(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】ピペッティングシステム用の分量調整ねじをロックするためのデバイス
(51)【国際特許分類】
B01L 3/02 20060101AFI20231106BHJP
【FI】
B01L3/02 D
(21)【出願番号】P 2020555343
(86)(22)【出願日】2019-04-12
(86)【国際出願番号】 FR2019050877
(87)【国際公開番号】W WO2019202246
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-03-04
(32)【優先日】2018-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513310243
【氏名又は名称】ジルソン エスアーエス
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】マルヴォワザン,エルヴェ
【審査官】長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-530551(JP,A)
【文献】特開平02-174942(JP,A)
【文献】特表2007-516836(JP,A)
【文献】特表2018-512261(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0303557(US,A1)
【文献】特開2008-253980(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01L 3/02
G01N 1/00
G01F13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピペッティングシステム(1)用の分量調整ねじ(14)をロックするためのロックデバイス(80)であって、
一方では、前記調整ねじ(14)の位置を保持するためのリング回り止めシステム(32)を備え、前記システム(32)が、
-第1の歯(40)を備えた第1の歯車(34)と、
-第2の歯(46)を備えた第2の歯車(36)を含み、
前記第1の歯車は前記ピペッティングシステムの固定部品(2)に対して回転固定されるためのロック歯車であり、前記第2の歯車(36)は、前記調整ねじ(14)と一体回転可能である、もしくは、
前記第1の歯車(34)は前記調整ねじ(14)と一体回転可能であり、前記第2の歯車(36)は前記ピペッティングシステム(1)の前記固定部品(2)に対して回転固定されるためのロック歯車であり、
さらに、
-前記第1の歯(40)を前記第2の歯(46)と協働させるために前記第1と第2の歯車(34、36)を互いに対して復帰させることが可能な弾性復帰手段(38)を含み、
また他方では、前記保持リング回り止めシステム(32)を制御するための制御システム(74)を備え、前記制御システム(74)が、
-前記ピペッティングシステムの中心長軸(12)に沿って、自由調整位置、微調整位置およびロック位置を含む3つの位置の間で回転移動されるように設計された位置セレクタ(82)と、
-前記位置セレクタ(82)と一体回転可能な制御部材(88)を含み、前記制御部材(88)は、前記リング回り止めシステムの前記ロック歯車(34)と協働し、その結果、
a)前記セレクタ(82)が前記自由調整位置にある場合、前記制御部材(88)は、前記弾性復帰手段(38)によって発生した力に対抗することによって、前記リング回り止めシステムの前記他方の歯車(36)から軸方向に離れる方向に前記ロック歯車(34)を保持し、その結果、前記第1と第2の歯(40,46)は互いに協働せず、
b)前記セレクタ(82)が前記微調整位置にある場合、前記他方の歯車の回転によって誘起されて1つの歯から別の歯にシフトする場合に、前記制御部材(88)は、前記ロック歯車(34)が、前記他方の歯車(36)から軸方向に離れる方向に移動し、次にこの他方の歯車(36)に接近する方向に移動することを可能にし、
c)前記セレクタ(82)が前記ロック位置にある場合、前記制御部材(88)は、前記第1と第2の歯(40,46)の離脱を阻止するために、前記ロック歯車(34)を軸方向にロックすることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記ロック歯車(34)は、外向きに突出する少なくとも1つの半径方向突片(42)を含むことを特徴とし、前記制御部材(88)が、各半径方向突片(42)と連携する少なくとも1つの軌道(94)を含むことを特徴とし、前記弾性復帰手段(38)は、前記半径方向突片を、その連携する軌道に当接させ、前記軌道が、
-前記セレクタが前記自由調整位置にある場合に前記半径方向突片と協働する第1の軌道部分(94a)と、
-前記セレクタが前記微調整位置にある場合に前記半径方向突片と協働する第2の軌道部分(94b)であって、前記制御部材(88)内で前記第1の軌道部分から軸方向にオフセットしている第2の軌道部分(94b)と、
-前記セレクタが前記ロック位置にある場合に前記半径方向突片と協働する第3の軌道部分(94c)とを備え、前記制御部材(88)上に配設されたストップ要素(95)が、前記第3の軌道部分(94c)に軸方向に面して配置され、その結果、前記半径方向突片(42)がこのストップ要素(95)と前記第3の軌道部分(94c)の間に軸方向に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第1、第2および第3の軌道部分(94a、94b、94c)は、この順序で周縁方向に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記軌道(94)は、前記第1の軌道部分(94a)と前記第2の軌道部分(94b)の間にスロープ形状の移行ゾーン(94′)を含むことを特徴とし、前記第2の軌道部分は、前記第3の軌道部分(94c)と同じ高さに軸方向に配置されていることを特徴とする請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記ストップ要素(95)は、前記第3の軌道部分(94c)とともに、前記第2の軌道部分(94b)の側で周縁方向に開き、反対側でスロット底部(97)によって閉じられるスロット(96)を形成することを特徴とする請求項2に記載のデバイス。
【請求項6】
前記制御部材は、互いに周縁方向に離隔したいくつかの軌道(94)を含み、前記各軌道は前記ロック歯車(34)の前記半径方向突片(42)と協働することを特徴とする請求項2に記載のデバイス。
【請求項7】
前記制御部材(88)は環状であることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記制御部材(88)と前記セレクタ(82)は単一部品として、または、2つの別個であり回転結合された部品として形成されることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項9】
前記第2の歯車(36)の前記第2の歯(46)はN個の同心環状列(58a、58b)を形成し、数Nは2以上の整数であり、各列は不連続である可能性があり、
前記第2の歯車(36)は、少なくとも1つの歯カバーゾーン(64)を有し、前記少なくとも1つの歯カバーゾーン(64)において、前記第2の歯の前記N個の環状列(58a、58b)はそれぞれ、前記第2の歯車の半径方向(55)に沿って互いにカバーするN個のカバーセクタ(66a、66b)を有し、
前記N個のカバーセクタの前記第2の歯(46)は、互いから角度方向にオフセットしており、その結果、前記第1の歯車(34)の前記第1の歯(40)のうち少なくとも1つが、前記第2の歯車(36)に対していくつかの相対位置となり得、その各相対位置において、この第1の歯(40)は前記N個のセクタ(66a)のうち1つの前記第2の歯(46)のうち1つと接触しているとともに、これらN個のセクタ(66b)のうち別の1つの第2の歯(46)のうち1つと接触していることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
分量調整ねじ(14)を備えるとともに、
請求項1に記載のロックデバイス(80)を備え
たピペッティングシステム(1)。
【請求項11】
システムは4桁カウンタ(20)を含むことを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記位置セレクタ(82)が、前記ピペッティングシステムを制御するために制御棒(10)の周りに配置された外部グリップ部(84)を有することを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記セレクタ(82)がその3つの位置それぞれにシフトしていることを、クリックによって報知するように設計されていることを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記ロック歯車(34)は、外向きに突出する少なくとも1つの半径方向突片(42)を含むことを特徴とし、前記制御部材(88)が、各半径方向突片(42)と連携する少なくとも1つの軌道(94)を含むことを特徴とし、前記弾性復帰手段(38)は、前記半径方向突片を、その連携する軌道に当接させ、前記軌道が、
-前記セレクタが前記自由調整位置にある場合に前記半径方向突片と協働する第1の軌道部分(94a)と、
-前記セレクタが前記微調整位置にある場合に前記半径方向突片と協働する第2の軌道部分(94b)であって、前記制御部材(88)内で前記第1の軌道部分から軸方向にオフセットしている第2の軌道部分(94b)と、
-前記セレクタが前記ロック位置にある場合に前記半径方向突片と協働する第3の軌道部分(94c)とを備え、前記制御部材(88)上に配設されたストップ要素(95)が、前記第3の軌道部分(94c)に軸方向に面して配置され、その結果、前記半径方向突片(42)がこのストップ要素(95)と前記第3の軌道部分(94c)の間に軸方向に配置され、
前記ロック歯車の各半径方向突片(42)は、前記制御システムの前記制御部材(88)を半径方向に通過して、前記ピペッティングシステムの前記固定部品(2)の対応する縦溝(44)にスライド可能に収容されることを特徴とする
、請求項10に記載のピペッティングシステム。
【請求項15】
前記セレクタ(82)の自由調整位置は、微調整位置に対して周縁方向に15~30°の角度値だけオフセットしており、前記ロック位置は、前記微調整位置に対して逆の周縁方向に15~30°の角度値だけオフセットしていることを特徴とする請求項10に記載のピペッティングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットと呼ばれる自動ピペッティングシステム等のピペッティングシステムの分野に関し、または、より優先的には、実験用ピペットとも呼ばれるモノチャンネルまたはマルチチャンネル収集ピペット、さらには、較正式液体収集および容器への導入のための空気置換液体移送ピペットにも関する。そのようなピペットは、手動、電動またはハイブリッドいずれでも、液体収集および分注操作中にオペレータによって手中に保持されることになっている。
【0002】
本発明は、より詳細には、収集される液体分量を調整するために実装される手段に関する。
【背景技術】
【0003】
従来型ピペットには、収集される分量を調整するためのねじが配設され、そのねじは、ピペットの制御ノブによって、このノブを分量調整ねじに接続する制御棒を介して回転制御される。
【0004】
ピペットが、非常に正確な分量値を表示するように設計された、例えば4桁カウンタ等のカウンタを含む場合、ピペットを所与の値に調整することは時として非常に精妙になり得る。実際、カウンタの最終桁は一般にドラムと関連付けられ、ドラムの回転は、オペレータによって駆動されるピペット制御ノブの回転よりも高速であり得、結果として、望ましい正確な値に到達することが難しくなる。
【0005】
この問題に対処するために、分量調整ねじが、このねじの異なる位置において保持されるためのシステムを接合させることが考慮され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この保持システムによって、正確な所望の分量値に、より容易に達することが可能になっても、この保持システムはねじを回転させる場合にかなりの機械的強度に対抗する。したがって、この強度は正確な分量調整を実行するには有益ではあるが、調整に大きな分量範囲をスキャンすることが付随する場合に制限的となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの欠点に少なくとも部分的に対処するために、本発明の1つの目的は、ピペッティングシステム用の分量調整ねじをロックするための第1のロックデバイスであり、ロックデバイスは、
一方では、調整ねじの位置を保持するためのリング回り止めシステムを備え、システムが、
-第1の歯を備えた第1の歯車と、
-第2の歯を備えた第2の歯車を含み、前記第1の歯車は、ピペッティングシステムの固定部品に対して回転固定されるロック歯車であり、第2の歯車は調整ねじと一体回転可能であるか、又は逆も成立し、
第1の歯を第2の歯と協働させるために第1の歯車と第2の歯車を互いから復帰させることが可能な弾性復帰手段を含み、
他方では、リング回り止めシステムの保持を制御するための制御システムを備え、制御システムが、
ピペッティングシステムの中心長軸に沿って、自由調整位置、微調整位置およびロック位置を含む3つの位置の間で回転移動するように設計された位置セレクタと、
位置セレクタと一体回転可能な制御部材を含んでおり、制御部材はリング回り止めシステムの前記ロック歯車と協働し、その結果、
a)セレクタが自由調整位置にある場合、制御部材は弾性復帰手段によって発生した力に対抗して、第1の歯と第2の歯が互いに協働しないように、ロック歯車を、リング回り止めシステムの他方の歯車から軸方向に離れる方向に保持し、
b)セレクタが微調整位置にある場合、制御部材は、他方の歯車の回転によって誘起されて1つの歯から別の歯にシフトする場合に、ロック歯車が、この他方の歯車に対して、軸方向に離れる方向に移動し、次に接近する方向に移動することを可能にし、
c)セレクタがロック位置にある場合、制御部材は前記ロック歯車を軸方向にロックして、第1と第2の歯の離脱を禁止する。
【0008】
調整ねじを保持するためのリング回り止めシステムを制御する制御システムによって、このリング回り止めシステムは交番で非活性、活性およびロック状態にされ得る。セレクタが自由調整位置にあるときに得られる第1のケースでは、歯車の歯は協働せず、したがって、調整ねじの回転に全く抵抗を及ぼさない。この位置では、特別の労力なく大分量範囲がスキャンされ得る。セレクタが微調整位置にあるときに得られる第2のケースでは、歯車の歯は互いに協働するが、それらは離脱可能であり、次に、両歯車の異なる相対位置で再係合可能である。この位置は、特に調整の最後に、正確な所望の分量値に容易に達することを可能にする。最後に、セレクタがロック位置にあるときに得られる第3のケースでは、歯車の歯は互いに協働し、離脱し得ない。結果として、調整済みの分量は変更できず、その結果、この位置は、望ましくない目標分量の変化を回避するために、ピペッティング操作中に取るには特に興味深いものとなる。
【0009】
本発明は、好ましくは、以下の随意選択的特徴のうち少なくとも1つを、単独または組み合わせて有する。
【0010】
ロック歯車は、外向きに突出する少なくとも1つの半径方向突片を含み、制御部材は、各半径方向突片と連携する少なくとも1つの軌道を含み、弾性復帰手段は半径方向突片を押してその対応する軌道に当接させ、軌道は、
セレクタが自由調整位置にある場合に半径方向突片と協働する第1の軌道部分と、
セレクタが微調整位置にある場合に半径方向突片と協働する第2の軌道部分を備え、第2の軌道部分は、制御部材内で第1の軌道部分から軸方向にオフセットしており、さらに、
セレクタがロック位置にある場合に半径方向突片と協働する第3の軌道部分を備え、制御部材上に配設されたストップ要素はこの第3の軌道部分に軸方向に面して配置され、その結果、半径方向突片は、このストップ要素と第3の軌道部分の間に軸方向に配置される。
【0011】
第1、第2および第3の軌道部分は、この順序で周縁方向に配置されている。しかしながら、本発明の範囲から逸脱せずに異なる周縁方向の順序が採用され得る。
【0012】
軌道は、第1の軌道部分と第2の軌道部分の間にスロープ形状の移行ゾーンを含み、第2の軌道部分は、第3の軌道部分と同じ高さに軸方向に配置されている。
【0013】
ストップ要素は、第3の軌道部分とともにスロットを形成し、スロットは、第2の軌道部分の側で周縁方向に開き、反対側でスロット底部によって閉じられる。
【0014】
制御部材は、互いに周縁方向に離隔したいくつかの軌道を含み、各軌道はロック歯車の半径方向突片と協働する。
【0015】
制御部材は優先的には環状である。
【0016】
制御部材とセレクタは単一部品として、または、2つの別個であり回転結合された部品として形成される。後者の構造は、ピペッティングシステムの組み立てを助長する。
【0017】
好ましくは、
第2の歯車の前記第2の歯はN個の同心環状列を形成し、数Nは2以上の整数であり、各列は不連続である可能性があり、
前記第2の歯車は、第2の歯のN個の環状列がそれぞれ、第2の歯車の半径方向に沿って互いにカバーするN個のカバーセクタを有する少なくとも1つの歯カバーゾーンを有し、
N個のカバーセクタの第2の歯は、互いから角度方向にオフセットしており、その結果、第1の歯車の第1の歯のうち少なくとも1つが、第2の歯車に対していくつかの相対位置となり得、その各相対位置において、この第1の歯はN個のセクタのうち1つの第2の歯のうち1つと接触し、また、これらN個のセクタのうち別の1つの第2の歯のうち1つと接触している。
【0018】
したがって、この好ましい構成は、リング回り止めシステム中に、分量調整ねじを異なる位置に保持する特徴を有する。これらの別個の位置の個数は非常に多くなり得るが、それで製造の問題に直面することはない。実際、いくつかの同心環状列状の第2の歯を備えた第2の歯車を配設することによって、また、これらの歯の角度オフセットを各カバーゾーン内で行うことによって、これらの歯の実現可能性の問題に一切直面することなく、調整ねじを多くの位置に保持することが可能である。言い換えると、本発明は、第2の歯車上に単一の環状列の歯のみを配設する解決策と比較して特に独創的であることがわかっており、それは、この解決策も本発明の範囲内であったとしても同様である。実際、本発明以外で同じ個数の保持位置を達成するには、この第2の歯車はしたがって、単一の列内に非常に小さい寸法の歯を有していなければならず、それは、製造が難しくなり得る。
【0019】
好ましくは、第2の歯車のN個のカバーセクタそれぞれは、その第2の歯間に同じピッチPを有し、前記N個のセクタ間のいずれの2つの直接連続するカバーセクタ間の角度オフセットは値P/Nを有している。
【0020】
第1の歯車は、その第1の歯間に同じピッチPを有する、単一の環状列の第1の歯を有する。
【0021】
整数Nは優先的には2に等しいが、本発明の範囲から逸脱することなくそれより多くてもよい。
【0022】
前記第2の歯車は、周縁方向に互いに離隔したいくつかの歯カバーゾーンを有し、これらのカバーゾーンの個数は優先的には3より多い。
【0023】
第2の歯の各環状列は、非歯状部によって周縁方向に離隔された歯状部を有し、カバーセクタは歯状部の端部に形成されている。
【0024】
本発明の別の目的は、分量調整ねじ、ならびにこのねじをロックするためのデバイスを備えたピペッティングシステムである。システムは優先的には手動収集ピペットであるが、本発明は上記に列挙した任意の他のピペッティングシステムに適用可能である。
【0025】
好ましくは、システムは4桁カウンタを含む。
【0026】
好ましくは、位置セレクタは、ピペッティングシステムを制御するための制御棒の周りに配置された外部グリップ部を有する。
【0027】
システムは優先的には、セレクタがその3つの位置それぞれにシフトすることを、好ましくはクリックによって報知するように設計されている。
【0028】
各ロック歯車の半径方向突片は、制御システムの制御部材を半径方向に通過して、ピペッティングシステムの固定部品の対応する縦溝にスライド可能に収容される。
【0029】
最後に、セレクタの自由調整位置は、微調整位置に対して周縁方向に15~30°の角度値だけオフセットしており、ロック位置は、微調整位置に対して逆の周縁方向に15~30°の角度値だけオフセットしている。
【0030】
本発明のさらなる利点および特徴は、以下の非限定的な詳細な説明で示される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
この説明は、以下の添付の図面に関してなされる。
【0032】
【
図1】本発明に係る空気置換収集ピペットの正面図である。
【
図2】本発明の好ましい実施形態に係る、分量調整ねじをロックするためのデバイスを備えた、
図1に示したピペットの一部の斜視図である。
【
図3】
図2に示したピペットの上部の断面図である。
【
図4】
図3に示したピペットを装備したカウンタの斜視図である。
【
図6】
図2に示したロックデバイスを装備した保持リング回り止めシステムの詳細斜視図である。
【
図7】
図6に示した保持リング回り止めシステムを装備した第1の歯車の斜視図である。
【
図8】
図6に示した保持リング回り止めシステムを装備した第2の歯車の斜視図である。
【
図9】
図7および8に示した両歯車間の協働を示す側面模式図である。
【
図10】
図3に示したロックデバイスを制御するためのシステムに属する制御部材の斜視図である。
【
図11b】異なる位置における制御システムを示す斜視図である。
【
図11c】異なる位置における制御システムを示す斜視図である。
【
図12】
図1乃至11に示したピペットの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
先ず
図1を参照すると、本発明に係る手動モノチャンネル収集ピペット1が示されている。しかしながら、本発明はそのようなピペットに限定されず、マルチチャンネルピペットに、または、任意の他の手動、電動またはハイブリッドピペッティングシステムにも同様に適用可能である。
【0034】
本明細書の手動空気置換ピペット1は、上部に、本体2を形成するハンドルを備えるとともに、下端で収集コーンホルダ先端(図示せず)と一体化する底部4を備えている。この先端は、消耗品とも呼ばれる、ピペッティング操作が一旦完了するとイジェクタシステム6によって先端からイジェクトされるコーンを保持するために配設されている。
【0035】
図1乃至3に見えるように、ピペット1は、液体を収集し、液体を分注する等の異なるピペッティング操作を実行するためにオペレータの親指によって駆動される制御ノブ8を含む。ノブ8は、上述のピペッティングステップ中に、ピペットの中心長軸12に沿って並進方向に変位するために制御棒10の頂端に取り付けられている。ノブ8は、棒10に回転結合され、棒10は分量調整ねじ14と協働する下端を有する。この協働は、好ましくはピペットの中心長軸12と同じであるねじ14自体の軸線周りでのねじ14の回転を引き起こすように行われる。
【0036】
既知の方式で、調整ねじ14の回転は軸線12に沿った調整ねじ14の並進移動を引き起こすか、または、ピペットの下部4の吸込室内に収容されたピストンを軸方向に変位させるために別の部品の並進移動を引き起こす。このピストンの上部位置の調整により、その後のピペッティング時に収集される分量に影響を及ぼすことが可能となる。
【0037】
図2および4は、分量調整ねじ14がカウンタ20を回転駆動することを示しているが、それは、ハンドル2の窓7(
図1で言及した)を介して、調整された分量の値を表示するためである。ここでこのカウンタ20は4桁カウンタである。このカウンタタイプは、より少ない桁を備えた、例えば、3桁のみを有するカウンタに比較して非常に高い精度をもたらす。
【0038】
カウンタ20は先ず、調整ねじ14によって直接回転駆動される軸線12にセンタリングされた外歯歯車22が装備されたギアシステムを備えている。この駆動は、例えば、歯車22から内側に突出し、ねじ14の縦溝24内に収容される突片を介してなされる。この歯車22はもう1つの偏心した外歯歯車26と噛み合い、外歯歯車26自体は、カウンタの第4ドラム28d上に配設された歯と噛み合って、調整済み分量の第4の桁を報知する。
図5に見えている第4ドラム28dは、制御ノブに対して高速で、例えば、5倍高速で回転する。
【0039】
カウンタは、それぞれ調整済み分量の第1、第2および第3の桁を報知する第1ドラム28a、 第2ドラム28bならびに第3ドラム28cも含む。これらのドラム28a-28dは軸線12に沿って互いに重畳し、運動伝達部材30を介して既知の方式で互いを駆動し合う。
【0040】
そのようなカウンタ20の精度は、本発明に特有のシステムの実装と関連付けられて、調整ねじ14が一旦所望の分量値につながる正確な位置に移動されると調整ねじ14が保持/ロックされることを可能にする。リング回り止め性のこのシステム32はさらに、収集すべき分量の設定点を変更するために実行されるねじ14の回転中に、ねじ14が異なる位置間で容易に変位することも可能にする。システム32は、ピペットの制御ノブの回転中に観察される第4のドラムの高回転速度に係らず、オペレータが分量の最終桁を所望の値に正確に調整することにおいて特に有利である結果となる。したがって、分量調整の人間工学が大幅に改良される。
【0041】
図2、3および6に見える位置保持システム32は一般に、第2の歯車36と協働する第1の歯車34と、軸線12上にセンタリングされた同軸歯車34、36両方に互いに当たって復帰する圧縮ばね38を備えている。
【0042】
ピペット上に、より高い位置に配置されている第1の歯車34は、軸方向に下方に延出する第1の歯40を含む。この歯車34は、周縁方向に相離隔し歯車から外向きに突出する半径方向突片42を介してハンドル2に対して回転固定されている。各突片42は、
図3にそのうち1つに関して描写しているように、ハンドル2の内面の縦溝44内にスライド可能に収容される。第1の歯車34はこうして、ハンドル2内に回転固定された状態を保つが、ハンドル2内で軸線12に沿って並進移動可能である。
【0043】
ロック歯車とも呼ばれる第1の歯車34の下に、第2の歯車36は軸方向上方に延出する第2の歯46を含む。この第2の歯車36は、リング48またはシャンクによって担持され、その底端は回転可能なカップリング手段50を備え、それを介して調整ねじ14が通る。手段50は、フォームフィットにより、例えば、平坦または類似した要素の存在によってねじ14との回転可能なカップリングを確実にする。こうして歯車36は調整ねじ14によって回転駆動され並進固定された状態を保つ。後者の特徴は、ハンドル2内部に固定された底部ストップ54上のリング48に当接することによって、および/または、このハンドルの内部肩状部57上の歯車36に当接することによって達成される。
【0044】
ばね38は次に、第1の歯車34の上部に対して、この歯車の上のど部(upper throat)内に収容されたばね底端を介して圧力をかける。ばね38によって発生した軸力はこうして、第1の歯車34を下方に変位させて、並進固定された状態の第2の歯車36に押し付け、第1の歯40と第2の歯46の協働をもたらす。
【0045】
これらの歯の好ましい配置を、
図7乃至9を参照して説明する。
【0046】
先ず、第1の歯車34に関して、その第1の軸方向歯40は、軸線12上にセンタリングされ好ましくは360°にわたり連続している単一の環状列56内に配置されている。歯40の個数は例えば50個程度であり、同じ歯40の間に規則的ピッチPが設けられている。
【0047】
第2の歯車36のほうは2つの環状列、またはより多数の列を含む。しかしながら、説明する好ましい実施形態において、この個数は、軸線12にセンタリングされた2つの同心環状列58a、58bに設定される。
【0048】
外部列に対応する第1の列58aは非連続的である。これは、この列が、歯46が配設された円弧にそれぞれが対応する歯状部60aによって形成されるということを意味する。これら歯状部60aは、周縁方向には好ましくは互いに規則的に離隔している。歯状部60aどうしの間に、凹部に対応する非歯状部62aが配設されている。例として、第1の環状列58aはそれぞれ約10個の歯の歯状部60aを4つ、ならびに、歯状部60aと実質的に同じ角度範囲を有する非歯状部62aを4つ含む。
【0049】
同様に、内部列に対応する第2の列58bは非連続的である。これは、この列が、歯46が配設された円弧にそれぞれが対応する歯状部60bによって形成されるということを意味する。これら歯状部60bは、周縁方向には好ましくは互いに規則的に離隔している。歯状部60bどうしの間に、凹部に対応する非歯状部62bが配設されている。例として、第2の環状列58bはそれぞれ約10個の歯の歯状部60bを4つ、ならびに、歯状部60bと実質的に同じ角度範囲を有する非歯状部62bを4つ含む。
【0050】
図8に見えるように、歯状部60a、60bは、各歯状部60aが第2の列58bの非歯状部62bに本質的に半径方向に面しているとともに、各歯状部60bが第1の列58aの非歯状部62aに本質的に半径方向に面するように位相オフセットして配置される。
【0051】
各歯状部60a、60bの歯46間のピッチは、第1の歯車34の歯40と同じピッチPである。
【0052】
半径方向55に沿って互いに部分的にカバーするこれらの歯状部60a、60bの端部に、歯カバーゾーンが形成され、これらのゾーンは
図8で64の符号を付してある。
【0053】
各カバーゾーン64は、歯状部60aのうち1つの一端に対応するカバーセクタ66aと、歯状部60bのうち1つの一端に対応するカバーセクタ66bによって形成される。こうして両セクタ66a、66bは互いに半径方向に面して、ここで配設される互いに規則的に離隔した8つのカバーゾーン64のうち1つを形成する。セクタ66a、66b毎の歯の個数は例えば2から5の間である。
【0054】
各カバーゾーン64内で、セクタ66aの歯46は、セクタ66bの歯46に対してハーフピッチP/2だけオフセットしている。その結果、第2の歯車36のカバーゾーン64のうち1つと協働する各第1の歯40は、一方では、このゾーンのセクタ66aの歯46のうち1つと接触し、他方では、この同じカバーゾーン64のセクタ66bの歯46のうち1つと接触する。この特徴は、
図9に示されているとともに、
図8の下部にも示されており、
図8は、周縁方向に沿って直接連続する2つの歯46と接触し、セクタ66a、66b両方にそれぞれ属する第1の歯40を模式的に示したものである。
【0055】
これを行うために、各第1の歯40の半径方向長さは例えば、各第2の歯46の半径方向長さよりも実質的に2倍大きく、それは、2つの接触面70a、70bが第1の歯40の間と、カバーゾーン64内の両方の直接連続した歯46の間に設置されることを可能にする。これに関して、
図8の下部に見えるこれらの面70a、70bは、歯46の上部に配置されていることに注目すべきである。その理由は、両セクタ66a、66bの歯46の間に提供される位相オフセットであり、その結果、第1の歯40が、第2の歯46の間に形成されるトラフを完全には貫通しない。
【0056】
動作時、オペレータが制御ノブ8を介して所望の分量を調整するとき、オペレータはねじ14を駆動し、それが次に、第2の歯車36の同時回転を引き起こす。その上限と下限の間での分量調整は通常、制御ノブのいくつかの回転を要する。第2の歯車36の回転移動中に、第2の可動歯46は第1の歯40に力を及ぼし、それによって第1の歯車34を軸方向上方に押し戻す傾向となり、その後にばね38の拮抗効果によって第1の歯車34が再び下方に復帰する。第1のロック歯車34のこの軸方向往復動は、1つの歯から別の歯に切り替わる場合に観察され、システム32が、ねじ14を非常に多数の位置に間欠駆動することを可能にする。これが、所望の分量の正確な調整を行うことを助長する。特に、各カバーゾーン64内で、歯車46に対する同じ第1の歯40の可能な位置の数は、このゾーン64を形成する各カバーセクタ66a、66b内の第2の歯46の数の二倍に実質的に対応する。標示の目的のため、調整ねじ14の360°回転中に、それは約10個の異なる角度位置で間欠駆動され得、常に異なる第1の歯40と第2の歯46の異なる協働故に、これらの位置それぞれは安定しており正確であることに留意されたい。
【0057】
分量調整の精度は、歯車34、36の製造の容易さに影響を与えずに有利に増加され得る。これは例えば、十分な歯品質を保持しながらプラスチック射出によって容易に行われ得る。
【0058】
以下、本発明の主要な特徴のうち1つを、
図3および
図10乃至12を参照して、上記で詳述した制御システム74とリング回り止めシステム32との連携に基づいて説明する。システム32、74両方は、結合されると、調整ねじ14のためのロックデバイス80を形成し、このデバイス80は多くの機能性を提供する。
【0059】
図3をより仔細に参照すると、制御システム74は、両方とも環状である2つの別個の部品を含み、両部品は、それに沿って両部品がセンタリングされる軸線12に沿って重畳されている。これは、先ず、軸線12に沿って、自由調整位置、微調整位置および最終的にロック位置を含む3つの位置の間で回転移動されるように設計された第1の位置セレクタ82である。以下に詳述する3つの位置での移動を可能にするために、セレクタ82は、ハンドル2に対して軸方向上向きに突出し、制御棒10の周りに配置された外部グリップ部84を含む。この外部グリップ部84は、オペレータによって、親指と人さし指の間で容易に把持され得るフランジの形態である。
【0060】
外部グリップ部84には、外部グリップ部84と単一部品として形成されたセレクタの内部部分86が続いている。ハンドル2内に収容された内部部分86は、ばね38の一部を包囲する。その底端で、内部部分は、主には、両歯車34、36を包囲する環状制御部材88である、システム74の他方の部品と協働する。両部品82、88は、セレクタ82の底端上の軸方向スロット92内に収容された制御部材88の頂端上のバンプ90を介して互いに回転結合される。両部品82、88は、同じ軸線周りに回転可能でありながら、軸線12に沿った並進固定された状態を保つように配置されている。
【0061】
制御部材88は、リング回り止めシステム32のためのロック歯車として第1の歯車34と協働する。この協働は、それらの外端がハンドル2の縦溝44内にスライド可能に収容されるように制御部材88を半径方向に通過する半径方向突片42を介して行われる。
【0062】
各半径方向突片42は、これらの突片を担持する歯車34として働くばね38を介してこの軌道に押し付けられることによって制御部材88の軌道と連携する。半径方向突片42の個数が4であるため、
図10に示すように制御部材88上に4つの軌道が配設される。実際、4つの軌道94それぞれは、90°を若干下回る部材88の角度セクタにわたって延在する。これら4つの軌道94はしたがって同じ形状を有し、それらの関連する突片と同様に同時に協働するために配設されている。このため、これら軌道94のうち1つのみの形状について以後説明する。
【0063】
軌道94は、軸方向に最も高く配置された軌道の部分に対応する第1の機動部分94aで開始する。次に
図10の右側に、下方に配置されることによって第1の軌道部分94aから軸方向にオフセットした第2の軌道部分94bが配設されている。移行ゾーン94′が両部分94a、94b間に配置され、この移行ゾーン94′は、第1の軌道部分94aから、第2の軌道部分94bのほうに下方に傾斜するスロープの形状を有する。
【0064】
最後に、第2の軌道部分94bから右側に、軸方向に同じ高さに配置され第2の部分94bに連続する第3の軌道部分94cが配設されている。ストップ要素95が、制御部材88によって担持されることによって第3の軌道部分94cに軸方向に面して配置されている。この第3の軌道部分94cで、ストップ要素95は、第2の部分94bが配置された側上で周縁方向に開いたスロット96を形成する。反対側で、スロットはスロット底部97によって閉じられる。結果として、この構成は第2の軌道部分94bの方向に周縁方向に開いたフックの形状を取る。
【0065】
図11a乃至11cをより詳細に参照すると、ロックデバイス80が異なる位置で示されている。先ず
図11aは、半径方向突片42を第1の軌道部分94aに移動させた自由調整位置でのセレクタ82を示している。したがって、この第1の部分94aはロック歯車34を、第2の歯車から軸方向に遠ざかる位置に上向きに保持する。この軸方向距離は、
図9に関して説明したように第1の歯と第2の歯が互いに協働しないように、同じロック歯車34上にばね38によって発生した力を拮抗させることによって実行される。この位置では、歯がもはや分量調整ねじ14の回転に対する抵抗を提示しないため、オペレータが特段に努めなくても大きな分量範囲をスキャンすることができる。したがって、分量調整の人間工学が大いに改良される。
【0066】
図11bを参照すると、半径方向突片42を第2の軌道部分94bに移動させた微調整位置でのセレクタ82を示している。ばね38は、突片42を、軸方向下方に配置された第2の軌道部分94bに対して押し付けて、ロック歯車34を第2の歯車と協働させる。これらの歯車の第1と第2の歯は互いに協働し、1つの歯から別の歯へのシフトは、正確かつ人間工学的調整の範囲内でのねじ14の回転の結果として発生する。
図7乃至9を参照して示した、1つの歯から別の歯へのシフトの原理が発生するのはこの調整位置においてである。実際、突片42がロック歯車34とともに軸方向上方に自在に移動するとすれば、制御部材88は、ロック歯車34が、第2の歯車の回転によって誘起される1つの歯から別の歯へのシフト時に、第2の歯車に対して軸方向に接離両方向に移動することを可能にする。
【0067】
図11cを最後に参照すると、半径方向突片42を第3の軌道部分94cに移動させたロック位置でのセレクタ82を示している。より厳密には、各突片42は、第3の軌道部分94cの間に軸方向に収容され、各突片42はばね38によって軌道部分94cに押し付けられ、また、スロット96内に軸方向に閉じ込められるために軸方向ストップ要素95に押し付けられる。したがってストップ要素95は突片42および関連するロック歯車34の軸方向上向きの一切の移動をロックし、よって第1の歯と第2の歯の一切の離脱を阻止する。結果として、調整後の分量は変えられ得ない。このロック位置は、オペレータが、オペレータの親指が当たっている制御ノブを回転させることによって目標分量を偶発的に変えることを防止するために、ピペッティング操作中に取られることが好ましい。
【0068】
3つの位置はこのように、望まれる調整に応じてオペレータによって適切に選択される。例えば、調整の開始は、大分量範囲を難なくスキャンするために自由調整位置で行われてよく、次に、目標値に近づいた場合に、この正確な値に容易に達するために微調整位置が取られてよい。一旦正確な値に達した場合には、後続のピペッティング操作中に偶発的な目標分量の変化を引き起こさないように、セレクタがロック位置に配置され得る。
【0069】
図12を参照すると、オペレータがセレクタ82の位置を視覚的に報知されることを可能にするシステムが、ピペット1に装備され得ることが示されている。これを行うために、ハンドル2の外面、またはセレクタ82の外部グリップ部84はスライダ98を有し、その一方で、両要素の他方は、それぞれ3つの可能な位置を描写する3つのマーク99を有する。スライダ98の、マーク99のうち1つとの位置合わせによって、オペレータが、セレクタ82の位置を決定することが可能になる。これに関して、セレクタ82の自由調整位置は、中心に配置された微調整位置に対して15~30°の間の角度値だけオフセットしていることに留意されたい。同様に、反対の周縁方向において、ロック位置は、微調整位置に対して15~30°の間の角度値だけオフセットしている。これらの角度値は例えば、中心微調整位置から、自由調整位置とロック端位置両方のうち1つにシフトするためにオペレータがセレクタ82に及ぼさなければならない角度方向の移動に対応する、20°程度のものである。
【0070】
最後に、マーク99に加えて、オペレータは、セレクタ82が3つの位置のうちそれぞれにシフトすることをクリックによって報知され、それは従来、ハンドル2とセレクタ82のフォームフィットによって達成されている。
【0071】
当然のことながら、非限定的な実施例として上記に説明した、また、その範囲が添付の請求項によって定義される本発明への種々の修正が、当業者によって提供され得る。例えば、保持リング回り止めシステム32内で、第1の歯車に複数の環状列を配置して第2の歯車には配置しない修正を提供することもでき、その場合1つの単一の環状列状の歯のみを有することになる。別法として、本発明の範囲から逸脱せずに両歯車がそれぞれ、1つのみの環状列状の歯を有してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 ピペッティングシステム
2 本体
4 底部
8 ノブ
10 制御棒
12 中心長軸
14 分量調整ねじ
20 カウンタ
22 外歯歯車
24 縦溝
26 外歯歯車
30 運動伝達部材
34、36 ロック歯車
32 リング回り止めシステム
38 圧縮ばね
40 第1の歯
42 半径方向突片
44 縦溝
46 第2の歯
74 制御システム
80 ロックデバイス
82 位置セレクタ
88 制御部材
94a 第1の軌道部分
94b 第2の軌道部分
94c 第3の軌道部分
94d 第4の軌道部分
95 ストップ要素