(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】エレベータ用操作装置、及び該エレベータ用操作装置を備えるエレベータ
(51)【国際特許分類】
B66B 1/46 20060101AFI20231106BHJP
【FI】
B66B1/46 A
(21)【出願番号】P 2021017587
(22)【出願日】2021-02-05
【審査請求日】2021-02-05
【審判番号】
【審判請求日】2021-11-16
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】田中 大介
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】尾崎 和寛
【審判官】中屋 裕一郎
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第212127151(CN,U)
【文献】特開2013-124166(JP,A)
【文献】特開2022-64461(JP,A)
【文献】実公平4-51404(JP,Y2)
【文献】特開平9-120761(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00-3/02
H01H 13/00-13/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に表示部が設けられた可動する押しボタンと、
前記押しボタンを可動させる可動機構と、
前記押しボタンの作動に伴って操作されるスイッチ本体と、を備え、
前記押しボタンの裏面に対向して離れた位置に、前記押しボタンから離間した所定位置に利用客の指先が到達したことを検知する非接触式の検知手段を1つのみ備え、
前記検知手段による検知領域が前記表示部の中心から水平方向前方に設定されるように前記検知手段から
前記押しボタンの前記表示部下方の表面を透過して照射されるビームが、前記押しボタンの表面と直交する方向に対し、前記押しボタンの上下方向上側に向かって傾斜した方向に延び、
前記利用者の指先に反射したビームが、前記押しボタンの表面と直交する方向に対し、前記押しボタンの上下方向下側に向かって傾斜した方向に延びて、前記押しボタンの前記表示部下方の表面を透過して前記検知手段に帰り、
前記押しボタンの正面視において前記検知手段と重ならない位置に前記検知領域を形成される、
エレベータ用操作装置。
【請求項2】
前記検知手段が光電センサである
請求項1に記載のエレベータ用操作装置。
【請求項3】
前記光電センサから照射されるビームが、前記光電センサと前記押しボタンの間に設けられたプリズムによって、前記押しボタンの表面と直交する方向に対し、前記押しボタンの中央側に向かって傾斜した方向に屈折する
請求項2に記載のエレベータ用操作装置。
【請求項4】
前記検知手段は、前記押しボタンの表面と直交する方向に対し、前記押しボタンの中央側に向かって傾斜して設けられた
請求項1又は2に記載のエレベータ用操作装置。
【請求項5】
前記検知手段と前記押しボタンの間に、前記押しボタンの表面と直交する方向に対し、前記押しボタンの中央側に向かって傾斜した反射板を備えた
請求項1又は2に記載のエレベータ用操作装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載のエレベータ用操作装置を備える
エレベータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衛生面に配慮したエレベータ用操作装置、及び該エレベータ用操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来エレベータ用操作装置として、例えば、特許文献1に記載された照光押しボタンスイッチが用いられていた。
【0003】
一方、衛生面での需要からエレベータ用操作装置に触れることなく、操作を行うことができる非接触のエレベータの登録ボタンが知られている(例えば、特許文献2、3及び4)。これらの非接触のエレベータの登録ボタンは、乗客による呼び登録の操作を、距離センサや光電センサによって非接触で検出することとしている。
【0004】
ところで、視覚障害のある利用者等にとっては、上記のような非接触のエレベータの登録ボタンよりも押しボタンなどで構成されたエレベータ用操作装置の方が誤操作のおそれが少なく利用しやすい。
【0005】
これらの事情から非接触のエレベータの登録ボタン及び押しボタン双方のエレベータ用操作装置を乗場やかご内に併設する場合には、いずれか一方のエレベータ用操作装置のみを設置する場合と比較してより大きな設置スペースが必要となるため設置困難な場合がある。
【0006】
そこで、エレベータのかご及び乗場に、行先階登録を行うための操作を受けつけるとともに、押し操作によって行先階の登録がなされたことを報知する登録報知部が設けられた接触式のエレベータ用押しボタンと、接触式のエレベータ用押しボタンに隣接配置され、所定動作を非接触で検出することにより行先階登録を受けつける非接触式の検知手段とを備えたエレベータ用操作装置をそれぞれ設置する場合がる(例えば、特許文献5)。
【0007】
しかしながら、従来の接触式のエレベータ用押しボタンスイッチと、接触式のエレベータ用押しボタンスイッチに隣接配置された非接触式の検知手段を備えるエレベータであっても、省スペース化するには限界があり、例えば、停止数の多い場合など、接触式のエレベータ用押しボタンスイッチ及び非接触式の検知手段がスペース的に配置できない場合があった。
【0008】
そこで、可動する押しボタンと、押しボタンを可動させる可動機構と、押しボタンの作動に伴って操作されるスイッチ本体とを備え、押しボタンの裏面に対向する位置に、押しボタンから離間した所定位置に利用客の指先が到達したことを検知する非接触式の検知手段を備えたエレベータ用操作装置とする場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特許第6809629号公報
【文献】特開2016-004767号公報
【文献】特開2005-263378号公報
【文献】特開2013-124166号公報
【文献】特開2015-151253号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、可動する押しボタンと、押しボタンを可動させる可動機構と、押しボタンの作動に伴って操作されるスイッチ本体とを備え、押しボタンの裏面に対向する位置に、押しボタンから離間した所定位置に利用客の指先が到達したことを検知する非接触式の検知手段を備えたエレベータ用操作装置とした場合、非接触式の検知手段でかご呼び又は乗場呼びを行おうとする乗客が、押しボタンの表示部に表示された数字やマーク等に向かって指先をかざすことがあり、表示部と異なる表面の一部に形成される検知手段の検知領域から指先が外れ、指先が検知手段によって検知されないおそれがあった。
【0011】
本発明は、非接触式の検知手段を一体で設けた押しボタンスイッチを備えたエレベータ用操作装置において、検知手段による検知漏れを抑制したエレベータ用操作装置及び該エレベータ用操作装置を備えたエレベータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るエレベータ用操作装置は、表面に表示部が設けられた可動する押しボタンと、押しボタンを可動させる可動機構と、押しボタンの作動に伴って操作されるスイッチ本体と、を備え、押しボタンの裏面に対向して離れた位置に、押しボタンから離間した所定位置に利用客の指先が到達したことを検知する非接触式の検知手段を1つのみ備え、検知手段による検知領域が表示部の中心から水平方向前方に設定されるように検知手段から前記押しボタンの前記表示部下方の表面を透過して照射されるビームが、押しボタンの表面と直交する方向に対し、押しボタンの上下方向上側に向かって傾斜した方向に延び、前記利用者の指先に反射したビームが、前記押しボタンの表面と直交する方向に対し、前記押しボタンの上下方向下側に向かって傾斜した方向に延びて、前記押しボタンの前記表示部下方の表面を透過して前記検知手段に帰り、押しボタンの正面視において検知手段と重ならない位置に検知領域が形成される。
【0013】
また、本発明に係るエレベータ用操作装置は、検知手段が光電センサであっても良い。
【0014】
また、本発明に係るエレベータ用操作装置は、光電センサから照射されるビームが、光電センサと押しボタンの間に設けられたプリズムによって、押しボタンの表面と直交する方向に対し、押しボタンの中央側に向かって傾斜した方向に屈折しても良い。
【0015】
また、本発明に係るエレベータ用操作装置は、検知手段が、押しボタンの表面と直交する方向に対し、押しボタンの中央側に向かって傾斜して設けられても良い。
【0016】
また、本発明に係るエレベータ用操作装置は、検知手段と押しボタンの間に、押しボタンの表面と直交する方向に対し、押しボタンの中央側に向かって傾斜した反射板を備えても良い。
【0017】
また、本発明に係るエレベータは、前記エレベータ用操作装置を備える。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るエレベータ用操作装置、及び該エレベータ用操作装置を備えるエレベータによれば、非接触式の検知手段を一体で設けた押しボタンスイッチを備えたエレベータ用操作装置において、検知手段による検知漏れを抑制したエレベータ用操作装置及び該エレベータ用操作装置を備えたエレベータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態であるエレベータの全体構成図である。
【
図2】本発明の一実施形態であるエレベータの乗りかご内の構成を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態であるエレベータ用操作装置の構成を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態であるエレベータ用操作装置に用いるエレベータ用押しボタンスイッチの正面図である。
【
図5】本発明の一実施形態であるエレベータ用操作装置に用いるエレベータ用押しボタンスイッチの一部構成を省略した端面図である。
【
図6】本発明の他の実施形態であるエレベータ用操作装置に用いるエレベータ用押しボタンスイッチの一部構成を省略した端面図である。
【
図7】本発明のさらに他の実施形態であるエレベータ用操作装置に用いるエレベータ用押しボタンスイッチの一部構成を省略した端面図である。
【
図8】本発明に係るエレベータ用操作装置に用いるエレベータ用押しボタンスイッチの概略回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態であるエレベータ1について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、図中に示す「X」は駆動シーブ180の軸方向と直交する水平方向Xを示し、「Y」は上下方向Yを示し、「Z」は水平方向X,および上下方向Yに各々直交する水平方向Zを示すものとする。
【0021】
図1に示すように、エレベータ1は、昇降路120の最上部に機械室140を有するトラクション式エレベータである。機械室140に設置された巻上機160の駆動シーブ180には、主ロープ200が掛けられており、この主ロープ200の一端部にエレベータかご5が連結され、他端部に釣合錘240が連結されている。また、機械室140には、エレベータ1の動作を制御する制御装置110が設けられている。
【0022】
巻上機160のモータ170からの回転動力が、動力伝達機構(不図示)を介して駆動シーブ180に伝達され、駆動シーブ180が回転駆動されるとこれに伴って主ロープ200が走行し、主ロープ200に吊り下げられたエレベータかご5が、ガイドレール210に案内されて昇降路を上下方向Yに移動する。
【0023】
エレベータ1が設置された建物には、異なる階毎に乗場260A,260Bが設けられており、エレベータ1の運転中、エレベータかご5は、現在、着床している階の乗場(
図1では、乗場260B)から、次の行先階の乗場(例えば、乗場260A)までの昇降移動を繰り返す。
【0024】
図2は、エレベータかご5内のかご扉3,3周辺の構成を示す斜視図である。かご扉3,3の左右には袖壁4,4が設けられている。また、一方の袖壁4には、エレベータ用操作装置2が設けられている。エレベータ1の利用者が、このエレベータ用操作装置2を操作することにより、エレベータかご5の行先階が決定される。
【0025】
図3は、エレベータ用操作装置2の構成を示す正面図である。
図3に示すように、エレベータ用操作装置2は、エレベータかご5の行先階を決定する入力操作を行う機能を有する行先階登録押しボタンスイッチ8が表板21の中央部付近に設けられている。また、行先階登録押しボタンスイッチ8の下方には、扉を開く開押しボタンスイッチ9、扉を閉める閉押しボタンスイッチ10、及び非常時に外部に通報するための非常呼び押しボタンスイッチ11が設けられている。本発明においてこれらの行先階登録押しボタンスイッチ8、開押しボタンスイッチ9、閉押しボタンスイッチ10、及び非常呼び押しボタンスイッチ11を総称してエレベータ用押しボタンスイッチ7と称する。
【0026】
表板21の上部には、エレベータかご5の進行方向及びエレベータかご5の位置を表示する情報表示部6が設けられている。また、表板21の下部には、エレベータ1の運転を入り切りするスイッチ(不図示)や照明の入り切りするスイッチ(不図示)等を内蔵するスイッチボックス12が設けられている。また、エレベータ用操作装置2の表板21の裏面側には、音声を出力するスピーカー24が内蔵されている。
【0027】
図4は、エレベータ用押しボタンスイッチ7(押しボタンスイッチ107、207も同様)の押しボタン13部分の構成を示す正面図である。押しボタン13の表面には、行先階、開くマーク、閉めマーク及び非常呼びマーク(電話、ベル、SOS等)が表示される表示部22が設けられている。また、押しボタン13は、押しボタン13から所定距離離れた位置にある利用者の指等を検知する検知領域を有する。前記検知領域は、押しボタン13の表面の一部の領域である。
【0028】
図5は、エレベータ用押しボタンスイッチ7の一部構成を省略した端面図である。エレベータ用押しボタンスイッチ7は、表板21の開口に嵌設されるボタンガイド14と、利用者によって操作される押しボタン13とを有している。
【0029】
また、エレベータ用押しボタンスイッチ7は、押しボタン13の裏面と対向する位置に、プリント基板16を有する。プリント基板16は、エレベータ用押しボタンスイッチ7のケース15の内側底部に、図示しないネジ又は樹脂フックなどで固定されている。プリント基板16の押しボタン13の裏面と対向する面には、押しボタン13の操作によってONするスイッチ本体17と、押しボタン13から所定距離離れた位置にある利用者の指等を検知する検知手段18と、スイッチ本体17がONしたこと又は検知手段18が検知したことを発光することによって報知する複数のLED19が取り付けられている。
【0030】
また、エレベータ用押しボタンスイッチ7は、押しボタン13裏面の検知手段18と対向する位置にプリズム23を備える。プリズム23は、検知手段18から押しボタン13の裏面の水平方向に向かって照射されたビームB(
図5では2点鎖線)を屈折角θ
1で上下方向Yの上側(押しボタンの中央側)に向かって屈折させる。
【0031】
屈折角θ1は、後述する検知領域Pを表示部22の中心から水平方向X前方に設定し、検知領域Pの第一所定距離L1部分から第二所定距離L2部分に亘ってビームBが通過する角度とすることが好ましい。
【0032】
斯かる構成によれば、非接触式の検知手段18を一体で設けた押しボタンスイッチ7を備えたエレベータ用操作装置2において、表示部22の中心から水平方向X前方に検知領域Pが設定されるため、検知手段18による検知漏れを抑制したレベータ用操作装置2を提供することができる。
【0033】
なお、本実施形態(
図5)においては、プリズム23を押しボタン13裏面に接して検知手段18と対向する位置に設けたが、プリズム23は、検知手段18の押しボタン13側の面に接し、又は離間してプリント基板16上に設けられても良い。
【0034】
図8は、本発明の一実施形態であるエレベータ用操作装置に用いるエレベータ用押しボタンスイッチの概略回路図である。スイッチ本体17と検知手段18は並列に接続される。
【0035】
斯かる構成によれば、スイッチ本体17と検知手段18は並列に接続されるため、いずれか一方が導通した信号を出力することが可能となり、信号用の電線を減ずることができる。
【0036】
図5において、スイッチ本体17はタクトスイッチであるが、マイクロスイッチ、ラバー接点やリーフスイッチ等、公知の他のスイッチであっても良い。また、
図5において、検知手段18は光電センサ(PHS:photoelectric sensor)であるが、押しボタン13から所定距離離れた位置にある利用者の指等を検知できるものであれば、距離センサ、超音波センサ、ミリ波センサ等、公知の他のセンサであっても良い。
【0037】
また、エレベータ用押しボタンスイッチ7は、押しボタン13の裏面側に、押しボタン13を水平方向Xに可動させる可動機構20を有する。
図5において、可動機構20は、複数の圧縮バネである。圧縮バネは、押しボタン13とケース15の間に配置される。また、圧縮バネは、押しボタン13が操作されていないとき、所定の長さに圧縮され、押しボタン13を水平方向X前方に向かうように力を加えている。なお、可動機構20は、リンク機構やゴム等、押しボタン13をX方向に可動させることが可能なものであれば、公知の他の機構であっても良い。
【0038】
また、
図5の検知手段18は、赤外線式光電センサの場合、押しボタン13の表面の一部は赤外線を透過可能に構成される。
【0039】
本実施形態では、センサの感度を調整し、予め設定されている
検知領域Pの物体を検出可能に構成されている。ここで、
図5は、押しボタン13と
検知領域Pの位置関係を示す模式図である。また、
図5では、ハッチングを付して
検知領域Pを図示している。
【0040】
図5に示すように、
検知領域Pは、表板21から水平方向Xに第1所定距離L1だけ離れた位置から水平方向Xに第2所定距離L2だけ離れた位置までを含む空間領域に設定される。また、検知領域Pは、押しボタン13の水平方向Xの投影面の範囲内に収まる空間領域であり、かつ検出手段18の水平方向X前方と離れた空間である。これにより、エレベータ用操作装置2の複数の押しボタンスイッチ7相互の間隔を狭くして設置した場合であっても、検知手段18の誤反応を低減することができる。
【0041】
第1所定距離L1としては、2cm≦L1≦3cmとなるように設定するのが好ましい。これにより、視覚障害のある利用者が押釦の位置を手探りで探すような場合において、利用者の指などにセンサが反応して行先階が誤って過誤登録されるのを抑制できる。
【0042】
また、第2所定距離L2としては、4cm≦L2≦10cmとなるように設定するのが好ましい。これにより、エレベータかご5内が混雑しているときなどに乗客の身体の一部や持ち物などを検知手段18が誤検知し難くできる。この結果、エレベータかご5内が混雑しているときなどに乗客の身体の一部や持ち物などが検知領域Pに近接し行先階が誤って登録されるのを抑制できる。
【0043】
上記
検知領域Pに利用者が指先等をかざすなどの所定動作を行うことで検知手段18が予め設定された時間だけ遮光を検知すると、制御装置110(
図1参照)に検出信号が送信され、行先階の登録がなされる。そして、行先階の登録がなされると、LED19が点灯する。これにより、利用者に行先階の登録がなされたことを報知できる。
【0044】
上記構成からなるエレベータ用操作装置2は、機械室140(
図1参照)に設置された制御装置110と電気的に接続されている。制御装置110は、エレベータ1の運転制御全般を統括して行うコンピュータであり、CPU(不図示)や、メモリ、HDDなどの記憶デバイス(不図示)を備える。記憶デバイスには、例えば、巻上機160の駆動制御、かご扉3,3の開閉制御などを行うための各種制御プログラムが格納されている。CPUが、これらのプログラムを読み出して実行することにより、制御装置110によるエレベータ1の円滑な運転が実現される。
【0045】
上記構成を有するエレベータ1では、エレベータかご5の行先階登録に関する制御も制御装置110によって行われる。制御装置110のメモリには、エレベータかご5の行先階登録に関する制御プログラムが格納されており、CPUが当該制御プログラムをメモリから読み出し、かご22の行先階登録を制御する。
【0046】
以上により、本発明に係るエレベータ用操作装置2は、可動する押しボタン13と、前記押しボタン13を可動させる可動機構20と、前記押しボタン13の作動に伴って操作されるスイッチ本体17と、を備え、前記押しボタン13の裏面に対向する位置に、前記押しボタン13から離間した所定位置に利用客の指先が到達したことを検知する非接触式の検知手段18を備え、前記検出手段18は、前記押しボタン13の表面と直交する方向に対し、前記押しボタン13の中央側に向かって傾斜した方向を検知する。
【0047】
斯かる構成によれば、非接触式の検知手段を一体で設けた押しボタンスイッチ7、107、又は207を備えたエレベータ用操作装置2において、乗客の指等が押しボタン13の中央側にかざされた場合であっても検知手段18、28によって検知されやすくなり、検知手段18、28による検知漏れを抑制したエレベータ用操作装置2を提供することができる。
【0048】
また、本発明に係るエレベータ用操作装置2は、前記検知手段18、28が光電センサであっても良い。
【0049】
斯かる構成によれば、利用者が押しボタン13表面の一部の検知領域を透過した赤外線等が遮断されることを確実に検知し、行先階の登録等を行うことができるため、エレベータ用操作装置2の大型化を抑制しつつ利用者の利便性を向上させることが可能なエレベータ用押しボタンスイッチ7を提供することができる。
【0050】
また、本発明に係るエレベータ用操作装置2は、前記光電センサ(検知手段18)から照射されるビームBが、前記光電センサ(検知手段18)と前記押しボタン13の間に設けられたプリズム23によって、前記押しボタン13の表面と直交する方向(水平方向X)に対し、前記押しボタン13の中央側に向かって傾斜した方向に屈折しても良い。
【0051】
斯かる構成によれば、光電センサ(検知手段18)から照射されるビームBを確実に押しボタン13の中央側に照射することが可能となり、乗客の指等が押しボタン13の中央側にかざされた場合であっても検知手段18によって検知されやすくなり、検知手段18による検知漏れを抑制したエレベータ用操作装置2を提供することができる。
【0052】
また、本発明に係るエレベータ1は、前記エレベータ用操作装置2を備える。
【0053】
斯かる構成によれば、非接触式の検知手段18を一体で設けた押しボタンスイッチ7を備えたエレベータ用操作装置2において、乗客の指等が押しボタン13の中央側にかざされた場合であっても検知手段18によって検知されやすくなり、検知手段18による検知漏れを抑制したエレベータ1を提供することができる。
【0054】
なお、本発明に係るエレベータ用押しボタンスイッチを備えるエレベータ用操作装置2、及び該エレベータ用操作装置を備えるエレベータ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、エレベータ用押しボタンスイッチを備えるエレベータ用操作装置2、及び該エレベータ用操作装置を備えるエレベータ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0055】
(1)上記実施形態に係るエレベータ用操作装置2は、かご操作盤として説明したが、乗場操作盤であっても同様の効果を得ることができることは勿論である。
【0056】
(2)また、上記実施形態に係るエレベータ1は、機械室付エレベータとして説明したが、機械室無しエレベータであっても同様の効果を得ることができることは勿論である。
【0057】
(3)また、上記実施形態に係るエレベータ用操作装置2は、表示部22が押しボタン13の表面と同一高さで示されている構成である。しかしながら、エレベータ用操作装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、表示部22は、凸文字(マーク)であっても良い。
【0058】
(4)また、上記実施形態に係るエレベータ用登録装置2に用いるエレベータ用押しボタンスイッチ7、107、207は、スイッチ本体17と検知手段18、28は並列に接続される。しかしながら、エレベータ用操作装置2は、斯かる構成に限られない。例えば、エレベータ用押しボタンスイッチ7、107、207は、スイッチ本体17と検知手段18、28がそれぞれ独立した回路構成とし、いずれか一方が導通した信号を出力するとしても良い。
【0059】
(5)また、上記実施形態に係るエレベータ用操作装置2は、プリズム23によって、検知手段18から押しボタン13の裏面に向かって垂直(略垂直も含む)に照射されたビームB(
図5では2点鎖線)を屈折角θ
1で上下方向Yの上側(押しボタンの中央側)に向かって屈折させる構成である。しかしながら、エレベータ用操作装置2は、斯かる構成に限られない。
【0060】
例えば、
図6において、検知手段28が、押しボタン13の表面と直交する方向に対し、押しボタン13の中央側に向かって傾斜して設けられる、という構成でも良い。具体的には、検知手段28は、押しボタン13の裏面に向かって傾斜角θ
2で上下方向Yの上側(押しボタンの中央側)にビームB(
図6では2点鎖線)を照射する。そのため、検知手段28は、検知手段28を傾斜して取付けるためのスペーサー29を介して、プリント基板16の押しボタン13側の表面に固定される。スペーサー29は、上下方向Y上方から下方に向かって角度θ
2で末広がりとなるようように傾斜している。
【0061】
傾斜角θ2は、表示部22の中心から水平方向X前方に向かって設定された検知領域Pの第一所定距離L1部分から第二所定距離L2部分に亘ってビームBが通過する角度とすることが好ましい。
【0062】
斯かる構成によれば、非接触式の検知手段28を一体で設けた押しボタンスイッチ107を備えたエレベータ用操作装置2において、表示部22の中心から水平方向X前方に検知領域Pが設定されるため、検知手段28による検知漏れを抑制したエレベータ用操作装置を提供することができる。
【0063】
(6)また、例えば、
図7において、検知手段18と押しボタン13の間に、押しボタン13の表面と直交する方向に対し、押しボタン13の中央側に向かって傾斜した反射板30を備える、という構成でも良い。具体的には、反射板30によって、検知手段18から押しボタン13の裏面に向かって垂直(略垂直も含む)に照射されたビームB(
図7では2点鎖線)を反射角θ
3で上下方向Yの上側(押しボタンの中央側)に向かって反射させる。反射板30は、ビームBを反射角θ
3で反射させるように傾斜した反射部31とプリント基板16に固定するための固定部32を備える。反射部31は、検知手段18の水平方向X前方に、押しボタン13の中央側に向かって傾斜して配置される。反射部31の反射面は、例えば鏡面である。
【0064】
反射角θ3は、表示部22の中心から水平方向X前方に向かって設定された検知領域Pの第一所定距離L1部分から第二所定距離L2部分に亘ってビームBが通過する角度とすることが好ましい。
【0065】
斯かる構成によれば、非接触式の検知手段18を一体で設けた押しボタンスイッチを備えたエレベータ用操作装置において、表示部22の中心から水平方向X前方に検知領域Pが設定されるため、検知手段18による検知漏れを抑制したエレベータ用操作装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 エレベータ
2 エレベータ用操作装置
3 かご扉
4 袖壁
5 エレベータかご
6 情報表示部
7,107,207 押しボタンスイッチ
8 行先階登録押しボタンスイッチ
9 開押しボタンスイッチ
10 閉押しボタンスイッチ
11 非常呼び押しボタンスイッチ
12 スイッチボックス
13 押しボタン
14 ボタンガイド
15 ケース
16 プリント基板
17 スイッチ本体
18、28 検知手段
19 LED
20 可動機構
21 表板
22 表示部
23 プリズム
29 スペーサー
30 反射板
31 反射部
32 固定部
110 制御装置
120 昇降路
140 機械室
160 巻上機
170 モータ
180 駆動シーブ
200 主ロープ
210 ガイドレール
240 釣合錘
260A,260B 乗場
L1 第1所定領域
L2 第2所定領域
P 検知領域
θ1 屈折角
θ2 傾斜角
θ3 反射角