(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】車両制御システム、車両制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
B60W 50/08 20200101AFI20231106BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20231106BHJP
B60W 40/08 20120101ALI20231106BHJP
B60W 30/182 20200101ALI20231106BHJP
【FI】
B60W50/08
B60W60/00
B60W40/08
B60W30/182
(21)【出願番号】P 2021182517
(22)【出願日】2021-11-09
【審査請求日】2022-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健之
(72)【発明者】
【氏名】山崎 亮
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-49872(JP,A)
【文献】特開2020-40581(JP,A)
【文献】特開2020-140407(JP,A)
【文献】特開2020-166667(JP,A)
【文献】特開2021-62804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 10/00-10/30
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者による車両の操舵操作を受け付ける操舵操作子と、
前記車両の運転者による前記操舵操作子の把持状態を検出する把持検出部と、
前記車両の操舵および加減速に関する走行制御を行う走行制御部と、
前記把持状態に基づいて前記走行制御の実行有無または実行度合いを決定する決定部と、
を備え
、
前記把持検出部は、前記操舵操作子を分割した複数の部位ごとに前記把持状態を検出し、
前記決定部は、前記操舵操作子が把持されていることが検出された部位が多くなる程、実行される前記走行制御を制限し、または前記走行制御の実行度合いを小さくする、
車両制御システム。
【請求項2】
前記把持検出部は、前記操舵操作子の上方の第1把持部位と、前記操舵操作子の右方の第2把持部位と、前記操舵操作子の下方の第3把持部位と、前記操舵操作子の左方の第4把持部位とのそれぞれにおける前記把持状態を検出し、
前記決定部は、前記運転者による前記操舵操作子の把持位置および把持数に基づいて、
前記走行制御の実行有無または前記走行制御の実行度合いを決定する、
請求項
1に記載の車両制御システム。
【請求項3】
前記決定部は、
前記把持数が2である場合、
前記把持位置が前記第2把持部位および前記第4把持部位である場合には、全ての前記走行制御を制限する、または前記走行制御の実行度合いを最も低い第1の実行度合いに決定し、
前記把持位置が前記第1把持部位および/または前記第3把持部位である場合には、前記走行制御の実行度合いが前記第1の実行度合いよりも高い第2の実行度合いに決定し、
前記把持数が1である場合、
前記把持位置が前記第2把持部位または前記第4把持部位である場合には、前記走行制御の実行度合いが前記第2の実行度合いよりも高い第3の実行度合いに決定し、
前記把持位置が前記第1把持部位または前記第3把持部位である場合には、前記走行制御の実行度合いが前記第3の実行度合いよりも高い第4の実行度合いに決定し、
前記把持数が0である場合、
前記走行制御の実行度合いが前記第4の実行度合いよりも高い第5の実行度合いに決定する、
請求項
2に記載の車両制御システム。
【請求項4】
前記車両に設けられた撮像装置により撮影された車室内の画像に基づいて、前記運転者の視線方向を検出する視線検出部、をさらに備え、
前記決定部は、前記把持状態と前記視線方向との組み合わせに基づいて、前記走行制御の実行有無または実行度合いを決定する、
請求項1から請求項
3のうちいずれか1項に記載の車両制御システム。
【請求項5】
前記決定部は、
前記視線方向が、前記運転者が前記車両を運転しているものとして想定されている複数の所定視線方向のうち、いずれかの前記所定視線方向である場合には、前記把持状態に基づいて前記走行制御の実行有無または実行度合いを決定し、
前記視線方向が、いずれの前記所定視線方向でもない場合には、全ての前記走行制御を制限しない、または前記走行制御の実行度合いが最も高い第6の実行度合いに決定する、
請求項
4に記載の車両制御システム。
【請求項6】
前記所定視線方向は、前記運転者が前方を含む正面を向いて前記車両を運転しているものとして予め想定されている前記視線方向である、
請求項
5に記載の車両制御システム。
【請求項7】
運転者による車両の操舵操作を受け付ける操舵操作子と、
前記車両の運転者による前記操舵操作子の把持状態を検出する把持検出部と、
前記把持状態に基づいて前記車両の走行モードを決定する決定部と、
を備え
、
前記把持検出部は、前記操舵操作子を分割した複数の部位ごとに前記把持状態を検出し、
前記決定部は、前記操舵操作子が把持されていることが検出された部位が少なくなる程、前記車両の走行状態の変化に対する反応が緩やかな前記走行モードにする、
車両制御システム。
【請求項8】
前記把持検出部は、前記操舵操作子の上方の第1把持部位と、前記操舵操作子の右方の第2把持部位と、前記操舵操作子の下方の第3把持部位と、前記操舵操作子の左方の第4把持部位とのそれぞれにおける前記把持状態を検出し、
前記決定部は、前記運転者による前記操舵操作子の把持位置および把持数に基づいて、前記走行モードを決定する、
請求項
7に記載の車両制御システム。
【請求項9】
前記決定部は、
前記把持数が2である場合、
前記把持位置が前記第2把持部位および前記第4把持部位である場合には、前記車両に高い走行性能を発揮させることを優先させる第1の走行モードに決定し、
前記把持位置が前記第1把持部位および/または前記第3把持部位である場合には、前記車両を通常の走行性能で走行させる第2の走行モードに決定し、
前記把持数が1である場合、
前記把持位置が前記第2把持部位または前記第4把持部位である場合には、前記第2の走行モードに決定し、
前記把持位置が前記第1把持部位または前記第3把持部位である場合には、前記車両に高い快適性が得られることを優先させる第3の走行モードに決定し、
前記把持数が0である場合、
第3の走行モードに決定する、
請求項
8に記載の車両制御システム。
【請求項10】
車両に搭載されたコンピュータが、
運転者による車両の操舵操作子に対する操舵操作を受け付け、
前記車両の運転者による前記操舵操作子の把持状態を検出し、
前記車両の操舵および加減速に関する走行制御を行い、
前記把持状態に基づいて前記走行制御の実行有無または実行度合いを決定する
際に、
前記操舵操作子を分割した複数の部位ごとに前記把持状態を検出し、
前記操舵操作子が把持されていることが検出された部位が多くなる程、実行される前記走行制御を制限し、または前記走行制御の実行度合いを小さくする、
車両制御方法。
【請求項11】
車両に搭載されたコンピュータが、
運転者による車両の操舵操作子に対する操舵操作を受け付け、
前記車両の運転者による前記操舵操作子の把持状態を検出し、
前記把持状態に基づいて前記車両の走行モードを決定する
際に、
前記操舵操作子を分割した複数の部位ごとに前記把持状態を検出し、
前記操舵操作子が把持されていることが検出された部位が少なくなる程、前記車両の走行状態の変化に対する反応が緩やかな前記走行モードにする、
車両制御方法。
【請求項12】
車両に搭載されたコンピュータに、
運転者による車両の操舵操作子に対する操舵操作を受け付けさせ、
前記車両の運転者による前記操舵操作子の把持状態を検出させ、
前記車両の操舵および加減速に関する走行制御を行わせ、
前記把持状態に基づいて前記走行制御の実行有無または実行度合いを決定させる
際に、
前記操舵操作子を分割した複数の部位ごとに前記把持状態を検出させ、
前記操舵操作子が把持されていることが検出された部位が多くなる程、実行される前記走行制御を制限させ、または前記走行制御の実行度合いを小さくさせる、
プログラム。
【請求項13】
車両に搭載されたコンピュータに、
運転者による車両の操舵操作子に対する操舵操作を受け付けさせ、
前記車両の運転者による前記操舵操作子の把持状態を検出させ、
前記把持状態に基づいて前記車両の走行モードを決定させる
際に、
前記操舵操作子を分割した複数の部位ごとに前記把持状態を検出させ、
前記操舵操作子が把持されていることが検出された部位が少なくなる程、前記車両の走行状態の変化に対する反応が緩やかな前記走行モードにさせる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御システム、車両制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の乗員である運転者が、例えば、ステアリングホイールなどの操作子に接触する接触操作(例えば、シングルタップ操作、ダブルタップ操作、長押し操作、さすり操作など)や、操作子を回転または移動させる移動操作を行うことによって、車両の運転操作を行う車両制御システムに関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。従来の技術では、運転者が行った操作子に対する上述したような操作(運転操作)に応じて、例えば、車線変更や、右折または左折など、車両の車幅方向に走行位置が変更される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、運転者が積極的に車両の運転操作を行いたいなどの目的意識に応じて、つまり、運転操作に対する運転者のモチベーションに応じて車両の制御方法を変更させることは困難であった。
【0005】
本発明は、上記の課題認識に基づいてなされたものであり、運転者における運転に対する目的意識を判断して、車両の制御方法を変更することができる車両制御システム、車両制御方法、およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る車両制御システム、車両制御方法、およびプログラムは、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る車両制御システムは、運転者による車両の操舵操作を受け付ける操舵操作子と、前記車両の運転者による前記操舵操作子の把持状態を検出する把持検出部と、前記車両の操舵および加減速に関する走行制御を行う走行制御部と、前記把持状態に基づいて前記走行制御の実行有無または実行度合いを決定する決定部と、を備える車両制御システムである。
【0007】
(2):上記(1)の態様において、前記把持検出部は、前記操舵操作子を分割した複数の部位ごとに前記把持状態を検出し、前記決定部は、前記操舵操作子が把持されていることが検出された部位が多くなる程、実行される前記走行制御を制限し、または前記走行制御の実行度合いを小さくするものである。
【0008】
(3):上記(2)の態様において、前記把持検出部は、前記操舵操作子の上方の第1把持部位と、前記操舵操作子の右方の第2把持部位と、前記操舵操作子の下方の第3把持部位と、前記操舵操作子の左方の第4把持部位とのそれぞれにおける前記把持状態を検出し、前記決定部は、前記運転者による前記操舵操作子の把持位置および把持数に基づいて、実行を制限する前記走行制御、または前記走行制御の実行度合いを決定するものである。
【0009】
(4):上記(3)の態様において、前記決定部は、前記把持数が2である場合、前記把持位置が前記第2把持部位および前記第4把持部位である場合には、全ての前記走行制御を制限する、または前記走行制御の実行度合いを最も低い第1の実行度合いに決定し、前記把持位置が前記第1把持部位および/または前記第3把持部位である場合には、前記走行制御の実行度合いが前記第1の実行度合いよりも高い第2の実行度合いに決定し、前記把持数が1である場合、前記把持位置が前記第2把持部位または前記第4把持部位である場合には、前記走行制御の実行度合いが前記第2の実行度合いよりも高い第3の実行度合いに決定し、前記把持位置が前記第1把持部位または前記第3把持部位である場合には、前記走行制御の実行度合いが前記第3の実行度合いよりも高い第4の実行度合いに決定し、前記把持数が0である場合、前記走行制御の実行度合いが前記第4の実行度合いよりも高い第5の実行度合いに決定するものである。
【0010】
(5):上記(1)から(4)のうちいずれか一態様において、車両制御システムは、前記車両に設けられた撮像装置により撮影された車室内の画像に基づいて、前記運転者の視線方向を検出する視線検出部、をさらに備え、前記決定部は、前記把持状態と前記視線方向との組み合わせに基づいて、前記走行制御の実行有無または実行度合いを決定するものである。
【0011】
(6):上記(5)の態様において、前記決定部は、前記視線方向が、前記運転者が前記車両を運転しているものとして想定されている複数の所定視線方向のうち、いずれかの前記所定視線方向である場合には、前記把持状態に基づいて前記走行制御の実行有無または実行度合いを決定し、前記視線方向が、いずれの前記所定視線方向でもない場合には、全ての前記走行制御を制限しない、または前記走行制御の実行度合いが最も高い第6の実行度合いに決定するものである。
【0012】
(7):上記(6)の態様において、前記所定視線方向は、前記運転者が前方を含む正面を向いて前記車両を運転しているものとして予め想定されている前記視線方向であるものである。
【0013】
(8):この発明の一態様に係る車両制御システムは、運転者による車両の操舵操作を受け付ける操舵操作子と、前記車両の運転者による前記操舵操作子の把持状態を検出する把持検出部と、前記把持状態に基づいて前記車両の走行モードを決定する決定部と、を備える車両制御システムである。
【0014】
(9):上記(8)の態様において、前記把持検出部は、前記操舵操作子を分割した複数の部位ごとに前記把持状態を検出し、前記決定部は、前記操舵操作子が把持されていることが検出された部位が少なくなる程、前記車両の走行状態の変化に対する反応が緩やかな前記走行モードにするものである。
【0015】
(10):上記(9)の態様において、前記把持検出部は、前記操舵操作子の上方の第1把持部位と、前記操舵操作子の右方の第2把持部位と、前記操舵操作子の下方の第3把持部位と、前記操舵操作子の左方の第4把持部位とのそれぞれにおける前記把持状態を検出し、前記決定部は、前記運転者による前記操舵操作子の把持位置および把持数に基づいて、前記走行モードを決定するものである。
【0016】
(11):上記(10)の態様において、前記決定部は、前記把持数が2である場合、前記把持位置が前記第2把持部位および前記第4把持部位である場合には、前記車両に高い走行性能を発揮させることを優先させる第1の走行モードに決定し、前記把持位置が前記第1把持部位および/または前記第3把持部位である場合には、前記車両を通常の走行性能で走行させる第2の走行モードに決定し、前記把持数が1である場合、前記把持位置が前記第2把持部位または前記第4把持部位である場合には、前記第2の走行モードに決定し、前記把持位置が前記第1把持部位または前記第3把持部位である場合には、前記車両に高い快適性が得られることを優先させる第3の走行モードに決定し、前記把持数が0である場合、第3の走行モードに決定するものである。
【0017】
(12):この発明の一態様に係る車両制御方法は、車両に搭載されたコンピュータが、運転者による車両の操舵操作子に対する操舵操作を受け付け、前記車両の運転者による前記操舵操作子の把持状態を検出し、前記車両の操舵および加減速に関する走行制御を行い、前記把持状態に基づいて前記走行制御の実行有無または実行度合いを決定する、車両制御方法である。
【0018】
(13):この発明の一態様に係る車両制御方法は、車両に搭載されたコンピュータが、運転者による車両の操舵操作子に対する操舵操作を受け付け、前記車両の運転者による前記操舵操作子の把持状態を検出し、前記把持状態に基づいて前記車両の走行モードを決定する、車両制御方法である。
【0019】
(14):この発明の一態様に係るプログラムは、車両に搭載されたコンピュータに、運転者による車両の操舵操作子に対する操舵操作を受け付けさせ、前記車両の運転者による前記操舵操作子の把持状態を検出させ、前記車両の操舵および加減速に関する走行制御を行わせ、前記把持状態に基づいて前記走行制御の実行有無または実行度合いを決定させる、プログラムである。
【0020】
(15):この発明の一態様に係るプログラムは、車両に搭載されたコンピュータに、運転者による車両の操舵操作子に対する操舵操作を受け付けさせ、前記車両の運転者による前記操舵操作子の把持状態を検出させ、前記把持状態に基づいて前記車両の走行モードを決定させる、プログラムである。
【発明の効果】
【0021】
上述した(1)~(15)の態様によれば、運転者における運転に対する目的意識を判断して、車両の制御方法を変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施形態に係る車両制御装置を利用した車両システムの構成図である。
【
図3】運転モード、運転支援、走行モードの対応関係の一例を示す図である。
【
図4】運転者によるステアリングホイールの把持状態を認識する構成の一例を示す図である。
【
図5】運転者のモチベーションを判定する判定パターンの一例を示す図である。
【
図6】運転者のモチベーションに応じた運転支援の実行度合いの一例を示す図である。
【
図7】運転制御決定部において実行される運転者のモチベーションを判定する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照し、本発明の車両制御システム、車両制御方法、およびプログラムの実施形態について説明する。
【0024】
[全体構成]
図1は、実施形態に係る車両制御システムを利用した車両システム1の構成図である。車両システム1が搭載される車両は、例えば、二輪や三輪、四輪等の車両であり、その駆動源は、ディーゼルエンジンやガソリンエンジンなどの内燃機関、電動機、或いはこれらの組み合わせである。電動機は、内燃機関に連結された発電機による発電電力、或いは二次電池や燃料電池の放電電力を使用して動作する。
【0025】
車両システム1は、例えば、カメラ10と、レーダ装置12と、LIDAR(Light Detection and Ranging)14と、物体認識装置16と、通信装置20と、HMI(Human Machine Interface)30と、車両センサ40と、ナビゲーション装置50と、MPU(Map Positioning Unit)60と、ドライバモニタカメラ70と、運転操作子80と、車両制御装置100と、走行駆動力出力装置200と、ブレーキ装置210と、ステアリング装置220とを備える。これらの装置や機器は、CAN(Controller Area Network)通信線等の多重通信線やシリアル通信線、無線通信網等によって互いに接続される。
図1に示す構成はあくまで一例であり、構成の一部が省略されてもよいし、更に別の構成が追加されてもよい。
【0026】
カメラ10は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。カメラ10は、車両システム1が搭載される車両(以下、自車両M)の任意の箇所に取り付けられる。前方を撮像する場合、カメラ10は、フロントウインドシールド上部やルームミラー裏面等に取り付けられる。カメラ10は、例えば、周期的に繰り返し自車両Mの周辺を撮像する。カメラ10は、ステレオカメラであってもよい。
【0027】
レーダ装置12は、自車両Mの周辺にミリ波などの電波を放射すると共に、物体によって反射された電波(反射波)を検出して少なくとも物体の位置(距離および方位)を検出する。レーダ装置12は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。レーダ装置12は、FM-CW(Frequency Modulated Continuous Wave)方式によって物体の位置および速度を検出してもよい。
【0028】
LIDAR14は、自車両Mの周辺に光(或いは光に近い波長の電磁波)を照射し、散乱光を測定する。LIDAR14は、発光から受光までの時間に基づいて、対象までの距離を検出する。照射される光は、例えば、パルス状のレーザー光である。LIDAR14は、自車両Mの任意の箇所に取り付けられる。
【0029】
物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14のうち一部または全部による検出結果に対してセンサフュージョン処理を行って、物体の位置、種類、速度などを認識する。物体認識装置16は、認識結果を車両制御装置100に出力する。物体認識装置16は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14の検出結果をそのまま車両制御装置100に出力してよい。車両システム1から物体認識装置16が省略されてもよい。
【0030】
通信装置20は、例えば、セルラー網やWi-Fi網、Bluetooth(登録商標)、DSRC(Dedicated Short Range Communication)などを利用して、自車両Mの周辺に存在する他車両と通信し、或いは無線基地局を介して各種サーバ装置と通信する。
【0031】
HMI30は、自車両Mの乗員に対して各種情報を提示すると共に、乗員による入力操作を受け付ける。HMI30は、各種表示装置、スピーカ、ブザー、タッチパネル、スイッチ、キーなどを含む。
【0032】
車両センサ40は、自車両Mの速度を検出する車速センサ、加速度を検出する加速度センサ、鉛直軸回りの角速度を検出するヨーレートセンサ、自車両Mの向きを検出する方位センサ等を含む。
【0033】
ナビゲーション装置50は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機51と、ナビHMI52と、経路決定部53とを備える。ナビゲーション装置50は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの記憶装置に第1地図情報54を保持している。GNSS受信機51は、GNSS衛星から受信した信号に基づいて、自車両Mの位置を特定する。自車両Mの位置は、車両センサ40の出力を利用したINS(Inertial Navigation System)によって特定または補完されてもよい。ナビHMI52は、表示装置、スピーカ、タッチパネル、キーなどを含む。ナビHMI52は、前述したHMI30と一部または全部が共通化されてもよい。経路決定部53は、例えば、GNSS受信機51により特定された自車両Mの位置(或いは入力された任意の位置)から、ナビHMI52を用いて乗員により入力された目的地までの経路(以下、地図上経路)を、第1地図情報54を参照して決定する。第1地図情報54は、例えば、道路を示すリンクと、リンクによって接続されたノードとによって道路形状が表現された情報である。第1地図情報54は、道路の曲率やPOI(Point Of Interest)情報などを含んでもよい。地図上経路は、MPU60に出力される。ナビゲーション装置50は、地図上経路に基づいて、ナビHMI52を用いた経路案内を行ってもよい。ナビゲーション装置50は、例えば、乗員の保有するスマートフォンやタブレット端末等の端末装置の機能によって実現されてもよい。ナビゲーション装置50は、通信装置20を介してナビゲーションサーバに現在位置と目的地を送信し、ナビゲーションサーバから地図上経路と同等の経路を取得してもよい。
【0034】
MPU60は、例えば、推奨車線決定部61を含み、HDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に第2地図情報62を保持している。推奨車線決定部61は、ナビゲーション装置50から提供された地図上経路を複数のブロックに分割し(例えば、車両進行方向に関して100[m]毎に分割し)、第2地図情報62を参照してブロックごとに推奨車線を決定する。推奨車線決定部61は、左から何番目の車線を走行するといった決定を行う。推奨車線決定部61は、地図上経路に分岐箇所が存在する場合、自車両Mが、分岐先に進行するための合理的な経路を走行できるように、推奨車線を決定する。
【0035】
第2地図情報62は、第1地図情報54よりも高精度な地図情報である。第2地図情報62は、例えば、車線の中央の情報、或いは車線の境界の情報等を含んでいる。第2地図情報62には、道路情報、交通規制情報、住所情報(住所・郵便番号)、施設情報、電話番号情報、後述するモードAまたはモードBが禁止される禁止区間の情報などが含まれてよい。第2地図情報62は、通信装置20が他装置と通信することにより、随時、アップデートされてよい。
【0036】
ドライバモニタカメラ70は、例えば、CCDやCMOS等の固体撮像素子を利用したデジタルカメラである。ドライバモニタカメラ70は、自車両Mの運転席に着座した乗員(以下、運転者)の頭部を正面から(顔面を撮像する向きで)撮像可能な位置および向きで、自車両Mにおける任意の箇所に取り付けられる。例えば、ドライバモニタカメラ70は、自車両Mのインストルメントパネルの中央部に設けられたディスプレイ装置の上部に取り付けられる。ドライバモニタカメラ70は、配置された位置から自車両Mの運転者を含む車室内を撮影した画像を、車両制御装置100に出力する。ドライバモニタカメラ70は、「撮像装置」の一例である。
【0037】
運転操作子80は、例えば、ステアリングホイール82の他、アクセルペダル、ブレーキペダル、シフトレバー、その他の操作子を含む。運転操作子80には、操作量、或いは操作の有無を検出するセンサが取り付けられており、その検出結果は、車両制御装置100、もしくは、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220のうち一部または全部に出力される。ステアリングホイール82は、必ずしも環状である必要は無く、異形ステアリングホイールやジョイスティック、ボタンなどの形態であってもよい。ステアリングホイール82には、ステアリング把持センサ84が取り付けられている。ステアリング把持センサ84は、例えば、静電容量センサや圧電素子などにより実現され、運転者がステアリングホイール82を把持している状態(力を加えられる状態で接していることをいう)か否かを検知可能な信号を車両制御装置100に出力する。ステアリングホイール82は、「操舵操作子」の一例であり、ステアリング把持センサ84は、「把持検出部」の一例である。
【0038】
車両制御装置100は、例えば、自動運転制御部120と、運転支援制御部140と、走行モード制御部160と、運転制御決定部180とを備える。自動運転制御部120と、運転支援制御部140と、走行モード制御部160と、運転制御決定部180とは、それぞれ、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め車両制御装置100のHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで車両制御装置100のHDDやフラッシュメモリにインストールされてもよい。
【0039】
図2は、車両制御装置100の機能構成図である。自動運転制御部120は、例えば、第1認識部122と、行動計画生成部124と、ECU(Electronic Control Unit)制御部126とを備える。運転支援制御部140は、例えば、第2認識部142と、運転支援実行部144とを備える。自動運転制御部120および運転支援制御部140は、例えば、AI(Artificial Intelligence;人工知能)による機能と、予め与えられたモデルによる機能とを並行して実現する。例えば、自動運転制御部120において「交差点を認識する」機能は、ディープラーニング等による交差点の認識と、予め与えられた条件(パターンマッチング可能な信号、道路標示などがある)に基づく認識とが並行して実行され、双方に対してスコア付けして総合的に評価することで実現されてよい。これによって、自動運転の信頼性が担保される。例えば、運転制御決定部180において「運転者が自車両Mを運転する動機づけや目的意識(つまり、運転者の運転に対するモチベーション)を認識する」機能も同様に、ディープラーニングやパターンマッチング等によって運転者の顔(表情)を認識することで実現されてもよい。
【0040】
第1認識部122は、カメラ10、レーダ装置12、およびLIDAR14から物体認識装置16を介して入力された情報に基づいて、自車両Mの周辺にある物体の位置、および速度、加速度等の状態を認識する。物体の位置は、例えば、自車両Mの代表点(重心や駆動軸中心など)を原点とした絶対座標上の位置として認識され、制御に使用される。物体の位置は、その物体の重心やコーナー等の代表点で表されてもよいし、領域で表されてもよい。物体の「状態」とは、物体の加速度やジャーク、或いは「行動状態」(例えば車線変更をしている、またはしようとしているか否か)を含んでもよい。
【0041】
第1認識部122は、例えば、自車両Mが走行している車線(走行車線)を認識する。例えば、第1認識部122は、第2地図情報62から得られる道路区画線のパターン(例えば実線と破線の配列)と、カメラ10によって撮像された画像から認識される自車両Mの周辺の道路区画線のパターンとを比較することで、走行車線を認識する。第1認識部122は、道路区画線に限らず、道路区画線や路肩、縁石、中央分離帯、ガードレールなどを含む走路境界(道路境界)を認識することで、走行車線を認識してもよい。この認識において、ナビゲーション装置50から取得される自車両Mの位置やINSによる処理結果が加味されてもよい。第1認識部122は、一時停止線、障害物、赤信号、料金所、その他の道路事象を認識する。
【0042】
第1認識部122は、走行車線を認識する際に、走行車線に対する自車両Mの位置や姿勢を認識する。第1認識部122は、例えば、自車両Mの基準点の車線中央からの乖離、および自車両Mの進行方向の車線中央を連ねた線に対してなす角度を、走行車線に対する自車両Mの相対位置および姿勢として認識してもよい。これに代えて、第1認識部122は、走行車線のいずれかの側端部(道路区画線または道路境界)に対する自車両Mの基準点の位置などを、走行車線に対する自車両Mの相対位置として認識してもよい。
【0043】
行動計画生成部124は、原則的には推奨車線決定部61により決定された推奨車線を走行し、更に、自車両Mの周辺状況に対応できるように、自車両Mが自動的に(運転者の操作に依らずに)将来走行する目標軌道を生成する。目標軌道は、例えば、速度要素を含んでいる。例えば、目標軌道は、自車両Mの到達すべき地点(軌道点)を順に並べたものとして表現される。軌道点は、道なり距離で所定の走行距離(例えば数[m]程度)ごとの自車両Mの到達すべき地点であり、それとは別に、所定のサンプリング時間(例えば0コンマ数[sec]程度)ごとの目標速度および目標加速度が、目標軌道の一部として生成される。軌道点は、所定のサンプリング時間ごとの、そのサンプリング時刻における自車両Mの到達すべき位置であってもよい。この場合、目標速度や目標加速度の情報は軌道点の間隔で表現される。
【0044】
行動計画生成部124は、目標軌道を生成するにあたり、自動運転のイベントを設定してよい。自動運転のイベントには、定速走行イベント、低速追従走行イベント、車線変更イベント、分岐イベント、合流イベント、テイクオーバーイベントなどがある。行動計画生成部124は、起動させたイベントに応じた目標軌道を生成する。
【0045】
ECU制御部126は、行動計画生成部124によって生成された目標軌道を、予定の時刻通りに自車両Mが通過するように、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220を制御する。
【0046】
ECU制御部126は、例えば、速度制御機能と、操舵制御機能とを有する。ECU制御部126は、行動計画生成部124により生成された目標軌道(軌道点)の情報を取得し、メモリ(不図示)に記憶させる。ECU制御部126は、メモリに記憶された目標軌道に付随する速度要素に基づいて、走行駆動力出力装置200またはブレーキ装置210を制御する。ECU制御部126は、メモリに記憶された目標軌道の曲がり具合に応じて、ステアリング装置220を制御する。ECU制御部126における速度制御機能および操舵制御機能における制御は、例えば、フィードフォワード制御とフィードバック制御との組み合わせにより実現される。一例として、操舵制御機能は、自車両Mの前方の道路の曲率に応じたフィードフォワード制御と、目標軌道からの乖離に基づくフィードバック制御とを組み合わせて実行する。ECU制御部126は、「走行制御部」の一例である。
【0047】
走行駆動力出力装置200は、車両が走行するための走行駆動力(トルク)を駆動輪に出力する。走行駆動力出力装置200は、例えば、内燃機関、電動機、および変速機などの組み合わせと、これらを制御するECUとを備える。ECUは、ECU制御部126から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、上記の構成を制御する。
【0048】
ブレーキ装置210は、例えば、ブレーキキャリパーと、ブレーキキャリパーに油圧を伝達するシリンダと、シリンダに油圧を発生させる電動モータと、ブレーキECUとを備える。ブレーキECUは、ECU制御部126から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って電動モータを制御し、制動操作に応じたブレーキトルクが各車輪に出力されるようにする。ブレーキ装置210は、運転操作子80に含まれるブレーキペダルの操作によって発生させた油圧を、マスターシリンダを介してシリンダに伝達する機構をバックアップとして備えてよい。ブレーキ装置210は、上記説明した構成に限らず、ECU制御部126から入力される情報に従ってアクチュエータを制御して、マスターシリンダの油圧をシリンダに伝達する電子制御式油圧ブレーキ装置であってもよい。
【0049】
ステアリング装置220は、例えば、ステアリングECUと、電動モータとを備える。電動モータは、例えば、ラックアンドピニオン機構に力を作用させて転舵輪の向きを変更する。ステアリングECUは、ECU制御部126から入力される情報、或いは運転操作子80から入力される情報に従って、電動モータを駆動し、転舵輪の向きを変更させる。
【0050】
第2認識部142は、ステアリング把持センサ84から入力された信号に基づいて、運転者がステアリングホイール82を把持している状態(以下、「把持状態」という)を認識する。把持状態には、例えば、運転者がステアリングホイール82を把持しているか否かを表す情報として、把持している位置(以下、「把持位置」という)の情報や、把持している数(以下、「把持数」という)の情報が含まれる。把持位置は、少なくとも、ステアリングホイール82の上方、右方、下方、左方の位置を含む。把持数は、運転者がステアリングホイール82を把持していない場合には「0」であり、片手で把持している場合には「1」であり、両手で把持している場合には「2」である。把持状態は、運転者における運転に対するモチベーションの判定に使用される。
【0051】
第2認識部142は、ドライバモニタカメラ70から入力された画像に基づいて、自車両Mに乗車している運転者の視線の向き(以下、「視線方向」という)を認識してもよい。視線方向には、例えば、運転者が自車両Mを運転しているときの視線が正面であるか否かを表す情報が含まれる。第2認識部142は、ドライバモニタカメラ70が撮像した画像を解析して視線推定処理を行い、運転者の視線の向きを認識する。視線方向は、運転者における運転に対するモチベーションの判定において、把持状態に加えて使用される。第2認識部142は、ドライバモニタカメラ70が撮像した画像を解析して姿勢推定処理を行い、運転者の体勢を認識してもよい。視線方向や運転者の体勢は、運転者の状態が運転モードに応じた状態であるか否かの判定に使用される。第2認識部142は、「視線検出部」の一例である。
【0052】
運転支援実行部144は、運転者による自車両Mの運転を支援するための運転支援を実行する。運転支援の機能としては、例えば、ADAS(Advanced Driver-Assistance Systems)といわれるような、運転者が自車両Mを走行させる際に行う運転操作を支援する運転支援システムの機能を実行する。ADASには、ACC(Adaptive Cruise Control)や、LSF(Low Speed Following)、LKAS(Lane Keeping Assist System)、RDM(Road Departure Mitigation)などのような、特定の運転操作を支援する機能の一部または全部が含まれている。これらの運転支援の機能は、いわゆる、自動運転の機能ではなく、運転操作を支援するものとして車両システム1において実行されるものである。運転支援実行部144は、これらの運転支援の機能を実行する度合い(レベル)に応じて、走行駆動力出力装置200、ブレーキ装置210、およびステアリング装置220を制御する。運転支援実行部144における運転支援に関する制御は、「走行制御」の一例である。
【0053】
走行モード制御部160は、自車両Mが自動運転または/および運転支援が実行された状態で走行しているときの走行モードを制御する。走行モードとは、例えば、内燃機関や電動機の回転特性、走行駆動力(トルク)の出力特性、変速機の変速タイミングの特性、ステアリングホイール82の重さの特性(いわゆる、パワーステアリング等の回転アシスト力の出力特性)、サスペンションの硬度特性(つまり、ダンパーの硬さの特性)などの走行に関する種々の特性のうち、一つ或いは複数の特性を制御(変更)することによって自車両Mを走行させる際に求められる走行性能を実現するものである。走行モードには、例えば、ノーマル走行モード、スポーツ走行モード、コンフォート走行モードなどといわれるようなものがある。ノーマル走行モードは、例えば、走行性能と快適性とをバランスさせて自車両Mを走行させる走行モードである。ノーマル走行モードでは、通常の走行性能で一般的な乗り心地が得られるように、例えば、それぞれの特性が通常(標準、例えば、初期値)の特性に設定される。スポーツ走行モードは、例えば、ノーマル走行モードよりも高い走行性能を発揮させることを優先して自車両Mを走行させる走行モードである。スポーツ走行モードでは、運転者の運転操作に対するレスポンスやフィードバックの鋭さや、自車両Mにおける加速の鋭さ、高速走行における高い安定性などのスポーティな乗り心地が得られるように、例えば、内燃機関や電動機をより高回転にしたり、トルクをより高出力にしたり、変速機の変速タイミングを内燃機関や電動機における高回転域のタイミングにしたり、ステアリングホイール82をより重くしたり、ダンパーをより硬くしたりするような設定がされる。コンフォート走行モードは、例えば、ノーマル走行モードよりも高い快適性(高燃費や長距離走行が可能であることを含んでもよい)が得られることを優先して自車両Mを走行させる走行モードである。コンフォート走行モードでは、運転者の運転操作に対して緩やかに反応し、自車両Mにおいて快適な乗り心地と静粛性とが得られるように、例えば、内燃機関や電動機の回転の変化を緩やかにしたり、変速機の変速タイミングを早めのタイミングにしたり、ステアリングホイール82を軽くしたり、ダンパーをより柔らかくしたりするような設定がされる。走行モードは、上述したようなものに限定されない。つまり、走行モードは、制御可能な構成要素の設定の変更や制御をすることによって、種々の走行モードが実現されてもよい。走行モードは、例えば、エアコンなどの空調システムの起動の制御(変更)を含むものであってもよい。走行モードは、予め決められた所定の走行性能の選択肢の中から運転者が選択することによって切り替えられるものであってもよいし、調整(変更)可能な特性を運転者が適宜調整することによって変更されるものであってもよい。スポーツ走行モードは、「第1の走行モード」の一例であり、ノーマル走行モードは、「第2の走行モード」の一例であり、コンフォート走行モードは、「第3の走行モード」の一例である。
【0054】
運転制御決定部180は、自車両Mの運転モードを、運転者に課されるタスクが異なる複数の運転モードのいずれかに決定する。さらに、運転制御決定部180は、運転者における運転に対するモチベーション(以下、「運転者のモチベーション」という)を判定し、判定した運転者のモチベーションの高さに応じて、運転支援における走行制御の実行有無および/または実行度合いを決定する。実行度合いとは、例えば、運転支援の走行制御を介入させる介入量である。つまり、運転制御決定部180は、運転者の運転操作に対して運転支援の走行制御を介入させる介入量を決定する。より具体的には、運転制御決定部180は、運転者のモチベーションが高いほど、走行制御の実行度合いを小さく(介入量を少なく)する。これにより、運転者は、運転に対するモチベーションが高い、つまり、自車両Mの運転操作を行いたいという目的意識が高い場合には、自身の目的意識に従った運転をすることができる。実行度合いは、走行制御の介入量に限定されるものではなく、例えば、走行制御を実行する際の閾値を実行しやすい/実行しにくい側に変更すること、走行制御の強さ(ゲイン)を変更すること、走行制御をする際の反応の鋭さを変更すること、走行制御の実行を開始する際の上限値を変えることなど、運転支援の走行制御を開始させる条件を変更することであってもよい。
【0055】
運転制御決定部180は、把持状態に含まれる把持位置と把持数との組合せによって、運転者のモチベーションを判定する。運転制御決定部180は、把持数が多いほど運転者のモチベーションが高いと判定する。把持数が同じである場合、運転制御決定部180は、把持位置が右方および/または左方である方が運転者のモチベーションが高いと判定する。運転制御決定部180は、判定した運転者のモチベーションが高くなるほど、運転支援の介入量を少なくする。つまり、運転制御決定部180は、判定した運転者のモチベーションが高くなるほど、運転支援の実行を制限したり、実行度合いを小さくしたりする。
【0056】
運転制御決定部180は、把持位置および把持数に、さらに運転者の視線方向を組合せることによって、運転者のモチベーションを判定してもよい。運転制御決定部180は、運転者の視線方向が自車両Mの進行方向の正面である場合に、運転者のモチベーションが高いと判定する。運転者の視線方向が自車両Mの進行方向の正面であるとする視線方向には、自車両Mの前方に加えて、自車両Mを運転しているものとして想定されている、所定の複数の視線方向が含まれている。より具体的には、自車両Mの進行方向の正面の視線方向には、例えば、フロント窓ガラスなどのフロントウインドシールドを介して前方を確認するときの視線方向に加えて、車室内のルームミラーまたは車外のサイドミラーなどによって車外の後方の状況を一時的に確認するときの視線方向や、自車両Mの走行速度を表す速度計(スピードメータ)または自車両Mが備える内燃機関の回転数(回転速度)を表す回転速度計(タコメータ)などによって走行状態を一時的に確認するときの視線方向なども含まれている。運転制御決定部180は、運転者の視線方向が上述したいずれかの視線方向である場合に、運転者が正面を向いているものと判定してもよい。運転制御決定部180は、運転者の視線方向が正面である場合には、運転支援の介入量を少なくするようにしてもよい。運転者の視線方向が自車両Mの進行方向の正面であるとする視線方向は、「所定視線方向」の一例である。
【0057】
走行モード制御部160は、運転制御決定部180が判定した運転者のモチベーションの高さに応じて、走行モードを決定してもよい。この場合、走行モード制御部160は、判定された運転者のモチベーションが高くなるほど、より運転者による運転操作の目的意識に合った運転操作を行うことができる走行モードに決定する。走行モード制御部160は、例えば、運転者のモチベーションが高い場合には、走行モードをスポーツ走行モードに決定し、運転者のモチベーションが低い場合には、走行モードをコンフォート走行モードに決定する。
【0058】
図3は、運転モード、運転支援、走行モードの対応関係の一例を示す図である。
図3には、車両制御装置100において制御する運転モードと、運転者のモチベーション、運転支援の実行有無や実行度合い、および走行モードの関係の一例を示している。
【0059】
まず、運転モードについて説明する。自車両Mの運転モードには、例えば、モードAからモードEの5つのモードがある。運転モードにおける自車両Mの運転制御の自動化度合いは、モードAが最も高く、次いでモードB、モードC、モードDの順に低くなり、モードEが最も低い。この逆に、運転者に課されるタスクは、モードAが最も軽度であり、次いでモードB、モードC、モードDの順に重度となり、モードEが最も重度である。モードEでは自動運転や運転支援に関する走行制御が行われないため、運転制御決定部180としては、運転モードの決定に係る制御において、運転者による運転(いわゆる、手動運転)に運転モードを移行させるまでが責務である。以下、それぞれの運転モードの内容について例示する。
【0060】
モードAでは、自動運転に関する運転制御のレベルが最も高い状態(以下、自動運転の状態)となり、運転者には前方監視、ステアリングホイール82の把持(図ではステアリング把持)のいずれも課されない。但し、モードAであっても運転者は、自動運転制御部120および運転制御決定部180を中心としたシステムからの要求に応じて速やかに手動運転に移行できる体勢であることが要求される。ここで言う自動運転とは、操舵、加減速のいずれも運転者の操作に依らずに制御されることをいう。前方とは、フロントウインドシールドを介して視認される自車両Mの進行方向の空間を意味する。モードAは、例えば、高速道路などの自動車専用道路において、所定速度(例えば50[km/h]程度)以下で自車両Mが走行しており、追従対象の前走車両が存在するなどの条件が満たされる場合に実行可能な運転モードであり、TJP(Traffic Jam Pilot)と称される場合もある。この条件が満たされなくなった場合、運転制御決定部180は、モードBに自車両Mの運転モードを変更する。
【0061】
モードBでは、モードAよりも自動運転に関する運転制御のレベルが低い状態となり、運転者には自車両Mの前方を監視するタスク(以下、前方監視)が課されるが、ステアリングホイール82を把持するタスクは課されない。モードCでは、モードBよりも自動運転に関する運転制御のレベルが低い状態となり、運転者には前方監視のタスクと、ステアリングホイール82を把持するタスクが課される。モードDでは、モードCよりも自動運転に関する運転制御のレベルが低い状態となり、運転者には、自車両Mの操舵と加減速のうち少なくとも一方に関して、ある程度の運転操作が必要なタスクが課される。モードEでは、モードDよりも自動運転に関する運転制御のレベルが低い状態となり、運転者には、操舵、加減速ともに運転操作が必要なタスクが課される手動運転の状態となる。モードEでは、当然ながら運転者には自車両Mの前方を監視するタスクが課される。
【0062】
自動運転制御部120(より具体的には、ECU制御部126)は、運転制御決定部180により決定された運転モードに応じた自動車線変更を実行する。自動車線変更には、システム要求による自動車線変更(1)と、運転者要求による自動車線変更(2)がある。自動車線変更(1)には、前走車両の速度が自車両の速度に比して基準以上に小さい場合に行われる、追い越しのための自動車線変更と、目的地に向けて進行するための自動車線変更(推奨車線が変更されたことによる自動車線変更)とがある。自動車線変更(2)は、速度や周辺車両との位置関係等に関する条件が満たされた場合において、運転者により方向指示器が操作された場合に、操作方向に向けて自車両Mを車線変更させるものである。
【0063】
自動運転制御部120は、モードAにおいて、自動車線変更(1)および(2)のいずれも実行しない。自動運転制御部120は、モードBおよびCにおいて、自動車線変更(1)および(2)のいずれも実行する。自動運転制御部120は、モードDにおいて、自動車線変更(1)は実行せず自動車線変更(2)を実行する。自動運転制御部120は、モードEにおいて、自動車線変更(1)および(2)のいずれも実行されない。
【0064】
運転制御決定部180は、決定した運転モード(以下、現運転モード)に係るタスクが運転者により実行されない場合に、よりタスクが重度な運転モードに自車両Mの運転モードを変更する。このため、運転制御決定部180は、運転モードの変更のために運転者の状態を監視し、運転者の状態がタスクに応じた状態であるか否かを判定する。例えば、運転制御決定部180は、第2認識部142が認識した運転者の体勢に基づいて、運転者が、システムからの要求に応じて手動運転に移行できない体勢であるか否かを判定する。運転制御決定部180は、第2認識部142が認識した視線方向に基づいて、運転者が前方を監視しているか否かを判定する。そして、運転制御決定部180は、運転モードの変更のための各種処理を行う。例えば、運転制御決定部180は、自動運転制御部120(より具体的には、行動計画生成部124)に路肩停止のための目標軌道を生成するように指示したり、自動運転制御部120に、運転者に行動を促すためにHMI30の制御をするように指示したりする。
【0065】
例えば、モードAにおいて運転者が、システムからの要求に応じて手動運転に移行できない体勢である場合(例えば、許容エリア外の脇見を継続している場合や、運転困難となる予兆が検出された場合)、運転制御決定部180は、自車両Mの運転モードをモードB以下に変更し、自動運転制御部120に、HMI30を用いて運転者に手動運転への移行を促すように指示し、運転者が応じなければ自車両Mを路肩に寄せて徐々に停止させ、自動運転を停止するように目標軌道を生成するように指示する、といった制御を行う。自動運転を停止した後、運転制御決定部180は、自車両Mの運転モードをモードDまたはEに変更する。これにより、自車両Mは、運転者の手動操作によって発進させることが可能となる。以下、「自動運転を停止」に関して同様である。モードBにおいて運転者が前方を監視していない場合、運転制御決定部180は、自車両Mの運転モードをモードC以下に変更し、自動運転制御部120に、HMI30を用いて運転者に前方監視を促すように指示し、運転者が応じなければ自車両Mを路肩に寄せて徐々に停止させ、自動運転を停止するように目標軌道を生成するように指示する、といった制御を行う。モードCにおいて運転者が前方を監視していない場合、或いはステアリングホイール82を把持していない場合、運転制御決定部180は、自車両Mの運転モードをモードD以下に変更し、自動運転制御部120に、HMI30を用いて運転者に前方監視を、および/またはステアリングホイール82を把持するように促すように指示し、運転者が応じなければ自車両Mを路肩に寄せて徐々に停止させ、自動運転を停止するように目標軌道を生成するように指示する、といった制御を行う。
【0066】
次に、運転支援について説明する。運転者は、運転に対するモチベーションの高さによって、ステアリングホイール82の把持位置や把持数が変わると考えられる。
図3には、運転者のモチベーションの高さに応じたステアリングホイール82の把持状態の一例を模式的に示している。運転者のモチベーションは、自車両Mの運転モードにも関連すると考えられる。例えば、モードEのときが最もモチベーションが高く、モードD、モードC、モードBの順に低くなりモードAのときが最もモチベーションが低いと考えられる。このため、運転制御決定部180は、手動運転であるモードEでは、運転者は運転支援を望んでいないものとして運転支援を行わず、モードAでは、自動運転に関する運転制御のレベルが最も高いため、自動運転制御部120による運転制御を行うものとして、運転支援制御部140による運転支援を行わない。そして、運転制御決定部180は、モードB~Dにおいて運転者のモチベーションを判定し、判定した運転者のモチベーションの高さに応じて、運転支援による走行制御の実行度合いを決定する。
【0067】
上述したように、運転制御決定部180は、把持位置と把持数との組合せによって運転者のモチベーションを判定し、判定した運転者のモチベーションの高さに応じて、運転支援による走行制御の実行度合いを決定する。運転支援には、例えば、縦系支援と、横系支援とがある。縦系支援は、自車両Mの進行方向に対して走行制御を行う運転支援であり、横系支援は、自車両Mの車幅方向に対して走行制御を行う運転支援である。そして、運転制御決定部180は、それぞれの運転支援に対して、介入量を変更(設定)する。
図3には、判定した運転者のモチベーションの高さに応じて実行する縦系支援と横系支援との一例を模式的に示している。
図3には、横系支援における介入量の一例を模式的に示している。
【0068】
縦系支援では、運転制御決定部180は、例えば、ACCの実行度合いを変更する。但し、縦系支援において運転制御決定部180は、ACCによって自車両Mの前方を走行している前走車両の追従までは行わせず、前走車両との間の車間距離を介入量として、運転者のモチベーションの高さに応じて変更する。より具体的には、運転制御決定部180は、運転者のモチベーションが高い場合には、運転者自身が前走車両を認識することができているため、車間距離を短い距離に変更し、運転者のモチベーションが低い場合には、運転者自身が前走車両を認識できていない可能性があるため、車間距離を長い距離に変更する。これにより、車両制御装置100では、特に運転者のモチベーションが低い状態で自車両Mが前走車両に近づいた場合に、より早い段階でブレーキ装置210を制御することができる。運転制御決定部180は、縦系支援において運転者のモチベーションが低い場合のACCの設定(車間距離の設定)を、モードAにおけるACCの設定と同様にする。これにより、車両制御装置100は、モードAと、直近のモードBで実行されるACCの運転支援との切り替わりにおける自車両Mの挙動の差をなくす、つまり、シームレスな運転モードの切り替えを行うことができる。
【0069】
横系支援では、運転制御決定部180は、例えば、LKASやRDMの実行度合いを変更する。より具体的には、運転制御決定部180は、運転者のモチベーションが高い場合には、運転者自身が走行車線内で車幅方向の任意の位置の走行が可能となるように、LKASを実行しないように変更(LKASの実行を制限)し、RDMのみを実行するように変更する。一方、運転制御決定部180は、運転者のモチベーションが低い場合には、走行車線の中央を基準として走行させるように、LKASおよびRDMを実行するように変更する。このとき、運転制御決定部180は、LKASにおける車幅方向の距離の範囲(閾値)を、運転者のモチベーションの高さによって変更する。つまり、運転制御決定部180は、横系支援においてLKASが介入する介入量を、運転者のモチベーションの高さに応じて変更する。より具体的には、運転制御決定部180は、運転者のモチベーションが低い場合には、走行車線のより中央を走行させるように、走行可能な車幅方向の距離を短く(つまり、幅を狭く:閾値=「小」)し、運転者のモチベーションが高い場合には、走行車線の中央からある程度の範囲内を走行させるように、走行可能な車幅方向の距離を長く(つまり、幅を広く:閾値=「大」)する。より具体的には、運転者の運転操作に対してLKASが介入する介入量が、運転者のモチベーションが低い場合には多くなり、運転者のモチベーションが高い場合には少なくなる。これにより、運転者は、モチベーションがある程度高い場合には、閾値に基づく車幅方向の距離の範囲内で任意の位置を走行させることができる。運転制御決定部180は、横系支援においても、運転者のモチベーションが低い場合のLKASおよびRDMの設定を、モードAにおけるLKASおよびRDMの設定と同様にする。これにより、車両制御装置100は、自車両Mの車幅方向に対する走行制御においても、モードAと、直近のモードBで実行されるLKASおよびRDMの運転支援との切り替えをシームレスにすることができる。
【0070】
運転支援制御部140(より具体的には、運転支援実行部144)は、運転制御決定部180により決定された運転支援(つまり、縦系支援と横系支援、および介入量)に応じた走行制御を実行する。運転支援制御部140は、自車両Mの走行状態が、実行している運転支援の範囲から逸脱、或いは逸脱しそうな場合には、運転者による運転操作を促すためにHMI30を制御して注意や警告をするようにしてもよい。運転者に対する注意や警告を行わせる指示は、運転制御決定部180が指示をするようにしてもよい。
【0071】
次に、走行モードについて説明する。運転制御決定部180は、手動運転であるモードEでは、運転者によって走行モードを変更可能とし、モードAでは、走行モードをコンフォート走行モードに決定する。そして、運転制御決定部180は、モードB~Dにおいて、判定した運転者のモチベーションの高さに応じて、走行モードを決定する。
【0072】
上述したように、運転制御決定部180は、運転者のモチベーションが高い場合には、走行モードをスポーツ走行モードに決定し、運転者のモチベーションが低い場合には、走行モードをコンフォート走行モードに決定する。
図3には、判定した運転者のモチベーションの高さに応じて決定する走行モードの一例と、走行モードにおいて走行している状態のステアリングホイール82の挙動(レスポンスおよびフィードバック)の一例を模式的に示している。
【0073】
走行モード制御部160は、運転制御決定部180により決定された走行モードとなるように、自車両Mの走行に関する種々の特性を変更する制御を実行する。これにより、自車両Mが走行している状態におけるステアリングホイール82のレスポンスおよびフィードバックが、スポーツ走行モードの場合には多くなり、コンフォート走行モードの場合には少なくなる。自車両Mが、運転制御決定部180が運転者のモチベーションに応じて決定し変更した走行モードで走行している場合でも、運転者は走行モードを変更することができる。これにより、車両制御装置100は、運転者のモチベーションや運転者の要望に合わせた走行モードで自車両Mを走行させることができる。
【0074】
[運転者のモチベーションの判定方法の一例]
図4は、運転者によるステアリングホイール82の把持状態を認識する構成の一例を示す図である。
図4には、ステアリングホイール82が環状の形状である場合において、ステアリングホイール82を四つの部位に分割して、運転者の把持位置を認識する構成の一例を示している。第2認識部142は、ステアリングホイール82に取り付けられたステアリング把持センサ84から入力された信号に基づいて、上方の第1把持部位GP1と、右方の第2把持部位GP2と、下方の第3把持部位GP3と、左方の第4把持部位GP4とのそれぞれの把持部位ごとに、運転者が把持しているか否かを検出する。さらに、第2認識部142は、運転者が把持している把持部位において、把持している箇所が1箇所であるか2箇所であるかを検出する。第2認識部142は、検出した結果に基づいて、把持位置と把持数とを認識する。第2認識部142は、認識した把持位置と把持数とを含む把持状態の情報を、運転制御決定部180に出力する。
【0075】
図5は、運転者のモチベーションを判定する判定パターンの一例を示す図である。
図5には、運転制御決定部180が、運転者のモチベーションを、例えば、レベル1からレベル7までの七つのレベルのいずれかに判定する場合の一例を示している。運転者のモチベーションの高さは、レベル1が最も低く、次いでレベル2、レベル3、レベル4、レベル5、レベル6の順に高くなり、レベル7が最も高い。
図5には、運転者がステアリングホイール82を把持している位置(把持位置)を模式的に示している。運転制御決定部180は、車両制御装置100における運転支援の実行が有効(ADASの機能が「オン」)であり、運転モードがモードB~Dである場合において、運転者のモチベーションを判定する。
【0076】
運転者がADASの機能を「オフ」にした場合、運転制御決定部180は、運転モードを手動運転であるモードEとし、運転者によるステアリングホイール82の把持状態や、運転者の視線方向に関わらず、運転者のモチベーションはレベル7であると判定する。レベル7は、モチベーションが高いため、運転者は、ADASの機能による安全機能や運転支援を望んでいない状態であると判断することができるレベルである。
【0077】
運転制御決定部180は、第2認識部142が認識した把持状態が、把持の有無=「あり」、把持数=「2」、把持位置=「左右(
図4に示した第2把持部位GP2および第4把持部位GP4)」であり、視線方向=「正面」である場合、運転者のモチベーションはレベル6であると判定する。つまり、運転制御決定部180は、運転者が正面を向いてステアリングホイール82の左右を両手で把持していると認識した場合に、レベル6であると判定する。レベル6は、例えば、運転者が自車両Mの運転自体を楽しんでいる状態である、或いは自車両Mとの一体感を求めている状態であるなど、自車両Mの走行におけるあらゆる状況に運転者自身が対応することができる最適な体勢であると判断することができるレベルである。
【0078】
運転制御決定部180は、第2認識部142が認識した把持状態が、把持の有無=「あり」、把持数=「2」、把持位置=「上下(
図4に示した第1把持部位GP1および/または第3把持部位GP3)」であり、視線方向=「正面」である場合、運転者のモチベーションはレベル5であると判定する。つまり、運転制御決定部180は、運転者が正面を向いてステアリングホイール82の上および/または下を両手で把持していると認識した場合に、レベル5であると判定する。レベル5は、例えば、運転者は自車両Mを運転することを好むが、自車両Mとの一体感を望むほどではない状態であるなど、無理な走行よりも確実な走行を望んでいると判断することができるレベルである。
【0079】
運転制御決定部180は、第2認識部142が認識した把持状態が、把持の有無=「あり」、把持数=「1」、把持位置=「右または左(
図4に示した第2把持部位GP2または第4把持部位GP4)」であり、視線方向=「正面」である場合、運転者のモチベーションはレベル4であると判定する。つまり、運転制御決定部180は、運転者が正面を向いてステアリングホイール82の右または左を片手で把持していると認識した場合に、レベル4であると判定する。レベル4は、例えば、運転者はややリラックスした状態であり、把持していない方の片手をシフトレバー等の上に置いている状態であるなど、自車両Mの走行の状態によっては、速やか運転操作を行うことができる状態(例えば、レベル5やレベル6であると判定される状態)に戻ることができる体勢であると判断することができるレベルである。
【0080】
運転制御決定部180は、第2認識部142が認識した把持状態が、把持の有無=「あり」、把持数=「1」、把持位置=「上または下(
図4に示した第1把持部位GP1または第3把持部位GP3)」であり、視線方向=「正面」である場合、運転者のモチベーションはレベル3であると判定する。つまり、運転制御決定部180は、運転者が正面を向いてステアリングホイール82の上または下を片手で把持していると認識した場合に、レベル3であると判定する。レベル3は、例えば、運転者はリラックスした状態である、或いは単純な運転を長時間し続けているような状態であるなど、自車両Mが備えるエンターテインメント機器などによる情報を、自車両Mの運転と共に楽しんでいると判断することができるレベルである。
【0081】
運転制御決定部180は、第2認識部142が認識した把持状態が、把持の有無=「なし」、つまり、把持数=「0」、把持位置=「なし」であり、視線方向=「正面」である場合、運転者のモチベーションはレベル2であると判定する。つまり、運転制御決定部180は、運転者は正面を向いているがステアリングホイール82を把持していないと認識した場合に、レベル2であると判定する。レベル2は、例えば、運転者はステアリングホイール82を把持せず、つまり、いわゆるハンズオフの状態であり、物理的な負荷から解放された状態であるが、自車両Mの走行の状態によっては、速やか運転操作を行うことができる状態(例えば、レベル5やレベル6であると判定される状態)に戻ることができる体勢であると判断することができるレベルである。
【0082】
運転制御決定部180は、運転モードがモードAである、つまり、自動運転に関する運転制御のレベルが最も高い場合には、運転者によるステアリングホイール82の把持状態や、運転者の視線方向を不問として、運転者のモチベーションはレベル1であると判定する。レベル1は、例えば、運転者が、自車両Mが備えるエンターテインメント機器を操作するためによそ見をするなど、運転操作のタスクを一時的に放棄している状態である、或いは自車両Mにおける自動運転の運転制御に任せることによって、運転操作のタスクを長時間放棄している状態(但し、システムからの要求に応じて速やかに手動運転に移行できる体勢)であると判断することができるレベルである。
【0083】
このように、運転制御決定部180は、第2認識部142が認識したステアリングホイール82の把持状態や運転者の視線方向に基づいて、運転者の現在のモチベーションを判定する。
図5では、運転者のモチベーションごとに、ステアリングホイール82を把持する部位としていくつかの把持部位の組合せを示したが、運転者が自車両Mを運転する際にステアリングホイール82を把持する部位は、
図5に示した把持部位の組合せに限定されない。例えば、運転者は、第1把持部位GP1と第2把持部位GP2とのそれぞれの把持部位を把持したり、第3把持部位GP3と第4把持部位GP4とのそれぞれの把持部位を把持したりすることも考えられる。このような場合、運転制御決定部180は、
図5に示したいずれかの把持部位の組合せに相当するものとして、運転者のモチベーションを判定してもよい。例えば、運転者が、第1把持部位GP1と第2把持部位GP2とのそれぞれの把持部位を把持している場合、運転制御決定部180は、片手が第2把持部位GP2を把持していることから、運転者のモチベーションはレベル6であると判定してもよいし、片手が第1把持部位GP1を把持していることから、運転者のモチベーションはレベル5であると判定してもよい。
【0084】
[運転支援の実行度合いの決定方法の一例]
図6は、運転者のモチベーションに応じた運転支援の実行度合いの一例を示す図である。
図6には、運転制御決定部180が、判定した運転者のモチベーションのそれぞれに対して、運転支援の実行度合い(運転支援の走行制御の介入量)と、走行モードとを変更(設定)する場合の一例を示している。より具体的には、
図6では、縦系支援としてACCおよびLSFの介入量を設定し、横系支援としてLKASおよびRDMの介入量を設定し、走行モードを変更する場合の一例を示している。
図6には、ACCおよびLSFを実行していることを運転者に通知するための通知画像の一例を示している。通知画像は、自車両Mにおける種々の情報を表示させる表示装置、いわゆるインフォメーション・ディスプレイなどに、例えば、スピードメータやタコメータなどとともに表示させる画像である。
図6には、LKASおよびRDMによって走行可能な車幅方向の距離(範囲)が制限される状態の一例を模式的に示している。
図6には、設定されている走行モードを運転者に通知するための通知画像の一例を示している。
【0085】
運転制御決定部180は、運転者のモチベーションがレベル7であると判定した場合、運転者によってADASの機能が「オフ」にされているため、運転支援の実行度合いは変更しない。つまり、ACC、LSF、LKAS、およびRDMの介入量の設定は行わない。そして、運転制御決定部180は、運転者によって走行モードの変更が可能な状態にする。
【0086】
運転制御決定部180は、運転者のモチベーションがレベル6であると判定した場合、運転支援の実行度合いを最も低い度合いにする。より具体的には、運転制御決定部180は、ACCおよびLSFの介入量として、前走車両との間の車間距離を最も短い距離(「最短」)に設定する。運転制御決定部180は、LKASを実行しない(停止させる)ように設定し、RDMを実行させるように設定する。つまり、運転制御決定部180は、横系支援としては、RDMのみを実行させるように設定する。運転者のモチベーションがレベル6である場合における運転支援の実行度合い(介入量)は、「第1の実行度合い」の一例である。運転制御決定部180は、走行モードをスポーツ走行モードに変更する。
【0087】
運転制御決定部180は、運転者のモチベーションがレベル5であると判定した場合、運転支援の実行度合いを、運転者のモチベーションがレベル6である場合よりも高い度合いにする。より具体的には、運転制御決定部180は、ACCおよびLSFにおける前走車両との間の車間距離を短い距離(「短」)に設定する。運転制御決定部180は、運転者のモチベーションがレベル6である場合と同様に、LKASを停止させ、RDMのみを実行させるように設定する。運転者のモチベーションがレベル5である場合における運転支援の実行度合い(介入量)は、「第2の実行度合い」の一例である。運転制御決定部180は、走行モードをノーマル走行モードに変更する。
【0088】
運転制御決定部180は、運転者のモチベーションがレベル4であると判定した場合、運転支援の実行度合いを、運転者のモチベーションがレベル5である場合よりも高い度合いにする。より具体的には、運転制御決定部180は、ACCおよびLSFにおける前走車両との間の車間距離を中程度の距離(「中」)に設定する。運転制御決定部180は、LKASの介入量を少なくして実行させるように設定(閾値=「小」)し、RDMを実行させるように設定する。つまり、運転制御決定部180は、少ない介入量ではあるが、LKASとRDMとの両方を横系支援として実行させるように設定する。運転者のモチベーションがレベル4である場合における運転支援の実行度合い(介入量)は、「第3の実行度合い」の一例である。運転制御決定部180は、運転者のモチベーションがレベル5である場合と同様に、走行モードをノーマル走行モードに変更する。
【0089】
運転制御決定部180は、運転者のモチベーションがレベル3であると判定した場合、運転支援の実行度合いを、運転者のモチベーションがレベル4である場合よりも高い度合いにする。より具体的には、運転制御決定部180は、ACCおよびLSFにおける前走車両との間の車間距離を長い距離(「長」)に設定する。運転制御決定部180は、運転者のモチベーションがレベル4である場合と同様に、LKASを閾値=「小」で実行させるように設定し、RDMを実行させるように設定する。運転者のモチベーションがレベル3である場合における運転支援の実行度合い(介入量)は、「第4の実行度合い」の一例である。運転制御決定部180は、走行モードをコンフォート走行モードに変更する。
【0090】
運転制御決定部180は、運転者のモチベーションがレベル2であると判定した場合、運転支援の実行度合いを、運転者のモチベーションがレベル3である場合よりも高い度合いにする。より具体的には、運転制御決定部180は、運転者のモチベーションがレベル3である場合と同様に、ACCおよびLSFを車間距離=「長」に設定する。運転制御決定部180は、LKASの介入量を多くして実行させるように設定(閾値=「大」)し、RDMを実行させるように設定する。つまり、運転制御決定部180は、介入量の多いLKASとRDMとの両方を横系支援として実行させるように設定する。運転制御決定部180は、運転者のモチベーションがレベル2であると判定した場合における運転支援の実行度合い(介入量)を、運転者のモチベーションがレベル3であると判定した場合における運転支援の実行度合い(介入量)と同じにしてもよい。運転者のモチベーションがレベル2である場合における運転支援の実行度合い(介入量)は、「第5の実行度合い」の一例である。運転制御決定部180は、運転者のモチベーションがレベル3である場合と同様に、走行モードをコンフォート走行モードに変更する。
【0091】
運転制御決定部180は、運転者のモチベーションがレベル1であると判定した場合、運転支援の実行度合いを、運転者のモチベーションがレベル2である場合よりも高い度合い(運転支援の実行度合いが最も高い度合い)にする。つまり、運転制御決定部180は、いずれの運転支援の走行制御も制限していない状態にする。より具体的には、運転制御決定部180は、ACCおよびLSFにおける前走車両との間の車間距離を最も長い距離(「最長」)に設定する。運転制御決定部180は、運転者のモチベーションがレベル2である場合と同様に、LKASを閾値=「大」で実行させるように設定し、RDMを実行させるように設定する。運転者のモチベーションがレベル1である場合における運転支援の実行度合い(介入量)は、「第6の実行度合い」の一例である。運転制御決定部180は、運転者のモチベーションがレベル3や運転者のモチベーションがレベル2である場合と同様に、走行モードをコンフォート走行モードに変更する。
【0092】
[運転者のモチベーションの判定処理の一例]
図7は、運転制御決定部180において実行される運転者のモチベーションを判定する処理の流れの一例を示すフローチャートである。本フローチャートの処理は、例えば、車両制御装置100が作動している間、繰り返し実行される。以下の説明においては、第2認識部142が、運転者によるステアリングホイール82の把持状態の認識や、運転者の視線方向の認識を常時行っているものとする。
【0093】
まず、運転制御決定部180は、ADASが「オン」であるか否かを判定する(ステップS100)。ステップS100において、ADASが「オン」ではない場合、つまり、ADASが「オフ」である場合、運転制御決定部180は、運転者のモチベーションがレベル7であると判定する(ステップS102)。そして、運転制御決定部180は、処理をステップS130に進める。
【0094】
一方、ステップS100において、ADASが「オン」である場合、運転制御決定部180は、第2認識部142が認識した運転者の視線方向の情報を取得する(ステップS104)。そして、運転制御決定部180は、視線方向が「正面」であるか否かを判定する(ステップS106)。ステップS106において、視線方向が「正面」ではない場合、運転制御決定部180は、運転モードがモードAである場合には、運転者のモチベーションがレベル1であると判定する(ステップS108)。そして、運転制御決定部180は、処理をステップS130に進める。
【0095】
一方、ステップS106において、視線方向が「正面」である場合、運転制御決定部180は、第2認識部142が認識した運転者によるステアリングホイール82の把持状態の情報を取得する(ステップS110)。そして、運転制御決定部180は、取得した把持状態において、把持の有無=「あり」であるか否かを判定する(ステップS112)。ステップS112において、把持の有無=「あり」ではない場合、運転制御決定部180は、運転者のモチベーションがレベル2であると判定する(ステップS114)。そして、運転制御決定部180は、処理をステップS130に進める。
【0096】
一方、ステップS106において、把持の有無=「あり」である場合、運転制御決定部180は、取得した把持状態において、把持数=「2」であるか否かを判定する(ステップS116)。ステップS116において、把持数=「2」ではない場合、運転制御決定部180は、取得した把持状態において、把持位置=「右または左」であるか否かを判定する(ステップS118)。ステップS118において、把持位置=「右または左」ではない場合、運転制御決定部180は、運転者のモチベーションがレベル3であると判定する(ステップS120)。そして、運転制御決定部180は、処理をステップS130に進める。ステップS118において、把持位置=「右または左」である場合、運転制御決定部180は、運転者のモチベーションがレベル4であると判定する(ステップS122)。そして、運転制御決定部180は、処理をステップS130に進める。
【0097】
一方、ステップS116において、把持数=「2」である場合、運転制御決定部180は、取得した把持状態において、把持位置=「左右」であるか否かを判定する(ステップS124)。ステップS124において、把持位置=「左右」ではない場合、運転制御決定部180は、運転者のモチベーションがレベル5であると判定する(ステップS126)。そして、運転制御決定部180は、処理をステップS130に進める。ステップS124において、把持位置=「左右」である場合、運転制御決定部180は、運転者のモチベーションがレベル6であると判定する(ステップS128)。そして、運転制御決定部180は、処理をステップS130に進める。
【0098】
このような処理によって、運転制御決定部180は、第2認識部142が認識したステアリングホイール82の把持状態や運転者の視線方向に基づいて、運転者の現在のモチベーションを判定する。
【0099】
そして、運転制御決定部180は、判定した運転者のモチベーションのレベルに基づいて、運転支援の実行度合い(運転支援の走行制御の介入量)を決定し、ADASに含まれるそれぞれの運転支援の機能(
図6では、縦系支援のACCおよびLSFと、横系支援のLKASおよびRDM)や、走行モードを決定する(ステップS130)。そして、運転制御決定部180は、決定した支援の度合いおよび走行モードを、それぞれの機能を実行する構成要素に設定し(ステップS132)、処理をステップS100に戻す。
【0100】
このような処理によって、運転制御決定部180は、自車両Mにおける運転支援と走行モードとを、判定した運転者の現在のモチベーションに応じた好適な運転支援と走行モードとに変更する。これにより、車両制御装置100は、運転者のモチベーションに合わせて自車両Mを走行させ、運転者に対して運転支援を適宜行うことができる。
【0101】
上記に述べたとおり、実施形態の車両制御システムによれば、車両制御装置100が備える自動運転制御部120が、自車両Mにおける自動運転に係る走行制御を行い、運転支援制御部140が自車両Mにおける運転支援に係る走行制御を行い、走行モード制御部160が自車両Mにおける走行モードに係る走行制御を行う。そして、実施形態の車両制御システムでは、車両制御装置100が備える運転制御決定部180が、それぞれの走行制御を連系させるために、自車両Mにおける自動運転の運転モードと、運転支援の実行度合いと、走行モードとを決定する。これにより、実施形態の車両制御システムでは、運転者における自車両Mの運転に対するモチベーション、つまり、運転者の要望に合わせた運転モードや走行モードで自車両Mを走行させ、自車両Mの運転状態に応じて適宜、運転者に対して運転支援を行うことができる。
【0102】
上記説明した実施形態は、以下のように表現することができる。
ハードウェアプロセッサと、
プログラムを記憶した記憶装置と、を備え、
前記ハードウェアプロセッサが前記記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより、
運転者による車両の操舵操作子に対する操舵操作を受け付け、
前記車両の運転者による前記操舵操作子の把持状態を検出し、
前記車両の操舵および加減速に関する走行制御を行い、
前記把持状態に基づいて前記走行制御の実行有無または実行度合いを決定する、
ように構成されている、車両制御システム。
【0103】
実施形態では、自動運転の機能を備えた自車両Mにおいて、運転者のモチベーションのレベルに応じた運転支援を運転者に対して提供する場合について説明した。しかし、運転者のモチベーションのレベルに応じた運転支援を運転者に提供する機能は、自動運転の機能を備えていない車両であっても、運転者に提供することができる。つまり、車両制御装置100において、自動運転制御部120が省略された場合でも、運転者のモチベーションのレベルに応じた運転支援を運転者に提供する機能を実現することができる。この場合における車両制御装置の構成および処理は、実施形態の運転制御決定部180において、運転者のモチベーションのレベル1の判定が省略されるのみで、その他の構成および処理は、実施形態の車両制御装置100における構成や処理と等価なものになるようにすればよい。
【0104】
実施形態では、運転者における運転に対するモチベーションの判定に、ステアリングホイール82の把持状態、つまり、把持位置と把持数との組合せと、運転者の視線方向とを使用した。しかし、運転者のモチベーションの判定に使用する情報は、これらのものに限定されない。例えば、ステアリングホイール82の把持状態としてさらに、運転者がステアリングホイール82を把持している強さの情報を加えてもよい。この場合、運転者がステアリングホイール82を把持している強さに基づいて、実施形態と同様に運転者のモチベーションのレベルを判定してもよいし、さらに多くのレベルに分けた判定をしてもよい。この場合における車両制御装置の構成や処理は、実施形態の車両制御装置100における構成や処理に基づいて同様に考えることができるため、ステアリングホイール82の把持の強さを含めた運転者のモチベーションのレベルの判定に関する説明は省略する。
【0105】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形および置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0106】
1・・・車両システム
10・・・カメラ
12・・・レーダ装置
14・・・LIDAR
16・・・物体認識装置
20・・・通信装置
30・・・HMI
40・・・車両センサ
50・・・ナビゲーション装置
51・・・GNSS受信機
52・・・ナビHMI
53・・・経路決定部
54・・・第1地図情報
60・・・MPU
61・・・推奨車線決定部
62・・・第2地図情報
70・・・ドライバモニタカメラ
80・・・運転操作子
82・・・ステアリングホイール
84・・・ステアリング把持センサ
100・・・車両制御装置
120・・・自動運転制御部
122・・・第1認識部
124・・・行動計画生成部
126・・・ECU制御部
140・・・運転支援制御部
142・・・第2認識部
144・・・運転支援実行部
160・・・走行モード制御部
180・・・運転制御決定部
200・・・走行駆動力出力装置
210・・・ブレーキ装置
220・・・ステアリング装置