(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】動き学習装置、制御装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A63B 69/00 20060101AFI20231106BHJP
A63B 69/02 20060101ALI20231106BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20231106BHJP
G06T 7/20 20170101ALI20231106BHJP
【FI】
A63B69/00 A
A63B69/02 K
G06T7/00 350B
G06T7/20 300Z
(21)【出願番号】P 2019172100
(22)【出願日】2019-09-20
【審査請求日】2022-08-31
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ▲1▼発行日:令和1年6月15日 刊行物:電子情報通信学会技術研究報告、vol.119、no.99、DE2019-4、pp.15-18、電子情報通信学会 ▲2▼発行日:令和1年7月26日 刊行物:情報処理学会コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)研究会、第22回 画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2019)予稿集 PS1-59、pp.1-4 ▲2▼開催日:令和1年7月30日 集会名、開催場所:情報処理学会コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)研究会、第22回 画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2019)グランキューブ大阪(大阪府大阪市北区中之島5丁目3-51) ▲4▼開催日:令和1年7月30日 集会名、開催場所:情報処理学会コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)研究会、第22回 画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2019)グランキューブ大阪(大阪府大阪市北区中之島5丁目3-51)
(73)【特許権者】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】星野 聖
(72)【発明者】
【氏名】野口 勇気
【審査官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-013731(JP,A)
【文献】特開2019-083968(JP,A)
【文献】特開2017-107503(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0378281(US,A1)
【文献】田中 一敏,ガウス過程回帰を用いた卓球ロボットと対戦する人間の打撃結果 予測,第37回日本ロボット学会学術講演会,2019年09月03日,第1頁-第2頁
【文献】高橋 史泰,高速ビジョンを用いたチャンバラロボットの開発,ロボティク ス・メカトロニクス 講演会2014 講演論文集,2014年05月24日,第109頁-第112頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B69/00-71/16
G06T7/00-7/90
G06N3/00-3/12
G06N7/08-99/00
B25J1/00-21/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動きの学習対象である対戦相手の正面方向から前記対戦相手が撮像された動画像のコマ毎に、前記対戦相手の
技の種類および技の段階に関するアノテーション情報が紐づけられたアノテーション済みコマ画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部が取得する前記アノテーション済みコマ画像のコマ間の差分に基づいて、前記対戦相手の動き情報を算出する動き情報算出部と、
前記動き情報算出部がコマ毎に算出した複数の前記動き情報に基づいて、複数の前記動き情報どうしの前記動画像における時系列を示す情報と、前記アノテーション情報とを含む動き情報画像を生成する動き情報画像生成部と、
前記動き情報画像生成部が生成する前記動き情報画像を学習器に供給することにより、前記対戦相手の
技の種類および技の段階と前記アノテーション情報との対応関係を学習させる学習制御部と、
を備える動き学習装置。
【請求項2】
請求項1に記載の動き学習装置によって学習された前記対戦相手の
技の種類および技の段階と前記アノテーション情報との対応関係を示す学習結果が記憶される記憶部から、前記学習結果を取得する学習結果取得部と、
前記対戦相手の正面方向から前記対戦相手を撮像する撮像部と、
前記学習結果取得部が取得する前記学習結果と、前記撮像部が撮像する前記対戦相手の画像とに基づいて、複数種類の前記アノテーション情報のうち前記対戦相手の
技の種類および技の段階に対応する種類の前記アノテーション情報を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、対戦機器の前記対戦相手に対する動作を制御する制御部と、
を備える制御装置。
【請求項3】
前記アノテーション情報の種類と、前記対戦機器の前記対戦相手に対する動作とが対応付けられた対応動作情報が記憶される記憶部から、前記対応動作情報を取得する対応動作情報取得部と、
前記対応動作情報取得部が取得する前記対応動作情報と、前記判定部の判定結果とに基づいて、複数種類の前記対戦相手に対する動作のうちから、前記判定結果が示す前記アノテーション情報の種類が示す前記対戦相手に対する動作を選択する動作選択部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記動作選択部が選択する動作に基づいて、前記対戦機器の前記対戦相手に対する動作を制御する
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記対戦機器は、関節を有する可動部材を備え、
前記アノテーション情報には、前記対戦相手の
技の種類および技の段階に対する前記対戦機器の前記可動部材の関節角度を示す情報が含まれ、
前記学習結果には、前記対戦相手の
技の種類および技の段階と、前記アノテーション情報が示す前記対戦機器の前記可動部材の関節角度との対応関係が学習された結果が含まれ、
前記判定部は、
前記アノテーション情報が示す複数種類の関節角度のうち、前記対戦相手の
技の種類および技の段階に対応する種類の関節角度を判定し、
前記制御部は、
前記判定部の判定結果に基づいて、前記対戦機器の前記可動部材の関節角度を制御することにより、前記対戦相手に対する動作を制御する
請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
動き学習装置が備えるコンピュータに、
動きの学習対象である対戦相手の正面方向から前記対戦相手が撮像された動画像のコマ毎に、前記対戦相手の
技の種類および技の段階を含む動きに関するアノテーション情報が紐づけられたアノテーション済みコマ画像を取得する画像取得ステップと、
前記画像取得ステップにおいて取得される前記アノテーション済みコマ画像のコマ間の差分に基づいて、前記対戦相手の動き情報を算出する動き情報算出ステップと、
前記動き情報算出ステップにおいてコマ毎に算出された複数の前記動き情報に基づいて、複数の前記動き情報どうしの前記動画像における時系列を示す情報と、前記アノテーション情報とを含む動き情報画像を生成する動き情報画像生成ステップと、
前記動き情報画像生成ステップにおいて生成される前記動き情報画像を学習器に供給することにより、前記対戦相手の
技の種類および技の段階と前記アノテーション情報との対応関係を学習させる学習制御ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【請求項6】
制御装置が備えるコンピュータに、
請求項1に記載の動き学習装置によって学習された前記対戦相手の
技の種類および技の段階と前記アノテーション情報との対応関係を示す学習結果が記憶される記憶部から、前記学習結果を取得する学習結果取得ステップと、
対戦相手の正面方向から前記対戦相手を撮像する撮像ステップと、
前記学習結果取得ステップにおいて取得される前記学習結果と、前記撮像ステップにおいて撮像される前記対戦相手の画像とに基づいて、複数種類の前記アノテーション情報のうち前記対戦相手の
技の種類および技の段階に対応する種類の前記アノテーション情報を判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおける判定結果に基づいて、対戦機器の前記対戦相手に対する動作を制御する制御ステップと、
を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動き学習装置、制御装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
剣道や短剣道などの対人競技において、1人でも対戦が可能な練習装置の開発が望まれている。このような練習装置においては、対戦相手が繰り出す技に応じて動作することが好ましいことから、対戦相手の動きをオフラインで判定したり、リアルタイムで予測したりする機能が求められる。相手の動きを判定する技術として、従来、モーションキャプチャなどの技術が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術によると、例えば、相手の動きの軌跡の判定は比較的容易であるものの、近い未来において、その動きの軌跡がどのような技に繋がるのかまでは予測ができなかった。つまり、従来技術によると、相手の技の種類を、技が完了する前に判定することまではできず、対戦相手が繰り出す技に応じて、あるいは前もって、練習装置等が動作することができないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施形態は、動きの学習対象である対戦相手の正面方向から前記対戦相手が撮像された動画像のコマ毎に、前記対戦相手の技の種類および技の段階に関するアノテーション情報が紐づけられたアノテーション済みコマ画像を取得する画像取得部と、前記画像取得部が取得する前記アノテーション済みコマ画像のコマ間の差分に基づいて、前記対戦相手の動き情報を算出する動き情報算出部と、前記動き情報算出部がコマ毎に算出した複数の前記動き情報に基づいて、複数の前記動き情報どうしの前記動画像における時系列を示す情報と、前記アノテーション情報とを含む動き情報画像を生成する動き情報画像生成部と、前記動き情報画像生成部が生成する前記動き情報画像を学習器に供給することにより、前記対戦相手の技の種類および技の段階と前記アノテーション情報との対応関係を学習させる学習制御部と、を備える動き学習装置である。
【0006】
本発明の一実施形態は、上述の動き学習装置によって学習された前記対戦相手の技の種類および技の段階と前記アノテーション情報との対応関係を示す学習結果が記憶される記憶部から、前記学習結果を取得する学習結果取得部と、前記対戦相手の正面方向から前記対戦相手を撮像する撮像部と、前記学習結果取得部が取得する前記学習結果と、前記撮像部が撮像する前記対戦相手の画像とに基づいて、複数種類の前記アノテーション情報のうち前記対戦相手の技の種類および技の段階に対応する種類の前記アノテーション情報を判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づいて、対戦機器の前記対戦相手に対する動作を制御する制御部と、を備える制御装置である。
【0007】
本発明の一実施形態は、上述の制御装置において、前記アノテーション情報の種類と、前記対戦機器の前記対戦相手に対する動作とが対応付けられた対応動作情報が記憶される記憶部から、前記対応動作情報を取得する対応動作情報取得部と、前記対応動作情報取得部が取得する前記対応動作情報と、前記判定部の判定結果とに基づいて、複数種類の前記対戦相手に対する動作のうちから、前記判定結果が示す前記アノテーション情報の種類が示す前記対戦相手に対する動作を選択する動作選択部とをさらに備え、前記制御部は、前記動作選択部が選択する動作に基づいて、前記対戦機器の前記対戦相手に対する動作を制御する。
【0008】
本発明の一実施形態は、上述の制御装置において、前記対戦機器は、関節を有する可動部材を備え、前記アノテーション情報には、前記対戦相手の技の種類および技の段階に対する前記対戦機器の前記可動部材の関節角度を示す情報が含まれ、前記学習結果には、前記対戦相手の技の種類および技の段階と、前記アノテーション情報が示す前記対戦機器の前記可動部材の関節角度との対応関係が学習された結果が含まれ、前記判定部は、前記アノテーション情報が示す複数種類の関節角度のうち、前記対戦相手の技の種類および技の段階に対応する種類の関節角度を判定し、前記制御部は、前記判定部の判定結果に基づいて、前記対戦機器の前記可動部材の関節角度を制御することにより、前記対戦相手に対する動作を制御する。
【0009】
本発明の一実施形態は、動き学習装置が備えるコンピュータに、動きの学習対象である対戦相手の正面方向から前記対戦相手が撮像された動画像のコマ毎に、前記対戦相手の技の種類および技の段階を含む動きに関するアノテーション情報が紐づけられたアノテーション済みコマ画像を取得する画像取得ステップと、前記画像取得ステップにおいて取得される前記アノテーション済みコマ画像のコマ間の差分に基づいて、前記対戦相手の動き情報を算出する動き情報算出ステップと、前記動き情報算出ステップにおいてコマ毎に算出された複数の前記動き情報に基づいて、複数の前記動き情報どうしの前記動画像における時系列を示す情報と、前記アノテーション情報とを含む動き情報画像を生成する動き情報画像生成ステップと、前記動き情報画像生成ステップにおいて生成される前記動き情報画像を学習器に供給することにより、前記対戦相手の技の種類および技の段階と前記アノテーション情報との対応関係を学習させる学習制御ステップと、
を実行させるためのプログラムである。
【0010】
本発明の一実施形態は、制御装置が備えるコンピュータに、請求項1に記載の動き学習装置によって学習された前記対戦相手の技の種類および技の段階と前記アノテーション情報との対応関係を示す学習結果が記憶される記憶部から、前記学習結果を取得する学習結果取得ステップと、対戦相手の正面方向から前記対戦相手を撮像する撮像ステップと、前記学習結果取得ステップにおいて取得される前記学習結果と、前記撮像ステップにおいて撮像される前記対戦相手の画像とに基づいて、複数種類の前記アノテーション情報のうち前記対戦相手の技の種類および技の段階に対応する種類の前記アノテーション情報を判定する判定ステップと、前記判定ステップにおける判定結果に基づいて、対戦機器の前記対戦相手に対する動作を制御する制御ステップと、を実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、相手の技の種類を判定および予測することができる動き学習装置、制御装置及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態の動き学習装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】本実施形態の対戦相手の撮像方法の一例を示す図である。
【
図3】本実施形態のコマ画像の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態の時刻と竹刀の高さとの関係の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態のアノテーション済みコマ画像の一例を示す図である。
【
図6】本実施形態の動き情報画像の一例を示す図である。
【
図7】本実施形態の動き学習装置の動作の流れの一例を示す図である。
【
図8】本実施形態の制御装置の構成の一例を示す図である。
【
図9】本実施形態の対戦ロボットと対戦相手との対戦状況の一例を示す図である。
【
図10】本実施形態の対応動作情報の一例を示す図である。
【
図11】本実施形態の制御装置の動作の一例を示す図である。
【
図12】本実施形態の判定部による判定結果の一例を示す図である。
【
図13】本変形例の制御装置の構成の一例を示す図である。
【
図14】本変形例のアノテーション済みコマ画像の一例を示す図である。
【
図15】本変形例の対戦ロボットと対戦相手との対戦状況の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[概要]
本発明の実施形態は、例えば、剣道、銃剣道、短剣道、なぎなた、日本拳法、逮捕術、空手、ボクシングなどの対人競技において、対戦相手である人間の動作の起こり(初動動作のこと。以下、単に起こりとも記載する。)の検出と、技の種類の予測とを行い、対戦相手の攻撃に対して防御や攻撃(反撃)行動を行う装置である。
第1実施形態において対戦相手の動きの学習段階について説明する。第2実施形態において学習された対戦相手の動きに基づいて技の種類を予測し、防御や攻撃行動を行う推論段階について説明する。
【0014】
[第1実施形態(学習段階)]
図1は、本実施形態の動き学習装置30の構成の一例を示す図である。動き学習装置30は、画像取得部310と、動き情報算出部320と、動き情報画像生成部330と、学習制御部340とを備える。
【0015】
画像取得部310は、コマ画像記憶部20からアノテーション済みコマ画像FIAを取得する。アノテーション済みコマ画像FIAとは、動きの学習対象である対戦相手OPの正面方向から対戦相手OPが撮像された動画像のコマ(コマ画像FI)毎に、対戦相手OPの動きに関するアノテーション情報ATが紐づけられた画像である。アノテーション済みコマ画像FIAの一例について、
図2から
図5を参照して説明する。
【0016】
[アノテーション済みコマ画像FIAの一例]
図2は、本実施形態の対戦相手OPの撮像方法の一例を示す図である。この一例において、対戦相手OPは、対戦ロボット1に対して技を繰り出す。一例として、短剣道の技の種類には、面打ち、喉突き、胴突きなどがある。対戦相手OPは竹刀SDを所持して対戦ロボット1に正対する。対戦ロボット1は、動画像を撮像可能な撮像部120を備えており、対戦相手OPの正面方向から対戦相手OPを撮像する。撮像された動画は、1コマごとにコマ画像FIとしてコマ画像記憶部20に記憶される。
ここで、コマとは、動画像を構成するフレームのことである。撮像部120は、所定のフレームレート(例えば、1秒間に30コマ(30fps))で撮像する。
【0017】
図3は、本実施形態のコマ画像FIの一例を示す図である。
図3(A)~(C)は、時刻t1~時刻t3におけるコマ画像FIをそれぞれ示す。以下の説明において、時刻tn(nは自然数。)におけるコマ画像FIのことを、第n時刻のコマ画像FI(tn)とも記載する。
第1時刻のコマ画像FI(t1)には、対戦相手OPが竹刀SDを下方向に構えている様子が撮像されている。第2時刻のコマ画像FI(t2)には、対戦相手OPが竹刀SDをやや上方に動かした様子が撮像されている。第3時刻のコマ画像FI(t3)には、対戦相手OPが竹刀SDをさらに上方に動かした様子が撮像されている。
【0018】
図4は、本実施形態の時刻tと竹刀の高さHとの関係の一例を示す図である。この一例では、短剣道の熟練者は、対戦相手OPが所持する竹刀SDを観察し、竹刀の高さHの時間変化に基づいて、対戦相手OPの動作を判断することができる。
時刻t1以前においては、竹刀の高さHが小刻みに上下している。短剣道の熟練者に対して時刻t1以前の時間帯の画像を示した場合、短剣道の熟練者は、対戦相手OPの動作が「陽動」であると判断する。
時刻t1から時刻t2においては、時刻t1以前に比べ、竹刀の高さHの変化が少なくなる。短剣道の熟練者に対して時刻t1から時刻t2までの画像を示した場合、短剣道の熟練者は、対戦相手OPの動作が「起こり」であると判断する。ここで「起こり」とは、技の発生の予兆動作をいう。
時刻t2から時刻t3においては、竹刀の高さHがやや上方に移動する。短剣道の熟練者に対してこの時刻t2から時刻t3までの画像を示した場合、短剣道の熟練者は、対戦相手OPの動作が「面打ちの可能性あり」であると判断する。なお、以下の説明において「面打ちの可能性あり」のことを「面打ちか?」とも表現する。
時刻t3以降においては、竹刀の高さHがさらに上方に移動する。短剣道の熟練者に対してこの時刻t3以降の画像を示した場合、短剣道の熟練者は、対戦相手OPの動作が「面打ち」(すなわち、「面打ちが来るに違いない!」)であると判断する。
【0019】
図5は、本実施形態のアノテーション済みコマ画像FIAの一例を示す図である。コマ画像記憶部20には、アノテーション済みコマ画像FIAが記憶されている。アノテーション済みコマ画像FIAとは、対戦相手OPの正面方向から対戦相手OPが撮像された動画像のコマ(コマ画像FI)毎に、対戦相手OPの動きに関するアノテーション情報ATが紐づけられた画像である。
本実施形態の場合、アノテーション情報ATの種類には、「残心」「起こり」「胴突き?」「胴突き」「喉突き?」「喉突き」「面打ち?」「面打ち」が含まれる。
【0020】
例えば、第1時刻のコマ画像FI(t1)には、対戦相手OPが竹刀SDを下方向に構えている様子が撮像されている。短剣道の熟練者によって、第1時刻のコマ画像FI(t1)に撮像された動作が「起こり」であると判断されている。この場合、第1時刻のコマ画像FI(t1)には、アノテーション情報AT「起こり」が紐づけられる。
第2時刻のコマ画像FI(t2)には、対戦相手OPが竹刀SDをやや上方に動かした様子が撮像されている。短剣道の熟練者によって、第2時刻のコマ画像FI(t2)に撮像された動作が「面打ちか?」であると判断されている。この場合、第2時刻のコマ画像FI(t2)には、アノテーション情報AT「面打ちか?」が紐づけられる。
第3時刻のコマ画像FI(t3)には、対戦相手OPが竹刀SDをさらに上方に動かした様子が撮像されている。短剣道の熟練者によって、第3時刻のコマ画像FI(t3)に撮像された動作が「面打ち」であると判断されている。この場合、第3時刻のコマ画像FI(t3)には、アノテーション情報AT「面打ち」が紐づけられる。
なお、コマ画像FIに対してアノテーション情報ATを紐づける作業には、既存の手法を用いれば足りる。
【0021】
図1に戻り、画像取得部310は、取得したアノテーション済みコマ画像FIAを動き情報算出部320に供給する。
動き情報算出部320は、画像取得部310から供給されるアノテーション済みコマ画像FIAを取得する。動き情報算出部320は、画像取得部310が取得するアノテーション済みコマ画像FIAのコマ間の差分に基づいて、対戦相手OPの動き情報MVを算出する。
【0022】
具体的には、動き情報算出部320は、アノテーション済みコマ画像FIAのうち、撮像された時刻tが互いに異なる複数のコマどうしを比較し、動き情報MVを算出する。この場合、動き情報算出部320は、2枚のコマを互いに比較することにより動き情報MVを算出してもよいし、3枚以上のコマを互いに比較して動き情報MVを算出してもよい。
【0023】
例えば、動き情報算出部320は、3枚のコマを互いに比較する場合、次のようにして動き情報MVを算出する。
まず、動き情報算出部320は、基準時刻t0のコマ画像FIと、基準時刻t0の1コマ前のコマ画像FIとの間において、互いに対応する位置の画素の画素値の差分を算出する。動き情報算出部320は、算出した差分が負になる画素については、その差分値を切り捨てる(例えば、画素値を0(ゼロ)にする)。
動き情報算出部320は、基準時刻t0の1コマ前のコマ画像FIと、基準時刻t0の2コマ前のコマ画像FIとの間において、互いに対応する位置の画素の画素値の差分を算出する。動き情報算出部320は、算出した差分が負になる画素については、その差分値の符号を反転させる。
【0024】
一般に、対人競技においては、対戦相手OPの動きの特徴がコマ画像FIの一部に強く表れる場合がある。例えば、短剣道においては、竹刀SDの動きが技の種類の特徴を強く表す。したがって、竹刀SDの位置の時間変化を抽出することにより、対戦相手OPが繰り出す技の種類を判定することができる。つまり、竹刀SDの画像は、対戦相手OPが繰り出す技の種類の判定に寄与する画像である。
また、撮像部120が対戦相手OPを撮像した動画に、床・壁・天井などの背景が撮像されることがある。背景の画像は、対戦相手OPが繰り出す技の種類の判定に寄与しない画像である。
【0025】
短剣道などの対人競技において、対戦相手OPが技を繰り出す動作を、対戦相手OPの正面方向から見た場合、背景の位置の変化に比べて竹刀SDの位置の変化が大きい。このため、コマ画像FIどうしの差分には、竹刀SDの位置の変化が抽出される。
【0026】
また、短剣道などの対人競技において、対戦相手OPが技を繰り出す場合、対戦相手OPの体幹や足先が大きく動くことがあるが、この動きの方向は対戦相手OPの前後方向(
図2に示すx軸方向)である。一方、対戦相手OPが技を繰り出す場合、竹刀SDの動きの方向は鉛直方向(
図2に示すz軸方向)である。
技を繰り出す対戦相手OPの動きを、対戦相手OPの正面方向から見た場合(すなわち、
図2に示すyz平面視の場合)、対戦相手OPの体幹や足先は奥行方向(x軸方向)に動き、竹刀SDは上下方向(z軸方向)に動く。動画中の画面奥行方向の動きは、画面上下方向(及び画面左右方向)の動きに比べて、画面内の座標移動が少ない。したがって、コマ画像FIどうしの差分には、画面奥行方向の動きよりも画面上下方向(及び画面左右方向)の動きのほうが抽出されやすい。
つまり、技を繰り出す対戦相手OPの動きを、対戦相手OPの正面方向から撮像された動画について、コマ画像FIどうしの差分を算出すると、対戦相手OPの体幹や足先の位置変化に比べて、竹刀SDの位置の変化が抽出されやすい。
【0027】
上述したように、動き情報算出部320は、対戦相手OPの正面方向から撮像された動画について、時間軸上で隣接する(又は近接する)複数のコマ画像FIの差分(例えば、画像を構成する画素値の差分)を算出する。
このように算出された差分は、対戦相手OPが所持する竹刀SDの部分の差分が大きくなり、背景や対戦相手OPの体幹部分の差分が小さくなる。動き情報算出部320は、コマ画像FIの差分を算出することにより、画像認識などの手段によらず、竹刀SDの画像を抽出することができる。すなわち、動き情報算出部320は、コマ画像FIの差分を算出することにより、画像認識などの手段によらず、対戦相手OPが繰り出す技の種類の判定に寄与する情報(つまり、動き情報MV)を算出することができる。
【0028】
動き情報算出部320は、動き情報MVをアノテーション済みコマ画像FIAに含まれるコマ画像FIのそれぞれについて、前後のコマ画像FIと比較することにより動き情報MVを算出する。動き情報算出部320は、算出した動き情報MV(つまり、コマ画像FIどうしの差分)を動き情報画像生成部330に供給する。
【0029】
動き情報画像生成部330は、動き情報算出部320がコマ毎に算出した複数の動き情報MVに基づいて、複数の動き情報MVどうしの動画像における時系列情報TS(時系列を示す情報)と、アノテーション情報ATとを含む動き情報画像MIを生成する。
【0030】
図6は、本実施形態の動き情報画像MIの一例を示す図である。この一例において、動き情報画像生成部330は、3つの時刻tのコマ画像FIからそれぞれ算出された動き情報MVどうしを合成して、動き情報画像MIを生成する。
この一例において、動き情報画像MIには、3つの動き情報MVのうち、最も古い第1時刻の動き情報MV1、次に古い第2時刻の動き情報MV2、及び最も新しい第3時刻の動き情報MV3が含まれている。
また、動き情報画像生成部330は、生成した動き情報画像MIに、アノテーション情報ATを紐づける。例えば「面打ち」の動作を示す動き情報画像MIを生成する場合、動き情報画像生成部330は、動き情報画像MIにアノテーション情報AT「面打ち」を紐づける。
【0031】
動き情報画像MIには、これら複数の動き情報MVの順序を示す情報(時系列情報TS)が含まれている。ここでいう動き情報MVの順序とは、撮像部120が撮像した動画のタイムライン上における、動き情報MVどうしの時系列のことである。
時系列情報TSは、動き情報MVどうしの時系列が、学習器40によって学習可能な形式で表現されていれば、どのような形式であってもよい。例えば、時系列情報TSは、第1時刻の動き情報MV1は「青」、第2時刻の動き情報MV2は「緑」、第3時刻の動き情報MV3は「赤」などの色によって表現されたものであってもよい。また、時系列情報TSは、第1時刻の動き情報MV1は「1」、第2時刻の動き情報MV2は「2」、第3時刻の動き情報MV3は「3」などの数値情報(例えば、数値メタデータ)によって表現されたものであってもよい。
【0032】
図1に戻り、動き情報画像生成部330は、生成した動き情報画像MIを学習制御部340に供給する。
学習制御部340は、動き情報画像生成部330から取得した動き情報画像MIを学習器40に供給する。学習制御部340は、動き情報画像MIを学習器40に供給することにより、対戦相手OPの動きとアノテーション情報ATとの対応関係を学習させる。
学習器40は、動き情報画像MIに含まれる動き情報MVとアノテーション情報ATとの対応関係を教師データとして、既知の学習手法によって、対戦相手OPの動きとアノテーション情報ATとの対応関係を学習する。
学習器40は、学習結果記憶部410を備えている。学習器40は、学習結果LRを学習結果記憶部410に記憶させる。
【0033】
[動き学習装置30の動作]
図7は、本実施形態の動き学習装置30の動作の流れの一例を示す図である。
(ステップS10)画像取得部310は、コマ画像記憶部20から、アノテーション済みコマ画像FIAを取得する。このアノテーション済みコマ画像FIAには、動きの学習対象である対戦相手OPの正面方向から対戦相手OPが撮像された動画像のコマ(すなわち、コマ画像FI)が含まれている。また、コマ画像FIには、対戦相手OPの動きに関するアノテーション情報ATが予め紐づけられている。
【0034】
(ステップS20)動き情報算出部320は、ステップS10において取得されたアノテーション済みコマ画像FIAのコマ間の差分に基づいて、対戦相手OPの動き情報MVを算出する。
【0035】
(ステップS30)動き情報画像生成部330は、ステップS20において算出された複数の動き情報MVに基づいて、複数の動き情報MVどうしの時系列情報TS(例えば、赤・緑・青)と、アノテーション情報ATとを含む動き情報画像MIを生成する。
【0036】
(ステップS40)学習制御部340は、ステップS30において生成された動き情報画像MIを学習器40に供給することにより、対戦相手OPの動きとアノテーション情報ATとの対応関係を学習させる。
【0037】
このように構成された動き学習装置30によれば、アノテーション済みコマ画像FIAについて、例えば、竹刀SDの位置を抽出する画像認識などを行わなくても、対戦相手OPの動作の特徴を学習させることができる。
【0038】
[第2実施形態(推論段階)]
図8及び
図9を参照して、本実施形態の対戦ロボット1aの構成について説明する。
図8は、本実施形態の制御装置10の構成の一例を示す図である。
図9は、本実施形態の対戦ロボット1aと対戦相手OPとの対戦状況の一例を示す図である。
【0039】
対戦ロボット1aは、制御装置10と、アクチュエータ50と、可動部材70とを備えている。可動部材70は、例えば、上腕部71と、下腕部72と、手部73とを備える。対戦ロボット1aの肩部と、上腕部71とは肩関節によって回転可能に接合されている。上腕部71と、下腕部72とは肘関節によって回転可能に接合されている。下腕部72と、手部73とは手首関節によって回転可能に接合されている。手部73には、竹刀SDが装着される。これら可動部材70は、制御装置10の制御に基づいて動作するアクチュエータ50(例えば、電動機)によって駆動される。
すなわち、対戦ロボット1(対戦機器)は、関節を有する可動部材70を備えている。
【0040】
制御装置10は、学習結果取得部110と、撮像部120と、判定部130と、対応動作情報取得部140と、動作選択部150と、制御部160とを備える。
【0041】
学習結果取得部110は、学習結果記憶部410から、学習結果LRを取得する。学習結果LRとは、動き学習装置30によって学習された対戦相手OPの動きとアノテーション情報ATとの対応関係が学習器40によって学習された情報である。
【0042】
撮像部120は、対戦ロボット1aの一部(例えば、頭部)に備えられ、対戦相手OPの正面方向から対戦相手OPを撮像する。
判定部130は、学習結果取得部110が取得する学習結果LRと、撮像部120が撮像する対戦相手OPの画像IMGとに基づいて、複数種類のアノテーション情報ATのうち対戦相手OPの動きに対応する種類のアノテーション情報ATを判定する。
【0043】
対応動作情報取得部140は、対応動作情報記憶部60から、対応動作情報RAを取得する。
【0044】
図10は、本実施形態の対応動作情報RAの一例を示す図である。対応動作情報記憶部60には、アノテーション情報ATの種類と、対戦ロボット1(対戦機器)の対戦相手OPに対する動作とが対応付けられた対応動作情報RAが記憶されている。
例えば、対応動作情報RAにおいて、判定結果DR「陽動」と、対応する動作「何もしない」とが対応付けられている。また、対応動作情報RAにおいて、判定結果DR「起こり」と対応する動作「何もしない」とが、判定結果DR「面打ちかな?」と、対応する動作「腕を少し上げる」とが、判定結果DR「面打ち」と、対応する動作「腕を大きく上げる」とが、それぞれ対応付けられている。
【0045】
図8に戻り、動作選択部150は、対応動作情報取得部140が取得する対応動作情報RAと、判定部130の判定結果DRとに基づいて、複数種類の対戦相手OPに対する動作のうちから、判定結果DRが示すアノテーション情報ATの種類が示す対戦相手OPに対する動作を選択する。
【0046】
制御部160は、判定部130の判定結果DRに基づいて、対戦ロボット1(対戦機器)の対戦相手OPに対する動作を制御する。
なお、上述した一例では、動作選択部150は、判定部130の判定結果DRに基づいて動作を選択する。つまり、制御部160は、動作選択部150が選択する動作に基づいて、対戦ロボット1(対戦機器)の対戦相手OPに対する動作を制御する。
次に、
図11を参照して、制御装置10の動作について説明する。
【0047】
[制御装置10の動作]
図11は、本実施形態の制御装置10の動作の一例を示す図である。
(ステップS110)学習結果取得部110は、学習結果記憶部410から、学習結果LRを取得する。
(ステップS120)撮像部120は、対戦相手OPの正面方向から対戦相手OPを撮像する。
(ステップS130)判定部130は、ステップS110において取得される学習結果LRと、ステップS120において撮像される対戦相手OPの画像IMGとに基づいて、複数種類のアノテーション情報ATのうち対戦相手OPの動きに対応する種類のアノテーション情報ATを判定する。
図11を参照して、判定部130によるアノテーション情報ATの判定結果DRの一例について説明する。
【0048】
図12は、本実施形態の判定部130による判定結果DRの一例を示す図である。この一例において、アノテーション情報ATの種類には「残心」「陽動」「起こり」「胴突きか?」「胴突き」「喉突きか?」「喉突き」「面打ちか?」「面打ち」が含まれる。
判定部130は、時刻tにおいて撮像された対戦相手OPの画像IMGと、学習結果LRとに基づいて、これら複数種類のアノテーション情報ATのうちから、時刻tにおける対戦相手OPの動作の種類を判定する。この一例において、判定部130は、時刻t11以前の対戦相手OPの動作の種類が「陽動」であると判定する。判定部130は、時刻t11から時刻t12までの対戦相手OPの動作の種類が「起こり」であると判定する。判定部130は、時刻t12から時刻t13までの対戦相手OPの動作の種類が「面打ちか?」であると判定する。判定部130は、時刻t13以降の対戦相手OPの動作の種類が「面打ち」であると判定する。
【0049】
(ステップS140)
図11に戻り、制御部160は、判定部130の判定結果DRに基づいて、対戦ロボット1(対戦機器)の対戦相手OPに対する動作を制御する。この一例において、制御部160は、動作選択部150が選択する動作に基づいて、アクチュエータ50を駆動する。動作選択部150が動作を選択する手順について説明する。
【0050】
対応動作情報取得部140は、対応動作情報記憶部60から対応動作情報RAを取得する。対応動作情報取得部140は、取得した対応動作情報RAを動作選択部150に供給する。
【0051】
動作選択部150は、対応動作情報RAに基づいて、ステップS130において判定部130が判定した判定結果DRに対応する動作を選択する。例えば、判定結果DRが「面打ちかな?」である場合には、動作選択部150は、対応動作情報RAにおいて「面打ちかな?」に対応する動作「腕を少し上げる」を選択する。
動作選択部150は、選択した動作を動作選択結果SRとして制御部160に供給する。
【0052】
制御部160は、動作選択部150による動作選択結果SRに応じた駆動信号DSをアクチュエータ50に対して出力する。例えば、動作選択結果SRが「腕を少し上げる」である場合、制御部160は、予めプログラムされている各種動作に応じた駆動信号DSのうち、腕上げ動作を行うための駆動信号DSを生成し、アクチュエータ50に対して出力する。
【0053】
[推論段階の変形例]
図13から
図15を参照して、対戦ロボット1の変形例(対戦ロボット1b)の構成について説明する。
図13は、本変形例の制御装置10bの構成の一例を示す図である。
図14は、本変形例のアノテーション済みコマ画像FIAaの一例を示す図である。
図15は、本変形例の対戦ロボット1bと対戦相手OPとの対戦状況の一例を示す図である。
本変形例の制御装置10bは、対応動作情報取得部140及び動作選択部150を備えない点で、上述した第2実施形態の制御装置10と異なる。
【0054】
学習結果記憶部410には、アノテーション済みコマ画像FIAaについての学習結果LRが記憶されている。
本変形例のアノテーション済みコマ画像FIAaにおけるアノテーション情報ATには、対戦相手OPの動きに対する対戦ロボット1b(対戦機器)の可動部材70の関節角度θを示す情報が含まれる。可動部材70の関節角度θには、肩関節角度θsと、肘関節角度θeと、手首関節角度θwとが含まれる。
【0055】
上述した第1実施形態において、アノテーション済みコマ画像FIAは、コマ画像FIと、このコマ画像FIを見た短剣道の熟練者が判定した、対戦相手OPの動作とが対応付けられていた。
本変形例では、アノテーション済みコマ画像FIAaは、コマ画像FIと、そのコマ画像FIが示す対戦相手OPの動作を見た短剣道の熟練者の挙動とが対応付けられている。ここで、短剣道の熟練者の挙動は、短剣道の熟練者に着けられたマーカーを撮像し、撮像されたマーカーの座標や軌跡を算出することにより得られる。例えば、短剣道の熟練者の肩、肘、手首等にマーカーが付けられている場合には、短剣道の熟練者の腕の関節角度が得られる。一例として、対戦相手OPの等身大の動画を表示可能なディスプレイ装置を用意し、短剣道の熟練者と相対する位置に対戦相手OPの等身大の動画を表示させる。ディスプレイ装置に表示される対戦相手OPの動作に対する、短剣道の熟練者の挙動を撮像し、短剣道の熟練者の腕の関節角度を算出する。このようにして得られた対戦相手OPの動作と、短剣道の熟練者の挙動(腕の関節角度)との対応関係に基づいて、アノテーション済みコマ画像FIAaが生成される。
上述した学習器40は、アノテーション済みコマ画像FIAaについて、動き情報画像MIに含まれる動き情報MVとアノテーション情報ATとの対応関係を教師データとして、既知の学習手法によって、対戦相手OPの動きとアノテーション情報ATとの対応関係を学習する。
対戦ロボット1bの可動部材70の関節角度θは、短剣道の熟練者の腕の関節角度に対応している。
【0056】
すなわち、学習結果LRには、対戦相手OPの動きと、アノテーション情報ATが示す対戦ロボット1b(対戦機器)の可動部材70の関節角度θとの対応関係が学習された結果が含まれている。
本変形例の判定部130bは、アノテーション情報ATが示す複数種類の関節角度θのうち、対戦相手OPの動きに対応する種類の関節角度θを判定する。
【0057】
制御部160bは、判定部130の判定結果DRに基づいて、対戦ロボット1(対戦機器)の可動部材70の関節角度θを制御することにより、対戦相手OPに対する動作を制御する。
【0058】
以上説明したように、本変形例の制御装置10bは、対戦相手OPの動きに対する熟練者の腕の関節角度の学習結果に基づいて動作する。例えば、短剣道の熟練者は、対戦相手OPの動作に応じて、「竹刀で払う」「竹刀でかわす」あるいは「体を捌く」などの動作を行う。制御装置10bによれば、対戦相手OPの動きに応じて、熟練者と同様に動作する対戦ロボット1bを、比較的簡易なアノテーション作業によって提供することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。
【0060】
なお、上述の各装置は内部にコンピュータを有している。そして、上述した各装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【0061】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1,1a,1b…対戦ロボット、10,10b…制御装置、110…学習結果取得部、120…撮像部、130,130b…判定部、140…対応動作情報取得部、150…動作選択部、160…制御部、30…動き学習装置、310…画像取得部、320…動き情報算出部、330…動き情報画像生成部、340…学習制御部