(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】移動時の汚染物質の吸入低減
(51)【国際特許分類】
G16H 50/00 20180101AFI20231106BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
G16H50/00
A61B5/11
(21)【出願番号】P 2020570169
(86)(22)【出願日】2019-06-11
(86)【国際出願番号】 EP2019065089
(87)【国際公開番号】W WO2019243097
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-06-10
(32)【優先日】2018-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ライト クリストフファー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ローレンソン マシュー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ビル ヴィンセンティウス パウルス
(72)【発明者】
【氏名】ゲウルツ ルカス ヤコブス フランシスクス
【審査官】鹿谷 真紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/108851(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/193049(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
A61B 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エリア内を移動するときの個人の推奨活動率を決定するシステムであって、
前記個人が移動する前記エリアの汚染物質及び/又は微粒子の尺度である汚染レベルを特定する汚染特定装置と、
特定された前記汚染レベルに基づいて、前記個人の推奨活動を表す数値尺度を計算することによって、前記エリア内を移動するときに前記個人
の汚染の吸入を考慮する前記個人の前記推奨活動を計算する推奨活動計算ユニットと、
を含む、システム
において、
前記推奨活動計算ユニットは、特定された前記汚染レベルを使用して、前記個人が吸入する汚染の量と前記個人の活動との関係を決定し、
前記推奨活動計算ユニットは、前記個人が吸入する汚染の量と前記個人の活動との前記関係に基づいて、前記個人の前記推奨活動を表す前記数値尺度を計算する、システム。
【請求項2】
前記推奨活動は、当該推奨活動のための少なくとも3つの可能な選択肢が存在する計算された数値出力である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記個人の現在の活動を決定する活動モニタリング装置をさらに含み、
前記推奨活動計算ユニットは、前記個人の前記推奨活動及び前記現在の活動に基づいて、前記個人の活動に対する推奨調整を計算する、請求項1
又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記活動モニタリング装置は、前記個人のバイタルサインをモニタリングするバイタルサインモニタリングシステムを含む、請求項
3に記載のシステム。
【請求項5】
前記個人の前記推奨活動を示す感覚出力を提供する感覚出力システムをさらに含む、請求項1から
4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記個人の1つ以上の特徴を決定する個人特徴決定ユニットをさらに含み、
前記推奨活動計算ユニットは、前記個人の決定された前記1つ以上の特徴にさらに基づいて前記個人の前記推奨活動を計算する、請求項1から
5のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】
前記個人が移動する前記エリア内の地形の1つ以上の特徴を決定する地形決定装置をさらに含み、
前記推奨活動計算ユニットは、前記地形の決定された前記1つ以上の特徴にさらに基づいて前記個人の前記推奨活動を計算する、請求項1から
6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
前記個人の予定ルートを決定するルート決定ユニットをさらに含み、
前記推奨活動計算ユニットは、前記個人の前記予定ルートにさらに基づいて前記個人の前記推奨活動を計算する、請求項1から
7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記汚染特定装置は、前記個人の前記予定ルートに沿った汚染レベルを特定し、
前記推奨活動計算ユニットは、前記個人の前記予定ルートに沿った、特定された前記汚染レベルにさらに基づいて前記個人の前記推奨活動を計算する、請求項
8に記載のシステム。
【請求項10】
前記エリア内を移動するときの前記個人の1つ以上の目標を取得する個人目標取得ユニットをさらに含み、
前記推奨活動計算ユニットは、前記個人の決定された前記1つ以上の目標にさらに基づいて前記個人の前記推奨活動を計算する、請求項1から
9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
移動するときの前記個人の活動を低減する個人補助デバイスをさらに含み、
前記個人補助デバイスは、前記個人が移動する前記エリアの特定された前記汚染レベルに基づいて補助レベルを変化させる、請求項1から
10のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
エリア内を移動するときの個人の推奨活動率を決定する
ためにコンピュータ
が実施
する方法であって、
前記個人が移動するエリアの、汚染物質及び/又は微粒子の尺度である汚染レベルを特定するステップと、
特定された前記汚染レベルに基づいて、前記個人の推奨活動を表す数値尺度を計算することによって、前記エリア内を移動するときに前記個人の汚染の
吸入を考慮する前記個人の前記推奨活動を計算するステップと、
を含む、方法
において、
前記計算するステップは、特定された前記汚染レベルを使用して、前記個人が吸入する汚染の量と前記個人の活動との関係を決定するステップと、
前記個人が吸入する汚染の量と前記個人の活動との前記関係に基づいて、前記個人の前記推奨活動を表す前記数値尺度を計算するステップとを含む、コンピュータが実施する方法。
【請求項13】
前記個人の現在の活動を決定するステップと、
前記個人の前記推奨活動及び前記現在の活動に基づいて前記個人の活動に対する推奨調整を計算するステップと、
をさらに含む、請求項
12に記載の
コンピュータが実施する方法。
【請求項14】
コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されると、請求項
12又は
13に記載の
コンピュータが実施する方法を実装するコード手段を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、汚染への個人の曝露を減少させる方法及びシステムの分野に関し、具体的には、汚染の吸入に関する。
【背景技術】
【0002】
空気汚染又は空中アレルゲンは、屋外で運動や移動する個人に、著しい短期的及び長期的影響を及ぼす可能性がある。したがって、運動したり移動したりするときに、汚染/アレルゲンへの個人の暴露を低減又は最小限に抑えることが望まれている。
【0003】
空気汚染への曝露を減少させる既存の方法の1つは、吸入する汚染量を減少させるための汚染用マスクの使用を含む。これらのマスクは、フィルタ戦略、有効性、及び快適さにおいて幅広く異なる。例えば、よく知られている3MのN95マスクは、微粒子はフィルタリングするが、オゾン又は揮発性有機化合物(VOC)などの他の汚染物質はフィルタリングしない。ほとんどのマスクフィルタを構成する繊維フィルタの効率は、流量及びフィルタリングされる粒子サイズによって変化する。この点と、マスクの側部の周辺の漏れの増加とによって、汚染用マスクは、激しい運動中は、呼吸数及び深さの増加によって、粒子をフィルタリングするのにあまり効果的でなくなる。さらに、汚染用マスクは、温度、湿度、及び呼吸抵抗の増加を通して、個人の快適さに著しく影響を及ぼす可能性があるが、これは、運動中に特に問題となる。
【0004】
空気汚染への曝露を低減する別の既知の方法は、汚染データを空間的に分解して、活動的な行程中に吸入される汚染を最小限に抑える、個人のための「最も健康によいルート」を構築するルーティングプログラムを使用することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、この低減は、利用可能なルートオプションの範囲によって変動があり、限定的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、請求項によって規定される。
【0007】
本発明の一態様による例によれば、エリア内を移動するときの個人の推奨活動率を決定するシステムが提供される。システムは、個人が移動するエリアの汚染物質及び/又は微粒子の尺度である汚染レベルを特定する汚染特定装置と、特定された汚染レベルに基づいて、エリア内を移動するときに生じる個人の汚染物質の吸入を考慮した個人の推奨活動を計算する推奨活動計算ユニットとを含む。
【0008】
したがって、システムは、個人が移動するエリア内の汚染レベル(例えば、花粉、他の微粒子、又は有害ガスの量)に基づいて、個人の推奨活動レベルを決定する。これは、個人が移動するエリアの汚染レベルを特定、決定、又は評価し、そのエリアを移動するときに個人が吸入することが予想される汚染物質/アレルゲンを考慮した推奨活動を計算することによって行われる。
【0009】
このようにして、個人は、活動レベルが推奨されない状態で移動する場合と比較して、吸入する汚染物質/アレルゲンの量が減少する活動レベルが推奨される。あるいは、個人は、例えば移動速度を最大化しながら、吸入する汚染物質が(医学的に許容される)最大レベルよりも少なくなる1つ以上の活動レベルが推奨される。
【0010】
したがって、本発明は、個人が移動しているか又は移動しようとしているエリアの汚染レベルに基づいて、個人の汚染物質の吸入を考慮した推奨活動を提供することを目的とする。
【0011】
移動(travelling)は、人力による輸送(例えば、サイクリング、歩行、又は走行)である。このように、個人による活動の増加は、移動速度を増加させる傾向がある。
【0012】
また、活動レベルの増加により、個人の呼吸がより大きく(すなわち、より速くかつ/又はより深く)なり、その結果、任意の1回の呼吸において、個人はより多くの汚染物質/アレルゲンを呼吸することが理解されるであろう。しかしながら、活動レベルの増加はまた、個人が(例えば汚染の多い)エリアで費やす時間が少なくなり、これは、個人がある期間にわたって暴露される汚染/アレルゲンが少なくなることを意味する。
【0013】
したがって、本発明の一実施形態は、少なくともこれらの2つの要素をバランスさせるか、又は考慮する活動レベルを推奨することを提案する。つまり、本発明は、行程中に吸入される汚染の総量を最小限に抑える/低減するには、移動に費やす時間とその移動中の呼吸の深さ/数との間にトレードオフが存在することを認識している。
【0014】
個人の目標や能力などの他の要素又は特徴が、推奨活動レベルに影響を与えてもよく、これについては後でより詳細に説明する。したがって、実施形態は、推奨活動レベルを特定するために、複数の要素のバランスをとることを目的とする。
【0015】
汚染レベルは、(空気)汚染及び/又は微粒子の量の尺度又は他の指標である。したがって、汚染レベルは、空気中の花粉、小粒子、刺激物、又は有害物質(例えば有害ガス)の量を示す。
【0016】
推奨活動は、推奨速度、心拍数、相対努力などの人間が理解できる尺度(例えば、0~100%の数値インジケータ、又は高、中、若しくは低のカテゴリインジケータ)として表すことができる。つまり、推奨活動は、計算された数値出力又は離散的出力であってもよく、この場合、推奨活動のための少なくとも3つ、好ましくは少なくとも4つの可能な選択肢が存在する。
【0017】
一実施形態では、推奨活動計算ユニットは、個人の推奨活動を表す数値(例えば、非離散的な)尺度を計算することによって推奨活動を計算する。数値的尺度は、例えば、推奨速度、バイタルサイン(例えば、心拍数)、又は知覚される努力レベル(例えば、0%~100%)である。好ましくは以下に述べるように、推奨活動は、推奨速度である。これは、推奨活動レベルのより直感的なインジケータを提供するからである。
【0018】
少なくとも1つの実施形態では、推奨活動計算ユニットはさらに、特定された汚染レベルを使用して、個人が吸入する汚染の量と個人の活動との関係を決定する。これを使用して、個人の推奨活動レベルを計算することができる。
【0019】
例として、システムは、個人の呼吸数及び/又は深さを計算し、汚染レベルを使用して、個人が吸入する汚染の量と個人の活動との関係を決定する。これを使用して、活動レベルを推奨することができる。
【0020】
個人が吸入する汚染の量は、例えば、1回の呼吸の間に吸入される汚染の量、又は、汚染吸入率といったように、ある期間にわたって吸入される量を表す。
【0021】
これにより、システムは、個人の汚染の吸入を考慮して、活動レベルを推奨することができる。他の方法は当業者には明らかであろう。
【0022】
システムは、個人の現在の活動を決定する活動モニタリング装置をさらに含んでもよく、推奨活動計算ユニットは、個人の推奨活動及び現在の活動に基づいて個人の活動に対する推奨調整を計算する。
【0023】
このようにして、個人の現在の活動をモニタリング又は推定して、(推奨活動レベルを達成するための)推奨調整を提案することができる。これにより、個人は、自分の活動レベルをどのように調整する必要があるかを見るための直感的な機構が与えられる。したがって、このようなシステムは、個人の現在の活動に反応する。
【0024】
好ましくは、活動モニタリング装置は、個人のバイタルサインをモニタリングするバイタルサインモニタリングシステムを含む。
【0025】
バイタルサインは、個人の活動レベルの特に優れたインジケータであると特定されている。特に、バイタルサインのレベルと個人の呼吸/呼吸数/量との間には、汚染への個人の暴露に大きく影響する相関がある。
【0026】
バイタルサインモニタリングシステムは、個人の呼吸数、脈拍数、体温又は血圧のうちの1つ以上をモニタリングする。
【0027】
活動モニタリング装置は、代わりに、個人の速度、加速度若しくは発汗速度などの個人の他の特徴、又は、地形の傾斜若しくは地面の起伏などの個人のすぐ近くの地形の他の特徴をモニタリングすることができる。これらの特徴もまた、個人の現在の活動レベルを示すものとして特定されている。
【0028】
好ましい実施形態では、活動モニタリング装置は、個人の現在の活動を表す、個人の現在の呼吸数を決定する呼吸数モニタを含む。
【0029】
個人の呼吸数(すなわち、呼吸速度)をモニタリングすることは、個人の活動レベルを評価する非常に正確な方法を提供するものとして特定されている。特に、呼吸数は、個人が吸入し、それによって暴露されている空気(及びそれによって汚染)の量を正確に示すことができる。呼吸数に基づいて現在の活動を評価することによって、個人が吸入する汚染の量を低減することができる。
【0030】
システムは、個人の推奨活動を示す感覚出力を提供する感覚出力システムをさらに含んでもよい。
【0031】
したがって、個人は、推奨活動レベルについてアドバイスされる。感覚出力システムは、個人に活動レベルを推奨するために、1つ以上の触覚出力、聴覚出力、又は視覚出力を提供してもよい。したがって、感覚出力システムは、触覚出力部(例えば、振動部材)、音声出力部(例えば、スピーカ)、又は視覚出力部(例えば、LEDスクリーン)のうちの1つ以上を含むことができる。
【0032】
個人の現在の活動がモニタリングされる例では、感覚出力システムは、推奨活動レベル及び個人の現在の活動に基づいて、個人がどのようにしてその個人の活動を調整すべきか(例えば、活動を増加又は減少させる)のインジケータを提供することができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、システムは、個人の1つ以上の特徴を決定する個人特徴決定ユニットをさらに含み、推奨活動計算ユニットは、個人の決定された1つ以上の特徴にさらに基づいて個人の推奨活動を計算する。
【0034】
したがって、個人の個々の特徴を使用して、個人の推奨活動を修正又はカスタマイズすることができる。異なる個人が、汚染に対する感受性又は特定の活動を提供する能力に影響する可能性のある異なる能力又は要件を有することが認識されている。
【0035】
これにより、推奨活動レベルを個人に合わせて調整することができ、よりカスタマイズされた、したがってより適切な推奨活動レベルが提供される。これにより、個人が推奨活動レベルに従う可能性が高まる。
【0036】
例として、個人の特徴は、個人のフィットネスレベル、年齢、性別、サイズ、身長、体重、汚染物質/アレルゲンに対する感受性、特定の活動を行う能力、輸送のモード又は方法(例えば、自転車、走行、歩行などによる)、呼吸数が活動レベルの変化の間で変化するのに要する時間(「遅れ時間」)などのうちの1つ以上を含む。
【0037】
システムは、個人が移動するエリア内の地形の1つ以上の特徴を決定する地形決定装置をさらに含んでもよく、推奨活動計算ユニットは、地形の決定された1つ以上の特徴にさらに基づいて個人の推奨活動を計算する。
【0038】
地形の特徴は、個人が(例えば、移動し難いことによって)特定の活動レベルに従う能力に影響するか、又は個人が(例えば、地形に沿ってある障害物のために)安定した活動レベルで移動することを妨げる可能性がある。地形の特徴としては、地形の傾斜、地形の起伏、地形の障害物(例えば、交差点、交通、信号機などの交通流制御装置)のうちの1つ以上が挙げられる。
【0039】
地形の特徴に基づいて推奨活動レベルを計算することにより、より適切で個人に特化した推奨活動を提供することができる。これは、個人が推奨活動レベルに従う可能性を増加させ、また、ルートの特徴を考慮することを可能にし、これにより、個人が吸入する汚染の量を減少させる。
【0040】
システムは、個人の予定ルートを決定するルート決定ユニットをさらに含んでもよく、推奨活動計算ユニットは、個人の予定ルートにさらに基づいて個人の推奨活動を計算する。
【0041】
したがって、推奨活動は、予定ルートの特徴に基づくことができる。例として、複数の推奨活動が、予定ルートに沿った異なる地点/区間に対して生成される。これにより、オーダーメイドの適切な推奨活動を計算することができる。
【0042】
汚染特定装置は、個人の予定ルートに沿った汚染レベルを特定し、推奨活動計算ユニットは、個人の予定ルートに沿った特定された汚染レベルにさらに基づいて個人の推奨活動を計算する。
【0043】
このようにして、推奨活動は、個人がとるルートに沿って変化する汚染レベルを考慮することができる。これは、推奨活動が、個人がとるルートに沿って変化することを意味する。これは、推奨活動レベルが、個人が遭遇する汚染をより正確に反映することを可能にする。
【0044】
システムは、エリアを移動するときの個人の1つ以上の目標を取得する個人目標取得ユニットを含んでもよく、推奨活動計算ユニットは、決定された個人の1つ以上の目標にさらに基づいて個人の推奨活動を計算する。
【0045】
したがって、推奨活動は、個人の所望の目標によって規定される範囲内とすることができる。特に、個人の目標は、個人が含めたい又は提供したい活動レベル(例えば、最小/最大の活動レベル)を規定する。したがって、推奨活動計算ユニットは、個人のこのような目標に基づく活動レベルのみを含むように、可能な推奨活動を制限してもよい。
【0046】
可能な個人の目標は、最小活動レベル、最大活動レベル、又は所定の時間若しくは距離にわたって特定の活動レベルを行うことを望むことを含む。
【0047】
個人の推奨活動は、個人の推奨速度であり得る。推奨速度は、個人が直感的に理解することができるので、推奨活動に対する個人の理解を高め、個人が推奨活動レベルに従う可能性を高める。
【0048】
システムは、移動するときの個人の活動を低減する個人補助デバイスを含んでもよい。個人補助デバイスは、個人が移動するエリアの特定された汚染レベルに基づいて補助レベルを変化させる。
【0049】
システムは、エリアを移動する個人の楽しさを予測する楽しさ決定装置をさらに含んでもよい。推奨活動計算ユニットは、予測された個人の楽しさにさらに基づいて推奨活動を計算することができる。
【0050】
楽しさ決定装置は、個人目標取得ユニットと同様に、予測される個人の楽しさに基づいて、個人の推奨活動の限界(例えば、上限又は下限)を定めてもよい。すなわち、推奨活動は、楽しさ決定装置によって規定される範囲内とすることができる。
【0051】
本発明の一態様による例によれば、エリア内を移動するときの個人の推奨活動率を決定する方法も提供される。方法は、個人が移動するエリアの汚染レベルを決定するステップと、特定された汚染レベルに基づいて、エリア内を移動するときの個人の汚染の吸入を最小限に抑える個人の推奨活動を計算するステップとを含む。
【0052】
方法は、個人の現在の活動を決定するステップと、個人の推奨活動及び現在の活動に基づいて、個人の活動に対する推奨調整を計算するステップとをさらに含んでもよい。
【0053】
また、プログラムがコンピュータ上で実行されると、前述の方法を実装するコード手段を含むコンピュータプログラムも提案される。
【0054】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に説明される実施形態から明らかになり、それを参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0055】
本発明の理解を深め、本発明をどのように実施することができるかをより明確に示すために、単なる例として、添付の図面を参照する。
【0056】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態によるシステムを示す。
【
図2】
図2は、本発明の別の実施形態によるシステムを示す。
【
図3】
図3は、本発明のさらに別の実施形態によるシステムを示す。
【
図4】
図4は、個人の活動レベルと1回換気量との例示的な関係を示す。
【
図5】
図5は、個人の活動レベルと呼吸数との例示的な関係を示す。
【
図6】
図6は、個人に推奨活動のインジケータを提供するシステムを示す。
【
図7】
図7は、個人に推奨活動のインジケータを提供するシステムを示す。
【
図8】
図8は、一実施形態による、個人補助デバイスを含むシステムを示す。
【
図9】
図9は、本発明の一実施形態による方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0057】
本発明は、図面を参照して説明される。
【0058】
詳細な説明及び具体例は、装置、システム、及び方法の例示的な実施形態を示しているが、例示のみを目的としたものであり、本発明の範囲を限定することを意図したものではないことを理解されたい。本発明の装置、システム、及び方法のこれら及び他の特徴、態様、及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲、及び添付の図面からより良く理解されるであろう。図面は単に概略的なものであり、一定の縮尺で描かれていないことを理解されたい。また、同じ参照符号は、同じ又は類似の部分を示すために、図面全体にわたって使用されることを理解されたい。
【0059】
本発明の概念によれば、個人の推奨活動レベルを決定する方法及びシステムが提案される。汚染レベルが特定され、個人が吸入する汚染の量を考慮した活動レベルを推奨するために使用される。
【0060】
実施形態は、個人の活動レベルが、個人が吸入する汚染の量に影響を及ぼすという認識に少なくとも部分的に基づいている。したがって、個人が移動するエリア内の汚染レベルを決定することによって、個人が吸入する汚染の量を考慮に入れた推奨活動を生成することができる。
【0061】
例示的な実施形態は、例えば、フィットネスアプリケーションなどの活動レベルを推奨するシステムにおいて、又は電気補助デバイスなどの自動化された補助デバイスと共に使用される。
【0062】
本発明の基礎となる目的は、個人が吸入した汚染の量を考慮に入れた個人の活動レベルを決定し、推奨することである。例えば、これには、個人の活動レベルを制御する、個人のための適切な速度範囲又は心拍数範囲を決定することが含まれる。
【0063】
推奨される活動レベルは、好ましくは、例えば、1回の呼吸で、又は行程全体で累積的に、個人が吸入する汚染の量が、許容可能なレベル又は安全なレベルを超えないことを確実にすることを目的とする。そうするために、少なくとも汚染レベルを使用して、推奨活動レベルが決定される。例えば、汚染レベルを使用して、(経時的又は1回の呼吸での)汚染の吸入が推奨レベルを超えないようにする個人の活動レベルの範囲を定義する。
【0064】
しかし、推奨活動レベルを決定するときに、他の変数/要素も考慮することができる。これらの他の変数には、個人の目標や希望、個人の特徴や能力、地形の特徴、又は個人の予測される楽しさのレベルが含まれる。
【0065】
このようにして、実施形態は、汚染への暴露を最小限に抑えつつ、個人が自分の目標を達成し、行程を楽しむことを可能にすることを目的とする。これらの変数の効果の例は、以下に説明する実施形態から明らかになるであろう。
【0066】
本明細書で使用するとき、「汚染」という用語は、空気中に任意の有害、毒性又は刺激性の物質が存在することを意味する。したがって、「汚染」という用語は、一般に、花粉、排気ガス、NO2、CO、CFC、SO2、粉塵、VOC、微粒子などを含み得る空気汚染を意味する。
【0067】
「活動(exertion)」という用語は、あるエリアを移動するときに個人によって提供される(知覚される)身体的努力のレベルを指す。したがって、個人の活動が大きいほど、(例えば、より速く移動するための努力において)個人は移動するためにより多くの身体的努力を提供する。
【0068】
図1は、本発明の一実施形態によるシステム1のフレームワークを示す。システム1は、汚染特定装置2と、推奨活動計算ユニット3とを含む。システムはまた、
図1に示され、後述される、1つ以上の他の任意のユニットを含んでもよい。
【0069】
汚染特定装置2は、個人が移動するエリアの汚染レベルを特定する。したがって、汚染特定装置2は、個人のすぐ近くの汚染を感知するか、又は(例えば、個人がとるルートに沿って)来るべきエリアの汚染を特定することができる。
【0070】
汚染特定装置2は、例えば、個人の近傍の汚染を直接検出する汚染モニタリングデバイス又はセンサを含む。他の例では、汚染特定装置は、個人が移動する(又は移動している)エリア内の汚染レベルを決定するために、位置モニタリング装置及び(汚染情報を位置にマッピングする)汚染マッピングデータベースを含む。他の例は、当業者には明らかであろう。
【0071】
推奨活動計算ユニット3は、特定された汚染レベルに基づいて、個人の推奨活動を計算し、この推奨活動は、個人がエリアを移動するときに生じる汚染物質の吸入を考慮する。したがって、個人の推奨活動は、個人がエリアを移動するときに提供すべき身体的努力のレベルのインジケータを個人に提供することができる。推奨活動は、推奨速度、バイタルサイン尺度(例えば、心拍数)、又は知覚される努力レベル(例えば、0%~100%の範囲)などの数値(例えば、非離散的な)インジケータとして表される。
【0072】
活動又は身体的努力のレベルを低減することによって、1回の呼吸で個人が吸入する汚染の量が低減される。したがって、推奨活動計算ユニット3は、1回の呼吸での個人の汚染の吸入を、医学的に推奨されている最大値などの所定値未満に保つ(最大)活動を推奨することができる。
【0073】
しかしながら、身体的努力を減らすと、速度も低下し、これは、個人が汚染されたエリアでより多くの時間を費やし(すなわち、汚染されたエリア内でより多くの呼吸をし)、したがって、時間の経過と共にさらなる汚染を吸入する可能性があることを意味する。
【0074】
したがって、別の例では、推奨活動計算ユニット3は、(呼吸ごとではなく)個人の汚染の全体的な吸入を最適化するために、速度と呼吸数/深さとの間のバランスをとる推奨活動を計算することができる。したがって、推奨活動は、これらの2つの要素のバランスをとることを目的とし、個人の汚染の全体的な吸入を低減若しくは最適化するか、又は少なくとも考慮する推奨活動を提供することができる。
【0075】
個人の推奨活動は、速度、心拍数、呼吸数などの身体的努力によって影響を受けるか、又はそうでなければそれらを表す個人の1つ以上の推奨される特徴であってよい。好ましくは、推奨活動計算ユニット3は、個人が吸入する汚染の量を減らすために、エリアを移動するときの個人の推奨速度を計算する。
【0076】
システム1は、個人の現在の活動を決定する活動モニタリング装置4を含んでもよい。したがって、活動モニタリング装置4は、個人によって提供されている現在の身体的努力のレベルを評価又は推定する。これは、個人の特徴又は(個人が地形を横断するのに必要とされる身体的努力のレベルに影響する)周辺の地形の特徴をモニタリングすることによって行われる。
【0077】
推奨活動計算ユニット3は、推奨活動及び個人の現在の活動に基づいて、個人の活動に対する推奨調整を計算してもよい。
【0078】
したがって、推奨活動計算ユニット3は、入力として、(活動モニタリング装置4から)個人の現在の活動及び(汚染モニタリング装置2から)個人が移動するエリアの汚染レベルを受け取ることができる。推奨活動計算ユニットは、それによって、個人の汚染の吸入を考慮するために、汚染レベルに基づいて、個人の現在の活動に対する調整を推奨することができる。
【0079】
活動モニタリング装置4は、個人の現在の活動を評価し、決定し、又は推定するために、様々なやり方を使用することができる。
【0080】
例えば、活動モニタリング装置4は、個人の1つ以上のバイタルサインをモニタリングして、心拍数、呼吸数、血圧、又は体温など、個人によって提供される活動のレベルを評価することができる。バイタルサインのモニタリングは、個人の活動レベルを特に正確に示すものである。
【0081】
活動モニタリング装置4によってモニタリングすることができ、現在の活動レベルを示す個人の他の特徴には、個人の速度/加速度、ストライド回数/ターンオーバー、汗の量、皮膚の色、皮膚の抵抗/インピーダンス、血糖値などが含まれる。このような特徴はまた、個人の活動レベルの良好なインジケータを提供することが示されている。
【0082】
他の例では、活動モニタリング装置4は、個人の現在の活動に影響する地形の特徴をモニタリングする。例えば、個人は、平坦な地面よりも急勾配の地面でより高い活動レベルを有する。したがって、活動モニタリング装置は、傾斜、地面の起伏、高度などの地形の特徴を評価することによって、現在の活動を推定することができる。
【0083】
推奨活動計算ユニット3は、推奨活動を計算するときに、他の要素(例えば、個人の能力、願望、又は目標)を考慮することができる。以下に説明するユニット/モジュールは、推奨活動計算ユニットがこのような要素を考慮することを可能にするために使用される。
【0084】
他の各要素は、推奨活動計算ユニットの所望の範囲を規定することができる。例えば、第1の要素(例えば、個人の目標)は、推奨活動の下限を提供することができ、第2の要素(例えば、個人の能力)は、上限を提供することができる。次いで、推奨活動計算ユニットは、個人の汚染の吸入も考慮しながら、他の要素の要件を満たす推奨活動を特定することができる。
【0085】
システム1は、個人の1つ以上の特徴を決定する個人特徴決定ユニット5を含んでもよい。
【0086】
推奨活動計算ユニット3は、個人の決定された1つ以上の特徴にさらに基づいて、個人の推奨活動を計算することができる。したがって、推奨活動計算ユニット3は、個人の推奨活動レベルを決定するときに、個人の特徴を考慮に入れることができる。
【0087】
特に、個人特徴決定ユニットは、個人が行うことができる活動のレベルに影響し得る個人の特徴を決定することができる。例として、個人特徴決定ユニットは、個人のフィットネスレベルを決定する。フィットネスレベルが高いほど、個人が行うことができる活動は大きくなる。
【0088】
一実施形態では、推奨活動計算ユニットは、個人の特徴に基づいて個人の能力を決定し、個人の能力内の活動レベルのみを推奨する。例として、個人の能力は、個人が可能な推奨活動(例えば、速度)に従う可能性のパーセンテージによって表され、推奨活動計算ユニットは、関連する可能性のパーセンテージが所定値(例えば、約75%など、60~90%の間)を上回る活動のみを推奨する。
【0089】
したがって、推奨活動を、個人の能力に限定することができる。これは、推奨活動が現実的であり、個人が実行できるものを超えないものであることを保証する。
【0090】
個人特徴決定ユニットによって決定され得る個人の特徴は、個人の1回換気量、個人の呼吸能力、ストライド長、身長、体重、年齢、性別、フィットネスレベル、最大心拍数、安静時心拍数、最大速度、最大活動レベル、病歴(例えば、喘息やCOPDの有無)、過去のフィットネス情報、アレルゲン情報、汚染感受性、アレルゲン感受性などのうちの1つ以上を含む。これらの特徴は、個人の活動に従う能力を規定するか、又は個人の汚染に対する感受性に影響を与える(すなわち、吸入することが安全である汚染の量を制限する)。
【0091】
システム1はさらに、個人が移動するエリア内の地形の1つ以上の特徴を決定する地形決定装置6を含んでもよい。
【0092】
したがって、推奨活動計算ユニット3は、地形の決定された1つ以上の特徴にさらに基づいて、個人の推奨活動を計算することができる。したがって、推奨活動計算ユニット3は、個人の推奨活動レベルを決定するときに、地形の特徴を考慮することができる。
【0093】
地形の特徴は、個人が供給する活動レベルに影響を及ぼす(すなわち、現在の活動のレベルに影響を及ぼす)か、又は個人が提供可能な活動(例えば、速度)の最大レベルに影響を及ぼす可能性がある。地形の特徴を考慮することによって、個人のより正確又は現実的な推奨活動を決定することができる。
【0094】
いくつかの実施形態では、地形の特徴が個人によって提供される活動に影響を及ぼす可能性があるので、地形決定装置6は、地形の特徴に関する情報を活動モニタリング装置4に渡す。例として、滑らかな地形よりも起伏のある地形上で速度を維持するにはより多くの身体的努力が必要である(つまり、同じ速度ではより起伏のある地形での活動量が多くなる)。つまり、活動モニタリング装置4は、地形の特徴に関する情報を受信し、個人の現在の活動を決定するときにこの情報を使用することができる(例えば、地形が急勾配であるとの決定に応答して、決定された現在の活動量を増加させる)。
【0095】
システム1は、個人の予定ルートを決定するルート決定ユニット7を含んでもよい。したがって、推奨活動計算ユニット3は、個人の予定ルートにさらに基づいて、個人の推奨活動を計算することができる。したがって、推奨活動計算ユニット3は、個人の推奨活動レベルを決定するときに、個人の予定ルート、又はルートの特徴を考慮することができる。
【0096】
個人がとるルート(例えば、長さ、目標場所など)は、個人が提供可能な活動レベル、又はルートに沿った汚染レベルに影響を及ぼす。
【0097】
例として、個人が幹線道路に沿って移動しようとする場合、個人は、田舎道に沿って移動しようとする場合よりも、より多くの汚染を経験することになる。したがって、個人の予定ルートを考慮することによって、推奨活動計算ユニットは、個人が1回吸入するたびに経験する汚染の量をより正確に評価することができる。
【0098】
別の例として、個人が長期間移動しようとする場合、(例えば、フィットネスレベルに基づいて)高い活動レベルを維持することができない。したがって、推奨活動レベルは、例えば、ルートの長さに基づいて最大許容可能な推奨活動を制限するように、個人に活動レベルを推奨するために、少なくとも、予定ルートの長さを考慮することができる。
【0099】
他の例では、推奨活動は、予定ルートに沿って異なってもよい。したがって、推奨活動計算ユニット3は、予定ルートに沿った異なる場所/セグメント/区間について、複数の推奨活動を計算することができる。
【0100】
システム1は、個人の1つ以上の目標を取得する個人目標取得ユニット8を含んでもよい。推奨活動計算ユニットは、個人の決定された1つ以上の目標にさらに基づいて、個人の推奨活動を計算する。したがって、推奨活動計算ユニットによって目標又は個々のターゲットが使用されて、推奨活動レベルを計算するか、又は許容可能な推奨活動レベルの範囲を制限することができる。
【0101】
個人目標取得ユニット8は、例えば、ユーザインターフェースから、又は個人の目標やフィットネス/運動計画(個人の目標と定義することができる)を格納するサーバなど、個人の目標を格納する別のデバイス/ユニットから、1つ以上の目標を取得することができる。
【0102】
一例では、個人の目標は、特定の運動計画に従うために最小レベルの活動を維持することである。推奨活動計算ユニットは、例えば、個人のこの目標を考慮に入れて、目標を遵守するための最小限の許容可能な推奨活動を提供することができる。
【0103】
別の例として、個人の目標は、所定の期間の間、速度のバースト又は高い活動レベルを提供することである。推奨活動計算ユニットは、例えば、いつ高い活動レベルを提供することが安全であるかを示すことによって、全体的な汚染の吸入を最小限に抑えるように、そのような速度のバーストを実行するのに最適な場所を特定することができる。
【0104】
したがって、前述から、推奨活動計算ユニットは、多数のソースからの変数を処理して、個人がエリアを移動するときの汚染の吸入を考慮した個人の推奨活動を決定できることが理解されるであろう。
【0105】
具体的には、異なるソースは、特定された汚染レベルに基づいて、推奨活動を提供することができる、許容可能な又は所望の活動レベルの範囲を設定することができる。例えば、個人の能力(例えば、フィットネスレベル)は、推奨活動レベルの上限を提供し、個人の目標/ターゲットは、推奨活動レベルの下限を提供する。
【0106】
以下に説明されるデバイスの例示的な実施形態は、個人の推奨活動を決定するために、これらのソースのうちのいくつか又は選択を採用するシステムを含む。
【0107】
好ましくは、システムは、携帯電話、スマートウォッチ、又はフィットネストラッカなどのポータブルデバイスに組み込まれる。システムは、自転車などの人力の車両に組み込まれてもよい。
【0108】
図2は、本発明の一実施形態によるシステムを使用するデバイス20を示す。デバイス20は、個人の現在の環境に反応する推奨活動を提供する。
【0109】
デバイス20は、個人の近傍の汚染を感知する汚染特定装置22を含む。汚染特定装置は、汚染モニタリングデバイス(例えば、周囲汚染物質センサ)又は位置モニタリング装置と、個人の現在位置を既知の汚染レベルにマッピングする汚染マッピングデータベースとを含んでもよい。
【0110】
汚染特定装置22は、個人のすぐ近くの又は現在の環境における汚染レベルを示す汚染データを出力する。汚染データは、個人の近くの汚染レベルの尺度など、個人の近くの汚染のタイプ及び/又は強度を示すことができる。
【0111】
デバイス20はまた、個人の現在の活動レベルを測定する活動モニタリング装置24を含む。活動モニタリング装置24は、例えば、個人の現在の活動を示す個人の心拍数をモニタリングすることができる。
【0112】
デバイス20はまた、ここでは2つの別個のモジュール23a、23bから形成される推奨活動計算ユニット23を含む。推奨活動計算ユニット23は、汚染データ及び個人の現在の活動レベルを処理して、個人の活動レベルに対する推奨調整を提供する。
【0113】
推奨活動計算ユニット23の第1のモジュールは、理想活動算出モジュール23aである。理想活動計算モジュールは、汚染データに基づいて、すなわち、個人の現在の環境について、汚染の吸入を考慮した個人の理想的な(すなわち、推奨される)活動レベルを決定する。理想活動計算モジュール23aは、異なる汚染タイプ及び/又は強度(すなわち、汚染データの異なる値)に対するターゲット活動(例えば、心拍数ゾーン)のルックアップテーブルを含んでもよい。
【0114】
推奨活動計算ユニット23の第2のモジュールは、個人の理想的な活動及び現在の活動に基づいて、個人の活動に対する調整を推奨する活動調整システム23bである。例として、個人の現在の心拍数が、個人の環境の理想的な心拍数を上回る場合、推奨活動計算ユニットは、個人に、心拍数を減少させるか、つまり、速度を落とす(これは、結果的に個人の心拍数を減少させる)ように推奨することができる。
【0115】
推奨活動レベルは、現在の活動レベルを特定するために使用されるのと同じ尺度である必要はない。例として、現在の活動レベルは、現在の心拍数によって表され、推奨活動レベルは、(例えば、個人に速度を上げる又は下げることを促すために)速度に関して表される。
【0116】
このようにして、デバイス20は、個人の活動に対する変更を推奨することによって、汚染の吸入を低減又は考慮する反応システムを提供する。これは、推奨活動レベルを計算する非常に正確で低コストの方法を提供する。
【0117】
図3は、本発明の別の実施形態によるシステムを使用するデバイス30を示す。
【0118】
図3のデバイス30は、ルートに沿って移動する個人の推奨活動を計算する。特に、システムは、ルートの異なる部分に、個人のための異なる推奨活動を関連付ける。
【0119】
デバイス30は、個人の位置を追跡又はモニタリングする個人追跡装置31を含む。個人追跡装置31は、衛星航法装置を使用して、個人の位置を決定することができる。一例では、個人追跡装置は、2Dグリッド上の個人の座標を追跡する。
【0120】
デバイス30はまた、個人の周辺の環境に関する事前に取得されたマッピングデータを含むマッピングデータベース32を含む。マッピングデータベースは、メモリシステム40に記憶されていてもよく、また、例えばインターネット接続などを介して定期的に更新されてもよい。他の実施形態では、マッピングデータベース32(又はその一部)は、デバイス30の外部に、例えば、サーバ又はクラウドコンピューティングネットワーク上に格納される。
【0121】
このマッピングデータは、2Dグリッドの座標を、汚染物質タイプの空間分布及びそれらの強度、ならびにルートのトポロジー、例えば経路の位置、勾配強度などを指す参照値に関連付けることができる。つまり、マッピングデータは、少なくとも汚染レベルに関する情報や、個人の周囲のエリアの地形情報(経路/道路の位置など)を含むことができる。マッピングデータは、道路横断のタイミング又は推定待ち時間などの速度干渉要素に関する情報を含んでもよい。
【0122】
デバイス30はまた、マッピングデータ及び個人の位置を表示し、個人が所望の又は予定の移動ルートを入力することを可能にするユーザインターフェース33を含む。いくつかの実施形態では、ルーティングソフトウェアを使用して(例えば、個人の位置から選択された位置へのルートを確立することによって)予定ルートが規定される。予定ルートは、マッピングデータベース32に渡され、格納されてもよい。例として、ユーザインターフェース33は、タッチセンシティブディスプレイ(タッチスクリーン)、又はディスプレイと個人の入力デバイス(例えば、キーボード)との組み合わせを含む。
【0123】
したがって、個人追跡装置31、マッピングデータベース32、及びユーザインターフェース33は全体で、個人の予定ルートを決定するルート決定ユニットとして機能する。ルート決定ユニット(例えば、別のデバイスから予定ルートを受信するためのモジュール)のための他の実施形態は、当業者には明らかであろう。
【0124】
デバイス30はまた、特徴データを記憶する個人特徴データベース34を含む。特徴データは、フィットネス特徴などの個人の特徴に関する情報や、人口統計学的情報(例えば、年齢、性別、体重など)を含む。フィットネス特徴は、フィットネストラッカ、スマートウォッチ、及びスマートフォンなどのウェアラブルコンピュータを使用して個人を追跡することによって得られる。個人特徴データベースは、メモリシステム40に記憶されていてもよい。
【0125】
デバイス30はまた、汚染物質ドーズ計算器35を含む。汚染量計算器は、予定ルートの異なる地点に沿って、活動レベルと少なくとも汚染の量(すなわち、1回の呼吸において吸入する汚染の量)との関係を決定する。
【0126】
汚染物質ドーズ計算器35は、ルートセグメンタ35aを含む。ルートセグメンタ35aは、予定ルートを同様の汚染レベルを共有するセグメント(すなわち、エリア又は部分)に分割して、「セグメント化ルート」を提供する。例えば、ルートの第1のセグメントは、ほぼ第1の汚染レベルを有する区間であり、ルートの第2のセグメントは、ほぼ第2の異なる汚染レベルを有する区間である。ルートに沿った汚染レベルに関する情報は、マッピングデータベース32から得ることができる。
【0127】
任意選択で、ルートセグメンタ35aは、予定ルートを、同様の汚染レベル及び同様の地形特徴(例えば、傾斜、勾配、又は地面の起伏/タイプ)を共有するエリア/区間に分割する。したがって、2つの異なる区間は、同一の汚染レベルを有するが、異なるルート特徴を有することができ、その逆も同様である。また、ルートの特徴に関する情報は、マッピングデータベース32から得ることができる。
【0128】
したがって、セグメント化ルートの各セグメントは、特定の汚染レベルに関連付けられている。
【0129】
汚染物質ドーズ計算器35は、関係決定器35bを含む。関係決定器35bは、セグメント化ルートの各セグメントについて、個人の活動と吸入される汚染物質の推定量との関係を決定することができる。
【0130】
特に、関係決定器35bは、個人特徴データベース34からの特徴データを使用して、異なる活動レベルに対する呼吸空気量を推定することができる。呼吸空気量は、1回の呼吸で個人が吸入する空気又は気体の量であり、これは、活動レベルによって異なる。この決定は、例えば、個人の特徴を推定呼吸空気量に相関させるデータベースを参照することによって、又はこれらをリンクする関数を使用することによって行われてよい。
【0131】
したがって、関係決定器35bは、個人の活動と、1回の呼吸において吸入される空気/気体の推定量との関係を決定する。
【0132】
図4は、個人の活動と推定される1回換気量、すなわち、1回の呼吸で吸入される気体の量との間の例示的な(例えば、デフォルトの)関係を示す。個人の活動x
1は、ここではワット(W)、すなわち1秒当たりのジュール
【数1】
で表され、1回換気量y
1は、リットル(l)で表される。図示する関係は、平均的な個人を表すものである。
【0133】
個人の特徴は、1回の呼吸で吸入される空気量に影響を及ぼすことが理解されるであろう。いくつかのこのような個人の特徴には、年齢、性別、体重、フィットネスレベル、輸送の方法、身長、人口統計学などが含まれる。
【0134】
次いで、関係決定器35bは、この関係を、セグメント化ルートの各セグメントの汚染レベルに関する情報と共に使用して、異なる活動レベルに対する1回の呼吸において吸引する汚染の量を推定することができる。したがって、活動レベルを、吸入する汚染の推定量に関連付けることができる。
【0135】
したがって、関係決定器は、少なくとも、個人の活動レベル(例えば、速度又は心拍数)を入力として受け取り、所与のセグメントを通って移動するときに1回の呼吸で吸入される汚染の推定量を出力する、及び、その逆も同様にする関数又は方程式を計算することができる。
【0136】
したがって、関係決定器35bは、個人の活動と1回の呼吸において吸入される汚染の推定量との関係を決定する。この関係は、推定ドーズ曲線と呼ぶ場合もある。
【0137】
再び
図3を参照すると、デバイス30はまた、関係決定器の出力に基づいて、各セグメントを移動するときの推定される個人の汚染吸入量を考慮する、各セグメントに対する個人の推奨活動を計算する推奨活動計算ユニット36を含む。
【0138】
好ましい実施形態では、推奨活動計算ユニットは、個人の推奨速度を決定する。したがって、関係決定器は、個人の速度を、1回の呼吸で吸入される推定汚染量と相関させることができる。
【0139】
一例では、推奨活動計算ユニット36は、(例えば、医療基準又は個人の特徴に従って)1回の呼吸において吸入される汚染の最大許容量を特定し、各セグメントについて、関係決定器35bによって確立された関係を使用して、この最大許容量以下の吸入汚染量に関連付けられている最大の活動(例えば、速度)を特定することができる。この最大の活動は、推奨活動として出力することができる。
【0140】
いくつかの実施形態では、関係決定器35bは、個人の活動レベルと個人の呼吸数との関係を決定することができる。この情報は、例えば、個人特徴データベース34に記憶されていても、又は標準的な推定値に基づいてもよい(例えば、高いレベルの運動では毎分約35~40回、最小レベルの運動では約12~20回の呼吸数を推定する)。あるいは、個人の特徴を推定呼吸数に相関させるデータベースを参照することによって、決定してもよい。
【0141】
理解のために、
図5は、個人の活動レベルx
2と個人の呼吸数y
2との例示的な(例えば、デフォルトの)関係を示す。個人の活動レベルx
2は、ここではワット(W)、すなわち1秒当たりのジュール(Js
-1)で表され、呼吸数は、1分当たりの呼吸数で表される。図示する関係は、平均的な個人を表すものである。
【0142】
関係決定器35bは、活動と呼吸数との関係、及び活動と1回の呼吸で吸入される汚染の量との関係を利用して、経時的に吸入される汚染の量と活動レベルとの関係を計算することができる。したがって、推奨活動計算ユニット36又は関係決定器は、各セグメントにおいて、活動のレベル(例えば、速度)と経時的に吸入される汚染の量との関係を決定することができる。
【0143】
推奨活動計算ユニット36は、この後者の関係を使用して、各セグメントにおける個人の推奨活動を決定することができる。
【0144】
例として、推奨活動計算ユニット36は、(例えば、医療基準に従って)ある期間にわたって吸引される汚染の最大許容量又は吸入速度を特定し、吸入される汚染のこの最大許容量又は速度をもたらす推奨活動を決定する。
【0145】
さらに他の例では、推奨活動計算ユニット36は、各セグメントにおいて経時的に吸入される汚染の量を最小限にする活動のレベル(例えば、速度)を特定することができる。したがって、活動のレベルは、ある活動のレベルを特定し、これは、セグメントにおいて費やされる時間と、その活動のレベルに関連する呼吸数及び深さとのバランスをとる。
【0146】
いくつかのさらなる実施形態では、関係決定器35bは、個人の活動レベルと個人の速度との関係を決定することができる。この情報は、例えば(例えば、フィットネストラッキングデバイスから得られたデータから)個人特徴データベース34に記憶されていても、標準的な推定値に基づいていても、又は、個人の特徴を推定速度に相関させるデータベースを参照することによって実行されてもよい。
【0147】
推奨活動計算ユニットは、この関係を使用して、各セグメントにおける個人の推奨活動を決定することができる。
【0148】
例として、推奨活動計算ユニットは、行程全体で吸入される汚染の最大許容量を決定する。活動と速度との関係、活動と汚染の呼吸数との関係、及び行程の長さが分かっていれば、行程を終えた個人がどの程度汚染を吸い込んでいるかを計算することができる。したがって、これらの特徴のバランスをとる推奨活動を特定することができる。
【0149】
最小の活動レベルは、後述する条件(例えば、個人が所望する最小の活動/速度)に従うことができる。このようにして、予定ルートの各セグメントについて、推奨活動を計算することができる。
【0150】
個人の推奨活動に関する情報は、例えば、ユーザインターフェース33を介して表示される。他の例では、推奨活動に関する情報は、スピーカ又は触覚デバイス(例えば、振動ユニット)などの別の感覚出力システムを介して提供される。
【0151】
いくつかの実施形態では、推奨活動ユニット36は、個人追跡装置31によって追跡された個人の現在位置に基づいて、個人の現在の推奨活動を決定する。具体的には、推奨活動ユニットは、個人の決定された位置を使用して、セグメント化ルートのどのセグメントに個人が現在いるのかを確立し、そのセグメントに関連付けられている推奨活動を、個人の現在の推奨活動として選択する。
【0152】
個人の現在の推奨活動は、ユーザインターフェース33又は別の感覚出力システムを介して個人に提供される。
【0153】
いくつかの実施形態では、デバイス30はまた、個人の現在の活動を決定する活動モニタリング装置37を含む。これは、現在の活動を決定する、任意の前述の方法を使用して得ることができる。
【0154】
例えば、活動モニタリング装置37は、活動レベルを示す個人のバイタルサインをモニタリングするバイタルサインモニタ37aを含む。例えば、バイタルサインモニタは、個人の呼吸を追跡するように使用されるマイクロホン又は(胸部に装着された)動きセンサを含む。他の例では、活動モニタリング装置は、心拍数モニタ又は(現在の活動を示す)他のバイタルサインのモニタを含む。
【0155】
別の例では、活動モニタリング装置37は、速度計又は加速度計など、個人の現在の速度を決定する速度検出器37bを含む。個人の速度は、その個人の活動レベルを表す。当然ながら、輸送の方法が、所与の速度に対して個人によって提供される活動に影響を及ぼすことが理解されるであろう。
【0156】
このような実施形態では、推奨活動計算ユニット36は、現在の活動を受信し、個人の推奨活動を満たすように、現在の活動に対して行われるべき調整を決定する。例として、現在の活動及び推奨活動は処理されて、現在の活動が推奨活動と整合するようにどのように調整されるべきか(例えば、増加又は減少されるべきか)を決定する。このようにして、現在の活動に対する調整を計算することができる。
【0157】
現在の活動に対する調整は、例えば、ユーザインターフェース33又は任意の他の感覚出力システムを介して、個人に提供される。当然ながら、個人の現在の活動のインジケータも、(例えば、ユーザインターフェース33又は他の感覚出力システムを介して)個人に提供されてもよい。
【0158】
個人の推奨活動を決定する際に、他の要素又は変数をどのように考慮し得るかについて、つまり、推奨活動に条件を提供することについて、これまでに説明してきた。可能な他の変数を考慮に入れる、デバイス30のオプションのモジュールについて、以下に説明する。
【0159】
1つのことのような例では、デバイス30は、個人が所望する移動基準を記憶する個人目標データベース38を含む。具体的には、個人目標データベースは、予定ルートに沿って移動するときの個人の1つ以上の目標又は所望の結果を記憶する。個人目標データベース38は、メモリシステム40に記憶されていてもよい。
【0160】
個人目標データベース38は、図示されているように、ユーザインターフェース33から、又は、(例えば、運動ガイドラインを提供する)サーバのような外部ソースから、これらの目標を得ることができる。したがって、ユーザインターフェース33は、ルートのエリアを移動する際の個人の1つ以上の目標を取得する個人目標取得ユニットとして機能する。
【0161】
推奨活動計算ユニット36は、セグメント化された移動ルートの各セグメントの推奨活動を計算するときに、個人の1つ以上の目標を使用する。
【0162】
例えば、個人の目標は、少なくとも事前に設定された時間内に予定ルート(すなわち、行程)を完了することである。推奨活動計算ユニットは、移動中の汚染物質の吸入を最小限に抑えながら、個人が事前に設定した時間を満たすことを可能にする各セグメントの活動レベルを決定することができる。
【0163】
別の例では、個人の目標は、予定ルートを移動する間に、短期間の高強度の活動を含めることである。推奨活動計算ユニットは、汚染の吸入を最小限に抑えるように、この活動期間をどのセグメント(複数可)で実行することができるかを決定することができる。
【0164】
このようにして、予定ルートに沿って移動する個人の推奨活動を計算するときに、個人の様々な所望の結果を考慮することができることは明らかであろう。
【0165】
いくつかの実施形態では、推奨活動計算ユニットは、個人の活動レベルの変化が個人の呼吸の変化をもたらすのに要する時間(「遅れ時間」)を考慮することもできる。少なくとも酸素負債に起因して、個人の活動レベルの増加と、それに対応する個人の呼吸数/深さの増加との間に遅れ又は遅延があること、及びその逆も同様であることが認識されている。変化した運動の強度に対する個人の応答を決定する方法は、当技術分野においてかなりよく知られている。
【0166】
したがって、推奨計算ユニットは、個人の遅れ時間にさらに基づいて、推奨活動を調整又は決定することができる。
【0167】
例えば、予定ルートのセグメントの汚染レベルが非常に高いが、長さが非常に短いというシナリオを考える。このようなシナリオでは、推奨活動ユニットは、個人が高度に汚染されたセグメントを離れる前に、個人の呼吸が活動の増加に追いつく時間がないので、個人が吸入する汚染の総量を減少させるために、高度に汚染されたセグメントを通過するのに非常に高い活動レベルを提供することを個人に推奨することができる。
【0168】
本明細書では、個人が高強度の活動から低強度の活動に移動するにつれて、呼吸数/深さが減少する前に遅延があること、また、その逆も同様であることが理解される。したがって、セグメント化ルートのセグメント間の移行では、セグメントの変化前の遅れ時間を考慮することが好ましい。
【0169】
したがって、推奨計算ユニットは、セグメント間の移行における遅れ時間を考慮することができる。
【0170】
例えば、汚染が少ないエリア(個人が高い活動レベルを提供することができる)から汚染が多いエリア(個人が低い活動レベルしか提供することができない)に移るとき、推奨計算ユニットは、個人が汚染の少ないエリアの終わりに向かって低い活動を提供することを奨励し、これにより、個人の呼吸数/深さが、汚染の多いエリアに入る前に活動の変化に追いつくことができる。
【0171】
別の例として、汚染の多いエリアの終わりに近づくにつれて、深い/速い呼吸によって追加の汚染を吸入しないように個人が汚染の多いエリアをより迅速に離れるように、加速する(すなわち、より大きな活動を提供する)ように奨励されてもよく、個人の呼吸数/深さは、汚染が多いエリアを出る前に増加した活動に追いつく機会がない。
【0172】
個人の遅れ時間は、例えば、個人特徴データベース34に記憶されている特徴データから得られる。他の例では、遅れ時間は、所定値(例えば、遅れ時間の普遍的な平均値)であってもよい。さらに他の例では、遅れ時間は、個人の特徴(例えば、年齢、性別、フィットネスレベルなど)に基づいて計算されてもよい。
【0173】
いくつかの実施形態では、デバイス30は、予定ルートの異なる部分における個人の楽しさを予測する楽しさ決定装置39aをさらに含む。
【0174】
予測される楽しさは、例えば、マッピングデータベース32に記憶されているルートの特徴に基づいている。例えば、ルートの一部で眺めが良いことが分かっている場合は、楽しさが多いと予測され、ルートの一部で悪臭がすることが分かっている場合は、楽しさが少ないと予測される。楽しさは、例えば0~10のスケールで、パーセンテージとして、又は離散予測(例えば、高、中又は低)として予測される。
【0175】
推奨算出ユニット36は、ルートの一部の予測される楽しさにさらに基づいて、個人の活動を算出することができる。
【0176】
例として、推奨活動は、楽しさが多いとされるルートの一部については低減される(したがって、個人はその部分を楽しむためにより多くの時間を有する)。楽しさが少ないとされるルートの一部については、推奨活動は増加される(したがって、個人は、ルートの楽しくない部分を素早く通過することができる)。
【0177】
特に、推奨計算ユニットは、個人の活動の他の条件(例えば、汚染レベル及び任意選択で個人の能力に基づいて設定された最大許容活動、又は個人の目標に基づいた最小許容活動)を満たしながら、個人の楽しさを最大にすることができる。
【0178】
これにより、個人の汚染への暴露を減少し、モニタリングし、又は個人の楽しさを考慮しながら考慮することができる。
【0179】
少なくとも1つの例では、デバイス30は、(例えば、ルートの楽しかった区間又は部分を示すことによって)行程の楽しさについての個人のフィードバックを(例えば、ユーザインターフェース33を介して)受信する。これは(例えば、マッピングデータベース32に)記憶され、デバイス30を使用する将来の行程の楽しさを計算するための基礎として使用することができる。センサといった、楽しさについてのフィードバックを得るための他の方法/デバイスは、当業者によって容易に認識されるのであろう。このようなセンサには、(例えば、楽しさのレベルを示す顔の表情を捕捉する)カメラ、(ストレス/リラクゼーションインジケータを測定する)電気皮膚センサ、又は(ストレス/リラクゼーション心拍インジケータを測定する)心拍変動モニタが含まれる。
【0180】
いくつかの実施形態では、推奨活動計算ユニット36は、地形の特徴、特に、信号機、交通混雑、道路交差点などの予定ルートに沿ったハザード又は障害物による個人の活動レベルへの潜在的な強制的変化にさらに基づいて推奨活動を計算する。
【0181】
個人の活動レベルへのこのような強制的変化は、典型的には、個人の周りの汚染レベルの変化に関連している。したがって、このような強制的変化を考慮することが有利である。
【0182】
さらに、このような強制的変化は、個人の速度にも影響を及ぼし、これは、個人がルートの特定のセグメント内で費やすことが予測される時間が増加することを意味し、これは、(そのセグメントの残りの部分について)推奨活動の計算に影響を及ぼす可能性がある。
【0183】
例として、推奨活動計算ユニットは、道路交差点に近づくと活動レベルを低下させるように推奨し、これにより、個人は、汚染レベルが高い環境の近くで(例えば、横断が許可されるのを)待機しているときに、激しく/深く呼吸しないので、個人の汚染への曝露が低減される。
【0184】
別の例として、推奨活動計算ユニットは、障害物が取り除かれるのを待つ必要があることからセグメントで費やされる時間が増加することが分かっているので、個人がセグメント全体でより低いレベルの活動を提供するように推奨する。
【0185】
地形の特徴に基づいて推奨活動を修正するための他の例は、当業者には容易に明らかであろう。地形の特徴に関する情報、例えば、位置及び/又は重大度を含む潜在的な強制的変化は、マッピングデータベース32に記憶されていてよい。
【0186】
いくつかの実施形態では、マッピングデータは時間的に分解されてもよい。すなわち、マッピングデータは、個人の予定ルートに沿った位置についての予測される将来の汚染レベルを含むことができる。予測される将来の汚染レベルは、個人が吸引することが予測される汚染の量をより正確に決定するために、及び/又はルートに沿った予想される汚染レベルを考慮する活動レベル(すなわち、時間と共に変化する)をより正確に推奨するために使用することができる。
【0187】
好ましい例では、推奨活動計算ユニットは、例えば、汚染レベルが変化又は減少した後に、(最小活動レベルを維持したいという願望などの)個人の行程の目標を満たすために、行程を遂行するための提案時間を提供することができる。例として、推奨活動計算ユニットは、汚染レベルが低下したときに通知を与えることができ、これにより、個人は予定ルートの全体に沿って速く移動することができる。
【0188】
したがって、推奨活動計算ユニットは、経時的な汚染レベルの変化をさらに考慮することができる。
【0189】
いくつかの例では、個人特徴データベース34に記憶される特徴データは、異なる汚染物質又は汚染タイプ(例えば、花粉又は排気ガス)に対する個人の感度に関するデータを含む。推奨活動計算ユニット36は、異なる汚染物質タイプに対する個人の感度に基づいて推奨活動レベルを変更することができる。
【0190】
例として、推奨活動計算ユニットは、花粉が多いエリアでは、遅い呼吸速度に優先順位を付けることができる。この機能はまた、より広範なアレルギー管理システムの一部として、アレルギーの管理について個人を指導するために使用することもできる。
【0191】
いくつかの実施形態では、デバイス30は、汚染の多いエリアを避けることができる代替ルートを特定するルート決定器39bを含む。ルート決定器39bは、例えば、マッピングソフトウェアを使用して、個人の代替ルートを特定し、推奨活動計算ユニットを使用して、各ルートに沿った推奨活動レベルを計算する。
【0192】
したがって、推奨活動計算ユニットは、複数の異なるルートに沿った推奨活動レベルを決定し、ルート決定器39bは、汚染への曝露を最小限に抑える個人に適切なルートを特定することができる。
【0193】
つまり、前述のモジュール/ユニットを使用して、複数の可能なルートと、関連付けられる個人の推奨活動レベルとが計算され、推奨活動計算ユニットは、個人が吸入する汚染の量に基づいてルートを特定することができる。
【0194】
前述のように、可能な実施形態では、推奨活動計算ユニットは、(例えば、個人特徴データベース34に記憶されている)個人の特徴にさらに基づいて、(各セグメントの)推奨活動を計算することができる。
【0195】
例として、フィットネスレベル(例えば、個人が特定の速度で行くことができる可能性)は、個人のための可能な推奨活動の上限を提供する。
【0196】
推奨活動は、個人が使用する輸送手段のタイプに基づいていてもよい。例えば、推奨活動が速度である場合、推奨活動は、個人が自転車で移動している場合、個人が足で移動している場合よりも高くなる。
【0197】
上記の実施形態は、予定ルートの各セグメントの推奨活動を計算するコンテキストで説明されているが、態様は、例えば(例えば
図2を参照して説明されたよう)反応計算を実行するときなどに、他の実施形態に適用され得ることが理解されるであろう。したがって、推奨活動計算ユニットが、個人の予定ルートを知ることは、本実施形態の上記の変形形態のいくつかを使用するために必須ではない。
【0198】
図6及び
図7は、個人に推奨活動レベルを通知するための異なる実施形態を示す。
【0199】
図6では、システム1は、個人の推奨活動レベル又は推奨活動変化を示す表示データを生成する。ディスプレイ41は、表示データを受信し、それを(例えば、画面を介して)表示する。これは、推奨活動レベル又は推奨活動変化の視覚的指示を提供する。
【0200】
図7では、システム1は、個人の推奨速度又は推奨ペースなどの推奨活動レベルを生成する。
【0201】
楽曲セレクタ51は、推奨活動レベルに基づいて、楽曲データベース52から楽曲プレイリストを選択する。各楽曲は、例えば、楽曲のテンポ又は速度に基づいて、個人の推奨される活動にマッチングされる。
【0202】
個人は歩いている/ジョギングしているときに、自然に自分の動きを聴いている音楽に同期させることが認識されている。推奨活動レベルに基づいて楽曲を選択することによって、楽曲は、個人の動きのテンポを調節又は制御するために使用することができ、これにより、個人が推奨活動に従う可能性を増加させる。このようにして、個人の推奨活動にマッチングする楽曲プレイリストを選択することができる。
【0203】
(例えば、ルートに沿った異なる地点について)複数の異なる推奨活動が生成される好ましい実施形態では、楽曲の長さは、それが活動の様々なレベル及びタイミングにマッチングするように適合される。
【0204】
出力デバイス56又は出力接続(3mmジャックなど)は、例えばスピーカを介して、選択された楽曲を個人に向けて出力する。
【0205】
例えば、振動要素のような触覚出力機構を使用して、推奨活動を個人に通知する他の方法は、当業者には明らかであろう。
【0206】
図8は、システム1によって出力される個人の推奨活動を利用するための別の実施形態を示す。
図8の実施形態は、個人が電動自転車(「e-バイク」)のような、電気的に補助されるが手動で動力を供給される輸送手段を使用して移動する場合に使用することができる。
【0207】
移動中の個人の活動を減らす個人補助デバイス60が提供される。個人補助デバイス60は、補助制御ユニット61と、補助提供器62とを含む。
【0208】
補助制御ユニット61は、個人の推奨活動に基づいて補助提供器62の動作を制御する。
【0209】
補助提供器62は、電動自転車のモータであってもよい。当業者には理解されるように、このような補助提供器は、電気デバイスの速度を変更/制御して電動自転車を使用する個人を補助するために、例えばモータによって印加される電力である補助のレベルを変化させるようになっている。
【0210】
補助制御ユニット60は、輸送手段の所定の速度を維持することができる。したがって、推奨活動が低下することによって、補助制御ユニット61は、補助提供器62によって提供される補助を増加させることができる。
【0211】
推奨活動が、予定の行程全体で分かっている場合、補助制御ユニット61は、推奨活動に基づいて補助提供器62の計画を生成することができる。この計画は、個人の最小速度を維持すること、又は汚染物質の吸入が所望又は推奨レベル未満に維持されることを確実にしながら、個人が所定の時間以前に目的地に到着することを確実にすることを目的としてよい。
【0212】
したがって、個人補助デバイスは、個人が移動するエリアの特定された汚染レベルに基づいて補助レベルを変化させる。
【0213】
前述の説明から、1つ以上の活動レベルを推奨する推奨活動計算ユニットを有するシステムが提供されることは明らかであろう。推奨活動レベルは、汚染の吸入を最小限に抑える一方で、多くの他の条件を満たすように計算することができる。
【0214】
条件は、多数の変数に基づいて決定される。具体的には、異なる変数を使用して、個人の許容可能な活動レベルの範囲を確立することができ、これを使用して、推奨活動レベルを確立することができる。可能な変数には、個人の行程の楽しみ、個人の能力及び/又は特徴、並びに個人の所望の目標又はターゲットが含まれる。
【0215】
例えば、個人の能力は、個人の最大許容活動レベル(例えば、個人が何をすることができるか)を確立することができる。個人の目標は、最低活動レベル(すなわち、個人が望む最低活動レベル)を確立することができる。
【0216】
好ましくは、推奨活動計算ユニットは、個人が吸入する汚染の量を最小限に抑えながら、これらの条件を満たすか、又はこれらの条件の妥協である推奨活動レベルを選択する。
【0217】
本明細書で説明される任意のシステムは、個人のフィットネスレベル又はフィットネスデータを決定するフィットネス追跡モジュールをさらに含むことができる。フィットネス追跡モジュールは、個人のフィットネスレベルを決定するために、個人がとったルート(例えば、長さ及び/又は傾斜の変化)及び/又は個人の速度と共に、経時的な個人の活動を分析することができる。これは、例えば、個人の活動のアクティブモニタリングを、その位置についての(例えば、標準値に基づく)予測される活動と比較して実行することによって行うことができる。
【0218】
図9は、エリアを移動するときの個人の推奨活動率を決定する方法70の一実施形態を示す。
【0219】
方法は、個人が移動するエリアの汚染レベルを決定するステップ71と、特定された汚染レベルに基づいて、エリアを移動するときに個人の汚染の吸入を最小限に抑える個人の推奨活動を計算するステップ72とを含む。
【0220】
方法70は、汚染レベルを決定するために、前述のシステムの任意の態様によって実行されるステップを含むように適切に適合されてもよい。
【0221】
前述のように、実施形態は、システムを利用する。システムは、必要とされる様々な機能を実行するために、ソフトウェア及び/又はハードウェアを用いて、様々なやり方で実装することができる。プロセッサは、必要な機能を実行するために、ソフトウェア(例えば、マイクロコード)を用いてプログラムすることができる、1つ以上のマイクロプロセッサを使用するシステムの一例である。しかしながら、システムは、プロセッサの使用に関わらず実装されてもよく、また、いくつかの機能を実行するための専用ハードウェアと、他の機能を実行するためのプロセッサ(例えば、1つ以上のプログラムされたマイクロプロセッサ及び関連する回路)との組み合わせとして実装されてもよい。したがって、開示された方法は、コンピュータ実施方法であってもよい。
【0222】
本開示の様々な実施形態において採用され得るシステムコンポーネントの例としては、従来のマイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0223】
様々な実装形態では、プロセッサ又はシステムは、RAM、PROM、EPROM、及びEEPROM(登録商標)などの揮発性及び不揮発性コンピュータメモリなどの1つ以上の記憶媒体に関連付けられてもよい。記憶媒体は、1つ以上のプロセッサ及び/又はシステム上で実行されると、必要な機能を実行する1つ以上のプログラムで符号化されてもよい。様々な記憶媒体は、プロセッサ又はシステム内で固定されていても、記憶された1つ以上のプログラムをプロセッサ又はシステムに読み込むことができるように、移送可能であってもよい。
【0224】
開示された実施形態に対する変形は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求された発明を実施する際に当業者によって理解され、実施されることができる。特許請求の範囲において、単語「含む」は他の要素又はステップを排除するものではなく、単数形は複数を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に列挙されるいくつかのアイテムの機能を果たすことができる。特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に、又はその一部として供給される光記憶媒体又はソリッドステート媒体などの適切な媒体上に記憶/配布することができるが、インターネット又は他の有線もしくは無線電気通信システムなどを介して、他の形態で配布することもできる。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。