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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】広告表示システム及び情報提供方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0241 20230101AFI20231106BHJP
   G09F 19/00 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
G06Q30/0241
G09F19/00 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020101368
(22)【出願日】2020-06-11
(65)【公開番号】P2021196728
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2022-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000232955
【氏名又は名称】株式会社日立ビルシステム
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉村 卓馬
(72)【発明者】
【氏名】魚谷 翔吾
(72)【発明者】
【氏名】薛 祺
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0036122(US,A1)
【文献】特開2003-012250(JP,A)
【文献】特開2007-087369(JP,A)
【文献】国際公開第2018/167827(WO,A1)
【文献】特開2013-184788(JP,A)
【文献】特開2009-146077(JP,A)
【文献】特開2018-099317(JP,A)
【文献】特開2020-007086(JP,A)
【文献】特開2002-241061(JP,A)
【文献】特開2003-085442(JP,A)
【文献】特開2003-312947(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G09F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベーターの乗りかご内に広告を表示する広告表示システムであって、
前記乗りかご内に広告を表示する表示部と、
前記乗りかごの行先階を受け付けるエレベーター制御部と、
前記乗りかごの搭乗者人数又は乗車率を算出する搭乗者情報算出部と、
前記行先階と、前記搭乗者人数又は乗車率とに基づいて、前記表示部に表示させる広告を選択する表示広告選択部と、
前記表示広告選択部によって選択された広告を前記表示部に広告を表示させる表示制御部と、
前記広告の表示実績情報を求める表示実績情報生成部と、
前記表示実績情報生成部が求めた表示実績情報を出力する表示実績情報出力部と、を備え
前記広告の表示実績情報は、前記広告の広告主の店舗が存在する階まで前記乗りかごが移動している間における、前記広告主の広告の表示時間及び/又は再生回数であり、
前記広告主の広告対象物は、料理又は物品を含み、
前記広告対象物が料理である前記店舗と、前記広告対象物が物品である前記店舗とで、前記広告の前記乗りかご内の表示部での表示設定時間帯が異なっており、
前記表示広告選択部は、現在時刻が、前記表示設定時間帯に含まれる広告の広告データに対しては高い優先値を設定し、設定された前記優先値が高い前記広告データから順に、前記エレベーター制御部に送信する制御を行う
広告表示システム。
【請求項2】
前記表示実績情報生成部は、広告主の端末装置から送信された前記広告主の前記店舗の売り上げに関連する情報と、前記広告の表示実績情報と、を対応付けた前記表示実績情報を生成する
請求項に記載の広告表示システム。
【請求項3】
前記表示実績情報出力部は、前記広告の広告料の支払い額が高い広告ランクである店舗における売り上げ情報を、他の店舗の前記端末装置の前記表示部に表示させる制御を行う
請求項に記載の広告表示システム。
【請求項4】
前記広告データは、前記エレベーターが設けられた建物を現在訪れている利用者を対象とした第1の広告データと、前記建物を次回以降に訪れる利用者を対象とした第2の広告データと、を含み、
前記表示広告選択部は、前記行先階の情報に示される行先階が、前記建物の出入り口階又は駐車場の設置階でない場合、前記第1の広告データに対して、高い前記優先値を設定し、前記行先階の情報に示される行先階が、前記建物の出入り口階又は駐車場の設置階である場合、前記第2の広告データに対して、高い前記優先値を設定する
請求項に記載の広告表示システム。
【請求項5】
前記搭乗者情報算出部が算出した前記乗りかごの搭乗者人数又は乗車率に応じて、前記広告主に請求する広告料の高さを変える制御を行う制御部をさらに備える
請求項又はに記載の広告表示システム。
【請求項6】
エレベーターの乗りかご内に広告を表示する広告表示システムによる情報提供方法であって、
エレベーター制御部が前記乗りかごの行先階を受け付ける手順と、
前記乗りかごの搭乗者人数又は乗車率を算出する手順と、
前記行先階と、前記搭乗者人数又は乗車率とに基づいて、前記エレベーター内の表示部に表示させる広告を選択する表示広告選択手順と、
選択された前記広告を前記表示部に表示させる手順と、
前記広告の表示実績情報を求める手順と、
前記表示実績情報を出力する手順と、を含み、
前記広告の表示実績情報は、前記広告の広告主の店舗が存在する階まで前記乗りかごが移動している間における、前記広告主の広告の表示時間及び/又は再生回数であり、
前記広告主の広告対象物は、料理又は物品を含み、
前記広告対象物が料理である前記店舗と、前記広告対象物が物品である前記店舗とで、前記広告の前記乗りかご内の表示部での表示設定時間帯が異なっており、
前記表示広告選択手順では、現在時刻が、前記表示設定時間帯に含まれる広告の広告データに対しては高い優先値を設定し、設定された前記優先値が高い前記広告データから順に、前記エレベーター制御部に送信する制御を行う
情報提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告表示システム及び情報提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エレベーターの乗りかご内の乗客の状況に応じて、乗客に対して、広告等の情報を配信する手法が知られている。例えば、乗りかご内に備え付けられたカメラによる乗客の撮影画像の解析結果に基づいて、適切な広告を乗りかご内の表示器に表示すること等が行われている。特許文献1には、エレベーターの壁面に取り付け可能な表示装置であって、コンテンツを表示する表示部と、表示部と同一面に設けられた撮像部と、撮像部で撮像したかご内の乗員の映像データを解析する映像解析部と、映像解析データにおける乗員の属性又は状況に応じてコンテンツを選択して表示部に表示させるコンテンツ制御部と、を備えた表示装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献1には、コンテンツを出力した回数、時間帯、乗員が表示部を見ていたかどうか、乗客の表情などの乗員解析データに基づいて、広告料を決定することも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-199314号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載された、撮像部を備えた表示装置は、エレベーターに容易に設置可能であり、手軽に広告を配信できるものであるが、エレベーターの制御装置には接続されない。したがって、特許文献1に記載の表示装置は、エレベーターの制御装置が検出する、乗客による乗りかごの利用状況を示す各種情報を取得することはできない。エレベーターの制御装置が検出する情報には、エレベーターの荷重センサの検出値から算出されるかご内の搭乗数(率)や、乗客によって選択されたエレベーターの行先階の情報などがある。
【0006】
例えば、エレベーターが設置された建物内のテナント(店舗)が広告主である場合、エレベーターの行先階の情報に基づいて、乗りかご内の表示部に表示させる広告の内容を切り替えることにより、テナントのニーズにより合った広告を表示できるようになると考えられる。また、エレベーターの利用状況の情報と、実際に広告が表示された回数又は表示時間等の広告の表示実績とを対応付けた情報とを、広告主に提供することにより、広告の効果を広告主により認識させ易くなると考えられる。しかしながら、特許文献1には、エレベーターの制御装置が検出するエレベーターの利用状況の情報を活用して、広告をより効率よく乗客に提供したり、広告の効果をより適切に広告主に伝えたりすることについては、記載されていない。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものである。本発明の目的は、エレベーターの制御部が検出するエレベーターの利用状況の情報を活用して、広告をより効率よく乗客に提供したり、広告の効果をより適切に広告主に伝えたりすることが可能な広告表示システム及び情報提供方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る広告表示システムは、エレベーターの乗りかご内に広告を表示する広告表示システムであって、乗りかご内に広告を表示する表示部と、乗りかごの行先階を受け付けるエレベーター制御部と、乗りかごの搭乗者人数又は乗車率を算出する搭乗者情報算出部と、行先階と搭乗者人数又は乗車率とに基づいて、表示部に表示させる広告を選択する表示広告選択部と、広告選択部によって選択された広告を表示部に広告を表示させる表示制御部と、広告の表示実績を求める表示実績情報生成部と、表示実績情報生成部が求めた表示実績を出力する表示実績出力部と、を備える。そして、広告の表示実績情報は、広告の広告主の店舗が存在する階まで乗りかごが移動している間における、広告主の広告の表示時間及び/又は再生回数であり、広告主の広告対象物は、料理又は物品を含み、広告対象物が料理である店舗と、広告対象物が物品である店舗とで、広告の乗りかご内の表示部での表示設定時間帯が異なっており、表示広告選択部は、現在時刻が、表示設定時間帯に含まれる広告の広告データに対しては高い優先値を設定し、設定された優先値が高い広告データから順に、エレベーター制御部に送信する制御を行う。
【0009】
また、本発明の情報提供方法は、上記本発明の広告表示システムによる情報提供方法であり、エレベーター制御部が乗りかごの行先階を受け付ける手順と、乗りかごの搭乗者人数又は乗車率を算出する手順と、行先階と搭乗者人数又は乗車率とに基づいて、エレベーター内の表示部に表示させる広告を選択する手順と、選択された広告を表示部に表示させる手順と、広告の表示実績を求める手順と、表示実績を出力する手順と、を含む。そして、広告の表示実績情報は、広告の広告主の店舗が存在する階まで乗りかごが移動している間における、広告主の広告の表示時間及び/又は再生回数であり、広告主の広告対象物は、料理又は物品を含み、広告対象物が料理である店舗と、広告対象物が物品である店舗とで、広告の乗りかご内の表示部での表示設定時間帯が異なっており、表示広告選択手順では、現在時刻が、表示設定時間帯に含まれる広告の広告データに対しては高い優先値を設定し、設定された優先値が高い広告データから順に、エレベーター制御部に送信する制御を行う。
【発明の効果】
【0010】
本発明の広告表示システム及び情報提供方法によれば、エレベーターの制御部が検出するエレベーターの利用状況の情報を活用して、広告をより効率よく乗客に提供したり、広告の効果をより適切に広告主に伝えたりすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る広告表示システムの全体構成例を示す概略構成図である。
図2】本発明の一実施形態に係るエレベーターの保守管理システムの内部構成を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る広告データテーブルの構成例を示す表である。
図4】本発明の一実施形態に係る表示広告選択部による各広告データへの優先値の設定例を示す表である。
図5】本発明の一実施形態に係る広告配信・管理サーバーによる広告データへの優先値設定処理の手順の例を示すフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態に係る広告表示システムによる表示実績情報の生成及び提供処理の手順の例を示すフローチャートである。
図7】本発明の一実施形態に係る表示実績情報の提供形態の例を示すグラフである。
図8】本発明の一実施形態に係る表示実績情報の提供形態の例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の一実施形態に係る広告表示システム及び該広告表示システムによる情報提供手法の内容について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複する説明を省略する。
【0013】
[広告表示システムの全体構成]
まず、図1を参照して、本実施形態に係る広告表示システムの全体構成について説明する。図1は、本実施形態の広告表示システムの全体構成例を示す概略構成図である。
【0014】
広告表示システム100は、図1に示すように、エレベーター1と、エレベーター制御装置2(エレベーター制御部の一例)と、広告配信・管理サーバー3と、テナント端末装置41~4n(広告主の端末装置の一例)と、を含む。エレベーター制御装置2及び広告配信・管理サーバー3間は、ネットワークN1を介して接続され、広告配信・管理サーバー3及びテナント端末装置41~4n(nは1以上の自然数)間は、ネットワークN2を介して接続される。
【0015】
エレベーター1は、乗客P等を運搬する乗りかご11と、釣合おもり12と、巻上機13と、反らせ車14と、主ロープ15と、を備える。乗りかご11及び釣合おもり12は、建物内に設けられた昇降路(不図示)内に配置される。また、巻上機13、反らせ車14及びエレベーター制御装置2は、昇降路の上部に設けられた機械室(不図示)内に設置される。反らせ車14は巻上機13の近傍に配置される。なお、本実施形態ではエレベーター制御装置2が機械室内に設置される例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。エレベーター制御装置2が昇降路内の機械室以外の位置に配置されていてもよい。また、エレベーター1が設けられる建物は、複数存在してもよい。
【0016】
主ロープ15は、巻上機13及び反らせ車14に巻き掛けられている。また、主ロープ15の一方の端部は乗りかご11の上部に連結され、他方の端部は釣合おもり12の上部に連結される。巻上機13は、主ロープ15を介して乗りかご11及び釣合おもり12を昇降させる。
【0017】
乗りかご11は、中空の略直方体状の形状を有し、その内部に、乗客Pが搭乗する。乗りかご11の側面には不図示のドアが設けられ、乗りかご11内の側壁面には、表示装置111が設置される。表示装置111は、表示部111a及び行先階ボタン111bを含む。表示部111aは、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等で構成され、広告配信・管理サーバー3から送信された広告データに基づく広告や、階床の情報、乗りかご11の昇降(進行)方向などを表示する。
【0018】
行先階ボタン111bは、ボタン及び/又はタッチセンサ等で構成され、乗りかご11の乗客Pによって、目的の階である行先階が入力される。乗客Pによって所定の階の行先階ボタン111bが押下された場合、階床を指定する操作信号がエレベーター制御装置2に出力される。そして、エレベーター制御装置2は、行先階ボタン111bの押下によって指定された階床まで、乗りかご11を昇降させる。
【0019】
乗りかご11の下部には、荷重センサ112が設けられる。荷重センサ112は、乗りかご11内の重量を検出し、検出した重量の情報をエレベーター制御装置2に出力する。
【0020】
エレベーター制御装置2は、乗りかご11の昇降速度や、乗りかご11のドアの開閉動作等の、エレベーター1の運転動作全般を制御する。エレベーター制御装置2は、搭乗者情報算出部21と、表示制御部22と、制御部23と、通信部24と、を含む。
【0021】
搭乗者情報算出部21は、乗りかご11の荷重センサ112が検出した重量に基づいて、乗りかご11の搭乗人数又は乗車率を示す搭乗情報を算出する。搭乗人数は、乗りかご11の最大利用人数に対して何人が搭乗しているかを表す情報である。搭乗人数は、例えば、荷重センサ112が検出した重量と、乗客Pが搭乗していない状態における重量との差分に基づいて算出される。乗車率は、乗りかご11の最大積載荷重に対する、検出した重量の比率(%)を表す情報である。
【0022】
なお、本実施形態では、荷重センサ112が検出した情報に基づいて、搭乗者情報算出部21が乗りかご11の搭乗情報(搭乗人数又は乗車率率)を算出する例を挙げたが、本発明はこれに限定されない。搭乗者情報算出部21は、乗りかご11内に設けられた不図示のカメラ(防犯カメラ)による撮影画像を解析して得られる情報に基づいて、乗りかご11の搭乗人数又は乗車率を算出してもよい。カメラによる撮影画像を解析して得られる情報には、例えば、乗客Pの頭部の数や、撮影画像内における被写体の位置及び/又は数、無人状態のかご内映像と被写体が写り込んだ画像と間の、画像の差分値(%)などがある。
【0023】
表示制御部22は、広告配信・管理サーバー3から送信される広告データに基づく広告を、乗りかご11内の表示部111aに表示させる制御を行う。
【0024】
制御部23は、例えばCPU(Central Processing Unit)等で構成され、エレベーター制御装置2を構成する各部の動作を制御する。例えば、制御部23は、搭乗者情報算出部21が算出した搭乗情報と、エレベーター1の乗りかご11の行先階ボタン111bの押下によって指定された行先階の情報を含むエレベーター1の運行情報とを、通信部24を介して広告配信・管理サーバー3に送信する制御等を行う。
【0025】
通信部24は、広告配信・管理サーバー3との間で行われる各種信号、データの送受信動作を制御する。
【0026】
広告配信・管理サーバー3は、広告主による広告データや、広告主に提供する広告の表示実績を表す情報(以下、「表示実績情報」と称する)などの広告関連情報を管理するとともに、広告のエレベーター制御装置2への広告データ配信制御を行うサーバーである。広告配信・管理サーバー3は、通信部31と、利用状況集計部32と、表示広告選択部33と、表示実績情報生成部34と、表示実績情報出力部35と、制御部36と、を含む。
【0027】
通信部31は、エレベーター制御装置2又はテナント端末装置41~4nとの間で行われる各種信号、データの送受信動作を制御する。
【0028】
利用状況集計部32は、エレベーター制御装置2から送信された搭乗情報と、乗りかご11の停止階の情報を含むエレベーター1の運行情報とに基づいて、エレベーター1の利用状況を集計する。エレベーター1の利用状況には、例えば、建物の各階における乗りかご11の停止回数、各階に停止時における乗客Pの搭乗人数又は降車人数等がある。
【0029】
表示広告選択部33は、建物内のテナントによる広告のデータ(以下、「広告データ」と称する)の管理を行うとともに、該広告データのエレベーター制御装置2への送信(配信)の制御を行う。具体的には、表示広告選択部33は、エレベーター制御装置2から送信された搭乗情報、行先階の情報と、現在時刻の情報とに基づいて各広告データに優先値を設定し、該優先値が高い広告データから順に選択して、通信部31を介してエレベーター制御装置2に送信する制御を行う。エレベーター制御装置2に送信された各広告データは、送信された順に、エレベーター制御装置2の表示制御部22による制御に基づいて、エレベーター1の乗りかご11内の表示部111aに表示される。
【0030】
表示広告選択部33は、各広告データへの優先値の設定を、広告データテーブルT(図3参照)を参照して行う。広告データテーブルTについては、後述の図3を参照して詳述する。
【0031】
表示実績情報生成部34は、乗りかご11の表示部111aにおける広告の表示実績と、利用状況集計部32が集計した搭乗情報とを対応付けて、表示実績情報を生成する。乗りかご11の表示部111aにおける広告の表示実績は、表示部111aにおいて表示された広告の表示回数及び/又は表示時間等であり、エレベーター制御装置2の表示制御部22による各広告データの表示制御の内容に基づいて取得することができる。表示実績情報生成部34は、例えば、日に1回、週に1回、月に1回等の、予め定められた所定のタイミングの到来時に表示実績情報を生成する。
【0032】
また、表示実績情報生成部34は、各テナントの売り上げに関連する情報(以下、「売り上げ関連情報」と称する)と、広告の表示実績とを対応付けた、表示実績情報も生成する。売り上げ関連情報には、例えば、売上額や、レシートの発行回数(枚数)等の、売り上げに密接に関わる情報がある。各テナントの売り上げ関連情報は、表示実績情報が提供された後に、テナント端末装置41~4nのそれぞれから広告配信・管理サーバー3に対して送信される。
【0033】
表示実績情報出力部35は、表示実績情報生成部34で生成された表示実績情報をグラフなどの手法で可視化して、ダッシュボードの機能等を用いて、広告配信・管理サーバー3にアクセスするテナント端末装置41~4nに対して提供する。表示実績情報出力部35による表示実績情報の提供処理については、後述の図6を参照して詳述する。
【0034】
制御部36は、例えばCPU等で構成され、広告配信・管理サーバー3を構成する各部の動作を制御する。通信部31を介してエレベーター制御装置2から受信した各種情報を、利用状況集計部32に供給したり、広告配信・管理サーバー3を構成する各部で生成された各情報を、他の部に供給したりする。
【0035】
テナント端末装置41~4nは、テナントの経営者や運営者、テナントに勤務する担当者等の、広告主関係者によって操作される端末である。テナントには、例えば、物品を販売する物品販売店や、料理を提供する飲食店、企業などがある。以下の説明では、テナント端末装置41~4nをそれぞれ個別に識別する必要がない場合には、テナント端末装置4と総称する。
【0036】
各テナントは、建物のオーナーと契約を締結、あるいは業務提携を行っている店舗であり、オーナーに広告料を支払うことにより、乗りかご11内の表示部111aに自店舗の広告を表示してもらう。なお、各テナントには、納める広告料の高さに応じた広告ランクとして、「高い」及び「低い」の2ランクが設定されている。なお、本実施形態では、広告ランクが、「高い」及び「低い」の2つのランクである例を挙げるが、本発明はこれに限定されず、広告ランクは3ランク以上であってもよい。
【0037】
テナント端末装置4は、例えばPC(Personal Computer)等で構成され、操作入力部や表示部、制御部、通信部など(いずれも図示略)を備える。各テナントの担当者等の、広告主関係者は、テナント端末装置4を操作することにより、自店舗の広告の広告データを広告配信・管理サーバー3に送信したり、広告配信・管理サーバー3から提供された表示実績情報を表示部に表示させたり、自テナントの売り上げに関連する情報を広告配信・管理サーバー3に送信したりすることができる。
【0038】
[広告表示システムのハードウェア構成]
次に、図2を参照して、本実施形態に係る広告表示システム100を構成する各装置を計算機で構成した場合における、計算機のハードウェア構成について説明する。図2は、計算機Cのハードウェア構成例を示すブロック図である。図2に示す計算機Cは、広告表示システム100を構成するエレベーター制御装置2、広告配信・管理サーバー3として動作可能なコンピューターの一例である。
【0039】
計算機Cは、バスC8にそれぞれ接続されたCPU C1、ROM(Read Only Memory) C2、及び、RAM(Random Access Memory) C3を備える。さらに、計算機Cは、不揮発性ストレージ C4、ネットワークインターフェイス C5、入力装置 C6及び表示装置 C7を備える。
【0040】
エレベーター制御装置2を構成する各部の機能、及び、広告配信・管理サーバー3を構成する各部の機能は、CPU C1が、本実施の形態に係る各機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM C2から読み出してRAM C3にロードし、実行することで実現される。RAM C3には、CPU C1の演算処理の途中で発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれ、これらの変数やパラメータ等がCPU C1によって適宜読み出される。
【0041】
不揮発性ストレージ C4は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)などの主記憶装置やHDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリなどの補助記憶装置により構成される。また、不揮発性ストレージ C4としては、SSD(Solid State Drive)、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ又は不揮発性のメモリ等の不揮発性ストレージ17が用いられてもよい。この不揮発性ストレージ不揮発性ストレージ C4には、OS(Operating System)、各種のパラメータの他に、計算機Cを機能させるためのプログラムが記録される。ROM C2及び不揮発性ストレージ C4は、CPU C1が動作するために必要なプログラムやデータ等を記録しており、計算機Cによって実行されるプログラムを格納したコンピューター読取可能な非一過性の記憶媒体の一例として用いられる。
【0042】
ネットワークインターフェイス C5には、例えば、NIC(Network Interface Card)等が用いられ、NICの端子に接続されたLAN(Local Area Network)、専用線等を介して各種のデータを装置間で送受信することが可能である。
【0043】
入力装置 C6には、例えば、キーボード、マウス等が用いられ、ユーザーが所定の操作入力、指示を行うことが可能である。出力装置 C7は、例えば、液晶ディスプレイモニター、プリンター等であり、計算機Cで行われる処理の結果等を出力する。なお、入力装置 C6と出力装置 C7とは、それぞれが一体化したタッチパネルディスプレイとして構成されてもよい。
【0044】
[広告データテーブルの構成]
次に、図3を参照して、表示広告選択部33が広告データに優先値を設定する際に参照する広告データテーブルTの構成について説明する。図3は、広告データテーブルTの構成例を示す表である。
【0045】
広告データテーブルTは、図3に示すように、「広告分類」、「広告内容」、「広告料」、「広告ランク分類」及び「計算式」の各フィールドを有する。
【0046】
「広告分類」のフィールドには、符号により示される広告データの属性が格納される。広告分類を示す符号は、アルファベット2文字、数値1文字、ハイフン、及び、アルファベットの小文字1文字で構成される。
【0047】
広告分類を示す符号の最初の2文字のアルファベットは、テナントが提供する広告対象物が何であるかを示す。具合的には、「Sg」は、テナントが提供する広告対象物が物品であることを示し、「Sr」は、テナントが提供する広告対象物が料理であることを示す。2文字のアルファベットに続く数値は、広告ランクの高さを示し、「1」は“高い”、「2」は“安い”を示す。
【0048】
広告分類を示す符号における、ハイフンの右側の小文字の1文字のアルファベットは、広告が、「現情報」の区分の広告データ(第1の広告データの一例)であるか、「次回情報」の区分の広告データ(第2の広告データの一例)であるかを示す。「現情報」は、建物を現在訪れている利用者を対象とした広告であり、例えば、広告を配信(放送)する段階において有効であるクーポンや値引き情報、キャンペーンの情報などを示す。「次回情報」は、建物を次回以降に訪れる利用者を対象とした広告であり、例えば、広告を配信(放送)する翌日以降に有効となるクーポンや値引き情報、キャンペーンの情報などを示す。広告分類を示す符号において、「現情報」の区分の広告データには「c」が割り当てられ、「次回情報」の区分の広告データには「n」が割り当てられる。
【0049】
「広告内容」のフィールドは、「店舗・商品紹介」又は「料理・料理店紹介」が格納されるサブフィールドと、「現情報」又は「次回情報」が格納されるサブフィールドと、を有する。「店舗・商品紹介」は、テナントによる広告の内容が、店舗(テナント)の紹介、又は、店舗で販売している商品の紹介を行うものであることを示す。「料理店・料理紹介」は、テナントによる広告の内容が、料理店(テナント)の紹介、又は、料理店で提供している料理の紹介を行うものであることを示す。
【0050】
なお、本実施形態では、広告の属性が「Sg」により示される「物品」と「Sr」により示される「料理」の2つである例を挙げるが、本発明はこれに限定されない。例えば、人が施すサービスなど、「物品」、「料理」以外の属性の広告対象物を有するテナントがあってもよい。また、本実施形態では、1つのテナントが扱う広告の属性が「物品」及び「料理」のうちのいずれか一つである例を挙げるが、本発明はこれに限定されない。1つのテナントが行う広告が「物品」及び「料理」の両方であってもよく、1つのテナントが扱う広告の属性が3つ以上あってもよい。また、本実施形態では、広告を行うテナントが店舗である例を挙げるが、本発明はこれに限定されない。広告を行うテナントは、建物内にある企業等であってもよい。
【0051】
「広告料」のフィールドには、広告料の高さを示す「高い」又は「安い」の情報が格納される。「広告ランク分類」のフィールドには、広告ランク及び広告の属性を示す符号が格納される。広告ランク分類を示す符号は、アルファベット2文字、ハイフン、及び、アルファベットの小文字1文字で構成される。
【0052】
「広告ランク分類」を示す符号において、ハイフンの左側の2文字のアルファベットは、広告ランクを示す。具体的には、「Rh」は、広告ランク(広告料)の「高い」を示し、「Rl」は「低い」を示す。ハイフンの右側の小文字の1文字のアルファベットは、広告の属性を示し、「g」は「物品」を示し、「r」は「料理」を示す。
【0053】
「計算式」のフィールドには、「広告分類」に分類された各広告データに付与する優先値を算出する際に用いる計算式が格納される。計算式に含まれる「X」は、広告対象物の属性が「物品」である広告データに設定する優先値の算出時に参照されるパラメータであり、「/X」は、広告対象物の属性が「料理」である広告データに設定する優先値の算出時に参照されるパラメータである。
【0054】
広告データには、それぞれ、表示設定時間帯が設定されており、上述した「X」又は「/X」のパラメータには、現在時刻(広告配信時の時刻)が表示設定時間帯に含まれる場合に、表示広告選択部33によって“3”が代入され、含まれない場合には“0”が代入される。
【0055】
例えば、広告対象物の属性が「料理」である広告データには、表示設定時間帯として、食事の時間帯である11時~13時、又は、17時~19時が設定されている。乗りかご11の乗客である利用者は、これらの時間帯に、料理を提供する飲食店を訪れる可能性が高いと考えられるためである。そして、現在時刻が食事の時間帯に含まれる場合には、表示広告選択部33によって、広告の属性が「料理」である広告データに対する優先値の算出に使用されるパラメータである「/X」に“3”が代入される。一方、広告の属性が「物品」である広告データに対する優先値の算出に使用されるパラメータである「X」には“0”が代入される。
【0056】
広告対象物の属性が「物品」である広告データには、表示設定時間帯として、11時~13時、及び、17時~19時以外の時間帯が設定されている。乗りかご11の乗客である利用者は、食事の時間帯以外の時間帯に、買い物をする可能性が高いと考えられるためである。そして、現在時刻が買い物の時間帯に含まれる場合には、表示広告選択部33によって、広告の属性が「物品」である広告データに対する優先値の算出に使用されるパラメータである「X」に“3”が代入される。一方、広告の属性が「料理」である広告データに対する優先値の算出に使用されるパラメータである「/X」には“0”が代入される。なお、「X」、「/X」の各パラメータへの値の代入時に参照される食事の時間帯は一例であり、本発明はこれらに限定されない。また、表示設定時間帯は、より細かく設定されてもよい。
【0057】
計算式に含まれる「Y」は、乗りかご11の乗車率に応じた値が代入される。具体的には、乗車率が50%を超えている場合には、表示広告選択部33によって「Y」に“2”が代入される。一方、乗車率が50%以下である場合には、表示広告選択部33によって、「Y」に“1”が代入される。本実施形態では、乗車率が50%を超えている場合には、乗りかご11の乗車率が高いとみなし、50%以下である場合には、乗りかご11の乗車率は低い、とみなしている。そして、乗りかご11の乗車率が高い場合に、表示広告選択部33が高い優先値(“2”)を設定する。なお、「Y」のパラメータへの値の代入時に参照される乗車率の値は一例であり、本発明はこれに限定されない。
【0058】
計算式に含まれる「Z」は、「現情報」の区分の広告データに対する優先値の算出時に参照されるパラメータであり、「/Z」は、「次回情報」の区分の広告データに対する優先値の算出時に参照されるパラメータである。「Z」及び「/Z」の各パラメータは、エレベーター制御装置2から送信された行先階の情報に示される行先階に応じて設定される。
【0059】
本実施形態では、建物の出入り口階は、例えば、建物のエントランスのある階や、駐車場が設けられた階などである。例えば、建物のエントランス階は1階であり、駐車場の設置階は5階であるとする。また、建物の2階から4階はテナント階であるとする。なお、エントランス階又は駐車場の設置階やテナントの設置階は一例であり、他の階であってもよい。
【0060】
行先階が1階(エントランス階)又は5階(駐車場設置階)の出入り口階である場合、乗りかご11に搭乗している利用者は、用事を済ませて建物から退出するものと考えられる。したがって、表示広告選択部33は、「次回情報」の区分の広告データに対する優先値の算出時に参照される「/Z」に“1”を代入し、「Z」には“0”を代入する。これにより、「次回情報」の区分の広告データの優先値がより高くなり、行先階として1階又は5階を選択した、建物を退出する可能性が高い乗客(利用者)に対して、次回建物を訪問する際に有用な広告が配信されやすくなる。
【0061】
一方、行先階が、建物の出入り口階以外の階(2階~4階のいずれかの階)である場合、利用者は、建物内の各階にあるテナントに向かうものと想定される。この場合、表示広告選択部33は、「現情報」の区分の広告データに対する優先値の算出時に参照される「Z」に“1”を代入し、「/Z」には“0”を代入する。これにより、「現情報」の区分の広告データの優先値がより高くなり、行先階としてテナント階を選択した、これから建物内のテナントを利用する可能性が高い乗客(利用者)に対して、広告を配信する現段階において有効である広告が配信されやすくなる。
【0062】
次に、各広告分類に対応して設定された計算式の例について説明する。広告データテーブルTの最上段の、広告分類が「Sg1-c」の広告データは、すなわち、広告内容が“店舗・商品紹介”であり、区分は“現情報”であり、広告料は“高い”であり、その優先値の設定時に用いられる計算式は“(1+X+Y)*Z”である広告データである。
【0063】
また、例えば、広告データテーブルT1の上から4つ目の、広告分類が「Sg2-n」の広告データは、すなわち、広告内容が“店舗・商品紹介”であり、区分は“次回情報”であり、広告料は“安い”であり、その優先値の設定時に用いられる計算式は“(1+X)*/Z”である広告データである。なお、広告料が安い(広告ランクが低い)テナントの広告データに対する優先度の設定時に用いられる計算式においては、「Y」のパラメータが含まれていない。したがって、広告ランクが高いテナントの広告データから、より優先してエレベーター制御装置2に送信され、エレベーター1の乗りかご11内の表示部111aに表示される。つまり、広告ランクが高いテナントによる広告の方が、より多く表示される。
【0064】
また、例えば、広告データテーブルT1の上から5つ目の、広告分類が「Sr1-c」の広告データは、すなわち、広告内容が“料理店・料理紹介”であり、区分は“現情報”であり、広告料は“高い”であり、その優先値の設定時に用いられる計算式は“(1+/X+Y)*Z”である広告データである。
【0065】
また、例えば、広告データテーブルT1の上から6つ目の、広告分類が「Sr1-n」の広告データは、すなわち、広告内容が“料理店・料理紹介”であり、区分は“次回情報”であり、広告料は“高い”であり、その優先値の設定時に用いられる計算式は“無し”である広告データである。つまり、この広告分類の広告データにおいては、優先値の算出は行われない。
【0066】
また、例えば、広告データテーブルT1の下から2つ目の、広告分類が「Sr2-c」の広告データは、すなわち、広告内容が“料理店・料理紹介”であり、区分は“現情報”であり、広告料は“安い”であり、その優先値の設定時に用いられる計算式は“(1+/X)*Z”である広告データである。
【0067】
また、例えば、広告データテーブルT1の最下段の、広告分類が「Sr2-n」の広告データは、すなわち、広告内容が“料理店・料理紹介”であり、区分は“次回情報”であり、広告料は“低い”であり、その優先値の設定時に用いられる計算式は“無し”である。つまり、この広告分類の広告データにおいては、優先値の算出は行われない。
【0068】
なお、上述した計算式は一例であり、他の計算式が用いられてもよい。例えば、本実施形態では、計算式に、広告対象物の属性(「物品」又は「料理」)に対応して設定される「X」、「/X」、乗りかご11の乗車率に対応して設定される「Y」、乗りかご11の行先階(出入口階又はその他の階)に対応して設定される「Z」、「/Z」が使用される例を挙げたが、他のパラメータが用いられてもよい。例えば、映画館が設けられた建物において使用される計算式では、映画館による映画の上映時間の情報を用いたパラメータが用いられてもよく、タイムセールが行われるテナントがある建物においては、タイムセールの実施時間の情報を用いたパラメータが用いられてもよい。
【0069】
また、広告ランクが高いテナントによる広告が、より優先的に放送されるように、広告ランクが高いテナントの広告データの優先値の設定時に使用されるパラメータに代入される各値に対して、重みづけ加算を行ってもよい。
【0070】
[広告データへの優先値の設定例]
次に、図4を参照して、表示広告選択部33による各広告データへの優先値の設定例について説明する。図4は、表示広告選択部33による各広告データへの優先値の設定例を示す表である。
【0071】
図4には、「Sg1-c」~「Sr2-n」の各広告分類の広告データにおける、「Ex1」~「Ex8」に示す各状況例に対応する優先値の設定例を示す。図4に示す「広告分類」、「広告内容」及び「計算式」は、図3に示した広告データテーブルTにおけるそれらと同一であるため、ここでは説明は省略する。「優先値」のフィールドのサブフィールドは、「通常」及び「Ex1」~「Ex8」の各サブフィールドを有する。
【0072】
「通常」のフィールドには、表示広告選択部33による優先値の設定が行われていない状態における、デフォルトの優先値である“1”が格納される。「Ex1」~「Ex8」の各サブフィールドには、時間帯、乗りかご11の乗車率、行先階により示される各状況例が格納される。
【0073】
各状況例における「買い物」は、現在時刻が11時~13時、又は、17時~19時に含まれることを示し、「食事」は、現在時刻が11時~13時、又は、17時~19時以外の時間帯に含まれることを示す。
【0074】
「50<」は、乗りかご11の乗車率が50%を超えていることを示し、「50≧」は、乗りかご11の乗車率が50%以下であることを示す。「屋外」は、乗りかご11の行先階が出入り口階である1階又は5階であることを示し、「屋内」は、乗りかご11の行先階がテナントのある2階~4階のいずれかの階であることを示す。
【0075】
例えば、状況例Ex1は、現在時刻が「買い物」の時間帯(11時~13時、及び、17時~19時以外の時間帯)であり、乗りかご11の乗車率が50%を超えており、乗りかご11の行先階が「屋内」(2階~4階のいずれかの階)である状況の例である。この状況例の場合、広告分類が「Sg1-c」である広告データ、すなわち、広告内容が「店舗・商品紹介」であり、区分が「現情報」である広告データの計算式である「(1+X+Y)*Z」の計算結果(に基づく優先値)が一番高くなり、“6”となる。
【0076】
“6”の次に優先値が高いのは、広告分類が「Sg2-c」の広告データの“4”であり、その次に高いのは、広告分類が「Sr1-c」の広告データの“3”であり、その次に高いのは、広告分類が「Sr2-c」の広告データの“1”である。
【0077】
したがって、現在時刻、乗りかご11の乗車率、行先階の情報により示される状況が、状況例Ex1に示される状況である場合、表示広告選択部33は、広告分類が「Sg1-c」、「Sg2-c」、「Sr1-c」及び「Sr2-c」である広告データを選択し、それぞれに設定された優先値が高い順に、エレベーター制御装置2に送信する制御を行う。
【0078】
また、例えば、状況例Ex8は、現在時刻が「食事」の時間帯(11時~13時、又は、17時~19時)であり、乗りかご11の乗車率が50%以下であり、乗りかご11の行先階が「屋外」(1階又は5階)である例である。この例の場合、広告分類が「Sg1-n」である広告データ、及び、広告分類が「Sg2-n」である広告データに対して、それぞれ“1”の優先値が設定され、これら以外の広告分類の広告データに対しては、“0”の優先値が設定される。
【0079】
したがって、状況例Ex8に示される状況である場合、表示広告選択部33は、「Sg1-n」及び「Sg2-n」の広告データを選択し、エレベーター制御装置2に送信する制御を行う。
【0080】
[広告表示システムによる情報提供方法]
次に、図5図8を参照して、本実施形態に係る広告表示システム100による情報提供方法について説明する。図5は、広告配信・管理サーバー3による広告データへの優先値設定処理の手順の例を示すフローチャートである。図6は、広告表示システム100による表示実績情報の生成及び提供処理の手順の例を示すフローチャートである。図7及び図8は、表示実績情報の提供形態の例を示すグラフである。
【0081】
最初に、図5を参照して、広告配信・管理サーバー3による広告データへの優先値設定処理について説明する。まず、広告配信・管理サーバー3の制御部36(図1参照)は、乗客Pによるエレベーター1の利用があるか否かを判定する(ステップS1)。乗客Pによるエレベーター1の利用があるか否かは、エレベーター制御装置2から送信される搭乗情報に基づいて判定することができる。ステップS1で、乗客Pによるエレベーター1の利用はないと判定された場合(ステップS1がNO判定の場合)、制御部36は、ステップS1の判定を繰り返す。
【0082】
一方、ステップS1で、エレベーター1の利用があると判定された場合(ステップS1がYES判定の場合)、表示広告選択部33は、現在時刻が、食事の時間帯に含まれるか否かを判定する(ステップS2)。本実施形態では、食事の時間帯は11時~13時、又は、17時~19時であるため、ステップS2では、表示広告選択部33は、現在時刻が、これらの時間帯に含まれるか否かを判定する。
【0083】
ステップS2で、現在時刻が食事の時間帯に含まれると判定された場合(ステップS2がYES判定の場合)、表示広告選択部33は、広告属性が「Sg」の広告データに対する優先値の算出時に参照される「X」のパラメータに“0”を代入し、広告属性が「Sr」の広告データの「/X」のパラメータに“3”を代入する(ステップS3)。広告属性の“Sg”は、上述したように、広告主のテナントが提供する広告対象物が、物品であることを示し、広告属性の“Sr”は、広告主のテナントが提供する広告対象物が、料理であることを示す。
【0084】
すなわち、現在時刻が例えば12時であり、食事の時間帯に含まれる場合、料理を提供するテナントの広告データの「/X」のパラメータに“3”が代入され、物品を提供するテナントの広告データの「X」のパラメータには“0”が代入される。
【0085】
一方、ステップS2で、現在時刻は食事の時間帯に含まれないと判定された場合(ステップS2がNO判定の場合)、表示広告選択部33は、広告属性がSgの広告データの「X」のパラメータに“3”を代入し、広告属性がSrの広告データの「/X」のパラメータに“0”を代入する(ステップS4)。
【0086】
すなわち、現在時刻が例えば14時であり、食事の時間帯に含まれない場合、物品を提供するテナントの広告データの「X」のパラメータに“3”が代入され、料理を提供するテナントの広告データの「/X」のパラメータには“0”が代入される。
【0087】
ステップS3又はステップS4の処理後、表示広告選択部33は、乗りかご11の乗車率が50%を超えているか否かを判定する(ステップS5)。ステップS5で、乗りかご11の乗車率は50%を超えていると判定された場合(ステップS5がYES判定の場合)、表示広告選択部33は、広告データの「Y」のパラメータに“2”を代入する(ステップS6)。一方、ステップS5で、乗りかご11の乗車率は50%以下であると判定された場合(ステップS5がNO判定の場合)、表示広告選択部33は、広告データの「Y」のパラメータに“1”を代入する(ステップS7)。
【0088】
ステップS6又はステップS7の処理後、表示広告選択部33は、エレベーター制御装置2から送信された乗りかご11の行先階の情報において、行先階に出入り口階が指定されているか否かを判定する(ステップS8)。ステップS8で、行先階は出入り口階であると判定された場合(ステップS8がYES判定の場合)、表示広告選択部33は、すべての広告データの「Z」のパラメータに“0”を代入し、「/Z」のパラメータに“1”を代入する(ステップS9)。
【0089】
すなわち、行先階として、乗客Pが建物を退出する際に利用されると考えられる出入り口階(本実施形態では1階又は5階)が指定されている場合には、「次回情報」の区分の広告データに対する優先値の算出時に参照される「/Z」に“1”が代入される。そして、「現情報」の区分の広告データに対する優先値の算出時に参照される「Z」には“0”が代入される。
【0090】
一方、ステップS8で、行先階に出入り口階は指定されていないと判定された場合(ステップS8がNO判定の場合)、表示広告選択部33は、すべての広告データの「Z」のパラメータに“1”を代入し、「/Z」のパラメータに“0”を代入する(ステップS10)。すなわち、行先階として、乗客Pがテナントを利用する際に利用されると考えられる2~4階が指定されている場合には、「現情報」の区分の広告データに対する優先値の算出時に参照される「Z」には“1”が代入される。そして、「次回情報」の区分の広告データに対する優先値の算出時に参照される「/Z」に“0”が代入される。
【0091】
ステップS9又はステップS10の処理後、表示広告選択部33は、上述した各パラメータに値が代入されることにより算出される優先度が高い広告データから順に、通信部31を介して、エレベーター制御装置2に送信する制御を行う(ステップS11)。
【0092】
例えば、現在の時間が食事の時間帯外であり、乗りかご11の乗車率は50%を超えており、行先階に出入り口階が指定されていない場合を想定する。この例は、すなわち、図4に示す各広告データへの優先値の設定例の状況例Ex1である。したがって、表示広告選択部33は、図4において優先値が“6”である、広告分類が「Sg1-c」である広告データ、優先値が“4”の「Sg2-c」の広告データ、優先値が“3”の「Sr1-c」の広告データ、及び、優先値が“1”の「Sr2-c」の広告データを選択し、これらを優先度が高い順にエレベーター制御装置2に送信する制御を行う。
【0093】
これにより、エレベーター1の乗りかご11内の表示部111aの画面に、これらの広告データによる広告が順番に表示される。一方、表示広告選択部33は、優先値が“0”である、広告内容が「次回情報」の広告データは選択しない。つまり、エレベーター1の乗りかご11内の表示部111aの画面には、「次回情報」を示す広告は表示されない。
【0094】
また、例えば、現在の時間が食事の時間帯外であり、乗りかご11の乗車率は50%以下であり、行先階に出入り口階が指定されている場合を想定する。この例は、すなわち、図4に示す各広告データへの優先値の設定例の状況例Ex4である。したがって、表示広告選択部33は、図4において優先値が“5”である、広告分類が「Sg1-n」である広告データ、及び、優先値が“4”の「Sg2-n」の広告データを選択し、これらを優先度が高い順にエレベーター制御装置2に送信する制御を行う。
【0095】
これにより、エレベーター1の乗りかご11内の表示部111aの画面に、これらの広告データによる広告が順番に表示される。一方、表示広告選択部33は、優先値が“0”である、広告内容が「現情報」の広告データは選択しない。つまり、エレベーター1の乗りかご11内の表示部111aの画面には、「現情報」を示す広告は表示されない。
【0096】
次いで、表示広告選択部33は、乗りかご11内は無人であるか否かを判定する(ステップS12)。すなわち、表示広告選択部33は、乗りかご11に乗車していたすべての乗客Pが乗りかご11を降車したか否かを判定する。乗りかご11に乗車していた乗客Pは乗りかご11を降車したか否かは、エレベーター制御装置2から送信される搭乗情報に基づいて判定することができる。
【0097】
ステップS12で、乗りかご11内は無人ではないと判定された場合(ステップS12がNO判定の場合)、表示広告選択部33は、ステップS12の判定を繰り返す。一方、ステップS12で、乗りかご11内は無人であると判定された場合(ステップS12がYES判定の場合)、広告配信・管理サーバー3の制御部36は、エレベーター制御装置2に対して、表示部111aにおける広告の表示処理を終了させる指示を行う(ステップS13)。これにより、乗りかご11内の表示部111aでの広告の表示が停止される。ステップS13の処理後、制御部36は、ステップS1に処理を戻し、次の乗客Pによる乗りかご11の利用に備える。
【0098】
広告表示システム100の広告配信・管理サーバー3によって、上述した処理が行われることにより、エレベーター1の乗りかご11の利用状況や利用時間帯などの情報に基づいて、乗りかご11内の表示部111aに適切な内容の広告を表示させることができる。すなわち、エレベーター制御装置2が検出するエレベーター1の利用状況の情報を活用して、広告をより効率よく乗客に提供することが可能になる。
【0099】
なお、表示広告選択部33は、図5に手順を示した処理以外の処理を行ってもよい。例えば、表示広告選択部33は、エレベーター制御装置2が検出した乗りかご11の行先階以外の階床にあるテナントの広告データは、エレベーター制御装置2に送信しない制御を行ってもよい。また、例えば、表示広告選択部33は、乗りかご11の行先階が1階又は5階等の出入り口階であると判定した場合に、乗りかご11内の乗客が乗りかご11に乗車してきた階の情報も取得し、該階にあるテナントの次回情報の広告データのみを、エレベーター制御装置2に送信する制御を行ってもよい。
【0100】
次に、図6を参照して、広告表示システム100による表示実績情報の生成及び提供処理について説明する。まず、広告配信・管理サーバー3の表示実績情報生成部34は、広告を配信しているテナントがある階に乗りかご11が移動している間における、表示部111aでの広告の表示実績、及び、乗りかご11の搭乗情報を集計する(ステップSS21)。広告を配信しているテナントがある階に乗りかご11が移動している間とは、該テナントがある階の行先階ボタン111bが押下されてから、乗りかご11が該テナントのある階に停止するまでの間を指す。広告の表示実績は、上述したように、広告の表示時間又は表示回数であり、乗りかご11の搭乗情報は、行先階に到着後に乗りかご11から降りる乗客Pの人数、又は、乗客Pが降りた後の乗車率である。
【0101】
広告を配信しているテナントがある階に乗りかご11が移動している間における広告の表示実績は、表示実績提供部35が、広告データのエレベーター制御装置2への送信状況と、行先階の情報、行先階ボタン111bが押下されてから行先階に到着するまでの時間(日時)の情報とに基づいて、算出することができる。
【0102】
例えば、1回の広告の表示時間が15秒であり、表示実績情報生成部34が表示実績情報を生成する周期が1ヶ月であるとする。この場合、表示実績情報生成部34は、1ヶ月の間に表示部111aにおいて表示された全広告の総表示時間時間(17時間等)及び総表示回数(4,100回等)と、あるテナントの位置する階まで乗りかご11が移動している間における該テナントの広告の表示時間(9時間等)及び表示回数(2,200回等)と、を、集計により求める。ここでいう「あるテナント」は、表示実績情報の提供先のテナントを指す。
【0103】
次いで、表示実績情報生成部34は、ステップSS21で得た集計の情報を用いて、予め定められた所定のタイミングにおいて、テナントへの報告用の表示実績情報を生成する(ステップSS22)。例えば、表示実績情報生成部34は、あるテナントの先月における広告表示時間は7時間で、売上額は7.5M¥(750万円)であったのに対して、今月の広告表示時間は9時間で、売上高は7.9M¥であったことを示すグラフ等を生成する。次いで、表示実績情報出力部35は、ステップSS22で生成された表示実績情報を、ダッシュボードの機能を用いて各テナントに提供する(ステップSS23)。このような処理が行われることにより、広告の効果を示す情報を、適切に広告主に伝えることが可能となる。
【0104】
ステップSS23で提供された表示実績情報は、テナント端末装置4に送信され、テナント端末装置4を操作する担当者によって確認される。そして、担当者による操作に基づいて、テナント端末装置4から広告配信・管理サーバー3に対して、自店舗の売り上げ関連情報が送信される(ステップST21)。
【0105】
ステップST21で送信された売り上げ関連情報を受信すると、広告配信・管理サーバー3の表示実績情報生成部34は、広告の表示実績及び売り上げ関連情報の推移を示すグラフを生成し、該グラフは、表示実績情報出力部35によってテナントに提供される(ステップSS24)。
【0106】
ステップSS24で提供されたグラフは、テナント端末装置4を操作する担当者によって確認される。そして、必要に応じて、該テナントによる広告の広告ランクが変更される。(ステップST22)。例えば、低いランクから高いランク等に変更される。
【0107】
次いで、表示実績情報生成部34は、広告ランクが高いテナントにおける広告の表示実績及び売り上げ関連情報の推移の情報と、表示実績情報の提供先のテナントにおける該当情報との対比情報(表示実績情報の一例)を生成する。そして、該情報を、表示実績情報出力部35が、同属性の他のテナントに対して、ダッシュボードの機能を用いて提供する(ステップSS25)。ステップSS25の処理後、広告配信・管理サーバー3による表示実績情報の生成及び提供処理は終了する。なお、広告ランクが高いテナントとは、広告主に支払っている広告料が高いテナントであり、図3に示す広告データテーブルTにおける「広告ランク分類」が「Rh」であるテナントである。
【0108】
ステップSS25では、例えば、以下の情報がグラフ等の形態で生成され、テナントに提供される。
・あなたの店舗における先月の広告表示時間:2時間、レシートの発行回数(レジの利用回数):800回
・あなたの店舗における今月の広告表示時間:4時間、レジの利用回数(レシートの発行回数):1,300回
・広告ランクの高いA店舗における先月の広告表示時間:7時間、レジの利用回数:3,600回
・A店舗における今月の広告表示時間:9時間、レシートの発行回数(レジの利用回数):4,200回
【0109】
ステップSS25で提供された情報は、テナント端末装置4を操作する担当者によって確認される。そして、必要に応じて、該テナントによる広告の広告ランクが、低いランクから高いランクに変更される(ステップST23)。ステップST23の処理後、テナント端末装置4における表示実績の確認処理は終了する。
【0110】
図7に、ステップSS23において広告配信・管理サーバー3からテナントに提供される表示実績情報の例を示す。図7の縦軸は、エレベーター1の乗りかご11内の表示部111aにおける広告の表示時間(h)及び売上額(M¥)を示し、横軸は、月(mth)を示す。図7において、売り上げ関連情報の一例としての売上額の推移は、三角印のマーカーを含む折れ線グラフにより示され、広告の表示時間は、棒グラフにより示される。白抜きの棒グラフは、表示実績情報の提供先の(図7においては「あなたの」と表記)店舗の広告の総表示時間を示す。白抜きの棒グラフに重畳された、右上がりの斜め斜線により示される棒グラフは、表示実績情報の提供先の店舗がある階まで乗りかご11が移動している間における広告の表示時間を示す。
【0111】
広告配信・管理サーバー3からこのような情報が提供されることにより、各テナントの担当者(広告主関係者)は、広告の表示時間と、売り上げ関連情報との対応関係、すなわち、自店舗で提供している広告の効果を、視覚的に容易に把握することが可能となる。
【0112】
図8に、ステップSS25において広告配信・管理サーバー3からテナントに提供される表示実績情報、すなわち、広告ランクが高いテナントにおける広告の表示実績及び売り上げ関連情報の推移の情報と、各テナントにおける該当情報との対比情報の例を示す。図8の縦軸及び横軸に示される情報は、図7に示したグラフのそれらと同一であるため、ここでは説明は省略する。
【0113】
図8において、広告ランクが高いテナントにおける売り上げ関連情報の推移は、三角印のマーカーを含む折れ線グラフにより示され、表示実績情報の提供先のテナントにおける売り上げ関連情報の推移は、丸印のマーカーを含む折れ線グラフにより示される。また、図8においては、棒グラフは、幅の広い棒グラフ及び幅の狭い棒グラフとで構成され、幅の広い棒グラフと、幅の狭い棒グラフとは、横軸方向に並んで表示されている。幅の広い棒グラフは、表示実績情報の提供先の(図8においては「あなたの」と表記)広告の総表示時間を示すグラフであり、幅の狭い棒グラフは、広告ランクが高いテナントにおける広告の総表示時間を示すグラフである。
【0114】
また、幅の広い棒グラフは、白抜きの棒グラフ、及び、白抜きの棒グラフに重畳された右上がりの斜め斜線により示される棒グラフで構成される。白抜きの棒グラフは、表示実績情報の提供先の店舗の広告の総表示時間を示し、右上がりの斜め斜線により示される棒グラフは、表示実績情報の提供先の店舗がある階まで乗りかご11が移動している間における広告の表示時間を示す。
【0115】
幅の狭い棒グラフは、ドット印で示される棒グラフ、及び、ドット印で示される棒グラフに重畳された左上がりの斜め斜線により示される棒グラフで構成される。ドット印で示される棒グラフは、広告ランクが高いテナントの広告の総表示時間を示し、左上がりの斜め斜線により示される棒グラフは、広告ランクが高いテナントの店舗がある階まで乗りかご11が移動している間における広告の表示時間を示す。
【0116】
表示実績情報の提供先のテナントの担当者は、ダッシュボードの機能を介してテナント端末装置4でこのような情報を確認することにより、売り上げをより高めるために広告の内容を見直したり、広告ランクを上げる等の判断を行ったりすることができる。
【0117】
なお、広告ランクの高いテナントの売り上げ関連情報として、売上額を他テナントに提供する場合、該売上額は、商品毎の売上額、広告の配信を行った商品の売上額等であってもよい。
【0118】
また、上述した実施形態では、広告配信・管理サーバー3が、広告ランクが高いテナントにおける売り上げ関連情報を他のテナントに提供する例を上げたが、本発明はこれに限定されない。広告配信・管理サーバー3は、出入り口階を除く階床のうち、乗客Pが一番多く降車した階への乗りかご11の停止率の情報や、該階まで乗りかご11が移動している間における広告の表示実績等の情報を、各テナントに提供してもよい。
【0119】
[各種変形例]
以上、本発明の一実施形態に係る広告表示システム100及び情報提供方法について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りその他種々の変形例、応用例を取り得る。例えば、次のような各種変形例も本発明に含まれる。
【0120】
例えば、広告配信・管理サーバー3は、利用状況集計部32が集計したエレベーター1の乗車率又は乗車人数に応じて、広告主であるテナントに請求する広告料を変える制御等を行ってもよい。例えば、テナントの広告データによる広告が乗りかご11の表示部111aに表示されている間における乗車率(又は乗車人数)が多いということは、その広告を視聴している乗客Pの数が多いと言える。したがって、テナントの広告データによる広告が乗りかご11の表示部111aに表示されている間における乗車率(又は乗車人数)が、所定の閾値を超えている場合に、テナントに請求する広告料を高くしたり、乗車率の高さに応じて、広告料を段階的に高くしたりする制御が行われてもよい。このような制御が行われることにより、広告主のテナントに請求する広告料を、広告の表示実績により見合ったものとすることができる。
【0121】
また、広告配信・管理サーバー3が有する機能(利用状況集計部32、表示広告選択部33、表示実績情報生成部34、表示実績情報提供部35等)を、エレベーター制御装置2に持たせてもよい。
【0122】
また、上述した実施形態及び各種変形例は本発明を分かりやすく説明するために装置(エレベーター、エレベーター制御装置、広告配信・管理サーバー)の構成を詳細且つ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0123】
また、上述した広告表示システムの制御に係る各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現されてもよい。また、上述した制御に係る各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することにより、すなわちソフトウェアにより実現されてもよい。なお、各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報(データ)は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又はICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
【符号の説明】
【0124】
1…エレベーター、2…エレベーター制御装置、3…広告配信・管理サーバー、4…テナント端末装置、23…制御部、24…通信部、31…通信部、32…利用状況集計部、33…表示広告選択部、34…表示実績情報生成部、35…表示実績情報出力部、36…制御部、100…広告表示システム、111…表示装置、111a…表示部、111b…行先階ボタン、112…荷重センサ
図1
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図8