(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】照明システム及び制御装置
(51)【国際特許分類】
H05B 45/325 20200101AFI20231106BHJP
【FI】
H05B45/325
(21)【出願番号】P 2019150642
(22)【出願日】2019-08-20
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小谷 幹
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-014894(JP,A)
【文献】特開2011-138716(JP,A)
【文献】特開2010-251115(JP,A)
【文献】特開2013-025881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/00
H05B 45/00
H05B 45/325
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれに一つ以上の発光素子を有する複数の光源ユニットと、
前記複数の光源ユニットのそれぞれに対して各別に供給される駆動電流を制御する制御装置と、
を備え、
前記複数の光源ユニットのそれぞれは、前記発光素子から放射される照明光に関連する特性の情報を記憶する記憶部を有し、
前記制御装置は、前記記憶部から前記特性の情報を読み出し、かつ、読み出した前記特性の情報に基づいて前記駆動電流を
PWM制御して調整する制御部を有
し、
前記記憶部は、前記発光素子に流れた前記駆動電流の履歴から計算される前記発光素子の累積点灯時間を前記特性の情報として記憶し、
前記制御部は、前記PWM制御におけるデューティ比を一定時間ごとに平均した平均値を前記累積点灯時間に換算して前記記憶部に記憶させる、
照明システム。
【請求項2】
前記複数の光源ユニットのそれぞれは、互いに光源色の異なる複数種類の前記発光素子を有し、
前記記憶部は、複数種類の前記発光素子のそれぞれから放射される照明光に関連する前記特性の情報を記憶する、
請求項
1記載の照明システム。
【請求項3】
それぞれに一つ以上の発光素子を有する複数の光源ユニットのそれぞれに対して各別に供給される駆動電流をPWM制御する制御装置であって、
前記発光素子から放射される照明光に関連する特性の情報に基づいて前記駆動電流を
PWM制御して調整する制御部を有し、
前記制御部は、前記PWM制御におけるデューティ比を一定時間ごとに平均した平均値を前記発光素子の累積点灯時間に換算し、前記複数の光源ユニットが備える記憶部に記憶させる、
制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明システム及び制御装置に関する。より詳細には、本開示は、一つ以上の光源ユニットと前記光源ユニットを制御する制御装置を有する照明システムに関する。また、本開示は、前記照明システムが有する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、特許文献1記載の照明システム(光源モジュール)を例示する。特許文献1記載の従来例(以下、従来例と略す。)は、一つの基板上に3種類のLEDアレイ(発光素子)と一つの受光センサが搭載されて光源モジュールを構成している。3種類のLEDアレイは、赤色光を発する複数のLEDを順方向に直列接続したLEDアレイ、緑色光を発する複数のLEDを順方向に直列接続したLEDアレイ、及び青色光を発する複数のLEDを順方向に直列接続したLEDアレイである。受光センサは、3種類のLEDアレイから発せられる光を受光し、受光した光の光度を計測する。
【0003】
従来例は、測光処理回路、LED駆動回路、測光制御回路、演算回路、色補正回路を更に備えている。測光処理回路は、測光制御回路からのトリガ信号に従い、トリガ信号を受けた時点における受光センサからの出力信号を取り込み、当該出力信号の増幅やA/D変換等を施して光度データを生成する。LED駆動回路は、測光制御回路からのON/OFF信号に従い、3種類のLEDアレイを点灯させたり、1種類のLEDアレイのみを消灯させたりする。また、LED駆動回路は、各LEDアレイを点灯させる際の駆動電流を調整する。測光制御回路は、当該測光制御回路が搭載された光源モジュールにおいて測光及びLEDアレイの出力制御を行う際に、LEDアレイの点灯/消灯を制御しつつ、受光センサによる測光結果の取り込みを制御する。演算回路は、全種類のLEDアレイを点灯させた状態での測光結果を示す光度データと、1種類のLEDアレイのみを消灯させた状態での測光結果を示す光度データとの差分を算出し、その差分を示す差分データを色補正回路に送る。色補正回路は、演算回路から送られてくる差分データに基づき、この差分データに対応するLEDアレイの出力があらかじめ設定された大きさになるように、LED駆動回路から当該LEDアレイに対して供給する駆動電流を調整する。
【0004】
上記従来例では、受光センサで3種類のLEDアレイの光度を計測し、計測した光度に応じて各LEDアレイに供給する駆動電流を調整することによって、各LEDアレイの特性のばらつきに起因した光色のばらつきの抑制を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来例では、受光センサの計測精度の影響により、光源モジュール(照明システム)から放射される光(照明光)の光度又は光色のばらつきの抑制が困難になることがある。
【0007】
本開示の目的は、照明光のばらつきの抑制を図ることができる照明システム及び制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る照明システムは、それぞれに一つ以上の発光素子を有する複数の光源ユニットと、前記複数の光源ユニットのそれぞれに対して各別に供給される駆動電流を制御する制御装置とを備える。前記複数の光源ユニットのそれぞれは、前記発光素子から放射される照明光に関連する特性の情報を記憶する記憶部を有する。前記制御装置は、前記記憶部から前記特性の情報を読み出し、かつ、読み出した前記特性の情報に基づいて前記駆動電流をPWM制御して調整する制御部を有する。前記記憶部は、前記発光素子に流れた前記駆動電流の履歴から計算される前記発光素子の累積点灯時間を前記特性の情報として記憶する。前記制御部は、前記PWM制御におけるデューティ比を一定時間ごとに平均した平均値を前記累積点灯時間に換算して前記記憶部に記憶させる。
【0009】
本開示の一態様に係る制御装置は、それぞれに一つ以上の発光素子を有する複数の光源ユニットのそれぞれに対して各別に供給される駆動電流をPWM制御する。前記制御装置は、前記発光素子から放射される照明光に関連する特性の情報に基づいて前記駆動電流をPWM制御して調整する制御部を有する。前記制御部は、前記PWM制御におけるデューティ比を一定時間ごとに平均した平均値を前記発光素子の累積点灯時間に換算し、前記複数の光源ユニットが備える記憶部に記憶させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示の照明システム及び制御装置は、照明光のばらつきの抑制を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る照明システム、光源ユニット及び制御装置のブロック図である。
【
図2】
図2は、同上の制御装置における動作説明用の説明図である。
【
図3】
図3は、同上の制御装置の動作説明用のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態に係る照明システム、制御装置、光源ユニット及びコンピュータ・プログラムの実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0015】
本開示の実施形態に係る照明システム1(以下、照明システム1と略す。)は、
図1に示すように、本開示の実施形態に係る制御装置3(以下、制御装置3と略す。)と、本開示の実施形態に係る光源ユニット2(以下、光源ユニット2と略す。)とを備える。ただし、照明システム1は、複数(図示例では二つ)の光源ユニット2を備えている。また、以下の説明において、二つの光源ユニット2のうちの一方の光源ユニット2を第1の光源ユニット2Aと呼び、他方の光源ユニット2を第2の光源ユニット2Bと呼ぶ場合がある。なお、照明システム1が備える光源ユニット2の台数は2台に限定されない。照明システム1は、3台以上の光源ユニット2を備えてもよい。
【0016】
複数の光源ユニット2(第1の光源ユニット2A及び第2の光源ユニット2B)のそれぞれは、3種類のLEDモジュール20R、20G、20Bと、記憶部21とを有する。1種類目のLEDモジュール20Rは、光源色が赤色である複数個(図示例では3個)の赤色LED200Rを電気的に直列接続して構成されている。2種類目のLEDモジュール20Gは、光源色が緑色である複数個(図示例では3個)の緑色LED200Gを電気的に直列接続して構成されている。3種類目のLEDモジュール20Bは、光源色が青色である複数個(図示例では3個)の青色LED200Bを電気的に直列接続して構成されている。ただし、各LEDモジュール20R、20G、20Bが有するLED(赤色LED200R、緑色LED200G、青色LED200B)の個数は3個に限定されず、1~2個又は4個以上であっても構わない。
【0017】
記憶部21は、EEPROM及びフラッシュメモリのように電気的に書換え可能な不揮発性の半導体メモリで構成されている。記憶部21は、LED(赤色LED200R、緑色LED200G、青色LED200B)から放射される照明光に関連する特性の情報を記憶する。なお、照明光に関連する特性の詳細については後述する。
【0018】
制御装置3は、制御部30と、複数の電源部とを有する。複数の電源部は、三つの電源部31R、31G、31Bと、同じく三つの電源部32R、32G、32Bとを有する。ただし、これらの電源部31R、31G、31B及び電源部32R、32G、32Bは、すべて共通の回路構成を有している。以下、三つの電源部31R、31G、31Bを一まとめにして電源部31と呼ぶ場合がある。同じく、三つの電源部32R、32G、32Bを一まとめにして電源部32と呼ぶ場合がある。
【0019】
電源部31Rは、第1の光源ユニット2AのLEDモジュール20Rに直流電流(駆動電流)を供給して点灯させる。電源部31Gは、第1の光源ユニット2AのLEDモジュール20Gに直流電力を供給して点灯させる。電源部31Bは、第1の光源ユニット2AのLEDモジュール20Bに直流電力を供給して点灯させる。
【0020】
電源部32Rは、第2の光源ユニット2BのLEDモジュール20Rに直流電流(駆動電流)を供給して点灯させる。電源部32Gは、第2の光源ユニット2BのLEDモジュール20Gに直流電力を供給して点灯させる。電源部32Bは、第2の光源ユニット2BのLEDモジュール20Bに直流電力を供給して点灯させる。
【0021】
電源部31及び電源部32はそれぞれ、商用の電力系統から供給される交流電圧・交流電流を直流電圧・直流電流に変換するように構成されている。電源部31及び電源部32はそれぞれ、全波整流回路、力率改善回路、降圧チョッパ回路などを備えることが好ましい。
【0022】
制御部30は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における照明システム1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリにあらかじめ記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0023】
制御部30は、電源部31及び電源部32のそれぞれの降圧チョッパ回路をPWM制御することにより、第1の光源ユニット2A及び第2の光源ユニット2Bのそれぞれから放射される照明光を調光及び調色する。なお、調色とは、照明光の光色を調整することを意味する。照明光の光色は、3種類のLEDモジュール20R、20G、20Bのそれぞれの光束比(光度比)によって決まる。
【0024】
また、制御部30は、第1の光源ユニット2Aの記憶部21、及び第2の光源ユニット2Bの記憶部21のそれぞれと通信を行うことにより、各記憶部21に記憶されている特性の情報を読み出すことができる。なお、制御部30は、I2C(アイ・スクエア・シー)又はMicrowire(登録商標)などの通信インタフェースを介して記憶部21と通信を行うことができる。
【0025】
ここで、制御装置3は、電気ケーブルを介して第1の光源ユニット2A及び第2の光源ユニット2Bのそれぞれと電気的に接続されている。ただし、電気ケーブルと制御装置3及び電気ケーブルと各光源ユニット2は、コネクタを介して抜き差し可能に接続されることが好ましい。
【0026】
次に、各光源ユニット2の記憶部21に記憶される特性の情報、すなわち、照明光に関連する特性の情報について説明する。
【0027】
本開示において、照明光に関連する特性は、3種類のLEDモジュール20R、20G、20Bのそれぞれに流す駆動電流と、3種類のLEDモジュール20R、20G、20Bのそれぞれの光度の関係である。より詳細には、本開示における照明光に関連する特性は、制御部30が電源部31及び電源部32をPWM制御する際のデューティ比と、LEDモジュール20R、20G、20Bに定格の駆動電流を流したときの光度を100%とした光度比との対応関係である。なお、上記デューティ比により、制御部30が電源部31及び電源部32をPWM制御してLEDモジュール20R、20G、20Bに流す駆動電流の大きさが決まる。
【0028】
記憶部21は、3種類のLEDモジュール20R、20G、20Bのそれぞれの特性の情報として、光度比の最大値(100%)に対応するデューティ比DR(100)と、光度比の最小値(例えば、5%)に対応するデューティ比DR(5)とを記憶している(
図2参照)。なお、これらのデューティ比DR(100)、DR(5)は、各LEDモジュール20R、20G、20Bの製造時に測定機器を利用して測定されることが好ましい。
【0029】
続いて、制御装置3の制御部30の動作について、
図1及び
図2を参照して詳細に説明する。制御部30は、各光源ユニット2の記憶部21から特性の情報、すなわち、光度比XLの最大値(100%)に対応するデューティ比DR(100)と、光度比XLの最小値(5%)に対応するデューティ比DR(5)を読み出してメモリに格納する。ここで、5%~100%の間の任意の光度比XL[%]とデューティ比DR(XL)の関係(関数)は、二つの点(DR(100), 100)、(DR(5), 5)を通る一次関数(直線L1)で近似することができる(
図2参照)。なお、直線L1は、下記の式1で表される。
【0030】
XL={(100-5)/(DR(100)-DR(5)}×(DR(XL)-DR(5))+5…(式1)
また、式1を変形して下記の式2が得られる。
【0031】
DR(XL)={(XL-5)×(DR(100)-DR(5)/(100-5)}+DR(5)…(式2)
なお、制御部30は、第1の光源ユニット2A及び第2の光源ユニット2Bのそれぞれの3種類のLEDモジュール20R、20G、20Bごとに、任意の光度比XL[%]に対応したデューティ比DR(XL)を算出するための式2を得る。
【0032】
そして、制御部30は、記憶部21から読み出した特性の情報(デューティ比DR(100)、DR(5))を式2に代入することにより、5%~100%の間の任意の光度比XL[%]に対応したデューティ比DR(XL)を算出する。さらに、制御部30は、算出したデューティ比DR(XL)によって電源部31及び電源部32の降圧チョッパ回路をPWM制御する。その結果、照明システム1は、各光源ユニット2から放射される照明光のばらつき(照明光の光度及び光色のばらつき)の抑制を図ることができる。特に、記憶部21に記憶する特性の情報は、光源ユニット2の製造時に高精度の測定機器を用いて計測することが可能である。そのため、照明システム1は、特許文献1記載の従来例のように測定機器よりも精度の低い受光センサの計測値に基づいた制御を行う場合に比べて、照明光のばらつきの更なる抑制を図ることができる。
【0033】
ここで、制御部30に含まれるコンピュータシステム(マイクロコントローラ)で実行されるコンピュータ・プログラムについて、
図3のフローチャートを参照して説明する。
【0034】
コンピュータ・プログラムが実行されると、制御部30は、光源ユニット2の記憶部21から特性の情報であるデューティ比DR(100), DR(5)を読み出す(ステップS1)。制御部30は、読み出した特性の情報から式2を求め、式2から任意の光度比XLに対応したデューティ比DR(XL)を算出する(ステップS2)。さらに、制御部30は、算出したデューティ比DR(XL)によって電源部31及び電源部32を制御する(ステップS3)。そして、制御部30は、光度比XLの変更の要否を判断し(ステップS4)、光度比XLの変更の要ありと判断すれば、ステップS2に戻って、変更後の光度比XLに対応したデューティ比DR(XL)を算出する。なお、光度比XLの変更は、制御装置3に設けられる入力デバイス(タッチパネルなど)からのデータ入力、あるいは、スマートフォンなどの通信機器からのデータ通信によって行われることが好ましい。
【0035】
次に、本開示の実施形態に係る照明システム1の幾つかの変形例について説明する。ただし、各変形例の照明システム1の基本構成は、上述した実施形態に係る照明システム1の基本構成と共通である。したがって、実施形態に係る照明システム1と共通の構成については、同一の符号を付して図示並びに説明を適宜省略する。
【0036】
変形例1の照明システム1において、制御装置3の制御部30は、初期照度補正機能を搭載している。初期照度補正機能とは、光源ユニット2の使用開始から寿命末期までの間、光源ユニット2の光出力をほぼ一定(例えば、定格の70%)に保つように、光源ユニット2の累積点灯時間に対応して光度を調整する機能である。すなわち、制御部30は、コンピュータシステム(マイクロコントローラ)に内蔵されているタイマで光源ユニット2の累積点灯時間を計時し、計時した累積点灯時間を光源ユニット2の記憶部21に記憶させる。さらに、制御部30は、メモリに格納している計算式に累積点灯時間を代入することによって、初期照度補正機能を実現することができる。
【0037】
例えば、光源ユニット2の寿命を4万時間とした場合、制御部30は、点灯開始時点(累積点灯時間がゼロ)のときに光度比が70%となるようにデューティ比を調整する。そして、制御部30は、累積点灯時間が寿命時間(4万時間)に達する時点でデューティ比を100%とするように、累積点灯時間の増加に応じて徐々にデューティ比を増加させる。その結果、光源ユニット2から放射される照明光の光度比は、点灯開始時点から寿命時間に達するまでの間、常に70%に維持される。ただし、制御部30は、光源ユニット2の光度比を累積点灯時間に応じた光度比XLに調整するため、式2に当該光度比XLを代入してデューティ比DR(XL)を算出し、算出したデューティ比DR(XL)で電源部31及び電源部32をPWM制御する。
【0038】
しかして、変形例1の照明システム1は、光源ユニット2の累積点灯時間を記憶部21に記憶することにより、使用途中の光源ユニット2が制御装置3と電気的に接続された場合においても、光源ユニット2の累積点灯時間を記憶部21から読み出すことができる。そのため、光源ユニット2は、電力供給を受ける制御装置3が使用途中で変更された場合でも、引き続いて初期照度補正されることが可能である。
【0039】
ところで、光源ユニット2の寿命時間は、100%の光度比で点灯することを前提として規定されている。そのため、光源ユニット2が調光及び調色された場合の累積点灯時間は、調光及び調色によって光度比を下げた分だけ短縮することが望ましい。
【0040】
そこで、変形例2の照明システム1においては、光源ユニット2に流れた駆動電流、実際はデューティ比DR(XL)の履歴を記憶部21に記憶する。制御部30は、10分ごとにデューティ比DR(XL)を平均し、デューティ比DR(XL)の平均値を累積点灯時間に換算する。例えば、10分間のデューティ比DR(XL)の平均値が100%であれば、累積点灯時間を10分とし、10分間のデューティ比DR(XL)の平均値が50%であれば、累積点灯時間を5分とすればよい。
【0041】
しかして、変形例2の照明システム1は、光源ユニット2の累積点灯時間を調光及び調色の状況に応じて補正することにより、光源ユニット2の寿命時間をより正確に計測することができる。その結果、変形例2の照明システム1は、初期照度補正を行う際の照明光のばらつきの抑制を図ることができる。
【0042】
なお、本実施形態及び変形例1、2における光源ユニット2は、単色のLEDモジュールを備え、調光のみが可能に構成されてもよい。
【0043】
上述のように本開示の第1の態様に係る照明システム(1)は、それぞれに一つ以上の発光素子(赤色LED200R、緑色LED200G、青色LED200B)を有する複数の光源ユニット(2)を備える。第1の態様に係る照明システム(1)は、複数の光源ユニット(2)のそれぞれに対して各別に供給される駆動電流を制御する制御装置(3)を備える。複数の光源ユニット(2)のそれぞれは、発光素子から放射される照明光に関連する特性の情報を記憶する記憶部(21)を有する。制御装置(3)は、記憶部(21)から特性の情報を読み出し、かつ、読み出した特性の情報に基づいて駆動電流を調整する制御部(30)を有する。
【0044】
第1の態様に係る照明システム(1)は、制御装置(3)の制御部(30)が、記憶部(21)から読み出した特性の情報に基づいて駆動電流を調整することにより、照明光のばらつきの抑制を図ることができる。
【0045】
本開示の第2の態様に係る照明システム(1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る照明システム(1)において、記憶部(21)は、駆動電流と発光素子の光度の関係を特性の情報として記憶する。
【0046】
第2の態様に係る照明システム(1)は、制御装置(3)の制御部(30)が特性の情報に基づいて駆動電流を調整することにより、照明光のばらつきの更なる抑制を図ることができる。
【0047】
本開示の第3の態様に係る照明システム(1)は、第1又は第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る照明システム(1)において、記憶部(21)は、発光素子の累積点灯時間を特性の情報として記憶することが好ましい。
【0048】
第3の態様に係る照明システム(1)は、光源ユニット(2)と制御装置(3)の組合せが変更された場合においても、記憶部(21)に記憶される累積点灯時間に応じた駆動電流の調整を行うことができる。
【0049】
本開示の第4の態様に係る照明システム(1)は、第3の態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る照明システム(1)において、記憶部(21)は、発光素子に流れた駆動電流の履歴を特性の情報として記憶する。
【0050】
第4の態様に係る照明システム(1)は、発光素子の寿命をより正確に計測することができる。
【0051】
本開示の第5の態様に係る照明システム(1)は、第1~第4の態様のいずれかとの組合せにより実現され得る。第5の態様に係る照明システム(1)において、複数の光源ユニット(2)のそれぞれは、互いに光源色の異なる複数種類の発光素子を有することが好ましい。記憶部(21)は、複数種類の発光素子のそれぞれから放射される照明光に関連する特性の情報を記憶することが好ましい。
【0052】
第5の態様に係る照明システム(1)は、照明光の光度と光色の両方のばらつきの抑制を図ることができる。
【0053】
本開示の第6の態様に係る制御装置(3)は、それぞれに一つ以上の発光素子を有する複数の光源ユニット(2)のそれぞれに対して各別に供給される駆動電流を制御する。第6の態様に係る制御装置(3)は、発光素子から放射される照明光に関連する特性の情報に基づいて駆動電流を調整する制御部(30)を有する。
【0054】
第6の態様に係る制御装置(3)は、記憶部(21)から読み出した特性の情報に基づいて駆動電流を調整することにより、照明光のばらつきの抑制を図ることができる。
【0055】
本開示の第7の態様に係る光源ユニット(2)は、一つ以上の発光素子と、発光素子から放射される照明光に関連する特性の情報を記憶する記憶部(21)を有する。
【0056】
第7の態様に係る光源ユニット(2)は、記憶部(21)から読み出される特性の情報に基づいて駆動電流が調整されることにより、照明光のばらつきの抑制を図ることができる。
【0057】
本開示の第8の態様に係るコンピュータ・プログラムは、コンピュータシステムに、一つ以上の発光素子から放射される照明光に関連する特性の情報に基づいて発光素子に流す駆動電流を調整する処理を行わせる。
【0058】
第8の態様に係るコンピュータ・プログラムは、記憶部(21)から読み出した特性の情報に基づいて駆動電流を調整することにより、照明光のばらつきの抑制を図ることができる。
【符号の説明】
【0059】
1 照明システム
2 光源ユニット
3 制御装置
21 記憶部
30 制御部
200R 赤色LED(発光素子)
200G 緑色LED(発光素子)
200B 青色LED(発光素子)