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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 41/127 20060101AFI20231106BHJP
   A01F 12/60 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
A01D41/127 130
A01F12/60
A01D41/127
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019227459
(22)【出願日】2019-12-17
(65)【公開番号】P2021093956
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001878
【氏名又は名称】三菱マヒンドラ農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081673
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100141483
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 生吾
(72)【発明者】
【氏名】木村 敦
(72)【発明者】
【氏名】石田 健之
(72)【発明者】
【氏名】石橋 俊之
(72)【発明者】
【氏名】森広 忠光
(72)【発明者】
【氏名】穂積 由理加
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-010076(JP,A)
【文献】特開平11-271251(JP,A)
【文献】特開平11-053674(JP,A)
【文献】特開2016-067217(JP,A)
【文献】特開2017-136064(JP,A)
【文献】特開2019-195297(JP,A)
【文献】特開2013-027341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 41/127
A01F 12/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の穀稈の刈取作業を行う刈取部と、
刈取部で刈取られた穀稈が投入されて脱穀作業が行われる脱穀装置と、
前記脱穀装置により脱穀された穀粒を貯留するグレンタンクと、
前記脱穀装置で脱穀された穀粒を上方搬送して、該穀粒を前記グレンタンク上部から該グレンタンク内投入する揚穀装置と、
前記穀粒の品質を測定する2つ以上の穀粒測定装置を有する穀粒測定手段とを備え、
前記穀粒測定手段は、穀粒を回収するための開口部と、該開口部に投入された穀粒を各穀粒測定装置に供給するための供給経路とを有し、同一の前記開口部と同一の前記供給経路とを介して穀粒が各穀粒測定装置に供給されるように構成され
前記穀粒測定手段は、穀粒を回収して粒単位で品質を測定する単粒式測定装置と、穀粒を貯留する貯留部内の穀粒の品質を測定する貯留式測定装置とを有し、
前記供給経路は、前記開口部に投入された穀粒を落下させるように上下方向に沿って形成され、
前記貯留式測定装置は、前記供給経路を開閉するシャッタ装置を有し、
前記貯留部は、前記シャッタ装置によって前記供給経路を閉じることによって、前記供給経路の下部に形成され、
前記単粒式測定装置は、穀粒の水分量を計測する水分センサと、前記供給経路における前記貯留部よりも上手側である上方側の空間に突出した螺旋状部材であるサンプリング装置と、を有し、
前記供給経路を落下し且つ前記サンプリング装置上に乗った穀粒は、該サンプリング装置の軸回転によって、前記水分センサ側に回収される一方で、前記供給経路を落下し且つ前記サンプリング装置に乗らなかった穀粒は、前記貯留部に落下する構造とした
コンバイン。
【請求項2】
複数の前記穀粒測定装置は、平面視でラップしないように配置した
請求項に記載のコンバイン。
【請求項3】
前記穀粒測定手段は、複数の穀粒測定装置によって測定された穀粒を合流させて、測定済みの穀粒を同一の排出部から排出させることができるように構成された
請求項1又は2の何れかに記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グレンタンク内に貯留される穀粒の品質を測定可能なコンバインに関する。
【背景技術】
【0002】
圃場の穀稈の刈取作業を行う刈取部と、刈取部で刈取られた穀稈が投入されて脱穀作業が行われる脱穀装置と、前記脱穀装置により脱穀された穀粒を貯留するグレンタンクと、前記脱穀装置で脱穀された穀粒を前記グレンタンク上部に向けて上方搬送する揚穀装置と、前記グレンタンクに投入される穀粒の品質を測定する2以上の穀粒測定装置と備えた特許文献1に記載のコンバインが従来公知である。
【0003】
上記文献によれば、前記グレンタンク内には、穀粒の水分率を測定するセンサや、光学式の食味センサ等の穀粒測定装置を設けることにより、穀粒の品質をより高精度に測定できるものであるが、各穀粒測定装置を前記グレンタンク内に別途に独立して設置するため、設置スペースを広く確保する必要があるとともに、各穀粒測定装置の設置やメンテナンスにも手間が掛かるという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-67217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、前記グレンタンク側に設定される穀粒の品質を測定する2以上の前記穀粒測定装置を簡易且つコンパクトに構成し、各穀粒測定装置の組付作業や、メンテナンス作業もスムーズ行うことができるコンバインを提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、圃場の穀稈の刈取作業を行う刈取部と、刈取部で刈取られた穀稈が投入されて脱穀作業が行われる脱穀装置と、前記脱穀装置により脱穀された穀粒を貯留するグレンタンクと、前記脱穀装置で脱穀された穀粒を上方搬送して、該穀粒を前記グレンタンク上部から該グレンタンク内投入する揚穀装置と、前記穀粒の品質を測定する2つ以上の穀粒測定装置を有する穀粒測定手段とを備え、前記穀粒測定手段は、穀粒を回収するための開口部と、該開口部に投入された穀粒を各穀粒測定装置に供給するための供給経路とを有し、同一の前記開口部と同一の前記供給経路とを介して穀粒が各穀粒測定装置に供給されるように構成されたことを特徴としている。
【0007】
記穀粒測定手段は、穀粒を回収して粒単位で品質を測定する単粒式測定装置と、穀粒を貯留する貯留部内の穀粒の品質を測定する貯留式測定装置とを有し、前記供給経路は、前記開口部に投入された穀粒を落下させるように上下方向に沿って形成され、前記貯留式測定装置は、前記供給経路を開閉するシャッタ装置を有し、前記貯留部は、前記シャッタ装置によって前記供給経路を閉じることによって、前記供給経路の下部に形成され、前記単粒式測定装置は、穀粒の水分量を計測する水分センサと、前記供給経路における前記貯留部よりも上手側である上方側の空間に突出した螺旋状部材であるサンプリング装置と、を有し、前記供給経路を落下し且つ前記サンプリング装置上に乗った穀粒は、該サンプリング装置の軸回転によって、前記水分センサ側に回収される一方で、前記供給経路を落下し且つ前記サンプリング装置に乗らなかった穀粒は、前記貯留部に落下する構造としたものとしてもよい
【0008】
数の前記穀粒測定装置は、平面視でラップしないように配置したものとしてもよい
【0009】
記穀粒測定手段は、複数の穀粒測定装置によって測定された穀粒を合流させて、測定済みの穀粒を同一の排出口から排出させることができるように構成されたものとしてもよい
【発明の効果】
【0010】
前記穀粒測定手段は、2以上の穀粒測定装置に穀粒を供給するための前記開口部と前記供給経路とを共通化させたことにより、前記グレンタンク内に投入される穀粒が同一の開口部と同一の供給経路とを介して各穀粒測定装置に供給されるように構成したことにより、ユニット全体の構成を簡素且つコンパクトに構成されるとともに、該穀粒測定ユニットのメンテナンス作業も容易になる。
【0011】
また、前記穀粒測定手段は、穀粒を回収して粒単位で品質を測定する単粒式測定装置と、穀粒を貯留する貯留部内の穀粒の品質を測定する貯留式測定装置とを有し、前記単粒式測定装置は、前記供給経路上を移動する穀粒を該単粒測定式測定装置に取込む穀粒取込部を有し、前記穀粒取込部を前記貯留部よりも前記供給経路の上手側に配置したものによれば、穀粒を一粒ずつサンプリングする前記穀粒取込部から零れた穀粒が、前記貯留測定式の前記貯留部に落下する構成になるため、供給経路上を落下する穀粒を各穀粒測定装置に無駄なく効率的に供給することができる。
【0012】
また、複数の前記穀粒測定装置は、平面視でラップしないように配置したものによれば、各穀粒測定装置を平面視で前記供給経路を挟むように配置することができるため、各穀粒測定装置を設置するためのスペースが確保し易くなるとともに、ユニット全体をよりコンパクトに構成することができる。
【0013】
なお、前記穀粒測定手段は、複数の穀粒測定装置によって測定された穀粒を該穀粒測定ユニット内で合流させて、測定済みの穀粒を同一の排出口から排出させることができるように構成されたものによれば、穀粒測定装置毎に排出口を設ける必要がないため、構成が簡素化されてユニット全体をよりコンパクトに構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明を適用した汎用コンバインの側面図及び平面図であり、
図2】本発明を適用した汎用コンバインの側面図及び平面図であり、
図3】脱穀装置を示した要部側断面図である。
図4】脱穀装置を示した要部平面図である。
図5】脱穀装置を示した要部正面図である。
図6】穀粒搬送装置を示した要部側面図である。
図7】穀粒測定ユニットの構成を示した要部側断面図である。
図8】制御部のブロック図である。
図9】穀粒品質測定制御を示したフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1及び図2は、本発明を適用した汎用コンバインの側面図及び平面図であり、図3乃至5は、脱穀装置を示した要部側断面図、要部平面図、要部正面図である。図より、本汎用コンバインは、走行部である左右一対のクローラ式走行装置1,1に支持された走行機体2と、該走行機体2の前方に昇降可能に連結されて圃場の穀稈の刈取作業を行う刈取部3とを備えている。
【0016】
前記走行機体2は、前記刈取部3の真後ろの右寄り位置にオペレータが乗込んで操向操作を行う操縦部4が設けられ、該操縦部4の後方斜め左側に前記刈取部3で刈取られた穀稈の脱穀作業等を行う脱穀装置6が設置され、前記操縦部4の後方且つ前記脱穀装置6の右側に該脱穀装置6により脱穀処理された処理物である穀粒を収納するグレンタンク7が配置され、前記脱穀装置6の後方に脱穀処理後の藁屑等を排出する排出部8が設けられている。
【0017】
前記刈取部3は、刈取った穀稈を脱穀装置側に搬送するフィーダ9と、該フィーダ9の前端側に連結されて前方側に延びる刈取フレーム11と、該刈取フレーム11の前端側に設けた左右一対のデバイダ12と、該刈取フレーム11の基礎部となる後端上部側から前方に向かって延出している左右一対の支持アーム13,13と、該左右の支持アーム13の延設端間に回転自在に架設支持された掻込リール14とを備えている。
【0018】
左右一方側(図示例では左側)の支持アーム13と刈取フレーム11との間には、伸縮によって前記掻込リール14を刈取部の本体に対して昇降させるリールシリンダ16が設置され、左右他方側(図示する例では右側)の支持アーム13には、前記掻込リール14に動力を伝動する伝動ケース17が設けられている。すなわち、前記掻込リール14は、刈取部3の本体側に対して昇降作動されるとともに、前記伝動ケース17から伝動される動力によって自身の軸回りに回転駆動される。
【0019】
該構成によれば、前記刈取部3は、前記デバイダ12により圃場の穀稈を左右一対のデバイダの間である刈取側と、該刈取側の左右両外側にある非刈取側とに分草し、該刈取側の植立穀稈を前記掻込リール14によって刈取部3側に掻込みながら前記デバイダ12の後方に設けたレシプロ式の刈刃(図示しない)によって穀稈の根元側を刈取る。該刈取部3により刈取られた穀稈は、刈取フレーム11側の搬送オーガ18により前記フィーダ9の前端側に送られ、該フィーダ9に搬送された穀稈がフィーダ9の内部に備えた搬送コンベヤ19によって後方搬送さえる。該フィーダ9の後端側に搬送された刈取穀稈は、前記脱穀装置6の上部前端側に投入される。
【0020】
前記脱穀装置6は、該脱穀装置6の上側で前記フィーダ9から搬送された刈取穀稈の脱穀作業を行う脱穀部21と、該脱穀装置6の下側で前記脱穀部21により脱穀された処理物を穀粒と藁屑等の排塵物とに選別する選別部22とを備え、選別作業後の排塵物等を該脱穀装置6後端の前記排出部8から機外に排出できるように構成されている。
【0021】
前記脱穀部21は、前記フィーダ9の後端側から刈取穀稈の全部が投入される扱室23と、該扱室23の前後方向全体に亘って形成された前後方向の扱胴回転軸回りに回転駆動する円筒状の扱胴24と、該扱胴24の下方側に配置されて該扱胴の形状に沿って背面視で中央が窪んだ円弧上に形成された受網26とを備えている。
【0022】
該構成により、前記フィーダ9によって扱室に全稈投入された刈取穀稈は、回転駆動する前記扱胴24によって扱降し処理(脱穀処理)されて排藁となり、該排藁は扱室23後方の排出部8から機外へと排出される。その一方で、前記扱胴24によって扱降ろされた処理物は、籾等の穀粒と藁屑等とを含んでおり、前記受網26に受け止められるとともに下方側に漏下することで、前記選別部22側に導入される。
【0023】
前記選別部22は、前記受網26から漏下した処理物を揺動選別するチャフシーブ及びストローラック等からなる揺動選別体27と、該揺動選別体27の前方下側に配置されて後方上側に向けて選別風を送風する唐箕ファン28と、選別後の排塵物を機外へ排出する二番選別ファン29と、前記唐箕ファン28等によって選別された一番物である穀粒である回収する一番ラセン31と、二番物を回収する二番ラセン32とを備えている。
【0024】
これにより、前記受網26から上記揺動選別体27に落下してきた処理物(脱穀物)は、該揺動選別体27によって選別されながらさらに下方に漏下される。該揺動選別体27から漏下した前記処理物は、前記唐箕ファン28による選別風によって穀粒が風選されるとともに、前記二番選別ファン29による選別風によって二番物と排塵物とに風選することができる。
【0025】
前記一番ラセン31は、唐箕ファン28の後方で左右方向に延設されており、選別された一番物である穀粒を脱穀装置6の左右側方側(図示する例では右側)に搬送し、前記二番ラセン32は、二番選別ファン29の後方で左右方向に延設されており、選別された二番物を脱穀装置6の右側に搬送する。
【0026】
また、該脱穀装置6の右側方には、前記一番ラセン31により搬送された一番物を前記グレンタンク7に向けて上方搬送する上下方向の穀粒搬送装置(揚穀装置)33と、前記二番ラセン32により搬送された二番物を前記脱穀部21又は選別部22へ還元搬送する上下方向の還元搬送装置34とが設けられている(図3等参照)。
【0027】
該穀粒搬送装置33によって上方搬送された穀粒は、前記グレンタンク7の上部側から該グレンタンク7内へと投入されることにより、前記グレンタンク7内に脱穀・選別処理された穀粒を貯留することができる。このとき、該穀粒搬送装置33側又は前記グレンタンク7側には、穀粒の一部を回収して、収穫された穀粒の品質を測定する品質測定装置である穀粒測定ユニット(穀粒測定手段)40が設けられている。該穀粒測定ユニット40の詳細については後述する。
【0028】
ちなみに、前記グレンタンク7は、その後端側に設けられた上下方向の回動軸(図示しない)を支点に水平回動可能に支持されることにより、該グレンタンク7を走行機体2の側方側で開閉作動させることができるように構成されている(図2参照)。該構成によれば、前記グレンタンク7を水平回動(開作動)することにより、グレンタンク7の内側(脱穀装置6側)のメンテナンス作業をよりスムーズに行うことができる。
【0029】
以上により前記グレンタンク7内に貯留された穀粒は、前記走行機体2の後端側に設けられた排出オーガ36を介して機外へと排出することができるように構成されている(図1及び図2参照)。
【0030】
前記排出部8は、上記構成により前記脱穀部21の受網26の後端側から落下してカッタ装置により切断される比較的大きな排藁等と、前記選別部22の後端側から排出される細かい藁屑等である排塵物とを前記脱穀装置6の後端側から排出できるように構成されている。
【0031】
次に、図4乃至7に基づいて、穀粒搬送装置と、穀粒測定ユニットについて説明する。図4及び図5は、脱穀装置の要部平断面図、要部正断面図であり、図6は、穀粒搬送装置を示した要部側面図である。
【0032】
前記穀粒搬送装置33は、前記一番ラセン31の搬送端側から上方に向かって延設された上下方向の本体ケース36と、該本体ケース36に内装されて前記一番ラセン31により搬送された穀粒を前記グレンタンク7に向けて上方搬送するコンベヤ装置37と、該コンベヤ装置37によって上方搬送された穀粒を前記グレンタンク7上部に向けて搬送する左右方向の穀粒搬送ラセン38とを備え、前記本体ケース36内の上部前端側には、該コンベヤ装置37によって上方搬送された穀粒の一部を回収して該穀粒の品質を測定する前記穀粒測定ユニット40が設けられている(図3等参照)。
【0033】
上記コンベヤ装置37は、前記一番ラセン31の搬送端側に設置される駆動スプロケット41と、前記本体ケース36の上部側で軸支された従動スプロケット42と、該駆動スプロケット41及び従動スプロケット42により掛け回される上下方向の搬送チェーン43と、該搬送チェーン43に所定間隔で並べて支持されるカップ状の揚穀体44とを有している。
【0034】
上記搬送チェーン43は、前記駆動スプロケット41及び従動スプロケット42によって右側面視で時計回りに掛け回されるように構成されている。これにより、該搬送チェーン43に取付けられた上記揚穀体44は、前記搬送チェーン43の前側で下降駆動し、該搬送チェーン43の後側で上昇駆動するように構成されている。このとき、カップ状の上記揚穀体44は、開口部側が該搬送チェーン43の進行方向に向けられた状態で前記搬送チェーン43に取付けられている(図6参照)。
【0035】
これにより、該揚穀体44は、前記コンベヤ装置37(搬送チェーン43)の下端側で揚穀体44の開口部の向きが下方側から後方→上方に切換えられる過程で前記一番ラセン31の搬送端側に搬送された穀粒を掬い上げ、該コンベヤ装置37の上端側で揚穀体44の開口部が上方側から前方→下方に切換えられる過程で、揚穀体44中の穀粒を前方に投げ込むことができるように構成されてる(図6参照)。
【0036】
すなわち、前記コンベヤ装置37は、前記一番ラセン31によって搬送された選別された穀粒を上方搬送するとともに、該穀粒を該コンベヤ装置37の上端側で前方側に配置された穀粒搬送ラセン38及び穀粒測定ユニット40側に投げ入れるようにして搬送することができる。
【0037】
上記本体ケース36は、前記コンベヤ装置37を収容するように上下方向に延設された箱状に形成されるとともに、その上端側を前方に延設することにより、前記揚穀体44により前方に投げ入れられる穀粒をグレンタンク7側に搬送する左右方向の前記穀粒搬送ラセン38と、前記穀粒測定ユニット40とが収容されるように構成されている(図6参照)。
【0038】
上記穀粒搬送ラセン38は、前記本体ケース36上部前側に設置されることにより、前記コンベヤ装置37の上端側から前記本体ケース36の上部前側に向けて投入された穀粒を、前記グレンタンク7に向けて左右外側に搬送するように構成されている(図4参照)。また、該穀粒搬送ラセン38の下方側には、穀粒を該穀粒搬送ラセン38に沿ってスムーズに搬送するための搬送樋41が設けられている(図6参照)。
【0039】
上述構成によれば、前記穀粒搬送装置33は、前記脱穀装置6によって脱穀・選別処理されて前記一番ラセンにより搬送された穀粒を、前記コンベヤ装置37によって上方搬送し、該コンベヤ装置37の上端側から前記穀粒搬送ラセン38側に投入し、該穀粒搬送ラセン38により前記グレンタンク7上部側へと搬送することにより、該穀粒を前記グレンタンク7内へと貯留することができる。
【0040】
これに対し、前記穀粒測定ユニット40は、前記本体ケース36上部前端側(前記穀粒搬送ラセンの前方側)で且つ、前記コンベヤ装置37(揚穀体44)の正面に配置されている。また、該穀粒測定ユニット40は、上端側に穀粒が投入される開口部46が形成されるとともに、その下端側が測定後の穀粒を排出する排出部47が形成されている(図5等参照)。該穀粒測定ユニット40の詳しい構成については後述する。
【0041】
また、前記穀粒測定ユニット40の上端側と、前記本体ケース36の上端側との間には、前記コンベア装置37によって投げ入れられた穀粒を前記開口部46にガイドする投入口45が形成されている。さらに、前記穀粒測定ユニット40の後面側は、前記揚穀体44によって前方に飛ばされた穀粒のうち、前記投入口45に届かなかった穀粒を前記穀粒搬送ラセン38へとガイド(案内)するガイド面40aが形成されている(図6参照)。
【0042】
すなわち、前記コンベヤ装置37の上端側で前方に投入される穀粒は、そのほとんどが直接又は前記側壁部40aを介して前記搬送樋41へとガイドされるが、前記コンベヤ装置37の上端側で前方に投入される穀粒の一部は、前記投入口45を介して、前記穀粒測定ユニット40の開口部46へとガイドされるように構成されている。
【0043】
次に、図7に基づいて、前記穀粒測定ユニットについて説明する。図7は、穀粒測定ユニットの構成を示した要部側断面図である。
【0044】
前記穀粒測定ユニット40は、穀粒を粒単位で品質の測定を行う単粒式測定装置51と、所定量貯留された穀粒の品質を測定する貯留式測定装置52と、前記脱穀搬送装置によって上方搬送された穀粒が投入される前記開口部46と、該開口部46に投入された穀粒を各穀粒測定装置51,52に供給する供給経路48と、各穀粒測定装置51,52によって品質が測定された後の穀粒を排出する前記排出部47と、制御部(制御装置)50とを備え、該制御部50は、詳しくは後述する穀粒品質測定制御によって、穀粒測定ユニット40に投入された穀粒の品質を測定することができるように構成されている(図7参照)。
【0045】
前記貯留式測定装置52は、前記供給経路48上を一時的に堰き止めて穀粒を一時的に貯留するシャッタ装置53を有し、該シャッタ装置53によって供給経路48上に貯留された穀粒の品質を測定するセンサとして、穀粒を撮影するカメラ等からなる撮影装置54(又は光センサ等)と、前記シャッタ装置によって供給経路48上に貯められた穀粒量を検出するサンプリング穀粒検出センサ56とが設けられている。
【0046】
上記シャッタ装置53は、前記供給経路48の端部側に支持された揺動軸57を軸に開閉作動することにより前記供給経路48を開閉するシャッタ部材58と、該シャッタ部材58を開閉作動させる駆動モータ(シャッタ駆動手段)59と、該シャッタ部材58の開閉位置を検出するポテンショメータ(シャッタ位置検出手段)61とを備えている。
【0047】
また、該シャッタ装置53として、供給経路48上に前記シャッタ部材58の開閉作動を所定位置で規制する規制ピン62が設けられている。具体的に説明すると、前記規制ピン62として、前記駆動モータ59によって前記シャッタ部材58が前記供給経路48を閉じた閉状態まで上方回動作動された際に、該シャッタ部材58のそれ以上の上方回動を規制する上方回動規制ピン62Aと、前記駆動モータ59によって前記シャッタ部材58が前記供給経路48を開放する側に下方回動作動された際に、該シャッタ部材58のそれ以上の下方回動を規制する下方回動規制ピン62Bとが設けられている。
【0048】
該構成によれば、前記貯留式測定装置52は、まず、前記シャッタ装置53のシャッタ部材58を閉状態に切換えて供給経路48(の下部)を閉じることにより、前記開口部45から供給経路48上を落下する穀粒を一時的に堰き止めて該供給経路48上に穀粒を貯留する。すなわち、供給経路48の一部を穀粒の品質測定のために穀粒を一時的に貯留する貯留部として機能させることができる。
【0049】
これにより、前記制御部50は、前記サンプリング穀粒検出センサ56により供給経路48上に貯留された穀粒が予め設定された所定量以上となったことが検出された場合には、前記撮影装置54等によって、供給経路48上(の貯留部)に貯められた穀粒の品質測定を行うように構成されている。
【0050】
また、該制御部50は、供給経路48上に貯めた穀粒の品質測定が終了したことが検出された場合には、前記駆動モータ59を介して前記シャッタ部材58を開状態に切換えることにより、供給経路48上(の貯留部)に貯められた穀粒を前記排出部47から排出するように構成されている。
【0051】
前記単粒式測定装置51は、図示する例では、サンプリングされた穀粒の水分量を計測する水分計であり、該水分計51は、前記供給経路48上の前記シャッタ部材58の上方(上流)側に配置されて該供給経路48上を落下する穀粒の粒を前記水分計51側に供給するサンプリング装置(穀粒取込部)63を有している。
【0052】
上記サンプリング装置63は、前記水分計51から前記供給経路48側に向けて略水平に突出する螺旋状(スクリュー状)部材であって、軸回転することにより螺旋状部材上に乗った穀粒を前記水分計51側に粒単位で供給することができるように構成されている。このとき、供給経路48上に配置される該サンプリング装置63は、前記シャッタ部材58(具体的には閉状態のシャッタ部材により穀粒が溜められる貯留部)よりも供給経路48の上流側に配置されるように構成されている。
【0053】
上記水分計51は、前記サンプリング装置63によって前記供給経路48上から回収された穀粒が供給される供給部64と、サンプリングされた穀粒を粉砕して穀粒の水分量を計測する図示しない水分センサと、計測後の穀粒を前記供給経路48上に排出する排出部66とを備えている。このとき、前記排出部66は、前記シャッタ部材58よりも供給経路48下流側に配置されるように構成されている(図7参照)。
【0054】
また、該構成の前記単粒式測定装置51は、前記制御部50により、前記シャッタ部材58が開状態から閉状態に切換えられたことが検出された場合に、前記サンプリング装置63を駆動させて前記水分計51へ穀粒の供給と、該水分計51による穀粒の品質測定(検査)とを開始するように構成されている。これにより、前記単粒式測定装置と、貯留式測定装置とによって品質が測定される穀粒が、ほぼ同じタイミングで脱穀処理された穀粒を対象にすることができる。
【0055】
前記排出口47は、前記穀粒測定ユニット40の下端側に設けられ、前記シャッタ部材58を開状態に切換えた際に落下する穀粒と、前記水分計51の排出部66から排出された穀粒とを合流させた排出経路であって、測定済みの穀粒を前記穀粒測定ユニットの下端側から排出できるように構成されている。
【0056】
なお、前記穀粒測定ユニット40の前記排出口47から排出された穀粒は、前記グレンタンク7側ではなく、前記扱室23側に排出されて、前記脱穀装置6の選別部23によって再度選別作業が行われるように構成されている(図5参照)。該構成によれば、例えば、前記水分計51が測定対象の穀粒を粉砕して測定するものであった場合であっても、粉砕されたり磨り潰されたりした穀粒が前記グレンタンク7内に貯留されることを防止することができる。
【0057】
また、前記穀粒測定ユニット40は、図示する例では、前記単粒式測定装置51と前記貯留式測定装置52とが、前記開口部46と前記排出口47とを結ぶように上下方向に沿って形成された前記供給経路48を左右で挟むように配置されている。該構成により、複数(図示する例では2つ)の測定装置が平面視でラップしないように前記供給経路の周りに配置されるため、穀粒測定ユニット40全体をよりコンパクトに構成することができる。
【0058】
さらに、前記穀粒測定ユニット40は、穀粒の品質を測定する各穀粒測定装置51,52に穀粒を供給するための前記開口部46と、前記供給経路48と、前記排出部47とを共通化したことにより、部品点数も削減することができるため製造コストをより低く抑えることができる。
【0059】
なお、前記穀粒測定ユニット40は、前記開口部46と、前記排出部47は共通化させつつ、前記開口部46に投入された穀粒を、各穀粒測定装置(単粒式測定装置51・貯留式測定装置52)に供給する供給経路は別途に構成し、各穀粒測定装置51,52によって測定されて後に排出された穀粒を前記排出部47で再度合流させるように構成しても良い。
【0060】
ちなみに、前記穀粒測定ユニット40は、図示する例では、複数(図示する例では2つ)の穀粒測定装置51,52がユニット化されることにより、前記本体ケース36(穀粒搬送装置33)内に一体的に着脱することができるように構成されたものであるが、単粒式測定装置51と、貯留式測定装置52とを別途に前記本体ケース36(穀粒搬送装置33)内に取付けるように構成しても良い。
であっても良い。
【0061】
さらに、前記穀粒測定ユニット40は、図示する例では、前記穀粒搬送装置33内に着脱可能に設置されているが、該穀粒測定ユニット40は、前記グレンタンク7内に取付けられるように構成しても良い。
【0062】
次に、図8及び図9に基づいて、前記制御部による穀粒品質測定制御について説明する。図8は、制御部のブロック図である。前記制御部(制御装置)50の出力側には、前記駆動モータ(シャッタ駆動手段)59と、後述する通信部を介して接続される外部サーバ67と、液晶モニタ68とが接続されている。
【0063】
前記制御部50の入力側には、車速センサや主変速レバー(図示しない)の揺動位置を検出するポテンショ等によって走行機体の車速(走行状態)を検出する走行検出手段71と、パワークラッチスイッチや前記脱穀装置のクラッチ入切検出センサ等によって刈取部3及び脱穀装置6の駆動状況を検出する刈取・脱穀駆動検出手段72と、前記刈取部3により後方搬送される刈取穀稈の有無を検出することにより刈取(収穫)作業中であるか否かを検出する穀稈検出手段73と、前記シャッタ位置検出手段61と、前記サンプリング穀粒検出手段56と、前記水分計(水分センサ)51と、前記撮影手段(カメラ)54と、測位衛星から走行機体の位置情報を取得するGNSSユニット(GPSユニット)等からなる機体位置検出手段74とが接続されている。
【0064】
また、前記制御部50は、各穀粒測定装置(各種センサ)等によって取得された情報を記憶するデータ記憶部76と、該データ記憶部76に記憶された穀粒の品質測定結果等の情報を前記外部サーバ67に送信するための通信部77とを有している。
【0065】
これにより、前記制御部50は、前記穀粒測定ユニット40により取得された収穫された穀粒の画像データ、穀粒水分量、穀粒が取得された場所の位置情報、その他関連する情報を前記データ記憶部76に記憶するとともに、前記通信部77を介して、前記外部サーバ67に送信することができる。該外部サーバ67は、蓄積された画像データ等の情報をより詳細に解析し、穀粒品質を数値化やグラフ化等することができる。
【0066】
また、該制御部50は、前記穀粒測定ユニット40により取得された収穫された穀粒の品測定結果を、無線通信又は有線通信によって接続された前記液晶モニタ68に出力することができるように構成されている。該液晶モニタ68には、前記外部サーバ67による解析結果を出力できるように構成しても良い。
【0067】
次に、図9に基づいて、前記穀粒品質測定制御について説明する。図9は、穀粒品質測定制御を示したフロー図である。前記穀粒品質判定制御の処理フローが開始されると、ステップS1に進む。ステップS1では、前記走行検出手段71や、前記刈取・脱穀駆動検出手段72や、前記穀稈検出手段73を用いてコンバインが穀稈の刈取・脱穀作業(収穫作業)中であるか否かが検出され、コンバインが収穫作業中であることが確認された場合には、ステップS2に進む。
【0068】
ステップS2では、前記シャッタ位置検出手段61により、前記シャッタ部材58が閉状態であるか否かが検出され、前記シャッタ部材の閉状態が確認された場合には、ステップS5に進む。
【0069】
なお、ステップS2において、前記シャッタ部材58の閉状態が検出されなかった場合にはステップS3に進む。ステップS3では、前記駆動モータ59により前記シャッタ部材58が閉駆動され、その後、ステップS4に進む。このとき、該シャッタ部材58の閉駆動は、前記シャッタ位置検出手段61によりシャッタ部材58が閉状態となるまで続行される。
【0070】
ステップS4では、前記水分計51による穀粒の水分測定を開始し、その後、ステップS5に進む。
【0071】
ステップS5では、前記サンプリング穀粒量検出手段56を用いて、前記シャッタ部材58を閉状態にして供給経路48を堰き止めたことによって該供給経路48上(貯留部)に貯留された穀粒量が予め定めた所定量以上となったか否かが検出され、前記供給経路48上に所定以上の穀粒が貯留されたことが確認された場合には、ステップS6に進む。
【0072】
なお、ステップS5において、供給経路48上に所定以上の穀粒量が検出されなかった場合には、その後、リターンする。
【0073】
ステップS6では、前記供給経路48内に十分な穀粒量が確保されているため、前記カメラ(撮影手段)54によって供給経路(貯留部)内に貯留された穀粒の画像データを取得し、その後、ステップS7に進む。
【0074】
ステップS7では、前記水分計51による穀粒水分量の測定を終了し、複数の穀粒を測定した結果の平均値を算出し、その後、ステップS8に進む。
【0075】
ステップS8では、前記水分計(単粒式測定装置)51と、前記撮影手段54(貯留式測定装置52)による測定結果の他、前記GPS装置74等によって取得された走行機体2の位置情報データ等の関連データを、前記制御部50のデータ記憶部76に記憶し、その後、ステップS9に進む。
【0076】
ステップS9では、前記通信部77を介して前記データ記憶部76に記憶された上述の関連データを前記外部サーバ67に送信し、その後、ステップS10に進む。これにより、前記外部サーバ77は、前記通信部77を介して送信された前記穀粒測定ユニット40により測定された穀粒の品質データや、その関連データに基づいて、穀粒の品質を解析することができる。
【0077】
ステップS10では、前記駆動モータ59により、閉状態の前記シャッタ部材58を開状態に切換えて、その後、リターンする。これにより、前記穀粒測定ユニット40による穀粒の品質測定が終了した場合には、供給経路48上に貯められた穀粒が前記排出部47から前記脱穀装置6内に排出されるように構成されている。
【0078】
以上により、前記制御部50は、各種センサ71,72,73によって、コンバインによる収穫作業中であることが検出されると、前記穀粒測定ユニット40による穀粒のサンプリングと穀粒の品質測定とを自動的に開始し、前記貯留式測定装置52による穀粒の撮影が終了すると、穀粒品質測定も自動的に終了されるように構成されている。
【0079】
なお、ステップS1において、コンバインが収穫作業中であることが検出されなかった場合には、ステップS11に進む。
【0080】
ステップS11では、前記シャッタ位置検出手段61により、前記シャッタ部材58が開状態であるか否かが検出され、前記シャッタ部材58の開状態(前記供給経路の開放状態)が検出された場合には、ステップS13に進む。
【0081】
なお、ステップS11において、前記シャッタ部材58が開状態であることが検出されなかった(シャッタ部材58が閉状態、若しくは揺動位置が中途部で停止している状態)場合には、ステップS12に進む。ステップS12では、前記駆動モータ59によって前記シャッタ部材58が開状態となるように駆動し、その後、ステップS13に進む。
【0082】
ステップS13では、前記水分計(単粒式測定装置)51による穀粒の水分測定を終了し、その後、リターンする。
【0083】
すなわち、前記単粒式測定装置51は、前記貯留式測定装置52の前記シャッタ部材58が閉状態に切換えられると、穀粒の品質測定(水分測定)を自動的に開始し、前記シャッタ部材58が開状態に切換えられると、穀粒の品質測定を自動的に終了するように構成されている。また、該制御部50は、前記シャッタ部材58が閉状態に切換えられている間に測定された穀粒の粒毎の測定値と、その平均値とを前記データ記憶部76に記憶させる。
【符号の説明】
【0084】
3 刈取部
6 脱穀装置
7 グレンタンク
33 穀粒搬送装置(揚穀装置)
40 穀粒測定ユニット(穀粒測定手段)
46 開口部
47 排出部
48 供給経路
51 単粒式測定装置(穀粒測定装置)
52 貯留式測定装置(穀粒測定装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9