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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】ペンニードル
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20231106BHJP
   A61M 5/34 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
A61M5/32 500
A61M5/34
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2020571385
(86)(22)【出願日】2019-06-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 US2019036028
(87)【国際公開番号】W WO2019245757
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-05-17
(31)【優先権主張番号】62/688,572
(32)【優先日】2018-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522179943
【氏名又は名称】エンベクタ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピアース イーガン
【審査官】中村 一雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-134156(JP,A)
【文献】特開2015-186728(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0304556(US,A1)
【文献】特表2010-512884(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/32
A61M 5/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペンニードルであって、
遠位端、および送達デバイスに取り付けるための近位端を有するハブと、
前記ハブに結合され、前記ハブの前記遠位端から延在する遠位端を有するニードルと、
前記ハブに結合され、前記ニードルの前記遠位端を覆うための第1の伸長位置と、患者に物質を注射するための前記ニードルの前記遠位端を露出させるための格納位置と、前記ニードルの前記遠位端を覆うための第2の伸長位置と、の間でスライド可能な遠位ニードルシールドと、
を備え、
前記遠位ニードルシールドは、前記ハブに対して軸方向の移動によって、前記遠位ニードルシールドが前記ハブ内で前記第1の伸長位置から前記格納位置までスライドする第1の角度位置から、前記遠位ニードルシールドが前記第2の伸長位置に軸方向にスライドしてロック位置である第2の角度位置まで回転可能であり、
前記ハブ内に配置されたインジケータを備え、前記遠位ニードルシールドが、前記格納位置に移動したときに、第1の摩擦嵌合によって前記インジケータに結合し、前記遠位ニードルシールドが、前記第2の伸長位置に移動したとき、前記インジケータが、前記遠位ニードルシールドの壁を通して視認可能な前記第2の伸長位置に運ばれる、ペンニードル。
【請求項2】
前記インジケータは、第の把持力による第2の摩擦嵌合によって前記ハブに結合され、前記遠位ニードルシールドは、前記第の把持力よりも大きい把持力を有する前記第1の摩擦嵌合によって前記インジケータに結合され、これにより、前記インジケータは、前記遠位ニードルシールドに結合され、前記遠位ニードルシールドの前記第2の伸長位置への移動によって前記ハブから分離される、請求項に記載のペンニードル。
【請求項3】
前記インジケータは、前記遠位ニードルシールド内に受け取られ、前記遠位ニードルシールドの前記壁を通して視認可能である、請求項に記載のペンニードル。
【請求項4】
前記遠位ニードルシールドは透明な壁を有し、前記インジケータが前記遠位ニードルシールドに結合されたときに、前記インジケータは前記透明な壁を通して視認可能である、請求項に記載のペンニードル。
【請求項5】
前記インジケータは軸方向通路を有し、前記遠位ニードルシールドは、前記インジケータを前記遠位ニードルシールドに結合するために、前記インジケータの前記軸方向通路の内面に係合するように構成された内壁を含む、請求項に記載のペンニードル。
【請求項6】
前記遠位ニードルシールドは、前記ハブの内面上の凹部と嵌合するための外向きに延在するタブを備えた外壁を有し、前記遠位ニードルシールドを前記第2の伸長位置にロックする、請求項1に記載のペンニードル。
【請求項7】
前記ハブの前記内面が、前記遠位ニードルシールドの前記タブを受け入れるためのガイドチャネルと、前記外壁の前記タブを受け取り、前記遠位ニードルシールドを前記第2の伸長位置にロックするように配向された前記ガイドチャネル内の凹部と、を有する、請求項に記載のペンニードル。
【請求項8】
ペンニードルであって、
遠位端、および送達デバイスに取り付けるための近位端を有するハブと、
前記ハブに結合され、前記ハブの前記遠位端から延在する遠位端を有するニードルと、
前記ハブに結合され、前記ニードルの前記遠位端を覆うための第1の伸長位置と、患者に物質を注射するための前記ニードルの前記遠位端を露出させるための格納位置と、前記ニードルの前記遠位端を覆うための第2の伸長位置と、の間でスライド可能な遠位ニードルシールドと、
を備え、
前記遠位ニードルシールドは、前記ハブに対して軸方向の移動によって、前記遠位ニードルシールドが前記ハブ内で前記第1の伸長位置から前記格納位置までスライドする第1の角度位置から、前記遠位ニードルシールドが前記第2の伸長位置に軸方向にスライドしてロック位置である第2の角度位置まで回転可能であり、
前記遠位ニードルシールドは、前記ハブの内面上の凹部と嵌合するための外向きに延在するタブを備えた外壁を有し、前記遠位ニードルシールドを前記第2の伸長位置にロックし、
前記ハブの前記内面が、前記遠位ニードルシールドの前記タブを受け入れるためのガイドチャネルと、前記外壁の前記タブを受け取り、前記遠位ニードルシールドを前記第2の伸長位置にロックするように配向された前記ガイドチャネル内の凹部と、を有し、
前記ハブの前記内面は、前記遠位ニードルシールド上の戻り止めと係合するためのカム面を有し、前記カム面は、前記ガイドチャネルから円周方向に離間し、前記遠位ニードルシールドを、前記タブが前記ガイドチャネル及び前記凹部に係合する位置まで回転させるように配向されている、ペンニードル。
【請求項9】
前記遠位ニードルシールドの前記タブは、前記遠位ニードルシールドが前記第1の伸長位置にあるとき、前記ガイドチャネルから離間され、前記遠位ニードルシールドが、前記格納位置及び前記第2の伸長位置にあるとき、前記タブが前記ガイドチャネルに受け入れられる、請求項に記載のペンニードル。
【請求項10】
ペンニードルであって、
遠位端、および送達デバイスに取り付けるための近位端を有するハブと、
前記ハブに結合され、前記ハブの前記遠位端から延在する遠位端を有するニードルと、
前記ハブに結合され、前記ニードルの前記遠位端を覆うための第1の伸長位置と、患者に物質を注射するための前記ニードルの前記遠位端を露出させるための格納位置と、前記ニードルの前記遠位端を覆うための第2の伸長位置と、の間でスライド可能な遠位ニードルシールドと、
を備え、
前記遠位ニードルシールドは、前記ハブに対して軸方向の移動によって、前記遠位ニードルシールドが前記ハブ内で前記第1の伸長位置から前記格納位置までスライドする第1の角度位置から、前記遠位ニードルシールドが前記第2の伸長位置に軸方向にスライドしてロック位置である第2の角度位置まで回転可能であり、
前記遠位ニードルシールドは、前記ハブの内面上の凹部と嵌合するための外向きに延在するタブを備えた外壁を有し、前記遠位ニードルシールドを前記第2の伸長位置にロックし、
前記ハブの前記内面が、前記遠位ニードルシールドの前記タブを受け入れるためのガイドチャネルと、前記外壁の前記タブを受け取り、前記遠位ニードルシールドを前記第2の伸長位置にロックするように配向された前記ガイドチャネル内の凹部と、を有し、
前記ハブの前記内面が、リブの間に前記ガイドチャネルを形成する間隔を隔てた軸方向に延在する前記リブを有する、ペンニードル。
【請求項11】
ペンニードルであって、
遠位端、および送達デバイスに取り付けるための近位端を有するハブと、
前記ハブに結合され、前記ハブの前記遠位端から延在する遠位端を有するニードルと、
前記ハブに結合され、前記ニードルの前記遠位端を覆うための第1の伸長位置と、患者に物質を注射するための前記ニードルの前記遠位端を露出させるための格納位置と、前記ニードルの前記遠位端を覆うための第2の伸長位置と、の間でスライド可能な遠位ニードルシールドと、
を備え、
前記遠位ニードルシールドは、前記ハブに対して軸方向の移動によって、前記遠位ニードルシールドが前記ハブ内で前記第1の伸長位置から前記格納位置までスライドする第1の角度位置から、前記遠位ニードルシールドが前記第2の伸長位置に軸方向にスライドしてロック位置である第2の角度位置まで回転可能であり、
前記ニードルの近位端を覆うように構成された近位ニードルシールドを備え、前記近位ニードルシールドは、前記近位ニードルシールドを格納位置に保持するために壊れ易い部材に接続され、前記壊れ易い部材は、前記近位ニードルシールドが前記ニードルの前記近位端を覆うように伸長位置に移動することを可能にするように破断する、ペンニードル。
【請求項12】
前記遠位ニードルシールドを前記第2の伸長位置にバイアスするために、前記遠位ニードルシールドに係合する第1の端部と、前記近位ニードルシールドを前記伸長位置にバイアスするために、前記近位ニードルシールドに係合する第2の端部と、を有するばねをさらに備える、請求項11に記載のペンニードル。
【請求項13】
前記近位ニードルシールドが、前記ハブと係合して前記近位ニードルシールドを前記伸長位置にロックするための可撓性リブをさらに備える、請求項11に記載のペンニードル。
【請求項14】
前記ハブが開口部を有する内壁を有し、前記近位ニードルシールドが前記内壁の前記開口部を通って延び、前記近位ニードルシールドは、バイアス部材と係合するための前記内壁の第1の側に遠位端と、前記ニードルの前記近位端を覆うために前記内壁の第2の側に第2の端と、を有する、請求項12に記載のペンニードル。
【請求項15】
前記ばねはコイルばねを含み、前記ばねが軸方向通路を有し、第1の端部は前記遠位ニードルシールドに係合し、第2の端部は前記近位ニードルシールドに係合する、請求項12に記載のペンニードル。
【請求項16】
前記コイルばねの前記軸方向通路に配置されたインジケータをさらに備え、
前記遠位ニードルシールドが前記格納位置に移動したときに、第1の摩擦嵌合によって前記インジケータに結合し、前記遠位ニードルシールドが前記第2の伸長位置に移動したときに、前記インジケータは、前記遠位ニードルシールドの壁を通して視認可能である、請求項15に記載のペンニードル。
【請求項17】
前記ハブに配置されたインジケータをさらに備え、
前記遠位ニードルシールドが前記格納位置に移動したときに、第1の摩擦嵌合によって前記インジケータに結合し、前記遠位ニードルシールドが前記第2の伸長位置に移動したときに、前記インジケータが前記遠位ニードルシールドの壁を通して視認可能な前記第2の伸長位置まで前記遠位ニードルシールドによって運ばれる、請求項11に記載のペンニードル。
【請求項18】
前記ハブの前記凹部が、前記ハブの壁を通って延びる開口部であり、前記遠位ニードルシールドの前記タブが、前記遠位ニードルシールドがロック位置にあることを示す前記開口部に受け入れられたときに、前記遠位ニードルシールドの前記タブが視認可能である、請求項に記載のペンニードル。
【請求項19】
前記遠位ニードルシールドのタブが、前記遠位ニードルシールドが前記ロック位置にあることを示す前記凹部に受け止められたときに、前記遠位ニードルシールドの前記タブが前記ハブを通して視認可能である、請求項に記載のペンニードル。
【請求項20】
ペンニードルであって、側壁、内壁、送達デバイスに取り付けるための近位端、及び、遠位端を有するハブと、
前記ハブの前記内壁に結合され、前記ハブの前記遠位端から延在する遠位端と、前記ハブの近位端に設けられた近位端と、を有するニードルと、
前記ニードルの前記遠位端を覆うための第1の伸長位置と、前記ニードルの前記遠位端を露出させるための格納位置と、前記ニードルの前記遠位端を覆うための第2の伸長位置と、の間で前記ハブ内をスライドするために前記ハブに結合された遠位ニードルシールドであって、前記遠位ニードルシールドは、前記第2の伸長位置にロックされている遠位ニードルシールドと、
前記ハブの前記近位端にあり、前記ハブの前記内壁の開口部を通って延在する近位ニードルシールドであって、前記近位ニードルシールドは、前記ニードルの前記近位端が露出している格納位置と、前記ニードルの前記近位端が覆われている伸長位置と、から移動可能である近位ニードルシールドと、
前記遠位ニードルシールドを前記第2の伸長位置に遠位方向にバイアスする第1の端部と、前記近位ニードルシールドを前記伸長位置に近位方向にバイアスする第2の端部とを有するばねと、
前記ハブに取り外し可能に結合されたインジケータと、
を備え、
前記遠位ニードルシールドは、前記格納位置で、前記インジケータに結合し、前記第2の伸長位置に移動したときに、前記インジケータを前記ハブから分離する、ペンニードル。
【請求項21】
前記インジケータが前記遠位ニードルシールドに結合されているときに、前記インジケータが前記遠位ニードルシールドの壁を通して視認可能である、請求項20に記載のペンニードル。
【請求項22】
前記インジケータは、環状形状のスリーブであり、前記遠位ニードルシールドは、前記スリーブの内側寸法を補完する環状壁を含み、前記遠位ニードルシールドが前記格納位置に移動されたときに、前記環状壁は、前記遠位ニードルシールドに前記スリーブを結合するために前記スリーブ内にスライドする、請求項21に記載のペンニードル。
【請求項23】
前記遠位ニードルシールドが、前記スリーブを受け入れるための環状の凹部を形成するために、前記内壁から離間された外壁を有する、請求項22に記載のペンニードル。
【請求項24】
前記スリーブが、前記遠位ニードルシールドの前記外壁を通して視認可能である、請求項23に記載のペンニードル。
【請求項25】
前記近位ニードルシールドが、壊れ易い部材によって前記ハブに結合され、前記ハブが送達デバイスに接続されたときに、前記壊れ易い部材が破断し、前記ハブが前記送達デバイスから分離されたときに、前記近位ニードルシールドが前記伸長位置にバイアスされる、請求項24のペンニードル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2018年6月22日に出願された米国仮特許出願第62/688,572号の優先権を主張するものであり、この仮特許出願はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、薬物送達ペンなどの薬物送達デバイスへの取り付けに適合されたペンニードルに関する。一実施形態のペンニードルは、格納式ニードルシールドを備えたニードルハブを有し、ニードルシールドは、使用中に格納され、使用後に伸長されて、ハブに取り付けられたニードルを覆うことができる。ニードルの使用後、ニードル端を覆うためにニードルシールドを伸長位置にロックすることができる。ペンニードルは、使用後にニードルの患者側端を覆うための遠位ニードルシールドと、送達デバイスから分離した後に、ニードルの非患者側の近位端を覆うための近位ニードルシールドとを含むことができる。遠位ニードルシールドがニードルの患者側端を覆うときに作動可能な視覚的インジケータを提供することができる。
【背景技術】
【0003】
ペンニードルは、投薬ペンに取り付けるために使用され、インスリンなどの自己投与注射薬を送達するのに特に役立つ。1つの既知の市販の装置では、ニードル支持ハブは、漏斗形の外側カバーの内側に提供され、「外側シールド」または単に「カバー」と呼ばれることもある。カニューレまたはニードルは、患者に注射するためのハブの遠位または「患者側」から突出てした一端を有するハブの軸方向の穴に固定され、ニードルの他端は、近位または「非患者側」の空洞内に埋め込まれており、投薬ペンへの取り付けに適合されている。紙とホイルの「ティアドロップ」ラベルは、漏斗状の外側カバーの開放端の端にヒートシールされている。さらに、投薬ペンは、ペンニードルが取り付けられている開口部の上に、投薬ペンの遠位端の上に受け取られたキャップを有することができる。ペンニードルを投薬ペンに取り付けるには、ユーザは投薬ペンのキャップを取り外す。次に、ユーザはペンニードルの外側カバーのラベルをはがし、ハブを取り付けるために外側カバーを保持し、典型的には、ハブをペンにねじ込む。ハブが投薬ペンに取り付けられたら、外側カバーをハブから遠位に引っ張ることによって外側カバーを取り外すことができる。別の内側のニードルシールドが、ニードルの上にあり、ユーザは注射を行うためにこれを取り外す必要がある。内側のシールドは、一般的にハブ上にあり、無菌バリアを形成することなく、ユーザがニードルの位置を特定するのに役立つ。使用後、ユーザは外側のカバーを使用してハブをペンから外し、ペンのニードルを廃棄することができる。
【0004】
投薬ペンおよび関連するペンニードルは、米国特許第7,645,264号、米国特許出願公開第2009/0069755号、及び、米国特許出願公開第2012/0022460号に開示されている。これらはすべて、ペンニードルの設計および構造の教示のためにその全体が参照により組み込まれている。放出可能なペンニードルを注射ペン上に配置し、ペンニードルを嵌合する貯蔵または廃棄容器に放出するための装置は、米国特許第8,057,444号に開示されている。また、この教示のために参照により組み込まれる。
【0005】
ペンのニードルには、再利用や偶発的なニードル刺しを防ぐために、ニードル端を覆うカバーまたはシールドを含めることができる。ペンニードルが送達デバイスから分離されたときに、ニードルの近位端を覆うためのシールドを有するペンニードルも知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の装置は、一般に意図された用途に適しているが、業界ではペンニードルの改良が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、患者に薬物を注射するための薬物送達デバイスとともに使用するためのペンニードルアセンブリに関する。一実施形態のペンニードルは、使用中に引っ込めてニードルを露出させ、使用後にニードルの遠位端を覆うように伸ばすことができるニードルおよび遠位ニードルシールドを備えたハブを有する。一実施形態では、ニードルシールドは、遠位ニードルシールドを伸長位置にロックし、再利用を防止するためのロック機構を有することができる。
【0008】
ペンニードルの特徴の1つは、使用中に引っ込めてニードルを露出させ、使用後に伸長位置にスライドさせてニードルを覆い、使用後にユーザに視覚的なインジケータを提供できる格納式遠位ニードルシールドである。視覚的インジケータは、視覚的インジケータが視界から隠されているペンニードル内に最初に配置することができる。ニードルシールドが格納位置にスライドすると、インジケータを遠位ニードルシールドに接続できる。ニードルシールドが、インジケータを視認可能である伸長位置に移動すると、インジケータは遠位ニードルシールドとともに運ばれる。一実施形態では、インジケータが遠位ニードルシールドに結合されている場合、インジケータは、遠位ニードルシールドの壁を通して視認可能である。他の実施形態では、遠位ニードルシールドが伸ばされてロック位置に動かされると、インジケータはハブの開口部を通して視認可能である。
【0009】
ペンニードルは、ペンニードルが、使用後にニードルの非患者側端を覆うために所定の位置にロックすることができる近位ニードルシールドを含む、送達ペンまたは他の送達デバイスに取り付けることができる。非患者側端の近位ニードルシールドは、使用前は格納位置にあり、送達デバイスから分離した後、伸長位置に移動して、ニードルハブ内のニードルの非患者側の近位端を覆う。ニードルまたはカニューレの近位端を覆い、再利用を防ぐために、非患者側端の近位ニードルシールドを伸長位置にロックするためのロック機構を提供することができる。
【0010】
一実施形態のペンニードルは、ニードルまたはカニューレを支持するハブを含む。ハブの端にカバーを取り付けて、使用する準備ができるまで保管中にペンのニードルを覆うことができる。可動遠位ニードルシールドはハブに結合されており、使用中に引っ込めてニードルの患者側端を露出させることができ、使用後に外側に移動またはスライドさせることで展開して、ニードルの患者側端を覆い、さらなる使用または偶発的なニードル刺しを防ぐ。ばね部材などのバイアス部材を遠位ニードルシールドとハブとの間に設けて、ニードルシールドを遠位方向に外側にバイアスすることができる。
【0011】
一実施形態では、近位ニードルシールドは、ペンニードルが送達デバイスから分離されるときに、ニードルの非患者側の近位端を覆うためにペンニードルに結合される。遠位ニードルシールドをニードルの遠位端を覆う伸長位置に外側にバイアスし、第2の近位ニードルシールドを外側にバイアスしてニードルの近位端を覆うために、ばね部材などのバイアス部材がハブ内に提供される。一実施形態では、単一のばね部材が、遠位ニードルシールドおよび近位ニードルシールドをそれぞれの伸長位置にバイアスする。
【0012】
一実施形態では、ペンニードルは、送達デバイスに取り付けるための近位端および遠位端を有するハブと、ハブに結合され、ハブの遠位端から延在する遠位端およびハブの近位端。遠位ニードルシールドは、ニードルの遠位端を覆うための第1の伸長位置と、ニードルの遠位端を露出させ、ハブに設けられたインジケータに結合するための格納位置との間でハブ内をスライド可能である。遠位ニードルシールドは、インジケータがハブから分離し、遠位ニードルシールドが伸長位置にあるときにオペレータに見える第2の伸長位置にバイアスされている。
【0013】
一実施形態では、ペンニードルは、ハブの遠位端から延在する遠位端と、ハブの近位端にある近位端とを有するニードルを備えたハブを有する。遠位ニードルシールドは、ニードルを覆うための第1の伸長位置とニードルを露出させるための格納位置との間でハブに対して移動可能である。遠位ニードルシールドは、第2の伸長位置にバイアスされて、第1のニードルシールドを第2の伸長位置にロックして、ニードルの遠位端を覆う。近位ニードルシールドは、ペンニードルが送達デバイスから分離されたときにニードルの近位端を覆うために、格納位置から伸長位置にバイアスされる。ばねは、遠位ニードルシールドと係合して遠位ニードルシールドを伸長位置にバイアスする遠位端と、近位端が近位ニードルシールドを伸長位置にバイアスする近位端とを有する。
【0014】
一実施形態における第1の遠位ニードルシールドは、半径方向外向きに突出し、ハブの内面と係合する1つまたは複数の可撓性タブを含むことができる。使用中、最初のニードルシールドは、タブがハブの溝またはチャネルにスライドする場所で引っ込められると回転する可能性がある。タブはチャネルの凹部にスライドし、それによって遠位ニードルシールドをロック位置に保持する。
【0015】
ペンニードルは、本発明の特徴を含むことができ、患者側端で第1の遠位ニードルシールドを作動させてニードルの遠位端を覆うため、及び、使用後にニードルの近位端を覆うために非患者側端で第2の近位ニードルシールドを作動させるためのばねを含むことができる。
【0016】
一実施形態のペンニードルは、送達デバイスに取り付けるための近位端および遠位端を有するハブを含む。ニードルはハブに結合され、ハブの遠位端から延在する遠位端を有する。遠位ニードルシールドは、ニードルの遠位端を覆う伸長位置と、ニードルの遠位端を露出させる格納位置と、の間をスライドするために、ハブに取り付けられている。遠位ニードルシールドは、ニードルシールドが引っ込められたときに第1の角度位置から第2の角度位置まで回転可能であり、使用後、ニードルの遠位端を覆うためにロック位置まで直線方向に外側にスライドする。一実施形態では、遠位ニードルシールドは、ハブ上のカム面と協働して、格納位置への軸方向の動きによって遠位ニードルシールドを回転させる戻り止めを含む。遠位ニードルシールドを回転させると、遠位ニードルシールドのタブがハブのガイドチャネルに位置合わせされる。
【0017】
ペンニードルの特徴は、第1の遠位ニードルシールドのタブを、タブがチャネル内でスライドする位置に位置合わせし、遠位ニードルシールドを第2の伸長位置にロックするために、第1の遠位ニードルシールドを回転させる内部カム部材を有するハブを含む。
【0018】
患者に物質を注射するためなど、ペンニードルを使用する方法も提供される。この方法は、ニードルシールドを第1の伸長位置から格納位置に引っ込めてニードルを露出させ、ニードルシールドをハブに配置された視覚的インジケータに結合する。次に、ニードルシールドは、ニードルを覆うために第2の伸長位置に移動し、ニードルシールドをハブに配置された視覚的インジケータに結合して、ニードルシールドを伸長位置にロックする。
【0019】
ペンニードルは、遠位端を有するハブと、送達デバイスに取り付けるための近位端と、ハブに結合され、前記ハブの遠位端から延在する遠位端を有するニードルとを備える。遠位ニードルシールドはハブに結合され、ニードルの遠位端を覆うための第1の伸長位置と、患者に物質を注入するためのニードルの遠位端を露出させるための格納位置との間でスライド可能であり、第2の伸長位置は、ニードルの遠位端を覆う。遠位ニードルシールドは、遠位ニードルシールドがハブ内で第1の伸長位置から格納位置、第2の角度位置へとスライドする第1の角度位置からハブに対して軸方向の動きによって回転可能であり、遠位ニードルシールドは第2の角度位置は、ロック位置への第2の伸長位置に軸方向にスライドする。
【0020】
別の実施形態では、ペンニードルは、側壁、送達デバイスに取り付けるための近位端、および遠位端を有するハブを含む。ニードルは、ハブに結合され、ハブの遠位端から延在する遠位端と、ハブの近位端にある近位端とを有する。遠位ニードルシールドは、ニードルの遠位端を覆うための第1の伸長位置と、ニードルの遠位端を露出させるための格納位置と、ニードルの遠位端を覆うための第2の伸長位置の間でハブ内をスライドするためにハブに結合されており、遠位ニードルシールドは、第2の伸長位置にロックされている。近位ニードルシールドはハブの近位端に含まれ、ハブの開口部を通って伸びる。近位ニードルシールドは、ニードルの近位端が露出している格納位置と、ニードルの近位端が覆われている伸長位置と、から移動可能である。第2の伸長位置に対して遠位方向に遠位ニードルシールドをバイアスする第1の端部と、伸長位置に対して近位方向に近位ニードルシールドをバイアスする第2の端部とを有するばねが含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
以下は、図面の簡単な説明である。
【0022】
図1】ペンニードルの側面図である。
図2図1のペンニードルの分解図である。
図3】ペンニードルの断面斜視図であり、ニードルを覆う患者側端の第1のニードルシールドと、格納位置にある非患者側端の第2のニードルシールドを示している。
図4】非患者側のエンドニードルシールドの取り付け機構を示すペンニードルの断面図である。
図5】作動前のばねおよびインジケータを示すペンニードルの断面図である。
図6】シールドに結合されたインジケータを示す断面図である。
図7】伸長位置でシールドに結合されたインジケータを示す断面図である。
図8】ニードルシールドの軌道を示すスリーブの断面図である。
図9】伸長位置およびロック位置にあるシールドを示す断面図である。
図10】伸長位置にある第1及び第2のニードルシールドの断面図である。
図11】ペンニードルの非患者側端のニードルシールドを示す断面図である。
図12】壊れ易い部材を示す第2のニードルシールドの断面側面図である。
【0023】
図は縮尺どおりではなく、他の特徴を分かり易く説明するために、一部の図では省略されている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本明細書で使用される場合、「遠位」方向は注射部位の方向であり、「近位方向」は反対方向である。「軸方向」は、注射装置の縦軸に沿った方向である。ニードルカニューレは、一般に、デバイス内で軸方向に配置される。「半径方向」は、軸方向に垂直な方向である。したがって、「半径方向内側」とは、一般に、ニードルに近いことを意味する。「円周方向」とは、ねじ込み継手の端に円周方向にねじ山が配置されるように、円周方向に配置することを指す。ペンニードルの「上面」図は、ニードルの先のとがった端を見ている。実施形態の異なる特徴は、組み合わされた部品がデバイスおよびアセンブリの動作と矛盾しないか、または干渉しない限り、他の実施形態と組み合わせて使用され、使用され得る。
【0025】
本明細書では、投薬ペンまたは送達デバイスを使用して、通常、複数回投与の投薬を含む投薬コンパートメント、および別個のペンニードルを有するデバイスを指す。「ペンニードル」という用語は、ペンニードルアセンブリの近位端が投薬コンパートメントにアクセスし、遠位端が1回以上の注射を実行するために、注射部位への挿入に適合されるように、投薬ペン本体に取り付けられるニードル支持アセンブリを指す。「ニードル」および「カニューレ」という用語は、本明細書では互換的に使用され、対象の注射部位に挿入するための鋭利な端部を有する細い管状部材を指す。本明細書で使用される場合、「遠位」方向は注射部位に向かう方向であり、「近位」方向は反対方向である。「軸方向」とは、ニードルの縦軸に沿った、またはそれに平行なことを意味し、「半径方向」の方向は、軸方向に垂直な方向である。
【0026】
この開示は、その適用において、以下の説明に示されるか、または図面に示される構成の詳細および構成要素の配置に限定されない。本明細書の実施形態は、様々な方法で修正、実施、または実行することができる。また、本明細書中で使用する表現および用語は、説明のためのものであって、限定するものと見なすべきではない。本明細書における「含む」、「備える」、または「有する」、およびそれらの変形例の使用は、追加の項目と同様に、その後に列挙される項目、およびその均等物を包含することである。特に限定されない限り、本明細書における「接続」、「結合」、および「取り付け」という用語、およびそれらの変形例は、広範囲に用いられ、直接的および間接的な接続、結合、および取り付けを包含する。追加的に、「接続された」および「結合された」という用語、およびそれらの変形例は、物理的または機械的な、接続または結合に限定されない。さらに、上、下、下、上などの用語は相対的であり、図示を助けるためのものであるが、限定するものではない。実施形態は相互に排他的であることを意図しておらず、一実施形態の特徴は、それらが互いに矛盾しない限り、他の実施形態と組み合わせることができる。「実質的に」、「約」および「約」のような程度の用語は、当技術分野に熟練した者によって、所与の値の周囲およびそれを含む合理的な範囲、ならびに所与の値の外側の範囲、例えば、実施形態の製造、組立、および使用に関連する一般的な許容範囲を指すように理解される。構造または特性を指す場合の「実質的に」という用語は、構造内に大部分または完全に存在する特性を含む。
【0027】
図面を参照すると、ペンニードル10は、ニードルハブ12を含む。保管中にペンニードル10の上にフィットし、ペンニードル10を図1に示される送達ペン2などの送達デバイスに取り付けるのを助けるカバーを含めることができる。ニードルハブ12が使用の準備ができるまで無菌状態を維持するために、閉鎖または剥離タブが一般にカバーの開放端上に提供される。送達ペンは、インスリンなどの薬物を分配および送達するための、当技術分野で知られている標準的な送達ペンまたは他の薬物送達デバイスであってもよい。適切な送達ペンの例は、米国特許第9,774,844号に開示されており、この目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0028】
図1から図12に示される実施形態では、ペンニードル10は、ハブ12と、ハブ12の遠位端にある第1の遠位ニードルシールド14とを含む。一実施形態では、第2の近位ニードルシールド16がハブ12の近位端に設けられている。ハブ12は、遠位ニードルシールド14および近位ニードルシールド16を支持するように構成される。ハブは、一体のユニットであってもよいし、互いに結合された別個の構成要素から作られていてもよい。示される実施形態では、ハブ12は、適切な接続によって接続されたハブ本体34およびスリーブ36を含む。ハブ12は、近位の非患者側端20を規定する開放下端18と、ペンニードルの患者側端を形成する遠位端22とを含む。ハブ本体によって形成された開放下端18は、既知の方法で送達ペンに結合するために、図3に示される雌ねじ24を備えた側壁を有する。遠位端22は、ニードル28またはカニューレのための開口部26を有し、使用中の皮膚接触面を規定する。
【0029】
ニードル28は、近位端の遠位端に鋭利な先端を有する中空の鋼ニードルであってもよく、所望の深さまで皮膚を貫通し、患者に薬物を送達するためのゲージおよび長さを有する。ニードル28は、患者の皮膚を貫通するためにハブ12の遠位端から延在する鋭利な先端を備えた遠位端30を形成する患者側端を有する。ハブ12の近位端32は、通常の方法で送達デバイスから薬物または薬物を受け取るために、送達デバイス内の隔壁を貫通するように配置されている。遠位端30は、約3~10mm、典型的には約4~6mmの注入中にハブの遠位端から延在する露出した長さを有する。
【0030】
図3を参照すると、ペンニードル10は、ハブ12およびニードル28に対して移動するための遠位シールド14および近位シールド16を含む。図面では、他の要素を明確にするために、特定の構造的特徴および要素は各図に示されていない。ペンニードルは、図1および図2に示すように、各要素を含むことが理解される。ハブ12は、単一の部材であってもよく、または複数の部材として形成され、機械的結合、接着剤、溶接などによって一緒に結合され得る。図1に示される実施形態では、ハブ12は、送達デバイスと結合するための実質的に円筒形の形状を有する側壁を備えたハブ本体34を有する。示されるように、ねじ24は、ハブ本体34の側壁の内面に形成される。ハブ12は、ペンニードルの構成要素を受け入れて支持するために、ハブ本体34から延在するスリーブ36として示されるハウジングを含む。示される実施形態におけるスリーブ36は、フック40を備えたタブによってハブ本体34の上端または遠位端に結合された近位端38を有するが、スリーブ36をハブ本体34に結合する他の方法を使用することができる。スリーブ36は、ハブ本体34から延在して、ハブ12の遠位端22を形成する。開口部26は、スリーブ36の端部に形成されて、第1の遠位ニードルシールド14を受け入れる。スリーブ36は、ニードル28の遠位端30がスリーブの遠位端から延在して、注射中のニードルの露出長さを規定する長さを有する。
【0031】
図2から図4を参照すると、ハブ本体34は、スリーブ36と嵌合することができる上部遠位端に端壁46を有する。端壁46は、遠位方向に延在する支柱48を備えた遠位面を有する。支柱48は、図3に示されるように、ニードル28を受け入れて支持する軸方向通路50を有する。ニードル28は、通常の方法で接着剤によって支柱48に固定されている。示される実施形態では、支柱48は、図7に示されるように、実質的に円筒形の外面52を有する実質的に円筒形の構成を有する。ニードル28の遠位端は、支柱から突出して、注射中に皮膚の選択された深さまで患者の皮膚を貫通する距離をペンニードルから遠位に延在する。ニードル28の近位端は、ペンニードルが送達デバイスに取り付けられたときに送達デバイスのリザーバに接続するための距離をハブ本体34内に延在する。
【0032】
遠位ニードルシールド14は、ペンニードルの再利用を防止し、使用前後の不注意なニードル刺しを防止するために、ニードル28の遠位端30のためのシールドを形成する。示される実施形態における遠位ニードルシールド14は、スリーブ36によって規定されるハブ12の開放端内で、図3に示される伸長位置と図6に示される格納位置との間でスライドするように構成される。示される実施形態では、遠位ニードルシールド14は、軸方向通路54と、患者に注射するためのニードル28の遠位端30を露出させるための距離を後退させるための軸方向長さと、図7に示された伸長位置に移動したときにニードル28の遠位端を覆うための長さとを有する。遠位ニードルシールド14は、皮膚接触面を形成する遠位端58を備えた外壁56を有する。遠位ニードルシールドは、スリーブ36と結合するための結合機構を備えた近位端を有する。一実施形態では、結合機構は、スリーブ36の開放端で内向きに延在するリップ62に接触するための外向きに延在するタブ60である。図7に示されるように、リップ62に接触するために、複数の離間したタブ60が含まれる。タブ60は、遠位ニードルシールド14が伸長位置にあるときに遠位ニードルシールド14をスリーブ36内に保持するためにリップ62に接触するための寸法を有し、ニードルシールド14が格納位置と伸長位置との間をスライドできるようにする。
【0033】
遠位ニードルシールドを軸方向に伸長位置にバイアスするためのバイアス部材が含まれる。示される実施形態では、バイアス部材は、ニードルシールド14およびニードルシールド16を軸方向にそれぞれの伸長位置に外向きにバイアスするために、ハブ12のスリーブ36内に配置されたばね64である。図3に示されるように、ばね64は、ニードルシールド14に係合する第1の端部66であり、ニードルシールド16に係合する第2の端部68である。ばね64は、遠位ニードルシールド14と近位シールド16との間に延在するコイルばねとして示されているが、他のバイアス部材を使用して、ニードルシールドを伸長位置にバイアスすることができる。他の実施形態では、別個のバイアス部材を使用して、遠位ニードルシールドおよび近位ニードルシールドにバイアスをかけることができる。
【0034】
図8を参照すると、スリーブ36の内面は、スリーブの長手方向軸に対して傾斜して形成された傾斜カム面70を含むことができる。傾斜カム面70は、スリーブの内面から半径方向内側に突出する突起72によって形成される。カム面70は、突起72の第1の脚部74上に形成されている。第2の脚部76は、スリーブ36の長手方向軸に対して実質的に軸方向に延在する。図8に示すように、ニードルシールド14上に設けられた戻り止め91がカム面70に係合することにより、ニードルシールド14を軸方向内方に移動させると、戻り止め91が傾斜したカム面に係合し、ニードルシールド14をペンニードルの長手方向に回転させる。
【0035】
図8に示されるように、スリーブ36の内面は、傾斜したカム面70から円周方向に離間されたガイドチャネル78を含む。示される実施形態では、ガイドチャネル78は、スリーブ36の内面の反対側に形成される。示される実施形態におけるガイドチャネルは、軸方向に延在する平行なリブ80の間に形成される。停止部材82は、ガイドチャネル78内に形成され、ハブ12の近位端に面する傾斜面84を備えている。停止部材は、ガイドチャネル78の遠位端部分に凹部86を形成する。図10の実施形態に示すように、凹部86は、スリーブ36の壁を貫通して延びる開口部であり得る。示される実施形態では、ガイドチャネル78は、平行なリブ80によって形成される。他の実施形態では、チャネル78は、側壁の開口部が停止部材を形成するスリーブの内面に形成された軸方向に延在する凹部であり得る。
【0036】
図8に示すように、遠位ニードルシールド14は、使用後にニードルシールド14を固定位置にロックするためのロック部材を形成する脚部88を含む。脚部88は、遠位ニードルシールド14の近位端から軸方向に延在する。脚部88は、外向きに延在するタブ90を含む。図8に示すように、タブ90は、ペンニードルを使用する前の初期位置で、スリーブ36の軸方向リブ80の外面に配置されている。使用中、ニードル28が患者の皮膚を貫通している間、ニードルシールド14は、患者の皮膚に押し付けられて、ニードルシールド14を格納させる。ニードルシールド14は、図3に示される伸長位置から図6に示される格納位置まで軸方向に移動する。図8に示されるように、遠位ニードルシールド14の戻り止め91は、タブ90が図8に示される位置から矢印92で示すガイドチャネル78内にスライドするように、遠位ニードルシールド14の回転を引き起こす傾斜カム面70と係合して、タブ90が図6に示される格納位置までガイドチャネル78内をスライドするように、遠位ニードルシールド14の回転を引き起こす。リブ80の外面81は、ハブに対する遠位ニードルシールド14の回転運動によってタブ90をガイドチャネル78に案内するのを助けるために傾斜して形成されている。患者への薬剤の注射後、ニードル28は患者から引き抜かれ、それによって遠位ニードルシールド14は、ニードル28の遠位端の先端を覆うように伸長位置にバイアスされる。タブ90は、ガイドチャネル78内で、停止部材82の傾斜面84を越えて、凹部86内にスライドする。停止部材82は、タブ90に接触し、ペンニードルの使用後にニードルシールド14が格納位置にスライドするのを防ぐように構成された内面を有する。タブ90は、遠位ニードルシールドの軸方向の動きに抵抗するために凹部86と嵌合する。ガイドチャネル78の凹部が図10のような開口部である実施形態では、タブ90は開口部を通して視認可能であり、遠位ニードルシールドが伸長ロック位置にあることをユーザに視覚的に示す。タブ90は、ロック位置にあるタブの視覚化を強化するために、シールド36の色に対して対照的な色を有することができる。
【0037】
図3から図7を参照すると、インジケータ94は、ハブ12の空洞内に配置されて、ペンニードル10の使用後にユーザまたは患者に視覚的な表示を提供することができる。インジケータ94は、遠位ニードルシールドが伸長位置にあるときに、遠位ニードルシールドを通して視覚化することができる。示される実施形態では、インジケータ94は、環状側壁を有する実質的に円筒形のスリーブ96である。一実施形態では、スリーブ96は、ニードルの他の構成要素または他の視覚的しるしに関して対照的な色を有する。インジケータスリーブ96は、支柱48の外側寸法を補完する内側寸法を有する近位端98を有する。インジケータスリーブ96は、摩擦嵌合によって支柱48に適合し、ペンニードルの製造および保管中にスリーブ96を所定の位置に保持し、展開されるまでインジケータスリーブの動きを阻止する。示される実施形態では、インジケータ94はばね64によって囲まれている。
【0038】
図3から図7を参照すると、示される実施形態では、遠位ニードルシールド14は、ニードルシールド14の軸方向開口部54を規定する内側環状壁100を有する。環状壁100は、半径方向内側に間隔を置いて配置され、ニードルシールド14の外壁56と同心である。ばね64を受け入れるための環状凹部102が、外壁56と内壁100との間に形成される。環状壁100は、インジケータスリーブ96の内側寸法を補完する寸法を有する外面を有する。環状壁100の近位端は、環状壁をスリーブ96の軸方向通路に案内するための面取りされた表面または縁部104を有する。環状壁100の外面は、スリーブを環状壁に結合するために、スリーブ96の内面と摩擦嵌合を形成する寸法を有する。環状壁100の外面は、スリーブ96が環状壁100上に保持され、遠位ニードルシールドが伸長位置にスライドするときにインジケータが遠位ニードルシールドによって運ばれるように、スリーブ96と支柱48との間の把持力よりも大きい把持力を有するスリーブ96との把持摩擦嵌合を形成する。
【0039】
示される実施形態における遠位ニードルシールド14は、図10に示すように、インジケータスリーブ96が環状凹部102内に配置されたとき、インジケータスリーブ96が、遠位ニードルシールドの外壁を通して患者に見えるように、十分に透明または半透明にすることができる。インジケータスリーブ96は、最初はハブ本体12のスリーブ36内に向けられており、患者には見えない。通常、スリーブ36は不透明であるため、インジケータスリーブ96は見えない。使用中、遠位ニードルシールド14は、患者の皮膚に押し付けられて、ニードルシールドを図6に示される格納位置に移動させ、そこで環状壁100がインジケータスリーブ96の軸方向通路に滑り込む。ニードルシールド14は、図7に示される伸長位置にバイアスされ、遠位ニードルシールドのタブ90は、使用後に遠位ニードルシールドをロックするために凹部86によって捕捉されるように、遠位ニードルシールド14とインジケータスリーブ96との間の把持力は、スリーブ96を支柱48から分離することを可能にする。環状凹部102に配置されたスリーブ96は、ニードルシールド14の外壁56を通して視認可能であり、ペンニードルが使用され、ニードルシールド14がロック位置に展開されていることを患者またはユーザに視覚的に示す。
【0040】
近位ニードルシールド16は、ハブ本体34内に配置され、端壁46と開いた近位端38との間に向けられたベース106を含む。ベース106は、ニードル28の近位端の周りをスライドするための中央開口部108を有する。脚部110は、ベース106からハブ本体の端壁46の開口部109を通って遠位方向に延在して、ばね46の近位端と係合する。
【0041】
図12に示されるように、可撓性アーム120は、脚部110に接続された端部を有し、ベース106に向かって延在する。クリップ122を形成する戻り止めは、アーム120から内側に突出して、ハブ本体34の端壁46の上面と係合する。クリップ122は、ばね64の力に抗してニードルシールド16を格納位置に保持するために、端壁46に接触する。図12を参照すると、壊れ易い部材112は、図4および図12に示されるように、ばねのバイアス力に対してベース106および近位ニードルシールド16を格納位置に保持するために、ベース106と可撓性アーム120との間に延在する。アーム120の外側遠位端は、端壁46の底面に向けられた内向きに延在するタブ124を有する。タブ124の端部は、図12に示されるように、壊れ易い部材112で形成されている。タブ124の遠位面は、端壁46の底面と係合する傾斜したカム面126を形成する。送達デバイスは、送達デバイスの端部がベース106と係合し、ベース106を端壁46に向かって押し付けるように、ハブ本体34に接続されている。ベース106の移動は、カム面126を端壁46の開口部109の縁と接触させ、アーム120を外側に強制的に押し出し、クリップ122を端壁46から離間させ、壊れ易い部材112を破断させる。アーム120は半径方向外向きにバイアスされ、その結果、壊れ易い部材112を破断すると、アーム120が半径方向外向きに跳ね上がり、クリップ122を端壁46から分離し、近位ニードルシールドが伸長位置に移動できるようになる。送達デバイスがハブ本体34から分離するとき、ばねは、ニードルシールド16を図7に示される伸長位置にバイアスする。
【0042】
脚部110は、近位ニードルシールド16が展開されるときにハブ本体の壁の遠位面に係合するための停止部材114を備えた遠位端を有し、それにより、展開時にニードルシールド16が移動する距離を制限する。可撓性リブ116は、脚部110から半径方向外向きに延在する。近位ニードルシールド16のベース106は、図4に示されるように、最初はハブ本体の壁から離間されている。ハブ本体は、ベース106が送達デバイスの端部に係合するように、ねじ接続24によって送達デバイスに取り付けられている。ハブ本体を送達デバイスに通すことにより、ベース106をハブ本体の壁46に向かって圧縮して、壊れ易い部材112を破断する。送達デバイスから薬剤を患者に注射した後、ハブ本体は送達デバイスから分離される。図8に示されるように、ばね64は、近位ニードルシールドをハブ本体の近位端に向かってバイアスして、ベース106をニードルの近位端上にスライドさせる。停止部材114は、ハブ本体の端壁46の上面と係合して、ニードルシールドが伸長位置にさらに滑る動きを防止する。可撓性リブ116は、端壁46の開口部109を通ってスライドし、可撓性リブがハブ本体の端壁を通過するときに外側に跳ね返るように外側にバイアスされる。可撓性リブ116は、図11に示されるように、使用後のシールド16の格納を防ぐために近位ニードルシールドが伸長位置にあるときに、ハブ本体の端壁の底面に係合するように外向きに跳ね上がる遠位面118を有する。
【0043】
実施形態では、ハブおよびシールドの構成要素は、典型的には、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの射出成形プラスチックである。ニードルは外科用グレードのステンレス鋼にすることができる。投薬ペン技術の当業者に知られている他の材料および製造方法は、本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書での使用に適合させることができる。部品を組み立てるには、ハブアセンブリをニードルで個別に構築し、インターフェイス領域に接着剤を塗布してカニューレをハブに固定し、このサブアセンブリを他のコンポーネントと組み立てる。
【0044】
好ましい実施形態の前述の説明は、以下の特許請求の範囲によって定義される本発明を限定すると見なされるべきではない。前述の説明は、当業者に、説明された実施形態の変形を実践するのに十分な情報を提供するはずである。従属請求項に記載されている、または一実施形態に関連して記載されている特徴および改善は、本発明の範囲から逸脱することなく、それらと矛盾しない限り、別の独立請求項または別の実施形態のものと組み合わせることができる。
図1
図2
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図12