(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】アスコルビン酸又はその塩を含有する外用組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/67 20060101AFI20231106BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20231106BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20231106BHJP
A61K 31/375 20060101ALI20231106BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20231106BHJP
A61P 17/18 20060101ALI20231106BHJP
A21D 2/22 20060101ALI20231106BHJP
A23L 3/3544 20060101ALI20231106BHJP
C07D 307/62 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
A61K8/67
A61K8/39
A61Q19/00
A61K31/375
A61K47/22
A61P17/18
A21D2/22
A23L3/3544 501
C07D307/62
(21)【出願番号】P 2019118321
(22)【出願日】2019-06-26
【審査請求日】2022-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000115991
【氏名又は名称】ロート製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北岡 侑
(72)【発明者】
【氏名】チン ブンチュン
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/003850(WO,A1)
【文献】特表2004-507561(JP,A)
【文献】特開2012-162468(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0136078(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0155633(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0263399(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
A23K 10/00- 40/35
A23K 50/15
A23L 5/40- 5/49
A23L 31/00- 33/29
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00- 47/69
A61K 31/00- 31/327
A61K 31/33- 33/44
A61P 1/00- 43/00
C11D 1/00- 19/00
C07D 307/00-307/94
A21D 2/00- 17/00
A23L 3/00- 3/3598
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種;
(B)3‐O‐エチルアスコルビン酸、及び3‐O‐エチルアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種;
(C)ジエチレングリコールモノエチルエーテル;並びに
(D)香料
を含有し、ポリエチレングリコールの含有量が
0.1質量%
以下である外用組成物。
【請求項2】
前記(C)ジエチレングリコールモノエチルエーテルの含有量が20質量%以上である、請求項1に記載の外用組成物。
【請求項3】
前記(D)香料が、果実系香料である、請求項1又は2に記載の外用組成物。
【請求項4】
さらに、多価アルコールを含有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の外用組成物。
【請求項5】
前記アスコルビン酸又はその塩の濃度が、3質量%~40質量%である、請求項1~4のいずれか1項に記載の外用組成物。
【請求項6】
前記外用組成物が、波長700nmの透過率が80~100%である、可溶化系外用組成物である、請求項1~5のいずれか1項に記載の外用組成物。
【請求項7】
(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)3‐O‐エチルアスコルビン酸、及び3‐O‐エチルアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種、(C)ジエチレングリコールモノエチルエーテル、並びに(D)香料を含有し、ポリエチレングリコールの含有量を
0.1質量%
以下とすることによって、外用組成物の濁りを抑制する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アスコルビン酸又はその塩を含有する外用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アスコルビン酸は、抗炎症効果、ニキビ改善効果、美白効果、老化防止効果、抗酸化効果、コラーゲン等の生体成分の合成促進による細胞賦活効果、表皮角化細胞の紫外線による細胞障害やDNA損傷を抑制する効果といった各種の効果を発揮することが知られており、これらの効果を期待して皮膚外用剤として広く用いられている。
【0003】
アスコルビン酸は水溶液中など水の存在下で容易に酸化し、製剤中の水の量を減らすことが求められるが、少量の水ではアスコルビン酸を十分可溶化できない。
【0004】
このため、アスコルビン酸を水性の皮膚外用剤において安定に可溶化するためのいくつかの方法が検討されている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO02/19972号公報
【文献】WO00/78283号公報
【文献】特開2002-348228号公報
【文献】特開2005-225865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、優れた性質を有するアスコルビン酸含有外用組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
アスコルビン酸及び/又はその塩を含有する外用組成物であって、様々な濃度のアスコルビン酸及び/又はその塩の配合が可能となる外用組成物を提供する。
【0008】
本発明者らの検討によると、アスコルビン酸及び/又はその塩に、3‐O‐エチルアスコルビン酸又はその塩、及びポリエチレングリコールを配合することで、低温で保管した場合にもアスコルビン酸の析出を抑制することができる一方で、使用する者によっては気になる臭いが生じたり、さらに香料成分を追加することにより、白濁などの濁りが生じたりする場合があることが判明した。このような白濁は、特に透明度の高い可溶化組成物については、望ましくない。
【0009】
本発明者らは、本課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種、(B)3‐O‐エチルアスコルビン酸、及び3‐O‐エチルアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種、(C)ジエチレングリコールモノエチルエーテル、並びに(D)香料を含有させ、ポリエチレングリコールの含有量を一定以下に規定することで、特に香料を用いる場合にも、アスコルビン酸を安定的に可溶化し、香料による白濁のない優れた性質を有する外用組成物を提供することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、下記に掲げる外用組成物を提供する。
項1.
(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種;
(B)3‐O‐エチルアスコルビン酸、及び3‐O‐エチルアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種;
(C)ジエチレングリコールモノエチルエーテル;並びに
(D)香料
を含有し、ポリエチレングリコールの含有量が5質量%未満である外用組成物。
項2.
前記(C)ジエチレングリコールモノエチルエーテルの含有量が20質量%以上である、請求項1記載の外用組成物。
項3.
前記(D)香料が、果実系香料である、項1又は2に記載の外用組成物。
項4.
さらに、多価アルコールを含有する、項1~3のいずれか1項記載の外用組成物。
項5.
前記アスコルビン酸又はその塩の濃度が、3質量%~40質量%である、項1~4のいずれか1項記載の外用組成物。
項6.
前記外用組成物が、波長700nmの透過率が80~100%である、可溶化系外用組成物である、項1~5のいずれか1項記載の外用組成物。
【0011】
さらに、本発明は、下記に掲げる方法を提供する。
項7.
(A)アスコルビン酸又はその塩、(B)3‐O‐エチルアスコルビン酸、及び3‐O‐エチルアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種、(C)ジエチレングリコールモノエチルエーテル、並びに(D)香料を含有し、ポリエチレングリコールの含有量を5質量%未満とすることによって、外用組成物の濁りを抑制する方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、アスコルビン酸を安定的に可溶化し、香料を配合しつつ香料による白濁等のない、優れた性質を有する外用組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、含有量の単位「質量%」は、「g/100g」と同義である。
【0014】
本発明の外用組成物は、
(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種;
(B)3‐O‐エチルアスコルビン酸、及び3‐O‐エチルアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種;
(C)ジエチレングリコールモノエチルエーテル;並びに
(D)香料
を含有し、ポリエチレングリコールの含有量が5質量%未満である外用組成物である。
【0015】
本発明の外用組成物は、(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種の幅広い濃度域で良好な外観と良好な臭いであり得る。
【0016】
[(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種]
本発明に用いられるアスコルビン酸としては、医薬品、医薬部外品又は化粧品において皮膚外用剤の成分として用いられるものであれば、特に限定はされない。市販されているアスコルビン酸も使用することができ、これらは通常L体のものを指す。
【0017】
アスコルビン酸の塩も使用できる。ここで、アスコルビン酸の塩とは、薬学上許容される塩である。限定はされないが、例えば、有機塩基との塩(例えば、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ピリジン塩などの第3級アミンとの塩、アルギニンなどの塩基性アンモニウム塩など)、無機塩基との塩(例えば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩など)などが挙げられる。特に好ましいアスコルビン酸の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩である。具体的には、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸モノリン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸ジリン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸トリリン酸エステルナトリウム、アスコルビン酸-2-硫酸エステルナトリウム等が挙げられる。
【0018】
本発明において、アスコルビン酸又はその塩は、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0019】
本発明の外用組成物において、外用組成物の全量に対する(A)成分の総含有量は、他の成分とのバランスによって適宜設定される。外用組成物の全量に対して、(A)成分の総含有量は、好ましくは、1質量%以上であり、より好ましくは、3質量%以上、さらに好ましくは、5質量%以上、さらにより好ましくは、10質量%以上、最も好ましくは15質量%以上、特により好ましくは20質量%以上である。外用組成物の全量に対して、(A)成分の総含有量は、好ましくは、50質量%以下であり、より好ましくは、40質量%以下、さらに好ましくは、35質量%以下、さらにより好ましくは、30質量%以下である。外用組成物の全量に対して、(A)成分の総含有量は、好ましくは、1質量%~50質量%、より好ましくは、3質量%~40質量%、さらにより好ましくは、5質量%~30質量%、最も好ましくは10質量%~30質量%、特に好ましくは15質量%~25質量%である。
【0020】
[(B)3‐O‐エチルアスコルビン酸、及び3‐O‐エチルアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種]
本発明に用いられる3-O-エチルアスコルビン酸としては、医薬品、医薬部外品又は化粧品において皮膚外用剤の成分として用いられるものであれば、特に限定はされない。L-3-O-エチルアスコルビン酸が好適に用いられる。
【0021】
3-O-エチルアスコルビン酸は、アスコルビン酸の3位の水酸基をエトキシ化して合成することができる(例えば、特開平8-134055に記載の公知の方法などによる)。3-O-エチルアスコルビン酸は、市販品をそのまま用いることもできる。市販品としては、限定はされないが、例えば、日本精化製「VCエチル」の他、純正化学株式会社製の製品などが例示される。
【0022】
3‐O‐エチルアスコルビン酸は、本発明の外用組成物の安定性に寄与する。
【0023】
3-O-エチルアスコルビン酸は、塩としても使用できる。ここで、3-O-エチルアスコルビン酸の塩とは、薬学上許容される塩である。限定はされないが、例えば、有機塩基との塩(例えば、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ピリジン塩などの第3級アミンとの塩、アルギニンなどの塩基性アンモニウム塩など)、無機塩基との塩(例えば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩など)などが挙げられる。特に好ましい3-O-エチルアスコルビン酸の塩は、ナトリウム塩、カリウム塩である。
【0024】
本発明において、3-O-エチルアスコルビン酸又はその塩は、1種又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0025】
本発明の外用組成物において、外用組成物の全量に対する(B)成分の総含有量は、他の成分とのバランスによって適宜設定される。外用組成物の全量に対して、(B)成分の総含有量は、好ましくは、0.005質量%以上であり、より好ましくは、0.01質量%以上、さらに好ましくは、0.02質量%以上、より好ましくは、0.05質量%以上、最も好ましくは、0.1質量%以上である。また、外用組成物の全量に対して(B)成分の総含有量は、好ましくは、10質量%以下であり、より好ましくは、5質量%以下、さらに好ましくは、3質量%以下、より好ましくは、2質量%以下、最も好ましくは、1.5質量%以下である。外用組成物の全量に対して、(B)成分の総含有量は、好ましくは0.005質量%~10質量%、より好ましくは、0.01質量%~5質量%、さらに好ましくは、0.02質量%~3質量%、最も好ましくは、0.1質量%~2質量%である。
【0026】
本発明の外用組成物において、(A)成分に対する(B)成分の配合量の比率は、(A)成分の総含有量1質量部に対して、(B)成分の総含有量が0.00001~10質量部が好ましく、0.0001~5質量部がより好ましく、0.001~1質量部がさらに好ましく、0.01~0.5質量部が最も好ましい。
【0027】
[(C)ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エトキシジグリコール)]
本発明に用いられるジエチレングリコールモノエチルエーテルとしては、医薬品、医薬部外品又は化粧品において皮膚外用剤の成分として用いられるものであれば、特に限定はされない。市販されているジエチレングリコールモノエチルエーテルも使用することができる。
【0028】
本発明の外用組成物において、外用組成物の全量に対する(C)成分の総含有量は、他の成分とのバランスによって適宜設定される。外用組成物の全量に対して、(C)成分の総含有量は、好ましくは、20質量%以上であり、より好ましくは、25質量%以上、さらに好ましくは、30質量%以上、さらにより好ましくは、33質量%以上、最も好ましくは、35質量%以上である。また、外用組成物の全量に対して(C)成分の総含有量は、好ましくは、90質量%以下であり、より好ましくは、85質量%以下、さらに好ましくは、80質量%以下、さらにより好ましくは、75質量%以下、最も好ましくは、70質量%以下である。外用組成物の全量に対して、(C)成分の総含有量は、好ましくは20質量%~90質量%、より好ましくは、25質量%~85質量%、さらに好ましくは、30質量%~80質量%、最も好ましくは、33質量%~75質量%である。
【0029】
本発明の外用組成物において、(A)成分に対する(C)成分の配合量の比率は、(A)成分の総含有量1質量部に対して、(C)成分の総含有量が0.01~100質量部が好ましく、0.05~75質量部がより好ましく、0.1~50質量部がさらに好ましく、0.5~25質量部が最も好ましい。
【0030】
[(D)香料]
本発明に用いられる香料としては、医薬品、医薬部外品又は化粧品において皮膚外用剤の成分として用いられるものであれば、特に限定はされない。香料としては、天然香料でも合成香料でもよいが、精油又は油溶性成分を配合するものが好ましい。また、植物を想起させる植物系香料が好ましく、このうち、果実系香料やフローラル系香料がより好ましい。特に、果実系の香料であることがさらにより好ましく、柑橘系香料であることが特に好ましい。
【0031】
ここで、果実系香料は、柑橘系香料の他、ピーチ系香料やチェリー系香料、リンゴ系香料もあり得る。
【0032】
柑橘系香料には、柑橘類植物の抽出物、又は柑橘類植物のフレーバーを有する香料が含まれる。柑橘類植物とは、ミカン科、ミカン亜科、ミカン連に属する植物である。このような植物には、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、スダチ、ライム、ユズ、カボス、ベルガモット、タンジェリン、みかん、シークワーサー、ぽんかん、ブンタン、はっさく、ジャバラ、タンカン、いよかんなどが含まれる。
【0033】
柑橘系香料は、特に柑橘類植物の抽出物を用いてもよく、果実又は果皮の抽出物を用いるのが特に好ましい。このような香料としては、限定はされないが、例えば、オレンジ油、レモン油、グレープフルーツ油、スダチ油、ライム油、ユズ油、カボス油、シークワーサー油等の柑橘系精油が含まれるものが好ましい。
【0034】
柑橘系香料としては、リモネン、リモニン、ノミリン、β-ピネン、γ-テルピネン、シトラール、α-ピネン、オーラプテン、ノビレチン、又はリナロール、酢酸リナリル、イオノン、チモール、ペリラアルデヒドなどの油溶性成分を適宜配合して製造し、使用したものが好ましい。また、これらの成分は、塩や誘導体としても使用できる。ここで、塩とは、特に限定はされないが、例えば、有機塩基との塩(例えば、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ピリジン塩などの第3級アミンとの塩、アルギニンなどの塩基性アンモニウム塩など)、無機塩基との塩(例えば、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩など)などが挙げられる。また誘導体としては酢酸体などが挙げられる。特に好ましい塩は、ナトリウム塩、カリウム塩である。
【0035】
本発明の外用組成物において、外用組成物の全量に対する(D)成分の総含有量は、他の成分とのバランスによって適宜設定される。外用組成物の全量に対して、(D)成分の総含有量は、好ましくは、0.0001質量%以上であり、より好ましくは、0.001質量%以上、さらに好ましくは、0.005質量%以上、さらにより好ましくは、0.01質量%以上、最も好ましくは、0.05質量%以上である。また、外用組成物の全量に対して(D)成分の総含有量は、好ましくは、6質量%以下であり、より好ましくは、5質量%以下、さらに好ましくは、4質量%以下、さらにより好ましくは、3質量%以下、最も好ましくは、2.5質量%以下である。外用組成物の全量に対して、(D)成分の総含有量は、好ましくは0.0001質量%~6質量%、より好ましくは、0.001質量%~5質量%、さらに好ましくは、0.005質量%~4質量%、最も好ましくは、0.01質量%~3質量%である。
【0036】
[ポリエチレングリコール]
本発明でいうポリエチレングリコールは、特に限定はされないが、例えば、重合度4以上のものであり、基剤などとして医薬品、医薬部外品、化粧品において用いられるものである。具体的には、平均分子量150~1000程度のポリエチレングリコールであり、さらに、170~800程度のポリエチレングリコールであり得る。このようなポリエチレングリコールとしては、具体的には、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール500、ポリエチレングリコール600、ポリエチレングリコール700、ポリエチレングリコール800等が例示できる。これらには市販品が存在するので、それら市販品を入手して使用することもできる。市販品としては、具体的には、例えば、日油株式会社が販売する、ポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600、三洋化成工業株式会社のポリエチレングリコール200、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600などが例示される。
【0037】
ここで、平均分子量は、例えば、医薬部外品原料規格2006 ポリエチレングリコールの項に記載の平均分子量試験に準じて、求めることができる。
【0038】
[平均分子量が190~210のポリエチレングリコールの平均分子量測定方法]
ポリエチレングリコール約0.8gを精密に量り、約200mLの耐圧共栓瓶に入れ、ピリジン約25mLを加え、加温して溶かし放冷する。別に無水フタル酸42gを取り、新たに蒸留したピリジン300mLを正確に量って入れた1Lの遮光した共栓瓶に加え、強く振り混ぜて溶かした後、16時間以上放置する。この液25mLを正確に量り、先の耐圧共栓瓶に加えて密栓し、丈夫な布でこれを包み、あらかじめ98℃±2℃に加熱した水浴中に入れる。この際、瓶の中の液が水浴の液の中に浸るようにする。98℃±2℃で30分間加熱した後、室温になるまで放冷する。次に、0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液50mLを正確に加え、この液につき、0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液で滴定する。このときの指示薬はフェノールフタレイン・ピリジン溶液(1→100)を5滴用いる。ただし、滴定の終点は、液が15秒間持続する淡赤色を呈するときとする。同様の方法で空試験を行う。
得られた値を下記式にあてはめ、平均分子量を算出する。
平均分子量=[試料の量(g)×4000]/(a-b)
a:空試験における0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液の消費量(mL)
b:試料の試験における0.5mol/L水酸化ナトリウム溶液の消費量(mL)
【0039】
なお、平均分子量が190~210以外のポリエチレングリコールの場合でも、秤取量が異なるが、それ以外は平均分子量が190~210のポリエチレングリコールの試験法に準ずる。
【0040】
これらのポリエチレングリコールは、1種又は2種以上の組み合わせであり得る。
【0041】
本発明の外用組成物において、外用組成物の全量に対するポリエチレングリコールの総含有量は、外用組成物の全量に対して、5質量%未満であり、好ましくは、3質量%以下、より好ましくは、1質量%以下、さらに好ましくは、0.1質量%以下であり、場合により、ポリエチレングリコールを0.01質量%程度以下など、実質的に含まないか又は全く含まない外用組成物とすることもできる。
【0042】
本発明の外用組成物は、本発明の効果を妨げない限り、上記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の他に、ジエチレングリコールモノエチルエーテル以外のグリコールエーテル及び/又は多価アルコールを含んでいてもよい。
【0043】
[グリコールエーテル]
グリコールエーテルとしては、医薬品、医薬部外品又は化粧品分野において皮膚外用剤の成分として用いられるものであれば特に限定されない。水100gに対して10g以上溶解するものであればよい。重合度2以下のものが好ましい。具体的には、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等が例示できる。好ましくは、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルである。さらに好ましくは、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルである。
【0044】
これらのグリコールエーテルは、1種又は2種以上の組み合わせで使用することもできる。
【0045】
グリコールエーテルは、例えば、本発明の外用組成物のより優れた皮膚透過性に寄与し得る。
【0046】
[多価アルコール]
多価アルコールとしては、医薬品、医薬部外品又は化粧品分野において皮膚外用剤の成分として用いられるものであれば特に限定されない。多価アルコールは、限定はされないが、保湿の為又は可溶化剤として加える場合もある。具体的には、グリセリン、ジグリセリン、ジプロピレングリコール 、1,3-プロパンジオール, 1,3-ブチレングリコール、1,2-プロパンジオールなどがあげられる。好ましいものは、ジグリセリン、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオールである。これらの中でも特に1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオールを適宜含有することが好ましい。
【0047】
本発明の外用組成物において、外用組成物の全量に対する多価アルコール分の総含有量は、好ましくは、0.1質量%以上であり、より好ましくは、0.5質量%以上、さらに好ましくは、1質量%以上、さらにより好ましくは、2質量%以上、最も好ましくは、3質量%以上である。また、外用組成物の全量に対して多価アルコール分の総含有量は、好ましくは、70質量%以下であり、より好ましくは、65質量%以下、さらに好ましくは、60質量%以下、さらにより好ましくは、55質量%以下、最も好ましくは、50質量%以下である。
【0048】
[pH調整剤]
本発明の外用組成物は、使用感の向上、安定性及び経皮吸収の促進の観点から、本発明の効果を妨げない限り、上記(A)~(D)成分の他に、pH調整剤を含んでいてもよい。
【0049】
本発明に用いられるpH調整剤としては、医薬品、医薬部外品又は化粧品分野において皮膚外用剤の成分として通常用いられる化合物を使用することができる。特に限定はされないが、アミンを有するpH調整剤(例えば、アスパラギン酸又はその塩、ε-アミノカプロン酸又はその塩、グルタミン酸又はその塩、アミノエチルスルホン酸又はその塩、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、アルギニン、リジン、L-カルニチン、低分子ベタイン、好ましくは低分子ベタイン、より好ましくはトリメチルグリシン)、有機酸塩(例えば、乳酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、コハク酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、グルコン酸カルシウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウムなど)、無機酸塩(例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、ピロ亜硫酸カリウム、リン酸ナトリウム、硝酸カリウム、ホウ酸ナトリウム、好ましくはピロ亜硫酸ナトリウム)などが例示される。
【0050】
本発明の外用組成物において、外用組成物の全量に対する、pH調整剤の総含有量は特に限定されないが、好ましくは、0.01質量%以上、より好ましくは、0.05質量%以上である。外用組成物の全量に対して、pH調整剤の総含有量は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。外用組成物の全量に対して、アミンを有するpH調整剤の含有量は、好ましくは、0.01質量%~10質量%、より好ましくは、0.05質量%~5質量%である。
【0051】
本発明の外用組成物において、(A)成分に対するpH調整剤の含有量の比率は特に限定されないが、(A)成分の総含有量1質量部に対して、0.00001~20質量部が好ましく、0.0001~20質量部がより好ましく、0.0005~10質量部がさらに好ましく、0.005~5質量部がさらにより好ましく、0.01~1質量部が最も好ましい。
【0052】
[その他の成分]
本発明の外用組成物には、上記(A)~(D)成分の他に、さらに、アスコルビン酸が有する各種の作用を増強又は補足する目的で、また他の有用な作用を付加するため、美白成分、抗炎症成分、抗菌成分、細胞賦活化成分、収斂成分、抗酸化成分、ニキビ改善成分、老化防止成分、コラーゲン等の生体成分合成促進成分、血行促進成分、保湿成分、老化防止成分等の各種成分を1種又は2種以上組み合わせて配合することができる。
【0053】
本発明の外用組成物は、上記(A)~(D)成分の他に、さらに界面活性剤、可溶化成分、油脂類、糖類又は経皮吸収促進成分を配合することもできる。特に界面活性剤、可溶化成分又は油脂類を配合することによって、水性溶媒中におけるアスコルビン酸の安定性、有効性、使用感をより向上させることができる。
【0054】
本発明の外用組成物には、外観安定性や粘度等の品質を損なわず、また本発明の効果を損なわない量的及び質的範囲内で、必要に応じて医薬品、医薬部外品又は化粧品分野において外用剤の成分として一般的に用いられる各種の成分、例えば、アミノ酸、刺激軽減剤、増粘剤、防腐剤、紫外線防御剤、着色剤、分散剤、追加のpH調整剤、香料等を配合することができる。なお、これらの成分は1種単独で、又は2種以上を任意に配合することができる。
【0055】
発明の外用組成物は、上記(A)~(D)成分に、必要に応じて上記各任意成分を配合混合し、さらに必要に応じてその他の溶媒や通常使用される外用剤の基剤等を配合し、必要に応じてpH調整することによって、ペースト状、ムース状、ジェル状、液状、乳液状、クリーム状、シート状(基材担持)、エアゾール状、スプレー状などの各種所望の形態に調製することができる。これらは当業界の通常の方法にて製造することができる。
【0056】
本発明の外用組成物は、アスコルビン酸及び/又はその塩を可溶化した、透明ないし半透明の可溶化系外用組成物であることが特に好ましい。ここで、「可溶化」とは、以下のように定義されるものである。すなわち、例えば、紫外可視吸光度測定法により、分光光度計又は光電光度計UV-2450(島津製作所製)を用いて波長700nmの透過率として、透過率が、80~100%、好ましくは85~100%、より好ましくは90~100%の範囲にあるものをさす。ここで水の透過率を100%とする。透過度測定方法は、より詳細には、第16改正日本薬局方[B]一般試験法 2.物理的試験法 分光学的測定法 2.24紫外可視吸光度測定法に記載の方法に準ずる。
【0057】
本発明の外用組成物は、限定はされないが、水を0.1質量%~60質量%の割合で含有する液状であることが好ましく、水を1質量%~50質量%の割合で含有する液状であることがより好ましく、水を3質量%~40質量%の割合で含有する液状であることが特に好ましい。
【0058】
[粘度]
本発明の外用組成物は、特に皮膚に適用するために用いられる外用組成物の使用の際に望まれる適度な粘性を備えた組成物として調製することができる。本発明の外用組成物の粘度は、特に限定はされないが、例えば、E型粘度計を用いて25℃で測定した場合の粘度が通常1~300mPa・s程度、好ましくは1~200mPa・s程度、より好ましくは1~100mPa・s程度、最も好ましくは、1~50mPa・s程度である。粘度測定方法は、より詳細には、第16改正日本薬局方[B]一般試験法 2.物理的試験法 その他の物理的試験法 2.53 粘度測定法 2.第2法 回転粘度計法 2.1.3 円すい‐平板形回転粘度計(コーンプレート型粘度計)に記載の方法に準ずる。
【0059】
[pH]
本発明の外用組成物は、通常pH1~8の液性を備えていればよいが、アスコルビン酸の安定性、皮膚や粘膜に対する低刺激性、及び皮膚使用感のよさという観点から、好ましくはpH1.5~7、より好ましくはpH2~5.5の酸性領域であることが望ましい。
【0060】
[用途]
本発明の外用組成物は、特には、美白剤、抗炎症剤、抗老化剤として有効である。例えば、にきび予防や治療、抗酸化の作用を有する。また、皮膚への適用により、皮膚の透明感が高まり、潤いが保持され、キメが整い、ざらつきを抑える効果が発揮される場合がある。さらには、毛穴を目立たなくさせる、整肌保湿などの効果が発揮される場合がある他、しみの予防や治療に用いることもできる。
【0061】
本発明の外用組成物は、例えば、美容液、化粧水、日焼け止めクリーム、乳液、クリーム、ローション、オイル及びパックなどの基礎化粧料;ファンデーション、口紅、リップクリーム、マスカラ、アイシャドウ、アイライナー、眉墨及び美爪料等のメーキャップ化粧料;洗顔料やクレンジング、ボディ洗浄料などの洗浄料;腋臭防止剤、水虫治療剤、鎮痒剤、創傷治癒剤、清拭剤、清浄剤、消炎鎮痛剤、にきび治療剤、痔疾用剤、殺菌消毒剤、美白剤、紫外線防御剤などの、化粧品、外用医薬品又は外用医薬部外品の分野に属する各種の外用組成物とすることができる。皮膚への作用効果から、本発明は皮膚外用剤(外皮用の製剤)等の外皮に適用される製品に使用されることが好ましい。
【0062】
[濁り抑制方法]
また本発明は、(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する外用組成物の濁り抑制方法にも関する。本発明において、アスコルビン酸の濁り抑制方法は、(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種、(B)3‐O‐エチルアスコルビン酸、及び3‐O‐エチルアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種、(C)ジエチレングリコールモノエチルエーテル;並びに(D)香料を含有し、ポリエチレングリコールの含有量を5質量%未満とすることによって、白濁が生じにくい組成物とできることによる。すなわち、本発明は、(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種、(B)3-O-エチルアスコルビン酸、3-O-エチルアスコルビン酸の塩、(C)ジエチレングリコールモノエチルエーテル;並びに(D)香料を含有し、ポリエチレングリコールの含有量が5質量%未満とすることによる、(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する外用組成物の濁りを抑制する方法、に関する。ここで、濁りの抑制とは、限定はされないが、例えば、目視により、白濁が全くあるいはほとんど認められない状態を含むが、例えば、(C)成分の代わりに、ポリエチレングリコールを同量含む組成物の場合に見られる白濁より白濁の度合いが少ない場合も含む。
【0063】
本発明の方法において、(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種、(B)3‐O‐エチルアスコルビン酸、及び3‐O‐エチルアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種、(C)ジエチレングリコールモノエチルエーテル;並びに(D)香料、ポリエチレングリコールやこれらの含有量などについては、前記外用組成物で用いたものと同様である。さらに本方法にて得られた物は、用途などに応じて1日あたり1回から数回に分けて、公知あるいは慣用されている用法・用量にて使用することができる。
【0064】
[臭気抑制方法]
また本発明は、(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する外用組成物の臭気抑制方法をも包含する。本発明において、アスコルビン酸の臭気抑制方法は、(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種、(B)3‐O‐エチルアスコルビン酸、及び3‐O‐エチルアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種、(C)ジエチレングリコールモノエチルエーテル;並びに(D)香料を含有し、ポリエチレングリコールの含有量が5質量%未満とすることによって、臭気が生じにくい組成物とできることによる。すなわち、本発明は、(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種、(B)3-O-エチルアスコルビン酸、3-O-エチルアスコルビン酸の塩、(C)ジエチレングリコールモノエチルエーテル;並びに(D)香料を含有し、ポリエチレングリコールの含有量が5質量%未満とすることによる、(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する外用組成物の臭気を抑制する方法、に関する。ここで、臭気の抑制とは、限定はされないが、例えば、臭気が全くあるいはほとんど認められない状態を含む。
【0065】
本発明の方法において、(A)アスコルビン酸、及びアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種、(B)3‐O‐エチルアスコルビン酸、及び3‐O‐エチルアスコルビン酸の塩からなる群より選択される少なくとも1種、(C)ジエチレングリコールモノエチルエーテル;並びに(D)香料、ポリエチレングリコールやこれらの含有量などについては、前記外用組成物で用いたものと同様である。さらに本方法にて得られた物は、用途などに応じて1日あたり1回から数回に分けて、公知あるいは慣用されている用法・用量にて使用することができる。
【実施例】
【0066】
(実施例1~8、比較例1~12)
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、表における各成分量の単位は、質量%である。
表1~表2に示す組成の外用組成物(実施例1~8、比較例1~12)を常法に従って調製した。表1~表2に示す組成の外用組成物は、(A)アスコルビン酸、(B)3‐O‐エチルアスコルビン酸、(C)ジエチレングリコールモノエチルエーテル、並びに(D)精油又は油溶性成分を配合した香料(長岡香料)、場合によって、ポリエチレングリコールを含有する。なお、全ての試験例において、4℃1週間での結晶の析出が見られない状態であったが、比較例1、2、及び3の組成物から3‐O‐エチルアスコルビン酸を除いた処方においては4℃4週間での結晶の析出が確認された。
【0067】
[外用組成物の外観確認試験]
各実施例及び比較例の外用組成物の濁りの有無の評価を目視で行った。具体的には各種処方表記載の処方(質量%)に従って、各種成分の混合溶液に、アスコルビン酸を添加し、60℃にて10分間、加温・混合して溶解させて、外用組成物を調製した。調製した外用組成物を透明ガラス瓶に充填し、遮光条件・室温にて静置し、製造翌日及び1週間後の白濁の有無を判定した。
【0068】
<評価基準>
○:白濁・分離が全く見られない状態
△:白濁・分離がわずかに確認できる状態
×:白濁・分離が明確に確認できる状態
【0069】
[外用組成物の臭気確認試験]
各実施例及び比較例の外用組成物の臭気の有無の確認を官能評価により行った。具体的には各種処方表記載の処方(質量%)に従って、各種成分の混合溶液に、アスコルビン酸を添加し、60℃にて10分間、加温・混合して溶解させて、外用組成物を調製した。調製した外用組成物を透明ガラス瓶に充填し、遮光条件・室温にて静置し、製造直後の臭気の有無を判定した。
【0070】
<評価基準>
○:本来の香料のみ香りが強く、基剤の臭いが気にならない状態
△:基剤臭で本来の香料の匂いが変化してしまっている状態×:基剤臭が強い状態
××:基剤臭が特に強い状態
【0071】
これらの試験の結果を表1~表2に示す。
【0072】
【0073】
エトキシジグリコールの代わりにブチレングリコールを使用してアスコルビン酸を溶解した処方では、香料による白濁や分離が見られた。結果を表2に示す。
【0074】
【0075】
アスコルビン酸、3‐O‐エチルアスコルビン酸及びジエチレングリコールモノエチルエーテルを組み合わせることによって、香料が含まれる場合でも、優れた外観の外用組成物を安定に調製できることがわかった。
【0076】
なお、実施例に示す組成物の測定波長700nmにおける透過率は、いずれも、90%~100%の間であった。
【0077】
[処方例]
下記表3~表4に処方例を示す。処方例は、いずれも、測定波長700nmにおける透過率が90%~100%の液状の外用組成物であり、化粧水、美容液等に好適に使用できる。処方例中の含有量はいずれも質量%である。
【0078】