(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】調整可能な多段階減圧レギュレータ
(51)【国際特許分類】
F16K 17/30 20060101AFI20231106BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20231106BHJP
【FI】
F16K17/30 A
G01N1/00 101T
(21)【出願番号】P 2022518000
(86)(22)【出願日】2020-09-21
(86)【国際出願番号】 US2020051728
(87)【国際公開番号】W WO2021061542
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-05-18
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515256545
【氏名又は名称】ムスタング サンプリング, エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】MUSTANG SAMPLING, LLC
【住所又は居所原語表記】P.O. Box 490, Ravenswood, West Virginia 26164 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン, ケネス オー.
(72)【発明者】
【氏名】ワーナー, ケヴィン
(72)【発明者】
【氏名】パルチ, ウィリアム シー.
【審査官】加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭58-217019(JP,A)
【文献】米国特許第1957972(US,A)
【文献】特表平11-514460(JP,A)
【文献】実公昭18-7138(JP,Y1)
【文献】特開2017-79026(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 17/18-17/34
G05D 16/00-16/20
G01N 1/00- 1/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸気試料の段階的な減圧用の圧力調整システムであって、
ハウジングと、
ハウジングの中心軸に沿ってほぼ縦方向に配置されたコアと、
ハウジング内に一体的に形成された蒸気試料通路に接続された蒸気試料投入ポートと、
ハウジングの上面にある複数の非通気開口部であって、それぞれコアの周囲に配置され、少なくとも1つの他の非通気開口部に隣接し、選択された断面寸法を有し
、ハウジングの延長方向に延在し、そして前記ハウジング内に一体的に形成され、隣接する
非通気開口部に接続された相互接続チャネルによって接続された非通気開口部と、
複数の圧力調整弁であって、それぞれ非通気開口部の選択された断面寸法に対応する断面寸法を有し、蒸気試料を選択された調整圧力で、接続された相互接続チャネルを介して、隣接する下流の圧力調整弁に送るために、非圧力調整モードと圧力調整モードとの間で切り替え可能であり、そして減圧段階を確立し、弁軸、感知ピストン及び感知ピストンアクチュエータを含む圧力調整弁と、
減圧された蒸気試料吐出ポートと、を含むことを特徴とする圧力調整システム。
【請求項2】
各減圧段階の各圧力調整弁は、流入蒸気試料圧力を調整するために、選択された圧力設定に基づいて自己調整する、請求項1に記載の圧力調整システム。
【請求項3】
少なくとも1つの圧力調整弁は、各々の圧力調整弁によって減圧段階で適用される減圧の量を調整可能に設定するように構成された調整装置を含む、請求項1に記載の圧力調整システム。
【請求項4】
各段階の感知ピストンは、感知ピストンアクチュエータ及び弁軸の配置に基づいて、圧力調整モードで開位置、調整位置にあり、非圧力調整モードで閉位置にあるように構成されている、請求項1に記載の圧力調整システム。
【請求項5】
弁軸及び感知ピストンアクチュエータの配置は、蒸気試料の圧力及び圧力調整弁の減圧設定に基づく、請求項4に記載の圧力調整システム。
【請求項6】
非通気開口部はねじ切りされ、各調整装置はハウジングに対して軸方向に移動するようにねじ切りされる、請求項3に記載の圧力調整システム。
【請求項7】
各圧力調整弁は、感知ピストンが圧力調整位置にあるときに各々の圧力調整弁からの蒸気試料を通過させ、そして感知ピストンが閉位置にあるときに蒸気試料が圧力調整弁を通過させないように閉塞される弁軸チャネルを有する、請求項5に記載の圧力調整システム。
【請求項8】
ハウジングは、ベースと、ベースにほぼ直交して配置され、ベースから軸方向に延在し、コアの寸法にほぼ一致するように形成され、ベースの中央部分から軸方向に延在する軸とを有する組立体によってさらに特徴付けられ、
圧力調整システムは、複数の圧力調整弁を通過する蒸気試料を加熱するように構成された、軸内に配置された加熱装置をさらに含む、請求項1に記載の圧力調整システム。
【請求項9】
ハウジングは、複数の開口部の周りに放射状に配置された複数の開放可能な圧力較正ポートをさらに含み、開放可能な圧力較正ポートの各々は、それぞれの圧力調整弁に対応し、圧力の測定を可能にするように構成されている、請求項1に記載の圧力調整システム。
【請求項10】
各開放可能な圧力較正ポートは、各々の相互接続チャネルに接続されている、請求項9に記載の圧力調整システム。
【請求項11】
少なくとも1つの開放可能な圧力較正ポートは、各々の相互接続チャネル内の蒸気試料の圧力を表示するように構成された圧力計を含む、請求項10に記載の圧力調整システム。
【請求項12】
調整装置は、電気機械的に作動し、開放可能な圧力較正ポートと、選択された減圧段階で蒸気試料の圧力を調整するために調整装置に電子信号を提供するように構成された電子圧力センサーと、をさらに含む、請求項3に記載の圧力調整システム。
【請求項13】
少なくとも1つの高圧調整弁組立体は、1対の入れ子型感知ピストンアクチュエータ圧縮ばねと、外側感知ピストン及び外側感知ピストンに対して軸方向に摺動可能な入れ子型内側ピストンを備えた分岐型感知ピストンの配置と、入れ子型感知ピストンアクチュエータ圧縮ばねと分岐型感知ピストンとの間に配置された感知ピストンアクチュエータ接触ディスクと、を含み、前記接触ディスクは、弁軸に接触して入れ子型感知ピストンアクチュエータ圧縮ばねの少なくとも1つの力を集中させて圧力低下を増加させる、請求項2に記載の圧力調整システム。
【請求項14】
少なくとも1つの高圧調整弁組立体は、他の調整弁組立体に対応する寸法を有する、請求項13に記載の圧力調整システム。
【請求項15】
ハウジングは、5つの非通気開口部を含み、第1の弁開口部は、蒸気試料投入ポートに接続された蒸気試料通路に接続され、第1及び第2の調整弁組立体は、高圧調整弁組立体である、請求項13に記載の圧力調整システム。
【請求項16】
複数の較正された段階的な減圧段階により蒸気試料の圧力を低下させる方法であって、
圧力調整装置のハウジング内に形成された蒸気試料入口を介して蒸気試料を投入するステップと、
ハウジングに一体的に形成された第1の無通気開口部内に配置された調整可能な第1の圧力調整弁組立体に、蒸気試料を選択的に導き、第1の無通気開口部は、ハウジングに一体的に形成された第2の無通気開口部内に配置された隣接する第2の圧力調整弁組立体に、相互接続チャネルによって接続されるステップと、
蒸気試料の圧力を所定の量に低下させ、ハウジングに一体的に形成された第2の無通気開口部内に配置された隣接する調整可能な第2の圧力調整弁組立体に蒸気試料を送り、第2の無通気開口部は、ハウジングに一体的に形成された第3の無通気開口部内に配置された隣接する第3の圧力調整弁組立体に、相互接続チャネルによって接続されるステップと、
蒸気試料の圧力を第2の所定の量に低下させ、隣接する調整可能な第3の圧力調整弁組立体に蒸気試料を送るステップと、
蒸気試料が第1、第2及び第3の調整弁組立体を通過するときに試料を蒸気相に維持するステップと、を含むことを特徴とする方法。
【請求項17】
分析のために蒸気試料を分析装置に吐出するステップをさらに含む、請求項16に記載の複数の段階的な減圧段階により蒸気試料の圧力を低下させる方法。
【請求項18】
第1、第2及び第3の圧力調整弁組立体のそれぞれによる圧力調整の量を調整するステップをさらに含む、請求項17に記載の複数の段階的な減圧段階により蒸気試料の圧力を低下させる方法。
【請求項19】
天然ガス蒸気試料の減圧用の圧力調整システムであって、
第1の表面、第2の反対面及び蒸気試料投入ポート及び蒸気試料吐出ポートを組み込んだ周縁面を備えたレギュレータ本体、並びにレギュレータ本体の熱安定性を維持する熱制御手段と、
周縁面に近接する第1の表面の周りに配置された複数の非通気開口部であって、それぞれ、選択された断面寸法を有し、第1の表面と第2の表面との間に延在し
、ハウジング内に一体的に形成され
た相互接続チャネルにより接続され、隣接する非通気開口部に接続された非通気開口部と、
調整可能な圧力調整のための調整可能な弁組立体手段であって、各非通気開口部内に含まれるように寸法設定されて、蒸気試料の蒸気圧を所定の最大値に調整し、蒸気試料が所定の範囲外の圧力で
、相互接続チャネルを介して隣接する弁組立体手段を通過するのを防止して、蒸気試料を蒸気相に維持しながら、蒸気試料の連続的で段階的な減圧のための手段を確立する調整可能な弁組立体手段と、を特徴とする天然ガス蒸気試料の減圧用の圧力調整システム。
【請求項20】
各調整可能な弁組立体手段のインテリジェントな自動制御をさらに特徴とする、請求項19に記載の天然ガス蒸気試料の減圧用の圧力調整システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
このPCT国際出願は、2019年9月23日に出願された米国仮特許出願第62/904022号の優先権を主張し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるものとする。
【0002】
本発明は、蒸気圧低下方法及び調整可能/較正可能な多段階減圧調整装置に関する。本発明により、蒸気ガスの特定の特性に関連する位相曲線によって指示される、凝縮性蒸気ガスの段階的な減圧の特定の熱力学的要件に従ってカスタマイズするために適合された、インテリジェントな自動又は手動の調整機能が可能になる。本発明は、気化天然ガス試料調整用途に使用される場合、減圧プロセス全体を通して蒸気の組成の完全性を維持しながら、ジュールトムソン/露点低下凝縮を回避して、下流の分析装置に損傷を与えないように十分に低い圧力で蒸気試料を提供する、蒸気ガス試料の制御された段階的な減圧のためのコンパクトなシステム及び方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
本明細書では、本発明が非常に有用である天然ガスに関連して説明するが、本発明は、天然ガス試料の採取分野での用途のみに限定されることを意図するものではない。天然ガス液(NGL)は、その複数の炭化水素化合物の可燃性ガス混合物としての特徴により、特にフラッキングによって生成される場合、その正確な組成が大きく変化する可能性があるため、幅広い特性を有する。例えば、特定の液体は、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタンなどで構成できるため、加熱、燃料、分離/分別、石油化学原料、プラスチック製造などの様々な用途に有用であり得る。過去10年間で、水平掘削法及び水圧破砕法などの技術が大幅に進歩し、NGLの生産量が着実に増加している。
【0004】
NGLとは対照的に、メタン含有量の高い液化天然ガス(LNG)は、生産現場から天然ガスを取り出し、不純物を除去し、天然ガスを液化して移送することによって生産される。LNGは、蒸気状態の天然ガスの約1/600の体積となる気相/蒸気相での輸送がより安全で簡単である。天然ガスは主に、長距離国内輸送又はパイプラインの敷設が経済的又は技術的に実現可能でない船舶による海外輸送のために、LNGに変換される。
【0005】
エネルギー源として使用される場合、天然ガス、LNG及びNGLのエネルギー含有量は、典型的には、BTUで測定され報告される。NGL及びLNG製品の管理輸送及び最終使用のプロセスでは、特定の抽出されたガス試料のBTU測定が正確であることが重要である。したがって、管理輸送に関しては、供給源からパイプライン網を介して最終消費者に至るまで、流通網の様々な点に沿った試料の正確な採取と分析が経済的に重要である。特に、液化天然ガスの供給が異なる供給源と場所からの投入によるものである場合、パイプラインの任意の点における様々なエネルギー含有量の説明責任は経済的影響を及ぼす。したがって、特に管理輸送の操作では、エネルギー監査の観点から、各段階での液体原料のそれぞれのエネルギー含有量の値を正確かつ厳密にサンプリングする必要がある。
【0006】
さらに、抽出された天然ガス試料などの一部の試料は、検出して除去する必要がある少量の不純物で汚染されている可能性がある。サワーガスは、水銀(Hg)、硫化水素(H2S)、硫化カルボニル(COS)、メルカプタン(R-SH)、及びBTEX(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン及びキシレン)として知られる群からのものを含む芳香族化合物などの微量汚染物質を含む可能性がある。したがって、これらの微量汚染物質の量を正確かつ厳密にサンプリングして、試料の品質を判断する必要がある。
【0007】
ガス試料調整システムは、このような正確で厳密なサンプリング機能を提供する。天然ガス試料を採取するための1つの好ましいシステムは、ウェストバージニア州レーブンズウッドのムスタングサンプリングLLCから入手可能であり、全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7162933号に記載されているMustangRP53R試料調整システムを含む。LNG、さらに重要なことにNGL試料を採取する場合、ガス試料調整プロセスの重要な部分は、ガスパイプライン又はガス源からプローブを介して抽出された液体試料の気化と、取り出しから分析までの気化された試料の組成の完全性の維持に関係する。そのために、本発明の出願人は、NGL及びLNGの抽出された試料の正確で厳密な調整及び制御を達成して維持することを目的とするいくつかのシステム及び技術、例えば、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる特許USRE47478、US9285299、US10281368、US7484404及びUS9057668に記載され、MustangR気化器サンプリングシステムとして販売されているものを導入した。具体的には、抽出された液体試料を気化させるために、Mustang気化器サンプリングシステムR及びMustangRNGL試料調整システムは、内部の加熱コアの周りにカスケードするときに流入試料を気化させる気化器装置を含み得る。そのような目的のための例示的な気化器装置は、全体が参照により本明細書に組み込まれる、出願人の米国特許第10613006号(WO2020068325A1)に記載されている。
【0008】
流入液体試料が気化してガス状態になると、ガス蒸気は、耐食性の超合金で構成されるか又はクロマトグラフなどの分析装置と同等の小径のチューブを通過する。当業者であれば、ガスクロマトグラフがガス/蒸気試料を分析し、ガス/蒸気の構成成分を識別して定量化し、そして抽出された試料のエネルギー含有量を表すデータ出力を提供することを容易に理解する。
【0009】
分析装置/クロマトグラフに損傷を与えることなく液体源に由来するガス試料を正確に分析するためには、通常は高圧で気化器から出るガス試料を、導入前に分析装置の安全レベルまで減圧する必要がある(最大2マグニチュード)。例として、気化したNGL試料は6996.11kPaを超える高圧で気化器を出る場合があり、その後、分析装置を損傷するか及び/又は動作不能にすることを回避するために、このような高圧を分析装置の安全な圧力、通常135.83kPa~328.88kPaに低下させる必要がある。ある範囲の蒸気凝縮線を有する成分の不均一な混合物であるか又はより予測可能な相包絡線を有する実質的に均一な組成であるかにかかわらず、ガス試料の温度が任意の特定の圧力で特定の液-蒸気相曲線と交差するように低下すると、露点凝縮/炭化水素露点低下が発生する。このような場合、ガス/蒸気の熱力学的特性の結果として、蒸気ガス試料は液体の形態に戻る。凝縮/相転移境界を通過するガス試料から生成された液体が流入するため、この望ましくない相転移は、エネルギー含有量評価の精度を低下させるだけでなく、下流の分析装置/クロマトグラフに危険をもたらす。例として、天然ガス田では、気化した試料の圧力及び温度のパラメータを適切に維持することができないと、ジュールトムソン炭化水素露点が低下する。このような液体の導入により、カラムブリードによってクロマトグラフィーパッキングが常に損傷し、ゴーストピークなどから誤った読み取り値が生成される。このような汚損により、完全な交換又は操作上許容可能な状態の復元のために、汚染されたユニットをオフラインにする必要があり、大規模な移送作業の場合、通常の処理に大きな混乱を引き起こす。
【0010】
したがって、正確で厳密な天然ガス成分の分析を達成し、液体の流入による分析装置の汚損を回避し、適切なシステム動作を維持するために、気化した液体試料を分析に安全で、相転移及び蒸気凝縮のリスクを最小限に抑える温度と圧力に維持することが重要である。
【0011】
このような問題に対処するために、蒸気の相転移境界に近づくリスクを最小限に抑えるために選択された温度を維持する段階式/段階的な圧力低下を提供する装置が開発されている。例えば、段階式減圧レギュレータシステムは、蒸気相転移の移行を防止するのに十分な温度を維持しながら、多段階減圧の低下を実現する。このようなシステムは、典型的には、液体試料気化器の吐出部と下流の分析装置/クロマトグラフへの蒸気供給ラインとの間にインラインで配置されている。しかしながら、従来技術におけるレギュレータは、動的に調整可能ではないため、直近の下流システムの閾値投入蒸気ゲート圧力を満たす又は超えるために、所定の最小吐出圧力が必要となる。さらに、専用のインラインレギュレータのアレイは、通常、特定の用途向けに製造・較正されており、一度製造されると、その用途の特定のパラメータ以外の使用には簡単に変換又は適応することができない。
【0012】
他の圧力調整設計は、減圧レギュレータ要素をモジュール式の多段階構造で積み重ねることにより、個別の個々のシステムのアレイの設置面積を削減しようとする。このようなレギュレータシステム又はアレイは、設置面積をより小さくする一方で、個々のモジュールの圧力パラメータの動的調整及び較正ができないなど、マルチユニットシステムに共通の機能的欠陥に悩まされる。このような従来のシステムでは、各ユニット/モジュールのパラメータの範囲が事前に設定されており、入力圧力及び吐出圧力を工場で予め較正することが特徴となり、調整システム全体の動作を保証するために、吐出圧力レベルは、下流モジュールへの導入に必要な最小入力圧力を超える必要がある。動作中、直近の上流モジュールからの出口圧力は、蒸気を制御して隣接する下流の段階に送るために必要な最小閾値圧力を下回る場合がある。したがって、アレイは、必要な蒸気試料を下流の分析装置又は収集容器に輸送することができない。
【0013】
例として、4段モジュラーレギュレータの場合、一連の段階のうちの第1段階に投入される最小供給圧力は、第3段階の後、減圧度が第4段階へ導入するための最小閾値を超えるように、十分に高くなければならない。その閾値が満たされない場合、従来技術のシステムは、下流要素に蒸気を送るのを停止する。
【0014】
これとは逆の問題が、従来技術のシステム動作で発生することがある。過圧された試料源の場合、最終的に吐出される蒸気圧は、下流の分析装置の許容圧力閾値を超える可能性がある。このような場合、過圧された有害なガスのクロマトグラフへの輸送を防止することができない。換言すれば、分析装置の安全な動作のために吐出の必要な圧力低下に対して、予め設定された圧力、例えば第4段階の入力が高すぎる。
【0015】
したがって、現在受け入れられ、一般的に使用されている装置及び抽出された蒸気試料の圧力調整をサンプリングして制御する方法を改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明の1つの目的は、少なくとも、本明細書において前述した問題に悩まされず、蒸気ガス試料の圧力を調整し、その後に蒸気ガス試料をガス分析装置又は他の感圧機器に送ることができる、より効率的で動的かつ信頼性の高い圧力調整装置を提供することができる装置、システム及び方法を提供することである。
【0017】
本発明の一態様の別の目的は、従来技術に対して改善された、コンパクトで調整可能に較正できる多段階圧力調整装置、システム及び方法を提供することである。
【0018】
本発明の一態様のさらなる別の目的は、露点の低下/凝縮を回避して、蒸気ガス試料の圧力を大幅に低下させる段階的なシステム及び方法を提供することである。
【0019】
本発明のまたさらなる別の目的は、蒸気ガス試料の圧力及び温度を二相包絡境界の外側に良好に維持する、統合された多段階減圧レギュレータを提供することである。
【0020】
本発明のさらなる目的は、管理輸送に使用されるBTU値のより正確な測定を提供するために使用できる装置、システム及び方法を提供することである。さらに、サワーガス試料の望ましくない存在を監視して減少させるために、装置、システム及び方法は、水銀(Hg)、硫化水素(H2S)、硫化カルボニル(COS)、メルカプタン(RSH)及びBTEX(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン及びキシレン)などの芳香族化合物などの微量汚染物質の正確な測定値を供給するために使用することもできる。
【0021】
本発明のさらにもう1つの目的は、よりコンパクトで、機械的故障の影響を受けにくく、動的な圧力較正の調整を提供する装置を提供することである。
【0022】
本発明の別の目的は、多成分蒸気ガスの多段階減圧中の断続的な凝縮を回避することにより、気化器から分析装置までの蒸気組成の完全性を維持する自動及び/又は手動で構成可能なコンパクトな装置を提供することである。
【0023】
本発明の一実施形態のさらに別の目的は、個々の段階で圧力入力値及び出力値を調整可能に較正する、コンパクトで一般的に単一の多段階圧力調整装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明の例示的で非限定的な実施形態は、従来技術の液体ガス気化及び測定システムに関連する前述の欠点及び他の欠点を解消することができる。また、本発明は、必ずしも上記欠点を解消する必要がなく、本発明の例示的な非限定的な実施形態は、上記課題のいずれも解決できない場合がある。
【0025】
上記及び他の目的を達成するために、本発明の一実施形態に係る蒸気試料の段階的な減圧用の圧力調整システムは、ハウジングと、ハウジングの中心軸に沿ってほぼ縦方向に配置されたコアと、ハウジング内に一体的に形成された蒸気試料通路に接続された蒸気試料投入ポートと、ハウジングの上面にある複数の非通気開口部であって、それぞれコアの周囲に配置され、少なくとも1つの他の非通気開口部に隣接し、選択された断面寸法を有し、実質的にハウジングの延長方向に延在し、そして前記ハウジング内に一体的に形成され、隣接する無通気開口部に接続された相互接続チャネルによって接続された非通気開口部と、複数の圧力調整弁であって、それぞれ非通気開口部の選択された断面寸法に対応する断面寸法を有し、蒸気試料を選択された調整圧力で、接続された相互接続チャネルを介して、隣接する下流の圧力調整弁に送るために、非圧力調整モードと圧力調整モードとの間で切り替え可能であり、そして減圧段階を確立し、弁軸、感知ピストン及び感知ピストンアクチュエータを含む圧力調整弁と、減圧された蒸気試料吐出ポートと、を含むことを特徴とする。
【0026】
本発明のさらなる実施形態に係る天然ガス蒸気試料の減圧用の圧力調整システムは、第1の表面、第2の反対面及び蒸気試料投入ポート及び蒸気試料吐出ポートを組み込んだ周縁面を備えたレギュレータ本体、並びにレギュレータ本体の熱安定性を維持する熱制御手段と、周縁面に近接する第1の表面の周りに配置された複数の非通気開口部であって、それぞれ選択された断面寸法を有し、第1の表面と第2の表面との間に延在し、そして前記ハウジング内に一体的に形成され、隣接する非通気開口部に接続された無通気相互接続チャネルによって接続された非通気開口部と、調整可能な圧力調整のための調整可能な弁組立体手段であって、各非通気開口部内に含まれるように寸法設定され、蒸気試料の蒸気圧を所定の最大値に調整し、蒸気試料が所定の範囲外の圧力で、無通気相互接続チャネルを介して隣接する弁組立体手段を通過するのを防止し、蒸気試料を蒸気相に維持しながら、蒸気試料の連続的な段階的な減圧のための手段を確立する調整可能な弁組立体手段と、を含む。
【0027】
本発明の別の実施形態に係る圧力調整装置は、ハウジングであって、その中心軸に沿ってほぼ縦方向に配置されたコアを有するハウジングと、ハウジング内に一体的に形成された蒸気試料通路に接続された蒸気試料投入ポートと、上面の複数の開口部であって、それぞれコアの周りに放射状に配置され、実質的にハウジングの延長方向に延在する開口部と、を含む。圧力調整装置はまた、蒸気試料通路から受け取った蒸気試料の圧力を低下させるように構成された複数の圧力調整弁であって、それぞれ各々の開口部内に配置されてその中に蒸気試料通路を作成する圧力調整弁と、ベース及びベースにほぼ直交し、ベースから軸方向に延在し、コア内に配置された実質的に中央の軸を有する組立体と、を含む。一例では、圧力調整装置は、ベースと、ベースにほぼ直交し、ベースから軸方向に延在し、コアの寸法にほぼ一致するように形成された軸とを有する組立体を含む。
【0028】
本発明のさらなる実施形態に係る、複数の較正された段階的な減圧段階により蒸気試料の圧力を低下させる方法は、圧力調整装置のハウジング内に形成された蒸気試料入口を介して蒸気試料を投入するステップと、ハウジングに一体的に形成された第1の無通気開口部内に配置された調整可能な第1の圧力調整弁組立体に、蒸気試料を選択的に導き、第1の無通気開口部は、ハウジングに一体的に形成された第2の無通気開口部内に配置された隣接する第2の圧力調整弁組立体に、相互接続チャネルによって接続されるステップと、蒸気試料の圧力を所定の量に低下させ、ハウジングに一体的に形成された第2の無通気開口部内に配置された隣接する調整可能な第2の圧力調整弁組立体に蒸気試料を送り、第2の無通気開口部は、ハウジングに一体的に形成された第3の無通気開口部内に配置された隣接する第3の圧力調整弁組立体に、相互接続チャネルによって接続されるステップと、蒸気試料の圧力を第2の所定の量に低下させ、隣接する調整可能な第3の圧力調整弁組立体に蒸気試料を送るステップと、蒸気試料が第1、第2及び第3の調整弁組立体を通過するときに試料を蒸気相に維持するステップと、を含む。
【0029】
本発明は、前の実施形態に対するさらなる実施形態において、各減圧段階の各圧力調整弁が、流入蒸気試料の圧力を調整するために、選択された圧力設定に基づいて自己調整することをさらに特徴とする。
【0030】
本発明は、前の実施形態に対する別の実施形態において、少なくとも1つの圧力調整弁が、各々の圧力調整弁によって減圧段階で適用される減圧の量を調整可能に設定するように構成された調整装置を含むことをさらに特徴とする。
【0031】
本発明は、前の実施形態に対するさらに別の実施形態において、各段階の感知ピストンが、感知ピストンアクチュエータ及び弁軸の配置に基づいて、圧力調整モードで開位置、調整位置にあり、非圧力調整モードで閉位置にあるように構成されていることをさらに特徴とする。
【0032】
本発明は、前の実施形態に対する別の実施形態において、弁軸及び感知ピストンアクチュエータの配置が、蒸気試料の圧力及び圧力調整弁の減圧設定に基づくことをさらに特徴とする。
【0033】
本発明は、前の実施形態に対するさらなる実施形態において、非通気開口部がねじ切りされ、各調整装置がハウジングに対して軸方向に移動するようにねじ切りされていることをさらに特徴とする。
【0034】
本発明は、前の実施形態に対する別の実施形態において、各圧力調整弁が、感知ピストンが圧力調整位置にあるときに各々の圧力調整弁からの蒸気試料を通過させ、そして感知ピストンが閉位置にあるときに蒸気試料が圧力調整弁を通過させないように閉塞される弁軸チャネルを有することをさらに特徴とする。
【0035】
本発明は、前の実施形態に対する別の実施形態において、ハウジングが、ベースと、ベースにほぼ直交して配置され、ベースから軸方向に延在し、コアの寸法にほぼ一致するように形成され、ベースの中央部分から軸方向に延在する軸とを有する組立体によってさらに特徴付けられ、そして圧力調整システムが、複数の圧力調整弁を通過する蒸気試料を加熱するように構成された、軸内に配置された加熱装置をさらに含むことをさらに特徴とする。
【0036】
本発明は、前の実施形態に対するさらなる実施形態において、ハウジングが、複数の開口部の周りに放射状に配置された複数の開放可能な圧力較正ポートをさらに含み、開放可能な圧力較正ポートの各々は、それぞれの圧力調整弁に対応し、圧力の測定を可能にするように構成されていることをさらに特徴とする。
【0037】
本発明は、前の実施形態に対する別の実施形態において、各開放可能な圧力較正ポートが、各々の相互接続チャネルに接続されていることをさらに特徴とする。
【0038】
本発明は、前の実施形態に対する別の実施形態において、少なくとも1つの開放可能な圧力較正ポートが、各々の相互接続チャネル内の蒸気試料の圧力を表示するように構成された圧力計を含むことをさらに特徴とする。
【0039】
本発明は、前の実施形態に対するさらにもう1つの実施形態において、調整装置が、電気機械的に作動し、開放可能な圧力較正ポートと、選択された減圧段階で蒸気試料の圧力を調整するために調整装置に電子信号を提供するように構成された電子圧力センサーと、をさらに含むことをさらに特徴とする。
【0040】
本発明は、前の実施形態に対する別の実施形態において、少なくとも1つの高圧調整弁組立体が、1対の入れ子型感知ピストンアクチュエータ圧縮ばねと、外側感知ピストン及び外側感知ピストンに対して軸方向に摺動可能な入れ子型内側ピストンを備えた分岐型感知ピストンの配置と、入れ子型感知ピストンアクチュエータ圧縮ばねと分岐型感知ピストンとの間に配置された感知ピストンアクチュエータ接触ディスクと、を含み、前記接触ディスクが、弁軸に接触して入れ子型感知ピストンアクチュエータ圧縮ばねの少なくとも1つの力を集中させて圧力低下を増加させることをさらに特徴とする。
【0041】
本発明は、前の実施形態に対する別の実施形態において、少なくとも1つの高圧調整弁組立体が、他の調整弁組立体に対応する寸法を有することをさらに特徴とする。
【0042】
本発明は、前の実施形態に対するさらに別の実施形態において、ハウジングが、5つの非通気開口部を含み、第1の弁開口部が、蒸気試料投入ポートに接続された蒸気試料通路に接続され、第1及び第2の調整弁組立体が、高圧調整弁組立体であることをさらに特徴とする。
【0043】
本発明は、前の実施形態に対するさらなる実施形態において、各調整可能な弁組立体手段のインテリジェントな自動制御をさらに特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0044】
本発明の態様は、添付の図面を参照してその例示的で非限定的な実施形態を詳細に説明することによって、より容易に明らかになるであろう。
【0045】
【
図1A】本発明の一実施形態に係る圧力調整装置を示す斜視図である。
【
図1B】本発明の一実施形態に係る圧力調整装置の斜視断面図である。
【
図1C】弁を流れる蒸気を示す、本発明の実施形態に係る
図1Bの圧力調整装置の圧力調整弁の拡大図である。
【
図1D】本発明の一実施形態に係る圧力調整装置の上面図である。
【
図1E】本発明の一実施形態に係る
図1Dの圧力調整装置の断面図である。
【
図2A】本発明の一実施形態に係る圧力調整装置の異なる段階における流路を示す。
【
図2B】本発明の一実施形態に係る圧力調整装置の異なる段階における流路を示す。
【
図2C】本発明の一実施形態に係る圧力調整装置の異なる段階における流路を示す。
【
図3A】本発明の一実施形態に係る圧力調整装置の内部の斜視図である。
【
図3B】
図3Aに示される本発明の一実施形態に係る圧力調整装置の内部の斜視図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る圧力調整システム及び構成要素の分解図である。
【
図5A】高圧を調整するために提供される本発明の一実施形態の断面図である。
【
図5B】高圧調整弁組立体の一実施形態の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
定義
本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とするものであり、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書において使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上明確に別途示されない限り、複数形も同様に包含することを意図する。さらに、基本用語「含む」及び/又は「有する」は、本明細書において使用される場合、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又はコンポーネントの存在を明示するが、少なくとも1つの他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除するものではないことを理解されたい。
【0047】
本明細書において使用される場合、用語「含有する」、「含有している」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」又はそれらの任意の他の変形は、非排他的な包含をカバーすることを意図することを理解されたい。例えば、一連の特徴を含むプロセス、方法、物品又は装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されるわけではなく、明示的に列挙されていない、又はこのようなプロセス、方法、物品又は装置に固有の他の特徴を含むことができる。
【0048】
本明細書において使用される場合、「接続」は、直接又は間接を問わず、物理的な接続、恒久的な固定又は調整可能な取り付けを含む。したがって、特に明記されていない限り、「接続」は、あらゆる操作上の機能的な接続を包含することを意図する。
【0049】
詳細な説明において、「1つの実施形態」、「一実施形態」又は「実施形態において」への言及は、言及される特徴が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。さらに、「1つの実施形態」、「一実施形態」又は「実施形態」への別個の言及は、必ずしも同じ実施形態に言及しているものではないが、このような実施形態は、相互に排他的であると述べられない限り、当業者に容易に明らかである場合を除いて、相互に排他的ではない。したがって、本発明は、本明細書に記載の実施形態の任意の様々な組み合わせ及び/又は統合を含み得る。
【0050】
本明細書において使用される場合、「実質的に」、「比較的」、「ほぼ」、「約」及び「およそ」は、このように修飾された特性からの許容しうる変動を示すことを意図する相対的修飾語である。これらは、修飾する絶対値又は特性に限定されるものではなく、むしろ、このような物理的又は機能的特性に近づいたり近似したりするためのものである。
【0051】
本明細書において使用される場合、「管状」は、軸方向に配向されたほぼ細長く、ほぼ対称の幾何学的構成を意味し、単に円筒形の断面形状を有する構造に限定されない。
【0052】
本明細書において使用される場合、特定されない場合、「ガス」は、例えば、液体物質を含む特定の気化された炭化水素成分及び/又は炭化水素成分の不均一混合物を含む、ガス形態の任意の種類のガス状化学物質又は流体を意味し、ガスは、天然ガス液、液化天然ガス、それらのガス混合物及び同等物を含み得る。
【0053】
本発明の例示的で非限定的な実施形態を以下に詳細に説明する。明確な理解を提供するために特定の構成及び寸法が説明されるが、開示された寸法及び構成は例示のみを目的として提供されることを理解されたい。当業者は、特に明記しない限り、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の寸法及び構成を使用できることを理解するであろう。
【0054】
本明細書において使用される場合、値の範囲への言及は、明確に反対に述べられない限り、上記範囲の端点を含むその範囲内の全ての値を包含することを意図することも理解されたい。
【0055】
以下の説明では、本発明を実施することができる特定の例示的な実施形態の代表として例示の目的で提供される添付の図面を参照する。以下に例示する実施形態は、当業者が本発明を実施できるように十分に詳細に説明される。他の実施形態を利用してもよく、本発明の範囲から逸脱することなく、現在知られている構造的及び/又は機能的等価物に基づく構造的変更を行うことができることを理解されたい。
【0056】
以下の詳細な説明を考慮すると、当業者にとっては、本明細書における本発明が、従来技術における構造及び方法の認識された又は認識されていない問題を軽減しながら、顕著に増強された効率を提供するための新規な圧力調整装置及びその方法であることが、明らかになるはずである。
【0057】
図1A~Eは、図示される実施形態において細長い円筒形の形状を有する管状上部本体又はハウジング102と、対応する形状を有する下部本体又は組立体116と、圧力調整システムの調整可能な圧力調整弁112との異なる部分の様々な図を示しており、これらの部分は、組み立てられると、本発明の実施形態に係る圧力調整装置100を提供する。多角形、楕円形などの他の形状も同様に使用可能であるため、本発明は円筒形/円形の断面形状に限定されない。
【0058】
概観すると、圧力調整装置100は、好ましくはステンレス鋼又はアルミニウムなどの耐食性超合金で形成される組立体116を含む。上部本体102及び組立体116はまた、合金の代わりに、蒸気ガス圧力調整に関連して使用するために適合性のある高強度の工学的熱可塑性プラスチック、セラミック又は他の材料で製造/成形されてもよい。本実施形態の組立体116は、円形断面を特徴とするベース116Aと、肩部を規定する上面と、肩部から中央に直交して突出する段付きの部分的に中空の軸116Bと、を含む。軸116Bは、本体102の相補的な段付き軸方向コア又はボア111に寸法的に適合し、ボア111に挿入されるように適合され、ボア111は、より狭いボアの中間部分111Bに向かって先細になり、ボアの上部部分111Aに拡張するより大きな直径の下部部分111Cを含む。
【0059】
軸116Bは、給電線134によって動力が供給される任意の電気的な加熱カートリッジ要素138と、は、加熱カートリッジ要素138のベースから突出し、電気及び制御吐出ポート129を介して組立体116を出る熱電対135によって感知される吐出物とを受け入れ、保持するための内部空洞136を含む。
【0060】
図示される実施形態では、上部本体102は、ボア111の上部の上面106に形成された開口部107を特徴とする。一連のねじ切りされたプラグ114は、上面106の周囲環部104の周り及びその近くに配置される。プラグ114は、周囲環部104からボア111に向かって放射状に内向きに角度を付けるアクセスチャネル115を密封する。上面106はまた、軸方向にオフセットし、縦方向に突出し、弁を受け入れる5つの凹型開口部146を特徴とする。凹型開口部146は、開口部107の周りに配置され、縦方向に延在し、そして上部本体102の延長軸にほぼ平行である。各凹型開口部146は、圧力調整弁112を着座させて保持するように段付きで寸法設計されている(
図4を参照)。
【0061】
図1Bは、組立体116が上部本体102の部分111A、B、C内に配置され、圧力調整弁112が各々の開口部146に着座している圧力調整装置100の断面斜視図を示す。
図1Bの断面に示されるように、第1の圧力調整弁112は、半径方向に配向された蒸気試料通路109を介して蒸気試料入口108から蒸気試料を受け入れるように構成される。
【0062】
蒸気ガス試料は、コネクタポート113Aで蒸気試料通路109を介して第1段階の圧力調整弁112に導かれる。以下に詳述するように、圧力調整弁112は蒸気ガス試料の圧力を低下させ、次に、蒸気ガス試料は、追加の減圧のために隣接する圧力調整弁112に連続的に導かれる一方で、任意選択の中央加熱カートリッジ要素138を介して任意に同時に熱制御される。最終段階の圧力調整弁112を出ると、現在分析装置の安全な圧力にある蒸気ガス試料は、管状上部本体102から蒸気試料通路142を通って蒸気試料出口110に導かれる。
【0063】
圧力調整弁112の下部の構造及び配置を参照すると、圧力調整弁は、ばね圧に基づいて制御された軸方向調整を可能にするために、凹型開口部146を受け入れる弁に着座している。凹型開口部146は、段付きの構成で、上部平面106から開口部146内に、下部ボア118、直径方向に大きい中間ボア121及びより大きい上部ボア123を含む。圧力調整弁112は、組み合わせて、上方に付勢された、軸方向に配置された螺旋状圧縮弁軸ばね112Mと、張り出した円錐形弁軸突起112L-2を定義する上部肩部で終端する円筒形弁軸基部112L-1及びピストン112Gを感知するために弁座112J及び弁ガイド112Iを通って上向きに突出する弁軸先端112L-3に分割された弁軸112Lと、下方に付勢されたフラット/ベルビル/波感知ピストンアクチュエータばね112Fと、を特徴とする。上部肩部は、上方に付勢され、軸方向に配置された螺旋状圧縮弁軸ばね112Mのストッパーとして機能し、円錐形弁軸突起112L-2の下に弁軸112Lを巻き込む。弁軸先端112L-3の細長い部分は、円錐形弁軸突起112L-2の先細りの表面から感知ピストン112Gの底面まで軸方向に上向きに突出している。
【0064】
弁座112J及び弁ガイド112Iは、中間ボア121内に配置され、Oリングなどの密封装置112Kで互いに密封され、それぞれ、弁軸先端112L-3及び蒸気ガス試料の通過を可能にする実質的に中央のチャネル127を有する。弁ガイド112Iは、合わせ穴131を介して管状上部本体102にボルト又はねじで留めることによって管状上部本体102に接続することができる。弁座112Jは、一方の面で下部ボア118に面し、他方の面で弁ガイド112Iに面し、弁座112J及び弁ガイド112Iの両方は中間ボア121全体を形成する。弁座112Jは、セラミック、エラストマー又はシリコーンなどの従属材料で構成でき、このような材料は、円錐形弁軸突起112L-2による実質的に中央のチャネル127の汚染又は密封を防止するのに役立つ。円錐形弁軸突起112L-2は、弁座112Jに圧縮されてワイパーとして機能するため、その形状による汚染を防止する。したがって、弁座112Jを通る中央のチャネル127は、弁ガイド112Iを通る中央のチャネル127よりも大きな直径を有し、円錐形弁軸突起112L-2による弁座112Jへの圧縮及びそれとの確実な拭き取り接触を可能にする。弁座112J及び弁ガイド112Iは、中間ボア121内の適切な位置に固定され、圧力調整弁112の動作中に移動しない。
【0065】
上部ボア123は、例えばばねなどの軸方向に配置された感知ピストンアクチュエータ112Fを含み、感知ピストンアクチュエータ112Fは、ばね室112Cによって巻き込まれ、ねじ又はボルトなどの調整装置112Aから延在し、開口部146から上部ボア123の下部に配置された感知ピストン112Gまで突出している。圧力調整弁112は、任意の時点で、全開位置、調整位置及び全閉位置の3つの位置のうち1つにあり得る。圧力調整弁112は、圧力調整装置100が使用されず、下部ボア118内に圧力がないか又は非常に低い圧力が存在するとき、全開位置にある。したがって、この状態は、感知ピストンばね112Fによって加えられた圧力が下部ボア118に移動する任意の最小の流入蒸気ガス試料の圧力をはるかに超え、その結果、弁軸ばね112Mを介して弁軸112Lに加えられる軸方向の動きがほとんど又はまったくないときに存在する。これにより、円錐形弁軸突起112L-2と弁座112Jとの間にかなりのギャップをもたらす。
【0066】
圧力調整装置100が使用され、流入蒸気ガス試料を調整しているとき、圧力調整弁112は調整位置にある。この状態が存在するために、感知ピストンばね112Fの設定に基づいて感知ピストンばね112Fによって感知ピストン112Gに加えられる圧力は、下部ボア118に移動する任意の流入蒸気ガス試料の圧力を相殺する。圧力調整弁112が調整位置にあり、感知ピストンばね112Fによって加えられる圧力が下部ボア118に移動する任意の流入蒸気試料の圧力を超える場合、感知ピストン112Gは、弁ガイド112Iの上面に接近しているが接触せず、円錐形弁軸突起112L-2を弁座112Jから変位させる弁軸先端112L-3に、直線的な下向きの圧力を加えない。この線形変位により、チャネル127を介する下部ボア118から上部ボア123への蒸気試料の流れが維持される。しかしながら、感知ピストンばね112Fによって加えられる圧力よりも大きい圧力を持つ流入蒸気ガス試料は、弁軸112Lが軸方向上方に移動するように推し進めることにより弁軸先端112L-3に感知ピストン112Gを弁ガイド112Iに接近するその位置からわずかに変位させ、また円錐形弁軸突起112L-2を軸方向上方に弁座112J内のチャネル127の一部に変位させる。したがって、圧力調整弁112は、動作中及び調整位置にあるとき、圧力が下流の分析装置で一定の流量で消費するために各段階で低下する定常状態に達するまで、各段階での圧力設定及び流入蒸気試料圧力に基づいて継続的に調整する。
【0067】
図1Cは、調整位置にある圧力調整弁112の拡大図を示している。図示されているように、感知ピストン112Gによって弁軸先端112L-3に加えられる圧力よりも高い圧力を有する蒸気ガス試料119が下部ボア118に入り、それによって弁軸112Lが軸方向に上向きに移動し、弁軸先端112L-3が上部ボア123内で感知ピストン112Gを軸方向上方にわずかに変位させ、円錐形弁軸突起112L-2が弁座112J内のチャネル127の部分に食い込むようにする。図示されているように、弁座112Jと弁ガイド112Iとの間に形成された中央のチャネル127は、弁軸先端112L-3の直径よりもわずかに大きい直径を有し、このように、蒸気試料119が下部ボア118から中間ボア121を通って上部ボア123内のギャップ128に流入することができる。したがって、上部ボア123に入る任意の蒸気試料119は、下部ボア118と上部ボア123との間の圧力差、中央のチャネル127の限られた空間内の通路及び弁座112Jと円錐形弁軸突起112L-2との間の限られた通路サイズに基づいて減圧される。蒸気試料119によって感知ピストン112Gに加えられる圧力は感知ピストンばね112Fの弁設定と同じである一方、減圧された蒸気試料119はボア118、121及び123を通過し続ける。蒸気試料119の圧力が、感知ピストンばね112Fによって加えられる力と見合うほど大きくなくなった場合、圧力調整弁112は、より開放位置に移動し、感知ピストンばね112Fが感知ピストン112Gを変位させ、次に弁軸先端112L-3を介して円錐形軸突起112L-2を変位させて弁座112Jから離れるようにする。逆に、蒸気試料流れ119の圧力が高すぎる場合、円錐形弁軸突起112L-2が弁座112Jを遮断することによって蒸気の流れを妨げる。
【0068】
したがって、圧力調整弁112が調整位置にある間に下部ボア118を出て上部ボア123のギャップ128へ向かう蒸気試料119は、相互接続チャネル144を介して予め選択された圧力で出て、さらなる圧力低下のために本体102内の次の段階の圧力調整弁112に導かれる。この構造及び動作により、圧力調整弁間の相互接続チャネル144からの過圧蒸気ガスの排出が不要となる。相互接続チャネル144に吐出される蒸気圧がすでに調整されたレベルに低下しているので、下流の調整弁組立体112への過圧蒸気吐出のためのベントの設置は不要であり、かつ望ましくない。結果として、開示された実施形態の非通気であり、より複雑でない構造が実現される。また、分析前に蒸気を放出すると、最終的な試料分析の完全性と精度を損なう。
【0069】
圧力調整弁112は、弁の吐出が遮断され、出口圧力条件が満たされ、体積消費又は凝縮が存在しないとき(すなわち、下流の分析装置がオフになり、出口110で連続的に減圧させないとき)、全閉位置にある。換言すれば、遮断された流入蒸気試料によって形成された圧力は、逆方向に変換され、弁軸先端112L-3によって感知ピストンばね112Gに加えられる圧力に加えて、感知ピストン112Gに大きな圧力を加える。感知ピストン112Gへの圧力が増加して、感知ピストン112Gを上部ボア123内で軸方向に上方に変位させることにより、弁軸112Lが対応して軸方向に上方に変位し、弁座112J内に完全に着座して、チャネル127が完全に遮断される。
【0070】
図2A~2Cは、蒸気試料119が蒸気試料通路109の下流から5つの段階を通って複数の圧力調整弁112及び対応する相互接続チャネル144を介して蒸気試料出口110に流れるときの蒸気試料119の流れを示している。この例では、圧力調整弁112が適切に較正され、調整装置112Aを介して適切な圧力設定が適用されるため、流入蒸気試料119は、各圧力調整弁112において、各圧力調整弁112を調整位置に押し進めるのに十分な圧力を有する。調整装置112Aは、ねじ切りされたばね室112C及び終端ナット112Bを介して開口部146内で軸方向に移動することにより、感知ピストンばね112Fに隣接するワッシャ112Eを変位させるように構成されている(
図4を参照)。或いは、
図1E及び3に示されているように、ねじ又はボルトなどの調整装置112Aは、管状上部本体102の上部平面106に直接隣接し、圧力設定を調整するために圧力調整弁112にねじ切りされるように構成されてもよい。この例では、調整装置112Aが必要とする空間が小さいため、圧力調整装置100の全体形状は小さくなる。しかしながら、
図1A、1B、2及び3に示される調整装置112Aの構成とは異なり、この例では、製造コストを増加させる可能性がある、圧力調整弁のボア125内の追加のねじ切りが必要とされる。
【0071】
圧力調整装置100の特定の段階の圧力を調整するために、調整装置112Aは、ねじ切りされたばね室112Cを通って回転し、ワッシャ112Eを介して感知ピストンばね112Fを圧縮するか又はその圧縮を解くことにより隣接する感知ピストン112G上の感知ピストンばね112Fの圧力を増減して較正することができる。特定の段階における圧力設定が高いほど、より高い感知ピストンばね112F圧力に変換され、この圧力により、感知ピストン112Gは、弁軸先端112L-3を介して、円錐形弁軸突起112-L2をより制限の少ない位置に接近する弁座112Jに変位させる。したがって、
図2A及び2Bに示されているように、段階1の圧力調整弁112の圧力設定は、段階2の圧力調整弁112の圧力設定よりも大きくなり、順に、段階5の圧力調整弁112の圧力設定が最も低くなる。
【0072】
図1D及び1Eを参照すると、各段階での圧力設定は、対応する圧力調整弁112の出力で対応する相互接続チャネル144にそれぞれ接続された各々のアクセスチャネル115を介して設定及び検証することができる。段階5の圧力調整弁112の圧力設定を較正するために、段階5の圧力調整弁112から通路142に向かって出力された相互接続チャネル144内の圧力を、対応するアクセスチャネル115を介して測定する。
図1Eは、段階1において圧力調整弁112の相互接続チャネル144に接続されたアクセスチャネル115を示している。アクセスチャネル115は、クラウンキャップ又はスクリューキャップなどのアクセスチャネル穴プラグ114によって塞がれているものとして示されている。しかしながら、段階1で圧力及び/又は温度を較正するために、アクセスチャネル穴プラグ114が取り外され、圧力センサー及び熱感知装置のいずれか又は両方がアクセスポート114に設置されて、コントローラへの追加の入力として機能することができる。したがって、蒸気試料119が圧力調整装置100を通過しているとき、圧力センサー及び/又は温度センサーは、相互接続チャネル144内でアクセスチャネル115を介して、段階1で圧力調整弁112を出る蒸気試料119の圧力/温度を検出する。次に、圧力調整弁112は、圧力センサーが蒸気試料投入ポート108に投入される蒸気試料119から所望の減圧読み取り値を検出するまで、調整装置112Aを介して調整することができる。次に、このプロセスは、対応するアクセスチャネル115で圧力センサーを使用して、各段階で連続する圧力調整弁112ごとに繰り返すことができる。これに対応して、熱ヒーターは、コントローラによって要求され操作されるとおり、蒸気試料温度を上昇又は低下させるように調整することができる。
【0073】
圧力調整装置100を較正するための別の方法は、各アクセスチャネル115で同時に圧力を測定し、同時に各段階で圧力調整弁112を調整することである。圧力設定は、特定の用途又は特定のガスプロファイルに基づいて調整できる。もちろん、較正が実行されていないとき又は較正が完了したとき、自動化された圧力センサーを継続的に維持することが望まれない限り、アクセスチャネル穴プラグ114は、アクセスチャネル115を塞ぐために交換される。
【0074】
異なる段階で圧力調整弁112の圧力設定を個別に調整する能力は、異なるプロファイルを有する様々なガスに使用できる圧力調整装置100に提供される。したがって、圧力調整装置100によって処理される特定の蒸気ガスプロファイルの熱力学的特性及び位相曲線に基づいて、各圧力調整弁112は、各段階において、蒸気ガス試料が位相曲線の2相領域に戻ったり、再び入ったりすることを許容しない低減レベルまで圧力を低下させるように較正することができる。各段階での低減は、組立体116、より具体的には、全ての減圧段階において露点凝縮/炭化水素露点低下を防ぐために必要な蒸気試料119の温度を一貫して維持する、放射状に取り囲む圧力調整弁112内の実質的に中央に配置された任意の加熱カートリッジ要素138によってさらに制御することができる。したがって、圧力調整装置100は、各用途又はガスプロファイルに対して異なる圧力調整装置を必要とするのではなく、様々な用途及び/又はガスプロファイルに対して経時的に動的に較正することができる。さらに、圧力調整装置100は、他の段階を動的に低く設定して圧力調整装置100に入る初期に低い圧力を相殺することができるので、第1の段階に入る特に高い最小量の初期圧力を必要としない。
【0075】
再び
図2A及び2Bを参照し、そして一例として、対応する調整装置112A及びアクセスチャネル115を使用して圧力調整弁112が適切に較正されると、コネクタポート113Aで通路109を介して下部ボア118に投入される蒸気試料119は、段階1の圧力設定よりもより大きい圧力P0を有し、この圧力により弁軸先端112L-3を軸方向上方に移して感知ピストン112Gを変位させる。この変位により、円錐形弁軸突起112L-2が弁座112J内で軸方向上方に変位し、このように、中間ボア121及び上部ボア123内のチャネル127を通って導かれる蒸気試料119の流れを低下した圧力P1に制限し、この流れはその後に相互接続チャネル144を介して段階2に導かれる。次に、低下した圧力P1を有する蒸気試料119は、P1よりも低い圧力設定を有する段階2で圧力調整弁112の下部ボア118に入り、このように、蒸気試料119は、再び圧力調整弁112を通過して次の段階へ入ることができる。このプロセスは、低下した圧力P5を有する蒸気試料119が段階5で出口試料ポート110を介して圧力調整弁112を出て分析装置などの外部機器に送られるまで繰り返される。蒸気試料119は、放射状に配置された各々の圧力調整弁112で各段階を通って流れるので、組立体116の軸116B内の実質的に中央に配置された任意の加熱要素138を介して任意に熱制御され得る。したがって、蒸気試料119の圧力は、減圧手順における2相試料への露点の低下を回避するために、各段階で熱制御ならびに制御された減圧の対象となる。ウェルが各段階間で圧力及び温度の検知を統合すると、2相分離条件を作成して試料を危険にさらすことを回避するために、蒸気を位相曲線の外側の状態として維持する。特別に較正された圧力調整弁112及び実質的に中央に配置された加熱要素138によって提供される制御された環境により蒸気試料119が蒸気相領域に維持され、このように、試料の分析を汚染するか及び/又は下流の分析装置を損傷又は破壊する可能性のある凝縮又は露点低下のリスクが排除される。
【0076】
図示されていないが、本明細書において、調整装置112Aに機械的に接続され、かつ圧力センサーに電気的に接続されるか又は圧力センサーを含む多面的な較正ツールを用いて、手動で又はモーターで圧力調整装置100を自動的に較正することができることが、さらに企図される。そのような較正ツールは、圧力センサーを介して検出された圧力を計算し、モーターを使用して1つ又は複数の調整装置112Aをリアルタイムに自動的に調整して、各段階の最適な較正設定を提供することができる。或いは、圧力調整装置100は、調整装置112Aに接続されたモーターを含んでもよく、このモーターは、ローカル又はリモートでアクセスされて、1つ以上のアクセスチャネル115に接続された1つ以上の圧力センサーから処理された読み取り値に基づいて各段階で圧力設定を調整することができる。
【0077】
図3A及び3Bは、本発明の実施形態に係る組み立てられた圧力調整装置100の内部図を示している。図示されるように、圧力調整装置100は、相互接続チャネル144に接続された複数のアクセスチャネル115を含み、このように、圧力を測定して様々な段階を較正する能力を提供する。また、放射状に配置された圧力調整弁112内の加熱カートリッジ要素138(組立体軸116Bに配置されている)の実質的に中央の位置も示されている。蒸気ガス試料は、蒸気試料投入ポート108を介して圧力調整装置に入り、通路109を介して段階1の圧力調整弁112に導かれる。圧力調整装置が適切に較正されていると仮定すると、蒸気試料は各段階で圧力低下を引き起こす各圧力調整バルブ112を通って順次導かれるため、出口110を介して段階5の圧力調整弁112を出る蒸気試料は、クロマトグラフなどの感圧機器による分析に適した圧力を有する。
【0078】
図4は、組み立てられると圧力調整装置100を形成する例示的な圧力調整システム101の分解図を示している。圧力調整システム101は、1つ以上の圧力調整弁112、管状上部本体102、組立体116及び加熱要素138を含む。1つ以上の圧力調整弁112は、終端ナット112B、ばね室112C及び室密封部112Dによりねじ切りされてワッシャ112Eに接触する調整装置112Aを含み、感知ピストンばね112Fによって感知ピストン112Gに対して加えられる力を増加させるか又は減少させることができる。弁軸ばね112M内に封入された弁軸112Lは、弁座112J及びガイド密封部112Kによって密封された弁ガイド112Iを通る動きを介して感知ピストンシート112Gに向かって反対の力を提供する。1つ以上の圧力調整弁112は、管状上部本体102内に軸方向に延在する1つ以上の開口部146内に取り付けられて、管状上部本体102の内部に段階的穴開け型ウェルを提供する。
【0079】
一例では、部分111Bは、放射状に穴開けされた蒸気試料投入ポート108及び吐出ポート110の近くの本体102の底部から穴開けすることによって管状上部本体102内に形成される(
図1Bを参照)。部分111Bは、その軸方向の長さに沿ってその中点でほぼ先細になるように形成される。開口部107は、管状上部本体102の上部平面106から別個に穿設されて、部分111Aを形成して穴開けされた部分111Bと接続することができる。この例における開口部107は、部分111Aの直径が開口部107の真下に形成された部分111Bの直径よりも大きいため、上部平面106から形成されている。部分111Aが部分111Bと接触する時点で、組立体密封部を使用して、組立体116を管状上部本体102内に挿入したときに密封する。これにより、管状上部本体102の中央内部に加熱カートリッジ要素138を維持し、部分111Bによって形成されるテーパーに対して軸116Bを維持することによって、最大の熱伝達が保証される。
【0080】
組立体116は、組立体116のベース116Aから組立体軸116B内に穴開けされて任意の加熱カートリッジ要素138が挿入される内部空洞136を含む。空洞は、接触面積を増加させ、本体102への熱エネルギー伝達を強化するために、円筒形又はテーパー状であってもよい。給電線134及び熱電対135は、組立体116に放射状に穴開けされた制御吐出ポート129を介して挿入され、内部空洞136を介して加熱カートリッジ要素138に接続されてもよい。熱電対135は、比例積分微分(PID)コントローラ及び/又はAllen Bradley 850シリーズPLC又は同等のコントローラなどのプログラマブルロジックコントローラ(PLC)(図示せず)に接続されて、信号フィードバック及び圧力調整装置100の制御を提供することができる。加熱カートリッジ要素138、給電線134及び熱電対135が組立体116内に囲まれると、組立体116のベース116Aに穴開けされた開口部は、閉じたシステムを提供するために、雌ねじ切りされたプラグで閉じられる。安全のために、プラグは、ATEX規格などの1つ以上の該当する規格に従って防爆とすることができる。
【0081】
組み立てられた圧力調整装置100は、製造コストが低く、試料調整機器内のより小さな領域で圧力調整装置100を使用することを可能にするコンパクトな設計を提供する。本明細書において説明したように、圧力調整装置100は、測定されるガスの特定の用途又はプロファイルに基づいて動的に調整され得るため、様々な異なる用途に使用することができる。さらに、直列に接続された放射状に配置された圧力調整弁112は、垂直に設計された多段階レギュレータに一般的に関連する、重力によって生じる問題を回避する。
【0082】
図5Aは、調整弁組立体の代替の実施形態を示している。この実施形態は、より高い開始圧力、例えば、41300kPa(6000psi)~69000kPa(10.000psi)以上での試料のために流入蒸気試料をより高度に減圧するために提供される。高圧レギュレータの実施形態は、上記の実施形態と本質的に変わらないレギュレータケース102及びベース116を含む。第3~第5の調整弁112は、同様に、前述のものから変更されないままである。しかしながら、少なくとも第1の圧力調整弁、そして好ましくは第2の圧力調整弁組立体512は異なる。高圧の実施形態は、入れ子型と分岐型の感知ピストン530及び少なくとも1つのより重い感知ピストンアクチュエータばねを特徴とする。
【0083】
高圧弁組立体の一実施形態は
図5Bに示されている。図示されているように、高圧弁の実施形態は、寸法的に弁組立体112に適合するが、2成分感知ピストン512G構造を組み込み、このような構造は、本質的に、外側シェルシリンダ512Goに摺動可能に入れ子にされた内側コアシリンダ要素512Giを確立して内側コアシリンダ要素512Giと外側シェルシリンダ512Goとの間の相対的な軸方向の動きを可能にする。シリンダ要素512Gi及び512Goは、蒸気漏れを防止するためにそれらの外面の周りに配置された1つ以上の密封リング532を含んでもよい。また、高圧減圧配置においては、
図4に示された感知ピストンの下に配置されたワッシャ112Eが不要となる。ワッシャ112が不要になるため、下方に付勢されたより重い感知ピストンアクチュエータばね、又は好ましくは
図5Bに示されるように、二重ばね配置の使用が可能になる。二重ばねの構造は、ばね室512Cに着座する外側ばね512Fo内に入れ子にされた内側ばね512Fiを含む。以下に配置される場合、少なくとも内側ばねは、ばね室512Cの内径よりも小さい直径を有するワッシャ530である。一実施形態では、内側ばね512Fiは、ディスク状ワッシャ530に直接当たり、その結果、中心の内側コアシリンダ512Giの直径を効果的に拡大して、内側ばね512Fiから下向きのばね力を集中させる。この力は、内側コアシリンダ512Giを介して変換され、弁軸先端512L-3に伝達される。外側ばね512Foは、感知ピストン512Gの外側シェルシリンダ512Goの上面に直接当たってもよい。
【0084】
別の実施形態では、ワッシャ530は、直径がばね室512Cの内径全体にわたって実質的に延在し、その結果、内側ばね512Fi及び外側ばね512Foの両方と直接接触する。ワッシャ530の直径が外側ばね512Foの外径に対応する場合、最大ばね力が両方のばねによって感知ピストンに加えられる。より小さな直径のワッシャを使用すると、ばねとの接触が少なくなるため、ワッシャにかかるばね力の圧力が減少する。この機能により、所望の減圧調整を実現するための設計の柔軟性が高まる。
【0085】
換言すれば、この配置は、ばね512Fi及び512Foの圧縮ばね力全体を、ワッシャ530を介してより小さな直径の内側コア512Giに向けることにより、その有効圧縮及び上方に突出する弁軸先端512L-3に下方に向けられた力を増強させ、この場合、感知ピストンの内側コアピストンシリンダ512Giに接触して押し付けることによって、より高い開始圧力で効果的な圧力調整を提供する。
【0086】
構造的に、ワッシャ530は、ステンレス鋼又は代替の剛性の強い材料、例えば、セラミック、非反応性金属合金などから形成され、好ましくは、中央の開口部532の中心にある受け入れノッチを含み、この受け入れノッチは、ばね室512C内のワッシャ530を位置的に安定させるために、内側コアピストンシリンダ512Giのほぼ平坦な上面の上に突出する突起534を受け入れてそれと協調するように寸法設計されている。
【0087】
前述のように、高圧弁組立体の寸法が前述の弁組立体の実施形態に対応する場合、ハウジングの口径の標準化が達成されるが、状況に応じて、必要な程度の強化された圧力調整を達成するために必要な場合、より大きなサイズの高圧調整弁組立体を収容するために、弁を受け入れる最初の2つの凹型開口部の口径を拡大することができる。
【0088】
上述した追加又は代替の詳細のいずれかを組み込んだ装置又は方法は、以下の特許請求の範囲及びその同等物に基づいて決定される本発明の範囲に含まれることが当業者に理解されるであろう。例えば、5つのアクセスチャネル115、5つの開口部146及び5つの対応する圧力調整弁112が示されているが、本明細書において、当業者によって理解されるように、より少ない又はより多くのこれらの機構を実装して異なる構成を提供することができると考えられる。さらに、本明細書において論じられる例示的な実施において、蒸気ガス試料は、液体試料を蒸気形態に気化させた気化器装置の吐出物から受け入れられる。しかしながら、圧力調整装置100は、天然ガスから直接的に、又はガス試料調整システム内の上流又は下流の他の箇所にある他のタイプの機器から受け入れられた蒸気ガス試料を調整するために使用することができる。
【0089】
本発明の他の態様、目的及び利点は、図面及び開示を与えられた当業者には明らかであるはずである。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、多段階圧力調整システムを提供するために有用であり、ガス試料圧力調整システムを通過する蒸気ガスの圧力を低下させるための装置及び関連する方法を用いた天然ガス試料の採取における使用に特に適し、ガス試料圧力調整システムを通過する蒸気ガスの圧力を低下させる多段階圧力調整システム、装置及び関連する方法である。このシステム及び方法は、非通気アレイに配置された一連の較正可能な圧力調整弁組立体を含む、必要に応じて加熱されたハウジングに依存し、各組立体は、通過中の露点の低下を回避しながら、蒸気試料を予め設定された減圧で下流の分析装置に送るために、投入された蒸気試料の圧力を選択された減圧に低下させるように構成されている。
【符号の説明】
【0091】
100 圧力調整装置
102 上部本体、レギュレータケース
104 周囲環部
106 上面
107 開口部
108 蒸気試料投入ポート
109 蒸気試料通路
110 蒸気試料吐出ポート
111 ボア
111A 上部部分
111B 中間部分
111C 下部部分
112 圧力調整弁
112A 調整装置
112B 終端ナット
112C、512C ばね室
112D 室密封部
112E 、530ワッシャ
112F 感知ピストンばね
112G 感知ピストン
112I 弁ガイド
112J 弁座
112K 密封装置、ガイド密封部
112L 弁軸
112L-1 弁軸基部
112L-2 弁軸突起
112L-3、512L-3 弁軸先端
112M 弁軸ばね
113A コネクタポート
114 プラグ
115 アクセスチャネル
116 組立体
116A ベース
116B 軸
118 下部ボア
119 蒸気試料
121 中間ボア
123 上部ボア
125 圧力調整弁のボア
127 チャネル
128 ギャップ
129 制御吐出ポート
131 合わせ穴
134 給電線
135 熱電対
136 内部空洞
138 加熱カートリッジ要素
142 蒸気試料通路
144 相互接続チャネル
146 開口部
512 第2の圧力調整弁組立体
512Fo 外側ばね
512Fi 内側ばね
512G 感知ピストン
512Gi 内側コアシリンダ
512Go 外側シェルシリンダ
532 密封リング、中央開口部
534 突起