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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】排水栓装置
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/22 20060101AFI20231106BHJP
   E03C 1/23 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
E03C1/22 B
E03C1/22 C
E03C1/23 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020013116
(22)【出願日】2020-01-30
(65)【公開番号】P2021119274
(43)【公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-12-22
(73)【特許権者】
【識別番号】392028767
【氏名又は名称】株式会社日本アルファ
(74)【代理人】
【識別番号】100111095
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 光男
(72)【発明者】
【氏名】太田 慎一
(72)【発明者】
【氏名】矢田 敏徳
(72)【発明者】
【氏名】北川 浩平
【審査官】秋山 斉昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-188699(JP,A)
【文献】特開2008-308852(JP,A)
【文献】特開2010-37923(JP,A)
【文献】特開2017-166131(JP,A)
【文献】特開2017-96058(JP,A)
【文献】特開2013-253419(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/22-1/232
A47K 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の蓋部及び当該蓋部の裏側に設けられた筒状のパッキン被取付部を具備する栓蓋本体部、並びに、当該栓蓋本体部に取付けられる環状のパッキンを有し、槽体に形成された排水口を開閉するための上下動可能な栓蓋と、
下動した状態の前記栓蓋における前記パッキンと接触可能な接触対象部とを備え、
前記パッキンが前記接触対象部へと接触することで、前記排水口が閉状態となるように構成された排水栓装置であって、
前記パッキンは、
前記パッキン被取付部の外周に配置される環状の基部と、
前記基部から外側に向けて延びるとともに、前記基部よりも薄肉とされた鍔状のリップ部とを有し、
前記リップ部は、
前記基部の外周部から外側に向けて斜め下方に延びるとともに、自身及び前記基部によって下方に開口する環状の溝部を形成する傾斜部と、
前記傾斜部の外周部から外側に向けて延びるとともに、前記排水口を閉状態とするときに前記接触対象部と接触する横向部とを具備することを特徴とする排水栓装置。
【請求項2】
前記横向部は、外側に向けて徐々に薄くなる形状をなし、
前記排水口を閉状態とするときに、前記横向部の外周部又はその近傍部分が前記接触対象部と接触するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の排水栓装置。
【請求項3】
前記リップ部の上面における前記基部と前記傾斜部との境界部は、上下方向に沿って前記溝部と重なる位置に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水栓装置。
【請求項4】
前記接触対象部のうち少なくとも前記排水口が閉状態であるときに前記横向部と接触する被接触面は、下方に向けて徐々に内径が減少するテーパ形状をなし、
前記基部は、自身の上面が前記蓋部の下面と接触しつつ自身の内周面が前記パッキン被取付部の外周面と接触した状態で設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の排水栓装置。
【請求項5】
前記排水口を閉状態としたときに前記栓蓋と接触可能に構成された、前記パッキンの過度の変形を防止するための変形規制手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の排水栓装置。
【請求項6】
前記栓蓋は、前記蓋部の裏側であって前記パッキン被取付部の内側に設けられた筒状の支持軸被取付部を有し、
上下動可能に構成されるとともに、前記支持軸被取付部に上端部が取付られることで前記栓蓋が取付けられており、かつ、自身の上下動に伴い前記栓蓋を上下動させることが可能に構成された支持軸と、
前記支持軸に対しその下動方向に向けた引込力を付与する引込力付与部とを備え、
前記支持軸には、所定の係止部が設けられるとともに、
前記支持軸被取付部には、前記係止部が係止可能な被係止部が設けられ、
前記支持軸被取付部に前記支持軸の上端部が取付けられて前記支持軸の上端部に前記栓蓋が取付けられている状態においては、前記排水口を閉状態としたときに、前記引込力付与部から前記支持軸に付与される引込力が、前記係止部及び当該係止部に係止された前記被係止部を介して前記栓蓋に加わるように構成されており、
前記支持軸被取付部から前記支持軸の上端部が外れて前記被係止部に前記係止部が係止されていない状態においても、前記接触対象部へと前記横向部を接触させて、前記栓蓋により前記排水口を閉状態とすることが可能に構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の排水栓装置。
【請求項7】
前記支持軸被取付部から前記支持軸の上端部が外れて前記被係止部に前記係止部が係止されていない状態で前記栓蓋により前記排水口を閉状態としているときにおいては、前記槽体に貯留された水の水圧が前記栓蓋に付与されることで、前記支持軸被取付部に前記支持軸の上端部を取付けて前記支持軸の上端部に前記栓蓋を取付けた状態とすることが可能に構成されていることを特徴とする請求項6に記載の排水栓装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、槽体の排水口を開閉可能な栓蓋を有する排水栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排水栓装置は、槽体(例えば、浴槽や洗面ボウルなど)の排水口に設けられた栓蓋を備えており、栓蓋を上下動させることで排水口を開閉させるものである。
【0003】
栓蓋としては、全体として円板状をなし、裏側に筒状のパッキン被取付部を有する栓蓋本体部と、当該栓蓋本体部に取付けられる環状のパッキンとを備えたものが知られている。このような栓蓋では、パッキンが所定の接触対象部(例えば、排水口に挿設される筒状の排水口部材や槽体自体など)と接触することで、排水口が閉状態とされる(例えば、特許文献1公報等参照)。
【0004】
また、パッキンとしては、前記パッキン被取付部の外周に配置される比較的厚肉の基部と、当該基部の外周部から外側に向けて突出するリップ部とを備え、リップ部が前記接触対象部と接触することで排水口を閉状態とするものが知られている(例えば、特許文献2等参照)。このようにリップ部を設けることで、前記接触対象部に対するパッキンの密着性を高めることができ、その結果、良好な止水性を得ることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-3347号公報
【文献】特開2012-154133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、排水栓装置においては、従前よりも良好な止水性を得ることが常に求められている。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、優れた止水性を得ることができる排水栓装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0009】
手段1.板状の蓋部及び当該蓋部の裏側に設けられた筒状のパッキン被取付部を具備する栓蓋本体部、並びに、当該栓蓋本体部に取付けられる環状のパッキンを有し、槽体に形成された排水口を開閉するための上下動可能な栓蓋と、
下動した状態の前記栓蓋における前記パッキンと接触可能な接触対象部とを備え、
前記パッキンが前記接触対象部へと接触することで、前記排水口が閉状態となるように構成された排水栓装置であって、
前記パッキンは、
前記パッキン被取付部の外周に配置される環状の基部と、
前記基部から外側に向けて延びるとともに、前記基部よりも薄肉とされた鍔状のリップ部とを有し、
前記リップ部は、
前記基部の外周部から外側に向けて斜め下方に延びるとともに、自身及び前記基部によって下方に開口する環状の溝部を形成する傾斜部と、
前記傾斜部の外周部から外側に向けて延びるとともに、前記排水口を閉状態とするときに前記接触対象部と接触する横向部とを具備することを特徴とする排水栓装置。
【0010】
上記手段1によれば、リップ部は、基部の外周部から斜め下方に延びる傾斜部と、当該傾斜部の外周部から外側に延び、排水口を閉状態とするときに接触対象部と接触する横向部とを備えており、基部及び傾斜部によって下方に開口する溝部が形成されている。傾斜部を設けることで、排水口を閉状態としたときに〔つまり、リップ部(横向部)が接触対象部と接触したときに〕、接触対象部から加わる力に対するリップ部の剛性を十分に高めることができ、接触対象部に対するリップ部(横向部)の接触圧力をより確実に増大させることができる。また、横向部を設けることで、接触対象部における波打ちや微小な凹凸に対し、リップ部(横向部)をより柔軟に対応させることができ、接触対象部に対するリップ部の追従性(密着性)を高めることができる。さらに、溝部を設けることで、基部に対しリップ部(傾斜部)をある程度変位可能とすることができ、横向部を設けることによる上記作用効果をより高めることができる。そして、これら作用効果が相乗的に機能することによって、優れた止水性を得ることができる。
【0011】
手段2.前記横向部は、外側に向けて徐々に薄くなる形状をなし、
前記排水口を閉状態とするときに、前記横向部の外周部又はその近傍部分が前記接触対象部と接触するように構成されていることを特徴とする手段1に記載の排水栓装置。
【0012】
上記手段2によれば、横向部は外側に向けて徐々に薄くなる形状をなしており、排水口を閉状態とするときには、横向部の外周部又はその近傍部分が接触対象部と接触する。従って、接触対象部における波打ちや微小な凹凸に対し、リップ部(横向部)を一層柔軟に対応させることができ、接触対象部に対するリップ部の追従性(密着性)を一段と高めることができる。これにより、止水性の更なる向上を図ることができる。
【0013】
手段3.前記リップ部の上面における前記基部と前記傾斜部との境界部は、上下方向に沿って前記溝部と重なる位置に設けられていることを特徴とする手段1又は2に記載の排水栓装置。
【0014】
上記手段3によれば、基部に対し傾斜部が著しく容易に変位可能となることをより確実に防止できる。その結果、傾斜部を設けることによる効果(リップ部の剛性を十分に高めること)をより確実に発揮させることができる。
【0015】
手段4.前記接触対象部のうち少なくとも前記排水口が閉状態であるときに前記横向部と接触する被接触面は、下方に向けて徐々に内径が減少するテーパ形状をなし、
前記基部は、自身の上面が前記蓋部の下面と接触しつつ自身の内周面が前記パッキン被取付部の外周面と接触した状態で設けられていることを特徴とする手段1乃至3のいずれかに記載の排水栓装置。
【0016】
上記手段4によれば、接触対象部のうち横向部と接触する部位は、下方に向けて徐々に内径が減少するテーパ形状とされている。従って、排水口を閉状態としたときに、接触対象部(被接触面)に対し傾斜部が突っ張ったような状態となり、接触対象部と接触したときにおけるリップ部(特に傾斜部)の形状をより安定的なものとすることができる。その結果、接触対象部に対する横向部の追従性(密着性)向上効果をより確実に得ることができる。また、排水口を閉状態としたときに、被接触面からリップ部に対し、上方に向けた力と内側に向けた力との双方が加わることになるため、蓋部の下面に対する基部の上面の接触圧力と、パッキン被取付部の外周面に対する基部の内周面の接触圧力との双方を増大させることができる。これにより、栓蓋本体部に対しパッキン(基部)における異なる二面をより確実に密着させることができ、栓蓋本体部及びパッキン間を通った水の漏れ出しをより確実に防止することができる。その結果、止水性をより一層向上させることができる。
【0017】
尚、前記被接触面に対する横向部の接触圧力を増大させるという点では、水平面に対する被接触面の傾斜角度を20°以上とすることが好ましい。一方、前記接触圧力の過大を防止して良好な耐久性を得るという点では、水平面に対する被接触面の傾斜角度を60°以下とすることが好ましい。また、蓋部に対する基部の接触圧力とパッキン被取付部に対する基部の接触圧力とをバランスよく増大させるという点では、水平面に対する前記被接触面の傾斜角度を45±10°とすることが好ましい。
【0018】
手段5.前記排水口を閉状態としたときに前記栓蓋と接触可能に構成された、前記パッキンの過度の変形を防止するための変形規制手段を備えることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の排水栓装置。
【0019】
上記手段5によれば、変形規制手段が栓蓋と接触することで、排水口を閉状態としたときにパッキンが過度に変形してしまうことをより確実に防止できる。従って、パッキンの過度の変形に伴い、パッキンに破損や形状異常が生じてしまったり、栓蓋のスムーズな上下動が阻害されてしまったりするといった事態を効果的に防止することができる。
【0020】
手段6.前記栓蓋は、前記蓋部の裏側であって前記パッキン被取付部の内側に設けられた筒状の支持軸被取付部を有し、
上下動可能に構成されるとともに、前記支持軸被取付部に上端部が取付られることで前記栓蓋が取付けられており、かつ、自身の上下動に伴い前記栓蓋を上下動させることが可能に構成された支持軸と、
前記支持軸に対しその下動方向に向けた引込力を付与する引込力付与部とを備え、
前記支持軸には、所定の係止部が設けられるとともに、
前記支持軸被取付部には、前記係止部が係止可能な被係止部が設けられ、
前記支持軸被取付部に前記支持軸の上端部が取付けられて前記支持軸の上端部に前記栓蓋が取付けられている状態においては、前記排水口を閉状態としたときに、前記引込力付与部から前記支持軸に付与される引込力が、前記係止部及び当該係止部に係止された前記被係止部を介して前記栓蓋に加わるように構成されており、
前記支持軸被取付部から前記支持軸の上端部が外れて前記被係止部に前記係止部が係止されていない状態においても、前記接触対象部へと前記横向部を接触させて、前記栓蓋により前記排水口を閉状態とすることが可能に構成されていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の排水栓装置。
【0021】
尚、「前記支持軸被取付部から前記支持軸の上端部が外れて前記被係止部に前記係止部が係止されていない状態においても、前記接触対象部へと前記横向部を接触させて、前記栓蓋により前記排水口を閉状態とすることが可能に構成されている」とあるのは、槽体に対する貯水開始時の段階から、排水口からの水の漏れ出しを全く生じさせることなく排水口を閉状態とすることができる場合のみならず、槽体に対する貯水開始時からある程度の水が槽体に溜まるまでの間には排水口から水の漏れ出しが若干(例えば10分間で数グラム程度)生じ得るものの、槽体への貯水が進み栓蓋に加わる水圧が十分に増大したときには、排水口からの水の漏れ出しがなくなって排水口が閉状態となる場合も含む。
【0022】
上記手段6によれば、支持軸被取付部に支持軸の上端部が取付けられて支持軸の上端部に栓蓋が取付けられている状態においては、排水口を閉状態としたときに、引込力付与部から支持軸に付与される引込力が、係止部及び当該係止部に係止された被係止部を介して栓蓋に加わる。従って、接触対象部に対するリップ部(横向部)の接触圧力をより増大させることができ、止水性を一段と向上させることができる。
【0023】
さらに、上記手段6によれば、支持軸被取付部から支持軸の上端部が外れて被係止部に係止部が係止されていない状態であっても、接触対象部へと横向部を接触させて、栓蓋により排水口を閉状態とすることが可能に構成されている。従って、使用者が支持軸の上端部から栓蓋が外れていることに気付かず槽体を使用したとしても、排水口を閉状態として、槽体に水を溜めることができる。その結果、水が無駄に消費されてしまうことをより確実に防止できるとともに、使用者にとっての使い勝手を向上させることができる。尚、この構成は、例えば、支持軸から栓蓋が外れた状態において、パッキンの位置が接触対象部(特にパッキンとの接触予定位置)の位置と合うように栓蓋を置いたときに(尚、支持軸は下動した状態とされる)、支持軸に栓蓋(支持軸被取付部)がほぼ干渉せずに、横向部の全周が接触対象部と接触可能となるように構成することで実現可能である。
【0024】
尚、上記構成のより確実な実現という点で、上記手段1~5におけるパッキンは有意に機能する。つまり、上記手段1~5におけるパッキンは、リップ部の剛性を十分に維持しつつ、接触対象部に対するリップ部(横向部)の追従性(密着性)を高めることを可能とするため、被係止部に係止部が係止されておらず栓蓋に加わる下向きの力が小さなものとなる場合であっても、接触対象部に対し横向部を十分な柔軟性をもって比較的大きな圧力で接触させることが可能となる。従って、上記手段1~5におけるパッキンは、上記構成の実現に大きく寄与する。
【0025】
また、支持軸被取付部から支持軸の上端部が外れて被係止部に係止部が係止されていない状態において栓蓋により排水口を閉状態としたときに、水流等の影響による当該栓蓋のずれ動きをより確実に防止するという点で、上記手段4のように、接触対象部のうち少なくとも排水口が閉状態であるときに横向部と接触する被接触面を、下方に向けて徐々に内径が減少するテーパ形状とすることが好ましい。被接触面をこのようなテーパ形状とすることで、栓蓋に水圧が加わったときに、パッキンに対しその中心軸側に向けた力が加わることとなり、ひいては栓蓋のずれ動きをより確実に防止することができる。
【0026】
手段7.前記支持軸被取付部から前記支持軸の上端部が外れて前記被係止部に前記係止部が係止されていない状態で前記栓蓋により前記排水口を閉状態としているときにおいては、前記槽体に貯留された水の水圧が前記栓蓋に付与されることで、前記支持軸被取付部に前記支持軸の上端部を取付けて前記支持軸の上端部に前記栓蓋を取付けた状態とすることが可能に構成されていることを特徴とする手段6に記載の排水栓装置。
【0027】
上記手段7によれば、支持軸被取付部から支持軸の上端部が外れた状態で栓蓋により排水口を閉状態としているときには、槽体に貯留された水の水圧によって、支持軸の上端部に栓蓋を取付けた状態とすることが可能に構成されている。これにより、特段の対処を行わずとも、槽体に貯留された水の水圧を利用して、支持軸の上端部に栓蓋が取付けられた元の状態、すなわち、栓蓋に引込力が加わることとなる、止水性の点でより好ましい状態に自然と戻すことができる。従って、支持軸被取付部から支持軸の上端部が外れた状態から正常取付状態に早急に回復して、水が無駄に消費されてしまうことを一層確実に防止でき、使用者にとっての使い勝手を飛躍的に高めることができる。また、引込力付与部を用いることによる、良好な止水性をより確実に得ることが可能となる。尚、この構成は、例えば、係止部や被係止部の形状、係止部の外径や被係止部の内径、係止部及び被係止部の径差、支持軸被取付部の構成(例えば径方向に沿った弾性変形のしやすさ等)、支持軸の配置位置、パッキンの形状や材質(例えば硬度等の特性)などを適宜調節することで実現可能である。
【0028】
尚、上記構成(上記手段7の構成)のより確実な実現という点で、上記手段1~5におけるパッキンは有意に機能する。つまり、上記手段1~5におけるパッキンは、横向部が良好な柔軟性を有するものであるため、栓蓋に水圧が加わったときに当該栓蓋を下方に沈み込みやすくすることができ、ひいては支持軸被取付部に支持軸が取付けられた正常取付状態へとより戻りやすくすることができる。従って、上記手段1~5におけるパッキンは、上記構成の実現に大きく寄与する。
【0029】
手段8.前記横向部は、斜め下向きに膨出する湾曲面を備えており、
前記パッキンの中心軸を含む断面において、前記湾曲面の外形線は一定の半径の円弧をなしており、
前記支持軸被取付部に前記支持軸の上端部が取付けられて前記支持軸の上端部に前記栓蓋が取付けられている状態において前記排水口を閉状態としたとき、及び、前記支持軸被取付部から前記支持軸の上端部が外れて前記被係止部に前記係止部が係止されていない状態において前記排水口を閉状態としたときの双方で、前記槽体に貯留された水の水圧が前記栓蓋に付与されているときであっても付与されていないときであっても、前記接触対象部に対し前記湾曲面が接触するように構成されていることを特徴とする手段6又は7に記載の排水栓装置。
【0030】
上記手段8によれば、支持軸被取付部から支持軸の上端部が外れた状態で排水口を閉状態としたとき、及び、支持軸被取付部に支持軸が取付けられた正常取付状態で排水口を閉状態としたときの双方で、栓蓋に水圧が付与されているときであっても付与されていないときであっても、横向部の湾曲面が接触対象部と接触する。ここで、前記湾曲面の外形線は一定の半径の円弧をなすため、支持軸被取付部に対する支持軸の取付状態や栓蓋に付与される水圧の有無に関わらず、接触対象部に対する横向部の接触状態をほぼ同一のものとすることができる。これにより、想定され得る種々の使用環境下において、接触対象部に対する横向部の安定的な接触をより確実に担保することができ、ひいては一層良好な止水性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】被係止部に係止部が係止され、栓蓋に対し引込力が加わる状態において、排水口を閉状態としたときにおける排水栓装置の断面図である。
図2】支持軸や支持軸被取付部の形状を示すための栓蓋等の拡大断面図である。
図3図1におけるパッキン等の拡大断面図である。
図4】支持軸被取付部から支持軸の上端部が外れて被係止部に係止部が係止されていない状態における排水栓装置の断面図である。
図5】浴槽に貯留された水の水圧が栓蓋に付与されることで、支持軸被取付部に支持軸の上端部が挿通されて支持軸の上端部に栓蓋が取付けられた状態となることを示すための排水栓装置の断面図である。
図6】排水口が閉状態であるときにおいて、栓蓋へと下向きの力が加わったときに、変形規制部が栓蓋と接触した状態となることを示すための排水栓装置の断面図である。
図7】パッキンの一部破断斜視図である。
図8】パッキンの部分拡大断面図である。
図9】パッキンの斜視図である。
図10】パッキンの平面図である。
図11】パッキンの側面図である。
図12】パッキンの底面図である。
図13】別の実施形態におけるパッキンの部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、排水栓装置1は、槽体としての浴槽100に取付けられている。浴槽100は、その底面を構成する底壁部101を備えており、当該底壁部101には、排水口102が貫通形成されている。尚、図1では、浴槽100に水が溜まっていない状態を示す。
【0033】
排水栓装置1は、排水口部材2、配管3、アタッチメント部材4、支持軸機構5及び栓蓋6を備えている。
【0034】
排水口部材2は、円筒状に形成されており、自身の中心軸と排水口102の中心軸とがほぼ一致した状態で排水口102に挿設されている。本実施形態では、排水口部材2が「接触対象部」を構成する。排水口部材2は、その上端部において径方向外側に突出形成された鍔部21と、当該鍔部21よりも下方の外周に形成された雄ねじ部22とを備えている。
【0035】
加えて、排水口部材2は、鍔部21の上面によって構成されてなる、円環状の変形規制部23を備えている。変形規制部23は、排水口102を閉状態としたときにおいて、水圧等によって栓蓋6に対し下向きの力が加わり当該栓蓋6が下動したときに、当該栓蓋6(特に後述する栓蓋本体部61)と接触可能な部位である(図6参照)。変形規制部23は、栓蓋6(栓蓋本体部61)と接触してこれを支持することで、当該栓蓋6のそれ以上の下動を規制し、その結果、後述するパッキン62の過度の変形を防止する機能を有している。本実施形態では、変形規制部23が「変形規制手段」に相当する。
【0036】
さらに、排水口部材2は、少なくとも排水口102が閉状態であるときに、後述する横向部6222と接触する被接触面24を備えている。被接触面24は、下方に向けて徐々に内径が減少するテーパ形状をなしている。そして、水平面S(つまり、排水口部材2の中心軸と直交する仮想面)に対する被接触面24の傾斜角度βは、20°以上60°以下とされている(図3参照)。尚、排水口102を閉状態としたときにおいて、それぞれ後述する蓋部611及びパッキン被取付部614に対する、後述する基部621の接触圧力をバランスよく増大させるという点では、傾斜角度βを45±10°とすることが好ましい。
【0037】
配管3は、円筒状をなしており、排水口部材2とともに排水口102を通過する排水の流路を構成する。配管3は、その一端部(上端部)内周に前記雄ねじ部22を螺合可能な雌ねじ部31を備えている。そして、排水口102に排水口部材2を挿通しつつ雄ねじ部22を雌ねじ部31に螺合し、鍔部21及び配管3の上端面により底壁部101を挟み込むことで、排水口部材2及び配管3が接続されるとともに、両者が浴槽100に取付けられた状態となっている。
【0038】
尚、本実施形態において、鍔部21の下面及び底壁部101の上面の間、並びに、配管3の上端面及び底壁部101の下面の間には、それぞれ弾性変形可能な材料(例えば、樹脂やゴム等)により形成された環状のシール部材7,8が配置されている。当該シール部材7,8によって、排水口部材2及び配管3と浴槽100との間からの漏水防止が図られている。
【0039】
アタッチメント部材4は、排水の流路において支持軸機構5を保持するためのものである。アタッチメント部材4は、外環部41、連結部42及び保持部43を備えている。
【0040】
外環部41は、円環状をなしており、排水口部材2や配管3に対するアタッチメント部材4の取付部として機能する。本実施形態において、外環部41は、排水口部材2の内周に設けられた段部に載置されること等により、排水口部材2に取付けられている。尚、外環部41(アタッチメント部材4)を、配管3の内側部分に取付けてもよいし、排水口部材2から配管3にかけた両者の内側部分に取付けてもよい。
【0041】
連結部42は、外環部41の内周面と保持部43の外周面とを連結する部位であって、保持部43の周方向に沿って間隔をあけた状態で複数(本実施形態では、等間隔に4つ)設けられている。排水は、各連結部42間の隙間を通って下流へと流れることとなる。尚、連結部42の数や形状については適宜変更してもよい。
【0042】
保持部43は、全体として円筒状をなしており、自身の内周において支持軸機構5を保持している。
【0043】
支持軸機構5は、栓蓋6を上下動させるためのものであり、ケース部51及び支持軸52を備えている。ケース部51は、円筒状をなしており、上下動不能な状態で保持部43により保持されている。支持軸52は、円柱状をなしており、往復移動(上下動)可能な状態でケース部51の内周に配置されている。
【0044】
加えて、支持軸52は、図示しない操作部(例えば押しボタン等)の変位による駆動力を伝達するための伝達部材9(例えば、金属製のワイヤ)の端部が接触可能に構成されている。伝達部材9は、筒状のチューブ部材10の内周において往復移動可能な状態で配置されている。尚、前記操作部を備えてなる操作装置(図示せず)には、伝達部材9を往動(前記操作部側から支持軸機構5側に移動)した状態でロックすることにより、支持軸52を往動(上動)した状態でロックするための図示しないロック機構(例えば、スラストロック機構)が設けられている。
【0045】
また、図2に示すように、支持軸52の上端部外周には、外側に向けて突出する係止部521が設けられている。係止部521は、支持軸52の周方向に沿って連続的に延びる円環状をなしている。係止部521は、後述する被係止部6121に係止されることで、後述する支持軸被取付部612から支持軸52が抜けて支持軸52から栓蓋6が外れることを防止する等の役割を有している。
【0046】
さらに、係止部521は、上方に向かって徐々に縮径する軸側第一斜面部521aと、下方に向かって徐々に縮径する軸側第二斜面部521bとを備えている。軸側第一斜面部521aは、後述する支持軸被取付部612に対し、支持軸52の上端部を容易に挿通可能とするために設けられている。一方、軸側第二斜面部521bは、例えば栓蓋6の清掃を行うとき等において、支持軸被取付部612からの支持軸52の取外しを比較的容易にするために設けられている。本実施形態では、支持軸被取付部612に対する支持軸52の挿通容易性を高めつつ、支持軸被取付部612から支持軸52が意図せず抜けることをより確実に防止すべく、支持軸52の中心軸CLを含む断面において、軸側第一斜面部521aの傾斜角度α1が、軸側第二斜面部521bの傾斜角度α2よりも小さなものとされている。
【0047】
図1に戻り、支持軸52の内部には、アブソーバスプリング53が配設されている。当該アブソーバスプリング53によって、排水口102が開状態(支持軸52が上動した状態)であるときに栓蓋6を踏み付けた場合など、栓蓋6へと下向きの大きな力が加わった場合に、伝達部材9やアタッチメント部材4等に過大な負荷が加わらないように構成されている。尚、図1等では、アブソーバスプリング53及び次述する戻りばね54について、これらの断面のみをそれぞれ模式的に示している。
【0048】
また、ケース部51と支持軸52との間には、支持軸52に対しその復動(下動)方向に向けた引込力を付与する戻りばね54が設けられている。本実施形態では、戻りばね54が「引込力付与部」に相当する。
【0049】
栓蓋6は、排水口102を開閉するための栓である。栓蓋6は、樹脂等からなる栓蓋本体部61と、弾性変形可能な材料(例えばゴムや樹脂等)により形成されるとともに、栓蓋本体部61に取付けられた環状のパッキン62とを有している。
【0050】
栓蓋本体部61は、上面が上方に向けて膨出する円板状の蓋部611と、それぞれ当該蓋部611の下面(裏面)から下方に突出する円筒状の支持軸被取付部612、ガイド部613及びパッキン被取付部614とを備えている。
【0051】
支持軸被取付部612は、円筒状をなしており、ガイド部613の内側において当該ガイド部613と同心円状に設けられている。支持軸被取付部612は、支持軸52に対する栓蓋6の被取付部として機能する部位であり、当該支持軸被取付部612に支持軸52の上端部が挿通されて支持軸被取付部612へと支持軸52が取付けられることで、支持軸52に対し栓蓋6が取付けられている。そのため、栓蓋6は、支持軸52の往動(上動)に伴い上動し、支持軸52の復動(下動)に伴い下動する。
【0052】
また、本実施形態において、支持軸被取付部612は、上下方向に延びるとともに下端にて開口する複数(本実施形態では6本)のスリットを備えている。そして、支持軸被取付部612は、当該スリットを利用して弾性変形することで、少なくとも後述する被係止部6121の形成箇所における内径を増大可能に構成されている。支持軸52に対する栓蓋6の取付(支持軸被取付部612に対する支持軸52の挿通)は、支持軸被取付部612を弾性変形させて当該支持軸被取付部612の内径を増大させつつ行われる。尚、本実施形態における支持軸被取付部612は、前記スリットによって相互に離間した複数(本実施形態では6つ)の湾曲板状部分が円筒状に配設されてなるものである。
【0053】
さらに、支持軸被取付部612における下端側内周には、内側に向けて突出する被係止部6121が設けられている(図2参照)。本実施形態において、被係止部6121は、複数の前記湾曲板状部分に対し、支持軸被取付部612の周方向に沿って1つおきに形成されている。すなわち、本実施形態では、3つの前記湾曲板状部分に被係止部6121が設けられている。一方、その他の前記湾曲板状部分は、被係止部6121を備えていないが、被係止部6121の設けられた前記湾曲板状部分よりも厚肉とされている。これにより、被係止部6121の設けられた前記湾曲板状部分を比較的容易に弾性変形可能としつつ、被係止部6121の設けられていない厚肉の前記湾曲板状部分によって、支持軸被取付部612に対する支持軸52の取付状態が安定するようになっている。
【0054】
また、被係止部6121は、上方に向かって徐々に縮径する筒側第一斜面部6121aと、下方に向かって徐々に縮径する筒側第二斜面部6121bとを備えている。筒側第一斜面部6121aは、軸側第一斜面部521aと同様に、支持軸被取付部612に対し、支持軸52の上端部を容易に挿通可能とするために設けられている。一方、筒側第二斜面部6121bは、軸側第二斜面部521bと同様に、例えば栓蓋6の清掃を行うとき等において、支持軸被取付部612からの支持軸52の取外しを比較的容易にするために設けられている。
【0055】
尚、本実施形態において、支持軸52に対する栓蓋6の取付(支持軸被取付部612に対する支持軸52の挿通)は、次のようにして行うことができる。すなわち、保持部43の外周にガイド部613を配置することで、支持軸被取付部612及び支持軸52を同軸状に設置するとともに、筒側第一斜面部6121aに対し軸側第一斜面部521aを接触させた状態とする。その上で、支持軸被取付部612の奥に支持軸52が入り込むように栓蓋6等に力を加えることにより、軸側第一斜面部521aが筒側第一斜面部6121aを摺動するとともに、係止部521が被係止部6121を径方向外側に押圧していくことで、支持軸被取付部612がその内径を増大させるようにして弾性変形していく。そして、支持軸被取付部612における被係止部6121の形成箇所の内径が係止部521の外径よりも大きなものになると、係止部521が被係止部6121を通過する(越える)とともに、支持軸被取付部612の弾性変形が解除される。その結果、支持軸被取付部612に対し支持軸52が挿通されて、被係止部6121に対し係止部521が係止可能な状態となることで、支持軸52に対し栓蓋6が正常に取付られた状態(正常取付状態)となる。
【0056】
一方、本実施形態においては、清掃等の必要に応じて、支持軸52からの栓蓋6の取外し(支持軸被取付部612からの支持軸52の引抜き)を行うことができる。支持軸52からの栓蓋6の取外しは、次のようにして行うことができる。すなわち、支持軸被取付部612から支持軸52を引き抜く方向の力を栓蓋6等に加えることにより、軸側第二斜面部521bが筒側第二斜面部6121bを摺動しつつ、支持軸被取付部612がその内径を増大させるようにして弾性変形していく。そして最終的に、被係止部6121を係止部521が通過する(越える)ことで、支持軸52から栓蓋6を取外すことができる。
【0057】
図1に戻り、ガイド部613は、保持部43の外周に配置されており、支持軸52の往復移動(上下動)に伴い保持部43の外周に沿って移動する。ガイド部613は、栓蓋6の傾きや水平方向に沿った位置ずれの発生をより確実に防止した状態で、栓蓋6の往復移動をガイドする役割を担う。
【0058】
パッキン被取付部614は、蓋部611の裏側から突出する円筒状をなしており、ガイド部613の外側において当該ガイド部613と同心円状に設けられている。パッキン被取付部614は、パッキン62の取付けられる部位である。パッキン被取付部614は、図3に示すように、その端部(下端部)に、外側に向けて突出する鍔状の抜止突部614aを備えている。尚、図3は、図1におけるパッキン62等の拡大断面図であり、戻りばね54からの引込力により変位した状態のパッキン62を示している。
【0059】
また、パッキン被取付部614及び蓋部611(特に抜止突部614aと相対向する面)により、パッキン被取付部614の周方向に沿って延びる環状のパッキン被取付溝部615が形成されている。このパッキン被取付溝部615にパッキン62が嵌合されることによって、パッキン被取付部614にパッキン62が取付けられた状態となっている。
【0060】
さらに、パッキン被取付部614のうちパッキン被取付溝部615の底に対応する部位の外径は、弾性変形していない状態のパッキン62(特に後述する基部621)の内径よりも僅かに大きなものとされている。これにより、パッキン62の内周面全周とパッキン被取付部614の外周面全周とが水密に圧接された状態となっている。
【0061】
パッキン62は、図7~12に示すように、比較的厚肉とされた環状の基部621と、当該基部621の外周部から外側に突出する鍔状のリップ部622とを備えている。尚、図7~12では、特段の力が加わってない状態のパッキン62を示しているが、図1,3,5,6では、水圧や戻りばね54による力が加わって変位(変形)した状態のパッキン62を示している。
【0062】
基部621は、パッキン被取付部614の外周に配置されており、パッキン被取付部614に対する取付部を構成する部位である。基部621は、自身の上面が蓋部611の下面と接触しつつ、自身の内周面がパッキン被取付部614の外周面と接触した状態で設けられている。
【0063】
リップ部622は、基部621の外周部から外側に向けて延びるとともに、基部621よりも薄肉とされた鍔状部位である。リップ部622は、自身の上面と蓋部611の下面との間に、隙間63を形成している(図3等参照)。隙間63は、リップ部622の上方に向けた変位用の空間として機能する。本実施形態において、隙間63の大きさ(蓋部611の下面とリップ部622の上面との間の最大距離)は例えば1.5mm以上とされている。尚、リップ部622は、基部621よりも薄肉とされることで、隙間63側への変位が生じやすくなっている。
【0064】
また、リップ部622は、傾斜部6221及び横向部6222を備えている。傾斜部6221は、基部621の外周部から外側に向けて斜め下方に延びる部位である。本実施形態における傾斜部6221の厚さは、外側に向けて一定又は徐々に小さなものとなるように構成されている。すなわち、本実施形態における傾斜部6221は、外側に向けて厚さが増大する部位を備えないものである。また、傾斜部6221は、基部621の下端面よりも下方の位置まで延びる程度の長さとされている。
【0065】
加えて、傾斜部6221及び基部621によって下方に開口する環状の溝部623が形成されている。さらに、リップ部622の上面における基部621と傾斜部6221との境界部624は、上下方向(パッキン62の中心軸CL2の延びる方向)に沿って溝部623と重なる位置に設けられている。
【0066】
横向部6222は、傾斜部6221の外周部から外側に向けてほぼ水平方向に延びる部位である。換言すれば、横向部6222は、傾斜部6221の外周部から外側に向けて前記中心軸CL2とほぼ直交する方向に突出する部位である。横向部6222は、外側に向けて徐々に薄くなる形状をなしており、傾斜部6221よりも水平に近い状態で寝た形状をなしている。尚、「ほぼ水平方向」とあるのは、前記中心軸CL2を含む断面において、横向部6222の基端(傾斜部6221に連なる部位)における厚さ方向中心P1から横向部6222の最外周部P2に引いた仮想線L1と、水平面S2(すなわち中心軸CL2と直交する平面)とのなす角θが0°に近いことを意味し、範囲としてはθが20°以下となることを意味する(図8参照)。排水口102を閉状態とするときには、横向部6222の外周部又は当該外周部の近傍部分(本実施形態では当該外周部の近傍部分)が、排水口部材2(被接触面24)と接触する。
【0067】
また、本実施形態において、横向部6222の上面のうち少なくとも傾斜部6221の上面に連なる面は、水平方向(前記中心軸CL2と直交する方向)に延びる平坦面状とされている。さらに、リップ部622の上面であって傾斜部6221から横向部6222にかけた面は凹角状をなしている。すなわち、傾斜部6221の上面及び横向部6222の上面によって凹み状の角が形成された状態となっている。
【0068】
加えて、横向部6222は、斜め下向きに膨出する湾曲面6222a(図7にて太線で示す外形線の部位)を備えている。湾曲面6222aの外形線は、パッキン62の中心軸CL2を含む断面において、一定の半径rの円弧をなしている。
【0069】
上述した排水栓装置1においては、次のようにして排水口102の開閉状態を切換えることができる。すなわち、横向部6222が排水口部材2(被接触面24)と接触している場合(つまり排水口102が閉状態である場合)、前記操作部を操作(例えば、押圧)することで伝達部材9が往動し、伝達部材9によって支持軸52が戻りばね54からの力に抗して押し上げられる。そして、支持軸52が十分に上動した状態で前記操作部への操作が解除されると、支持軸52が若干だけ下降しつつ、前記ロック機構によって伝達部材9が往動した状態でロックされる。その結果、支持軸52は上動した状態でロックされ、横向部6222が排水口部材2(被接触面24)から離間した状態となることで、排水口102が閉状態から開状態へと切換えられる。
【0070】
一方、排水口102が開状態であるときに前記操作部を再度操作すると、伝達部材9が再び往動し、前記ロック機構による伝達部材9のロックが解除される。そして、前記操作部に対する操作(例えば押圧)が解除されると、戻りばね54からの付勢力によって支持軸52は下動する。その結果、横向部6222におけるその周方向全域が排水口部材2(被接触面24)と接触することで、排水口102が開状態から閉状態(図1参照)に切換えられる。
【0071】
また、本実施形態では、支持軸被取付部612に支持軸52の上端部が挿通されて当該支持軸52の上端部に栓蓋6が取付けられている状態(つまり正常取付状態)においては、排水口102を閉状態としたときに、支持軸52の下部がその下方の部品から浮いた状態となって、戻りばね54から支持軸52に付与される引込力が、係止部521及び当該係止部521に係止された被係止部6121を介して栓蓋6に加わることとなる。これにより、排水口部材2(被接触面24)に対し横向部6222が比較的大きな圧力で接触することとなる。
【0072】
加えて、本実施形態では、図4(尚、図4では、浴槽100に水が溜まっていない状態を示す)に示すように、支持軸被取付部612から支持軸52の上端部が外れて被係止部6121に係止部521が係止されていない状態においても、排水口部材2(被接触面24)へと横向部6222を接触させて、栓蓋6により排水口102を閉状態とすることが可能に構成されている。より具体的には、支持軸被取付部612から支持軸52の上端部が外れて被係止部6121に係止部521が係止されていない状態(尚、支持軸52は下動した状態とされる)において、リップ部622(横向部6222)の位置が排水口部材2における被接触面24の位置と合うように栓蓋6を配置した場合、横向部6222の全周が排水口部材2に接触可能に構成されている。
【0073】
この構成は、例えば、パッキン62及び排水口部材2(特に被接触面24)の位置関係や、被係止部6121及び係止部521の位置関係などを調節することによって、リップ部622(横向部6222)の位置が排水口部材2における被接触面24の位置と合うように栓蓋6を配置したときに、支持軸52(係止部521)に栓蓋6(被係止部6121)がほぼ干渉することなく、横向部6222の全周が排水口部材2と接触するように設定することで実現可能である。ここで、「ほぼ干渉しない」とは、支持軸52(係止部521)に栓蓋6(被係止部6121)が接触していない状態のみならず、支持軸(係止部521)に対し栓蓋6(被係止部6121)が僅かに接触している状態も含む。
【0074】
また、ここでいう「排水口102を閉状態とすることが可能」とは、浴槽100に対する貯水開始時の段階から、排水口102からの水の漏れ出しを全く生じさせることなく排水口102を閉状態とすることができる場合のみならず、浴槽100に対する貯水開始時からある程度の水が浴槽100に溜まるまでの間には排水口102から水の漏れ出しが僅かに(例えば10分間で数グラム程度)生じ得るものの、浴槽100への貯水が進んで栓蓋6に加わる水圧が十分に増大し、排水口部材2(被接触面24)に対する横向部6222の接触圧力が増大したときには、排水口102からの水の漏れ出しがなくなって排水口102が閉状態となる場合も含む。
【0075】
さらに、本実施形態では、ガイド部613等によって、特段の位置合わせをせずとも、支持軸52を単に復動(下動)させることで、自ずとリップ部622(横向部6222)の位置が排水口部材2における被接触面24の位置と合うように栓蓋6を配置することができるようになっている。従って、支持軸被取付部612から支持軸52の上端部が外れて被係止部6121に係止部521が係止されていない状態になっていたとしても、使用者は、その事実を知っていようとなかろうと、支持軸52に栓蓋6が正常に取付けられている状態(正常取付状態)と同様に、単に支持軸52を復動(下動)させるための操作を行うことで、特段の対応を行うことなく、排水口102を閉状態とすることが可能になっている。
【0076】
加えて、本実施形態では、支持軸被取付部612から支持軸52の上端部が外れて被係止部6121に係止部521が係止されていない状態で栓蓋6により排水口102を閉状態としているときにおいては、図5(尚、図5は浴槽100に水が溜まっている状態を示しており、水圧を白抜き矢印で示している)に示すように、浴槽100に貯留された水の水圧が栓蓋6に付与されることで、支持軸被取付部612に支持軸52の上端部を取付けて(挿通させて)、支持軸52の上端部に栓蓋6が正常に取付けられた状態(正常取付状態)とすることが可能に構成されている。より具体的には、支持軸被取付部612から支持軸52の上端部が外れて被係止部6121に係止部521が係止されていない状態(尚、支持軸52は下動した状態とされる)において、浴槽100に貯留された水の水圧が栓蓋6に付与されることで、パッキン62(リップ部622)が変位して栓蓋6が沈み込みつつ、支持軸被取付部612に支持軸52の上端部が挿通され、その結果、被係止部6121に対し係止部521が係止可能となる、支持軸52の上端部に栓蓋6が正常に取付けられた状態(正常取付状態)とすることが可能に構成されている。
【0077】
この構成は、例えば、支持軸被取付部612におけるその径方向に沿った弾性変形の生じやすさ、係止部521や被係止部6121の形状(例えば軸側第一斜面部521aの傾斜角度α1など)、係止部521の外径や被係止部6121の内径、係止部521及び被係止部6121の径差(すなわち、被係止部6121に対する係止部521の掛かり代)、パッキン62(リップ部622)における弾性変位の生じやすさ、並びに、最大限復動(下動)させた状態における支持軸52の配置位置等を調節することで実現可能である。
【0078】
また、本実施形態では、支持軸被取付部612に支持軸52の上端部が取付けられて(挿通されて)当該支持軸52の上端部に栓蓋6が取付けられている状態(つまり、正常取付状態)において排水口102を閉状態としたとき(すなわち図1に示す状態のとき)、及び、支持軸被取付部612から支持軸52の上端部が外れて被係止部6121に係止部521が係止されていない状態において排水口102を閉状態としたとき(すなわち図4に示す状態のとき)の双方で、浴槽100に貯留された水の水圧が栓蓋6に付与されているときであっても付与されていないときであっても、排水口部材2の被接触面24に対し前記湾曲面6222aが接触するように構成されている。すなわち、排水口102を閉状態としたときには、常に前記湾曲面6222aが排水口部材2(被接触面24)と接触するように構成されている。
【0079】
以上詳述したように、本実施形態によれば、リップ部622は、基部621の外周部から斜め下方に延びる傾斜部6221と、当該傾斜部6221の外周部から外側に延び、排水口102を閉状態とするときに排水口部材2と接触する横向部6222とを備えており、基部621及び傾斜部6221によって下方に開口する溝部623が形成されている。傾斜部6221を設けることで、排水口102を閉状態としたときに〔つまり、リップ部622(横向部6222)が排水口部材2と接触したときに〕、排水口部材2から加わる力に対するリップ部622の剛性を十分に高めることができ、排水口部材2に対するリップ部622(横向部6222)の接触圧力をより確実に増大させることができる。また、横向部6222を設けることで、排水口部材2における波打ちや微小な凹凸に対し、リップ部622(横向部6222)をより柔軟に対応させることができ、排水口部材2に対するリップ部622の追従性(密着性)を高めることができる。さらに、溝部623を設けることで、基部621に対しリップ部622(傾斜部6221)をある程度変位可能とすることができ、横向部6222を設けることによる上記作用効果をより高めることができる。そして、これら作用効果が相乗的に機能することによって、優れた止水性を得ることができる。
【0080】
また、本実施形態では、横向部6222は外側に向けて徐々に薄くなる形状をなしており、排水口102を閉状態とするときには、横向部6222の外周部又は当該外周部の近傍部分が排水口部材2と接触する。従って、排水口部材2における波打ちや微小な凹凸に対し、リップ部622(横向部6222)を一層柔軟に対応させることができ、排水口部材2に対するリップ部622の追従性(密着性)を一段と高めることができる。これにより、止水性の更なる向上を図ることができる。
【0081】
さらに、境界部624は、上下方向に沿って溝部623と重なる位置に設けられている。そのため、基部621に対し傾斜部6221が著しく容易に変位可能となることをより確実に防止できる。その結果、傾斜部6221を設けることによる効果(リップ部622の剛性を十分に高めること)をより確実に発揮させることができる。
【0082】
加えて、排水口部材2のうち横向部6222と接触する部位(被接触面24)は、下方に向けて徐々に内径が減少するテーパ形状とされている。従って、排水口102を閉状態としたときに、排水口部材2(被接触面24)に対し傾斜部6221が突っ張ったような状態となり、排水口部材2と接触したときにおけるリップ部622(特に傾斜部6221)の形状をより安定的なものとすることができる。その結果、排水口部材2に対する横向部6222の追従性(密着性)向上効果をより確実に得ることができる。また、排水口102を閉状態としたときに、被接触面24からリップ部622に対し、上方に向けた力と内側(中心軸CL2側)に向けた力との双方が加わることになるため、蓋部611の下面に対する基部621の上面の接触圧力と、パッキン被取付部614の外周面に対する基部621の内周面の接触圧力との双方を増大させることができる。これにより、栓蓋本体部61に対しパッキン62(基部621)における異なる二面をより確実に密着させることができ、栓蓋本体部61及びパッキン62間を通った水の漏れ出しをより確実に防止することができる。その結果、止水性をより一層向上させることができる。
【0083】
また、変形規制部23が栓蓋6と接触することで、排水口102を閉状態としたときにパッキン62が過度に変形してしまうことをより確実に防止できる。従って、パッキン62の過度の変形に伴い、パッキン62に破損や形状異常が生じてしまったり、栓蓋6のスムーズな上下動が阻害されてしまったりするといった事態を効果的に防止することができる。
【0084】
さらに、本実施形態によれば、支持軸被取付部612に支持軸52の上端部が挿通されて支持軸52の上端部に栓蓋6が取付けられている状態(正常取付状態)においては、排水口102を閉状態としたときに、戻りばね54から支持軸52に付与される引込力が、係止部521及び被係止部6121を介して栓蓋6に加わる。従って、排水口部材2に対するリップ部622(横向部6222)の接触圧力をより増大させることができ、止水性を一段と向上させることができる。
【0085】
また、本実施形態では、支持軸被取付部612から支持軸52の上端部が外れて被係止部6121に係止部521が係止されていない状態であっても、排水口部材2へと横向部6222を接触させて、栓蓋6により排水口102を閉状態とすることができる。従って、使用者が支持軸52の上端部から栓蓋6が外れていることに気付かず浴槽100を使用したとしても、排水口102を閉状態として、浴槽100に水を溜めることができる。その結果、水が無駄に消費されてしまうことをより確実に防止できるとともに、使用者にとっての使い勝手を向上させることができる。
【0086】
尚、支持軸被取付部612から支持軸52の上端部が外れている状態であっても栓蓋6により排水口102を閉鎖可能という構成をより確実に実現するという点で、パッキン62は有意に機能する。つまり、パッキン62は、リップ部622の剛性を十分に維持しつつ、排水口部材2に対するリップ部622(横向部6222)の追従性(密着性)を高めることを可能とするため、被係止部6121に係止部521が係止されておらず栓蓋6に加わる下向きの力が小さなものとなる場合であっても、排水口部材2に対し横向部6222を十分な柔軟性をもって比較的大きな圧力で接触させることが可能となる。従って、パッキン62は、上記構成の実現に大きく寄与する。
【0087】
さらに、被接触面24が下方に向けて徐々に内径が減少するテーパ形状をなすため、栓蓋6に水圧が加わったときに、パッキン62に対しその中心軸CL2側に向けた力が加わることとなり、ひいては栓蓋6のずれ動きをより確実に防止することができる。これにより、支持軸被取付部612から支持軸52の上端部が外れて被係止部6121に係止部521が係止されていない状態において栓蓋6により排水口102を閉状態としたときに、水流等の影響による栓蓋6のずれ動きをより確実に防止することができる。
【0088】
加えて、本実施形態では、支持軸被取付部612から支持軸52の上端部が外れた状態で栓蓋6により排水口102を閉状態としているときには、浴槽100に貯留された水の水圧によって、支持軸52の上端部に栓蓋6を取付けた状態とすることができる。これにより、特段の対処を行わずとも、浴槽100に貯留された水の水圧を利用して、支持軸52の上端部に栓蓋6が取付けられた元の状態、すなわち、栓蓋6に引込力が加わることとなる、止水性の点でより好ましい状態に自然と戻すことができる。従って、支持軸被取付部612から支持軸52の上端部が外れた状態から正常取付状態に早急に回復して、水が無駄に消費されてしまうことを一層確実に防止でき、使用者にとっての使い勝手を飛躍的に高めることができる。また、戻りばね54を用いることによる、良好な止水性をより確実に得ることが可能となる。
【0089】
尚、浴槽100に貯留された水の水圧によって支持軸52の上端部に栓蓋6を取付可能という構成をより確実に実現するという点で、パッキン62は有意に機能する。つまり、パッキン62は、横向部6222が良好な柔軟性を有するものであるため、栓蓋6に水圧が加わったときに栓蓋6を下方に沈み込みやすくすることができ、ひいては支持軸被取付部612に支持軸52が挿通された正常取付状態へとより戻りやすくすることができる。従って、パッキン62は、上記構成の実現に大きく寄与する。
【0090】
また、本実施形態では、支持軸被取付部612から支持軸52の上端部が外れた状態で排水口102を閉状態としたとき、及び、支持軸被取付部612に支持軸52が取付けられた正常取付状態で排水口102を閉状態としたときの双方で、栓蓋6に水圧が付与されているときであっても付与されていないときであっても、横向部6222の湾曲面6222aが排水口部材2と接触する。湾曲面6222aの外形線は一定の半径rの円弧をなすため、支持軸被取付部612に対する支持軸52の取付状態や栓蓋6に付与される水圧の有無に関わらず、排水口部材2(被接触面24)に対する横向部6222の接触状態をほぼ同一のものとすることができる。これにより、想定され得る種々の使用環境下において、排水口部材2に対する横向部6222の安定的な接触をより確実に担保することができ、ひいては一層良好な止水性を得ることができる。
【0091】
また、本実施形態では、傾斜部6221の上面及び横向部6222の上面によって凹み状の角が形成された状態となっているため、傾斜部6221に対する横向部6222の変位をより生じやすくすることができる。これにより、排水口部材2に対するリップ部622(横向部6222)の追従性(密着性)を一層高めることができる。
【0092】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0093】
(a)上記実施形態において、傾斜部6221は、特段の力が付与されていない状態において、基部621の下端面よりも下方の位置まで延びる形状とされているが、傾斜部6221を比較的短くすることで、傾斜部6221が基部621の下端面よりも下方に位置しないように構成してもよい。また、傾斜部6221は、外側に向けて一定の厚さを有するものであってもよい。さらに、図13に示すように、傾斜部6221は外側に向けて厚さが増大する部位を有するものであってもよい。
【0094】
加えて、横向部6222は、湾曲面6222aを有しているが、湾曲面6222aに代えて、傾斜面(すなわち、中心軸CL2を含む断面において外形線が直線状をなす面)を備えたものであってもよい。
【0095】
(b)上記実施形態において、支持軸被取付部612は円筒状をなしているが、例えば、支持軸被取付部612を、内周に被係止部6121(突起)を有してなる相対向する2枚の板状部分によって構成してもよい。この場合、これら板状部分の間に支持軸52を配置することによって、被係止部6121に対し係止部521が係止した状態で、支持軸被取付部612へと支持軸52を取付けることができる。
【0096】
また、上記実施形態では、円筒状の支持軸被取付部612に対し、支持軸52の上端部が挿通されることで、支持軸被取付部612に支持軸52が取付けられるように構成されている。これに対し、支持軸被取付部を棒状(突起状)部分とするとともに、支持軸52の上端部を筒状とし、支持軸52の上端部内周に支持軸被取付部が挿通されることで、当該支持軸被取付部に対し支持軸52が取付けられるように構成してもよい。この場合、支持軸52の内周に係止部を設け、支持軸被取付部の外周に被係止部を設けることとしてもよい。尚、支持軸被取付部に対する支持軸の取付手法については、必ずしも上述した手法に限定されず、適宜変更してもよい。
【0097】
(c)上記実施形態において、変形規制部23は、排水口部材2によって構成されているが、変形規制部は、排水口102を閉状態としたときに栓蓋6と接触可能に構成された、パッキン62の過度の変位(変形)を防止可能なものであればよい。従って、変形規制部を、浴槽100やアタッチメント部材4などにおける一部分によって構成してもよい。
【0098】
(d)上記実施形態では、排水口部材2によって接触対象部が構成されているが、排水口部材2以外の部位によって接触対象部を構成してもよい。従って、例えば、浴槽100(底壁部101)によって接触対象部を構成してもよい。
【0099】
(e)上記実施形態では、槽体として浴槽100を例示しているが、本発明の技術思想を適用可能な槽体は浴槽に限定されるものではない。従って、例えば、洗面ボウルやキッチンの流し台などの浴槽以外の槽体に対し本発明の技術思想を適用してもよい。
【符号の説明】
【0100】
1…排水栓装置、2…排水口部材(接触対象部)、6…栓蓋、23…変形規制部(変形規制手段)、24…被接触面、52…支持軸、54…戻りばね(引込力付与部)、61…栓蓋本体部、62…パッキン、100…浴槽(槽体)、102…排水口、521…係止部、611…蓋部、612…支持軸被取付部、614…パッキン被取付部、621…基部、622…リップ部、623…溝部、624…境界部、6121…被係止部、6221…傾斜部、6222…横向部、6222a…湾曲面。
図1
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図13