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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】測位機能付き搬送台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20231106BHJP
   G01S 1/68 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
B62B5/00 Z
B62B5/00 F
G01S1/68
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023100026
(22)【出願日】2023-06-19
【審査請求日】2023-06-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592192907
【氏名又は名称】日建リース工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】519119747
【氏名又は名称】株式会社テクノジャパン
(73)【特許権者】
【識別番号】000136170
【氏名又は名称】株式会社ピカコーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】関山 正勝
(72)【発明者】
【氏名】橋場 健二
(72)【発明者】
【氏名】浅見 浩之
(72)【発明者】
【氏名】新 幸斗
(72)【発明者】
【氏名】橋詰 徹
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-2228944(KR,B1)
【文献】特開2010-254388(JP,A)
【文献】特開2011-006018(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 5/00
G01S 1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪を有する荷台を少なくとも具備する搬送台車であって、
前記荷台の隅部に着脱自在に構成し、電波方式のRFIDタグまたはビーコン端末である測位端末を収容可能なハウジングを設けてあり、
前記ハウジングは、
前記測位端末を収容可能な、収容部と、
前記荷台の外側方向に張り出してなる、張出部と、を設けてあり、
前記張出部を、前記収容部を設けた高さと異なる高さに設けてあることを特徴とする、
測位機能付き搬送台車。
【請求項2】
前記荷台が、四箇所の前記隅部を有する、平面視略矩形を呈し、
前記四箇所の隅部のそれぞれに前記ハウジングを着脱可能に構成し、
何れか一つのハウジングに前記測位端末を収容してあることを特徴とする、
請求項1に記載の測位機能付き搬送台車。
【請求項3】
前記ハウジングに、前記収容部に収容した前記測位端末を視認可能とする窓部を設けてあることを特徴とする、
請求項に記載の測位機能付き搬送台車
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測位機能付き搬送台車に関する。
【背景技術】
【0002】
出願人は、以前、測位機能を付加した物流パレットを開発した(非特許文献1)。
本パレットは、パレット本体にGPSトラッカーを搭載することで、パレットの現在地を追跡可能に構成しており、レンタル先でのパレットの紛失を防止することで、レンタル会社にとっては、レンタル終了時の回収率を向上させ、借主にとっては、紛失による借主負担の弁済金の発生を抑制できる、という点で、好評を博している。
【0003】
そこで、出願人は、工事現場等で使用される仮設資機材、特に六輪台車などの搬送台車にも、測位機能を付加することを着想した。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】https://fabcross.jp/topics/gps_iot/20171005_nikkenlease_01.html「物流パレットにGPSトラッカーを搭載して回収サービスを提供--日建リース工業」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、搬送台車に測位機能を付加するにあたり、以下に記載する効果のうち、少なくとも何れか1つの問題を有していた。
(1)搬送台車の構成部品の大部分がアルミなどの金属製の場合、測位端末から発信される電波等が台車本体によって遮られ、受信機での受信に支障が生じる場合がある。
(2)搬送台車は、搬送物の搭載作業や搬送中の際にも、比較的粗雑に取り扱われやすいことから、周りの物体との衝突などの要因により、測位端末の破損や故障の懸念がある。
【0006】
よって、本発明は、搬送台車に測位機能を付与するにあたり、より利便性の高い手段の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべくなされた本願発明は、車輪を有する荷台を少なくとも具備する搬送台車であって、前記荷台の隅部に、電波方式のRFIDタグまたはビーコン端末からなる測位端末を収容可能なハウジングを着脱自在に取り付けてあり、前記ハウジングは、前記測位端末を収容可能な、収容部と、前記収容部を設けた高さと異なる高さに設け、前記荷台の外側方向に張り出してなる、張出部と、を少なくとも有することを特徴とするものである。
また、本願発明は、前記荷台が、四箇所の前記隅部を有する、平面視略矩形を呈し、前記四箇所の隅部のそれぞれに前記ハウジングを着脱可能に構成し、何れか一つの前記ハウジングに前記測位端末を収容するよう構成してもよい。
た、本願発明は、前記ハウジングに、前記収容部に収容した前記測位端末を視認可能とする窓部を設けてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、以下に記載する効果のうち、少なくとも何れか1つの効果を奏する。
(1)測位端末を、荷台の隅部、側面および当該荷台の上面に設けた窪み部のうち何れかに設けることで、測位端末から発信される電波等の干渉要因を極力減らすことができる。
(2)測位端末を、荷台に対し、直接またはハウジングを介して着脱自在に構成することで、搬送台車への測位機能の付加および撤去を容易に実施することができる。
(3)ハウジングに張出部を設けることで、ハウジング内部に収容した測位端末の保護空間の確保や、荷台に挿入する手押部材を利用する作業員の手のための保護空間の確保が可能となる。
(4)ハウジングに窓部を設けることで、窓部から、ハウジングへの測位端末の収容の有無や、測位端末の表面に付された識別情報の視認が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る搬送台車の概略図。
図2】構成例1に係るハウジングの形状を示す概略図。
図3】構成例1に係るハウジングを取り付けた搬送台車の概略図。
図4】構成例2に係るハウジングを取り付けた搬送台車の概略図。
図5】構成例3に係るハウジングを取り付けた搬送台車の概略図。
図6】構成例4に係るハウジングを取り付けた搬送台車の概略図。
図7】構成例5に係るハウジングを取り付けた搬送台車の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る実施例について説明する。
【実施例
【0011】
<1>全体構成(図1
本発明に係る搬送台車Aは、荷台10および測位端末20を少なくとも具備して構成する。
本発明において搬送台車Aの種類は特段限定しないが、以下説明する実施例では、建設工事で使用される資機材等の運搬に使用される、アルミ製の六輪台車を想定する。
以下、各部の詳細について説明する。
【0012】
<2>荷台(図1
荷台10は、運搬対象を搭載するための部位である。
荷台10は、一般的に平面視矩形状を呈しており、荷台10の四隅の隅部15の上面側に、それぞれ、搬送台車Aを手押しで移動する際に作業員が手を掛けることが可能な単管パイプなどの手押部材(図1では図示せず)を挿入するための挿入孔12を設けている。
また、荷台10の底面側には六つの車輪11を設けており、台車本体の上面側には、複数の搬送台車Aを積み重ねる際に、積み重ねる搬送台車Aの車輪11を収容しておくための窪み部13を六箇所設けている。
【0013】
<3>測位端末(図1
測位端末20は、搬送台車Aの現在地を捕捉するための端末である。
本発明において、測位端末20の種類は特段限定せず、搬送台車Aの使用場所や用途等に応じて好適な端末を用いることができる。
なお、本発明に係る搬送台車Aが屋内で使用される場合には、測位端末20として、RFIDタグや、その他の無線規格等を用いたビーコン信号発信機などを用い、当該測位端末20に対応する受信機(RFIDリーダ、スマートフォン、現場に常設する専用装置など)を組み合わせて使用する態様が好ましい。
測位端末20は、搬送台車Aに直接取り付けても良いし、別途ハウジングに収容した状態やカバーで覆った状態で搬送台車Aに取り付けても良い。
【0014】
<4>測位端末を設ける箇所
本発明では、測位端末20を、荷台10の隅部15、側面14および窪み部13のうち何れかの箇所に設けるものとする。
これは、測位端末20と受信機との間に遮蔽物を極力介在させないためである。
図1に示す搬送台車Aは、測位端末20を荷台10の隅部15に設けている。
【0015】
<5>実験結果
搬送台車Aにおいて、測位端末20を設ける位置による測位端末20の電波の受信の可否について、以下の表1に示す実験条件に従って、比較実験を行った。
【0016】
[実験条件]
[表1]
【0017】
表1に係る比較実験での実験結果を表2に示す。
[表2]
【0018】
この実験結果によれば、荷台10の底面に測位端末20を設けた場合よりも、荷台10の窪み部13や隅部15に測位端末20を設けた場合について、受信性能が向上することが判った。
また、窪み部13に測位端末20を設けた場合よりも、隅部15に測位端末20を設けた場合について、より受信性能が向上することが判った。
これは、測位端末20と受信機との間の遮蔽度合いによって、受信性能に差異が生じることが理由と考えられる。
特に、荷台10の底面に測位端末20を設けた場合には、荷台10が大きな遮蔽物となったものと考えられる。
【0019】
なお、本実験では、荷台10の側面14に測位端末20を設けた場合の比較実験を実施しなかったが、測位端末20と受信機との間の遮蔽度合いとしては、荷台10の隅部15に測位端末20を設けた場合と大きな差異が無いことから、当該隅部15に測位端末20を設けた場合とほぼ同等の受信性能を得るに至ると考えられる。
【0020】
次に、本発明に係る搬送台車の構成例について説明する。
【0021】
<6>構成例1(図2図3
本構成例は、測位端末20をハウジングに収容した状態で荷台10の隅部15に取り付ける構成を想定したものである。
【0022】
<6.1>ハウジング
本構成例に係るハウジング30は、平面視して略270度の中心角を有する略扇形状を呈している。
なお、ハウジング30は、荷台10の四箇所の隅部15にそれぞれ取り付けても良いし、任意の隅部15にのみ取り付けても良い。
ハウジング30を荷台10の隅部15に取り付ける際には、図3(a)における紙面手前側の円弧側の面が露出側となり、図3(b)における紙面手前側のL字側の面が、荷台10の隅部15と相対する接触面となる。
【0023】
<6.2>ハウジングの素材
ハウジング30は、内部に収容する測位端末20からの電波等の受信を妨げない範囲で、任意の素材を使用することができる。
【0024】
<6.3>収容部・窓部
ハウジング30には、測位端末20を収容するための収容部31を設けている。
本実施例では、後述する上張出部32Aと下張出部32Bとで挟まれた領域の接触面側に設けた凹部を収容部31としている。
さらに、収容部31の外側には、収容した測位端末20の外面を視認可能な窓部33を設けている。この窓部33を設けることにより、測位端末20をハウジング30から取り外さずとも、測位端末20の収容の有無を確認することができる。これは、荷台10の四箇所の隅部15の全てにハウジング30を取り付け、そのうち何れか一つのハウジング30に測位端末20を収容させておく場合に、測位端末20が何れのハウジング30に収容されているかの確認が容易である点で、特に有益である。
また、窓部33を設けることにより、ハウジング30に収容したまま、測位端末20の表面に付された識別情報を視認することもできる。
【0025】
<6.4>張出部
本実施例では、ハウジング30に、収容部31を設けた位置よりもハウジング30の高さ方向の上下に変位させた箇所に、荷台10の外側方向へと張り出してなる張出部32(上張出部32A、下張出部32B)を設けている。
当該構成により、各張出部32A,32Bは、搬送台車Aの使用時に、ハウジング30のうち、収容部31の周囲の基部に他の物体が直接衝突することを防ぐための空間(第1の保護空間C)を確保する部材として機能する。
また、各張出部32A,32Bは、挿入孔12に挿入した手押部材Bに作業員が手を掛けた状態で搬送台車Aを移動させる際に、周囲の物体と手押部材Bとの間で作業員の手が挟まれることを防ぐための空間(第2の保護空間D)を確保する部材としても機能する。
【0026】
<7>構成例2(図4
本構成例は、測位端末20をハウジング30に収容した状態で荷台10の隅部15に取り付ける構成を想定したものである。
本構成例に係るハウジング30は、構成例1に係るハウジング30から、下張出部32Bを省略したものであり、構成例1と同等の作用効果を奏する。
【0027】
<8>構成例3(図5
本構成例は、測位端末20をハウジング30に収容した状態で荷台10の隅部15に取り付ける構成を想定するものである。
本構成例に係るハウジング30は、構成例1に係るハウジング30から、上張出部32Aを省略しつつ、ハウジング30の上面に、収容部31と連通する収容口311を設けたものである。
本構成例によれば、構成例1と同等の作用効果を奏しつつ、さらに、ハウジング30を荷台10に取り付けた状態のまま、測位端末20の収容および取り外しが可能となる。
【0028】
<9>構成例4(図6
本構成例は、測位端末20をハウジング30に収容した状態で荷台10の窪み部13に取り付ける構成を想定したものである。
本構成例に係るハウジング30は、内部に測位端末20の収容部31を有し、ハウジング30の上部から側方に伸びて下方に曲折する金具34と、金具34に設けたボルト35とで構成しており、荷台10の上面に設けた窪み部13に存する区画壁131に前記ボルト35でもってハウジング30をクランプして着脱自在に構成したものである。
本構成例によれば、ボルト35の螺合作業のみで測位端末20の着脱作業が可能となり、また搬送台車Aの外径寸法にも影響を与えることが無い。
【0029】
<10>構成例5(図7
本構成例は、測位端末20をハウジング30に収容した状態で荷台10の窪み部13に取り付ける構成を想定したものである。
本構成例に係るハウジング30は、上下に突起36を設けた構成としており、当該ハウジング30を荷台10の上面に設けた窪み部13に存する区画壁131と、荷台10の側辺を構成するフレームとの間の空間に圧入することで、各突起36をハウジング30の抜け止め部材として機能させるよう構成したものである。
本構成例によれば、作業員によるハウジング30の押出動作や引出動作のみで、ハウジング30の着脱作業を実施できる。
【符号の説明】
【0030】
A :搬送台車
10 :荷台
11 :車輪
12 :挿入孔
13 :窪み部
131:内壁
14 :側面
15 :隅部
20 :測位端末
30 :ハウジング
31 :収容部
311:収容口
32 :張出部
32A:上張出部
32B:下張出部
33 :窓部
34 :金具
35 :ボルト
36 :突起
B :手押部材
C :第1の保護空間
D :第2の保護空間
【要約】
【課題】搬送台車に測位機能を付加するにあたり、より利便性を向上させること。
【解決手段】車輪を有する荷台を少なくとも具備する搬送台車であって、荷台の隅部、側面および窪み部のうち何れかに、測位端末を設ける。測位端末は、荷台に着脱自在に構成したハウジングに設けた収容部に収容しておくこともでき、このハウジングに荷台の外側方向に張り出す張出部を設け、張出部を測位端末の収容部を設ける高さと異なる高さに設けてもよい。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7