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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】プリント配線板およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20231106BHJP
   H01L 23/12 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
H01L21/92 602C
H01L21/92 604B
H01L23/12 F
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019161927
(22)【出願日】2019-09-05
(65)【公開番号】P2021040090
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺内 伊久哉
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-149948(JP,A)
【文献】特開2017-118067(JP,A)
【文献】特開2001-308129(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント配線板であって、
基部絶縁層と、
前記基部絶縁層上に形成された導体層と、
前記基部絶縁層上および前記導体層上に形成され、かつ、前記導体層の一部を第1の導体パッドとして露出させる第1の開口、および該第1の開口よりも径が小さく前記導体層の他の一部を第2の導体パッドとして露出させる第2の開口を有するソルダーレジスト層と、
前記第1の導体パッド上に形成された第1のバンプと、
前記第2の導体パッド上に形成された、前記第1のバンプよりも小径の第2のバンプと、を備え、
前記第1のバンプは、前記第1の開口内に形成された第1のベースめっき層およびその上に第1のベースめっき層と同じ金属で一体に形成された第1のポストからなる第1のめっきポストと、該第1のめっきポスト上に形成された略半球状の第1のトップめっき層とを有し、
前記第2のバンプは、前記第2の開口内に形成された第2のベースめっき層およびその上に第2のベースめっき層と同じ金属で一体に形成された第2のポストからなる第2のめっきポストと、該第2のめっきポスト上に形成された略半球状の第2のトップめっき層とを有し、
前記第1のめっきポストと前記第1の導体パッドとの間、および前記第2のめっきポストと前記第2の導体パッドとの間に、順次積層されたニッケル層、パラジウム層および金層からなる下地層をそれぞれ有し、
前記第1のめっきポストと前記第2のめっきポストとは、上面が平坦で互いに高さが揃っており、かつ、
前記第1のバンプと前記第2のバンプとは、互いに高さが揃っている。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント配線板であって、前記第1のトップめっき層および前記第2のトップめっき層の厚みは、20μm~40μmである。
【請求項3】
請求項1に記載のプリント配線板であって、前記第1のめっきポストおよび前記第2のめっきポストは、銅を主成分とする金属からそれぞれ形成されている。
【請求項4】
請求項1に記載のプリント配線板であって、前記第1のトップめっき層は前記第1のめっきポスト上に第1の中間層を介して形成され、前記第2のトップめっき層は前記第2のめっきポスト上に第2の中間層を介して形成され、
前記第1の中間層および前記第2の中間層は、順次積層されたニッケル層、パラジウム層および金層からなる。
【請求項5】
請求項1に記載のプリント配線板であって、前記第1のトップめっき層は前記第1のめっきポスト上に第1の中間層を介して形成され、前記第2のトップめっき層は前記第2のめっきポスト上に第2の中間層を介して形成され、
前記第1の中間層および前記第2の中間層は、ニッケルを主成分とする金属からそれぞれ形成されている。
【請求項6】
請求項1に記載のプリント配線板であって、前記第1のトップめっき層および前記第2のトップめっき層は、スズを主成分とする金属からそれぞれ形成されている。
【請求項7】
プリント配線板の製造方法であって、
基部絶縁層を形成することと、
前記基部絶縁層上に導体層を形成することと、
前記基部絶縁層上および前記導体層上にソルダーレジスト層を形成することと、
前記ソルダーレジスト層に、前記導体層の一部を第1の導体パッドとして露出させる第1の開口を形成することと、
前記ソルダーレジスト層に、前記第1の開口よりも径が小さく前記導体層の他の一部を第2の導体パッドとして露出させる第2の開口を形成することと、
前記第1の導体パッド上に第1のバンプを形成することと、
前記第2の導体パッド上に、前記第1のバンプよりも小径の第2のバンプを形成することと、を含み、
前記第1のバンプを形成することは、前記第1の開口内に第1のベースめっき層を形成するとともに前記第1のベースめっき層上に第1のベースめっき層と同じ金属で一体に第1のポストを形成して第1のめっきポストを形成することと、前記第1のめっきポスト上に第1のトップめっき層を形成することと、第1のトップめっき層をリフローして略半球状の第1のトップめっき層を形成することと、を含み、
前記第2のバンプを形成することは、前記第2の開口内に第2のベースめっき層を形成するとともに前記第2のベースめっき層上に第2のベースめっき層と同じ金属で一体に第2のポストを形成して第2のめっきポストを形成することと、前記第2のめっきポスト上に第2のトップめっき層を形成することと、第2のトップめっき層をリフローして略半球状の第2のトップめっき層を形成することと、を含み、
前記第1のめっきポストと前記第1の導体パッドとの間、および前記第2のめっきポストと前記第2の導体パッドとの間に、順次積層されたニッケル層、パラジウム層および金層からなる下地層をそれぞれ形成することを含み、
前記第1のめっきポストと前記第2のめっきポストとを形成することは、それら第1のめっきポストと第2のめっきポストとの高さを研磨によって互いに揃えることを含み、かつ、
前記第1のトップめっき層と前記第2のトップめっき層とを形成することは、それら第1のトップめっき層と第2のトップめっき層との高さを第1のトップめっき層と第2のトップめっき層を形成するにあたってのレジストの開口径を調整することによって互いに揃えることを含む。
【請求項8】
請求項に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記レジストの開口径を調整することは、前記第1のめっきポストの上面とレジストとの重なり部分の幅を前記第2のめっきポストの上面とレジストとの重なり部分の幅より大きくすることを含む。
【請求項9】
請求項に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記リフロー後の前記略半球状の第1のトップめっき層および前記略半球状の第2のトップめっき層の厚みは、20μm~40μmである。
【請求項10】
請求項に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記第1のめっきポストおよび前記第2のめっきポストは、銅を主成分とする金属からそれぞれ形成されている。
【請求項11】
請求項に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記第1のめっきポスト上に第1の中間層を介して前記第1のトップめっき層を形成することと、前記第2のめっきポスト上に第2の中間層を介して前記第2のトップめっき層を形成することとを含み、
前記第1の中間層および前記第2の中間層は、順次積層されたニッケル層、パラジウム層および金層からなる。
【請求項12】
請求項に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記第1のめっきポスト上に第1の中間層を介して前記第1のトップめっき層を形成することと、前記第2のめっきポスト上に第2の中間層を介して前記第2のトップめっき層を形成することとを含み、
前記第1の中間層および前記第2の中間層は、ニッケルを主成分とする金属からそれぞれ形成されている。
【請求項13】
請求項に記載のプリント配線板の製造方法であって、前記第1のトップめっき層および前記第2のトップめっき層は、スズを主成分とする金属からそれぞれ形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、めっきバンプを有するプリント配線板およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、めっき法を用いたバンプ形成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-129996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、図4に示すように、ソルダーレジスト層16’に形成された大きさの異なる開口16a’,16b’内の導体パッド14a’,14b’上にベースめっき層24’,30’を形成し、該ベースめっき層24’,30’上に、中間層26’,31’を介してトップめっき層28’,32’を形成して、大きさの異なるめっきバンプ20’,22’を形成した場合、めっきバンプ20’とめっきバンプ22’との間に高さのバラつきVが発生することがありうる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るプリント配線板は、基部絶縁層と、前記基部絶縁層上に形成された導体層と、前記基部絶縁層上および前記導体層上に形成され、かつ、前記導体層の一部を第1の導体パッドとして露出させる第1の開口、および該第1の開口よりも径が小さく前記導体層の他の一部を第2の導体パッドとして露出させる第2の開口を有するソルダーレジスト層と、前記第1の導体パッド上に形成された第1のバンプと、前記第2の導体パッド上に形成された、前記第1のバンプよりも小径の第2のバンプと、を備え、
前記第1のバンプは、前記第1の開口内に形成された第1のベースめっき層およびその上に第1のベースめっき層と同じ金属で一体に形成された第1のポストからなる第1のめっきポストと、該第1のめっきポスト上に形成された略半球状の第1のトップめっき層とを有し、
前記第2のバンプは、前記第2の開口内に形成された第2のベースめっき層およびその上に第2のベースめっき層と同じ金属で一体に形成された第2のポストからなる第2のめっきポストと、該第2のめっきポスト上に形成された略半球状の第2のトップめっき層とを有し、
前記第1のめっきポストと前記第1の導体パッドとの間、および前記第2のめっきポストと前記第2の導体パッドとの間に、順次積層されたニッケル層、パラジウム層および金層からなる下地層をそれぞれ有し、
前記第1のめっきポストと前記第2のめっきポストとは、上面が平坦で互いに高さが揃っており、かつ、
前記第1のバンプと前記第2のバンプとは、互いに高さが揃っている。
【0006】
また、本発明に係るプリント配線板の製造方法は、基部絶縁層を形成することと、前記基部絶縁層上に導体層を形成することと、前記基部絶縁層上および前記導体層上にソルダーレジスト層を形成することと、前記ソルダーレジスト層に、前記導体層の一部を第1の導体パッドとして露出させる第1の開口を形成することと、前記ソルダーレジスト層に、前記第1の開口よりも径が小さく前記導体層の他の一部を第2の導体パッドとして露出させる第2の開口を形成することと、前記第1の導体パッド上に第1のバンプを形成することと、前記第2の導体パッド上に、前記第1のバンプよりも小径の第2のバンプを形成することと、を含み、
前記第1のバンプを形成することは、前記第1の開口内に第1のベースめっき層を形成するとともに前記第1のベースめっき層上に第1のベースめっき層と同じ金属で一体に第1のポストを形成して第1のめっきポストを形成することと、前記第1のめっきポスト上に第1のトップめっき層を形成することと、第1のトップめっき層をリフローして略半球状の第1のトップめっき層を形成することと、を含み、
前記第2のバンプを形成することは、前記第2の開口内に第2のベースめっき層を形成するとともに前記第2のベースめっき層上に第2のベースめっき層と同じ金属で一体に第2のポストを形成して第2のめっきポストを形成することと、前記第2のめっきポスト上に第2のトップめっき層を形成することと、第2のトップめっき層をリフローして略半球状の第2のトップめっき層を形成することと、を含み、
前記第1のめっきポストと前記第1の導体パッドとの間、および前記第2のめっきポストと前記第2の導体パッドとの間に、順次積層されたニッケル層、パラジウム層および金層からなる下地層をそれぞれ形成することを含み、
前記第1のめっきポストと前記第2のめっきポストとを形成することは、それら第1のめっきポストと第2のめっきポストとの高さを研磨によって互いに揃えることを含み、かつ、
前記第1のトップめっき層と前記第2のトップめっき層とを形成することは、それら第1のトップめっき層と第2のトップめっき層との高さを第1のトップめっき層と第2のトップめっき層を形成するにあたってのレジストの開口径を調整することによって互いに揃えることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態のプリント配線板を示す断面図である。
図2A】本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図2B】上記実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図2C】上記実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図2D】上記実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図2E】上記実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図2F】上記実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図2G】上記実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図2H】上記実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図2I】上記実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図2J】上記実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図2K】上記実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図3A】本発明の他の一実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図3B】上記他の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図3C】上記他の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図3D】上記他の実施形態のプリント配線板の製造方法を示す断面図である。
図4】従来技術に従うプリント配線板において高さのバラつきが発生する様子を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<本発明のプリント配線板について>
本発明のプリント配線板の一実施形態が、図面を参照して説明される。図1には、実施形態のプリント配線板10の一部が拡大して示されている。プリント配線板10は、コア基板(図示せず)の片面または両面に所定の回路パターンを有する導体層と樹脂絶縁層とを交互に積層してなるコア付き基板であってよい。コア基板の両面に導体層を形成する場合には、コア基板を介して対向する導体層同士は、スルーホール導体(図示せず)を介して接続されていてもよい。あるいは、プリント配線板10は、コア基板の代わりに支持板(図示せず)上で導体層と樹脂絶縁層とを交互に積層した後、支持板を除去してなるコアレス基板であってもよい。いずれにせよ、プリント配線板10は、図1に示すように、少なくとも1層の樹脂絶縁層のうち最外に配置されたものである基部絶縁層12と、基部絶縁層12上に形成された、所定の回路パターンを有する導体層14と、基部絶縁層12および導体層14上に形成されたソルダーレジスト層16とを備えている。基部絶縁層12の下層には他の複数の導体層および樹脂絶縁層が交互に設けられている場合が多いが、図では省略されている。しかし、プリント配線板10は、1層の基部絶縁層12と1層の導体層14とからなるものでもよい。
【0009】
基部絶縁層12は、例えばシリカやアルミナ等の無機フィラーとエポキシ系樹脂とを含む樹脂組成物等で構成することができる。導体層14は導電性金属、例えば銅を主成分とする金属で形成される。
【0010】
ソルダーレジスト層16は、導体層14の一部を第1の導体パッド14aとして露出させる第1の開口16aと、第1の開口16aよりも径が小さく導体層14の他の一部を第2の導体パッド14bとして露出させる第2の開口16bとを有している。第1の開口16aのアスペクト比、つまり底部の口径に対する深さの比は0.5以下とすることができる。第2の開口16bのアスペクト比、つまり底部の口径に対する深さの比0.6以上とすることができる。
【0011】
プリント配線板10はさらに、第1の導体パッド14a上に形成された第1のバンプ20と、第2の導体パッド14b上に形成され、第1のバンプ20よりも小径の第2のバンプ22とを備えている。第1および第2のバンプ20、22は、第1および第2の導体パッド14a、14b上に直接形成することができる。第1のバンプ20は電源もしくはグランド線との接続に用いることができる。第1のバンプ20よりも径の小さい第2のバンプ22は信号線との接続に用いることができる。
【0012】
第1および第2の導体パッド14a、14bと第1および第2のバンプ20,22との間に下地層を設ける。下地層は、第1および第2の導体パッド14a、14bの表面に形成されたニッケル層とニッケル層上に形成されたパラジウム層とパラジウム層上に形成された金層とからなる。その他、ニッケル層とニッケル層上に形成された金層とからなるもの参考として例示することができる。
【0013】
第1のバンプ20は、第1の開口16a内に形成された第1のベースめっき層およびその第1のベースめっき層と一体の略円柱状の第1のポストからなる第1のめっきポスト24と、第1のめっきポスト24上に例えばニッケルを主成分とするかまたはニッケル層とニッケル層上に形成されたパラジウム層とパラジウム層上に形成された金層とからなる第1の中間層26を介して形成された略半球状の第1のトップめっき層28とを有する。第1の中間層26の厚みは7μm以下とすることが好ましい。
【0014】
第1のめっきポスト24を形成する第1のベースめっき層は、導電性金属、好ましくは銅を主成分とする金属から形成されている。これも第1のめっきポスト24を形成する第1のポストは、第1のベースめっき層と同じ金属すなわち、好ましくは銅を主成分とする金属から形成されている。第1のめっきポスト24を形成する第1のベースめっき層と第1のポストとは順次に形成されて互いに一体化されている。第1のめっきポスト24は、ソルダーレジスト層16の表面(基部絶縁層12とは反対側の面)を充分に超える高さまで形成する。これにより第1のバンプ20が第1の開口16a内に安定して保持される。ソルダーレジスト層16の表面から第1のめっきポスト24の上端面24aまでの高さB1は3μm~15μmの範囲内とすることが好ましい。
【0015】
第1のトップめっき層28は、第1のめっきポスト24よりも融点が低く、リフロー処理により溶融して図1示すような略半球状に整形される金属、例えばスズを主成分とする金属からなる。第1のトップめっき層28の厚み(第1のバンプ20の外周面において第1のトップめっき層28の下端から第1のトップめっき層の頂部までの垂直方向の距離)A1は20μm~40μmの範囲とすることが好ましい。第1のトップめっき層28の厚みA1をこの範囲とすることで、第1のバンプ20と、プリント配線板10に実装される半導体チップやメモリなど電子部品の接続パッド(図示せず)との間で良好な接続信頼性が得られる。
【0016】
第2のバンプ22は、第2の開口16b内に形成された第2のベースめっき層およびその第2のベースめっき層と一体の略円柱状の第2のポストからなる第2のめっきポスト30と、第2のめっきポスト30上に例えばニッケルを主成分とするかまたはニッケル層とニッケル層上に形成されたパラジウム層とパラジウム層上に形成された金層とからなる第2の中間層32を介して形成された略半球状の第2のトップめっき層34とを有する。第2の中間層32の厚みは7μm以下とすることが好ましい。
【0017】
第2のめっきポスト30を形成する第2のベースめっき層は、導電性金属、好ましくは銅を主成分とする金属から形成されている。これも第2のめっきポスト30を形成する第2のポストは、第2のベースめっき層と同じ金属すなわち、好ましくは銅を主成分とする金属から形成されている。第2のめっきポスト30を形成する第2のベースめっき層と第2のポストとは順次に形成されて互いに一体化されている。第2のめっきポスト30は、ソルダーレジスト層16の表面(基部絶縁層12とは反対側の面)を充分に超える高さまで形成する。これにより第2のバンプ22が第2の開口16b内に安定して保持される。ソルダーレジスト層16の表面から第2のめっきポスト30の上端面30aまでの高さB2は3μm~15μmの範囲内とすることが好ましい。
【0018】
第2のトップめっき層34は、第2のめっきポスト30よりも融点が低く、リフロー処理により溶融して図1に示すような略半球状に整形される金属、例えばスズを主成分とする金属からなる。第2のトップめっき層34の厚み(第2のバンプ22の外周面において第2のトップめっき層34の下端から第2のトップめっき層34の頂部までの垂直方向の距離)A2は20μm~40μmの範囲とすることが好ましい。第2のトップめっき層34の厚みA2をこの範囲とすることで、第2のバンプ22と、プリント配線板10に実装される半導体チップやメモリなど電子部品の接続パッド(図示せず)との間で良好な接続信頼性が得られる。
【0019】
図1に示す実施形態のプリント配線板10では、第1のめっきポスト24の上端面24aと第2のめっきポスト30の上端面30aとは一緒に研磨されて、平坦かつ互いに同一の高さ(B1=B2)にされている。また、第1の中間層26と第2の中間層32とは一緒に形成されて、互いに同一の厚み(高さ)にされている。
【0020】
そして、第1のトップめっき層28と第2のトップめっき層34とは一緒に形成されるとともにそれぞれ金属めっき量を調節されて、リフロー処理による溶融後の厚み(高さ)が互いに同一(A1=A2)にされている。
【0021】
これにより、図1に示す実施形態のプリント配線板10は大きさの異なるバンプ20,22を備えていても、バンプ20とバンプ22との間に高さのバラつき(相違)がほとんどもしくは実質上全くない。
【0022】
<本発明の一実施形態のプリント配線板の製造方法について>
以下、図1に示すプリント配線板10を製造するための、本発明の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法を、図2A図2Kを参照して説明する。
【0023】
図2Aには、公知の方法を用いて、基部絶縁層12上に所定の回路パターンを有する導体層14およびソルダーレジスト層16が形成された中間体が示されている。基部絶縁層12の下層には他の複数の導体層および樹脂絶縁層が交互に形成されている場合が多いが、図では省略されている。複数の導体層および樹脂絶縁層はコア基板上もしくは後に除去可能な支持板上で積層することができる。しかし、プリント配線板10は、基部絶縁層12としての1層の樹脂絶縁層と1層の導体層14とからなるものでもよく、この場合この樹脂絶縁層が基部絶縁層12に相当する。
【0024】
基部絶縁層12には、シリカやアルミナ等の無機フィラーとエポキシ系樹脂とを含むビルドアップ用絶縁樹脂フィルムを用いることができる。ソルダーレジスト層16には、例えば炭酸ガスレーザまたはUV-YAGレーザ等により、導体層14の一部を第1の導体パッド14aとして露出させる第1の開口16aと導体層14の他の一部を第2の導体パッド14bとして露出させる第2の開口16bとが形成される。第1の開口16aのアスペクト比は0.5以下とし、第2の開口16bのアスペクト比は0.6以上とするのが好ましい。第1および第2の導体パッド14a,14b上には、めっきにより下地層が形成される。下地層、第1および第2の導体パッド14a、14bの表面に形成されたニッケル層とニッケル層上に形成されたパラジウム層とパラジウム層上に形成された金層とからなる。その他、ニッケル層とニッケル層上に形成された金層とを参考として例示することができる。
【0025】
図2Bに示されるように、例えば、無電解銅めっき処理等の無電解めっき処理が行われ、中間体の表面(ソルダーレジスト層16の表面および第1および第2の開口16a,16bの側面)上と導体パッド14a,14b上の図示しない下地層上とにシード層36が形成される。
【0026】
図2Cに示されるように、シード層36上に、第1および第2のバンプ20,22(図1)の形成予定部位に開口38a,38bを有する所定パターンのめっきレジスト38が形成される。
【0027】
図2Dに示されるように、電解めっき処理が行われ、シード層36の、めっきレジスト38の開口38a,38b内に露出する部分のうち、ソルダーレジスト層16の第1および第2の開口16a,16b内の部分の上に、例えば銅を主成分とする第1のベースめっき層および第2のベースめっき層が形成され、続いてそれら第1のベースめっき層および第2のベースめっき層上および、シード層36の、めっきレジスト38の開口38a,38b内に露出する部分のうち残りの部分上に一体的に、第1のベースめっき層および第2のベースめっき層と同じ金属、例えば銅を主成分とする第1のポストおよび第2のポストが形成されて、第1のベースめっき層とその上の第1のポストとが第1のめっきポスト24とされ、第2のベースめっき層とその上の第2のポストとが第2のめっきポスト30とされる。
【0028】
図2Eに示されるように、第1および第2のめっきポスト24,30を形成する際には、ソルダーレジスト層16の表面からの第1および第2のめっきポスト24,30の上端面24a,30aの高さが5μm~17μmの範囲内で互いに揃うように、第1および第2のめっきポスト24,30の上端部がめっきレジスト38の上端部と一緒に研磨機で水平に研磨され、研磨前よりも好ましくは5μm程度低くされる。
【0029】
図2Fに示されるように、エッチング処理が行われ、第1および第2のめっきポスト24,30の上端面24a,30aの高さが、好ましくは2μm程度、めっきレジスト38の上端面より低くされ、互いに実質上同一とされる。
【0030】
図2Gに示されるように、例えば電解めっき処理が行われ、めっきレジスト38の開口38a内で第1および第2のめっきポスト24,30の上端面24a,30a上に、例えばニッケル層とニッケル層上に形成されたパラジウム層とパラジウム層上に形成された金層とからなる第1および第2の中間層26,32が形成される。第1および第2の中間層26,32の厚みは、好ましくは7μm以下とされ、互いに実質上同一とされる。
【0031】
図2Hに示されるように、めっきレジスト38上に、例えばドライフィルムレジストからなり、第1および第2のバンプ20,22(図1)の形成予定部位の中央部に開口40a,40bを有する所定パターンのめっきレジスト40が形成される。めっきレジスト40の厚みと開口40a,40bの直径は、開口40a,40b内に形成される後述の第1および第2のトップめっき層28,34の高さが互いに揃うように調整される。
【0032】
図2Iに示されるように、電解めっき処理が行われ、めっきポスト24,30の上端面24a,30a上に第1および第2の中間層26,32を介在させて第1および第2のトップめっき層28,34が形成される。第1および第2のトップめっき層28,34は、第1および第2のめっきポスト24,30よりも融点が低くリフロー処理により溶融して略半球状に整形される金属、例えばスズを主成分とする金属からなる。第1および第2のトップめっき層28,32の厚みは、好ましくは20μm~40μmの範囲内で、互いに実質上同一とされる。
【0033】
図2Jに示されるように、めっきレジスト38,40が剥離される。また、めっきレジスト38,40の除去により露出したシード層36の部分がエッチングにより除去される。
【0034】
図2Kに示されるように、リフロー処理が行われ、第1のトップめっき層28および第2のトップめっき層34が略半球状に整形される。
【0035】
このリフロー処理により、第1および第2の導体パッド14a、14bに近い側から、ニッケル層、パラジウム層および金層が積層された下地層と、例えば銅のめっきポストと、例えばニッケル層、パラジウム層および金層が積層された中間層と、スズのトップめっき層とからなる第1のバンプ20および第2のバンプ22が形成される。
【0036】
また、リフロー処理により略半球状に整形された第1のトップめっき層28の、ソルダーレジスト層16の表面からの高さH1は、リフロー処理により略半球状に整形された第2のトップめっき層34の、ソルダーレジスト層16の表面からの高さH2と実質的に同一にされ、第1および第2のバンプ20,22の高さが揃えられて、第1および第2のバンプ20,22の高さのばらつきがほとんどもしくは実質上全くなくなる。
【0037】
<本発明の他の一実施形態のプリント配線板の製造方法について>
以下、図1に示すプリント配線板10を製造するための、本発明の他の一実施形態に係るプリント配線板の製造方法を、図3A図3Dを参照して説明する。
【0038】
図3Aには、図2Fに示されたものと同じ状態まで先の実施形態と同様にして形成された中間体が示されている。第1のめっきポスト24と第2のめっきポスト30は、めっきレジスト38の上端部と一緒に水平に研磨されて互いに高さを揃えられた後、エッチングされてそれらの高さを、好ましくは2μm程度、めっきレジスト38の上端面より低くされて、互いに実質上同一とされている。
【0039】
図3Bに示されるように、めっきレジスト38上に、例えばドライフィルムレジストからなり、第1および第2のバンプ20,22(図1)の形成予定部位の中央部に開口40a,40bを有する所定パターンのめっきレジスト40が形成される。めっきレジスト40の厚みと開口40a,40bの直径は、開口40a,40b内に形成される後述の第1および第2のトップめっき層28,34の高さが互いに揃うように調整される。
【0040】
図3Cに示されるように、例えば電解めっき処理が行われ、めっきレジスト38の開口38a,38b内で第1および第2のめっきポスト24,30の上端面24a,30a上に、例えばニッケルを主成分とする第1および第2の中間層26,32が形成される。第1および第2の中間層26,32の厚みは、好ましくは7μm以下で、互いに実質上同一とされる。
【0041】
図3Dに示されるように、電解めっき処理が行われ、めっきポスト24,30の上端面24a,30a上に第1および第2の中間層26,32を介在させて第1および第2のトップめっき層28,34が形成される。第1および第2のトップめっき層28,34は、第1および第2のめっきポスト24,30よりも融点が低くリフロー処理により溶融して略半球状に整形される金属、例えばスズを主成分とする金属からなる。第1および第2のトップめっき層28,32の厚みは、好ましくは20μm~40μmの範囲内で、互いに実質上同一とされる。
【0042】
先の実施形態の図2J図2Kに示される手順と同様にして、めっきレジスト38,40が剥離され、めっきレジスト38,40の除去により露出したシード層36の部分がエッチングにより除去され、その後、リフロー処理が行われて、第1のトップめっき層28および第2のトップめっき層34が略半球状に整形される。
【0043】
このリフロー処理により、第1および第2の導体パッド14a、14bに近い側から、ニッケル層、パラジウム層および金層が積層された下地層と、例えば銅のめっきポストと、例えばニッケルを主とした中間層と、スズのトップめっき層とからなる第1のバンプ20および第2のバンプ22が形成される。
【0044】
また、リフロー処理により略半球状に整形される第1のトップめっき層28の、ソルダーレジスト層16の表面からの高さH1は、リフロー処理により略半球状に整形される第2のトップめっき層34の、ソルダーレジスト層16の表面からの高さH2と実質的に同一にされ、第1および第2のバンプ20,22の高さが揃えられて、第1および第2のバンプ20,22の高さのばらつきがほとんどもしくは実質上全くなくなる。
【符号の説明】
【0045】
10 プリント配線板
12 基部絶縁層
14 導体層
14a 第1の導体パッド
14b 第2の導体パッド
16 ソルダーレジスト層
16a 第1の開口
16b 第2の開口
20 第1のバンプ
22 第2のバンプ
24 第1のめっきポスト
24a,30a 上端面
26 第1の中間層
28 第1のトップめっき層
30 第2のめっきポスト
32 第2の中間層
34 第2のトップめっき層
36 シード層
38,40 めっきレジスト
38a,38b,40a,40b 開口
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図2F
図2G
図2H
図2I
図2J
図2K
図3A
図3B
図3C
図3D
図4