーム
42 前輪支持フレーム本体
43 車輪
49 固定ガイド体
5 駐輪装置
51 前輪支持アーム
52 前輪支持フレーム本体
53 電磁ロックのかぎ
54 車輪
59 固定ガイド体
6 駐輪装置
61 前輪支持アーム
62 前輪支持フレーム本体
63 車輪
69 固定ガイド体
8 駐輪装置
81 前輪支持アーム
82 前輪支持フレーム本体
83 軸
89 固定体
9 駐輪装置
91 前輪支持アーム
92 前輪支持フレーム本体
93 前輪支持フレーム本体
94 車輪
99 固定ガイド体