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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】セルフ給油管理システム
(51)【国際特許分類】
   B67D 7/32 20100101AFI20231106BHJP
   H04N 7/18 20060101ALN20231106BHJP
【FI】
B67D7/32 A
H04N7/18 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019223999
(22)【出願日】2019-12-11
(65)【公開番号】P2021091459
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(72)【発明者】
【氏名】西野 圭太
(72)【発明者】
【氏名】清水 陽一郎
【審査官】古▲瀬▼ 裕介
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-198998(JP,A)
【文献】特開2017-003086(JP,A)
【文献】特開2003-182799(JP,A)
【文献】特開2005-067684(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0308964(US,A1)
【文献】国際公開第2018/051399(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 7/32
B60S 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セルフ給油ステーションにおける利用者の車両への給油操作を前記セルフ給油ステーションに隣接して設けられた店舗で管理するセルフ給油管理システムであって、
前記車両への給油操作を監視して前記利用者の行動を判定する監視装置と、
前記監視装置の監視情報及び判定結果を出力するとともに前記給油操作の管理情報を入力する管理端末と、
前記判定結果及び前記管理情報に応じて前記給油操作を制御する制御装置と、
を備え、
前記監視装置及び前記制御装置は前記セルフ給油ステーションに配置し、
前記管理端末は前記店舗に配置した、
ことを特徴とするセルフ給油管理システム。
【請求項2】
前記監視装置及び前記制御装置は、前記セルフ給油ステーションに什器化して配置したことを特徴とする請求項1に記載のセルフ給油管理システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記監視装置が利用者の行動を正常行動と判断する場合、前記給油操作を許可し、前記監視装置が利用者の行動を正常行動と判断しない場合、前記管理端末に入力される前記給油操作の管理情報に基づいて前記給油操作を許可または禁止する
ことを特徴とする請求項1または2項に記載のセルフ給油管理システム。
【請求項4】
前記監視装置は、過去の実績データに基づいて前記利用者の行動を判定する
ことを特徴とする請求項1~3項のいずれかに記載のセルフ給油管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルフ給油管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のセルフ給油ステーションでは、セルフ給油ステーションの建屋の制御室にて監視員が給油を行う利用者を目視、あるいは監視モニターで利用者の給油行動、安全性、危険行動等の異常行動を監視し、制御装置により給油許可を出していた。また、給油時にディスペンサの異常、利用者に不審者等を監視カメラ画像で発見した場合は、監視員がセルフ給油ステーションまで出向き、再確認を実施する対応を行なっていた。
【0003】
ここで、特許文献1には、セルフ給油ステーションの事務所等の屋内に設置される屋内機器と、給油を行なう屋外機器とからなり、屋内機器としては、給油制御装置、監視モニター、分割表示装置、POS端末機、インタフォン等が設けられている記載と、屋内機器が屋外機器と分離されて図示された構成図が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、物販店(コンビニエンスストア)をセルフ給油ステーションの給油エリアと併設し、セルフ給油ステーションにおける顧客による燃料補給状態を物販店室内から、エネルギー管理士、危険物取扱主任者の資格を有する店員が安全確保の面で監視するシステム構成が開示されている。
【0005】
また、特許文献3では、セルフ給油方式で顧客の給油作業を確認する必要があり、人員を給油機の近辺に常駐させることは経営効率の点で損失となる理由から、コンビニPOSレジスタとガソリンPOSを接続し、総合型販売管理システムを構築する技術が開示されている。
【0006】
なお、この特許文献3では、店舗内のカウンタ上に設置されたディスプレイを見て、係員によりセルフ給油装置の安全性が確認されるまで給油動作を禁止し、安全性が係員により確認されたときに係員の操作により給油禁止処理を解除するセルフ給油監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平11-198998号公報
【文献】特開2003-182799号公報
【文献】特開2017-3086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
既存の物販店等にセルフ給油ステーションを併設する場合、当該物販店等の店員が利用者の給油操作等を監視する等の物販店等の店員の作業負荷が増大するだけでなく、物販店等に対して危険物を扱う給油ステーション内で発生する可能性のある火災等から人命や財産を守るための(消防法の規制に適合する)防火耐火対策等が必要となる。これらの防火耐火対策等をしないために、構内通路Lを設けるなどして、火災の可能性の高い給油ステーションからの安全を確保して、(消防法上も)給油ステーションの外にある安全な周辺エリアとすることが考えられるが、給油ステーション内には危険物を管理する店員の配置と、店員が顧客の給油行動を監視するための監視用の建物が必要であった。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、セルフ給油ステーションと物販店等とを併設する場合、物販店等の店員の作業負荷を軽減できるだけでなく、物販店等に対してセルフ給油ステーション内の施設とはせずに要求されるような防火耐火対策がなくても、また給油ステーション内に店員の配置や店員が顧客の給油行動を監視するための監視用の建物をつくらなくても、顧客が安全に給油するために必要なセルフ給油管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係るセルフ給油管理システムは、
セルフ給油ステーションにおける利用者の車両への給油操作を前記セルフ給油ステーションに隣接して設けられた物販店等で管理するセルフ給油管理システムであって、車両への給油操作を監視して利用者の行動を判定する監視装置と、監視装置の監視情報及び判定結果を出力するとともに給油操作の管理情報を入力する管理端末と、判定結果及び管理情報に応じて給油操作を制御する制御装置とを備え、監視装置及び制御装置はセルフ給油ステーションに配置し、管理端末は物販店等に配置したことを特徴とする。
【0011】
監視装置及び制御装置は什器化されてセルフ給油ステーションに配置するのが好ましい。
【0012】
制御装置は、監視装置が利用者の行動を正常行動と判断する場合、給油操作を許可し、監視装置が利用者の行動を正常行動と判断しない場合、管理端末に入力される給油操作の管理情報に基づいて給油操作を許可または禁止することを特徴とするのが好ましい。
【0013】
また、監視装置は、過去の実績データに基づいて前記利用者の行動を判定することを特徴とするのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るセルフ給油管理システムによれば、セルフ給油ステーションと物販店等とを併設する場合、物販店等の店員の作業負荷を軽減できるだけでなく、物販店等の防火耐火対策もセルフ給油ステーションで要求されるような防火耐火対策や顧客を監視する店員のための建物を不要とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態に係るセルフ給油管理システムの構成の一例を示す図である。
図2図2は、図1に示すセルフ給油管理システムに適用される筐体の一例を示す概念図である。
図3図3は、図1に示すセルフ給油管理システムにおける制御方法のフローの一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本開示の実施形態に係るセルフ給油許可システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0017】
図1に示すように、セルフ給油管理システム100は、敷地20に配置されている。
【0018】
この敷地20は、セルフ給油ステーション21と、このセルフ給油ステーション21の敷地に隣接して併設された物販店等10が設けられている周辺エリア22と、セルフ給油ステーション21と周辺エリア22との間に設けられた構内通路R1とに区画されている。
【0019】
なお、当該物販店等10は、例えば、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、ドラッグストア、携帯ショップ、又は大型複合施設の何れ等の物品を販売する店舗や、理髪店、クリーニング店、ランドリー店、又はマッサージ店の何れか等のサービスを提供する店舗を含む店舗である。
【0020】
また、構内通路R1は、給油される車両Wとは異なる消火のための消防車や救急車等の緊急用車両(図示せず)が通行可能な所定のスペースとなっている。この構内通路R1は、車両Wが通行するための一般通路R2に接続されている。
【0021】
セルフ給油ステーション21には、ディスペンサD、監視装置(AIロボット)Y、制御装置SSC、監視カメラC、センサーSなどが設置され、セルフ給油ステーション21外の周辺エリア22の物販店等10には、管理端末(携帯端末)Xが設置されている。また、セルフ給油ステーション21や周辺エリア22から離れて設けられたデータセンター23には、サーバーZが設置されている。
【0022】
ディスペンサDは、利用者(給油者)MWが給油操作できるようになっている。
【0023】
監視カメラCは、少なくとも利用者MWの操作による給油の行動を撮像し、撮像して得られた画像データを監視装置Yに出力するようになっている。
【0024】
この監視カメラCは、少なくともディスペンサDの周辺を撮像して画像データを取得するディスペンサ用カメラと、少なくともディスペンサDにより給油される車両Wが停止する停止エリアを撮像して画像データを取得する停止エリア用カメラと、を含む。
【0025】
センサーSは、例えば、ディスペンサDの周辺、及び/又は、ディスペンサDにより給油される車両Wが停止する停止エリアに設置され、利用者MWの操作による給油や行動にともなって発生する、音声、温度、臭い、光、静電気、又は、油漏洩の少なくとも何れかを検知して、検知結果を監視装置Yに出力するようになっている。
【0026】
監視装置Yは、利用者MWの操作によるディスペンサDを用いた車両Wへの給油を監視し、少なくとも利用者MWの行動を撮像して得られた画像データを分析した分析結果に基づいて、利用者MWが後述の異常行動をしているか否かを判定するようになっている。
【0027】
また、この監視装置Yは、例えば、過去に取得された過去の利用者の操作によるディスペンサDを用いた車両Wへの給油の行動の画像に関する行動画像データを過去の利用者の異常行動又は正常行動として判定して分類別された分類別データを、教師データとして機械学習された判定モデルを用いて、今回の利用者MWが異常行動をしているか否かを判定するようになっている。
【0028】
特に、監視装置Yは、例えば、今回取得した今回の利用者MWの操作によるディスペンサDを用いた車両Wへの給油の行動画像に関する行動画像データと、既述の分類別データのうち異常行動と判定された行動画像データとの近似度を計算し、この計算結果に基づいて、利用者MWが異常行動をしているか否かを判定するようになっている。
【0029】
さらに、監視装置Yは、例えば、画像データを分析した分析結果及びセンサーSが検知した検知結果に基づいて、利用者MWが異常行動をしているか否かを判定するようになっている。
【0030】
さらに、この監視装置Yは、例えば、センサーSで過去に取得した信号データ(ビッグデータ)を用いて、過去の利用者の異常行動のデータとの比較に基づいて、今回の利用者MWに異常行動が有るか否かを判定するようになっている。
【0031】
なお、上記「近似度」の計算は公知の方法を任意に使用することができる。例えば、特許第4701100号の公報に記載されているように、実行することができる。具体的には、映像から静止部分を除去し、映像の動作部分から立体高次局所自己相関特徴を利用し、特徴ベクトルを算出する。あるいは、特徴ベクトルはオプティカルフローを用いて算出してもよい。こうした特徴ベクトルを統計処理し、特徴量として表示する。そして、その特徴量を正常行動の特徴量と対比し、数値が近いほど近似度が高いとする方法がある。そして、数値の差にいくつかの閾値を設け、この範囲であれば正常、この範囲であれば不明、この範囲外であれば異常と判断することができる。また、特開2019-96179号公報に記載のように多層式ニューラルネットワークを使用して、利用者の行動を判定してもよい。
【0032】
この監視装置Yは、画像分析装置Y1と、インターフェースY2と、通信装置Y3と、を備えている。
【0033】
そして、画像分析装置Y1は、例えば、監視カメラCにより取得した少なくとも給油開始前及び/又は給油開始後の利用者MWの行動の画像の情報を分析し、この利用者MWが異常行動をしているか否かを判定するようになっている。
【0034】
より詳しくは、この画像分析装置Y1は、AIロボット(人工知能)を備えており、過去に取得された過去の利用者の操作によるディスペンサDを用いた車両Wへの給油の行動の画像に関する行動画像データを過去の利用者の異常行動又は正常行動として判定して分類別された分類別データを、教師データとして機械学習された判定モデルを用いて、今回の利用者MWが異常行動をしているか否かを判定するようになっている。
【0035】
また、例えば、監視装置Yは、給油が滞っている利用者MWの行動を判断して、給油を実行するために必要な操作等に関する情報を提供するようにしてもよい。また、監視装置Yは、利用者MWがセルフ給油ステーションに来店すれば、管理端末Xに通知するようにするようにしてもよい。
【0036】
通信装置Y3は、少なくとも管理端末Xと無線通信もしくは有線通信するようになっている。
【0037】
インターフェースY2は、監視カメラ、センサーS、制御装置SSC、画像分析装置Y1、及び、通信装置Y3の間に介在している。
【0038】
サーバーZは、監視装置Yにインターネット等の外部通信回線を介して通信が可能で、例えば、監視装置Yにより過去に取得された過去の利用者の操作によるディスペンサDを用いた車両Wへの給油の行動の画像に関する行動画像データを過去の利用者の異常行動又は正常行動として判定して分類別された分類別データを、教師データとして機械学習するようになっている。そして、このサーバーZは、既述の判定モデルのプログラムを更新するようになっている。
【0039】
すなわち、このサーバーZは、例えば、画像データベースZ1と画像認識及び機械学習部Z2とを備える。画像データベースZ1は、監視装置Yにより過去に取得された過去の利用者の操作によるディスペンサDを用いた車両Wへの給油の行動の画像に関する行動画像データを記憶するようになっている。画像認識及び機械学習部Z2は、既述の行動画像データを過去の利用者の異常行動又は正常行動として判定して分類別された分類別データを、教師データとして機械学習し、既述の判定モデルのプログラムを更新するようになっている。なお、このサーバーZは、データセンター23でなく、セルフ給油ステーション21や周辺エリア22に設けてもよい。
【0040】
管理端末Xは、物販店等の店員MXが所持して持ち運びできるタブレット等の携帯端末であり、通常時は、物販店等10内に配置され、店員MXにより操作されるようになっている。なお、管理端末Xは、物販店等10の所定位置に固定して設置された管理端末であってもよい。
【0041】
この管理端末Xは、セルフ給油ステーション21の給油エリア、監視装置Yが取得した情報(監視カメラCから取得した画像データやセンサーSの検知結果等)及び監視装置Yの判定結果を、監視装置Yから取得して出力するとともに、車両Wへの給油を監視する店員MXにより給油操作の管理情報を入力操作することができるようになっている。
【0042】
また、この管理端末Xは、例えば、無線通信により、判定結果を含む情報を監視装置Yから受信するとともに、店員MXの操作に応じた情報(指示)を監視装置Yに送信するようになっている。なお、この管理端末Xは、有線通信により、判定結果を含む情報を監視装置Yから受信するとともに、店員MXの操作に応じた情報(指示)を監視装置Yに送信するようにしてもよい。また、この管理端末Xは、必要に応じて、店員MXの操作に応じた情報(指示)を制御装置SSCに送信するようにしてもよい。
【0043】
ここで、この管理端末Xは、表示部Hと、操作部Aと、通信部Tと、制御部CNTと、報知部H2と、インタフォンIと、を備える。
【0044】
表示部Hは、既述の監視装置Yが取得した情報及び監視装置Yの判定結果等の所定の情報を表示するようになっている。なお、管理端末Xの表示部Hには、後述の制御装置SSCの表示部G1に表示される内容と同様の内容が表示されるようにしてもよい。
【0045】
操作部Aは、店員MXによって入力操作するための「確認ボタン」、「許可ボタン」や「停止ボタン」等の各種の操作や選択のためのボタン等を表示するタッチパネルで構成され、この場合、当該タッチパネルは、表示部Hとしても機能することとなる。
【0046】
また、通信部Tは、監視装置Y及び/又は制御装置SSCの通信部G4と無線通信又は有線通信して、所定の情報や指令等のデータを送受信するようになっている。
【0047】
また、制御部CNTは、例えば、CPU等のコンピュータにより構成され、表示部H、操作部A、及び、通信部Tの動作を制御して、管理端末Xの必要な処理を実行するようになっている。例えば、店員MXが物販店等10内から利用者MWの操作によるディスペンサDを用いた車両Wへの給油が直接視認(目視)できない場合でも、店員MXは、管理端末Xの表示部Hに表示される監視装置Yが取得した情報(監視カメラCから取得した画像データやセンサーSの検知結果等)及び監視装置Yの判定結果に基づいて、利用者MWの操作によるディスペンサDを用いた車両Wへの給油を監視することができるようになっている。
【0048】
報知部H2はAIロボットが異常行動を検知した際に、管理端末Xにエラーを報知するようになっている。インタフォンIは、利用者MWの給油行動が監視装置Yによって異常行動と判断され、もしくは、正常行動と判断されず、制御装置SSCで給油許可されない際に、監視者MWがディスペンサDに付随するインタフォンI2を使う利用者MXとの通話手段として、監視者MXが利用者MWへ注意、勧告、操作支持を行う、もしくは利用者MWが、監視者MXに問い合わせを行うことができる。
【0049】
また、消防法令上、物販店等10とセルフ給油ステーション21との間には所定のスペース(構内通路R1)が必要になるが、このようなスペースがあっても(すなわち、多少距離が離れても)、監視装置(AIロボット)Yが利用者の給油行動を判断するため、物販店等10の店員MXが遠隔操作可能な管理端末Xから得られる情報を確認して必要な操作をすることで、セルフ給油ステーションの利用者MWのもとに駆け付ける頻度を少なくすることができる。
【0050】
制御装置SSCは、少なくとも監視装置Yの判定結果及び店員MXによる管理端末Xの操作に応じて、利用者MWの操作によるディスペンサDを用いた車両Wへの給油を制御するようになっている。
【0051】
例えば、制御装置SSCは、利用者MWによる給油の許可を指示する管理端末Xへの店員MXの操作入力に応じて、ディスペンサDを用いた車両Wへの給油を実行するようになっている。
【0052】
一方、制御装置SSCは、監視装置Yの判定結果や、利用者MWによる給油の禁止を指示する管理端末Xへの店員MXの操作入力に応じて、ディスペンサDを用いた車両Wへの給油を中断(禁止)するようになっている。
【0053】
特に、制御装置SSCは、監視装置Yが、利用者MWが異常行動をしていると判定しない場合には、店員MXによる管理端末Xへの操作入力に基づいて、ディスペンサDを用いた車両Wへの給油を禁止又は許可するようになっている。
【0054】
このように、利用者MWの一定の異常行動の判断をAIロボットである監視装置Yが実行するので当該店員MXの負担が減り、ミスが減ることとなる。
【0055】
また、既述のように、給油が滞っている利用者MWに対しては、ある程度、監視装置Yが判断して、給油を実行するために必要な操作等に関する情報を制御措置SSC提供することで、当該物販店等の店員MXの作業負荷を低減するようにしてもよい。
【0056】
ここで、監視装置Yが、利用者MWが異常行動をしていると判定しない場合とは、監視装置Yが、利用者MWが異常行動をしているとの判定が不可能である場合、又は、監視装置Yが、利用者MWが正常行動をしていると判定する場合の少なくとも何れか一方である。
【0057】
なお、既述の利用者MWの「異常行動」とは、例えば、利用者MWの火器の所持、又は、利用者MWのタバコの喫煙や、その他の給油に際しての異常(危険)な行動である。
【0058】
また、既述の利用者MWの「正常行動」とは、例えば、利用者MWの給油の注文、利用者MWの静電気の除去、又は、利用者MWの車両Wの給油口へのディスペンサDのノズルの挿入や、その他の給油のために必要な正常な行動である。
【0059】
なお、監視装置Yの判定結果、管理端末Xの操作入力の情報、及び、その他の情報(監視カメラCが撮像した画像データやセンサーSの検知結果等)は、監視装置YのインターフェースY2を介して、この制御装置SSCに送信されるようになっているが、例えば、管理端末Xから、この制御装置SSCに必要な情報が送信されるようにしてもよい。ここで、この制御装置SSCは、表示部G1と、操作部G2と、制御部G3と、通信部G4と、報知部G5と、インタフォンG6と、を備えている。
【0060】
表示部G1は、既述の監視装置Yが取得した情報及び監視装置Yの判定結果等の所定の情報を表示するようになっている。操作部G2は、店員MXが操作するための「確認ボタン」、「許可ボタン」や「停止ボタン」等の各種の操作や選択のためのボタン等を表示するタッチパネルの部分で構成され、この場合、当該タッチパネルは、表示部G2としても機能するようになっている。制御部G3は、CPU等のコンピュータにより構成され、表示部G1、及び、操作部G2の動作を制御して、制御装置SSCの必要な処理を実行するようになっている。通信部G4は、監視装置Y及び/又は管理端末Xの通信部Tと無線通信又は有線通信して、所定の情報や指令等のデータを送受信するようになっている。
【0061】
報知部G5はAIロボットが異常行動を検知した際に、制御装置SSCにエラーを報知するようになっている。インタフォンG6は、利用者MWの給油行動が監視装置Yによって異常行動と判断され、もしくは、正常行動と判断されず、制御装置SSCで給油許可されない際に、監視者MWがディスペンサDに付随するインタフォンI2を使う利用者MXとの通話手段として、監視者MXが利用者MWへ注意、勧告、操作支持を行う、もしくは利用者MWが、監視者MXに問い合わせを行うことができる。
【0062】
また、監視装置Yの画像分析装置Y1、インターフェースY2および通信装置Y3、ならびに制御装置SSCは、図2に示すように、筐体Qに収納され、什器化されている。
【0063】
この筐体Qは、セルフ給油ステーション21にて操作できるように、配置されているが、必要に応じて、操作できる高さで、壁や柱等に設置されてもよい。
【0064】
このように、監視装置Yや制御装置SSCを1つの筐体に収納して什器化することで、人員を収容するための環境を整えた制御室(管理室)建物等を設ける必要がなく、セルフ給油ステーション21内における配置の自由度を向上することが可能となる。
【0065】
次に、図3を参照しながら制御方法を説明する。
【0066】
先ず、利用者MWがセルフ給油ステーション21に車両Wに乗車して来店し、ディスペンサDが近接する停止エリアに車両Wを停車させて、降車後、給油のための行動を開始する(ステップS1)。
【0067】
このとき、監視カメラCは、少なくとも利用者MWの操作による給油の行動の撮像を開始し、撮像して得られた画像データを監視装置Yに出力する。さらに、センサーSは、利用者MWの操作による給油や行動にともなって発生する、音声、温度、臭い、光、静電気、又は、油漏洩の少なくとも何れかの検知を開始して、この検知結果を監視装置Yに出力する。
【0068】
そして、監視装置Yは、監視カメラCが利用者MWの行動を撮像して得られた画像データを分析した分析結果及びセンサーSの検知結果に基づいて、利用者MWが異常行動をしているか否かを判定する(ステップS2)。
【0069】
そして、監視装置Yが、ステップS2において、利用者MWが給油のための正常行動をしていると判定した場合には、店員MXの代わりに、この判定結果に基づいて制御装置SSCにより利用者MWによる給油が許可され(ステップS3)、利用者MWによる給油が可能となる(ステップS4)。
【0070】
一方、監視装置Yが、ステップS2において、利用者MWが異常行動をしていると判定した場合には、この判定結果に基づいて制御装置SSCによりの報知部G5および管理端末の報知部H2にエラーを発報し(ステップS5)、利用者MWによる給油が禁止され(ステップS6)、店員MXがインタフォンIやインタフォンG6を用いて、インタフォンI2を介して利用者MWに改善を要求したり、ディスペンサD付近まで駆け付けて正しい給油行動を説明する等の店員対応を行い、その後、店員MXによる管理端末X(若しくは制御装置SSC)への操作入力に基づいて、制御装置SSCはディスペンサDを用いた車両Wへの給油が再度禁止又は許可される(ステップS7)。
【0071】
また、監視装置Yが、ステップS2において、利用者MWの行動を判定できない場合には、制御装置SSCによりの報知部G5および管理端末の報知部H2にエラーを発報し、店員MXが、管理端末Xの表示部Hに表示される利用者MWの操作による給油の行動の画像データや目視に基づいて、利用者MWが異常行動をしているか否かを判定して(ステップS9)、正常と判断すれば、店員MXによる管理端末X(若しくは制御装置SSC)への操作入力に基づいて、制御装置SSCはディスペンサDを用いた車両Wへの給油を許可し(ステップS10)、利用者MWによる給油が可能となる(ステップS11)。利用者MWが異常行動をしていると判断すれば、利用者MWによる給油が禁止され(ステップS12)、店員MXがインタフォンIやインタフォンG6を用いて、インタフォンI2を介して利用者MWに改善を要求したり、ディスペンサ付近まで駆け付けて正しい給油行動を説明したりする等の店員対応を行い、その後、店員MXによる管理端末X(若しくは制御装置SSC)への操作入力に基づいて、制御装置SSCはディスペンサDを用いた車両Wへの給油が再度禁止又は許可される(ステップS13)。
【0072】
このように、利用者(給油者)の一定の異常行動の判断を監視装置Yが実行するので当該店員MXの負担が減り、ミスが減ることとなる。また、既述のように、給油が滞っている利用者(給油者)に対しては、ある程度、監視装置Yが判断して、給油を実行するために必要な操作等に関する情報を提供することで、当該物販店等の店員の作業負荷を低減するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0073】
100 セルフ給油管理システム
Y 監視装置
Y1 画像分析装置
Y2 インターフェース
Y3 通信装置
X 管理端末
MX 店員
H 表示部
A 操作部
T 通信部
CNT 制御部
I インタフォン(店員用)
C 監視カメラ
S センサー
D ディスペンサ
I2 インタフォン(利用者用)
Z サーバー
SSC 制御装置
G1 表示部
G2 操作部
G3 制御部
G4 通信部
G5 報知部
G6 インタフォン(店員用)
W 車両
MW 利用者(給油者)
Q 筐体
10 物販店等
20 敷地
21 セルフ給油ステーション
22 周辺エリア
23 データセンター
D1 第1の方向
R1 構内通路
D2 第2の方向
R2 一般通路
図1
図2
図3