(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】スイングゲート設備及びゲート駆動装置
(51)【国際特許分類】
E02B 7/40 20060101AFI20231106BHJP
H02K 7/116 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
E02B7/40
H02K7/116
(21)【出願番号】P 2020154715
(22)【出願日】2020-09-15
【審査請求日】2022-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【氏名又は名称】来田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】吉松 直志
(72)【発明者】
【氏名】北島 主計
【審査官】松本 泰典
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-173020(JP,A)
【文献】特開2015-055318(JP,A)
【文献】実開昭48-038424(JP,U)
【文献】特公昭41-002665(JP,B1)
【文献】登録実用新案第3026104(JP,U)
【文献】実開平02-005425(JP,U)
【文献】特開2014-072909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 7/40
H02K 7/116
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向一端部を中心に回動する扉体を具備
し、海岸線に設けられた防潮堤の一部をなすコンクリート構造体に設置されるスイングゲート設備において、
鉛直方向に延設され、立設する前記扉体の幅方向一端部に連結された回動軸と、
前記回動軸と同軸上にあって該回動軸に連結された出力軸、及び、該出力軸に動力伝達機構を介して駆動力を与えるモータを有するゲート駆動装置とを備え、
前記扉体は、前記モータの作動によって、前記回動軸と一体となって回動
し、前記コンクリート構造体に海側から密接して、該コンクリート構造体を貫通する開口部を閉じ、
前記動力伝達機構は、前記モータの駆動力が前記出力軸に向けて伝わる順に、第1のウォームシャフト、該第1のウォームシャフトに噛み合った第1のウォームホイル、第2のウォームシャフト、及び、前記出力軸に同心状に連結され前記第2のウォームシャフトに噛み合った第2のウォームホイルを有することを特徴とするスイングゲート設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幅方向一端部を中心に回動する扉体を具備するスイングゲート設備及びそれに設けられるゲート駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
河川の堤防や海岸の堤防等に設置されるスイングゲート設備は、特許文献1に記載されているように、扉体が幅方向一端部を片持ち支持されており、その幅方向一端部を中心に回動して、堤防の開口部等を開閉する。ここで、扉体を回動させる駆動装置として、従来は、油圧シリンダや特許文献2に記載されているような電動シリンダを有する装置が採用されていた。油圧シリンダ又は電動シリンダを有するゲート駆動装置は、先端部が連結部材を介して扉体の幅方向一端部に接続された状態で水平に配されたシリンダロッドを有し、扉体は、シリンダロットの進退によって回動する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平2-5425号公報
【文献】特開2014-72909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、水平なシリンダロッドを具備する従来のゲート駆動装置には、広い設置スペースが必要であった。また、扉体の開閉に伴いシリンダロッドの先端部は平面視して円弧状に移動することになるため、シリンダロッドが進退自在かつ回動自在となるようにゲート駆動装置を設計する必要があり、ゲート駆動装置全体を構成する部品点数が多くなり、設計が複雑化するという課題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、油圧シリンダ又は電動シリンダを有さないスイングゲート設備及びゲート駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う第1の発明に係るスイングゲート設備は、幅方向一端部を中心に回動する扉体を具備し、海岸線に設けられた防潮堤の一部をなすコンクリート構造体に設置されるスイングゲート設備において、鉛直方向に延設され、立設する前記扉体の幅方向一端部に連結された回動軸と、前記回動軸と同軸上にあって該回動軸に連結された出力軸、及び、該出力軸に動力伝達機構を介して駆動力を与えるモータを有するゲート駆動装置とを備え、前記扉体は、前記モータの作動によって、前記回動軸と一体となって回動し、前記コンクリート構造体に海側から密接して、該コンクリート構造体を貫通する開口部を閉じ、前記動力伝達機構は、前記モータの駆動力が前記出力軸に向けて伝わる順に、第1のウォームシャフト、該第1のウォームシャフトに噛み合った第1のウォームホイル、第2のウォームシャフト、及び、前記出力軸に同心状に連結され前記第2のウォームシャフトに噛み合った第2のウォームホイルを有する。
【0006】
【発明の効果】
【0007】
第1の発明に係るスイングゲート設備は、鉛直方向に延設され、立設する扉体の幅方向一端部に連結された回動軸と、回動軸と同軸上にあって回動軸に連結された出力軸、及び、出力軸に動力伝達機構を介して駆動力を与えるモータを有するゲート駆動装置とを備え、扉体が、モータの作動によって、回動軸と一体となって回動するので、油圧シリンダ又は電動シリンダを有さずに、扉体を回動させることが可能である。
【0008】
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】(A)、(B)はそれぞれ、本発明の一実施の形態に係るスイングゲート設備の説明図である。
【
図2】同スイングゲート設備のゲート駆動装置の平面図である。
【
図3】ゲート駆動装置の一部切り欠き側面図である。
【
図4】ゲート駆動装置の動力伝達機構の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1(A)、(B)、
図2、
図3に示すように、本発明の一実施の形態に係るスイングゲート設備10は、幅方向一端部を中心に回動する扉体11を具備する設備であって、扉体11の幅方向一端部に連結された回動軸12と、回動軸12と同軸上にあって回動軸12に連結された出力軸13、及び、出力軸13に駆動力を与えるモータ14を有するゲート駆動装置15とを備えている。
【0011】
本実施の形態において、スイングゲート設備10は、
図1(A)、(B)、
図2に示すように、海岸線に設けられた防潮堤の一部をなすコンクリート構造体Pに設置されている。コンクリート構造体Pは直角に配された壁面W1、W2を有し、コンクリート構造体Pには壁面W1にコンクリート構造体Pを貫通する開口部Qが形成されている。開口部Qは、通常時、車両等が通過できるように開放状態とされ、高波等が発生しそうな非常時に扉体11により閉じられて海水の通過を抑制された状態となる。
【0012】
扉体11は、正面視して矩形状(正方形状を含む)の金属板(本実施の形態ではアルミニウム合金)であり、幅方向一端部を中心に回動自在に設けられている。扉体11は、壁面W1に密接するように立設されて開口部Qを閉じ、壁面W1に対し垂直となるように回動して開口部Qを開放する。なお、扉体11と壁面W1が密接する部分(扉体11の所定領域及び壁面W1の所定領域)には図示しないシール材が取り付けられている。本実施の形態では、開口部Qを閉じた状態の扉体11が開口部Qより海側に位置し、海から扉体11に押し寄せる波の水圧によって、扉体11は壁面W1に押し付けられる。
【0013】
扉体11には、
図1(A)に示すように、海側から開口部Qを閉じている扉体11を見て左側端部に、鉛直方向に延設された回動軸12が連結され、コンクリート構造体Pの上部には、壁面W1、W2が直角に接する角部領域に、
図1(A)、(B)、
図2、
図3に示すように、回動軸12を回転駆動して扉体11を回動するゲート駆動装置15が設けられている。
ゲート駆動装置15は、
図2、
図4に示すように、ギア16に噛み合ったピニオン17が出力軸14aに取り付けられたモータ14と、一端部にギア16が固定されたウォームシャフト18と、ウォームシャフト18に噛み合ったウォームホイル20を備えている。
【0014】
モータ14は出力軸14aが水平となるように配され、ウォームシャフト18はモータ14の出力軸14aに平行に配されている。ギア16はピニオン17より径が大きく、ギア16及びピニオン17によって減速機が構成されている。
ウォームホイル20は、一端部にギア21が固定された回転軸22の他端部に装着されている。回転軸22は水平に配置され、平面視して回転軸22及びウォームシャフト18は垂直である。
【0015】
ギア21には、回転軸22に平行なウォームシャフト23に装着されたギア24が噛み合っている。ギア24はギア21より径が大きく、ギア21、24によって減速機が構成されている。ウォームシャフト23には出力軸13に同心状に連結されたウォームホイル26が噛み合っている。従って、本実施の形態では、ギア16及びピニオン17からなる減速機と、ギア21、24からなる減速機とに加え、ウォームシャフト18及びウォームホイル20からなる減速機と、ウォームシャフト23及びウォームホイル26とが設けられていることとなる。
【0016】
ギア21、回転軸22、ギア24、ウォームシャフト23及びウォームホイル26はそれぞれ、ゲート駆動装置15の構成部材である。
モータ14は出力軸14aが時計回り及び反時計回りに回転駆動でき、モータ14の作動により生じる駆動力は、ピニオン17、ギア16、ウォームシャフト18、ウォームホイル20、回転軸22、ギア21、24、ウォームシャフト23及びウォームホイル26経由で出力軸13に与えられる。
【0017】
よって、本実施の形態では、モータ14の駆動力を出力軸13に伝える動力伝達機構27が、ピニオン17、ギア16、ウォームシャフト18、ウォームホイル20、回転軸22、ギア21、24、ウォームシャフト23及びウォームホイル26を主として構成されている。
【0018】
出力軸13は、モータ14の駆動力が与えられて回転駆動し、扉体11を回動軸12と共に一体となって回動させる。扉体11は開口部Qを閉じた状態から平面視して時計回りに90°回動して開口部Qを開放し、開口部Qを開放した状態から平面視して反時計回りに90°回動して開口部Qを閉じる。
上述したようにゲート駆動装置15は、油圧シリンダや電動シリンダを有さず、油圧シリンダ又は電動シリンダを具備するゲート駆動装置に比べて設計の簡素化を図ることができる。
【0019】
また、ウォームシャフト18には手動ハンドル28が連結可能であり、停電の発生等によりモータ14が作動できない際には、手動ハンドル28をウォームシャフト18に連結し、人力によって手動ハンドル28を回転することにより、扉体11を回転することができる。
【0020】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、動力伝達機構はウォーム及びウォームホイルを有さなくてもよい。また、手動ハンドルは省略可能である。
【符号の説明】
【0021】
10:スイングゲート設備、11:扉体、12:回動軸、13:出力軸、14:モータ、14a:出力軸、15:ゲート駆動装置、16:ギア、17:ピニオン、18:ウォームシャフト、20:ウォームホイル、21:ギア、22:回転軸、23:ウォームシャフト、24:ギア、26:ウォームホイル、27:動力伝達機構、28:手動ハンドル、P:コンクリート構造体、Q:開口部、W1、W2:壁面