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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】芝草刈機
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/64 20060101AFI20231106BHJP
   A01D 34/66 20060101ALI20231106BHJP
   A01D 34/63 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
A01D34/64
A01D34/66
A01D34/63
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020054433
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021153409
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】武市 将
(72)【発明者】
【氏名】川西 健太
(72)【発明者】
【氏名】諸井 篤
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-185099(JP,A)
【文献】特開2019-083770(JP,A)
【文献】実開昭61-128928(JP,U)
【文献】特開2006-304646(JP,A)
【文献】特開2007-295864(JP,A)
【文献】米国特許第05845470(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/64
A01D 34/66
A01D 34/63
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機を支持するハウジングと、
前記ハウジングに貫通され、前記原動機により回転可能な軸部と、
前記軸部に固定されたブレードと、
前記ブレード及び前記ハウジングの間において前記軸部に取り付けられ、前記軸部を中心とする平坦な板状に形成されて前記軸部の径方向外側に張り出された保護プレートと、
前記保護プレートの外縁及び前記ハウジングの間隔を覆う突起と、
を備えることを特徴とする芝草刈機。
【請求項2】
前記保護プレートは、前記ブレードに共締めされていることを特徴とする請求項1に記載の芝草刈機。
【請求項3】
前記保護プレートは、
前記ブレードに接触する筒状のホルダと、
前記ホルダから前記軸部の径方向外側に張り出され、前記ブレードに対して前記軸部の軸方向にクリアランスをおいて配置されたプレート部と、
を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の芝草刈機。
【請求項4】
前記突起は、前記ハウジングの頂部から前記軸部の軸方向に突出され、又は、前記ハウジングの外側部から前記軸方向に対して交差する方向に突出されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の芝草刈機。
【請求項5】
前記突起は、前記保護プレートの外縁から前記軸部の軸方向に突出され、又は、前記保護プレートの外縁から前記軸方向に対して交差する方向に突出されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の芝草刈機。
【請求項6】
前記ブレードは、前進走行方向の前側において外周が下方に位置するように、前記前進走行方向の後側へ向けて上り勾配に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の芝草刈機。
【請求項7】
前記ホルダは、前記プレート部と前記ブレードとの間の前記クリアランスに配置されていることを特徴とする請求項3に記載の芝草刈機。
【請求項8】
前記ホルダは、前記軸部に対して回転方向に移動が規制されていることを特徴とする請求項3又は請求項7に記載の芝草刈機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芝草刈機に関する。
【背景技術】
【0002】
芝草刈機は、カッタブレード(以下、ブレードという)が軸部に取り付けられ、取り付けられたブレードがハウジングの下側に配置され、ブレードを軸部で芝草に沿って回転させることにより芝草をブレードで刈るものである。
ところで、芝草刈機のなかには、ブレードの上部に軸部を覆うデフレクタガードが取り付けられ、デフレクタガードがブレードとともに回転するように構成されたものがある。デフレクタガードは、軸部を覆うように筒状に形成され、ブレードから上方へ離れるにしたがって徐々に拡径するように断面湾曲状に形成されている。よって、ブレードで刈った芝草(以下、刈り芝ということがある)が回転軸に巻き付くことをデフレクタガードで抑えることができる(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第2876609号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のデフレクタガードは上方が開口されている。このため、例えば、長い芝草を刈った場合に、ブレードで刈った刈り芝が、デフレクタガードの上方開口から、内部に侵入して軸部に巻き付くことが考えられる。
【0005】
本発明は、ブレードで刈った刈り芝が軸部に巻き付くことを防止できる芝草刈機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明の芝草刈機は、以下の構成を採用した。
(1)原動機(例えば、実施形態のブレード駆動用モータ41)を支持するハウジング(例えば、実施形態のモータハウジング13)と、前記ハウジングに貫通され、前記原動機により回転可能な軸部(例えば、実施形態の出力軸41a)と、前記軸部に固定されたブレード(例えば、実施形態のブレード81)と、前記ブレード及び前記ハウジングの間において前記軸部に取り付けられ、前記軸部を中心とする平坦な板状に形成されて前記軸部の径方向外側に張り出された保護プレート(例えば、実施形態の保護プレート82)と、前記保護プレートの外縁(例えば、実施形態の外縁97a)及び前記ハウジングの間隔を覆う突起(例えば、実施形態の突起83)と、を備えている。
【0007】
この構成によれば、保護プレートをブレードとハウジングとの間の軸部に取り付けた。さらに、保護プレートの外縁とハウジングとの間隔を突起で覆うようにした。これにより、ブレードで刈った刈り芝が、保護プレートの外縁とハウジングとの間隔からハウジングの内部に侵入して、軸部に巻き付くことを防止できる。
【0008】
(2)前記保護プレートは、前記ブレードに共締めされていてもよい。
この構成によれば、保護プレートをブレードに共締めすることにより、保護プレートとブレードとを共通の締付部材で締め付けることができる。これにより、構成を簡素化でき、ブレード及び保護プレートをコンパクトにまとめることができる。
【0009】
(3)前記保護プレートは、前記ブレードに接触する筒状のホルダ(例えば、実施形態のホルダ95)と、前記ホルダから前記軸部の径方向外側に張り出され、前記ブレードに対して前記軸部の軸方向にクリアランス(例えば、実施形態のクリアランスL1)をおいて配置されたプレート部(例えば、実施形態のプレート部97)と、を備えていてもよい。
【0010】
この構成によれば、プレート部をブレードに対してクリアランスをおいて配置した。よって、例えば、ブレードで刈った刈り芝の堆積をクリアランスで許容できる。
また、保護プレートのプレート部をホルダから径方向外側に張り出すことにより、プレート部の外径を大きく確保できる。よって、突起をハウジングの外側部に径方向外側へ向けて近づけることができる。これにより、例えば、プレート部の外縁と突起との間に詰まった刈り芝をハウジングの外側から容易に除去できる。
ここで、ハウジングの外側部に対して、突起を径方向外側へ向けて近づけることにより、ブレードを外さなくても手や工具をプレート部の外縁と突起との間に入れ易くできる。これにより、プレート部の外縁と突起との間に詰まった刈り芝を手や工具で除去しやすくできる。
【0011】
(4)前記突起は、前記ハウジングの頂部(例えば、実施形態のモータハウジングの底部61)から前記軸部の軸方向に突出され、又は、前記ハウジングの外側部(例えば、実施形態のリング部68)から前記軸方向に対して交差する方向に突出されていてもよい。
この構成によれば、突起をハウジングに形成することにより、突起の形状を簡素化できる。
【0012】
(5)前記突起は、前記保護プレートの外縁から前記軸部の軸方向に突出され、又は、前記保護プレートの外縁から前記軸方向に対して交差する方向に突出されていてもよい。
この構成によれば、突起を保護プレートの外縁に形成することにより、ハウジングの形状を簡素化できる。
【0013】
(6)前記ブレードは、前進走行方向の前側において外周(例えば、実施形態の外周85a)が下方に位置するように、前記前進走行方向の後側へ向けて上り勾配に配置されていてもよい。
この構成によれば、ブレードの外周が前進走行方向の前側において下方に位置するように、前進走行方向の後側へ向けてブレードを上り勾配に配置した。これにより、芝草刈機が前進走行しつつ、ブレードによって刈った後の芝面に対して、ブレードが擦ることを防止できる。
【0014】
(7)前記ホルダは、前記プレート部と前記ブレードとの間の前記クリアランスに配置されていてもよい。
この構成によれば、プレート部とブレードとの間のクリアランスにホルダを配置させた。よって、ホルダによりプレート部をブレードに対して位置決めできる。
また、クリアランスにホルダを配置させることにより、例えば、ホルダをスパナ等の締付工具で保持して、保護プレートをブレードに共締めできる。これにより、保護プレート及びブレードを容易に組み付けることができる。
【0015】
(8)前記ホルダは、前記軸部に対して回転方向に移動が規制されていてもよい。
この構成によれば、ホルダが軸部に対して回転方向に移動することを規制した。よって、ホルダ(すなわち、保護プレート)を軸部とともに回転させることができる。保護プレートを軸部とともに回転させることにより、クリアランスに堆積した刈り芝が、プレート部に対して擦ることを防止できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、保護プレートの外縁とハウジングとの間隔を突起で覆うようにした。これにより、ブレードで刈った刈り芝が軸部に巻き付くことを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る実施形態の芝草刈機を示す断面図である。
図2】実施形態のブレードユニットを示す断面図である。
図3図2のIII部を拡大した断面である。
図4】実施形態の保護プレートを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、Frは前側、Rrは後側を示す。また、実施形態においては、自動走行式芝草刈機10のブレード駆動用モータ41側を上方、ブレードユニット12側を下方とする例について説明するが、その他の例として、例えばブレードユニット12を横に配置して使用してもよい。
【0019】
図1に示すように、自動走行式芝草刈機10は、作業者が操縦することなく自主的に走行可能な形式の作業機の一種である。この自動走行式芝草刈機10は、4つの走行輪17,18(右側のみを示す)によって芝地GLを自動的に走行しつつ、略水平に回転するブレードユニット12によって芝草を刈ることが可能であり、いわゆるロボット芝草刈機として知られている。以下、この自動走行式芝草刈機10のことを、単に「芝草刈機10」と略称する。
【0020】
芝草刈機10は、走行フレーム11と、ブレードユニット12と、モータハウジング(ハウジング)13と、昇降駆動部材14と、駆動機構15と、化粧カバー16と、を含む。モータハウジング13、昇降駆動部材14、及び駆動機構15は、走行フレーム11に備えている。走行フレーム11は、4つの走行輪17,18を備えたアンダフレーム20と、アンダフレーム20の上に設けられたアッパフレーム30と、を備えている。
アッパフレーム30は、アンダフレーム20に対して取り外し可能に取り付けられている。さらに、アッパフレーム30は、化粧カバー16によって上から覆われている。化粧カバー16は、アッパフレーム30に対して取り外し可能に取り付けられている。
【0021】
4つの走行輪17,18は、走行フレーム11の前部に備えた左右の前輪17と、走行フレーム11の後部に備えた左右の後輪18と、により構成されている。左右の後輪18は、左右の走行用の電動モータ19によって、個別に駆動される。左右の走行用モータ19が互いに等速で正転、または互いに等速で逆転することによって、芝草刈機10は前後方向に直進走行をする。また、左右の走行用モータ19のいずれか一方だけが逆転することによって、この芝草刈機10は旋回する。
【0022】
ブレードユニット12は、走行フレーム11の中央の下方に位置しており、ブレード駆動用モータ(原動機)41によって駆動される。ブレード駆動用モータ41は、端部から芝地GLへ向かって下方へ延びた出力軸(軸部)41aを有する。出力軸41aは、ブレード駆動用モータ41によって回転可能な軸部である。
出力軸41aは、水平な芝地GL、すなわち地面GLに対して略垂直に支持されている。好ましくは、出力軸41aは、鉛直線VHに対してブレード駆動用モータ41が前方に位置するように若干傾いて支持されている。
出力軸41aを鉛直線VHに対して若干傾かせた理由については後で詳しく説明する。また、ブレードユニット12についても後で詳しく説明する。
【0023】
アッパフレーム30は、アンダフレーム20から上方へ所定の間隔を有して位置している。このため、アンダフレーム20とアッパフレーム30との間には、収納部33が形成されている。
収納部33には、モータハウジング13が収納されている。モータハウジング13は、ブレード駆動用モータ41を収容し且つ保持しており、走行フレーム11に対して昇降可能である。すなわち、モータハウジング13は、アンダフレーム20に対して、回転を規制されるとともに、上下方向の移動を許容されている。
例えば、不図示のガイドレールと、このガイドレールに案内されて上下に移動可能な不図示のスライダとの組合せ構造によって、モータハウジング13は、上下方向の移動のみが許容される。ガイドレールは、アンダフレーム側膨出部21の内壁面に設けられて上下方向に延びている。スライダは、モータハウジング13の外壁面に設けられている。モータハウジング13については後で詳しく説明する。
【0024】
昇降駆動部材14は、駆動機構15に駆動されて、モータハウジング13を昇降させる。例えば、昇降駆動部材14は、モータハウジング13を昇降させるネジ部51(ウォームを含む)によって構成されている。ネジ部51は、上下方向へ延びる駆動軸52に対し、軸線に沿って形成された雄ネジである。駆動軸52は、鉛直線VHに対して平行である。モータハウジング13の外壁には、ネジ部51に噛み合わされるラック53が設けられている。ラック53に形成された複数の歯は、上下方向に配列されている。ネジ部51の捩れ角は、ラック53からの負荷によって逆転されない大きさに、設定されることが好ましい。ネジ部51と駆動軸52は、収納部33に収納されている。
【0025】
駆動機構15は、昇降用モータ55を用いている。昇降用モータ55は、減速機構を内蔵するとともに、上端から上方へ向かって延びた不図示の出力軸を有し、昇降駆動部材14を電動によって駆動する。
昇降用モータ55の動力は、不図示の駆動ギヤと従動ギヤ56とを介して駆動軸52に伝わり、ネジ部51が回転する。ネジ部51の回転によりラック53が昇降する。これにより、モータハウジング13を昇降させて、ブレード駆動用モータ41とブレードユニット12の高さを調節できる。
【0026】
図2図3に示すように、モータハウジング13は、底部61と、第1ガード部62と、第2ガード部63と、を有する。
底部61は、出力軸41aに対して直交するように設けられている、底部61には、モータハウジング13の内部に収容されたブレード駆動用モータ41が複数のボルト65により固定されている。すなわち、ブレード駆動用モータ41は、底部61に支持されている。
【0027】
底部61の中央に貫通孔61aが形成され、貫通孔61aからブレード81(後述する)に向けて出力軸41aが突出されている。すなわち、出力軸41aは、モータハウジング13の底部61を貫通してブレード81に向けて突出されている。底部61のうち貫通孔61aの外周辺に第1ガード部62が一体に形成されている。第1ガード部62は、出力軸41a及びホルダ95(後述する)の外周を覆うように、出力軸41aに対して同軸に筒状形成されている。
【0028】
底部61の外周に第2ガード部63が一体形成されている。第2ガード部63は、ブレード81側に向けて開口され、鉛直線VHに対して同軸に形成されている。第2ガード部63は、第1張出部67と、リング部68と、第2張出部69と、を有する。
第1張出部67は、例えば、底部61の外周から鉛直線VHに対して直交し、かつ、鉛直線VHの径方向外側に向けて張り出されている。
リング部68は、例えば、第1張出部67の外周からブレード81へ向けて突出され、鉛直線VHに対して同軸に環状形成されている。第2張出部69は、鉛直線VHに対して同軸に形成されている。第2張出部69は、例えば、リング部68の端部から鉛直線VHに対して直交し、かつ、鉛直線VHの径方向外側に向けて張り出されている。
【0029】
第2ガード部63によりブレード81に向けて開口する開口部71が形成されている。開口部71に出力軸41aが突出され、突出された出力軸41aが開口部71からブレード81まで延びている。
出力軸41aは、第1キー溝73と、小径部74と、雄ねじ部75と、を有する。第1キー溝73は、出力軸41aのうち軸方向において概ね中央に開口するように形成されている。小径部74は、出力軸41aのうちブレード81側の端部に形成されている。小径部74は、出力軸41aの他の部位に比べて小径に形成されている。小径部74のうち、底部61側の端部に段部77が形成され、ブレード81側の端部に雄ねじ部75が形成されている。雄ねじ部75にナット78がねじ結合されることにより、出力軸41aにブレードユニット12が取り付けられている。
【0030】
ブレードユニット12は、ブレード81と、保護プレート82と、突起83と、を備えている。ブレード81は、ブレード本体85と、カッタ86と、を備えている。
ブレード本体85は、円盤状に形成され、外周85aが下方へ折り曲げられ環状に形成されている。また、ブレード本体85は、中央部85bが底部61に向けて隆起され、中央部85bが上プレート88及び下プレート89で挟持されている。上プレート88、中央部85b、及び下プレート89には、出力軸41aの小径部74が挿通可能な挿通孔がそれぞれ貫通されている。
【0031】
ブレード本体85の外周85a近傍には、周方向に等間隔に複数のカッタ86(実施形態では3個)が取り付けられている。カッタ86は、基端部86aがボルト91及びナット92により回転自在に取り付けられている。カッタ86は、ブレード81が出力軸41aで回転された状態において、回転による遠心力でカッタ86の刃部86bがブレード本体85の外周85aから径方向外側に突出する。これにより、カッタ86の刃部86bで芝草を刈ることができる。
一方、カッタ86の刃部86bに必要以上の負荷を受けた場合には、カッタ86がボルト91を軸に負荷から逃げる方向に回転してカッタを保護できる。
【0032】
図3図4に示すように、ブレード81(具体的には、上プレート88)と底部61との間において、保護プレート82が出力軸41aに取り付けられている。保護プレート82は、ホルダ95と、取付ブラケット96と、プレート部97と、を備えている。
ホルダ95は、軸方向に貫通されることにより筒状に形成されている。ホルダ95は、係止部101と、第2キー溝102と、一対の平坦面103(図4において手前側のみを図示する)と、を有する。
【0033】
ホルダ95は、出力軸41aに嵌合されることにより出力軸41aに支持され、係止部101がブレード81(具体的には、上プレート88)に接触されている。係止部101は、ホルダ95のうちブレード81側の端部が径方向内側に張り出されることにより形成されている。係止部101は、出力軸41aの段部77に接触されている。
よって、出力軸41aの雄ねじ部75にナット78がねじ結合されることにより、係止部101がブレード81(上プレート88)と段部77とにより挟持されている。これにより、ホルダ95の軸方向への移動が防止されている。
【0034】
また、ホルダ95には内周95aに開口する第2キー溝102が形成されている。ホルダ95の第2キー溝102と出力軸41aの第1キー溝73とにキー105が差し込まれている。これにより、ホルダ95は、出力軸41aに対する回転方向の移動が規制されている。ホルダ95の下半部95bには、一対の平坦面103が形成されている。
一対の平坦面103は、ホルダ95の周方向に180°の間隔をおいて、対向する平坦面に形成されている。一対の平坦面103は、例えばスパナ等の締付工具で挟み込まれるように形成されている。また、ホルダ95の下半部95bには、取付ブラケット96が固定されている。
【0035】
取付ブラケット96は、ホルダ95の下半部95bに固定された嵌合部107と、嵌合部107から径方向外側に張り出された一対の支持片108と、を有する。嵌合部107は、ホルダ95の係止部101の下面に接触された底部107aと、底部107aから折り曲げられた一対の側壁107bと、を有する。底部107aは、軸方向から見て係止部101の下面と同様に形成されている。底部107aには、出力軸41aが貫通可能な貫通孔112が形成されている。一対の側壁107bは、底部61の湾曲辺からホルダ95の下半部95bにおいて、湾曲外周面に沿って折り曲げられている。
【0036】
一対の側壁107bの上端部から一対の支持片108がそれぞれ径方向外側に向けて折り曲げられている。一対の支持片108にプレート部97が固定されている。プレート部97は、ホルダ95に嵌入された状態において、一対の支持片108に固定されている。プレート部97は、出力軸41aを中心とする平坦な円盤状に形成され、ホルダ95から出力軸41aの径方向外側に張り出されている。プレート部97は、軸方向においてホルダ95の中央に配置されている。
このように、ホルダ95、取付ブラケット96、及びプレート部97が一体に固定されることにより保護プレート82が形成されている。
【0037】
また、保護プレート82(具体的には、プレート部97)の外縁97aに沿って突起83が筒状に形成されている。突起83は、モータハウジング13の底部(第2ガード部63の頂部)61に一体に形成され、底部61から出力軸41aの軸方向においてブレード81へ向けて筒状に突出されている。突起83の端部83aは、プレート部97の外縁97aよりブレード81側に突出した位置に配置されている。すなわち、突起83は、プレート部97の外縁97aと第2ガード部63との間隔を覆うように形成されている。
【0038】
さらに、突起83がモータハウジング13の底部61に一体に形成されることにより、突起83の形状が簡素化されている。
加えて、突起83の端部83aは、第2張出部69より底部61側に配置されている。すなわち、突起83の端部83aは、第2ガード部63の内部に収納されている。
【0039】
つぎに、出力軸41aに保護プレート82及びブレード81を組み付ける手順について説明する。
まず、出力軸41aの第1キー溝73にキー105が差し込まれた状態において、保護プレート82のホルダ95が出力軸41aに雄ねじ部75側から嵌合される。ホルダ95の第2キー溝102にキー105が差し込まれ、ホルダ95の係止部101が出力軸41aの段部77に接触する。
つぎに、上プレート88、ブレード81(具体的には、ブレード本体85)、及び下プレート89が出力軸41aに雄ねじ部75側から嵌合され、上プレート88が係止部101に接触する。
【0040】
この状態において、上プレート88(ブレード81)に対してプレート部97が軸方向にクリアランスL1をおいて配置される。クリアランスL1は、例えばスパナ等の締付工具を差し込み可能な大きさに形成されている。クリアランスL1にホルダ95の下半部95bが配置されている。よって、プレート部97は、ホルダ95の下半部95bにより、ブレード81に対して軸方向に位置決めされている。
【0041】
また、ホルダ95の下半部95bに一対の平坦面103が形成されている。よって、一対の平坦面103は、クリアランスL1に配置される。これにより、クリアランスL1に差し込んだスパナ等の締付工具でホルダ95の一対の平坦面103が挟み込まれる。一対の平坦面103がスパナ等の締付工具で保持された状態において、出力軸41aの雄ねじ部75にナット78がねじ結合される。
よって、ホルダ95の係止部101、上プレート88、ブレード81(ブレード本体85)、及び下プレート89が、段部77とナット78により共締めされる。これにより、保護プレート82及びブレード81を容易に組み付けることができる。
【0042】
また、保護プレート82及びブレード81がナット78により共締めされることにより、保護プレート82とブレード81とを共通の締付部材(すなわち、ナット78)で締め付けることができる。これにより、構成を簡素化でき、ブレード81及び保護プレート82をコンパクトにまとめることができる。
さらに、ホルダ95の係止部101が出力軸41aの段部77に接触することにより、出力軸41aの軸方向においてホルダ95及びブレード81が位置決めされ、出力軸41aに固定できる。
【0043】
以上説明したように、芝草刈機10によれば、出力軸41aは、鉛直線VHに対してブレード駆動用モータ41が前方に位置するように若干傾いて支持されている。よって、ブレード81は、前進走行方向の前側においてブレード本体85の外周85aが下方に位置するように、前進走行方向の後側へ向けて上り勾配に配置されている。これにより、芝草刈機10が前進走行しつつ、ブレード81のカッタ86によって刈った後の芝面に対して、ブレード81が擦ることを防止できる。
【0044】
また、保護プレート82(具体的には、プレート部97)の外縁97aに沿って突起83が形成されることにより、プレート部97の外縁97aと第2ガード部63との間隔が突起83で覆われている。これにより、ブレード81のカッタ86で刈った刈り芝が、保護プレート82の外縁97aと第2ガード部63との間隔から第2ガード部63の内部に侵入して、ホルダ95に巻き付くことを防止できる。
【0045】
さらに、突起83の端部83aは、第2ガード部63の内部に収納されている。よって、自動走行式芝草刈機10を走行させた状態においてブレード81で刈った刈り芝が突起83の端部83aに当たり難くできる。これにより、刈り芝が突起83の端部83aに当たって、突起83とリング部68との間の空間に詰まり難くできる。
【0046】
加えて、保護プレート82のプレート部97をホルダ95から径方向外側に張り出すことにより、プレート部97の外径を大きく確保できる。よって、プレート部97の外縁97aをリング部68の端部(すなわち、第2ガード部63の開口部71)に近づけることができる。よって、突起83を径方向において開口部71に近づけることができる。これにより、例えば、プレート部97の外縁97aと突起83との間に詰まった刈り芝を第2ガード部63の外側から容易に除去できる。
ここで、芝草刈り機10の中央に位置する出力軸41a付近で芝が詰まった場合には、ブレード81を取り外さない限り、出力軸41a付近に手や工具を入れることは困難である。しかし、リング部68(特に、開口部71)に対して、突起83を径方向外側へ向けて近づけることにより、芝詰りが発生する位置を径方向外側に移動させることができ、ブレード81を外さなくても手や工具をプレート部97の外縁97aと突起83との間に入れ易くできる。これにより、プレート部97の外縁97aと突起83との間に詰まった刈り芝を手や工具で除去しやすくできる。
また、本実施の形態では突起83の端部83aの側面に向かってプレート部97が延びるように構成したが、プレート部97の上面に向かって突起83が延びるように構成してもよい。前者では芝詰まりに対して下方からアクセスできるため芝詰まりが除去しやすい。後者では芝詰まりに対して側方からアクセスする必要があるため、リング部68が邪魔してアクセス性が落ちることが考えられる。
【0047】
また、プレート部97は、ブレード81に対してクリアランスL1をおいて配置されている。よって、例えば、ブレード81のカッタ86で刈った刈り芝の堆積をクリアランスL1で許容できる。
さらに、出力軸41aの第1キー溝73とホルダ95の第2キー溝102とにキー105が差し込まれている。よって、ホルダ95の出力軸41aに対する回転方向への移動が規制されている。すなわち、ホルダ95(すなわち、保護プレート82)をブレード81とともに回転させることができる。これより、クリアランスL1に堆積した刈り芝が、プレート部97に対して擦ることを防止できる。
【0048】
実施形態では、モータハウジング13の底部(第2ガード部63の頂部)61に突起83を一体に形成し、突起83を底部61から出力軸41aの軸方向においてブレード81へ向けて筒状に突出させた例について説明したが、これに限定しない。その他の例として、変形例1、変形例2のように突起を形成してもよい変形例1、変形例2について説明する。
【0049】
(変形例1)
変形例1の突起は、リング部(ハウジングの外側部)68に一体に形成され、リング部68から保護プレート82(具体的には、プレート部97)の外縁97aまで径方向内側に向けて、出力軸41aの軸方向に対して交差する方向に張り出されている。よって、突起は、プレート部97の外縁97aと第2ガード部63との間隔を覆うことができる。
ここで、交差する方向は、出力軸41aの軸方向に対して直交する方向に限定するものではなく、例えば出力軸41aの軸方向に対して斜めの方向も含む。
【0050】
これにより、ブレード81のカッタ86で刈った刈り芝が、保護プレート82の外縁97aと第2ガード部63との間隔から第2ガード部63の内部に侵入して、ホルダ95に巻き付くことを防止できる。
さらに、突起がモータハウジング13のリング部68に一体に形成されることにより、突起の形状を簡素化できる。
【0051】
(変形例2)
変形例2の突起は、保護プレート82(具体的には、プレート部97)の外縁97aに一体に形成されている。この突起は、保護プレート82(具体的には、プレート部97)の外縁97aからモータハウジング13の底部(第2ガード部63の頂部)61へ向けて出力軸41aの軸方向に沿って筒状に突出されている。よって、突起は、プレート部97の外縁97aと第2ガード部63との間隔を覆うことができる。
【0052】
これにより、ブレード81のカッタ86で刈った刈り芝が、保護プレート82の外縁97aと第2ガード部63との間隔から第2ガード部63の内部に侵入して、ホルダ95に巻き付くことを防止できる。
さらに、突起が、保護プレート82(プレート部97)の外縁97aに一体に形成されることにより、突起の形状を簡素化できる。
【0053】
なお、変形例2では、突起を出力軸41aの軸方向に沿って延ばす例について説明したが、これに限らない。その他の例として、突起を、出力軸41aの軸方向に対して交差する方向(すなわち、プレート部97の延長方向)にリング部68へ向けて突出させてもよい。よって、突起は、プレート部97の外縁97aと第2ガード部63との間隔を覆うことができる。
なお、交差する方向は、出力軸41aの軸方向に対して直交する方向に限定するものではなく、例えば出力軸41aの軸方向に対して斜めの方向も含む。
【0054】
これにより、ブレード81のカッタ86で刈った刈り芝が、保護プレート82の外縁97aと第2ガード部63との間隔から第2ガード部63の内部に侵入して、ホルダ95に巻き付くことを防止できる。
さらに、突起が、保護プレート82(プレート部97)の外縁97aに一体に形成されることにより、突起の形状を簡素化できる。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能であり、上述した変形例を適宜組み合わせることも可能である。
例えば、前記実施形態では、芝草刈機10として自動走行式芝草刈機を例示したが、その他の例として、歩行型自走式芝草刈機、乗用型自走式芝草刈機等の他の芝草刈機としてもよい。
【0056】
また、前記実施形態では、原動機としてブレード駆動用モータ(すなわち、電動モータ)41を例示したが、電動モータに代えてエンジン等を原動機として使用してもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 芝草刈機
12 ブレードユニット
13 モータハウジング(ハウジング)
41 ブレード駆動用モータ(原動機)
41a 出力軸(軸部)
61 モータハウジングの底部(ハウジングの頂部)
63 第2ガード部
68 リング部(ハウジングの外側部)
81 ブレード
82 保護プレート
83 突起
85 ブレード本体
85a ブレード本体の外周
95 ホルダ
97 プレート部
97a プレート部の外縁(保護プレートの外縁)
L1 クリアランス
図1
図2
図3
図4