(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】コレクターボタン、及びこのようなコレクターボタンを腕時計ケースに組み付ける方法
(51)【国際特許分類】
G04B 37/08 20060101AFI20231106BHJP
G04C 9/00 20060101ALI20231106BHJP
G04D 1/06 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
G04B37/08 Z
G04C9/00 Z
G04D1/06
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022154458
(22)【出願日】2022-09-28
【審査請求日】2022-09-28
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】508289992
【氏名又は名称】メコ・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ヴァロン・ホティ
(72)【発明者】
【氏名】レミ・ティリ
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・ガイザー
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-45483(JP,A)
【文献】特開2014-122899(JP,A)
【文献】国際公開第2007/113723(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04B 1/00-99/00
G04C 9/00
G04D 1/06
G04G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腕時計ケース(200)のためのコレクターボタン(100)であって:
‐回転軸(X‐X)のソケット(110)であって、腕時計ケース(200)へのねじ込みによる取り付けのために構成された部分(12a)の外側リム上に配設されたねじ山(11)を有し、また前記ソケット(110)の第1の端部(13)と前記ソケット(110)の第2の端部(12b)との間に延在するキャビティ(70)を有する、ソケット(110);
‐前記ソケット(110)の前記キャビティ(70)に係合し、前記回転軸(X‐X)に沿って並進移動できる、可動式制御ロッド(120)であって、前記可動式制御ロッド(120)は、回転駆動部材(23)を有するプッシュロッド(20)と、前記プッシュロッド(20)に堅固に接続されたプッシュボタン(30)とを備える、可動式制御ロッド(120)
を備え、
前記キャビティ(70)は多角形断面の部分(16)を有し、前記可動式制御ロッド(120)の前記プッシュロッド(20)は、前記回転駆動部材(23)による前記プッシュロッド(20)の回転が前記ソケット(110)の回転を駆動するように、前記キャビティ(70)の前記多角形断面の部分(16)に対して相補的な多角形断面を有する部分を備える、腕時計ケース(200)のためのコレクターボタン(100)。
【請求項2】
前記プッシュロッド(20)は、前記プッシュロッド(20)の第1の端部を形成するプッシュロッドヘッド(22)を備え、前記プッシュロッドヘッド(22)は、前記プッシュロッド(20)の前記回転駆動部材を形成する凹部(23)を備える請求項1に記載の腕時計ケース(200)のためのコレクターボタン(100)。
【請求項3】
前記凹部(23)は、駆動ツール(220)のオス型部品(221)と協働できるスロットである、請求項2に記載の腕時計ケース(200)のためのコレクターボタン(100)。
【請求項4】
前記プッシュロッド(20)は、前記プッシュボタン(30)で駆動される、請求項1に記載の腕時計ケース(200)のためのコレクターボタン(100)。
【請求項5】
前記プッシュボタン(30)は、封止部材(40)を受承するよう構成された環状溝(31)を備え、前記封止部材は、前記プッシュボタン(30)と前記ソケット(110)との間の封止を保証する、請求項1に記載の腕時計ケース(200)のためのコレクターボタン(100)。
【請求項6】
前記プッシュボタン(30)は、その上面(33)に、ツールの一方の端部の位置決めを容易にするために構成された凹部(32)を備える、請求項1に記載の腕時計ケース(200)のためのコレクターボタン(100)。
【請求項7】
前記プッシュボタン(30)の前記凹部(32)は円錐状である、請求項6に記載の腕時計ケース(200)のためのコレクターボタン(100)。
【請求項8】
前記可動式制御ロッド(120)を静止位置に再位置決めするための復帰部材(56)を備え、前記復帰部材(56)は、前記プッシュボタン(30)に配設された第1の固定式の当接部(17)と第2の可動式の当接部(36)との間に配置される、請求項1に記載の腕時計ケース(200)のためのコレクターボタン(100)。
【請求項9】
前記固定式の当接部(17)は、前記ソケット(110)の前記キャビティ(70)に配設された底部によって形成される、請求項8に記載の腕時計ケース(200)のためのコレクターボタン(100)。
【請求項10】
前記ソケット(110)の、前記外側リム上に配設された前記ねじ山(11)を備える前記部分(12a)は、前記ソケット(110)の前記第1の端部(13)と前記ソケット(110)の前記第2の端部(12b)との間に位置決めされた中間部分(12a)である、請求項1に記載の腕時計ケース(200)のためのコレクターボタン(100)。
【請求項11】
前記ソケット(110)の前記部分(12a)の前記外側リム上に配設された前記ねじ山(11)は、右方向の刻みを有する、請求項1に記載の腕時計ケース(200)のためのコレクターボタン(100)。
【請求項12】
ねじ付き部分を有する受け(211)を有するミドルケース(210)と、コレクターボタン(100)とを備える、腕時計ケース(200)であって、前記コレクターボタン(100)は:
‐回転軸(X‐X)のソケット(110)であって、腕時計ケース(200)へのねじ込みによる取り付けのために構成された部分(12a)の外側リム上に配設されたねじ山(11)を有し、また前記ソケット(110)の第1の端部(13)と前記ソケット(110)の第2の端部(12b)との間に延在するキャビティ(70)を有する、ソケット(110);
‐前記ソケット(110)の前記キャビティ(70)に係合し、前記回転軸(X‐X)に沿って並進移動できる、可動式制御ロッド(120)であって、前記可動式制御ロッド(120)は、回転駆動部材(23)を有するプッシュロッド(20)と、前記プッシュロッド(20)に堅固に接続されたプッシュボタン(30)とを備える、可動式制御ロッド(120)
を備え、
前記キャビティ(70)は多角形断面の部分(16)を有し、前記可動式制御ロッド(120)の前記プッシュロッド(20)は、前記回転駆動部材(23)による前記プッシュロッド(20)の回転が前記ソケット(110)の回転を駆動するように、前記キャビティ(70)の前記多角形断面の部分(16)に対して相補的な多角形断面を有する部分を備え、
前記コレクターボタン(100)は前記ミドルケース(210)の前記受け(211)にねじ込まれる、腕時計ケース(200)。
【請求項13】
前記コレクターボタン(100)は、前記ミドルケース(210)に埋め込まれる、請求項12に記載の腕時計ケース(200)。
【請求項14】
コレクターボタン(100)を腕時計ケース(200)と組み立てるための方法であって、前記コレクターボタン(100)は:
‐回転軸(X‐X)のソケット(110)であって、腕時計ケース(200)へのねじ込みによる取り付けのために構成された部分(12a)の外側リム上に配設されたねじ山(11)を有し、また前記ソケット(110)の第1の端部(13)と前記ソケット(110)の第2の端部(12b)との間に延在するキャビティ(70)を有する、ソケット(110);
‐前記ソケット(110)の前記キャビティ(70)に係合し、前記回転軸(X‐X)に沿って並進移動できる、可動式制御ロッド(120)であって、前記可動式制御ロッド(120)は、回転駆動部材(23)を有するプッシュロッド(20)と、前記プッシュロッド(20)に堅固に接続されたプッシュボタン(30)とを備える、可動式制御ロッド(120)
を備え、
前記キャビティ(70)は多角形断面の部分(16)を有し、前記可動式制御ロッド(120)の前記プッシュロッド(20)は、前記回転駆動部材(23)による前記プッシュロッド(20)の回転が前記ソケット(110)の回転を駆動するように、前記キャビティ(70)の前記多角形断面の部分(16)に対して相補的な多角形断面を有する部分を備え、
前記方法は、ねじ付き部分を有し、かつ前記腕時計ケース(200)のミドルケース(210)に配設された受け(211)に、前記コレクターボタン(100)をねじ込むステップを含み、前記ねじ込みステップは、回転ツール(220)を前記腕時計ケース(200)の内部に挿入することによって実施され、前記回転ツール(220)は、前記回転ツール(220)を前記回転駆動部材(23)に係合させることによって前記プッシュロッド(20)に作用し、前記プッシュロッド(20)の回転により、前記ソケット(110)の回転、及び前記コレクターボタン(100)のねじ込みが推進される、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野は、腕時計ケースのミドルケース(胴部)に埋め込まれた、コレクターとしても知られる小型の腕時計のコレクターボタン、及び腕時計ケースへのこのようなコレクターボタンの取り付けに関する。
【背景技術】
【0002】
一部の腕時計、特に複数の複雑機構を備えた腕時計は、単一の巻き上げ及び補正用クラウンを用いて全てを補正することが不可能なほど多数の機能をユーザに提供する。そのため、このような腕時計はコレクターボタン等の追加の補正手段を備える。
【0003】
コレクターボタンは典型的には小型のプッシュボタンであり、これは腕時計のミドルケースに埋め込まれており、通常は小さな、また一般に先端が尖った器具を用いて作動させられる。
【0004】
コレクターとしても知られるこれらのコレクターボタンは従来、腕時計のミドルケースに形成された開口に打ち込まれた、接着された、又はねじ込まれたアウターソケットと、上記ソケット内で自由に摺動することで時計ムーブメントの制御を起動できる円筒状制御ロッドとを備える。
【0005】
これらのコレクターボタンによる補正操作は従来、復帰要素の復帰力に対抗して、先端が尖った器具を用いて制御ロッドをソケット内へと押し込むことによって、実施される。
【0006】
これらのコレクターボタンは寸法が削減されているため、スペースを節約でき、特にプッシュボタンタイプの制御に比べて容易にミドルケースに取り付けることができる。更にこれらのコレクターボタンは、ミドルケースの表面から突出しないため、意図せず作動し得ないという利点を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらのコレクターボタンは寸法が削減されているものの、ミドルケース上にこれらを増やすと取り付けの問題が発生する可能性がある。従って、これらのコレクターボタンをより容易に実装できるように、更に小型化する必要がある。
【0008】
更にこれらの小型コレクターボタンは、腕時計ケースのミドルケースへの組み付けが困難である場合がある。従って、多数の複雑機構を備える腕時計においてこれらを増やすと、腕時計の組み立てがより複雑になる。従って、これらのコレクターボタンを取り付ける方法の簡素化及び改善も必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この文脈において、本発明は、上述のようなコレクターボタンの取り付け/取り外しの方法を簡素化し、保守作業を容易にすることができる、新規のコレクターボタンのアーキテクチャを提供する。
【0010】
本発明による新規のコレクターボタンのアーキテクチャにより、完成状態で供給されたコレクターボタンのモジュール式の取り付けが可能となり、上記コレクターボタンの機能特性は、腕時計ケースのミドルケースへの取り付け前に、上記コレクターボタンの製造工場によって事前に試験されている。
【0011】
本発明による新規のコレクターボタンのアーキテクチャにより、上述のようなコレクターボタンを取り付ける方法を簡素化して、ミドルケースへの迅速な取り付けを1回の操作で可能とすることができる。
【0012】
また、本発明によるコレクターボタンにより、従来技術から公知の解決策に比べて厚さが薄いミドルケースに、コレクターボタンを埋め込むことができる。
【0013】
この目的のために、本発明は:
‐回転軸のソケットであって、腕時計ケースへのねじ込みによる取り付けのために構成された部分の外側リム上に配設されたねじ山を有し、また上記ソケットの第1の端部と上記ソケットの第2の端部との間に延在するキャビティを有する、ソケット;
‐上記ソケットの上記キャビティに係合し、上記回転軸に沿って並進移動できる、可動式制御ロッドであって、上記可動式制御ロッドは、回転駆動部材を有するプッシュロッドと、上記プッシュロッドに連動するプッシュボタンとを備える、可動式制御ロッド
を備える、腕時計ケースのコレクターボタンに関し、上記コレクターボタンは、上記キャビティが多角形断面の部分を有すること、及び上記回転駆動部材による上記プッシュロッドの回転が上記ソケットの回転を駆動するように、上記可動式制御ロッドの上記プッシュロッドが、上記キャビティの上記多角形断面の部分に対して相補的な多角形断面を有する部分を備えることを特徴とする。
【0014】
前段落に記載の特徴に加えて、本発明によるコレクターボタンは、以下の更なる特徴のうちの1つ以上を有することができ、これらの追加の特徴は、個別に、又は技術的に可能ないずれの組み合わせに従って、考慮される:
‐上記プッシュロッドは、上記プッシュロッドの第1の端部を形成するプッシュロッドヘッドを備え、上記プッシュロッドヘッドは、上記プッシュロッドの上記回転駆動部材を形成する凹部を備え;
‐上記凹部は、駆動ツールのオス型部品と協働できるスロットであり;
‐上記プッシュロッドは、上記プッシュボタンで駆動され;
‐上記プッシュボタンは、封止部材を受承するよう構成された環状溝を備え、上記封止部材は、上記プッシュボタンと上記ソケットとの間の封止を保証し;
‐上記プッシュボタンは、その上面に、ツールの一方の端部の位置決めを容易にするために構成された凹部を備え;
‐上記プッシュボタンの上記凹部は円錐状であり;
‐上記コレクターボタンは、上記可動式制御ロッドを静止位置に再位置決めするための復帰部材を備え、上記復帰部材は、上記プッシュボタンに配設された第1の固定式の当接部と第2の可動式の当接部との間に配置され;
‐上記固定式の当接部は、上記ソケットの上記キャビティに配設された底部によって形成され;
‐上記ソケットの、上記外側リム上に配設された上記ねじ山を備える上記部分は、上記ソケットの上記第1の端部と上記ソケットの上記第2の端部との間に位置決めされた中間部分であり;
‐上記ソケットの上記部分の上記外側リム上に配設された上記ねじ山は、右方向の刻みを有する。
【0015】
本発明はまた、ねじ付き部分を有する受けと、本発明によるコレクターボタンとを備える腕時計ケースに関し、上記コレクターボタンは上記ミドルケースの上記受けにねじ込まれる。
【0016】
有利には、上記コレクターボタンは、上記ミドルケースから突出しないように上記ミドルケースに埋め込まれる。
【0017】
本発明はまた、本発明によるコレクターボタンを腕時計ケースに組み付ける方法に関する。上記組み付け方法は、ねじ付き部分を有し、かつ上記腕時計ケースのミドルケースに配設された受けに、上記コレクターボタンをねじ込むステップを含み、このねじ込みステップは、回転ツールを上記腕時計ケースの内部に挿入することによって実施され、上記回転ツールは、上記回転ツールを回転駆動部材に係合させることによって上記プッシュロッドに作用し、上記プッシュロッドの回転により、上記ソケットの回転、及び上記コレクターボタンのねじ込みが推進される。
【0018】
本発明の目的、利点、及び特徴は、以下の図面を参照した以下の詳細な説明を読むと明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明によるコレクターボタンのある実施形態の斜視図を示す。
【
図2】
図2は、
図1に示されているコレクターボタンの実施形態の上面図を示す。
【
図3】
図3は、静止位置における、
図1に示されている実施形態の部分矢状断面図を示す。
【
図4】
図4は、起動位置における、
図1に示されている実施形態の部分矢状断面図を示す。
【
図5】
図5は、
図1に示されているコレクターボタンの実施形態の、
図3に示されている軸A‐Aに沿った横断面図を示す。
【
図6】
図6は、
図1に示されているコレクターボタンの実施形態の、腕時計ケースへの取り付けを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
全ての図面において、特段の記載がない限り、共通の要素は共通の参照番号を有する。
【0021】
図1は、本発明によるコレクターボタン100のある実施形態を、斜視図で示す。
【0022】
図2は、このコレクターボタン100の上面図を示す。
【0023】
図3は、静止位置における、
図1に示されている実施形態の部分矢状断面図を示す。
【0024】
図1~3を参照すると、コレクターボタン100は、管状部品12及びヘッド13を備えるソケット110を備え、このヘッド13はソケット110の第1の端部を形成する。
【0025】
管状部品12は、例えば腕時計ケース200のミドルケース210における、腕時計ケース200への組み付け(
図6に図示)を目的として、ねじ山11を有するねじ山付き部分を有する。
【0026】
この目的のために、腕時計ケース200は、コレクターボタン100のソケット110、より具体的にはソケット110の上記ねじ山付き部分を受承するよう構成された、組み立て手段を備える。腕時計ケースを組み立てるための上記手段は、ねじ付き穴の形状である。
【0027】
ねじ山11は、ソケット110の管状部品12の中間部分12aに配設され、従ってこのねじ山11は、ソケット110の管状部品12の全長Lに沿って形成されない。よって、管状部品12のヘッド13とは反対側の遠位部分12bは、ねじ山を有しない。この遠位部分12bは、ソケット110の第2の端部を形成する。
【0028】
ヘッド13は、管状部品12の直径より大きな直径を有し、これにより肩状部14がヘッド13を管状部品12から隔てる。よって肩状部14は、コレクターボタン100の取り付け時に腕時計ケース200のミドルケース210を取り付けるために、受け211のレリーフ部と接触するよう構成された支持面を形成する。
【0029】
管状のソケット110は、ソケット110の第1の端部とソケット110の第2の端部との間、換言すれば管状部品12のヘッド13と遠位部分12bとの間に延在する、キャビティ70を備える。
【0030】
キャビティ70は:
‐ソケット110の上部に配設され、ソケット110の第1の端部、即ちヘッドにおいて開いている、第1の部分15;及び
‐ソケット110の底部に配設され、ソケット110の第2の端部、特にソケット110の底面18において開いている、第2の部分16
を備える。
【0031】
キャビティ70の上記2つの部分15、16は、ソケット110内で互いに連通しており、異なる断面を有するため、キャビティ70の第1の部分15が底部17を有する。
【0032】
キャビティ70の第1の部分15は、円形断面を有し、ソケット110のヘッド13に開口するブラインドホールに類似している。
【0033】
第1の部分15は基本的に、ソケット110のヘッド13、及び管状部品12のねじ山11を備える中間部分12aに延在する。
【0034】
第1の部分15よりサイズが小さいキャビティ70の第2の部分16は、非円形断面を有する。
【0035】
キャビティ70の第2の部分16は基本的に、管状部品12の遠位部分12b、より詳細にはソケット110の底部17と底面18との間に延在する。
【0036】
コレクターボタン100は更に、ソケット110の回転軸に対応する軸X‐Xに沿って、ソケット110内で摺動する、即ちソケット110の内部で並進移動可能な、可動式制御ロッド120を備える。可動式制御ロッド120は、プッシュボタン30と、上記プッシュボタン30に堅固に接続されたプッシュロッド20とを備える。
【0037】
プッシュロッド20は例えば、プッシュボタン30に打ち込まれる。
【0038】
プッシュボタン30は、プッシュボタン30の上面33に配設された凹部32を備え、この上面33は、コレクターボタン100を腕時計ケース200に取り付けたときにユーザが視認できる面である。凹部32は、コレクターボタン100の操作のためのツールを受承して所定の位置に保持するのを容易にするように適合された形状を有する。
【0039】
例えば凹部32は円錐状であり、これにより、先端が尖ったツールのセンタリングが可能となり、またプッシュボタン30に力を印加する際の上記ツールのいずれの滑りが防止される。
【0040】
プッシュボタン30は、プッシュボタン30のリム上に配設された環状溝31を備える。環状溝31は、封止部材40、例えばOリングタイプのシールを受承するための、受けを形成する。封止部材40は、プッシュボタン30とソケット110の内部との間の封止を保証する。
【0041】
プッシュボタン30は、ユーザが作用することで、キャビティ70の円形断面の第1の部分15内で長手方向に移動するように構成される。
【0042】
プッシュロッド20は、ユーザが可動式制御ロッド120を押し込んだときに、腕時計ケース200の内部に取り付けられたコントロールを作動させるよう構成される。
【0043】
プッシュロッド20は、プッシュロッド本体24と、時計機構のコントロール、レバー、又はその他を作動させることができるプッシュロッドヘッド22とを備える。
【0044】
プッシュロッドヘッド22はまた、プッシュロッド20だけでなくコレクターボタン100を全体として回転させるための部材を備える。プッシュロッドヘッド22は、ねじの頭の形状と同一の形状を有し、従ってプッシュロッドヘッド22は、プッシュロッド本体24、及びソケット110のキャビティ70の第2の部分16よりもわずかに幅広である。
【0045】
プッシュロッドヘッド22は、プッシュロッド20を回転させるための上記部材を形成する凹部23を備え、ここにツール220のオス型端部221を挿入することによって、プッシュロッド20を回転させることができる。有利には、凹部23は、どのような時計師、修理技師、DIY愛好家でも所有できる、一般的で広く市販されているツールに対応する、凹部である。例えば凹部23は、マイナスドライバーの平坦な先端を受承するよう適合されたスロットである。しかしながら凹部23は、十字形又は六芒星状の凹部であってもよい。
【0046】
復帰部材50、例えば戻りばねは、コレクターボタン100のソケット110の内部、より具体的にはソケット110のキャビティ70の円形断面の第1の部分16に格納される。
【0047】
復帰部材50は、可動式制御ロッド120の周囲、より具体的にはプッシュロッド本体24及びプッシュボタン30の底部35の周囲に位置決めされる。
【0048】
復帰部材50は、ソケット110のキャビティ70の第1の部分15の底部17によって形成された、第1の固定式の当接部と、プッシュボタン30のカラー36によって形成された、第2の可動式の当接部との間に延在する傾向を有する。
【0049】
本実施形態では、カラー36は有利には、封止部材40を受承する環状溝31の底部によって形成される。
【0050】
図3は、コレクターボタン100の静止位置を示し、ここでは復帰部材50は圧縮されておらず、プッシュロッドヘッド22は復帰部材50によって、ソケット110の底面18上に支承されるように戻されている。
【0051】
図4は、コレクターボタン100の起動位置を示し、ここでは戻りばね50は、ソケット110のキャビティ70に配設された底部17と、プッシュボタン30のカラー36との間で圧縮される。この構成では、プッシュロッド20はソケット110から突出し、プッシュロッドヘッド22とソケット110の底面18との間の距離は、コレクターボタン100の移動dを表す。
【0052】
軸A‐Aに沿った断面図を示す
図5に示されているように、プッシュロッド本体24は少なくとも1つの、例えば
図5に示されている正方形又は六角形の多角形断面の部分を有する。有利には、プッシュロッド本体24全体が多角形状である。
【0053】
この目的のために、ソケット110のキャビティ70の第2の部分16は、相補的な断面を有する。キャビティ70の第2の部分16の寸法は、軸X‐Xに沿ったプッシュロッド20の軸方向移動が可能となるように決定され、即ち動作の最小限の遊びが形成される。
【0054】
このようにして、プッシュロッド本体24の多角形断面の部分によって、従来のツールでプッシュロッドヘッド22を回転させたときにソケット110を回転させることができるようになる。
【0055】
従って、既に詳述されているように、本発明によるコレクターボタン100により、腕時計ケース200のミドルケース210における、完成品のコレクターボタン100のねじ込みによる取り付けを簡素化及び促進できる。
【0056】
コレクターボタン100の取り付けは以下のように実施される:コレクターボタン100のソケット110を、ミドルケース210の外側を介して、腕時計ケース200の、ねじ付き部分を有する受け211に位置決めする。コレクターボタン100を、ソケット110の管状部品12のねじ山付き中間部分12aに配設されたねじ山11を用いて、ミドルケース210にねじ込む。コレクターボタン100のねじ込みは、従来のツール220、例えばマイナスドライバーを用いて、腕時計ケース200の内側を介して実施される。このために、ツール220のオス型端部221をプッシュロッドヘッド22のメス型凹部23、ここでは例えばスロットに係合させた後、上記ツールを、ミドルケース210のねじ付き部分211を有する受け211のねじ山11の係合を可能にする第1の回転方向に、回転させる。プッシュロッド本体24及びソケット110のキャビティ70の第2の部分16の多角形形状により、プッシュロッドヘッド22に印加された回転がソケット110を回転させ、これによって、ねじ込みによる取り付け、及び腕時計ケース200のミドルケース210上でのねじ締め固定が可能となる。
【0057】
有利には、受け211はコレクターボタン100に対して相補的な形状を有する。より具体的には、受け211は、ソケット110、より具体的にはソケット110の管状部品12をねじ込むためのねじ付き部分と、ソケット110のヘッド13を受承するための皿穴とを有する。皿穴の底部は、ミドルケース210内でのコレクターボタン100の正確な位置決めを容易にして、所望のねじ締め固定を保証するための、位置決め用当接部を形成する、肩状部を形成する。
【0058】
本発明のある具体的実施形態では、ソケット110のねじ山11の刻みは、コレクターボタン100をねじ込む際のツール220の回転方向が従来のねじ込み方向、即ち時計回り方向となるように、右方向となるように選択できる。しかしながら、左方向の刻みも考えられる。
【符号の説明】
【0059】
11 ねじ山
12a ねじ山11を備える部分、中間部分、部分
12b ソケット110の第2の端部
13 ソケット110の第1の端部
16 多角形断面の部分
17 第1の固定式の当接部
20 プッシュロッド
22 プッシュロッドヘッド
23 回転駆動部材、プッシュロッドヘッド22の凹部
30 プッシュボタン
31 環状溝
32 プッシュボタン30の凹部
33 プッシュボタン30の上面
36 第2の可動式の当接部
40 封止部材
56 復帰部材
70 キャビティ
100 コレクターボタン
110 ソケット
120 可動式制御ロッド
200 腕時計ケース
210 ミドルケース
211 受け
220 駆動ツール、回転ツール
221 オス型部品
X‐X 回転軸