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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-11-02
(45)【発行日】2023-11-13
(54)【発明の名称】負極活物質、電気化学装置及び電子装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/48 20100101AFI20231106BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20231106BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20231106BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20231106BHJP
   H01M 10/0568 20100101ALI20231106BHJP
【FI】
H01M4/48
H01M4/36 A
H01M4/36 C
H01M4/587
H01M10/052
H01M10/0568
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022520150
(86)(22)【出願日】2021-07-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-24
(86)【国際出願番号】 CN2021104552
(87)【国際公開番号】W WO2022142241
(87)【国際公開日】2022-07-07
【審査請求日】2022-03-30
(31)【優先権主張番号】202011623085.0
(32)【優先日】2020-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513054978
【氏名又は名称】寧徳新能源科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Ningde Amperex Technology Limited
【住所又は居所原語表記】No.1 Xingang Road, Zhangwan Town, Jiaocheng District, Ningde City, Fujian Province, 352100, People’s Republic of China
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(72)【発明者】
【氏名】陳 聡栄
【審査官】梅野 太朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-046221(JP,A)
【文献】国際公開第2019/167581(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M4/00-4/62
H01M10/052、10/0568
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン炭素複合体を含む負極活物質であって、
前記シリコン炭素複合体は、ケイ素酸化物及び黒鉛を含み、前記ケイ素酸化物の一般式はSiO、0.5≦x≦1.6であり、
前記シリコン炭素複合体は、関係式2≦b/a<6を満たし、式中、aはケイ素酸化物の平均粒子径を表し、bは黒鉛の平均粒子径を表し、
前記負極活物質は、さらに前記シリコン炭素複合体の表面に位置する保護層を含み、
前記保護層は、カーボンナノチューブ、及びアモルファスカーボンを含む、負極活物質。
【請求項2】
aは2μm~6μmである、請求項1に記載の負極活物質。
【請求項3】
bは4.1μm~30μmである、請求項1に記載の負極活物質。
【請求項4】
cは負極活物質のDv50を表し、cは6.1μm~60μmである、請求項1に記載の負極活物質。
【請求項5】
前記負極活物質は、関係式a+b≦c≦5bを満たす、請求項4に記載の負極活物質。
【請求項6】
記保護層は、さらにグラフェンを含む、請求項1に記載の負極活物質。
【請求項7】
以下の条件(i)、条件(ii)、又は条件(iii)のうちの少なくとも1つを満たす負極活物質であって、
(i)前記保護層は第1の保護材と第2の保護材とを含み、前記第1の保護材はカーボンナノチューブ、アモルファスカーボン又はグラフェンのうちの少なくとも1種を含み、前記第2の保護材はカーボンナノチューブ、アモルファスカーボン又はグラフェンのうちの少なくとも1種を含むこと、
(ii)前記カーボンナノチューブの長さはdであり、1μm≦d≦15μmであること、
(iii)負極活物質に対して、前記保護層の質量分率は0.05%~5%であること、請求項に記載の負極活物質。
【請求項8】
前記保護層は、第1の保護材と第2の保護材を含み、前記第1の保護材の厚みは20nm~300nmであり、前記第2の保護材の厚みは20nm~500nmである、請求項に記載の負極活物質。
【請求項9】
以下の条件(a)又は条件(b)のうちの少なくとも1つを満たす負極活物質であって、
(a)前記負極活物質の比表面積は1m/g~50m/gであること、
(b)負極活物質に対して、前記ケイ素酸化物の質量分率は5%~50%であり、前記黒鉛の質量分率は25%~93.5%であること、請求項1に記載の負極活物質。
【請求項10】
請求項1に記載の負極活物質を含む負極、電解液、セパレータ及び正極を含む、電気化学装置。
【請求項11】
前記電解液は、さらに、リチウム塩を含み、前記リチウム塩は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド及び六フッ化リン酸リチウムを含む、請求項10に記載の電気化学装置。
【請求項12】
前記リチウム塩の濃度は、1mol/L~2mol/Lである、請求項11に記載の電気化学装置。
【請求項13】
前記リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドと六フッ化リン酸リチウムとの質量比は0.06~5である、請求項11に記載の電気化学装置。
【請求項14】
請求項10~13のいずれか一項に記載の電気化学装置を含む、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2020年12月31日に出願された、発明の名称は「負極活物質、電気化学装置及び電子装置」である中国特許出願第202011623085.0号に基づく優先権を主張するものであり、当該中国特許出願の全内容を本出願に参照により援用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、リチウムイオン電池の分野に関するものである。具体的には、本発明は、負極活物質及びその製造方法に関するものである。また、本発明はさらに、当該負極活物質を含む負極、電気化学装置及び電子装置に関するものである。
【背景技術】
【0003】
近年、ケイ素は、可逆容量が4200mAh/gと高いことから、大規模に使用される可能性が最も高いリチウムイオン負極活物質と考えられている。材料は充放電プロセスにおいて膨張及び収縮するため、緊密な保護構造により、このプロセスにおける構造の破壊を効果的に軽減することができる。一方、材料の破壊は新しい界面を生成し、複数のサイクルでは大量の副生成物であるSEIが生成する。界面に密着でなく、強固でない時、この層である副生成物は炭素層の剥離を推進して加速させ、それにより材料の減衰及び故障を加速させる。
【0004】
ケイ素酸素材料のサイクル特性を向上させる主な手段は、炭素保護ケイ素酸素材料、炭素保護ケイ素酸素材料の間に中間空隙層の設置、ケイ素酸素材料の寸法の低下、重合体保護ケイ素酸素材料、非晶質酸化物保護ケイ素酸素材料等を含む。これらの保護手段の中では、炭素保護ケイ素酸素材料は、電子伝導特性がよく、安定性が高いため、現在の主な応用方向となっている。しかし、電池極片の加工において、炭素保護ケイ素酸素材料はせん断力の繰り返しにより脱炭素化の現象が起り、クーロン効率に影響を与え、更に、SEI膜(固体電解質界面膜)の形成により電解液が消費される可能性が高い。一方、複数回のサイクル過程において、ケイ素の膨張収縮及び破裂により炭素層が基体から剥がれ落ちやすくなり、SEIの生成に伴い、炭素層が副産物によって包まれることで、電気化学インピーダンス及び分極が大幅に増加し、サイクル寿命に影響を与える。したがって、炭素層とケイ素酸素材料との界面結合特性を向上させることはサイクル寿命の改善、サイクル構造安定性の向上に対して重要な意義がある。
【0005】
重合体保護ケイ素酸素材料及び非晶質酸化物保護ケイ素酸素材料は、電解液とケイ素酸素材料との直接接触を効果的に回避することができるが、重合体及び非晶質酸化物の導電性が低いため、電気化学インピーダンス及び分極を増加させることにより、ケイ素酸素材料がリチウムを放出できないだけでなく、保護層がリチウムを放出する時に破壊されやすくなり、サイクル寿命に影響を与える。したがって、電解液とケイ素酸素材料との直接接触を回避しつつ、ケイ素酸素材料の導電性を向上し、ケイ素酸素材料の体積膨張を抑制することは、負極活物質のサイクル寿命の改善及びサイクル構造安定性の向上にとって重要な意義がある。
【発明の概要】
【0006】
従来技術の欠点に対して、本発明は第1の態様では、リチウムイオン電池負極活物質として、サイクル寿命及びサイクル構造安定性を向上させることができる負極活物質を提供する。
【0007】
本発明で提供される負極活物質は、シリコン炭素複合体を含む負極活物質であって、前記シリコン炭素複合体は、一般式SiO(0.5≦x≦1.6)で表されるケイ素酸化物及び黒鉛を含み、前記シリコン炭素複合体は関係式2≦b/a<6を満たし、式中、aはケイ素酸化物の平均粒子径を表し、bは黒鉛の平均粒子径を表す。本発明の発明者が検討したところ、SiOと黒鉛の平均粒子径が2≦b/a<6を満たす場合に初めて、適切な造粒粒子径及びより良好なサイクル特性が得られることが発見された。
【0008】
本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、ケイ素酸化物の平均粒子径は、2μm~6μmである。本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、黒鉛の平均粒子径は、4.1μm~30μmである。適切な粒子径の範囲を有するケイ素酸化物と黒鉛の組み合わせは、負極活物質のサイクル特性を効果的に改善することができる。
【0009】
本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、cは負極活物質のDv50を表し、cは6.1μm~60μmであり、適切な範囲の粒子径を有する負極活物質は造粒プロセスによって選択される。
【0010】
本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、前記負極活物質は関係式a+b≦c≦5bを満たし、式中、aはケイ素酸化物の平均粒子径を表し、bは黒鉛の平均粒子径を表し、cは負極活物質のDv50を表す。負極活物質のDv50が当該関係式を満たす場合、より適切な造粒粒子径及びより良好なサイクル特性を得ることができる。
【0011】
本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、前記負極活物質はさらに前記シリコン炭素複合体の表面に位置する保護層を含む。いくつかの好ましい実施例によれば、前記保護層は、カーボンナノチューブ、アモルファスカーボン又はグラフェンのうちの少なくとも1種を含む。カーボンナノチューブは、黒鉛とSiOの外面に被覆され、SiOと黒鉛との結合を向上させ、同時にSiOと黒鉛との間に挿入し、材料のイオン及び電子伝導性を向上させる。前記アモルファスカーボンは黒鉛とSiOの表面を保護し、同時にカーボンナノチューブと接触させ、接着作用を果たし、一酸化ケイ素の体積膨張を抑制する。前記負極活物質において、この保護層はケイ素と黒鉛の導電界面を改善するだけでなく、材料の導電性を向上させ、それによって混合負極のサイクル特性、膨張率及び動力学を改善することができる。
【0012】
本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、前記保護層は、第1の保護材と第2の保護材とを含み、第1の保護材は、カーボンナノチューブ、アモルファスカーボン又はグラフェンのうちの少なくとも1種を含み、第2の保護材は、カーボンナノチューブ、アモルファスカーボン又はグラフェンのうちの少なくとも1種を含む。本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、前記カーボンナノチューブの長さはdであり、1μm≦d≦15μmである。本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、負極活物質に対して、前記保護層の質量分率は0.05%~5%である。
【0013】
本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、前記保護層は、第1の保護材と第2の保護材とを含み、第1の保護材は、カーボンナノチューブ、アモルファスカーボン又はグラフェンのうちの少なくとも1種を含み、第2の保護材は、カーボンナノチューブ、アモルファスカーボン又はグラフェンのうちの少なくとも1種を含む。カーボンナノチューブは、黒鉛とSiOの外面に被覆され、SiOと黒鉛との結合を向上させ、同時にSiOと黒鉛との間に挿入し、材料のイオン及び電子伝導性を向上させる。前記アモルファスカーボンは黒鉛とSiO表面を保護し、同時にカーボンナノチューブと接触し、接着作用を果たし、一酸化ケイ素の体積膨張を抑制する。当該保護層は、ケイ素と黒鉛の導電界面を改善するだけでなく、また、材料の導電性を向上させ、それによって負極のサイクル特性、膨張率及び動力学を改善することができる。
【0014】
本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、前記カーボンナノチューブの長さはdであり、1μm≦d≦15μmである。所定長さのカーボンナノチューブはサイクル過程において粒子同士の長レンジ導電性(long-range conductivity)を提供することができるが、カーボンナノチューブが短すぎると、サイクル過程において粒子同士の長レンジ導電性を改善する効果が顕著ではなく、一方、カーボンナノチューブが長すぎると、粒子が凝集しやすくなり、膨張して増大する。
【0015】
本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、負極活物質に対して、前記保護層の質量分率は0.05%~5%である。負極活物質において、保護層の役割は負極活物質界面を保護し、より多くの粒子表面と電解液との直接接触を回避することであるが、保護層の質量分率が高すぎると、保護層のより多くの副反応を引き起こしやすくなってしまう。
【0016】
本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、前記保護層は、第1の保護材と第2の保護材を備え、前記第1の保護材と前記第2の保護材とが接触している。前記第1の保護材の厚みは20nm~300nmであり、前記第2の保護材の厚みは20nm~500nmである。前記第1の保護材の厚みは、第1の保護材とシリコン炭素複合体(SiO/黒鉛)との接触面から、第1の保護材と第2の保護材、好ましくはアモルファスカーボンとの接触面までの垂直距離である。前記第2の保護材の厚みは20nm~500nm、当該厚みは、SiOの表面から表面と垂直方向に厚さを計算したものである。アモルファスカーボンの厚みは500nm以下に制御する必要があり、厚過ぎるアモルファスカーボンはイオンの伝導、及びにカーボンナノチューブの長レンジ導電性を保証することができない。
【0017】
本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、前記負極活物質の比表面積が1m/g~50m/gである。本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、負極活物質に対して、前記ケイ素酸化物の質量分率は5%~50%であり、前記黒鉛の質量分率は25%~93.5%である。
【0018】
本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、前記負極活物質の比表面積が1.11m/g~1.59m/gである。負極活物質の比表面積が高すぎる場合に、サイクルでの副反応を招きやすい。
【0019】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記黒鉛は、人造黒鉛又は天然黒鉛のうちの少なくとも一つを含み、前記人造黒鉛又は天然黒鉛は、メソカーボンマイクロビーズ、又はハードカーボンのうちの少なくとも一つを含む。前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、又は両方の組合せを含む。前記アモルファスカーボンは有機物の炭化によって得られ、ここで、前記有機物は、カルボキシメチルセルロース及びその金属塩、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、アルカン、アルケン又はアルキンからなる群から選ばれる少なくとも一種を含む。本発明で提供される負極活物質は一酸化ケイ素と黒鉛を使用して複合造粒を行い、そして、カーボンナノチューブ及びアモルファスカーボンでケイ素と黒鉛を保護することにより、ブリッジとして機能し、一酸化ケイ素と黒鉛との間の接触を増強させ、導電性を向上させ、且つ一酸化ケイ素の体積膨張が抑制され、それによって負極のサイクル特性、膨張率及び動力学を改善することができる。
【0020】
本発明の第2の態様では、溶媒でケイ素酸化物と黒鉛を混合して第1の混合物を形成するステップA、カーボンナノチューブと前記第1の混合物を混合して第2の混合物を形成するステップB、第2の混合物を噴霧乾燥して造粒するステップC、不活性雰囲気下で、ステップCで得られた造粒物を焼結するステップDを含む第1の態様に記載の負極活物質の調製方法を提供する。
【0021】
本発明の第3の態様では、本発明の第1の態様に記載の負極活物質を含む負極を提供する。
【0022】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記負極はさらに導電剤及びバインダーを含む。
【0023】
本発明のいくつかの実施例によれば、負極の5トンでの圧縮密度(Compaction density)をPとし、カーボンナノチューブの質量分率(前記負極活物質の総質量に対する質量分率)をnとし、0.05%<n<3.2%の場合には、Pはnが大きくなるにつれて増加する。
【0024】
本発明のいくつかのさらなる実施例によれば、同一ケイ素含有量を有する負極では、前記負極活物質を含む負極は、膜抵抗(membrane resistance)が1オーム未満である。
【0025】
本発明の負極は、当該技術分野で公知の方法により製造することができる。一般的には、負極活物質、並びに任意に導電剤(例えば、カーボンブラック等の炭素材料及び金属粒子等)、バインダー(例えば、SBR)、及び他の任意の添加剤(例えば、PTCサーミスタ材料)等の材料を混合し、共に溶媒(例えば、脱イオン水)に分散させ、均一に撹拌した後に負極集電体に均一に塗布し、乾燥させた後に負極シートを有する負極を得る。負極集電体として、金属箔又は多孔質金属板などを用いることができる。
【0026】
本発明の第4の態様では、本発明の第1の態様に記載の負極活物質を含む負極を有する電気化学装置を提供する。
【0027】
本発明の第4の態様では、電解液を含む電気化学装置を提供し、前記電解液は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)及び六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を含むリチウム塩をさらに含み、本発明のいくつかの実施例によれば、リチウム塩の濃度は1mol/L~2mol/Lであり、且つリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドと六フッ化リン酸リチウムとの質量比は0.06~5である。LiFSIとLiPFの質量比を調整することにより、電池セルのサイクル特性及び膨張性能を改善される。これは主に、負極材料におけるシリコン炭素複合体と電解液におけるリチウム塩の相互作用により、負極と電解液との間の接触を改善することによってそのサイクル特性が改善されるからである。
【0028】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記電気化学装置において、前記負極活物質はさらに前記シリコン炭素複合体の表面に位置する、カーボンナノチューブ、アモルファスカーボン又はグラフェンのうちの少なくとも1種有する保護層を含む。
【0029】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記電気化学装置において、前記保護層は、第1の保護材と第2の保護材を含み、前記第1の保護材の厚みは20nm~300nmであり、前記第2の保護材の厚みは20nm~500nmである。
【0030】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記の保護層は、第1の保護材と第2の保護材を含み、第1の保護材は、カーボンナノチューブ、アモルファスカーボン又はグラフェンのうちの少なくとも1種を含み、第2の保護材はカーボンナノチューブ、アモルファスカーボン又はグラフェンのうちの少なくとも1種を含む。本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、前記カーボンナノチューブの長さはdであり、1μm≦d≦15μmである。本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、負極活物質に対して、前記の保護層の質量分率は0.05%~5%である。
【0031】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記電気化学装置において、前記負極活物質の比表面積が1m/g~50m/gである。本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、負極活物質に対して、前記ケイ素酸化物の質量分率は5%~50%であり、前記黒鉛の質量分率は25%~93.5%である。本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、aは2μm~6μmである。本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、bは4.1μm~30μmである。本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、cは負極活物質のDv50を表し、cは6.1μm~60μmである。本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、cは負極活物質のDv50を表し、且つa+b≦c≦5bである。
【0032】
本発明の電気化学装置は、電気化学反応を起こさせることができる装置であればよく、その具体例として、一次電池、二次電池、燃料電池、太陽電池、キャパシタ等のあらゆる種類の装置が挙げられる。特に、その電気化学装置が、リチウム金属二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウム重合体二次電池又はリチウムイオン重合体二次電池を含むリチウム二次電池である。
【0033】
第5の態様において、本発明はさらに、本発明の第3の態様に記載の電気化学装置を含む電子装置を提供した。
【0034】
本発明の電子装置は特に限定されていない。いくつかの実施例において、本発明の電子装置は、ノートコンピューター、ペン入力型コンピューター、モバイルコンピューター、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯型ファクシミリ、携帯型コピー機、携帯型プリンター、ステレオヘッドセット、ビデオレコーダー、液晶テレビ、ポータブルクリーナー、携帯型CDプレーヤー、ミニディスク、トランシーバー、電子ノートブック、電卓、メモリーカード、ポータブルテープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、自動車、オートバイ、補助自転車、自転車、照明器具、おもちゃ、ゲーム機、時計、電動工具、閃光灯、カメラ、大型家庭用ストレージバッテリー、及びリチウムイオンコンデンサーなどを含むが、これらに限定されていない。
【0035】
本発明で提供される負極活物質は、SiOと黒鉛の平均粒子径が2≦b/a<6を満たすことにより、適切な造粒粒子径及びより良好なサイクル特性が得られる。当該負極活物質は、リチウムイオン電池の負極に用いられることにより、サイクル寿命及びサイクル構造安定性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の実施形態に係る負極活物質の構成を示す模式図である。
図2】本発明の実施例1に係る負極活物質のSEM像である。
図3】本発明の実施例3に係る負極活物質のSEM像である。
図4】この発明の実施例1に係る負極の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
簡潔のために、いくつかの数値範囲のみが本発明に具体的に開示される。しかしながら、任意の下限は、任意の上限と組み合わされて明示的に記載されていない範囲を形成してもよく、そして任意の下限は、他の下限と組み合わされて明示的に記載されていない範囲を形成してもよく、同様に任意の上限は、任意の他の上限と組み合わされて明示的に記載されていない範囲を形成してもよい。さらに、個々に開示された各点又は個々の数値自体は、下限又は上限として、任意の他の点又は個々の数値と組み合わせて、又は他の下限若しくは上限と組み合わせて、明示的に記載されていない範囲を形成し得る。
【0038】
本発明の説明では、別記しない限り、「以上」、「以下」は、端値を含む。
【0039】
別記しない限り、本発明中で使用される用語は、当業者によって一般的に理解される一般的な意味を有する。別記しない限り、本発明で言及される各パラメータの値は、当技術分野で一般的に使用される様々な測定方法を使用して測定することができる(例えば、本発明の実施例に記載の方法に従って測定することができる)。
【0040】
用語「のうちの少なくとも一方」、「のうちの少なくとも一つ」、「のうちの少なくとも一種」、又は、他の類似な用語で接続される項目のリストは、リストされる項目の任意の組み合わせを意味する。例えば、項目A及びBがリストされている場合、「A及びBのうちの少なくとも一方」という短句は、Aのみ;Bのみ;又はA及びBを意味する。他の実例では、項目A、B、及びCがリストされている場合、「A、B、及びCのうちの少なくとも一方」という短句は、Aのみ;Bのみ;Cのみ;A及びB(Cを除く);A及びC(Bを除く);B及びC(Aを除く);又はA、B、及びCのすべてを意味する。項目Aは、単一の成分又は複数の成分を含み得る。項目Bは、単一の成分又は複数の成分を含み得る。項目Cは、単一の成分又は複数の成分を含み得る。
【0041】
一、負極活物質
本発明で提供される負極活物質は、一般式SiO(0.5≦x≦1.6)で表されるケイ素酸化物と黒鉛とを含むシリコン炭素複合体を含有し、前記シリコン炭素複合体は、関係式2≦b/a<6を満たし、ここで、aはケイ素酸化物の平均粒子径を表し、bは黒鉛の平均粒子径を表す。本発明の発明者が検討したところ、SiOと黒鉛の平均粒子径が関係式2≦b/a<6を満たす場合に、適切な造粒粒子径及びより良好なサイクル特性が得られることができる。
【0042】
本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、ケイ素酸化物の平均粒子径は、2μm~6μmであり、黒鉛の平均粒子径は4.1μm~30μmである。ケイ素酸化物の平均粒子径が大きすぎるか小さすぎると、いずれもそのサイクルに影響を与え、適切な粒子径の範囲を有するケイ素酸化物と黒鉛を組み合わせることで、負極活物質のサイクル特性を効果的に改善することができる。
【0043】
本発明のいくつかの実施例によれば、ケイ素酸化物の平均粒子径は、2μm~6μmであり、具体的には、2μm、2.5μm、3μm、3.5μm、4μm、4.5μm、5μm、5.5μm、6μmであってもよく、あるいはこれらの値のいずれか2つの値からなる範囲にあってもよい。
【0044】
本発明のいくつかの実施例によれば、黒鉛の平均粒子径は、4.1μm~30μmであり、具体的には、5μm、5.5μm、6μm、6.5μm、7μm、7.5μm、8μm、9μm、10μm、11μm、12μm、13μm、14μm、15μm、16μm、17μm、18μm、19μm、20μm、23μm、25μm、28μmであってもよく、あるいはこれらの値のいずれか2つの値からなる範囲にあってもよい。
【0045】
本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、cは負極活物質のDv50を表し、cは6.1μm~60μmであり、適切な範囲の粒子径を有する負極活物質は造粒プロセスによって選択される。
【0046】
本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、前記負極活物質は関係式a+b≦c≦5bを満たし、式中、aはケイ素酸化物の平均粒子径を表し、bは黒鉛の平均粒子径を表し、cは負極活物質のDv50を表す。負極活物質のDv50が当該関係式を満たすとき、より適切な造粒粒子径及びより良好なサイクル特性を得ることができる。本発明のいくつかの実施例によれば、負極活物質のDv50は6.1μm~60μmであり、具体的には、6.5μm、7μm、7.5μm、8μm、9μm、10μm、11μm、12μm、13μm、14μm、15μm、16μm、17μm、18μm、19μm、20μm、23μm、25μm、28μm、30μm、35μm、38μm、42μm、45μm、48μm、50μm、55μmであってもよく、あるいはこれらの値のいずれか2つの値からなる範囲にあってもよい。
【0047】
本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、前記負極活物質はさらに前記シリコン炭素複合体の表面に位置する保護層を含む。いくつかの好ましい実施例によれば、前記保護層は、カーボンナノチューブ、アモルファスカーボン又はグラフェンのうちの少なくとも1種を含む。カーボンナノチューブは、黒鉛とSiOの外面に被覆され、SiOと黒鉛との結合を向上させ、同時にSiOと黒鉛との間に挿入し、材料のイオン及び電子伝導性を向上させる。前記アモルファスカーボンは黒鉛とSiO表面を保護し、同時にカーボンナノチューブと接触し、接着作用を発揮させ、一酸化ケイ素の体積膨張を抑制する。前記負極活物質において、この保護層はケイ素と黒鉛の導電界面を改善するだけでなく、また、材料の導電性を改善することによって混合負極のサイクル特性、膨張率及び動力学を改善することができる。
【0048】
本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、前記保護層は、第1の保護材と第2の保護材を含み、前記第1の保護材と前記第2の保護材とが接触しており、前記第1の保護材の厚みは20nm~300nm、前記第2の保護材の厚みは20nm~500nmである。前記第1の保護材の厚みは、第1の保護材とシリコン炭素複合体(SiO/黒鉛)との接触面から、第1の保護材と第2の保護材、好ましくはアモルファスカーボンとの接触面までの垂直距離である。前記第2の保護材の厚みは20nm~500nmである。当該厚みは非規則保護に属し、即ち、当該厚みは非規則的なものであり、SiO表面から計算した厚さである。いくつか実施例において、前記第1の保護材の厚みは20nm、30nm、50nm、80nm、100nm、120nm、150nm、180nm、200nm、250nm、300nmであってもよく、あるいはこれらの値のいずれか2つの値からなる範囲にあってもよい。いくつか実施例において、前記第2の保護材の厚みは20nm、30nm、50nm、80nm、100nm、120nm、150nm、180nm、200nm、250nm、300nm、320nm、350nm、500nm、400nmであってもよく、あるいはこれらの値のいずれか2つの値からなる範囲にあってもよい。アモルファスカーボンの厚みは500nm以下に制御する必要があり、厚過ぎるアモルファスカーボンはイオンの伝導、並びにカーボンナノチューブの長レンジ導電性を保証することができない。
【0049】
本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、前記負極活物質の比表面積が1m/g~50m/g、例えば、1m/g、5m/g、8m/g、10m/g、15m/g、18m/g、23m/g、30m/g、38m/g、42m/g、48m/gであってもよく、あるいはこれらの値のいずれか2つの値からなる範囲にあってもよい。負極活物質の比表面積が高すぎる場合に、サイクルでの副反応を招きやすい。
【0050】
本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、前記カーボンナノチューブの長さはdであり、1μm≦d≦15μmであり、例えば、1μm、2μm、5μm、8μm、10μm、12μmであってもよく、あるいはこれらの値のいずれか2つの値からなる範囲にあってもよい。一定の長さのカーボンナノチューブはサイクル過程において粒子同士の長レンジ導電性を提供することができるが、カーボンナノチューブが短すぎると、サイクル過程において粒子同士の長レンジ導電性を改善する効果が顕著ではなく、一方、カーボンナノチューブが長すぎると、粒子が凝集しやすくなり、膨張して増大する。
【0051】
本発明のいくつかの好ましい実施例によれば、負極活物質に対して、前記保護層の質量分率は0.05%~5%である。負極活物質において、保護層の役割は負極活物質界面を保護し、より多くの粒子表面と電解液との直接接触を回避することであるが、保護層の質量分率が高すぎると、保護層のより多くの副反応を引き起こしやすくなってしまう。
【0052】
本発明のいくつかの実施例によれば、負極活物質に対して、前記ケイ素酸化物の質量分率は5%~50%であり、具体的に、5%、8%、10%、12%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%であってもよく、あるいはこれらの値のいずれか2つの値からなる範囲にあってもよい。
【0053】
本発明のいくつかの実施例によれば、負極活物質に対して、前記黒鉛の質量分率は25%~93.5%であり、具体的に、25%、28%、30%、35%、40%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%であってもよく、あるいはこれらの値のいずれか2つの値からなる範囲にあってもよい。
【0054】
本発明のいくつかの実施例によれば、負極活物質に対して、前記カーボンナノチューブの質量分率は0.05%~5%であり、具体的に、0.10%、0.25%、0.30%、0.35%、0.40%、0.50%、0.55%、0.60%、0.65%、0.70%、0.75%、0.80%、1.0%、1.25%、1.5%、1.75%、2.0%、2.25%、2.50%、2.75%、3.0%、3.25%、3.5%、3.75%、4.0%、4.25%、4.5%、5.0%であってもよく、あるいはこれらの値のいずれか2つの値からなる範囲にあってもよい。
【0055】
本発明のいくつかの実施例によれば、負極活物質に対して、前記アモルファスカーボンの質量分率は0.1%~20%であり、具体的に、0.1%、0.5%、1.0%、1.5%、2%、3%、5%、8%、10%、12%、15%、18%であってもよく、あるいはこれらの値のいずれか2つの値からなる範囲にあってもよい。
【0056】
本発明のいくつかの実施例によれば、前記黒鉛は、人造黒鉛又は天然黒鉛のうちの少なくとも一つを含み、前記人造黒鉛又は天然黒鉛は、メソカーボンマイクロビーズ、又はハードカーボンのうちの少なくとも一つを含む。前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、又は両方の組合せを含む。前記アモルファスカーボンは有機物の炭化によって得られ、ここで、前記有機物は、カルボキシメチルセルロース及びその金属塩、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、アルカン、アルケン又はアルキンからなる群から選ばれる少なくとも一種を含む。本発明で提供される負極活物質は一酸化ケイ素と黒鉛を使用して複合造粒を行い、そしてカーボンナノチューブとアモルファスカーボンでケイ素と黒鉛を保護することにより、ブリッジとして機能し、一酸化ケイ素と黒鉛との間の接触を増強させ、導電性を向上させ、且つ一酸化ケイ素の体積膨張を抑制する。前記複合負極活物質は、ケイ素と黒鉛の導電界面を改善するほか、カーボンナノチューブとアモルファスカーボンが材料の構造を安定させるだけでなく、材料の導電性を改善し、それによって混合負極のサイクル特性、膨張率及び動力学を改善することができる。
【0057】
二、負極活物質の調製方法
本発明で提供される負極活物質の調製方法は、
溶媒でケイ素酸化物と黒鉛を混合して第1の混合物を形成するステップA、
カーボンナノチューブと前記第1の混合物を混合して第2の混合物を形成するステップB、
第2の混合物を噴霧乾燥して造粒を形成するステップC、
不活性雰囲気下で、ステップCで得られた造粒物を焼結するステップD、を含む。
【0058】
上記調製方法のいくつかの実施例において、前記ケイ素酸化物の一般式はSiO、0.5≦x≦1.6、2≦b/a<6であり、aはケイ素酸化物の平均粒子径を表し、bは黒鉛の平均粒子径を表す。
【0059】
上記調製方法のいくつかの実施例において、ケイ素酸化物の平均粒子径は、2μm~6μmであり、具体的には、2μm、2.5μm、3μm、3.5μm、4μm、4.5μm、5μm、5.5μm、6μmであってもよく、あるいはこれらの値のいずれか2つの値からなる範囲にあってもよい。
【0060】
上記調製方法のいくつかの実施例において、黒鉛の平均粒子径は、4.1μm~30μmであり、具体的には、5μm、5.5μm、6μm、6.5μm、7μm、7.5μm、8μm、9μm、10μm、11μm、12μm、13μm、14μm、15μm、16μm、17μm、18μm、19μm、20μm、23μm、25μm、28μmであってもよく、あるいはこれらの値のいずれか2つの値からなる範囲にあってもよい。
【0061】
上記調製方法のいくつかの実施例において、前記カーボンナノチューブの長さをdとして、それが関係式1μm≦d≦15μmを満たし、例えば、1μm、2μm、5μm、8μm、10μm、12μmであってもよく、あるいはこれらの値のいずれか2つの値からなる範囲にあってもよい。
【0062】
上記調製方法のいくつかの実施例において、ステップBにおいて、前記カーボンナノチューブは、カーボンナノチューブスラリーの形態で第1の混合物に添加され混合される。本発明の実施例によれば、前記カーボンナノチューブスラリーはカーボンナノチューブ及び有機物を含む。具体的には、前記有機物はカルボキシメチルセルロース及びその金属塩、ポリビニルピロリドン、ポリアクリレート、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフッ化ビニリデン、スチレンブタジエンゴム、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリル、アルカン、アルケン又はアルキンからなる群選ばれる少なくとも一種であってもよい。
【0063】
上記調製方法のいくつかの実施例において、ステップAにおける前記溶媒は、水、エタノール、メタノール、n-ヘキサン、N,N-ジメチルホルムアミド、ピロリドン、アセトン、トルエン、イソプロパノール、n-プロパノール等のうちの一種又は複数種であってもよく、これらの中で、水が好ましい。
【0064】
上記調製方法のいくつかの実施例において、ステップDにおける前記焼結温度は、450℃~1100℃の温度区間におけるある温度であってもよく、好ましくは500℃~900℃であり、より好ましくは500℃~700℃である。いくつかの実施例によれば、前記焼結温度は、575℃~625℃の範囲であり、例えば600℃である。
【0065】
上記調製方法のいくつかの実施例において、ステップDにおける前記不活性雰囲気は窒素ガス、アルゴンガスのうちの一種又はこれらの混合物であってもよい。窒素ガスが好ましい。
【0066】
三、負極
いくつか実施例において、本発明で提供される負極は、本発明の第1の態様に記載の負極活物質を含む。
【0067】
いくつか実施例において、本発明で提供される負極はさらに導電剤、並びにバインダーを含む。
【0068】
いくつか実施例において、前記負極はさらに集電体含み、前記負極活物質は、前記集電体上に位置する。
【0069】
いくつか実施例において、前記集電体は、銅箔、ニッケル箔、ステンレス鋼箔、チタン箔、発泡ニッケル、発泡銅、導電性金属で被覆されたポリマー基材、又はそれらの任意の組み合わせを含む。
【0070】
いくつかの実施例において、粘着剤は、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化されたポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、アクリル(エステル)化されたスチレンブタジエンゴム、エポキシ樹脂又はナイロン等を含むが、それらに限定されていない。
【0071】
いくつかの実施例において、導電剤は、炭素よる材料、金属よる材料、導電性重合体及びそれらの混合物を含むが、それらに限定されていない。いくつかの実施例において、炭素による材料は、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー、又はそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施例において、金属による材料は、金属粉末、金属繊維、銅、ニッケル、アルミニウム、銀から選択される。いくつか実施例において、導電性重合体はポリフェニレン誘導体である。
【0072】
本発明のいくつかの実施例によれば、負極の5トンでの圧縮密度をPとし、カーボンナノチューブの質量分率(前記負極活物質の総質量に対する質量分率)をnとし、0.05%<n<3.2%の場合には、Pはnが大きくなるにつれて増加する。
【0073】
本発明のいくつかのさらなる実施例によれば、同一ケイ素含量を有する負極では、前記負極活物質を含む負極の膜抵抗が1オーム未満である。
【0074】
本発明の負極は、当該技術分野で公知の方法により製造することができる。一般的には、負極活物質、並びに任意に導電剤(例えば、カーボンブラック等の炭素材料及び金属粒子等)、バインダー(例えば、SBR)、及び他の任意の添加剤(例えば、PTCサーミスタ材料)等の材料を混合し、共に溶媒(例えば、脱イオン水)に分散させ、均一に撹拌した後に負極集電体に均一に塗布し、乾燥させた後に負極シートを有する負極を得る。負極集電体として、金属箔又は多孔質金属板などを用いることができる。
【0075】
四、電気化学装置
本発明の実施例は、負極、正極、電解液及びセパレータを含む電気化学装置を提供する。
【0076】
いくつかの実施例において、本発明の電気化学装置は、金属イオンを吸蔵、放出することができる正極活物質を有する正極、本発明に係る負極、電解液、及び正極と負極の間に設けられるセパレータを含む。
【0077】
負極
本発明の電気化学装置における負極は、本発明の負極活物質を含む。
【0078】
正極
本発明の実施例に用いられる正極の材料、構成及びその製造方法は、先行技術に開示された任意の技術を含んでもよい。
【0079】
いくつかの実施例において、正極は、集電体及びその集電体上に位置する正極活物質層を含む。
【0080】
いくつか実施例において、正極活物質は、コバルト酸リチウム(LiCoO)、リチウムニッケルコバルトマンガン(NCM)三元系材料、リン酸第一鉄リチウム(LiFePO)又はマンガン酸リチウム(LiMn)を含むが、それらに限定されていない。
【0081】
いくつかの実施例において、正極活物質層は、さらに粘着剤を含み、また、任意に導電材料を含む。粘着剤は、正極活物質粒子同士の粘着を向上させ、また、正極活物質と集電体との粘着をも向上させる。
【0082】
いくつかの実施例において、粘着剤は、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ジアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、カルボキシル化されたポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、エチレンオキシドを含むポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリウレタン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、アクリル(エステル)化されたスチレンブタジエンゴム、エポキシ樹脂又はナイロン等を含むが、それらに限定されていない。
【0083】
いくつかの実施例において、導電材料は、炭素による材料、金属による材料、導電性重合体及びそれらの混合物を含むが、それらに限定されていない。いくつかの実施例において、炭素による材料は、天然黒鉛、人造黒鉛、カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー、又はそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの実施例において、金属による材料は、金属粉末、金属繊維、銅、ニッケル、アルミニウム、銀から選択される。いくつかの実施例において、導電性重合体はポリフェニレン誘導体である。
【0084】
いくつかの実施例において、集電体はアルミニウムを含むが、それに限定されていない。
【0085】
正極は、当分野に公知の調製方法によって調製されてもよい。例えば、正極は、溶媒に活物質、導電材料及び粘着物を混合し、活物質組成物を調製し、その活物質組成物を集電体上に塗工する方法で得ることができる。いくつかの実施例において、溶媒はN-メチルピロリドンを含んでもよいが、これに限定されていない。
【0086】
電解液
本発明の実施例に使用される電解液は、先行技術で公知の電解液であってもよい。
【0087】
いくつかの実施例において、前記電解液は、有機溶媒、リチウム塩及び添加剤を含む。本発明による電解液の有機溶媒は、電解液の溶媒として使用できる先行技術で公知の任意の有機溶媒であってもよい。本発明による電解液に使用される電解質は、特に制限がなく、先行技術で公知の任意の電解質であってもよい。本発明による電解液の添加剤は、電解液の添加剤として使用できる先行技術で公知の任意の添加剤であってもよい。
【0088】
いくつかの実施例において、前記有機溶媒は、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、プロピレンカーボネート又はエチルプロピオネートを含むが、それらに限定されていない。
【0089】
いくつかの実施例において、前記リチウム塩は、有機リチウム塩又は無機リチウム塩の中うちの少なくとも一種を含む。
【0090】
いくつかの実施例において、前記リチウム塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF)、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホンイミド)LiN(CFSO(LiTFSI)、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドLi(N(SOF))(LiFSI)、ビスシュウ酸ホウ酸リチウムLiB(C(LiBOB)又はジフルオロシュウ酸ホウ酸リチウムLiBF(C)(LiDFOB)を含むが、それらに限定されていない。
【0091】
いくつかの実施例において、前記電解液におけるリチウム塩の濃度は0.5mol/L~3mol/L、0.5mol/L~2mol/L、又は0.8mol/L~1.5mol/Lである。
【0092】
セパレータ
いくつかの実施例において、正極と負極の間には、短絡を防止するためにセパレータが設けられる。本発明の実施例に使用されるセパレータの材料と形状は、特に制限がなく、先行技術で開示された任意の技術であってもよい。いくつかの実施例において、セパレータは、本発明の電解液に対して安定な材料で形成された重合体又は無機物等を含む。
【0093】
例えば、セパレータは、基材層及び表面処理層を含んでもよい。基材層は多孔質構造を有する不織布、フィルム又は複合フィルムであり、基材層の材料はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート又はポリイミドのうちの少なくとも一種を含む。具体的には、ポリプロピレン多孔質膜、ポリエチレン多孔質膜、ポリプロピレン不織布、ポリエチレン不織布又はポリプロピレン-ポリエチレン-ポリプロピレン多孔質複合膜から選択してもよい。
【0094】
基材層の少なくとも一つの表面上に表面処理層が設けられ、表面処理層は、ポリマー層又は無機物層であってもよく、ポリマーと無機物を混合して得られた層であってもよい。
【0095】
無機物層は、無機物粒子及びバインダーを含み、無機物粒子は、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化スズ、酸化セリウム、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化イットリウム、炭化ケイ素、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム又は硫酸バリウムのうち少なくとも1つを含む。バインダーポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリメチルメタクリレート、ポリテトラフルオロエチレン又はポリヘキサフルオロプロピレンのうちの少なくとも1種を含む。
【0096】
ポリマー層は、ポリマーを含み、ポリマーの材料は、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、ポリビニルエーテル、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロピレン)の少なくとも一種を含む。
【0097】
いくつかの実施例において、本発明の電気化学装置は、全ての種類の一次電池、二次電池、燃料電池、太陽電池又はコンデンサーを含むが、それらに限定されていない。
【0098】
いくつかの実施例において、前記電気化学装置はリチウム二次電池である。
【0099】
いくつかの実施例において、リチウム二次電池は、リチウム金属二次電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池又はリチウムイオンポリマー二次電池を含むが、それらに限定されていない。
【0100】
五、電子装置
本発明の電子装置は、本発明の第4の態様に係る電気化学装置を用いたものであればよい。
【0101】
いくつかの実施例において、前記電子装置は、ノートコンピューター、ペン入力型コンピューター、モバイルコンピューター、電子ブックプレーヤー、携帯電話、携帯型ファクシミリ、携帯型コピー機、携帯型プリンター、ステレオヘッドセット、ビデオレコーダー、液晶テレビ、ポータブルクリーナー、携帯型CDプレーヤー、ミニディスク、トランシーバー、電子ノートブック、電卓、メモリーカード、ポータブルテープレコーダー、ラジオ、バックアップ電源、モーター、自動車、オートバイ、補助自転車、自転車、照明器具、おもちゃ、ゲーム機、時計、電動工具、閃光灯、カメラ、大型家庭用ストレージバッテリー、及びリチウムイオンコンデンサーなどを含むが、これらに限定されていない。
【0102】
実施例1~実施例13、並びに比較例1~比較例2の負極活物質の調製過程は次の通りである。
【0103】
1.SiO(xは0.5~1.5)100g、黒鉛粉末(天然黒鉛の質量は表1に示される)を水に分散させ、10min撹拌した後、カーボンナノチューブスラリー200g(カーボンナノチューブの質量は表1に示され、カルボキシメチルセルロースの質量分率は0.6%、他は溶媒である水である)を添加し、4h撹拌した。
2.溶媒を除去した後に乾燥粉末が得られた。
3.窒素雰囲気下で、ステップ2で得られた乾燥粉末を焼結し、窒素流量は0.5~1.5L/minであり、炉内は常圧に保持し、焼結温度は600℃であり、焼結時間は2時間であった。
【0104】
【表1】
【0105】
表1の実施例1~実施例13、比較例1及び比較例2において、窒素ガス雰囲気で乾燥粉末を焼結工程を行って、前記焼結工程を制御することにより、アモルファスカーボンの厚さは、それぞれ20nm~50nmである。アモルファスカーボンの主な役割は、カーボンナノチューブに合わせて基体であるケイ素酸化物の導電性を向上させ、同時に造粒後のケイ素酸化物と黒鉛との接触を強化し、界面接触を向上させることである。アモルファスカーボンの厚みは500nm以下に制御する必要があり、厚過ぎるアモルファスカーボンはイオンの伝導、及びカーボンナノチューブの長レンジ導電性を保証することができない。
【0106】
測定方法:
1、比表面積の測定:恒温低温で、異なる相対圧力で固体表面へのガスの吸着量を測定した後、Brownauer-Emmett-Teller吸着理論とその公式(BET公式)より、サンプル単分子層の吸着量を求め、固体の比表面積を算出する。各N分子が占める平均面積は16.2Aであり、1.5~3.5gの粉末サンプルを秤量してTriStar II 3020のテストサンプルチューブに入れ、200℃で120min脱気した後に測定する。
【0107】
2、負極活物質の粒子径の測定:50mlの清潔なビーカーに、約0.02gの粉末サンプルを加え、約20mlの脱イオン水を加え、1%の界面活性剤をさらに数滴滴下し、粉末を水に完全に分散させ、120Wの超音波洗浄機で5分間超音波処理し、MasterSizer 2000で粒度、即ち負極活物質のDv50を測定し、Dv50は材料が体積基準の粒子分布における小粒子径側から体積累積が50%に達する粒子径である。
【0108】
3、極片の粒度の測定(平均粒子径):極片に対して500Xの倍率で断面SEM撮影を行い、後方散乱モードを選択し、100個の黒鉛又はケイ素粒子をランダムに選択して粒子中の最大直径(粒子の境界上の間隔が最も遠い距離)の平均値を測定し、即ち平均粒子径を測定し、黒鉛の平均粒子径及びケイ素酸化物の平均粒子径を得る。
【0109】
フルセル評価
電池セルの調製
N-メチルピロリジノン溶媒系に、活物質であるLiCoO、導電性カーボンブラック、及びバインダーであるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を96.7:1.7:1.6の重量比で十分に撹拌して均一に混合した後、Al箔に塗布して乾燥させ、コールドプレスして正極を得る。
【0110】
実施例に係るケイ素材料を一定の割合で混合して、グラム容量が500mAh/gである混合粉末が得られる。前記混合粉末、導電剤であるアセチレンブラック、ポリアクリル酸(PAA)を95:1.2:3.8の重量比で脱イオン水溶媒系に十分に撹拌して均一に混合した後、Cu箔に塗布して乾燥させ、コールドプレスして負極を得る。PE多孔質ポリマー膜をセパレータとして使用する。正極、セパレータ、負極を順に積層し、セパレータを正極と負極の中間に設けて隔離作用を果たし、巻き取ってベアセルを得る。ベアセルを外装に入れ、準備された電解液を注入して封止し、化成、脱気、トリミングなどのプロセスフローを行い、フルセルを得る。
【0111】
ここで、電池セルの調製における電解液の調製方法は以下のとおりである。含水量が10ppm未満の雰囲気下で、六フッ化リン酸リチウム、フルオロエチレンカーボネート(FEC)及び非水有機溶媒(エチレンカーボネート(EC):ジメチルカーボネート(DMC):ジエチルカーボネート(DEC)=1:1:1、重量比)をフルオロエチレンカーボネートの重量濃度が10wt%になるように調製し、表2におけるすべての実施例の電池セル用のリチウム塩は六フッ化リン酸リチウムであり、その濃度は1mol/Lである。
【0112】
サイクル測定:
測定温度は25℃又は45℃であり、0.7Cで4.45Vまで定電流で充電し、0.025Cまで定電圧で充電し、5分間静置した後に0.5Cで3.0Vまで放電する。ここで得られた容量を初期容量とし、0.7C充電/0.5C放電でサイクル充放電を行い、各サイクルの放電容量値を記録して下記式を用いてサイクル容量維持率を計算する。サイクルN回目の容量維持率=(N回目のサイクルの放電容量/初回サイクルの放電容量)×100%。25℃で、容量維持率が90%である場合には、その維持率でのサイクル数、すなわち25℃で容量維持率が90%までのサイクル数を記録し;45℃で、容量維持率が80%である場合には、その維持率でのサイクル数、すなわち45℃で、容量維持率が80%までのサイクル数を記録する。
【0113】
電池セルの満充電膨張率測定:
充放電を行っていない時の初期電池セルの厚さD0をスクリューマイクロメーターで測定し、400回までサイクルした時、電池セルは満充電状態にあり、そしてこの時の電池セルの厚さD1をスクリューマイクロメーターで測定し、下記式に基づいて電池の厚さ膨張率εを計算する。ε=(D1-D0)/D0×100%。これにより、25℃又は45℃で400サイクルまでの電池セル膨張率を得る。
【0114】
【表2】
【0115】
実施例1~4と比較例3との比較から分かるように、ケイ素粒子の粒子径が黒鉛の粒子径よりも小さいので、複合粒子のケイ素の含有量が増加するにつれて、複合粒子の粒子径が減少し、BETが増加する。比較例3と比較すると、ケイ素の含有量が増加しても、サイクルは依然として改善され得る。したがって、シリコン炭素複合体は、関係式2≦b/a<6(式中、aはケイ素酸化物の平均粒子径を表し、bは黒鉛の平均粒子径を表す)を満たすことにより、ケイ素酸化物と黒鉛が適切な粒子径の範囲にあり、サイクルが改善され、25℃で400サイクルまでサイクルされた電池セルの膨張率及び45℃で400サイクルまでサイクルされた電池セルの膨張率も改善される。
【0116】
実施例5~実施例7と比較例3との比較から分かるように、カーボンナノチューブの含有量が増加するにつれて、複合粒子の粒子径が増加し、比表面積も増加する。比較例3と比較すると、サイクルは依然として著しく改善され得る。
【0117】
実施例8~実施例9と比較例1~3との比較から分かるように、ケイ素と黒鉛の粒子径が、関係式2≦b/a<6を満たして初めて、適切な造粒粒子径及びより良好なサイクル改善を達成することをできる。
【0118】
実施例10~実施例11と比較例3との比較から分かるように、複合造粒の複合粒子の粒子径が関係式a+b≦c≦5bを満たして初めて、適切な造粒粒子径及びより良好なサイクル改善を達成することができる。
【0119】
実施例12~実施例13と比較例3とを比較から分かるように、負極活物質のDv50(中央粒子径)が6.1μm~60μmを満たして初めて、適切なの負極活物質及びより良好なサイクル特性を得ることができる。
【0120】
実施例7に基づき、他の条件を変更せず、リチウム塩のみをさらに変更し、具体的なリチウム塩の濃度は表3に示す。
【0121】
【表3】
【0122】
実施例14~16は実施例7と比較して、異なる点はリチウム塩であるリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を加えることのみであり、LiFSIとLiPFとの質量比を調整することにより、電池セルサイクル特性及び膨張性能が改善されたのは、主に、負極材料におけるシリコン炭素複合体及び電解液におけるリチウム塩の相互作用により負極と電解液との間の接触が改善され、それによりサイクル特性が改善されるからである。
【0123】
本発明のいくつかの例示的な実施形態を開示し説明してきたが、本発明は開示された実施形態に限定されていない。むしろ、当業者は、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、記載された実施形態に対して様々な修正及び変更を行うことができることを認識するであろう。
図1
図2
図3
図4