(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】湿式真空掃除機及びそのような湿式真空掃除機におけるコンポーネントの配置
(51)【国際特許分類】
A47L 7/00 20060101AFI20231106BHJP
B01D 46/52 20060101ALI20231106BHJP
B01D 46/79 20220101ALI20231106BHJP
【FI】
A47L7/00 A
B01D46/52 Z
B01D46/79
(21)【出願番号】P 2021556589
(86)(22)【出願日】2020-03-25
(86)【国際出願番号】 EP2020058275
(87)【国際公開番号】W WO2020207797
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-09-17
(32)【優先日】2019-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591010170
【氏名又は名称】ヒルティ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Hilti Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Feldkircherstrasse 100,9494 Schaan,Liechtenstein
(74)【代理人】
【識別番号】110002664
【氏名又は名称】弁理士法人相原国際知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】バルビエール, ライオネル
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー, スヴェーニャ
(72)【発明者】
【氏名】ヴェルツ, ソーニャ
(72)【発明者】
【氏名】ホルツマイヤー, ゲオルク
(72)【発明者】
【氏名】マール, アンナ
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-160235(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0135475(US,A1)
【文献】米国特許第04218805(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0094778(US,A1)
【文献】特開平05-168574(JP,A)
【文献】実開昭52-166809(JP,U)
【文献】特表2007-503258(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 7/00
B01D 46/52
B01D 46/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポータブル湿式真空掃除機(1)におけるコンポーネントの配置であって、前記湿式真空掃除機(1)が液体と塵芥との混合物(3)を回収するための容器(2)を備え、
前記回収容器(2)は、背負紐(17)が取り付けられた後側(8)と、前記後側(8)に対して反対側の前側と、を有し、
前記回収容器(2)
は、上端(4)と前記上端(4)とは反対側の下側とを有し、前記上端(4)は略水平に形成されたセクション(7)と傾斜したシーリング面(5)とを備え、前記略水平に形成されたセクション(7)
の一端は前記回収容器(2)の
前記後側(8)の方向に向けられて
前記後側(8)の上端と接続するように形成されており、前記傾斜したシーリング面(5)は
前記セクション(7)の他端から、前記回収容器(2)の
前記前側の方向に向けられて
、かつ前記下側の方向に向かって傾斜しており、前記傾斜したシーリング面はフィルタユニット(6)を備えており、
前記容器(2)は、前記混合物(3)が前記容器(2)に入る領域に入口コネクタ(14)を備え、前記入口コネクタ(14)の開口部は
、前記後側(8)が前記回収容器(2)に吸い込まれた前記混合物(3)のための偏向壁として機能するように、前記容器(2)の前記後側(8)に向けられる、ことを特徴とするコンポーネント配置。
【請求項2】
前記湿式真空掃除機(1)のフィルタ洗浄モジュール(9)が前記フィルタユニット(6)の中央且つ上方に配置されることを特徴とする、請求項
1に記載のコンポーネント配置。
【請求項3】
前記湿式真空掃除機(1)がエネルギー供給ユニット(10)を備え、前記エネルギー供給ユニット(10)が前記回収容器(2)の前記上端(4)の前記略水平に形成されたセクション(7)よりも実質的に上方に配置されることを特徴とする、請求項
2に記載のコンポーネント配置。
【請求項4】
前記湿式真空掃除機(1)がタービン(11)を備え、前記タービン(11)が前記回収容器(2)の前記上端(7)の前記略水平に形成されたセクション(7)よりも実質的に上方に配置されることを特徴とする、請求項
2又は3に記載のコンポーネント配置。
【請求項5】
前記エネルギー供給ユニット(10)と前記タービン(11)とが、並んで、且つ前記回収容器(2)の前記後側(8)と空間的に近接して配置されることを特徴とする、請求項
3を引用する請求項
4に記載のコンポーネント配置。
【請求項6】
吸込ホース(12)が吸込ホース接続部(13)の領域において入口コネクタ(14)によって前記回収容器(2)に開口し、前記吸込ホース接続部(13)が前記回収容器(2)の前記上端(4)の領域に配置されることを特徴とする、請求項
1~5のいずれか一項に記載のコンポーネント配置。
【請求項7】
前記入口コネクタ(14)がディフューザとして設計されることを特徴とする、請求項
6に記載のコンポーネント配置。
【請求項8】
前記湿式真空掃除機(1)が前記液体と塵芥との混合物(3)の表面を検出するためのプローブ(15)を備えることを特徴とする、請求項1~
7のいずれか一項に記載のコンポーネント配置。
【請求項9】
前記湿式真空掃除機(1)が、前記湿式真空掃除機(1)の傾きを検出するように設計されたジャイロセンサ(16)を備えることを特徴とする、請求項1~
8のいずれか一項に記載のコンポーネント配置。
【請求項10】
前記フィルタユニット(6)がプリーツフィルタを備えることを特徴とする、請求項1~
9のいずれか一項に記載のコンポーネント配置。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか一項に記載のコンポーネント配置を備えることを特徴とする、湿式真空掃除機(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポータブル湿式真空掃除機におけるコンポーネントの配置に関し、湿式真空掃除機は液体と塵芥との混合物を回収するための容器を備える。コンポーネント配置は、特に、湿式真空掃除機の回収容器の上端としての傾斜したシーリング面を特徴とし、傾斜したシーリング面がフィルタユニットを備える。第2の態様では、本発明は、この種のコンポーネント配置を有する湿式真空掃除機に更に関する。
【背景技術】
【0002】
建設現場で発生する粉塵は、健康に害があることが多く、人が吸い込むべきではない。通常、一次粉塵と二次粉塵とが区別される。一次粉塵は、表面の穴開け、ノミ入れ、又は研削などの様々な用途の際に形成される。この粉塵は空気中に拡散し、近くにいる人が容易に吸い込み得る。粉塵はまた、床の上又は他の表面の上などに集まり、それにより二次粉塵となり得る。この二次粉塵については、その後の作業工程の際に再び粉塵がかき混ぜられ、それにより作業者又は通行人の気道に入り込む虞がある。
【0003】
一次粉塵を防ぐために集塵機が通常使用され、集塵機は、適切なシステム又はアタッチメントを用いて、粉塵が形成される場所で直接集塵する(collects and/or extracts the dust)。これにより、粉塵が周囲の空気中に入り込んで作業者又は通行人が吸い込むことを防ぐ。二次粉塵を除去するためには、地面から粉塵を選択的に吸引してこれを処分するために、集塵機又は真空掃除機が同様にしばしば使用される。
【0004】
建設現場において一次粉塵を防ぐためには、例えば粉塵をまとめるために、水や他の液体に頼ることもある。水又は液体を選択的に加えることにより、形成された粉塵がまとめられ、それにより粉塵が周囲の空気中に入り込むのを防ぐことができる。この手順は、例えば切断プロセスにおいて用いられる。しかしながら、液体、例えば水を用いて粉塵をまとめることにより液体と塵芥との混合物がもたらされ、この混合物も同様に処分されなければならない、又は吸引により除去されなければならない。本発明によれば、液体と塵芥との混合物又は液体と粉塵との混合物は「汚泥」とも呼ばれることが好ましい。従来技術では、汚泥を吸引により除去するために「湿式真空掃除機」が知られており、湿式真空掃除機は、液状の物質及び汚泥でさえも専用のやり方で処分するために拾い上げるように設計されている。この目的のために、多くの湿式真空掃除機システムは回収容器を備え、回収容器では、回収容器又は湿式真空掃除機を空にしてその内容物を処分する前に、汚泥又は回収された液体と塵芥との混合物を保持し得る又は一時的に格納し得る。
【0005】
従来技術で知られている従来の湿式真空掃除機システムは、一般に、湿式真空掃除機が動作中には単一の規定された姿勢を取るという事実に基づいている。可搬式湿式真空掃除機は、例えば車輪で床の上を移動させることができ、常に直立しており、特に、傾いていない。動作中、湿式真空掃除機の中心を通って延びる想像上の中心軸は、一般に、湿式真空掃除機がその上を動かされ得る下にある表面すなわち清掃される床に対して略垂直である。空間における湿式真空掃除機のこの規定された動作姿勢によって、湿式真空掃除機の個々のコンポーネントが汚泥又は液体と塵芥との混合物と絶対に接触しないようにすることが可能である。特に、フィルタ、モータ、フィルタ洗浄ユニット、又は真空掃除機タービンは液体に浸されるべきではない。このように上記コンポーネントが濡れることは、湿式真空掃除機又はその個々のコンポーネントの損傷及び故障の原因となり得る。
【0006】
湿式真空掃除機の使用については、移動作業の需要がユーザの間で高まっている。特に、例えば、蓄電池などの可搬式エネルギー源が使用されて可搬式湿式真空掃除機のエネルギー源として機能する、ケーブルなしでの可能な限り遠くでの作業が望まれている。湿式真空掃除機を使用する際の機動性を更に高めるために、背負紐によって背負うことができる集塵システムが従来技術では知られている。これらのシステムは、真空掃除機の姿勢が直立であることと、それによりフィルタ、フィルタ洗浄ユニット、モータ、及び/又はタービンが乾いた状態であることとを確保することができないため、一般に「乾式」でしか使用できない。本発明によれば、「乾式専用」の使用とは、対応する集塵機が純粋に乾式真空掃除機として設計されており、汚泥又は液体を吸い上げるようには設計されていないことを意味する。特に、ユーザがこの種の真空掃除機を背負った状態で、例えば床から物を拾おうとして、前傾姿勢になった場合、理論上のポータブル湿式真空掃除機のリスクを抱えたコンポーネントが汚泥及び液体と接触する可能性がある。この傾きにより、湿式真空掃除機内の回収容器にある汚泥は、汚泥及び流体である液体と塵芥との混合物から保護されるべきコンポーネントの領域に入り込み得るように移動する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明の基礎となる目的は、従来技術の欠陥及び欠点を持たず、ポータブル可搬式システムとして使用され得る湿式真空掃除機を提供することである。特に、ケーブルなし且つ機動性に優れたやり方で、液体及び汚泥でさえも吸い上げることをユーザができるようにする湿式真空掃除機を開発することが意図されている。換言すれば、本発明の目的は、液体でさえも取り扱うことができる、及び/又は拾い上げることができるバックパック型集塵機を開発することである。特に、提供される湿式真空掃除機は、タービン、モータ、フィルタ洗浄モジュール、及び/又はフィルタなどの潜在的にリスクを抱えたコンポーネントを吸い上げた汚泥に含まれる液体によって損なうことなく、真空掃除機を様々な方向に傾けることに関わる頻繁に発生する様々な作業状況の中で使用することが可能であるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、独立請求項の主題によって達成される。独立請求項の発明の主題の有利な実施形態が従属請求項に記載される。
【0009】
上記の目的は、ポータブル湿式真空掃除機におけるコンポーネントの配置によって達成され、湿式真空掃除機は液体と塵芥との混合物を回収するための容器を備える。コンポーネント配置は、回収容器の上端が傾斜したシーリング面を備えること特徴とし、傾斜したシーリング面がフィルタユニットを備える。シーリング面は、例えば20~60度の角度範囲内で傾斜し得る。この角度範囲の傾斜角度は、水又は汚泥が吸込ホースに入り得るのを防ぐのに特に効果的なやり方であることが試験で示されている。
【0010】
上記の目的は、本発明によるコンポーネント配置を備える湿式真空掃除機によって更に達成される。第2の態様では、本発明は、ひいては、提案されるコンポーネント配置を備える湿式真空掃除機に関する。コンポーネント配置に関して導入される用語、定義、及び技術的利点は、提案される湿式真空掃除機にも類似的に適用されることが好ましい。特に、湿式真空掃除機はユーザが背負うことができる。この目的のために、湿式真空掃除機は、ユーザが湿式真空掃除機を心地よく快適に持ち運ぶことを可能にするために、対応する締結手段又はベルトを備え得る。本発明によれば、湿式真空掃除機が回収容器を有し、湿式真空掃除機がユーザに背負われているときに、回収容器の後側がユーザの背中に面することが特に好ましい。回収容器の前側は回収容器の後側に対して略平行であることが好ましく、回収容器の下側又は底面は回収容器の後側及び/又は前側に対して略垂直に形成される。回収容器は上端によって上方領域において閉鎖されることが好ましく、この上端は回収容器の下側又は底側とは反対側に配置されることが好ましい。本発明によれば、上端が回収容器の上側とも呼ばれることが好ましい。回収容器の上側は傾斜したシーリング面を備えることが好ましく、傾斜したシーリング面は湿式真空掃除機のフィルタユニットを備える。液体と塵芥との混合物を回収するための容器は回収容器とも呼ばれることが好ましく、バックパック型真空掃除機におけるコンポーネントの配置はコンポーネント配置とも呼ばれることが好ましい。
【0011】
本発明の1つの特定の利点は、提案されるバックパック型真空掃除機が姿勢とは無関係に使用され得ることである。本発明によれば、「姿勢とは無関係に」という用語は、真空掃除機が特に湿式真空掃除機の傾斜に関わり得る頻繁に発生する作業状況において使用され得ることを意味することが好ましい。これらの頻繁に発生する作業状況は許容される傾斜した状態を定義することが好ましく、バックパック型真空掃除機の回収容器内のシーリング面の傾斜によって、好都合なことに、提案される湿式真空掃除機が、モータ、タービン、フィルタ洗浄ユニット、及び/又はフィルタなどの真空掃除機のコンポーネントが液体又は汚泥と接触することなく、これらの許容される傾斜した状態で使用され得ることを確保することが可能になる。特に、許容される傾斜した状態は以下のような状況、すなわち、a)湿式真空掃除機が0~90度だけ前方に傾いている場合、b)湿式真空掃除機が30度未満、好ましくは20度未満で側方に傾いている場合、及び/又は、c)湿式真空掃除機が30度未満で後方に傾いている場合に存在する。したがって、許容されない傾斜した状態は、特に、a)湿式真空掃除機が90度を超えて前方に傾いている場合、b)湿式真空掃除機が20度を超えて、好ましくは30度を超えて側方に傾いている場合、及び/又は、c)湿式真空掃除機が30度を超えて後方に傾いている場合に存在し得る。上述の角度は、略垂直に延びる軸から見た角度であることが好ましく、この略垂直に延びる軸は、ユーザの脊柱に対して略平行に延びることが好ましい想像上又は仮想の軸を表す。本発明によれば、「前方」空間方向は、ユーザによる「前屈」に関連することが好ましく、前屈の間、ユーザの上半身は前方に、すなわち、ユーザの背中から離れる空間方向、又はユーザの腹の方向に曲がる。ユーザの顔と腹との間の距離は、ユーザの「前屈」の際に短くなることが好ましい。「後方」空間方向は、ユーザによる「後屈」に対応することが好ましく、ユーザによる「後屈」の際に、湿式真空掃除機の前側と床との間の距離が減少することが好ましい。本発明の文脈では、「前方」及び「後方」の空間方向は、回収容器又は湿式真空掃除機の側面の表記には対応しないことが好ましい。湿式真空掃除機又は回収容器のユーザ又はユーザの背中に面する側を湿式真空掃除機又は回収容器の「後側」とし、湿式真空掃除機又は回収容器のそれとは反対側を湿式真空掃除機又は回収容器の「前側」とすることが好ましい。
【0012】
本発明によれば、湿式真空掃除機のフィルタが「前傾方向」とは反対側を向く側に配置されることが極めて特に好ましい。換言すれば、本発明の文脈では、フィルタが回収容器の上側の領域に配置されることが好ましく、より具体的には、ユーザがバックパック型真空掃除機を背負っているときにはユーザの背中とは反対側を向くことが好ましい回収容器の前側の方向に配置されることが好ましい。真空掃除機内におけるフィルタのこの好ましい配置のおかげで、好都合なことに、湿式真空掃除機が特に前方空間方向に傾いているときでさえ、許容される角度範囲内で傾きが生じる限り、フィルタが液体に浸されない、又は液体と接触しないことが達成される。
【0013】
本発明の一実施形態では、湿式真空掃除機がジャイロセンサを備え、ジャイロセンサが湿式真空掃除機の傾きを検出するように設計されることが好ましい。許容されない傾斜した状態の検出は、上述の角度値を用いて、且つジャイロセンサを使用してなされることが好ましい。例えば、バックパック型真空掃除機を背負っているユーザが90度を超えて前屈すると、許容されない状態が検知される。ジャイロセンサによって、湿式真空掃除機は、許容されない傾斜した状態が検出された場合に湿式真空掃除機のスイッチをオフにすることが確保できることが好ましい。上述の例では、湿式真空掃除機を背負う人が90度を超えて前屈すると、ジャイロセンサは許容されない傾斜した状態の存在を検知する。その場合、真空掃除機の回収容器内の汚泥又は水分が回収容器又は湿式真空掃除機のフィルタユニット又はシーリング面の領域に入り込むのを防ぐために、例えば、ジャイロセンサ及び湿式真空掃除機に接続された、又はジャイロセンサ及び湿式真空掃除機と情報及び/若しくは制御コマンドを交換し得る制御装置を使用して、湿式真空掃除機は自動的にスイッチオフされる。湿式真空掃除機は、「前方」に90°、「左」又は「右」に20~30°、そして「後方」に最大30°の傾斜角度から湿式真空掃除機をスイッチオフするように、且つそれによりフィルタを介してタービン内に水が吸い込まれるのを防ぐように設計されたジャイロセンサを備えることが好ましい。特に、ジャイロセンサは、許容されない傾斜した状態があった場合に液体と塵芥との混合物が吸い込まれるのを防ぐように、湿式真空掃除機の制御装置と通信することができる。これは、例えば、ジャイロセンサが許容されない傾斜した状態を検出した場合に、湿式真空掃除機のモータ及び/又はタービンをスイッチオフすることにより実現され得る。本発明によれば、湿式真空掃除機は、特に、許容される傾斜した状態で動作することが好ましく、許容される傾斜した状態は、特に、上述の「許容される」角度範囲における湿式真空掃除機の傾斜に関わり得る頻繁に発生する作業状況に対応する。
【0014】
傾斜したシーリング面とフィルタユニットとを備える回収容器の上端は、回収容器の上側とも呼ばれ得ることが好ましい。回収容器の上側は、2つの異なるセクションを有し得ることが好ましい、又はこれらの異なるセクションによって形成され得る。本発明によれば、回収容器の上側が、略水平に形成されたセクションを備え、略水平に形成されたセクションが、回収容器の後側と傾斜したシーリング面とを接続するように設計されることが特に好ましい。換言すれば、回収容器の上側の略水平に形成されたセクションが傾斜したシーリング面と回収容器の後側との間に配置される。更に別の言い方をすれば、回収容器は上方水平縁部を備え、これにより、回収された水がシール面及び例えばフィルタユニットなどの内部に収容されたコンポーネントに浸水することなく、湿式真空掃除機の傾斜角度をできるだけ大きくすることができる。その姿勢のおかげで、シーリング面は、シーリング面の上方に配置されたタービン、フィルタ洗浄ユニット、及び/又はモータなどのコンポーネントも保護することが好ましい。湿式真空掃除機又はバックパック型真空掃除機内におけるシーリング面の姿勢のおかげで、真空掃除機の上方領域には汚れた水から保護されるべきコンポーネントの最適な配置のための十分な大きさの空間が設けられ、下方領域には液体と塵芥との混合物を受け入れるための十分な大きさの空間が得られる。本発明によれば、シーリング面の上方の領域は密閉空間と呼ばれることが好ましい。換言すれば、フィルタユニットを備えるシーリング面の傾斜した配置により、提案される湿式真空掃除機内の空間の最適な分割が可能になる。これにより、一方では、回収容器を空にすることが必要になるまでに大量の汚泥を拾い上げることができる。他方では、モータ、タービン、フィルタ洗浄ユニット、及び/又はフィルタユニットなど、汚泥から保護されるべき真空掃除機のコンポーネントが、液体と接触しないように最適なやり方で保護され得る。その結果、提案されるコンポーネントの配置により、コンポーネントは望ましくない浸漬から特に効果的なやり方で保護され、したがって、驚くべきことに、提案される発明により、湿式真空掃除機の傾斜に関わる頻繁に発生する作業状況でさえも使用され得るポータブルバックパック型湿式真空掃除機を提供することが可能になる。これにより、これまで当業者は湿式真空掃除機はバックパック型真空掃除機のように供給できないと考えていたため、本発明は従来技術からの転換を意味する。当業者がこのような先入観を持ったのは、ユーザの屈曲運動によって真空掃除機が傾いているときでさえも、真空掃除機のリスクを抱えたコンポーネントが濡れる又は浸漬するのを防ぐようには、可搬式ポータブル湿式真空掃除機のコンポーネントを配置することはできないとこれまで考えられていたからである。
【0015】
本発明によれば、湿式真空掃除機のフィルタ洗浄モジュールがフィルタユニットの中央且つ上方に配置されることが好ましい。換言すれば、湿式真空掃除機はフィルタ洗浄モジュールを備えることが好ましく、フィルタ洗浄モジュールは、特に、フィルタユニットの略中央且つ上方に配置される。フィルタユニットは回収容器の傾斜したシーリング面に配置されることが好ましいため、本発明によれば、フィルタ洗浄ユニットは、フィルタユニットの中心を通って延びることが好ましい想像上の中心軸の延長として配置されることが好ましい。フィルタ洗浄モジュールの配置も図面に示されている。本発明によれば、フィルタ洗浄モジュールが湿式真空掃除機のAPCFモジュールとも呼ばれることが好ましい。本発明によれば、フィルタ洗浄ユニットがフィルタの略中央且つ上方に配置されることが特に好ましい。フィルタの上方でのフィルタ洗浄ユニットのこの略中央配置によって、最適なフィルタ洗浄が好都合なことに実現される。
【0016】
本発明によれば、湿式真空掃除機がエネルギー供給ユニットを備え、エネルギー供給ユニットが回収容器の上端の略水平に形成されたセクションよりも実質的に上方に配置されることが好ましい。特に、エネルギー供給ユニットは、蓄電池とすることができ、これにより湿式真空掃除機をケーブルレスで利用できる。湿式真空掃除機はタービンを備えることが好ましく、タービンは回収容器の上端の略水平に形成されたセクションよりも実質的に上方に配置される。換言すれば、本発明によれば、エネルギー供給ユニットとタービンとが並んで、且つ回収容器の後側と空間的に近接して配置されることが好ましい。湿式真空掃除機のエネルギー供給ユニット及びタービンの例示的な配置を図面に示す。本発明により、エネルギー供給ユニットとタービンとが湿式真空掃除機のシーリング面の上方に配置されるという事実のおかげで、真空掃除機の上方領域に水、汚泥、又は液体が侵入する可能性が効果的に防止され、その結果、エネルギー供給ユニットとタービンとが水、汚泥、又は液体から効果的に保護される。本発明によれば、湿式真空掃除機の上方領域がシールされた領域又はシーリング領域を形成することが特に好ましく、このシーリング領域にタービン及びエネルギー供給ユニットが配置される。エネルギー供給ユニットとタービンとが並んで、且つ回収容器の後側に、特に湿式真空掃除機のシーリング領域において、空間的に近接している好ましい配置のおかげで、湿式真空掃除機内での最適な重量分布が達成され、特にバックパック型真空掃除機がユーザに背負われている場合には、このことは特に好都合である。特に、蓄電池及びタービンなどの「重い」コンポーネントは、この好ましい配置のおかげでユーザの近くにあるため、これらのコンポーネントを離れた場所に配置しても真空掃除機の重量が不必要に増加することはない。
【0017】
本発明によれば、吸込ホースが吸込ホース接続部の領域において入口コネクタによって回収容器に開口することが好ましく、吸込ホース接続部が回収容器の上端の領域に配置される。本発明によれば、ホース入口が回収容器において可能な限り上方に配置されることが極めて特に好ましい。更に、吸込ホース接続部がフィルタユニットと回収容器の上端の略水平に形成されたセクションとの間に配置されることが好ましい場合もある。本発明によれば、吸込ホース接続部が傾斜したシーリング面の領域で回収容器に開口することが特に好ましい。ホース入口の回収容器における可能な限り上方での好ましい配置により、好都合なことに、真空掃除機の傾いた状態においてホースを通じて回収容器から水が流出することが防止される。
【0018】
入口コネクタはディフューザとして設計されることが好ましい。本発明によれば、回収容器の後側が、吸い込まれた水と塵芥との混合物のための偏向壁として機能することが極めて特に好ましい。回収容器側のホース入口開口部は、回収容器の後側に向けられることが好ましく、その結果、真空掃除機によって回収容器内に吸い込まれる塵芥と液体との混合物は、まず回収容器内に略水平に吸い込まれ、回収容器の後側は、混合物を減速又は遅延させるために偏向壁として機能し得る。回収容器の後側を偏向壁として使用することにより、吸い込まれた媒体がフィルタに直接届くことができないことが確保される。このことは、吸い込まれた物質がフィルタの領域に入り込み、フィルタを濡らしたり汚したりすることを防ぐ。特に、塵芥と液体との混合物を略水平に吸い込むことにより、回収容器内の塵芥を最適に分散させることができ、湿式真空掃除機が傾いているときさえも汚泥が回収容器の底部の領域に残るように寄与する。
【0019】
本発明によれば、湿式真空掃除機が、液体と塵芥との混合物の表面を検出するためのプローブを備えることが好ましい。本発明によれば、回収容器の充填量がプローブによって検出され得ることが特に好ましい。換言すれば、プローブは、充填レベルを検出することにより回収容器の充填量を制限するように設計され、必要に応じて対応する措置を導き出すことができる。本発明によれば、プローブによって測定されたデータが湿式真空掃除機の制御装置によって評価され、特に制御装置が回収容器内の測定された充填レベルに応じて適切な措置を開始するように設計されることが極めて特に好ましい。例えば、回収容器の限界充填レベルを超えたこと又は液体と塵芥との混合物がフィルタユニットに近づき過ぎたことをプローブが検知した場合には、吸引プロセスがスイッチオフされるという点において、回収容器内の液体と塵芥との混合物の量がプローブの長さによって制限され得る。
【0020】
本発明によれば、プローブが回収容器内の液体と塵芥との混合物の表面を判定するように設計されることが極めて特に好ましく、これにより液体と塵芥との混合物とフィルタユニットとの間の接触を防止することができる。プローブは液体と塵芥との混合物の表面を検出するために、フィルタの最下点を超えて容器内に突出することが好ましい。本発明によれば、液体と塵芥との混合物の表面は、回収容器の充填レベルとも呼ばれ得、当業者であれば、この充填レベルが本発明の文脈においても傾いている場合があることを知っている。これは、例えば、好ましくはバックパック型真空掃除機として設計された湿式真空掃除機を背負っている湿式真空掃除機のユーザが前屈したときに起こる。本発明によれば、プローブはフィルタユニットの上方及び/若しくは下方又は右及び/若しくは左に配置されることが好ましい。換言すれば、プローブは、フィルタユニットと吸込ホース入口との間に、又はフィルタユニットと回収容器の上端の略水平に形成されたセクションとの間に配置され得る。プローブのこの配置はフィルタユニットの「左」と呼ばれることが好ましい。他方、プローブは、フィルタユニットと回収容器の前側との間に配置され得る。プローブのこの配置はフィルタユニットの「右」と呼ばれることが好ましい。プローブは略半円状の配置を形成することが好ましく、略半円状のプローブ配置の半径は、回収容器のシーリング面に対して略垂直に配置され得る。プローブは、好都合なことに、モータ及び/又はフィルタを保護するために、汚泥又は水と接触するとタービン又は真空掃除機がスイッチオフされることを確保する。
【0021】
本発明によれば、フィルタユニットがプリーツフィルタ(flat fold filter)を備える、又はプリーツフィルタによって形成されることが好ましい。代替的に、本発明によれば、カートリッジフィルタの使用が好ましい場合があり、そのようなカートリッジフィルタは、その内部にボール遮断要素を有し得る。ボール遮断要素は、ボールを備えることが好ましく、このボールは、回収容器の充填レベルが上昇するにつれて水又は汚泥に浮かび、これによりタービンへの入口を塞ぐことができる。
【0022】
本発明によれば、フィルタがポリエステル材料(PES)を備える、又はPESから形成されることが好ましい。特に、フィルタは表面コーティングを有し得る。表面コーティングを備えたPESから作られたフィルタを使用することにより、好都合なことに、水又は汚泥がフィルタを通って湿式真空掃除機のタービン及び/又はモータに滴るのを遅らせることができる。特に、これにより、シーリング面の上方にあるシーリング領域内への水分及び汚泥の侵入が防止される。本発明の文脈では、特に、吸引動作以外では例えば10分間水を通さないユニバーサルフィルタを使用することが可能である。
【0023】
湿式真空掃除機の真空掃除機ヘッドと回収容器との間のシーリングは、ゴム製シールによって、且つヘッドを容器に押し付けることによって実現され得ることが好ましい。特に、スポンジゴムがゴム製シールの材料として使用され得る。シールは、クランプ用のトグルレバーを引っ張り込むためのヒンジとして具現化され得ることが好ましい。真空掃除機ヘッドは、ユーザ側に対応することが好ましいタービン側に取り付けられ、シールにできるだけ高い均一な圧力をかけるために、1つ又は複数のトグルレバーによって容器にクランプされ得ることが好ましい。このことは、容器と真空掃除機ヘッドとの間に特に良好なシールを確保する。
【0024】
更なる利点は、以下の図面の説明から明らかになる。図面、説明、及び特許請求の範囲は、多数の特徴を組み合わせて含む。当業者もまた、適宜、特徴を個別に検討し、それらを組み合わせて、好都合な更なる組み合わせを形成するはずである。
【0025】
図面では、同一の構成要素及び同一のタイプの構成要素は、同一の参照符号によって示されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図2a】湿式真空掃除機の好ましい構成の様々な傾斜した状態を示す。
【
図2b】湿式真空掃除機の好ましい構成の様々な傾斜した状態を示す。
【
図2c】湿式真空掃除機の好ましい構成の様々な傾斜した状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、提案される湿式真空掃除機(1)の好ましい構成の側面図を示している。特にポータブルバックパック型真空掃除機として設計された湿式真空掃除機(1)を示している。湿式真空掃除機(1)はユーザが背負うことができ、
図1に示す本発明の好ましい実施形態は、湿式真空掃除機(1)を背負うのを支援する又は容易にする背負紐(17)を備える。湿式真空掃除機(1)は回収容器(2)を備え、回収容器内には湿式真空掃除機(1)によって吸込ホース(12)を通して以前に吸い込まれた液体と塵芥との混合物(3、
図2参照)又は汚泥(3、
図2参照)が回収され得る。汚泥(3)は、吸込ホース接続部(13)を経由して回収容器(2)に入り、吸込ホース(12)は、回収容器(2)に入るその領域に、特に入口コネクタ(14)を備える。入口コネクタ(14)は、ディフューザとして設計され得ることが好ましく、入口コネクタ(14)の開口部は、回収容器(2)の後側(8)に対して略平行に形成される。その結果、回収容器(2)の後側(8)は、吸い込まれた液体と塵芥との混合物(3)のための偏向壁として機能し得る。
【0028】
回収容器(2)は湿式真空掃除機(1)の下方領域を形成することが好ましい。回収容器(2)は上部において上端(4)によって境界を定められることが好ましく、上端(4)は、湿式真空掃除機(1)の上方領域に対して境界を更に形成する。本発明によれば、湿式真空掃除機(1)の上方領域はシーリング領域と呼ばれることが好ましい。上端(4)は2つのセクション(5、7)によって形成されることが好ましく、略水平に形成されたセクション(7)は、回収容器(2)の後側(8)の方向に向けられる一方、傾斜したシーリング面(5)は、回収容器(2)の前側の方向に向けられる。回収容器(2)の上端(4)の略水平に形成されたセクション(7)は、湿式真空掃除機の回収容器(2)の平坦な底面に対して略水平に形成されることが好ましい。回収容器(2)の略水平に形成された上縁部(4)により、特に、回収容器(2)内の回収された汚泥(3)がシーリング面(5)又はフィルタユニット(6)を水浸しにしたり、吸込ホース(12)に入り込んだりすることなく、湿式真空掃除機(1)の傾斜角度を特に大きくすることができる。
【0029】
シーリング面(5)は回収容器(2)の上端(4)の第2のセクションを形成することが好ましい。シーリング面(5)は、フィルタユニット(6)は、特に、汚泥(3)との接触から保護されるべき、湿式真空掃除機(1)のフィルタユニット(6)を備える。このことを確実にするために、湿式真空掃除機(1)はプローブ(15)を備え、プローブ(15)によって、回収容器(2)における汚泥(3)の充填レベルが測定され得る。プローブ(15)は略半円状の配置を形成することが好ましく、その最下点は回収容器(2)に突出し、汚泥(3)と接触すると、湿式真空掃除機(1)の制御装置(図示せず)によって評価され得る信号を出力する。本発明によれば、例えば、プローブ(15)が汚泥(3)と接触している場合、又はリスクを抱える若しくは危険であると分類される塵芥と液体との混合物(3)の充填レベルを検出した場合、湿式真空掃除機(1)が自動的にスイッチオフされることが好ましい場合がある。例えばシーリング面(5)においてフィルタユニット(6)を取り囲むプローブ(15)を設けることにより、フィルタユニット(6)が汚泥(3)と接触するのを防ぐことが可能になる。このような接触は、フィルタ(6)の浸漬に起因してシーリング面(5)の上方の空間に汚泥(3)又は液体(3)が入り込む原因になり得る。このような望ましくない浸漬は、傾斜したシーリング面(5)におけるフィルタユニット(6)の配置に起因して効果的に防止され、回収容器(2)の上方に配置された密閉空間内のコンポーネントが、水及び汚泥(3)から効果的に保護される。タービン(11)及びエネルギー供給ユニット(10)が、特に、回収容器(2)の上方に配置された密閉空間に配置される(側面図ではどちらか一方しか見えていない)。タービン(11)及びエネルギー供給ユニット(10)は、回収容器(2)の上端(4)の略水平に形成されたセクションの上方に配置されることが好ましく、タービン(11)及びエネルギー供給ユニット(10)は、特に、密閉空間内に並んで配置され得る。
【0030】
フィルタユニット(6)の上方に配置され、且つ流れの観点からはフィルタユニット(6)の後に配置されるフィルタ洗浄ユニット(9)は、回収容器(2)の上方に配置された密閉空間に突出しており、APFCモジュールとも呼ばれる。この洗浄ユニットはまた、シーリング面(5)及びその内部に収容されるフィルタユニット(6)によって、汚泥(3)及び水から保護される。更に、湿式真空掃除機(1)はジャイロセンサ(16)を有し得る。
【0031】
図2は、湿式真空掃除機(1)の好ましい構成の様々な傾斜した状態を示している。
図2aは、湿式真空掃除機(1)を直立した状態で示している。この姿勢では、例えば湿式真空掃除機(1)は、前屈、後屈、どちら側にも側屈していない、直立したユーザによって背負われている。よって、すべての傾斜角はゼロ度であり、
図2aに示す湿式真空掃除機(1)は許容される傾斜した状態にあり、
図2aに示す湿式真空掃除機(1)の直立状態は許容される状態の特別な状態を表す。許容される傾斜した状態では、提案されるコンポーネント配置によって、フィルタユニット(6)が完全には軟化せず、回収容器(2)から水又は汚泥(3)がシーリング面(5)の上方の密閉空間内又は吸込ホース(12)内に出てこないようにすることを確保することが可能である。
図2aの使用の場合、液体と塵芥との混合物(3)の充填レベルは、半円状の配置を形成することが好ましいプローブ(15)の下方にある。プローブ(15)は、傾斜したシーリング面(5)に配置されたフィルタユニット(6)を囲むことが好ましい。
【0032】
図2bも、許容される傾斜した状態を示しており、例えば、
図2bに示す例では、湿式真空掃除機(1)が40度だけ前方に傾斜している。その結果、回収容器(2)が斜めの姿勢になり、汚泥(3)も回収容器(2)内で斜めの充填レベル面を形成することになる。
図2bに示す例では、汚泥(3)の充填レベルがプローブ(15)のすぐ下方にあり、プローブ(15)は、汚泥(3)の充填レベルを検知し得る、又は液体と塵芥との混合物(3)に接触した場合に信号を出力し得る。
図2bに示す湿式真空掃除機(1)の前傾の場合の汚泥(3)の充填レベルは、フィルタユニット(6)に到達するには不十分であることが明確に分かる。更に、
図2bに示す許容される傾斜した状態では、汚泥(3)は吸込ホース(12)に入り込まない。回収容器(2)の上側(4)の略水平に形成されたセクション(7)は、シーリング面(5)と共に、タービン(10)及びエネルギー供給ユニット(10)を汚泥(3)から更に保護する。
【0033】
図2cは、湿式真空掃除機(1)の傾斜した状態のうち許容される状態と許容されない状態との間の移行を示している。
図2cに示す本発明の例示的な実施形態の場合では、「前方」空間方向に90度だけ傾いており、依然として許容される傾斜した状態を表しているに過ぎず、一方、より大きな傾斜角を持つ傾斜した状態は、禁止された傾斜した状態を表し、その際、湿式真空掃除機(1)は自動的にスイッチオフされる。許容されない湿式真空掃除機(1)の傾斜した状態では、例えば、汚泥(3)が吸込ホース(12)に入り込み得る。
図2cは、湿式真空掃除機(1)が明確に前傾しているにもかかわらず、シーリング面(5)の傾斜によってフィルタユニット(6)が汚泥(3)と接触しないように保護され続けていることを明確に示している。
図2cに示す湿式真空掃除機(1)の傾斜した状態は、例えば湿式真空掃除機(1)を背負っているユーザが大きく前屈したときに想定される。湿式真空掃除機(1)は、許容されない傾斜した状態が想定される場合、タービン(11)がスイッチオフされて、吸引プロセスが終了されるように設計されることが好ましい。これにより、湿式真空掃除機(1)のモータ及びフィルタ(6)が水分、汚染物質、及び損傷から保護され得る。許容されない他の状態は、例えば、側方又は後方への激しい傾きによって想定され得る。また、ユーザは側方にも前方にも後方にも曲がることが可能であり得る。提案される湿式真空掃除機(1)は、重複する傾斜した状態を扱うように、またタービン(11)、フィルタ(6)、洗浄ユニット(9)、及び/又はモータなどの湿式真空掃除機(1)の繊細なコンポーネントにリスクがある場合には、タービン(11)のスイッチをオフにしたり、吸引プロセスを終了したりするように設計されることが好ましい。
【符号の説明】
【0034】
1 湿式真空掃除機
2 回収容器
3 液体と塵芥との混合物/汚泥
4 回収容器の上端
5 シーリング面
6 フィルタユニット
7 略水平に形成されたセクション
8 後側
9 フィルタ洗浄モジュール
10 エネルギー供給ユニット
11 タービン
12 吸込ホース
13 吸込ホース接続部
14 入口コネクタ
15 プローブ
16 ジャイロセンサ
17 背負紐