(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】風力発電装置のスマートパトロールシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/20 20230101AFI20231106BHJP
G06Q 50/06 20120101ALI20231106BHJP
【FI】
G06Q10/20
G06Q50/06
(21)【出願番号】P 2022182962
(22)【出願日】2022-11-15
【審査請求日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】202210478118.X
(32)【優先日】2022-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520414480
【氏名又は名称】中国長江三峡集団有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 婉
(72)【発明者】
【氏名】尹 ▲崢▼
(72)【発明者】
【氏名】王 斌
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲崢▼瀛
【審査官】山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-015978(JP,A)
【文献】特開2015-162175(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0126582(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109307510(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第113189449(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114375676(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106851567(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
風力発電装置のスマートパトロールシステムであって、
タワー、ブレード及び発電機群を含み、位置ラベルが設けられた風力発電装置と、
撮像モジュール、GPSモジュール、移動制御モジュール、移動計算モジュール及び移動通信モジュールが設けられた無人機と、
プラットフォーム計算モジュールが設けられた制御プラットフォームと、を含み、
前記風力発電装置のスマートパトロールシステムは、
前記移動制御モジュールは前記撮像モジュールを制御して前記位置ラベルのコンテンツを収集し、前記移動計算モジュールは前記風力発電装置の第1位置情報を生成するステップS1と、
前記移動制御モジュールは前記GPSモジュールを制御して前記無人機の第2位置情報を収集するステップS2と、
前記移動計算モジュールは前記第1位置情報と第2位置情報を比較し、前記第1位置情報と前記第2位置情報が同じであると、前記移動通信モジュールは前記第1位置情報を前記プラットフォーム計算モジュールに送信し、前記プラットフォーム計算モジュールは前記第1位置情報を前記風力発電装置の位置とするステップS3と、を含む方法によって前記風力発電装置の測位を実現し、
ステップS3では、前記第1位置情報と前記第2位置情報が異なると、前記移動通信モジュールは前記第1位置情報と第2位置情報の両方を前記プラットフォーム計算モジュールに送信し、前記プラットフォーム計算モジュールは前記第1位置情報と第2位置情報との間の偏差が予め設定された閾値内にあるか否かを解析し、前記偏差が予め設定された閾値内にあると、前記プラットフォーム計算モジュールは前記第1位置情報を前記風力発電装置の位置とし、
前記予め設定された閾値は、
手動パトロール方式により前記偏差のうち前記第1位置が正確な検査検出イベントを選別するステップS1'と、
前記検査検出イベントの偏差の絶対値を昇順でソートするステップS2'と、
所定順位の前記検査検出イベントの偏差の絶対値を選択し、前記予め設定された閾値の区間境界とするステップS3'とによって決定されることを特徴とする風力発電装置のスマートパトロールシステム。
【請求項2】
ステップS3では、前記第1位置情報と前記第2位置情報が異なると、前記移動通信モジュールは前記第1位置情報と第2位置情報の両方を前記プラットフォーム計算モジュールに送信し、前記プラットフォーム計算モジュールは前記第1位置情報と第2位置情報との間の偏差が予め設定された閾値内にあるか否かを解析し、前記偏差が予め設定された閾値内にいないと、前記プラットフォーム計算モジュールは前記第2位置情報を校正することを特徴とする請求項1に記載の風力発電装置のスマートパトロールシステム。
【請求項3】
前記予め設定された閾値は、ウィンドファームの各タワーを中心として、それぞれ等径の二次元円形を作るステップS1''と、
直径を調整して、全ての二次元円形の間に面積が重なる限界値が存在しないようにするステップS2''と、前記直径の限界値の50%~85%を選択し、前記予め設定された閾値の区間境界とするステップS3''と、によって決定されることを特徴とする請求項
1に記載の風力発電装置のスマートパトロールシステム。
【請求項4】
ステップS1では、前記撮像モジュールは第1カメラと、第2カメラとを含み、前記移動制御モジュールは、前記第1カメラと第2カメラのそれぞれを制御して前記位置ラベルのコンテンツを収集し、前記移動計算モジュールは前記風力発電装置の第1位置情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の風力発電装置のスマートパトロールシステム。
【請求項5】
前記位置ラベルは、前記タワーに設けられた第1位置ラベルと、前記ブレードに設けられた第2位置ラベルと、を含み、ステップS1では、前記移動制御モジュールは、前記撮像モジュールのそれぞれを制御して前記第1位置ラベルと第2位置ラベルのコンテンツを収集し、前記移動計算モジュールは前記風力発電装置の第1位置情報を生成することを特徴とする請求項1に記載の風力発電装置のスマートパトロールシステム。
【請求項6】
前記移動計算モジュールは前記風力発電装置の第1位置情報を生成するステップは、
前記撮像モジュールと前記第1位置
ラベルとの間の第1距離を収集し、前記撮像モジュールと前記第2位置
ラベルとの間の第2距離を収集するステップS1-1と、
前記第1距離と前記第2距離のうちの小さい方に対応する位置ラベルを基に、前記風力発電装置の第1位置情報を生成するステップS1-2と、を含むことを特徴とする請求項5に記載の風力発電装置のスマートパトロールシステム。
【請求項7】
前記制御プラットフォームは前記スマートパトロールシステムの動作状態をタイムリーに表示するための表示モジュールをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の風力発電装置のスマートパトロールシステム。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の風力発電装置のスマートパトロールシステムに適用される風力発電装置のスマートパトロール方法であって、
前記移動制御モジュールは前記撮像モジュールを制御して前記位置ラベルのコンテンツを収集し、前記移動計算モジュールは前記風力発電装置の第1位置情報を生成するステップS1と、
前記移動制御モジュールは前記GPSモジュールを制御して前記無人機の第2位置情報を収集するステップS2と、
前記移動計算モジュールは前記第1位置情報と第2位置情報を比較し、前記第1位置情報と前記第2位置情報が同じであると、前記移動通信モジュールは前記第1位置情報を前記プラットフォーム計算モジュールに送信し、前記プラットフォーム計算モジュールは前記第1位置情報を前記風力発電装置の位置とするステップS3と、を含む方法によって風力発電装置の測位を実現することを特徴とする風力発電装置のスマートパトロール方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は風力発電の技術分野に関し、特に風力発電装置のスマートパトロールシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クリーンな再生可能エネルギーである風力エネルギーは大規模な開発、利用の将来性が期待でき、世界の多くの国家は風力エネルギーの開発、利用の推進政策を相次いで発表している。他の新エネルギーに比べ、風力エネルギーは安全で、クリーンで、現場で材料を入手することができ、使い尽くさないという優れた優位性を有し、近年、中国の風力発電量は年々上昇しつつある。
【0003】
風力発電装置の風車ブレードの日常点検はウィンドファームの運用保守の重要なタスクの1つであり、コンピュータビジョン技術、無人航空機技術及び通信技術の急速な発展に伴い、企業は手動作業の代わりに無人機を利用し始め、無人機にカメラ及び通信装置を配置して、コンピュータビジョン技術によって風力ブレードにおける故障部位を知能的に識別し、風力発電装置のスマートパトロールを実現する。従来のスマートパトロールシステムでは、無人機はカメラによって収集されたタワーの特定ラベルを識別することにより、収集対象ブレードがどのタワーに属するかを確認し、これにより工事者の後の保守や交換を容易にする。しかし、風力発電所は通常広い地理的環境に建設され、太陽光の照射強度が高く、カメラがタワーラベルを遠距離で識別する場合は正確度が影響を受けやすく、一方、無人機がわざわざタワーラベル近傍に飛んでラベルを識別するのは点検時間の延長、無人機の燃料の浪費を引き起こしてしまう。また、従来技術において無人機GPS測位モジュールを利用することにより風車の位置を取得する方式も存在するが、風車の運転中に複雑な電磁環境が発生して無人機の測位信号に影響を与えるので、同様に正確な測位情報を取得することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、従来技術に存在する欠点を解決し、風力発電装置の故障部位を迅速かつ正確に識別できるスマートパトロールシステム及び方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1態様は、
タワー、ブレード及び発電機群を含み、位置ラベルが設けられた風力発電装置と、
撮像モジュール、GPSモジュール、移動制御モジュール、移動計算モジュール及び移動通信モジュールが設けられた無人機と、
プラットフォーム計算モジュールが設けられた制御プラットフォームと、を含み、
前記風力発電装置のスマートパトロールシステムは、
前記移動制御モジュールは前記撮像モジュールを制御して前記位置ラベルのコンテンツを収集し、前記移動計算モジュールは前記風力発電装置の第1位置情報を生成するステップS1と、
前記移動制御モジュールは前記GPSモジュールを制御して前記無人機の第2位置情報を収集するステップS2と、
前記移動計算モジュールは前記第1位置情報と第2位置情報を比較し、前記第1位置情報と前記第2位置情報が同じであると、前記移動通信モジュールは前記第1位置情報を前記プラットフォーム計算モジュールに送信し、前記プラットフォーム計算モジュールは前記第1位置情報を前記風力発電装置の位置とするステップS3と、を含む方法によって前記風力発電装置の測位を実現する風力発電装置のスマートパトロールシステムを提供する。
【0006】
任意選択に、本発明に係る風力発電装置のスマートパトロールシステムにおいて、前記ステップS3では、前記第1位置情報と前記第2位置情報が異なると、前記移動通信モジュールは前記第1位置情報と第2位置情報の両方を前記プラットフォーム計算モジュールに送信し、前記プラットフォーム計算モジュールは前記第1位置情報と第2位置情報との間の偏差が予め設定された閾値内にあるか否かを解析し、前記偏差が予め設定された閾値内にあると、前記プラットフォーム計算モジュールは前記第1位置情報を前記風力発電装置の位置とする。
【0007】
任意選択に、本発明に係る風力発電装置のスマートパトロールシステムにおいて、前記ステップS3では、前記第1位置情報と前記第2位置情報が異なると、前記移動通信モジュールは前記第1位置情報と第2位置情報の両方を前記プラットフォーム計算モジュールに送信し、前記プラットフォーム計算モジュールは前記第1位置情報と第2位置情報との間の偏差が予め設定された閾値内にあるか否かを解析し、前記偏差が予め設定された閾値内にいないと、前記プラットフォーム計算モジュールは前記第2位置情報を校正する。
【0008】
任意選択に、本発明に係る風力発電装置のスマートパトロールシステムにおいて、前記予め設定された閾値は、手動パトロール方式により前記偏差のうち前記第1位置が正確な検査検出イベントを選別するステップS1'と、前記検査検出イベントの偏差の絶対値を昇順でソートするステップS2'と、所定順位の前記検査検出イベントの偏差の絶対値を選択し、前記予め設定された閾値の区間境界とするステップS3'と、によって決定される。
【0009】
任意選択に、本発明に係る風力発電装置のスマートパトロールシステムにおいて、
前記予め設定された閾値は、ウィンドファームの各タワーを中心として、それぞれ等径の二次元円形を作るステップS1''と、前記直径を調整して、全ての二次元円形の間に面積が重なる限界値が存在しないようにするステップS2''と、前記直径の前記限界値の50%~85%を、前記予め設定された閾値の区間境界とするステップS3''と、によって決定される。
【0010】
任意選択に、本発明に係る風力発電装置のスマートパトロールシステムにおいて、前記ステップS1では、前記撮像モジュールは第1カメラと、第2カメラとを含み、前記移動制御モジュールは、前記第1カメラと第2カメラのそれぞれを制御して前記第1位置ラベルのコンテンツを収集し、前記移動計算モジュールは前記風力発電装置の第1位置情報を生成する。
【0011】
任意選択に、本発明に係る風力発電装置のスマートパトロールシステムにおいて、前記位置ラベルは、前記タワーに設けられた第1位置ラベルと、前記ブレードに設けられた第2位置ラベルと、を含み、前記ステップS1では、前記移動制御モジュールは、前記撮像モジュールのそれぞれを制御して前記第1位置ラベルと第2位置ラベルのコンテンツを収集し、前記移動計算モジュールは前記風力発電装置の第1位置情報を生成する。
【0012】
任意選択に、本発明に係る風力発電装置のスマートパトロールシステムにおいて、前記移動計算モジュールは前記風力発電装置の第1位置情報を生成するステップは、前記撮像モジュールと前記第1位置情報との間の第1距離を収集し、前記撮像モジュールと前記第2位置情報との間の第2距離を収集するステップS1-1と、前記第1距離と前記第2距離のうちの小さい方に対応する位置ラベルを基に、前記風力発電装置の第1位置情報を生成するステップS1-2と、を含む。
【0013】
任意選択に、本発明に係る風力発電装置のスマートパトロールシステムにおいて、前記制御プラットフォームは前記スマートパトロールシステムの動作状態をタイムリーに表示するための表示モジュールをさらに含む。
【0014】
本発明の第2態様は、本発明の第1態様に係る風力発電装置のスマートパトロール装置に適用され、
前記移動制御モジュールは前記撮像モジュールを制御して前記位置ラベルのコンテンツを収集し、前記移動計算モジュールは前記風力発電装置の第1位置情報を生成するステップS1と、
前記移動制御モジュールは前記GPSモジュールを制御して前記無人機の第2位置情報を収集するステップS2と、
前記移動計算モジュールは前記第1位置情報と第2位置情報を比較し、前記第1位置情報と前記第2位置情報が同じであると、前記移動通信モジュールは前記第1位置情報を前記プラットフォーム計算モジュールに送信し、前記プラットフォーム計算モジュールは前記第1位置情報を前記風力発電装置の位置とするステップS3と、を含む方法によって風力発電装置の測位を実現する風力発電装置のスマートパトロール方法を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、撮像モジュールによって位置ラベルを識別することで、風力発電装置の位置を特定する上、GPS位置識別方式を増設し、2種類の測位方式で同期して動作し、且つ、2種類の測位方式の測位偏差の度合いに従って、撮像モジュールによる位置ラベル識別方式の測位精度をチェックする。撮像モジュールによる位置ラベル識別方式の測位結果とGPS位置識別方式の測位結果が一致する場合、撮像モジュールによる位置ラベル識別方式で得られた測位結果を用い、無人機を制御して位置ラベルの近傍に飛着する必要がなく、画像識別作業を遠隔で行うだけで十分であり、GPS方式で校正を行うため、撮像モジュールが位置ラベルから離れすぎることにより位置識別が不正確になることを心配する必要もなく、また、GPS測位のみを使用する場合の風車による電磁環境の干渉も回避され、故障したブレードの属する風力発電装置の特定速度と精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
本発明の具体的な実施形態又は従来技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下は具体的な実施形態又は従来技術の説明に使用する必要がある図面を簡単に紹介し、明らかに、以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施形態であり、当業者にとって、創造的な労働をしない前提で、さらにこれらの図面に基づいて他の図面を得ることができる。
【0017】
【
図1】本発明の風力発電装置のスマートパトロールシステムの構成概略図である。
【
図2】本発明の風力発電装置の測位方法の第1実施例のフローチャートである。
【
図3】本発明の風力発電装置の測位方法の第2実施例のフローチャートである。
【
図4】本発明の風力発電装置の測位方法の第3実施例のフローチャートである。
【
図5】本発明の風力発電装置の測位方法の第4実施例のフローチャートである。
【
図6】本発明の風力発電装置の測位方法の第5実施例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の技術的解決手段を明瞭で、完全に説明し、明らかに、説明される実施例は本発明の一部の実施例に過ぎず、全ての実施例ではない。
【0019】
一般には、本明細書で説明され、示される本発明の実施例のコンポーネントは、様々な異なる構成で配置され、設計され得る。したがって、図面に提供される本発明の実施例の以下の詳細な説明は、保護が請求される本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、単に本発明の特定実施例を示すものである。
【0020】
本発明における実施例に基づいて、当業者が創造的な労働を必要とせずに得られた全ての別の実施例は、本発明の特許範囲に属する。
【0021】
図1に示すように、本発明の風力発電装置のスマートパトロールシステムは風力発電装置、無人機及び制御プラットフォームという3つの部分で構成され、風力発電装置はタワー、ブレード及び発電機群を含み、風力発電装置に第1位置ラベルが設けられ、ブレードに第2位置ラベルが設けられ、第1位置ラベル及び第2位置ラベルは二次元コード、バーコード、図形又は文字であってもよく、所属する風力発電装置の唯一の位置情報を示すことに用いられる。
【0022】
無人機に撮像モジュール、GPSモジュール、移動制御モジュール、移動計算モジュール及び移動通信モジュールが搭載され、撮像モジュールは位置ラベル情報を収集することに用いられ、GPSモジュールは同様に風力発電装置の位置情報を取得することに用いられ、移動制御モジュールは無人機及び各モジュールに制御命令を送信することに用いられ、移動計算モジュールは収集された位置情報を計算、解析することに用いられ、移動通信モジュールは情報を制御プラットフォームに送信したり、制御プラットフォームから情報を受信したりすることに用いられる。
【0023】
プラットフォーム計算モジュールと表示モジュールが設けられた制御プラットフォームをさらに含み、プラットフォーム計算モジュールは無人機から受信した収集情報を計算、解析することに用いられ、表示モジュールは前記スマートパトロールシステムの動作状態をタイムリーに表示することに用いられる。
【0024】
本発明の第1実施例によれば、
図2に示すように、スマートパトロールシステムは以下のステップS1~ステップS3を含む方法によって前記風力発電装置の測位を実現する。
【0025】
S1、前記移動制御モジュールは前記撮像モジュールを制御して前記位置ラベルのコンテンツを収集し、前記移動計算モジュールは前記風力発電装置の第1位置情報を生成する。位置ラベルは第1位置ラベル及び第2位置ラベルを含み、第1位置ラベルは前記タワーに設けられ、一般的にタワーの中下部に設けられ、地面での手動識別を容易にし、前記第2位置ラベルは前記ブレードに設けられ、一枚のブレードに設けられてもよく、ブレードごとに設けられてもよい。理解されるように、第1位置ラベルに比べ、第2位置ラベルは無人機からの直線距離がより小さく、直接識別精度がより高い。
【0026】
S2、前記移動制御モジュールは前記GPSモジュールを制御して前記無人機の第2位置情報を収集する。GPS測位方式は、ドリフトの問題が存在するため、特に各風力発電装置の間の距離が近い風力発電シーンにおいて、単独して使用すると、GPS測位エラーが発生しやすく、そのため、本発明はGPSと視覚を組み合せた方式を採用して風力発電装置の測位を行う。
【0027】
S3、前記移動計算モジュールは前記第1位置情報と第2位置情報を比較し、前記第1位置情報と前記第2位置情報が同じであると、前記移動通信モジュールは前記第1位置情報を前記プラットフォーム計算モジュールに送信し、前記プラットフォーム計算モジュールは前記第1位置情報を前記風力発電装置の位置とする。視覚とGPSの2種の方式の測位結果が一致する場合、測位が大体正確であると確認することができ、データ処理の速度をさらに向上させるために、無人機自体に配置された移動計算モジュールを用いて第1位置情報と第2位置情報を比較し、比較結果のみを制御プラットフォームに伝送する。
【0028】
本発明の第2実施例によれば、
図3に示すように、前記第1位置情報と前記第2位置情報が異なると、前記移動通信モジュールは前記第1位置情報と第2位置情報の両方を前記プラットフォーム計算モジュールに送信し、前記プラットフォーム計算モジュールは前記第1位置情報と第2位置情報との間の偏差が予め設定された閾値内にあるか否かを解析し、前記偏差が予め設定された閾値内にあると、前記プラットフォーム計算モジュールは前記第1位置情報を前記風力発電装置の位置とする。第1位置情報と前記第2位置情報が異なると、視覚方式又はGPS方式のうち少なくとも一方の測位エラーが発生したことを示し、この場合、両者に対して差分演算を行い、差分が予め設定された閾値条件を満たすか否かを判断し、予め設定された閾値の設定、及び偏差値と予め設定された閾値との比較は計算力に対する要求が高いため、制御プラットフォームのプラットフォーム計算モジュールを利用して計算評価を行い、偏差が閾値範囲内にある場合、自動パトロール測位精度の向上と手動パトロールコストの向上とのバランスを考慮して、総合的に計算すれば、第1位置情報が風力発電装置の位置であることが最適解決手段と考えられる。
【0029】
本発明の第3実施例によれば、
図4に示すように、前記偏差が予め設定された閾値内にいない場合、前記プラットフォーム計算モジュールは前記第2位置情報を校正する。この場合、GPS測位の精度がより高いことを基に、第2位置情報を校正することで、風力発電装置の正確な位置を取得する。ここで採用した方式は従来のGPS測位校正方式である。
【0030】
本発明の第4実施例によれば、
図5に示すように、前記予め設定された閾値は以下のステップS1'~ステップS3'によって決定される。
【0031】
S1'、手動パトロール方式により前記偏差のうち前記第1位置が正確な検査検出イベントを選別し、すなわち第1位置情報と第2位置情報のいずれかが手動検査結果と一致すると、この検出イベント結果が正確であると考えられ、検査検出イベントと定義する。
【0032】
S2'、前記検査検出イベントの偏差の絶対値を昇順でソートする。
【0033】
S3'、所定順位の前記検査検出イベントの偏差の絶対値を選択し、前記予め設定された閾値の区間境界とし、これにより最適な閾値範囲を画定し、この閾値範囲に収まる偏差値に対応する検出イベントの高精度を確保する。
【0034】
本発明の第5実施例によれば、
図6に示すように、前記予め設定された閾値は、以下のステップS1''~ステップS3''によって決定されてもよい。
【0035】
S1''、ウィンドファームの各タワーを中心として、それぞれ等径の二次元円形を作る。
【0036】
S2''、前記直径を調整して、全ての二次元円形の間に面積が重なる限界値が存在しないようにする。
【0037】
S3''、前記直径の前記限界値の50%~85%を選択し、前記予め設定された閾値の区間境界とする。汎用円面積法では、GPSドリフトによる測位誤差を考慮する傾向があり、測位システム全体におけるGPS方式の精度の寄与度を強調する。
【0038】
本発明の別の実施例によれば、撮像モジュールは第1カメラと、第2カメラとを含み、前記移動制御モジュールは、前記第1カメラと第2カメラのそれぞれを制御して前記第1位置ラベルのコンテンツを収集し、前記移動計算モジュールは前記風力発電装置の第1位置情報を生成する。2つのカメラを協働して視覚画像を収集することで、ヒトの目の3次元結撮像を模擬し、強い日射光線と遠い撮像距離による視覚収集誤差をさらに低減させる。
【0039】
本発明の別の実施例によれば、前記位置ラベルは、前記タワーに設けられた第1位置ラベルと、前記ブレードに設けられた第2位置ラベルと、を含み、前記ステップS1では、前記移動制御モジュールは、前記撮像モジュールのそれぞれを制御して前記第1位置ラベルと第2位置ラベルのコンテンツを収集し、前記移動計算モジュールは前記風力発電装置の第1位置情報を生成する。
【0040】
S1-1、前記撮像モジュールと前記第1位置情報との間の第1距離を収集し、前記撮像モジュールと前記第2位置情報との間の第2距離を収集する。
【0041】
S1-2、前記第1距離と前記第2距離のうちの小さい方に対応する位置ラベルを基に、前記風力発電装置の第1位置情報を生成する。
【0042】
この方式により、無人機は実際の飛行高度、及び位置ラベルを有するブレードの無人機からの距離に基づいて、距離が最も近い位置ラベルを収集対象として選択し、これにより、画像識別精度がさらに向上する。
【0043】
本発明の別の実施例によれば、前記制御プラットフォームは表示モジュールをさらに含み、前記スマートパトロールシステムの動作状態をタイムリーに表示することに用いられ、システム全体のヒューマンコンピュータインタラクション性能が向上する。
【0044】
本発明の別の実施例は風力発電装置のスマートパトロール方法に関し、以下の方法により前記風力発電装置の測位を実現する。
【0045】
S1、前記移動制御モジュールは前記撮像モジュールを制御して前記位置ラベルのコンテンツを収集し、前記移動計算モジュールは前記風力発電装置の第1位置情報を生成する。
【0046】
S2、前記移動制御モジュールは前記GPSモジュールを制御して前記無人機の第2位置情報を収集する。
【0047】
S3、前記移動計算モジュールは前記第1位置情報と第2位置情報を比較し、前記第1位置情報と前記第2位置情報が同じであると、前記移動通信モジュールは前記第1位置情報を前記プラットフォーム計算モジュールに送信し、前記プラットフォーム計算モジュールは前記第1位置情報を前記風力発電装置の位置とする。
【0048】
なお、以上の各実施例は単に本発明の技術的解決手段を説明することに用いられ、それを限定するものではなく、上記各実施例を参照して本発明について詳細に説明したが、当業者によって明らかなように、前述した各実施例に記載の技術的解決手段を修正したり、その技術的特徴の一部又は全部について均等置換をしたりすることができ、これらの修正又は置換により、対応する技術的解決手段の趣旨が本発明の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱することはない。
【要約】 (修正有)
【課題】位置識別が不正確になることを心配する必要がなく、故障したブレードの属する風力発電装置の特定速度と精度が向上する風力発電装置のスマートパトロールシステム及び方法を提供する。
【解決手段】風力発電装置のスマートパトロールシステムは、タワー、ブレード及び発電機群を含み、位置ラベルが設けられた風力発電装置と、撮像モジュール、GPSモジュール、移動制御モジュール、移動計算モジュール及び移動通信モジュールが設けられた無人機と、プラットフォーム計算モジュールが設けられた制御プラットフォームと、を含む。GPS位置識別方式を増設し、2種の測位方式で同期して動作することにより、故障したブレードの属する風力発電装置の特定速度及び精度を向上させる。
【選択図】
図1