(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】アスコルビン酸を測定するための方法およびシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 27/62 20210101AFI20231106BHJP
G01N 30/72 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
G01N27/62 V
G01N27/62 X
G01N30/72 C
(21)【出願番号】P 2021518183
(86)(22)【出願日】2019-10-02
(86)【国際出願番号】 US2019054227
(87)【国際公開番号】W WO2020072595
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-07-15
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511172461
【氏名又は名称】ラボラトリー コーポレイション オブ アメリカ ホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】グラント, ラッセル フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】スレイド, ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】フェイガン, エリン
【審査官】吉田 将志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0169919(US,A1)
【文献】特開2016-197110(JP,A)
【文献】特表2018-506519(JP,A)
【文献】特表2005-518401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/60 - G01N 27/70
G01N 27/92
G01N 30/00 - G01N 30/96
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンデム型質量分析によって試料中のアスコルビン酸
の量を判定するための方法であって、
(a)インソースフラグメンテーションによ
り115の質量電荷比(m/z)の前記アスコルビン酸からの断片イオンを生成するステップ;
(b)タンデム型質量分析により前記アスコルビン酸断片イオンの1つまたは複数の生成物イオンを生成するステップ;
(c)ステップ(a)で生成される前記アスコルビン酸断片イオンの1つもしくは複数またはステップ(b)の1つもしくは複数の前記生成物イオン、または両方
の量を検出するステップ;および
(d)検出されたイオンを前記試料中の前記アスコルビン酸
の量に関連付けるステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記試料が最初の断片化ステップ(a)の前に精製ステップに供される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記精製ステップがクロマトグラフィーおよび/またはタンパク質の沈殿を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記クロマトグラフィーが高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記クロマトグラフィーが分析液体クロマトグラフィーを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記試料がMS/MSインターフェイスで加熱される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
質量分析の前の前記試料の液液抽出または前記試料の希釈の少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記生成物イオン
が87および59の質量/電荷比(m/z)を有するイオンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記断片イオンが3,4-ジヒドロキシフラン-2(5H)-オンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記生成物イオンが(Z)-プロパ-1-エン-1,2,3-トリオールジラジカルまたは(Z)-エテン-1,2-ジオールラジカルの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
0.05mg/dLか
ら5mg/dLの範囲にわたるアスコルビン酸の検出をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
アスコルビン酸を含有すると考えられている生体試料を提供するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
タンデム型MS/MS分析器が大気圧化学イオン化(APCI)モードで操作される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権
本出願は、本明細書によってその全体が参考として本明細書中に援用される、2018年10月3日に出願の米国特許仮特許出願第62/740,732号に基づく優先権を主張している。
【0002】
分野
本開示の主題は、バイオマーカーの分析のための方法およびシステムに関する。ある特定の実施形態では、バイオマーカーの測定は、臨床診断のために使用することができる。
【背景技術】
【0003】
背景
ホルモン、ビタミン、代謝産物などのバイオマーカーは、複数の障害の臨床診断のために、およびバイオマーカーとして使用することができる。例えば、アスコルビン酸またはL-アスコルビン酸とも呼ばれるビタミンCなどのビタミン類の測定は、患者の健康のための鍵となる情報を提供することができる。ビタミンCは、一部の食物に天然に存在し、他の食物では強化され、単独でまたは総合ビタミン剤の形で栄養補助食品として入手できる、水溶性ビタミンである。ヒトは、ほとんどの動物と異なり、ビタミンCを新規に合成することができず、必須の食事成分としてそれを得る必要性がある。ビタミンCは、いくつかの重要な化合物の生合成のための必須の補因子である。それは、結合組織の必須の成分であるコラーゲンの生成に関与するいくつかの酵素の機能のために必要とされる。これらの酵素は、コラーゲンにその弾力性を与える分子架橋のために必要とされる。ビタミンC欠乏症によりポリペプチドが不安定となり、強固な三重ヘリックスに自己組織化することができなくなる。
【0004】
正常に機能しないコラーゲン生成は、不十分な創傷治癒ならびに歯の喪失、関節痛、骨および結合組織の病状ならびに血管脆弱性につながるコラーゲン構造の弱体化をもたらすことがある。ビタミンCは、ミトコンドリアへの活性化長鎖脂肪酸の輸送のための必須化合物であるカルニチンの生合成における補因子としても働く。ビタミンC欠乏症によるカルニチンレベルの低減は、疲労および無気力をもたらす。ビタミンCは、ノルエピネフリンへのドーパミンの変換、チロシンおよび葉酸の代謝、ならびに胆汁酸へのコレステロールの変換における必須の補因子である。
【0005】
重度かつ長期のビタミンC欠乏症は、血管脆弱性、結合組織傷害、疲労および最終的に死によって特徴付けられる状態である壊血病につながる。初期の症状には、脱力、無頓着ならびに息切れ、ならびに関節、骨および筋肉の痛みを含めることができる。筋肉痛は、カルニチンの生成が低減されるために起こる。口腔合併症には、歯槽骨の吸収および歯の喪失に進行する軽度の外傷を伴う歯肉出血を含めることができる。痛みを伴う関節血腫および骨膜下出血などのリウマチ性の問題が起こることがある。高拍出量貧血に続発性の鬱血性心不全のために、心臓肥大が起こることがある。ビタミンC摂取量が何週間も10mg/日未満に減少する場合、壊血病が起こる。壊血病は先進国では稀であるが、食物の多様性が限定された人々、および他の高リスク群ではなお起こる可能性がある。
【0006】
生理的条件下でビタミンCは強力な抗酸化剤として働き、他の抗酸化剤、特にビタミンEを再生することが示されている。ビタミンの還元型であるアスコルビン酸は、その高い電子供与力およびグルタチオンによる活性還元型への素早い変換のために非常に有効な抗酸化剤である。この抗酸化作用は正常な代謝呼吸によって生成されるフリーラジカルによって引き起こされる傷害を制限する役割を果たし、ある特定のがん、心血管疾患および他の疾患の発生を阻止する働きをすることができる。ビタミンCの濃度は、全原因死亡率と逆相関することが示されている。低い血漿ビタミンC濃度は、血圧の上昇、心血管疾患のリスクの増加および糖尿病と関連する。
【0007】
したがって、アスコルビン酸などのバイオマーカーの測定のために使用することができる分析技術を開発する必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
要旨
一部の実施形態では、タンデム型質量分析によって試料中のアスコルビン酸の存在または量を判定するための方法は、(a)インソースフラグメンテーションにより約115の質量電荷比(m/z)のアスコルビン酸からの断片イオンを生成するステップ;(b)タンデム型質量分析によりアスコルビン酸断片イオンの1つまたは複数の生成物イオンを生成するステップ;および(c)ステップ(a)で生成されるアスコルビン酸断片イオンの1つもしくは複数またはステップ(b)の1つもしくは複数の生成物イオン、または両方の存在または量を検出し、検出されたイオンを試料中のアスコルビン酸の存在または量に関連付けるステップを含むことができる。例えば、インソースフラグメンテーションの間、イオンが供与源から質量分析器に移動するとき、電圧をオリフィスプレートに加えることができる。一部の場合には、アスコルビン酸から断片イオンを生成するためにこの電圧を使用することができる。一部の実施形態では、この電圧は、デクラスタリングポテンシャルと呼ばれる。一部の場合には、断片イオンは、3,4-ジヒドロキシフラン(dihyroxyfuran)-2(5H)-オンを含むことができる。
【0009】
ある特定の実施形態では、ステップ(b)の生成物イオンは、約87および59の質量/電荷比(m/z)を有するイオンを含むことができる。一部の場合には、生成物イオンは、(Z)-プロパ-1-エン-1,2,3-トリオールジラジカルまたは(Z)-エテン-1,2-ジオールラジカルの少なくとも1つを含むことができる。必要に応じて、試料は、MS/MSインターフェイスで加熱することができる。一部の実施形態では、本方法は、0.05mg/dLから約5mg/dLの範囲にわたるアスコルビン酸の検出をさらに含むことができる。
【0010】
必要に応じて、最初の断片化ステップ(a)の前に試料を精製ステップに供することができる。ある特定の実施形態では、精製ステップは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)などのクロマトグラフィーを含むことができる。ある特定の実施形態では、精製ステップは、タンパク質の沈殿を含むことができる。一部の場合には、クロマトグラフィーは分析液体クロマトグラフィーを含むことができる。一部の実施形態では、本方法は、質量分析の前の試料の液液抽出または試料の希釈の少なくとも1つをさらに含むことができる。
【0011】
例えば、一部の実施形態では、生体試料中のアスコルビン酸の存在または量を判定するための方法は、生体試料を提供するステップ;試料中の他の成分からアスコルビン酸をクロマトグラフィーで分離するステップ;アスコルビン酸の断片イオンを生成するステップ;質量分析器にアスコルビン酸断片イオンを供して生成物イオンを生成するステップ;ならびに、質量分析によってアスコルビン酸断片イオンおよび/または生成物イオンを分析して試料中のアスコルビン酸の存在または量を判定するステップを含むことができる。必要に応じて、本方法は、クロマトグラフィーの前にタンパク質沈殿によってタンパク質を除去することによって、アスコルビン酸を部分精製するステップをさらに含むことができる。一部の場合には、アスコルビン酸断片は、インソースフラグメンテーションによって作製することができる。ある特定の実施形態では、生成物イオンは、約87および59の質量/電荷比(m/z)を有するイオンを含むことができる。一部の場合には、本方法は、約0.05mg/dLから約5mg/dLの範囲にわたるアスコルビン酸の検出をさらに含むことができる。一部の実施形態では、生体試料は、血液、血清、血漿、尿または唾液を含むことができる。
【0012】
試験試料中のアスコルビン酸の存在または量を判定するためのシステムも開示される。システムは、以下を含むことができる:アスコルビン酸を含有することが疑われる試験試料を提供するためのステーション;必要に応じて、試料中の他の成分からアスコルビン酸を部分精製するためのステーション;必要に応じて、試料中の他の成分からアスコルビン酸をクロマトグラフィーで分離するためのステーション;アスコルビン酸断片イオンを生成するためのアスコルビン酸のインソースフラグメンテーションのためのステーション;および、アスコルビン酸断片イオンから生成物イオンを生成するために質量分析によってアスコルビン酸断片を分析するためのステーション;および、試験試料中のアスコルビン酸の存在または量を判定するために質量スペクトルを分析するためのステーション。一部の実施形態では、ステーションのいくつかは、単一のステーションとして組み合わせられる。一部の場合には、インソースフラグメンテーションのためのステーションは、アスコルビン酸断片イオンを生成するためにオリフィスプレートに電圧を加えるように構成することができる。ある特定の実施形態では、ステーションの少なくとも1つは、コンピュータで制御することができる。
本発明の実施形態において、例えば以下の項目が提供される。
(項目1)
タンデム型質量分析によって試料中のアスコルビン酸の存在または量を判定するための方法であって、
(a)インソースフラグメンテーションにより約115の質量電荷比(m/z)の前記アスコルビン酸からの断片イオンを生成するステップ;
(b)タンデム型質量分析により前記アスコルビン酸断片イオンの1つまたは複数の生成物イオンを生成するステップ;
(c)ステップ(a)で生成される前記アスコルビン酸断片イオンの1つもしくは複数またはステップ(b)の1つもしくは複数の前記生成物イオン、または両方の存在または量を検出するステップ;および
(d)検出されたイオンを前記試料中の前記アスコルビン酸の存在または量に関連付けるステップ
を含む方法。
(項目2)
前記試料が最初の断片化ステップ(a)の前に精製ステップに供される、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記精製ステップがクロマトグラフィーおよび/またはタンパク質の沈殿を含む、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記クロマトグラフィーが高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を含む、項目3に記載の方法。
(項目5)
前記クロマトグラフィーが分析液体クロマトグラフィーを含む、項目3に記載の方法。
(項目6)
前記試料がMS/MSインターフェイスで加熱される、項目4に記載の方法。
(項目7)
質量分析の前の前記試料の液液抽出または前記試料の希釈の少なくとも1つをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記生成物イオンが約87および59の質量/電荷比(m/z)を有するイオンを含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記断片イオンが3,4-ジヒドロキシフラン-2(5H)-オンを含む、項目1に記載の方法。
(項目10)
前記生成物イオンが(Z)-プロパ-1-エン-1,2,3-トリオールジラジカルまたは(Z)-エテン-1,2-ジオールラジカルの少なくとも1つを含む、項目1に記載の方法。
(項目11)
約0.05mg/dLから約5mg/dLの範囲にわたるアスコルビン酸の検出をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目12)
アスコルビン酸を含有すると考えられている生体試料を提供するステップをさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目13)
タンデム型MS/MS分析器が大気圧化学イオン化(APCI)モードで操作される、項目1に記載の方法。
(項目14)
試験試料中のアスコルビン酸の存在または量を判定するためのシステムであって、
アスコルビン酸を含有することが疑われる試験試料を提供するためのステーション;
アスコルビン酸断片イオンを生成するための前記アスコルビン酸のインソースフラグメンテーションのためのステーション;および
前記アスコルビン酸断片イオンから生成物イオンを生成する質量分析のためのステーション;および
前記試験試料中のアスコルビン酸の存在または量を判定するために質量スペクトルを分析するためのステーション
を含む、システム。
(項目15)
前記試料中の他の成分から前記アスコルビン酸を部分精製するためのステーションをさらに含む、項目14に記載のシステム。
(項目16)
前記試料中の他の成分から前記アスコルビン酸をクロマトグラフィーで分離するためのステーションをさらに含む、項目14に記載のシステム。
(項目17)
前記ステーションの少なくとも1つがコンピュータで制御される、項目14に記載のシステム。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本開示の一実施形態による断片および生成物イオンの構造を示す。
【0014】
【
図2】
図2は、本開示の一実施形態による患者試料で分析したアスコルビン酸およびアスコルビン酸内部標準の例示的なクロマトグラムを示す。
【0015】
【
図3】
図3は、本開示の一実施形態によるアスコルビン酸の定量分析のための方法のフローチャートを示す。
【0016】
【
図4】
図4は、本開示の一実施形態による目的のバイオマーカーの定量分析のためのシステムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
詳細な説明
本開示の主題は、これから付随する説明および図を参照して以下により完全に記載され、そこにおいて、本開示の主題の全てではないがいくつかの実施形態が示される。本開示の主題は多くの異なる形で具体化することができ、本明細書に示される実施形態に限定されるものと解釈すべきでない。全体を通して、類似の数字は類似の要素を指す。
【0018】
本明細書に示す本開示の主題の多くの改変形態および他の実施形態は、前述の記載および関連する図で提供される教示の恩恵を受ける、本開示の主題が関係する分野の当業者に思いつくであろう。したがって、本開示の主題は開示される具体的な実施形態に限定されるものでないこと、ならびに改変形態および他の実施形態が添付の請求項の範囲内に含まれるものであることを理解すべきである。本明細書で具体的な用語が用いられるが、それらは一般的および記述的な意味だけで使用され、限定目的ではない。本開示は、下に示す略語を利用する。
略語
APCI = 大気圧化学的イオン化
HTLC = 高速乱流(スループット)液体クロマトグラフィー
HPLC = 高速液体クロマトグラフィー
LLE = 液液抽出
LOQ = 定量限界
LLOQ = 定量下限
SST = システム適合性試験
ULOQ = 定量上限
2D-LC-MS/MS = タンデム型質量分析に繋いだ二次元液体クロマトグラフィー
(LC)-LC-MS/MS = タンデム型質量分析に繋いだ二次元液体クロマトグラフィー
(LC)-MS/MS = タンデム型質量分析に繋いだ液体クロマトグラフィー
定義および記載
【0019】
以下の用語は当業者によく理解されると考えられるが、本開示の主題の説明を容易にするために以下の定義が示される。他の定義は、明細書全体を通して見出される。特に定義されない限り、本明細書で使用される全ての専門用語および科学用語は、ここで記載される主題が属する分野の当業者が通常理解するのと同じ意味を有する。
【0020】
本開示の広い範囲を示す数値範囲およびパラメータは近似値であるにもかかわらず、具体例に示す数値はできるだけ正確に報告される。しかし、いかなる数値も、それらのそれぞれの試験測定値で見出される標準偏差から必然的に生じる、ある特定の誤差を本来的に有する。さらに、本明細書に開示される全ての範囲は、その中に包含されるあらゆるサブレンジを包含すると理解すべきである。例えば、「1から10」の明記される範囲は、1の最小値および10の最大値の間の(それらを含む)あらゆるサブレンジ、すなわち、1またはそれより大きい最小値、例えば1から6.1から開始し、10またはそれ未満の最大値、例えば5.5から10で終わる全てのサブレンジを含むと考えるべきである。さらに、「本明細書に組み込まれる」と呼ばれるいかなる参照も、完全に組み込まれると理解すべきである。
【0021】
請求項を含む本出願で使用される場合、用語「a」、「an」および「the」は「1つまたは複数」を指す。したがって、例えば、文脈が明らかにそれとは反対(例えば、複数の細胞)などでない限り、「細胞」への言及は複数のそのような細胞を含む。
【0022】
本明細書で使用されるように、ビタミンCは、用語アスコルビン酸またはL-アスコルビン酸と互換性がある。
【0023】
本明細書で使用されるように、用語「精製する」もしくは「分離する」またはその派生語は、試料マトリックスからの目的の分析物以外の全ての物質の除去を指すとは限らない。その代わりに、一部の実施形態では、用語「精製する」または「分離する」は、試料マトリックスに存在する1つまたは複数の他の成分と比較して1つまたは複数の目的の分析物の量を富化する手順を指す。一部の実施形態では、「精製」または「分離」手順は、分析物の検出に干渉するかもしれない試料の1つまたは複数の成分、例えば、質量分析による分析物の検出に干渉するかもしれない1つまたは複数の成分を除去するために使用することができる。
【0024】
本明細書で使用されるように、「クロマトグラフィー」は、それらが固定相液体または固体相の周囲または上を流れるときの化学実体の差別的分配の結果として、液体または気体によって運ばれる化学混合物が成分に分離されるプロセスを指す。
【0025】
本明細書で使用されるように、「液体クロマトグラフィー」(LC)は、微細に分割された物質のカラムを通してまたは毛細管通路を通って流体が均一に浸透するときの、流体溶液の1つまたは複数の成分の選択的遅滞のプロセスを意味する。遅滞は、流体が固定相に対して移動するときの、1つまたは複数の固定相とバルク流体(すなわち、移動相)の間の混合物の成分の分配から生じる。「液体クロマトグラフィー」には、逆相液体クロマトグラフィー(RPLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)および高速乱流液体クロマトグラフィー(HTLC)が含まれる。
【0026】
本明細書で使用されるように、用語「HPLC」または「高速液体クロマトグラフィー」は、一般的に高密度に詰められたカラムである固定相を通して移動相を圧力下で押し込むことによって分離の程度が増加する液体クロマトグラフィーを指す。クロマトグラフィーカラムは、化学部分の分離(すなわち、分画)を促進するために、媒体(すなわち、充填材料)を一般的に含む。媒体は、微粒子を含むことができる。本明細書の実験で定量化されるバイオマーカー分析物などの化学部分の分離を促進するために、粒子は、様々な化学部分と相互作用する結合表面を含む。1つの好適な結合表面は、アルキル結合表面などの疎水性結合表面である。アルキル結合表面は、C-4、C-8またはC-18結合アルキル基、好ましくはC-18結合基を含むことができる。クロマトグラフィーカラムは、試料を受け取るための入口ポート、および分画された試料を含む溶出液を排出するための出口ポートを含む。本方法では、試料(または、前もって精製された試料)を入口ポートからカラムに加え、溶媒または溶媒混合物で溶出させ、出口ポートから排出することができる。異なる目的の分析物を溶出させるために、異なる溶媒モードを選択することができる。例えば、液体クロマトグラフィーは、勾配モード、定組成モードまたは多型(すなわち混合)モードを使用して実行することができる。
【0027】
本明細書で使用されるように、用語「分析カラム」は、試験試料マトリックスの成分の分離を実行するのに十分なクロマトグラフィープレートを有するクロマトグラフィーカラムを指す。好ましくは、分析カラムから溶出する成分は、目的の分析物の存在または量の判定を可能にするような方法で分離される。一部の実施形態では、分析カラムは、約5μmの平均直径を有する粒子を含む。一部の実施形態では、分析カラムは官能基化されたシリカもしくはポリマー-シリカハイブリッドであるか、またはポリマー粒子もしくはモノリシックシリカ固定相、例えばフェニル-ヘキシル官能基化分析カラムである。
【0028】
分析カラムは、さらなる精製または分析のための「精製された」試料を得るために、保持される物質を保持されない物質から分離または抽出するために一般的に使用される「抽出カラム」から区別することができる。
【0029】
用語「ハートカッティング」は、クロマトグラムの中の目的領域の選択、およびその目的領域の中の溶出する分析物を第2の分離、例えば、第2の次元での分離にかけることを指す。
【0030】
本明細書で使用される用語「バイオマーカー」または「マーカー」は、目的の疾患または症候群を単独でまたは他のバイオマーカーと組み合わせて診断するかまたはその診断もしくは予後診断を助けるために;目的の疾患または症候群の進行を監視するために;および/あるいは目的の症候群または疾患の処置の有効性を監視するために使用することができる1つまたは複数の核酸、ポリペプチドおよび/または他の生体分子(例えば、ビタミンC、ホルモンまたは他の小分子)を指す。
【0031】
本明細書で使用される用語「電子イオン化」は、気体または蒸気相の目的の分析物が電子の流れと相互作用する方法を指す。分析物との電子の衝突は分析物イオンを生成し、それは次に質量分析技術に供することができる。
【0032】
本明細書で使用される用語「化学イオン化」は、試薬気体(例えば、アンモニア)が電子衝突を受け、試薬気体イオンおよび分析物分子の相互作用によって分析物イオンが形成される方法を指す。
【0033】
本明細書で使用される用語「電場脱離」は、不揮発性の試験試料がイオン化表面に置かれ、分析物イオンを発生させるために強い電場が使用される方法を指す。
【0034】
本明細書で使用される用語「マトリックス支援レーザー脱離イオン化」または「MALDI」は、不揮発性の試料が、試料中の分析物を光イオン化、プロトン化、脱プロトンおよびクラスタ崩壊を含む様々なイオン化経路によって脱離、イオン化するレーザー照射にさらされる方法を指す。MALDIの場合、試料は、分析物分子の脱離を促進するエネルギー吸収マトリックスと混合される。
【0035】
本明細書で使用される用語「表面エンハンス型レーザー脱離イオン化」または「SELDI」は、不揮発性の試料が、試料中の分析物を光イオン化、プロトン化、脱プロトンおよびクラスタ崩壊を含む様々なイオン化経路によって脱離、イオン化するレーザー照射にさらされる別の方法を指す。SELDIの場合、試料は、1つまたは複数の目的の分析物を優先的に保持する表面に一般的に結合する。MALDIの場合のように、このプロセスは、イオン化を促進するためにエネルギー吸収材料を同様に用いることができる。
【0036】
本明細書で使用される用語「エレクトロスプレーイオン化」または「ESI」は、短い長さの毛細管に沿って溶液を通し、その末端には高い正または負の電位が加えられる方法を指す。管の末端に到達すると、溶液は、溶媒蒸気中の溶液の非常に小さい液滴の噴流または噴霧に気化させる(霧状にする)ことができる。液滴のこのミストは、凝結を防いで溶媒を蒸発させるためにわずかに加熱される、蒸発チャンバーの中を流れることができる。液滴がより小さくなるにつれて、類似の電荷の間の自然反発がイオンならびに中性分子の放出を引き起こすときまで、電気表面電荷密度は増加する。
【0037】
本明細書で使用される用語「大気圧化学イオン化」または「APCI」はESIに類似した質量分析方法を指すが、APCIは、大気圧でプラズマの中で起こるイオン-分子反応によってイオンを生成する。プラズマは、噴霧毛細管とカウンター電極の間の放電によって維持される。次に、イオンは、差別的にポンプ輸送されるスキマーステージのセットの使用によって、質量分析器の中に一般的に抽出される。溶媒の除去を向上させるために、乾燥したおよび予熱されたN2気体の向流を使用することができる。極性のより弱い種を分析するために、APCIにおける気相イオン化はESIより有効である可能性がある。
【0038】
本明細書で使用される用語「大気圧光イオン化」(「APPI」)は、分子Mの光イオン化の機構が分子M+を形成する光子吸収および電子放出である質量分析の形を指す。光子エネルギーは一般的にイオン化電位よりわずかに上にあるので、分子イオンは解離に対してより感受性でない。多くの場合、クロマトグラフィーの必要性なしで試料を分析することが可能であり、したがってかなりの時間および費用を節約することができる。水蒸気またはプロトン性溶媒の存在下で、分子イオンはHを抽出してMH+を形成することができる。これは、Mが高いプロトン親和性を有する場合に起こる傾向がある。M+およびMH+の合計は一定であるので、これは定量化の精確度に影響しない。プロトン性溶媒中の薬化合物は通常MH+として観察されるが、ナフタレンまたはテストステロンなどの無極性化合物は通常M+を形成する(例えば、Robb et al., 2000, Anal. Chem. 72(15): 3653-3659を参照)。
【0039】
本明細書で使用される用語「誘導結合プラズマ」は、ほとんどの元素を噴霧化およびイオン化するのに十分に高い温度で試料を部分的にイオン化された気体と相互作用させる方法を指す。
【0040】
本明細書で使用される用語「イオン化」および「イオン化する」は、1つまたは複数の電子単位と等しい純電荷を有する分析物イオンを発生させるプロセスを指す。負イオンは1つまたは複数の電子単位の純負電荷を有するイオンであり、正イオンは1つまたは複数の電子単位の純正電荷を有するイオンである。
【0041】
本明細書で使用される用語「インソースフラグメンテーション」は、イオンが供与源から質量分析器に移動するときに電圧をオリフィスプレートに加えることを指す。一部の実施形態では、この電圧は、デクラスタリングポテンシャルと呼ばれる。
【0042】
本明細書で使用される用語「脱離」は、表面からの分析物の除去および/または気相への分析物の流入を指す。
【0043】
本明細書で使用されるように、用語「生体試料」は、動物、細胞培養、器官培養などを限定されずに含む、生物供与源から得られる試料を指す。適する試料には、血液、血漿、血清、尿、唾液、涙、脳脊髄液、器官、毛髪、筋肉または他の組織試料が含まれる。
【0044】
本明細書で使用されるように、対象は動物を含むことができる。したがって、一部の実施形態では、生体試料は、イヌ、ネコ、ウマ、ラット、サルなどを限定されずに含む哺乳動物から得られる。一部の実施形態では、生体試料は、ヒト対象から得られる。一部の実施形態では、対象は患者、すなわち疾患または状態の診断、予後診断または処置のために臨床場面に受診に訪れる、生きている人である。一部の実施形態では、試験試料は生体試料でないが、例えば、ビタミンの製造または研究室分析の間に得られる非生体試料を含み、それは、製造および/または分析プロセスの組成および/または収量を判定するために分析することができる。
LC-MS/MSによるバイオマーカーの分析方法
【0045】
したがって、本開示の実施形態は、臨床診断のためのバイオマーカーの定量分析のための方法およびシステムに関する。本開示は、様々な方法で具体化することができる。
【0046】
一実施形態では、本開示は、生体試料中の少なくとも1つの目的のバイオマーカーの存在または量を判定するための方法であって、少なくとも1つの目的のバイオマーカーを含有すると考えられている生体試料を提供するステップ;必要に応じて、試料中の他の成分から少なくとも1つの目的のバイオマーカーをクロマトグラフィーで分離するステップ;少なくとも1つの目的のバイオマーカーの断片イオンを生成するステップ;質量分析器に断片イオンを供して生成物イオンを生成するステップ;ならびに、断片イオンおよび/または生成物イオンを分析して試料中の少なくとも1つの目的のバイオマーカーの存在または量を判定するステップを含む方法を含む。一部の場合には、断片イオンは、インソースフラグメンテーションによって作製することができる。インソースフラグメンテーションの間、イオンが供与源から質量分析器に移動するとき、電圧をオリフィスプレートに加えることができる。一部の実施形態では、目的のバイオマーカーから断片イオンを生成するためにこの電圧を使用することができる。一部の場合には、この電圧は、デクラスタリングポテンシャルと呼ばれる。一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーは、アスコルビン酸またはL-アスコルビン酸としても公知のビタミンCを含む。
【0047】
ある特定の実施形態では、クロマトグラフィーは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を含むことができる。一実施形態では、クロマトグラフィーは抽出および/または分析液体クロマトグラフィーを含むことができる。
【0048】
一実施形態では、本方法は、クロマトグラフィーの前に目的のバイオマーカーを精製するステップを含むことができる。例えば、試料は、液液抽出またはタンパク質沈殿の少なくとも1つによって部分精製することができる。同様に、本方法は、LSおよび/またはMSのために使用される1つまたは複数の溶媒に試料を希釈するステップを含むことができる。
【0049】
一部の実施形態では、本方法は2つの液体クロマトグラフィーステップの使用を含むことができる。例えば、ある特定の実施形態では、試験試料中の1つまたは複数のバイオマーカーの存在または量を判定するための方法は、以下のステップを含むことができる:(a)1つまたは複数の目的のバイオマーカーを含有することが疑われる試料を提供するステップ;(b)液液抽出、タンパク質沈殿または試料の希釈の少なくとも1つによって試料中の他の成分から1つまたは複数の目的のバイオマーカーを部分精製するステップ;(c)1つまたは複数の目的のバイオマーカーを分析カラムに移し、試料中の他の成分から1つまたは複数の目的のバイオマーカーをクロマトグラフィーで分離するステップ;および(d)クロマトグラフィーで分離された目的のバイオマーカーを質量分析によって分析して試験試料中の1つまたは複数のバイオマーカーの存在または量を判定するステップ。一実施形態では、少なくとも1つのバイオマーカーは、アスコルビン酸またはL-アスコルビン酸としても公知のビタミンCを含む。
【0050】
したがって、ある特定の実施形態では、本開示は、試料中のアスコルビン酸を測定するための方法を含む。例えば、一実施形態では、本開示は、タンデム型質量分析によって試料中のアスコルビン酸の存在または量を判定するための方法であって、(a)アスコルビン酸から断片イオンを生成するステップ;(b)タンデム型質量分析によりアスコルビン酸断片イオンの1つまたは複数の生成物イオンを生成するステップ;および(c)ステップ(a)で生成されるアスコルビン酸断片イオンの1つもしくは複数またはステップ(b)で生成される生成物イオン、または両方の存在または量を検出し、検出されたイオンを試料中のアスコルビン酸の存在または量に関連付けるステップを含む方法を含む。
【0051】
インソースフラグメンテーションの間、イオンが供与源から質量分析器に移動するとき、電圧をオリフィスプレートに加えることができる。目的のバイオマーカーがアスコルビン酸である一部の場合には、電圧はアスコルビン酸から断片イオンを生成することができる。一部の実施形態では、インソースフラグメンテーションによるアスコルビン酸の処置は、アスコルビン酸の分子量を約60質量単位低減させる。したがって、一実施形態では、アスコルビン酸断片イオンは、約115の質量/電荷比(m/z)を有する。一実施形態では、生成物イオンは、約87および約59の質量/電荷比(m/z)を有するイオンを含む。
【0052】
ある特定の実施形態では、断片イオンは、3,4-ジヒドロキシフラン-2(5H)-オンを含むことができる。生成物イオンは、(Z)-プロパ-1-エン-1,2,3-トリオールジラジカルまたは(Z)-エテン-1,2-ジオールラジカルの少なくとも1つを含むことができる。
図1は、これらの断片および生成物イオンの構造および関係するm/z比を示す。
【0053】
本方法は、単一アッセイとして(すなわち、試料の複数の希釈のない線形アッセイとして)、約0.05mg/dLのLLOQから約5mg/dLのULOQの範囲にわたるアスコルビン酸の検出を含むことができる。ULOQより上の試料は、トリス-酢酸中の1%ウシ血清アルブミン(w/v)、0.1%メタ重亜硫酸ナトリウム(w/v)のブランク溶液により10×の前抽出まで希釈することができる。
図2は、患者試料中のアスコルビン酸およびアスコルビン酸の比較内部標準のクロマトグラムを示す。
【0054】
一実施形態では、インソースフラグメンテーションによる最初の断片化ステップの前に試料を精製ステップに供することができる。例えば、ある特定の実施形態では、精製ステップはクロマトグラフィーおよび/またはタンパク質の沈殿を含むことができる。本明細書で議論されるように、ある特定の実施形態では、クロマトグラフィーは高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を含む。LCステップは、1つのLC分離または複数のLC分離を含むことができる。一実施形態では、クロマトグラフィー分離は抽出および分析液体クロマトグラフィーを含む。さらに、または代わりに、高速乱流液体クロマトグラフィー(HTLC)(高スループット液体クロマトグラフィーとしても公知)を使用することができる。
【0055】
精製は、HPLCまたは他のタイプのクロマトグラフィー分離技術の他のステップを含むことができる。代わりの実施形態では、本方法は、液液抽出または希釈の少なくとも1つを含むことができる。一実施形態では、試料は、LCおよび/またはMS(例えば、LC-MS/MSまたは2D-LC-MS/MS)のために使用することができる溶媒または溶媒混合物に希釈される。
【0056】
一部の実施形態では、目的のバイオマーカーの同位体を内部標準として加えることができる。例えば、アスコルビン酸のための安定的に標識される同位体を試料アリコートに内部標準として加えることができる。一部の場合には、内部標準の添加および混合の後、10%トリクロロ酢酸(TCA)を沈殿溶液として試料アリコートに加えることができる。試料を混合し、遠心分離し、上清をLC-MS/MSシステムの清潔なウエルプレートに移すことができる。一部の場合には、プレートはアセトニトリルを含有する2mLの96ウエルプレートであってよい。試料は、次にLC-MS/MSシステムに注入することができる。LC-MS/MSシステムの1つの例はMDS-Sciex API5500トリプル四重極質量分析器であり、それは検出のために負イオンエレクトロスプレーイオン化モードで操作することができる。一部の実施形態では、分析物および内部標準の定量化は、選択された反応監視モード(SRM)で実行することができる。各試料中のアスコルビン酸の逆計算された量は、既知量の精製されたアスコルビン酸を、トリス-酢酸、pH6.0中の1%(w/v)BSA、0.05~5.0mg/dLの0.1%(w/v)メタ重亜硫酸ナトリウムに添加することによって作成される較正曲線から判定することができる。
【0057】
本開示の方法の例は、
図3に示す。したがって、一実施形態では、本方法は、生体試料、例えば、アスコルビン酸を含有すると考えられている血清試料を提供するステップ(4)を含むことができる。試料およびキャリブレータは紫外線曝露で分解するので光保護を必要とする可能性があり、光保護するためにホイルカバー、琥珀色のボトルまたは他のパッケージングを必要とするかことがある。一部の実施形態では、適当な内部標準が試料に加えられる(6)。例えば、血清試料中のアスコルビン酸を分析するための本開示の方法の一部の実施形態では、C
13-L-アスコルビン酸標識同位体を使用することができる。
【0058】
一部の実施形態では、アスコルビン酸は試料の液液抽出によって部分精製することができる(8)。あるいは、以降の精製ステップでLCまたはMSのために使用することができる溶媒に試料を希釈することができる(9)。あるいは、タンパク質沈殿によって試料を部分精製することができる。
【0059】
試料を抽出する場合、内部標準の添加はトリクロロ酢酸(TCA)などの安定化剤を含むことができる。抽出を実行しない場合、内部標準はアセトニトリルまたはLCのために使用される類似の溶媒に加えることができる。一部の実施形態では、アスコルビン酸は血清試料から有機溶媒で抽出することができる。一部の実施形態では、抽出されたアスコルビン酸は有機溶媒で希釈することができる。例えば、一実施形態では、より極性の溶媒と混合されたアルカンが使用される。一実施形態では、1:4の10%TCA:アセトニトリル溶液を使用することができる。
【0060】
図3になお言及すると、本方法は、試料中の他の成分からバイオマーカーを分離する手段として、液体クロマトグラフィーをさらに含むことができる。一実施形態では、2つの液体クロマトグラフィーステップが使用される。例えば、本方法は、第1の抽出カラム液体クロマトグラフィー(10)、第2の分析カラムへのアスコルビン酸の移動(12)、および分析カラム液体クロマトグラフィー(16)を含むことができる。他の実施形態では、1つの液体クロマトグラフィーステップだけが使用される。
【0061】
ある特定の実施形態では、第1の抽出液体クロマトグラフィーカラムは、バイオマーカー(すなわち、目的の分析物)が汚染物質の大半から分離されるステップを含むことができる。したがって、ある特定の実施形態では、第1のカラムは、手順のための選択性の大半を提供する。ある特定の実施形態では、第2の分析液体クロマトグラフィーカラムは、バイオマーカーが濃縮され、それによって質量分析(MS)による分析の感度を増加させるステップを含むことができる。
【0062】
優れた精製を提供するために、目的のバイオマーカーによって当技術分野で公知の様々な分析カラムを必要に応じて使用することができる。ある特定の実施形態では、分析カラムは、約3μmの平均直径を有する粒子を含むことができる。一部の実施形態では、分析カラムは官能基化されたシリカもしくはポリマー-シリカハイブリッドであるか、またはポリマー粒子もしくはモノリシックシリカ固定相、例えばフェニル-ヘキシル官能基化分析カラムである。
【0063】
2つの液体クロマトグラフィーステップが用いられる場合、溶出する分析物は、分析カラムに加えることによって試料が濃縮されるように、分析カラムに移すことができる。一部の実施形態では、溶出する分析物は、ハートカッティング技術によって分析カラムに移される。一部の実施形態では、分析カラムの上に分析物を移し、集中させるために、クロマトフォーカシング手順が使用される。同様に一部の実施形態では、分析カラムに分析物を移すためにカラムスイッチング手順が使用される。分析物は分析カラムの上で次に分離することができ(16)、目的の分析物を含有する画分を溶出させる。一実施形態では、スループットを最大にし、低減された体積で試料を提供する方法で、第2のカラムが実行される。
【0064】
分離された分析物は、インソースフラグメンテーションによって次に断片化される(17)。断片化したイオンは、質量分析器(MS)システムに導入される(18)。一部の実施形態では、タンデム型MS/MSシステムが使用される。当業者に公知であるように、タンデム型MS分析では、イオン化の後に前駆体イオンが選択され、その前駆体イオンは生成物イオンを生成するために追加の断片化に供され、それによって検出のために1つまたは複数の生成物イオンが選択される。
【0065】
タンデム型MSによって測定される特徴的な遷移の量に基づいて、目的の分析物を次に定量化することができる(20)。一部の実施形態では、タンデム型質量分析器は、トリプル四重極質量分析器を含む。一部の実施形態では、タンデム型質量分析器は、正イオン大気圧化学イオン化(APCI)モードで操作される。一部の実施形態では、分析物および内部標準の定量化は、選択された反応監視モード(SRM)で実行される。あるいは、誘導結合プラズマ、またはMALDI、またはSELDI、ESIまたはAPPIの使用などの、イオン化の他の方法をイオン化のために使用することができる。
【0066】
一部の実施形態では、各試料中の各分析物の逆計算された量は、未知試料の応答または内部標準化を用いるときは応答比の、精製された分析物材料の既知量を標準の試験試料、例えば、チャコール剥脱ヒト血清に添加することによって作成される較正曲線との比較によって判定することができる。一実施形態では、応答または内部標準対濃度の較正曲線を用いるときは応答比を生成するために、キャリブレータは既知の濃度で調製され、バイオマーカー方法に従って分析される。
【0067】
したがって、本方法は、生理的に関連するレベルのアスコルビン酸を定量化する能力を提供する。本明細書で議論されるように、0.05mg/dLと2500mg/dLの血清レベルの間の差は臨床的に関連することがある。一実施形態では、本方法はこれらのレベルのアスコルビン酸を報告することができ、5mg/dLを上回るレベルの測定のためには希釈が必要である。
目的のバイオマーカーの分析のためのシステム
【0068】
他の実施形態では、本開示は、試料中の1つまたは複数のバイオマーカーの存在または量を判定するためのシステムを含む。例えば、一部の実施形態では、システムは、少なくとも1つの目的のバイオマーカーを含有すると考えられている試料を提供するためのステーション;必要に応じて、試料中の他の成分から少なくとも1つの目的のバイオマーカーをクロマトグラフィーで分離するためのステーション;少なくとも1つのバイオマーカーのインソースフラグメンテーションのためのステーション;および、断片イオンから生成イオンを生成する質量分析のためのステーション;および、試料中の1つまたは複数のバイオマーカーの存在または量を判定するために質量分析の結果を分析するためのステーションを含むことができる。一部の実施形態では、インソースフラグメンテーションのためのステーションは、断片イオンを生成するためにオリフィスプレートに電圧を加えるように構成することができる。一実施形態では、目的のバイオマーカーは、アスコルビン酸である。
【0069】
一実施形態では、システムは、試料中の他の成分から少なくとも1つの目的のバイオマーカーを部分精製するためのステーションを含むこともできる。一実施形態では、質量分析は、大気圧化学イオン化(APCI)モードで操作される。さらにある特定の実施形態では、ステーションの少なくとも1つは自動化され、および/またはコンピュータで制御される。例えば、本明細書に記載されるように、ある特定の実施形態では、ステップの少なくとも一部は、手動の介入がほとんどまたは全く必要とされないように自動化される。
【0070】
一実施形態では、クロマトグラフィー分離のためのステーションは、液体クロマトグラフィー(LC)を実行するために少なくとも1つの装置を含む。一実施形態では、液体クロマトグラフィーのためのステーションは、抽出クロマトグラフィーのためのカラムを含む。さらに、または代わりに、液体クロマトグラフィーのためのステーションは、分析クロマトグラフィーのためのカラムを含むことができる。ある特定の実施形態では、抽出クロマトグラフィーおよび分析クロマトグラフィーのためのカラムは、単一のステーションまたは単一のカラムを含む。例えば、一実施形態では、液体クロマトグラフィーは、試料の抽出または希釈の後に目的のバイオマーカーと同時に精製される試料中の他の成分から目的のバイオマーカーを精製するために使用される。
【0071】
システムは、試験試料中の1つまたは複数のバイオマーカーの存在または量を判定するために、1つまたは複数の目的のバイオマーカーの断片イオンおよび/または生成物イオンを質量分析によって分析するためのステーションを含むこともできる。ある特定の実施形態では、タンデム型質量分析が使用される(MS/MS)。例えば、ある特定の実施形態では、タンデム型質量分析のためのステーションは、Applied Biosystems API4000もしくはAPI5000または熱量子またはAgilent 7000トリプル四重極質量分析器を含む。
【0072】
システムは、目的のバイオマーカー(例えば、アスコルビン酸)を試験試料から抽出するための、および/または試料を希釈するためのステーションを含むこともできる。一実施形態では、抽出のためのステーションは、液液抽出のためのステーションを含む。液液抽出のためのステーションは、試料への溶媒の添加および廃棄物画分の除去のための装置および試薬を含むことができる。一部の場合には、手順の間に起こることがあるバイオマーカーの損失を規格化するために、同位体標識内部標準が使用される。したがって、液液抽出のためのステーションは、フードまたは溶媒で作業するために必要とされる他の安全機構を含むことができる。
【0073】
ある特定の実施形態では、本開示の方法およびシステムは、複数の液体クロマトグラフィーステップを含むことができる。したがって、ある特定の実施形態では、二次元液体クロマトグラフィー(LC)手順が使用される。例えば、一実施形態では、本開示の方法およびシステムは、LC抽出カラムから分析カラムに目的のバイオマーカーを移すことを含むことができる。一実施形態では、抽出カラムから分析カラムへの少なくとも1つの目的のバイオマーカーの移動は、ハートカッティング技術によって実行される。別の実施形態では、目的のバイオマーカーは、クロマトフォーカシング技術によって抽出カラムから分析カラムに移される。あるいは、目的のバイオマーカーは、カラムスイッチング技術によって抽出カラムから分析カラムに移される。これらの移動ステップは手動で実行することができるか、またはオンラインシステムの一部であってもよい。必要に応じて、本明細書に記載される方法およびシステムで、抽出カラムが使用されなくてもよい。
【0074】
抽出または分析液体クロマトグラフィーのために使用することができる固定相および移動相を含む様々なカラムが、本明細書に記載される。必要に応じた抽出液体クロマトグラフィーのために使用されるカラムは、目的のバイオマーカーによって異なってもよい。分析液体クロマトグラフィーのために使用されるカラムは、目的のバイオマーカーおよび/または抽出液体クロマトグラフィーステップのために使用されたカラムによって異なってもよい。例えば、ある特定の実施形態では、分析カラムは、約3μmの平均直径を有する粒子を含む。一部の実施形態では、分析カラムは官能基化されたシリカもしくはポリマー-シリカハイブリッドであるか、またはポリマー粒子もしくはモノリシックシリカ固定相、例えばフェニル-ヘキシル官能基化分析カラムである。
【0075】
ある特定の実施形態では、質量分析器は、タンデム型質量分析器(MS/MS)を含むことができる。例えば、本開示の方法およびシステムの一実施形態では、タンデム型MS/MS分析はトリプル四重極タンデム型質量分析器を含む。
【0076】
タンデム型MS/MSは、様々なモードで操作することができる。一実施形態では、タンデム型MS/MS分析器は、大気圧化学イオン化(APCI)モードで操作される。一部の実施形態では、分析物および内部標準の定量化は、選択された反応監視モード(SRM)で実行される。
【0077】
一実施形態では、分析物を濃縮し、部分精製するために抽出を使用することができる。例えば、バイオマーカーがアスコルビン酸である場合、アスコルビン酸はトリクロロ酢酸(TCA)などの有機溶媒で血清試料から抽出することができる。一部の実施形態では、抽出されたアスコルビン酸は有機溶媒で希釈することができる。一部の実施形態では、より極性の溶媒と混合されるアルカンを使用することができる。一実施形態では、1:4の10%TCA:アセトニトリル溶液を使用することができる。
【0078】
試料を抽出する場合、内部標準の添加はトリクロロ酢酸(TCA)などの安定化剤を含むことができる。抽出を実行しない場合、内部標準はアセトニトリルまたはLCのために使用される類似の溶媒に加えることができる。
【0079】
図4は、本開示のシステムの実施形態の図を提供する。
図4に示すように、システムは、目的のバイオマーカーを含む可能性がある試料を試料採取容器に等分するためのステーション(104)を含むことができる。一実施形態では、液液抽出または試料希釈を容易にするために、試料は1つの容器または複数容器に等分される。等分するためのステーションは、分析で使用されない生体試料の部分を捨てるための受け器を含むことができる。
【0080】
システムは、内部標準を試料に加えるためのステーション(108)をさらに含むことができる。一実施形態では、内部標準は、非天然同位体で標識された目的のバイオマーカーを含む。したがって、内部標準を加えるためのステーションは、同位体標識内部標準溶液を試料に加えることを容易にする安全機構を含むことができる。システムは、一部の実施形態では、液液抽出、タンパク質沈殿および/または試料の希釈のためのステーション(110)を含むこともできる。
【0081】
システムは、試料の液体クロマトグラフィー(LC)のためのステーションを含むこともできる。本明細書に記載されるように、一実施形態では、液体クロマトグラフィーのためのステーションは、抽出液体クロマトグラフィーカラムを含むことができる(112)。液体クロマトグラフィーのためのステーションは、固定相を含むカラム、ならびに移動相として使用される溶媒を含む容器または受け器を含むことができる。一実施形態では、移動相は、アセトニトリル、ギ酸アンモニウムおよび水の勾配、または水性揮発性緩衝溶液との他の混和性の溶媒を含む。したがって、一実施形態では、ステーションは、1つまたは複数カラムに加えられる個々の溶媒の量を調整するために、適当なラインおよびバルブを含むことができる。同様に、ステーションは、目的のバイオマーカーを含まない画分をLCから除去し、廃棄するための手段を含むことができる。一実施形態では、目的のバイオマーカーを含有しない画分は、カラムから連続的に除去され、汚染除去のためおよび廃棄するために廃棄物受け器に送られる。
【0082】
様々な抽出LCシステムを使用することができる。例えば、システムがアスコルビン酸を測定するために使用される実施形態では、抽出カラムと分析カラムがアセトニトリルおよび水の勾配を含む移動相と使用される。
【0083】
システムは、分析LCカラム(114)を含むこともできる。分析カラムは、さらなる特徴付けおよび定量化のために必要とされる場合、目的のバイオマーカーのさらなる精製および濃縮を容易にすることができる。
【0084】
同様に、システムは、目的のバイオマーカーの特徴付けおよび定量化のためのステーションを含むことができる。一実施形態では、システムは、目的のバイオマーカーのインソースフラグメンテーションのためのステーション(115)を含むことができる。一実施形態では、システムは、バイオマーカーの質量分析(MS)のためのステーション(116)を含むことができる。一実施形態では、質量分析のためのステーションは、タンデム型質量分析(MS/MS)のためのステーションを含む。同様に、特徴付けおよび定量化のためのステーションは、MS/MS結果の分析のためのコンピュータおよびソフトウェアを含むことができる(118)。一実施形態では、分析は、目的のバイオマーカーの同定および定量化の両方を含む。
【0085】
一部の実施形態では、精製または分離ステップの1つまたは複数は、「オンライン」で実行することができる。本明細書で使用されるように、用語「オンライン」は、システムの様々な構成要素が操作上連結される、および一部の実施形態ではお互いに流体連通にあるシステムに試験試料が配置される、例えば注入されるような方法で実行される精製または分離ステップを指す。オンラインシステムは、1つの容器から試料のアリコートを取り出してそのようなアリコートを別の容器に移すためのオートサンプラーを含むことができる。例えば、抽出後の試料をLC抽出カラムに移すためにオートサンプラーを使用することができる。さらに、または代わりに、オンラインシステムは、LC抽出カラムから単離された画分をLC分析カラムに注入するための1つまたは複数の注入ポートを含むことができる。さらに、または代わりに、オンラインシステムは、LC精製試料をMSシステムに注入するための1つまたは複数の注入ポートを含むことができる。したがって、オンラインシステムは、HTLC抽出カラムを含む抽出カラム、および一部の実施形態では分析カラムを限定されずに含む、1つまたは複数のカラムを含むことができる。さらに、または代わりに、システムは検出システム、例えば質量分析器システムを含むことができる。オンラインシステムは、1つまたは複数のポンプ;1つまたは複数のバルブ;および必要な配管を含むこともできる。そのような「オンライン」システムでは、目的の試験試料および/または分析物は、システムの1つの構成要素から別のものに、システムを出ることなく、例えば、収集し、次にシステムの別の構成要素に配置する必要性なしに送ることができる。
【0086】
一部の実施形態では、オンライン精製または分離の方法は、自動化することができる。そのような実施形態では、プロセスがセットアップされ、開始されるならば、オペレーター介入の必要性なしでステップを実行することができる。例えば、一実施形態では、システムまたはシステムの部分は、1つまたは複数のコンピュータ(102)で制御することができる。したがって、ある特定の実施形態では、本開示は、ポンプ、バルブ、オートサンプラーなどを含むシステムの様々な構成要素を制御するためのソフトウェアを含むことができる。そのようなソフトウェアは、試料および溶質の添加の正確なタイミングならびに流速を通して抽出プロセスを最適化するために使用することができる。
【0087】
本方法のステップの一部または全ておよびシステムを構成するステーションはオンラインにあってよいが、ある特定の実施形態では、ステップの一部または全ては「オフライン」で実行することができる。用語「オンライン」と対照的に、用語「オフライン」は、前のおよび/または以降の精製または分離ステップおよび/または分析ステップとは別々に実行される精製、分離または抽出手順を指す。そのようなオフライン手順では、目的の分析物は、例えば抽出カラムの上で、または液/液抽出によって試料マトリックス中の他の成分から一般的に分離され、その後、別のクロマトグラフィーまたは検出器システムへの以降の導入のために収集される。オフライン手順は、オペレーター側の手動介入を一般的に必要とする。
【0088】
液体クロマトグラフィーは、ある特定の実施形態では、高速乱流液体クロマトグラフィーまたは高スループット液体クロマトグラフィー(HTLC)を含むことができる。例えば、Zimmer et al., J. Chromatogr. A 854:23-35 (1999)を参照;米国特許第5,968,367号;5,919,368号;5,795,469号;および5,772,874号も参照。伝統的なHPLC分析は、カラムを通した試料の層流が目的の分析物の試料からの分離のための基礎であるカラム充填物に依存する。そのようなカラムでは、分離は拡散プロセスである。HTLCカラムおよび方法により提供されるものなどの乱流は質量移動速度を増強することができ、提供される分離特性を向上させる。一部の実施形態では、高速乱流液体クロマトグラフィー(HTLC)は、質量分析の前に目的のバイオマーカーを精製するために、単独でまたは1つもしくは複数の精製方法と組み合わせて使用することができる。そのような実施形態では、試料は、分析物を捕捉するHTLC抽出カートリッジを使用して抽出し、次に第2のHTLCカラムの上で溶出させてクロマト分離するかまたは分析HPLCカラムの上に溶出させ、その後イオン化することができる。これらのクロマトグラフィー手順に含まれるステップは自動化された方法で連結することができるので、分析物の精製の間のオペレーター関与の必要を最小にすることができる。さらに、一部の実施形態では、高速乱流液体クロマトグラフィーによる試料調製方法の使用は、液液抽出を含む他の試料調製方法の必要性を排除することができる。したがって、一部の実施形態では、試験試料、例えば生体液は、高速乱流液体クロマトグラフィーシステムの上へ直接的に配置すること、例えば注入することができる。
【0089】
例えば、一般的な高速乱流または乱流液体クロマトグラフィーシステムでは、大きな(例えば、>25ミクロン)粒子を詰めた細い(例えば、内部直径が0.5mm~2mmで長さが20~50mm)カラムに試料を直接的に注入することができる。流量(例えば、1分につき3~500mL)をカラムに加えた場合、カラムの比較的細い幅は移動相の速度の増加を引き起こす。カラムに存在する大きな粒子は増加した速度が逆圧を引き起こすのを防ぐことができ、粒子間で動揺する渦の形成を促進することができ、それによってカラムの中で乱流を形成する。
【0090】
高速乱流液体クロマトグラフィーでは、分析物分子は粒子に速やかに結合することができ、一般的にカラムの長さに沿って発散も、拡散もしない。この長軸方向の拡散の減少は、試料マトリックスからの目的の分析物のより優れている、より急速な分離を一般的に提供する。さらに、カラムの中の乱流は、それらが粒子を通り越すときに一般的に起こる分子の上での摩擦を低減する。例えば、伝統的なHPLCでは、粒子の最も近くを移動する分子は、粒子間の通路の中央を流れるものよりも低速でカラムに沿って移動する。流速のこの差は、分析物分子をカラムの長さに沿って発散させる。乱流がカラムに導入される場合、粒子からの分子の上での摩擦は無視でき、長軸方向の拡散を低減する。
【0091】
本開示の方法およびシステムは、目的のバイオマーカーを検出および定量化するために質量分析を使用することができる。本明細書で使用される用語「質量分析」または「MS」は、それらの質量電荷比、すなわち「m/z」に基づいてイオンをフィルタリング、検出および測定する方法を一般的に指す。MS技術では、1つまたは複数の目的の分子はイオン化され、イオンはその後質量分析器に導入され、そこでは、電場の組合せのために、イオンは質量(「m」)および電荷(「z」)に依存する空間中の通路をたどる。
【0092】
ある特定の実施形態では、質量分析器は、「四重極」システムを使用する。「四重極」または「四重極イオントラップ」質量分析器では、振動するラジオ周波数(RF)場の中のイオンは、電極の間に加えられる直流(DC)電位、RFシグナルの振幅およびm/zに比例する力に直面する。電圧および振幅は、特定のm/zを有するイオンだけが四重極の長さに沿って移動し、他の全てのイオンは屈折するように選択することができる。したがって、四重極機器は、機器に注入されるイオンのための「質量フィルター」および「質量検出器」の両方の役割を果たすことができる。
【0093】
ある特定の実施形態では、タンデム型質量分析が使用される。例えば、ここに参照により完全に組み込まれる、"Methods and Apparatus for Tandem Mass Spectrometry"という題の米国特許第6,107,623号を参照。さらに、MS技術の選択性は、「タンデム型質量分析」または「MS/MS」を使用して増強することができる。一つにはMS/MSの選択性は分析前の大量の試料クリーンアップの必要性を最小にすることができるので、MS/MS方法は複合混合物、特に生体試料の分析のために有益である。
【0094】
一実施形態では、本開示の方法およびシステムは、トリプル四重極MS/MSを使用する(例えば、Yost, Enke in Ch. 8 of Tandem Mass Spectrometry, Ed. McLafferty,pub. John Wiley and Sons, 1983を参照)。トリプル四重極MS/MS機器は、断片化手段によって分離される2つの四重極質量フィルターから一般的になる。一実施形態では、この機器は、イオン封じ込めまたは伝送装置として単独RFモードで操作される四重極質量フィルターを含むことができる。一実施形態では、四重極は1~10ミリトルの間の圧力の衝突気体をさらに含むことができる。多くの他のタイプの「ハイブリッド」タンデム型質量分析器も公知であり、磁気セクター分析器および四重極フィルターの様々な組合せを含む、本開示の方法およびシステムで使用することができる。これらのハイブリッド機器は、高分解能磁気セクター分析器(すなわち、二重集束組合せで配置される磁気および静電セクターの両方を含む分析器)を質量フィルターのいずれかまたは両方としてしばしば含む。高分解能質量フィルターの使用は、化学ノイズを非常に低いレベルに低減するのに非常に有効かもしれない。
【0095】
本開示の方法およびシステムについては、イオンは、電子イオン化、化学イオン化、高速原子衝撃、電場脱離およびマトリックス支援レーザー脱離イオン化(「MALDI」)、表面エンハンス型レーザー脱離イオン化(「SELDI」)、光子イオン化、エレクトロスプレーイオン化および誘導結合プラズマを限定されずに含む、様々な方法を使用して生成することができる。
【0096】
本開示のLC-MS/MSおよび2D-LC-MS/MS方法によって、複数の分析物を同時にまたは逐次的に分析することができる。本開示の方法による分析に適合する例示的な分析物には、限定されずに、アスコルビン酸などのビタミンが含まれる。当業者は、本開示の主題を精査した後、本明細書に開示される方法およびシステムによって他の類似の分析物を分析できることを認めるだろう。したがって、代わりの実施形態では、本方法およびシステムは、ビタミン、ペプチドおよびタンパク質バイオマーカー、乱用薬物および治療薬物を定量化するのに使用することができる。例えば、各分析物の鍵パラメータの最適化は、高度に調整された生物分析アッセイを提供するモジュール方法開発戦略を使用して実行することができる。したがって、ある特定のステップは、本明細書に開示される通りに測定される分析物によって異なってもよい。
【0097】
さらに、本開示の方法およびシステムの実施形態は、測定される分析物の多くのために以前に達成できた感度より大きな感度を提供することができる。例えば、この最適化手順の使用を通して、1デシリットルにつき約0.05ミリグラム(mg/dL)、または0.1mg/dL未満、または1mg/dL未満、または5mg/dL未満のLOQがアスコルビン酸の分析のために達成される。検出レベルは、0.5mLから1mLを超えるまでの範囲内の試料体積の分析を可能にする。
【0098】
本開示の実施形態は、ある特定の利点を提供することができる。ある特定の実施形態では、本開示の方法およびシステムは、測定される分析物の多くのために以前に達成できた感度より大きな感度を提供することができる。
【0099】
さらに、本開示の方法およびシステムの実施形態は、測定される分析物の多くのために以前に達成できなかった速いスループットを提供することができる。例えば、本開示の方法およびシステムを使用して、96ウエルプレートおよび4つのLC-MS/MSシステムの多重システムを使用して複数の試料をアスコルビン酸について分析することができ、スループットをかなり増加させる。
【0100】
別の利点として、本開示の方法およびシステムによって提供される特異度および感度は、様々な生体材料からの分析物の分析を可能にし得る。例えば、本開示の2D-LC-MS/MS方法は、血液、血清、血漿、尿、唾液などを限定されずに含む、複合試料生物マトリックスの中の目的の分析物の定量化に適用することができる。したがって、本開示の方法およびシステムは、臨床適用および/または臨床治験に適する。
【0101】
追加の潜在的な利点として、ある特定の実施形態では、本開示のシステムおよび方法は、標的分析物の低いmg/dL定量限界(LOQ)を達成しつつ、等圧干渉、溶血および脂肪血試料を含む様々な試料含有量に対処するためのアプローチを提供する。したがって、本開示の方法およびシステムの実施形態は、障害の臨床診断で使用される臨床バイオマーカーの定量的、高感度および特異的な検出を提供することができる。
アスコルビン酸のLC-MS/MSアッセイの検証
【0102】
キャリブレータマトリックスでのアッセイの特異度は、アスコルビン酸および13C6アスコルビン酸のためのマトリックスの間の干渉を評価することによって調査した。キャリブレータマトリックス(1%(w/v)BSA、100mMトリス-酢酸、pH6.0、1%(w/v)メタ重亜硫酸ナトリウム)では干渉は観察されず、アスコルビン酸のためのアッセイ特異度は13C6アスコルビン酸の影響を受けなかった。さらに、2×ULOQに続く3つの二重ブランクにおけるキャリオーバは、LLOQで観察されたものより小さい。これらの結果は、アッセイがキャリブレータマトリックスでのアスコルビン酸の分析に特異的であることを示す。
【0103】
アッセイの特異度を考慮して、キャリブレータおよび品質コントロールの精確度および精度を、アッセイ内(20×1)およびアッセイ間(5×5または1×20)研究にわたって評価した。結果は、アッセイがアスコルビン酸の測定のために正確で精密であることを示した。最後に、キャリブレータ再現性を、5つの別々の分析にわたって示した。
【0104】
混合および添加回収研究を実行することによって、キャリブレータマトリックスおよびリチウム-ヘパリン血漿に添加したアスコルビン酸のアッセイの相対的な精確度を次に評価した。3:1、1:1および1:3の比で高レベルキャリブレータおよびリチウム-ヘパリン血漿を混合した後の正確なアスコルビン酸測定は、マトリックスの同等性を示す。添加回収は、3つのリチウム-ヘパリン血漿検体中の4、20および80×LLOQのアスコルビン酸のアッセイ回収率を実証する。これらの結果は、アッセイが担体マトリックスおよびリチウム-ヘパリン血漿で正確なことを示す。
【0105】
アスコルビン酸測定の特異度および精確度は、干渉物質の存在下で調べた。保証試験キットからの300mg/dLトリグリセリドだけがアスコルビン酸の分析測定に影響するが、500mg/dLのヘモグロビン、20mg/dLの抱合または非抱合ビリルビン、および12mg/dLの全タンパク質は影響しない。保証試験キットを使用したトリグリセリドの許容される濃度が境界線-高領域にある300mg/dLであることを考慮し、許容されるトリグリセリドレベルについて判断するために試料混合実験を実行した。血清試料から2つの脂肪血プールを作製し、Cobas8000機器を使用してトリグリセリドレベルを測定した。意図した試料タイプで定量化の精確度を判定するために、高マトリックスコントロール(QC3)を使用して試料混合を実行した。顕著な脂肪血(最高2080.8mg/dL)は、正常な血清プールとの試料混合によって実証されるように、アスコルビン酸測定の精確度に影響しなかった。アスコルビン酸の測定には、無数の外因性ホルモンも、薬物も、有機酸カクテルも影響しなかった。したがって、アッセイは干渉物質の存在下で正確である。
【0106】
アッセイの精確度は、抽出の前または後に試料を希釈するときに評価した。これらの研究からの結果は、キャリブレータマトリックスを使用して抽出の前に検体を最高10倍に希釈することができること、または1:4の10%TCA:アセトニトリルを使用して抽出の後に最高50倍に希釈することができることを実証する。これらの研究は、ULOQ(5mg/dL)より上のアスコルビン酸の値を与える患者は、キャリブレータマトリックスを使用して抽出前の範囲に、または1:4の10%TCA:アセトニトリルを使用して抽出後の範囲に、または両方の組合せで希釈することができることを示す。
【0107】
希釈の線形性について、3つの高レベル試料を評価した。線形性は、ブランクマトリックス(1%(w/v)BSA、0.1%(w/v)メタ重亜硫酸ナトリウム、トリス-酢酸、pH6.0)を使用して、試料を2倍および10倍に希釈することによって評価した。水を使用した1つの希釈試料における平均結果は、対応する正味の試料で観察された平均結果と比較して≧±15%のバイアスであった。しかし、ブランクマトリックスを使用した各希釈試料における平均結果は、対応する正味の試料で観察された平均結果と比較して≦±15%のバイアスであった。これらの結果は、高レベル試料は、抽出前にブランクマトリックスを使用して2倍または10倍に希釈することができることを示す。
【0108】
試料の安定性を調べた。第1に、キャリブレータ、品質コントロールおよび検体の安定性を、室温(15~30℃)、冷蔵(2~8℃)、および冷凍(<-10℃)、冷凍(<-70℃)で、ならびに凍結融解サイクルを通して調べた。キャリブレータは、室温で2時間、冷蔵で4時間、冷凍(<-10℃)で24時間、および冷凍(<-70℃)で33日間安定している。キャリブレータは、凍結融解1サイクルを通して安定している。QCも、RTで2時間、冷蔵で4時間、冷凍(-20℃)で24時間、および冷凍(<-70℃)で32日間安定している。キャリブレータと対照的に、QCは凍結融解2サイクルを通して安定している。
【0109】
回収率を評価するために、ブランクキャリブレータマトリックスにアスコルビン酸をアッセイLLOQの概ね4倍(+0.2mg/dL)、20倍(+1mg/dL)および80倍(+4mg/dL)のレベルまで添加した。3人のリチウム-ヘパリン患者試料を内部で採取し、我々のプロトコールによって処理し、ブランクキャリブレータマトリックスに類似の方法で添加した。添加および非添加試料を、4反復で分析した。各添加試料における回収率は、添加試料からの平均測定を、(1)非添加試料からの平均測定および(2)百分率で表される名目上の添加量の合計によって割って計算した。名目上の添加量は、同一の方法で添加され、添加および非添加試料と並行してアッセイされたブランクキャリブレータマトリックスの少なくとも4反復の測定の平均によって判定された。各濃度で判定された回収率は、予想された混合濃度の85~115%の間であった。これらの結果は、アスコルビン酸の測定がリチウム-ヘパリン血漿で正確であることを示唆する。
適切な方法およびシステムの例示的な実施形態
【0110】
下で使用されるように、方法またはシステムへのいかなる言及も、それらの方法またはシステムの各々に択一的に言及するものと理解される(例えば、「例示的実施形態1~4は、例示的実施形態1、2、3または4として理解される。」)。
【0111】
例示的実施形態1は、タンデム型質量分析によって試料中のアスコルビン酸の存在または量を判定するための方法であって、(a)インソースフラグメンテーションにより約115の質量電荷比(m/z)のアスコルビン酸からの断片イオンを生成するステップ;(b)タンデム型質量分析によりアスコルビン酸断片イオンの1つまたは複数の生成物イオンを生成するステップ;および(c)ステップ(a)で生成されるアスコルビン酸断片イオンの1つもしくは複数またはステップ(b)の1つもしくは複数の生成物イオン、または両方の存在または量を検出し、検出されたイオンを試料中のアスコルビン酸の存在または量に関連付けるステップを含む方法である。
【0112】
例示的実施形態2は、試料が最初の断片化ステップ(a)の前に精製ステップに供される、任意の前または以降の例示的実施形態の方法である。
【0113】
例示的実施形態3は、精製ステップがクロマトグラフィーおよび/またはタンパク質の沈殿を含む、任意の前または以降の例示的実施形態の方法である。
【0114】
例示的実施形態4は、クロマトグラフィーが高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を含む、任意の前または以降の例示的実施形態の方法である。
【0115】
例示的実施形態5は、クロマトグラフィーが分析液体クロマトグラフィーを含む、任意の前または以降の例示的実施形態の方法である。
【0116】
例示的実施形態6は、試料がMS/MSインターフェイスで加熱される、任意の前または以降の例示的実施形態の方法である。
【0117】
例示的実施形態7は、質量分析の前の試料の液液抽出または試料の希釈の少なくとも1つをさらに含む、任意の前または以降の例示的実施形態の方法である。
【0118】
例示的実施形態8は、生成物イオンが約87および59の質量/電荷比(m/z)を有するイオンを含む、任意の前または以降の例示的実施形態の方法である。
【0119】
例示的実施形態9は、断片イオンが3,4-ジヒドロキシフラン-2(5H)-オンを含む任意の前または以降の例示的実施形態の方法である。
【0120】
例示的実施形態10は、生成物イオンが(Z)-プロパ-1-エン-1,2,3-トリオールジラジカルまたは(Z)-エテン-1,2-ジオールラジカルの少なくとも1つを含む、任意の前または以降の例示的実施形態の方法である。
【0121】
例示的実施形態11は、約0.05mg/dLから約5mg/dLの範囲にわたるアスコルビン酸の検出をさらに含む、任意の前または以降の例示的実施形態の方法である。
【0122】
例示的実施形態12は、アスコルビン酸を含有すると考えられている生体試料を提供するステップをさらに含む、任意の前または以降の例示的実施形態の方法である。
【0123】
例示的実施形態13は、タンデム型MS/MS分析器が大気圧化学イオン化(APCI)モードで操作される、任意の前の例示的実施形態の方法である。
【0124】
例示的実施形態14は、試験試料中のアスコルビン酸の存在または量を判定するためのシステムであって、アスコルビン酸を含有することが疑われる試験試料を提供するためのステーション;必要に応じて、試料中の他の成分からアスコルビン酸を部分精製するためのステーション;必要に応じて、試料中の他の成分からアスコルビン酸をクロマトグラフィーで分離するためのステーション;アスコルビン酸断片イオンを生成するためのアスコルビン酸のインソースフラグメンテーションのためのステーション;および、アスコルビン酸断片イオンから生成物イオンを生成する質量分析のためのステーション;および、試験試料中のアスコルビン酸の存在または量を判定するために質量スペクトルを分析するためのステーションを含む、システムである。
【0125】
例示的実施形態15は、試料中の他の成分からアスコルビン酸を部分精製するためのステーションをさらに含む、任意の前または以降の例示的実施形態のシステムである。
【0126】
例示的実施形態16は、試料中の他の成分からアスコルビン酸をクロマトグラフィーで分離するためのステーションをさらに含む、任意の前または以降の例示的実施形態のシステムである。
【0127】
例示的実施形態17は、ステーションの少なくとも1つがコンピュータで制御される、任意の前の例示的実施形態のシステムである。
【0128】
例示的実施形態18は、生体試料中のアスコルビン酸の存在または量を判定するための方法であって、アスコルビン酸を含有すると考えられている生体試料を提供するステップ;試料中の他の成分からアスコルビン酸をクロマトグラフィーで分離するステップ;アスコルビン酸の断片イオンを生成するステップ;質量分析器にアスコルビン酸断片イオンを供して生成物イオンを生成するステップ;ならびに、質量分析によってアスコルビン酸断片イオンおよび/または生成物イオンを分析して試料中のアスコルビン酸の存在または量を判定するステップを含む、方法である。
【0129】
例示的実施形態19は、クロマトグラフィーの前にタンパク質沈殿によってアスコルビン酸を部分精製するステップをさらに含む、任意の前または以降の例示的実施形態の方法である。
【0130】
例示的実施形態20は、アスコルビン酸断片イオンがインソースフラグメンテーションによって作製される、任意の前または以降の例示的実施形態の方法である。
【0131】
例示的実施形態21は、生成物イオンが約87および59の質量/電荷比(m/z)を有するイオンを含む、任意の前または以降の例示的実施形態の方法である。
【0132】
例示的実施形態22は、約0.05mg/dLから約5mg/dLの範囲にわたるアスコルビン酸の検出をさらに含む、任意の前または以降の例示的実施形態の方法である。
【0133】
例示的実施形態23は、生体試料が、血液、血清、血漿、尿または唾液を含む、任意の前または以降の例示的実施形態の方法である。
【0134】
例示的実施形態24は、クロマトグラフィーが高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を含む、任意の前または以降の例示的実施形態の方法である。
【0135】
例示的実施形態25は、クロマトグラフィーが分析液体クロマトグラフィーを含む、任意の前または以降の例示的実施形態の方法である。
【0136】
例示的実施形態26は、部分的な精製が液液抽出を含む、任意の前または以降の例示的実施形態の方法である。
【0137】
例示的実施形態27は、液体クロマトグラフィーまたは質量分析のために使用される溶媒に試料を希釈するステップをさらに含む、任意の前の例示的実施形態の方法である。
【0138】
本開示の様々な実施形態が、本明細書に記載されている。これらの実施形態は、本開示を単に例示するだけであることを認識すべきである。それらの好ましい実施形態の変形形態は、前述の記載を読むことによって当業者に明白になることができる。当業者はそのような変形形態を適宜用いることができることが予想され、本開示は、本明細書で具体的に記載されるのと別の方法で実施されることを意図する。したがって、本開示は、適用法によって許可される通り、それに添付される請求項で列挙される主題の全ての改変形および同等物を含む。さらに、文脈によって別途指示されない限り、または別途明らかに否定されない限り、その全ての可能な変形形態における上記の要素の任意の組合せが、本開示によって包含される。