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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】プッシュスイッチ及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/52 20060101AFI20231106BHJP
【FI】
H01H13/52 F
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019167559
(22)【出願日】2019-09-13
(65)【公開番号】P2021044222
(43)【公開日】2021-03-18
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100160716
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 力
(72)【発明者】
【氏名】天野 惣一郎
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-020224(JP,U)
【文献】特開平01-255119(JP,A)
【文献】特開2005-183302(JP,A)
【文献】特開2003-346601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00 - 13/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に配置された第1固定接点と、
前記第1固定接点の周囲に配置された第2固定接点と、
凸型のドーム形状を有し、端部が前記第2固定接点に接するように前記基板の表面に配置され、押下された場合に、中央部が前記第1固定接点と接触する第1可動接点と、
凸型のドーム形状を有し、前記第1可動接点の上方に配置された第2可動接点と、
前記第2可動接点の中央部が貫通可能な貫通孔が形成され、前記第1可動接点と前記第2可動接点との間に配置された保持シートと、
前記基板上に配置されることで、前記第1固定接点、前記第2固定接点、第1可動接点及び前記第2可動接点を収容する収納部を基板と共に形成するケース部材と、
前記収納部を覆うように前記ケース部材の表面に接着される保護カバーと、を有し、
前記保持シートは、前記第1可動接点及び前記第2可動接点に挟持される、ことを特徴とするプッシュスイッチ。
【請求項2】
前記保持シートの端部は、前記ケース部材に少なくとも1か所で支持される、請求項1に記載のプッシュスイッチ。
【請求項3】
前記保持シートの端部は、前記ケース部材に全面に亘って支持される、請求項1に記載のプッシュスイッチ。
【請求項4】
前記保持シートは、前記貫通孔の外縁が、前記第2可動接点の内側の端部よりも外側であり、且つ、前記第2可動接点の外側の端部よりも内側である位置になるように配置される、請求項1~3の何れか一項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項5】
前記保持シートは、ケース部材に保持される、請求項1~4の何れか一項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項6】
前記保持シートは、前記基板と前記ケース部材とに保持される、請求項1~4の何れか一項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項7】
前記第1固定接点の高さは、前記第2固定接点の高さと等しい、請求項1~6の何れか一項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項8】
前記第1固定接点に接続された第1電極と、
前記第2固定接点に接続された第2電極と、を更に有し、
前記第1電極及び前記第2電極は、ケース部材の直下に配置される、請求項6に記載のプッシュスイッチ。
【請求項9】
前記第1固定接点及び前記第2固定接点は、前記基板の表面と同一面を形成する、請求項8に記載のプッシュスイッチ。
【請求項10】
前記第2可動接点の高さは、前記第1可動接点の高さよりも高い、請求項1~9の何れか一項に記載のプッシュスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プッシュスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器の操作ボタンとして採用されるプッシュスイッチのクリック感を向上させる種々の技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、クリック感を向上させるために、先端面に凹みを有する可とう性の押圧部材によってクリック板を押下するプッシュスイッチが記載されている。特許文献1に記載される押圧部材は、先端面の径に対して径の大きさが40~80%であり、最大深さが柱状凸部先端面をクリック板のドーム部外表面に垂直投影したときの投影領域内でのドーム部外表面の高低差の80~160%である。
【0004】
特許文献1に記載されるプッシュスイッチは、押圧の際の柱状凸部とクリック板のドーム部との接触面積が増大し、押圧時における柱状凸部の弾性変形とクリック板のドーム部の屈曲領域を最小に留めて、屈曲部への応力を集中させることができる。特許文献1に記載されるプッシュスイッチは、屈曲部への応力を集中させることができるので、可とう性樹脂製のクリック板を用いても、金属製ドーム体を用いた押釦スイッチのような良好なクリック感が実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平9-167540号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されるプッシュスイッチでは、先端部がクリック板の頂部に一致するように精度高く配置する必要があり、押圧部材が配置される位置を高精度に設定可能な製造装置が使用されるため、製造コストが上昇するおそれがある。
【0007】
本発明は、クリック感が良好であり、且つ、より低い製造コストで可能なプッシュスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るプッシュスイッチは、基板と、基板上に配置された第1固定接点と、第1固定接点の周囲に配置された第2固定接点と、凸型のドーム形状を有し、端部が第2固定接点に接するように基板の表面に配置され、押下された場合に、中央部が第1固定接点と接触する第1可動接点と、凸型のドーム形状を有し、第1可動接点の上方に配置された第2可動接点と、第2可動接点の中央部が貫通可能な貫通孔が形成され、第1可動接点と第2可動接点との間に配置された保持シートと、基板上に配置されることで、第1固定接点、第2固定接点、第1可動接点及び第2可動接点を収容する収納部を基板と共に形成するケース部材と、収納部を覆うようにケース部材の表面に接着される保護カバーとを有する。
【0009】
さらに、本発明に係るプッシュスイッチでは、保持シートの端部は、ケース部材に少なくとも1か所以上で支持されることが好ましい。
【0010】
さらに、本発明に係るプッシュスイッチでは、保持シートの端部は、ケース部材に全面に亘って支持されることが好ましい。
【0011】
さらに、本発明に係るプッシュスイッチでは、保持シートは、貫通孔の外縁が、第2可動接点の内側の端部よりも外側であり、且つ、第2可動接点の外側の端部よりも内側である位置になるように配置されることが好ましい。
【0012】
さらに、本発明に係るプッシュスイッチでは、保持シートは、ケース部材に保持されることが好ましい。
【0013】
さらに、本発明に係るプッシュスイッチでは、保持シートは、基板とケース部材とに保持されることが好ましい。
【0014】
さらに、本発明に係るプッシュスイッチでは、第1固定接点の高さは、第2固定接点の高さと等しいことが好ましい。
【0015】
さらに、本発明に係るプッシュスイッチでは、第1固定接点に接続された第1電極と、第2固定接点に接続された第2電極と、を更に有し、第1電極及び第2電極は、ケース部材の直下に配置されることが好ましい。
【0016】
さらに、本発明に係るプッシュスイッチでは、第1固定接点及び第2固定接点は、基板の表面と同一面を形成することが好ましい。
【0017】
さらに、本発明に係るプッシュスイッチでは、第2可動接点の高さは、第1可動接点の高さよりも高いことが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るプッシュスイッチは、クリック感が良好であり、且つ、より低い製造コストで製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係るプッシュスイッチの斜視図である。
図2図1に示すプッシュスイッチの分解斜視図である。
図3】(a)は図1に示すプッシュスイッチの平面図であり、(b)は図1に示すプッシュスイッチの側面図(その1)であり、(c)は図1に示すプッシュスイッチの側面図(その2)である。
図4図1に示すA-A線に沿う断面図(その1)であり、(b)は図1に示すA-A線に沿う断面図(その2)である。
図5】第2実施形態に係るプッシュスイッチの斜視図である。
図6図5に示すプッシュスイッチの分解斜視図である。
図7】(a)は図5に示すプッシュスイッチの平面図であり、(b)は図5に示すプッシュスイッチの側面図(その1)であり、(c)は図5に示すプッシュスイッチの側面図(その2)である。
図8図5に示すA-A線に沿う断面図(その1)であり、(b)は図5に示すA-A線に沿う断面図(その2)である。
図9】第1固定接点及び第2固定接点を基板に埋入する方法を示す図であり、(a)は第1工程を示す図であり、(b)は第2工程を示す図であり、(c)は第3工程を示す図である。(d)は(a)のC-C線に沿う断面図であり、(e)は(a)のD-D線に沿う断面図であり、(f)は(a)のE-E線に沿う断面図であり、(g)は第4工程を示す断面図である。
図10】(a)は変形例に係るプッシュスイッチの斜視図(その1)であり、(b)は変形例に係るプッシュスイッチの斜視図(その2)であり、(c)は図1に示すC-C線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本開示の一側面に係るプッシュスイッチ及びプッシュスイッチの製造方法について図を参照しつつ説明する。但し、本開示の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0021】
(実施形態に係るプッシュスイッチの構成及び機能)
図1は実施形態に係るプッシュスイッチの斜視図である。図2図1に示すプッシュスイッチの分解斜視図である。図3(a)は図1に示すプッシュスイッチの平面図であり、図3(b)は図1に示すプッシュスイッチの側面図(その1)であり、図3(c)は図1に示すプッシュスイッチの側面図(その2)である。図3(b)は図3(a)の矢印Cから見た側面図であり、図3(c)は図3(a)の矢印Bから見た側面図である。図4(a)は図1に示すA-A線に沿う断面図(その1)であり、図4(b)は図1に示すA-A線に沿う断面図(その2)である。
【0022】
プッシュスイッチ1は、基板10と、第1固定接点11と、第2固定接点12と、第1可動接点13と、第2可動接点14と、保持シート15と、ケース部材16と、押圧部材17と、保護カバー18と、第1電極21と、第2電極22とを有する。
【0023】
基板10は、ガラスエポキシ等の樹脂材により構成される。第1固定接点11は、円形の平面形状を有する銅等の金属で形成された導電性薄膜であり、基板の表面の中央部に配置される。第2固定接点12は、枠状の平面形状を有する銅等の金属で形成された導電性薄膜であり、第1固定接点の周囲に配置される。第1固定接点11の高さは、第2固定接点12の高さと等しいか、低く設定される。
【0024】
第1可動接点13及び第2可動接点14は、薄くドーム状に形成されたステンレス鋼及び黄銅等の弾性を有する導電性部材により形成され、同一の形状を有する。第1可動接点13及び第2可動接点14は、例えば凸型のドーム状の板バネ部材を切断して形成される、対向する辺を有する俵型形状であってよい。また、第1可動接点13及び第2可動接点14は、円形形状及びドーム状等の他の形状であってもよい。
【0025】
第1可動接点13は周縁部31と中央部32とを有する。第1可動接点13の周縁部31の少なくとも一部は第2固定接点12に接する。第2可動接点14は周縁部41と中央部42とを有する。第2可動接点14の周縁部41は、保持シート15を介して第1可動接点13の周縁部31に支持される。第2可動接点14の中央部42は、第1可動接点13の中央部32の上方に離隔して配置される。
【0026】
第1可動接点13の中央部32は、図4(a)に示すように、押圧部材17が押下されていないとき、第1固定接点11と離隔する位置に配置される。押圧部材17が押下されていないとき、第1固定接点11と第1可動接点13とが離隔するため、第1固定接点11に接続される第1電極21と、第2固定接点12に接続される第2電極22との間は導通せず、プッシュスイッチ1はオフ状態となる。
【0027】
第1可動接点13の中央部32及び第2可動接点14の中央部42は、押圧部材17が押下されることに応じて、図4(b)に示すように、押圧部材17と共に基板10の方向に移動する。まず、押圧部材17に押下される第2可動接点14の中央部42が、第1可動接点13の中央部32に接触する。次いで、第1可動接点13の中央部32及び第2可動接点14の中央部42は、接触しながら反転動作して、第1固定接点11に接触する。第1固定接点11に接触したとき、第1固定接点11に接続される第1電極21と、第2固定接点12に接続される第2電極22との間は導通し、プッシュスイッチ1はオン状態となる。押圧部材17が押下されなくなると、第1可動接点13及び第2可動接点14が弾性により元の形状に復元し、第1可動接点13の中央部32が基板10から離隔する方向に移動して第1固定接点11から離れ、プッシュスイッチ1はオフ状態となる。
【0028】
保持シート15は、第2可動接点14の中央部42が貫通可能な貫通孔50が形成された矩形のシート部材であり、ポリイミド等の樹脂材料で形成される。保持シート15の厚さは、クリック感が向上する厚さであればよく、一例では12.5μmであり、他の例では25μmである。保持シート15は、第1可動接点13と第2可動接点14との間に挟持されたときに、削れ難い材料であれば、軟らかい材料で形成されてもよく、硬い材料で形成されてもよい。しかしながら、軟らかい材料で保持シート15を形成すると、第1可動接点13の中央部32と第2可動接点14の中央部42との間の距離が一定にならずに好ましくない。また、硬い材料で保持シート15を形成すると、第1可動接点13の中央部32と第2可動接点14の中央部42とに挟持されたときに破損するおそれがあり、好ましくない。
【0029】
保持シート15は、貫通孔50の外縁が、第2可動接点14の内側の端部よりも外側であり、且つ、第2可動接点14の外側の端部よりも内側である位置になるように配置される。
【0030】
ケース部材16は、第1ケース部材61と、第2ケース部材62とを有する。第1ケース部材61及び第2ケース部材62は、中央領域に第1可動接点13及び第2可動接点14を配置可能な穴が開口している枠状の形状を有し、ポリイミド等の樹脂材料で形成される。ケース部材16は、基板10上に配置されることで、第1固定接点11、第2固定接点12、第1可動接点13、第2可動接点14及び押圧部材17を収容する収納部を基板10と共に形成する。
【0031】
第1ケース部材61及び第2ケース部材62の外枠の形状は、基板10の外周略同形状である。第1ケース部材61の裏面は、例えば、不図示の接着層を介して基板10に接着されることで固定されてよい。第1ケース部材61の表面及び第2ケース部材62の裏面は、例えば不図示の接着層を介して保持シート15の外縁を保持する。
【0032】
押圧部材17は、円柱形状のポリイミド等の樹脂材料で形成され、第2可動接点14の中央部42の上方に配置される。押圧部材17を配置することで、プッシュスイッチ1の押下操作の操作性が向上する。なお、実施形態に係るプッシュスイッチでは、押圧部材17は、直方体形状等の円柱形状以外の形状としてもよい。また、実施形態に係るプッシュスイッチでは、押圧部材17は、省略されてもよい。
【0033】
保護カバー18は、ポリイミド等の可とう性を有する合成樹脂で形成されたシート材であり、基板10及びケース部材16によって形成された収納部を覆うようにケース部材16の表面に接着される。
【0034】
第1電極21及び第2電極22は、基板10の裏面に配置され、第1固定接点11及び第2固定接点12のそれぞれに電気的に接続される。
【0035】
プッシュスイッチ1は、以下の工程により製造される。まず、基板10に接着層を介して第1ケース部材61を配置して収納部を形成する収容部形成工程が実行される。次いで、形成された収容部に、第1可動接点13、第2可動接点14、保持シート15及び押圧部材17に順次配置する可動接点配置工程が実行される。次いで、第2ケース部材62を接着層を介して第2ケース部材62及び上で保護カバー18を上方に配置する保護カバー配置工程が実行される。そして、第1可動接点13、第2可動接点14、保持シート15、ケース部材16、押圧部材17及び保護カバー18が配置された基板10をリフローするリフロー工程が実行されて、プッシュスイッチ1が製造される。なお、複数の基板10を形成可能な集合基板を使用して、複数のプッシュスイッチ1が一括して製造されてもよい。
【0036】
(第1実施形態に係るプッシュスイッチの作用効果)
プッシュスイッチ1は、保持シート15を介して第1可動接点13及び第2可動接点14が配置されるので、保持シート15の厚みに対応する距離だけ押圧部材が移動する移動距離が伸びるので、クリック感を向上させることができる。なお、プッシュスイッチ1は、保持シート15を介して第1可動接点13及び第2可動接点14を配置することでクリック感を向上できるので、製造コストを大幅に上昇させることはない。
【0037】
また、プッシュスイッチ1では、保持シート15に第2可動接点14の中央部42が貫通可能な貫通孔が形成されるので、保持シート15が第1可動接点13の中央部32と第2可動接点14の中央部42との接触に干渉してクリック感を低下させることはない。
【0038】
また、プッシュスイッチ1では、保持シート15の貫通孔50の外縁が、第2可動接点14の内側の端部よりも外側であり、且つ、第2可動接点14の外側の端部よりも内側である位置になるので、第2可動接点14の反転動作に干渉するおそれはない。
【0039】
また、プッシュスイッチ1では、保持シート15の端部は、ケース部材16に全面に亘って支持されるので、保持シート15がプッシュスイッチ1の内部で移動して第1可動接点13及び第2可動接点14との位置関係が変化するおそれはない。
【0040】
(第2実施形態に係るプッシュスイッチの構成及び機能)
図5は、第2実施形態に係るプッシュスイッチの斜視図である。図6は、図5に示すプッシュスイッチの分解斜視図である。図7(a)は図5に示すプッシュスイッチの平面図であり、図7(b)は図5に示すプッシュスイッチの側面図(その1)であり、図7(c)は図5に示すプッシュスイッチの側面図(その2)である。図7(b)は図7(a)の矢印Cから見た側面図であり、図7(c)は図7(a)の矢印Bから見た側面図である。図8(a)は図5に示すB-B線に沿う断面図(その1)であり、図8(b)は図5に示すB-B線に沿う断面図(その2)である。
【0041】
プッシュスイッチ2は、基板70、第1固定接点71、第2固定接点72、第1電極81及び第2電極82を基板10、第1固定接点11、第2固定接点12、第1電極21及び第2電極22の代わりに有することがプッシュスイッチ1と相違する。また、プッシュスイッチ2は、第1導通部73及び第2導通部74を有することがプッシュスイッチ1と相違する。基板70~第2導通部74以外のプッシュスイッチ2の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付されたプッシュスイッチ1の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0042】
基板70は、第1固定接点71、第2固定接点72、第1導通部73及び第2導通部74が基板70に埋入されることが基板10と相違する。第1固定接点71、第2固定接点72、第1導通部73及び第2導通部74が埋入されること以外の基板70の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付された基板10の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0043】
第1固定接点71及び第2固定接点72は、第1固定接点11及び第2固定接点12と同様に、銅等の金属で形成された導電性薄膜である。第1導通部73及び第2導通部74は、銅等の金属で形成された導電性薄膜である。第1導通部73は、基板70に埋設される接続部を介して第1固定接点71と電気的に接続されると共に、第1電極81に接触することで第1電極81に電気的に接続される。第2導通部74は、基板70に埋設される接続部を介して第2固定接点72と電気的に接続されると共に、第2電極82に接触することで第2電極82に電気的に接続される。
【0044】
第1電極81及び第2電極82は、基板70の短辺の中央部に形成された半円状の切り欠きに充填された導電性材料で形成された電極である。基板70の短辺の中央部に形成された半円状の切り欠きは、ケース部材16の直下に位置し、第1電極81及び第82は、ケース部材16の直下に配置される。第1電極81は第1導通部73を介して第1固定接点71に接続され、第2電極82は第2導通部74を介して第2固定接点72に接続される。
【0045】
図9は、第1固定接点71、第2固定接点72、第1導通部73及び第2導通部74等を基板70に埋入する方法を示す図である。図9(a)は第1工程を示す図であり、図9(b)は第2工程を示す図であり、図9(c)は第3工程を示す図である。図9(d)は図9(a)のC-C線に沿う断面図であり、図9(e)は図9(a)のD-D線に沿う断面図であり、図9(f)は図9(a)のE-E線に沿う断面図であり、図9(g)は第4工程を示す断面図である。
【0046】
まず、第1工程において、基板70の表面101に第1固定接点71、第2固定接点72、第1導通部73、第2導通部74、第1接続部75及び第2接続部76が形成される。第1固定接点71、第2固定接点72、第1導通部73、第2導通部74、第1接続部75及び第2接続部76は、例えば銅等の金属を表面101に蒸着した後に、エッチングすることにより形成される。
【0047】
そして、第2工程において、第1接続部75及び第2接続部76がエッチングされる。第1接続部75及び第2接続部76がエッチングされる深さは、例えば25μmである。
【0048】
次いで、第3工程において、第1固定接点71、第2固定接点72、第1導通部73及び第2導通部74を除く基板70の表面101にレジストをパターニングする。第3工程において、表面101にレジストをパターニングすることで、第1接続部75及び第2接続部76が表面101に埋設される。
【0049】
そして、第4工程において、第1固定接点71、第2固定接点72、第1導通部73及び第2導通部74並びに第3工程でパターニングされたレジストを研磨する。第4工程を実行することで、第1固定接点71、第2固定接点72、第1導通部73及び第2導通部74を、基板70の表面101と同一面を形成するように基板70に埋入する処理が終了する。
【0050】
(実施形態に係るプッシュスイッチの変形例)
プッシュスイッチ1及び2では、保持シート15の端部は、ケース部材16に全面に亘って支持されるが、実施形態に係るプッシュスイッチでは、保持シートは、ケース部材に保持されなくてもよい。保持シートは、ケース部材に保持されないとき、第1可動接点及び第2可動接点に挟持されることで、保持される。保持シートが、第1可動接点と第2可動接点とに保持されるとき、保持シートの面積は、第1可動接点の面積よりも小さくてもよい。
【0051】
また、プッシュスイッチ1及び2では、保持シート15は、ケース部材16に保持されるが、実施形態に係るプッシュスイッチでは、保持シートは、基板とケース部材とに保持されてもよい。保持シートが基板とケース部材とに保持されることで、ケース部材が第1ケース部材61及び第2ケース部材62の2つの部材ではなく、単一の部材で形成可能となり、部材が削減されて製造コストを低減することができる。なお、保持シートが、基板とケース部材とに保持されるとき、保持シートの面積は、第1可動接点の面積よりも大きい。
【0052】
なお、実施形態に係るプッシュスイッチでは、保持シートは、ケース部材に少なくとも1か所で支持されることが好ましい。保持シートは、1か所で支持されるよりも2か所で支持される方が好ましく、2か所で支持されるよりも3か所で支持される方が好ましい。
【0053】
また、プッシュスイッチ1及び2では、保持シート15がケース部材16に保持される位置の高さは、保持シート15が第1可動接点13及び第2可動接点14に挟持される位置の高さより高いが、実施形態に係るプッシュスイッチでは、これら高さ関係は反対でもよい。すなわち、実施形態に係るプッシュスイッチでは、保持シートがケース部材に保持される位置の高さは、保持シートが第1可動接点及び第2可動接点に挟持される位置の高さより低くてもよい。
【0054】
また、プッシュスイッチ1及び2では、第1可動接点13及び第2可動接点14の2つの可動接点が重畳して配置されるが、実施形態に係るプッシュスイッチでは、3つ以上の可動接点が重畳して配置されてもよい。3つ以上の可動接点が重畳して配置されるとき、何れか2つの可動接点の間に保持シートが挟持されていればよいが、全ての可動接点の間に保持シートが挟持されてもよい。
【0055】
また、プッシュスイッチ1及び2では、第1可動接点13及び第2可動接点14は、同一形状を有するが、実施形態に係るプッシュスイッチでは、第1可動接点の形状と第2可動接点の形状は、相違してもよい。例えば、下方に配置される第1可動接点を板状の接点部材とし、上方に配置される第2可動接点を第1可動接点よりも高さが高いドーム状の接点部材としてもよい。第1可動接点の高さよりも第2可動接点の高さを高くすることで、第1可動接点及び第2可動接点の中央部の間の離隔距離が長くなり、クリック感が向上する。
【0056】
また、プッシュスイッチ1及び2では、保持シート15及び貫通孔50の双方は、矩形の平面形状を有するが、実施形態に係るプッシュスイッチでは、保持シート15及び貫通孔50の少なくとも一方は、円形の平面形状を有してもよい。
【0057】
また、プッシュスイッチ1及び2では、基板10及び70は、平板状の基板であるが、実施形態に係るプッシュスイッチでは、基板は、L字型の断面形状を有し、実装基板の端部に実装可能であってもよい。
【0058】
図10(a)は実装基板の端部に実装可能なプッシュスイッチの斜視図(その1)であり、図10(b)は実装基板の端部に実装可能なプッシュスイッチの斜視図(その2)であり、図10(c)は図10(a)に示すC-C線に沿う断面図である。
【0059】
プッシュスイッチ3は、基板90、第1電極91及び第2電極92を基板70、第1電極81及び第2電極82の代わりに有することが、プッシュスイッチ2と相違する。基板90、第1電極91及び第2電極92以外のプッシュスイッチ3の構成要素の構成及び機能は、同一符号が付されたプッシュスイッチ2の構成要素の構成及び機能と同一なので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0060】
基板90は、実装基板の端部に実装可能なように、L字型の断面形状を有する。第1電極91及び第2電極92は、基板90の長手方向を貫通するように配置され、第1固定接点71及び第2固定接点72にそれぞれ電気的に接続される。
【符号の説明】
【0061】
1、2、3 プッシュスイッチ
10、70、90 基板
11、71、91 第1固定接点
12、72、92 第2固定接点
13 第1可動接点
14 第2可動接点
15 保持シート
16 ケース部材
17 押圧部材
18 保護カバー
図1
図2
図3
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図5
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図8
図9
図10