(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】内視鏡把持装置
(51)【国際特許分類】
A61B 17/29 20060101AFI20231106BHJP
【FI】
A61B17/29
(21)【出願番号】P 2020165626
(22)【出願日】2020-09-30
(62)【分割の表示】P 2017550629の分割
【原出願日】2016-03-25
【審査請求日】2020-09-30
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-27
(32)【優先日】2015-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503423661
【氏名又は名称】ユナイテッド ステイツ エンドスコピー グループ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミケリーニ ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ウスペンスキ アレクシス
(72)【発明者】
【氏名】ストレイフ アリソン
(72)【発明者】
【氏名】ジョン キース アール.
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】栗山 卓也
【審判官】安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】米国意匠特許発明第689606(US,S)
【文献】特開2006-212321(JP,A)
【文献】特開平5-31120(JP,A)
【文献】米国特許第5354312(US,A)
【文献】特表2008-536530(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B17/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡と共に使用する装置であって、
フォークと、
前記フォークのピボット点を中心として旋回可能に取り付けられ、所定の閉鎖位置と、所定の開放位置との間で移動可能な第1顎部及び第2顎部と、
を備え、
前記第1顎部及び第2顎部の各々は、前記顎部の遠位端の近傍に前歯を備え、前記顎部の近位端の近傍に後歯を備え、
前記第1顎部及び第2顎部の前記前歯は、前記第1顎部及び第2顎部が前記閉鎖位置にあるときに、互い
に係合するように構成され、
前記閉鎖位置におい
て係合した前記第1顎部及び第2顎部の前記前歯は
、半球形状の遠位先端を形成し、
少なくとも1つの後歯の遠位側は、前記顎部の近位端に向けて傾斜しており、
前記第1顎部及び第2顎部が前記閉鎖位置にあるときに、少なくとも1つの後歯の近位側は、前記第1顎部及び第2顎部の中心線に対し
て垂直であり、
前記後歯の各々は後歯の先端へと延びており、前記装置が前記閉鎖位置にあるときに、前記後歯の各々の前記先端は、他の後歯の各々の先端と接触して、前記第1顎部及び前記第2顎部の後歯は、複数の開放断面領域を形成し、
前記第1顎部及び第2顎部の少なくとも一方は、当該第1顎部及び第2顎部の少なくとも一方の右側の歯列と左側の歯列の間に画定されたカップ状部を有し、
前記前歯及び前記後歯は前記カップ状部の周り
に配置されている、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記遠位先端は非外傷性の面を有する、ことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
係合した前記第1顎部及び第2顎部の前記前歯によって形成された内面は
、平坦であり、前記装置の中心線に対し
て垂直である、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記第1顎部及び第2顎部は、閉鎖位置にあるときに前記前歯に対して近位方向にスロットを形成する、ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の装置。
【請求項5】
少なくとも一方の顎部の前記前歯は、前記装置の中心線を超えて延在する、ことを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記第1顎部及び第2顎部の前記前歯は、前記装置の中心線を超えて延在し、
前記係合した前歯は、ジグザグパターンを形成する、ことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
少なくとも一方の顎部の前記前歯は、同一の顎部における前記後歯よりも長い、ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1顎部及び第2顎部の前記前歯は、同一の顎部における前記後歯よりも長い、ことを特徴とする請求項1~7の何れか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第1顎部及び第2顎部の一方の顎部の前記後歯は、前記装置の中心線に沿って対向する他方の顎部の前記後歯と接する、ことを特徴とする請求項1~8の何れか一項に記載の装置。
【請求項10】
少なくとも1つの後歯
は丸みを有さずに尖っている、ことを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記第1顎部及び第2顎部が前記閉鎖位置にあるときに、前記前歯だけが前記装置の中心線を超えて延在する、ことを特徴とする請求項9又は10に記載の装置。
【請求項12】
内視鏡と共に使用する装置であって、
フォークと、
前記フォークのピボット点を中心として旋回可能に取り付けられ、所定の閉鎖位置と所定の開放位置との間で回転可能である第1顎部及び第2顎部と、
を備え、
前記第1及び第2顎部の各々は、前記顎部の遠位端の近傍に前歯を備え、前記顎部の近位端の近傍に後歯を備え、
前記第1及び第2顎部の前記前歯は、前記第1及び第2顎部が前記閉鎖位置にあるときに、互い
に係合するように構成され、
前記閉鎖位置におい
て係合した前記第1及び第2顎部の前記前歯は
、半球形状の遠位先端を形成し、
少なくとも1つの後歯の遠位側は、前記顎部の近位端に向けて傾斜しており、
前記後歯の各々は後歯の先端へと延びており、前記装置が前記閉鎖位置にあるときに、前記後歯の
各々の前記先端
は、他の後歯の
各々の先端と接触し
て、
前記第1顎部及び前記第2顎部の後歯は、複数の開放断面領域を形成し、
前記第1顎部及び第2顎部の少なくとも一方は、当該第1顎部及び第2顎部の少なくとも一方の右側の歯列と左側の歯列の間に画定されたカップ状部を有し、
前記前歯及び前記後歯は前記カップ状部の周り
に配置されている、ことを特徴とする装置。
【請求項13】
前記遠位先端は非外傷性の面を有する、ことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
係合した前記第1及び第2顎部の前記前歯によって形成された内面は
、平坦であり、前記装置の中心線に対し
て垂直である、ことを特徴とする請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
前記第1及び第2顎部は、閉鎖位置にあるときに前記前歯に対して近位方向にスロットを形成する、ことを特徴とする請求項12~14の何れか一項に記載の装置。
【請求項16】
少なくとも一方の顎部の前記前歯は、前記装置の中心線を超えて延在する、ことを特徴とする請求項12~15の何れか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記第1及び第2顎部の前記前歯は、前記装置の中心線を超えて延在し、
前記係合した前歯は、ジグザグパターンを形成する、ことを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
少なくとも一方の顎部の前記前歯は、同一の顎部における前記後歯よりも長い、ことを特徴とする請求項12~17の何れか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記第1及び第2顎部の前記前歯は、同一の顎部における前記後歯よりも長い、ことを特徴とする請求項12~18の何れか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記第1及び第2顎部の一方の顎部の前記後歯は、前記装置の中心線に沿って対向する他方の顎部の前記後歯と接する、ことを特徴とする請求項12~19の何れか一項に記載の装置。
【請求項21】
少なくとも1つの後歯は
、丸みを有さずに尖っている、ことを特徴とする請求項12~20の何れか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記第1及び第2顎部が前記閉鎖位置にあるときに、前記前歯だけが前記装置の中心線を超えて延在する、ことを特徴とする請求項12~21の何れか一項に記載の装置。
【請求項23】
内視鏡と共に使用する装置であって、
本体と、
前記本体に取り付けられ、前記本体に対して移動可能なハンドルと、
前記本体に固定された第1端部と、第2端部と、を有する導管であって、通路及び前記第2端部における開口部を画定する導管と、
2つの突出部を有し、前記導管の遠位端に取り付けられたフォークと、
前記2つの突出部内において前記フォークのピボット点を中心として旋回可能に取り付けられ、所定の閉鎖位置と所定の開放位置との間で相互に依存して移動可能な第1顎部及び第2顎部と、
を備え、
前記第1及び第2顎部の各々は、前記顎部の遠位端の近傍に前歯を備え、前記顎部の近位端の近傍に後歯を備え、
前記第1及び第2顎部の前記前歯は、前記第1及び第2顎部が前記閉鎖位置にあるときに、互い
に係合するように構成され、
前記閉鎖位置におい
て係合した前記第1及び第2の前記前歯は
、半球形状の遠位先端を形成し、
少なくとも1つの後歯の遠位側は、前記顎部の近位端に向けて傾斜しており、
前記第1及び第2顎部が前記閉鎖位置にあるときに、少なくとも1つの後歯の近位側は、前記第1及び第2顎部の中心線に対し
て垂直であり、
前記後歯の各々は後歯の先端へと延びており、前記装置が前記閉鎖位置にあるときに、前記後歯の各々の前記先端は、他の後歯の各々の先端と接触して、前記第1顎部及び前記第2顎部の後歯は、複数の開放断面領域を形成し、
前記第1顎部及び第2顎部の少なくとも一方は、当該第1顎部及び第2顎部の少なくとも一方の右側の歯列と左側の歯列の間に画定されたカップ状部を有し、
前記前歯及び前記後歯は前記カップ状部の周り
に配置されている、ことを特徴とする装置。
【請求項24】
前記遠位先端は非外傷性の面を有する、ことを特徴とする請求項23に記載の装置。
【請求項25】
係合した前記第1及び第2顎部の前記前歯によって形成された内面は
、平坦であり、前記装置の中心線に対し
て垂直である、ことを特徴とする請求項23又は24に記載の装置。
【請求項26】
前記第1及び第2顎部が閉鎖位置にあるとき、前記顎部は、前記前歯に対して近位方向にスロットを形成する、ことを特徴とする請求項23~25の何れか一項に記載の装置。
【請求項27】
少なくとも一方の顎部の前記前歯は、前記装置の中心線を超えて延在する、ことを特徴とする請求項23~26の何れか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記第1及び第2顎部の前記前歯は、前記装置の中心線を超えて延在し、
前記係合した前歯は、ジグザグパターンを形成する、ことを特徴とする請求項27に記載の装置。
【請求項29】
少なくとも一方の顎部の前記前歯は、同一の顎部における前記後歯よりも長い、ことを特徴とする請求項23~28の何れか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記第1及び第2顎部の前記前歯は、同一の顎部における前記後歯よりも長い、ことを特徴とする請求項23~29の何れか一項に記載の装置。
【請求項31】
一方の顎部の前記後歯は、前記装置の中心線に沿って対向する他方の顎部の前記後歯と接する、ことを特徴とする請求項23~30の何れか一項に記載の装置。
【請求項32】
少なくとも1つの後歯は
、丸みを有さずに尖っている、ことを特徴とする請求項23~31の何れか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記第1及び第2顎部が前記閉鎖位置にあるときに、前記前歯だけが前記装置の中心線を超えて延在する、ことを特徴とする請求項31又は32に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2015年3月26日に出願され、内視鏡把持装置と題された米国仮特許出願第62/138,757号に基づく優先権を主張するとともに、当該仮特許出願の利益を享受するものであって、その全ての開示は、当該仮特許出願が本出願と矛盾しない程度において、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
内視鏡は、医療分野において、周知であり、多くの医療処置に一般的に使用されている。そのような処置の1つは、例えば、異物、消化管の壁から摘出されたヒト組織、およびステントのような以前に挿入された医療用具といった対象物を、被験者の内部から除去することである。対象物を除去するための従来技術の1つでは、内視鏡的処置において把持ツールを使用する。
【0003】
従来の内視鏡把持装置は、ベースに対して旋回する1つまたは2つの顎部を有する。装置の遠位端に設けられた1つまたは2つの顎部は、装置の近位端で、かつ、内視鏡の外側の近位位置で、使用者がハンドルを操作することで旋回される。内視鏡、把持装置、及び対象物が患者から取り去られる間、対象物は顎部によって保持される。
【0004】
処置中に、使用者が適切に対象物を把持し、保持できるかは、顎部の形状および構造を含むいくつかの要因に左右される。
【発明の概要】
【0005】
本出願は、消化管内の対象物を把持する内視鏡と共に使用するためのツールについて述べる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
例示的な実施例において、内視鏡把持装置は、フォークと、一組の歯を有する第1顎部と、一組の歯を有する第2顎部と、を備える。第1顎部および第2顎部は、フォーク上のピボット点を中心に取り付けられ、開放位置と閉鎖位置との間で操作可能である。
【0007】
本発明に共通する発明的概念の特徴と利点は、添付図面を参照してなされる以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、内視鏡把持装置の遠位端の右側面斜視図であり、装置の顎部が開放位置にある状態を示す。
【
図2】
図2は、
図1の内視鏡把持装置の近位端の右側面斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1の内視鏡把持装置の遠位端の右側面斜視図であり、装置の顎部が閉鎖位置にある状態を示す。
【
図5】
図5は、
図1の内視鏡把持装置の遠位端の右側面図であり、装置の顎部が開放位置にある状態を示す。
【
図6】
図6は、
図1の内視鏡把持装置の遠位端の右側面図であり、装置の顎部が閉鎖位置にある状態を示す。
【
図7】
図7は、
図1の内視鏡把持装置の遠位端の平面図であり、装置の顎部が閉鎖位置にある状態を示す。
【
図8】
図8は、
図1の内視鏡把持装置の遠位端の正面図であり、装置の顎部が閉鎖位置にある状態を示す。
【
図17】
図17は、他の内視鏡把持装置の遠位端の右側面斜視図であり、装置の顎部が開放位置ある状態を示す。
【
図18】
図18は、
図17の内視鏡把持装置の遠位端の右側面図であり、装置の顎部が開放位置にある状態を示す。
【
図19】
図19は、
図17の内視鏡把持装置の遠位端の右側面斜視図であり、装置の顎部が閉鎖位置にある状態を示す。
【
図20】
図20は、
図17の内視鏡把持装置の遠位端の右側面図であり、装置の顎部が閉鎖位置にある状態を示す。
【
図21】
図21は、
図17の内視鏡把持装置の遠位端の正面図であり、装置の顎部が閉鎖位置にある状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
詳細な説明は、本発明に共通する発明的概念に係る実施例を例示するものに過ぎず、本発明や特許請求の範囲に記載される権利範囲を限定するものではない。また、特許請求の範囲に記載された発明は、ここに示す実施例よりも広く、これに限定されるものではない。さらに、特許請求の範囲に用いられている用語は、その用語の一般的な意味を網羅するものである。
【0010】
以下、本発明の実施例を適宜参照しつつ、その共通する発明的概念について説明する。なお、かかる概念は別の形で表されるものであってもよく、ここに示す実施例に限定して解釈されるものではない。むしろ、これらの実施例は、本開示が詳細かつ完全なものとなるように提供されたものであって、当業者に対し当該概念の範囲を十分に示すためのものである。
【0011】
別途定義する場合を除き、記載される全ての技術的・科学的用語は、本発明に共通する発明的概念に触れた当業者が通常理解する通りの意味を有する。本詳細な説明に示される用語は、特定の実施例を説明するためだけに用いられるものであり、本発明に共通する発明的概念を限定するものではない。また、本詳細な説明及び特許請求の範囲において“a”、“an”、“the”といった単数形で表される用語は、別途示さない限り、それらの複数形も含むものとする。
【0012】
また、別途示さない限り、本明細書や特許請求の範囲に用いられる測定結果や物理的特徴を示す数値等のあらゆる数字は、全ての場合において「およそ(about)」という文言で修正され得るものとして理解されるべきである。したがって、別途示さない限り、本明細書や特許請求の範囲の数値的な特性は概略値であって、本発明の実施例において求められる特性に応じて変化し得る。なお、本発明に共通する発明的概念に係る広い権利範囲を示す数値範囲やパラメータの設定は概略値に過ぎないが、特定の実施例にて示す数値は可能な限り正確に規定されている。ただし、いずれの数値も、その測定時に生じる誤差を本質的に含むことは言うまでもない。
【0013】
本発明の説明では、「近位(proximal)」や「遠位(distal)」といった用語がしばしば用いられるが、これらの用語は本装置の操作者に対する位置や方向を表す。例えば、近位位置や近位方向といった用語は、本ツールの使用者又は操作者のいる側を意味し、遠位位置や遠位方向といった用語は、本ツールの使用者又は操作者と離れた側、即ち、操作者が把持し、保持しようとする対象物のある位置や方向を意味する。
【0014】
多くの異なる理由により、医療処置において把持装置が必要とされることがある。かかる装置は、例えば、異物、切除された組織、およびステントなど、体内の対象物を取り出すために使用されることがある。把持装置は、内視鏡的処置中に頻繁に使用される。例えば、消化管から異物を除去するために、患者は、まず内視鏡で挿管される。医師は、内視鏡の視野の中に異物を見つけ、内視鏡の遠位端から把持装置を伸ばす。異物と把持装置の遠位先端とが具合よく近づいた状態で、医者は、異物の周りで顎部を開き、異物の周りで顎部を閉じる。内視鏡、把持装置、及び異物の全てが患者から除去される間、異物は、把持顎部(grasper jaw)にしっかりと保持される。
【0015】
本発明は、被験者の体内の対象物を捕捉する内視鏡把持装置に関する。内視鏡把持装置の実施例は、近位端にスライダを有するハンドルと、遠位端にある2つの顎部と、顎部を開閉するスライダハンドル(slider handle)の直線運動を伝達するために使用される2本のステンレス鋼の制御ワイヤを収容するスプリングシースカテーテル(spring sheath catheter)と、を備える。
【0016】
内視鏡把持装置は、多くの有利な特徴を有する。装置の遠位先端は、従来の把持装置と比較して、向上した安全性と性能を提供する形状を有する。顎部が完全に閉じられるとき、遠位先端は、滑らかであり、半球形状である。そのため、遠位先端は、装置の挿入または取り外しの間に、患者の消化管への損傷を防止する。
【0017】
また、遠位先端は、互いに噛み合う前歯を備え、すなわち、両顎部の前歯は、顎部のその他の歯より長い。このようにして、前歯は、把持装置の中心線を超えて延在する。各顎部の「ジグザグ」パターンは、歯が相互に噛み合っていてもなお中心線を超えて延在することを可能にする。これらの長い前歯は、後歯と前歯の噛み合いを同時に可能にすることによって、柔らかい異物(例えば、プラスチックステント(plastic stent))を捕捉するのに役立つ。装置が閉じられると、各顎部の前歯は、完全に係合する(噛み合う)。係合している顎部によって形成される面は、平坦であり、摘出中に異物を固定し続けるために引っ張り力に対して垂直である。
【0018】
上述したように、各顎部の後歯は、前歯と比べて異なる形状をしている。各顎部の後歯は、中心線にまでだけ延在し、そこで、対向する顎部の後歯が点接触する。換言すれば、接触するが、後歯は、前歯のように係合したり、噛み合ったりしない。さらに、後歯は、前歯と比べて異なる形状をしている。後歯は、顎部の後方にわずかに後傾し、突端まで延在する。各歯の頂部は、意図的に加工された丸みを有していない。後歯にとってのこの「ポイントツーポイント(point to point)」の後傾斜形状は、異物を保持するための歯の間の圧力を増加させる。換言すれば、接触領域当たりの力は、鈍い歯(dull tooth)と比較して増加する。
【0019】
顎部は、咬合単位(bite unit)の圧力領域を増加させる別の特徴を有する。各顎部は、歯が顎部の一方の側から、顎部の他方の側に延在するのを防止するいわゆる「カップ状部(cupped portion)」を備える。この構造は、歯が接触する表面領域を減少させて、単位圧力を増加させる。換言すれば、顎部の右側の歯と、顎部の左側の同じ位置にある歯とは棒状に接続されない。他の公知の装置は、顎部の一方の側から顎部の他方の側に延在する数多くのバーを有する。
【0020】
顎部の形状は、対象物を捕捉するための所定の領域を有する。前歯と後歯との間には隙間が含まれ、異物(ペーパークリップ、安全ピンなど)をスロット(溝)内に捕捉することができる。この特徴により、異物を引き出す際も該異物によって顎部が離れることがなく、互いの前歯を噛み合わせたときに平面が形成されるという特徴を実現することができる。
【0021】
顎部は、強固な咬合を生成するための構造的特徴を有する。各顎部のピボット点から近位方向に延在することで、顎部の舌部分が延在することとなる。この延在は、より多くのてこ作用を可能にし、異物をより適切に保持する強力な咬合を生成する。上述したように、舌部(突出部,連結アーム)は、ピボット穴から制御ワイヤ穴(control wire hole)までの距離として定義される。例えば、説明された実施例の舌部は、このサイズの従来の装置よりも少なくとも約40%長い。
【0022】
上述したように、本発明は、被験者の体内の対象物を捕捉するための内視鏡把持装置に関する。内視鏡把持装置の実施例は、フォークと、一組の歯を有する第1顎部と、一組の歯を有する第2顎部と、を備える。第1顎部と第2顎部は、フォーク上に、ピボット点の周りに取り付けられ、開放位置と閉鎖位置との間で操作可能である。
【0023】
内視鏡把持装置は、本体と、本体に取り付けられ、本体に対して移動可能なハンドルと、本体に固定された第1端部と本体から離れた第2端部とを有する導管であって、通路を規定する導管と、ハンドルに固定された第1端部と、本体から離れた第2端部とを有するリンクであって、導管の少なくとも一部を貫通するリンクと、リンクと第1ワイヤとを接続する第1制御ワイヤと、リンクと第2ワイヤとを接続する第2制御ワイヤと、を備える。第1顎部と第2顎部は、ハンドルの移動により、開放位置と閉鎖位置との間で、操作可能であってもよい。
【0024】
内視鏡把持装置の実施例は、遠方先端に関する有利な特徴を有する。第1顎部の前歯と第2顎部の前歯は、それぞれ噛み合わせの形態(interlocking pattern)で、顎部の中心線を超えて延在する。また、第1顎部と第2顎部は、閉鎖位置に滑らかな遠位先端を規定してもよい。さらに、第1顎部の前歯と第2顎部の前歯は、閉鎖位置で噛み合って、半球形状の遠位先端を規定しても良い。同様に、装置の遠位先端は、非外傷性であっても良い。
【0025】
内視鏡把持装置の後歯に関して、第1顎部の後歯が、顎部の中心線で第2顎部の後歯と接しても良い。また、第1顎部の後歯と第2顎部の後歯は、それぞれ、本質的に丸みを有しない状態で尖っている。
【0026】
内視鏡把持装置の実施例では、歯の舌部が有利に形成される。第1顎部または第2顎部の少なくとも1つは、ピボット点から遠位方向に延在する長さの少なくとも33%、ピボット点から近位方向に延在しても良い。
【0027】
物体捕捉領域に関して、第1顎部または第2顎部の少なくとも1つは、前歯と2列目の歯との間に、隙間を規定しても良い。さらに、隙間は、対象物補足領域を規定しても良い。
【0028】
次に、本発明の実施例を説明する。ここで、図面を参照すると、例示的な実施例が
図1~16に示されており、他の例示的な実施例が
図17~24に示されている。2つの実施例は、図面によって明らかである同じ特徴を多く共有している。さらに、各実施例の個々の顎部は、同じ実施例の対の一方の顎部および他の実施例の顎部と、同じ特徴を多く共有している。本発明の実施において、1つ以上の異なる特徴を有する他の顎部を使用しても良いことは、当業者に明らかである。
【0029】
次に、
図1を参照すると、内視鏡把持装置10の遠位端の右側面斜視図が示される。顎部が開放位置にある状態を示し、異物を捕捉する準備ができている位置にある。
図3は、
図1の拡大図である。装置10は、スプリングシースカテーテル12と、2本の制御ワイヤ14,16と、フォーク18と、リベット24によってフォーク18に旋回可能に取り付けられた2つの顎部20,22と、を備える。制御ワイヤ14,16は、シース(sheath)を通って装置10の近位端に向かって続いている。制御ワイヤ14,16が遠位方向に移動すると、顎部20,22が開き、制御ワイヤが近位方向に移動すると、顎部20,22が閉じる。制御ワイヤ14,16の移動は、使用者によるハンドルの操作によって制御される。本発明の実施において、カテーテル、リンクおよびハンドルの機械的側面が変化し得ることは、当業者に明らかである。
【0030】
図2を参照すると、内視鏡把持装置10の近位部が示されている。ハンドルアセンブリ30が示されており、ベース32とスライダ34とを備える。ハンドルは、スライダ34の直線運動を伝達し、把持装置の遠位端の顎部を開閉するために使用される。ハンドル30の操作において、使用者は、一方の手の親指をリング36内に挿入し、同じ手のいくつかの指をスライダ34の上に、またはスライダ34の周囲に置くことができる。スライダ34をベース32に対して手動で移動させると、リンク38が移動する。リンク38は、スプリングシースカテーテル12内の制御ワイヤ14,16に直接的または間接的に取り付けられる。したがって、使用者は、スライダ34を遠位方向に移動させることによって顎部20,22を開き、スライダを近位方向に移動させることによって顎部を閉じる。本発明の実施において、ハンドルアセンブリおよび制御ワイヤへのリンクの設計および操作を変更し得ることは、当業者に明らかである。
【0031】
再び
図1を参照すると、スプリングシースカテーテル12は、フォーク18からハンドル30までの装置10の長さにわたって延びている。スプリングシースカテーテル12は、コイルワイヤで形成され、例えば円形断面または矩形断面など、様々な形状とすることができる。スプリングシースは、PTFE(テフロン(登録商標))コーティング(PTFE被覆)が施されていても良いし、外部に熱収縮コーティング(熱収縮被覆)が施されていても良い。スプリングシースカテーテル12の直径は、例えば、外径の範囲が0.080cm~0.100cmなど、直径において変化しても良い。一実施例では、スプリングシースカテーテル12の直径は、0.160cm~0.190cmの間である。シースの長さは、内視鏡の近位端および内視鏡の遠位端を超えて妥当な長さを可能にするのに十分な長さである。例えば、装置10の全作業長さは、165cmである。一実施例では、装置10の全作業長さは、165cm~260cmの間である。他の一実施例では、装置10の全作業長さは165cm~200cmの間である。
【0032】
シース内では、2つの制御ワイヤが、装置の長さにわたって延びている。シース12内の制御ワイヤ14,16は、ステンレス鋼または任意の適切な材料とすることができる。シースの内側は、HDPEのような滑らかな材料で被覆されていてもよいし、装置の全長を貫通する、HDPEのような多少滑らかな材料のチューブを有していてもよい。チューブは、シースとワイヤの間の金属と金属の接触を減らして、摩損を減らし、より滑らかな操作を提供する。本発明の実施には、他の摩擦低減構造を使用することもできる。
【0033】
次に、
図1~
図16に示す例示的な実施例の顎部20,22について説明する。
図10~
図16に示されるように、上側顎部22に着目して説明するが、上側顎部22の多くの性質や特徴は下側顎部20で共有され、上側顎部に関する記載は通常下側顎部にも適用される。
【0034】
フォークは、顎部の取付位置を提供する。
図1、
図3、および
図4に示すように、フォーク18は、ベース46から遠位に突出する2つの舌部40,42を備える。各舌部は、リベット24が配置される取付開口を規定する。舌部の間のスペースは、いずれかの回転方向に、顎部20,22が旋回移動することを可能にする。
【0035】
上述したように、内視鏡把持装置10は、フォーク18と、第1顎部20と、第2顎部22とを備える。各顎部は、前歯と後歯を含む一組の歯を有する。
図1、
図3及び
図4に示すように、第1顎部20と第2顎部22は、フォーク18上のピボット点50を中心に取り付けられる。顎部20,22は、例えば、
図3に示す開放位置と、例えば、
図4に示す閉鎖位置との間で、スライダ34をリング36に対して移動することで、操作可能である。顎部20,22は、当該分野で公知の任意の適切な材料で構成されても良い。例えば、顎部は、ステンレス鋼で構成されてもよい。
【0036】
顎部20,22は、各フォーク上のピボット点50aを中心に旋回するように取り付けられる。上述したように、リベット24は、第1顎部20の開口部50bと第2顎部22の開口部50cを介して取り付けられる。顎部20,22は、それぞれ、ピボット点から近位に延在する舌部130,132を備える。本発明の実施において、他の取付構造を使用できることは、当業者に明らかである。
【0037】
各顎部は、一対の顎部の一方の顎部として、いくつかの特徴を有しており、一対の顎部として、まとめていくつかの利点を提供することができる。上述したように、閉鎖位置における顎部は、滑らかで、非外傷性の遠位先端を形成する。具体的には、第1顎部の前歯と第2顎部の前歯が閉鎖位置で噛み合って、半球形状の遠位先端を規定する。例えば、
図6は、閉鎖位置の右側面図における把持装置10を示している。第1顎部または下側顎部20の遠位面70は、第2顎部または上側顎部22の遠位面72と結合して、滑らかな先端74を形成する。遠位先端の斜視図を
図4に示す。この半球形状の遠位先端は、把持装置の患者への挿入および取り外し中に、柔らかい組織の損傷を防止する。
【0038】
前歯と後歯は、各顎部に関し、異なった長さで延在する。例えば、第1顎部の前歯と第2顎部の前歯は、それぞれ、噛み合わせの形態で、顎部の中心線を超えて延在する。例えば、
図12、
図15、
図16に示すように、上側顎部22の前歯80,82は、それぞれ、上側顎部22の中心線CLを超えて延在する。
図16に示すように、歯における隙間8
5は、「ジグザグ」パターンを形成する。このようにして、歯80,82は、
図8に最も良く示すように、下側顎部20の前歯84,86と噛み合う。噛み合いは、両顎部の一切の横方向の移動を防止し、身体から回収中にねじれたり曲がったりする傾向のある異物を保持するときに、平面を作り出して、顎部を閉じ続ける。
【0039】
図11及び
図12を参照すると、顎部の中心線C
Lは、ピボット点50aを通る軸として定義される。後歯の特徴は、この右側面図と左側面図において理解することができる。前歯80は、中心線C
Lを超えて延在し、後歯90a,90b,90cは、中心線C
Lまでだけ延在する。中心線C
Lで接触する2組の後歯が、
図6に示されている。図に示すように、第1顎部20の後歯は、顎部の中心線C
Lにおいて、第2顎部22の後歯90a,90b,90cと接する。
【0040】
さらに、
図11に最も良く示すように、各顎部の後歯は、有利に形成される。
図11は、上側顎部22の右側面図である。上側顎部は、3列の後歯90a、90b、90cを有する。図から明らかなように、各後歯は、後傾した、または突端から顎部の遠位先端に向かって、下方に傾斜している前面(front profile)を有する。上側顎部22は、本質的に丸みを有しない各歯90a、90b、90cの頂部に、突端92a、92b、92cを形成するように機械加工されている。後歯の尖った形状のエッジは、例えば、ステント、チューブ、または他の種類のプラスチックなどの柔らかいプラスチック製の異物を、挟持するのを促進する。
【0041】
閉鎖位置における把持装置10の側面図に示すように、2つの顎部20,22の後歯は、いくつかの開放断面領域を形成し、遠位先端74の近くの大きな涙滴形状の領域100と、2つのより小さい、中間に配置された同様の形状領域102,104と、歯の後部の円形領域106と、を形成する。特に、第1顎部20と第2顎部22は、それぞれ、前歯と2列目の歯の間に隙間を形成する。例えば、
図14は、
図1の上側顎部22の底面図である。凹面110は、前歯から、後歯のうちの最も遠位の組(セット)まで延在する。この凹面110は、対応して形成され、下側顎部20(
図9参照)の対応する位置に設けられる凹面112と共に隙間100を規定する。隙間100は、把持装置の対象物補足領域を規定することができる。
【0042】
上述したように、顎部の近位端は、把持強度を高めるために有益である。ピボット点から近位に延在する顎部の部分は、
図12に示すように、舌部130として理解される。
図11~
図16の実施例では、顎部は、公知の把持装置に対して、増大した舌部の長さを有する。増大した舌部の長さは、増大した把持力を促進する。例えば、顎部22は、ピボット点から遠位方向に延在する長さの少なくとも33%分、ピボット点50aから近位方向に延在する。
図12に適用されるように、例えば、距離L
1は、距離L
2の長さの3倍以下である。別の実施例では、距離L
1は、距離L
2の長さの2倍以下である。
【0043】
顎部の別の特徴は、咬合単位の圧力領域を増加させることである。各顎部は、歯が対向する顎部の歯と接触する表面領域を縮小するための、いわゆる「カップ状部」を備える。言い換えれば、顎部の右側の歯と、顎部の左側の同じ位置にある歯とはバーによっては接続されない。
図3及び
図14に最も良く示すように、下側顎部20及び上側顎部22は、顎部の両側の歯を分離する細長いカップ状部122を備える。本発明の実施に際し、カップ状部が別の形状またはサイズであってもよいことは、当業者にとって明らかである。例えば、
図25は、異なる形状のカップ状部を有する上側顎部の底面図である。
【0044】
次に、本発明の別の実施例を説明する。ここで図面を参照すると、別の例示的な実施例が
図17~
図26に示されている。この実施例は、前述の実施例の多くの特徴を共有する。装置200は、2つの制御ワイヤ214,216と、フォーク218と、リベット224によってフォーク218に旋回可能に取り付けられる2つの顎部220,222と、を備える。上述したように、
図1~
図16に示す実施例にある顎部20,22の多くの特徴は、
図17~
図26に示す実施例の顎部220,222によって共有される。
【0045】
制御ワイヤ214,216は、装置10の近位端に向かってシースを貫通する。制御ワイヤ214,216が遠位方向に移動すると、顎部220,222が開き、制御ワイヤが近位方向に移動すると、顎部220,222が閉じる。制御ワイヤ214,216の移動は、使用者によるハンドルの操作によって制御される。顎部が一緒に固定される方法と、顎部がフォークに固定される方法は、本発明の実施において、変更することができる。
【0046】
各顎部は、いくつかの特徴を有しており、一対の顎部として、まとめていくつかの利点を提供する。上述したように、閉鎖位置における顎部は、滑らかで非外傷性の遠位先端を形成する。具体的には、第1顎部の前歯と第2顎部の前歯が閉鎖位置で噛み合って、半球形状の遠位先端を規定する。第1顎部または下側顎部220の遠位面270は、第2顎部または上側顎部222の遠位面272と結合して、滑らかな先端274を形成する。この半球形状の遠位先端は、把持装置の患者への挿入および取り外し中に、柔らかい組織の損傷を防止する。
【0047】
顎部220,222は、咬合単位の圧力領域を増加させるように形成される。各顎部は、対向する顎部の歯と接触する表面領域を縮小するための、いわゆる「カップ状部」を備える。従来の把持装置では、バーは、顎部の右側の歯と、顎部の左側の同じ位置にある歯とを接続する。
図22および
図25に最も良く示すように、下側顎部220および上側顎部222は、顎部の両側の歯を分離するカップ状部322を備える。カップ状部322は、一連の形状領域322a,322b,322cによって形成される。本発明の実施において、カップ状部が別の形状またはサイズであってもよいことは、当業者に明らかである。
【0048】
上述したように、閉鎖位置における顎部220,222は、滑らかで非外傷性の遠位先端を形成する。例えば、上側顎部222は、
図23に最適に示すように、滑らかで凸状の遠位面274を有する。さらに、その長さに沿った各顎部も、把持装置の患者への挿入および取り外し中に、柔らかい組織の損傷を防止するように形成される。
図19に示すように、閉鎖位置における顎部は、魚雷形状(torpedo shaped)である。顎部の全長の滑らかな外表面402は、患者への把持装置の挿入および取り外し中、柔らかい組織の損傷をさらに防止する。
【0049】
本明細書に記載の内視鏡把持装置の操作の方法も、本発明に固有のものである。
【0050】
以上、本件の共通する発明的概念に係る種々の態様や概念や特徴について、複数の実施例を用いて詳細に説明・図示したが、これらの態様や概念や特徴は、代替例においても、それぞれ個別又は組合せて適用可能である。本開示において特別に除外するものでない限り、あらゆる組合せが、本発明に共通する発明的概念の範囲に含まれる。また、本発明の種々の態様や概念や特徴(例えば、代替物質・構成・構造・方法・回路・装置・部品、又は他の形成方法、組立方法、機能の実現方法)を有する代替例についても触れたが、これらの記載には、現在又は将来において本実施例を実現可能な代替例を限定する意図は一切ない。また、当業者であれば、仮に本願に明記したものでなくとも、本開示の発明の態様や特徴や概念の1つ又は複数を採用し、本発明に共通する発明的概念の範囲内においてこれを利用することもできるであろう。さらに、いくつかの態様、概念および特徴にあっては、本開示において好適な構成や方法として記載することがあるが、かかる記載は、明示のない限り、そのような特徴が必須であると提案するものではない。さらに、本開示の理解を助けるために一例となる又は代表的な数値や範囲を示したが、かかる数値や範囲は、明示のない限り、限定的なものではなく、かつ、重要なものを示しているわけでもない。さらに、本開示においては、発明又は発明の一部を構成するものとして種々の態様や概念や特徴について特定したかも知れないが、かかる特定に排他的な意図はなく、本発明を構成する一部として、その態様や概念や特徴を十分に説明するためのものに過ぎない。加えて、例示した方法やプロセスは、明示のない限り、これらの処理ステップを常に必要なものとして含めるよう限定するものではなく、また、ここで示す処理の順番に限定するものでもない。