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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両の操作部構造
(51)【国際特許分類】
   B62J 6/16 20200101AFI20231106BHJP
   B62K 21/26 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
B62J6/16
B62K21/26
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022508112
(86)(22)【出願日】2021-02-02
(86)【国際出願番号】 JP2021003676
(87)【国際公開番号】W WO2021186920
(87)【国際公開日】2021-09-23
【審査請求日】2022-08-01
(31)【優先権主張番号】P 2020047428
(32)【優先日】2020-03-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】中村 正典
(72)【発明者】
【氏名】坂東 健太
(72)【発明者】
【氏名】長坂 辰彦
【審査官】伊藤 秀行
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-037444(JP,A)
【文献】特開2007-050881(JP,A)
【文献】特開2009-056872(JP,A)
【文献】特開2007-182231(JP,A)
【文献】特開2003-341376(JP,A)
【文献】特開2015-182633(JP,A)
【文献】特開2007-050880(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62J 6/16
B62K 21/26
B62K 23/06
B60K 20/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルバー(34)に装着されたメインスイッチボックス(50)と、
前記メインスイッチボックス(50)よりも車幅方向の外側に配置されたサブスイッチボックス(60)と、
前記サブスイッチボックス(60)に接続されるハーネス(67)と
を備え、
前記サブスイッチボックス(60)は、スイッチ操作子(65)が配置されるスイッチ配置面(62)を備え、
前記ハーネス(67)は、前記サブスイッチボックス(60)における前記スイッチ配置面(62)よりも前方に位置する箇所から延出している、
鞍乗り型車両の操作部構造。
【請求項2】
前記サブスイッチボックス(60)は、上下方向から見て前記ハンドルバー(34)の中心軸線(C)よりも後方に配置されたスイッチ操作子(65)を有する、
請求項1に記載の鞍乗り型車両の操作部構造。
【請求項3】
前記ハンドルバー(34)に装着されたグリップ(14)と、
上下方向から見て前記グリップ(14)の前方に配置されたレバー(17)と、
を備え、
前記サブスイッチボックス(60)は、前記グリップ(14)および前記レバー(17)よりも下方に配置されている、
請求項1または請求項2に記載の鞍乗り型車両の操作部構造。
【請求項4】
前記サブスイッチボックス(60)は、前記メインスイッチボックス(50)とは別体に形成され、前記メインスイッチボックス(50)から独立して前記ハンドルバー(34)に支持されている、
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の鞍乗り型車両の操作部構造。
【請求項5】
前記サブスイッチボックス(60)の少なくとも一部は、車両の高さ方向で前記メインスイッチボックス(50)と重なる、
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の鞍乗り型車両の操作部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両の操作部構造に関するものである。
本願は、2020年3月18日に、日本に出願された特願2020-047428号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
【背景技術】
【0002】
従来、鞍乗り型車両のハンドルグリップに隣接する位置に、スタータースイッチやホーンスイッチ、方向指示器スイッチ等が設けられたスイッチボックスを備えた構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1には、ハンドルバーに固定されたメインスイッチケースと、メインスイッチケースの上下両側に配置されたサブスイッチケースと、を備えたハンドルバー用スイッチ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】日本国特許第4883782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、一般にメインスイッチボックスはハンドルグリップを把持した手の親指が届く範囲に設置される。しかしながら、上記従来技術のスイッチ装置では、サブスイッチボックスがメインスイッチボックスの上下に配置されているので、ハンドルグリップを把持した手の親指が届きにくい。したがって、従来技術にあってはサブスイッチボックスの操作性に改善の余地があった。
【0005】
そこで本発明は、サブスイッチボックスを備えた鞍乗り型車両の操作部構造において、サブスイッチボックスの操作性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様の鞍乗り型車両の操作部構造は、ハンドルバー(34)に装着されたメインスイッチボックス(50)と、前記メインスイッチボックス(50)よりも車幅方向の外側に配置されたサブスイッチボックス(60)と、を備える。
【0007】
一般的にメインスイッチボックスの車幅方向の外側には運転者が把持するグリップが設けられる。このため、第1の態様の鞍乗り型車両の操作部構造によればグリップの近くにサブスイッチボックスを配置できる。したがって、サブスイッチボックスの操作性を向上させることができる。
【0008】
本発明の第2の態様の鞍乗り型車両の操作部構造は、上記第1の態様の鞍乗り型車両の操作部構造において、前記サブスイッチボックス(60)は、前記メインスイッチボックス(50)とは別体に形成され、前記メインスイッチボックス(50)から独立して前記ハンドルバー(34)に支持されている。
【0009】
第2の態様の鞍乗り型車両の操作部構造によれば、既存のメインスイッチボックスと組み合わせて上述した操作部構造を形成できる。
【0010】
本発明の第3の態様の鞍乗り型車両の操作部構造は、上記第1の態様または第2の態様の鞍乗り型車両の操作部構造において、前記ハンドルバー(34)に装着されたグリップ(14)と、上下方向から見て前記グリップ(14)の前方に配置されたレバー(17)と、をさらに備え、前記サブスイッチボックス(60)は、前記グリップ(14)および前記レバー(17)よりも下方に配置されている。
【0011】
第3の態様の鞍乗り型車両の操作部構造によれば、サブスイッチボックスがレバーの操作に影響しない位置に配置されるので、サブスイッチボックスの操作性をより一層向上させることができる。
【0012】
本発明の第4の態様の鞍乗り型車両の操作部構造は、上記第1の態様から第3の態様のいずれか1つの態様の鞍乗り型車両の操作部構造において、前記サブスイッチボックス(60)の少なくとも一部は、車両の高さ方向で前記メインスイッチボックス(50)と重なっている。
【0013】
一般的にメインスイッチボックスは把持部を把持する手の親指が届く範囲に配置される。このため、第4の態様の鞍乗り型車両の操作部構造によればサブスイッチボックスもグリップを把持する手の親指が届く範囲に配置できる。したがって、サブスイッチボックスの操作性をより一層向上させることができる。
【0014】
本発明の第5の態様の鞍乗り型車両の操作部構造は、上記第1の態様から第4の態様のいずれか1つの態様の鞍乗り型車両の操作部構造において、前記サブスイッチボックス(60)は、上下方向から見て前記ハンドルバー(34)の中心軸線(C)よりも後方に配置されたスイッチ操作子(65)を備えている。
【0015】
第5の態様の鞍乗り型車両の操作部構造によれば、グリップを把持する手の親指はハンドルバーの中心軸線よりも後方に位置するので、親指が届く範囲にスイッチ操作子を配置できる。したがって、サブスイッチボックスの操作性をより一層向上させることができる。
【0016】
本発明の第6の態様の鞍乗り型車両の操作部構造は、上記第1の態様から第5の態様のいずれか1つの態様の鞍乗り型車両の操作部構造において、前記サブスイッチボックス(60)に接続されるハーネス(67)をさらに備え、前記サブスイッチボックス(60)は、スイッチ操作子(65)が配置されるスイッチ配置面(62)を備え、前記ハーネス(67)は、前記サブスイッチボックス(60)における前記スイッチ配置面(62)よりも前方に位置する箇所から延出している。
【0017】
第6の態様の鞍乗り型車両の操作部構造によれば、ハーネスを運転者から見えにくい位置に配置することが可能となる。したがって、サブスイッチボックスを設けたことによる外観の悪化を抑制できる。
【発明の効果】
【0018】
上記の鞍乗り型車両の操作部構造によれば、サブスイッチボックスの操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態の自動二輪車を示す左側面図である。
図2】実施形態の自動二輪車の左グリップ周辺を後上方から見た斜視図である。
図3】実施形態の自動二輪車の左グリップ周辺を後上方から見た斜視図である。
図4】実施形態の自動二輪車の左グリップ周辺を前下方から見た斜視図である。
図5】実施形態の自動二輪車の左グリップ周辺を後上方から見た斜視図である。
図6】実施形態の自動二輪車の左グリップ周辺を車幅方向の外側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明における前後上下左右等の方向は、以下に説明する車両における方向と同一とする。すなわち、上下方向は車両の高さ方向(鉛直方向)と一致し、左右方向は車幅方向と一致する。また、以下の説明に用いる図中において、矢印UPは上方、矢印FRは前方、矢印LHは左方をそれぞれ示している。
【0021】
最初に、実施形態の自動二輪車全体の概略構成について説明する。
図1は、実施形態の自動二輪車を示す左側面図である。
図1に示すように、本実施形態の自動二輪車1は、シート11に着座した乗員が足を載せるステップフロア12を有するスクータ型の鞍乗り型車両である。自動二輪車1は、車体フレーム2と、車体フレーム2に操向可能に支持された前輪3と、車体フレーム2に上下揺動可能に支持されたスイング式のパワーユニット4と、パワーユニット4に支持された後輪5と、車両の外郭を形成する車体カバー6と、を備える。
【0022】
車体フレーム2は、ヘッドパイプ21と、ダウンフレーム22と、左右一対のロアフレーム23と、左右一対のサブフレーム24と、左右一対のリヤフレーム25と、を備える。ヘッドパイプ21は、車体フレーム2の前端に設けられている。ダウンフレーム22は、ヘッドパイプ21から下方かつ後方へ延びている。一対のロアフレーム23は、ダウンフレーム22の下端部から後方に延びている。一対のサブフレーム24は、ダウンフレーム22と一対のロアフレーム23とを接続している。一対のリヤフレーム25は、一対のサブフレーム24から後方かつ上方へ延びるとともに、一対のロアフレーム23の後端部に支持されている。
【0023】
前輪3は、左右一対のフロントフォーク31の下端部に軸支されている。一対のフロントフォーク31の上端部は、車幅方向に延びるボトムブリッジ32により互いに連結されている。フロントフォーク31は、ボトムブリッジ32に固定されたステアリングステム33を介してヘッドパイプ21に操向可能に支持されている。ステアリングステム33の上部には、操向用のハンドルバー34が取り付けられている。ハンドルバー34は、金属製の円柱状または円筒状の部材によって形成されている。ハンドルバー34は、左右対称に形成され、ステアリングステム33に固定された車幅方向の中央部から車幅方向の両側に延びている。ハンドルバー34の周辺構造については後述する。
【0024】
パワーユニット4は、ロアフレーム23に支持されている。パワーユニット4は、駆動輪である後輪5を駆動する。パワーユニット4は、内燃機関であるエンジン4aと、エンジン4aで生じた駆動力を後輪5に伝達する伝動装置4bと、を備える。
【0025】
車体カバー6は、アッパーカバー41と、フロントボディカバー42と、センタートンネル43と、フロアボード44と、リヤボディカバー45と、アンダーカバー46と、を備える。アッパーカバー41は、ハンドルバー34における車幅方向の中央部を覆っている。フロントボディカバー42、センタートンネル43、フロアボード44、リヤボディカバー45およびアンダーカバー46は、車体フレーム2を覆っている。フロントボディカバー42は、ヘッドパイプ21を覆っている。センタートンネル43は、フロントボディカバー42の後部から車両の車幅中心上を後方に延び、ダウンフレーム22およびサブフレーム24を側方および上方から覆っている。フロアボード44は、フロントボディカバー42の下端部からセンタートンネル43の両側方で後方に延び、ロアフレーム23を上方から覆っている。フロアボード44は、ステップフロア12を構成している。リヤボディカバー45は、センタートンネル43の後端部およびフロアボード44の後端部に連なり、シート11の下方でリヤフレーム25を覆っている。アンダーカバー46は、センタートンネル43およびフロアボード44の下方に配置され、ロアフレーム23を下方から覆っている。
【0026】
以下、ハンドルバー34の周辺構造について詳述する。なお、以下のハンドルバー34の周辺構造に関する説明では、特に記載のない限り車両の車幅中心に対する左側の部分について説明する。
【0027】
図2および図3は、実施形態の自動二輪車の左グリップ周辺を後上方から見た斜視図である。図4は、実施形態の自動二輪車の左グリップ周辺を前下方から見た斜視図である。
なお、図3は、図2に示すグリップ14を取り外した状態を示している。また、図2から図4では、図5に示すグリップエンド18が取り外された状態を示している(図6も同様)。
図2から図4に示すように、ハンドルバー34には、運転者が握るグリップ14と、各種スイッチを備えるスイッチボックスユニット15と、運転者が操作するレバー17(クラッチレバー)を支持するレバーホルダ16と、が装着されている。これらグリップ14、スイッチボックスユニット15およびレバーホルダ16は、ハンドルバー34の左部34Lに装着されている。ハンドルバー34の左部34Lは、その車幅方向内側の端部から車幅方向の外側かつ後方に直線状に延びている。以下、ハンドルバー34の左部34Lの延在方向をハンドル長手方向と称する。
【0028】
グリップ14は、円筒状に形成され、ハンドルバー34の車幅方向外側の端部に外挿されている。スイッチボックスユニット15は、ハンドルバー34におけるグリップ14の装着位置よりも車幅方向の内側の位置に装着されている。スイッチボックスユニット15の詳細については後述する。レバーホルダ16は、ハンドルバー34におけるスイッチボックスユニット15の装着位置よりも車幅方向の内側の位置に装着されている。レバーホルダ16におけるハンドルバー34への装着部は、アッパーカバー41によって後方から覆われている。レバーホルダ16は、レバー17を回動可能に支持している。レバー17は、上下方向から見てグリップ14の前方に配置されている。レバー17は、スイッチボックスユニット15の前方を横切って延びている。
【0029】
図2および図3に示すように、スイッチボックスユニット15は、メインスイッチボックス50と、サブスイッチボックス60と、取付ステー70と、を備える。メインスイッチボックス50は、グリップ14よりも車幅方向の内側に配置されている。サブスイッチボックス60は、メインスイッチボックス50とは別体に形成されている。サブスイッチボックス60は、メインスイッチボックス50よりも車幅方向の外側に配置されている。メインスイッチボックス50よりも車幅方向の外側の位置は、車幅方向から見てメインスイッチボックス50に重なる位置に限定されず、車幅方向に直交する少なくとも1方向から見た場合のメインスイッチボックス50の車幅方向の外側の位置も含む。取付ステー70は、ハンドルバー34に固定されているとともにサブスイッチボックス60をメインスイッチボックス50から独立して支持している。
【0030】
図5は、実施形態の自動二輪車の左グリップ周辺を後上方から見た斜視図である。
図3および図5に示すように、メインスイッチボックス50は、ハンドルバー34を囲うように配置されたメイン筐体51と、メイン筐体51の表面に設けられたメインスイッチ群56と、を備える。
【0031】
メイン筐体51は、ハンドルバー34の外周面から張り出すように延びる第1側壁52と、第1側壁52よりも車幅方向の内側でハンドルバー34の外周面から張り出すように延びる第2側壁53と、第1側壁52の外周縁と第2側壁53の外周縁とを接続してハンドルバー34の周囲を全周にわたって延びる周壁54と、を備える。第1側壁52および第2側壁53には、ハンドルバー34が挿通する貫通孔が形成されている。第1側壁52は、グリップ14の車幅方向内側の端部に対して僅かに間隔をあけて配置されている。第2側壁53は、アッパーカバー41の車幅方向外側の端部に沿って配置されている。第1側壁52および第2側壁53は、ハンドルバー34の中心軸線Cに対して上方よりも下方に大きく延びている。周壁54の表面には、メインスイッチ群56の各操作子が配置されている。
【0032】
図5に示すように、メインスイッチ群56は、複数のスイッチにより構成されている。メインスイッチ群56は、方向指示器スイッチ、ホーンスイッチおよびヘッドライト切換スイッチのうち少なくとも1つを含む。本実施形態では、メインスイッチ群は、方向指示器スイッチ56a、ホーンスイッチ56bおよびヘッドライト切換スイッチ56cの全てを含んでいる。方向指示器スイッチ56a、ホーンスイッチ56bおよびヘッドライト切換スイッチ56cそれぞれの操作子は、ハンドル長手方向で互いに重なるように上下方向に並んで配置されている。さらに、メインスイッチ群56は、ウィンドスクリーン13(図1参照)の高さ調整を行うウィンドスクリーンアジャストスイッチ56dや、メーターパネルに表示される情報を切り替えるためのインフォスイッチ56e等を備える。メインスイッチ群56のうち方向指示器スイッチ56a、ホーンスイッチ56bおよびヘッドライト切換スイッチ56c以外のスイッチの操作子は、方向指示器スイッチ56a、ホーンスイッチ56bおよびヘッドライト切換スイッチ56cの操作子よりもグリップ14から遠い位置に配置されている。本実施形態では、ウィンドスクリーンアジャストスイッチ56dおよびインフォスイッチ56eの操作子は、方向指示器スイッチ56a、ホーンスイッチ56bおよびヘッドライト切換スイッチ56cの操作子の下方、またはハンドル長手方向で車両の車幅中心側に配置されている。
【0033】
サブスイッチボックス60は、メインスイッチボックス50に対し、ハンドル長手方向において車両の車幅中心とは反対側に並んでいる。サブスイッチボックス60は、ハンドル長手方向でグリップ14と重なっている。換言すると、サブスイッチボックス60は、ハンドル長手方向に直交する一方向から見てグリップ14に重なっている。サブスイッチボックス60は、グリップ14に対して間隔をあけて配置されている。サブスイッチボックス60は、グリップ14およびレバー17よりも下方に配置されている。本実施形態では、サブスイッチボックス60は、グリップ14の下方に配置され、前後方向でグリップ14およびメインスイッチボックス50と重なっている(図6参照)。サブスイッチボックス60の少なくとも一部は、上下方向でメインスイッチボックス50と重なっている。より詳細には、サブスイッチボックス60は、上下方向でメインスイッチボックス50の下端部と重なっている。これにより、サブスイッチボックス60は、メインスイッチボックス50よりも車幅方向外側かつ下側に突出している。
【0034】
サブスイッチボックス60は、サブ筐体61およびサブスイッチ65を備える。サブ筐体61は、上下方向よりも車幅方向に大きい直方体状に形成されている。サブ筐体61は、サブスイッチ65が配置されたスイッチ配置面62を備える。スイッチ配置面62は、平面状に形成されている。スイッチ配置面62は、上下方向および車幅方向に対して後方に傾斜した方向を向いている(図6参照)。より詳細に、スイッチ配置面62は、ハンドル長手方向に直交する方向であって、水平方向よりも上方に傾斜した方向かつ後方を向いている。
【0035】
サブスイッチ65は、車両に接続された図示しないスマートフォンと車両との連携に係る操作を行うスイッチである。ただし、サブスイッチ65は上記の用途に限定されない。サブスイッチ65の操作子(スイッチ操作子)は、スイッチ配置面62の中央に配置されている。サブスイッチ65の操作子は、上下方向でメインスイッチボックス50と重なっている。サブスイッチ65の操作子は、方向指示器スイッチ56a、ホーンスイッチ56bおよびヘッドライト切換スイッチ56cそれぞれの操作子よりも下方に配置されている。サブスイッチ65の操作子は、グリップ14の中心よりもハンドル長手方向で車幅中心側に配置されている。サブスイッチ65の操作子は、ハンドルバー34の左部34Lの中心軸線Cよりも後方に位置している(図6参照)。換言すると、サブスイッチ65の操作子は、ハンドルバー34の左部34Lの中心線Cを含む鉛直面よりも後方に位置している。
【0036】
図4に示すように、サブスイッチボックス60には、ハーネス67が接続されている。ハーネス67は、サブ筐体61の内部でサブスイッチ65の端子に接続している。ハーネス67は、サブ筐体61のうちスイッチ配置面62よりも前方に位置する箇所からサブ筐体61の外側に延出している(図5を併せて参照)。より詳細には、ハーネス67は、サブ筐体61のうちスイッチ配置面62の車幅方向内側の端縁から前方に延びる側面63から延出している。ハーネス67は、サブ筐体61から車幅方向の内側に延びている。
【0037】
図3に示すように、取付ステー70は、サブスイッチボックス60をハンドルバー34に固定している。取付ステー70は、金属製の板材により形成されている。取付ステー70は、メインスイッチボックス50には直接的に固定されておらず、メインスイッチボックス50とは独立して設けられている。取付ステー70は、ハンドルバー34に固定された基部71と、基部71から延出してサブスイッチボックス60に接続した延出部72と、を備える。基部71には、ハンドルバー34が挿通される貫通孔71aが形成されている。貫通孔71aの内周縁は、ハンドルバー34の外周面に溶接されて一体化している。基部71は、グリップ14とメインスイッチボックス50のメイン筐体51との隙間に配置されている(図2を併せて参照)。基部71は、メインスイッチボックス50のメイン筐体51における第1側壁52の外面に沿って配置されている。延出部72は、メインスイッチボックスのメイン筐体51における第1側壁52の外面に沿って基部71から延びている。延出部72は、基部71からハンドル長手方向に直交する方向に沿って下方に延びている。延出部72の下端部は、サブスイッチボックス60のサブ筐体61の側面63(図5参照)に沿って配置され、サブスイッチボックス60に接続している。
【0038】
以上に説明したように、本実施形態の自動二輪車1の操作部構造は、ハンドルバー34に装着されたメインスイッチボックス50と、メインスイッチボックス50よりも車幅方向の外側に配置されたサブスイッチボックス60と、を備える。この構成によれば、メインスイッチボックス50よりも車幅方向の外側に設けられるグリップ14の近くにサブスイッチボックス60を配置できる。したがって、サブスイッチ65の操作性を向上させることができる。
【0039】
サブスイッチボックス60は、メインスイッチボックス50とは別体に形成され、メインスイッチボックス50から独立してハンドルバー34に支持されている。この構成によれば、既存のメインスイッチボックス50と組み合わせて上述した操作部構造を形成できる。
【0040】
レバー17は、上下方向から見てグリップ14の前方に配置されている。サブスイッチボックス60は、ハンドルバー34およびレバー17よりも下方に配置されている。この構成によれば、サブスイッチボックス60がレバー17の操作に影響しない位置に配置されるので、サブスイッチ65の操作性をより一層向上させることができる。
【0041】
サブスイッチボックス60の少なくとも一部は、高さ方向でメインスイッチボックス50と重なっている。この構成によれば、メインスイッチボックス50はグリップ14を把持する手の親指が届く範囲に配置されるので、サブスイッチボックス60もグリップ14を把持する手の親指が届く範囲に配置できる。したがって、サブスイッチ65の操作性をより一層向上させることができる。
【0042】
サブスイッチボックス60は、上下方向から見てハンドルバー34の中心軸線Cよりも後方に配置されたサブスイッチ65を備える。この構成によれば、グリップ14を把持する手の親指はハンドルバー34の中心軸線Cよりも後方に位置するので、サブスイッチ65の操作性を向上させることができる。
【0043】
サブスイッチボックス60に接続されるハーネス67は、サブスイッチボックス60におけるスイッチ配置面62よりも前方に位置する側面63から延出している。この構成によれば、ハーネス67を運転者から見えにくい位置に配置することが可能となる。したがって、サブスイッチボックス60を設けたことによる外観の悪化を抑制できる。
【0044】
なお、本発明は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、上記実施形態では、本発明の操作部構造をスクータ型の鞍乗り型車両に適用した例を示したが、本発明は運転者が車体を跨いで乗車する鞍乗り型車両全般に適用することができる。すわなち、例えばステップフロアを有しないモータサイクル型の自動二輪車や、自動三輪車等に上記実施形態の構成を組み合わせてもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、本発明の操作部構造を左グリップ周辺に適用した例を示したが、右グリップ周辺に本発明を適用してもよい。すなわち、スタータースイッチが設けられた右側のメインスイッチボックスよりも車幅方向の外側にサブスイッチボックスを設けてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、サブスイッチボックス60がメインスイッチボックス50とは別体で形成され、メインスイッチボックス50から独立してハンドルバー34に支持されているが、これに限定されない。例えばサブスイッチボックスがメインスイッチボックスに支持されていてもよいし、サブスイッチボックスのサブ筐体がメインスイッチボックスのメイン筐体に一体化していてもよい。また、メインスイッチボックスおよびサブスイッチボックスが共通の部材を介してハンドルバー34に支持されていてもよい。ただし、既存のメインスイッチボックスを利用できるという点で、サブスイッチボックスがメインスイッチボックスとは別体で形成され、かつメインスイッチボックスから独立してハンドルバーに支持されていることが望ましい。
【0047】
また、上記実施形態では、サブスイッチボックス60の一部のみが上下方向でメインスイッチボックス50と重なっているが、サブスイッチボックスの全体が上下方向でメインスイッチボックス50と重なっていてもよい。また、上記実施形態では、サブスイッチボックス60がグリップ14の下方に配置されているが、サブスイッチボックスがグリップ14に対して前後方向で重ならないように配置されていてもよい。
【0048】
また、上記実施形態では、ハーネス67がサブスイッチボックス60のサブ筐体61の側面63から延出しているが、これに限定されない。例えば、ハーネスは、サブ筐体61の前面から延出して車幅方向の内側に延びていてもよい。
【0049】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 鞍乗り型車両
14 グリップ
17 レバー
34 ハンドルバー
50 メインスイッチボックス
60 サブスイッチボックス
62 スイッチ配置面
65 サブスイッチ(スイッチ操作子)
67 ハーネス
C 中心軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6