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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】押出しブロー容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 1/00 20060101AFI20231106BHJP
   B65D 1/02 20060101ALI20231106BHJP
   B29C 49/04 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
B65D1/00 120
B65D1/02 200
B29C49/04
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020080561
(22)【出願日】2020-04-30
(65)【公開番号】P2021172422
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】沓澤 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】保坂 浩司
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-140731(JP,A)
【文献】特開昭54-069172(JP,A)
【文献】国際公開第2004/022307(WO,A1)
【文献】特開2006-103713(JP,A)
【文献】特開2006-151488(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0264107(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/00- 1/48
B29C 49/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性を有する第1樹脂材料により形成され、
少なくとも胴部の内周面に、径方向の内側に向けて突出し、上下方向に延びる突リブが設けられ、
着色された第2樹脂材料により形成され、かつ上下方向に延びる着色条が設けられ、
前記着色条の少なくとも一部は、この押出しブロー容器における外周面側の一部を構成し、かつ容器軸に直交する同一平面上で、前記突リブと同じ周方向の位置に位置し、
前記着色条のうち、前記同一平面上で、前記突リブと同じ周方向の位置に位置する対応部分における周方向の中間部は、径方向の内側に向けて突出し、
前記対応部分の径方向の厚さは、前記対応部分において、周方向の中間部に位置する径方向の内端部から周方向の両端縁に各別に向かうに従い薄くなっており、
前記対応部分における径方向の内端部は、前記対応部分における周方向の中央部から周方向に離れている、押出しブロー容器。
【請求項2】
光透過性を有する第1樹脂材料により形成され、
少なくとも胴部の内周面に、径方向の内側に向けて突出し、上下方向に延びる突リブが設けられ、
着色された第2樹脂材料により形成され、かつ上下方向に延びる着色条が設けられ、
前記着色条の少なくとも一部は、この押出しブロー容器における外周面側の一部を構成し、かつ容器軸に直交する同一平面上で、前記突リブと同じ周方向の位置に位置し、
前記着色条のうち、前記同一平面上で、前記突リブと同じ周方向の位置に位置する対応部分における周方向の中間部は、径方向の内側に向けて突出し、
前記対応部分の径方向の厚さは、前記対応部分において、周方向の中間部に位置する径方向の内端部から周方向の両端縁に各別に向かうに従い薄くなっており、
前記突リブにおける周方向の中間部は、径方向の内側に向けて突出し、
前記突リブにおける径方向の厚さは、前記突リブにおいて、周方向の中間部に位置する径方向の内端部から周方向の両端縁に各別に向かうに従い薄くなっており、
前記突リブ、および前記対応部分それぞれの径方向の内端部は、周方向に沿う同等の位置に位置している、押出しブロー容器。
【請求項3】
光透過性を有する第1樹脂材料により形成され、
少なくとも胴部の内周面に、径方向の内側に向けて突出し、上下方向に延びる突リブが設けられ、
着色された第2樹脂材料により形成され、かつ上下方向に延びる着色条が設けられ、
前記着色条の少なくとも一部は、この押出しブロー容器における外周面側の一部を構成し、かつ容器軸に直交する同一平面上で、前記突リブと同じ周方向の位置に位置し、
前記着色条のうち、前記同一平面上で、前記突リブと同じ周方向の位置に位置する対応部分における周方向の中間部は、径方向の内側に向けて突出し、
前記対応部分の径方向の厚さは、前記対応部分において、周方向の中間部に位置する径方向の内端部から周方向の両端縁に各別に向かうに従い薄くなっており、
前記着色条は、前記突リブより径方向の外側に位置し、かつ上下方向の全長にわたって真直ぐ延び、
前記突リブの少なくとも一部は、周方向に屈曲しつつ上下方向に延びている、押出しブロー容器。
【請求項4】
光透過性を有する第1樹脂材料により形成され、
少なくとも胴部の内周面に、径方向の内側に向けて突出し、上下方向に延びる突リブが設けられ、
着色された第2樹脂材料により形成され、かつ上下方向に延びる着色条が設けられ、
前記着色条の少なくとも一部は、この押出しブロー容器における外周面側の一部を構成し、かつ容器軸に直交する同一平面上で、前記突リブと同じ周方向の位置に位置し、
前記着色条のうち、前記同一平面上で、前記突リブと同じ周方向の位置に位置する対応部分における周方向の中間部は、径方向の内側に向けて突出し、
前記対応部分の径方向の厚さは、前記対応部分において、周方向の中間部に位置する径方向の内端部から周方向の両端縁に各別に向かうに従い薄くなっており、
前記着色条は、全域にわたって前記第1樹脂材料に覆われている、押出しブロー容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出しブロー容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、上下方向で色彩の濃さを変化させることにより、グラデーション効果を発揮させる容器が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-342900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年では、周方向の所定範囲に限って、周方向で色彩の濃さを変化させた新たな装飾効果を発揮する容器が求められている。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、周方向の所定範囲に限って、周方向で色彩の濃さを変化させることができる押出しブロー容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような手段を採用した。すなわち、本発明の押出しブロー容器は、光透過性を有する第1樹脂材料により形成され、少なくとも胴部の内周面に、径方向の内側に向けて突出し、上下方向に延びる突リブが設けられ、着色された第2樹脂材料により形成され、かつ上下方向に延びる着色条が設けられ、前記着色条の少なくとも一部は、この押出しブロー容器における外周面側の一部を構成し、かつ容器軸に直交する同一平面上で、前記突リブと同じ周方向の位置に位置し、前記着色条のうち、前記同一平面上で、前記突リブと同じ周方向の位置に位置する対応部分における周方向の中間部は、径方向の内側に向けて突出し、前記対応部分の径方向の厚さは、前記対応部分において、周方向の中間部に位置する径方向の内端部から周方向の両端縁に各別に向かうに従い薄くなっている。
【0007】
本発明によれば、着色された第2樹脂材料により形成され、かつ上下方向に延びる着色条が設けられているので、径方向の外側から見たときに、着色条と対応した、上下方向に延びる帯状部分から、第2樹脂材料の色彩を視認することができる。
この着色条のうちの前記対応部分の径方向の厚さが、前記対応部分において、周方向の中間部に位置する径方向の内端部から周方向の両端縁に各別に向かうに従い薄くなっているので、径方向の外側から見たときに、第2樹脂材料の色彩が、前記対応部分における周方向の中間部から周方向の両端縁に向かうに従い薄く見えることとなる。これにより、着色条のうちの前記対応部分と対応した、周方向の所定範囲に限って、周方向で色彩の濃さが変化するグラデーション効果を発揮させることができる。
前記対応部分が、容器軸に直交する同一平面上で、平滑な、突リブの非形成部分ではなく、突リブと同じ周方向の位置に位置しているので、押出し成形の過程でパリソンを形成する際に、突リブを形成する樹脂材料全体の、径方向の内側に向けた流動に、着色条を形成する第2樹脂材料が追従することとなる。これにより、周方向の中間部が、径方向の内側に向けて突出し、かつ径方向の厚さが、周方向の中間部から周方向の両端縁に各別に向かうに従い薄くなっている前記対応部分を容易に形成することができる。
着色条の少なくとも一部が、この押出しブロー容器における外周面側の一部を構成しているので、例えば、既存の押出機に対して、大掛かりな分解等を行わず、着色条を成形するための押出機を単に追加的に組み付けること等によって、押出しブロー容器を形成することが可能になり、押出しブロー容器のコストを抑えることができる。
【0008】
前記対応部分における径方向の内端部は、前記対応部分における周方向の中央部から周方向に離れてもよい。
【0009】
この場合、着色条の前記対応部分において、径方向の外側から見たときに色彩が最も濃い、径方向の内端部を含んで径方向の厚さが最も厚い部分が、前記対応部分における周方向の中央部から周方向に離れているので、前記対応部分における周方向の中間部から周方向の両端縁に向かう、色彩の濃さが薄く変化する程度を、周方向における一方側と他方側とで異ならせることが可能になり、装飾性を向上させることができる。
【0010】
前記突リブにおける周方向の中間部は、径方向の内側に向けて突出し、前記突リブにおける径方向の厚さは、前記突リブにおいて、周方向の中間部に位置する径方向の内端部から周方向の両端縁に各別に向かうに従い薄くなっており、前記突リブ、および前記対応部分それぞれの径方向の内端部は、周方向に沿う同等の位置に位置してもよい。
【0011】
この場合、突リブにおける径方向の厚さが、突リブにおいて、周方向の中間部に位置する径方向の内端部から周方向の両端縁に各別に向かうに従い薄くなっており、突リブ、および前記対応部分それぞれの径方向の内端部が、周方向に沿う同等の位置に位置している。
これにより、押出し成形の過程でパリソンを形成する際に、突リブを成形する樹脂材料全体の、径方向の内側に向けた流動に、着色条を形成する第2樹脂材料が確実に追従することとなり、周方向の中間部が、径方向の内側に向けて突出し、かつ径方向の厚さが、周方向の中間部から周方向の両端縁に各別に向かうに従い薄くなっている前記対応部分を確実に形成することができる。
【0012】
前記着色条は、前記突リブより径方向の外側に位置し、かつ上下方向の全長にわたって真直ぐ延び、前記突リブの少なくとも一部は、周方向に屈曲しつつ上下方向に延びてもよい。
【0013】
この場合、着色条が、上下方向の全長にわたって真直ぐ延び、突リブの少なくとも一部が、周方向に屈曲しつつ上下方向に延びているので、着色条が、容器軸に直交する同一平面上で、突リブと同じ周方向の位置に位置する対応部分と、前記同一平面上で突リブから周方向に離れた離間部分と、を、上下方向の位置を異ならせて備えることとなる。これにより、着色条と対応した、上下方向に延びる帯状部分のうち、前記対応部分が位置する部分と、前記離間部分が位置する部分と、で、例えば色調等を異ならせることが可能になり、装飾性を向上させることができる。
着色条が、突リブより径方向の外側に位置しているので、押出し成形の過程でパリソンを形成する際に、周方向に屈曲しつつ上下方向に延びる突リブを形成するための、押出機の先端部に設けられたチップの回転移動に対して、着色条を形成する第2樹脂材料を追従させにくくすることが可能になり、屈曲した突リブと、上下方向の全長にわたって真直ぐ延びる着色条と、を備える押出しブロー容器を容易に形成することができる。
【0014】
前記着色条は、全域にわたって前記第1樹脂材料に覆われてもよい。
【0015】
この場合、着色条が、全域にわたって第1樹脂材料に覆われているので、押出し成形の過程でパリソンを形成する際に、押出機の先端部に設けられたチップ等に対して、第2樹脂材料を摺接させず、第1樹脂材料のみが摺接することとなり、チップ等に対する溶融樹脂の流動抵抗を、チップ等の全域にわたって同等にすることが可能になり、押出しブロー容器を容易に形成することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、周方向の所定範囲に限って、周方向で色彩の濃さを変化させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る一実施形態として示した押出しブロー容器の側面図である。
図2図1に示す押出しブロー容器のII-II線矢視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る押出しブロー容器1は、光透過性を有する第1樹脂材料W1により形成されている。第1樹脂材料W1は、径方向の外側から押出しブロー容器1の内側を視認することができれば、着色されていてもよい。
【0019】
押出しブロー容器1は、図1に示されるように、口部11、肩部12、胴部13、および底部14が、容器軸Oに沿って上方から下方に向けてこの順に連設されて構成されている。
以下、容器軸Oに沿う方向を上下方向といい、上下方向から見て、容器軸Oに交差する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0020】
図1および図2に示されるように、少なくとも胴部13の内周面に、径方向の内側に向けて突出し、上下方向に延びる突リブ15が設けられている。
【0021】
本実施形態では、突リブ15は、口部11、肩部12、胴部13、および底部14の周壁部に一体に形成されている。突リブ15は、周方向に間隔をあけて複数設けられている。周方向で互いに隣り合う各突リブ15は、径方向の外側から見て、互いにほぼ平行に延びている。径方向の外側から見て、突リブ15のうち、口部11および肩部12に位置する部分は、上下方向に真直ぐ延び、胴部13および底部14の周壁部に位置する部分は、周方向に屈曲しつつ上下方向に延びている。
なお、突リブ15は、1つ設けられてもよいし、径方向の外側から見て、上下方向の全長にわたって上下方向に真直ぐ延びてもよいし、上下方向の全長にわたって周方向に屈曲しつつ上下方向に延びてもよいし、胴部13にのみ形成されてもよい。
【0022】
突リブ15における周方向の中間部は、径方向の内側に向けて突出し、突リブ15における径方向の厚さは、突リブ15において、周方向の中間部に位置する径方向の内端部15aから周方向の両端縁に各別に向かうに従い薄くなっている。
【0023】
本実施形態では、突リブ15は、容器軸Oに直交する横断面視で、径方向の内側に向けて尖る三角形状を呈する。突リブ15において、周方向を向く2つの側面15bは、径方向の内側に向かうに従い、互いに周方向に近付く向きに延び、かつ前記横断面視で凹曲線状を呈する。突リブ15における径方向の内端部15aは、突リブ15における周方向の中央部から周方向に離れている。突リブ15における径方向の内端部15aは、径方向の内側に向けて尖っている。同じ上下方向の位置に位置する複数の突リブ15は、前記横断面視において、互いに同じ形状で同じ大きさを呈する。
【0024】
なお、突リブ15における径方向の内端部15aを、突リブ15における周方向の中央部に位置させてもよく、突リブ15における径方向の内端部15aは、径方向の内側に向けて尖らず、径方向の内側を向く面を有してもよい。同じ上下方向の位置に位置する複数の突リブ15は、前記横断面視において、互いに異なる形状で異なる大きさを呈してもよい。突リブ15における周方向の中間部を、径方向の内側に向けて突出させず、突リブ15の内周面を、周方向の全長にわたって、同じ径方向の位置に位置させてもよい。
【0025】
そして、本実施形態では、着色された第2樹脂材料W2により形成され、かつ上下方向に延びる着色条16が設けられている。着色条16の少なくとも一部は、この押出しブロー容器1における外周面側の一部を構成し、かつ容器軸Oに直交する同一平面上で、突リブ15と同じ周方向の位置に位置している。
【0026】
第1樹脂材料W1が着色されている場合、第2樹脂材料W2の色彩は、第1樹脂材料W1の色彩より濃くてもよい。着色条16は、上下方向の全長にわたって、押出しブロー容器1の外周面側の一部を構成している。着色条16は、突リブ15より径方向の外側に位置している。着色条16は、全域にわたって第1樹脂材料W1に覆われている。同じ上下方向の位置に位置する複数の着色条16は、前記横断面視において、互いに同じ形状で同じ大きさを呈する。
【0027】
着色条16は、上下方向の全長にわたって上下方向に真直ぐ延びている。
ここで、前述したように、突リブ15の一部が、周方向に屈曲しつつ上下方向に延びているので、着色条16は、容器軸Oに直交する同一平面上で、突リブ15と同じ周方向の位置に位置する対応部分18と、前記同一平面上で突リブ15から周方向に離れている離間部分19と、を、上下方向の位置を異ならせて備えている。
【0028】
図示の例では、各着色条16は、3つの対応部分18と、2つの離間部分19と、を備えている。
対応部分18は、口部11および肩部12と、胴部13と、底部14の周壁部と、の3箇所に、上下方向に間隔をあけて各別に設けられている。1つの着色条16において、口部11および肩部12での前記同一平面上で、対応部分18と同じ周方向の位置に位置している突リブ15と、胴部13での前記同一平面上で、対応部分18と同じ周方向の位置に位置している突リブ15と、底部14の周壁部での前記同一平面上で、対応部分18と同じ周方向の位置に位置している突リブ15と、が互いに異なっている。
離間部分19は、上下方向で互いに隣り合う対応部分18同士の間に位置している。離間部分19は、3つの対応部分18のうち、胴部13に位置する対応部分18を上下方向に挟む両側に各別に設けられている。離間部分19は、前記横断面視で、周方向に長い長方形状を呈する。
【0029】
対応部分18における周方向の中間部は、径方向の内側に向けて突出し、対応部分18における径方向の厚さは、対応部分18において、周方向の中間部に位置する径方向の内端部18aから周方向の両端縁に各別に向かうに従い薄くなっている。
対応部分18における径方向の内端部18aは、対応部分18における周方向の中央部から周方向に離れている。対応部分18における径方向の内端部18aは、径方向の内側に向けて尖っている。
【0030】
なお、対応部分18における径方向の内端部18aを、対応部分18における周方向の中央部に位置させてもよく、対応部分18における径方向の内端部18aは、径方向の内側に向けて尖らず、径方向の内側を向く面を有してもよい。また、着色条16を、押出しブロー容器1における内側、若しくは外側に露出させてもよい。同じ上下方向の位置に位置する複数の着色条16は、前記横断面視において、互いに異なる形状で異なる大きさを呈してもよい。
【0031】
対応部分18において、周方向を向く2つの側面18cが、径方向の内側に向かうに従い、互いに周方向に近付く向きに延び、かつ凹曲線状を呈する。突リブ15、および対応部分18それぞれの径方向の内端部15a、18aは、周方向に沿う同等の位置に位置している。突リブ15、および対応部分18それぞれの径方向の内端部15a、18aは、径方向に対して、周方向にわずかに傾く向きに尖っている。前記横断面視で、対応部分18の前記側面18cは、突リブ15の前記側面15bに対して小さい相似形状を呈する。着色条16における径方向の外端部16bは、押出しブロー容器1の外周面に沿って延びている。
なお、突リブ15および対応部分18それぞれの前記側面15b、18cの前記横断面視の形状を互いに異ならせてもよく、前記側面15b、18cは、前記横断面視で直線状に延びてもよい。
【0032】
以上のように構成された押出しブロー容器1は、まず、押出機の先端部に設けられた口金と、口金の内側に装置軸線回りに回転可能に設けられたチップと、の間に、溶融状態にある第1樹脂材料W1および第2樹脂材料W2を、装置軸線方向に流動させつつ、チップを装置軸線回りに回転させることでパリソンを形成した後に、このパリソンをブロー成形することで得ることができる。
【0033】
パリソンを形成する際、溶融状態にある第2樹脂材料W2を、口金とチップとの間において、装置軸線回りに間隔をあけた複数個所を、装置軸線方向に流動させつつ、溶融状態にある第1樹脂材料W1を、装置軸線回りに全周にわたって連続して延びる環状にした状態で、口金とチップとの間において、第2樹脂材料W2を装置径方向に挟む両側に位置する各部分を、装置軸線方向に流動させる。
この際、チップの外周面には、装置軸線回りに間隔をあけて複数の凹部が形成されており、2つの環状の第1樹脂材料W1のうち、装置径方向の内側に位置する方の一部を、これらの凹部を装置軸線方向に流動させることで、パリソンの内周面に、ブロー成形時に突リブ15となる突起を形成する。
【0034】
以上説明したように、本実施形態による押出しブロー容器1によれば、着色された第2樹脂材料W2により形成され、かつ上下方向に延びる着色条16が設けられているので、径方向の外側から見たときに、着色条16と対応した、上下方向に延びる帯状部分から、第2樹脂材料W2の色彩を視認することができる。
【0035】
この着色条16のうちの対応部分18の径方向の厚さが、対応部分18において、周方向の中間部に位置する径方向の内端部18aから周方向の両端縁に各別に向かうに従い薄くなっているので、径方向の外側から見たときに、第2樹脂材料W2の色彩が、対応部分18における周方向の中間部から周方向の両端縁に向かうに従い薄く見えることとなる。これにより、着色条16のうちの対応部分18と対応した、周方向の所定範囲に限って、周方向で色彩の濃さが変化するグラデーション効果を発揮させることができる。
【0036】
対応部分18が、容器軸Oに直交する同一平面上で、平滑な、突リブ15の非形成部分ではなく、突リブ15と同じ周方向の位置に位置しているので、押出し成形の過程でパリソンを形成する際に、突リブ15を形成する樹脂材料全体の、径方向の内側に向けた流動に、着色条16を形成する第2樹脂材料W2が追従することとなる。これにより、周方向の中間部が、径方向の内側に向けて突出し、かつ径方向の厚さが、周方向の中間部から周方向の両端縁に各別に向かうに従い薄くなっている対応部分18を容易に形成することができる。
【0037】
着色条16の少なくとも一部が、この押出しブロー容器1における外周面側の一部を構成しているので、例えば、既存の押出機に対して、大掛かりな分解等を行わず、着色条16を成形するための押出機を単に追加的に組み付けること等によって、押出しブロー容器1を形成することが可能になり、押出しブロー容器1のコストを抑えることができる。
【0038】
着色条16の対応部分18において、径方向の外側から見たときに色彩が最も濃い、径方向の内端部18aを含んで径方向の厚さが最も厚い部分が、対応部分18における周方向の中央部から周方向に離れているので、対応部分18における周方向の中間部から周方向の両端縁に向かう、色彩の濃さが薄く変化する程度を、周方向における一方側と他方側とで異ならせることが可能になり、装飾性を向上させることができる。
【0039】
突リブ15における径方向の厚さが、突リブ15において、周方向の中間部に位置する径方向の内端部15aから周方向の両端縁に各別に向かうに従い薄くなっており、突リブ15、および対応部分18それぞれの径方向の内端部15a、18aが、周方向に沿う同等の位置に位置している。
これにより、押出し成形の過程でパリソンを形成する際に、突リブ15を成形する樹脂材料全体の、径方向の内側に向けた流動に、着色条16を形成する第2樹脂材料W2が確実に追従することとなり、周方向の中間部が、径方向の内側に向けて突出し、かつ径方向の厚さが、周方向の中間部から周方向の両端縁に各別に向かうに従い薄くなっている対応部分18を確実に形成することができる。
【0040】
着色条16が、上下方向の全長にわたって真直ぐ延び、突リブ15の少なくとも一部が、周方向に屈曲しつつ上下方向に延びているので、着色条16が、容器軸Oに直交する同一平面上で、突リブ15と同じ周方向の位置に位置する対応部分18と、前記同一平面上で突リブ15から周方向に離れた離間部分19と、を、上下方向の位置を異ならせて備えることとなる。これにより、着色条16と対応した、上下方向に延びる帯状部分のうち、対応部分18が位置する部分と、離間部分19が位置する部分と、で、例えば色調等を異ならせることが可能になり、装飾性を向上させることができる。
【0041】
着色条16が、突リブ15より径方向の外側に位置しているので、押出し成形の過程でパリソンを形成する際に、周方向に屈曲しつつ上下方向に延びる突リブ15を形成するための、押出機の先端部に設けられたチップの回転移動に対して、着色条16を形成する第2樹脂材料W2を追従させにくくすることが可能になり、屈曲した突リブ15と、上下方向の全長にわたって真直ぐ延びる着色条16と、を備える押出しブロー容器1を容易に形成することができる。
【0042】
着色条16が、全域にわたって第1樹脂材料W1に覆われているので、押出し成形の過程でパリソンを形成する際に、押出機の先端部に設けられたチップ等に対して、第2樹脂材料W2を摺接させず、第1樹脂材料W1のみが摺接することとなり、チップ等に対する溶融樹脂の流動抵抗を、チップ等の全域にわたって同等にすることが可能になり、押出しブロー容器1を容易に形成することができる。
【0043】
なお、本発明の技術範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0044】
押出しブロー容器1として、最も径方向の内側に位置する層と、最も径方向の外側に位置する層と、が同じ材質で形成された多層構造を採用してもよい。
この場合、押出し成形の過程でパリソンを形成する際に、口金等に対する溶融樹脂の流動抵抗を、口金等の全域にわたって同等にすることが可能になり、押出しブロー容器を容易に形成することができる。
【0045】
着色条16および突リブ15の双方を、周方向の同じ位置に位置させた状態で、上下方向の全長にわたって上下方向に真直ぐ延ばしてもよい。
この場合、径方向の外側から見たときに、突リブ15と対応した、上下方向に延びる帯状部分から、第2樹脂材料W2の色彩を視認すること等ができる。
【0046】
前記実施形態では、突リブ15の一部が、周方向に屈曲しつつ上下方向に延びる一方、着色条16が、上下方向の全長にわたって上下方向に真直ぐ延びる構成を示したが、これに限らず例えば、着色条16のうち、突リブ15の前述の屈曲部分と同じ周方向の位置に位置する部分は、突リブ15の屈曲部分に追従するように、わずかに屈曲しつつ上下方向に延びてもよい。この構成において、着色条16は、前記実施形態と同様に、対応部分18および離間部分19を、上下方向の位置を異ならせて備えてもよい。
【0047】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記実施形態および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 押出しブロー容器
13 胴部
15 突リブ
16 着色条
18 対応部分
19 離間部分
W1 第1樹脂材料
W2 第2樹脂材料
図1
図2