(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
E06B 1/60 20060101AFI20231106BHJP
【FI】
E06B1/60
(21)【出願番号】P 2020159128
(22)【出願日】2020-09-23
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100184066
【氏名又は名称】宮崎 恭
(72)【発明者】
【氏名】石原 典継
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-94083(JP,A)
【文献】実開昭62-16685(JP,U)
【文献】実開平1-89584(JP,U)
【文献】実公昭48-30027(JP,Y1)
【文献】特開2007-231542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/58-1/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と、枠体の外周に固定されるアンカー部材を備え、
枠体は、外周方向に向かって延びる複数の片を有しており、
アンカー部材は、ネジが外周側から内周側に向かって貫通する本体部と、本体部の屋内側から外周側に延設される屋内側係止片と、本体部のネジが貫通する貫通部よりも屋外側の位置から内周側に向かって延設される屋外側係止片と、外周側に延設される連結片とを有しており、
枠体の複数の片の間に配置された状態でネジを締め込んでネジ軸を枠体に押し付けることによって屋内側係止片が枠体の屋内側の片に係止するとともに屋外側係止片が屋外側の片に係止されて、枠体に固定されている建具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、躯体開口部に設けられる建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート等によって形成される建物開口部に対して、アンカーを介して建具が固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、上記特許文献1に記載された建物開口枠への取付構造では、窓枠に対するアンカーの固定が煩雑となることがあった。
【0005】
本発明は、窓枠を加工することなく、簡単な作業によってアンカーを窓枠に固定することができるようにし、窓枠の施工性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態は、枠体と、枠体の外周に固定されるアンカー部材を備え、枠体は、外周方向に向かって延びる複数の片を有しており、アンカー部材は、ネジが外周側から内周側に向かって貫通する本体部と、本体部の屋内側から外周側に延設される屋内側係止片と、本体部のネジが貫通する貫通部よりも屋外側の位置から内周側に向かって延設される屋外側係止片と、外周側に延設される連結片とを有しており、枠体の複数の片の間に配置された状態でネジを締め込んでネジ軸を枠体に押し付けることによって屋内側係止片が枠体の屋内側の片に係止するとともに屋外側係止片が屋外側の片に係止されて、枠体に固定されている建具である。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態によれば、簡単な作業によってアンカーを窓枠に固定することができ、窓枠の施工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】一実施形態に係る建具のアンカー部材の斜視図である。
【
図4】一実施形態に係る建具の右竪枠の一部斜視図である。
【
図5】一実施形態に係る建具のアンカー部材を取付ける工程を説明する図であり、(a)(b)は、右竪枠部分の横断面図である。
【
図6】一実施形態に係る建具のアンカー部材を取付ける工程を説明する図であり、(a)ないし(d)は、右竪枠部分の横断面図である。
【
図7】一実施形態に係る建具の右竪枠部分の断面図であり、(a)はアンカー部材が取り付けられた状態を示す横断面図であり、(b)は竪枠を建物開口部に固定した状態を示す横断面図である。
【
図8】他の実施形態に係る建具の右竪枠部分の断面図であり、(a)ないし(c)はアンカー部材を取り付ける状態を示す横断面図であり、(d)は竪枠を建物開口部に固定した状態を示す横断面図である。
【
図9】他の実施形態に係る建具の右竪枠の一部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
一実施形態の建具について、枠体の内周に内、外障子を引き違い開閉自在に支持する引き違い窓具の例を用いて、図面を参考にして説明する。
【0010】
(全体の構成)
本実施形態の建具は、アルミニウム合金等の金属材料よりなる上枠11、下枠12及び左、右竪枠13,14を四周に組んでなる枠体1の内周に、アルミニウム合金等の金属材料よりなる上框21,31、下框22,32及び左、右竪框23,33,24,34を四周に組んで内周にパネル体25,35を嵌め込んでなる内障子2及び外障子3が引き違い開閉自在に支持されている。
【0011】
(枠体)
枠体1を構成する上枠11は、
図1に示すように、上枠11の内周面を形成する中空形状の本体部11aと、本体部11aの屋内側端及び屋外側端から内周方向に延びる屋内側見付壁11b及び屋外側見付壁11cと、本体部11aの見込み方向略中央位置から内周方向に延びる中央見付壁11dと、本体部11aの見込み方向屋外側から内周方向に延びる外上レール11eと、本体部11aの外周面から外周方向に延びるフィン部11fを有している。
【0012】
上枠11は、フィン部11fが建物開口部にビス等の固定手段によって固定されることで、建物開口部Aに固定されており、上枠11の屋内側見付壁11bの屋内側には、額縁材81が配置されている。
また、上枠11は、屋内側見付壁11b及び中央見付壁11dの屋外側にそれぞれ気密材が設けられている。
【0013】
枠体1を構成する下枠12は、
図1に示すように、下枠12の内周面を形成する中空形状の本体部12aと、本体部12aの屋内側に連続して立ち上がる中空形状の立上壁12bと、立上壁12bの屋内側端から内周方向に延びる屋内側見付壁12cと、立上壁12bの屋外側端から内周方向に延びる下内レール12dと、本体部12aの見込み方向で屋外側から内周方向に延びる下外レール12eと、本体部12aの外周面から外周方向に延びるフィン部12fと、立上壁12bの屋外側端から屋外側に延びる気密材保持片12gを有している。
【0014】
下枠12は、フィン部12fが建物開口部にビス等の固定手段によって固定されることで、建物開口部Aに固定されており、下枠12の立上壁12b及び屋内側見付壁12cの屋内側には、額縁材82が配置されている。
また、下枠12は、屋内側見付壁12c及び気密材保持片12gの屋外側にそれぞれ気密材が設けられている。
【0015】
枠体1を構成する左、右竪枠13,14は、
図2に示すようにほぼ同様の構成を有しているので、ここでは、本実施形態の建具の竪枠について、主に右竪枠14を用いて説明し、左竪枠13については、右竪枠14と異なる部分について説明する。
なお、
図2には、左竪枠13に関して、右竪枠14と同様に主な符号を付与しておく。
【0016】
枠体1を構成する右竪枠14は、
図2に示すように、右竪枠14の内周面を形成する見込壁14aと、見込壁14aの屋内側端に連続して内周側及び外周側に延びる屋内側見付壁14bと、見込壁14aの屋外側端に連続して内周側及び外周側に延びる屋外側見付壁14cと、見込壁14aの見込み方向中央付近より内周側に延びる中央見付壁14dと、見込壁14aの外周面より外周側に延びるフィン部14fを有している。
【0017】
右竪枠14は、屋内側で外周側にアンカー部材5が固定されており、該アンカー部材5を利用して建物開口部Aに固定されている。
【0018】
左竪枠13及び右竪枠14の屋内側には、額縁材83,84が配置されており、右竪枠14は、屋内側見付壁14bの内周側に延びる片の屋外側面に気密材が設けられており、左竪枠13は、中央見付壁13dの屋外側面に気密材が設けられている。
【0019】
(内障子)
内障子2を構成する上框21は、
図1に示すように、中空部を有する上框本体部21aと、上框本体部21aの内周に形成されるガラス間口部21bと、上框本体部21aの外周に形成される案内部21cを有しており、ガラス間口部21bにパネル体25がバックアップ材及びシール材等を介して保持されている。
【0020】
上框21は、案内部21cが上枠11の屋内側見付壁11bと中央見付壁11dの間に案内されており、案内部21cの屋内側面に上枠11の屋内側見付壁11bに配置された気密材が当接している。
【0021】
内障子2を構成する下框22は、
図1に示すように、内周側に形成されるガラス間口部22bと、外周側に形成される案内部22cを有しており、ガラス間口部22bにパネル体25がバックアップ材及びシール材等を介して保持されているとともに、案内部22cには戸車装置92が配置されている。
【0022】
下框22は、案内部22cに配置された戸車装置92が下枠12の下内レール12d上に案内されており、案内部22cの屋内側面に下枠12の屋内側見付壁12cに配置された気密材が当接している。
【0023】
内障子2を構成する左竪框23は、
図2に示すように、中空部を有する左竪框本体部23aと、左竪框本体部23aの屋外側内周面に形成されるガラス間口部23bを有しており、屋外側面に煙返し片及び気密材が設けられている。
【0024】
左竪框23は、ガラス間口部23bにパネル体25がバックアップ材及びシール材等を介して保持されており、外周面にはクレセント錠61が配置されている。
【0025】
障子2を構成する右竪框24は、
図2に示すように、中空部を有する右竪框本体部24aと、右竪框本体部24aの内周側に形成されるガラス間口部24bと、右竪框本体部24aの外周側に形成される戸先部24cを有している。
【0026】
右竪框24は、ガラス間口部24bにパネル体25がバックアップ材及びシール材等を介して保持されており、戸先部24cの屋内側面に右竪枠14の屋内側見付壁14bに配置された気密材が当接している。
【0027】
(外障子)
外障子3を構成する上框31は、
図1に示すように、中空部を有する上框本体部31aと、上框本体部31aの内周に形成されるガラス間口部31bと、上框本体部31aの外周に形成される案内部31cを有しており、ガラス間口部31bにパネル体35がバックアップ材及びシール材等を介して保持されている。
【0028】
上框31は、案内部31cが上枠11の外上レール11eに案内されており、案内部31cの屋内側面に上枠11の中央見付壁11dに配置された気密材が当接している。
【0029】
外障子3を構成する下框32は、
図1に示すように、中空部を有する下框本体部32aと、下框本体部32aの内周に形成されるガラス間口部32bと、下框本体部32aの外周に形成される案内部32cを有しており、ガラス間口部32bにパネル体35がバックアップ材及びシール材等を介して保持されているとともに、案内部32cには戸車装置93が配置されている。
【0030】
下框32は、案内部32cに配置された戸車装置93が下枠12の下外レール12e上に案内されており、案内部32cの屋内側面に下枠12の気密材保持片12gに配置された気密材が当接している。
【0031】
外障子3を構成する左竪框33は、
図2に示すように、中空部を有する左竪框本体部33aと、左竪框本体部33aの内周に形成されるガラス間口部33bと、左竪框本体部33aの外周側に形成される戸先部33cを有している。
【0032】
左竪框33は、ガラス間口部33bにパネル体35がバックアップ材及びシール材等を介して保持されており、戸先部33cの屋内側面に左竪枠13の中央見付壁13dに配置された気密材が当接している。
【0033】
外障子3を構成する右竪框34は、
図2に示すように、中空部を有する右竪框本体部34aと、右竪框本体部34aの内周側に形成されるガラス間口部34bを有しており、屋内側面に煙返し片が設けられるとともに、内障子2の左竪框23に設けられる気密材が当接している。
右竪框34は、ガラス間口部34bにパネル体35がバックアップ材及びシール材等を介して保持されているとともに、屋内側にクレセント受62が配置されている。
【0034】
(アンカー部材)
以上、本実施形態の建具について説明したが、本実施形態の建具の左、右竪枠13,14は、竪枠に対して容易に固定することのできるアンカー部材5を利用して建物開口部に固定されている。
以下、左、右竪枠13,14を建物開口部に固定するためのアンカー部材5及びアンカー部材5による左、右竪枠13,14の建物開口部への固定について、右竪枠14に固定されるアンカー部材5を用いて、さらに説明する。
【0035】
アンカー部材5は、スチール等の金属材料からなり、
図3(a)(b)に示すように、例えば長さ約5cm程度の短尺部材からなるアンカー本体51と、アンカー本体51に螺合されるネジ52等の締め込み手段を有している。
【0036】
アンカー本体51は、ネジ52が貫通する本体部51aと、本体部51aの一辺がほぼ直角に屈曲して延設される屋内側係止片51bと、本体部51aの他辺で長手方向中央部分が屋内側係止片51bと同方向に屈曲して延設される連結片51cと、本体部51aの他辺で長手方向の端部分、例えば連結片51cの両側部分が屋内側係止片51bと反対方向にほぼ直角に屈曲して延設される2つの屋外側係止片51d,51dを有している。
【0037】
ネジ52は、アンカー本体51の本体部51aに対して、屋内側係止片51b及び連結片51cが延設される側から屋外側係止片51d,51dが延設される側に向かって貫通し、本体部51aに螺合している。
【0038】
そして、アンカー部材5は、
図2,
図4に示すように、右竪枠14の屋内側外周面に固定され、右竪枠14は、アンカー部材5を介して建物開口部に固定される。
【0039】
(アンカー部材の取付手順)
アンカー部材5を竪枠に固定するための工程について説明する。
(1)アンカー部材5を右竪枠14に固定するに際しては、
図5(a)に示すように、右竪枠14のアンカー部材5が固定される箇所については、フィン部14fの見込壁13aから所定長さの部分を屋外側取付片14gとして残し、その他の先端部分を予め切り欠いておく。
【0040】
(2)次に、
図5(b)に示すように、アンカー部材5の屋内側係止片51b及び連結片51cが外周側となり屋外側係止片51d,51dが内周側(右竪枠側)となるとともに、屋内側係止片51bが屋内側となり屋外側係止片51d,51dが屋外側となる状態で、アンカー部材5を右竪枠14の屋外側取付片14gと屋内側見付壁14bの外周側に延びる部分(以下、この部分を「屋内側取付片14h」とする。)との間に外周側から挿入する。
【0041】
アンカー部材5の挿入は、屋外側係止片51d,51dが右竪枠14の見込壁14aと屋外側取付片14gによって形成される角部に当接するまで行う。
【0042】
(3)そして、
図6(a)に示すように、屋外側係止片51d,51dが見込壁14aと屋外側取付片14gによって形成される角部に当接した状態でアンカー部材5を屋外側係止片51d,51dの先端を中心にして屋内側に回動させて、屋内側係止片51bを右竪枠14の屋内側取付片14hに当接させる。
【0043】
なお、本実施形態の建具においては、屋内側取付片14hの外周側端に屋外側に屈曲する係止部14iが形成されている。また、
図6(b)(c)に示すように、右竪枠14の見込壁14aと屋外側取付片14gによって形成される角部と係止部14iとの間隔x1が、アンカー部材5の屋外側係止片51d,51dの先端と屋内側係止片51bの先端との間の寸法y1にほぼ等しく形成されている。
【0044】
そのため、アンカー部材5を回動して屋内側係止片51bを右竪枠14の屋内側取付片14hに当接させることによって、屋内側係止片51bが屋内側取付片14hの先端に形成された係止部14iに軽く係止される。
【0045】
(4)最後に、
図6(d)に示すように、右竪枠14の屋外側取付片14gと屋内側取付片14hの間にアンカー部材5を配置した状態で、ネジ52を締め込んでネジ軸52aを右竪枠14に押し付けることで、屋内側係止片51bを屋内側取付片14hの係止部14iに強く係止させるとともに、屋外側係止片51d,51dを屋外側取付片14gに食い込むように係止させて、アンカー部材5を右竪枠14に固定する。
以上、アンカー部材5の竪枠に対する取付手順について説明した。
【0046】
右竪枠14に取付られたアンカー部材5は、
図7(a)に示すように、アンカー本体51に対して、ネジ52が外周側から内周側に向かって貫通しており、屋外側係止片51d,51dが本体部51aにおけるネジ52の貫通部よりも屋外側に位置している。
また、アンカー部材5は、
図4,
図7(a)に示すように、連結片51cが右竪枠14のフィン部14fと平行となるように外周側に延びた状態で右竪枠14に強固に固定されており、連結片51cを建物開口部Aに固定された固定金具に対して溶接することで竪枠14を建物開口部Aに固定することができる。
【0047】
-本実施形態の建具の効果-
以上のように、本実施形態の建具は、アンカー部材5を(右)竪枠14の外周側に延びる屋内側取付片と屋外側取付片との間に配置してネジを締め付けることで、枠体を建物開口部に固定するためのアンカー部材5を簡単に右竪枠に固定することができるので、建具の施工性を向上させることができる。
【0048】
そして、本実施形態のアンカー部材5は、
図7(a)にも示すように、屋内側係止片51bが本体部51aに対してほぼ直角に屈曲して延びていることで、ネジ52の締め付け時にかかる力Fを屋内側係止片51bの金属板の方向で受けることができ、強い締め付けにも耐えることができる。さらに、屋外側係止片51d,51dが本体部51aに対してほぼ直角に屈曲して延びていることで、同様にネジ52の締め付け時にかかる力Fを屋外側係止片51d,51dの金属板の方向で受けることができ、強い締め付けにも耐えることができる。その結果、全体としてアンカー部材5を竪枠に強固に固定することができる。
【0049】
なお、アンカー部材5の建物開口部Aへの固定は、例えば
図7(b)に示すように、アンカー部材5の連結片51cを建物開口部Aにビス等によって固定された断面L字型の固定金具Bにビスbによって固定することで行ってもよい。
【0050】
-他の実施形態-
アンカー部材5は、固定される枠体1の構成や建物開口部の構成に応じて、構成を変更することができる。
本実施形態のアンカー部材5は、建物開口部に連結する連結片の構成が第1の実施形態のアンカー部材5と異なっており、また、固定される竪枠の構成に応じて、屋内側係止片、屋外側係止片及び連結片の形状が変更されている。
【0051】
本実施形態のアンカー部材5は、
図8(a)ないし(c),
図9に示すように、スチール等の金属材料からなり、第1の実施形態のアンカー部材5と同様に、アンカー本体51と、アンカー本体51に螺合されるネジ52等の締め込み手段を有している。
【0052】
アンカー本体51は、ネジ52が螺合する本体部51aと、本体部51aの一辺が屈曲して延設される屋内側係止片51eと、本体部51aの他辺が屋内側係止片51eと反対方向に屈曲して延設される屋外側係止片51fと、本体部51aの長手方向の両辺が屋内側係止片51eと同方向に屈曲して延設される連結片51g,51gを有している。
ネジ52は、アンカー本体51の本体部51aに対して、屋内側係止片51e及び連結片51g,51gが延設される側から屋外側係止片51fが延設される側に向かって貫通して螺合している。
【0053】
そして、アンカー部材5は、右竪枠14の屋外側取付片14gと屋内側取付片14hとの間に配置され、ネジ52を締め込んでネジ軸52aを右竪枠14に押し付けることによって、屋内側係止片51eが屋内側取付片14hに係止されるとともに屋外側係止片51fが屋外側取付片14gに係止されて(右)竪枠14に固定されている。
【0054】
本実施形態の建具においては、右竪枠14の屋内側取付片14hが第1の実施形態の右竪枠14の屋内側取付片14hよりも長く形成されているとともに、右竪枠14の屋内側取付片14hと屋外側取付片14gとの見込み方向の間隔が大きく形成されている。
【0055】
そのため、本実施形態のアンカー部材5は、屋内側係止片51eが第1の実施形態のアンカー部材5の屋内側係止片51eよりも長く形成されているとともに、本体部51aに対して鈍角a(例えば、99度)で屈曲して延設されている。
【0056】
そして、右竪枠14の見込壁14aと屋外側取付片14gによって形成される角部と屋内側取付片14hの係止部14iとの間の寸法x2がアンカー部材5の屋外側係止片51fと屋内側係止片51eの先端との間の寸法y2よりも大きいことから、アンカー部材の取付手順(2)において、右竪枠14のアンカー部材5の屋外側係止片51fを右竪枠14の見込壁14aと屋外側取付片14gによって形成される角部に当接するまで挿入させた状態では、屋内側係止片51eは屋内側取付片14hの係止部14iに係止しないが、ネジ52を締め込むことで屋内側係止片51eが係止部14iに係止され、その後さらにネジ52を締め込むことで、屋外側係止片51fを屋外側取付片14gに食い込ませて係止することができる。
【0057】
右竪枠14に取付られたアンカー部材5は、
図8(d),
図9に示すように、連結片51g,51gが右竪枠14のフィン部14fと直角となるように外周側に延びた状態で右竪枠14に強固に固定されており、連結片51g,51gを建物開口部Aに固定された固定金具Cに対して溶接等することで竪枠14を建物開口部Aに固定することができる。
【0058】
以上の実施形態は,請求項に記載された発明を限定するものではなく,例示として取り扱われることは言うまでもない。
例えば、アンカー部材5の連結片は、アンカー本体の何れかの部分から外周側に延設されていればよく、どのように延設されているかは何ら限定されない。また、アンカー本体の本体部に対する屋内側係止片及び屋外側係止片の屈曲角度についても何ら限定されない。
さらに、アンカー部材5が固定される枠材は、竪枠に限定されるものでもなく、窓種についても何ら限定されない。
【符号の説明】
【0059】
14 :右竪枠(枠体)
14a :見込壁
14g :屋外側取付片
14h :屋内側取付片
14i :係止部
5 :アンカー部材
51 :アンカー本体
51a :本体部
51b :屋内側係止片
51c :連結片
51d :屋外側係止片
51e :屋内側係止片
51f :屋外側係止片
51g :連結片
52 :ネジ
52a :ネジ軸