(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】送風システム、及び送風窓
(51)【国際特許分類】
F24F 13/06 20060101AFI20231106BHJP
F24F 7/007 20060101ALI20231106BHJP
F24F 13/14 20060101ALI20231106BHJP
A63F 7/02 20060101ALN20231106BHJP
【FI】
F24F13/06 A
F24F7/007 B
F24F13/14 Z
A63F7/02 349Z
A63F7/02 355Z
(21)【出願番号】P 2019065102
(22)【出願日】2019-03-28
【審査請求日】2022-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田 一平
(72)【発明者】
【氏名】中村 実
(72)【発明者】
【氏名】木下 和美
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-352424(JP,A)
【文献】特開平06-193245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/00
F24F 7/007
F24F 13/06
E06B 7/02
G09F 9/00
H04N 5/64
F04D 29/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体の一表面の両側から、当該一表面に沿って各々が空気流を吹き出す、一対のノズル部を備え、
前記一対のノズル部は、それぞれから互いに近づく方向に吹き出した前記空気流同士を衝突させて、前記一表面と交差する方向に沿って前記一表面から離れるように流れる合流空気流を発生さ
せ、
前記一対のノズル部の各々は、第1端部と第2端部の両端部の端面が開放された、扁平な中空の角筒状となっていて、その厚み方向に沿って見て、前記第1端部から前記第2端部に向かうほど徐々に大きくなっており、
前記第1端部の前記端面には、前記空気流が導入される導入口が設けられ、
前記第2端部の前記端面には、前記空気流を吹き出すための吹出口が設けられ、
前記一対のノズル部の各々の前記第2端部は、前記一対のノズル部の他方のノズル部の方を向くように屈曲している、
送風システム。
【請求項2】
前記一対のノズル部の少なくとも一方から吹き出す前記空気流に対して、第1変化及び第2変化の少なくとも一方を付与する、気流制御部を更に備え、
前記第1変化は、前記空気流の風量に関する変化であり、
前記第2変化は、前記空気流を複数の気流に分流させる変化である、
請求項1に記載の送風システム。
【請求項3】
前記気流制御部は、前記空気流に対して、少なくとも前記第1変化を付与し、
前記気流制御部は、前記合流空気流の風向が変化するように、前記一対のノズル部が並ぶ並び方向における前記空気流同士が衝突する位置を調整する、
請求項2に記載の送風システム。
【請求項4】
前記気流制御部は、前記空気流に対して、少なくとも前記第1変化を付与し、
前記気流制御部は、前記風量を変更可能な送風機を含む、
請求項2又は請求項3に記載の送風システム。
【請求項5】
前記気流制御部は、前記空気流に対して、少なくとも前記第1変化を付与し、
前記気流制御部は、前記風量を変更可能な開閉機構を含む、
請求項2~4のいずれか1項に記載の送風システム。
【請求項6】
電気信号を出力するセンサを、更に備え、
前記気流制御部は、前記空気流に対して、少なくとも前記第1変化を付与し、
前記気流制御部は、前記センサから取得する前記電気信号に応じて、前記空気流の風量を変化させる、
請求項2~5のいずれか1項に記載の送風システム。
【請求項7】
前記気流制御部は、前記空気流に対して、少なくとも前記第2変化を付与し、
前記気流制御部は、前記一対のノズル部の各々に設けられて前記複数の気流を発生させる分流構造を有し、
前記一対のノズル部は、前記空気流同士が、前記一表面から前方に所定の距離だけ離れた位置で衝突するように、前記一表面に対して斜め前方に前記複数の気流を放出する、
請求項2~6のいずれか1項に記載の送風システム。
【請求項8】
前記分流構造は、
前記一表面に沿って並び、かつ前記複数の気流をそれぞれ放出する複数の開口部と、
前記複数の開口部における隣接する2つの開口部の間に介在し、かつ前記複数の開口部から放出した前記複数の気流における隣接する2つの気流の間に空気が誘引される誘引部を作る壁部と、を有する、
請求項7に記載の送風システム。
【請求項9】
前記一対のノズル部の少なくとも一方から吹き出す前記空気流に対して付加要素を付与する機能部を、更に備え、
前記付加要素は、香り、空気浄化、及び温度変化のうちの少なくとも1つを含む、
請求項1~8のいずれか1項に記載の送風システム。
【請求項10】
前記空気流を前記一対のノズル部に送る1又は複数の送風機を、更に備え、
前記一対のノズル部までの前記空気流の流路上において、前記機能部、前記1又は複数の送風機、及び前記一対のノズル部の順で、これらが配置される、
請求項9に記載の送風システム。
【請求項11】
前記一対のノズル部の各々は、前記空気流の風向制御を行う、1又は複数のルーバを有する、
請求項1~10のいずれか1項に記載の送風システム。
【請求項12】
前記一対のノズル部の各々は、前記空気流を前記一表面に沿って吹き出す吹出口を有し、
前記吹出口は、その長手方向が前記一表面に沿ったスリット形状となっている、
請求項1~11のいずれか1項に記載の送風システム。
【請求項13】
前記構造体は、窓部材であり、
前記一対のノズル部の少なくとも一方は、前記窓部材における前記一表面の前方に生じる下降冷気に対向するように前記空気流を吹き出す、
請求項1~12のいずれか1項に記載の送風システム。
【請求項14】
前記構造体は、映像及び文字の少なくとも一方を表示する表示部である、
請求項1~12のいずれか1項に記載の送風システム。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか1項に記載の送風システムと、
窓部材である前記構造体を支持する窓枠と、を備え、
前記窓枠は、互いに対向する一対の枠片を有し、
前記一対のノズル部は、前記空気流を吹き出す吹出口が前記窓枠から露出するように、前記一対の枠片の内部にそれぞれ配置される、
送風窓。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、送風システム、及び送風窓に関し、より詳細には、空気流を吹き出す送風システム、及び当該送風システムを備えた送風窓に関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、特許文献1に記載の遊技機を例示する。この遊技機は、遊技者周囲の空気の流れを改善するために、エアーを吸引可能なエアー吸引口と、浄化されたエアーを排出するための排出口とを備えている。この遊技機は、排出口より、当該遊技機の前方に居る遊技者に向かってエアーを送出する。また遊技機は、遊技状態(演出状態)に応じて、エアーを弱風、又は強風に切り替える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の遊技機では、遊技者(ユーザ)に対してエアー(空気流)の体感性を十分に提供できているとは言えない可能性がある。更なる空気流の体感性の向上が望まれる。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされ、空気流の体感性の向上を図ることができる、送風システム、及び送風窓を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様の送風システムは、一対のノズル部を備える。前記一対のノズル部は、構造体の一表面の両側から、当該一表面に沿って各々が空気流を吹き出す。前記一対のノズル部は、それぞれから互いに近づく方向に吹き出した前記空気流同士を衝突させて、前記一表面と交差する方向に沿って前記一表面から離れるように流れる合流空気流を発生させる。前記一対のノズル部の各々は、第1端部と第2端部の両端部の端面が開放された、扁平な中空の角筒状となっていて、その厚み方向に沿って見て、前記第1端部から前記第2端部に向かうほど徐々に大きくなっている。前記第1端部の前記端面には、前記空気流が導入される導入口が設けられている。前記第2端部の前記端面には、前記空気流を吹き出すための吹出口が設けられている。前記一対のノズル部の各々の前記第2端部は、前記一対のノズル部の他方のノズル部の方を向くように屈曲している。
【0007】
本開示の一態様の送風窓は、上記の送風システムと、窓枠と、を備える。前記窓枠は、窓部材である前記構造体を支持する。前記窓枠は、互いに対向する一対の枠片を有する。前記一対のノズル部は、前記空気流を吹き出す吹出口が前記窓枠から露出するように、前記一対の枠片の内部にそれぞれ配置される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、空気流の体感性の向上を図ることができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る送風システムを備えた送風窓の外観斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の送風システムの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4A~4Dは、同上の送風システムにて風量バランスを調整した場合における合流空気流を説明するための図である。
【
図5】
図5A~5Dは、同上の送風システムにて風量バランスを調整した場合における合流空気流を説明するための図である。
【
図6】
図6は、同上の送風システムにおける変形例1の断面図である。
【
図7】
図7Aは、同上の変形例1におけるノズル部の斜視図である。
図7Bは、
図7AにおけるB-B線断面図である。
【
図8】
図8A及び8Bは、比較例における合流空気流を説明するための図である。
【
図9】
図9A及び9Bは、同上の変形例1における合流空気流を説明するための図である。
【
図10】
図10Aは、同上の送風システムにおける変形例2の吸込口の正面図である。
図10Bは、同上の変形例2における別例の吸込口の正面図である。
【
図11】
図11Aは、同上の送風システムにおける変形例3を備えたデジタルサイネージの外観斜視図である。
図11Bは、同上の送風システムにおける変形例4を備えた送風窓の側方から見た概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)概要
以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0011】
本実施形態に係る送風システム1は、
図1に示すように、一対のノズル部2を備えている。一対のノズル部2は、構造体X1の一表面101の両側(
図1では左右の両側)から、一表面101に沿って各々が空気流を吹き出す。本開示で言う「一表面101に沿う」とは、「一表面101と平行する」だけでなく、「一表面101の斜め前方に向かう」ことも含む。また以下では、ノズル部2の数は2つであることを想定するが、3つ以上でもよく、送風システム1は、例えば、一対のノズル部2を2組(合計4つ)備えてもよい。
【0012】
ここで一対のノズル部2は、
図2に示すように、それぞれから互いに近づく方向に吹き出した空気流同士を衝突させて、一表面101と交差する方向に沿って一表面101から離れるように流れる合流空気流G1を発生させるように構成される。
【0013】
この構成によれば、一対のノズル部2から吹き出した空気流同士の衝突による合流空気流G1が一表面101から離れるように流れる。そのため、例えば一表面101の正面に人が存在すれば、その人に合流空気流G1を体感させることができる。その結果、例えば単体のノズル部から吹き出す空気流を、そのまま人に向けて提供する場合に比べて、臨場感のある空気流を提供できる。その結果、空気流の体感性の向上を図ることができる。
【0014】
本実施形態では一例として、構造体X1が窓部材102(
図1及び
図2参照)であることを想定する。そして、本実施形態に係る送風窓100は、送風システム1と、窓部材102を支持する窓枠103と、を備えている。窓枠103は、互いに対向する一対の枠片104を有している。一対のノズル部2は、空気流を吹き出す吹出口20が窓枠103から露出するように、一対の枠片104の内部にそれぞれ配置される。
【0015】
送風窓100は、一例として、マンション(集合住宅)、ホテル、又はオフィスビル等の施設において、比較的窓(窓部材102)の開閉が容易に行い難いような高層階に設置されることを想定する。送風窓100は、例えば、窓枠103に窓部材102が固定されていて開閉できない窓を想定する。しかし、窓部材102は、窓枠103に対して開閉可能に支持されていてもよい。また送風窓100の設置場所は、上記の施設以外にも、戸建住宅、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、飲食店、百貨店、学校、旅館、病院、老人ホーム、幼稚園、図書館、博物館、美術館、地下街、駅、又は空港等でもよい。
【0016】
この構成によれば、空気流の体感性の向上を図ることが可能な送風システム1を備えた送風窓100を提供できる。なお、以下では、窓部材102(構造体X1)も送風窓100の構成要素の1つとして説明するが、窓部材102は送風窓100にとって必須の構成要素ではない。例えば送風窓100の設置現場等において、ユーザ等の要望に応じた窓部材102が、後付けで適宜に設けられてもよい。
【0017】
(2)詳細
以下、本実施形態に係る送風システム1を備えた送風窓100の全体構成について、
図1~
図3を参照しながら詳しく説明する。
【0018】
(2.1)全体構成
送風窓100は、上述の通り、例えば施設における高層階等の外壁に用いられる窓として適用される。施設内において、送風窓100の窓辺にいる人(以下、「ユーザ」と呼ぶ)は、送風窓100越しに施設外の外景を眺望できる。
【0019】
図1は、送風窓100が壁に設置された状態における、施設の室内から見た送風窓100の外観図である。以下では、送風窓100が壁に設置された状態(
図1参照)で、室内にて送風窓100を正面から見た場合における上下方向及び左右方向を、送風窓100の上下方向及び左右方向とする。また送風窓100に対して室内の側を、送風窓100の前側(正面側)とし、送風窓100に対して外景の側を、送風窓100の後ろ側とする。しかし、これらの方向の規定は、送風窓100の使用方向を限定する趣旨ではない。
【0020】
送風窓100は、全体として、上下方向に長尺の矩形の形状である。送風窓100は、上述の通り、送風システム1と、窓部材102(構造体X1)と、窓枠103とを備えている(
図1参照)。
【0021】
(2.2)窓部材と窓枠
窓部材102は、矩形の板状である。窓部材102は、透光性を有した材料により形成されている。窓部材102は、例えば、透明であるが、半透明でもよい。また窓部材102は、ガラス板により構成されているが、特に限定されず、送風窓100の使用用途に応じて、アクリル板又はポリカーボネート板等により構成されてもよい。また窓部材102は、1枚の板材により構成されるだけでなく、2枚以上の板材が厚み方向に並べて構成されてもよい(例えば複層ガラス等)。
【0022】
窓枠103は、窓部材102である構造体X1を支持するように構成される。窓枠103は、矩形の板状である窓部材102の四辺を囲むように矩形の枠状に形成されている。ここでは、窓枠103が窓部材102を支持する構造について詳細な説明を省略するが、例えば、窓部材102の四辺をそれぞれ嵌め込むための溝が、窓枠103の内側の側面に形成されている。
【0023】
窓枠103は、
図1に示すように、左右方向において互いに対向する一対の枠片104と、上下方向において互いに対向する一対の枠片105とを有している。各枠片104は、上下方向に沿って延びている矩形の角柱状である。各枠片105は、左右方向に沿って延びている矩形の角柱状である。窓枠103は、一対の枠片104と一対の枠片105とが一体となって連結されていることで、矩形の枠状となっている。枠片104は、枠片105よりも長尺である。
【0024】
各枠片104は、その内部に、送風システム1の(後述する)ノズル部2の一部を収容するための収容空間を有している。特に各枠片104には、ノズル部2の吹出口20を外部に露出するための、スリット形状の貫通孔106が設けられている。貫通孔106は、収容空間と外部とをつなぐ。各貫通孔106は、上下方向に長尺である。各貫通孔106は、対応する枠片104の内側面107(一対の枠片104同士の対向面)において、左右方向に貫通していて、上記収容空間と連通している。特に各貫通孔106は、その内側面107において、窓部材102(構造体X1)の一表面101(前面)よりも前方における領域に配置される。
【0025】
(2.3)送風システム
送風システム1は、上述の通り、一対のノズル部2(
図1~
図3参照)を備えている。また送風システム1は、
図3に示すように、1又は複数(ここでは2つ)の送風機4と、制御ユニット6と、機能部5と、操作部7と、1又は複数(ここでは2つ)のセンサZ1と、を更に備えている。
【0026】
2つの送風機4(ファン部)は、一対のノズル部2の上流側に配置され、空気流を発生させて一対のノズル部2に、一対一でそれぞれ個別に送るように構成される。具体的には、各送風機4は、例えば制御ユニット6の制御により、特定の方向に沿って流れる空気流を発生させて、流路C2(
図3参照)を介して、一対のノズル部2の一方に送る。流路C2は、各々が送風機4とノズル部2とを空間的に繋ぐ、一対のダクトにより構成される。つまり、ここでは送風機4が2つのため、一対のダクトは、2つの送風機4と一対のノズル部2とをそれぞれ一対一で繋ぐように構成されている。
【0027】
送風機4は、1つでもよく、この場合、ダクトが、一対のノズル部2に個別に空気流を送り届けるために、その途中で二股に分岐するように構成されてもよい。この場合、一対のノズル部2の各々から吹き出す空気流の風量を個別に調整できるように、二股に分かれた分岐路の途中に風量調整用のダンパーが設けられることが望ましい。
【0028】
各送風機4は、例えば、旋回成分に比べて直進的な成分を多く含む空気流を発生するシロッコファンである。送風機4の周囲には機能部5が配置されていて、送風機4は、機能部5にて付与された付加要素を含む空気を吸い込み、空気流を発生する。なお、送風機4は、シロッコファンに限定されず、プロペラファンでもよい。本実施形態の送風システム1は、室内の空気を循環させるように構成される。したがって、送風機4に向かう空気の吸込口は、室内に設置されている。
【0029】
各送風機4は、例えば、インバータ制御により、モータの回転速度を調整して風量を適宜に変更可能である。例えば、操作部7には、風量調節用のボリュームが設けられていて、送風窓100の設置現場において、ユーザが送風機4の風量を適宜に調節できる。また制御ユニット6が、自動的に送風機4の風量を変更可能である。
【0030】
本実施形態では、送風機4が、一対のノズル部2から吹き出す空気流に対して空気流の風量に関する変化(第1変化)を付与する「気流制御部3」を、制御ユニット6と共に、構成する。言い換えると、送風システム1は、気流制御部3を備えている。送風機4が2つある場合、第1変化は、一方の送風機4のみを通じて、対応する一方のノズル部2から吹き出す空気流に対して付与されてもよい。要するに、送風システム1において、一対のノズル部2の両方から吹き出す空気流に対して第1変化を付与することは必須ではない。また風量調整用のダンパーがダクトの途中に配置される場合、ダンパーも気流制御部3の構成要素の1つとなり得る。
【0031】
一対のノズル部2の各々は、例えば、合成樹脂の成形品であるが、特に限定されない。一対のノズル部2の各々は、金属(例えばアルミニウム等)の成形品であってもよい。一対のノズル部2は、構造体X1である窓部材102の一表面101の両側(ここでは左右両側)から、一表面101に沿って各々が空気流を吹き出すように構成される。
【0032】
一対のノズル部2は、左右方向において並んでいる(
図2の並び方向D1参照)。一対のノズル部2は、実質的に同形でかつ同寸法であり、左右方向において面対称となるように配置される。各ノズル部2は、その第1端部21と第2端部22の両端部の端面が開放された、扁平な中空の角筒状となっている。以下、左右一対のノズル部2を互いに区別して説明する場合には、左のノズル部2を、ノズル部2Aと呼び、右のノズル部2を、ノズル部2Bと呼ぶこともある。
【0033】
各ノズル部2は、その厚み方向に沿って見て、第1端部21から第2端部22に向かうほど上下方向の寸法が徐々に大きくなっており、全体として略三角形の形状となっている。また各ノズル部2は、第1端部21から第2端部22の近傍までは前後方向に沿って延びていて、第2端部22は、他方のノズル部2の方を向くように屈曲している(
図2参照)。
【0034】
第1端部21の端面には、上流側(送風機4側)からの空気流が導入され得る導入口23(
図1参照)が設けられ、第2端部22の端面には、ノズル部2内に導入された空気流を吹き出すための吹出口20(
図2参照)が設けられている。一対のノズル部2の吹出口20同士は、並び方向D1において互いに対向する。各ノズル部2内における導入口23から吹出口20にわたって空気流が流れる内部流路24は、上下方向に沿って見て、略L字状に折れ曲がっている(
図2参照)。言い換えると、一対のノズル部2の各々は、空気流を窓部材102の一表面101に沿って吹き出す吹出口20を有している。吹出口20は、その長手方向が一表面101に沿ったスリット形状となっている。ここでは吹出口20は、上下方向に沿っている。
【0035】
内部流路24は、ノズル部2の外郭と同様に、第1端部21から第2端部22に向かうほど上下方向の寸法が徐々に大きくなっている。内部流路24内を通る空気流は、吹出口20から、上下方向において略均一の風量で吹き出され得る。
【0036】
このように構成された一対のノズル部2は、空気流を吹き出す吹出口20が窓枠103の貫通孔106から露出するように、一対の枠片104の内部にそれぞれ配置される。本実施形態では、各ノズル部2のうち、第2端部22及びその周辺部分のみが、対応する枠片104内に収容されていて、第1端部21を含む他の部位は、枠片104の後ろ側からはみ出た状態で窓枠103に保持される。
【0037】
制御ユニット6は、送風機4の風量を制御する機能を有している。すなわち、制御ユニット6は、上述の通り、送風機4と共に、第1変化を付与する「気流制御部3」を構成する。風量調整用のダンパーがダクトの途中に配置される場合、制御ユニット6は、当該ダンパーの開閉動作を制御する機能を有してもよい。
【0038】
制御ユニット6は、例えば、送風機4と共に、筐体9(
図3参照)内に収容されている。制御ユニット6は、例えば、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータシステムを有している。そして、プロセッサがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータシステムが制御ユニット6として機能する。プロセッサが実行するプログラムは、ここではコンピュータシステムのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
【0039】
操作部7は、外部(ユーザ)からの操作入力を受け付ける。操作部7は、例えば、施設内の壁面等に設けられている。ユーザは、操作部7への操作により、送風システム1の電源をオン、オフ可能となっている。制御ユニット6は、操作部7にて電源をオンする操作を受け付けると、送風機4の駆動を開始する。またユーザは、操作部7の風量調節用のボリュームを操作することで、各送風機4の風量を調節可能となっている。制御ユニット6は、操作部7にて風量を調節する操作を受け付けると、当該操作に応じて送風機4の風量を変更する。操作部7は、リモートコントローラでもよく、その場合、操作部7から出射される赤外線を受光する受光部が、窓枠103又はその近傍に設けられてもよい。
【0040】
2つのセンサZ1は、
図3に示すように、例えば人感センサ11及び風量(風速)センサ12である。各センサZ1は、それぞれ制御ユニット6と有線で(無線でもよい)通信可能に接続されている。各センサZ1は、制御ユニット6に電気信号を出力する。制御ユニット6は、送風機4を制御して、各センサZ1から取得する電気信号に応じて空気流の風量を変化させる。
【0041】
人感センサ11は、例えば、その検知エリアR0(
図2参照)が窓部材102(構造体X1)の一表面101の前方の空間に設定されるように、窓枠103、又は窓枠103の近傍に設置される。人感センサ11は、例えば、窓部材102の前方の検知エリアR0に存在するユーザの人体から放射される光線(熱線)を検知して、その検知結果を電気信号に含めて制御ユニット6に出力する。具体的には、例えば検知エリアR0は、窓部材102の前方において、左側の第1エリアR1、中央の第2エリアR2、及び右側の第3エリアR3の、3つのエリアに分割して設定されている。
【0042】
制御ユニット6は、人感センサ11の検知結果に基づき、ユーザが検知エリアR0内に進入したか又は検知エリアR0外に退出したか(入退判定)、及びユーザが第1~第3エリアR1~R3のうちのどのエリアに存在しているか(位置判定)等を判定する。
【0043】
制御ユニット6は、入退判定により、ユーザが検知エリアR0内に進入したと判定すると、送風機4の電源をオンして送風を自動的に開始させてもよい。また制御ユニット6は、入退判定により、ユーザが検知エリアR0外に退出したと判定すると、送風機4の電源をオフして送風を自動的に停止させてもよい。
【0044】
また制御ユニット6は、位置判定により、例えばユーザが第1エリアR1に存在していると判定すると、合流空気流G1の風向が第1エリアR1の方に向くように送風機4の風量を自動的に調整するように構成されてもよい。言い換えると、制御ユニット6(気流制御部3)は、位置判定の結果に応じて、合流空気流G1の風向が変化するように、一対のノズル部2が並ぶ並び方向D1における空気流同士が衝突する位置を調整する。なお、合流空気流G1の風向変化についての詳細は、後述する。
【0045】
風量センサ12は、施設外の風量を検出するように、窓部材102の裏側において外気に触れるように設置される。風量センサ12は、例えば熱式(風速素子の温度変化)で風速を計測し、風量に演算して、演算結果(風量情報)を電気信号に含めて制御ユニット6に出力する。
【0046】
ここで制御ユニット6は、風量センサ12から取得する風量情報に基づき、送風機4の風量が概ね施設外の風量と一致するように自動的に調整するように構成される。つまり、送風システム1は、施設の高層階のように窓の開閉が容易に行い難い設置現場において、現在の施設外における風量に合わせた制御を行う。その結果、実際の自然環境と連携した擬似的環境を、施設内で再現できる。
【0047】
機能部5は、一対のノズル部2の少なくとも一方(ここでは両方とする)から吹き出す空気流に対して付加要素を付与するように構成される。付加要素は、香り、空気浄化、及び温度変化のうちの少なくとも1つを含む。
【0048】
付加要素が、香りを含む場合、機能部5は、例えば、芳香剤を含む香り提示装置を有する。香り提示装置は、例えば、一対の送風機4よりも上流側にて、送風機4の近傍に配置される。香り提示装置は、筐体9内に収容されてもよい。各送風機4は、芳香剤から気化した香りを含む空気を吸い込んで空気流を発生させて、一対のノズル部2から吹き出させる。その結果、窓部材102の前方に居るユーザに、良質な香りの空気を提供できる。
【0049】
付加要素が、空気浄化を含む場合、機能部5は、例えば、空気清浄装置を有する。空気清浄装置は、例えば、一対の送風機4よりも上流側にて、送風機4の近傍に配置される。空気清浄装置は、筐体9内に収容されてもよい。空気清浄装置は、空気中の花粉等の微粒子を集塵する集塵フィルタ、及び脱臭用のフィルタ等を有する。各送風機4は、空気清浄装置で浄化された空気を吸い込んで空気流を発生させて、一対のノズル部2から吹き出させる。その結果、窓部材102の前方に居るユーザに、浄化された空気を提供できる。
【0050】
また付加要素が、空気浄化を含む場合、機能部5は、例えば、空間除菌脱臭機を有してもよい。空間除菌脱臭機は、例えば、一対の送風機4よりも上流側にて、送風機4の近傍に配置される。空間除菌脱臭機は、筐体9内に収容されてもよい。空間除菌脱臭機は、次亜塩素酸を生成するように構成される。各送風機4は、次亜塩素酸を含んだ空気を吸い込んで空気流を発生させて、一対のノズル部2から吹き出させる。次亜塩素酸を含んだ空気流が窓部材102の前方に放出されることで、周囲の空間が除菌される。その結果、窓部材102の前方に居るユーザに、浄化された空気を提供できる。
【0051】
付加要素が、温度変化を含む場合、機能部5は、例えば、空気調和装置を有する。空気調和装置は、コンプレッサを有する。空気調和装置は、例えば、一対の送風機4よりも上流側にて、送風機4の近傍に配置される。空気調和装置は、筐体9内に収容されてもよい。各送風機4は、空気調和装置にて生成された冷気又は暖気を吸い込んで空気流を発生させて、一対のノズル部2から吹き出させる。その結果、窓部材102の前方に居るユーザに、快適な温度の空気を提供できる。
【0052】
機能部5が上述した空気清浄装置、空間除菌脱臭機及び空気調和装置を有する場合、それらの電源のオン、オフ、及び各種パラメータの調整等は、例えば、操作部7への操作にて実行可能である。なお、制御ユニット6が、機能部5に関する制御を集中的に行なってもよい。機能部5の稼働は、制御ユニット6の制御下で、送風機4の稼働に連動するように制御されてもよい。
【0053】
このように機能部5が設けられていることで、付加要素が付与された合流空気流G1をユーザに提供できる。
【0054】
本実施形態では、一対のノズル部2までの空気流の流路上(
図3の矢印C1参照)において、機能部5、(一対の)送風機4、及び(一対の)ノズル部2の順で、これらが配置される(
図3参照)。そのため、例えば、機能部5が送風機4とノズル部2との間に配置される場合に比べて、機能部5に関する交換作業(例えば芳香剤やフィルタ等の交換作業)が容易となる。
【0055】
筐体9には電源コードが導出されており、電源コードのプラグが、例えば施設内のコンセント等に接続されて、送風機4、制御ユニット6、及び機能部5等を駆動するための動作電源が供給され得る。筐体9は、例えば外壁の内部に配置されてもよいし、室内の所定空間(天井裏や床裏でもよい)に設置されて、流路C2だけが、外壁の内部に配置されてもよい。
【0056】
送風システム1は、窓部材102周辺から前方に向かって音楽等の音を鳴らすように構成されたスピーカ部を、更に備えてもよい。スピーカ部の稼働は、制御ユニット6の制御下で、送風機4の稼働に連動するように制御されてもよい。スピーカ部は、例えば、超音波を用いて指向性を持たせる、いわゆるパラメトリック・スピーカでもよい。スピーカ部がパラメトリック・スピーカであることで、局所的な空間(窓部材102の傍)に居るユーザに対して、空気流に加えて、音(音響)を提供できる。
【0057】
(2.4)合流空気流
以下、送風システム1により提供される合流空気流G1について、
図2、
図4A~
図4D及び
図5A~
図5Dを参照しながら説明する。
【0058】
上述の通り、一対のノズル部2は、それぞれから互いに近づく方向に吹き出した空気流同士を衝突させて、窓部材102の一表面101と交差する方向に沿って一表面101から離れるように流れる合流空気流G1を発生させる。
【0059】
本実施形態では、一対のノズル部2は、空気流同士が衝突する衝突点P1が、一対の吹出口20同士を結ぶ仮想線上に概ね位置するように設定されている。衝突点P1では、空気流同士が衝突し合うことで、概ね前後方向に空気流が分かれる。ただし、後方には窓部材102が存在することから、衝突点P1から後方に向かう空気流は、一表面101に当たり、衝突点P1から前方に向かう空気流と混ざり得る。その結果、
図4D及び
図5Dに示すように、一表面101と直交する略直線状の合流空気流G1が、一表面101の前方に向かって発生される。
【0060】
なお、
図5A~
図5Dは、左右のノズル部2から吹き出される空気流の風量バランス(比率)がそれぞれ異なる場合において、送風システム1により提供される合流空気流G1を上から見た熱画像(実験的に空気流は温風である)の様子を示す。
図4A~
図4Dは、斜め前方から見た合流空気流G1のシミュレーション結果を示す。
【0061】
図5Aの左右の風量比率は0.4:1であり、
図4Aは、同比率におけるシミュレーション結果である。
図5Bの左右の風量比率は0.6:1であり、
図4Bは、同比率におけるシミュレーション結果である。
図5Cの左右の風量比率は0.8:1であり、
図4Cは、同比率におけるシミュレーション結果である。
図5Dの左右の風量比率は1:1であり、
図4Dは、同比率におけるシミュレーション結果である。つまり、ここでは一例として、右のノズル部2Bからの空気流の風量「100」に対して、左のノズル部2Aからの空気流の風量を「40」~「100」の範囲で変化させている。
【0062】
これらの図面から、左右のノズル部2から吹き出される空気流の風量比率を変更することで、並び方向D1における衝突点P1の位置が変化することが容易に理解できる。すなわち、左右のノズル部2のうちの一方の風量が、他方の風量に対して下がるほど、当該一方の側に衝突点P1が移る。そして、衝突点P1の移動に伴って、合流空気流G1の風向も変化する。すなわち、左右の風量比率が1:1の場合、合流空気流G1の風向は、一表面101に対して直角である(
図4D及び
図5D参照)が、一方(図では左方)の風量が下がるにつれて、当該一方の側に傾き始め、一表面101に対する傾斜角度は小さくなる。
【0063】
以上のように、本実施形態では、一対のノズル部2から吹き出した空気流同士の衝突による合流空気流G1が一表面101から離れるように流れる。そのため、例えば一表面101の正面にユーザが存在すれば、そのユーザに合流空気流G1を体感させることができる。その結果、例えば単体のノズル部から吹き出す空気流を、そのまま人に向けて提供する場合に比べて、空気流の体感性の向上を図ることができる。
【0064】
特に、合流空気流G1の発生源である衝突点P1は、窓部材102の正面に存在する。言い換えると、吹出口が窓部材102上に存在しないにも関わらず、あたかも窓部材102から吹き出しているような、自然風に近い臨場感のある合流空気流G1を体感できる。つまり、窓部材102の正面に存在するユーザは、窓部材102が開いていなくても、外気の風を擬似的に体感できる。さらに、ノズル部の吹出口によって窓部材102越しに見える外景が阻害されることもない。
【0065】
また気流制御部3(ここでは送風機4及び制御ユニット6)は、合流空気流G1の風向が変化するように空気流同士が衝突する位置を調整するため、空気流の体感性がさらに向上される。
【0066】
制御ユニット6は、例えば、人感センサ11の検知結果に基づく位置判定により、ユーザが第1エリアR1に存在すると判定すれば、左の風量を下げて
図5A又は
図5Bに示すように合流空気流G1の風向を左斜め前方に変えてもよい。この場合、人感センサ11の検知結果と連動させることで、合流空気流G1の体感性はさらに向上される。
【0067】
また実際の施設外の風が強い日では、制御ユニット6は、風量センサ12の検知結果に基づく風量の自動調整により、合流空気流G1の風量が増加するように送風機4を制御してもよい。ユーザは、窓部材102が開いていなくても、施設内で窓部材102越しに、風による街路樹等の揺れを見ながら、施設外と同等の強風を体感できる。この場合、合流空気流G1の体感性はさらに向上される。
【0068】
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、上記実施形態に係る送風システム1の制御ユニット6と同様の機能は、制御ユニット6の制御方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
【0069】
以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。
【0070】
本開示における送風システム1の制御ユニット6は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における送風システム1の制御ユニット6としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0071】
また、送風システム1の制御ユニット6における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されていることは制御ユニット6に必須の構成ではなく、制御ユニット6の構成要素は、複数のハウジングに分散して設けられていてもよい。反対に、制御ユニット6における複数の機能が、1つのハウジング内に集約されてもよい。さらに、制御ユニット6の少なくとも一部の機能、例えば、制御ユニット6の一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
【0072】
(3.1)変形例1
以下、変形例1の送風システム1Aについて
図6~
図9Bを参照しながら説明する。ただし、基本例の送風システム1と実質的に共通する構成要素については同じ参照符号を付して、適宜にその説明を省略する。
【0073】
変形例1の送風システム1Aは、気流制御部3が、空気流に対して第2変化を付与する点で、基本例の送風システム1と異なる。
【0074】
第2変化とは、一対のノズル部2の少なくとも一方から吹き出す空気流を複数の気流に分流させる変化である。変形例1の気流制御部3は、第2変化を付与するための分流構造30(
図7A及び
図7B参照)を有している。分流構造30は、ノズル部2に設けられて空気流を複数の気流に分流させる。
【0075】
以下では、第2変化は、一対のノズル部2の両方から吹き出す空気流に対して付与されるものとする。そのため、分流構造30は、一対のノズル部2の各々に設けられている。しかし、第2変化は、一対のノズル部2の一方から吹き出す空気流に対してのみ付与されてもよく、分流構造30は、一方のノズル部2に設けられてもよい。
【0076】
変形例1の気流制御部3は、基本例の第1変化、及び第2変化のうち、少なくとも第2変化を付与する。言い換えると、変形例1において、基本例の第1変化は必須ではない。以下では、第1変化及び第2変化の両方が付与されるものとする。
【0077】
以下、分流構造30について具体的に説明する。分流構造30は、各ノズル部2の内部における吹出口20の近傍に配置される。分流構造30は、上下方向において断続的な空気の流れを形成するように構成される。分流構造30は、複数(ここでは5つ)の開口部31と、複数(ここでは4つ)の壁部32と、を有している。なお、
図7A及び
図7Bでは、左のノズル部2Aのみを図示する。
【0078】
複数の開口部31は、一表面101に沿って並ぶ(ここでは上下方向)。複数の開口部31は、複数の気流をそれぞれ放出するように構成される。
図7Aに示すように、各開口部31は、吹出口20を正面から見たときに、上下方向に長尺の矩形状に開口している。なお、開口部31の上記の開口形状は、単なる一例であり、特に限定されず、例えば円形状に開口してもよい。
【0079】
各壁部32は、複数の開口部31における隣接する2つの開口部31の間に介在する。複数の壁部32は、吹出口20を正面から見たときに、上下方向に長尺の矩形の形状となっている。各壁部32は、ノズル部2の内側面と一体となって形成されているリブである。各壁部32の、吹出口20付近にてノズル部2の厚み方向と直交する方向に沿って切った断面は、
図7Bに示すように、矩形の形状となっている。具体的には、4つの壁部32のうちの中央2つ壁部32の断面は、吹出口20に近づくほど拡がるような略台形の形状となっている。一方、4つの壁部32のうちの上下両側にある2つ壁部32の断面は、長辺がノズル部2の内周面に沿うように傾斜した、略平行四辺形の形状となっている。なお、壁部32の上記の断面形状は、単なる一例であり、特に限定されない。
【0080】
吹出口20に向かう空気流は、複数の壁部32に当たり、複数の開口部31から複数の気流として略均一の風量で放出され得る。
【0081】
さらに変形例1の一対のノズル部2は、空気流同士が、一表面101から前方に所定の距離W1(
図6参照)だけ離れた位置で衝突するように、一表面101に対して斜め前方に複数の気流を放出するように構成される。ここでは、各ノズル部2の第2端部22の内部において互いに対向する第1内側面221及び第2内側面222(
図6参照)が、窓部材102の一表面101に対して所定の角度を成して、斜め前方に傾斜している。一対のノズル部2における所定の角度は、互いに概ね等しい。
【0082】
所定の角度は、例えば45度である。所定の角度は、90度未満であれば(つまり、一対のノズル部2からの空気流が互いに平行して前方に流れなければ)、特に限定されない。ただし、合流空気流G1の安定した形成を考慮すると、所定の角度は、15度以上で45度以下の範囲内であることが望ましい。なお、所定の角度は、衝突点P1が一表面101と検知エリアR0内のユーザとの間に位置するように、設定されることで、合流空気流G1の体感性がより向上される。逆に、所定の角度は、衝突点P1が検知エリアR0よりもさらに前方に位置するように、設定されてもよく、この場合、一対のノズル部2からの空気流と一表面101とで囲まれた閉塞空間を、ユーザに体験させることができる。
【0083】
ところで、
図8A及び
図8Bは、比較例である送風システム1Xにおける空気流の様子を示す。比較例の送風システム1Xは、基本例の送風システム1と同様に、分流構造30を有していない。ただし、比較例の一対のノズル部2Xは、変形例1の送風システム1Aと同様に、一表面101に対して45度の傾斜角度で、斜め前方に複数の気流を放出するように構成される。
【0084】
比較例の送風システム1Xは、分流構造30を有していないことで、一対のノズル部2Xからの空気流の一方が他方を巻き込んで渦を巻くように混流し、前方への直線的な合流空気流G1が形成されていないことが
図8A及び
図8Bから理解できる。これは、2つの空気流の間の空気圧が周囲の空気圧に比べて低下することで、2つの空気流が負圧となった空間に引き込まれてしまうことに起因する。
【0085】
一方、変形例1の送風システム1Aは、分流構造30を有していることで、壁部32が、
図9Bに示すように、複数の開口部31から放出した複数の気流における隣接する2つの気流の間に空気が誘引される誘引部33を作る。つまり、誘引部33が存在することで、周囲の空間SP1の空気が誘引部33を介して2つの空気流の間における負圧の空間SP2内に流入して、空間SP1の空気圧と空間SP2の空気圧とのバランスが保たれる。その結果、負圧による合流空気流G1の乱れを抑制することができる。つまり、たとえ衝突点P1が一表面101から前方に所定の距離W1だけ離れた位置に設定されても、前方への直線的な合流空気流G1を安定的に形成することができる(
図9A参照)。
【0086】
(3.2)変形例2
以下、変形例2の送風システム1Bについて
図10Aを参照しながら説明する。ただし、基本例の送風システム1と実質的に共通する構成要素については同じ参照符号を付して、適宜にその説明を省略する。なお、
図10Aは、一対のノズル部2の一方における、吹出口20及びその周辺部位のみを模式的に示す。
【0087】
変形例2の送風システム1Bは、気流制御部3が空気流に対して第1変化を付与する点で、基本例の送風システム1と共通する一方で、気流制御部3が、風量を変更可能な開閉機構Y1(
図10A参照)を更に含む点で、基本例の送風システム1と異なる。
【0088】
変形例2では、一対のノズル部2の各々は、空気流の風向制御を行う、1又は複数(ここでは1つ)のルーバ8を有しており、このルーバ8が、開閉機構Y1としても機能する。
【0089】
ルーバ8は、上下方向に長尺である矩形の帯板状となっている。ルーバ8は、その上下の両端に軸部を有しており、これらの軸部を介して、ノズル部2の吹出口20から露出するようにノズル部2の本体200に取り付けられている。またルーバ8は、これらの軸部を介して、ノズル部2の本体200に対して、所定の角度範囲内で回転可能に支持されている。ルーバ8は、例えば、その厚み方向が前後方向と概ね一致する第1位置と、その厚み方向が左右方向と概ね一致する第2位置との間で、回転可能である。
【0090】
送風システム1Bは、制御ユニット6の制御下により、ルーバ8を第1位置から第2位置の間で回転駆動する駆動部を有している。ルーバ8は、駆動部により回転することで、風向を変更できる。ルーバ8が窓部材102の一表面101に対して所定の角度を成す位置まで回転することで、空気流が、変形例1のように斜め前方に放出されてもよい。このような風向制御より、空気流の体感性がさらに向上される。
【0091】
またルーバ8は、上述の通り開閉機構Y1としても機能する。ルーバ8は、例えば吹出口20を概ね塞ぐ程度に回転されることで、空気流の風量を抑制(変更)する。このように気流制御部3が、開閉機構Y1を含むことで、合流空気流G1の風量を変更でき、空気流の体感性がさらに向上される。なお、変形例2にとって、基本例における制御ユニット6(気流制御部3)が、モータの回転速度を調整して送風機4の風量を制御することは必須ではない。
【0092】
また変形例2にとって、ルーバ8を自動制御で回転駆動する駆動部は必須ではなく、ルーバ8は、ユーザからの手動操作を受けることで回転してもよい。
【0093】
さらにルーバ8は、その回転軸が上下方向に沿っていることに限定されない。
図10Bは、変形例2の別の例(ルーバ8A)を示す。ルーバ8Aの回転軸は、前後方向に沿っている。複数のルーバ8Aは、上下方向に沿って並んでいる。
図10Bの例では、各ルーバ8Aは、その前後方向の両端にある軸部を介して、ノズル部2の本体200に対して、所定の角度範囲内で回転可能に支持されている。この
図10Bの例においても、合流空気流G1の風量を変更でき、空気流の体感性がさらに向上される。
【0094】
(3.3)変形例3
以下、変形例3の送風システム1Cについて
図11Aを参照しながら説明する。ただし、基本例の送風システム1と実質的に共通する構成要素については同じ参照符号を付して、適宜にその説明を省略する。
【0095】
冬場等の季節において、裏側が外気に曝されている窓部材102付近では、窓部材102の表側(室内の側)で下降冷気H1(
図11A参照)が発生し得る(コールドドラフト現象)。そして、コールドドラフト現象により、室内の温度に関する快適性が損なわれる可能性がある。
【0096】
そこで、変形例3の送風システム1Cは、一対のノズル部2が左右の枠片104ではなく上下の枠片105内に設けられている点で、基本例の送風システム1と異なる。そして、変形例3の一対のノズル部2の一方(ここでは下方のノズル部2)は、窓部材102における一表面101の前方に生じる下降冷気に対向するように、下から上へ空気流を吹き出す。なお、ここでは、一対のノズル部2の風量比率に関して、一方(ここでは下方のノズル部2)の風量が、他方(ここでは上方のノズル部2)の風量よりも大きくなるように規定される。この構成によれば、窓部材102におけるコールドドラフトを抑制することができる。
【0097】
変形例3の送風システム1Cは、センサZ1として温度センサを更に有してもよい。制御ユニット6は、温度センサから得られる温度情報に基づいて、コールドドラフトを抑制するように、送風機4の稼働を自動的に開始してもよい。
【0098】
なお、基本例の送風システム1のように左右一対のノズル部2から空気流を吹き出す構成であっても、コールドドラフトを抑制する一定の効果は得られるが、変形例3の方がより高い効果が得られる。
【0099】
(3.4)変形例4
以下、変形例4の送風システム1Dについて
図11Bを参照しながら説明する。ただし、基本例の送風システム1と実質的に共通する構成要素については同じ参照符号を付して、適宜にその説明を省略する。
【0100】
基本例では、送風システム1は、送風窓100に適用される。変形例4の送風システム1Dは、いわゆるデジタルサイネージ150に適用される点で、基本例の送風システム1と異なる。
【0101】
デジタルサイネージ150は、様々な映像や文字を表示する情報媒体である。
図11Bの例では、デジタルサイネージ150は、駅ビルや、地下街、百貨店等の支柱160に埋め込み配置される。デジタルサイネージ150は、送風システム1Dと、映像及び文字の少なくとも一方を表示部170と、これらを収容又は保持する筐体枠180と、を備えている。ここでは、構造体X1は、表示部170である。
【0102】
表示部170は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等によって実現される。送風システム1Dの一対のノズル部2は、表示部170の一表面101の両側(ここでは左右の両側)から、一表面101に沿って各々が空気流を吹き出すように配置される。
【0103】
この構成によれば、表示部170に表示される映像等を閲覧する者(ユーザ)に対する空気流の体感性が向上される。
【0104】
特に、変形例4では、制御ユニット6は、映像を生成して表示部170に出力する映像処理部から、映像情報を取得するように構成される。そして、制御ユニット6は、映像処理部からの映像情報に応じて(映像情報に連携して)、送風機4の風量を調整するように構成される。例えば、清涼感をイメージするようなシーンや商品公告に関する映像を提示する場合、送風機4の風量に変化を付与することで、デジタルサイネージ150の傍にいる人に与える清涼感が、合流空気流G1によって向上され得る。
【0105】
また食品やレストラン等の公告に関する映像を提示する場合、香り(例えば柑橘類等の香り)が付与された空気流を吹き出すことで、デジタルサイネージ150の傍を通る人に対して公告を喚起することができる。その結果、購買意欲等がより促進される。
【0106】
特に、変形例4では、基本例で説明した人感センサ11により、デジタルサイネージ150の傍を通る人を検知した場合に、空気流の吹き出しを開始することで、無用な消費電力を抑えつつ、適切なタイミングで合流空気流G1を提供できる。
【0107】
なお、制御ユニット6が、映像処理部の機能も兼ね備えてもよい。また送風システム1Dは、デジタルサイネージ150以外にも、表示部を有した遊技機に適用されてもよい。
【0108】
(3.5)その他の変形例
基本例では、窓枠103は、矩形の板状である窓部材102の四辺を囲むように矩形の枠状に形成されている。しかし、窓部材102は、矩形の板状に限定されず、矩形以外の多角形の板状でもよいし、円形の板状でもよい。窓枠103も、窓部材102の形状に応じて、矩形以外の多角形の枠状でもよいし、円形の枠状でもよい。また窓部材102と窓枠103とは、互いに非相似形状でもよい。
【0109】
基本例における自然環境との連携について、送風システム1は、例えば、太陽が昇り始めた早朝において、そよ風のような空気流を吹き出し、太陽の上昇と共に空気流の温度を徐々に上げ、夕暮れには冷気を含んだ空気流を吹き出してもよい。この場合、送風システム1は、センサZ1として照度センサや温度センサ等を有し、それらの検知結果に基づいて空気流の風量制御を行ってもよい、また送風システム1は、現在時刻を基準に風量制御を行ってもよい。このような風量制御によって、自然環境に近い環境を施設内で再現できる。また送風システム1は、合流空気流G1に対して自然環境の風に近い揺らぎ(1/fの揺らぎでもよい)を持たせるように風量制御を行ってもよい。
【0110】
基本例では、室内の空気を循環させる構成が採用されている。すなわち、送風機4に向かう空気の吸込口は、施設の室内に設置されている。しかし、吸込口は、施設の外部に設置されて、外気循環を行なってもよい。ただし、外気循環を行う場合、機能部5は、花粉、塵埃、黄砂、及び微粒子状物質(PM10、PM2.5等)を集塵する集塵フィルタを有した空気清浄装置を有することが望ましい。
【0111】
基本例では、ノズル部2は、送風機4からの空気流が導入される導入口が、後端部(第1端部21)に配置されている。しかし、導入口は、ノズル部2の下端部に設けられ、ノズル部2は、下方からノズル部2内に導入された空気流が横方向に吹き出される構成でもよい。この場合、ノズル部2の前後方向における寸法を抑制できる。ただし、この構成では、吹出口20の上下両側で、空気流の風量にむらが生じる可能性が高くなるため、風量の均一性の観点では、基本例が望ましい。
【0112】
送風窓100は、いわゆる出窓でもよい。送風窓100が出窓の場合、基本例のように一対のノズル部2から左右方向に真っ直ぐ吹き出した空気流の衝突点P1は、窓部材102の一表面101から一定の距離(例えば30cm程度)だけ離れた位置になり得る。この場合、後方へ向かう空気流が発生するため、前方に向かう安定した合流空気流G1が得られない可能性がある。したがって、送風窓100が出窓の場合、送風システム1は、変形例1の分流構造30を有することが望ましい。
【0113】
基本例における送風システム1は、左右一対のノズル部2に加えて、上下一対のノズル部を更に備えてもよい。合流空気流G1は、上下左右(四方)からの空気流が衝突することで形成されてもよい。上下一対のノズル部は、左右一対のノズル部2とは異なる構造(寸法及び形状)を有してもよい。
【0114】
各ノズル部2における(吹出口20のある)第2端部22の端面は、平坦な面に限定されず、例えば、窓部材102の正面から見て円弧状に湾曲していてもよい。
【0115】
構造体X1は、窓部材102及び表示部170以外に、鏡でもよい。構造体X1が鏡である場合、送風システム1は、例えば洗面化粧台に適用されてもよい。
【0116】
基本例では、送風窓100の設置場所は、施設内(屋内)を想定していたが、送風窓100の設置場所は、施設外(屋外)でもよく、送風窓100は、例えば移動体の窓でもよい。移動体の例としては、自動車、電車、航空機、船舶、建設機械、及び遊園地の乗り物等を含み得る。例えば窓の開閉が行えない電車の窓に適用される場合、電車の進行方向の側のノズル部2から吹き出す空気流の風量を、反対側のノズル部2の風量よりも多くすることで、外の風が顔に当たっているような擬似的な体感が得られる。
【0117】
機能部5が空気調和装置を有する場合、送風機4と空気調和装置とが一体となっていてもよい。言い換えると、空気調和装置が、送風機4として機能してもよい。
【0118】
変形例3で説明したコールドドラフト以外にも、冬場等の季節において、裏側が外気に曝されている窓部材102の表側(室内の側)の一表面101では、結露が発生する可能性が高い。しかし、左右一対(上下一対でもよい)のノズル部2からの空気流により、結露も抑制され得る。結露を抑制する場合、室外と室内の温度差が少なくなるように、冷気を含んだ空気流を吹き出してもよい。一方で、室内に人が居る場合、冷気によって室内温度の快適性が損なわれる可能性が高いため、冷気の代わりに風量を増加させてもよく、その場合においても結露の抑制効果が得られる。
【0119】
基本例では、ノズル部2は、窓枠103と別体となっていて、ノズル部2の一部が窓枠103の内部に収容されている。しかし、ノズル部2と窓枠103とが一体となって形成されてもよい。例えば、窓枠103は、ノズル部2の機能を兼ね備えてもよい。
【0120】
(4)まとめ
以上説明したように、第1の態様に係る送風システム(1、1A~1D)は、一対のノズル部(2)を備える。一対のノズル部(2)は、構造体(X1)の一表面(101)の両側から、一表面(101)に沿って各々が空気流を吹き出す。一対のノズル部(2)は、それぞれから互いに近づく方向に吹き出した空気流同士を衝突させて、一表面(101)と交差する方向に沿って一表面(101)から離れるように流れる合流空気流(G1)を発生させる。第1の態様によれば、空気流の体感性の向上を図ることができる。
【0121】
第2の態様に係る送風システム(1、1A~1D)は、第1の態様において、気流制御部(3)を更に備える。気流制御部(3)は、一対のノズル部(2)の少なくとも一方から吹き出す空気流に対して、第1変化及び第2変化の少なくとも一方を付与する。第1変化は、空気流の風量に関する変化である。第2変化は、空気流を複数の気流に分流させる変化である。第2の態様によれば、空気流の体感性がさらに向上される。
【0122】
第3の態様に係る送風システム(1、1A~1D)に関して、第2の態様において、気流制御部(3)は、空気流に対して、少なくとも第1変化を付与する。気流制御部(3)は、合流空気流(G1)の風向が変化するように、一対のノズル部(2)が並ぶ並び方向(D1)における空気流同士が衝突する位置を調整する。第3の態様によれば、合流空気流(G1)の風向を変更でき、空気流の体感性がさらに向上される。
【0123】
第4の態様に係る送風システム(1、1A~1D)に関して、第2の態様又は第3の態様において、気流制御部(3)は、空気流に対して、少なくとも第1変化を付与する。気流制御部(3)は、風量を変更可能な送風機(4)を含む。第4の態様によれば、合流空気流(G1)の風量を変更でき、空気流の体感性がさらに向上される。
【0124】
第5の態様に係る送風システム(1、1A~1D)に関して、第2~第4の態様のいずれか1つにおいて、気流制御部(3)は、空気流に対して、少なくとも第1変化を付与する。気流制御部(3)は、風量を変更可能な開閉機構(Y1)を含む。第5の態様によれば、合流空気流(G1)の風量を変更でき、空気流の体感性がさらに向上される。
【0125】
第6の態様に係る送風システム(1、1A~1D)は、第2~第5の態様のいずれか1つにおいて、電気信号を出力するセンサ(Z1)を、更に備える。気流制御部(3)は、空気流に対して、少なくとも第1変化を付与する。気流制御部(3)は、センサ(Z1)から取得する電気信号に応じて、空気流の風量を変化させる。第6の態様によれば、センサ(Z1)による検知結果に基づく空気流の風量調整を行うことができる。
【0126】
第7の態様に係る送風システム(1、1A~1D)に関して、第2~第6の態様のいずれか1つにおいて、気流制御部(3)は、空気流に対して、少なくとも第2変化を付与する。気流制御部(3)は、一対のノズル部(2)の各々に設けられて複数の気流を発生させる分流構造(30)を有する。一対のノズル部(2)は、空気流同士が、一表面(101)から前方に所定の距離(W1)だけ離れた位置で衝突するように、一表面(101)に対して斜め前方に複数の気流を放出する。第7の態様によれば、空気流の体感性がさらに向上される。
【0127】
第8の態様に係る送風システム(1、1A~1D)に関して、第7の態様において、分流構造(30)は、複数の開口部(31)と、壁部(32)と、を有する。複数の開口部(31)は、一表面(101)に沿って並び、かつ複数の気流をそれぞれ放出する。壁部(32)は、複数の開口部(31)における隣接する2つの開口部(31)の間に介在する。さらに壁部(32)は、複数の開口部(31)から放出した複数の気流における隣接する2つの気流の間に空気が誘引される誘引部(33)を作る。第8の態様によれば、負圧による合流空気流(G1)の乱れを抑制することができる。
【0128】
第9の態様に係る送風システム(1、1A~1D)は、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、機能部(5)を、更に備える。機能部(5)は、一対のノズル部(2)の少なくとも一方から吹き出す空気流に対して付加要素を付与する。付加要素は、香り、空気浄化、及び温度変化のうちの少なくとも1つを含む。第9の態様によれば、付加要素が付与された合流空気流(G1)をユーザに提供できる。
【0129】
第10の態様に係る送風システム(1、1A~1D)は、第9の態様において、空気流を一対のノズル部(2)に送る1又は複数の送風機(4)を、更に備える。一対のノズル部(2)までの空気流の流路上において、機能部(5)、1又は複数の送風機(4)、及び一対のノズル部(2)の順で、これらが配置される。第10の態様によれば、例えば、機能部(5)が1又は複数の送風機(4)と一対のノズル部(2)との間に配置される場合に比べて、機能部(5)に関する交換作業が容易となる。
【0130】
第11の態様に係る送風システム(1、1A~1D)に関して、第1~第10の態様のいずれか1つにおいて、一対のノズル部(2)の各々は、空気流の風向制御を行う、1又は複数のルーバ(8)を有する。第11の態様によれば、空気流の体感性がさらに向上される。
【0131】
第12の態様に係る送風システム(1、1A~1D)に関して、第1~第11の態様のいずれか1つにおいて、一対のノズル部(2)の各々は、空気流を一表面(101)に沿って吹き出す吹出口(20)を有する。吹出口(20)は、その長手方向が一表面(101)に沿ったスリット形状となっている。第12の態様によれば、一表面(101)に沿った細長い空気流を吹き出させることで、合流空気流(G1)を容易に形成できる。
【0132】
第13の態様に係る送風システム(1、1C)に関して、第1~第12の態様のいずれか1つにおいて、構造体(X1)は、窓部材(102)である。一対のノズル部(2)の少なくとも一方は、窓部材(102)における一表面(101)の前方に生じる下降冷気に対向するように空気流を吹き出す。第13の態様によれば、窓部材(102)におけるコールドドラフトを抑制することができる。
【0133】
第14の態様に係る送風システム(1、1D)に関して、第1~第12の態様のいずれか1つにおいて、構造体(X1)は、映像及び文字の少なくとも一方を表示する表示部(170)である。第14の態様によれば、表示部(170)に表示される映像等を閲覧する者(ユーザ)に対する空気流の体感性が向上される。
【0134】
第15の態様に係る送風窓(100)は、第1~第14の態様のいずれか1つにおける送風システム(1、1A~1C)と、窓部材(102)である構造体(X1)を支持する窓枠(103)と、を備える。窓枠(103)は、互いに対向する一対の枠片(104)を有する。一対のノズル部(2)は、空気流を吹き出す吹出口(20)が窓枠(103)から露出するように、一対の枠片(104)の内部にそれぞれ配置される。第15の態様によれば、空気流の体感性の向上を図ることが可能な送風システム(1、1A~1C)を備えた送風窓(100)を提供できる。
【0135】
第2~第14の態様に係る構成については、送風システム(1、1A~1D)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0136】
1、1A~1D 送風システム
2 ノズル部
20 吹出口
3 気流制御部
30 分流構造
31 開口部
32 壁部
33 誘引部
4 送風機
5 機能部
8 ルーバ
100 送風窓
101 一表面
102 窓部材
103 窓枠
104 枠片
170 表示部
D1 並び方向
G1 合流空気流
W1 所定の距離
X1 構造体
Y1 開閉機構
Z1 センサ