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特許7378468溶融形態の塩を含む隔離材料を使用した二酸化炭素除去、ならびに関連システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】溶融形態の塩を含む隔離材料を使用した二酸化炭素除去、ならびに関連システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/14 20060101AFI20231106BHJP
   C01B 35/12 20060101ALI20231106BHJP
   C01B 32/50 20170101ALI20231106BHJP
   B01D 53/62 20060101ALI20231106BHJP
   B01D 53/78 20060101ALI20231106BHJP
   B01D 53/96 20060101ALI20231106BHJP
   B01D 53/18 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
B01D53/14 210
C01B35/12 A
C01B35/12 D
C01B32/50
B01D53/62 ZAB
B01D53/78
B01D53/96
B01D53/14 220
B01D53/18 150
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2021517996
(86)(22)【出願日】2019-07-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-13
(86)【国際出願番号】 US2019040961
(87)【国際公開番号】W WO2020072115
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】62/815,656
(32)【優先日】2019-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/742,078
(32)【優先日】2018-10-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596060697
【氏名又は名称】マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー
(73)【特許権者】
【識別番号】519039216
【氏名又は名称】サウジ・アラビアン・オイル・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】ハットン, トレバー アラン
(72)【発明者】
【氏名】原田 琢也
(72)【発明者】
【氏名】ジャマール, アキール
(72)【発明者】
【氏名】ハリデー, キャメロン ジー.
【審査官】宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-528002(JP,A)
【文献】特開2006-205023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/14-53/18
B01D 53/62
C01B 35/12
C01B 32/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融形態の塩を含む隔離材料を、二酸化炭素を含有する環境に、前記二酸化炭素の少なくとも一部が前記隔離材料と相互作用して前記環境から隔離されるように曝露するステップを含む方法であって、
溶融形態の前記塩が、
少なくとも1種のアルカリ金属カチオン、
ホウ素、および
酸素
を含む、方法。
【請求項2】
前記ホウ素が、少なくとも1種のホウ素カチオンの形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1種のホウ素カチオンが、B3+を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記酸素が、少なくとも1種の酸素アニオンの形態である、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1種の酸素アニオンが、O2-を含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
溶融形態の塩を含む隔離材料を、二酸化炭素を含有する環境に、前記二酸化炭素の少なくとも一部が前記隔離材料と相互作用して前記環境から隔離されるように曝露するステップを含む方法であって、
溶融形態の前記塩が、
少なくとも1種のアルカリ金属カチオン、ならびに
少なくとも1種の酸化ホウ素アニオンおよび/またはその解離形態
を含む、方法。
【請求項7】
前記環境が、少なくとも1mol%の量の二酸化炭素を含有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記隔離材料1グラム当たり少なくとも1.0mmolの二酸化炭素が、前記環境から隔離される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記隔離材料1グラム当たり少なくとも1.0mmolの二酸化炭素が、1時間の時間内に前記環境から隔離される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記隔離材料の温度が、前記二酸化炭素の前記隔離の少なくとも一部の間、少なくとも200℃である、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記隔離材料から、前記隔離材料によって隔離された前記二酸化炭素の少なくとも95mol%を除去することによって、前記隔離材料を再生するステップをさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記隔離材料を少なくとも10回サイクルさせるステップをさらに含み、前記サイクルの各々が隔離ステップと、その後の再生ステップとを含み、前記隔離ステップにおいて前記隔離材料によって二酸化炭素が隔離され、前記再生ステップにおいて前記隔離材料から二酸化炭素が放出され、10回目のサイクルの間に前記隔離材料によって隔離された二酸化炭素の量が、前記隔離材料1グラム当たり少なくとも1mmolである、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記環境が、燃焼プロセスの産出物の一部であるか、および/またはそれに由来する、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記環境が、反応器内に含有されている、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1種のアルカリ金属カチオンが、カチオン性のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、および/またはセシウム(Cs)を含む、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記少なくとも1種のアルカリ金属カチオンが、カチオン性のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、および/またはカリウム(K)を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
1重量%未満の前記隔離材料が、硝酸塩および/または亜硝酸塩を含む塩で構成される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
塩を含む固体隔離材料を溶融するステップ、および
二酸化炭素の少なくとも一部が前記隔離材料と相互作用するように、二酸化炭素を含む環境中で溶融隔離材料を使用して、二酸化炭素を前記環境から隔離するステップ
を含む、方法であって、
ここで、固体形態の前記塩の化学量論組成が、M1-x(式中、xは0から1の間であり、Mは少なくとも1種のアルカリ金属カチオンを含む)として表すことができる、
方法。
【請求項19】
y=1.5-xである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
Mが、LiおよびNaを含む、請求項18から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
xが、0.5と0.9との間であるか、またはそれらに等しい、請求項19から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記隔離材料の二酸化炭素を含む前記環境への曝露の間に、前記隔離材料は流され、および/または噴霧される、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記隔離材料はある方向に流され、および/または噴霧され、二酸化炭素を含む前記環境は異なる方向に流される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記隔離材料は、二酸化炭素を含む前記環境において、前記隔離材料の使用の間に流され、および/または噴霧される、請求項18から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記隔離材料はある方向に流され、および/または噴霧され、二酸化炭素を含む前記環境は異なる方向に流される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記隔離材料による二酸化炭素の取込みは、二酸化炭素を含有する環境への曝露の1分以内に隔離材料1グラム当たり5mmolの多さまたはそれよりも多い二酸化炭素である、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記隔離材料の塩は、少なくとも200℃かつ700℃未満またはそれに等しい、1気圧での融点温度を有する、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2018年10月5日に出願された「Carbon Dioxide Removal Using Sequestration Materials that Include Salts in Molten Form, and Related Systems and Methods」と題する米国仮出願番号第62/742,078号、および2019年3月8日に出願された「Carbon Dioxide Removal Using Sequestration Materials that Include Salts in Molten Form, and Related Systems and Methods」と題する米国仮出願番号第62/815,656号に基づく米国特許法第119条(e)項の下の優先権を主張しており、これらの仮出願はそれぞれ、その全体がすべての目的のために参考として本明細書中に援用される。
【背景技術】
【0002】
技術分野
一般に、溶融形態の塩を含む隔離材料を使用した二酸化炭素(CO)の除去、ならびに関連システムおよび方法が、記載される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
要旨
一般に、溶融形態の塩を含む隔離材料を使用した二酸化炭素除去、ならびに関連システムおよび方法が、記載される。隔離材料を使用して二酸化炭素を捕捉する方法が記載され、これは一部の実施形態では、隔離材料を、二酸化炭素を含有する環境に、二酸化炭素の少なくとも一部が隔離材料と相互作用して環境から隔離されるように曝露するステップを含む。一部の場合では、隔離材料は、二酸化炭素を含有する環境への曝露の間、少なくとも摂氏200度(℃)の温度である。ある特定の実施形態は、溶融形態の塩を含む隔離材料に関し、溶融形態のこの塩は、少なくとも1種のアルカリ金属カチオン、ならびに少なくとも1種の酸化ホウ素アニオンおよび/またはその解離形態を含む。ある特定の実施形態では、少なくとも1種の酸化ホウ素アニオンの構成元素(ホウ素(B)および酸素(O))は、例えば、イオン形態(例えば、それぞれB3+およびO2-)に解離している。
【0004】
ある特定の実施形態によると、隔離材料は、比較的速い速度で二酸化炭素を捕捉することができる。一部の実施形態では、隔離材料は、二酸化炭素を隔離する能力の損失があるとしてもほとんどなしに、繰り返しサイクルさせることができる。
【0005】
本発明の主題は、一部の場合では、相互関連製品、特定の問題に対する代替解決法、ならびに/または1つもしくは複数のシステムおよび/もしくは物品の複数の異なる使用を含む。
【0006】
特定の態様は、方法を対象とする。一部の実施形態では、方法は、溶融形態の塩を含む隔離材料を、二酸化炭素を含有する環境に、二酸化炭素の少なくとも一部が隔離材料と相互作用して環境から隔離されるように曝露するステップを含み、溶融形態の塩は、少なくとも1種のアルカリ金属カチオン、ホウ素、および酸素を含む。一部の実施形態では、ホウ素は、少なくとも1種のホウ素カチオンの形態である(例えば、B3+を含む)。一部の実施形態では、酸素は、少なくとも1種の酸素アニオンの形態である(例えば、O2-を含む)。
【0007】
一部の実施形態では、方法は、溶融形態の塩を含む隔離材料を、二酸化炭素を含有する環境に、二酸化炭素の少なくとも一部が隔離材料と相互作用して環境から隔離されるように曝露するステップを含み、溶融形態の塩は、少なくとも1種のアルカリ金属カチオン、ならびに少なくとも1種の酸化ホウ素アニオンおよび/またはその解離形態を含む。一部の実施形態では、隔離材料の温度は、二酸化炭素の隔離の少なくとも一部の間、少なくとも200℃である。
【0008】
一部の実施形態では、方法は、塩(例えば、アルカリ金属ホウ酸塩)を含む隔離材料を溶融するステップ、および溶融隔離材料を使用して、二酸化炭素を隔離するステップを含む。
【0009】
一部の実施形態では、方法は、二酸化炭素隔離材料を、二酸化炭素を含有する環境に、二酸化炭素の少なくとも一部が隔離材料と相互作用して環境から隔離されるように少なくとも200℃の温度で曝露するステップを含む。
【0010】
一部の実施形態では、方法は、溶融形態の塩を含む隔離材料を、二酸化炭素を含有する環境に、二酸化炭素の少なくとも一部が隔離材料と相互作用して環境から隔離されるように、少なくとも未反応の溶融塩が溶融形態で保持されるような条件下で曝露するステップを含む。
【0011】
本発明の他の利点および新規特徴は、添付の図面と併せて考えた場合に、本発明の種々の非限定的実施形態の以下の詳細な説明から明らかとなる。本明細書および参照により組み込まれる文書が矛盾するおよび/または一致しない開示を含む場合、本明細書が優先される。
【0012】
本発明の非限定的実施形態は、概略であり、スケール通りに描かれることを意図しない添付の図面を参照して、例として記載される。図面では、例示されるそれぞれ同一のまたはほぼ同一の構成要素は、通常、単一の参照番号で表される。明確性を目的として、すべての構成要素がすべての図面において標識されているわけではなく、本発明の各実施形態のすべての構成要素が、当業者に本発明を理解させるために必要な例示を示しているわけではない。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
溶融形態の塩を含む隔離材料を、二酸化炭素を含有する環境に、前記二酸化炭素の少なくとも一部が前記隔離材料と相互作用して前記環境から隔離されるように曝露するステップを含む方法であって、
溶融形態の前記塩が、
少なくとも1種のアルカリ金属カチオン、
ホウ素、および
酸素
を含む、方法。
(項目2)
前記ホウ素が、少なくとも1種のホウ素カチオンの形態である、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記少なくとも1種のホウ素カチオンが、B 3+ を含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記酸素が、少なくとも1種の酸素アニオンの形態である、項目1から3のいずれか一項に記載の方法。
(項目5)
前記少なくとも1種の酸素アニオンが、O 2- を含む、項目4に記載の方法。
(項目6)
溶融形態の塩を含む隔離材料を、二酸化炭素を含有する環境に、前記二酸化炭素の少なくとも一部が前記隔離材料と相互作用して前記環境から隔離されるように曝露するステップを含む方法であって、
溶融形態の前記塩が、
少なくとも1種のアルカリ金属カチオン、ならびに
少なくとも1種の酸化ホウ素アニオンおよび/またはその解離形態
を含む、方法。
(項目7)
前記環境が、少なくとも1mol%の量の二酸化炭素を含有する、項目1から6のいずれか一項に記載の方法。
(項目8)
前記隔離材料1グラム当たり少なくとも1.0mmolの二酸化炭素が、前記環境から隔離される、項目1から7のいずれか一項に記載の方法。
(項目9)
前記隔離材料1グラム当たり少なくとも1.0mmolの二酸化炭素が、1時間の時間内に前記環境から隔離される、項目1から8のいずれか一項に記載の方法。
(項目10)
前記隔離材料の温度が、前記二酸化炭素の前記隔離の少なくとも一部の間、少なくとも200℃である、項目1から9のいずれか一項に記載の方法。
(項目11)
前記隔離材料から、前記隔離材料によって隔離された前記二酸化炭素の少なくとも95mol%を除去することによって、前記隔離材料を再生するステップをさらに含む、項目1から10のいずれか一項に記載の方法。
(項目12)
前記隔離材料を少なくとも10回サイクルさせるステップをさらに含み、10回目のサイクルの間に前記隔離材料によって隔離された二酸化炭素の量が、前記隔離材料1グラム当たり少なくとも1mmolである、項目1から11のいずれか一項に記載の方法。
(項目13)
前記環境が、燃焼プロセスの産出物の一部であるか、および/またはそれに由来する、項目1から12のいずれか一項に記載の方法。
(項目14)
前記環境が、反応器内に含有されている、項目1から13のいずれか一項に記載の方法。
(項目15)
前記少なくとも1種のアルカリ金属カチオンが、カチオン性のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、および/またはセシウム(Cs)を含む、項目1から14のいずれか一項に記載の方法。
(項目16)
前記少なくとも1種のアルカリ金属カチオンが、カチオン性のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、および/またはカリウム(K)を含む、項目1から15のいずれか一項に記載の方法。
(項目17)
1重量%未満の前記隔離材料が、硝酸塩および/または亜硝酸塩を含む塩で構成される、項目1から16のいずれか一項に記載の方法。
(項目18)
溶融形態の前記塩が、少なくとも1種の他の金属カチオンをさらに含む、項目1から17のいずれか一項に記載の方法。
(項目19)
前記少なくとも1種の酸化ホウ素アニオンが、アニオン性B および/またはその解離形態を含む、項目6から18のいずれか一項に記載の方法。
(項目20)
wが、1と4との間であるか、またはそれらに等しい、項目19に記載の方法。
(項目21)
zが、1と9との間であるか、またはそれらに等しい、項目19または20に記載の方法。
(項目22)
前記少なくとも1種の酸化ホウ素アニオンが、アニオン性のBO 、BO もしくはB および/またはその解離形態を含む、項目19から21のいずれか一項に記載の方法。
(項目23)
溶融形態の前記塩の化学量論組成が、M 1-x (式中、xは0から1の間であり、Mは少なくとも1種のアルカリ金属カチオンを含む)として表すことができる、項目1から22のいずれか一項に記載の方法。
(項目24)
y=1.5-xである、項目23に記載の方法。
(項目25)
Mが、LiおよびNaを含む、項目23または24に記載の方法。
(項目26)
xが、0.5と0.9との間であるか、またはそれらに等しい、項目23から25のいずれか一項に記載の方法。
(項目27)
前記少なくとも1種の酸化ホウ素アニオンが、B の形態ならびに/またはBおよびOが互いから解離している形態の酸化ホウ素アニオンを含む、項目6から26のいずれか一項に記載の方法。
(項目28)
隔離材料を、二酸化炭素を含有する環境に、前記二酸化炭素の少なくとも一部が前記隔離材料と相互作用して前記環境から隔離されるように少なくとも200℃の温度で曝露するステップを含む、方法。
(項目29)
前記環境が、少なくとも1mol%の量の二酸化炭素を含有する、項目28に記載の方法。
(項目30)
前記隔離材料1グラム当たり少なくとも1.0mmolの二酸化炭素が、前記環境から隔離される、項目28から29のいずれか一項に記載の方法。
(項目31)
前記隔離材料1グラム当たり少なくとも1.0mmolの二酸化炭素が、1時間の時間内に前記環境から隔離される、項目28から30のいずれか一項に記載の方法。
(項目32)
前記隔離材料から、前記隔離材料によって隔離された前記二酸化炭素の少なくとも95mol%を除去することによって、前記隔離材料を再生するステップをさらに含む、項目28から31のいずれか一項に記載の方法。
(項目33)
前記隔離材料を少なくとも10回サイクルさせるステップをさらに含み、10回目のサイクルの間に前記隔離材料によって隔離された二酸化炭素の量が、前記隔離材料1グラム当たり少なくとも1mmolである、項目28から32のいずれか一項に記載の方法。
(項目34)
前記環境が、燃焼プロセスの産出物の一部であるか、および/またはそれに由来する、項目28から33のいずれか一項に記載の方法。
(項目35)
前記環境が、反応器内に含有されている、項目28から34のいずれか一項に記載の方法。
(項目36)
前記隔離材料が、溶融形態の塩を含む、項目28から35のいずれか一項に記載の方法。
(項目37)
溶融形態の前記塩が、少なくとも1種のアルカリ金属カチオンを含む、項目36に記載の方法。
(項目38)
前記少なくとも1種のアルカリ金属カチオンが、カチオン性のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、および/またはセシウム(Cs)を含む、項目37に記載の方法。
(項目39)
前記少なくとも1種のアルカリ金属カチオンが、カチオン性のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、および/またはカリウム(K)を含む、項目37に記載の方法。
(項目40)
1重量%未満の前記隔離材料が、硝酸塩および/または亜硝酸塩を含む塩で構成される、項目36から39のいずれか一項に記載の方法。
(項目41)
前記隔離材料が、ホウ素および酸素を含む、項目28から40のいずれか一項に記載の方法。
(項目42)
前記ホウ素が、少なくとも1種のホウ素カチオンの形態である、項目41に記載の方法。
(項目43)
前記少なくとも1種のホウ素カチオンが、B 3+ を含む、項目42に記載の方法。
(項目44)
前記酸素が、少なくとも1種の酸素アニオンの形態である、項目41に記載の方法。
(項目45)
前記少なくとも1種の酸素アニオンが、O 2- を含む、項目44に記載の方法。
(項目46)
前記隔離材料が、少なくとも1種の酸化ホウ素アニオンおよび/またはその解離形態を含む、項目28から45のいずれか一項に記載の方法。
(項目47)
前記少なくとも1種の酸化ホウ素アニオンが、アニオン性B および/またはその解離形態を含む、項目46に記載の方法。
(項目48)
wが、1と4との間であるか、またはそれらに等しい、項目47に記載の方法。
(項目49)
zが、1と9との間であるか、またはそれらに等しい、項目47から48のいずれか一項に記載の方法。
(項目50)
前記少なくとも1種の酸化ホウ素アニオンが、アニオン性のBO 、BO もしくはB および/またはその解離形態を含む、項目47から49のいずれか一項に記載の方法。
(項目51)
前記少なくとも1種の酸化ホウ素アニオンが、B の形態ならびに/またはBおよびOが互いから解離している形態の酸化ホウ素アニオンを含む、項目46から50のいずれか一項に記載の方法。
(項目52)
溶融形態の塩を含む隔離材料を、二酸化炭素を含有する環境に、前記二酸化炭素の少なくとも一部が前記隔離材料と相互作用して前記環境から隔離されるように、少なくとも未反応の溶融塩が溶融形態で保持されるような条件下で曝露するステップを含む、方法。
(項目53)
前記環境が、少なくとも1mol%の量の二酸化炭素を含有する、項目52に記載の方法。
(項目54)
前記隔離材料1グラム当たり少なくとも1.0mmolの二酸化炭素が、前記環境から隔離される、項目52から53のいずれか一項に記載の方法。
(項目55)
前記隔離材料1グラム当たり少なくとも1.0mmolの二酸化炭素が、1時間の時間内に前記環境から隔離される、項目52から54のいずれか一項に記載の方法。
(項目56)
前記隔離材料の温度が、前記二酸化炭素の前記隔離の少なくとも一部の間、少なくとも200℃である、項目52から55のいずれか一項に記載の方法。
(項目57)
前記隔離材料から、前記隔離材料によって隔離された前記二酸化炭素の少なくとも95mol%を除去することによって、前記隔離材料を再生するステップをさらに含む、項目52から56のいずれか一項に記載の方法。
(項目58)
前記隔離材料を少なくとも10回サイクルさせるステップをさらに含み、10回目のサイクルの間に前記隔離材料によって隔離された二酸化炭素の量が、前記隔離材料1グラム当たり少なくとも1mmolである、項目52から57のいずれか一項に記載の方法。
(項目59)
前記環境が、燃焼プロセスの産出物の一部であるか、および/またはそれに由来する、項目52から58のいずれか一項に記載の方法。
(項目60)
前記環境が、反応器内に含有されている、項目52から59のいずれか一項に記載の方法。
(項目61)
溶融形態の前記塩が、少なくとも1種のアルカリ金属カチオンを含む、項目52から60のいずれか一項に記載の方法。
(項目62)
前記少なくとも1種のアルカリ金属カチオンが、カチオン性のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、および/またはセシウム(Cs)を含む、項目61に記載の方法。
(項目63)
前記少なくとも1種のアルカリ金属カチオンが、カチオン性のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、および/またはカリウム(K)を含む、項目61に記載の方法。
(項目64)
溶融形態の前記塩が、少なくとも1種の他の金属カチオンをさらに含む、項目61から63のいずれか一項に記載の方法。
(項目65)
前記隔離材料が、ホウ素および酸素を含む、項目52から64のいずれか一項に記載の方法。
(項目66)
前記ホウ素が、少なくとも1種のホウ素カチオンの形態である、項目65に記載の方法。
(項目67)
前記少なくとも1種のホウ素カチオンが、B 3+ を含む、項目66に記載の方法。
(項目68)
前記酸素が、少なくとも1種の酸素アニオンの形態である、項目65に記載の方法。
(項目69)
前記少なくとも1種の酸素アニオンが、O 2- を含む、項目68に記載の方法。
(項目70)
前記隔離材料が、少なくとも1種の酸化ホウ素アニオンおよび/またはその解離形態を含む、項目52から69のいずれか一項に記載の方法。
(項目71)
前記少なくとも1種の酸化ホウ素アニオンが、アニオン性B および/またはその解離形態を含む、項目70に記載の方法。
(項目72)
xが、1と4との間であるか、またはそれらに等しい、項目71に記載の方法。
(項目73)
yが、1と9との間であるか、またはそれらに等しい、項目71から72のいずれか一項に記載の方法。
(項目74)
前記少なくとも1種の酸化ホウ素アニオンが、アニオン性のBO 、BO もしくはB および/またはその解離形態を含む、項目71から73のいずれか一項に記載の方法。
(項目75)
前記少なくとも1種の酸化ホウ素アニオンが、B の形態ならびに/またはBおよびOが互いから解離している形態の酸化ホウ素アニオンを含む、項目70から74のいずれか一項に記載の方法。
(項目76)
塩を含む固体隔離材料を溶融するステップ、および
溶融隔離材料を使用して、二酸化炭素を隔離するステップ
を含む、方法。
(項目77)
溶融形態の前記塩が、アルカリ金属カチオン、酸化ホウ素アニオン、ホウ素カチオン、および/または酸素アニオンを含む、項目76に記載の方法。
(項目78)
固体形態の前記塩の化学量論組成が、M 1-x (式中、xは0から1の間であり、Mは少なくとも1種のアルカリ金属カチオンを含む)として表すことができる、項目76または77に記載の方法。
(項目79)
y=1.5-xである、項目78に記載の方法。
(項目80)
Mが、LiおよびNaを含む、項目78または79に記載の方法。
(項目81)
xが、0.5と0.9との間であるか、またはそれらに等しい、項目78から80のいずれか一項に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、ある特定の実施形態による、二酸化炭素を含有する環境に曝露されている隔離材料の模式図である。
図2図2は、ある特定の実施形態による、燃焼プロセスの産出物の一部であるか、および/またはそれに由来する二酸化炭素を含有する環境に曝露されている隔離材料の模式図である。
図3A図3Aは、ある特定の実施形態による、温度の関数としての隔離材料によるCOの隔離を示すプロットである。
図3B図3Bは、ある特定の実施形態による、時間の関数としての隔離材料によるCOの隔離を示すプロットである。
図3C図3Cは、ある特定の実施形態による、時間の関数としての隔離材料による、異なる温度におけるCOの隔離を示すプロットである。
図3D図3Dは、ある特定の実施形態による、CO吸着と比較した、時間の関数としての隔離材料によるCOの隔離を示すプロットである。
図3E図3Eは、ある特定の実施形態による、時間の関数としての隔離材料によるCOの脱着を示すプロットである。
図4AB図4Aは、ある特定の実施形態による、温度スイング法による隔離材料のサイクルの再生性を示すプロットである。図4Bは、ある特定の実施形態による、図4Aの最初の80分のプロットである。
図4CD図4Cは、ある特定の実施形態による、圧力スイング法による隔離材料のサイクルの再生性を示すプロットである。図4Dは、ある特定の実施形態による、図4Cの最初の80分のプロットである。
図4EF図4Eは、ある特定の実施形態による、圧力スイング法による追加の隔離材料のサイクルの再生性を示すプロットである。図4Fは、ある特定の実施形態による、図4Eの最初の30分のプロットである。
図5A図5Aは、ある特定の実施形態による、温度の関数としての異なるアルカリ金属を有する種々の隔離材料によるCOの隔離を示すプロットである。
図5B図5Bは、ある特定の実施形態による、温度の関数としての、様々な混合比(x)の形態K1-xの種々の隔離材料によるCOの隔離のプロットである。
図5C図5Cは、ある特定の実施形態による、NaBOのサイクルの再生性を示すプロットである。
図5D図5Dは、ある特定の実施形態による、(Li-Na)1-x(x=0.75、y=1.5-x)のサイクルの再生性を示すプロットである。
図5E図5Eは、ある特定の実施形態による(Li-Na-K)1-x(x=0.75、y=1.5-x)のサイクルの再生性を示すプロットである。
図6A図6Aは、ある特定の実施形態による、温度の関数としての、様々な混合比(x)の形態Na1-xの種々の隔離材料によるCOの隔離のプロットである。
図6B図6Bは、ある特定の実施形態による、温度の関数としての、様々な混合比(x)の形態Na1-xの種々の隔離材料によるCOの隔離および脱着のプロットである。
図7A図7Aは、ある特定の実施形態による、加熱されている隔離材料の熱流のプロットである。
図7B図7Bは、ある特定の実施形態による、100%N流下で冷却されている隔離材料の熱流のプロットである。
図7C図7Cは、ある特定の実施形態による、100%CO流下で冷却されている隔離材料の熱流のプロットである。
図8図8は、ある特定の実施形態による、COとの反応後の隔離材料のX線回折(XRD)スペクトルである。
図9図9は、ある特定の実施形態による、せん断速度の関数としての種々の隔離材料の粘度のプロットである。
図10AB図10Aは、ある特定の実施形態による、バッチスイング操作システムの模式図である。図10Bは、ある特定の実施形態による、連続スイング操作システムの模式図である。
図10C図10Cは、ある特定の実施形態による、連続温度スイング操作システムの模式図である。
図10D図10Dは、ある特定の実施形態による、連続圧力スイング操作システムの模式図である。
図11A図11Aは、ある特定の実施形態による、COへの曝露および/またはCOとの反応前の隔離材料Na1-x(x=0.75)のXRDスペクトルである。
図11B図11Bは、ある特定の実施形態による、COへの曝露および/またはCOとの反応前の隔離材料(Li0.5Na0.51-x(x=0.75)のXRDスペクトルである。
図11C図11Cは、ある特定の実施形態による、30分間のCOへの曝露および/またはCOとの反応後の隔離材料Na1-x(x=0.75)のXRDスペクトルである。
図11D図11Dは、ある特定の実施形態による、30分間のCOへの曝露および/またはCOとの反応後の隔離材料(Li0.5Na0.51-x(x=0.75)のXRDスペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
本開示は、溶融形態の塩を含む隔離材料を使用した二酸化炭素の除去を対象とする。一部の実施形態では、二酸化炭素の除去は、高温(例えば、少なくとも未反応の溶融塩が溶融形態で保持されるように、塩の溶融温度またはそれよりも上)で行ってもよい。
【0015】
本発明のある特定の実施形態によると、塩は、隔離に好都合な条件下で二酸化炭素に曝露される。例えば、ある特定の実施形態によると、溶融形態の塩を含む隔離材料は、2種間の高接触を促進するやり方で二酸化炭素を含有する環境に曝露することができ、例えば、隔離材料は、二酸化炭素を含有する環境への隔離材料の曝露の間に、流す(必要に応じて連続して流す)および/または噴霧することができる。二酸化炭素を含有する環境への隔離材料の曝露の間に隔離材料を流すおよび/または噴霧することにより、完全に固体の隔離材料による二酸化炭素捕捉速度に比べて、隔離材料による二酸化炭素捕捉速度が有利に増加し得る。例えば、溶融形態の塩を含む隔離材料(本明細書において吸着剤とも呼ばれる)は一方向に流されおよび/または噴霧されてもよく、一方、二酸化炭素を含む環境は、異なる方向、例えば、反対方向に、逆流または向流型操作で流されて、隔離材料と環境との間の熱伝達および/または物質移動を最大にする。
【0016】
本発明のある特定の実施形態による隔離材料による二酸化炭素の取込みは、所望のレベルのものであり得る。アルカリ金属カチオンならびに酸化ホウ素アニオンおよび/またはその解離形態を含む、溶融形態の塩を含む隔離材料による取込みは、二酸化炭素を含有する環境への曝露の1分以内に隔離材料1グラム当たり5mmolの多さまたはそれよりも多い二酸化炭素である可能性があり、これは同様の条件下における同様の組成の固体粒子隔離材料の場合よりも大幅に速い取込み速度である。
【0017】
さらに、ある特定の実施形態によると、溶融形態の塩を含む隔離材料を流す能力は、連続二酸化炭素隔離プロセスを促進し、このプロセスにおいて、プロセスを停止することなく複数のサイクルにわたって、二酸化炭素負荷隔離材料が吸着ベッセルから脱着ベッセルに流されてもよく、および/または非負荷隔離材料が、脱着ベッセルから吸着ベッセルに流されてもよい。一部の実施形態では、連続操作は、二酸化炭素捕捉プロセスの期間の低減、二酸化炭素捕捉プロセスにおいて必要な入力エネルギーの潜在的な低減、およびユニットをオフラインにするのではなくパージにより被毒隔離材料を復元する能力を含むがこれらに限定されない利点を提供する。
【0018】
ある特定の実施形態によると、溶融形態の塩を含む隔離材料の別の重要な利点は、高温、例えば、隔離材料の溶融温度よりも高いかまたはそれに等しい温度、例えば、200℃超またはそれに等しい温度で、隔離材料を使用する能力である。温度は、なおより高くてもよく、例えば、250℃超もしくはそれに等しい、300℃超もしくはそれに等しい、350℃超もしくはそれに等しい、400℃超もしくはそれに等しい、450℃超もしくはそれに等しい、または500℃超もしくはそれに等しい、またはそれよりも高くてもよい。隔離材料が高温で使用される一部の実施形態では、様々な好適な量の隔離材料のうちの任意のもの(例えば、1重量%超もしくはそれに等しい、10重量%超もしくはそれに等しい、50重量%超もしくはそれに等しい、75重量%超もしくはそれに等しい、90重量%超もしくはそれに等しい、99重量%超もしくはそれに等しい、またはすべての隔離材料)が、その高温(例えば、200℃超もしくはそれに等しい、250℃超もしくはそれに等しい、300℃超もしくはそれに等しい、350℃超もしくはそれに等しい、400℃超もしくはそれに等しい、450℃超もしくはそれに等しい、500℃超もしくはそれに等しい、および/または本明細書の上もしくは他所に言及した他の温度範囲の任意のものの範囲内)である。ある特定の実施形態では、プロセスは、必要に応じて圧力スイング操作で行うことができる。本明細書で使用する場合、操作温度は、隔離材料自体の温度を指し、これは、隔離材料が曝露される環境の温度に本質的に等しくてもよく、またはそれとは異なっていてもよい。
【0019】
一般に、本明細書に記載されているある特定の実施形態の圧力スイング操作において、隔離材料は、二酸化炭素を含有する環境への隔離材料の曝露の間、二酸化炭素の第1の分圧を有する環境に曝露され、その後、二酸化炭素負荷隔離材料は、二酸化炭素のより低い第2の分圧(例えば、0bar CO)を有する第2の環境に曝露され、非負荷隔離材料が再生される。この圧力スイング操作は、隔離材料が再生されると、複数のサイクルにわたって繰り返されてもよい。COの第1の分圧は、少なくとも0.001bar、少なくとも0.01bar、少なくとも0.1bar、または少なくとも1barであってもよい。COの第1の分圧は、最大30bar、最大20bar、最大10bar、または最大5barであってもよい。また、上記範囲の組合せも可能である(例えば、0.001barから30barの間またはそれらに等しい、0.01barから20barの間またはそれらに等しい、0.1barから10barの間またはそれらに等しい、1barから5barの間またはそれらに等しい)。また、他の範囲も可能である。COの第2の分圧は、COの第1の分圧よりも少なくとも0.001bar、少なくとも0.01bar、少なくとも0.1bar、または少なくとも1bar低くてもよい。COの第2の分圧は、COの第1の分圧よりも最大30bar、最大20bar、最大10bar、または最大5bar低くてもよい。また、上記範囲の組合せも可能である(例えば、0.001barから30barの間またはそれらに等しく低い、0.01barから20barの間またはそれらに等しく低い、0.1barから10barの間またはそれらに等しく低い、1barから5barの間またはそれらに等しく低い)。また、他の範囲も可能である。
【0020】
プロセスは、必要に応じて温度スイング操作で行うことができる。本明細書に記載されているある特定の実施形態によると、温度スイング操作において一般に、隔離材料は、二酸化炭素を含有する環境への隔離材料の曝露の間、第1の温度に曝露され、その後、二酸化炭素負荷隔離材料は、二酸化炭素をより少なく含有するまたは含有しない第2の環境で、より高い第2の温度に曝露され、非負荷隔離材料が再生される。この温度スイング操作は、隔離材料が再生されると、複数のサイクルにわたって繰り返されてもよい。第1の温度は、隔離材料の溶融温度よりも高いかまたはそれに等しくてもよく、例えば、200℃超またはそれに等しくてもよい。第1の温度は、なおより高くてもよく、例えば、250℃超もしくはそれに等しい、300℃超もしくはそれに等しい、350℃超もしくはそれに等しい、400℃超もしくはそれに等しい、450℃超もしくはそれに等しい、または500℃超もしくはそれに等しい、またはそれよりも高い、かつ/または700℃未満もしくはそれに等しくてもよい。一部の実施形態では、第2の温度は、第1の温度に等しい。第2の温度は、第1の温度よりも少なくとも10℃、少なくとも20℃、少なくとも30℃、少なくとも40℃、または少なくとも50℃高くてもよい。第2の温度は、第1の温度よりも最大300℃、最大200℃、最大100℃、最大90℃、最大80℃、最大70℃、または最大60℃高くてもよい。また、上記範囲の組合せも可能である(例えば、10℃から300℃の間またはそれらに等しく高い、20℃から200℃の間またはそれらに等しく高い、40℃から100℃の間またはそれらに等しく高い)。また、他の範囲も可能である。
【0021】
ある特定の実施形態では、特に指定しない限り、本明細書に記載されている温度および他の条件は、およそ大気圧におけるものであり、大気圧からの偏差が生じ得るが、なお本明細書に開示されている目的を満たすことに留意されたい。当業者は、本開示を考慮して、本明細書で概説される結果を達成するために異なる圧力を選択することができる。
【0022】
ある特定の実施形態は、隔離材料に関する。本明細書で使用する場合、句「隔離材料」は、二酸化炭素含有環境から二酸化炭素を除去することが可能な材料を記載するために使用される。
【0023】
ある特定の態様は、溶融形態の塩を含む隔離材料に関し、その塩の組成は、塩を溶融するのにより低いエネルギーが必要であるように他の塩に比べて低い溶融温度を有するように選択することができる。さらに、塩の組成は、塩の融点(例えば、1気圧での溶融温度)を調節するため、例えば、塩が曝露される二酸化炭素が二酸化炭素の供給源から放出される温度に近づけるまたは一致させるために選択することができる。
【0024】
ある特定の実施形態では、塩は溶融形態である。例えば、一部の実施形態では、アルカリ金属カチオンおよび酸化ホウ素アニオン(および/またはその解離形態)を含む固体塩は、その溶融温度を超えて加熱することができ、その結果、固体が液体状態に遷移する。ある特定の実施形態によると、アルカリ金属カチオンおよび酸化ホウ素アニオン(および/またはその解離形態)を含む塩は、大気圧における場合200℃から700℃の間またはそれらに等しい融点を有する塩である。当業者は、溶融塩が、溶解塩(すなわち、溶媒内に溶解されている塩)とは異なることを理解するであろう。
【0025】
溶融形態の塩は、いくつかの化学組成を有し得る。ある特定の実施形態によると、溶融形態の塩は、少なくとも1種のアルカリ金属カチオン、ならびに少なくとも1種の酸化ホウ素アニオンおよび/またはその解離形態を含む。
【0026】
用語「アルカリ金属」は、周期表1族の下記の6種の化学元素:リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、およびフランシウム(Fr)を指すために本明細書で使用される。
【0027】
一部の実施形態では、少なくとも1種のアルカリ金属カチオンは、カチオン性のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)、および/またはセシウム(Cs)を含む。一部の実施形態では、少なくとも1種のアルカリ金属カチオンは、カチオン性のリチウム(Li)、ナトリウム(Na)、および/またはカリウム(K)を含む。
【0028】
一部の実施形態では、溶融形態の塩は、少なくとも1種の他の金属カチオンを含む。一部の実施形態では、少なくとも1種の他の金属カチオンは、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、または遷移金属カチオンを含む。一部の実施形態では、溶融形態の塩は、少なくとも2種のアルカリ金属カチオン(例えば、3種のアルカリ金属カチオン)を含む。ある特定の実施形態では、溶融形態の塩は、カチオン性リチウムおよびカチオン性ナトリウムを含む。
【0029】
一部の実施形態では、カチオン性リチウムおよびカチオン性ナトリウムを含む溶融形態の塩は、例えば、カチオン性ナトリウムを含む溶融形態の類似の塩またはカチオン性リチウム、カチオン性ナトリウムおよびカチオン性カリウムを含む溶融形態の類似の塩に比べて、温度スイング操作において利点を提供する。カチオン性リチウムおよびカチオン性ナトリウムを含む溶融形態の塩の1つの利点は、500℃から700℃の間またはそれらに等しい温度範囲における、カチオン性ナトリウムを含む溶融形態の類似の塩またはカチオン性リチウム、カチオン性ナトリウムおよびカチオン性カリウムを含む溶融形態の類似の塩よりも高い二酸化炭素取込み容量であり得る。カチオン性リチウムおよびカチオン性ナトリウムを含む溶融形態の塩の別の利点は、カチオン性ナトリウムを含む溶融形態の類似の塩またはカチオン性リチウム、カチオン性ナトリウムおよびカチオン性カリウムを含む溶融形態の類似の塩に比べて、二酸化炭素捕捉および放出の同じ再生効率のためにより少ない温度差を温度スイング操作において用いることができることである(例えば、類似の塩について用いられる温度差の0.25から0.5倍の間またはこれらに等しい温度差)。
【0030】
用語「アルカリ土類金属」は、周期表2族の6種の化学元素:ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、およびラジウム(Ra)を指すために本明細書で使用される。
【0031】
「遷移金属」元素は、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、アクチニウム(Ac)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)、ラザホージウム(Rf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、ドブニウム(Db)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、シーボーギウム(Sg)、マンガン(Mn)、テクニチウム(Tc)、レニウム(Re)、ボーリウム(Bh)、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、ハッシウム(Hs)、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、マイトネリウム(Mt)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、ダームスタチウム(Ds)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、レントゲニウム(Rg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)、水銀(Hg)、およびコペルニシウム(Cn)である。
【0032】
ある特定の実施形態では、溶融形態の塩が、塩の溶融温度がアルカリ金属カチオンおよび1種の他の金属カチオンの異なる組成を有する塩の溶融温度よりも低くなるように、アルカリ金属カチオンおよび1種の他の金属カチオンを共晶組成またはそれに近い組成で含み、溶融形態の塩が二酸化炭素隔離操作を達成するのに必要なエネルギーを低減させることが有利であり得る。
【0033】
本明細書に記載されている隔離材料のうちのいくつかは、比較的低い溶融温度を有し、比較的低温で二酸化炭素の隔離(例えば、吸収)を促進し得る。例えば、互いに共晶組成物を形成することが可能な成分は、成分が他の相対量で存在する組成物と比較して、共晶組成物およびおよそ共晶組成物の組成で低下した融点を有する。別の例として、アルカリ金属カチオンおよび/またはアルカリ土類金属カチオンを含む組成物は、他の金属カチオンを含む組成物と比較して、比較的低い融点を有する。比較的低温で二酸化炭素を吸収する能力は、それが、必ずしもすべてではないがある特定の実施形態によると、二酸化炭素を吸収するのに必要なエネルギーの量を低減し得るため、有利であり得る。
【0034】
一部の実施形態では、隔離材料は、互いに共晶組成物を形成することが可能な少なくとも2種の成分(例えば、金属カチオン、アルカリ金属カチオン)を含む。当業者によって理解されるように、「共晶組成物」は、組成物の構成成分の融点よりも低い温度で溶融する組成物である。一部の共晶組成物において、液相は、共晶温度において、第1の固相、および第1の固相とは異なる第2の固相の両方で平衡である。平衡冷却条件下で共晶温度超の温度から共晶温度未満の温度に冷却される共晶組成物は、ある特定の場合、共晶温度で固化を受けて、液体から第1の固相および第2の固相を同時に形成する。当業者によって理解されるように、互いに共晶組成物を形成することが可能な2種の成分は、ある特定の場合、互いに非共晶組成を形成することもできる。非共晶組成は多くの場合、液相は温度の範囲にわたって固相と平衡であり得るため、温度の範囲にわたって固化を受ける。
【0035】
用語「酸化ホウ素アニオン」は、少なくとも1つのホウ素および少なくとも1つの酸素を含む負電荷イオンを指すために本明細書で使用される。溶融形態の塩の酸化ホウ素アニオンは、インタクトであり得(例えば、アニオン性B形態、例えば、(BO 3-))、ならびに/またはホウ素および酸素は、互いに(例えば、B3+およびO2-のように、例えば、ホウ素カチオンおよび酸素アニオンに)解離し得る。
【0036】
一部の実施形態によると、少なくとも1種の酸化ホウ素アニオンは、アニオン性Bおよび/またはその解離形態を含む。一部の実施形態では、wは0超かつ4未満またはそれに等しい。ある特定の実施形態では、wは1と4との間であるか、またはそれらに等しい。一部の実施形態では、zは0超かつ9未満またはそれに等しい。ある特定の実施形態では、zは1と9との間であるか、またはそれらに等しい。一部の実施形態では、少なくとも1種の酸化ホウ素アニオンは、アニオン性BO、BO、もしくはB、および/またはその解離形態を含む。ある特定の実施形態では、溶融形態の塩が、アニオン性BOおよび/またはその解離形態を有することが有利であり得る。アニオン性BOおよび/またはその解離形態の潜在的な利点として、同じアルカリ金属カチオン(および任意の他のカチオン)、ならびにアニオン性Bおよび/またはその解離形態を有する塩と比べて、二酸化炭素を含有する環境への曝露の間の溶融形態の塩のより高い二酸化炭素取込み容量を挙げることができる。アニオン性BOおよび/またはその解離形態の別の潜在的な利点として、同じアルカリ金属カチオン(および任意の他のカチオン)、ならびにアニオン性BOおよび/またはその解離形態を有する塩に比べて、脱着条件への曝露の間の溶融形態の塩のより大きな二酸化炭素脱着を挙げることができる。
【0037】
一部の実施形態では、酸化ホウ素アニオンは、Bおよび/またはその解離形態を含み、ここで、wは0超かつ4未満またはそれに等しく、zは0超かつ9未満またはそれに等しい。
【0038】
一部の実施形態では、本明細書に記載されている塩の化学量論組成は、M1-x(式中、xは混合比であり、0から1の間である)として表すことができる。一部の実施形態では、化学量論組成は、例えば溶融する前の、固体形態の塩のものである。一部の実施形態では、化学量論組成は、例えば溶融した後の、溶融形態の塩のものでる。ある特定の実施形態では、y=1.5-xである。この式中の「M」は、本明細書に記載されている隔離材料中の金属カチオン(例えば、アルカリ金属カチオン、アルカリ金属カチオンおよび少なくとも1種の他の金属カチオンの組合せ)を指す。例えば、一部の実施形態では、本明細書に記載されている塩の化学量論組成は、A1-x(式中、0<x<1であり、Aはアルカリ金属(例えば、Li、Na、K)である)として表すことができる。ある特定の実施形態では、y=1.5-xである。
【0039】
本明細書で使用する場合、隔離材料中のアルカリ金属カチオンまたは金属カチオンの組合せの用語「混合比」は、隔離材料中の金属カチオンのモルの、隔離材料中の金属カチオンのモルとホウ素のモルの合計に対する比を指す。例えば、NaBO中のナトリウムの混合比は、3/(3+1)=0.75であり、(Li0.5Na0.5BO中のアルカリ金属の混合比は、(0.5×3+0.5×3)/(3+1)=0.75である。一部の実施形態では、混合比は、少なくとも0.5、少なくとも0.6、または少なくとも0.667である。一部の実施形態では、混合比は、最大0.9、最大0.835、最大0.8、最大0.75、または最大0.7である。また、上記範囲の組合せも可能である(例えば、0.5から0.9の間またはそれらに等しい、0.6から0.8の間またはそれらに等しい、0.7から0.8の間またはそれらに等しい)。また、他の範囲も可能である。理論に拘束されることを望むわけではないが、それ未満では隔離材料の二酸化炭素取込み容量が望ましいもの未満になる混合比(ある特定のアルカリ金属カチオンまたは金属カチオンの組合せについて)が存在し得る。理論に拘束されることを望むわけではないが、それを超えると隔離材料の再生効率が望ましいもの未満になる混合比(ある特定のアルカリ金属カチオンまたは金属カチオンの組合せについて)が存在し得る。
【0040】
溶融形態の塩の非限定例として、溶融形態の、NaBO(例えば、Na0.750.250.75とも書ける)、NaBO(例えば、Na0.830.170.67とも書ける)、Na(例えば、NaBO2.5とも書ける)、KBO(例えば、K0.750.250.75とも書ける)、(Li0.5Na0.5BO、および/もしくは(Li0.33Na0.330.33BO、またはその組合せが挙げられるがこれらに限定されない。
【0041】
一部の実施形態では、隔離材料の1重量%未満が、硝酸塩および/または亜硝酸塩
を含む塩で構成される。
【0042】
一部の実施形態では、溶融形態である隔離材料の塩は、溶融していないその塩の部分を伴い得る。言い換えると、溶融形態中に存在するすべての塩型の完全溶融が、すべての実施形態で必要であるとは限らない。一部の実施形態では、隔離材料内に存在する塩の少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、またはそれよりも多くが溶融している。一部の実施形態では、隔離材料内に存在する塩の100重量%未満、99重量%未満、90重量%未満、またはそれよりも少なくが溶融している。また、上記範囲の組合せも可能である。また、他の範囲も可能である。
【0043】
一部の実施形態では、隔離材料は、少なくとも1種のアルカリ金属カチオンならびに少なくとも1種の酸化ホウ素アニオンおよび/またはその解離形態を含む少なくとも1種の塩(例えば、NaBO、NaBO、Na、KBO、(Li0.5Na0.5BO、および/または(Li0.33Na0.330.33BOを含むがこれらに限定されない)を含み、その塩の少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、またはそれよりも多くが溶融している。一部の実施形態では、隔離材料は、少なくとも1種のアルカリ金属カチオンならびに少なくとも1種の酸化ホウ素アニオンおよび/またはその解離形態を含む少なくとも1種の塩(例えば、NaBO、NaBO、Na、KBO、(Li0.5Na0.5BO、および/または(Li0.33Na0.330.33BOを含むがこれらに限定されない)を含み、その塩の100重量%未満、99重量%未満、90重量%未満、またはそれよりも少ない量が溶融している。また、上記範囲の組合せも可能である。また、他の範囲も可能である。
【0044】
一部の実施形態では、隔離材料中、少なくとも1種のアルカリ金属カチオンならびに少なくとも1種の酸化ホウ素アニオンおよび/またはその解離形態を含み、溶融形態であるすべての塩の総量は、少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、またはそれよりも多い。非限定的な例示として、一部の実施形態では、隔離材料は、50グラムのNaBO、50グラムのNaBO、および50グラムのNaの組合せであってもよく、一部のそのような実施形態では、NaBO、NaBO、およびNaの総量のうちの少なくとも15グラム(すなわち、合計150グラムのうちの10重量%)が溶融している。ある特定の実施形態では、隔離材料中、少なくとも1種のアルカリ金属カチオンならびに少なくとも1種の酸化ホウ素アニオンおよび/またはその解離形態を含み、溶融形態であるすべての塩の総量は、100重量%未満、99重量%未満、90重量%未満、50%未満、40%未満、30%未満、20%未満、またはそれよりも少ない。また、上記範囲の組合せも可能である。また、他の範囲も可能である。
【0045】
一部の実施形態では、隔離材料は、添加剤をさらに含む。隔離材料に含まれ得る添加剤の種類の例としては、腐食抑制剤、粘度調整剤、湿潤剤、高温界面活性剤、およびスケール抑制剤を挙げることができるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、隔離材料は、複数の添加剤(例えば、2種、3種、4種またはそれよりも多い)を含む。
【0046】
一部の実施形態では、二酸化炭素を含む環境への曝露の間、溶融形態の塩の少なくとも一部は、二酸化炭素の少なくとも一部と化学的に反応し、隔離材料内で1種または複数の生成物(例えば、炭酸塩を含む)を形成する。これらの1種または複数の生成物(例えば、炭酸塩生成物)は、例えば、塩(例えば、アルカリ金属ホウ酸塩)の温度および/または組成に応じて固体形態であってもまたは液体形態であってもよい。
【0047】
一部の実施形態では、二酸化炭素を含む環境への曝露の間、溶融形態の塩の少なくとも一部は、二酸化炭素の少なくとも一部と化学的に反応し、隔離材料内で固体粒子(例えば、炭酸塩を含む)を形成し、隔離材料の粘度が上昇する。これらの二酸化炭素負荷固体粒子は、スラリーポンプを使用して溶融形態の残留塩内で脱着装置に流されて再生されてもよく(例えば、固体粒子からの溶融形態の塩の再生)、または代替的にこれらの固体粒子は、固体粒子が形成されたのと同じベッセル内で再生されてもよい。
【0048】
一部の実施形態では、隔離材料の比較的高いパーセンテージが溶融形態の塩で構成される。例えば、一部の実施形態では、隔離材料の少なくとも10重量パーセント(重量%)、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、少なくとも80重量%、少なくとも90重量%、またはそれよりも多くが、溶融形態の塩で構成される。一部の実施形態では、隔離材料の最大100重量%、最大99重量%、または最大90重量%が、溶融形態の塩で構成される。また、上記範囲の組合せも可能である(例えば、10重量%から100重量%の間またはそれらに等しい、20重量%から99重量%の間またはそれらに等しい、50重量%から90重量%の間またはそれらに等しい)。また、他の範囲も可能である。一部の実施形態では、すべての隔離材料が溶融している。他の実施形態では、隔離材料の一部のみが溶融している。
【0049】
一部の実施形態では、隔離材料の比較的高いパーセンテージが、隔離(例えば、吸収)の間に、二酸化炭素負荷固体粒子に化学的に変換される。例えば、一部の実施形態では、隔離材料の少なくとも1重量%、少なくとも10重量%、または少なくとも20重量%が、二酸化炭素負荷固体粒子で構成される。一部の実施形態では、隔離材料の最大90重量%、最大80重量%、または最大50重量%が、二酸化炭素負荷固体粒子で構成される。また、上記範囲の組合せも可能である(例えば、1重量%から90重量%の間またはそれらに等しい、10重量%から80重量%の間またはそれらに等しい、10重量%から50重量%の間またはそれらに等しい、20重量%から50重量%の間またはそれらに等しい)。また、他の範囲も可能である。
【0050】
一部の実施形態では、隔離材料は、アルカリ金属の水酸化物も含む。例えば、一部の実施形態では、隔離材料は、NaOH、KOH、および/またはLiOHを含む。ある特定の実施形態によると、アルカリ金属の水酸化物は、隔離材料と二酸化炭素との間の反応の副生成物として形成され得る。
【0051】
ある特定の実施形態によると、隔離材料は、比較的大量の二酸化炭素が隔離されるように二酸化炭素と相互作用することが可能である。隔離材料と二酸化炭素との間の相互作用は、化学反応、吸着、および/または拡散を含み得る。
【0052】
例えば、ある特定の実施形態では、隔離材料は、隔離材料1グラム当たり少なくとも1.0mmolの二酸化炭素が隔離されるように(例えば、環境から、例えば、雰囲気から、ストリームから)、二酸化炭素と相互作用することが可能である。一部の実施形態では、隔離材料は、隔離材料1グラム当たり少なくとも2.0mmol、少なくとも3.0mmol、少なくとも4.0mmol、または少なくとも5.0mmolの二酸化炭素が隔離されるように(例えば、環境から、例えば、雰囲気から、ストリームから)、二酸化炭素と相互作用することが可能である。ある特定の実施形態では、隔離材料は、隔離材料1グラム当たり最大10.0mmol、最大9.0mmol、最大8.0mmol、最大7mmol、または最大6mmolの二酸化炭素が隔離されるように(例えば、環境から、例えば、雰囲気から、ストリームから)、二酸化炭素と相互作用することが可能である。また、上記範囲の組合せも可能である(例えば、1グラム当たり1.0mmolから1グラム当たり10.0mmolの間またはそれらに等しい、1グラム当たり2.0mmolから1グラム当たり8.0mmolの間またはそれらに等しい、1グラム当たり4.0mmolから1グラム当たり7.0mmolの間またはそれらに等しい)。
【0053】
ある特定の実施形態によると、隔離材料は、環境中(例えば、雰囲気中、ストリーム中)の二酸化炭素濃度が比較的低い場合であっても、比較的大量の二酸化炭素が隔離されるように二酸化炭素と相互作用することが可能である。例えば、一部の実施形態では、隔離材料は、隔離材料が、50mol%程度、25mol%程度、10mol%程度または1mol%程度の二酸化炭素を含有する定常状態環境(例えば、環境の残部はアルゴンである)に曝露された場合、隔離材料1グラム当たり少なくとも1.0mmol、少なくとも2.0mmol、少なくとも3.0mmol、少なくとも4.0mmol、少なくとも5.0mmol、かつ/または最大10.0mmol、最大9.0mmol、最大8.0mmol、最大7mmol、もしくは最大6mmolの二酸化炭素を隔離することが可能である。
【0054】
ある特定の実施形態では、隔離材料は、比較的低温であっても比較的大量の二酸化炭素が隔離されるように、二酸化炭素と相互作用することが可能である。例えば、一部の実施形態では、隔離材料は、隔離材料が、700℃もしくはそれ未満の温度、650℃もしくはそれ未満の温度、600℃もしくはそれ未満の温度、550℃もしくはそれ未満の温度、または520℃もしくはそれ未満の温度(かつ/または少なくとも200℃、少なくとも300℃、少なくとも400℃、少なくとも450℃もしくは少なくとも500℃の温度)である場合、隔離材料1グラム当たり少なくとも1.0mmol、少なくとも2.0mmol、少なくとも3.0mmol、少なくとも4.0mmol、少なくとも5.0mmol、かつ/または最大10.0mmol、最大9.0mmol、最大8.0mmol、最大7mmol、もしくは最大6mmolの二酸化炭素を隔離することが可能である。また、上記範囲の組合せも可能である(例えば、200℃から700℃の間またはそれらに等しい、200℃から600℃の間またはそれらに等しい、400℃から550℃の間またはそれらに等しい)。また、他の範囲も可能である。
【0055】
ある特定の実施形態によると、隔離材料の塩は、1気圧で高速の二酸化炭素隔離を提供するのに十分高いが、二酸化炭素隔離を過度にエネルギー集約的なプロセスにするほど高くはない範囲内の溶融温度を有する。一部の実施形態では、隔離材料の塩は、1気圧で、少なくとも200℃、少なくとも300℃、少なくとも400℃、少なくとも450℃、または少なくとも500℃の溶融温度を有する。一部の実施形態では、隔離材料の塩は、1気圧で、最大700℃、最大650℃、最大600℃、最大550℃、または最大520℃の溶融温度を有する。また、上記範囲の組合せも可能である(例えば、200℃から700℃の間またはそれらに等しい、200℃から600℃の間またはそれらに等しい、400℃から550℃の間またはそれらに等しい)。また、他の範囲も可能である。
【0056】
ある特定の実施形態では、隔離材料は、比較的短い時間で比較的大量の二酸化炭素が隔離されるように、二酸化炭素と相互作用することが可能である。例えば、一部の実施形態では、隔離材料は、隔離材料が、二酸化炭素を含有する環境に24時間もしくはそれ未満、12時間もしくはそれ未満、8時間もしくはそれ未満、4時間もしくはそれ未満、1時間もしくはそれ未満、30分間もしくはそれ未満、10分間もしくはそれ未満、または2分間もしくはそれ未満(かつ/または少なくとも10秒間、少なくとも20秒間、少なくとも30秒間、もしくは少なくとも1分間)曝露された場合、隔離材料1グラム当たり少なくとも1.0mmol、少なくとも2.0mmol、少なくとも3.0mmol、少なくとも4.0mmol、少なくとも5.0mmol、かつ/または最大10.0mmol、最大9.0mmol、最大8.0mmol、最大7mmol、もしくは最大6mmolの二酸化炭素を隔離することが可能である。また、上記範囲の組合せも可能である(例えば、10秒間から24時間の間またはそれらに等しい、20秒間から12時間の間またはそれらに等しい、30秒間から8時間の間またはそれらに等しい、1分間から4時間の間またはそれらに等しい、1分間から10分間の間またはそれらに等しい、1分間から2分間の間またはそれらに等しい)。また、他の範囲も可能である。
【0057】
隔離材料によって隔離された二酸化炭素の量は、例えば、熱重量分析を使用して決定することができる。
【0058】
隔離材料に加えて、隔離材料を使用して二酸化炭素を捕捉する方法も記載される。例えば、本明細書に記載されている隔離材料のうちのいくつかは、化学プロセスストリーム(例えば、燃焼システムの排気ストリーム)からおよび/または二酸化炭素を含有する環境(例えば、反応器または他の単位操作内の環境)から、二酸化炭素を除去するために使用することができる。
【0059】
一部の実施形態では、方法は、本明細書に記載されている塩(例えば、アルカリ金属ホウ酸塩)を含む固体隔離材料を溶融するステップ、および溶融隔離材料を使用して、二酸化炭素を隔離するステップを含む。一部の実施形態では、溶融形態の塩(例えば、アルカリ金属ホウ酸塩)は、アルカリ金属カチオン、酸化ホウ素アニオン、ホウ素カチオンおよび/または酸素アニオンを含む。ある特定の実施形態では、これらの種のすべてが、溶融形態の塩中に存在する。一部の実施形態では、溶融形態の塩(例えば、アルカリ金属ホウ酸塩)は、アルカリ金属カチオン、ホウ素カチオンおよび酸素アニオンを含む。
【0060】
ある特定の態様は、本明細書に記載されている隔離材料を使用してCOを隔離する方法に関する。ある特定の態様は、本明細書に記載されている隔離材料を、二酸化炭素を含有する環境に、二酸化炭素の少なくとも一部が隔離材料と相互作用して環境から隔離されるように曝露するステップを含む方法を対象とする。ある特定の実施形態では、方法は、隔離材料を、二酸化炭素を含有する環境に、二酸化炭素の少なくとも一部が隔離材料と相互作用して環境から隔離されるように少なくとも200℃の温度で曝露するステップを含む。
【0061】
隔離材料は、いくつかの方法で二酸化炭素を含有する環境に曝露することができる。例えば、一部の実施形態では、二酸化炭素を含有する環境(例えば、雰囲気、ストリーム)に添加され得る。ある特定の実施形態によると、二酸化炭素を含有する環境は、隔離材料を保持する容器に移す(例えば、流し込む)ことができる。ある特定の実施形態では、溶融形態の塩を含む隔離材料は、環境が属する容器を通して流すまたは噴霧することができ、ならびに/または隔離材料の流向もしくは噴霧方向と同じおよび/もしくは反対方向に流される。また、これらの方法の組合せも可能である。隔離材料が曝露される二酸化炭素は、一般に、流体形態(例えば、気体および/または超臨界流体の形態)である。ある特定の実施形態では、隔離材料が曝露される二酸化炭素の少なくとも一部は、亜臨界気体の形態である。
【0062】
隔離材料が曝露される二酸化炭素を含有する環境は、例えば、化学処理単位操作内に封じ込められていてもよい。そのような単位操作の非限定例としては、反応器(例えば、充填層反応器、流動相反応器、流下膜塔、気泡塔)、分離器(例えば、ディーゼル排気微粒子フィルターなどの微粒子フィルター)、およびミキサーが挙げられる。ある特定の実施形態によると、二酸化炭素を含有する環境は、流下膜塔内に封じ込められている。ある特定の実施形態によると、二酸化炭素を含有する環境は、燃焼プロセスの産出物の一部であるか、および/またはそれに由来する。
【0063】
ある特定の実施形態では、方法は、隔離材料を、二酸化炭素を含有するストリームに曝露するステップを含む。図1は、ある特定の実施形態による、二酸化炭素を含有する環境に曝露されている隔離材料の模式図である。図1に示されるように、方法100aは、隔離材料102を、二酸化炭素を含有するストリーム104aに曝露するステップを含んでもよい。隔離材料が曝露されるストリームは、例えば、化学プロセスの二酸化炭素含有ストリームの一部であるか、および/またはそれに由来する。例えば、一部の実施形態では、隔離材料が曝露されるストリームは、燃焼プロセスの産出物(例えば、排気ストリーム)の一部であるか、および/またはそれに由来し得る。図2は、ある特定の実施形態による、燃焼プロセスの産出物の一部であるか、および/またはそれに由来する二酸化炭素を含有する環境に曝露されている隔離材料の模式図である。図2示されるように、方法100bは、隔離材料102を、燃焼プロセス108の一部であるか、および/またはそれに由来する二酸化炭素を含有するストリーム104bに曝露するステップを含んでもよい。一部の実施形態では、燃焼プロセスの産出ストリームの少なくとも一部は、隔離材料を通して直接輸送される。例えば、図2に示されるように、燃焼プロセス108のストリーム104bの少なくとも一部は、隔離材料102を通して直接輸送される。
【0064】
隔離材料が曝露されるストリームは、例えば、化学処理単位操作を通して輸送され得る。そのような単位操作の非限定例としては、反応器(例えば、充填層反応器、流動相反応器、流下膜塔、気泡塔)、分離器(例えば、ディーゼル排気微粒子フィルターなどの微粒子フィルター)、およびミキサーが挙げられる。例えば、再度図1を参照すると、一部の実施形態では、隔離材料102は、必要に応じた反応器110内に位置する。ある特定の実施形態によると、隔離材料が曝露されるストリームは、流下膜塔を通して輸送される。
【0065】
本明細書に記載されている隔離材料は、種々のシステムによって生成される二酸化炭素を除去するために使用することができる。例えば、一部の実施形態では、隔離材料を使用して、ボイラー(例えば、発電プラントの)からの排気ストリームから、石炭ガス化複合発電(IGCC)プラントからの排気ストリームから、内燃機関エンジンから(例えば、自動車から)の排気ストリームから、パイロプロセシング炉(例えば、セメント産業で使用されるような)からの排気ストリームから、および/または水素生成プロセス(例えば、吸収強化水蒸気改質(SESR)による)からのストリームから二酸化炭素が除去される。
【0066】
隔離材料が曝露される流体中の二酸化炭素濃度は、様々な範囲内であってもよい。一部の実施形態では、隔離材料が曝露される二酸化炭素含有環境(例えば、雰囲気、ストリーム)は、少なくとも1mol%の量の二酸化炭素を含有する。ある特定の実施形態では、隔離材料が曝露される二酸化炭素含有環境(例えば、雰囲気、ストリーム)は、少なくとも5mol%、少なくとも10mol%、少なくとも20mol%、少なくとも30mol%、少なくとも40mol%、少なくとも50mol%、少なくとも75mol%、少なくとも90mol%、少なくとも95mol%、少なくとも99mol%、または少なくとも99.9mol%の量の二酸化炭素を含有する。一部の実施形態では、隔離材料は、本質的に純粋な二酸化炭素に曝露されてもよい。一部の実施形態では、方法は、隔離材料を、少なくとも1mol%の量の二酸化炭素を含有する環境に曝露するステップを含む。
【0067】
ある特定の実施形態は、隔離材料を、二酸化炭素を含む環境(例えば、雰囲気、ストリーム)に、二酸化炭素の少なくとも一部が隔離材料と相互作用して環境から(例えば、雰囲気から、ストリームから)隔離されるように曝露することを含む。例えば、図1に示されるように、ストリーム104a中の二酸化炭素の少なくとも一部が隔離材料102と相互作用し、ストリーム104aから隔離され、そのため、ストリーム106aには存在しない。ある特定の実施形態では、ストリーム106aは、ストリーム104a中の二酸化炭素の少なくとも一部が隔離材料102と相互作用し、ストリーム104aから隔離された後のストリーム104aよりも少ない二酸化炭素を含有し得る。隔離される二酸化炭素と隔離材料との間の相互作用は、種々の形態を取り得る。例えば、ある特定の実施形態では、二酸化炭素は、隔離材料に吸収される。一部の実施形態では、二酸化炭素は、隔離材料に吸着される。一部の実施形態では、二酸化炭素は、隔離材料と化学的に反応する。一部の実施形態では、二酸化炭素は、隔離材料中に拡散する。また、これらの機序の2つまたはそれよりも多くの組合せ(すなわち、吸収、吸着、化学反応および/または拡散)も可能である。一部の実施形態では、COの隔離は、固体沈殿物を生成しない。
【0068】
ある特定の実施形態によると、二酸化炭素への隔離材料の曝露の間に、比較的大量の二酸化炭素が、隔離材料によって隔離される(例えば、雰囲気から、ストリームから)。例えば、ある特定の実施形態では、隔離材料1グラム当たり少なくとも1.0mmolの二酸化炭素が隔離される(例えば、環境から、例えば、雰囲気から、ストリームから)。一部の実施形態では、隔離材料1グラム当たり少なくとも2.0mmol、少なくとも3.0mmol、少なくとも4.0mmol、または少なくとも5.0mmolの二酸化炭素が隔離される(例えば、環境から、例えば、雰囲気から、ストリームから)。ある特定の実施形態では、隔離材料1グラム当たり最大10.0mmol、最大9.0mmol、最大8.0mmol、最大7mmolまたは最大6mmolの二酸化炭素が隔離される(例えば、環境から、例えば、雰囲気から、ストリームから)。また、上記範囲の組合せも可能である(例えば、1グラム当たり1.0mmolから1グラム当たり10.0mmolの間またはそれらに等しい、1グラム当たり2.0mmolから1グラム当たり8.0mmolの間またはそれらに等しい、1グラム当たり4.0mmolから1グラム当たり7.0mmolの間またはそれらに等しい)。また、他の範囲も可能である。本明細書に記載されている一部の方法を含む一部の実施形態では、隔離材料1グラム当たり1.0mmolから10mmolの間またはそれらに等しい二酸化炭素が、環境から隔離される。
【0069】
ある特定の実施形態によると、少なくとも10秒間、少なくとも20秒間、少なくとも30秒間、または少なくとも1分間の時間にわたって、二酸化炭素の少なくとも一部が隔離材料と相互作用し、本明細書の他所で記述される通りの雰囲気またはストリームなどのCOを含有する環境から隔離される。ある特定の実施形態によると、24時間もしくはそれ未満、12時間もしくはそれ未満、8時間もしくはそれ未満、4時間もしくはそれ未満、1時間もしくはそれ未満、または30分間もしくはそれ未満、10分間もしくはそれ未満、または2分間もしくはそれ未満の時間にわたって、二酸化炭素の少なくとも一部が隔離材料と相互作用し、本明細書の他所で記述される通りの雰囲気またはストリームなどのCOを含有する環境から隔離される。また、上記範囲の組合せも可能である(例えば、10秒間から24時間の間またはそれらに等しい、20秒間から12時間の間またはそれらに等しい、30秒間から8時間の間またはそれらに等しい、1分間から4時間の間またはそれらに等しい、1分間から10分間の間またはそれらに等しい、1分間から2分間の間またはそれらに等しい)。また、他の範囲も可能である。
【0070】
ある特定の実施形態では、24時間で隔離材料1グラム当たり少なくとも1.0mmolの二酸化炭素が隔離される(例えば、雰囲気から、ストリームから)。一部の実施形態では、24時間で隔離材料1グラム当たり少なくとも2.0mmol、少なくとも3.0mmol、少なくとも4.0mmol、または少なくとも5.0mmolの二酸化炭素が、ストリームから隔離される。一部の実施形態によると、24時間で隔離材料1グラム当たり最大10.0mmol、最大9.0mmol、最大8.0mmol、最大7mmolまたは最大6mmolの二酸化炭素が、ストリームから隔離される。また、上記範囲の組合せも可能である(例えば、1グラム当たり1.0mmolから1グラム当たり10.0mmolの間またはそれらに等しい、1グラム当たり2.0mmolから1グラム当たり8.0mmolの間またはそれらに等しい、1グラム当たり4.0mmolから1グラム当たり7.0mmolの間またはそれらに等しい)。また、他の範囲も可能である。
【0071】
ある特定の実施形態では、隔離材料の温度は、二酸化炭素の隔離の少なくとも一部の間、700℃未満であるかまたはそれに等しい。ある特定の実施形態では、塩が溶融形態であるように、隔離材料は、二酸化炭素の隔離の少なくとも一部の間、塩の溶融温度よりも高い温度である。ある特定の実施形態では、隔離材料の温度は、二酸化炭素の隔離の少なくとも一部の間、最大700℃、最大650℃、最大600℃、最大550℃、または最大520℃である。一部の実施形態では、隔離材料の温度は、二酸化炭素の隔離の少なくとも一部の間、少なくとも200℃、少なくとも300℃、少なくとも400℃、少なくとも450℃、または少なくとも500℃である。また、上記範囲の組合せも可能である(例えば、200℃から700℃の間またはそれらに等しい、200℃から600℃の間またはそれらに等しい、400℃から550℃の間またはそれらに等しい)。また、他の範囲も可能である。
【0072】
ある特定の実施形態では、二酸化炭素を含有する環境の温度は、二酸化炭素の隔離の少なくとも一部の間、700℃未満であるかまたはそれに等しい。ある特定の実施形態では、二酸化炭素を含有する環境の温度は、二酸化炭素の隔離の少なくとも一部の間、最大700℃、最大650℃、最大600℃、最大550℃、または最大520℃である。一部の実施形態では、二酸化炭素を含有する環境の温度は、二酸化炭素の隔離の少なくとも一部の間、少なくとも200℃、少なくとも300℃、少なくとも400℃、少なくとも450℃、または少なくとも500℃である。また、上記範囲の組合せも可能である(例えば、200℃から700℃の間またはそれらに等しい、200℃から600℃の間またはそれらに等しい、400℃から550℃の間またはそれらに等しい)。また、他の範囲も可能である。
【0073】
一部の実施形態では、比較的高い重量パーセンテージの隔離材料が、隔離の間に二酸化炭素を隔離する。例えば、一部の実施形態では、隔離材料の少なくとも1重量%、少なくとも10重量%、または少なくとも20重量%が、隔離の間に二酸化炭素を隔離する。一部の実施形態では、隔離材料の最大100%、最大90重量%、最大80重量%、または最大50重量%が、隔離の間に二酸化炭素を隔離する。また、上記範囲の組合せも可能である(例えば、1重量%から100重量%の間またはそれらに等しい、10重量%から90重量%の間またはそれらに等しい、10重量%から80重量%の間またはそれらに等しい、20重量%から50重量%の間またはそれらに等しい)。また、他の範囲も可能である。
【0074】
一部の実施形態では、方法は、隔離材料から、隔離材料によって隔離された二酸化炭素の少なくとも95mol%を除去することによって隔離材料を再生するステップをさらに含む。一部の実施形態では、隔離材料によって隔離された二酸化炭素の少なくとも96mol%、少なくとも97mol%、少なくとも98mol%、少なくとも99mol%、または少なくとも99.9mol%が、隔離材料から除去される。一部の実施形態では、隔離材料は、隔離および再生プロセス全体を通して液体状態のままである。例えば、一部の実施形態では、塩は、隔離および再生プロセス全体を通して液体状態のままである。
【0075】
ある特定の実施形態では、方法は、少なくとも1回の隔離/再生サイクル(例えば、少なくとも1回の温度スイングサイクル、少なくとも1回の圧力スイングサイクル)を実施するステップを含む。各隔離/再生サイクルは、隔離ステップ(隔離材料によってCOが隔離される)、続いて再生ステップ(隔離材料によってCOが放出される)で構成される。ある特定の実施形態によると、隔離材料は、比較的大量のCOを隔離および放出する能力を維持しながら、比較的多数回の隔離/再生サイクルにかけられてもよい。
【0076】
隔離材料は、1回または複数の隔離/再生サイクルの隔離ステップの1回または複数(またはすべて)の間、本明細書の上または他所に記載されている環境のうちの任意のもの(例えば、雰囲気、ストリーム)に曝露されてもよい。隔離/再生サイクルの再生ステップの1回または複数(またはすべて)が、種々の好適な第2の環境(例えば、流体、雰囲気、ストリーム)を使用して実施することができる。一部の実施形態では、隔離材料の再生は、隔離材料に対して不活性ガス(例えば、アルゴン、N)を流すことによって実施されてもよい。再生ステップの間に使用され得る好適な環境構成要素の非限定例としては、100mol%N流または気流を挙げることができる。
【0077】
一部の実施形態では、脱着ベッセル(本明細書の他所にさらに記載されている)中の気層は、二酸化炭素を含み、例えば、脱着ベッセル中、50体積%超またはそれに等しい気層が二酸化炭素で構成される。当業者によって理解されるように、二酸化炭素で構成される気層の体積%は、気層中の二酸化炭素の分圧を気層中の気体の全圧で割り、100%を掛けることによって決定することができる。本明細書で使用する場合、用語「気層」は、ベッセル(例えば、吸着ベッセル、脱着ベッセル)中の気体が占める空間または体積を指す。一部の実施形態では、脱着ベッセル中の気層は、吸着ベッセル(本明細書の他所にさらに記載されている)中の気層と同じ圧力である。他の実施形態では、脱着ベッセル中の気層は、吸着ベッセル中の気層とは異なる(例えば、より低い)圧力である。
【0078】
一部の実施形態では、再生ステップの間、バッチ操作のために構成されたシステム(本明細書の他所にさらに記載されている)においてベッセル中の気層は、二酸化炭素を含み、例えば、ベッセル中、50体積%超またはそれに等しい気層が二酸化炭素で構成される。一部の実施形態では、再生ステップの間、バッチ操作のために構成されたシステムにおいてベッセル中の気層は、隔離ステップの間のベッセル中の気層と同じ圧力である。他の実施形態では、再生ステップの間、バッチ操作のために構成されたシステムにおいてベッセル中の気層は、隔離ステップの間のベッセル中の気層とは異なる(例えば、より低い)圧力である。
【0079】
ある特定の実施形態によると、方法は、隔離材料を少なくとも2回(または少なくとも5回、少なくとも10回、少なくとも50回、少なくとも100回、少なくとも1000回、もしくは少なくとも10,000回)サイクルするステップを含む。一部のそのような実施形態では、サイクルの2回(または5回、10回、50回、100回、1000回、および/または10,000回)の隔離ステップの各々の間、隔離材料によって隔離されるCOの量は、1回目のサイクルの等価な隔離ステップの間に隔離材料によって隔離されるCOの量の少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%または少なくとも99.9%である。一部のそのような実施形態では、サイクルの2回(または5回、10回、50回、100回、1000回、および/または10,000回)の再生ステップの各々の間、隔離材料によって放出されるCOの量は、1回目のサイクルの等価な再生ステップの間に隔離材料によって放出されるCOの量の少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%または少なくとも99.9%である。一部のそのような実施形態では、1回目のサイクルの再生ステップの間に隔離材料によって放出されるCOの量は、1回目のサイクルの隔離ステップの間に隔離されるCOの量の少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、または少なくとも99.9%である。一部のそのような実施形態では、1回目のサイクル、10回目のサイクル、および/または100回目のサイクルの隔離ステップの間に隔離材料によって隔離されるCOの量は、隔離材料1グラム当たり少なくとも1.0mmol、少なくとも2.0mmol、少なくとも3.0mmol、少なくとも4.0mmol、または少なくとも5.0mmol(かつ/または最大10.0mmol、最大9.0mmol、最大8.0mmol、最大7mmol、もしくは最大6mmol)である。ある特定の実施形態では、隔離/再生サイクルの間の隔離材料の温度は、最大700℃、最大650℃、最大600℃、最大550℃または最大520℃(かつ/または少なくとも200℃、少なくとも300℃、少なくとも400℃、少なくとも450℃、もしくは少なくとも500℃)である。ある特定の実施形態では、隔離ステップの各々および再生ステップの各々が起こる時間は、24時間またはそれ未満(または12時間もしくはそれ未満、8時間もしくはそれ未満、4時間もしくはそれ未満、1時間もしくはそれ未満、30分間もしくはそれ未満、10分間もしくはそれ未満、または2分間もしくはそれ未満、かつ/または少なくとも10秒間、少なくとも20秒間、少なくとも30秒間、もしくは少なくとも1分間)である。一部の実施形態では、隔離/再生サイクルの隔離ステップの間に、隔離材料が曝露される環境中の二酸化炭素の定常状態濃度は、50mol%程度、25mol%程度、10mol%程度、または1mol%程度の二酸化炭素である(例えば、環境の残部はアルゴンである)。
【0080】
一部の実施形態では、溶融形態の塩を含む隔離材料を使用して二酸化炭素を隔離するためのシステムが提供される。本明細書に記載されているシステムは、本明細書に記載されている隔離材料を使用して本明細書に記載されている方法を実施するために使用されてもよい。
【0081】
一部の実施形態では、バッチ操作で二酸化炭素を隔離するように構成されたシステムが提供される。バッチ操作のために構成されたシステムは、いくつかの好適な構成要素のうちの任意のものを含んでもよい。一部の実施形態では、バッチ操作のために構成されたシステムは、ベッセルへの入口、ベッセル、およびベッセルへの出口を含む。一部の実施形態では、隔離ステップの間、入口は、富二酸化炭素流体を受け取るように構成され、この流体は、ベッセルへの入口から流すことができる。ある特定の実施形態では、ベッセルは、本明細書に記載されている隔離材料を含有するように構成される。一部の実施形態では、再生ステップの間、出口は、富二酸化炭素流体よりも低い二酸化炭素のモルパーセンテージを有する貧二酸化炭素流体をベッセルから受け取るように構成され、少なくともその理由は、隔離材料による一部の隔離がベッセル中で行われるためである。一部の実施形態では、再生ステップの間、入口は、ベッセルへの入口から流れ得るエネルギーまたは仕事を受け取る(例えば、加熱および/または加圧ガスから)ように構成される。一部の実施形態では、再生ステップの間、出口は、ベッセル中の隔離材料の再生に起因する純粋な二酸化炭素をベッセルから受け取るように構成される。
【0082】
一部の実施形態では、連続操作で二酸化炭素を隔離するように構成されたシステムが提供される。連続操作のために構成されたシステムは、いくつかの好適な構成要素のうちの任意のものを含んでもよい。一部の実施形態では、連続操作のために構成されたシステムは、吸着ベッセルへの入口、吸着ベッセル、および吸着ベッセルへの出口を含む。一部の実施形態では、連続操作のために構成されたシステムは、脱着ベッセルへの入口、脱着ベッセル、および脱着ベッセルへの出口をさらに含む。一部の実施形態では、連続操作のためのシステムは、二酸化炭素負荷隔離材料を吸着ベッセルから脱着ベッセルに輸送するように構成された、吸着ベッセルと脱着ベッセルとの間の第1の管をさらに含む。一部の実施形態では、システムは、二酸化炭素負荷隔離材料を輸送するように第1の管とインラインに構成された第1のポンプをさらに含む。ある特定の実施形態では、第1のポンプは、スラリーポンプである。一部の実施形態では、連続操作のためのシステムは、非負荷隔離材料を脱着ベッセルから吸着ベッセルに輸送するように構成された、吸着ベッセルと脱着ベッセルとの間の第2の管をさらに含む。一部の実施形態では、システムは、非負荷隔離材料を輸送するように第2の管とインラインに構成された第2のポンプをさらに含む。一部の実施形態では、システムは、第1の管および/または第2の管とインラインに(例えば、温度スイング操作のために構成された)熱交換器をさらに含む。一部の実施形態では、システムは、脱着ベッセルおよびポンプと流体連結された(例えば、温度スイング操作のために構成された)リボイラーまたは加熱器をさらに含む。一部の実施形態では、システムは、純粋な二酸化炭素ストリームを産出するように構成された脱着ベッセルと流体連結されたコンプレッサーをさらに含む。本明細書で提供されるシステムは、構成要素の任意の好適な組合せを含んでもよい。
【0083】
また、バッチ操作のために構成されたシステムと、連続操作のために構成されたシステムとのハイブリッドであるシステムも企図される。
【0084】
本明細書で使用する場合、「二酸化炭素負荷」隔離材料は、その少なくとも一部(例えば、1重量%から90重量%の間またはそれらに等しい)が、隔離二酸化炭素を有する隔離材料を指す。
【0085】
本明細書で使用する場合、「非負荷」隔離材料は、その少なくとも一部(例えば、75重量%から100重量%の間またはそれらに等しい、85重量%から100重量%の間またはそれらに等しい、95重量%から100重量%の間またはそれらに等しい)が、二酸化炭素除去されている隔離材料を指す。
【0086】
一部の実施形態では、本明細書で提供されるシステム(例えば、バッチ操作のためのシステム、連続操作のためのシステム)は、ベッセル(例えば、吸着ベッセル、脱着ベッセル)の温度を制御するように構成された少なくとも1つの温度制御器を含む。例えば、温度制御器は、塩の少なくとも一部を隔離の間、溶融形態で保持するために、ベッセルの温度を、隔離材料の塩の溶融温度またはそれよりも高く設定するために使用され得る。
【0087】
本明細書に記載されているシステム(例えば、バッチ操作のためのシステム、連続操作のためのシステム)は、本明細書に記載されている隔離材料を使用した高温(例えば、200℃から700℃の間またはそれらに等しい、500℃から550℃の間またはそれらに等しい)での圧力スイング二酸化炭素分離操作のために使用することができる。例えば、一部の実施形態では、隔離ステップの間(例えば、吸着ベッセルにおいて)、隔離材料が曝露される第1の環境中の二酸化炭素の分圧は、0.01barから20barの間またはそれらに等しく(例えば、0.1barから10barの間またはそれらに等しい)、隔離材料が曝露される第1の環境の全圧は、1barから30barの間もしくはそれらに等しい、または1barから50barの間もしくはそれらに等しい。一部の実施形態では、隔離材料が曝露される第1の環境の全圧は、少なくとも1bar、少なくとも2bar、少なくとも5bar、少なくとも10bar、少なくとも20bar、少なくとも50bar、少なくとも100barまたはそれよりも高くてもよい。ある特定の実施形態では、隔離ステップの間、二酸化炭素は、第1の環境(例えば、ストリーム)の10mol%から30mol%の間またはそれらに等しい。一部の実施形態では、再生ステップの間(例えば、脱着ベッセルにおいて)、隔離材料が曝露される第2の環境中の二酸化炭素の分圧は、0barから0.01barの間またはそれらに等しく、隔離材料が曝露される第2の環境の全圧は、1barから20barの間またはそれらに等しい。一部の実施形態では、隔離材料が曝露される第2の環境の全圧は、20bar未満、10bar未満、5bar未満、2bar未満、1.5bar未満、1.2bar未満、1.1bar未満、1bar未満、(例えば、真空下)、0.5bar未満、0.1bar未満、または0.01bar未満であり得る。一部の実施形態では、第1の環境の全圧と第2の環境の全圧との間の差は、0barから20barの間またはそれらに等しい。ある特定の実施形態では、第1の環境の全圧と第2の環境の全圧との間の差は、少なくとも0.1bar、少なくとも1bar、少なくとも5bar、少なくとも10bar、少なくとも50bar、少なくとも100bar、またはそれよりも高い。一部の実施形態では、第1の環境中の二酸化炭素の分圧と第2の環境中の二酸化炭素の分圧との間の差は、1barから20barの間またはそれらに等しい。また、他の範囲も可能である。例えば、圧力スイング操作において、隔離材料は、隔離ステップの間、二酸化炭素の分圧が1barである30barの圧力の第1の環境に曝露され、隔離材料は、再生ステップの間、二酸化炭素の分圧が0barである20barの圧力の第2の環境に曝露されてもよい。
【0088】
本明細書に記載されているシステム(例えば、バッチ操作のためのシステム、連続操作のためのシステム)は、高基準温度(例えば、200℃から600℃の間またはそれらに等しい)での温度スイング二酸化炭素分離操作のために使用することができる。例えば、一部の実施形態では、隔離ステップの間(例えば、吸着ベッセルにおいて)、隔離材料の第1の温度は、200℃から600℃の間またはそれらに等しく維持される。一部の実施形態では、再生ステップの間(例えば、脱着ベッセルにおいて)、隔離材料の第2の温度は、250℃から700℃の間またはそれらに等しく維持される。一部の実施形態では、第2の温度と第1の温度との間の差は、10℃から100℃の間またはそれらに等しい(例えば、20℃から70℃、50℃の間またはそれらに等しい)。例えば、温度スイング操作において、隔離材料は、隔離ステップの間500℃で、および再生ステップの間550℃で維持されてもよい。
【0089】
2018年10月5日に出願された「Carbon Dioxide Removal Using Sequestration Materials that Include Salts in Molten Form, and Related Systems and Methods」と題する米国仮特許出願番号第62/742,078号、および2019年3月8日に出願された「Carbon Dioxide Removal Using Sequestration Materials that Include Salts in Molten Form, and Related Systems and Methods」と題する米国仮特許出願番号第62/815,656号はいずれも、その全体がすべての目的のために参考として本明細書中に援用される。
【実施例
【0090】
以下の例は、本発明のある特定の実施形態を例示することを意図するものであって、本発明の全範囲を例示するものではない。
【0091】
(実施例1)
以下の例は、非限定隔離材料の調製を記載するものである。水酸化リチウム(LiOH、98%)、水酸化ナトリウム(NaOH、97%)、水酸化カリウム(KOH、99.9%)、およびホウ酸(HBO、99.5%)を、Sigma-Aldrichから購入した。すべての化学物質は、さらなる精製なしに受け取ったまま使用した。実験で利用したすべての水は、Mill-Q(Millipore)脱イオン水であった。一連のアルカリ金属ホウ酸塩化合物を、アルカリ金属水酸化物およびホウ酸の混合沈殿物のか焼によって調製した。Na1-x(x=0.75)(電気的中性は、y=1.5-xであることを示すことに留意されたい)の調製のための典型手順において、0.075molの水酸化ナトリウムおよび0.025molのホウ酸を、激しく撹拌しながら30mlの蒸留水に溶解した。水溶液を120℃で数時間乾燥させて、混合水酸化物を沈殿させた。乾燥沈殿物を、めのう乳鉢で摩砕し、空気中400℃のオーブン中で4時間か焼した。得られた組成物を、粉末に再摩砕し、100%N流中650℃で1時間か焼して、最終生成物を得た。
【0092】
(実施例2)
以下の例は、非限定隔離材料の特徴付けおよび分析を記載している。等温条件下、実施例1で合成した隔離材料によるCO取込み性能を、100%乾燥CO(Airgas)流下、大気圧で試験し、熱重量分析計(TGA、TGA Q50;TA Instrument)を使用して測定した。400℃で予備か焼し、続いて再摩砕した後、隔離材料を、TGAチャンバー中のPtサンプルパンに載せ、100%N流下、650℃の最終温度でか焼にかけた。650℃でのか焼後、サンプルチャンバー中の温度を、取込み分析のための設定温度に変更した。CO取込みの測定は、サンプルチャンバーに導入するフローガスを100%Nから100%乾燥COに切り替えることによって開始した。COの取込みは、サンプルチャンバー中のCOガス導入前の試料1g当たりの試料重量の増分をCOの分子量(MW=44.0g/mol)で割ることによって計算した。脱着性能を、100%CO流下、600℃で10分間のCOの取込み後に100%N流下、異なる温度での重量減少によって測定した。昇温でのCO取込みを、上に記載されている等温CO取込み分析と同じ試料および気流条件下、200℃から800℃までの5℃/分の温度の傾斜率で試験した。温度スイングによる隔離材料による脱着のCO取込みのサイクルの再生性を、サンプルチャンバーの温度およびTGAによってそれに導入された気体を、100%COと100%Nとの間で繰り返し切り替えることによって試験した。試料の前処理を、上に記載されている等温CO取込み分析と同じ手順で実施した。圧力スイングによるサイクルの再生性分析を、定温(700℃)で、サンプルチャンバーに導入されるガスを100%COと100%Nとの間で切り替えることによって実施した。隔離材料の前処理を、上に記載されている等温CO取込み分析と同じ手順で実施した。隔離材料の融点を、示差走査熱量測定(DSC、SDT-Q600;TA Instrument)を使用することによって測定した、100%N流下、昇温での熱流中の吸熱ピークによって識別した。高温における溶融隔離材料の流動性を、Environmental Testing Chamber(AR 2000-ETC、TA Instrument)を備えたレオメータを使用した粘度測定によって試験した。せん断速度の関数としての粘度の変化を定温(600℃)で測定した。
【0093】
(実施例3)
以下の例は、隔離材料によるCO取込みおよび脱着を記載している。隔離材料によるCO取込みの性能を、ナトリウムのモルの(ナトリウムのモルとホウ素のモルの合計に対する)混合比0.75、Na1-x(x=0.75)で最初に試験した。図3Aは、大気圧(1bar)、100%CO流下、5℃/分の速度での温度上昇に伴う隔離材料によるCOの取込み(Q[mmol・g-1])を示している。この組成での隔離材料によるCO取込みは、温度をおよそ570℃の開始温度(Ton)まで上昇させた場合、劇的に強化された。Tonの急速な上昇後、取込みは、数分で急速にほぼ全容量(約4.6mmol・g-1)に達し、より高温では横ばいになった。図3Bは、600℃における隔離による等温CO取込みを示しており、図3Cは、100%CO流下、異なる温度における同じ隔離材料による等温CO取込みを示している。結果は、取込みが550℃に等しいまたはそれよりも高い温度の場合、極度に速い速度で進行したことを明らかにした。最も急速な取込みは、650℃で記録され、このとき、全取込み容量の99%(約5.26mmol・g-1)がCOとの1分の反応で完了した。500℃では、急速な取込みが開始する前に数分の初期導入時間が現れた。450℃では、実質的な量の取込みはなかった。600℃における隔離材料の取込みを、図3Dに示されるように、同じ条件におけるCaOおよびLiBOによる取込みと比較した。取込みを、COとの1時間の反応によって達成された取込み容量によって正規化した。結果は、隔離材料による取込みが、これらの固体吸着剤の取込みとは異なって増加することを示している。CaOおよびLiBOの場合、反応が進行するにつれて取込み速度が減速し、その結果、反応時間の増加につれて全取込み容量に徐々に近づいた。対照的に、隔離材料による取込みは、取込み速度の減速なしにほぼ全容量に跳ね上がった。図3Eは、隔離材料(Na1-x(x=0.75))についての、100%CO流下、600℃で10分間のCO取込み後の、100%N流中異なる温度におけるCO脱着曲線を示している。結果は、COの脱着が、100%N流下、650℃よりも高い温度においてより急速に起こったことを示している。COは、初期の低速段階後、より急速に脱着され、次いで、脱着が進行するにつれて速度は減速した。再生の温度がより上昇するにつれて、脱着速度はより速くなった。800℃で、予備吸着されたCOの80%の脱着は、Nガスが試験チャンバーに導入された後10分で完了した。
【0094】
CO取込みのサイクルの再生性および脱着の程度は、実際のCO捕捉システムで動作する吸着剤の重要な特徴である。温度スイング法による隔離材料Na1-x(x=0.75)のサイクル性能が、図4Aおよび4Bにまとめられている。温度スイング操作を、100%CO流における取込みについての600℃と100%N流における脱着について750℃との間、その差150℃での温度のスイングによって実施した。圧力スイング法による隔離材料Na1-x(x=0.75)のサイクル性能が、図4Cおよび4Dにまとめられている。圧力スイング操作の場合、温度は、全操作時間、700℃で維持し、反応の方向は、サンプルチャンバーに導入されたガスストリームの100%CO(pCO2=1bar)から100%N(pCO2=0bar)への変更によって切り替えた。結果は、隔離材料が、取込み容量の有意な低下もサイクル操作による反応速度の有意な低下もなしにサイクルの再生性を有したことを明らかにした。各サイクルの脱着時間は、操作時間を短縮するために10分間で固定した。したがって、取込みは、温度または圧力スイング脱着のいずれによっても初期値に戻らなかった。しかしながら、より高いサイクルにおける取込みおよび脱着性能は、事実上初期サイクルと同一であった。また、700℃における等温スイング操作による追加の隔離材料(NaBO)のサイクル再生が、図4Eおよび図4Fに示されている。種々のスイング操作システムが、図10A図10B図10Cおよび図10Dに示されている。より具体的には、図10Aは、ある特定の実施形態による、バッチスイング操作システムの模式図であり、図10Bは、ある特定の実施形態による、連続スイング操作システムの模式図であり、図10Cは、ある特定の実施形態による、連続温度スイング操作システムの模式図であり、図10Dは、ある特定の実施形態による、連続圧力スイング操作システムの模式図である。
【0095】
次に、隔離材料中に存在するアルカリ金属種のCO取込み性能に対する効果を試験した。図5Aは、100%CO流下、5℃/分の速度での温度上昇に伴う、異なるアルカリ金属種を含む隔離材料によるCO取込みを示している。アルカリ金属ホウ酸塩(x)中のアルカリ金属(A)のモルの(Aのモルとホウ素(B)のモルの合計に対する)混合比は、一連の試料についてx=0.75で維持した。アルカリ金属試料の2成分(この例では、A=(Li-Na))、および3成分(この例では、A=(Li-Na-K))混合物を、アルカリ金属種の等モル混合物により調製した。結果は、急速な取込みが開始する開始温度は、ナトリウムがリチウム(すなわち、Li1-x)またはリチウムを含む混合種例((Li-Na)1-x、(Li-Na-K)1-x)で置換された場合、より低温にシフトしたことを示している。Li1-xの場合、取込みは、温度が上昇するにつれて加速し、次いで、減速しておよそ590℃で最大に達し、より高温での取込みの減退が続いた。混合アルカリ金属種の場合、温度が上昇するにつれて取込みが加速し、次いで、減速しておよそ570℃で最大に達し、より高温での取込みのあまり急激ではない減退が続いた。ホウ酸カリウム(K1-x)の場合、取込みは、図5Bに示されるように、取込み強化の開始のない温度範囲にわたって低かったが、x=0.70のホウ酸カリウムの中程度の取込み加速を示した。また、図5CのNaBOと比較して、図5Dおよび図5Eに示されるように、CO取込みおよび脱着の繰り返しサイクルのサイクルの再生性を、混合アルカリ金属種を含む化合物について試験した。(Li-Na)1-xおよび(Li-Na-K)1-xの両方が、取込み容量の有意な低下のないサイクルの再生性を示した。取込み速度は、ホウ酸ナトリウムについての取込み速度に匹敵するくらい速く、(Li-Na)1-xについて7.27mmol・g-1および(Li-Na-K)1-xについて5.33mmol・g-1の全取込み容量が、COとの反応下、数分で達成された。
【0096】
また、アルカリ金属ホウ酸塩中のアルカリ金属のモルの(アルカリ金属のモルおよびホウ素のモルに対する)混合比(x)のCO取込みに対する効果および脱着性能を試験した。図6Aは、100%CO流下、温度上昇に伴う異なる混合比(x)でのホウ酸ナトリウムによるCO取込みを示している。結果は、ナトリウム混合比が高い(x=0.835)ホウ酸ナトリウムによる取込みが、およそ200℃の低温で開始し、取込み速度は、温度が上昇するにつれて徐々に加速したことを明らかにした。取込みは、600℃を超える温度で横ばいになった。ナトリウム混合比が低い(x=0.667)ホウ酸ナトリウムの場合、昇温による取込み挙動は、x=0.75のホウ酸ナトリウムの取込み挙動と同様であった。図6Bは、異なるxのホウ酸ナトリウムによる100%CO流下600℃におけるCOの等温取込み、およびN流下750℃における脱着を示している。結果は、取込み容量が、ナトリウムの混合比(x)が増加するにつれて高くなった一方、高いナトリウム比の試料の脱着曲線は、大量の残留COで横ばいになり、短時間では完了しなかったことを示している。特に、x=0.835の場合、COとの反応によって取り込まれたCOの30%が、750℃における脱着の少なくとも1時間後に残存した。
【0097】
上記の結果は、少なくとも一部のアルカリ金属ホウ酸塩が、中から高温において高いCO取込み性能を示したことを実証した。特に、低い(x<0.75)ホウ酸ナトリウム、または混合アルカリ金属の場合、温度が閾値温度(Ton)を超えたときに、急速なCO取込みが開始した。また、これらの試料は、より高いサイクル数における取込み容量または反応速度の有意な低下のないサイクルの再生性を示した。これらの隔離材料によるCO取込み性能の温度依存性への理解を得るために、昇温による隔離材料の物理状態を、熱流の変動を試料に適用して、試料の温度を一定速度で上昇させることにより試験した。図7Aは、100%N流下、5℃/分の速度で温度を上昇させるためにNa1-x(x=0.75)に適用した熱流の変動を示している。結果は、およそ570℃における明らかな吸熱ピークを実証し、酸化物が溶融酸化物に溶融したことを示した。急激な上昇が開始した閾値温度との溶融曲線の良好な一致は、CO取込みが、物理状態に強く依存することを示唆している。理論に拘束されることを望むわけではないが、超高速CO取込みおよびサイクルの再生性は、少なくとも一部には、融点よりも高い温度における酸化物の液相(溶融酸化物)に起因して実現された可能性がある。
【0098】
理論に拘束されることを望むわけではないが、溶融酸化物による固有のCO取込み性能は、固体生成物を沈殿させる気液化学反応によって説明され得る。アルカリ金属ホウ酸塩の固体粒子が、それらの融点を超えて加熱された場合、酸化物は、溶融酸化物に変換され得、これは、下記のように、一価アルカリ金属カチオン(A)、三価ホウ素カチオン(B3+)、および二価酸素アニオン(O2-)を含む。
1-x(s)→xA(m)+(1-x)B3+(m)+(y)O2-(m) (1)
式中、(s)および(m)は、それぞれ固体および溶融イオン酸化物状態を表す。COがガスストリームとして導入された場合、COは、最初に溶融酸化物に物理的に溶解され、次いで、酸素アニオンと迅速に反応して炭酸アニオン(CO 2-)が形成され得る。
【化1】
【0099】
炭酸アニオン(CO 2-)は、溶融酸化物中のアルカリ金属カチオン(A)とさらに反応して、アルカリ金属炭酸塩(ACO)が形成され得る。COとの反応によって溶融アルカリ金属ホウ酸塩中で生成される化合物の識別について、図8に示されるように、600℃で30分間のCOとのNa1-x(x=0.75)の反応による生成物の結晶相組成物を、XRDによって試験した。結果は、2種の異なる化合物、NaCOおよびNaBOが、COとの反応によって生成されたことを示している。NaBO相の融点(約968℃)は、Na1-xO(x=0.75)の融点よりも高いため、理論に拘束されることを望むわけではないが、NaBOの固相は、溶融酸化物中のアルカリ金属イオンの濃度が、NaCO固体結晶の形成によって低下するにつれて、溶融ホウ酸ナトリウムから沈殿し得る。図7Bおよび図7Cは、それぞれCOとの反応なしにN流下、700℃から冷却されるNa1-x(x=0.75)に適用した熱流の変動、および700℃で30分間のCOとの反応後、CO流下で冷却する熱流の変動を示す。
【0100】
COとの反応なしでのN流下における冷却の場合、およそ560℃で、ホウ酸ナトリウムの固化に帰する熱流の変動に明らかな吸熱ピークが現れた。対照的に、COとの反応後の熱流に吸熱ピークは現れなかった。結果は、2種の固体生成物の沈殿に起因して、溶融酸化物の液相は700℃で30分間のCOとの反応後に残存していなかったことを示している。
【0101】
また、隔離材料によって実現されたサイクル再生性は、溶融酸化物の挙動によって説明され得る。形態変化に起因するサイクル悪化は、液体の流体性に起因して起こり得ない。理論に拘束されることを望むわけではないが、溶融酸化物中のイオン種の急速な物質移動は、分子分布の欠陥または不均質性を急速に平均化して、操作サイクル数の増加に関係なく、本来の取込み性能を維持した可能性がある。
【0102】
実際的なCO捕捉システムの実現のために、流体溶融アルカリ金属ホウ酸塩も、技術的な視点から有利である。固体吸着剤を使用したCO捕捉のために、様々な種類の流動相反応器が提案されている。流動相反応器は、一般に、2組の反応器バッチ、サイクロンおよび固体吸着剤用搬送ラインの組合せによって構成され、低コスト商用プラントの設立に向けたシステムの大規模化のためにいくつかの制限を有する。流体溶融隔離材料は、改善された流動能を有する単純化された連続炭素捕捉システムの可能性を開く。図9は、600℃における溶融状態のNa1-x(x=0.75)および(Li-Na)1-x(x=0.75)の粘度を示している。結果は、ずり減粘挙動を示し、1000(1/s)のせん断速度におけるNa1-x(x=0.75)および(Li-Na)1-x(x=0.75)の粘度は、それぞれ0.790Pa*sおよび0.170Pa*sであった。これらの比較的低粘度の流体は、ストリッパーから搬送ラインを通して単純な供給ポンプによって吸収装置に搬送され得る。サイクルシステムの修正は、CO捕捉システム資本および操作費用の削減に寄与し得る。
【0103】
(実施例4)
以下の例は、隔離材料によるCO取込みを記載している。CO取込みの反応温度における2種の異なる種類のナトリウム含有アルカリ金属ホウ酸塩、Na1-x(x=0.75)および(Li0.5Na0.51-x(x=0.75)の物理状態および相組成を、温度制御可能なin-situ XRDによってさらに試験した。図11Aおよび図11Bは、COへの曝露および/またはCOとの反応前の600℃におけるNa1-x(x=0.75)および(Li0.5Na0.51-x(x=0.75)についてのXRDスペクトルを示している。固体結晶の区別可能な回折ピークは、XRD分析のための基材として使用されたPtシートに帰するピークを除き、600℃におけるXRDスペクトルの両方で現れなかった。結果は、これらのアルカリ金属ホウ酸塩が、COとの反応前に600℃において溶融(液体)状態であったことを実証するのを助ける。30分間のCOへの曝露および/またはCOとの反応後、図11Cに示されるように、Na1-x(x=0.75)と同じ温度において、XRDスペクトルに明らかな複数のピークが現れ、固体沈殿物がCOとのNa1-x(x=0.75)の反応によって生成されたことを示した。スペクトルのピーク識別は、α-NaCOおよびNaの固体結晶が、600℃で沈殿したことを明らかにした。対照的に、図11Dに示されるように、(Li0.5Na0.51-x(x=0.75)の場合、30分間のCOへの曝露および/またはCOとの反応後であっても、明らかなピークは出現しなかった。結果は、(Li0.5Na0.51-x(x=0.75)によるCO取込みが、固体沈殿物の生成なしに進行したことを示している。理論に拘束されることを望むわけではないが、混合炭酸リチウム-ナトリウムの融点は、およそ等モル量の共晶組成において約500℃程度であり、COとの反応によって生成された混合炭酸塩は、イオン化溶融液体として存在した可能性がある。ここで、COと酸素アニオン(O2-)との反応によって生成された炭酸イオン(CO 2-)は、反応温度(600℃)において、炭酸イオンへの二重アルカリ金属イオン(LiおよびNa)の配位によって溶融酸化物中で安定化され得る。
【0104】
本発明のいくつかの実施形態を本明細書に記載し、例示したが、当業者は、本明細書に記載されている機能を果たしならびに/または結果および/もしくは1つまたは複数の利点を得るために様々な他の手段および/または構造を容易に想起し、かつこのような変形および/または修正は、本発明の範囲内にあると考えられる。より一般的には、当業者は、本明細書に記載されているすべてのパラメーター、寸法、材料、および立体構造は例示であることを意味し、実際のパラメーター、寸法、材料、および/または立体構造は、本発明の教示が使用される特定の用途に依存することを容易に認識する。当業者は、日常的な実験の範囲を超えない実験を使用して、本明細書に記載されている発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を認識し、確認することができる。したがって、前述の実施形態は単に例として示されており、他に、本発明は、具体的に記載され、特許請求された範囲を超えて、添付の特許請求の範囲およびそれに対する均等物の範囲内で、実施することができることが理解されるべきである。本発明は、本明細書に記載されているそれぞれ個々の特徴、システム、物品、材料、および/または方法を対象とする。さらに、2つまたはそれ超のこのような特徴、システム、物品、材料、および/または方法の任意の組合せは、このような特徴、システム、物品、材料、および/または方法が互いに矛盾していなければ、本発明の範囲内に含まれる。
【0105】
本明細書および特許請求の範囲における不定冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」は、本明細書で使用する場合、逆の内容が明確に示されていなければ、「少なくとも1つの(at least one)」を意味するものと理解されるべきである。
【0106】
本明細書および特許請求の範囲における句「および/または(and/or)」は、等位接続する要素、すなわち一部の場合に接続的に存在し、他の場合には非接続的に存在する要素の「いずれかまたは両方(either or both)」を意味するものと理解されるべきである。他の要素は、逆の内容が明確に示されていなければ、具体的に特定した要素に関連するか関連しないかにかかわらず、「および/または(and/or)」の句によって具体的に特定される要素以外に必要に応じて存在してよい。したがって、「Aおよび/またはB(A and/or B)」への言及は、非限定例として、「含む(comprising)」などのオープンエンド言語と併せて使用される場合、一実施形態では、Bを含まないA(必要に応じてB以外の要素を含む);別の実施形態では、Aを含まないB(必要に応じてA以外の要素を含む);さらに別の実施形態では、AとBの両方(必要に応じて他の要素を含む)を指すことができる。
【0107】
本明細書で使用する場合、本明細書においておよび特許請求の範囲において、「または(or)」は、上記のように「および/または(and/or)」と同じ意味を有すると理解されるべきである。例えば、リストの項目を分離する際に、「または(or)」または「および/または(and/or)」は、包括的であると解釈され、すなわち、要素の数またはリストの少なくとも1つ(1つより多い場合を含む)および、必要に応じてさらに列挙されていない項目も含む。逆の内容が明確に示されている用語のみ、例えば「のうちの1つだけ(only one of)」もしくは「のうちの正確に1つ(exactly one of)」、または特許請求の範囲で使用する場合、「からなる(consisting of)」は、要素の数またはリストのうちの正確に1つの要素を含むことを指す。一般に、用語「または(or)」は、本明細書で使用する場合、排他的に、「いずれか(either)」、「のうちの1つ(one of)」、「のうちの1つだけ(only one of)」、または「のうちの正確に1つ(exactly one of)」などの用語に先行される場合、排他的な選択肢(すなわち、「1つまたは両方ではない他方(one or the other but not both)」)を示すものとしてのみ解釈される。特許請求の範囲で使用される場合、「から本質的になる(consisting essentially of)」は、特許法の分野で使用される通常の意味を有する。
【0108】
本明細書で使用する場合、本明細書においておよび特許請求の範囲において、句「少なくとも1つ(at least one)」は、1つまたは複数の要素のリストを参照して、要素のリストにおける任意の1つまたは複数の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味するものと理解されるべきであるが、要素のリスト内に具体的に列挙された各およびすべての要素の少なくとも1つを必ずしも含まず、要素のリストにおける要素の任意の組合せを除外しない。この定義によって、要素は、具体的に特定されたこれらの要素に関連するか関連しないかにかかわらず、句「少なくとも1つ(at least one)」が言及する要素のリスト内で具体的に特定された要素以外で必要に応じて存在することが可能となる。したがって、非限定例として、「AおよびBの少なくとも1つ(at least one of A and B)」(または、同等に、「AまたはBの少なくとも1つ(at least one of A or B)」、もしくは、同等に、「Aおよび/またはBの少なくとも1つ(at least one of A and/or B)」)は、一実施形態では、1より大きいを必要に応じて含む少なくとも1つのAであってBは存在しない(かつB以外の要素を必要に応じて含む)、または別の実施形態では、1より大きいを必要に応じて含む少なくとも1つのBであってAは存在しない(かつA以外の要素を必要に応じて含む)、さらに別の実施形態では、1より大きいを必要に応じて含む少なくとも1つのA、および1より大きいを必要に応じて含む少なくとも1つのB(かつ他の要素を必要に応じて含む)などを指すことができる。
【0109】
特許請求の範囲、および上記本明細書において、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する(carrying)」、「有する(having)」、「含有する(containing)」、「含む(involving)」、「保つ(holding)」などのすべての移行句は、オープンエンド、すなわち、含むが限定されないことを意味するものと理解されるべきである。移行句「からなる(consisting of)」および「から本質的になる(consisting essentially of)」のみが、米国特許庁特許審査便覧、セクション2111.03に記載されているように、それぞれクローズドまたはセミクローズドの移行句である。

図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4AB
図4CD
図4EF
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10AB
図10C
図10D
図11A
図11B
図11C
図11D