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特許7378460医療用管状体搬送装置およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】医療用管状体搬送装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/966 20130101AFI20231106BHJP
   A61M 25/14 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
A61F2/966
A61M25/14 512
A61M25/14 518
A61M25/14 514
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021508947
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(86)【国際出願番号】 JP2020009764
(87)【国際公開番号】W WO2020195720
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-02-06
(31)【優先権主張番号】P 2019057272
(32)【優先日】2019-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002837
【氏名又は名称】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】市村 想生
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】古島 芽衣
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-272262(JP,A)
【文献】特開2018-201583(JP,A)
【文献】特開2012-061062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/966
A61M 25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療用管状体を体内に搬送する装置であって、
前記医療用管状体が内腔に配置されている外側チューブと、
前記外側チューブに接続されている牽引部材と、
前記牽引部材が内腔に挿通されている牽引部材収納チューブと、
ガイドワイヤが内腔に挿通されるガイドワイヤチューブと、
前記牽引部材収納チューブと前記ガイドワイヤチューブが内腔に配置されている被覆チューブと、
前記被覆チューブが内腔に配置されている保護チューブと、を有し、
前記被覆チューブの遠位端よりも遠位側であって、前記外側チューブの近位端よりも近位側において、前記牽引部材収納チューブと前記ガイドワイヤチューブとが互いに固定されており、
前記被覆チューブが存在している部分において、前記牽引部材収納チューブと前記ガイドワイヤチューブとが互いに非固定であることを特徴とする医療用管状体搬送装置。
【請求項2】
前記被覆チューブの軸方向に直交する断面において、前記被覆チューブの内腔の短径は、前記牽引部材収納チューブの外径と前記ガイドワイヤチューブの外径の合計よりも小さい請求項1に記載の医療用管状体搬送装置。
【請求項3】
前記被覆チューブの近位端よりも近位側において、前記牽引部材収納チューブと前記ガイドワイヤチューブとが互いに固定されている請求項1または2に記載の医療用管状体搬送装置。
【請求項4】
前記被覆チューブの肉厚は、前記保護チューブの肉厚、前記外側チューブの肉厚、および前記ガイドワイヤチューブの肉厚よりも小さい請求項1~3のいずれか一項に記載の医療用管状体搬送装置。
【請求項5】
前記ガイドワイヤチューブは、遠位側ガイドワイヤチューブと近位側ガイドワイヤチューブを有しており、
前記被覆チューブの遠位端よりも遠位側であり前記外側チューブの近位端よりも近位側において前記牽引部材収納チューブと前記ガイドワイヤチューブとが互いに固定されている遠位側固定部の遠位端よりも近位側に、前記遠位側ガイドワイヤチューブの近位端が配置されており、
前記遠位側固定部の近位端よりも遠位側に、前記近位側ガイドワイヤチューブの遠位端が配置されている請求項1~4のいずれか一項に記載の医療用管状体搬送装置。
【請求項6】
前記牽引部材収納チューブの外方に配置される線材を有しており、
前記被覆チューブの遠位端よりも遠位側において、前記牽引部材収納チューブ、前記ガイドワイヤチューブ、および前記線材が互いに固定されている請求項1~5のいずれか一項に記載の医療用管状体搬送装置。
【請求項7】
前記被覆チューブの軸方向に直交する断面において、前記被覆チューブの内腔の短径は、前記牽引部材収納チューブ、前記ガイドワイヤチューブ、および前記線材のうち、外径が大きい2つの部材の外径の合計よりも小さい請求項6に記載の医療用管状体搬送装置。
【請求項8】
前記被覆チューブの遠位端よりも遠位側であり前記外側チューブの近位端よりも近位側において前記牽引部材収納チューブと前記ガイドワイヤチューブとが互いに固定されている遠位側固定部の遠位端よりも近位側であって、前記遠位側固定部の近位端よりも遠位側に、前記線材の遠位端が配置されている請求項6または7に記載の医療用管状体搬送装置。
【請求項9】
前記線材の近位端は、前記被覆チューブの近位端よりも遠位側に配置されている請求項6~8のいずれか一項に記載の医療用管状体搬送装置。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の医療用管状体搬送装置を製造する方法であって、
前記牽引部材収納チューブを前記被覆チューブの内腔に挿通する第1工程と、
前記ガイドワイヤチューブを前記被覆チューブの内腔に挿通する第2工程と、
前記被覆チューブの遠位端よりも遠位側において、前記牽引部材収納チューブと前記ガイドワイヤチューブとを互いに固定する第3工程と、を有する製造方法。
【請求項11】
前記第1工程において、前記牽引部材収納チューブの近位端を前記被覆チューブの遠位端から前記被覆チューブの内腔に挿通し、
前記第2工程において、前記ガイドワイヤチューブの近位端を前記被覆チューブの遠位端から前記被覆チューブの内腔に挿通する請求項10に記載の医療用管状体搬送装置製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医療用管状体を体内に搬送する装置である医療用管状体搬送装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ステントに代表される医療用管状体は、胆管や膵管等の消化管、腸骨動脈等の血管等の生体内管腔が狭窄または閉塞することにより生じる様々な疾患を治療するための医療器具である。医療用管状体には、狭窄または閉塞部位等の病変部を内側から拡張し、その管腔内径を維持するために病変部に留置するもの、あるいは、病変部またはその周囲に発生した血栓等を絡め取って体外へ除去し、その病変部における管腔内径を回復させるもの等が挙げられる。
【0003】
内視鏡を用いた医療用管状体での治療の一例として、胆管がんで閉塞した胆道において、胆管内から十二指腸側への胆汁の排出(ドレナージ)を行うために、胆道に医療用管状体を留置する方法について以下に説明する。まず、口から十二指腸の胆管の入口(乳頭)まで内視鏡を挿入する。次に、内視鏡を通じて、ガイドワイヤを病変部まで搬送する。さらに、ガイドワイヤに沿って医療用管状体搬送装置を病変部まで搬送する。そして、医療用管状体搬送装置を操作し、医療用管状体を病変部に留置する。
【0004】
医療用管状体搬送装置として、チューブ先端の外管を内管に対して相対的に移動させるための牽引操作部に、外管に牽引力を伝達するための操作ワイヤを有するステントデリバリーシステムや(例えば、特許文献1参照)、ステントが治療部位を飛び越えて、意図しない箇所に留置されるジャンピング現象を防止するために、カテーテル内のリングがステントの内面とインナーチューブの外面との間に介在しており、リングの外面をステントの内面に密着させているステントデリバリーシステム(例えば、特許文献2参照)、ステント収納用筒状部材を基端側に移動させるための牽引ワイヤを備えており、ワイヤの先端はステント収納用筒状部材の内面に固定されており、ステント放出のための外管の移動が容易である生体器官拡張器具(例えば、特許文献3参照)、ステント収納用筒状部材を牽引するための牽引ワイヤと先端側チューブをステント近傍に有し、牽引ワイヤにねじれを与えることが少ない生体器官拡張器具(例えば、特許文献4参照)、基端側チューブの外径が基端側チューブより先端側における最大径部分の外径より小さく、ステント留置作業時において他の生体器官拡張器具に交換する作業を容易に行える生体器官拡張器具がある(例えば、特許文献5参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-42236号公報
【文献】特開2013-248332号公報
【文献】特開2008-86465号公報
【文献】特開2008-272262号公報
【文献】特開2006-271565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1~5のような医療用管状体搬送装置は、外管の内腔に医療用管状体が配置されており、医療用管状体の内腔に内管が配置されている。内管を固定し、外管を術者の手元側に引くことによって医療用管状体が医療用管状体搬送装置から放出される。特許文献1~5のような医療用管状体搬送装置では、外管を術者の手元側に引くと、内管が医療用管状体を術者の手元と反対側へ押す力が働くまでに医療用管状体搬送装置全体が術者の手元側に移動してしまい、医療用管状体の位置が病変部からずれてしまうことや、医療用管状体がステントである場合、医療用管状体の遠近方向の長さが延伸してしまうことがある。
【0007】
また、特許文献1~5のような医療用管状体搬送装置では、シャフトに撓みがある状態でステント等の医療用管状体を放出しようとすると、医療用管状体の留置途中で内管が術者の手元と反対側に移動し、医療用管状体の遠近方向の長さが圧縮されてしまうという問題もある。さらに、医療用管状体搬送装置の外管が遠近方向の全長にわたって内管等の他物と干渉しているため、特にシャフトが撓んでいる場合等、シャフトが湾曲した状態では外管と他物との摩擦抵抗が大きく、外管を遠近方向に移動させにくいことがある。そのため、外管を遠近方向に移動させやすい医療用管状体搬送装置が求められている。
【0008】
本発明は、前記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、外管と他物との摩擦抵抗を小さくし、外管の牽引時の操作抵抗を低減して扱いやすく、また、医療用管状体の留置を安定して行うことができる医療用管状体搬送装置およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決することができた医療用管状体搬送装置は、医療用管状体を体内に搬送する装置であって、医療用管状体が内腔に配置されている外側チューブと、外側チューブに接続されている牽引部材と、牽引部材が内腔に挿通されている牽引部材収納チューブと、ガイドワイヤが内腔に挿通されるガイドワイヤチューブと、牽引部材収納チューブと前記ガイドワイヤチューブが内腔に配置されている被覆チューブと、被覆チューブが内腔に配置されている保護チューブと、を有し、被覆チューブの遠位端よりも遠位側であって、外側チューブの近位端よりも近位側において、牽引部材収納チューブとガイドワイヤチューブとが互いに固定されており、被覆チューブが存在している部分において、牽引部材収納チューブとガイドワイヤチューブとが互いに非固定であることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の医療用管状体搬送装置は、被覆チューブの軸方向に直交する断面において、被覆チューブの内腔の短径は、牽引部材収納チューブの外径とガイドワイヤチューブの外径の合計よりも小さいことが好ましい。
【0011】
本発明の医療用管状体搬送装置は、被覆チューブの近位端よりも近位側において、牽引部材収納チューブとガイドワイヤチューブとが互いに固定されていることが好ましい。
【0012】
本発明の医療用管状体搬送装置において、被覆チューブの肉厚は、保護チューブの肉厚、外側チューブの肉厚、およびガイドワイヤチューブの肉厚よりも小さいことが好ましい。
【0013】
本発明の医療用管状体搬送装置において、ガイドワイヤチューブは、遠位側ガイドワイヤチューブと近位側ガイドワイヤチューブを有しており、被覆チューブの遠位端よりも遠位側であり外側チューブの近位端よりも近位側において牽引部材収納チューブとガイドワイヤチューブとが互いに固定されている遠位側固定部の遠位端よりも近位側に、遠位側ガイドワイヤチューブの近位端が配置されており、遠位側固定部の近位端よりも遠位側に、近位側ガイドワイヤチューブの遠位端が配置されていることが好ましい。
【0014】
本発明の医療用管状体搬送装置は、牽引部材収納チューブの外方に配置される線材を有しており、被覆チューブの遠位端よりも遠位側において、牽引部材収納チューブ、ガイドワイヤチューブ、および線材が互いに固定されていることが好ましい。
【0015】
本発明の医療用管状体搬送装置は、被覆チューブの軸方向に直交する断面において、被覆チューブの内腔の短径は、牽引部材収納チューブ、ガイドワイヤチューブ、および線材のうち、外径が大きい2つの部材の外径の合計よりも小さいことが好ましい。
【0016】
本発明の医療用管状体搬送装置は、被覆チューブの遠位端よりも遠位側であり外側チューブの近位端よりも近位側において牽引部材収納チューブとガイドワイヤチューブとが互いに固定されている遠位側固定部の遠位端よりも近位側であって、遠位側固定部の近位端よりも遠位側に、線材の遠位端が配置されていることが好ましい。
【0017】
本発明の医療用管状体搬送装置において、線材の近位端は、被覆チューブの近位端よりも遠位側に配置されていることが好ましい。
【0018】
前記課題を解決することができた医療用管状体搬送装置の製造方法は、牽引部材収納チューブを被覆チューブの内腔に挿通する第1工程と、ガイドワイヤチューブを被覆チューブの内腔に挿通する第2工程と、被覆チューブの遠位端よりも遠位側において、牽引部材収納チューブとガイドワイヤチューブとを互いに固定する第3工程と、を有することを特徴とするものである。
【0019】
本発明の医療用管状体搬送装置の製造方法は、第1工程において、牽引部材収納チューブの近位端を被覆チューブの遠位端から被覆チューブの内腔に挿通し、第2工程において、ガイドワイヤチューブの近位端を被覆チューブの遠位端から被覆チューブの内腔に挿通することが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明の医療用管状体搬送装置によれば、外側チューブを遠近方向に移動させる際に、外側チューブと他物との間に大きな摩擦抵抗が生じにくく、医療用管状体搬送装置の操作抵抗を低減することができる。また、保護チューブを有することにより、医療用管状体搬送装置の剛性を高め、外側チューブを遠近方向に移動させやすく、医療用管状体の留置を安定的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の一実施の形態における医療用管状体搬送装置の全体の平面図を表す。
図2図1に示した医療用管状体搬送装置の遠位側の遠近方向に沿った断面図を表す。
図3図1に示した医療用管状体搬送装置の近位側の遠近方向に沿った断面図を表す。
図4図3に示した医療用管状体搬送装置のIV-IV断面図を表す。
図5図3に示した医療用管状体搬送装置のV-V断面図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、下記実施の形態に基づき本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施の形態によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。なお、各図面において、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、明細書や他の図面を参照するものとする。また、図面における種々部材の寸法は、本発明の特徴の理解に資することを優先しているため、実際の寸法とは異なる場合がある。
【0023】
図1は本発明の実施の形態における医療用管状体搬送装置の全体の平面図であり、図2図3は医療用管状体搬送装置の遠近方向に沿った断面図であり、図4図5は医療用管状体搬送装置の遠近方向に垂直な断面図である。図1には、シャフトの遠位側から近位側にわたってガイドワイヤを挿通する、所謂オーバーザワイヤ型の医療用管状体搬送装置の構成例を示している。なお本発明は、シャフトの遠位側から近位側に至る途中までワイヤを挿通する、所謂ラピッドエクスチェンジ型の医療用管状体搬送装置にも適用することができる。
【0024】
本発明において、近位側とは外側チューブ10や保護チューブ60の延在方向に対して使用者の手元側を指し、遠位側とは近位側の反対側、即ち処置対象側を指す。また、外側チューブ10や保護チューブ60の延在方向を遠近方向と称する。径方向とは外側チューブ10や保護チューブ60の半径方向を指し、径方向において内方とは外側チューブ10や保護チューブ60の軸中心側に向かう方向を指し、径方向において外方とは内方と反対側に向かう方向を指す。なお、図1図3において、図の右側が近位側であり、図の左側が遠位側である。
【0025】
本発明の医療用管状体搬送装置1は、医療用管状体2を体内に搬送する装置である。医療用管状体2としては、例えば、ステント、ステントグラフト、閉塞具、注入カテーテル、プロテーゼ弁等が挙げられる。これらのうちステントは、一般に、胆管等の消化管や血管等の生体内管腔が狭窄または閉塞することによって生じる様々な疾患を治療するものである。ステントとしては、例えば、1本の線状の金属で形成されたコイル状のステント、金属チューブをレーザーによって切り抜いて加工したステント、線状の部材をレーザーによって溶接して組み立てたステント、複数の線状金属を織って作ったステント、または、これらの金属製のステントと同形状であって高分子材料で形成されたもの等が挙げられる。
【0026】
図1図3に示すように、医療用管状体搬送装置1は、医療用管状体2が内腔に配置されている外側チューブ10と、外側チューブ10に接続されている牽引部材20と、牽引部材20が内腔に挿通されている牽引部材収納チューブ30と、ガイドワイヤが内腔に挿通されるガイドワイヤチューブ80と、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80が内腔に配置されている被覆チューブ50と、被覆チューブ50が内腔に配置されている保護チューブ60と、を有している。
【0027】
医療用管状体搬送装置1は、被覆チューブ50の遠位端50aよりも遠位側であって、外側チューブ10の近位端10bよりも近位側において、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが互いに固定されており、被覆チューブ50が存在している部分において、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが互いに非固定である。医療用管状体搬送装置1が、被覆チューブ50の遠位端50aよりも遠位側であって外側チューブ10の近位端10bよりも近位側では牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが互いに固定されており、被覆チューブ50が存在している部分では牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが互いに非固定であることにより、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが一部固定されているため、医療用管状体搬送装置1の手元に加えられた押し込み力が遠位端まで伝わりやすく、医療用管状体搬送装置1のプッシャビリティを高めることができる。また、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが一部は非固定であるため、この非固定である部分では牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80が移動可能である。そのため、医療用管状体搬送装置1が撓んだ場合等の湾曲した状態の際に、この湾曲に合わせて牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とがそれぞれ動くことができ、牽引部材20の遠近方向の移動を妨げにくいため、外側チューブ10の遠近方向の移動を妨げにくく、医療用管状体2の留置を容易かつ安定的に行うことができる。さらに、医療用管状体搬送装置1が、被覆チューブ50の遠位端50aよりも遠位側であって外側チューブ10の近位端10bよりも近位側では牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが互いに固定されており、被覆チューブ50が存在している部分では牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが互いに非固定であることにより、従来の医療用管状体搬送装置と比較して、医療用管状体搬送装置1の製造が容易となる効果も有している。
【0028】
なお、本発明において、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが互いに固定されているとは、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを少なくとも一部固定することにより、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが互いに径方向、遠近方向、および周方向へ移動できない状態であることを指す。また、本発明において、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが互いに非固定であるとは、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが互いに固定されている状態でないことを指す。具体的には、被覆チューブ50の内腔に牽引部材収納チューブ30およびガイドワイヤチューブ80を配置し、また、遠位側に牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが互いに固定されている部分があることにより、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが互いに径方向および遠近方向には移動不可能であり、周方向には移動可能であることを示す。牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが径方向に移動するとは、遠近方向に垂直な断面において、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが離隔することを示す。牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが遠近方向に移動するとは、遠近方向において、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80との位置関係が変わることを示す。牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが周方向に移動するとは、遠近方向に垂直な断面において、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80の少なくとも一方が移動し、位置関係が変わることを示す。なお、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを互いに固定する方法としては、例えば、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを接着、溶着、嵌合、螺合、熱収縮性を有する樹脂管へ挿通して樹脂管を熱収縮させること、金属管へ挿通してかしめること等が挙げられる。
【0029】
外側チューブ10は、遠近方向を有し、遠近方向に延在する内腔を有しており、内腔に医療用管状体2が配置されている。外側チューブ10を構成する材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、PET等のポリエステル系樹脂、PEEK等の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。中でも、外側チューブ10を構成する材料は、フッ素系樹脂であることが好ましく、PTFEであることがより好ましい。外側チューブ10を構成する材料がフッ素系樹脂であることにより、摺動性のよい外側チューブ10とすることができ、外側チューブ10と医療用管状体2との滑り性を高めることにより、医療用管状体2の留置が容易となる。
【0030】
また、外側チューブ10は、単層構造であってもよく、複層構造であってもよい。外側チューブ10が複層構造である場合、例えば、外側チューブ10を構成する樹脂チューブの中間層として、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金等の金属編組を用いた構造とすることができる。また、外側チューブ10は、内層にフッ素系樹脂を用い、外層にポリアミド系樹脂を用いた2層構造であってもよい。
【0031】
外側チューブ10の遠近方向の長さは、内腔に配置する医療用管状体2の遠近方向の長さに応じて適切な長さを選択することができる。例えば、外側チューブ10の遠近方向の長さは、50mm以上800mm以下とすることができる。
【0032】
外側チューブ10の外径は、0.5mm以上であることが好ましく、0.7mm以上であることがより好ましく、1mm以上であることがさらに好ましい。外側チューブ10の外径の下限値を上記の範囲に設定することにより、外側チューブ10が配置されている医療用管状体搬送装置1の遠位側の剛性を高めることができ、プッシャビリティのよい医療用管状体搬送装置1とすることができる。また、外側チューブ10の外径は、3.5mm以下であることが好ましく、3.3mm以下であることがより好ましく、3.0mm以下であることがさらに好ましい。外側チューブ10の外径の上限値を上記の範囲に設定することにより、医療用管状体搬送装置1の遠位側の外径が大きくなりすぎることを防止し、医療用管状体搬送装置1の低侵襲性を向上させることができる。さらに、医療用管状体搬送装置1の遠位側の剛性が大きくなりすぎることを防ぎ、体内への送達時における操作性を向上させることが可能となる。
【0033】
外側チューブ10の肉厚は、10μm以上であることが好ましく、30μm以上であることがより好ましく、50μm以上であることがさらに好ましい。外側チューブ10の肉厚の下限値を上記の範囲に設定することにより、外側チューブ10の剛性を高めることができ、医療用管状体搬送装置1の挿通性を向上させることができる。また、外側チューブ10の肉厚は、350μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましく、250μm以下であることがさらに好ましい。外側チューブ10の肉厚の上限値を上記の範囲に設定することにより、外側チューブ10の内腔を広くでき、外側チューブ10の内腔に収納することができる医療用管状体2の径の種類を増やすことができ、様々な種類の医療用管状体2を医療用管状体搬送装置1によって搬送することが可能となる。なお、外側チューブ10が後述する補強部11を有する場合、または、外側チューブ10が補強部11および後述する接続チューブ12を有する場合は、補強部11および接続チューブ12が存在しない部分の外側チューブ10の肉厚、または、補強部11および接続チューブ12の肉厚を除いた肉厚を外側チューブ10の肉厚とする。
【0034】
牽引部材20は、遠近方向を有し、外側チューブ10に接続されている。牽引部材20は、医療用管状体2の留置等を行うため外側チューブ10を遠近方向に移動させることに用いる。具体的には、例えば、牽引部材20を近位側に引き、外側チューブ10を近位側に移動させて、医療用管状体2を外側チューブ10から放出する。また、医療用管状体2の外側チューブ10からの放出途中に、牽引部材20を遠位側に送り、外側チューブ10を遠位側に移動させて、医療用管状体2を再度外側チューブ10の内腔に収めて、医療用管状体2の留置場所の調整を行うことも可能である。
【0035】
牽引部材20は、線状物であることが好ましい。牽引部材20は、遠近方向に延在する内腔を有する筒状の線状物であってもよいが、中実状の線状物であることがより好ましい。牽引部材20が線状物であることにより、外側チューブ10を遠近方向に移動させることが容易となる。また、牽引部材20が中実状の線状物であることにより、医療用管状体搬送装置1の外径が大きくなりすぎることを防ぐことが可能である。
【0036】
牽引部材20を構成する材料は、ステンレス、鉄、ニッケル、チタン、またはこれらの合金等の金属や、ナイロン等のポリアミド系樹脂、PP、PE等のポリオレフィン系樹脂、PET等のポリエステル系樹脂、PEEK等の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、ポリイミド系樹脂、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂等の合成樹脂、さらにこれらの材料を組み合わせたもの等が挙げられる。中でも、牽引部材20を構成する材料は、ステンレスであることが好ましい。牽引部材20を構成する材料がステンレスであることにより、牽引部材20の強度が高まり、牽引部材20を繰り返し遠近方向へ移動させても牽引部材20が破損することを防止できる。
【0037】
牽引部材20は、外側チューブ10の近位端部に接続されていることが好ましい。牽引部材20が外側チューブ10の近位端部に接続されていることにより、医療用管状体搬送装置1の遠近方向の全体にわたって外側チューブ10を配置する必要がなく、医療用管状体搬送装置1の近位側においては外側チューブ10よりも外径の小さい牽引部材20を配置することができる。そのため、医療用管状体搬送装置1の近位側の外径を小さくすることができる。
【0038】
牽引部材20を外側チューブ10に接続する方法としては、例えば、接着剤による接着、加熱による融着、牽引部材20と外側チューブ10に熱収縮性を有する樹脂管へ挿通して、この樹脂管を熱収縮させることによる固定、牽引部材20と外側チューブ10に筒状部材を被せてかしめることによる固定、線状の牽引部材20を外側チューブ10に巻き付けることによる固定、牽引部材20の先端を外側チューブ10に溶接することによる固定等が挙げられる。中でも、牽引部材20と外側チューブ10に熱収縮チューブを被せて、熱収縮等により圧着させることによって接続させていることが好ましい。牽引部材20と外側チューブ10との接続を、牽引部材20と外側チューブ10に熱収縮チューブを被せて熱収縮等により圧着させることによって接続させていることにより、外側チューブ10に牽引部材20を容易かつ強固に接続することができる。
【0039】
図2に示すように、外側チューブ10が近位側に、外側チューブ10の他の部分よりも剛性の高い補強部11を有しており、補強部11に牽引部材20が接続されていてもよい。外側チューブ10の補強部11に牽引部材20が接続されていることにより、牽引部材20を近位側に引く際等、牽引部材20に加えられた力が補強部11に伝わりやすくなる。その結果、外側チューブ10が破損することを防止できる。
【0040】
外側チューブ10の近位側に補強部11を形成する方法としては、例えば、外側チューブ10を構成する筒状部材の近位側に、補強部11を構成する筒状部材を配置すること等が挙げられる。補強部11を構成する筒状部材は、外側チューブ10を構成する筒状部材の径方向外方に配置されていてもよいが、外側チューブ10を構成する筒状部材の内方に配置されていることが好ましい。補強部11を構成する筒状部材が、外側チューブ10を構成する筒状部材の内方に配置されていることにより、外側チューブ10の補強部11の剛性を高めることができる。そのため、牽引部材20を近位側に引いた際等、外側チューブ10に荷重が加わった場合に外側チューブ10が破損しにくくすることができる。
【0041】
補強部11を構成する筒状部材の材料は、外側チューブ10の筒状部材を構成する材料よりも剛性の高い材料であることが好ましく、例えば、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂等が挙げられる。また、補強部11を構成する筒状部材は、金属編組等の編組層を備える複層構造であってもよい。中でも、補強部11を構成する筒状部材の材料は、ポリイミド系樹脂であることが好ましい。補強部11を構成する筒状部材の材料がポリイミド系樹脂であることにより、外側チューブ10の近位側に柔軟性と剛性の両方を付与することが可能となり、また、牽引部材20を外側チューブ10の近位端部へ固定することが容易となる。さらに、牽引部材20を構成する筒状部材を、外側チューブ10を構成する筒状部材へ強固に固定することが可能となり、外側チューブ10の破損を防止できる。
【0042】
外側チューブ10が近位側に補強部11を有する場合、外側チューブ10は、外側チューブ10を構成する筒状部材と補強部11を構成する筒状部材との間に接続チューブ12を有していてもよい。つまり、外側チューブ10を構成する筒状部材の近位側の内腔に接続チューブ12が配置されており、接続チューブ12の内腔に補強部11を構成する筒状部材が配置されていてもよく、外側チューブ10を構成する筒状部材の近位側の外方に接続チューブ12が配置されており、接続チューブ12の外方に補強部11を構成する筒状部材が配置されていてもよい。外側チューブ10を構成する筒状部材と補強部11を構成する筒状部材との間に接続チューブ12を有していることにより、外側チューブ10を構成する筒状部材の材料と補強部11を構成する筒状部材の材料とが互いに接合しにくい材料である場合、接着層として接続チューブ12を用い、接続チューブ12を介して外側チューブ10を構成する筒状部材と補強部11を構成する筒状部材とを強固に接続することができる。
【0043】
牽引部材収納チューブ30は、遠近方向を有し、遠近方向に延在する内腔を有しており、牽引部材20が内腔に挿通されている。牽引部材収納チューブ30は、内腔に牽引部材20を挿通することにより、牽引部材20が他物と接触して牽引部材20に応力が加わることや、牽引部材20や他物が破損することを防ぎ、牽引部材20の遠近方向への移動を行いやすくしている。また、牽引部材収納チューブ30の管腔内に牽引部材20を収納することで、牽引部材20が医療用管状体搬送装置1の内部で迷入することや他物に巻き付くこと、極度な撓みが発生することを防止する。
【0044】
牽引部材収納チューブ30を構成する材料は、例えば、ステンレス、鉄、ニッケル、チタン、またはこれらの合金等の金属、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、PET等のポリエステル系樹脂、PEEK等の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。牽引部材収納チューブ30を構成する材料は、金属であることが好ましく、ステンレスであることがより好ましい。牽引部材収納チューブ30がこのように構成されていることにより、牽引部材収納チューブ30の耐久性を高めることができ、牽引部材20を牽引部材収納チューブ30の内腔に挿通した状態で遠近方向へ繰り返し移動させても、牽引部材収納チューブ30を破損しにくくすることができる。また、ステンレスを牽引部材収納チューブ30に用いることによって、牽引部材収納チューブ30が細径でも高い剛性を有することとなるため、医療用管状体搬送装置1全体も細径化することが可能となる。さらに、牽引部材収納チューブ30をガイドワイヤチューブ80に接続することによって、医療用管状体搬送装置1のプッシャビリティを高め、患部等の目的部位への送達性能を向上させるとともに、ステント等の医療用管状体2の展開を容易とすることができる。
【0045】
牽引部材収納チューブ30の肉厚は、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがさらに好ましい。牽引部材収納チューブ30の肉厚の下限値を上記の範囲に設定することにより、牽引部材収納チューブ30の強度が十分なものとなり、牽引部材収納チューブ30の内腔に牽引部材20を挿通する際に、牽引部材収納チューブ30と牽引部材20とが接触しても牽引部材収納チューブ30が破損することを防止できる。また、牽引部材収納チューブ30の肉厚は、200μm以下であることが好ましく、150μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。牽引部材収納チューブ30の肉厚の上限値を上記の範囲に設定することにより、牽引部材収納チューブ30の外径が大きくなりすぎることによって医療用管状体搬送装置1の外径も過度に大きくなることを防ぐことができる。また、牽引部材収納チューブ30の外径が大きくなりすぎることによる過大な剛性の発生を防ぎ、医療用管状体搬送装置1の適度な操作性能を確保できる。
【0046】
牽引部材収納チューブ30の内径は、牽引部材20の外径の1.1倍以上であることが好ましく、1.2倍以上であることがより好ましく、1.3倍以上であることがさらに好ましい。牽引部材収納チューブ30の内径の下限値を上記の範囲に設定することにより、牽引部材20を牽引部材収納チューブ30の内腔に挿通した状態において、牽引部材20と牽引部材収納チューブ30との間での過剰な摩擦の発生を防ぎ、牽引部材20が遠近方向に移動しやすくなる。また、牽引部材収納チューブ30の内径は、牽引部材20の外径の3倍以下であることが好ましく、2.5倍以下であることがより好ましく、2倍以下であることがさらに好ましい。牽引部材収納チューブ30の内径の上限値を上記の範囲に設定することにより、牽引部材収納チューブ30の外径が大きくなり、その結果、牽引部材収納チューブ30が存在している部分の医療用管状体搬送装置1の外径も大きくなってしまうことを防止することが可能となる。また、牽引部材収納チューブ30内での牽引部材20の撓みを抑制し、牽引部材20を効率的に牽引することができる。
【0047】
ガイドワイヤチューブ80は、遠近方向を有し、遠近方向に延在する内腔を有しており、内腔にガイドワイヤを挿通する。医療用管状体搬送装置1がガイドワイヤチューブ80を有していることにより、医療用管状体搬送装置1へのガイドワイヤの挿通が容易となり、医療用管状体搬送装置1をガイドワイヤに沿って体内へ搬送できるようになる。また、ガイドワイヤを医療用管状体搬送装置1に挿通させることによって、ガイドワイヤが医療用管状体搬送装置1を傷付けることを防止する。
【0048】
ガイドワイヤチューブ80を構成する材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、PET等のポリエステル系樹脂、PEEK等の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。中でも、ガイドワイヤチューブ80を構成する材料は、ポリイミド系樹脂であることが好ましい。ガイドワイヤチューブ80を構成する材料がポリイミド系樹脂であることにより、ガイドワイヤチューブ80の滑り性が向上する。そのため、ガイドワイヤチューブ80の内腔にガイドワイヤを挿通し、ガイドワイヤに沿って医療用管状体搬送装置1を体内へ送り込みやすくなる。また、ガイドワイヤチューブ80は、金属編組等の編組層を備える複層構造であってもよい。ガイドワイヤチューブ80が複層構造であることにより、ガイドワイヤチューブ80の引張強度やガイドワイヤに対する滑り性、耐キンク性を高めることができる。
【0049】
被覆チューブ50は、遠近方向を有し、遠近方向に延在している内腔を有しており、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80が内腔に配置されている。被覆チューブ50が存在している部分において、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とは、互いに非固定である。被覆チューブ50が存在している部分において、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが互いに非固定であることにより、被覆チューブ50が牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを互いに固定はしないが、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80の遠近方向および径方向の移動を妨げ、周方向の移動のみ可能とすることができる。被覆チューブ50が存在している部分では、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80が周方向に移動できることにより、医療用管状体搬送装置1が撓んで湾曲している状態等の屈曲時に応力が集中する部分をなくし、医療用管状体搬送装置1の先端から手元までの荷重伝達の効率を高めることができる。
【0050】
被覆チューブ50を構成する材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、PET等のポリエステル系樹脂、PEEK等の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。中でも、被覆チューブ50を構成する材料は、ポリオレフィン系樹脂またはフッ素系樹脂であることが好ましく、高密度ポリエチレン、PTFE、PFAのいずれかであることがより好ましい。これらの材料は摩擦係数が低く、滑り性に優れた材料である。被覆チューブ50を構成する材料がポリオレフィン系樹脂またはフッ素系樹脂であることにより、被覆チューブ50が十分な剛性を有しつつ、表面の滑り性を向上させることができる。そのため、被覆チューブ50の内腔に牽引部材収納チューブ30およびガイドワイヤチューブ80を挿通しやすくなる。
【0051】
被覆チューブ50を構成する材料は、牽引部材収納チューブ30を構成する材料およびガイドワイヤチューブ80を構成する材料と異なることが好ましい。被覆チューブ50を構成する材料が、牽引部材収納チューブ30を構成する材料およびガイドワイヤチューブ80を構成する材料と異なることにより、牽引部材収納チューブ30およびガイドワイヤチューブ80と、被覆チューブ50との滑り性を向上させることが可能となる。被覆チューブ50を構成する材料が、牽引部材収納チューブ30を構成する材料およびガイドワイヤチューブ80を構成する材料と同一である場合、部材同士の間で分子間力による抵抗が生じるおそれがあるため、被覆チューブ50を構成する材料は、牽引部材収納チューブ30を構成する材料およびガイドワイヤチューブ80を構成する材料と異なることが好ましい。特に、被覆チューブ50が薄肉である場合には、被覆チューブ50を構成する材料は、牽引部材収納チューブ30を構成する材料およびガイドワイヤチューブ80を構成する材料と異材料であることが好ましい。
【0052】
被覆チューブ50の遠近方向の長さは、外側チューブ10の遠近方向の長さよりも長いことが好ましい。被覆チューブ50の遠近方向の長さが外側チューブ10の遠近方向の長さよりも長いことにより、牽引部材収納チューブ30の内腔に牽引部材20を挿通させることが容易となり、牽引部材20が接続している外側チューブ10の遠近方向への移動が行いやすくなる。
【0053】
被覆チューブ50の遠近方向の長さは、近位側ガイドワイヤチューブ82の遠近方向の長さの70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。被覆チューブ50の遠近方向の長さと近位側ガイドワイヤチューブ82の遠近方向の長さの比率の下限値を上記の範囲に設定することにより、被覆チューブ50の内側に配置した牽引部材収納チューブ30および近位側ガイドワイヤチューブ82の周方向の移動が容易になるとともに、これらの部材の破損を防止することができる。また、被覆チューブ50の遠近方向の長さと外側チューブ10の遠近方向の長さの比率の上限値は特に限定されないが、例えば、105%以下、100%以下とすることができる。また、被覆チューブ50は、遠近方向において複数に分割して配置してもよい。分割する場合、隣接する被覆チューブ50同士の間隔は、被覆チューブ50の遠近方向の長さに対して小さい方が好ましい。具体的には、隣接する被覆チューブ50同士の間隔は、被覆チューブ50の遠近方向の長さの10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。被覆チューブ50が遠近方向において複数に分割して配置されている場合に、隣接する被覆チューブ50同士の間隔の下限値を上記の範囲に設定することにより、被覆チューブ50が非固定部としての効果を発揮しやすい。
【0054】
被覆チューブ50の遠近方向に直交する断面において、被覆チューブ50の内腔の形状は、例えば、円形、楕円形、多角形、多孔形等が挙げられるが、中でも楕円形であることが好ましい。被覆チューブ50の内腔の形状が楕円形であることにより、被覆チューブ50の内腔に配置されている牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを非固定の状態にしながら、過度な移動を防止することができる。
【0055】
被覆チューブ50の肉厚は、保護チューブ60の肉厚よりも小さいことが好ましい。被覆チューブ50の肉厚が保護チューブ60の肉厚よりも小さいことにより、医療用管状体搬送装置1の近位側に適度な剛性を与え、プッシャビリティと柔軟性を両立させた医療用管状体搬送装置1とすることが可能となる。また、被覆チューブ50が保護チューブ60より薄ければ、適度な剛性の付与に加えて、被覆チューブ50内に位置している部材の周方向への移動が容易となり、プッシャビリティ向上による押し込み操作性、ステント展開の操作性が向上する。さらに、被覆チューブ50の肉厚が小さいことで、医療用管状体搬送装置1全体の寸法を細径化できるようになる。
【0056】
被覆チューブ50の肉厚は、保護チューブ60の肉厚の55%以下であることが好ましく、50%以下であることがより好ましく、45%以下であることがさらに好ましい。被覆チューブ50の肉厚と外側チューブ10の肉厚との比率の上限値を上記の範囲に設定することにより、被覆チューブ50が柔軟なものとなる。その結果、被覆チューブ50の内腔に配置されている部材が周方向に移動しやすくなるために必要な柔軟性を被覆チューブ50に付与することができる。また、被覆チューブ50の肉厚は、外側チューブ10の肉厚の5%以上であることが好ましく、8%以上であることがより好ましく、10%以上であることがさらに好ましい。被覆チューブ50の肉厚と外側チューブ10の肉厚との比率の下限値を上記の範囲に設定することにより、被覆チューブ50の内腔を保持する力、所謂耐キンク性に優れた被覆チューブ50とすることができる。
【0057】
保護チューブ60は、遠近方向を有し、遠近方向に延在する内腔を有しており、内腔に被覆チューブ50が配置されている。つまり、牽引部材収納チューブ30およびガイドワイヤチューブ80の外方に被覆チューブ50が配置されており、被覆チューブ50の外方に保護チューブ60が配置されている。保護チューブ60の内腔に被覆チューブ50が配置されていることにより、医療用管状体搬送装置1の剛性を高めることができ、牽引部材20を遠近方向に移動させることが容易となる。その結果、外側チューブ10を遠近方向に移動させやすくなり、医療用管状体2の留置を安定して行うことが可能となる。
【0058】
保護チューブ60を構成する材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、PET等のポリエステル系樹脂、PEEK等の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。中でも、保護チューブ60を構成する材料は、フッ素系樹脂であることが好ましく、PTFEであることがより好ましい。保護チューブ60を構成する材料がフッ素系樹脂であることにより、保護チューブ60と外側チューブ10との摺動性が高まり、外側チューブ10を遠近方向に移動させやすくなる。
【0059】
また、保護チューブ60は、単層構造であってもよいが、複層構造であることが好ましい。保護チューブ60が複層構造である場合、例えば、保護チューブ60を構成する樹脂チューブの中間層として、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金等の金属編組を用いた構造とすることができる。また、保護チューブ60を構成する樹脂チューブの中間層は、コイル状の補強層としてもよい。中でも、保護チューブ60は、ステンレス鋼の金属編組を有することが好ましい。保護チューブ60が複層構造であることにより、保護チューブ60の剛性が高まるため、医療用管状体搬送装置1全体の剛性も向上させることができる。その結果、外側チューブ10を遠近方向に移動させやすくなり、医療用管状体2を安定して留置することが可能となる。さらに、保護チューブ60を複層構造として、中間層に編組構造を用いた場合、編組構造により屈曲時でも保護チューブ60の内腔の形状を維持しやすいため、ガイドワイヤチューブ80および牽引部材収納チューブ30のキンクを防止し、ガイドワイヤおよび牽引部材20の遠近方向の移動をより容易にすることができる。
【0060】
保護チューブ60の肉厚は、外側チューブ10の肉厚よりも大きいことが好ましい。保護チューブ60の肉厚が外側チューブ10の肉厚よりも大きいことにより、保護チューブ60の剛性を高め、外側チューブ10の遠近方向の移動を行いやすくすることができる。
【0061】
保護チューブ60の肉厚は、外側チューブ10の肉厚の1.1倍以上であることが好ましく、1.2倍以上であることがより好ましく、1.3倍以上であることがさらに好ましい。保護チューブ60の肉厚と外側チューブ10の肉厚との比率の下限値を上記の範囲に設定することにより、保護チューブ60の剛性を向上させることができ、外側チューブ10を遠近方向に移動させやすくなる。また、保護チューブ60の肉厚は、外側チューブ10の肉厚の2.5倍以下であることが好ましく、2.25倍以下であることがより好ましく、2.0倍以下であることがさらに好ましい。保護チューブ60の肉厚と外側チューブ10の肉厚との比率の上限値を上記の範囲に設定することにより、保護チューブ60の剛性と柔軟性を両立させることが可能となる。
【0062】
保護チューブ60の遠位端部の内径は、外側チューブ10の近位端部の外径よりも大きいことが好ましい。なお、外側チューブ10が近位側に補強部11を有し、外側チューブ10と補強部11の間に接続チューブ12を有しており、かつ、保護チューブ60が補強部11の外方に位置している場合には、保護チューブ60の遠位端部の内径が、外側チューブ10の接続チューブ12の外径よりも大きいことが好ましい。保護チューブ60の遠位端部の内径が外側チューブ10の近位端部の外径よりも大きいことにより、外側チューブ10を近位側に移動させた場合に、外側チューブ10の近位端部を保護チューブ60の内腔に収納することができる。そのため、外側チューブ10が遠近方向に移動する際に、外部との接触による摩擦抵抗の増大を防止することで操作荷重を抑制し、より安定したステント展開ができるようになる。
【0063】
保護チューブ60の遠位端部の内径は、外側チューブ10の近位端部の外径の102%以上であることが好ましく、103%以上であることがより好ましく、105%以上であることがさらに好ましい。保護チューブ60の遠位端部の内径と外側チューブ10の近位端部の外径との比率の下限値を上記の範囲に設定することにより、外側チューブ10を保護チューブ60の内腔に挿通させることが容易となる。また、保護チューブ60の遠位端部の内径は、外側チューブ10の近位端部の外径の200%以下であることが好ましく、170%以下であることがより好ましく、150%以下であることがさらに好ましい。保護チューブ60の遠位端部の内径と外側チューブ10の近位端部の外径との比率の上限値を上記の範囲に設定することにより、保護チューブ60の外径が過度に大きくなることを防ぐことができる。なお、保護チューブ60の遠位端部の内径は、外側チューブ10が移動可能である範囲で、外側チューブ10の近位端部の外径にできるだけ近い値で設定するのが好ましい。保護チューブ60の遠位端部の内径を、外側チューブ10の近位端部の外径にできるだけ近い値となるように設定することにより、保護チューブ60内への体液の浸入を最小限にでき、外側チューブ10が遠近方向へ移動しやすくする。また、保護チューブ60の遠位端部と外側チューブ10との段差を最小限にできるため、保護チューブ60の遠位端が体内で引っかかることを防止することができる。
【0064】
被覆チューブ50の遠位端50aよりも遠位側であって、外側チューブ10の近位端10bよりも近位側において、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを互いに固定するには、前述したように、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを接着、溶着、嵌合、螺合、熱収縮性を有する樹脂管へ挿通して樹脂管を熱収縮させる、金属管へ挿通して金属管をかしめること等が挙げられる。中でも、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを互いに固定する方法は、牽引部材収納チューブ30およびガイドワイヤチューブ80が熱溶融可能である場合には、溶着によって固定することが好ましい。牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを溶着によって固定することにより、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80との固定部分の剛性が高まり、医療用管状体搬送装置1のプッシャビリティを向上させることが可能となる。熱溶融による固定が困難である場合には、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを接着剤によって接着することが好ましい。また、接着と溶着を組み合わせる等、複数の固定方法を組み合わせてもよい。具体的には、例えば、牽引部材収納チューブ30およびガイドワイヤチューブ80に接着剤を塗布し、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80のそれぞれに熱溶融性の筒状部材を被せて接合し、牽引部材収納チューブ30に接合した熱溶融性の筒状部材とガイドワイヤチューブ80に接合した熱溶融性の筒状部材とを熱溶融させて接合することによって、牽引部材収納チューブ30およびガイドワイヤチューブ80を互いに固定することが挙げられる。牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを、複数の固定方法を組み合わせて固定することにより、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを強固に固定することができ、医療用管状体搬送装置1の破断を防止して、安全に手技を行えるようにすることができる。
【0065】
牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを接着する接着剤としては、例えば、二液型接着剤、紫外線硬化型接着剤、加熱硬化型接着剤等が挙げられるが、二液型接着剤であることが好ましく、二液型ポリウレタン接着剤であることがより好ましい。牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを接着する接着剤として、二液型接着剤を用いることにより、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80との固定を強固に行うことができる。また、樹脂を溶かして固定する方法として、内面に接着性のポリエチレンを備えたチューブを被覆した後に熱収縮させて、接着性のポリエチレンによって固定する方法も好ましい。牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80との固定を、チューブによって被覆後に熱収縮させて、接着性のポリエチレンによって固定することにより、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80との固定が容易となり、また、固定強度を高めることができる。
【0066】
被覆チューブ50の遠位端50aよりも遠位側であって、外側チューブ10の近位端10bよりも近位側において、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを互いに固定している遠位側固定部71の遠近方向の長さは、被覆チューブ50の遠近方向の長さよりも短いことが好ましい。遠位側固定部71の遠近方向の長さが、被覆チューブ50の遠近方向の長さよりも短いことにより、医療用管状体搬送装置1が湾曲した際に、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが適切に移動および変形することができ、牽引部材20や外側チューブ10の遠近方向の移動がより行いやすくなる。
【0067】
被覆チューブ50の遠位端50aと遠位側固定部71の近位端71bとの間に距離があいていることが好ましい。つまり、被覆チューブ50の遠位端50aと遠位側固定部71の近位端71bとが接していないことが好ましい。被覆チューブ50の遠位端50aと遠位側固定部71の近位端71bとの間に距離があいていることにより、医療用管状体搬送装置1のプッシャビリティを高めることができる。さらに、被覆チューブ50の遠位端50aと遠位側固定部71の近位端71bとの間に距離があいていることにより、医療用管状体搬送装置1が湾曲した状態であっても外側チューブ10の遠近方向の移動を容易とすることができる。被覆チューブ50の遠位端50aと遠位側固定部71の近位端71bとを完全に隙間なく配置しても問題はないが、固定部との間に多少の隙間があることで、非固定部の被覆チューブ50内の部材が周方向へ移動するのがより容易になる。特に、被覆チューブ50内の部材の剛性が高い場合に効果的である。また、隙間(被覆チューブ50のない部分)の長さは、被覆チューブ50内の部材が遠近方向に撓まない程度に設定することが好ましい。
【0068】
図5に示すように、被覆チューブ50の軸方向に直交する断面において、被覆チューブ50の内腔の短径は、牽引部材収納チューブ30の外径とガイドワイヤチューブ80の外径の合計よりも小さいことが好ましい。なお、被覆チューブ50の軸方向とは、被覆チューブ50の長軸方向を示す。被覆チューブ50の内腔の短径が、牽引部材収納チューブ30の外径とガイドワイヤチューブ80の外径の合計よりも小さいことにより、被覆チューブ50の内腔に配置されている牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを互いに非固定の状態にし、被覆チューブ50の内腔にて、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが遠近方向および径方向に移動することを防ぎ、周方向のみの移動が可能な状態とすることができる。
【0069】
被覆チューブ50の軸方向に直交する断面において、被覆チューブ50の内腔の短径は、牽引部材収納チューブ30の外径とガイドワイヤチューブ80の外径の合計の0.95倍以下であることが好ましく、0.9倍以下であることがより好ましく、0.85倍以下であることがさらに好ましい。被覆チューブ50の内腔の短径と、牽引部材収納チューブ30の外径とガイドワイヤチューブ80の外径の合計との比率の上限値を上記の範囲に設定することにより、被覆チューブ50の内腔に配置されている牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが過度に移動することを防止することが可能となる。また、被覆チューブ50の内腔の短径は、牽引部材収納チューブ30の外径とガイドワイヤチューブ80の外径の合計の0.3倍以上であることが好ましく、0.35倍以上であることがより好ましく、0.4倍以上であることがさらに好ましい。被覆チューブ50の内腔の短径と、牽引部材収納チューブ30の外径とガイドワイヤチューブ80の外径の合計との比率の下限値を上記の範囲に設定することにより、牽引部材収納チューブ30およびガイドワイヤチューブ80を被覆チューブ50の内腔へ挿通することが容易となって、医療用管状体搬送装置1の生産における効率を向上させることができる。
【0070】
図3に示すように、被覆チューブ50の近位端50bよりも近位側において、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが互いに固定されていることが好ましい。つまり、被覆チューブ50が存在している部分においては、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが互いに非固定であり、被覆チューブ50の遠位端50aよりも遠位側であって、外側チューブ10の近位端10bよりも近位側、および、被覆チューブ50の近位端50bよりも近位側の両方において、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが互いに固定されており、被覆チューブ50の遠位側に遠位側固定部71を有し、被覆チューブ50の近位側に近位側固定部72を有していることが好ましい。被覆チューブ50の近位端50bよりも近位側において、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが互いに固定されていることにより、医療用管状体搬送装置1の手元側に加えた押し込み力が遠位端まで伝わりやすく、プッシャビリティのよい医療用管状体搬送装置1とすることができる。また、医療用管状体搬送装置1が湾曲した際に牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80がそれぞれ移動することが可能であり、牽引部材20および外側チューブ10の遠近方向への移動を妨げにくくすることができる。
【0071】
遠位側固定部71の遠近方向の長さは、近位側固定部72の遠近方向の長さよりも短くてもよく、近位側固定部72の遠近方向の長さと同じであってもよいが、近位側固定部72の遠近方向の長さよりも長いことが好ましい。遠位側固定部71は、ステント展開時の支えとなるために重要な部位である。遠位側固定部71の遠近方向の長さが近位側固定部72の遠近方向の長さよりも長いことにより、遠位側固定部71の遠近方向の長さを十分に確保することができ、外側チューブ10および牽引部材20の遠近方向の移動が行いやすくなる。その結果、容易なステント展開を可能にすることができる。
【0072】
被覆チューブ50の近位端50bと近位側固定部72の遠位端72aとの間に距離があいており、離隔していることが好ましい。つまり、被覆チューブ50の近位端50bと近位側固定部72の遠位端72aとが接していないことが好ましい。被覆チューブ50の近位端50bと近位側固定部72の遠位端72aとの間に距離があいていることにより、医療用管状体搬送装置1が湾曲した状態であっても外側チューブ10の遠近方向への移動が容易となるため医療用管状体2を留置させやすく、さらに、医療用管状体搬送装置1のプッシャビリティを向上させることができる。被覆チューブ50の近位端50bと近位側固定部72の遠位端72aとを完全に隙間なく配置しても問題はないが、固定部との間に多少の隙間があることで、非固定部の被覆チューブ50内の部材が周方向へ移動するのがより容易になる。特に、被覆チューブ50内の部材の剛性が高い場合に効果的である。また、隙間(被覆チューブ50のない部分)の長さは、被覆チューブ50内の部材が遠近方向に撓まない程度に設定することが好ましい。
【0073】
被覆チューブ50の肉厚は、保護チューブ60の肉厚、外側チューブ10の肉厚、およびガイドワイヤチューブ80の肉厚よりも小さいことが好ましい。被覆チューブ50の肉厚が保護チューブ60の肉厚、外側チューブ10の肉厚、およびガイドワイヤチューブ80の肉厚よりも小さいことにより、医療用管状体搬送装置1の外径が過度に大きくなることを防ぎ、医療用管状体搬送装置1の侵襲性を低くすることが可能となる。さらに、非固定部において、被覆チューブ50内の部材の周方向の移動を容易にして、プッシャビリティの向上、およびステント展開の操作性の向上を図ることができる。
【0074】
ガイドワイヤチューブ80の肉厚は、保護チューブ60の肉厚よりも小さいことが好ましい。ガイドワイヤチューブ80の肉厚が保護チューブ60の肉厚よりも小さいことにより、医療用管状体搬送装置1の柔軟性を高めることができる。そのため、湾曲している生体内管腔であっても医療用管状体搬送装置1を挿通させやすくなる。
【0075】
ガイドワイヤチューブ80の肉厚は、保護チューブ60の肉厚の90%以下であることが好ましく、80%以下であることがより好ましく、70%以下であることがさらに好ましい。ガイドワイヤチューブ80の肉厚と保護チューブ60の肉厚の比率の上限値を上記の範囲に設定することにより、ガイドワイヤチューブ80の柔軟性を十分に高めることができる。また、ガイドワイヤチューブ80の肉厚は、保護チューブ60の肉厚の30%以上であることが好ましく、35%以上であることがより好ましく、40%以上であることがさらに好ましい。ガイドワイヤチューブ80の肉厚と保護チューブ60の肉厚の比率の下限値を上記の範囲に設定することにより、ガイドワイヤチューブ80の剛性を高め、プッシャビリティのよい医療用管状体搬送装置1とすることができる。
【0076】
ガイドワイヤチューブ80は、遠位側ガイドワイヤチューブ81と近位側ガイドワイヤチューブ82を有しており、被覆チューブ50の遠位端50aよりも遠位側であり外側チューブ10の近位端10bよりも近位側において牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが互いに固定されている遠位側固定部71の遠位端71aよりも近位側に、遠位側ガイドワイヤチューブ81の近位端81bが配置されており、遠位側固定部71の近位端71bよりも遠位側に、近位側ガイドワイヤチューブ82の遠位端82aが配置されていることが好ましく、遠位側固定部71の近位端71bと近位側ガイドワイヤチューブ82の遠位端82aは当接していることがより好ましい。遠位側固定部71の遠位端71aよりも近位側に遠位側ガイドワイヤチューブ81の近位端81bが配置されており、遠位側固定部71の近位端71bよりも遠位側に近位側ガイドワイヤチューブ82の遠位端82aが配置されていることにより、遠近方向の長さが長いガイドワイヤチューブ80を遠位側ガイドワイヤチューブ81と近位側ガイドワイヤチューブ82に分割することとなる。そのため、医療用管状体搬送装置1の製造において、外側チューブ10や保護チューブ60の内腔にガイドワイヤチューブ80を配置する工程が行いやすくなる。また、遠位側ガイドワイヤチューブ81と近位側ガイドワイヤチューブ82とで材料や形状を変える等により、ガイドワイヤチューブ80の物性等をガイドワイヤチューブ80の遠近方向において異なるようにすることも可能となる。さらに、医療用管状体搬送装置1の遠近方向の荷重の伝達効率を向上させることができる。
【0077】
牽引部材収納チューブ30の遠位端30aを、遠位側ガイドワイヤチューブ81の近位端81bより遠位側に配置することが好ましい。牽引部材収納チューブ30の遠位端30aを遠位側ガイドワイヤチューブ81の近位端81bより遠位側に配置することにより、遠位側ガイドワイヤチューブ81から牽引部材収納チューブ30に対して直接的に荷重伝達できるようになる。その結果、医療用管状体2であるステントを展開する操作や、医療用管状体搬送装置1を押し込む操作を容易に行うことができる。
【0078】
ガイドワイヤチューブ80の遠位側の剛性は、近位側の剛性よりも高いことが好ましい。ガイドワイヤチューブ80の遠位側の剛性が近位側の剛性よりも高いことにより、医療用管状体搬送装置1のプッシャビリティを高めることができる。
【0079】
ガイドワイヤチューブ80の遠位側の剛性を近位側の剛性よりも高めるには、ガイドワイヤチューブ80を遠位側ガイドワイヤチューブ81と近位側ガイドワイヤチューブ82を有する構成とし、遠位側ガイドワイヤチューブ81の剛性を近位側ガイドワイヤチューブ82の剛性よりも高くすることが挙げられる。具体的には、近位側ガイドワイヤチューブ82を合成樹脂の単層構造とし、遠位側ガイドワイヤチューブ81を合成樹脂の中間層として金属編組を有する複層構造とすることが好ましい。遠位側ガイドワイヤチューブ81に用いる金属編組としては、例えば、ステンレス鋼、炭素鋼、ニッケルチタン合金等が挙げられる。中でも、遠位側ガイドワイヤチューブ81は、ステンレス鋼の金属編組を有することが好ましい。遠位側ガイドワイヤチューブ81が金属編組を有する複層構造であることにより、遠位側ガイドワイヤチューブ81の剛性を近位側ガイドワイヤチューブ82よりも高めることが容易となる。
【0080】
医療用管状体搬送装置1は、牽引部材収納チューブ30の外方に配置される線材40を有していることが好ましい。線材40は、遠近方向を有する線状物であり、牽引部材収納チューブ30の外方に配置されている。医療用管状体搬送装置1が線材40を有していることにより、医療用管状体搬送装置1の近位側の剛性を高め、医療用管状体搬送装置1のプッシャビリティを向上させることができる。
【0081】
線材40を構成する材料は、例えば、ステンレス、鉄、ニッケル、チタン、またはこれらの合金等の金属、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、PET等のポリエステル系樹脂、PEEK等の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。中でも、線材40を構成する材料は、金属であることが好ましく、ステンレスであることがより好ましい。線材40を構成する材料が金属であることにより、医療用管状体搬送装置1の近位側の剛性を高めることができる。また、線材40を構成する材料が金属であることによって、線材40の外径が過度に大きくなることを防ぎ、医療用管状体搬送装置1の線材40が存在している部分の外径が大きくなりすぎることを防止できる。
【0082】
線材40の外径は、牽引部材20の外径よりも大きいことが好ましい。線材40の外径が牽引部材20の外径よりも大きいことにより、医療用管状体搬送装置1の近位側の剛性を遠位側よりも高めることができる。なお、線材40の外径は、遠近方向において一定の寸法であってもよく、近位端から遠位端にかけて全体または部分的にテーパー状に外径が変化していてもよく、階段状に外径が変化していてもよい。また、線材40の遠近方向に垂直な断面が半円形、角形の線材であってもよい。その他、平板形状、コイル線、中空形状の線材であってもよい。さらに、ここで述べた形状を組み合わせた構造であってもよい。
【0083】
線材40の外径は、牽引部材20の外径の1.1倍以上であることが好ましく、1.2倍以上であることがより好ましく、1.3倍以上であることがさらに好ましい。線材40の外径と牽引部材20の外径との比率の下限値を上記の範囲に設定することにより、医療用管状体搬送装置1の近位側に十分な剛性を付与することができる。また、線材40の外径は、牽引部材20の外径の5倍以下であることが好ましく、4倍以下であることがより好ましく、3倍以下であることがさらに好ましい。線材40の外径と牽引部材20の外径との比率の上限値を上記の範囲に設定することにより、ステント展開時の支えとなる適度な剛性を確保しつつ、線材40の外径が過度に増加することを防ぐことが可能となる。
【0084】
ガイドワイヤチューブ80の外径は、牽引部材収納チューブ30の外径、および線材40の外径の両方よりも大きいことが好ましい。ガイドワイヤチューブ80の外径が牽引部材収納チューブ30の外径、および線材40の外径の両方よりも大きいことにより、医療用管状体搬送装置1の剛性を高めることができる。そのため、体内に配置したガイドワイヤに沿って医療用管状体搬送装置1を目的の場所へ挿通しやすくなる。
【0085】
ガイドワイヤチューブ80の外径は、牽引部材収納チューブ30および線材40のうち、外径が大きい方の外径の1.1倍以上であることが好ましく、1.2倍以上であることがより好ましく、1.3倍以上であることがさらに好ましい。ガイドワイヤチューブ80の外径と牽引部材収納チューブ30または線材40の外径との比率の下限値を上記の範囲に設定することにより、医療用管状体搬送装置1の剛性を十分に高めることができ、医療用管状体搬送装置1のプッシャビリティを向上させることができる。また、ガイドワイヤチューブ80の外径は、牽引部材収納チューブ30および線材40のうち、外径が大きい方の外径の3.5倍以下であることが好ましく、3.3倍以下であることがより好ましく、3.0倍以下であることがさらに好ましい。ガイドワイヤチューブ80の外径と牽引部材収納チューブ30または線材40の外径との比率の上限値を上記の範囲に設定することにより、ガイドワイヤチューブ80の外径が過度に大きくなることによって、医療用管状体搬送装置1の外径も大きくなりすぎることを防止できる。
【0086】
牽引部材収納チューブ30の外方に配置される線材40を有しており、被覆チューブ50の遠位端50aよりも遠位側において、牽引部材収納チューブ30、ガイドワイヤチューブ80、および線材40が互いに固定されていることが好ましい。つまり、遠位側固定部71において、牽引部材収納チューブ30、ガイドワイヤチューブ80、および線材40が互いに固定されていることが好ましく、遠位側固定部71内において、線材40の遠位端40aは、遠位側ガイドワイヤチューブ81の近位端81bよりも遠位側にあるのがより好ましい。線材40が牽引部材収納チューブ30の外方に配置されており、被覆チューブ50の遠位端50aよりも遠位側において、牽引部材収納チューブ30、ガイドワイヤチューブ80、および線材40が互いに固定されていることにより、医療用管状体搬送装置1の剛性を高めることができ、医療用管状体搬送装置1のプッシャビリティや、外側チューブ10から医療用管状体2を押し出す力を向上させることができる。そのため、医療用管状体2の留置を安定的に容易に行うことが可能となる。また、ステント展開時の圧縮荷重が直接作用する遠位側ガイドワイヤチューブ81に対して、軸圧縮抵抗力を補強することができる。
【0087】
被覆チューブ50の軸方向に直交する断面において、被覆チューブ50の内腔の短径は、牽引部材収納チューブ30、ガイドワイヤチューブ80、および線材40のうち、外径が大きい2つの部材の外径の合計よりも小さいことが好ましい。被覆チューブ50の内腔の短径が、牽引部材収納チューブ30、ガイドワイヤチューブ80、および線材40のうち、外径が大きい2つの部材の外径の合計よりも小さいことにより、被覆チューブ50の内腔に配置されている牽引部材収納チューブ30、ガイドワイヤチューブ80、および線材40を互いに非固定の状態にし、被覆チューブ50の内腔にて、牽引部材収納チューブ30、ガイドワイヤチューブ80、および線材40が遠近方向および径方向に移動することを防ぎ、周方向のみの移動が可能な状態とすることができる。その結果、外側チューブ10が遠近方向へ移動しやすく、容易に医療用管状体2を留置させることができる。
【0088】
被覆チューブ50の軸方向に直交する断面において、被覆チューブ50の内腔の短径は、牽引部材収納チューブ30、ガイドワイヤチューブ80、および線材40のうち、外径が大きい2つの部材の外径の合計の0.95倍以下であることが好ましく、0.9倍以下であることがより好ましく、0.85倍以下であることがさらに好ましい。被覆チューブ50の内腔の短径と、牽引部材収納チューブ30、ガイドワイヤチューブ80、および線材40のうち、外径が大きい2つの部材の外径の合計との比率の上限値を上記の範囲に設定することにより、牽引部材収納チューブ30、ガイドワイヤチューブ80、および線材40を被覆チューブ50の内腔において、非固定の状態に保ちやすくなる。その結果、周方向への移動が容易となって、プッシャビリティの向上やステント展開操作の向上へとつながる。また、被覆チューブ50の内腔の短径は、牽引部材収納チューブ30、ガイドワイヤチューブ80、および線材40のうち、外径が大きい2つの部材の外径の合計の0.3倍以上であることが好ましく、0.35倍以上であることがより好ましく、0.4倍以上であることがさらに好ましい。被覆チューブ50の内腔の短径と、牽引部材収納チューブ30、ガイドワイヤチューブ80、および線材40のうち、外径が大きい2つの部材の外径の合計との比率の下限値を上記の範囲に設定することにより、医療用管状体搬送装置1の製造において、牽引部材収納チューブ30、ガイドワイヤチューブ80、および線材40を被覆チューブ50の内腔に挿通しやすくなる。その結果、医療用管状体搬送装置1の生産効率を高めることが可能となる。
【0089】
被覆チューブ50の遠位端50aよりも遠位側であり外側チューブ10の近位端10bよりも近位側において牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とが互いに固定されている遠位側固定部71の遠位端71aよりも近位側であって、遠位側固定部71の近位端71bよりも遠位側に、線材40の遠位端40aが配置されていることが好ましい。つまり、線材40の遠位端40aは、遠位側固定部71の内方にあることが好ましい。遠位側固定部71の遠位端71aよりも近位側であって、遠位側固定部71の近位端71bよりも遠位側に、線材40の遠位端40aが配置されていることにより、プッシャビリティを向上させてステント展開時の軸圧縮抵抗力を補強し、外側チューブ10および補強部11の遠近方向の移動を容易化することができる。また、大きく湾曲している生体内管腔に医療用管状体搬送装置1を配置した場合等、医療用管状体搬送装置1が大きく湾曲した状態であっても、保護チューブ60等の他物に線材40の端部が接触し、他物を傷付けることを防止することができる。
【0090】
なお、図示していないが、線材40の近位端40bは、被覆チューブ50の近位端50bよりも遠位側に配置されていることも好ましい。また、近位側固定部72がない場合、線材40の近位端40bは、被覆チューブ50の近位端50bよりも遠位側、つまり、被覆チューブ50内にあることが好ましい。近位側固定部72がある場合、線材40の近位端40bは、近位側固定部72内に配置してもよい。線材40の近位端40bが、被覆チューブ50の近位端50bよりも遠位側に配置されていることにより、線材40の近位端40bが被覆チューブ50の内方に収まり、近位側固定部72がなくても線材40の近位端40bが他物と接触して傷付けにくくなる。そのため、医療用管状体搬送装置1の製造工程を減らすことができ、生産効率を高めることができる。また、線材40の近位端40bが他物に接触することを防ぐため、医療用管状体搬送装置1の耐久性を高めることができる。
【0091】
被覆チューブ50の遠位端50aよりも遠位側であり外側チューブ10の近位端10bよりも近位側において牽引部材収納チューブ30と線材40とが互いに固定されている遠位側固定部71の遠位端71aよりも遠位側に、牽引部材収納チューブ30の遠位端30aが配置されていることが好ましい。遠位側固定部71の遠位端71aよりも遠位側に牽引部材収納チューブ30の遠位端30aが配置されていることにより、医療用管状体搬送装置1の製造において、牽引部材20を牽引部材収納チューブ30の内腔に挿通することが容易となり、生産効率を高めることができる。
【0092】
図1および図2に示すように、医療用管状体搬送装置1は、遠位端部に外側チューブ10よりも柔軟である先端チップ3を有していることが好ましい。また、先端チップ3の遠位端の外径は、外側チューブ10の遠位端の外径と同じかそれ以上であってもよいが、外側チューブ10の遠位端の外径よりも小さいことがより好ましい。医療用管状体搬送装置1が遠位端部に外側チューブ10よりも柔軟である先端チップ3を有していることにより、医療用管状体搬送装置1を体内へデリバリーする際に、医療用管状体搬送装置1の遠位端が体内を傷付けることを防ぐとともに、屈曲への追従性、先行するガイドワイヤへの追従性、末梢への到達性を高めることができ、デリバリー時の操作性が向上する。また、先端チップ3の近位端が外側チューブ10の遠位端よりも近位側まで延びていることにより、屈曲した先端チップ3に対して外側チューブ10が追従しやすくなるため、より好ましい構造となる。
【0093】
先端チップ3を構成する材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ナイロン等のポリアミド系樹脂、PET等のポリエステル系樹脂、PEEK等の芳香族ポリエーテルケトン系樹脂、ポリエーテルポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリイミド系樹脂、PTFE、PFA、ETFE等のフッ素系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の合成樹脂等が挙げられる。中でも、先端チップ3を構成する材料は、ポリアミド系樹脂であることが好ましく、ポリアミドエラストマーであることがより好ましい。先端チップ3を構成する材料がポリアミド系樹脂であることにより、先端チップ3のガイドワイヤへの追従性と先端の安全性を両立した医療用管状体搬送装置1とすることが可能となる。
【0094】
図1に示すように、医療用管状体搬送装置1は、近位側にコントローラー4を有していてもよい。コントローラー4には、牽引部材20の近位端部が固定されており、コントローラー4を操作することによって牽引部材20が遠近方向に移動可能であることが好ましい。医療用管状体搬送装置1が近位側にコントローラー4を有していることにより、牽引部材20の遠近方向への移動が容易となる。その結果、外側チューブ10の遠近方向への移動が行いやすくなり、医療用管状体2を病変部に留置させることが容易となる。
【0095】
図2に示すように、医療用管状体搬送装置1は、外側チューブ10の内腔内における医療用管状体2の位置を制限し、医療用管状体2を遠位側へ押し出すためのストッパー5を有していることが好ましい。医療用管状体搬送装置1がストッパー5を有していることにより、医療用管状体2を外側チューブ10から放出し、病変部に留置することが容易となる。
【0096】
ストッパー5の形状は、例えば、リング形状とすることができ、その外径は、外側チューブ10の内腔に収納している状態の医療用管状体2の外径と同じか小さく、外側チューブ10の内径よりも小さいことが好ましい。ストッパー5の形状が外側チューブ10の内腔に収納している状態の医療用管状体2の外径と同じか小さく、外側チューブ10の内径よりも小さいリング形状であることにより、外側チューブ10の遠近方向への移動をストッパー5が妨げにくく、また、医療用管状体2をストッパー5が十分に押し出すことができる。
【0097】
ストッパー5を構成する材料は、弾性樹脂材料であることが好ましく、例えば、ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂、PTFE、PFA等のフッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、シリコーン系樹脂等が挙げられる。中でも、ストッパー5を構成する材料は、ポリアミド系樹脂であることが好ましい。ストッパー5を構成する材料がポリアミド系樹脂であることにより、ストッパー5の剛性を高め、ステント等の医療用管状体2の後端を支持し、ステントを効率的に展開できるようになる。また、ポリアミド系樹脂は成形加工が容易であるため、ストッパー5の製造を行いやすくなるという効果も有している。
【0098】
医療用管状体搬送装置1は、X線不透過マーカー6を有していてもよい。医療用管状体搬送装置1がX線不透過マーカー6を有することにより、X線透視下において、X線不透過マーカー6が設けられている位置を確認することができる。図2に示すように、X線不透過マーカー6は、例えば、先端チップ3が配置されている場所や、ストッパー5が配置されている場所に設けることが好ましい。X線不透過マーカー6を先端チップ3が配置されている場所に設けることにより、X線透視下において、医療用管状体搬送装置1の遠位端部を確認することができ、また、X線不透過マーカー6をストッパー5が配置されている場所に設けることにより、X線透視下において、医療用管状体2の位置や押し出し状態を確認することができる。X線不透過マーカー6の数は、1つであってもよく、複数であってもよい。
【0099】
X線不透過マーカー6の形状は、例えば、円筒状、多角筒状、筒にスリットが入った断面C字状の形状、線材を巻回したコイル形状等が挙げられる。X線不透過マーカー6の形状は、中でも、円筒状であることが好ましい。X線不透過マーカー6の形状が円筒状であることにより、X線不透過マーカー6へ全周方向に均一な視認性を付与することができ、X線透視下における視認性を高めることができる。
【0100】
X線不透過マーカー6を構成する材料は、例えば、鉛、バリウム、ヨウ素、タングステン、金、白金、イリジウム、ステンレス、タンタル、チタン、コバルトクロム合金等のX線不透過物質を用いることができる。X線不透過物質は、中でも、白金であることが好ましい。X線不透過マーカー6を構成するX線不透過物質が白金であることにより、X線の造影性を高めることができる。
【0101】
本発明の医療用管状体搬送装置1を製造する方法は、牽引部材収納チューブ30を被覆チューブ50の内腔に挿通する第1工程と、ガイドワイヤチューブ80を被覆チューブ50の内腔に挿通する第2工程と、被覆チューブ50の遠位端50aよりも遠位側において、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを互いに固定する第3工程と、を有することを特徴とするものである。このような方法によって医療用管状体搬送装置1を製造することにより、医療用管状体搬送装置1の製造を容易に行うことができ、生産効率を高めることが可能となる。
【0102】
第1工程において、被覆チューブ50の内腔に牽引部材収納チューブ30を挿通する。第1工程において、牽引部材収納チューブ30の遠位端30aを被覆チューブ50の近位端50bから被覆チューブ50の内腔に挿通してもよく、牽引部材収納チューブ30の近位端を被覆チューブ50の遠位端50aから被覆チューブ50の内腔に挿通してもよい。
【0103】
第2工程において、被覆チューブ50の内腔にガイドワイヤチューブ80を挿通する。第2工程において、ガイドワイヤチューブ80の遠位端を被覆チューブ50の近位端50bから被覆チューブ50の内腔に挿通してもよく、ガイドワイヤチューブ80の近位端を被覆チューブ50の遠位端50aから被覆チューブ50の内腔に挿通してもよい。
【0104】
被覆チューブ50の内腔へ被覆チューブ50の遠位端50aから牽引部材収納チューブ30の近位端を挿通する場合には、ガイドワイヤチューブ80の近位端を被覆チューブ50の遠位端50aから挿通することが好ましい。つまり、第1工程において、牽引部材収納チューブ30の近位端を被覆チューブ50の遠位端50aから被覆チューブ50の内腔に挿通し、第2工程において、ガイドワイヤチューブ80の近位端を被覆チューブ50の遠位端50aから被覆チューブ50の内腔に挿通することが好ましい。第1工程において牽引部材収納チューブ30の近位端を被覆チューブ50の遠位端50aから被覆チューブ50の内腔に挿通し、第2工程においてガイドワイヤチューブ80の近位端を被覆チューブ50の遠位端50aから被覆チューブ50の内腔に挿通することにより、被覆チューブ50の内腔に牽引部材収納チューブ30やガイドワイヤチューブ80を挿通する際に被覆チューブ50が破損することを防止し、被覆チューブ50への牽引部材収納チューブ30と線材40との挿通が行いやすくなる。そのため、医療用管状体搬送装置1の生産効率を向上させることができる。
【0105】
第1工程の前に第2工程を行ってもよく、第1工程の後に第2工程を行ってもよいが、第1工程と第2工程を同時に行うことが好ましい。つまり、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを一緒に被覆チューブ50の内腔に配置することが好ましい。第1工程と第2工程を同時に行うことにより、被覆チューブ50の内腔へ牽引部材収納チューブ30およびガイドワイヤチューブ80を挿通する工程が行いやすくなる。その結果、医療用管状体搬送装置1の生産性を高めることができる。
【0106】
医療用管状体搬送装置1が線材40を有する場合、線材40を被覆チューブ50の内腔に挿通する工程を有していてもよい。この工程は、第1工程の前であってもよく、第1工程と同時であってもよく、第1工程の後であってもよく、また、第2工程の前であってもよく、第2工程と同時であってもよく、第2工程の後であってもよい。中でも、線材40を被覆チューブ50の内腔に挿通する工程は、第1工程および第2工程の後に行うことが好ましい。第1工程および第2工程の後に線材40を被覆チューブ50の内腔に挿通する工程を行うことにより、線材40を被覆チューブ50の内腔へ挿通させやすく、また、線材40の端部が被覆チューブ50に引っ掛かって被覆チューブ50が破損することを防ぎ、医療用管状体搬送装置1の生産効率を向上させることが可能となる。牽引部材収納チューブ30、ガイドワイヤチューブ80、および線材40のうち、最も外径が小さい部材をこれら3つの中で最後に被覆チューブ50の内腔へ挿通することによって、医療用管状体搬送装置1の組み立てを効率よく行うことができる。これは、牽引部材収納チューブ30、ガイドワイヤチューブ80、および線材40のうち、外径の大きな2つの部材は被覆チューブ50によって径方向の移動が妨げられた状態にあるため、これら2つの部材で形成された隙間に対して、最も外径の小さい部材を挿通することが容易であるためである。
【0107】
医療用管状体搬送装置1が線材40を有しており、第1工程において、牽引部材収納チューブ30の近位端を被覆チューブ50の遠位端50aから被覆チューブ50の内腔に挿通し、第2工程において、ガイドワイヤチューブ80の近位端を被覆チューブ50の遠位端50aから被覆チューブ50の内腔に挿通する場合、線材40の近位端40bを被覆チューブ50の遠位端50aから被覆チューブ50の内腔に挿通することが好ましい。線材40の近位端40bを被覆チューブ50の遠位端50aから、被覆チューブ50の内腔に挿通することにより、線材40を被覆チューブ50の内腔に挿通しやすく、線材40の端部が被覆チューブ50に引っ掛かって被覆チューブ50が破損することを防ぐことができる。
【0108】
第3工程にて、被覆チューブ50の遠位端50aよりも遠位側において、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを互いに固定する。牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを互いに固定する方法としては、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを接着、溶着、嵌合、熱収縮性を有する樹脂管へ挿通して樹脂管を熱収縮させる、金属管へ挿通して金属管をかしめること等が挙げられる。中でも、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを互いに熱溶融によって接合することが可能である場合には、溶着による固定が好ましい。第3工程において、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを溶着によって互いに固定することにより、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80との固定を容易に強固なものとすることができる。牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80との熱溶融による接合が困難である場合には、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを接着剤によって接着することが好ましい。また、接着と溶着を組み合わせてもよい。具体的には、例えば、牽引部材収納チューブ30およびガイドワイヤチューブ80に接着剤を塗布し、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80のそれぞれに熱溶融性の筒状部材を被せて接合し、牽引部材収納チューブ30に接合した熱溶融性の筒状部材とガイドワイヤチューブ80に接合した熱溶融性の筒状部材とを熱溶融させて接合することによって、牽引部材収納チューブ30およびガイドワイヤチューブ80を互いに固定することが挙げられる。第3工程において、接着と溶着を組み合わせて牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを互いに固定することにより、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを強固に固定し、かつ、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80との固定を容易に行うことが可能となる。
【0109】
第3工程は、第1工程および第2工程の前に行ってもよいが、第1工程および第2工程の後に行うことが好ましい。第3工程を第1工程および第2工程の後に行うことにより、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80との固定が行いやすくなる。そのため、医療用管状体搬送装置1の生産効率を高めることができる。
【0110】
医療用管状体搬送装置1が線材40を有する場合、第3工程にて、被覆チューブ50の遠位端50aよりも遠位側において、牽引部材収納チューブ30、ガイドワイヤチューブ80、および線材40を互いに固定することが好ましい。第3工程において、被覆チューブ50の遠位端50aよりも遠位側にて、牽引部材収納チューブ30、ガイドワイヤチューブ80、および線材40を互いに固定することにより、牽引部材収納チューブ30、ガイドワイヤチューブ80および線材40を容易かつ強固に固定することができ、医療用管状体搬送装置1の破断を防止することが可能となる。また、牽引部材収納チューブ30の遠位端30aを、遠位側ガイドワイヤチューブ81の近位端81bより遠位側に配置して固定することが好ましい。牽引部材収納チューブ30の遠位端30aを、遠位側ガイドワイヤチューブ81の近位端81bより遠位側に配置して固定することにより、遠位側ガイドワイヤチューブ81から牽引部材収納チューブ30に対して直接的に荷重伝達できるようになる。そのため、ステント展開や押し込み操作を容易に行うことができる。
【0111】
被覆チューブ50の近位端50bよりも近位側において、牽引部材収納チューブ30とガイドワイヤチューブ80とを互いに固定する工程を有していてもよい。この工程は、第1工程および第2工程の後に行うことが好ましい。また、この工程は、第3工程の前に行ってもよく、第3工程の後に行ってもよい。被覆チューブ50の近位端50bよりも近位側において、牽引部材収納チューブ30と線材40とを互いに固定する工程を有することにより、医療用管状体搬送装置1のプッシャビリティを高めることができ、医療用管状体2を目的部位に留置することが行いやすくなる。
【0112】
以上のように、本発明の医療用管状体搬送装置は、医療用管状体を体内に搬送する装置であって、医療用管状体が内腔に配置されている外側チューブと、外側チューブに接続されている牽引部材と、牽引部材が内腔に挿通されている牽引部材収納チューブと、ガイドワイヤが内腔に挿通されるガイドワイヤチューブと、牽引部材収納チューブとガイドワイヤチューブが内腔に配置されている被覆チューブと、被覆チューブが内腔に配置されている保護チューブと、を有し、被覆チューブの遠位端よりも遠位側であって、外側チューブの近位端よりも近位側において、牽引部材収納チューブとガイドワイヤチューブとが互いに固定されており、被覆チューブが存在している部分において、牽引部材収納チューブとガイドワイヤチューブとが互いに非固定であることを特徴とする。このような構成であることにより、外側チューブを遠近方向に移動させる際に、外側チューブと他物との間に大きな摩擦抵抗が生じにくく、医療用管状体搬送装置の操作抵抗を低減することができる。また、保護チューブを有することにより、医療用管状体搬送装置の剛性を高め、外側チューブを遠近方向に移動させやすく、医療用管状体の留置を安定的に行うことができる。
【0113】
本願は、2019年3月25日に出願された日本国特許出願第2019-057272号に基づく優先権の利益を主張するものである。2019年3月25日に出願された日本国特許出願第2019-057272号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
【符号の説明】
【0114】
1:医療用管状体搬送装置
2:医療用管状体
3:先端チップ
4:コントローラー
5:ストッパー
6:X線不透過マーカー
10:外側チューブ
10b:外側チューブの近位端
11:補強部
12:接続チューブ
20:牽引部材
30:牽引部材収納チューブ
30a:牽引部材収納チューブの遠位端
40:線材
40a:線材の遠位端
40b:線材の近位端
50:被覆チューブ
50a:被覆チューブの遠位端
50b:被覆チューブの近位端
60:保護チューブ
71:遠位側固定部
71a:遠位側固定部の遠位端
71b:遠位側固定部の近位端
72:近位側固定部
72a:近位側固定部の遠位端
80:ガイドワイヤチューブ
81:遠位側ガイドワイヤチューブ
81b:遠位側ガイドワイヤチューブの近位端
82:近位側ガイドワイヤチューブ
82a:近位側ガイドワイヤチューブの遠位端
図1
図2
図3
図4
図5