IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

7378483積層造形法を使用して生産した濾過媒体パック
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】積層造形法を使用して生産した濾過媒体パック
(51)【国際特許分類】
   B01D 39/16 20060101AFI20231106BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20231106BHJP
   B01D 29/01 20060101ALI20231106BHJP
   B01D 29/11 20060101ALI20231106BHJP
   B01D 46/00 20220101ALI20231106BHJP
【FI】
B01D39/16 Z
B01D39/16 E
B33Y80/00
B01D29/04 510Z
B01D29/10 510Z
B01D46/00 301
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021546390
(86)(22)【出願日】2020-01-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-24
(86)【国際出願番号】 US2020014253
(87)【国際公開番号】W WO2020163065
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-10-01
(31)【優先権主張番号】16/268,930
(32)【優先日】2019-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス、ハビエル エー.
(72)【発明者】
【氏名】モアハウス 三世、ダレル エル.
(72)【発明者】
【氏名】シュペングラー、フィリップ シー.
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/122985(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0259219(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0210332(US,A1)
【文献】特開平11-104420(JP,A)
【文献】国際公開第2016/106179(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/133929(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 24/00-35/04;35/08-37/08;
39/00-41/04;46/00-46/90
B29C 64/00-64/40;67/00-67/08;
67/24-69/02;73/00-73/34
B29D 1/00-29/10;33/00;99/00
B33Y 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングであって、X軸と、前記X軸と直交するY軸と、ならびに前記X軸および前記Y軸が画定する平面と直交するZ軸と、を含むデカルト座標系を画定するハウジングと;
前記Z軸方向に堆積された固化材料の複数層から形成されるフィルター媒体(800)と;を含み、
前記固化材料の複数層のうちの少なくとも1つ(802)は、複数の固化材料の波状ストリップ(804)を形成し、前記波状ストリップは2つの脚から形成され、V字形状を有し、
前記X軸および前記Y軸が確定する平面において、前記波状ストリップは前記X軸と第1角度(808)をなす第1所定方向(806)に伸びる、フィルター(300、900)。
【請求項2】
前記第1角度(808)は、10度~80度の範囲である、請求項1に記載のフィルター(300、900)。
【請求項3】
前記固化材料の複数層(402、402’)は、前記第1所定方向(406)に伸びる固化材料の第1波状ストリップ(404)のある第1層(402)と、第2所定方向(408)に伸びる固化材料の第2波状ストリップ(404’)のある第2層(402’)と、を含み、前記第1層(402)は、前記第2層(402’)と接触し、前記第1所定方向(406)は、前記第2所定方向(408)と平行ではない、請求項1に記載のフィルター(300、900)。
【請求項4】
前記第1角度(808)は45度である、請求項1に記載のフィルター(300、900)。
【請求項5】
前記フィルター媒体(800)は、環状構成を含み、前記X軸との前記第1角度(808)を画定する前記固化材料の複数層のうちの少なくとも1つ(802)を含む第1セグメント(814’)と、前記第1角度(808)とは異なる第2角度(822)を前記X軸となす、前記第1所定方向(806)とは異なる所定方向(820)に伸びる固化材料の波状ストリップ(818)を含む前記固化材料の複数層のうちの別の層(816)を含む第2セグメント(814’’)と、を含む複数のセグメント(814)に分割される、請求項1に記載のフィルター(300、900)。
【請求項6】
各セグメント(814)は、円筒形内側開口(810)および多面的外側(812)を画定する、請求項5に記載のフィルター(300、900)。
【請求項7】
X軸と、前記X軸と直交するY軸と、ならびに前記X軸および前記Y軸が画定する平面と直交するZ軸と、含むデカルト座標系を画定するフィルター媒体(800)であって、
前記Z軸方向に堆積された第1複数層を含む第1セグメント(814’)であって、前記第1複数層のうちの少なくとも1つの層(802)が、複数の固化材料の波状ストリップ(804)を形成し、前記波状ストリップは2つの脚から形成され、V字形状を有し、
前記X軸および前記Y軸が確定する平面において、前記固化材料の波状ストリップ(804)は前記X軸と第1角度(808)をなす第1所定方向(806)に伸びる、第1セグメント(814’)と;
前記Z軸方向に堆積された第2複数層を含む第2セグメント(814’’)であって、前記第2複数層のうちの少なくとも1つの層(816)が、複数の固化材料の波状ストリップ(818)を形成し、前記波状ストリップは2つの脚から形成され、V字形状を有し、
前記X軸および前記Y軸が確定する平面において、前記固化材料の波状ストリップ(818)は第1角度(808)とは異なる第2角度(822)を前記X軸となす、前記第1所定方向(806)とは異なる所定方向(820)に伸びる、第2セグメント(814’’)と;を含む、フィルター媒体(800)。
【請求項8】
前記フィルター媒体(800)は、円周方向(C)を画定し、円筒形内側(824)および円筒形外側(812’)を含む環状形状を含む、請求項7に記載のフィルター媒体(800)。
【請求項9】
前記第1角度(808)は18度であり、前記第2角度(822)は54度である、請求項7に記載のフィルター媒体(800)。
【請求項10】
前記フィルター媒体(800)は、同一に構成された複数の、相互に円周状に隣接して配置されたセグメント(814)を含み、前記セグメント(814)のそれぞれは、所定方向(806、820)に沿って伸びる固化材料の波状ストリップ(804、818)を画定し、前記所定方向(806、820)は、前記X軸と角度(808、822)をなし、前記角度(808、822)は、前記同一に構成されたセグメント(814)の数で360度を除算した商によって均等に分割可能である、請求項8に記載のフィルター媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、土木機器、建設機器、および採掘機器など(たとえば自動車、農業、HVAC(暖房、換気、および空気調節)、機関車、海運、排気処理、またはフィルターおよびブリーザが有用な他の任意の産業)のメカニズムおよびエンジンの動力に使用される作動液、空気濾過、オイル、および燃料などの様々な流体から汚染物質を取り除くために使用されるフィルターおよびブリーザに関する。具体的には本開示は、3D印刷技術を使用して製造され、フィルターで使用されるより複雑なジオメトリを可能にするフィルターに関する。
【背景技術】
【0002】
土木機器、建設機器、および採掘機器などはしばしば、機器のメカニズムおよびエンジンの動力に使用される作動液、オイル、および燃料などの様々な流体から汚染物質を取り除くために使用されるフィルターおよび/またはブリーザを使用する。時間が経つにつれて、汚染物質が流体中にたまり、この汚染物質は、様々なメカニズム(たとえば油圧シリンダー)およびエンジンのコンポーネントに支障を及ぼし得、これにより補修が必要となる。フィルターおよび/またはブリーザの目標は、様々な流体中の汚染物質を取り除いて、このようなコンポーネントの耐用年数を伸ばすことである。フィルターおよび/またはブリーザを使用する任意の産業はまた、作動液、エアー、オイル、および燃料などから汚染物質を取り除く必要があり得る。このような他の産業の例には、自動車、農業、HVAC、機関車、海運、排気処理などが含まれるが、それらに限定されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そのようなフィルターによって採用される特徴およびジオメトリは、フィルターおよびその関連するフィルター媒体を製造するために利用可能な製造技法によって限定される。一般に使用される技術には、多孔質生地、または汚染物質を取り除く他の材料を折り畳むことが含まれる。通常の積層造形は、多孔質とは反対の中実なパーツを生成することに基づいて構築される。その結果、印刷されたパーツに一体化され得、または媒体パックで使用され得るように使い道のあるグレードの濾過媒体を生成することは、FDM(熱溶解積層法)、FFF(熱溶解樹脂積層法)、SLA(光造形法)など、現在の積層技術の標準機能の中にはない。
【0004】
たとえばThiyagarajan外に許与された米国特許出願公開第2016/0287048A1号は食器洗い機器用のフィルターを開示し、この機器は、フィルター媒体、フィルターの軸線方向に沿って伸びる本体、およびフィルターの軸線方向に沿った本体の第1端に位置するキャップを含む。フィルター媒体は、食器洗い機器の洗浄槽の洗浄流体からデブリおよび他の粒子を濾過するように構成され、フィルターの本体に装着され、または一体的に形成される。加えてキャップは、食器洗い機器の洗浄槽からフィルター媒体に洗浄液のフローを可能にするように構成され、積層造形プロセスを使用してフィルターの本体と一体的に形成され得る。Thiyagarajan外の図15図16、および段落59は、フィルター開口部が肉眼で見える(.08インチ)ことを示す。これは、土木産業、建設産業、および採掘産業など(フィルターおよびブリーザを使用する産業の包括的なリストについては上記を参照)で使用されるフィルターおよび/またはブリーザが出会う一部の汚染物質を取り除くことに、不向きである。
【0005】
同様にMiller外に許与された米国特許出願公開第2016/0287605A1号は食器洗い機器を開示し、この機器は、食器洗い機器の洗浄槽に送られた洗浄流体を濾過するための一体型フィルターが付属するサンプアセンブリを備える。一体型フィルターは中心軸を画定する。また一体型フィルターは、フィルター媒体の内槽を画定する内表面を持つフィルター媒体を備える。中心軸に垂直な平面での内槽の断面積は、中心軸の長さに沿って変化する。食器洗い機器用の一体型フィルターを形成する関連方法も提供される。Miller外の段落33において、フィルター媒体の細孔径は.003インチ~.025インチの範囲であると言われる。ただし、そのように小さな細孔径を生成する正確な方法は、可能なほど詳細に記述されていない。
【0006】
加えて、このような先行技術の参考文献は、積層造形法を使用して製造されたフィルター媒体によって濾過された流体のスループットを最大化する方法を可能にするほど詳細に記述されていない。
【0007】
本開示の一実施形態によるフィルターが提供される。フィルターは、X軸、Y軸、およびZ軸を含むデカルト座標系を画定するハウジングと;固化材料の複数層を含むフィルター媒体と;を含み得る。固化材料の複数層のうちの少なくとも1つとして、X軸と第1角度をなす第1所定方向に伸びる固化材料の波状ストリップが含まれ得る。
【0008】
本開示の一実施形態によるフィルター媒体が提供される。フィルター媒体は、X軸、Y軸、およびZ軸を含むデカルト座標系を画定し得、第1複数層を含む第1セグメント(ここで、第1複数層のうちの少なくとも1つの層は、X軸と第1角度をなす第1所定方向に伸びる固化材料の波状ストリップを含む)と;第2複数層を含む第2セグメント(ここで、第2複数層のうちの少なくとも1つの層は、第1角度とは異なる第2角度をX軸となす、第1所定方向とは異なる所定方向に伸びる固化材料の波状ストリップを含む)と;を含む。
【0009】
本開示の一実施形態によるフィルター媒体の製造方法が提供される。本方法は、複数のセグメントを含むフィルター媒体のコンピュータ可読3次元モデルを提供することであって、3次元モデルの各セグメントは、各々がフィルター媒体の断面層を画定する複数のスライスに変換されるように構成され、各セグメントは、他のセグメントの波状層の所定方向とは異なる所定方向に沿って伸びる波状層を含む、提供することと;積層造形法によってフィルター媒体の各層を連続的に形成することと;を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
組み入れられて本明細書の一部を構成する添付図面は、本開示のいくつかの実施形態を図示し、説明とともに本開示の原理を説明するのに役立つ。
図1図1は、本開示の第1実施形態に従って3D印刷技術または他の積層造形技術を使用して製造されたフィルター媒体が付属するフィルターの斜視図である。フィルターの上端部分は、フィルターの内部の仕組みを示すために除去されている。より具体的には、フィルターは、積層造形プロセスにより構築されているように示される。
図2図2は、本開示の第2実施形態に従って3D印刷技術または他の積層造形技術を使用して製造されたフィルター媒体が付属するフィルターの斜視図であり、図1と類似するが、異なるサイズの細孔を備える複数のフィルター媒体が設けられている。
図3図3は、図1のフィルター媒体の拡大斜視図であり、フィルター媒体は、Z方向に沿って隣り合う層(X方向の層とY方向の層)が互い違いの方向に波打つ材料の波状ストリップ層を形成することで形成されていることを図示する。
図4図4は、図2のフィルターの後ろから見た斜視図である。
図5図5は、本開示の別の実施形態によるフィルター媒体の断面図である。
図6図6は、本開示の第3実施形態によるフィルターアセンブリである。
図7図7は、図6のフィルターアセンブリの透視断面図であり、本開示のさらに別の実施形態による濾過媒体を示し、フィルターを通る流体フローを描く。
図8図8は、積層造形プロセスを使用して構築される際の、乾燥した状態の図7のフィルターアセンブリを示し、より明確にはフィルター媒体の多孔質性を示す。
図9図9は、図8のフィルターアセンブリの正面断面図を示す。
図10図10は、図8のフィルターアセンブリ部分の拡大詳細図であり、ハウジングおよびフィルター媒体は、共に積層造形法を使用して生成され得ることを図示する。
図11図11は、図8のフィルター媒体の透視断面図であり、フィルター媒体は、概して円筒形環状構成を備えることをより明確に示す。
図12図12は、図11のフィルター媒体の正面図である。
図13図13は、図8のフィルターアセンブリの上面断面図である。
図14図14は、図8のフィルターアセンブリの上面断面図である。
図15図15は、本開示の任意の実施形態に従ってフィルターおよび/またはフィルター媒体の3次元モデルを生成するための方法を描写し、そのためのシステムを表す概略図である。
図16図16は、本開示の一実施形態に従ってフィルターおよび/またはフィルター媒体を生成する方法を図示するフローチャートである。
図17図17は、細孔のサイズを減少させる層の垂れ下がりまたは他の変形を図示するフィルター媒体の写真である。
図18図18は、CADパッケージを使用してSTLファイル(単一のソリッドモデルファイルを使用して生成)を生成し、次いで3D印刷ソフトウェアを使用してSTLファイルを複数層に変換するプロセスを図示する。
図19図19は、本開示の一実施形態によるフィルター媒体の上面図であり、フィルター媒体の複数層は、単一の角度で傾斜している。
図20図20は、図19のフィルター媒体の拡大詳細図であり、単一の角度で配向されるフィルター媒体の層を示す。
図21図21は、すべて同一角度で配向される複数層を持つ環状構成を備えるフィルター媒体の斜視図である。
図22図22は、図21のフィルター媒体の拡大詳細図であり、複数層が同じ角度で配向されるため、フィルター媒体の内側部分がフィルター媒体の内側開口への有限数の開口部を備える方法を図示する。
図23図23は、図21のフィルター媒体の拡大詳細図であり、フィルター媒体の多面的外側が、フィルター媒体の多面的外側から伸びる有限数の開口部を備える方法を図示する。または、複数層が同じ角度で配向されるため、フロー経路が限定され、結果としてフロー経路がフィルター媒体の多面的外側に直交しないことを図示する。
図24図24は、複数のソリッドファイル(たとえば10個の個々のセグメント)が生成され、STLファイルに変換され、次に3D印刷ソフトウェアにインポートされて、異なる角度を持ち、各セグメントの複数層がその角度に沿って伸びる、フィルター媒体の複数のセクションを形成し得る方法を図示する。
図25図25は、異なるインフィル角および印刷設定を持つ3D印刷ソフトウェアにインポートされた、10個のすべてのセグメントを示す。
図26図26は、積層造形法により生産され、単一のインフィル角を持つフィルター媒体を備えるフィルターの上面図である。
図27図27は、積層造形法により生産され、各々異なるインフィル角を持つ10個の異なるセグメントに分割されたフィルター媒体を備えるフィルターの上面図である。
図28図28は、フィルターから取り外された、図27のフィルター媒体の斜視図である。
図29図29は、図27のフィルターの斜視図である。
図30図30は、フィルター媒体の外部および内部において円筒形環状構成を形成するフィルター媒体の一実施形態の斜視図である。
図31図31は、図30のフィルター媒体の上面図である。
図32図32は、図30のフィルター媒体の拡大詳細図である。
図33図33は、本開示のさらに別の実施形態に従ってフィルターおよび/またはフィルター媒体を生成する方法を図示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで本開示の実施形態が詳細に参照され、その実施形態の例は添付図面に図示される。可能であれば、図面全体で同じ参照番号が同一または類似の部分を参照するように使用される。いくつかの場合、本明細書および図面において、たとえば100a、100bのように後ろに文字が続いたり、またはたとえば100’、100’’などのように後ろにプライム記号が続く参照番号を表示する。参照番号の直後に文字またはプライム記号を付けることは、対称面を中心にジオメトリが鏡像となる場合によくあるように、このような特徴は、同様の形状であり、類似した機能を持つことを示すと理解されるべきである。本明細書において説明を簡単にするため、文字およびプライム記号は、しばしば本明細書に記述されてないが図面に示されて、本明細書において論じられた類似または同一の機能またはジオメトリを備える特徴の重複を示す。
【0012】
既存の積層造形技術を利用して、利用可能な効率グレードの多孔質濾過媒体を生成する繰り返し可能なプロセスの生産方法を実装する、フィルターおよび/またはフィルター媒体の様々な実施形態が、ここで論じられる。プロセスの例には、FFF、FDM、SLAなど、3D印刷ハードウェア、および印刷ヘッドの動作パターンの具体的制御が含まれ、その結果、材料がパーツに追加される際に、小さな間隙が生成されて多孔質構造を構築する。この方法は、オープンソースソフトウェアを利用し、そのソフトウェアは、利用者によって与えられた入力に基づいて濾過構造を生成する。本方法は、プリントヘッドのスピードおよび経路、堆積されるプラスチックの流量、冷却方法などを変更し得る。敷設された構造は、垂れ下がったり、またはそうでなければ変形され得、その結果、小さなサイズの細孔が生成される。
【0013】
たとえば、材料は、1つの層から次の層に滴下し得、次の層との封止を生成する。これにより媒体中に、2つ(またはそれ以上)の細孔および微細な多孔質性が生成される。変形(たとえば滴下、垂れ下がりなど)は、最も新しく生成された層および重力において、熱いノズルから保持された熱から発生し得る。その結果、前に敷設された層は、新しい層に接着し得る。好適な距離だけ分離された2つの平行層に垂直で/平行でない滴下層は、変形され得、ついに隣接する層に接触して各側面に2つ(またはそれ以上)のより小さな細孔を生成する。これは事実上、微細濾過用のより微細な細孔径を生成し得る。望ましい変形として、温度制御、層高さ、押出し幅、インフィルパターンなどの制御を調整することが含まれ得る。図17は、最小化された寸法134がこのように生成され得る方法を図示する。
【0014】
一般に、濾過媒体のデブリ保持性能のある単一層は、媒体を通る流路の数によって制限される。流体が媒体を通過すると、通路より大きなデブリは、媒体を通過することができず、最終的に流路を塞ぐか、または媒体中に留まる。また、フィルターの性能を向上させるため、媒体は、階層化および/または互い違いにされ得、その結果、大きなデブリと小さなデブリとが止められる深さは異なり得る。この結果によって、媒体のデブリ保持性能は向上する。プロトタイプの媒体は、均質の細孔構造を備える。フィルターによって止められたほとんどのデブリが、汚染された流体が当初通過するはずの表面に近くなるため、これは媒体の性能を制限する。
【0015】
ここに開示されたフィルター媒体の様々な実施形態において、積層造形技法を介して製作された媒体ステージおよび/またはいくつかの媒体パックのステージ内に、勾配が設けられ得る。媒体パックは、積層造形プロセスにおける入力設定の独自な組み合わせから開発され合成された個別の媒体パックからなり得る。このような設定は、媒体パック中の各ステージのジオメトリを選択的に制御する。ステージにおける個別で独自の媒体パックを製作することは、複数のステージの濾過がフィルター構成においてフィルターを使用してまたはシステム中で複数のフィルターを直列にして実行され得る可能性にもかかわらず、媒体パック全体が1つの連続した濾過要素として動作することを可能にする。従来のフィルター設計におけるフィルターとは異なり、追加ステージの追加は、必ずしも、ある程度の複雑さおよびコストの著しい増加を招くわけではない。
【0016】
その結果、汚染されたフローは、各ステージを通過して、異なる形式の濾過を受けて特定の効率レベルを達成する。いくつかの実施形態において、層の高さは、その層に関して一定に保持され、パーツに直前に追加された層からの固定した距離で画定される(印刷されるパーツの高さを変えた異なる層高さの印刷は、印刷時間を減少させるように行われる)。
【0017】
いくつかの実施形態において、方法は、印刷時に層の高さを変更して、ある区域はより厚く、かつ他の区域はより薄い単一層を生成する。媒体パック中の深さに対する層高さの変更は、フローが下流に進むとともにより小さな細孔径を作り出すテーパとなる。これは、深さに対する効率を向上させ得、より大きな粒子が、その粒子径に固有の適切な深さより深く通過することを防止する。これは、媒体パックが占める容積の利用率の向上を可能にし得、デブリ保持性能を増加させ得る。また、テーパはネストされて、媒体パック容積の利用率をさらに向上させ得る。ネストされたテーパは、同じ寸法であり得、その結果、テーパは、フィルターとして機能し得るか、あるいはテーパーは、徐々により小さくなる仕様を備え得、この仕様は、媒体パック内のステージに対する効率を向上させ得る。
【0018】
本開示で論じられるフィルターおよび/またはフィルター媒体は、作動液、オイル、燃料などを含む任意の種類の流体中の汚染物質を取り除くために使用され得、土木、建設、および鉱業などを含む任意の産業において使用され得る。本開示において用語「フィルター」は、「ブリーザ」または本開示のいろいろな箇所で記載のように流体から汚染物質を取り除くために使用される任意のデバイスを含むように解釈される。また、フィルターおよび/またはブリーザを使用する、ここで前述した任意の好適な産業は、ここで論じられた実施形態のうち任意のものを使用し得る。
【0019】
図1図4に焦点を絞ると、本開示の一実施形態によるフィルターについて記述されよう。図1図4中のフィルターの上端部分は、フィルターの内部の仕組みを表示するために除去されていることに注意しよう。上端部分は除去されているが、フィルターは、そのような上端部分を含むであろうし、実際に外郭を形成しているであろうことを理解すべきである。特別には示されていないが、存在すると理解されるフィルターの他のコンポーネントとして、エンドキャップ、センターチューブ、天板などが含まれる。フィルターはフィルター媒体と共に製造され得るため、フィルターがより構造的一体性を備え得るという理由で、センターチューブは、いくつかの実施形態において省略され得る。
【0020】
フィルター100は、空洞内部106を画定する外壁104を含む本体102を含み得る。示されるように、外壁104は、長方形の形状(または他の多角形の形状)を備える。他の実施形態においては、この通りではない場合がある。たとえば図6を参照のこと。外壁104について、円筒形などの他の構成が可能である。再び図1図4を参照すると、入口108は、空洞内部106と流体連絡している。また出口110は、空洞内部106と流体連絡している。第1フィルター媒体112は、複数層114、114’などを含む空洞内部106中に配置される。図3で優れて示されるように、各層114、114’などは、複数層114、114’の各々の間に複数の細孔117、117’などを形成する、固化材料の波状ストリップ116を含む。
【0021】
図1図2、および図4を参照すると、空洞内部106は、入口108および出口110と流体連絡する長方形の立体室118を含む。第1フィルター媒体112は、入口108と出口110との間の長方形の立体室118中に配置される。したがって、濾過される流体は、入口108を通って入り、第1フィルター媒体112を通過し、出口110を出る。入口108および出口110は、図1の対照的な流体フロー矢印120対図2の流体フロー矢印120’で図示されるように、切り替えられ得ることに注意すべきである。空洞内部106は、図7に示すように長方形の立体以外の他の形状を備え得る。
【0022】
図2を参照すると、本体102は、底壁122および側壁124を含み得る。入口108は、底壁122を貫通し得、出口110は側壁124を貫通し得る。図1図2、および図4において、本体102は、側壁124を貫通する出口110または入口108に配置された複数の平行サポートリブ126を画定する。このようなサポートリブ126の機能は、本体が積層造形プロセスにより構築される際に本体102の構造を支持することであるが、流体フローを側壁124中のオリフィス(たとえば入口108または出口110)をほとんど抵抗なしに通すことが可能である。つまり、リブ126は、所望のフロー方向120、120’に配向される。
【0023】
同様に本体102は、複数の補助空隙128をさらに画定し、その空隙は、長方形の立体室118と流体連絡していない。本体102は、複数の補助空隙128中に配置されたサポート構造130を含む。補助空隙128の目的は、積層造形プロセスにより構築された場合に、製造プロセスを高速化することであるが、サポート構造130は、相互連結するリブの格子形状を取り得、構造上の剛性および強度を提供する。
【0024】
本体102は、シームレスであり得、第1フィルター媒体112は、本体102の不可欠な部分であり得るか、または本体102から分離され、後に本体102に挿入されるコンポーネントであり得る。図5に優れて示されるように第1フィルター媒体112は、複数の細孔117を画定し得、その細孔は50μm~200μmの最小寸法134を画定する。特定の実施形態において、複数の細孔117の最小寸法134は、70μm~170μmの範囲であり得る。このような様々な構成、空間的な関係、および寸法は、必要または所望に応じて、他の実施形態において具体的に示されかつ記載されたものとは異なるように変更され得る。たとえば、細孔径は、所望の大きなサイズまたは所望の小さなサイズであり得る(たとえば4ミクロン、図5ではh>>h)。
【0025】
図2および図4を参照すると、フィルター100は、第1フィルター媒体112および出口110に直接隣接して配置された第2フィルター媒体132をさらに含み得る。つまり、濾過される流体は入口108を通り、第1フィルター媒体112、次に第2フィルター媒体132を通り、次いで出口110を通って出る。いくつかの実施形態において、図5を参照して優れて理解されるが、第1フィルター媒体112は、第1最小寸法134を備える複数の細孔117、117’を画定し、第2フィルター媒体132は、第2最小寸法134’を備える複数の細孔117、117’を画定する。第1最小寸法134は、第2最小寸法134’より大きくてもよい。
【0026】
その結果、より大きなサイズの汚染物質が、第1フィルター媒体112によって第1ステージで濾過されたり、より微細な汚染物質が、第2フィルター媒体132によって第2ステージで濾過されたりするように、複数の濾過ステージが設けられ得る。様々な実施形態において、必要または所望に応ずるだけ多くの濾過ステージが設けられ得る(最大第nステージ以内)。他の実施形態において、第1フィルター媒体112は、水を取り除くように構成されたり、第2フィルター媒体134は、デブリなどを取り除くするように構成されたりし得る。いくつかの実施形態において、第1フィルター媒体112および第2フィルター媒体132は、本体102に挿入され得る別々のコンポーネントである。そのような場合において、フィルター100の本体102は、第1フィルター媒体112および第2フィルター媒体132から分離されている。他の実施形態において、第1フィルター媒体112および第2フィルター媒体132は、本体102と相互に一体となっており、積層造形プロセスにより本体102と同時に構築される。
【0027】
ここで図6図14に焦点を絞ると、本開示の別の実施形態によるフィルター200(たとえばキャニスター形式のフィルター)について記述されよう。フィルター200は、外壁204および内壁206を含むハウジング202を含み得る。外壁204および内壁206は、同じ縦軸208を画定する。内壁206は、円筒形構成を備え得、縦軸208を通過し、かつそれに垂直な半径方向210と、半径方向210に正接し、かつ縦軸208に垂直な円周方向212と、を画定し得る。内壁206は、外壁204から半径方向に離れて配置され、ハウジング202は、縦軸208およびに空洞内部218に沿って配置された第1端214および第2端216をさらに画定する。このような様々な構成および空間的な関係は、他の実施形態において異なり得る。
【0028】
図7図10において優れて示されるように、入口220は、空洞内部218と流体連絡し、出口222は、空洞内部218と流体連絡する。フィルター媒体224は、複数層226、226’などを含む空洞内部218中に配置される。各層226として、固化材料の波状ストリップ228、228’などが含まれ得る。フィルター媒体224は、外側環状領域230および内側環状領域232を画定する環状形状を含む。
【0029】
空洞内部218は、外側環状室234(この外側環状室は、入口220およびフィルター媒体224の外側環状領域230と流体連絡する)と、縦軸208を中心に同心円状にある中央円筒形空隙237(この中央円筒形空隙は、出口222およびフィルター媒体224の内側環状領域232と流体連絡する)と、を含む。これは、図6および図7において矢印236によって示される濾過される流体のフローを確立する。このフローの方向は、他の実施形態において、逆にされ得る。
【0030】
内壁206は、出口222を画定し得、雌ネジ238または他の種類の嵌合インターフェイスを含み得る。ハウジング202は、上端表面240を画定し、入口220は、上端表面240から外側環状室234に伸びる第1円筒孔242であり、出口222は、上端表面240から中央円筒形空隙237に伸びる。図7図9に示されるように、複数の同一に構成された入口220が設けられ得、縦軸208を中心に円形アレイ状に配置され得る。同様に、様々な実施形態において、複数の出口が設けられ得る。入口および出口の数および配置は、様々な実施形態において、必要または所望に応じて変更され得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、ハウジング202は、シームレスであり、フィルター媒体224は、ハウジング202と一体である。たとえば、フィルター媒体224は、積層造形プロセスによりハウジング202と同時に構築され得る。他の実施形態において、フィルター媒体224は、ハウジングに挿入された別々のコンポーネントであり得る。複数の異なるフィルター媒体は、所望であれば、ここで前述したように同心円状に設けられて、マルチステージ濾過を提供し得る。フィルター媒体224は、複数の細孔117(図7図14には明確に示されていないが、図3または図5に示されたものと同じ構造を備えると理解されよう)を画定し、その細孔は、200μm未満の最小寸法134を画定する。前述のように細孔のサイズは、任意の好適なサイズであり得る。
【0032】
図8図12に焦点を絞ると、フィルター媒体224は、キャップ部分および底部分を含む。第1所定方向254に伸びる固化材料の第1波状ストリップ252のある第1層250と、第2所定方向256に伸びる固化材料の第2波状ストリップ252’のある第2層250’と、を含む、固化材料の第1複数層250、250’などを含むキャップ部分246。第1層250は、第2層250’と接触し、第1所定方向254は、第2所定方向256と平行ではない。
【0033】
同様に、底部分248は、第3所定方向262に伸びる固化材料の第3波状ストリップ260のある第3層258と、第4所定方向264に伸びる固化材料の第4波状ストリップ260’のある第4層258’と、を含む、固化材料の第2複数層258、258’を含む。第3層258は、第4層258’と接触し、第3所定方向262は、第4所定方向264と平行ではない。
【0034】
図10に示されるように、キャップ部分246の起伏、および底部分248の起伏は、相互に位相が異なる。キャップ部分246および底部分248は、印刷の最初の3~5層を表し得る。底部および上端での固体層の数は、印刷設定によって制御される。固体層は、印刷に追加の構造的サポートを提供し、露出したプラスチックの層から「インフィル」を密閉し得る。いくつかの実施形態において、複数媒体は、垂直方向に積み重ねられて、「位相の異なる」起伏を生成し得、その起伏は、位相の異なる媒体パックの各セクションを通過する流体のフロー経路を操作および変更し得る。たとえば、上端部分または底部分に、より限定的なチャネルが設けられ得、他方中間部分は、特定の濾過アプリケーションに関する選好によって、よりオープンなチャネルを有し得る。
【0035】
図14は、フィルター200の構造的一体性を維持しながら積層造形プロセスを適用する場合、フィルター200が、製造プロセスを高速化するためその中に配置されたサポート構造268を持つ補助空隙266を含み得ることを示す。
【0036】
本開示のさらに別の実施形態によるフィルター300は概して、図1図14を参照して以下のように記述され得る。フィルター300は、ハウジング302と、固化材料の複数層306、306’などを含むフィルター媒体304と、を含み得る。固化材料の複数層306、306’のうちの少なくとも1つは、第1所定方向310に伸びる固化材料の波状ストリップ308を含む。図3を参照すると、材料の波状ストリップ308は、台形パターンで配置され得る。つまり、ストリップ308の2つの脚312は相互に対して傾斜して、流体が細孔314を通過する際に、縮小したサイズの細孔314を形成し得る。図3において、このサイズ縮小はX-Y平面で発生する。図5において、この縮小はY-Z平面でも発生する。言いかえると、台形パターンは、少なくとも部分的に複数の細孔314、314’を画定し、複数の細孔314、314’の各々は、第2所定方向316に沿ってサイズが減少する細孔寸法318を含む。
【0037】
図3に焦点を絞ると、固化材料の複数層306、306’などは、第1所定方向310に伸びる固化材料の第1波状ストリップ308のある第1層306と、第2所定方向316に伸びる固化材料の第2波状ストリップ308’のある第2層308’と、を含む。ここで記載の任意の実施形態のための固体材料の任意のストリップの起伏は、ジグザグ、四角形、台形、正弦曲線、多項式曲線などを含む任意の好適な形状を備え得る。
【0038】
第1層306は、第2層306’と接触し、第1所定方向310は、第2所定方向316と平行ではない。この配置は、細孔314、314’を形成するのに役立つ。第1所定方向310は、第2所定方向316に垂直であり得る。図3に示すように、固化材料の第1波状ストリップ308は、台形パターンで配置され、固化材料の第2波状ストリップ308’は、四角形パターンで配置される(脚312’は相互に平行)。また、台形など別の形状も、ストリップ308’に使用され得る。このような形状のうち任意のものは、他の実施形態において、必要または所望に応じて変更され得る。
【0039】
本開示の一実施形態に従って、交換パーツとして使用され得るフィルター媒体400が、ここで図3図5を参照して記述されよう。また、フィルター媒体から捕捉されたデブリまたは他の汚染物質をバックフラッシュすることによって、ここで記載のようにフィルター媒体の様々な実施形態が再利用され得ることに注意すべきである。フィルター媒体400は、第1所定方向406に伸びる固化材料の第1波状ストリップ404のある第1層402と、第2所定方向408に伸びる固化材料の第2波状ストリップ404’のある第2層402’と、を含む、固化材料の複数層402、402’などを含み得る。第1層402は、第2層402’と接触し、第1所定方向406は、第2所定方向408と平行ではなく、その間には、複数の細孔410、410’が形成される。
【0040】
特定の実施形態において、第1所定方向406は、第2所定方向408に垂直であるが、必ずしもそうである必要はない。固化材料の第1波状ストリップ404は、台形パターンを備え、固化材料の第2波状ストリップ404’は、四角形パターンを備える。他の形状も可能である。
【0041】
ここで以前にほのめかしたように、台形パターンは、複数の細孔410、410’を少なくとも部分的に画定し、各々は、第2所定方向408に沿ってサイズが減少する細孔寸法412を含む。
【0042】
図3では、フィルター媒体400は、長方形の立体構成を含む。環状などの他の形状も可能である。
【0043】
図5では、フィルター媒体400は、第3所定方向414を画定し、細孔寸法412のサイズは、第3所定方向414に沿って減少する。一例として、第1所定方向はX方向であり、第2方向はY方向であり、第3方向はZ方向である。
【0044】
図7図12を参照すると、交換パーツとして提供され得るフィルター媒体500の別の実施形態は、以下のように記述され得る。フィルター媒体500は、複数層502、502’などを含み得、各々は固化材料の波状ストリップ504、504’などを含む。フィルター媒体500は、外側環状領域506および内側環状領域508を画定する環状形状を含み得る。複数層502、502’などは相互に接触して、その間に複数の細孔510を画定する。
【0045】
フィルター媒体500は、ここで前述した属性およびオプションを持つキャップ部分512および底部分514をさらに含み得る。キャップ部分512は、第1所定方向520に伸びる固化材料の第1波状ストリップ518のある第1層516と、第2所定方向522に伸びる固化材料の第2波状ストリップ518’のある第2層516’と、を含む、固化材料の第1複数層516、516’などを含み得る。第1層516は、第2層516’と接触し、第1所定方向520は、第2所定方向522と平行ではない。
【0046】
底部分514は、第3所定方向528に伸びる固化材料の第3波状ストリップ526のある第3層524と、第4所定方向530に伸びる固化材料の第4波状ストリップ526’のある第4層524’と、を含む、固化材料の第2複数層524、524’などを含む。第3層524は、第4層524’と接触し、第3所定方向528は、第4所定方向530と平行ではない。
【0047】
さらに、ここで以前にほのめかしたように、キャップ部分512の起伏、および底部分514の起伏は、相互に位相が異なる。ここで以前にほのめかしたように、「位相の異なる」起伏は、媒体の異なる多孔質性と、様々な方向およびセクションでの濾過と、を有する機会を提供し得る。
【0048】
また、ここで上述したように、流路および細孔が構成または製造される方法は、フィルターまたはフィルター媒体を通して濾過される任意の流体の効率的スループットに影響し得る。したがって、濾過される任意の流体の効率的スループットを変更し得る方法を開示する様々な実施形態および方法は、以下で図18図32を参照して記述されるであろう。図18図32の実施形態の特徴のうち任意のものは、本開示のさらなる実施形態を生み出すため、図1図17の実施形態の特徴のうち任意のものと交換され得ること、または逆も同様であることが、理解されるべきである。
【0049】
3Dプリンターを介して濾過媒体パックを印刷することは、所望の多孔質性を達成するために特定の設定を必要とする。1セットの印刷設定指示で単一のインポートされたSTLファイルを使用して濾過機能を印刷しようとする場合に、問題が発生し得る。たとえば、設定「インフィル角」は、パーツのインフィル(「インフィル」は、別の箇所では「サポート構造」とも呼ばれる)のためにプラスチックを押し出しながら、プリントヘッドがプリンターのXY座標系に対して移動する方向を制御する。単一のインフィル角は、ここで図18図23を参照して説明されるように、1つのジオメトリ全体を印刷する場合に、問題を生じ得る。
【0050】
図18を参照すると、CADモデル700(たとえば、CREOで生成されるSTLファイル)は、通常3D印刷ソフトウェア(たとえばSlic3rソフトウェア)にインポートされる。次に、CADモデルは、利用者(矢印702参照)が入力した設定に従って3D印刷ソフトウェアで処理されて、ジオメトリ704を生成し、このジオメトリは、所望のジオメトリ704を生成するために3Dプリンターのプリントヘッドが敷設し得る複数層に「スライス」される。このような設定として、インフィル角、インフィル密度、シェルなしなどが含まれ得る。
【0051】
さて図19および図20に目を向けると、フィルター媒体800の一実施形態が示され、その実施形態において、3Dプリンターのプリントヘッドは、垂直方向(Z軸)に上昇しながら45度のインフィル角設定(変更可能)に従って媒体パック全体を印刷し得ることが示される。言いかえると、フィルター媒体800または3Dプリンターは、フィルター媒体800が3Dプリンターまたは他の積層造形プロセスによって製造される際に、X軸、Y軸、およびZ軸を含むデカルト座標系を画定し得る。フィルター媒体800は、固化材料の複数層を含み得る。固化材料の複数層のうちの少なくとも1つ802として、X軸と第1角度808をなす第1所定方向806に伸びる固化材料の波状ストリップ804が含まれ得る。この第1角度808は、インフィル角であり得るか、または別の方法で生成され得る。様々な実施形態において、第1角度808は、10度~80度の範囲であり得るか、または特定の実施形態において、図19図23に示されるように45度であり得る。
【0052】
ここで図21図23を参照すると、フィルター媒体800は、円筒形内側開口810および多面的外側812を含み得る。図22に示されるように、単一の角度の使用は、媒体の円筒形内側開口810を完全に密閉し得るか、または円筒形内側開口810に出入りするフローを制限し得る。図23に示されるように、媒体の多面的外側812の面は、角度が媒体パックの多面的外側812の面に直交する/垂直な角度に対応しない場合、全体的または部分的に密封され得る。これは、媒体パックの全域におけるフローの望ましくない制約、低下を引き起こし得るか、または完全に面を密封し得る。他の実施形態においては、内側開口が多面的であったり、外側が円筒形であったりし得る。
【0053】
図24図32に図示するように、フィルター媒体800のジオメトリは、各セグメントを製造するため3Dプリンターによって使用された独自の設定を持った個別セグメント814に分割され得る。媒体パックがいくつのセグメントに分割されるかによって、適切なインフィル角が選択され得る。図27に優れて示されるように、フィルター媒体800は、環状構成を含み得、第1セグメント814’を含む複数のセグメント814に分割され得、この第1セグメントは、X軸との第1角度808を画定する固化材料の複数層のうちの少なくとも1つ802を含む。フィルター媒体800は、第1角度808とは異なる第2角度822をX軸となす、第1所定方向806とは異なる所定方向820に伸びる固化材料の波状ストリップ818を含む固化材料の複数層のうちの別の層816を含む第2セグメント814’’をさらに含む。第1角度および第2角度808、822は、多面的外側812と直交し得、媒体パックによって濾過される流体のスループットを最大化する。
【0054】
本開示の様々な実施形態において、面に直交する/垂直なインフィル角での印刷は、所望されるかもしれず、所望されないかもしれない。いくつかの実施形態において、面に直交するインフィル角を有することは、フローの制御に役立ち得、その結果、すべてが媒体パックの中央の方向に向かい、媒体パックの全域で制限は最少である。
【0055】
媒体パックの各セグメントは、インフィル密度、層高さ、押出し、他の印刷設定が変化し得る。これは、媒体パック内でより多くの多様性を可能にし得る。いくつかの実施形態において、10個のセグメントを持ち、その5つのセグメントは0.07mmの層高さおよび50%のインフィル密度を使用する媒体パックが採用され得るが、他の5つのセグメントは、0.15mmの層高さおよび60%のインフィル密度を使用し得る。
【0056】
他の実施形態において、他の印刷設定を備え、環状以外の他の形状を備える構成を始めとする多くの構成が可能である。フィルター媒体800が環状形状を含む場合、フィルター媒体800は、円周方向Cを画定し得、円筒形内側824を含み得る。外側812は、多面的であり得るか(図19図29を参照)、または円筒形812’であり得る(図30図32を参照)。
【0057】
図24に焦点を絞ると、1つのモデルが3D印刷ソフトウェアにインポートされる代わりに、複数の個々のセグメント814は、等しいサイズまたは異なるサイズでインポートされる(たとえば、10個の異なるセグメント)。図24で示されたジオメトリ826は、ジオメトリが印刷ベッド上の中心に正確に置かれていることを確認するのに役立つ。ジオメトリ826を使わない場合、媒体パックセグメントは、印刷ベッドの正確な中央にすべて集合し得、正確に間隔を取り得ない。また、これにより、媒体の内側で間隔を広く空け得、その結果、インフィルパターンが構築された場合に壁は密封されない。
【0058】
さて図27に目を向けると、フィルター900は、X軸、Y軸、およびZ軸を含むデカルト座標系を画定するハウジング902を含み得る。10個のセグメントが採用されている実施形態などの特定の実施形態において、第1角度808は18度であり得、第2角度822は54度であり得る。より詳細には、フィルター媒体800は、同一に構成された複数の、相互に円周状に隣接して配置されたセグメント814を含み得、セグメント814のそれぞれは、所定方向に沿って伸びる固化材料の波状ストリップを画定し、所定方向は、X軸と角度をなし、角度は、同一に構成されたセグメントの数で360度を除算した商によって均等に分割可能である。而してインフィル角は、18度から始まり得、54度、さらに90度などに達する。
【0059】
図32で優れて示されるように、第1複数層の波状ストリップ804は台形構成を含み得、第2複数層の波状ストリップ818は台形構成を含み得る。ここで既にほのめかしたように、フィルター媒体800は、3D印刷ソフトウェアのインフィル設定を使用して製造され得る。すべてのセグメントのすべての波状層は、図32で示された実施形態を含む様々な実施形態において、台形構成を備え得る。
【0060】
フィルター媒体またはフィルター、あるいは関連する特徴の任意の実施形態についてここで論じられた寸法または構成のうち任意のものは、必要または所望に応じて変更され得る。また、フィルター媒体またはフィルターは、所望の構造上の強度を備え、濾過される流体に化学的に適合する任意の好適な材料から製造され得る。たとえば、PLA、コポリエステル、ABS、PE、ナイロン、PUなどを含むが、それらに限定されない様々なプラスチックが使用され得る。
【産業上の利用可能性】
【0061】
実際、ここで記載の任意の実施形態によるフィルター媒体またはフィルターは、販売されるか、購入されるか、製造されるか、そうでなければOEMまたはアフターマーケットコンテキスト(after-market context)で調達され得る。
【0062】
図15および図16を参照すると、開示されたフィルター媒体およびフィルターは、たとえば鋳造または成形など、従来の技法を使用して製造され得る。あるいは、開示されたフィルター媒体およびフィルターは、概して積層造形法または付加製造法と呼ばれる他の技法を使用して製造され得る。
【0063】
周知の積層造形/付加製造プロセスは、たとえば3D印刷などの技法を含む。3D印刷は、コンピュータの制御下で材料が連続層に堆積され得るプロセスである。コンピュータは、3次元モデル(たとえば、AMFファイルまたはSTLファイルなどのデジタルファイル)に従って付加製造機器を制御して連続層を堆積させ、このモデルは、複数のスライスに、たとえば実質的に2次元のスライスに変換されるように構成され、その結果、フィルターまたはフィルター媒体を製造または製作するため、各々のスライスは、フィルターまたはフィルター媒体の断面層を画定する。ある場合では、開示されたフィルターまたはフィルター媒体は、オリジナルのコンポーネントであり、3D印刷プロセスは、フィルターまたはフィルター媒体を製造するために利用されるであろう。他の場合、3Dプロセスは、既存のフィルターまたはフィルター媒体を複製するために使用され得、複製されたフィルターまたはフィルター媒体は、アフターマーケットパーツ(aftermarket part)として販売され得る。このような複製されたアフターマーケットフィルターまたはフィルター媒体は、オリジナルのフィルターまたはフィルター媒体の正確なコピーか、重要でない面のみ異なる擬似コピーのいずれかであり得る。
【0064】
図15を参照すると、ここに開示された任意の実施形態によるフィルター100、200、300またはフィルター媒体400、500を表すために使用される3次元モデル1001は、たとえばフロッピーディスク、ハードディスク、または磁気テープを含む磁気記憶装置;ソリッドステートディスク(SSD)またはフラッシュメモリなどの半導体記憶装置;光ディスク記憶装置;光磁気ディスク記憶装置;または少なくとも1つのプロセッサによって読み取り可能な情報またはデータが記憶されている他の任意の種類の物理メモリまたは非一時的媒体など、コンピュータ可読記憶媒体1002に記録され得る。この記憶媒体は、フィルター100、200、300またはフィルター媒体400、500を製造または製作するため市販されている3Dプリンター1006に関連付けて使用され得る。あるいは、3次元モデルは、3Dプリンター1006の場所に永久的に記憶されることなく、ストリーミングの形式で3Dプリンター1006に電子的に伝達され得る。いずれの場合も、3次元モデルは、フィルター100、200、300またはフィルター媒体400、500の製造において使用に好適なフィルター100、200、300またはフィルター媒体400、500のデジタル表現を構成する。
【0065】
3次元モデルは、多数の公知の方法で形成され得る。3次元モデルは概して、フィルター100、200、300、900またはフィルター媒体400、500、800を表すデータ1003を、クラウドベースのソフトウェアオペレーティングシステムなどのコンピュータまたはプロセッサ1004に入力することで生成される。データは、次に、物理的フィルター100、200、300、900またはフィルター媒体400、500、800を表す3次元モデルとして使用され得る。3次元モデルは、フィルター100、200、300またはフィルター媒体400、500を製造する目的に適合することを目的とする。一例示的実施形態において、3次元モデルは、積層造形技法によってフィルター100、200、300またはフィルター媒体400、500を製造する目的に適合する。
【0066】
図15で示される一実施形態において、データの入力は、3Dスキャナー1005を用いて達成され得る。本方法は、3次元モデルを生成するために、接触およびデータ受信デバイスを介して、かつ接触からデータを受信して、フィルター100、200、300、900またはフィルター媒体400、500、800に接触することを含み得る。たとえば、3Dスキャナー1005は、接触型スキャナーであり得る。スキャンされたデータは、3Dモデリングソフトウェアプログラムにインポートされて、デジタルデータセットを準備し得る。一実施形態において、接触は、座標測定機を使用した直接の物理的接触により実行され得、この座標測定機は、3次元モデルを生成するため、フィルター100、200、300、900またはフィルター媒体400、500、800の表面にプローブを接触させることで、フィルター100、200、300、900またはフィルター媒体400、500、800の物理的構造を計測する。
【0067】
他の実施形態において、3Dスキャナー1005は、非接触型スキャナーであり得、本方法は、注がれたエネルギー(たとえば光または超音波)を複製されるフィルター100、200、300またはフィルター媒体400、500に導き、反射されたエネルギーを受け取ることを含み得る。コンピュータは、この反射エネルギーから、フィルター100、200、300、900またはフィルター媒体400、500、800の製造時に使用されるコンピュータ可読3次元モデルを生成するであろう。様々な実施形態において、複数の2D画像は、3次元モデルを生成するために使用され得る。たとえば、3Dオブジェクトの2Dスライスは、組み合わせられて3次元モデルを生成し得る。データの入力は、3Dスキャナーの代わに、コンピュータ支援設計(CAD)ソフトウェアを使用して実施され得る。この場合、3次元モデルは、CADソフトウェアを使用して開示されたフィルター100、200、300、900またはフィルター媒体400、500、800の仮想3Dモデルを生成することにより形成され得る。3次元モデルは、フィルター100、200、300、900またはフィルター媒体400、500、800を製造するために、CADの仮想3Dモデルから生成されるであろう。
【0068】
開示されたフィルター100、200、300、900またはフィルター媒体400、500、800を生成するために利用される積層造形プロセスは、ここで前述した材料などの材料を含み得る。いくつかの実施形態においては、完成品を生成するために追加プロセスが実施され得る。そのような追加プロセスは、たとえば、洗浄、焼入れ、親水性コーティング、熱処理、材料除去、および金属材料が採用された場合などには研磨のうちの1つ以上を含み得る。完成品を完成するために必要な他のプロセスは、このような同定されたプロセスに加えてまたはその代わりに実施され得る。
【0069】
図16に焦点を絞ると、ここに開示された任意の実施形態に従ってフィルターまたはフィルター媒体を製造する方法600は、フィルターまたはフィルター媒体のコンピュータ可読3次元モデルを提供することであって、3次元モデルは、各々がフィルターまたはフィルター媒体の断面層を画定する複数のスライスに変換するように構成される、提供すること(ブロック602)と;積層造形法によってフィルターまたはフィルター媒体の各層を連続的に形成すること(ブロック604)と;を含み得る。積層造形法によってフィルターまたはフィルター媒体の各層を連続的に形成することは、複数層を構築することを含み得、ここで複数層のうちの少なくとも1つの層は、第1所定方向に伸びる材料の第1波状ストリップを含む(ブロック606)。
【0070】
また本方法は、第1所定方向とは異なる第2所定方向に伸びる材料の第2波状ストリップを含む複数層のうちの第2層を形成することを含み得る(ブロック608)。さらに、本方法は、所望の細孔の最小寸法を生成するため、以下の変数のうちの少なくとも1つを変更することを含み得る:プリントヘッドのスピードおよび/または経路、プラスチックの流量、プラスチックの種類、プラスチックの冷却速度、ならびに層変形を生成するための波状材料のパターンまたは構成(ブロック610)。フィルターまたはフィルター媒体は、底から上端への方向に構築され得る。
【0071】
図33は、フィルター媒体を製造する方法1100を含み、方法1100は、複数のセグメントを含むフィルター媒体のコンピュータ可読3次元モデルを提供するステップであって、3次元モデルの各セグメントは、各々がフィルター媒体の断面層を画定する複数のスライスに変換されるように構成され、各セグメントは、他のセグメントの波状層の所定方向とは異なる所定方向に沿って伸びる波状層を含む、ステップ(ステップ1102)と;積層造形法によってフィルター媒体の各層を連続的に形成するステップ(ステップ1104)と;を含む。
【0072】
積層造形法によってフィルター媒体の各層を連続的に形成することは、3D印刷ソフトウェアのインフィル設定を使用することを含み得る(ステップ1106)。3D印刷ソフトウェアのインフィル設定を使用することは、各セグメントに異なるインフィル角を設定することを含み得る(ステップ1108)。他の実施形態において、3D印刷ソフトウェアのインフィル設定を使用することは、各セグメントに異なるインフィル密度を使用することを含み得る(ステップ1110)。
【0073】
本開示で論じられたアセンブリの装置および方法の実施形態に対して、本発明(複数可)の範囲または精神から逸脱せずに様々な修正および変更をなしうることは当業者に明白であろう。本開示の他の実施形態は、本明細書の検討、およびここに開示された様々な実施形態の実施から、当業者に明白であろう。たとえば、一部の機器は、ここに記載されているものとは異なる方式で組み立てられたり、機能したりし得、任意の方法の特定のステップは、省略されたり、具体的に記述されている順序とは異なる順序で実施されたり、いくつかの場合には同時に実施されたり、サブステップの中で実施されたりし得る。さらに、様々な実施形態の特定の態様または特徴に変更または修正が加えられて、さらなる実施形態が形成されたり、様々な実施形態の特徴および態様が、なお更なる実施形態を提供するために、他の実施形態の他の特徴または態様に追加されたり、取り替えられたりし得る。
【0074】
したがって、本明細書および例は、例示的にのみ考慮し、本発明(複数可)の真の範囲および精神を以下の特許請求の範囲およびその等価物によって示すことが想定されている。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33