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  • 特許-水栓装置及びこれを備えた浴室装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】水栓装置及びこれを備えた浴室装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 4/00 20060101AFI20231106BHJP
   E04H 1/12 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
A47K4/00
E04H1/12 301
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022571923
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(86)【国際出願番号】 JP2021040104
(87)【国際公開番号】W WO2022137805
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-04-21
(31)【優先権主張番号】P 2020215186
(32)【優先日】2020-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】森 俊之
(72)【発明者】
【氏名】加納 広志
(72)【発明者】
【氏名】平尾 尚郷
(72)【発明者】
【氏名】飯田 萌木
(72)【発明者】
【氏名】大久保 爽一郎
(72)【発明者】
【氏名】井上 沙織
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-264332(JP,A)
【文献】特開2002-34827(JP,A)
【文献】特開平4-348737(JP,A)
【文献】特開平10-137151(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/02-4/00
E04H 1/12
E03C 1/00-1/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水源に接続される給水栓本体と、浴室の壁幅方向に長尺状とされ、該浴室の壁面に沿って設置されるレールと、前記給水栓本体に対して接離自在に、かつ前記レールに沿って移動可能に設けられ、前記浴室内に向けて吐水する浴室洗浄部と、を備えていることを特徴とする水栓装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記レールは、手摺であることを特徴とする水栓装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記レールは、前記浴室内の洗い場と該浴室内に設置される浴槽とに跨るように設置されることを特徴とする水栓装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記浴室洗浄部には、前記給水栓本体に設けられた給水路を介して給水された水を貯水する貯水部が設けられていることを特徴とする水栓装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記浴室洗浄部には、当該浴室洗浄部から吐出される洗浄水に洗剤を含ませる洗剤供給部が設けられていることを特徴とする水栓装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の水栓装置と、該水栓装置が設置される壁パネルと、を備えていることを特徴とする浴室装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室に設置される水栓装置及びこれを備えた浴室装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、浴室内は、水垢や湯垢、黴等によって汚れ易いため、頻繁に清掃が必要となり、身体的負荷が大きくなる傾向があった。
例えば、下記特許文献1には、浴室のカウンタの下方に設けられ、洗い場床に除菌水を吐出するノズルを動かして除菌水が吐出される洗浄領域を変更する構成とされた除菌水吐水装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-104834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載された除菌水吐水装置では、カウンタの下方側においてノズルが突出することとなるため、ノズルに人体や洗面器等が干渉し易くなる懸念がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、浴室内を効果的に洗浄可能でありながらも、人体や洗面器等への干渉を抑制し得る水栓装置及びこれを備えた浴室装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る水栓装置は、給水源に接続される給水栓本体と、浴室の壁幅方向に長尺状とされ、該浴室の壁面に沿って設置されるレールと、前記給水栓本体に対して接離自在に、かつ前記レールに沿って移動可能に設けられ、前記浴室内に向けて吐水する浴室洗浄部と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る浴室装置は、本発明に係る水栓装置と、該水栓装置が設置される壁パネルと、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る水栓装置及びこれを備えた浴室装置は、上述のような構成としたことで、浴室内を効果的に洗浄可能でありながらも、人体や洗面器等への干渉を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る水栓装置の一例及びこれを備えた浴室装置の一例を模式的に示す一部省略概略斜視図である。
図2】同浴室装置の一部省略概略平面図である。
図3】(a)、(c)は、同水栓装置の一部破断概略正面図、(b)は、(a)におけるX1-X1線矢視に対応させた概略縦断面図、(d)は、(c)におけるX2-X2線矢視に対応させた概略縦断面図である。
図4】(a)、(b)は、本発明の他の実施形態に係る水栓装置の一例を模式的に示し、図3(b)、(d)にそれぞれ対応させた概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
以下の各実施形態では、各実施形態に係る水栓装置の一例及びこれを備えた浴室装置の一例を施工した状態を基準として上下方向等の方向を説明する。
図1図3は、第1実施形態に係る水栓装置の一例及びこれを備えた浴室装置の一例を模式的に示す図である。
【0011】
本実施形態に係る水栓装置10は、図3に示すように、給水源9に接続される給水栓本体13と、浴室の壁幅方向に長尺状とされ、浴室の壁面(第1壁面)6Aに沿って設置されるレール11と、を備えている。この水栓装置10は、給水栓本体13に対して接離自在に、かつレール11に沿って移動可能に設けられ、浴室内に向けて吐水する浴室洗浄部20を備えている。このような構成とすれば、この浴室洗浄部20によって浴室内を広範囲に亘って洗浄することができる。また、浴室洗浄部20が給水栓本体13に対して接合された状態では浴室洗浄部20が邪魔になり難い位置となり、人体や洗面器等への干渉を抑制することができる。この水栓装置10の具体的構成については後述する。
【0012】
本実施形態に係る浴室装置1は、図1及び図2に示すように、この水栓装置10と、この水栓装置10が設置される壁パネル6と、を備えている。この浴室装置1は、壁パネル6に加え、浴室床を構成する床パン2と浴室天井を構成する天井パネル5とを備えた、いわゆるユニットバス(システムバス)等の浴室ユニットを構成する。
床パン2には、洗い場の床部を構成する洗い場床部と浴槽4が設置される浴槽床部とが隣り合うように設けられている。この床パン2は、洗い場床部と浴槽床部とが一体成形されていてもよく、分割されていてもよく、更に細かく分割された複数の床パネルによって構成されていてもよい。この床パン2の適所には、床下の排水管に接続される排水部3が設けられている。この床パン2は、スラブ等の基礎床上に適宜の支持脚を介して設置される構成とされていてもよい。
【0013】
壁パネル6は、平面視して略方形状とされた床パン2の四周端部に沿って立ち上がるように設置される。浴室装置1には、浴室出入口を開閉する建具7が設けられ、第1壁面6Aを構成する壁パネル6と、第1壁面6Aの壁幅方向一方側端部から直交方向に延びる第2壁面6Bを構成する壁パネル6と、が設けられている。浴室装置1には、第2壁面6Bの壁幅方向一方側端部から直交方向に延びる第3壁面6Cを構成する壁パネル6と、第3壁面6Cの壁幅方向一方側端部から直交方向に延びる第4壁面6Dを構成する壁パネル6と、が設けられている。
建具7は、第1壁面6Aを構成する壁パネル6の壁幅方向第4壁面6D側の概ね半部を貫通するように設けられた開口部に設置される。この建具7は、図例では、折戸とされているが、開き戸や引戸であってもよい。建具7は、第4壁面6Dを構成する壁パネル6を貫通するように設けられた開口部に設置されてもよい。
【0014】
浴槽4は、図例では、第3壁面6Cに沿って設置されている。第2壁面6Bには、この浴槽4と第1壁面6Aとの間に亘って架け渡されるようにカウンター8が付設状に設けられた例を示している。
天井パネル5は、四周の壁パネル6の上端部に接合されて設置される。この天井パネル5には、適宜の換気装置が設けられる。
四周の壁面6A~6Dの適所には、照明や窓、操作パネル等が設けられてもよい。浴室装置1を構成する床パン2や浴槽4、天井パネル5、壁パネル6、建具7は、図例のような構成に限られず、その他、種々の構成とされていてもよい。
【0015】
水栓装置10のレール11は、本実施形態では、手摺とされている。このような構成とすれば、レール11は、浴室洗浄部20を移動可能とする機能に加えて手摺としても機能し、これらを別途にそれぞれに設けた構成に比べて、浴室内設備構成の簡素化を図ることができる。
このレール11は、浴室内の洗い場と浴室内に設置される浴槽4とに跨るように設置される。このような構成とすれば、洗い場及び浴槽4の両方を浴室洗浄部20によって効果的に洗浄することができる。このレール11は、洗い場及び浴槽4の両方に吐水可能なように、第2壁面6Bの壁幅方向の概ね全体に亘って設けられてもよい。このレール11は、隣り合う2つの壁面(例えば、第2壁面6B及び第3壁面6C)それぞれの壁幅方向の概ね全体に亘って設けられてもよく、3つの壁面(例えば、第2壁面6B~第4壁面6D)それぞれの壁幅方向の概ね全体に亘って設けられてもよい。
【0016】
本実施形態では、レール11は、建具7が設けられた箇所を除いて四周の壁面6A~6Dそれぞれの壁幅方向の概ね全体に亘って設けられる構成とされている。つまり、このレール11は、第1壁面6Aの壁幅方向第2壁面6B側の概ね半部と、第2壁面6B、第3壁面6C及び第4壁面6Dのそれぞれの壁幅方向の概ね全体と、に連続状に設けられる。
このレール11は、カウンター8及び浴槽4よりも上方側に位置するように設置される。このレール11は、支持部材12を介して各壁面6A~6Dから壁厚方向に間隔を空けた位置に配される(図3(b)参照)。支持部材12は、レール11の長手方向に間隔を空けて複数箇所に設けられ、壁パネル6に固定される。
このレール11は、全長に亘って一様な断面形状とされ、把持し易いように適宜の断面形状とされている。図例では、レール11の断面形状は、上下方向途中部位に括れ部が設けられ上下方向に長尺な略方形状とされた例を示しているが、このような形状に限られない。このレール11は、適宜の防水性を有した構成とされていてもよく、また、後記する浴室洗浄部20の駆動態様によっては、ゴム等の絶縁材によって被覆されていてもよい。
【0017】
水栓装置10の給水栓本体13は、壁面(図例では、第2壁面)6Bに付設状に設けられる。この給水栓本体13は、カウンター8の上方側に位置するように設置される。図例では、この給水栓本体13の上方側の第2壁面6Bに付設状に鏡を設けた例を示している。この鏡の浴槽4側の第2壁面6Bには、シャワー18のヘッドを上下動自在に保持するヘッド保持バー19が上下に延びるように設けられている。また、図例では、第2壁面6Bにおける鏡の第1壁面6A側部位に、複数の棚を上下に間隔を空けて付設状に設けた例を示している。
【0018】
給水栓本体13には、図3(b)に示すように、給水源9に接続される第1給水路15が設けられている。この第1給水路15には、給湯源に接続される給湯路が適宜の流量調整弁等を介して接続されている。この第1給水路15は、適宜の切替弁を介してシャワー18側の給水路に接続されている。
この第1給水路15の末端(下流側端部)には、湯水を吐出する吐出口15aが設けられている。この吐出口15aは、給水栓本体13の下面側において開口し、カウンター8、つまり下方側に向けて湯水を吐出するように設けられている。図例では、この吐出口15aは、湯水をストレート状に吐出する構成とされた例を示しているが、このような構成に限られない。
【0019】
給水栓本体13には、湯水の温度や流量を調整する操作部17が設けられている。図例では、操作部17は、給水栓本体13の下端部から第2壁面6Bが対向する第4壁面6D側(手前側)に向けて突出するように設けられたレバー状とされている。この操作部17には、湯水の供給先を給水栓本体13及びシャワー18のうちのいずれかに切り替える切替部が設けられていてもよい。操作部17は、図例のような傾動操作されるレバー状とされた構成に限られず、回動操作されるノブ状とされた構成であってもよい。操作部17は、給水栓本体13に設けられた構成に限られず、例えば、カウンター8に設けられていてもよい。
【0020】
浴室洗浄部20は、図3(a)、(b)に示すように、本実施形態では、一体化した給水栓の外観となるように給水栓本体13に接合される。このような構成とすれば、浴室洗浄部20が給水栓本体13に接合された状態では、違和感を生じ難くすることができる。給水栓本体13には、浴室洗浄部20を受け入れる受入凹所14が設けられている。本実施形態では、正面視して(壁厚方向に見て)略方形状とされた給水栓本体13には、手前側(第4壁面6D側)及び上方側に向けて開口する受入凹所14が壁幅方向の全体に亘って切欠状に設けられている。浴室洗浄部20の壁幅方向に沿う寸法は、給水栓本体13の壁幅方向に沿う寸法と略同寸法とされている。浴室洗浄部20の上下方向に沿う寸法及び壁厚方向に沿う寸法は、受入凹所14の上下方向に沿う寸法及び壁厚方向に沿う寸法と略同寸法とされている。上記したレール11は、この受入凹所14内を貫通するように設置される。
【0021】
浴室洗浄部20には、本実施形態では、給水栓本体13に設けられた給水路としての第2給水路16を介して給水された水を貯水する貯水部23が設けられている。このような構成とすれば、例えば、レール11に設けられた給水路を介して浴室洗浄部20に給水可能とした構成と比べて、浴室洗浄部20に給水する給水機構の簡素化を図ることができる。
第2給水路16は、第1給水路15から分岐して設けられている。この第2給水路16の適所または分岐部には、給水源9からの水を供給及び遮断する適宜の給水弁(開閉弁または切替弁)が設けられている。この第2給水路16の末端の給水口16aは、図例では、受入凹所14の手前側に向く凹壁面において開口している。
【0022】
浴室洗浄部20には、この給水口16aに接続され、貯水部23に給水する接続路22が設けられている。この接続路22は、背面側(第2壁面6B側)に向けて開口している。この接続路22の開口及び給水口16aの両方または一方には、浴室洗浄部20が給水栓本体13に接合された際に、これらを水密的に接続する適宜のシール機構が設けられていてもよい。
この接続路22は、貯水部23の上端部に接続されている。貯水部23には、貯水部23内の貯水レベルが低下し、給水レベル(下限レベル)となれば、給水信号を出力する適宜のレベル計が設けられていてもよい。貯水部23の下端部には、洗浄水供給路25が接続されている。この洗浄水供給路25には、貯水部23の水を下流側に向けて供給するポンプが設けられていてもよい。
【0023】
洗浄水供給路25の末端(下流側端部)には、図3(c)、(d)に示すように、貯水部23に貯水された水を吐出する洗浄水吐出口26が設けられている。この洗浄水吐出口26は、浴室洗浄部20の下面側において開口し、下方側に向けて水を吐出するように設けられている。この洗浄水吐出口26は、比較的に広範囲に水を吐出可能なようにシャワー状またはミスト状に吐出する構成とされていてもよい。図例では、一つの洗浄水吐出口26が設けられたような例を示しているが、多数の洗浄水吐出口26が設けられていてもよい。
洗浄水供給路25には、洗浄水供給路25を開閉し、水を供給及び遮断する適宜の給水弁が設けられていてもよい。または、浴室洗浄部20が給水栓本体13に接合された状態では、洗浄水吐出口26が給水栓本体13の受入凹所14の凹底面によって封鎖され、浴室洗浄部20が給水栓本体13から離間すれば、洗浄水吐出口26が開放される構成とされていてもよい。
【0024】
この浴室洗浄部20には、本実施形態では、当該浴室洗浄部20から吐出される洗浄水に洗剤を含ませる洗剤供給部24が設けられている。このような構成とすれば、洗剤を含む洗浄水を浴室内に向けて吐出することができ、浴室内をより効果的に洗浄することができる。図例では、洗剤供給部24は、貯水部23の上方側に位置するように設けられた例を示しているが、このような例に限られない。
この洗剤供給部24には、例えば、浴室洗浄部20の上面側の補給口から補給された液体状の洗剤を貯留する洗剤貯留部が設けられている。この洗剤貯留部における洗剤の貯留量を視認可能な構成としたり、補給レベルとなればランプ等の点灯によって報知する構成としたりしてもよい。
この洗剤供給部24には、洗浄水供給路25に連通接続される洗剤供給路24aが接続されている。洗剤供給路24aには、洗剤を供給及び遮断する適宜の供給弁が設けられていてもよい。洗剤供給路24aには、洗剤供給部24に貯留された洗剤を洗浄水供給路25に向けて供給するポンプが設けられていてもよい。または、洗剤供給路24aと洗浄水供給路25との接続部に、通過する水の負圧作用によるエゼクター効果によって洗剤供給部24に貯留された洗剤を吸い込むように取り込むノズル部が設けられていてもよい。
【0025】
このような洗剤供給部24を設けた態様に代えて、または加えて、気泡を含む気泡含有水を供給する気泡発生装置や、除菌成分を含む除菌水を供給する除菌水供給部が設けられていてもよい。除菌水供給部としては、水を電気分解して、例えば、オゾン水を生成する構成とされていてもよく、また、除菌成分を含む洗浄水としては、オゾン水に限られず、次亜塩素酸水や強酸性水、次亜塩素酸ナトリウム溶液、過酸化水素水等でもよい。また、除菌成分を含む洗浄水としては、水道水よりも除菌性が高いものであればよく、上記のような電解水や残留性の低い洗浄水に限られず、エタノール等のアルコール系の洗浄水等、その他、種々の洗浄水であってもよい。
【0026】
浴室洗浄部20には、レール11に係合する係合部としての係合凹所21が設けられている。この係合凹所21は、レール11を受け入れて捕捉するように係合する構成とされている。この係合凹所21は、レール11の挿通が可能なように浴室洗浄部20を壁幅方向に貫通し、かつ支持部材12の通過が可能なように壁面6A~6D側に向けて開口するように設けられている。この係合凹所21の上下方向に沿う寸法は、レール11の上下方向に沿う寸法と略同寸法とされている。この係合凹所21の壁厚方向に沿う寸法は、浴室の入隅部において湾曲状に形成されたレール11に沿って浴室洗浄部20が移動可能なように適宜の寸法とされていてもよい。係合凹所21としては、レール11の全体を受け入れる構成に代えて、レール11の上側部位のみに係合する構成とされていてもよく、その他、種々の構成とされていてもよい。
【0027】
水栓装置10には、この浴室洗浄部20をレール11に沿って移動させる駆動機構29が設けられている。この駆動機構29は、レール11の被当接部に当接される回転体及びこれを回転させるモーターを備えた構成とされていてもよい。例えば、浴室洗浄部20に、上記した係合凹所21を区画する下方側に向く面において露出するように回転体が設けられていてもよい。回転体は、レール11の被当接部を構成する被当接面に当接されるローラー状とされていてもよく、レール11の被当接部を構成するラックに噛み合う歯車状とされていてもよい。このような駆動機構29を設けた場合には、浴室洗浄部20に、モーターに駆動電源を供給する電源部としての電池を交換可能に収容する電池収容部や電池を充電する際に商用電源(外部電源)に接続される接続部等が設けられていてもよい。
【0028】
または、上記のように電源を浴室洗浄部20に内蔵させた構成に代えて、例えば、非接触型給電によってレール11から浴室洗浄部20の駆動機構29に駆動電源を供給する構成としてもよい。この場合は、レール11への電源線を、支持部材12を介して壁パネル6裏側から配線するようにしてもよい。
浴室洗浄部20に駆動機構29を設けた構成に代えて、レール11側に、例えば、浴室洗浄部20の被当接部に当接または被連結部に連結されて浴室洗浄部20を移動させるベルトやワイヤー等の無端状伝動体が設けられた構成等としてもよい。浴室洗浄部20をレール11に沿って移動させる駆動機構29としては、このような構成に限られず、磁力を利用して浴室洗浄部20をレール11から浮上させて移動させる電磁誘導浮上支持方式を採用するようにしてもよく、その他、種々の構成であってもよい。
【0029】
水栓装置10には、駆動機構29や、上記した種々の弁、ポンプ、レベル計等に信号線等を介して接続され、CPU(Central Processing Unit)等の制御回路や種々のメモリー等から構成された記憶部を有した制御部が設けられていてもよい。この制御部によって各部が制御されて水栓装置10による洗浄モードの実行がなされてもよい。つまり、給水栓本体13から浴室洗浄部20を離間させてレール11に沿って移動させて洗浄水を吐出させ、浴室を洗浄する洗浄モードを実行するようにしてもよい。この洗浄モードにおいて、貯水部23の貯水レベルが低下し給水レベルとなれば、制御部によって各部を制御し、浴室洗浄部20を給水栓本体13に接合させて貯水部23に給水させるようにしてもよい。また、例えば、この洗浄モードにおいて、洗剤を含まない洗浄水によるプレ洗浄と、洗剤を含む洗浄水による本洗浄と、洗剤を含まない洗浄水によるすすぎ(流し)洗浄と、を実行するような構成としてもよい。このような洗浄モードは、適宜の操作部が操作されることで実行されてもよく、定期的に実行されてもよく、浴室の使用状況や汚れ状況に応じて実行されてもよい。このような制御部による水栓装置10の制御態様は、一例に過ぎず、その他、種々の制御態様の採用が可能である。
【0030】
次に、水栓装置及びこれを備えた浴室装置の他の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
以下の実施形態では、上記した例との相違点について主に説明し、同様の構成については、同一符号を付し、その説明を省略または簡略に説明する。上記した例と同様に奏する作用効果についても説明を省略または簡略に説明する。
【0031】
図4(a)、(b)は、第2実施形態に係る水栓装置の一例及びこれを備えた浴室装置の一例を模式的に示す図である。
本実施形態に係る浴室装置1Aは、水栓装置10Aの構成が上記した例とは主に異なる。
本実施形態においても水栓装置10Aの浴室洗浄部20Aは、図4(a)に示すように、一体化した給水栓の外観となるように給水栓本体13Aに接合される。本実施形態では、給水栓本体13Aには、手前側及び下方側に向けて開口する受入凹所14Aが設けられている。このような構成とすれば、給水栓本体13Aの上面側の見栄えを向上させることができる。操作部17Aは、本実施形態では、給水栓本体13Aの上端部から手前側に向けて突出するように設けられている。
【0032】
浴室洗浄部20Aには、給水栓本体13Aに接合された状態で湯水を吐出する吐出口28が下面側において開口するように設けられている。この吐出口28は、上記同様、図例では、湯水をストレート状に吐出する構成とされた例を示しているが、このような構成に限られない。この吐出口28は、給水栓本体13Aに設けられた第1給水路15Aの給水口15Aaに接続される接続路27の下流側端部に設けられている。第1給水路15Aの給水口15Aaは、受入凹所14Aの手前側に向く凹壁面において開口している。浴室洗浄部20Aの接続路27は、背面側に向けて開口している。この接続路27の開口及び給水口15Aaの両方または一方には、浴室洗浄部20Aが給水栓本体13Aに接合された際に、これらを水密的に接続する適宜のシール機構が設けられていてもよい。
【0033】
浴室洗浄部20Aの洗浄水吐出口26Aは、上記と概ね同様、浴室洗浄部20Aの下面側において開口し、下方側に向けて水を吐出するように設けられている。このような構成とすれば、浴室洗浄部20Aが給水栓本体13Aに接合された位置においても洗浄水吐出口26Aから水を吐出させることができる。この洗浄水吐出口26Aは、上記同様、比較的に広範囲に水を吐出可能なようにシャワー状またはミスト状に吐出する構成とされていてもよい。図例では、洗浄水給水路25と接続路27とが連通しているような図示としているが、これらは非連通であり、また、上記した吐出口28と同じ位置に一つの洗浄水吐出口26Aが設けられたような例を示しているが、これらは別位置に設けられている。
このような構成とされた水栓装置10Aにおいても、上記同様な洗浄モードの実行が可能である。
【0034】
上記した各実施形態では、浴室洗浄部20,20Aに貯水部23が設けられた例を示したが、このような貯水部23が設けられていない構成としてもよい。この場合は、例えば、レール11に沿って設けられたフレキシブルホース等の給水路を介して浴室洗浄部20,20Aに給水可能とした構成としてもよい。
上記した各実施形態では、レール11が浴室内の洗い場と浴槽4とに跨るように設置される例を示したが、このような構成に限られない。
上記した各実施形態に係る水栓装置10,10A及びこれを備えた浴室装置1,1Aの各部及び各部材の構成は、上記したような構成に限られず、その他、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0035】
1,1A 浴室装置
4 浴槽
6 壁パネル
6A 第1壁面(壁面)
6B 第2壁面(壁面)
6C 第3壁面(壁面)
6D 第4壁面(壁面)
10,10A 水栓装置
11 レール
13,13A 給水栓本体
16 第2給水路(給水路)
20,20A 浴室洗浄部
23 貯水部
24 洗剤供給部
9 給水源
図1
図2
図3
図4