(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】塗布容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/24 20060101AFI20231106BHJP
B65D 47/42 20060101ALI20231106BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
B65D47/24 120
B65D47/42 100
B65D83/00 J
(21)【出願番号】P 2019236134
(22)【出願日】2019-12-26
【審査請求日】2022-07-06
(31)【優先権主張番号】P 2019174276
(32)【優先日】2019-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】中村 弘幸
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-172139(JP,A)
【文献】特開2017-154769(JP,A)
【文献】特開2005-239249(JP,A)
【文献】特開2016-141429(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/24
B65D 47/42
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被塗布部に塗布する内容物が収容される容器本体と、
前記容器本体の口部に装着された塗布構造体と、を備え、
前記塗布構造体は、
弾性変形可能な軟材質で形成されるとともに、頂壁部に内容物の吐出孔が形成された有頂筒状のヘッド体と、
前記軟材質より硬い材質で形成されるとともに、前記ヘッド体内に嵌合された支持筒と、を備え、
前記ヘッド体の頂壁部に、
上方に向けて突出した内側突起と、
上方に向けて突出し、前記内側突起回りに沿って配置された複数の外側突起と、が形成され、
前記内側突起の上端縁は、前記外側突起の上端縁より上方に位置し、
前記内側突起は、前記ヘッド体の頂壁部の上面において、前記支持筒の上端開口の直上に位置する部分に設けられ、
複数の前記外側突起は、前記ヘッド体の頂壁部の上面において、前記支持筒の上端縁の直上に位置する部分に設けられ
、
前記塗布構造体は、
前記容器本体の口部に装着され、前記容器本体内に連通する第1連通孔が形成された中栓部材と、
前記中栓部材との間に、前記第1連通孔を通して前記容器本体内に連通する計量室を形成するとともに、前記計量室に連通する第2連通孔が頂部に形成された計量筒部材と、
前記計量室に設けられた塗布栓と、を備え、
前記塗布栓は、
前記第2連通孔と前記計量室との連通を遮断し、かつ、前記計量室と前記第1連通孔とを連通させる計量位置と、前記計量位置よりも下側に位置するとともに、前記計量室と前記第1連通孔との連通を遮断し、かつ、前記第2連通孔と前記計量室とを連通させる塗布位置と、の間を上下方向に移動可能に配設され、
前記支持筒には、前記塗布栓に取り付けられた取付部と、前記ヘッド体内に嵌合された嵌合筒と、が備えられるとともに、前記嵌合筒内に連通し、かつ前記塗布位置において前記第2連通孔を通して前記計量室に連通する第3連通孔が形成され、
前記容器本体、若しくは前記塗布構造体に離脱可能に装着され、前記ヘッド体を覆うキャップ体を備え、
前記嵌合筒において、前記ヘッド体より下方に位置する下端部に、径方向の外側に向けて突出した被係合部が形成され、
前記キャップ体は、前記嵌合筒の下端部を径方向の外側から囲う引き上げ筒を備え、
前記引き上げ筒の内周面に、前記被係合部にアンダーカット嵌合した引き上げ突起が形成され、
前記ヘッド体の周壁部のうちの少なくとも一部の外周面は、前記引き上げ突起より径方向の外側に位置している、塗布容器。
【請求項2】
前記ヘッド体の周壁部のうち、下端部の外径は、下端部から上方に延びる部分の外径より小さく、
前記ヘッド体の周壁部の下端部の外周面は、前記被係合部より径方向の内側に位置している、請求項
1に記載の塗布容器。
【請求項3】
被塗布部に塗布する内容物が収容される容器本体と、
前記容器本体の口部に装着された塗布構造体と、を備え、
前記塗布構造体は、
弾性変形可能な軟材質で形成されるとともに、頂壁部に内容物の吐出孔が形成された有頂筒状のヘッド体と、
前記軟材質より硬い材質で形成されるとともに、前記ヘッド体内に嵌合された支持筒と、を備え、
前記ヘッド体の頂壁部に、
上方に向けて突出した内側突起と、
上方に向けて突出し、前記内側突起回りに沿って配置された複数の外側突起と、が形成され、
前記内側突起の上端縁は、前記外側突起の上端縁より上方に位置し、
前記内側突起は、前記ヘッド体の頂壁部の上面において、前記支持筒の上端開口の直上に位置する部分に設けられ、
複数の前記外側突起は、前記ヘッド体の頂壁部の上面において、前記支持筒の上端縁の直上に位置する部分に設けられ
、
前記塗布構造体は、
前記容器本体の口部に装着され、前記容器本体内に連通する第1連通孔が形成された中栓部材と、
前記中栓部材との間に、前記第1連通孔を通して前記容器本体内に連通する計量室を形成するとともに、前記計量室に連通する第2連通孔が頂部に形成された計量筒部材と、
前記計量室に設けられた塗布栓と、を備え、
前記塗布栓は、
前記第2連通孔と前記計量室との連通を遮断し、かつ、前記計量室と前記第1連通孔とを連通させる計量位置と、前記計量位置よりも下側に位置するとともに、前記計量室と前記第1連通孔との連通を遮断し、かつ、前記第2連通孔と前記計量室とを連通させる塗布位置と、の間を上下方向に移動可能に配設され、
前記支持筒には、前記塗布栓に取り付けられた取付部と、前記ヘッド体内に嵌合された嵌合筒と、が備えられるとともに、前記嵌合筒内に連通し、かつ前記塗布位置において前記第2連通孔を通して前記計量室に連通する第3連通孔が形成され、
前記塗布位置において、前記ヘッド体および前記嵌合筒のなかで、少なくとも最も下方に位置する部分を径方向の外側から囲う外壁体を備えている、塗布容器。
【請求項4】
前記塗布位置において、前記ヘッド体の周壁部のうちの少なくとも前記外壁体から上方に突出した部分は、上方に向かうに従い、縮径している、請求項
3に記載の塗布容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、人体の頭皮等の被塗布部に対して薬液等の内容物を塗布するための塗布容器が知られている。例えば下記の特許文献1に、内容物が収容される容器本体と、容器本体の口部に装着された塗布構造体と、を備え、塗布構造体が、頂壁部に内容物の吐出孔が形成された有頂筒状のヘッド体を備えた塗布容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の塗布容器を用いる際には、ヘッド体を身体の皮膚表面に押し当てることによって吐出孔から内容物を吐出させ、被塗布部に塗布する。そのため、ヘッド体が例えば硬質樹脂等の材質で形成されている場合、塗布時に使用者が不快感を持つおそれがあった。
【0005】
本発明の一つの態様は、上記の課題を解決するためになされたものであって、塗布時に使用者が不快感を持つおそれが少ない塗布容器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の一つの態様の塗布容器は、被塗布部に塗布する内容物が収容される容器本体と、前記容器本体の口部に装着された塗布構造体と、を備え、前記塗布構造体は、弾性変形可能な軟材質で形成されるとともに、頂壁部に内容物の吐出孔が形成された有頂筒状のヘッド体と、前記軟材質より硬い材質で形成されるとともに、前記ヘッド体内に嵌合された支持筒と、を備え、前記ヘッド体の頂壁部に、上方に向けて突出した内側突起と、上方に向けて突出し、前記内側突起回りに沿って配置された複数の外側突起と、が形成され、前記内側突起の上端縁は、前記外側突起の上端縁より上方に位置し、前記内側突起は、前記ヘッド体の頂壁部の上面において、前記支持筒の上端開口の直上に位置する部分に設けられ、複数の前記外側突起は、前記ヘッド体の頂壁部の上面において、前記支持筒の上端縁の直上に位置する部分に設けられている。
【0007】
本発明の一つの態様の塗布容器によれば、ヘッド体の頂壁部に、内側突起および外側突起が形成され、内側突起の上端縁が、外側突起の上端縁より上方に位置しているので、使用者が、ヘッド体の頂壁部を例えば身体の皮膚等の被塗布部に押し当てると、まず、内側突起が被塗布部に押し当てられる。
この際、内側突起が、ヘッド体の頂壁部の上面において、支持筒の上端開口の直上に位置する部分に設けられているので、ヘッド体の頂壁部が、支持筒内に向けて弾性変形する。これにより、容器本体内の内容物が流入している支持筒内が加圧され、吐出孔を通して内容物が吐出されることとなり、内容物を少量ずつ塗布することができる。ヘッド体の頂壁部の復元変形に伴い、外気が吐出孔を通して支持筒内に吸入される。
以上の過程において、被塗布部に押し当てられる内側突起、およびヘッド体が弾性変形可能な軟材質で形成されているため、被塗布部に及ぼされる衝撃や外力が緩和されて柔らかい感触が得られ、使用者の不快感を低減することができる。
また、ヘッド体の頂壁部に、互いに高さの異なる内側突起および外側突起が形成されているので、被塗布部に対する押付力を調整することで、被塗布部に押し当てられる突起の数量を変えることが可能になり、例えばマッサージ効果を向上させること等ができる。
この際、上端縁が、内側突起の上端縁より下方に位置している外側突起が、内側突起回りに沿って複数配置されているので、被塗布部に対する押付力を高めて、内側突起に加えて外側突起も被塗布部に押し当てたときに、複数の外側突起が、被塗布部の複数個所にほぼ同時に押し当てられることとなり、被塗布部に及ぼされる衝撃や外力を緩和させることができる。
さらにこの際、複数の外側突起が、ヘッド体の頂壁部の上面において、支持筒の上端縁の直上に位置する部分に設けられているので、ヘッド体の頂壁部の、支持筒内に向けた弾性変形を抑制することが可能になり、例えば、吐出孔から内容物が大量に吐出されるのを防ぐこと等ができる。
【0008】
前記塗布構造体は、前記容器本体の口部に装着され、前記容器本体内に連通する第1連通孔が形成された中栓部材と、前記中栓部材との間に、前記第1連通孔を通して前記容器本体内に連通する計量室を形成するとともに、前記計量室に連通する第2連通孔が頂部に形成された計量筒部材と、前記計量室に設けられた塗布栓と、を備え、前記塗布栓は、前記第2連通孔と前記計量室との連通を遮断し、かつ、前記計量室と前記第1連通孔とを連通させる計量位置と、前記計量位置よりも下側に位置するとともに、前記計量室と前記第1連通孔との連通を遮断し、かつ、前記第2連通孔と前記計量室とを連通させる塗布位置と、の間を上下方向に移動可能に配設され、前記支持筒には、前記塗布栓に取り付けられた取付部と、前記ヘッド体内に嵌合された嵌合筒と、が備えられるとともに、前記嵌合筒内に連通し、かつ前記塗布位置において前記第2連通孔を通して前記計量室に連通する第3連通孔が形成されている。
【0009】
この場合、塗布栓が計量位置に位置した状態では、計量室と中栓部材の第1連通孔とが連通するので、容器本体内の内容物を、第1連通孔を通して計量室内に流入させることが可能になる一方、計量筒部材の第2連通孔と計量室との連通が遮断されているので、計量室内に流入した内容物が、第2連通孔を通して流出することはない。
この状態で、ヘッド体を被塗布部に押し当てると、塗布栓が塗布位置に移動し、計量室と第1連通孔との連通が遮断されるので、計量室内にこれ以上、容器本体内の内容物が流入することがなく、計量室の容積分の内容物が計量されることとなる一方、計量筒部材の第2連通孔と計量室とが連通するので、計量室内の計量された内容物が、第2連通孔、および支持筒の第3連通孔を通して支持筒の嵌合筒内に流入し、順次、前述したように吐出孔から吐出され、被塗布部に塗布される。
以上より、塗布構造体が、中栓部材、計量筒部材、および塗布栓を備え、支持筒に前記第3連通孔が形成されているので、計量した内容物を被塗布部に塗布することができる。
【0010】
前記容器本体、若しくは前記塗布構造体に離脱可能に装着され、前記ヘッド体を覆うキャップ体を備え、前記嵌合筒において、前記ヘッド体より下方に位置する下端部に、径方向の外側に向けて突出した被係合部が形成され、前記キャップ体は、前記嵌合筒の下端部を径方向の外側から囲う引き上げ筒を備え、前記引き上げ筒の内周面に、前記被係合部にアンダーカット嵌合した引き上げ突起が形成され、前記ヘッド体の周壁部のうちの少なくとも一部の外周面は、前記引き上げ突起より径方向の外側に位置してもよい。
【0011】
この場合、嵌合筒の下端部に被係合部が形成され、キャップ体の引き上げ筒に引き上げ突起が形成されているので、キャップ体を、容器本体、および塗布構造体に対して引き上げたときに、引き上げ突起が被係合部に係合することで、支持筒、ヘッド体、および塗布栓が引き上げられることとなり、キャップ体の離脱時に、塗布栓を計量位置に位置させることができる。
ヘッド体の周壁部のうちの少なくとも一部の外周面が、引き上げ突起より径方向の外側に位置しているので、キャップ体を、容器本体、および塗布構造体に対して引き上げて、引き上げ突起が、嵌合筒の被係合部から外れる際、嵌合筒に生じた下方に向けた弾性反発力に起因して、仮にヘッド体、支持筒、および塗布栓が、計量位置に対して下方に位置ずれしても、キャップ体を、容器本体、および塗布構造体から離脱するまでの間に、引き上げ突起を、ヘッド体の周壁部の外周面に摺接させることによって、ヘッド体、支持筒、および塗布栓を、計量位置に引き上げることができる。
これにより、ヘッド体、支持筒、および塗布栓を上下動させるときに生ずる摺動抵抗を高くする設計をしなくても、キャップ体を、容器本体、および塗布構造体から離脱したときに、ヘッド体、支持筒、および塗布栓を計量位置に位置させることができる。したがって、塗布時に使用者が不快感を持つのを防ぎつつ、キャップ体の離脱時に、ヘッド体、支持筒、および塗布栓を計量位置に位置させることができる。
【0012】
前記ヘッド体の周壁部のうち、下端部の外径は、下端部から上方に延びる部分の外径より小さく、前記ヘッド体の周壁部の下端部の外周面は、前記被係合部より径方向の内側に位置してもよい。
【0013】
この場合、ヘッド体の周壁部のうち、下端部の外径が、下端部から上方に延びる部分の外径より小さく、ヘッド体の周壁部の下端部の外周面が、被係合部より径方向の内側に位置しているので、キャップ体を、容器本体、および塗布構造体に対して引き上げて、引き上げ突起が、嵌合筒の被係合部から外れたときに、引き上げ突起をヘッド体の周壁部の下端部に引っ掛かりにくくすることが可能になり、キャップ体を、容器本体、および塗布構造体から容易に離脱することができる。
【0014】
前記塗布位置において、前記ヘッド体および前記嵌合筒のなかで、少なくとも最も下方に位置する部分を径方向の外側から囲う外壁体を備えてもよい。
【0015】
この場合、塗布位置において、ヘッド体の周壁部および嵌合筒のなかで、少なくとも最も下方に位置する部分を径方向の外側から囲う外壁体を備えているので、塗布位置において、ヘッド体の周壁部および嵌合筒のなかで最も下方に位置する部分を、摘まんだり、引き上げたりしにくくすることが可能になり、塗布位置に位置するヘッド体が計量位置に移動させられるのを抑制することができる。
これにより、例えば塗布容器を倒立姿勢にし、かつ塗布位置において、嵌合筒内に内容物が流入している状態で、ヘッド体を計量位置に移動させ、塗布容器を正立姿勢に戻したとき等に、嵌合筒内の内容物が第3連通孔を通して外部に流出する、といった不具合を生じにくくすることができる。
【0016】
前記塗布位置において、前記ヘッド体の周壁部のうちの少なくとも前記外壁体から上方に突出した部分は、上方に向かうに従い、縮径してもよい。
【0017】
この場合、塗布位置において、ヘッド体の周壁部のうちの少なくとも外壁体から上方に突出した部分が、上方に向かうに従い、縮径しているので、塗布位置において、ヘッド体の周壁部を確実に摘まみにくくすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一つの態様によれば、塗布時に使用者が不快感を持つおそれが少ない塗布容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】塗布栓が計量位置にあるときの第1実施形態の塗布容器の要部の断面図である。
【
図3】塗布栓が塗布位置にある状態で、ヘッド体を被塗布部に弱く押し当てたときの第1実施形態の塗布容器の要部の断面図である。
【
図4】塗布栓が塗布位置にある状態で、ヘッド体を被塗布部に強く押し当てたときの第1実施形態の塗布容器の要部の断面図である。
【
図6】
図5において、引き上げ突起が、被係合部から外れてヘッド体の周壁部の下端部に位置した状態を示す図である。
【
図7】
図5において、引き上げ突起が、ヘッド体の周壁部のうち、下端部から上方に延びる部分の外周面を摺動している状態を示す図である。
【
図8】塗布栓が計量位置にあるときの第2実施形態の塗布容器の要部の断面図である。
【
図9】塗布栓が塗布位置にあるときの第2実施形態の塗布容器の要部の断面図である。
【
図10】塗布栓が塗布位置にあるときの第3実施形態の塗布容器の要部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態について、
図1~
図7を用いて説明する。
図1に示すように、塗布容器1は、容器本体2、塗布構造体39、およびキャップ体10を備えている。
容器本体2は有底筒状に形成され、キャップ体10は有頂筒状に形成されている。容器本体2およびキャップ体10それぞれの中心軸線は、共通軸上に配置されている。以下、この共通軸を容器軸Oといい、容器軸Oに沿う方向のうち、容器本体2の底部側(
図1における下側)を下側、容器本体2の口部3側(
図1における上側)を上側、容器軸Oに沿う方向を上下方向という。上下方向から見て容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0021】
容器本体2内に、被塗布部S(
図3参照)に塗布する内容物が収容される。内容物としては、例えば使用者の頭皮や皮膚等の被塗布部Sに塗布される育毛剤や薬液等が挙げられる。容器本体2の口部3は、容器本体2のうち、口部3以外の部分よりも小径とされている。口部3の外周面には雄ねじ部が形成されている。雄ねじ部は、例えば二条ねじであってもよい。口部3のうち、雄ねじ部より上方に位置する上端部の外径は、上端部より下方に位置する部分の外径よりも小さくなっている。
【0022】
塗布構造体39は、容器本体2の口部3に装着されている。
塗布構造体39は、ヘッド体45、支持筒40、中栓部材4、計量筒部材7、および塗布栓9を備えている。なお、塗布構造体39は、中栓部材4、計量筒部材7、および塗布栓9の少なくとも1つを有さず、例えば、ヘッド体45、および支持筒40が、容器本体2の口部3に直接、取付けられてもよい。
【0023】
中栓部材4は、容器本体2の口部3に装着され、容器本体2内に連通する第1連通孔5を有している。中栓部材4は、容器本体2の口部3内に嵌合された装着筒13と、装着筒13の内側に設けられた有底筒状のシリンダ筒12と、シリンダ筒12の底壁から上方に向けて突出した支持体11と、を備えている。装着筒13、シリンダ筒12、および支持体11は、容器軸Oと同軸に配設され、一体に形成されている。
【0024】
第1連通孔5は、シリンダ筒12に形成され、シリンダ筒12内は、第1連通孔5を通して容器本体2内に連通している。第1連通孔5は、シリンダ筒12の底壁の外周縁部、およびシリンダ筒12の周壁の下端部に一体に形成されている。第1連通孔5は、周方向に間隔をあけて複数設けられている。
装着筒13の上端部は、容器本体2の口部3より上方に突出し、かつ口部3の上端縁に配置されている。
支持体11の上端部は、装着筒13およびシリンダ筒12の各上端部より上方に位置している。
【0025】
計量筒部材7は、中栓部材4との間に、第1連通孔5を通して容器本体2内に連通する計量室6を形成している。計量筒部材7は、容器本体2の口部3に装着された基筒部18と、基筒部18より上側に位置して内側が第2連通孔8とされた筒状の頂部19と、基筒部18と頂部19との間に位置して基筒部18と頂部19とを連結する連結筒部20と、を備えている。図示の例では、計量筒部材7は下側から上側へ向かって、基筒部18、連結筒部20、および頂部19の順に段階的に縮径している。
【0026】
基筒部18は、容器本体2の口部3の上端部、および中栓部材4の装着筒13の上端部に外嵌している。
計量室6は、少なくとも、計量筒部材7の連結筒部20と、中栓部材4における装着筒13とシリンダ筒12との接続部分と、により画成される。
【0027】
塗布栓9は、計量室6に設けられている。塗布栓9は、第2連通孔8と計量室6との連通を遮断し、かつ、計量室6と第1連通孔5とを連通させる計量位置(例えば
図2に示す位置)と、計量位置よりも下側に位置するとともに、計量室6と第1連通孔5との連通を遮断し、かつ、第2連通孔8と計量室6とを連通させる塗布位置(例えば
図1、
図3、および
図4に示す位置)と、の間を上下方向に移動可能に配設されている。
なお、ここで言う「連通させる」とは、「連通する、または連通可能な状態とする」の両方の意味を含む。
【0028】
塗布栓9は、計量筒部材7内に配設されたシール筒24と、シール筒24における上下方向の中間部に連結され、シール筒24により径方向の外側から囲まれた有頂筒状の外挿筒25と、を備えている。
シール筒24、および外挿筒25は、容器軸Oと同軸に配置されるとともに、一体に形成されている。
【0029】
シール筒24の上端部は、塗布栓9が計量位置にあるときに、第2連通孔8内に上下摺動自在に密に嵌合し、塗布栓9が塗布位置にあるときに、第2連通孔8から下方に離脱する。シール筒24の下端部は、塗布栓9が塗布位置にあるときに、シリンダ筒12の周壁内のうち、第1連通孔5より上方に位置する部分に、上下摺動自在に密に嵌合し、塗布栓9が計量位置にあるときに、シリンダ筒12の周壁内から上方に離脱する。シール筒24の上端部は、上方に向かうに従って拡径し、シール筒24の下端部は、下方に向かうに従って、拡径している。
【0030】
シール筒24に、径方向の外側に向けて突出するストッパー突起24aが形成されている。ストッパー突起24aは、シール筒24の外周面における上下方向の中間部に設けられている。ストッパー突起24aは、シール筒24と外挿筒25との連結部よりもわずかに下方に位置している。ストッパー突起24aは、周方向の全長にわたって連続して延びている。
【0031】
ストッパー突起24aは、塗布栓9が計量位置にあるときに、計量筒部材7内における第2連通孔8の開口周縁部に対して、下側から当接する。図示の例では、ストッパー突起24aは、塗布栓9が計量位置にあるときに、計量筒部材7内のうち、頂部19と連結筒部20との連結部に対して下側から当接する。このように、塗布栓9が計量位置にある状態で、塗布栓9のストッパー突起24aが、計量筒部材7内における第2連通孔8の開口周縁部に下側から当接することで、仮に塗布栓9を計量室6に対して上側へ移動させる向きの外力が作用したとしても、塗布栓9がそれ以上、上方に向けて移動することが規制される。
【0032】
外挿筒25は、中栓部材4の支持体11に上下方向に相対移動自在に外挿されている。図示の例では、外挿筒25の下端部は、シール筒24の下端部よりも下方に位置している。外挿筒25の上端部は、シール筒24の上端部よりも上方に位置している。外挿筒25の上端部は、塗布栓9が塗布位置にあるときに、計量筒部材7の上方に位置する。
【0033】
外挿筒25の下端縁は、塗布栓9が塗布位置にあるときに、シリンダ筒12の底壁の上面に当接している。これにより、塗布位置に位置した塗布栓9がそれ以上、下方に向けて移動することが規制される。このとき、支持体11の上端縁と外挿筒25の内面との間に、上下方向の隙間が設けられている。なお、この構成に代えて、支持体11の上端縁と外挿筒25の内面とを互いに当接させることによって、塗布栓9の下方への移動を規制してもよい。
【0034】
支持筒40には、取付部41および嵌合筒42が備えられるとともに、第3連通孔43が形成されている。
【0035】
取付部41は、筒状に形成され、外挿筒25の上部に外嵌されている。これにより、支持筒40が、塗布栓9に取り付けられている。図示の例では、取付部41は、外挿筒25の上部にアンダーカット嵌合されている。取付部41は、第2連通孔8内に挿入されている。取付部41の上端部は、塗布栓9が塗布位置にあるときに、計量筒部材7の上方に位置する。
【0036】
嵌合筒42は、計量筒部材7の外部に設けられている。嵌合筒42は、上方に向かうに従い、内径および外径が小さくなる多段の筒状に形成されている。嵌合筒42の上部は、計量筒部材7および取付部41より上方に位置している。嵌合筒42の下部は、塗布栓9が塗布位置にあるときに、計量筒部材7の頂部19を径方向の外側から囲っている。嵌合筒42の下部は、取付部41の下端部より上方に位置している。嵌合筒42の上下方向の中間部が、計量筒部材7の上端縁を径方向に跨いで取付部41の上端部に連結されている。
【0037】
嵌合筒42は、塗布栓9が塗布位置にあるときに、第2連通孔8と塗布構造体39の外部との連通を遮断している。図示の例では、嵌合筒42の下部は、塗布栓9が塗布位置にあるときに、計量筒部材7の頂部19に密に外嵌し、塗布栓9が計量位置にあるときに、頂部19から上方に離れる。嵌合筒42の下部の内周面、および計量筒部材7の頂部19の外周面には、塗布栓9が塗布位置にあるときに、いずれか他方に当接することで、嵌合筒42の下部の内周面と、頂部19の外周面と、の間をシールするシール突部が形成されている。なお、塗布栓9が塗布位置にあるときに、嵌合筒42の内面が、計量筒部材7の上端縁に密に当接してもよい。
【0038】
嵌合筒42の下端部42dは、ヘッド体45の周壁部から下方に突出している。嵌合筒42の下端縁42eが、ヘッド体45および嵌合筒42において、最も下方に位置する部分となっている。嵌合筒42の下端部42dは、径方向の外側に向けて突出したフランジ状に形成され、その上面がヘッド体45の周壁部の下端縁に当接、若しくは近接している。
図5に示されるように、嵌合筒42の下端部42dに、径方向の外側に向けて突出した被係合部42aが形成されている。被係合部42aは、嵌合筒42の下端縁42eより上方に位置している。
【0039】
第3連通孔43は、取付部41の上端部に形成され、嵌合筒42の上部内に連通している。第3連通孔43は、取付部41を径方向に貫き、かつ取付部41の上端縁に開口している。第3連通孔43は、塗布栓9が塗布位置にあるときに、第2連通孔8内に位置しており、第2連通孔8を通して計量室6に連通している。
ここで、取付部41の外周面は、第2連通孔8の内周面と径方向に隙間をあけて対向している。これにより、塗布栓9が塗布位置にあるときに、計量室6内の内容物は、この隙間を通り、さらに第3連通孔43を通って嵌合筒42の上部内に流入する。
【0040】
ヘッド体45は、弾性変形可能な軟材質で有頂筒状に形成されている。軟材質として、例えば、ニトリルゴム、ブチルゴム、シリコンゴム、およびエラストマー等の弾性変形可能なゴム状の材質、並びに、例えば低密度ポリエチレン等の弾性変形可能な樹脂材料等が挙げられる。ヘッド体45は、支持筒40を形成する材質より軟らかい材質で形成されている。
【0041】
ヘッド体45内に、支持筒40の嵌合筒42が嵌合されている。ヘッド体45の頂壁部は、嵌合筒42の上端開口42b(支持筒の上端開口)を閉塞している。ヘッド体45の頂壁部の下面における外周縁部に、嵌合筒42の上端縁42c(支持筒の上端縁)が密に当接している。ヘッド体45の頂壁部に、内容物の吐出孔46が形成されている。吐出孔46は、ヘッド体45の頂壁部を上下方向に貫通している。吐出孔46は、嵌合筒42の上端開口42bに向けて開口している。ヘッド体45の頂壁部は、上方に向けて膨出するように湾曲している。ヘッド体45の頂壁部のうち、外周縁部より径方向の内側に位置する部分の肉厚は、外周縁部の肉厚より薄くなっている。
【0042】
ヘッド体45の頂壁部に、上方に向けて突出した内側突起47および外側突起48が形成されている。吐出孔46は、ヘッド体45の頂壁部において、内側突起47より径方向の外側に位置し、かつ外側突起48より径方向の内側に位置する部分に設けられている。
【0043】
内側突起47は、ヘッド体45の頂壁部の上面において、嵌合筒42の上端開口42bの直上に位置する部分に設けられている。内側突起47は、ヘッド体45の頂壁部における中央部に設けられている。内側突起47は、容器軸Oと同軸に配設されている。内側突起47の上端縁は、外側突起48の上端縁より上方に位置している。なお、内側突起47は、ヘッド体45の頂壁部のうち、中央部から径方向にずれた位置に設けられてもよい。
【0044】
外側突起48は、ヘッド体45の頂壁部に、内側突起47回りに沿って複数(例えば3つ)配置されている。外側突起48は、ヘッド体45の頂壁部における外周縁部に、周方向に間隔をあけて複数配置されている。なお、内側突起47回りで隣り合う外側突起48同士を、互いに当接させてもよい。複数の外側突起48は、ヘッド体45の頂壁部の上面において、嵌合筒42の上端縁42cの直上に位置する部分に設けられている。
【0045】
キャップ体10は、容器本体2、若しくは塗布構造体39に離脱可能に装着され、ヘッド体45を覆っている。
キャップ体10は、天壁28および周壁29を有する有頂筒状に形成されている。
【0046】
周壁29の内周面に、口部3の雄ねじ部に螺着する雌ねじ部が形成されている。
雌ねじ部は、例えば二条ねじであってもよい。口部3に雄ねじ部を形成するのに代えて、塗布構造体39のうち、例えば計量筒部材7の基筒部18の外周面等に雄ねじ部を形成し、この雄ねじ部に周壁29の雌ねじ部を螺着してもよい。キャップ体10は、口部3、若しくは塗布構造体39に着脱可能に螺着される構成に代えて、例えば、キャップ体10の平滑な内周面に、口部3、若しくは塗布構造体39の平滑な外周面が着脱可能に嵌合したり、あるいは、キャップ体10が、口部3、若しくは塗布構造体39に着脱可能にアンダーカット嵌合したりする等の構成に、適宜変更してもよい。
【0047】
キャップ体10は、嵌合筒42の下端部42dを径方向の外側から囲う引き上げ筒31を備えている。引き上げ筒31は、容器軸Oと同軸に配設され、キャップ体10の天壁28から下方に向けて突出している。
図5に示されるように、引き上げ筒31の内周面に、嵌合筒42の被係合部42aにアンダーカット嵌合した引き上げ突起31aが形成されている。引き上げ突起31aは、引き上げ筒31の内周面から径方向の内側に向けて突出し、周方向に延びる環状または円弧状に形成されている。引き上げ突起31aが、嵌合筒42の被係合部42aに係合することで、キャップ体10の、口部3および計量筒部材7に対する上昇移動に伴って、支持筒40、ヘッド体45、および塗布栓9が引き上げられ、塗布栓9が計量位置に移動する。
【0048】
ここで、ヘッド体45の周壁部のうちの少なくとも一部の外周面が、引き上げ突起31aより径方向の外側に位置している。ヘッド体45の周壁部のうち、下端部45aの外径は、下端部45aから上方に延びる部分の外径より小さくなっている。ヘッド体45の周壁部の下端部45aの外周面は、被係合部42aより径方向の内側に位置している。ヘッド体45の周壁部のうち、下端部45aから上方に延びる部分の外周面が、引き上げ突起31aより径方向の外側に位置している。ヘッド体45の周壁部のうち、下端部45aから上方に延びる部分の外周面、および被係合部42aそれぞれの径方向の位置は互いに同等になっている。ヘッド体45の周壁部のうち、下端部45aから上方に延びる部分の外周面は、引き上げ筒31の内周面より径方向の内側に位置している。
【0049】
以下、本実施形態の塗布容器1の作用について説明する。
【0050】
容器本体2内の内容物を被塗布部Sに塗布する際には、まず、キャップ体10を上側へ移動させて容器本体2の口部3から離脱させ、ヘッド体45を容器外部に露出させる。ここで、キャップ体10が離脱される際には、引き上げ筒31の引き上げ突起31aが、支持筒40の嵌合筒42における被係合部42aに係合しているため、キャップ体10の上昇に伴って、支持筒40、ヘッド体45、および塗布栓9がともに引き上げられ、
図2に示すように、塗布栓9は計量位置に移動する。
【0051】
この際、口部3の雄ねじ部とキャップ体10の雌ねじ部とが二条ねじである場合、一条ねじである構成と比較して、ねじのリードが大きくなる。このため、キャップ体10の周方向の回転量に対する上下方向の変位量を大きくすることができる。これにより、支持筒40、ヘッド体45、および塗布栓9を速やかに上側に移動させることができるとともに、キャップ体10を容器本体2の口部3から速やかに離脱させることができる。
【0052】
図2に示すように、キャップ体10の上側への移動に伴って、塗布栓9が計量位置まで上昇すると、塗布栓9のストッパー突起24aが計量筒部材7内における第2連通孔8の開口周縁部に当接し、また、シール筒24の上端部が第2連通孔8内に密に嵌合し、また、シール筒24の下端部がシリンダ筒12の周壁内から上方に離脱する。これにより、第2連通孔8と計量室6との連通が遮断されるとともに、計量室6と第1連通孔5とが連通する。
この状態から、さらに容器本体2の口部3に対してキャップ体10が上側へ移動することで、キャップ体10における引き上げ筒31の引き上げ突起31aが、支持筒40の嵌合筒42における被係合部42aを上方に乗り越えて、キャップ体10が、容器本体2、支持筒40、およびヘッド体45から取り外される。
【0053】
次いで、塗布栓9が計量位置に位置した状態で、塗布容器1を倒立姿勢にすると、容器本体2内の内容物が、第1連通孔5を通して計量室6内に流入する一方、計量室6内に流入した内容物が、第2連通孔8を通して流出することはない。
【0054】
次いで、
図3および
図4に示すように、ヘッド体45を被塗布部Sに押し当てると、ヘッド体45は、支持筒40、および塗布栓9とともに塗布位置に向けて移動する。この過程において、外挿筒25の下端縁が中栓部材4におけるシリンダ筒12の底壁に突き当たり、また、シール筒24の上端部が第2連通孔8内から下方に離脱し、また、シール筒24の下端部がシリンダ筒12内に密に嵌合する。
【0055】
これにより、塗布容器1では、計量室6と第1連通孔5との連通が遮断されるので、計量室6内にこれ以上、容器本体2内の内容物が流入することがなく、計量室6の容積分の内容物が計量されることとなる一方、第2連通孔8と計量室6とが連通するので、計量室6内の計量された内容物が、第2連通孔8および第3連通孔43を通して、支持筒40における嵌合筒42の上部内に流入する。この際、嵌合筒42の下部の内周面と、計量筒部材7の頂部19の外周面と、の間がシールされているので、嵌合筒42の上部内に流入した内容物が、嵌合筒42の下部の内周面と、計量筒部材7の頂部19の外周面と、の間から溢れ出ることがない。
そして、ヘッド体45を被塗布部Sに押し当てることにより、ヘッド体45の頂壁部が、嵌合筒42の上部内に向けて弾性変形し、嵌合筒42の上部内の内容物が加圧されて吐出孔46から吐出される。このようにして、使用者は、塗布容器1の内容物を被塗布部Sに塗布することができる。
【0056】
塗布が終わった後は、キャップ体10の引き上げ筒31の内側に、ヘッド体45を挿入しつつ、キャップ体10の雌ねじ部を容器本体2の口部3の雄ねじ部に螺合することによって、引き上げ突起31aを、ヘッド体45の周壁部のうち、下端部45aから上方に延びる部分の外周面に摺接させた後に、嵌合筒42の被係合部42aを下方に乗り越えさせ、キャップ体10を容器本体2の口部3に装着する。
【0057】
以上説明したように、本実施形態の塗布容器1によれば、ヘッド体45の頂壁部に、内側突起47および外側突起48が形成され、内側突起47の上端縁が、外側突起48の上端縁より上方に位置しているので、使用者が、ヘッド体45の頂壁部を被塗布部Sに押し当てると、まず、
図3に示されるように、内側突起47が被塗布部Sに押し当てられる。
この際、内側突起47が、ヘッド体45の頂壁部の上面において、嵌合筒42の上端開口42bの直上に位置する部分に設けられているので、ヘッド体45の頂壁部が、嵌合筒42の上部内に向けて弾性変形する。これにより、容器本体2内の内容物が流入している嵌合筒42の上部内が加圧され、吐出孔46を通して内容物が吐出されることとなり、内容物を少量ずつ塗布することができる。ヘッド体45の頂壁部の復元変形に伴い、外気が吐出孔46を通して嵌合筒42の上部内に吸入される。
以上の過程において、被塗布部Sに押し当てられる内側突起47、およびヘッド体45が弾性変形可能な軟材質で形成されているため、被塗布部Sに及ぼされる衝撃や外力が緩和されて柔らかい感触が得られ、使用者の不快感を低減することができる。
【0058】
また、ヘッド体45の頂壁部に、互いに高さの異なる内側突起47および外側突起48が形成されているので、被塗布部Sに対する押付力を調整することで、被塗布部Sに押し当てられる突起の数量を変えることが可能になり、例えばマッサージ効果を向上させること等ができる。
この際、上端縁が、内側突起47の上端縁より下方に位置している外側突起48が、内側突起47回りに沿って複数配置されているので、被塗布部Sに対する押付力を高めて、
図4に示されるように、内側突起47に加えて外側突起48も被塗布部Sに押し当てたときに、複数の外側突起48が、被塗布部Sの複数個所にほぼ同時に押し当てられることとなり、被塗布部Sに及ぼされる衝撃や外力を緩和させることができる。
さらにこの際、複数の外側突起48が、ヘッド体45の頂壁部の上面において、嵌合筒42の上端縁42cの直上に位置する部分に設けられているので、ヘッド体45の頂壁部の、嵌合筒42の上部内に向けた弾性変形を抑制することが可能になり、例えば、吐出孔46から内容物が大量に吐出されるのを防ぐこと等ができる。
【0059】
塗布構造体39が、中栓部材4、計量筒部材7、および塗布栓9を備え、支持筒40に第3連通孔43が形成されているので、前述したように、被塗布部Sに計量した内容物を塗布することができる。
【0060】
嵌合筒42の下端部42dに被係合部42aが形成され、キャップ体10の引き上げ筒31に引き上げ突起31aが形成されているので、キャップ体10を、容器本体2、および塗布構造体39に対して引き上げたときに、引き上げ突起31aが被係合部42aに係合することで、支持筒40、ヘッド体45、および塗布栓9が引き上げられることとなり、キャップ体10の離脱時に、塗布栓9を計量位置に位置させることができる。
【0061】
ヘッド体45の周壁部のうちの少なくとも一部の外周面が、引き上げ突起31aより径方向の外側に位置しているので、キャップ体10を、容器本体2、および塗布構造体39に対して引き上げて、引き上げ突起31aが、嵌合筒42の被係合部42aから外れる際、嵌合筒42に生じた下方に向けた弾性反発力に起因して、仮にヘッド体45、支持筒40、および塗布栓9が、計量位置に対して下方に位置ずれしても、キャップ体10を、容器本体2、および塗布構造体39から離脱するまでの間に、
図7に示されるように、引き上げ突起31aを、ヘッド体45の周壁部の外周面に摺接させることによって、ヘッド体45、支持筒40、および塗布栓9を、計量位置に引き上げることができる。
これにより、ヘッド体45、支持筒40、および塗布栓9を上下動させるときに生ずる摺動抵抗を高くする設計をしなくても、キャップ体10を、容器本体2、および塗布構造体39から離脱したときに、ヘッド体45、支持筒40、および塗布栓9を計量位置に位置させることができる。したがって、塗布時に使用者が不快感を持つのを防ぎつつ、キャップ体10の離脱時に、ヘッド体45、支持筒40、および塗布栓9を計量位置に位置させることができる。
【0062】
ヘッド体45の周壁部のうち、下端部45aの外径が、下端部45aから上方に延びる部分の外径より小さく、ヘッド体45の周壁部の下端部45aの外周面が、被係合部42aより径方向の内側に位置しているので、キャップ体10を、容器本体2、および塗布構造体39に対して引き上げて、引き上げ突起31aが、嵌合筒42の被係合部42aから外れたときに、
図6に示されるように、引き上げ突起31aをヘッド体45の周壁部の下端部45aに引っ掛かりにくくすることが可能になり、キャップ体10を、容器本体2、および塗布構造体39から容易に離脱することができる。
【0063】
次に、本発明の第2実施形態に係る塗布容器52を、
図8および
図9を参照しながら説明する。
なお、この第2実施形態においては、第1実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0064】
本実施形態の塗布容器52は、塗布栓9が塗布位置にあるときに、ヘッド体45および嵌合筒42のなかで、少なくとも最も下方に位置する部分を径方向の外側から囲う外壁体50を備えている。図示の例では、ヘッド体45および嵌合筒42のなかで、最も下方に位置する部分は、嵌合筒42の下端縁42eとなっている。なお、ヘッド体45および嵌合筒42のなかで、最も下方に位置する部分は、例えば、ヘッド体45の周壁部の下端縁にする等、適宜変更してもよい。
外壁体50は、上下方向に延び、かつ周方向の全長にわたって連続して延びる筒状に形成されている。なお、外壁体50は、周方向の全長にわたって断続的に延びる筒状等に形成されてもよい。
【0065】
外壁体50は、計量筒部材7の連結筒部20に形成されている。
ここで、連結筒部20は、天壁部が環状に形成された有頂筒状に形成されている。この天壁部の内周縁部から頂部19が上方に向けて突出している。
外壁体50は、連結筒部20において、天壁部と周壁部との接続部分から上方に向けて突出している。外壁体50の外周面と、連結筒部20の周壁部の外周面と、は上下方向に段差なく連なっている。なお、外壁体50は、例えば、連結筒部20の天壁部、連結筒部20の周壁部、若しくは計量筒部材7の基筒部18等に設けられてもよく、計量筒部材7と別体に形成されてもよく、容器本体2等に設けられてもよい。
【0066】
外壁体50は、塗布栓9が塗布位置にあるときに、ヘッド体45の周壁部の下端部、および嵌合筒42の下端部42dを径方向の外側から囲っている。なお、外壁体50は、塗布栓9が塗布位置にあるときに、例えば、ヘッド体45の周壁部を、上下方向の全長にわたって径方向の外側から囲ってもよく、また、嵌合筒42の下端縁42eのみを径方向の外側から囲ってもよい。
塗布栓9が塗布位置にあるときに、ヘッド体45の周壁部のうち、外壁体50から上方に突出した部分は、上方に向かうに従い、縮径している。なお、ヘッド体45の周壁部は、上下方向の全長にわたって、上方に向かうに従い、縮径してもよい。
外壁体50の上端開口縁は、塗布栓9が計量位置にあるときに、嵌合筒42の下端縁42eより下方に位置している。なお、外壁体50の上端開口縁は、塗布栓9が計量位置にあるときに、嵌合筒42の下端縁42eに対して、上下方向に沿う同じ位置に位置してもよいし、上方に位置してもよい。
【0067】
以上説明したように、本実施形態の塗布容器52によれば、塗布位置において、ヘッド体45の周壁部および嵌合筒42のなかで、少なくとも最も下方に位置する部分を径方向の外側から囲う外壁体50を備えているので、塗布位置において、ヘッド体45の周壁部および嵌合筒42のなかで最も下方に位置する部分を、摘まんだり、引き上げたりしにくくすることが可能になり、塗布位置に位置するヘッド体45が計量位置に移動させられるのを抑制することができる。
これにより、例えば塗布容器52を倒立姿勢にし、かつ塗布位置において、嵌合筒42の上部内に内容物が流入している状態で、ヘッド体45を計量位置に移動させ、塗布容器52を正立姿勢に戻したとき等に、嵌合筒42の上部内の内容物が第3連通孔43を通して外部に流出する、といった不具合を生じにくくすることができる。
【0068】
塗布位置において、ヘッド体45の周壁部のうち、少なくとも外壁体50から上方に突出した部分が、上方に向かうに従い、縮径しているので、塗布位置において、ヘッド体45の周壁部を確実に摘まみにくくすることができる。
【0069】
次に、本発明の第3実施形態に係る塗布容器53を、
図10を参照しながら説明する。
なお、この第3実施形態においては、第2実施形態における構成要素と同一の部分については同一の符号を付し、その説明を省略し、異なる点についてのみ説明する。
【0070】
本実施形態の塗布容器53では、外壁体51が、連結筒部20において、天壁部と周壁部との接続部分から径方向の外側に向けて突出した環状部51aと、環状部51aの径方向の外端部から上方に向けて延びる筒部51bと、を備えている。筒部51bの外周面は、連結筒部20の周壁部の外周面より径方向の外側に位置している。筒部51bの上下方向の大きさは、環状部51aの径方向の大きさより大きくなっている。
以上説明したように、本実施形態の塗布容器53によれば、前記第2実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0071】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0072】
例えば上記実施形態では、支持筒40が取付部41および嵌合筒42を備えた構成を示したが、この構成に限定されない。支持筒40は、例えば取付部41を備えていなくてもよい。
【0073】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した実施形態、および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1、52、53 塗布容器
2 容器本体
3 口部
4 中栓部材
5 第1連通孔
6 計量室
7 計量筒部材
8 第2連通孔
9 塗布栓
10 キャップ体
19 頂部
31 引き上げ筒
31a 引き上げ突起
39 塗布構造体
40 支持筒
41 取付部
42 嵌合筒
42a 被係合部
43 第3連通孔
45 ヘッド体
46 吐出孔
47 内側突起
48 外側突起
50、51 外壁体
O 容器軸
S 被塗布部