(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】非接触給電システム
(51)【国際特許分類】
H01F 38/14 20060101AFI20231106BHJP
H02J 50/12 20160101ALI20231106BHJP
【FI】
H01F38/14
H02J50/12
(21)【出願番号】P 2019234601
(22)【出願日】2019-12-25
【審査請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】598045058
【氏名又は名称】株式会社サムスン日本研究所
(73)【特許権者】
【識別番号】599035627
【氏名又は名称】学校法人加計学園
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100129702
【氏名又は名称】上村 喜永
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】相田 泰志
(72)【発明者】
【氏名】石田 弘樹
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-179438(JP,A)
【文献】特開2014-090617(JP,A)
【文献】特開2010-219330(JP,A)
【文献】特開2018-007400(JP,A)
【文献】特開2016-063725(JP,A)
【文献】特開2015-061425(JP,A)
【文献】特開2015-226411(JP,A)
【文献】特開2012-039691(JP,A)
【文献】特開2013-032273(JP,A)
【文献】特開平11-098706(JP,A)
【文献】国際公開第2014/126181(WO,A1)
【文献】特開昭56-140609(JP,A)
【文献】中国実用新案第210692326(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 38/14
H02J 50/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源に接続される一次側コイルを有する送電ユニットと、負荷に接続される二次側コイルを有する受電ユニットとを備え、前記一次側コイルと、前記一次側コイルに対向配置された前記二次側コイルとを共鳴させることにより前記送電ユニットから前記受電ユニットに電力を伝送する磁気共鳴型の非接触給電システムであって、
前記一次側コイル及び前記二次側コイルが磁性コアに導線を巻回して構成したソレノイド型のものであり、
前記二次側コイルを構成する導線の線径が前記一次側コイルを構成する導線の線径よりも小さく、且つ前記二次側コイルの体積が前記一次側コイルの体積より小さ
く、
前記一次側コイルと前記二次側コイルが備える各磁性コアは板状であり、互いに対向する面の面積が等しく、
前記一次側コイルと前記二次側コイルが備える各磁性コアは、導線が巻回される被巻回部と、前記被巻回部からコイルの軸方向の両端に突出する突出部とを備え、
当該突出部は前記軸方向の端部に向かうにつれて厚みが小さくなるテーパ状を成している非接触給電システム。
【請求項2】
電源に接続される一次側コイルを有する送電ユニットと、負荷に接続される二次側コイルを有する受電ユニットとを備え、前記一次側コイルと、前記一次側コイルに対向配置された前記二次側コイルとを共鳴させることにより前記送電ユニットから前記受電ユニットに電力を伝送する磁気共鳴型の非接触給電システムであって、
前記一次側コイル及び前記二次側コイルが磁性コアに導線を巻回して構成したソレノイド型のものであり、
前記二次側コイルを構成する導線の巻き数が前記一次側コイルを構成する導線の巻き数よりも小さく、且つ前記二次側コイルの体積が前記一次側コイルの体積より小さ
く、
前記一次側コイルと前記二次側コイルが備える各磁性コアは板状であり、互いに対向する面の面積が等しく、
前記一次側コイルと前記二次側コイルが備える各磁性コアは、導線が巻回される被巻回部と、前記被巻回部からコイルの軸方向の両端に突出する突出部とを備え、
当該突出部は前記軸方向の端部に向かうにつれて厚みが小さくなるテーパ状を成している非接触給電システム。
【請求項3】
前記一次側コイルと前記二次側コイルの共振周波数が3kHz以下である請求項1又は2に記載の非接触給電システム。
【請求項4】
前記二次側コイルの軸方向に沿ったコイル長さと前記一次側コイルの軸方向に沿ったコイル長さとが等しく、且つ
前記二次側コイルのコイル外径が前記一次側コイルのコイル外径よりも小さい請求項1~
3のいずれか1項に記載の非接触給電システム。
【請求項5】
前記送電ユニットは、前記一次側コイルと、前記一次側コイルに直列接続された一次側共振コンデンサとを含む一次側共振回路を備え、
前記受電ユニットは、前記二次側コイルと、前記二次側コイルに直列接続された二次側共振コンデンサとを含む二次側共振回路を備える請求項1~
4のいずれか1項に記載の非接触給電システム。
【請求項6】
前記受電ユニットは、前記二次側共振回路から前記負荷を見た負荷抵抗値を制御することにより前記二次側コイルに流れる電流の大きさを所定値以下に抑えるインピーダンス変換部を備える請求項
5に記載の非接触給電システム。
【請求項7】
前記インピーダンス変換部は、
前記二次側コイルを流れる電流を検出する電流検出器と、
前記二次側共振回路に対して直列に接続される半導体スイッチと、
前記二次側共振回路及び前記半導体スイッチに対して直列に接続され、前記半導体スイッチと前記負荷との間に設けられたコイルと、
前記電流検出器が検出した電流値に応じて、前記半導体スイッチのスイッチング動作のデューティ比を制御する制御部とを備える請求項
6に記載の非接触給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷に非接触で電力を供給できる非接触給電システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば携帯型電子機器やロボット掃除機等の機器に非接触で電力を伝送する非接触給電システムとして、磁気共鳴を用いたものが知られている。この磁気共鳴方式の非接触給電システムは、例えば特許文献1に示すように、電源に接続される一次側コイルを有する送電ユニットと、バッテリー(負荷ともいう)に接続される二次側コイルを有する受電ユニットとを備えており、一次側コイルと二次側コイルとを共振周波数で共鳴させることにより、送電ユニットから受電ユニットに電力を伝送し、これにより機器に内蔵されたバッテリーを充電することができる。
【0003】
ところで、このような磁気共鳴方式の非接触給電システムとしては、電力の伝送効率を高くするため、一次側コイルと二次側コイルの共振周波数(動作周波数ともいう)を例えば10kHz以上の高周波に設定したものが用いられることがある。この場合、例えば充電時に送電ユニットと受電ユニットとの間に金属異物等が存在すると、これが高周波の磁界により急激に加熱され、火傷や火災を引き起こす恐れがある。
【0004】
そこで近年では、動作周波数を低周波(例えば3kHz以下)に設定した非接触給電システムが開発されている。これにより上記した金属異物による発熱の影響を低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、動作周波数を低周波にする場合、共振器である一次側コイル及び二次側コイルのサイズが大きくなってしまい、負荷(バッテリー)を備える機器の小型化及び軽量化の障壁になるという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、磁気共鳴方式の非接触給電システムにおいて二次側コイルを小型化し、負荷を内蔵する機器の小型化に寄与することを主たる課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち本発明に係る非接触給電システムは、電源に接続される一次側コイルを有する送電ユニットと、負荷に接続される二次側コイルを有する受電ユニットとを備え、前記一次側コイルと、前記一次側コイルに対向配置された前記二次側コイルとを共鳴させることにより前記送電ユニットから前記受電ユニットに電力を伝送する磁気共鳴型のものであって、前記一次側コイル及び前記二次側コイルが磁性コアに導線を巻回して構成したソレノイド型のものであり、
(i)前記二次側コイルを構成する導線の線径が前記一次側コイルを構成する導線の線径よりも小さく、又は
(ii)前記二次側コイルを構成する導線の巻き数が前記一次側コイルを構成する導線の巻き数よりも小さく、
且つ前記二次側コイルの体積が前記一次側コイルの体積よりも小さいことを特徴とする。
【0009】
このような構成であれば、二次側コイルを構成する導線の線径を、一次側コイルを構成する導線の線径よりも小さくして、二次側コイルの体積を前記一次側コイルの体積よりも小さくしているので、非接触給電システムの動作周波数を低周波にした場合であっても、二次側コイルの体積を一次側コイルの体積に比べて小さくできる。二次側の巻き数を少なくして、二次側コイルの体積を前記一次側コイルの体積よりも小さくした場合も同等である。これにより、負荷及びこれに接続される受電ユニットを内蔵する機器の小型化に寄与することができる。
【0010】
前記非接触給電システムは、前記一次側コイルと前記二次側コイルの共振周波数が3kHz以下であることが好ましい。
このようなものであれば、充電時に送電ユニットと受電ユニットとの間に金属異物等が存在する場合でも、金属異物が急激に加熱されることを防止でき、火傷や火災の発生を抑制できる。
【0011】
前記非接触給電システムは、前記一次側コイルと前記二次側コイルが備える各磁性コアは板状であり、互いに対向する面の面積が等しいことが好ましい。
このような構成であれば、一次側コイルと二次側コイルが備える各磁性コアの対向面積が等しいので、電力の伝送効率を高めることができる。
【0012】
前記非接触給電システムは、前記一次側コイルと前記二次側コイルが備える各磁性コアは、導線が巻回される被巻回部と、前記被巻回部からコイルの軸方向の両端に突出する突出部とを備え、当該突出部は前記軸方向の端部に向かうにつれて厚みが小さくなるテーパ状を成していることが好ましい。
このような構成であれば、二次側コイルのより一層の小型化を図りながらも、磁束密度を高めることができる。
【0013】
前記非接触給電システムの態様として、前記二次側コイルの軸方向に沿ったコイル長さと前記一次側コイルの軸方向に沿ったコイル長さとが等しく、且つ前記二次側コイルのコイル外径が前記一次側コイルのコイル外径よりも小さいものを挙げることができる。
【0014】
前記非接触給電システムの態様として、前記送電ユニットは、前記一次側コイルと、前記一次側コイルに直列接続された一次側共振コンデンサとを含む一次側共振回路を備え、前記受電ユニットは、前記二次側コイルと、前記二次側コイルに直列接続された二次側共振コンデンサとを含む二次側共振回路を備えるものを挙げることができる。
【0015】
前記非接触給電システムのより具体的な態様として、前記受電ユニットは、前記二次側共振回路から前記負荷を見た負荷抵抗値を制御することにより前記二次側コイルに流れる電流の大きさを所定値以下に抑えるインピーダンス変換部を備えることが好ましい。
このようなインピーダンス変換部を備えることにより二次側コイルに流れる電流値を所定値以下に抑えることができるので、二次側コイルを構成する導線の線径を、一次側コイルを構成する導線の線径よりも小さくすることができる。
【0016】
前記インピーダンス変換部の態様として、前記二次側コイルを流れる電流を検出する電流検出器と、前記二次側共振回路に対して直列に接続される半導体スイッチと、前記二次側共振回路及び前記半導体スイッチに対して直列に接続され、前記半導体スイッチと前記負荷との間に設けられたコイルと、前記電流検出器が検出した電流値に応じて、前記半導体スイッチのスイッチング動作のデューティ比を制御する制御部とを備えるものを挙げることができる。
【発明の効果】
【0017】
このように構成した本発明によれば、磁気共鳴方式の非接触給電システムにおいて二次側コイルを小型化し、負荷を内蔵する機器の小型化に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態の非接触給電システムの回路構成を概略的に示す図。
【
図2】同実施形態の受電ユニットの回路構成を概略的に示す図。
【
図3】同実施形態の一次側コイル及び二次側コイルの構成を概略的に示す図。
【
図4】同実施形態の一次側コイル及び二次側コイルの構成を概略的に示す図。
【
図5】同実施形態のインピーダンス変換部を用いて受電ユニットの負荷抵抗値を制御した際の、給電効率及びコイル電流の変化を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の一実施形態に係る非接触給電システム100について図面を参照して説明する。
【0020】
<全体構成>
本実施形態の非接触給電システム100は、例えばロボット掃除機等の電子機器に内蔵されたバッテリー(負荷)4を、充電器により非接触で充電するためのものである。具体的にこの非接触給電システム100は、
図1に示すように、電源1に接続される充電器に内蔵された送電ユニット2と、ロボット掃除機に内蔵され、負荷4に接続される受電ユニット3とを備えている。この非接触給電システム100は、送電ユニット2が備える一次側コイル231と、受電ユニット3が備える二次側コイル311とを対向させるとともに、一次側コイル231と二次側コイル311とを、3kHz以下の低周波の共振周波数(商用電源周波数であることが好ましい)で共鳴させることにより、送電ユニット2から受電ユニット3に電力を伝送する所謂磁気共鳴方式のものである。以下、詳細に説明する。
【0021】
<送電ユニット2>
送電ユニット2は、電源1からの電力を受電ユニット3に伝送するものである。具体的にこの送電ユニット2は、電源1から供給される交流電圧を直流電圧に整流及び平滑化する整流平滑回路21と、整流平滑回路21に並列に接続されて、直流電圧を任意の周波数の交流電圧に変換して出力するインバータ回路22と、インバータ回路22に並列に接続された一次側共振回路23と、制御部24とを備える。
【0022】
整流平滑回路21としては、既知の構成のものが適用されてよく、例えばダイオードブリッジや平滑コンデンサ等を含んで構成される。またインバータ回路22としても既知の構成のものが適用されてよく、例えば、4つのスイッチング素子から構成したフルブリッジ方式のものが挙げられる。制御部24は、物理的には、CPU、メモリ、入力手段などを備えたものであり、そのメモリに記憶させた所定のプログラムにしたがって動作することによって、インバータ回路22が出力する交流電圧の周波数を制御するよう機能する。
【0023】
一次側共振回路23は、インバータ回路22からの交流電圧が印加されて、振動磁場を発生させるものである。具体的にこの一次側共振回路23は、互いに直列接続された一次側コイル231と一次側共振コンデンサ232から構成される、LC直列共振回路である。
【0024】
一次側コイル231は、
図3及び
図4に示すように、略板状の一次側磁性コア231Cに導線231Lを巻回したソレノイド型のものである。一次側磁性コア231Cは、フェライト等の磁性材料により形成された板状を成すものである。一次側磁性コア231Cは、導線231Lが巻回される被巻回部231C
1と、被巻回部231C
1からコイル231の軸方向の両端に突出する一対の突出部231C
2、231C
3とを備える。この突出部231C
2、231C
3は、導線231Lが巻回されることなく剥き出しになっており、二次側コイル311に対向する矩形状の対向面231Csを備えている。当該突出部231C
2、231C
3とは前記軸方向の端部に向かうにつれて厚みが小さくなるテーパ状を成している。
【0025】
<受電ユニット3>
受電ユニット3は、送電ユニット2から伝送された電力を受け取り、当該電力を負荷4に出力するものである。具体的にこの受電ユニット3は、一次側共振回路23と磁気共鳴し、交流電圧を生じさせる二次側共振回路31と、二次側共振回路31から出力された交流電圧を整流する整流回路32と、整流回路32から出力された直流電圧を平滑化する第1平滑回路33と、平滑化された直流電圧の電圧値を調節する電圧変換回路34と、電圧変換回路34から出力された直流電圧を平滑化する第2平滑回路35と、制御部36とを備える。受電ユニット3が備えるこれらの回路は、互いに並列に接続されており、かつ負荷4に対して並列に接続されている。
【0026】
二次側共振回路31は、互いに直列接続された二次側コイル311と二次側共振コンデンサ312から構成される、LC直列共振回路である。
【0027】
二次側コイル311は、
図3及び
図4に示すように、略板状の二次側磁性コア311Cに導線311Lを巻回したソレノイド型のものである。二次側磁性コア311Cは、フェライト等の磁性材料により形成された板状を成すものである。二次側磁性コア311Cは、導線311Lが巻回される被巻回部311C
1と、被巻回部311C
1からコイル311の軸方向の両端に突出する一対の突出部311C
2、311C
3とを備える。この突出部311C
2、311C
3は、導線311Lが巻回されることなく剥き出しになっており、一次側コイル231に対向する矩形状の対向面311Csを備えている。当該突出部311C
2、311C
3は前記軸方向の端部に向かうにつれて厚みが小さくなるテーパ状を成している。
【0028】
整流回路32としては、既知の構成のものが適用されてよく、例えば4つのダイオードから構成されるダイオードブリッジである。整流回路32は、二次側コイル311及び二次側共振コンデンサ312に並列接続され、二次側コイル311及び二次側共振コンデンサ312に生じた交流電圧を整流(すなわち脈流電圧に変換)する。
【0029】
第1平滑回路33は、整流回路32に並列接続された第1平滑コンデンサ331を備えており、整流回路32から出力される脈流電圧を平滑化することにより、直流電圧を生成する。第1平滑コンデンサ331はその一端が整流回路32の出力端に接続され、他端が整流回路32の入力端に接続されている。
【0030】
電圧変換回路34は、本実施形態では、
図2に示すように、第1スイッチング素子341、第2スイッチング素子342及びコイル343を備える所謂降圧回路であり、直流電圧を降圧するものである。二次側コイル311から見て、第1スイッチング素子341及び第2スイッチング素子342は、第1平滑コンデンサ331に対して並列に接続されている。第1スイッチング素子341はその一端が整流回路32の出力端に接続されている。コイル343は、第1スイッチング素子341に直列に接続されるとともに、第2スイッチング素子342に並列に接続されている。コイル343はその一端が第1スイッチング素子341及び第2スイッチング素子342に接続され、他端が負荷4に接続されている。第1スイッチング素子341及び第2スイッチング素子342は、例えばMOSFETやIGBT等の半導体スイッチであり、制御部36からの制御信号に基づいてOn・Off状態が切替えられる。なお本実施形態の電圧変換回路34は、第1平滑回路33と第2平滑回路35との間に設けられているが、これに限らない。電圧変換回路34は、整流回路32と負荷4との間に設けられていればよい。
【0031】
第2平滑回路35は、コイル343に直列に接続されるとともに、第2スイッチング素子342に並列に接続された第2平滑コンデンサ351を備えている。第2平滑回路35は、電圧変換回路34で降圧された直流電圧を平滑化する。
【0032】
制御部36は、物理的には、CPU、メモリ、入力手段などを備えたものであり、そのメモリに記憶させた所定のプログラムにしたがって動作することによって、降圧回路が備える第1スイッチング素子341及び第2スイッチング素子342のスイッチング動作を制御するよう機能する。制御部36は、第1スイッチング素子341及び第2スイッチング素子342に対して所定の周期のパルス信号を出力することで、これらのスイッチング動作のデューティ比(On時間とOff時間の割合)を制御する(PWM制御)ように構成されている。
【0033】
受電ユニット3はまた、二次側コイル311及び二次側共振コンデンサ312に直列に接続された電流検出器37を備えている。この電流検出器37は、二次側コイル311に流れる電流値を測定し、その測定値を制御部36に送信する。電流検出器37は、CT方式やホール素子方式等の任意のものであってもよい。
【0034】
しかして本実施形態の非接触給電システム100は、負荷4を内蔵するロボット掃除機を小型化すべく、二次側コイル311を構成する導線311Lの線径を一次側コイル231を構成する導線231Lの線径よりも小さくしており、これにより二次側コイル311の体積が一次側コイル231の体積よりも小さくなるように構成している。以下に、一次側コイル231と二次側コイル311の構成をより具体的に説明する。
【0035】
本実施形態の非接触給電システム100では、
図3及び
図4に示すように、一次側コイル231の軸方向に沿ったコイル長さl
1と二次側コイル311の軸方向に沿ったコイル長さl
2とが等しく、且つ二次側コイル311のコイル外径d
2が一次側コイル231のコイル外径d
1よりも小さくなるように構成されている。ここで、一次側コイル231の軸方向に沿ったコイル長さl
1とは、一次側コイル231を構成する導線231Lの巻回軸方向に沿った長さを意味する。二次側コイル311の軸方向に沿ったコイル長さl
2も同様である。また、一次側コイル231のコイル外径d
1とは、一次側コイル231を構成する巻回された導線231Lの径方向に沿った長さを意味する。二次側コイル311のコイル外径d
2も同様である。
【0036】
また本実施形態の非接触給電システム100では、
図3及び
図4に示すように、一次側コイル231が備える対向面231Csと、二次側コイル311が備える対向面311Csが、平面視して同一形状であり、面積が等しくなるように構成されている。
【0037】
しかして本実施形態の非接触給電システム100は、このような二次側コイル311の形状を実現するため、受電ユニット3において二次側コイル311から負荷4を見た負荷抵抗値(具体的には、受電ユニット3における、二次側共振コンデンサ312よりも右側部分の負荷インピーダンスの抵抗分をいう)を調節するためのインピーダンス変換部38を備えている。非接触給電システム100は、このインピーダンス変換部38により受電ユニット3の負荷抵抗値を調節することで、充電時における二次側コイル311に流れる電流値を所定値(例えば1A)以下に制限し、これにより二次側コイル311を構成する導線311Lの線径を小さくすることができる。
【0038】
具体的にこのインピーダンス変換部38は、電流検出器37と、電圧変換回路34が備える第1スイッチング素子341及びコイル343と、制御部36とから構成される。制御部36は、電流検出器37が測定した電流値(二次側コイル311を流れる電流の値)に基づき、第1スイッチング素子341のスイッチング動作のデューティ比を可変制御する。より詳細には、制御部36は、当該電流値をモニターしながら、当該電流値が所定の値以上とならないように、第1スイッチング素子341のスイッチング動作のデューティ比を可変制御する。これにより、二次側コイル311に流れる電流の大きさを所定値以下に制御することができる。
【0039】
図5は、本実施形態のインピーダンス変換部38を用いて二次側コイル311から負荷4を見た負荷抵抗値を制御した際における、給電効率及び一次側コイル231(給電コイルと表示)及び二次側コイル311(受電コイルと表示)に流れる電流の電流値を示す。
図5に示すように、本実施形態のインピーダンス変換部38により制御することにより、90%以上の高い給電効率を維持しながらも、受電コイルにおける電流値を1A以下に抑えることができ、二次側コイル311の導線311Lの細線化を図ることができることが分かる。
【0040】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態の非接触給電システム100によれば、受電ユニット3が、二次側共振回路31から負荷4を見た負荷抵抗値を制御することにより二次側コイル311に流れる電流の大きさを所定値以下に抑えるインピーダンス変換部38を備えるので、二次側コイル311に流れる電流値を所定値以下に抑えることができる。これにより二次側コイル311を構成する導線311Lの線径を一次側コイル231を構成する導線231Lの線径よりも小さくすることができ、二次側コイル311の体積を一次側コイル231の体積に比べて小さくし、負荷4及びこれに接続される受電ユニット3を内蔵する機器の小型化に寄与することができる。
【0041】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0042】
前記実施形態の非接触給電システム100は、二次側コイル311を構成する導線311Lの線径を一次側コイル231を構成する導線231Lの線径よりも小さくすることにより二次側コイル311の体積が一次側コイル231の体積よりも小さくなるように構成したが、これに限らない。他の実施形態では、二次側コイル311を構成する導線311Lの巻き数を一次側コイル231を構成する導線231Lの巻き数よりも少なくすることにより二次側コイル311の体積が一次側コイル231の体積よりも小さくなるように構成してもよい。このような二次側コイル311の構成もまた、インピーダンス変換部38により受電ユニット3の負荷抵抗値を調節することで、充電時における二次側コイル311に流れる電流値を所定値(例えば1A)以下に制限することで実現できる。
【0043】
前記実施形態において第2スイッチング素子342は、MOSFETやIGBT等の半導体スイッチであったが、これに限らずダイオードであってもよい。
【0044】
前記実施形態において電圧変換回路34は降圧回路であったがこれに限らない。他の実施形態では電圧変換回路34は、所謂昇圧回路であってもよい。
【0045】
前記実施形態における非接触給電システム100はロボット掃除機の充電に限らず、携帯電話やスマートホン等の他の電子機器の充電に用いられてもよい。
【0046】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、様々な実施形態の変形や組合せを行っても構わない。
【符号の説明】
【0047】
100 ・・・非接触給電システム
1 ・・・電源
231 ・・・一次側コイル
231L・・・一次側導線
231C・・・一次側磁性コア
3 ・・・受電ユニット
311 ・・・二次側コイル
311L・・・二次側導線
311C・・・二次側磁性コア
37 ・・・電流センサ
38 ・・・インピーダンス変換部
4 ・・・負荷